JP2004279588A - 光学素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、光集積回路、電子複写機の光学系等で用いられる光学素子及び光学素子の製造方法に関し、設計の自由度が高く、小型・高性能な光学素子及び光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ガラス基板2上に、ガラス基板2の屈折率と異なる屈折率を有する屈折率制御膜3を形成する。次いで、屈折率制御膜3上に塗布したレジスト層をパターニングして樹脂層4を形成し、樹脂層4を熱処理して外表面が曲面状の樹脂層5を形成する。樹脂層5をマスクに屈折率制御膜3をドライエッチングして外表面が曲面状のマイクロレンズ6が配列されたマイクロレンズアレイ1を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】ガラス基板2上に、ガラス基板2の屈折率と異なる屈折率を有する屈折率制御膜3を形成する。次いで、屈折率制御膜3上に塗布したレジスト層をパターニングして樹脂層4を形成し、樹脂層4を熱処理して外表面が曲面状の樹脂層5を形成する。樹脂層5をマスクに屈折率制御膜3をドライエッチングして外表面が曲面状のマイクロレンズ6が配列されたマイクロレンズアレイ1を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光集積回路、電子複写機の光学系等で用いられる光学素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス基板上にフォトリソグラフィ法等で形成された、光を集光又は拡散する微小なレンズが規則的に配列している光学素子(以下、マイクロレンズアレイという)が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
図5は、従来のマイクロレンズアレイ15の製造方法を示している。まず、ガラス基板16上にスピンコート法を用いてフォトレジストを塗布して全面にフォトレジスト層を形成する。次いで、フォトリソグラフィ法を用いて当該フォトレジスト層をパターニングし、図5(a)に示すように、複数の柱状の樹脂層17を形成する。
【0004】
次に、ガラス基板16をホットプレート上に載置して熱処理し、図5(b)に示すように、ガラス基板16上の各樹脂層17を流動させてそれぞれレンズ形状(半球状)の樹脂層18を形成する。
【0005】
次に、樹脂層18をエッチングマスクとして用いてRIE(反応性イオンエッチング)等の異方性エッチングによりガラス基板16をエッチングする。このエッチングの際、エッチングマスクの樹脂層18も周辺部から徐々にエッチング除去され、これにより図5(c)に示すように、ガラス基板16上部にはエッチング前の樹脂層18の3次元形状と同様の半球状のマイクロレンズ19が形成される。
【0006】
【特許文献1】
特開平07−174903号公報
【特許文献2】
特開2002−80242号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示す従来方法で製造したマイクロレンズアレイ15では、マイクロレンズ19及びガラス基板16は同一の屈折率を有している。また、図5(b)に示す熱処理後の樹脂層18の3次元形状は、樹脂層18の形成材料の粘性や表面張力、及びガラス基板16との濡れ性等の熱処理温度に依存して変化する樹脂材料固有の特性で一義的に決まってしまう。このため、図5に示す従来のマイクロレンズ製造方法では、マイクロレンズ19の設計の自由度は大幅に制限されてしまう。例えば、上記方法ではマイクロレンズ19は概ね半球状に形成されるので、収差の少ない非球面レンズを有するマイクロレンズアレイ16を製造するのは極めて困難であるという問題を有している。
【0008】
本発明の目的は、設計の自由度が高く、小型・高性能な光学素子及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、光学材料からなる基板と、前記基板上に外表面が曲面状に形成され、前記基板の屈折率と異なる屈折率を有する光学薄膜とを有することを特徴とする光学素子によって達成される。
【0010】
本発明の光学素子において、前記光学薄膜の外表面は前記基板面に対して凸に形成されていることを特徴とする。あるいは、前記光学薄膜の外表面の一部が前記基板面に対して凹に形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の光学素子において、前記光学薄膜の屈折率は、膜厚方向に連続的に変化していることを特徴とする。あるいは、前記光学薄膜の屈折率は、膜厚方向にステップ状に変化していることを特徴とする。
【0012】
本発明の光学素子において、前記基板と前記光学薄膜との間に誘電体多層膜をさらに有していることを特徴とする。
【0013】
上記目的は、光学材料からなる基板上に光学薄膜を形成し、前記光学薄膜をドライエッチングして外表面を曲面状に形成することを特徴とする光学素子の製造方法によって達成される。
【0014】
本発明の光学素子において、前記光学薄膜の屈折率を前記基板の屈折率と異ならせることを特徴とする。前記光学薄膜の屈折率は、膜厚方向に連続的に変化させることを特徴とする。あるいは、前記光学薄膜の屈折率は、膜厚方向にステップ状に変化させることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態による光学素子及びその製造方法について図1乃至図4を用いて説明する。まず、本実施の形態による光学素子の製造方法について図1を用いて説明する。以下、光学素子として微小なレンズが規則的にマトリクス状に配列されたマイクロレンズアレイ1を例にとって説明する。
【0016】
まず、図1(a)に示すように、光学研磨された3インチの表面を有し屈折率が例えば1.46の光学材料からなる基板(ガラス基板)2上に、プラズマCVD装置を用いて、Ge(ゲルマニウム)がドープされた厚さ3μmの光学薄膜であるGeドープガラス薄膜(屈折率制御膜)3を成膜する。屈折率制御膜3は、ガラス基板2とは異なる屈折率を有している。
【0017】
次に、屈折率制御膜3上にスピンコート法を用いてフォトレジストを塗布して厚さ1.5μmのフォトレジスト層を形成する。次いで、フォトリソグラフィ法を用いて当該フォトレジスト層をパターニングし、図1(b)に示すように、直径5μm〜20μmの柱状の樹脂層4を形成する。
【0018】
次に、屈折率制御膜3及び樹脂層4が積層されたガラス基板2をホットプレート上に載置して150℃、5分間の加熱処理を施し、図1(c)に示すように、各樹脂層4を流動させてそれぞれ外表面が曲面状(例えばレンズ形状のような半球状等)の樹脂層5を形成する。
【0019】
次に、樹脂層5をエッチングマスクとして用いてRIE(反応性イオンエッチング)等の異方性エッチングにより屈折率制御膜3をエッチングする。このエッチングの際、エッチングマスクの樹脂層5も周辺部から徐々にエッチング除去され、これにより図1(d)に示すように、ガラス基板2上部にはエッチング前の樹脂層5の3次元形状と同様の外表面が曲面状のマイクロレンズ6が形成される。このように本実施の形態によれば、ガラス基板2上にガラス基板2とは異なる屈折率のマイクロレンズ6が形成されたマイクロレンズアレイ1を形成することができる。
【0020】
ところで、スパッタ法やCVD法、あるいは蒸着法で屈折率制御膜3を成膜する際には、原料ガス濃度、圧力、高周波出力等の成膜条件を調整することで薄膜の屈折率を容易に且つ正確に制御することができる。従って、成膜中にGeドープ量を適宜変化させて屈折率制御膜3を形成すれば任意の屈折率分布を有するマイクロレンズ6を備えたマイクロレンズアレイ1を製造することができる。マイクロレンズ6の開口数(NA)はマイクロレンズ6の形成材料の屈折率に依存する。例えば、Geドープ量を変えてマイクロレンズ6の屈折率をそれぞれ1.46、1.50、1.54とすると、開口数がそれぞれ0.41、0.45、0.49となるマイクロレンズ6を備えたマイクロレンズアレイ1を再現性よく作製することができる。
【0021】
このように本実施の形態による光学素子及びその製造方法によれば、ガラス基板2上に成膜する屈折率制御膜3の屈折率を制御するだけで、特性の異なるマイクロレンズアレイ1を容易に且つ再現性良く作製することができる。このように、マイクロレンズを形成する基板上にあらかじめ正確に屈折率を制御した膜を形成することにより、レンズ設計の自由度を向上することができる。
【0022】
以下、実施例を用いてより具体的に説明する。
[実施例1]
図2は本実施例によるマイクロレンズアレイ7及びその製造方法を示している。本実施例のマイクロレンズアレイ7は屈折率制御膜8内の屈折率が膜厚方向に連続的に変化している点に特徴を有している。本実施例において図1に示したマイクロレンズアレイ1と同一の作用機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0023】
まず、図2(a)に示すように、光学研磨された直径3インチのガラス基板2上にプラズマCVD装置を用いて厚さ5μmの屈折率制御膜8を成膜する過程で、Ge原料とSi(シリコン)原料のドープ量の比を連続的に変化させる。こうすることにより、屈折率制御膜8の屈折率をGe原料とSi原料のドープ量比にほぼ比例させて変化させることができる。したがって、屈折率制御膜8の成膜中に各ドーパント量の比率を連続的に変化させて、屈折率制御膜8の屈折率を膜厚方向に連続的に変化させることが可能となる。これにより、屈折率制御膜8のガラス基板2との界面側の屈折率を例えば1.46にして、成膜終了時の屈折率制御膜8外表面側の屈折率を例えば1.54にすることができる。
【0024】
ガラス基板2上に屈折率制御膜8を成膜した後、図2(b)〜(d)の工程を経ることにより、屈折率が膜厚方向に連続的に変化したマイクロレンズ9をガラス基板2上に複数配列したマイクロレンズアレイ7が完成する。なお、図2(b)〜(d)の製造工程は図1(b)〜(d)の製造工程と実質的に同一なのでその説明は省略する。作製されたマイクロレンズ9の開口数は例えば0.44となり、Geドープ量を変化させない図1に示したマイクロレンズ1の開口数0.41、0.45、0.49とは異ならせることができる。
【0025】
また、マイクロレンズアレイ7に形成されたマイクロレンズ9は、屈折率が膜厚方向に連続的に変化しているため、例えば半球面形状でありながら非球面レンズとしての機能を発揮することができる。従って、本実施例によれば収差の少ないマイクロレンズアレイ7を実現できる。
【0026】
[実施例2]
図3は本実施例によるマイクロレンズアレイ10及びその製造方法を示している。本実施例のマイクロレンズアレイ10は屈折率制御膜11内で屈折率の異なる薄膜が順次積層されている点に特徴を有している。本実施例において図1に示したマイクロレンズアレイ1と同一の作用機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0027】
まず、図3(a)に示すように、光学研磨された直径3インチのガラス基板2上にプラズマCVD装置を用いて厚さ20μmの屈折率制御膜11を成膜する過程で、Ge原料とSi原料のドープ量の比を一定時間毎に変化させる。こうすることにより、屈折率が厚さ方向にステップ状に変化した屈折率制御膜11を形成することができる。例えば、2種類のドーパントを異なるドープ量比で所定の時間間隔で交互に繰り返して供給することにより、屈折率の異なる層を所定の膜厚で交互に積層した屈折率制御膜11を形成することもできる。
【0028】
ガラス基板2上に屈折率制御膜11を成膜した後、図3(b)〜(d)の工程を経ることにより、屈折率が膜厚方向にステップ状に変化したマイクロレンズ12をガラス基板2上に複数配列したマイクロレンズアレイ10が完成する。なお、図3(b)〜(d)の製造工程は図1(b)〜(d)の製造工程と実質的に同一なのでその説明は省略する。
【0029】
マイクロレンズアレイ10に形成されたマイクロレンズ12は、屈折率の異なる薄膜が所定膜厚で積層されているので、集光作用だけでなく、所定波長だけを透過させる波長選択フィルタとして機能させることもできる。
【0030】
[実施例3]
図4は本実施例によるマイクロレンズアレイ13及びその製造方法を示している。本実施例のマイクロレンズアレイ13は、ガラス基板2と屈折率制御膜3との間に光フィル多機能を有する誘電体多層膜14が成膜されている点に特徴を有している。本実施例において図1に示したマイクロレンズアレイ1と同一の作用機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0031】
まず、図4(a)に示すように、光学研磨された直径3インチのガラス基板2上に誘電体多層膜14を蒸着する。次に、プラズマCVD装置を用いて、図4(b)に示すように、誘電体多層膜14上に厚さ5μmの屈折率制御膜3を成膜する。誘電体多層膜14上に屈折率制御膜3を成膜した後、図4(c)〜(e)の工程を経ることにより、屈折率がガラス基板2と異なるマイクロレンズ6を誘電体多層膜14上に複数配列したマイクロレンズアレイ13が完成する。なお、図4(c)〜(e)の製造工程は図1(b)〜(d)の製造工程と実質的に同一なのでその説明は省略する。
【0032】
本実施例によるマイクロレンズアレイ13は誘電体多層膜14上にマイクロレンズ6が形成されている。誘電体多層膜14は波長選択フィルタとして機能しマイクロレンズ6は集光素子として機能する。従って、本実施例のマイクロレンズアレイ13は光フィルタ機能付集光素子として用いることが可能である。
【0033】
このように本実施の形態によれば、集光性に優れたマイクロレンズ及びその製造方法を実現でき、特に、光集積回路、光ファイバアレイの光結合器、固体撮像素子、電子複写機の光学系、液晶表示装置等に用いられる微小なマイクロレンズが規則的に配列されたマイクロレンズアレイに好適である。
【0034】
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、実施例3のマイクロレンズアレイ13では屈折率が膜厚方向に一定の屈折率制御膜3を用いたが、本発明はこれに限られない。例えば、屈折率が膜厚方向に連続的あるいはステップ状に変化する屈折率制御膜8や屈折率制御膜11を用いても収差の小さい光フィルタ機能付マイクロレンズアレイを実現することができる。
【0035】
また、上記実施の形態では、マイクロレンズ6、9、12の外表面はガラス基板2面に対して凸の曲面状に形成しているが、本発明はこれに限られない。ガラス基板2面に対して屈折率制御膜の一部が凹の曲面状のマイクロレンズ6、9、12を型を使うなどして形成して、ガラス基板2からマイクロレンズ6、9、12を透過した光が発散光線束となるようにしてももちろんよい。
【0036】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、設計の自由度が高く、小型・高性能な光学素子及びその製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による光学素子及びその製造方法を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態における実施例1による光学素子及びその製造方法を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態における実施例2による光学素子及びその製造方法を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態における実施例3による光学素子及びその製造方法を示す図である。
【図5】従来の光学素子の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
1、7、10、13、15 マイクロレンズアレイ
2、16 ガラス基板
3、8、11 屈折率制御膜
4、17 樹脂層
5、18 樹脂パターン
6、9、12、19 マイクロレンズ
14 誘電体多層膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、光集積回路、電子複写機の光学系等で用いられる光学素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス基板上にフォトリソグラフィ法等で形成された、光を集光又は拡散する微小なレンズが規則的に配列している光学素子(以下、マイクロレンズアレイという)が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
図5は、従来のマイクロレンズアレイ15の製造方法を示している。まず、ガラス基板16上にスピンコート法を用いてフォトレジストを塗布して全面にフォトレジスト層を形成する。次いで、フォトリソグラフィ法を用いて当該フォトレジスト層をパターニングし、図5(a)に示すように、複数の柱状の樹脂層17を形成する。
【0004】
次に、ガラス基板16をホットプレート上に載置して熱処理し、図5(b)に示すように、ガラス基板16上の各樹脂層17を流動させてそれぞれレンズ形状(半球状)の樹脂層18を形成する。
【0005】
次に、樹脂層18をエッチングマスクとして用いてRIE(反応性イオンエッチング)等の異方性エッチングによりガラス基板16をエッチングする。このエッチングの際、エッチングマスクの樹脂層18も周辺部から徐々にエッチング除去され、これにより図5(c)に示すように、ガラス基板16上部にはエッチング前の樹脂層18の3次元形状と同様の半球状のマイクロレンズ19が形成される。
【0006】
【特許文献1】
特開平07−174903号公報
【特許文献2】
特開2002−80242号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示す従来方法で製造したマイクロレンズアレイ15では、マイクロレンズ19及びガラス基板16は同一の屈折率を有している。また、図5(b)に示す熱処理後の樹脂層18の3次元形状は、樹脂層18の形成材料の粘性や表面張力、及びガラス基板16との濡れ性等の熱処理温度に依存して変化する樹脂材料固有の特性で一義的に決まってしまう。このため、図5に示す従来のマイクロレンズ製造方法では、マイクロレンズ19の設計の自由度は大幅に制限されてしまう。例えば、上記方法ではマイクロレンズ19は概ね半球状に形成されるので、収差の少ない非球面レンズを有するマイクロレンズアレイ16を製造するのは極めて困難であるという問題を有している。
【0008】
本発明の目的は、設計の自由度が高く、小型・高性能な光学素子及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、光学材料からなる基板と、前記基板上に外表面が曲面状に形成され、前記基板の屈折率と異なる屈折率を有する光学薄膜とを有することを特徴とする光学素子によって達成される。
【0010】
本発明の光学素子において、前記光学薄膜の外表面は前記基板面に対して凸に形成されていることを特徴とする。あるいは、前記光学薄膜の外表面の一部が前記基板面に対して凹に形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の光学素子において、前記光学薄膜の屈折率は、膜厚方向に連続的に変化していることを特徴とする。あるいは、前記光学薄膜の屈折率は、膜厚方向にステップ状に変化していることを特徴とする。
【0012】
本発明の光学素子において、前記基板と前記光学薄膜との間に誘電体多層膜をさらに有していることを特徴とする。
【0013】
上記目的は、光学材料からなる基板上に光学薄膜を形成し、前記光学薄膜をドライエッチングして外表面を曲面状に形成することを特徴とする光学素子の製造方法によって達成される。
【0014】
本発明の光学素子において、前記光学薄膜の屈折率を前記基板の屈折率と異ならせることを特徴とする。前記光学薄膜の屈折率は、膜厚方向に連続的に変化させることを特徴とする。あるいは、前記光学薄膜の屈折率は、膜厚方向にステップ状に変化させることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態による光学素子及びその製造方法について図1乃至図4を用いて説明する。まず、本実施の形態による光学素子の製造方法について図1を用いて説明する。以下、光学素子として微小なレンズが規則的にマトリクス状に配列されたマイクロレンズアレイ1を例にとって説明する。
【0016】
まず、図1(a)に示すように、光学研磨された3インチの表面を有し屈折率が例えば1.46の光学材料からなる基板(ガラス基板)2上に、プラズマCVD装置を用いて、Ge(ゲルマニウム)がドープされた厚さ3μmの光学薄膜であるGeドープガラス薄膜(屈折率制御膜)3を成膜する。屈折率制御膜3は、ガラス基板2とは異なる屈折率を有している。
【0017】
次に、屈折率制御膜3上にスピンコート法を用いてフォトレジストを塗布して厚さ1.5μmのフォトレジスト層を形成する。次いで、フォトリソグラフィ法を用いて当該フォトレジスト層をパターニングし、図1(b)に示すように、直径5μm〜20μmの柱状の樹脂層4を形成する。
【0018】
次に、屈折率制御膜3及び樹脂層4が積層されたガラス基板2をホットプレート上に載置して150℃、5分間の加熱処理を施し、図1(c)に示すように、各樹脂層4を流動させてそれぞれ外表面が曲面状(例えばレンズ形状のような半球状等)の樹脂層5を形成する。
【0019】
次に、樹脂層5をエッチングマスクとして用いてRIE(反応性イオンエッチング)等の異方性エッチングにより屈折率制御膜3をエッチングする。このエッチングの際、エッチングマスクの樹脂層5も周辺部から徐々にエッチング除去され、これにより図1(d)に示すように、ガラス基板2上部にはエッチング前の樹脂層5の3次元形状と同様の外表面が曲面状のマイクロレンズ6が形成される。このように本実施の形態によれば、ガラス基板2上にガラス基板2とは異なる屈折率のマイクロレンズ6が形成されたマイクロレンズアレイ1を形成することができる。
【0020】
ところで、スパッタ法やCVD法、あるいは蒸着法で屈折率制御膜3を成膜する際には、原料ガス濃度、圧力、高周波出力等の成膜条件を調整することで薄膜の屈折率を容易に且つ正確に制御することができる。従って、成膜中にGeドープ量を適宜変化させて屈折率制御膜3を形成すれば任意の屈折率分布を有するマイクロレンズ6を備えたマイクロレンズアレイ1を製造することができる。マイクロレンズ6の開口数(NA)はマイクロレンズ6の形成材料の屈折率に依存する。例えば、Geドープ量を変えてマイクロレンズ6の屈折率をそれぞれ1.46、1.50、1.54とすると、開口数がそれぞれ0.41、0.45、0.49となるマイクロレンズ6を備えたマイクロレンズアレイ1を再現性よく作製することができる。
【0021】
このように本実施の形態による光学素子及びその製造方法によれば、ガラス基板2上に成膜する屈折率制御膜3の屈折率を制御するだけで、特性の異なるマイクロレンズアレイ1を容易に且つ再現性良く作製することができる。このように、マイクロレンズを形成する基板上にあらかじめ正確に屈折率を制御した膜を形成することにより、レンズ設計の自由度を向上することができる。
【0022】
以下、実施例を用いてより具体的に説明する。
[実施例1]
図2は本実施例によるマイクロレンズアレイ7及びその製造方法を示している。本実施例のマイクロレンズアレイ7は屈折率制御膜8内の屈折率が膜厚方向に連続的に変化している点に特徴を有している。本実施例において図1に示したマイクロレンズアレイ1と同一の作用機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0023】
まず、図2(a)に示すように、光学研磨された直径3インチのガラス基板2上にプラズマCVD装置を用いて厚さ5μmの屈折率制御膜8を成膜する過程で、Ge原料とSi(シリコン)原料のドープ量の比を連続的に変化させる。こうすることにより、屈折率制御膜8の屈折率をGe原料とSi原料のドープ量比にほぼ比例させて変化させることができる。したがって、屈折率制御膜8の成膜中に各ドーパント量の比率を連続的に変化させて、屈折率制御膜8の屈折率を膜厚方向に連続的に変化させることが可能となる。これにより、屈折率制御膜8のガラス基板2との界面側の屈折率を例えば1.46にして、成膜終了時の屈折率制御膜8外表面側の屈折率を例えば1.54にすることができる。
【0024】
ガラス基板2上に屈折率制御膜8を成膜した後、図2(b)〜(d)の工程を経ることにより、屈折率が膜厚方向に連続的に変化したマイクロレンズ9をガラス基板2上に複数配列したマイクロレンズアレイ7が完成する。なお、図2(b)〜(d)の製造工程は図1(b)〜(d)の製造工程と実質的に同一なのでその説明は省略する。作製されたマイクロレンズ9の開口数は例えば0.44となり、Geドープ量を変化させない図1に示したマイクロレンズ1の開口数0.41、0.45、0.49とは異ならせることができる。
【0025】
また、マイクロレンズアレイ7に形成されたマイクロレンズ9は、屈折率が膜厚方向に連続的に変化しているため、例えば半球面形状でありながら非球面レンズとしての機能を発揮することができる。従って、本実施例によれば収差の少ないマイクロレンズアレイ7を実現できる。
【0026】
[実施例2]
図3は本実施例によるマイクロレンズアレイ10及びその製造方法を示している。本実施例のマイクロレンズアレイ10は屈折率制御膜11内で屈折率の異なる薄膜が順次積層されている点に特徴を有している。本実施例において図1に示したマイクロレンズアレイ1と同一の作用機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0027】
まず、図3(a)に示すように、光学研磨された直径3インチのガラス基板2上にプラズマCVD装置を用いて厚さ20μmの屈折率制御膜11を成膜する過程で、Ge原料とSi原料のドープ量の比を一定時間毎に変化させる。こうすることにより、屈折率が厚さ方向にステップ状に変化した屈折率制御膜11を形成することができる。例えば、2種類のドーパントを異なるドープ量比で所定の時間間隔で交互に繰り返して供給することにより、屈折率の異なる層を所定の膜厚で交互に積層した屈折率制御膜11を形成することもできる。
【0028】
ガラス基板2上に屈折率制御膜11を成膜した後、図3(b)〜(d)の工程を経ることにより、屈折率が膜厚方向にステップ状に変化したマイクロレンズ12をガラス基板2上に複数配列したマイクロレンズアレイ10が完成する。なお、図3(b)〜(d)の製造工程は図1(b)〜(d)の製造工程と実質的に同一なのでその説明は省略する。
【0029】
マイクロレンズアレイ10に形成されたマイクロレンズ12は、屈折率の異なる薄膜が所定膜厚で積層されているので、集光作用だけでなく、所定波長だけを透過させる波長選択フィルタとして機能させることもできる。
【0030】
[実施例3]
図4は本実施例によるマイクロレンズアレイ13及びその製造方法を示している。本実施例のマイクロレンズアレイ13は、ガラス基板2と屈折率制御膜3との間に光フィル多機能を有する誘電体多層膜14が成膜されている点に特徴を有している。本実施例において図1に示したマイクロレンズアレイ1と同一の作用機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0031】
まず、図4(a)に示すように、光学研磨された直径3インチのガラス基板2上に誘電体多層膜14を蒸着する。次に、プラズマCVD装置を用いて、図4(b)に示すように、誘電体多層膜14上に厚さ5μmの屈折率制御膜3を成膜する。誘電体多層膜14上に屈折率制御膜3を成膜した後、図4(c)〜(e)の工程を経ることにより、屈折率がガラス基板2と異なるマイクロレンズ6を誘電体多層膜14上に複数配列したマイクロレンズアレイ13が完成する。なお、図4(c)〜(e)の製造工程は図1(b)〜(d)の製造工程と実質的に同一なのでその説明は省略する。
【0032】
本実施例によるマイクロレンズアレイ13は誘電体多層膜14上にマイクロレンズ6が形成されている。誘電体多層膜14は波長選択フィルタとして機能しマイクロレンズ6は集光素子として機能する。従って、本実施例のマイクロレンズアレイ13は光フィルタ機能付集光素子として用いることが可能である。
【0033】
このように本実施の形態によれば、集光性に優れたマイクロレンズ及びその製造方法を実現でき、特に、光集積回路、光ファイバアレイの光結合器、固体撮像素子、電子複写機の光学系、液晶表示装置等に用いられる微小なマイクロレンズが規則的に配列されたマイクロレンズアレイに好適である。
【0034】
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、実施例3のマイクロレンズアレイ13では屈折率が膜厚方向に一定の屈折率制御膜3を用いたが、本発明はこれに限られない。例えば、屈折率が膜厚方向に連続的あるいはステップ状に変化する屈折率制御膜8や屈折率制御膜11を用いても収差の小さい光フィルタ機能付マイクロレンズアレイを実現することができる。
【0035】
また、上記実施の形態では、マイクロレンズ6、9、12の外表面はガラス基板2面に対して凸の曲面状に形成しているが、本発明はこれに限られない。ガラス基板2面に対して屈折率制御膜の一部が凹の曲面状のマイクロレンズ6、9、12を型を使うなどして形成して、ガラス基板2からマイクロレンズ6、9、12を透過した光が発散光線束となるようにしてももちろんよい。
【0036】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、設計の自由度が高く、小型・高性能な光学素子及びその製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による光学素子及びその製造方法を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態における実施例1による光学素子及びその製造方法を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態における実施例2による光学素子及びその製造方法を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態における実施例3による光学素子及びその製造方法を示す図である。
【図5】従来の光学素子の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
1、7、10、13、15 マイクロレンズアレイ
2、16 ガラス基板
3、8、11 屈折率制御膜
4、17 樹脂層
5、18 樹脂パターン
6、9、12、19 マイクロレンズ
14 誘電体多層膜
Claims (10)
- 光学材料からなる基板と、
前記基板上に外表面が曲面状に形成され、前記基板の屈折率と異なる屈折率を有する光学薄膜と
を有することを特徴とする光学素子。 - 請求項1記載の光学素子において、
前記光学薄膜の外表面は前記基板面に対して凸に形成されていること
を特徴とする光学素子。 - 請求項1記載の光学素子において、
前記光学薄膜の外表面の一部が前記基板面に対して凹に形成されていること
を特徴とする光学素子。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子において、
前記光学薄膜の屈折率は、膜厚方向に連続的に変化していること
を特徴とする光学素子。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子において、
前記光学薄膜の屈折率は、膜厚方向にステップ状に変化していること
を特徴とする光学素子。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学素子において、
前記基板と前記光学薄膜との間に誘電体多層膜をさらに有していること
を特徴とする光学素子。 - 光学材料からなる基板上に光学薄膜を形成し、
前記光学薄膜をドライエッチングして外表面を曲面状に形成すること
を特徴とする光学素子の製造方法。 - 請求項7記載の光学素子の製造方法において、
前記光学薄膜の屈折率を前記基板の屈折率と異ならせること
を特徴とする光学素子の製造方法。 - 請求項8記載の光学素子の製造方法において、
前記光学薄膜の屈折率は、膜厚方向に連続的に変化させること
を特徴とする光学素子の製造方法。 - 請求項8記載の光学素子の製造方法において、
前記光学薄膜の屈折率は、膜厚方向にステップ状に変化させること
を特徴とする光学素子の製造方法。
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JP2003068623A JP2004279588A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 光学素子及びその製造方法 |
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-
2003
- 2003-03-13 JP JP2003068623A patent/JP2004279588A/ja active Pending
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