JP2004279820A - 照明光学系の設計方法及びプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】インテグレータ光学系を備えた照明光学系の光学パラメータを短時間で決定することのできる簡易な設計方法を提供する。
【解決手段】幅D2の照射領域Aにテレセントリック照明光を最大照射角度βで照射する照明光学系の光学パラメータを決定する照明光学系の設計方法において、
前記照明光学系の各種光学パラメータを決定するための前提条件としての第1のレンズアレイの幅D1及び第2のレンズアレイの幅D1’と、これらのレンズアレイの幅方向に配列されるこれらのレンズアレイの個数nを決定し、
その後、近軸条件式を用いて各種光学パラメータを決定することを特徴とする照明光学系の設計方法。
【選択図】 図4
【解決手段】幅D2の照射領域Aにテレセントリック照明光を最大照射角度βで照射する照明光学系の光学パラメータを決定する照明光学系の設計方法において、
前記照明光学系の各種光学パラメータを決定するための前提条件としての第1のレンズアレイの幅D1及び第2のレンズアレイの幅D1’と、これらのレンズアレイの幅方向に配列されるこれらのレンズアレイの個数nを決定し、
その後、近軸条件式を用いて各種光学パラメータを決定することを特徴とする照明光学系の設計方法。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は照明光学系の設計方法及びこの照明光学系の設計方法によって設計された照明光学系を備えたプロジェクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクタの光源に楕円面リフレクタを用いると、比較的大きな高輝度光源を用いたとしても、平行化レンズを用いて比較的細い光束を後段の光学系に射出することができる。このため、インテグレータ光学系、色分離光学系、リレー光学系、電気光学変調装置、色合成プリズム、投写レンズなどの各光学要素を小さなものすることができ、その結果、高輝度プロジェクタの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0003】
図1は、そのような楕円面リフレクタを用いたプロジェクタの一般的な光学系を示す図である。図1に示されるように、このプロジェクタ10は、照明光学系100と、色分離光学系200と、リレー光学系240と、反射ミラー220と、2つのフィールドレンズ300R、300Gと、3つの液晶パネル320R,320G,320Bと、ダイクロイックプリズム400と、投写レンズ420とを備えている。
照明光学系100から射出された光は色分離光学系200によって赤、緑及び青の3つの色光に分離され、それぞれの色光は3つの液晶パネル320R、320G、320Bによって変調され、ダイクロイックプリズム400によって合成され、この合成光は投写レンズ420を介してスクリーンS上などの投写面上に投写されることになる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図2は、プロジェクタ10における照明光学系100を説明するための図である。図1及び図2に示されるように、照明光学系100は、ランプ110と、このランプからの放射光を射出開口部から射出させる楕円面リフレクタ120と、この楕円面リフレクタから射出した光を平行化する平行化レンズ130と、この平行化レンズにより平行化された光を液晶パネル300R,320G,320Bの照射領域(有効領域)Aに均一に照射するための第1及び第2の2つのレンズアレイ150,160と、重畳レンズ170とを有しており、照明領域である液晶パネル320R,320G,320Bの照明領域Aにテレセントリック照明光をほぼ均一に照明することのできるインテグレータ光学系である。なお、後段のフィールドレンズ300R,300G,266も、この照明光学系100に含める場合もある。ランプ110としては、輝度の高い高圧水銀ランプ等が用いられている。
【0005】
第1の(前群の)レンズアレイ150は、複数の第1の小レンズを備え、これら複数の第1の小レンズによって平行化レンズからの射出された光束を複数の部分光束に分割する機能を有している。
第2の(後群の)レンズアレイ160は、これら複数の部分光束が集光される位置近傍に配置された複数の第2の小レンズを備えている。第2のレンズアレイ160は、第1のレンズアレイ150から出射された各部分光束の中心軸(主光線)が重畳レンズ170の入射面に垂直に入射するように構成されている。
【0006】
重畳レンズ170は、第2のレンズアレイ160を射出した光束を、液晶パネル320R,320G,320Bの照明領域Aに重畳させる機能を有している。このため、第1のレンズアレイ150、第2のレンズアレイ160の作用とあいまって、液晶パネル320R,320G,320Bの照明領域Aをほぼ均一に照明することができる。
第2のレンズアレイ160と重畳レンズ170との間には、光源から射出された非偏光光を一方の偏光軸を有する偏光光に変換して光の利用効率を高めるための偏光変換素子(図示せず)が配置されることもある。
【0007】
一方、プロジェクタの光源に放物面リフレクタを用いたプロジェクタも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
図10は、そのような放物面リフレクタを用いたプロジェクタ10Aの一般的な光学系を示す図である。図11は、プロジェクタ10Aにおける照明光学系100Aを説明するための図である。図10及び図11に示されるように、照明光学系100Aは、ランプ110と、このランプからの放射光を略平行な射出光として射出させる放物面リフレクタ120Aと、この放物面リフレクタから射出した略平行光を液晶パネル300R,320G,320Bの照射領域(有効領域)Aに均一に照射するための第1及び第2の2つのレンズアレイ150,160と、重畳レンズ170とを有しており、照明領域である液晶パネル320R,320G,320Bの照明領域Aにテレセントリック照明光をほぼ均一に照明することのできるインテグレータ光学系である。
このように、プロジェクタ10Aは、放物面リフレクタ120Aを有する照明光学系100Aを備えているため、楕円面リフレクタで必要であった平行化レンズを必要としないため、照明装置をコンパクトなものにすることができる。
【0008】
ところで、上記した楕円面リフレクタを用いたプロジェクタ10の照明光学系100の設計は以下のように行われている。すなわち、まず、液晶パネル320R,320G,320Bに照射される照明光束の幅D2(照明領域Aの幅D2)及びこの照明領域に照射される照明光束の最大照射角度βを、製品の仕様、液晶パネルの特性などを考慮して、予め前提条件として定めておく。
その後、第1及び第2の小レンズ150,160の幅D1,D1’及び第1のレンズアレイ150の幅方向における第1の小レンズの個数n(及び第2のレンズアレイ160の幅方向における第2の小レンズの個数n)を決定する。
その後、第1及び第2のレンズアレイ150,160への最大照射許容角度α、平行化レンズ130の焦点距離f3、平行化レンズ130で平行光にした光の最大照明角度「α’+α”」(但し、α’はアーク長による最大照明角度であり、α”はアーク径による最大照明角度である。)、第1及び第2の小レンズの焦点距離f4(第1及び第2のレンズアレイ150,160においてこれら小レンズの焦点距離f4は同じ値である。)、重畳レンズ170やフィールドレンズ300の焦点距離などの光学パラメータを決定して、照明光学系100の具体的な構成を決定している。
【0009】
また、上記した放物面リフレクタを用いたプロジェクタ10Aの照明光学系100Aの設計は以下のように行われている。すなわち、まず、液晶パネル320R,320G,320Bに照射される照明光束の幅D2(照明領域Aの幅D2)及びこの照明領域に照射される照明光束の最大照射角度βを、製品の仕様、液晶パネルの特性などを考慮して、予め前提条件として定めておく。
その後、第1及び第2の小レンズ150,160の幅D1,D1’及び第1のレンズアレイ150の幅方向における第1の小レンズの個数n(第2のレンズアレイ160の幅方向における第2の小レンズの個数も第1の小レンズの個数n)を決定する。
その後、第1及び第2のレンズアレイ150,160への最大照射許容角度α、放物面リフレクタからの射出光の最大照明角度「α’+α”」(但し、α’はアーク長による最大照明角度であり、α”はアーク径による最大照明角度である。)、第1及び第2の小レンズの焦点距離f4(第1及び第2のレンズアレイ150,160においてこれら小レンズの焦点距離f4は同じ値である。)、重畳レンズ170やフィールドレンズ300の焦点距離などの光学パラメータを決定して、照明光学系100Aの具体的な構成を決定している。
【0010】
しかしながら、上記した各種光学パラメータの決定にあたっては、設計者が、経験と勘を頼りに、光線追跡シミュレーション装置に各種光学パラメータを入力してシミュレーションを行い、そのシミュレーション結果を評価することにより行っている。このため、各光学パラメータを変更するたび、数万本もの光線について追跡計算を行う必要があるため、最適な光学パラメータを得るのにかなりの時間がかかってしまうという問題点があった。
また、これらの各光学パラメータは互いに依存する関係にあるため、いずれかの各光学パラメータを変更したときには他の光学パラメータの最適値も変わってしまうため、よけい時間がかかってしまうという問題点があった。
また、照明光学系の基本構成を変更する際には、設計者の経験と勘は必ずしも頼りにならず、最適な光学パラメータを得るのにさらに時間がかかってしまうという問題点があった。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−347293号公報(図1,図10,図14)
【特許文献2】
特開2000−121997号公報(図6)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記した光学パラメータを短時間で決定することのできる簡易な照明光学系の設計方法を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような優れた照明光学系の設計方法によって設計された照明光学系を備えたプロジェクタを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者は、上記課題を解決すべく鋭意努力した結果、近軸条件式を用いて各光学パラメータを決定することにより上記問題点を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
(1)本発明の照明光学系の設計方法は、ランプと、このランプからの放射光を射出開口部から射出させる楕円面リフレクタと、この楕円面リフレクタから射出した光を平行化する平行化レンズと、この平行化レンズにより平行化された光を幅D2の照射領域に均一に照射するためのインテグレータ光学系であって第1のレンズアレイ、第2のレンズアレイ及びコンデンサレンズを含むインテグレータ光学系とを備え、前記照明領域にテレセントリック照明光を最大照射角度βで照射する照明光学系の光学パラメータを決定する照明光学系の設計方法である。
【0015】
そして、本発明の照明光学系の設計方法は、前記第1のレンズアレイを構成する第1の小レンズの幅D1と、前記第2のレンズアレイを構成する第2の小レンズの幅D1’と、前記第1のレンズアレイの幅方向に配列される第1の小レンズの個数nを決定する第1の工程と、
下記の式(1)の条件を満たすように第1及び第2のレンズアレイへの最大照射許容角度αを決定する工程と、下記の式(2)の条件を満たすように平行化レンズの焦点距離f3を決定する工程と、下記の式(3)の条件を満たすようにアーク長による最大照明角度α’を決定する工程と、下記の式(4)の条件を満たすようにアーク径による最大照明角度α”を決定する工程と、下記の式(5)の条件を満たすように前記第1及び第2の小レンズの焦点距離f4を決定する工程と、下記の式(6)の条件を満たすように前記コンデンサレンズの焦点距離f5を決定する工程とを含む第2の工程と、をこの順序で含むことを特徴とする。
【数4】
(但し、s1は楕円面リフレクタの半径、f1は楕円面リフレクタの第1焦点距離、f2は楕円面リフレクタの第2焦点距離、dlは楕円面リフレクタの第1焦点位置から光軸上における楕円面リフレクタの半径位置までの長さ、LLはランプのアーク長、LDはランプのアーク径である。)。
【0016】
このため、本発明の照明光学系の設計方法によれば、前記第1及び第2のレンズアレイを構成する第1及び第2の小レンズの幅D1,D1’と、前記第1のレンズアレイの幅方向に配列される第1の小レンズの個数n(及び第2の小レンズの個数n)を決定した後は、照明光学系の設計に必要な各種光学パラメータが自動的に算出される。そして、この自動的に算出された各種光学パラメータを、上記した光線追跡シミュレーション装置に入力してシミュレーションを行うことにより、これらの各種光学パラメータが最適なものであるかどうかを検証することができる。従って、最適な光学パラメータを極めて短時間で得ることができる。また、設計者の経験と勘に過度に頼ることもない。このため、本発明の照明光学系の設計方法によれば、照明光学系を構成するのに必要な各種光学パラメータを得るのにかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0017】
また、本発明の照明光学系の設計方法によれば、近軸条件式を用いているため、平行化レンズが凸レンズの場合であっても凹レンズの場合であっても同様に各種光学パラメータを決定することができる。
【0018】
(2)上記(1)に記載の照明光学系の設計方法においては、前記第2の工程は、下記の式(7)の条件を満たすように前記照明光学系の全長Sを決定する工程をさらに含むことができる。
S=f2+f3+f4+2f5 ・・・ (7)
【0019】
このような設計方法とすることにより、照明光学系の全長Sをも含む各種光学パラメータを短時間で算出することができる。
なお、上記(1)に記載の照明光学系の設計方法においては、平行化レンズが凸レンズである場合には、f3は正の値とする。一方、平行化レンズが凹レンズである場合には、f3は負の値とする。
【0020】
(3)本発明の他の照明光学系の設計方法は、ランプと、このランプからの放射光を射出開口部から射出させる放物面リフレクタと、この放物面リフレクタから射出した光を幅D2の照射領域に均一に照射するためのインテグレータ光学系であって第1のレンズアレイ、第2のレンズアレイ及びコンデンサレンズを含むインテグレータ光学系とを備え、前記照明領域にテレセントリック照明光を最大照射角度βで照射する照明光学系の光学パラメータを決定する照明光学系の設計方法である。
【0021】
そして、本発明の他の照明光学系の設計方法は、前記第1のレンズアレイの幅D1と、前記第2のレンズアレイの幅D1’と、前記第1レンズアレイの幅方向に配列される第1のレンズアレイの個数nを決定する第1の工程と、
下記の式(1)の条件を満たすように第1及び第2のレンズアレイへの最大照射許容角度αを決定する工程と、下記の式(3’)の条件を満たすようにアーク長による最大照明角度α’を決定する工程と、下記の式(4’)の条件を満たすようにアーク径による最大照明角度α”を決定する工程と、下記の式(5)の条件を満たすように前記第1及び第2のレンズアレイの焦点距離f4を決定する工程と、下記の式(6)の条件を満たすように前記コンデンサレンズの焦点距離f5を決定する工程とを含む第2の工程と、をこの順序で含むことを特徴とする。
【数5】
(但し、s8は放物面リフレクタの半径、f8は放物面リフレクタの焦点距離、LLはランプのアーク長、LDはランプのアーク径である。)
【0022】
このため、本発明の他の照明光学系の設計方法によれば、前記第1及び第2のレンズアレイを構成する第1及び第2の小レンズの幅D1,D1’と、前記第1のレンズアレイの幅方向に配列される第1の小レンズの個数n(及び第2の小レンズの個数n)を決定した後は、照明光学系の設計に必要な各種光学パラメータが自動的に算出される。そして、この自動的に算出された各種光学パラメータを、上記した光線追跡シミュレーション装置に入力してシミュレーションを行うことにより、これらの各種光学パラメータが最適なものであるかどうかを検証することができる。従って、最適な光学パラメータを極めて短時間で得ることができる。また、設計者の経験と勘に過度に頼ることもない。このため、本発明の照明光学系の設計方法によれば、照明光学系を構成するのに必要な各種光学パラメータを得るのにかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0023】
(4)上記(3)に記載の照明光学系の設計方法においては、前記第2の工程は、下記の式(8)の条件を満たすように前記照明光学系の全長Sを決定する工程をさらに含むものとすることができる。
S=f8+dl’+f4+2f5 ・・・ (8)
(但し、dl’は放物面リフレクタの焦点位置から光軸上における放物面リフレクタの半径位置までの長さである。)
【0024】
このような設計方法とすることにより、照明光学系の全長Sをも含む各種光学パラメータを短時間で算出することができる。
【0025】
(5)上記(1)又は(3)に記載の照明光学系の設計方法においては、前記照明光学系がコンデンサレンズに代えて重畳レンズとフィールドレンズとを含む照明光学系である場合には、
前記重畳レンズと前記フィールドレンズとの距離d2と、前記フィールドレンズと前記照明領域との距離d3とを決定する第3の工程と、
下記の式(9)の条件を満たすように重畳レンズの焦点距離f6を決定する工程と、下記の式(10)の条件を満たすようにフィールドレンズの焦点距離f7を決定する工程と、下記の式(11)の条件を満たすように前記第2のレンズアレイと前記重畳レンズとの距離d1とを含む第4の工程と、をさらに含むものとすることができる。
【数6】
【0026】
このような方法とすることにより、前記照明光学系がコンデンサレンズに代えて重畳レンズとフィールドレンズとを含む照明光学系である場合に、この照明光学系を構成するのに必要な光学パラメータを短時間で算出することができる。
【0027】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の照明光学系の設計方法においては、前記照明光学系が偏光変換プリズムをさらに含む照明光学系である場合には、第1のレンズアレイを構成する第1の小レンズ及び第2のレンズアレイを構成する第2の小レンズのパワーを合成した光学系の後側焦点位置近傍に偏光変換プリズムの偏光分離面を配置するものとすることができる。
【0028】
このような方法とすることにより、偏光変換素子を含むプロジェクタにおいても、本発明の設計方法を適用することができるようになる。
【0029】
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の照明光学系の設計方法においては、上記(1)〜(6)のいずれかの方法によって各種光学パラメータを決定する工程と、これらの各種光学パラメータの少なくとも一の光学パラメータを修正する工程と、をこの順序で含むものとすることができる。
【0030】
このような方法とすることにより、近軸条件式を用いて決定された各種光学パラメータを用いて光学シミュレーションを行い、その結果に基づいて各種光学パラメータを適宜修正することができるので、さらに最適化された照明光学系を設計することができる。また、何らかの理由(例えば、光学レイアウト上の制約)により各種光学パラメータの一部を変更せざるを得ない場合にも、その制約の範囲内で各種光学パラメータを適宜修正することができるので、さらに実用的な照明光学系を設計することができる。
【0031】
(8)本発明のプロジェクタは、上記(1)〜(7)に記載の照明光学系の設計方法によって設計された照明光学系と、この照明光学系からの射出光を変調するための電気光学変調装置と、この電気光学変調装置により変調された画像光を投写するための投写レンズと、を備えたことを特徴とする。
【0032】
このため、本発明のプロジェクタは、照明光学系の設計にかかる時間と費用を削減できるため、短納期化及び低コスト化が容易なプロジェクタとなる。
【0033】
本発明のプロジェクタは、照明光学系からの射出光を複数の色光に分離するための色分離手段と、この色分離手段により分離された複数の色光をそれぞれ変調するための複数の電気光学変調装置と、これら複数の電気光学変調装置により変調された複数の変調光を合成するための色合成光学系と、をさらに備えたものとすることもできる。この場合、本発明のプロジェクタは、短納期化及び低コスト化が容易なフルカラープロジェクタとなる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るプロジェクタの光学系を示す図であり、上記した従来の技術欄で説明した光学系と同じものである。
図1に示されるように、このプロジェクタ10は、楕円リフレクタを用いた照明光学系100と、色分離光学系200と、リレー光学系240と、反射ミラー220と、2つのフィールドレンズ300R、300Gと、3つの液晶パネル320R,320G,320Bと、ダイクロイックプリズム400と、投写レンズ420とを備えている。そして、照明光学系100から射出された光は色分離光学系200によって赤、緑及び青の3つの色光に分離され、それぞれの色光は3つの液晶パネル320R、320G、320Bによって変調され、ダイクロイックプリズム400によって合成され、この合成光は投写レンズ420を介してスクリーンS上などの投写面上に投写されることになる。
【0036】
図2は、プロジェクタ10の照明光学系100を説明するための図であり、この照明光学系100も上記した従来の技術欄で説明したものと同じ構成を有している。
図1及び図2に示されるように、照明光学系100は、ランプ110と、このランプからの放射光を射出開口部から射出させる楕円面リフレクタ120と、この楕円面リフレクタから射出した光を平行化する平行化レンズ130と、この平行化レンズにより平行化された光を液晶パネル300R,320G,320Bの照射領域(有効領域)Aに均一に照射するための第1及び第2の2つのレンズアレイ150,160と、重畳レンズ170とを有しており、照明領域である液晶パネル320R,320G,320Bの照明領域Aにテレセントリック照明光をほぼ均一に照明することのできるインテグレータ光学系である。
【0037】
図3は、実施形態1に係る照明光学系の設計方法を説明するための図である。図3に示されるように、本発明の実施形態1に係る照明光学系の設計方法を実施するにあたっては、計算式を簡単にするために、重畳レンズ170及びフィールドレンズ300の2個のレンズの機能を1個のコンデンサレンズ180に集約することとする。そして、近軸理論に基づいて、平行化レンズ130、第1及び第2のレンズアレイ150,160及びコンデンサレンズ180から、曲率半径や屈折率などの光学パラメータを捨象して、これらの光学要素を焦点距離とレンズ径で表現する。
【0038】
そして、まず、液晶パネル320R,320G,320Bに照射される照明光束の幅D2(照明領域Aの幅D2)及びこの照明領域に照射される照明光束の最大照射角度βを、製品の仕様、液晶パネルの特性などを考慮して、予め前提条件として定めておく。
【0039】
次に、第1のレンズアレイ150を構成する第1の小レンズの幅D1及び第2のレンズアレイ160を構成する第2の小レンズの幅D1’及びびこれらレンズアレイ150,160の幅方向における小レンズの個数n(図3ではn=4)を決定する。
【0040】
次に、下記の式(1)〜(7)の条件を満たすように、第1及び第2のレンズアレイへの最大照射許容角度α、平行化レンズの焦点距離f3、平行化レンズで平行光にした光の最大照明角度「α’+α”」(但し、α’はアーク長による最大照明角度であり、α”はアーク径による最大照明角度である。)、第1及び第2の小レンズの焦点距離f4、コンデンサレンズ180の焦点距離、照明光学系の全長Sなどの光学パラメータを決定する。このようにして、照明光学系の具体的な構成を決定する。
【0041】
【数7】
S=f2+f3+f4+2f5 ・・・ (7)
【0042】
このため、実施形態1に係る照明光学系の設計方法によれば、前記第1及び第2のレンズアレイを構成する第1及び第2の小レンズの幅D1,D1’と、前記第1のレンズアレイの幅方向に配列される第1の小レンズの個数n(及び第2の小レンズの個数n)を決定した後は、照明光学系の設計に必要な各種光学パラメータが自動的に算出される。そして、この自動的に算出された各種光学パラメータを、上記した光線追跡シミュレーション装置に入力してシミュレーションを行うことにより、これらの各種光学パラメータが最適なものであるかどうかを検証することができる。従って、最適な光学パラメータを極めて短時間で得ることができる。また、設計者の経験と勘に過度に頼ることもない。このため、本発明の照明光学系の設計方法によれば、照明光学系を構成するのに必要な各種光学パラメータを得るのにかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0043】
また、実施形態1に係る照明光学系の設計方法によれば、近軸条件式を用いているため、平行化レンズが凸レンズの場合であっても凹レンズの場合であっても同様に各種光学パラメータを決定することができる。
この場合、式(7)においては、平行化レンズが凸レンズである場合には、f3は正の値とする。一方、平行化レンズが凹レンズである場合には、f3は負の値とする。
なお、上記した式(1)〜式(7)を満たすように光学パラメータを決定する工程は、必ずしもこの順番で行う必要はない。
【0044】
実施形態1に係る照明光学系の設計方法においては、計算式を簡単にするために、重畳レンズ170及びフィールドレンズ300の2個のレンズの機能を1個のコンデンサレンズ180に集約しているが、ここで、コンデンサレンズ180を重畳レンズ170とフィールドレンズ300の2個のレンズに戻して、さらに以下の計算を行う。
【0045】
まず、図4に示されるように、製品の仕様、液晶パネルの特性などを考慮して、前記重畳レンズと前記フィールドレンズとの距離d2と、前記フィールドレンズと前記照明領域との距離d3とを予め前提条件として定めておく。
次に、下記の式(9)〜(11)の条件を満たすように、重畳レンズの焦点距離f6、フィールドレンズの焦点距離f7、前記第2のレンズアレイと前記重畳レンズとの距離d1を決定する。
【0046】
【数8】
【0047】
このような方法とすることにより、前記照明光学系がコンデンサレンズに代えて重畳レンズとフィールドレンズとを含む照明光学系である場合に、この照明光学系を構成するのに必要な光学パラメータを短時間で算出することができる。
【0048】
なお、上記した式(1)〜式(7)の導入は以下のようにして行った。
式(1)は、第1及び第2のレンズアレイへ150,160の最大照射許容角度αを決定する式である。図5は、式(1)の算出方法を説明するための図である。図5に示されるように、第1及び第2のレンズアレイへ150,160の最大照射許容角度をαとし、テレセントリック照明光を照明領域Aに照射する際の最大照射角度をβとし、第1及び第2のレンズアレイ150,160の間隔(すわなち、小レンズの焦点距離)をf4とし、第2のレンズアレイ160からコンデンサレンズまでの距離及びコンデンサレンズから照明領域Aまでの距離(すなわち、コンデンサレンズの焦点距離)をf5とし、コンデンサレンズの直径をs2とする。
すると、図5より、「tanβ=s2/(2・f5)」、及び「tanα=D1’/(2・f4)」の関係式が導かれる。これに、「D2/D1=f5/f4」、及び「s2=n・D1’」を代入すると、上記した式(1)が得られる。
【0049】
式(2)は、平行化レンズの焦点距離f3を決定する式である。図6は、式(2)の算出方法を説明するための図である。図6に示されるように、楕円面リフレクタ120の半径をs1、第2焦点距離をf2、第1焦点距離をf1、第1焦点位置からリフレクタの半径位置までの光軸上の長さをdlとし、平行化レンズ130の直径をs3とし、楕円面リフレクタ120の外周部で反射された光束と光軸とのなす角度をθ1とする。
すると、図6より、「tanθ1=s1/(f2−f1−dl」、及び「s3/2=f3・tanθ1」の関係式が導かれる。これに、「s3=n・D1」を代入すると、上記した式(2)が得られる。
【0050】
式(3)は、アーク長による最大照明角度α’を決定する式である。図7は、式(3)の算出方法を説明するための図である。図7に示されるように、ランプ110のアークのアーク長をLLとし、このアークの楕円面リフレクタ120による光学像の長さをLL’とし、この光学像の平行化レンズ130による光学像が現れる近縁端P1から平行化レンズ130までの距離をL1とすると、このL1から平行化レンズ130の焦点距離f3を引いた長さをLL”/2とする。
すると、図7及びニュートンの式より、「tanα’=s3/(2・(f3+LL”/2)=s3/(2・(f3+2・f3 2/LL’))」の関係式が導かれる。これに、アークとリフレクタの倍率より「LL’=(f2/f1)2・LL」を代入すると、上記した式(3)が得られる。
【0051】
式(4)は、アーク径による最大照明角度α”を決定する式である。図8は、式(4)の算出方法を説明するための図である。図8に示されるように、ランプ110のアーク径をLDとし、このアークの楕円面リフレクタ120による光学像の径をLD’とする。
すると、図8及びニュートンの式より、「LD’=m・LD=(f2/f1)・LD」の関係式が導かれる。これを解くと、上記した式(4)が得られる。なお、mはレンズ(楕円リフレクタ)の倍率である。
【0052】
式(5)は、第1及び第2のレンズアレイ150,160の焦点距離f4を決定する式である。図9は、式(5)の算出方法を説明するための図である。図8に示されるように、第1及び第2のレンズアレイ150,160の焦点距離をf4とする。
すると、図9より、「tanα=D1’/(2・f4)」の関係式が導かれる。これに上記した式(1)を代入すると、上記した式(5)が得られる。
【0053】
式(6)はコンデンサレンズの焦点距離f5を決定する式である。コンデンサレンズの焦点距離をf5とすると、「D2=m・D1=(f5/f4)D1」であるから、これを変形すると、式(6)が得られる。
【0054】
式(7)は照明光学系100の全長Sを決定する式である。図3に示されるように、照明光学系100の全長Sは、f2+f3+f4+2f5で表される。
【0055】
また、上記した式(9)〜式(11)の導入は以下のようにして行った。
式(9)は重畳レンズの焦点距離f6を決定する式であり、式(10)はフィールドレンズの焦点距離f7を決定する式であり、式(11)は第2のレンズアレイと重畳レンズとの距離d1を決定する式である。ここで、重畳レンズの焦点距離f6の逆数であるパワーをP6とし、フィールドレンズの焦点距離f7の逆数であるパワーをP7とし、さきのコンデンサレンズの焦点距離f5の逆数であるパワーをP5とする。
すると、図4などから、「P6=(1−d3P5)/d2」であるから、これを変形すると、上記した式(9)が得られる。
また、「P5=P6+P7−d2P6P7」であるから、これを変形すると、式(10)が得られる。
また、「d1=(1−(d2/f7))f5」であるから、これを変形すると、式(11)が得られる。
【0056】
(実施形態2)
図10は、実施形態2に係るプロジェクタの光学系を示す図であり、上記した従来の技術欄で説明した光学系と同じものである。
図10に示されるように、このプロジェクタ10Aは、実施形態1に係るプロジェクタ10とほぼ同じ光学系を備えている。このプロジェクタ10Aが実施形態1に係るプロジェクタ10と異なるのは照明装置の構成である。すなわち、実施形態1に係るプロジェクタ10が楕円面リフレクタ100を備えているの対して実施形態2に係るプロジェクタ10Aは放物面リフレクタ100Aを備えている。
【0057】
図11は、プロジェクタ10Aの照明光学系100Aを説明するための図である。図10及び図11に示されるように、照明光学系100Aは、ランプ110と、このランプからの放射光を射出開口部から射出させる放物面リフレクタ120Aと、この放物面リフレクタ120Aから射出した略平行光を液晶パネル300R,320G,320Bの照射領域(有効領域)Aに均一に照射するための第1及び第2の2つのレンズアレイ150,160と、重畳レンズ170とを有しており、照明領域である液晶パネル320R,320G,320Bの照明領域Aにテレセントリック照明光をほぼ均一に照明することのできるインテグレータ光学系である。
【0058】
図12は、実施形態2に係る照明光学系の設計方法を説明するための図である。図12に示されるように、本発明の実施形態2に係る照明光学系の設計方法を実施するにあたっては、実施形態1の場合と同様に、計算式を簡単にするために、重畳レンズ170及びフィールドレンズ300の2個のレンズの機能を1個のコンデンサレンズ180に集約することとする。そして、近軸理論に基づいて、第1及び第2のレンズアレイ150,160及びコンデンサレンズ180から、曲率半径や屈折率などの光学パラメータを捨象して、これらの光学要素を焦点距離とレンズ径で表現する。
【0059】
そして、実施形態1の場合と同様に、液晶パネル320R,320G,320Bに照射される照明光束の幅D2(照明領域Aの幅D2)及びこの照明領域に照射される照明光束の最大照射角度βを、製品の仕様、液晶パネルの特性などを考慮して、予め前提条件として定め、次に、第1のレンズアレイ150を構成する第1の小レンズの幅D1及び第2のレンズアレイ160を構成する第2の小レンズの幅D1’及びびこれらレンズアレイ150,160の幅方向における小レンズの個数n(図3ではn=4)を決定する。
【0060】
次に、下記の式(1)、式(3’)、式(4’)、式(5)、式(6)及び式(8)の条件を満たすように、第1及び第2のレンズアレイへの最大照射許容角度α、放物面リフレクタからの略平行光の最大照明角度「α’+α”」(但し、α’はアーク長による最大照明角度であり、α”はアーク径による最大照明角度である。)、第1及び第2の小レンズの焦点距離f4、コンデンサレンズ180の焦点距離f5、照明光学系の全長Sなどの光学パラメータを決定する。このようにして、照明光学系の具体的な構成を決定する。
【0061】
【数9】
S=f8+dl’+f4+2f5 ・・・ (8)
【0062】
このため、実施形態2に係る照明光学系の設計方法によれば、実施形態1に係る照明装置の設計方法の場合と同様に、前記第1及び第2のレンズアレイを構成する第1及び第2の小レンズの幅D1,D1’と、前記第1のレンズアレイの幅方向に配列される第1の小レンズの個数n(及び第2の小レンズの個数n)を決定した後は、照明光学系の設計に必要な各種光学パラメータが自動的に算出される。そして、この自動的に算出された各種光学パラメータを、上記した光線追跡シミュレーション装置に入力してシミュレーションを行うことにより、これらの各種光学パラメータが最適なものであるかどうかを検証することができる。従って、最適な光学パラメータを極めて短時間で得ることができる。また、設計者の経験と勘に過度に頼ることもない。このため、本発明の照明光学系の設計方法によれば、照明光学系を構成するのに必要な各種光学パラメータを得るのにかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0063】
なお、上記した式(1)、式(3’)、式(4’)、式(5)、式(6)及び式(8)を満たすように光学パラメータを決定する工程は、必ずしもこの順番で行う必要はない。
【0064】
実施形態2に係る照明光学系の設計方法においては、計算式を簡単にするために、重畳レンズ170及びフィールドレンズ300の2個のレンズの機能を1個のコンデンサレンズ180に集約しているが、ここで、コンデンサレンズ180を重畳レンズ170とフィールドレンズ300の2個のレンズに戻して、さらに上記した実施形態1の場合と同様の計算を行って、重畳レンズの焦点距離f6、フィールドレンズの焦点距離f7、前記第2のレンズアレイと前記重畳レンズとの距離d1を決定する。
【0065】
このような方法とすることにより、前記照明光学系がコンデンサレンズに代えて重畳レンズとフィールドレンズとを含む照明光学系である場合に、この照明光学系を構成するのに必要な光学パラメータを短時間で算出することができる。
【0066】
なお、上記した式(3’)及び式(4’)の導入は以下のようにして行った。式(3’)は、アーク長による最大照明角度α’を決定する式である。図13は、式(3’)の算出方法を説明するための図である。図13に示されるように、ランプ110のアークのアーク長をLLとし、このアークの放物面リフレクタ120Aによる光学像が現れる近縁端P2から放物面リフレクタ120Aまでの距離をL2とすると、このL2から放物面リフレクタ120Aの焦点距離f8を引いた長さをLL’/2とする。
すると、図13及びニュートンの式(xx’=−(f’)2)より、上記した式(3’)が得られる。なお、ニュートンの式におけるfはレンズ(放物面リフレクタ)の焦点距離、xはレンズ(放物面リフレクタ)から物体までの距離、x’はレンズ(放物面リフレクタ)から像までの距離を示す。
【0067】
式(4’)は、アーク径による最大照明角度α”を決定する式である。図14は、式(4’)の算出方法を説明するための図である。図14に示されるように、ランプ110のアーク径をLDとする。
すると、図14より、上記した式(4)が得られる。
【0068】
上記した各実施形態に係る照明光学系の設計方法においては、前記照明光学系が偏光変換プリズムをさらに含む照明光学系である場合には、第1のレンズアレイを構成する第1の小レンズ及び第2のレンズアレイを構成する第2の小レンズのパワーを合成した光学系の後側焦点位置近傍に偏光変換プリズムの偏光分離面を配置するものとすることができる。
このような方法とすることにより、偏光変換素子を含むプロジェクタにおいても、本発明の設計方法を適用することができるようになる。
【0069】
また、上記した各実施形態に係る照明光学系の設計方法においては、各実施形態の方法によって各種光学パラメータを決定した後に、得られた各種光学パラメータの少なくとも一の光学パラメータを修正することもできる。
このような方法とすることにより、近軸条件式を用いて決定された各種光学パラメータを用いて光学シミュレーションを行い、その結果に基づいて各種光学パラメータを適宜修正することができるので、さらに最適化された照明光学系を設計することができる。また、何らかの理由(例えば、光学レイアウト上の制約)により各種光学パラメータの一部を変更せざるを得ない場合にも、その制約の範囲内で各種光学パラメータを適宜修正することができるので、さらに実用的な照明光学系を設計することができる。
【0070】
以上説明したように、本発明の照明光学系の設計方法によれば、前記第1及び第2の2つのレンズアレイの幅D1と、前記レンズアレイの幅方向に配列されるレンズアレイの個数nを決定した後は、照明光学系の設計に必要な各種光学パラメータが自動的に算出される。そして、この自動的に算出された各種光学パラメータを、上記した光線追跡シミュレーション装置に入力することにより、これらの各種光学パラメータが最適なものであるかどうかを検証することができる。このため、本発明の照明光学系の設計方法によれば、照明光学系を構成するのに必要な各種光学パラメータを得るのにかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0071】
また、本発明のプロジェクタは、照明光学系の設計にかかる時間と費用を削減できるため、低コスト化、短納期化が容易なプロジェクタとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るプロジェクタの光学系を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るプロジェクタの照明光学系を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るプロジェクタの照明光学系を近軸理論を用いて説明するための図である。
【図4】図3のコンデンサレンズを重畳レンズとフィールドレンズに代えた場合の照明光学系を近軸理論を用いて説明するための図である。
【図5】式(1)の算出方法を説明するための図である。
【図6】式(2)の算出方法を説明するための図である。
【図7】式(3)の算出方法を説明するための図である。
【図8】式(4)の算出方法を説明するための図である。
【図9】式(5)の算出方法を説明するための図である。
【図10】本発明の実施形態2に係るプロジェクタの光学系を示す図である。
【図11】本発明の実施形態2に係るプロジェクタの照明光学系を説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態2に係るプロジェクタの照明光学系を近軸理論を用いて説明するための図である。
【図13】式(3’)の算出方法を説明するための図である。
【図14】式(4’)の算出方法を説明するための図である。
【符号の説明】
10,10A プロジェクタ、100,100A 照明光学系、110 光源、120 楕円面リフレクタ、120A 放物面リフレクタ、150 第1のレンズアレイ、160 第2のレンズアレイ、170 重畳レンズ、180 コンデンサレンズ、200 色分離光学系、300 リレー光学系、300R,300G,266,300 フィールドレンズ、320R,320G,320B 液晶パネル、400 ダイクロイックプリズム、420 投写レンズ、A 照明領域
【発明が属する技術分野】
本発明は照明光学系の設計方法及びこの照明光学系の設計方法によって設計された照明光学系を備えたプロジェクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクタの光源に楕円面リフレクタを用いると、比較的大きな高輝度光源を用いたとしても、平行化レンズを用いて比較的細い光束を後段の光学系に射出することができる。このため、インテグレータ光学系、色分離光学系、リレー光学系、電気光学変調装置、色合成プリズム、投写レンズなどの各光学要素を小さなものすることができ、その結果、高輝度プロジェクタの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0003】
図1は、そのような楕円面リフレクタを用いたプロジェクタの一般的な光学系を示す図である。図1に示されるように、このプロジェクタ10は、照明光学系100と、色分離光学系200と、リレー光学系240と、反射ミラー220と、2つのフィールドレンズ300R、300Gと、3つの液晶パネル320R,320G,320Bと、ダイクロイックプリズム400と、投写レンズ420とを備えている。
照明光学系100から射出された光は色分離光学系200によって赤、緑及び青の3つの色光に分離され、それぞれの色光は3つの液晶パネル320R、320G、320Bによって変調され、ダイクロイックプリズム400によって合成され、この合成光は投写レンズ420を介してスクリーンS上などの投写面上に投写されることになる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図2は、プロジェクタ10における照明光学系100を説明するための図である。図1及び図2に示されるように、照明光学系100は、ランプ110と、このランプからの放射光を射出開口部から射出させる楕円面リフレクタ120と、この楕円面リフレクタから射出した光を平行化する平行化レンズ130と、この平行化レンズにより平行化された光を液晶パネル300R,320G,320Bの照射領域(有効領域)Aに均一に照射するための第1及び第2の2つのレンズアレイ150,160と、重畳レンズ170とを有しており、照明領域である液晶パネル320R,320G,320Bの照明領域Aにテレセントリック照明光をほぼ均一に照明することのできるインテグレータ光学系である。なお、後段のフィールドレンズ300R,300G,266も、この照明光学系100に含める場合もある。ランプ110としては、輝度の高い高圧水銀ランプ等が用いられている。
【0005】
第1の(前群の)レンズアレイ150は、複数の第1の小レンズを備え、これら複数の第1の小レンズによって平行化レンズからの射出された光束を複数の部分光束に分割する機能を有している。
第2の(後群の)レンズアレイ160は、これら複数の部分光束が集光される位置近傍に配置された複数の第2の小レンズを備えている。第2のレンズアレイ160は、第1のレンズアレイ150から出射された各部分光束の中心軸(主光線)が重畳レンズ170の入射面に垂直に入射するように構成されている。
【0006】
重畳レンズ170は、第2のレンズアレイ160を射出した光束を、液晶パネル320R,320G,320Bの照明領域Aに重畳させる機能を有している。このため、第1のレンズアレイ150、第2のレンズアレイ160の作用とあいまって、液晶パネル320R,320G,320Bの照明領域Aをほぼ均一に照明することができる。
第2のレンズアレイ160と重畳レンズ170との間には、光源から射出された非偏光光を一方の偏光軸を有する偏光光に変換して光の利用効率を高めるための偏光変換素子(図示せず)が配置されることもある。
【0007】
一方、プロジェクタの光源に放物面リフレクタを用いたプロジェクタも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
図10は、そのような放物面リフレクタを用いたプロジェクタ10Aの一般的な光学系を示す図である。図11は、プロジェクタ10Aにおける照明光学系100Aを説明するための図である。図10及び図11に示されるように、照明光学系100Aは、ランプ110と、このランプからの放射光を略平行な射出光として射出させる放物面リフレクタ120Aと、この放物面リフレクタから射出した略平行光を液晶パネル300R,320G,320Bの照射領域(有効領域)Aに均一に照射するための第1及び第2の2つのレンズアレイ150,160と、重畳レンズ170とを有しており、照明領域である液晶パネル320R,320G,320Bの照明領域Aにテレセントリック照明光をほぼ均一に照明することのできるインテグレータ光学系である。
このように、プロジェクタ10Aは、放物面リフレクタ120Aを有する照明光学系100Aを備えているため、楕円面リフレクタで必要であった平行化レンズを必要としないため、照明装置をコンパクトなものにすることができる。
【0008】
ところで、上記した楕円面リフレクタを用いたプロジェクタ10の照明光学系100の設計は以下のように行われている。すなわち、まず、液晶パネル320R,320G,320Bに照射される照明光束の幅D2(照明領域Aの幅D2)及びこの照明領域に照射される照明光束の最大照射角度βを、製品の仕様、液晶パネルの特性などを考慮して、予め前提条件として定めておく。
その後、第1及び第2の小レンズ150,160の幅D1,D1’及び第1のレンズアレイ150の幅方向における第1の小レンズの個数n(及び第2のレンズアレイ160の幅方向における第2の小レンズの個数n)を決定する。
その後、第1及び第2のレンズアレイ150,160への最大照射許容角度α、平行化レンズ130の焦点距離f3、平行化レンズ130で平行光にした光の最大照明角度「α’+α”」(但し、α’はアーク長による最大照明角度であり、α”はアーク径による最大照明角度である。)、第1及び第2の小レンズの焦点距離f4(第1及び第2のレンズアレイ150,160においてこれら小レンズの焦点距離f4は同じ値である。)、重畳レンズ170やフィールドレンズ300の焦点距離などの光学パラメータを決定して、照明光学系100の具体的な構成を決定している。
【0009】
また、上記した放物面リフレクタを用いたプロジェクタ10Aの照明光学系100Aの設計は以下のように行われている。すなわち、まず、液晶パネル320R,320G,320Bに照射される照明光束の幅D2(照明領域Aの幅D2)及びこの照明領域に照射される照明光束の最大照射角度βを、製品の仕様、液晶パネルの特性などを考慮して、予め前提条件として定めておく。
その後、第1及び第2の小レンズ150,160の幅D1,D1’及び第1のレンズアレイ150の幅方向における第1の小レンズの個数n(第2のレンズアレイ160の幅方向における第2の小レンズの個数も第1の小レンズの個数n)を決定する。
その後、第1及び第2のレンズアレイ150,160への最大照射許容角度α、放物面リフレクタからの射出光の最大照明角度「α’+α”」(但し、α’はアーク長による最大照明角度であり、α”はアーク径による最大照明角度である。)、第1及び第2の小レンズの焦点距離f4(第1及び第2のレンズアレイ150,160においてこれら小レンズの焦点距離f4は同じ値である。)、重畳レンズ170やフィールドレンズ300の焦点距離などの光学パラメータを決定して、照明光学系100Aの具体的な構成を決定している。
【0010】
しかしながら、上記した各種光学パラメータの決定にあたっては、設計者が、経験と勘を頼りに、光線追跡シミュレーション装置に各種光学パラメータを入力してシミュレーションを行い、そのシミュレーション結果を評価することにより行っている。このため、各光学パラメータを変更するたび、数万本もの光線について追跡計算を行う必要があるため、最適な光学パラメータを得るのにかなりの時間がかかってしまうという問題点があった。
また、これらの各光学パラメータは互いに依存する関係にあるため、いずれかの各光学パラメータを変更したときには他の光学パラメータの最適値も変わってしまうため、よけい時間がかかってしまうという問題点があった。
また、照明光学系の基本構成を変更する際には、設計者の経験と勘は必ずしも頼りにならず、最適な光学パラメータを得るのにさらに時間がかかってしまうという問題点があった。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−347293号公報(図1,図10,図14)
【特許文献2】
特開2000−121997号公報(図6)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記した光学パラメータを短時間で決定することのできる簡易な照明光学系の設計方法を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような優れた照明光学系の設計方法によって設計された照明光学系を備えたプロジェクタを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者は、上記課題を解決すべく鋭意努力した結果、近軸条件式を用いて各光学パラメータを決定することにより上記問題点を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
(1)本発明の照明光学系の設計方法は、ランプと、このランプからの放射光を射出開口部から射出させる楕円面リフレクタと、この楕円面リフレクタから射出した光を平行化する平行化レンズと、この平行化レンズにより平行化された光を幅D2の照射領域に均一に照射するためのインテグレータ光学系であって第1のレンズアレイ、第2のレンズアレイ及びコンデンサレンズを含むインテグレータ光学系とを備え、前記照明領域にテレセントリック照明光を最大照射角度βで照射する照明光学系の光学パラメータを決定する照明光学系の設計方法である。
【0015】
そして、本発明の照明光学系の設計方法は、前記第1のレンズアレイを構成する第1の小レンズの幅D1と、前記第2のレンズアレイを構成する第2の小レンズの幅D1’と、前記第1のレンズアレイの幅方向に配列される第1の小レンズの個数nを決定する第1の工程と、
下記の式(1)の条件を満たすように第1及び第2のレンズアレイへの最大照射許容角度αを決定する工程と、下記の式(2)の条件を満たすように平行化レンズの焦点距離f3を決定する工程と、下記の式(3)の条件を満たすようにアーク長による最大照明角度α’を決定する工程と、下記の式(4)の条件を満たすようにアーク径による最大照明角度α”を決定する工程と、下記の式(5)の条件を満たすように前記第1及び第2の小レンズの焦点距離f4を決定する工程と、下記の式(6)の条件を満たすように前記コンデンサレンズの焦点距離f5を決定する工程とを含む第2の工程と、をこの順序で含むことを特徴とする。
【数4】
(但し、s1は楕円面リフレクタの半径、f1は楕円面リフレクタの第1焦点距離、f2は楕円面リフレクタの第2焦点距離、dlは楕円面リフレクタの第1焦点位置から光軸上における楕円面リフレクタの半径位置までの長さ、LLはランプのアーク長、LDはランプのアーク径である。)。
【0016】
このため、本発明の照明光学系の設計方法によれば、前記第1及び第2のレンズアレイを構成する第1及び第2の小レンズの幅D1,D1’と、前記第1のレンズアレイの幅方向に配列される第1の小レンズの個数n(及び第2の小レンズの個数n)を決定した後は、照明光学系の設計に必要な各種光学パラメータが自動的に算出される。そして、この自動的に算出された各種光学パラメータを、上記した光線追跡シミュレーション装置に入力してシミュレーションを行うことにより、これらの各種光学パラメータが最適なものであるかどうかを検証することができる。従って、最適な光学パラメータを極めて短時間で得ることができる。また、設計者の経験と勘に過度に頼ることもない。このため、本発明の照明光学系の設計方法によれば、照明光学系を構成するのに必要な各種光学パラメータを得るのにかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0017】
また、本発明の照明光学系の設計方法によれば、近軸条件式を用いているため、平行化レンズが凸レンズの場合であっても凹レンズの場合であっても同様に各種光学パラメータを決定することができる。
【0018】
(2)上記(1)に記載の照明光学系の設計方法においては、前記第2の工程は、下記の式(7)の条件を満たすように前記照明光学系の全長Sを決定する工程をさらに含むことができる。
S=f2+f3+f4+2f5 ・・・ (7)
【0019】
このような設計方法とすることにより、照明光学系の全長Sをも含む各種光学パラメータを短時間で算出することができる。
なお、上記(1)に記載の照明光学系の設計方法においては、平行化レンズが凸レンズである場合には、f3は正の値とする。一方、平行化レンズが凹レンズである場合には、f3は負の値とする。
【0020】
(3)本発明の他の照明光学系の設計方法は、ランプと、このランプからの放射光を射出開口部から射出させる放物面リフレクタと、この放物面リフレクタから射出した光を幅D2の照射領域に均一に照射するためのインテグレータ光学系であって第1のレンズアレイ、第2のレンズアレイ及びコンデンサレンズを含むインテグレータ光学系とを備え、前記照明領域にテレセントリック照明光を最大照射角度βで照射する照明光学系の光学パラメータを決定する照明光学系の設計方法である。
【0021】
そして、本発明の他の照明光学系の設計方法は、前記第1のレンズアレイの幅D1と、前記第2のレンズアレイの幅D1’と、前記第1レンズアレイの幅方向に配列される第1のレンズアレイの個数nを決定する第1の工程と、
下記の式(1)の条件を満たすように第1及び第2のレンズアレイへの最大照射許容角度αを決定する工程と、下記の式(3’)の条件を満たすようにアーク長による最大照明角度α’を決定する工程と、下記の式(4’)の条件を満たすようにアーク径による最大照明角度α”を決定する工程と、下記の式(5)の条件を満たすように前記第1及び第2のレンズアレイの焦点距離f4を決定する工程と、下記の式(6)の条件を満たすように前記コンデンサレンズの焦点距離f5を決定する工程とを含む第2の工程と、をこの順序で含むことを特徴とする。
【数5】
(但し、s8は放物面リフレクタの半径、f8は放物面リフレクタの焦点距離、LLはランプのアーク長、LDはランプのアーク径である。)
【0022】
このため、本発明の他の照明光学系の設計方法によれば、前記第1及び第2のレンズアレイを構成する第1及び第2の小レンズの幅D1,D1’と、前記第1のレンズアレイの幅方向に配列される第1の小レンズの個数n(及び第2の小レンズの個数n)を決定した後は、照明光学系の設計に必要な各種光学パラメータが自動的に算出される。そして、この自動的に算出された各種光学パラメータを、上記した光線追跡シミュレーション装置に入力してシミュレーションを行うことにより、これらの各種光学パラメータが最適なものであるかどうかを検証することができる。従って、最適な光学パラメータを極めて短時間で得ることができる。また、設計者の経験と勘に過度に頼ることもない。このため、本発明の照明光学系の設計方法によれば、照明光学系を構成するのに必要な各種光学パラメータを得るのにかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0023】
(4)上記(3)に記載の照明光学系の設計方法においては、前記第2の工程は、下記の式(8)の条件を満たすように前記照明光学系の全長Sを決定する工程をさらに含むものとすることができる。
S=f8+dl’+f4+2f5 ・・・ (8)
(但し、dl’は放物面リフレクタの焦点位置から光軸上における放物面リフレクタの半径位置までの長さである。)
【0024】
このような設計方法とすることにより、照明光学系の全長Sをも含む各種光学パラメータを短時間で算出することができる。
【0025】
(5)上記(1)又は(3)に記載の照明光学系の設計方法においては、前記照明光学系がコンデンサレンズに代えて重畳レンズとフィールドレンズとを含む照明光学系である場合には、
前記重畳レンズと前記フィールドレンズとの距離d2と、前記フィールドレンズと前記照明領域との距離d3とを決定する第3の工程と、
下記の式(9)の条件を満たすように重畳レンズの焦点距離f6を決定する工程と、下記の式(10)の条件を満たすようにフィールドレンズの焦点距離f7を決定する工程と、下記の式(11)の条件を満たすように前記第2のレンズアレイと前記重畳レンズとの距離d1とを含む第4の工程と、をさらに含むものとすることができる。
【数6】
【0026】
このような方法とすることにより、前記照明光学系がコンデンサレンズに代えて重畳レンズとフィールドレンズとを含む照明光学系である場合に、この照明光学系を構成するのに必要な光学パラメータを短時間で算出することができる。
【0027】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の照明光学系の設計方法においては、前記照明光学系が偏光変換プリズムをさらに含む照明光学系である場合には、第1のレンズアレイを構成する第1の小レンズ及び第2のレンズアレイを構成する第2の小レンズのパワーを合成した光学系の後側焦点位置近傍に偏光変換プリズムの偏光分離面を配置するものとすることができる。
【0028】
このような方法とすることにより、偏光変換素子を含むプロジェクタにおいても、本発明の設計方法を適用することができるようになる。
【0029】
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の照明光学系の設計方法においては、上記(1)〜(6)のいずれかの方法によって各種光学パラメータを決定する工程と、これらの各種光学パラメータの少なくとも一の光学パラメータを修正する工程と、をこの順序で含むものとすることができる。
【0030】
このような方法とすることにより、近軸条件式を用いて決定された各種光学パラメータを用いて光学シミュレーションを行い、その結果に基づいて各種光学パラメータを適宜修正することができるので、さらに最適化された照明光学系を設計することができる。また、何らかの理由(例えば、光学レイアウト上の制約)により各種光学パラメータの一部を変更せざるを得ない場合にも、その制約の範囲内で各種光学パラメータを適宜修正することができるので、さらに実用的な照明光学系を設計することができる。
【0031】
(8)本発明のプロジェクタは、上記(1)〜(7)に記載の照明光学系の設計方法によって設計された照明光学系と、この照明光学系からの射出光を変調するための電気光学変調装置と、この電気光学変調装置により変調された画像光を投写するための投写レンズと、を備えたことを特徴とする。
【0032】
このため、本発明のプロジェクタは、照明光学系の設計にかかる時間と費用を削減できるため、短納期化及び低コスト化が容易なプロジェクタとなる。
【0033】
本発明のプロジェクタは、照明光学系からの射出光を複数の色光に分離するための色分離手段と、この色分離手段により分離された複数の色光をそれぞれ変調するための複数の電気光学変調装置と、これら複数の電気光学変調装置により変調された複数の変調光を合成するための色合成光学系と、をさらに備えたものとすることもできる。この場合、本発明のプロジェクタは、短納期化及び低コスト化が容易なフルカラープロジェクタとなる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るプロジェクタの光学系を示す図であり、上記した従来の技術欄で説明した光学系と同じものである。
図1に示されるように、このプロジェクタ10は、楕円リフレクタを用いた照明光学系100と、色分離光学系200と、リレー光学系240と、反射ミラー220と、2つのフィールドレンズ300R、300Gと、3つの液晶パネル320R,320G,320Bと、ダイクロイックプリズム400と、投写レンズ420とを備えている。そして、照明光学系100から射出された光は色分離光学系200によって赤、緑及び青の3つの色光に分離され、それぞれの色光は3つの液晶パネル320R、320G、320Bによって変調され、ダイクロイックプリズム400によって合成され、この合成光は投写レンズ420を介してスクリーンS上などの投写面上に投写されることになる。
【0036】
図2は、プロジェクタ10の照明光学系100を説明するための図であり、この照明光学系100も上記した従来の技術欄で説明したものと同じ構成を有している。
図1及び図2に示されるように、照明光学系100は、ランプ110と、このランプからの放射光を射出開口部から射出させる楕円面リフレクタ120と、この楕円面リフレクタから射出した光を平行化する平行化レンズ130と、この平行化レンズにより平行化された光を液晶パネル300R,320G,320Bの照射領域(有効領域)Aに均一に照射するための第1及び第2の2つのレンズアレイ150,160と、重畳レンズ170とを有しており、照明領域である液晶パネル320R,320G,320Bの照明領域Aにテレセントリック照明光をほぼ均一に照明することのできるインテグレータ光学系である。
【0037】
図3は、実施形態1に係る照明光学系の設計方法を説明するための図である。図3に示されるように、本発明の実施形態1に係る照明光学系の設計方法を実施するにあたっては、計算式を簡単にするために、重畳レンズ170及びフィールドレンズ300の2個のレンズの機能を1個のコンデンサレンズ180に集約することとする。そして、近軸理論に基づいて、平行化レンズ130、第1及び第2のレンズアレイ150,160及びコンデンサレンズ180から、曲率半径や屈折率などの光学パラメータを捨象して、これらの光学要素を焦点距離とレンズ径で表現する。
【0038】
そして、まず、液晶パネル320R,320G,320Bに照射される照明光束の幅D2(照明領域Aの幅D2)及びこの照明領域に照射される照明光束の最大照射角度βを、製品の仕様、液晶パネルの特性などを考慮して、予め前提条件として定めておく。
【0039】
次に、第1のレンズアレイ150を構成する第1の小レンズの幅D1及び第2のレンズアレイ160を構成する第2の小レンズの幅D1’及びびこれらレンズアレイ150,160の幅方向における小レンズの個数n(図3ではn=4)を決定する。
【0040】
次に、下記の式(1)〜(7)の条件を満たすように、第1及び第2のレンズアレイへの最大照射許容角度α、平行化レンズの焦点距離f3、平行化レンズで平行光にした光の最大照明角度「α’+α”」(但し、α’はアーク長による最大照明角度であり、α”はアーク径による最大照明角度である。)、第1及び第2の小レンズの焦点距離f4、コンデンサレンズ180の焦点距離、照明光学系の全長Sなどの光学パラメータを決定する。このようにして、照明光学系の具体的な構成を決定する。
【0041】
【数7】
S=f2+f3+f4+2f5 ・・・ (7)
【0042】
このため、実施形態1に係る照明光学系の設計方法によれば、前記第1及び第2のレンズアレイを構成する第1及び第2の小レンズの幅D1,D1’と、前記第1のレンズアレイの幅方向に配列される第1の小レンズの個数n(及び第2の小レンズの個数n)を決定した後は、照明光学系の設計に必要な各種光学パラメータが自動的に算出される。そして、この自動的に算出された各種光学パラメータを、上記した光線追跡シミュレーション装置に入力してシミュレーションを行うことにより、これらの各種光学パラメータが最適なものであるかどうかを検証することができる。従って、最適な光学パラメータを極めて短時間で得ることができる。また、設計者の経験と勘に過度に頼ることもない。このため、本発明の照明光学系の設計方法によれば、照明光学系を構成するのに必要な各種光学パラメータを得るのにかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0043】
また、実施形態1に係る照明光学系の設計方法によれば、近軸条件式を用いているため、平行化レンズが凸レンズの場合であっても凹レンズの場合であっても同様に各種光学パラメータを決定することができる。
この場合、式(7)においては、平行化レンズが凸レンズである場合には、f3は正の値とする。一方、平行化レンズが凹レンズである場合には、f3は負の値とする。
なお、上記した式(1)〜式(7)を満たすように光学パラメータを決定する工程は、必ずしもこの順番で行う必要はない。
【0044】
実施形態1に係る照明光学系の設計方法においては、計算式を簡単にするために、重畳レンズ170及びフィールドレンズ300の2個のレンズの機能を1個のコンデンサレンズ180に集約しているが、ここで、コンデンサレンズ180を重畳レンズ170とフィールドレンズ300の2個のレンズに戻して、さらに以下の計算を行う。
【0045】
まず、図4に示されるように、製品の仕様、液晶パネルの特性などを考慮して、前記重畳レンズと前記フィールドレンズとの距離d2と、前記フィールドレンズと前記照明領域との距離d3とを予め前提条件として定めておく。
次に、下記の式(9)〜(11)の条件を満たすように、重畳レンズの焦点距離f6、フィールドレンズの焦点距離f7、前記第2のレンズアレイと前記重畳レンズとの距離d1を決定する。
【0046】
【数8】
【0047】
このような方法とすることにより、前記照明光学系がコンデンサレンズに代えて重畳レンズとフィールドレンズとを含む照明光学系である場合に、この照明光学系を構成するのに必要な光学パラメータを短時間で算出することができる。
【0048】
なお、上記した式(1)〜式(7)の導入は以下のようにして行った。
式(1)は、第1及び第2のレンズアレイへ150,160の最大照射許容角度αを決定する式である。図5は、式(1)の算出方法を説明するための図である。図5に示されるように、第1及び第2のレンズアレイへ150,160の最大照射許容角度をαとし、テレセントリック照明光を照明領域Aに照射する際の最大照射角度をβとし、第1及び第2のレンズアレイ150,160の間隔(すわなち、小レンズの焦点距離)をf4とし、第2のレンズアレイ160からコンデンサレンズまでの距離及びコンデンサレンズから照明領域Aまでの距離(すなわち、コンデンサレンズの焦点距離)をf5とし、コンデンサレンズの直径をs2とする。
すると、図5より、「tanβ=s2/(2・f5)」、及び「tanα=D1’/(2・f4)」の関係式が導かれる。これに、「D2/D1=f5/f4」、及び「s2=n・D1’」を代入すると、上記した式(1)が得られる。
【0049】
式(2)は、平行化レンズの焦点距離f3を決定する式である。図6は、式(2)の算出方法を説明するための図である。図6に示されるように、楕円面リフレクタ120の半径をs1、第2焦点距離をf2、第1焦点距離をf1、第1焦点位置からリフレクタの半径位置までの光軸上の長さをdlとし、平行化レンズ130の直径をs3とし、楕円面リフレクタ120の外周部で反射された光束と光軸とのなす角度をθ1とする。
すると、図6より、「tanθ1=s1/(f2−f1−dl」、及び「s3/2=f3・tanθ1」の関係式が導かれる。これに、「s3=n・D1」を代入すると、上記した式(2)が得られる。
【0050】
式(3)は、アーク長による最大照明角度α’を決定する式である。図7は、式(3)の算出方法を説明するための図である。図7に示されるように、ランプ110のアークのアーク長をLLとし、このアークの楕円面リフレクタ120による光学像の長さをLL’とし、この光学像の平行化レンズ130による光学像が現れる近縁端P1から平行化レンズ130までの距離をL1とすると、このL1から平行化レンズ130の焦点距離f3を引いた長さをLL”/2とする。
すると、図7及びニュートンの式より、「tanα’=s3/(2・(f3+LL”/2)=s3/(2・(f3+2・f3 2/LL’))」の関係式が導かれる。これに、アークとリフレクタの倍率より「LL’=(f2/f1)2・LL」を代入すると、上記した式(3)が得られる。
【0051】
式(4)は、アーク径による最大照明角度α”を決定する式である。図8は、式(4)の算出方法を説明するための図である。図8に示されるように、ランプ110のアーク径をLDとし、このアークの楕円面リフレクタ120による光学像の径をLD’とする。
すると、図8及びニュートンの式より、「LD’=m・LD=(f2/f1)・LD」の関係式が導かれる。これを解くと、上記した式(4)が得られる。なお、mはレンズ(楕円リフレクタ)の倍率である。
【0052】
式(5)は、第1及び第2のレンズアレイ150,160の焦点距離f4を決定する式である。図9は、式(5)の算出方法を説明するための図である。図8に示されるように、第1及び第2のレンズアレイ150,160の焦点距離をf4とする。
すると、図9より、「tanα=D1’/(2・f4)」の関係式が導かれる。これに上記した式(1)を代入すると、上記した式(5)が得られる。
【0053】
式(6)はコンデンサレンズの焦点距離f5を決定する式である。コンデンサレンズの焦点距離をf5とすると、「D2=m・D1=(f5/f4)D1」であるから、これを変形すると、式(6)が得られる。
【0054】
式(7)は照明光学系100の全長Sを決定する式である。図3に示されるように、照明光学系100の全長Sは、f2+f3+f4+2f5で表される。
【0055】
また、上記した式(9)〜式(11)の導入は以下のようにして行った。
式(9)は重畳レンズの焦点距離f6を決定する式であり、式(10)はフィールドレンズの焦点距離f7を決定する式であり、式(11)は第2のレンズアレイと重畳レンズとの距離d1を決定する式である。ここで、重畳レンズの焦点距離f6の逆数であるパワーをP6とし、フィールドレンズの焦点距離f7の逆数であるパワーをP7とし、さきのコンデンサレンズの焦点距離f5の逆数であるパワーをP5とする。
すると、図4などから、「P6=(1−d3P5)/d2」であるから、これを変形すると、上記した式(9)が得られる。
また、「P5=P6+P7−d2P6P7」であるから、これを変形すると、式(10)が得られる。
また、「d1=(1−(d2/f7))f5」であるから、これを変形すると、式(11)が得られる。
【0056】
(実施形態2)
図10は、実施形態2に係るプロジェクタの光学系を示す図であり、上記した従来の技術欄で説明した光学系と同じものである。
図10に示されるように、このプロジェクタ10Aは、実施形態1に係るプロジェクタ10とほぼ同じ光学系を備えている。このプロジェクタ10Aが実施形態1に係るプロジェクタ10と異なるのは照明装置の構成である。すなわち、実施形態1に係るプロジェクタ10が楕円面リフレクタ100を備えているの対して実施形態2に係るプロジェクタ10Aは放物面リフレクタ100Aを備えている。
【0057】
図11は、プロジェクタ10Aの照明光学系100Aを説明するための図である。図10及び図11に示されるように、照明光学系100Aは、ランプ110と、このランプからの放射光を射出開口部から射出させる放物面リフレクタ120Aと、この放物面リフレクタ120Aから射出した略平行光を液晶パネル300R,320G,320Bの照射領域(有効領域)Aに均一に照射するための第1及び第2の2つのレンズアレイ150,160と、重畳レンズ170とを有しており、照明領域である液晶パネル320R,320G,320Bの照明領域Aにテレセントリック照明光をほぼ均一に照明することのできるインテグレータ光学系である。
【0058】
図12は、実施形態2に係る照明光学系の設計方法を説明するための図である。図12に示されるように、本発明の実施形態2に係る照明光学系の設計方法を実施するにあたっては、実施形態1の場合と同様に、計算式を簡単にするために、重畳レンズ170及びフィールドレンズ300の2個のレンズの機能を1個のコンデンサレンズ180に集約することとする。そして、近軸理論に基づいて、第1及び第2のレンズアレイ150,160及びコンデンサレンズ180から、曲率半径や屈折率などの光学パラメータを捨象して、これらの光学要素を焦点距離とレンズ径で表現する。
【0059】
そして、実施形態1の場合と同様に、液晶パネル320R,320G,320Bに照射される照明光束の幅D2(照明領域Aの幅D2)及びこの照明領域に照射される照明光束の最大照射角度βを、製品の仕様、液晶パネルの特性などを考慮して、予め前提条件として定め、次に、第1のレンズアレイ150を構成する第1の小レンズの幅D1及び第2のレンズアレイ160を構成する第2の小レンズの幅D1’及びびこれらレンズアレイ150,160の幅方向における小レンズの個数n(図3ではn=4)を決定する。
【0060】
次に、下記の式(1)、式(3’)、式(4’)、式(5)、式(6)及び式(8)の条件を満たすように、第1及び第2のレンズアレイへの最大照射許容角度α、放物面リフレクタからの略平行光の最大照明角度「α’+α”」(但し、α’はアーク長による最大照明角度であり、α”はアーク径による最大照明角度である。)、第1及び第2の小レンズの焦点距離f4、コンデンサレンズ180の焦点距離f5、照明光学系の全長Sなどの光学パラメータを決定する。このようにして、照明光学系の具体的な構成を決定する。
【0061】
【数9】
S=f8+dl’+f4+2f5 ・・・ (8)
【0062】
このため、実施形態2に係る照明光学系の設計方法によれば、実施形態1に係る照明装置の設計方法の場合と同様に、前記第1及び第2のレンズアレイを構成する第1及び第2の小レンズの幅D1,D1’と、前記第1のレンズアレイの幅方向に配列される第1の小レンズの個数n(及び第2の小レンズの個数n)を決定した後は、照明光学系の設計に必要な各種光学パラメータが自動的に算出される。そして、この自動的に算出された各種光学パラメータを、上記した光線追跡シミュレーション装置に入力してシミュレーションを行うことにより、これらの各種光学パラメータが最適なものであるかどうかを検証することができる。従って、最適な光学パラメータを極めて短時間で得ることができる。また、設計者の経験と勘に過度に頼ることもない。このため、本発明の照明光学系の設計方法によれば、照明光学系を構成するのに必要な各種光学パラメータを得るのにかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0063】
なお、上記した式(1)、式(3’)、式(4’)、式(5)、式(6)及び式(8)を満たすように光学パラメータを決定する工程は、必ずしもこの順番で行う必要はない。
【0064】
実施形態2に係る照明光学系の設計方法においては、計算式を簡単にするために、重畳レンズ170及びフィールドレンズ300の2個のレンズの機能を1個のコンデンサレンズ180に集約しているが、ここで、コンデンサレンズ180を重畳レンズ170とフィールドレンズ300の2個のレンズに戻して、さらに上記した実施形態1の場合と同様の計算を行って、重畳レンズの焦点距離f6、フィールドレンズの焦点距離f7、前記第2のレンズアレイと前記重畳レンズとの距離d1を決定する。
【0065】
このような方法とすることにより、前記照明光学系がコンデンサレンズに代えて重畳レンズとフィールドレンズとを含む照明光学系である場合に、この照明光学系を構成するのに必要な光学パラメータを短時間で算出することができる。
【0066】
なお、上記した式(3’)及び式(4’)の導入は以下のようにして行った。式(3’)は、アーク長による最大照明角度α’を決定する式である。図13は、式(3’)の算出方法を説明するための図である。図13に示されるように、ランプ110のアークのアーク長をLLとし、このアークの放物面リフレクタ120Aによる光学像が現れる近縁端P2から放物面リフレクタ120Aまでの距離をL2とすると、このL2から放物面リフレクタ120Aの焦点距離f8を引いた長さをLL’/2とする。
すると、図13及びニュートンの式(xx’=−(f’)2)より、上記した式(3’)が得られる。なお、ニュートンの式におけるfはレンズ(放物面リフレクタ)の焦点距離、xはレンズ(放物面リフレクタ)から物体までの距離、x’はレンズ(放物面リフレクタ)から像までの距離を示す。
【0067】
式(4’)は、アーク径による最大照明角度α”を決定する式である。図14は、式(4’)の算出方法を説明するための図である。図14に示されるように、ランプ110のアーク径をLDとする。
すると、図14より、上記した式(4)が得られる。
【0068】
上記した各実施形態に係る照明光学系の設計方法においては、前記照明光学系が偏光変換プリズムをさらに含む照明光学系である場合には、第1のレンズアレイを構成する第1の小レンズ及び第2のレンズアレイを構成する第2の小レンズのパワーを合成した光学系の後側焦点位置近傍に偏光変換プリズムの偏光分離面を配置するものとすることができる。
このような方法とすることにより、偏光変換素子を含むプロジェクタにおいても、本発明の設計方法を適用することができるようになる。
【0069】
また、上記した各実施形態に係る照明光学系の設計方法においては、各実施形態の方法によって各種光学パラメータを決定した後に、得られた各種光学パラメータの少なくとも一の光学パラメータを修正することもできる。
このような方法とすることにより、近軸条件式を用いて決定された各種光学パラメータを用いて光学シミュレーションを行い、その結果に基づいて各種光学パラメータを適宜修正することができるので、さらに最適化された照明光学系を設計することができる。また、何らかの理由(例えば、光学レイアウト上の制約)により各種光学パラメータの一部を変更せざるを得ない場合にも、その制約の範囲内で各種光学パラメータを適宜修正することができるので、さらに実用的な照明光学系を設計することができる。
【0070】
以上説明したように、本発明の照明光学系の設計方法によれば、前記第1及び第2の2つのレンズアレイの幅D1と、前記レンズアレイの幅方向に配列されるレンズアレイの個数nを決定した後は、照明光学系の設計に必要な各種光学パラメータが自動的に算出される。そして、この自動的に算出された各種光学パラメータを、上記した光線追跡シミュレーション装置に入力することにより、これらの各種光学パラメータが最適なものであるかどうかを検証することができる。このため、本発明の照明光学系の設計方法によれば、照明光学系を構成するのに必要な各種光学パラメータを得るのにかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0071】
また、本発明のプロジェクタは、照明光学系の設計にかかる時間と費用を削減できるため、低コスト化、短納期化が容易なプロジェクタとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るプロジェクタの光学系を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るプロジェクタの照明光学系を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るプロジェクタの照明光学系を近軸理論を用いて説明するための図である。
【図4】図3のコンデンサレンズを重畳レンズとフィールドレンズに代えた場合の照明光学系を近軸理論を用いて説明するための図である。
【図5】式(1)の算出方法を説明するための図である。
【図6】式(2)の算出方法を説明するための図である。
【図7】式(3)の算出方法を説明するための図である。
【図8】式(4)の算出方法を説明するための図である。
【図9】式(5)の算出方法を説明するための図である。
【図10】本発明の実施形態2に係るプロジェクタの光学系を示す図である。
【図11】本発明の実施形態2に係るプロジェクタの照明光学系を説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態2に係るプロジェクタの照明光学系を近軸理論を用いて説明するための図である。
【図13】式(3’)の算出方法を説明するための図である。
【図14】式(4’)の算出方法を説明するための図である。
【符号の説明】
10,10A プロジェクタ、100,100A 照明光学系、110 光源、120 楕円面リフレクタ、120A 放物面リフレクタ、150 第1のレンズアレイ、160 第2のレンズアレイ、170 重畳レンズ、180 コンデンサレンズ、200 色分離光学系、300 リレー光学系、300R,300G,266,300 フィールドレンズ、320R,320G,320B 液晶パネル、400 ダイクロイックプリズム、420 投写レンズ、A 照明領域
Claims (8)
- ランプと、このランプからの放射光を射出開口部から射出させる楕円面リフレクタと、この楕円面リフレクタから射出した光を平行化する平行化レンズと、この平行化レンズにより平行化された光を幅D2の照射領域に均一に照射するためのインテグレータ光学系であって第1のレンズアレイ、第2のレンズアレイ及びコンデンサレンズを含むインテグレータ光学系とを備え、前記照明領域にテレセントリック照明光を最大照射角度βで照射する照明光学系の光学パラメータを決定する照明光学系の設計方法において、
前記第1のレンズアレイを構成する第1の小レンズの幅D1と、前記第2のレンズアレイを構成する第2の小レンズの幅D1’と、前記第1のレンズアレイの幅方向に配列される第1の小レンズの個数nを決定する第1の工程と、
下記の式(1)の条件を満たすように第1及び第2のレンズアレイへの最大照射許容角度αを決定する工程と、下記の式(2)の条件を満たすように平行化レンズの焦点距離f3を決定する工程と、下記の式(3)の条件を満たすようにアーク長による最大照明角度α’を決定する工程と、下記の式(4)の条件を満たすようにアーク径による最大照明角度α”を決定する工程と、下記の式(5)の条件を満たすように前記第1及び第2の小レンズの焦点距離f4を決定する工程と、下記の式(6)の条件を満たすように前記コンデンサレンズの焦点距離f5を決定する工程とを含む第2の工程と、をこの順序で含むことを特徴とする照明光学系の設計方法。
- 請求項1に記載の照明光学系の設計方法において、前記第2の工程は、下記の式(7)の条件を満たすように前記照明光学系の全長Sを決定する工程をさらに含むことを特徴とする照明光学系の設計方法。
S=f2+f3+f4+2f5 ・・・ (7) - ランプと、このランプからの放射光を射出開口部から射出させる放物面リフレクタと、この放物面リフレクタから射出した光を幅D2の照射領域に均一に照射するためのインテグレータ光学系であって第1のレンズアレイ、第2のレンズアレイ及びコンデンサレンズを含むインテグレータ光学系とを備え、前記照明領域にテレセントリック照明光を最大照射角度βで照射する照明光学系の光学パラメータを決定する照明光学系の設計方法において、
前記第1のレンズアレイの幅D1と、前記第2のレンズアレイの幅D1’と、前記第1レンズアレイの幅方向に配列される第1のレンズアレイの個数nを決定する第1の工程と、
下記の式(1)の条件を満たすように第1及び第2のレンズアレイへの最大照射許容角度αを決定する工程と、下記の式(3’)の条件を満たすようにアーク長による最大照明角度α’を決定する工程と、下記の式(4’)の条件を満たすようにアーク径による最大照明角度α”を決定する工程と、下記の式(5)の条件を満たすように前記第1及び第2のレンズアレイの焦点距離f4を決定する工程と、下記の式(6)の条件を満たすように前記コンデンサレンズの焦点距離f5を決定する工程とを含む第2の工程と、をこの順序で含むことを特徴とする照明光学系の設計方法。
- 請求項3に記載の照明光学系の設計方法において、前記第2の工程は、下記の式(8)の条件を満たすように前記照明光学系の全長Sを決定する工程をさらに含むことを特徴とする照明光学系の設計方法。
S=f8+dl’+f4+2f5 ・・・ (8)
(但し、dl’は放物面リフレクタの焦点位置から光軸上における放物面リフレクタの半径位置までの長さである。) - 請求項1又は3に記載の照明光学系の設計方法において、前記照明光学系がコンデンサレンズに代えて重畳レンズとフィールドレンズとを含む照明光学系であって、
前記重畳レンズと前記フィールドレンズとの距離d2と、前記フィールドレンズと前記照明領域との距離d3とを決定する第3の工程と、
下記の式(9)の条件を満たすように重畳レンズの焦点距離f6を決定する工程と、下記の式(10)の条件を満たすようにフィールドレンズの焦点距離f7を決定する工程と、下記の式(11)の条件を満たすように前記第2のレンズアレイと前記重畳レンズとの距離d1を決定する工程とを含む第4の工程と、をさらに含むことを特徴とする照明光学系の設計方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の照明光学系の設計方法において、前記照明光学系は偏光変換プリズムをさらに含む照明光学系であって、
第1のレンズアレイを構成する第1の小レンズ及び第2のレンズアレイを構成する第2の小レンズのパワーを合成した光学系の後側焦点位置近傍に偏光変換プリズムの偏光分離面を配置することを特徴とする照明光学系の設計方法。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の照明光学系の設計方法において、これらの照明光学系の設計方法によって各種光学パラメータを決定する工程と、これらの各種光学パラメータの少なくとも一の光学パラメータを修正する工程と、をこの順序で含むことを特徴とする照明光学系の設計方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の照明光学系の設計方法によって設計された照明光学系と、この照明光学系からの射出光を変調するための電気光学変調装置と、この電気光学変調装置により変調された画像光を投写するための投写レンズと、を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003072366A JP2004279820A (ja) | 2003-03-17 | 2003-03-17 | 照明光学系の設計方法及びプロジェクタ |
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JP2003072366A JP2004279820A (ja) | 2003-03-17 | 2003-03-17 | 照明光学系の設計方法及びプロジェクタ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103744179A (zh) * | 2013-11-18 | 2014-04-23 | 四川星烁光电科技有限公司 | 微投影系统led聚光镜的设计方法 |
CN109239914A (zh) * | 2018-09-12 | 2019-01-18 | 南京大学 | 一种实现高空间带宽积的成像方法 |
-
2003
- 2003-03-17 JP JP2003072366A patent/JP2004279820A/ja not_active Withdrawn
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