JP2004279254A - 試料の水蒸気透過速度測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】分析を行う真空室に残留又は漏洩したAr、ガス室に封入され試料を透過したAr、あるいは、試料に含まれていたArの影響を受けることなく試料を透過する水蒸気の透過速度を測定し得る、試料の水蒸気透過速度測定方法を提供する。
【解決手段】試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法であって、質量数1の水素(H)、質量数2の重水素(D)および酸素(O)で構成された質量数19の水分子(HDO)を試料を透過させ、この透過した質量数19の水分子を質量分析装置により検出して、試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する。
【選択図】 なし
【解決手段】試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法であって、質量数1の水素(H)、質量数2の重水素(D)および酸素(O)で構成された質量数19の水分子(HDO)を試料を透過させ、この透過した質量数19の水分子を質量分析装置により検出して、試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂フィルム、コーティング被膜等の試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法に関し、特に有機ELディスプレイ等に用いられる水蒸気バリア性に優れたフィルムの特性測定に用いる、高い感度の水蒸気透過速度測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
樹脂フィルム等の試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法としては、JISK−7126に規定される等圧法や差圧法が従来用いられてきたが、近年、蒸着等の処理により樹脂フィルム自体のバリア性能が向上する中で従来の測定手法ではその測定の限界に到達しつつあった。例えば、差圧法による測定を例に取ると、フィルム(試料)の一方の側(計測側)を真空に保持した上で、試料の他方の側(ガス室側)に所定圧力で水蒸気を導入して、計測側に透過する水蒸気量を圧力上昇や計測側に設置した質量分析装置等により計測する。この方法で、水蒸気バリア性に優れた試料の水蒸気透過量を測定しようとする際の問題として、計測側のチャンバ壁に付着した水蒸気の影響がある。この計測側の水蒸気の影響は、装置のベーキング等による水蒸気除去等である程度は減らすことが出来るものの、完全に無くすことは困難である。このため、試料を透過する水蒸気量が微量になると装置内部に付着した水蒸気の影響が無視できず、測定の限界を与えていた。
【0003】
この状況に鑑み、より高感度で試料を透過する水蒸気量を計測する目的において、例えば、国際公開第02/39092号パンフレット(特許文献1)に開示されているような、重水を用いる方法が開発され提案されている。この提案の方法は基本的には上記の差圧法による計測であるが、ガス室側に導入する水蒸気としては水素(H)の同位体の重水素(D)を成分として含む重水(質量数20)を用いることで、計測室のバックグランドとなる大気中の水分(殆どは質量数18のH2O)と異なる質量数の重水の蒸気を試料を透過させた上で、計測室に設置した質量分析装置で質量数20の蒸気のみを選択的に検出する方法で、バックグラウンドの影響を受けない計測を可能としている。
【0004】
【特許文献1】
国際公開第02/39092号パンフレット(明細書の第4−5頁、第10−12頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、質量数20の重水を、真空中の計測室のガスをイオン化する質量分析手法により検出しようとする時に、大気中に多く存在するアルゴン(質量数40)の存在により次のような問題が発生することがある。即ち、質量分析計により分析時には真空室内のガス分子をイオン化することでその質量分離を行うわけであるが、この過程では一価のイオンだけでなく、例えば二価等の多価イオンが発生する。例えば、アルゴン(Ar)の場合には、Ar+だけでは無く、Ar++が生成される。この二価のイオンを静電的な方法で質量分析を行うと、単位電荷あたりの質量数が検出されるので、本来の質量数40の半分の20として検出されることになる。
【0006】
上記Arは、大気の成分に1%程度含まれているガスであるため、真空室の排気時に排気しきれない残留ガスとして真空室に残留している可能性があるし、真空室に大気からの微量のリークが有った場合も真空室内にArが存在することになる。このため、質量数20の重水の蒸気を用いた計測を行うためには、Arの影響を避けるために真空室を超高真空状態に保つ必要がある。
【0007】
第2の問題点としては、上記提案の方法によれば、大気中で重水を液滴の状態でガス室に投入して試料によりガス室の開口を塞ぐことを行うため、必然的にガス室内には大気の一成分のArが封入される。このため、真空室に試料を透過するガスとしては重水の蒸気だけではなく、Arが含まれる可能性がある。この問題を防ぐためには、ガス室に重水を供給する作業でのArの混入を避ける必要があり、ガス室への重水供給作業を大気から完全に遮断された雰囲気で行う必要性があるといった問題がある。
【0008】
第3のより本質的な問題点としては、樹脂フィルム等に水蒸気バリア性を付与する目的の代表的な手段として、例えばSiOx等の無機性の被覆をスパッタリング法等で行うことがあるが、スパッタリングによる被覆工程ではスパッタリングガスとしてArガスを使用し、多くの場合被膜中にこのArガスが部分的に取り込まれる場合があることが指摘できる。このような被膜を含む試料の水蒸気透過速度測定に質量数20の重水を用いた場合、被膜からArが脱離する可能性があることから、その計測値としての信頼性にも問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解消するためになしたものであって、その目的は、分析を行う真空室に残留又は漏洩したAr、ガス室に封入され試料を透過したAr、あるいは、試料に含まれていたArの影響を受けることなく試料を透過する水蒸気の透過速度を測定し得る、試料の水蒸気透過速度測定方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため以下に述べる構成としたものである。即ち、本発明に係る請求項1の発明は、試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法であって、質量数1の水素(H)、質量数2の重水素(D)および酸素(O)で構成された質量数19の水分子(HDO)又は質量数1の水素(H)2原子および質量数17の酸素(O)で構成された質量数19の水分子(H2O17)を試料を透過させ、この透過した質量数19の水分子を質量分析装置により検出して、試料を透過する水蒸気の透過速度を測定することを特徴とする試料の水蒸気透過速度測定方法である。
【0011】
また、本発明に係る請求項2の発明は、試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法であって、ガス室に質量数19の水分子(HDO又はH2O17)を含む水を供給し、そのガス室を試料を介して真空の下の真空室に連通するように配置するとともに、ガス室の質量数19の水分子を含む水を蒸発させた後、真空室中で、水蒸気における質量数19である同位元素の分圧測定用の質量分析計を用いて当該質量数19である同位元素の分圧を測定し、その測定された分圧から試料を透過する水蒸気の透過速度を測定することを特徴とする試料の水蒸気透過速度測定方法である。
【0012】
また、本発明に係る請求項3の発明は、上記請求項1又は2の発明において、質量数19の水分子を含む水が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、H2O,HDO,D2O混合水中で発生する可逆的平衡反応の結果として得られるモル数比で含むものとするものである。
【0013】
また、本発明に係る請求項4の発明は、上記請求項1又は2の発明において、質量数19の水分子を含む水が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)の混合体であり、この混合体のモル存在割合をa、b、cとしたときに、このa、b、cが次式の関係を有するものとするものである。
a=x2、b=2xy、c=y2 ただし、x+y=1、x:混合水蒸気中に存在するH原子の総モル存在割合、y:混合水蒸気中に存在するD原子の総モル存在割合である。
【0014】
また、本発明に係る請求項5の発明は、上記請求項1又は2の発明において、質量数19の水分子を含む水が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、モル数比で0.25:0.5:0.25で含むものとするものである。
【0015】
また、本発明に係る請求項6の発明は、試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法であって、ガス室を試料を介して真空の下の真空室に連通するように配置し、そのガス室に質量数19の水分子(HDO又はH2O17)を含む水蒸気を供給して充満させた後、真空室中で、水蒸気における質量数19である同位元素の分圧測定用の質量分析計を用いて当該質量数19である同位元素の分圧を測定し、その測定された分圧から試料を透過する水蒸気の透過速度を測定することを特徴とする試料の水蒸気透過速度測定方法である。
【0016】
また、本発明に係る請求項7の発明は、上記請求項6の発明において、質量数19の水分子を含む水蒸気が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、H2O、HDO、D2O混合水中で発生する可逆的平衡反応の結果として得られるモル数比で含むものとするものである。
【0017】
また、本発明に係る請求項8の発明は、上記請求項6の発明において、質量数19の水分子を含む水蒸気が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)の混合体であり、この混合体のモル存在割合をa、b、cとしたときに、このa、b、cが次式の関係を有するものとするものである。
a=x2、b=2xy、c=y2 ただし、x+y=1、x:混合水蒸気中に存在するH原子の総モル存在割合、y:混合水蒸気中に存在するD原子の総モル存在割合である。
【0018】
また、本発明に係る請求項9の発明は、上記請求項6の発明において、質量数19の水分子を含む水蒸気が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、モル数比で0.25:0.5:0.25で含むものとするものである。
【0019】
そして、上述の本発明によれば、質量数1の水素、質量数2の重水素および酸素(質量数16)で構成された質量数19の水分子(HDO)を試料を透過させ、その透過する質量数19の水分子(HDO)を対象に透過速度を測定するので、分析を行う真空室に残留又は漏洩したAr、ガス室に封入され試料を透過したAr、あるいは、試料に含まれていたArによる影響を受けることなく試料を透過する水蒸気の透過速度を測定できる。これにより、水蒸気バリア性に優れた試料の特性測定が高い感度で測定できることが期待できる。
【0020】
また、本発明では、ガス室に供給される質量数19の水分子を含む水蒸気又は水が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、H2O、HDO、D2Oの混合水中で発生する可逆的平衡反応の結果として得られるモル数比で含むので、時間の経過によらず安定な計測が可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る試料の水蒸気透過速度測定方法に適用される装置の一態様を示す説明図である。
【0022】
図示の装置では、計測対象の試料7を挟んで、ガス室1とガス拡散室2が設置されている。ガス拡散室2には高真空バルブ3を介して計測室4が接続され、計測室4はターボ分子ポンプ等の高真空ポンプ5で排気され高真空状態に保たれると共に、質量数19の水蒸気の分圧が計測可能な質量分析計6を具備している。また、ガス拡散室2は、真空バルブ12を介して真空ポンプ10により真空排気可能であり、高真空バルブ3を開ける前の予備排気を行うことができる。一方、ガス室1は空間に形成されており、質量数19の水分子を含む水滴が供給可能とされている。
【0023】
測定試料7は片面がガス室1、他面がガス拡散室2にのみ面するように雰囲気を遮断するように、シール材13を介してセットされる。試料7のガス拡散室2側には、測定試料7の強度によっては、試料7をサポートしながら試料7を透過してきたガス(蒸気)をガス拡散室2に導く多数の小穴14を設けた透過板を設けてもよい。なお、本例では、小穴14を設けた透過板を装置本体に一体に形成した場合を示す。
【0024】
上記シール材13を介在させてセットした試料7の外周側には、小空間9が形成されており、この小空間9は別のシール材15により大気から遮断され、さらにバルブ11を介して真空ポンプ10によって真空状態に保持できるようになっている。この小空間9を真空状態にすることで、大気からシール材13を透過してくるガス成分がガス拡散室2に侵入するのを防止し計測の精度を向上するようになっている。また、図示はしないが、ガス室1、ガス拡散室2の周辺はその全体の温度を所定の温度に保持する保温機構を取り付けることが好ましい。
【0025】
上記装置においては、試料7をガス室1とガス拡散室2の間に設置するにあたり、ガス室1の空間に質量数19の水分子を含む水滴8を供給し、ガス室1、ガス拡散室2を構成する部品をシール材13、15を介在させて組立てる。この組立て後、時間の経過と共にガス室1内の水滴8は蒸発して、ガス室1内部をガス室1の温度における飽和水蒸気圧の質量数19の水蒸気を含む水蒸気で満たす状態となる。なお、水蒸気透過速度を温度を特定して行う場合には、測定装置を設置する室温を所定の温度にするか、保温機構によりガス室1、ガス拡散室2を所定温度に保持する。
【0026】
この状態でガス拡散室2を真空バルブ12の操作により真空ポンプ10で予備真空排気をした上で、真空バルブ12を閉じる。次いで、ガス拡散室2を高真空バルブ3を開け計測室4と連通させて高真空ポンプ5によって排気する。またこのとき、好ましくは試料7の外側の小空間9を真空バルブ11の操作により真空ポンプ10で排気して真空にすることで、シール材13、15から透過するガスの影響を最小化できる。
【0027】
本装置は、上記のように構成されているので、質量数19の水蒸気を含む飽和水蒸気圧で満たされたガス室1内の水蒸気が、試料7を透過して、ガス拡散室2を通って計測室4にまで導かれるようになり、試料7を透過する水蒸気中の質量数19を持つ成分は質量分析計6によりその分圧が計測されることになる。このように分圧が計測できれば、真空チャンバの真空排気ポンプの排気能力を考慮した計算により試料7から透過する水蒸気量を計測できるし、あるいは、別の手法としては既知の水蒸気透過速度を有する試料7を事前に計測し、これとの相対値により水蒸気透過速度を計測することも可能である。即ち、前者の方法の場合は、計測室4に対する高真空ポンプ5の実効的な排気速度Sを正確に求めておくことにより、計測した質量数19の水蒸気の分圧Pを用いて、試料7からの水蒸気透過量Qは、Q=S×Pにより算出できる。さらに試料7の中の計測対象面積A、および全水蒸気中に占める質量数19の水蒸気の割合Bが既知であると、試料7の水蒸気透過速度Vは、V=Q÷(A×B)により計算できる。また、後者の方法の場合は、水蒸気透過速度V0が既知の試料を本方法で計測した場合の質量数19の水蒸気分圧P0を予め計測しておいた上で、計測対象の試料に改めて計測して質量数19の水蒸気分圧P1を計測する。計測した水蒸気分圧と水蒸気透過速度は比例関係にあるので、測定対象の試料の水蒸気透過速度V1は、V1=(P1/P0)×V0の関係式により計算できる。
【0028】
上述の試料7の水蒸気透過速度の測定に用いられる質量数19の水分子を含む水滴8としては、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、H2O、HDO、D2Oの混合水中で発生する可逆的平衡反応の結果として得られるモル数比で含む水滴8を好適に用いることができる。これはHDOを含む系においては、混合水(H2O、HDO、D2O)とイオン(H+、OH−、D+、OD−)との間で可逆的な平衡反応(H2O、HDO、D2O ⇔ H+、OH−、D+、OD−)が常時起こっているためであり、このような平衡反応の結果として得られるモル数比にあらかじめ調整しておくことにより、安定した計測が可能である。
【0029】
より具体的には、水滴8は、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)の混合体であり、このモル存在割合をa、b、cとしたときに、このa、b、cを、a=x2、b=2xy、c=y2 ただし、x+y=1の関係に調整するとよい。ここで、x:混合水蒸気中に存在するH原子の総モル存在割合、y:混合水蒸気中に存在するD原子の総モル存在割合である。
【0030】
そして特に好適なのは、ガス室1に供給する水滴8の成分としては、質量数18の(H2O)、質量数19の(HDO)、質量数20の(D2O)を、モル数比率で0.25:0.5:0.25の割合で含む水であり、この結果として、水蒸気中には最も高い割合の質量数19のHDOを含み、最も高い計測感度が得られる。この場合、透過する水蒸気中のH2OとD2Oが夫々25%を占め、HDOが50%となるので、質量数19の水蒸気分圧から求めた水蒸気透過量を2倍することにより、試料7の真の水蒸気透過速度を求めることが出来る。
【0031】
なお、ガス室1に供給する、質量数18のH2O、質量数19のHDO、質量数20のD2Oの供給比率は最も好適な例として、モル数比で0.25:0.5:0.25を例として示したが、H2O、HDO、D2Oの三種混合体の可逆的平衡反応の結果得られる既知のモル数比であれば何でもよい。例えば、H2OとD2Oを9:1の割合で混合して前記平衡反応が進むと、0.81:0.18:0.01のモル数比の混合液体が得られる。この混合液体を使用して測定を行うと、透過する全水蒸気量の内18%が質量数19の水蒸気として計測されるので、真の透過量は求めた値を0.18で割ることにより求められる。
【0032】
また、本発明の別の側面としては、質量数19の水分子として、質量数17の酸素と質量数1の水素が2原子結合した水分子(H2O17)を用いることも可能である。
【0033】
本発明方法を用いた、実際の試料の水蒸気透過速度の測定は、以下の実験の際の要領と同様にして行われる。
【0034】
まず、ガス拡散室、ガス室を構成する部材は、実験前に十分にベーキングを施し、付着しているガス成分を除去しておく。
この状態でまず測定系の限界を見る目的で、試料を挿入せずまた水滴も入れない状態で、ガス拡散室、ガス室を一体としたままでその残留ガス成分を、真空排気途上(30分経過後)と真空排気を数日継続してシステムとしての到達真空度を達成した後の状態とで分析した。このシステムのバックグラウンド状態での質量分析計での各質量数の検出結果を図2(真空排気途上)および図3(最高真空度達成状態)に示す。
【0035】
この結果(図2、3)から判るように、測定系単体の状態でかつ最高真空度を到達した状態(図3)であっても、H2Oに相当する質量数18のバックグラウンドは存在する。さらに、真空排気途中の状態(図2)では、大気成分に起因する各種成分が現れ、その中でH2Oに相当する質量数18に加えてArに起因すると思われる質量数20の信号が現れていることが判る。また、H2Oに起因する信号としては、Hが1原子脱離したOH(質量数17)や、Hが2原子脱離したO(質量数16)に相当する信号も出ている。これに対して、長期間真空排気継続後は勿論、真空排気途中の状態であっても質量数19の信号は検出限界以下であることが図2、3より判る。したがって、質量数19の信号を用いることで、非常に感度の良好な計測が行えることが判る。
【0036】
次に、同様にガス拡散室、ガス室を構成する部材は、実験前に十分にベーキングを施し、付着しているガス成分を除去した上で、試料を取り付け、例えば、水の成分として、質量数18のH2O、質量数19のHDO、質量数20のD2Oを、モル数比率で0.25:0.5:0.25を含む水滴をガス室に供給して、計測を行う。このモル数比率の水滴は、通常の蒸留水(H2Oが殆ど)と重水(D2O)を等モル数混合し放置するだけで、平衡反応の結果として作られる。
【0037】
ガス拡散室を高真空に排気後の質量数18、19、20の検出量の変化は、真空度が良好になるにつれて、図4に示す挙動を示すはずである。これは、次のような理由による。
【0038】
図4aに示す質量数20の信号(測定値)としては、試料を挿入せずに採取したバックグランドの信号(イ)に加え、ガス室の水蒸気中に25%含まれる質量数20のD2O(ロ)と、ガス室内に封入された大気に含まれるAr(質量数40)に起因する信号(ハ)の合算値として得られる。このとき、バックグラウンドの信号(イ)は時間経過とともに収束し、D2Oからの信号(ロ)は水滴がガス室内に存在する限りは一定値を示すが、ガス室内のArに起因する信号(ハ)はガス室内のArがガス拡散室に徐々に試料を透過して逃げるために長時間に渡り減少しつづける。この結果として、質量数20の信号が安定値を示すには非常に長時間を要することになる。
【0039】
また、図4bに示す質量数18の信号(測定値)としては、バックグラウンドの信号(イ)に加え、試料から放出される水蒸気(H2O)に起因する信号(ロ)、試料を透過するH2Oに起因する信号(ハ)、試料を透過したD2O、DHOが分解したDOに起因する信号(二)の合算値として現れる。この信号(測定値)はバックグラウンドの信号(イ)自身が高いことに加え、各種の要因が重なりあった信号となっており、解析は非常に困難である。
【0040】
これに対して、図4cに示す質量数19の信号(測定値)は、バックグラウンドの信号(イ)と、ガス室の水蒸気中に50%含まれる質量数19のDHOが試料を透過するものの信号(ロ)の合算値となる。質量数19のバックグラウンド信号(イ)はレベルが低く短時間で検出限界以下になるため、質量数19の信号をモニターすることで短時間で安定した水蒸気の透過量に相当する信号(測定値)が得られる。
【0041】
このような方法で、水蒸気透過率が既知の試料と、水蒸気透過率を求めたい試料を夫々測定してその比率をとることで、試料の水蒸気透過率が計測できることになる。
【0042】
上記の実施形態では、ガス室に質量数19の水分子(HDO)を含む水滴を供給する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図5に示す装置を用いて質量数19の水分子(HDO)を含む水蒸気を供給するようにしてもよい。
【0043】
図5に示す装置を用いた例では、計測対象の試料16を挟んで、計測室17とガス室18が設置されている。計測室17はターボ分子ポンプ等の高真空ポンプ19で排気され高真空状態に保たれると共に、質量数19の水蒸気の分圧が計測可能な質量分析計20を具備している。ガス室18にはガス排出管路21とガス導入管路22が設けられており、ガス排出管路21のバルブ23を開け内部のガスを排気したのち、ガス導入管路22から真空計24で圧力を計測しながら、質量数19の水分子を含む水蒸気を所定圧力で充填できるようになっている。あるいは、別の手法としては、ガス排出管路21を大気に開放しながら、ガス導入管路22から質量数19の水分子を含む水蒸気で飽和したガスを流すことによりガス室18内を所定の飽和水蒸気圧で満たすようにしてもよい。なお、25はガス導入管路22のバルブである。
【0044】
このようにして、ガス室18は質量数19の水蒸気を含む所定圧力の水蒸気圧で満たされた状態となるので、試料16を透過した水蒸気は計測室17の質量分析計20により検出できる。図1の実施形態に述べたように、質量数19の分圧を計測することにより計測に影響をもたらすArおよび真空チャンバ中に残留するH2Oの影響を除外した計測が可能になる。分圧が計測できれば、図1の実施形態と同様にして、真空チャンバの真空排気ポンプの排気能力を考慮した計算により試料16から透過する水蒸気量を計測できるし、あるいは、別の手法としては既知の水蒸気透過速度を有する試料を事前に計測し、これとの相対値により水蒸気透過速度を計測することも可能である。また、この実施形態でも、水と水蒸気の違いはあるが、試料16の水蒸気透過速度計測用の水蒸気としては、質量数18のH2O、質量数19のHDO、質量数20のD2Oを、H2O、HDO、D2O混合水中で発生する可逆的平衡反応の結果として得られるモル数比で含むものが好適に使用できる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る試料の水蒸気透過速度測定方法によれば、質量数19の水分子を試料を透過させ、その透過する質量数19の水分子を対象に透過速度を測定するので、分析を行う真空室に残留又は漏洩したAr、ガス室に封入され試料を透過したAr、あるいは、試料に含まれていたArによる影響を受けることなく試料を透過する水蒸気の透過速度を測定できる。またこれにより、水蒸気バリア性に優れた試料の特性測定が高い感度で測定し得ることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る試料の水蒸気透過速度測定方法に適用される装置の一実施態様を示す説明図である。
【図2】質量分析計による各質量数(横軸)に対する検出値(縦軸)を示す真空排気途上でのグラフ図である。
【図3】質量分析計による各質量数(横軸)に対する検出値(縦軸)を示す最高真空度達成状態でのグラフ図である。
【図4】ガス拡散室内における質量数18、19、20の各質量数の検出量の経時変化を示すグラフ図であって、aは質量数20、bは質量数18、cは質量数19の場合のグラフ図である。
【図5】本発明に係る試料の水蒸気透過速度測定方法に適用される装置の別の実施態様を示す説明図である。
【符号の説明】
1:ガス室 2:ガス拡散室 3:高真空バルブ
4:計測室 5:高真空ポンプ 6:質量分析計
7:試料 8:水滴 9:小空間
10:真空ポンプ 11、12:真空バルブ 13:シール材
14:小穴 15:シール材 16:試料
17:計測室 18:ガス室 19:高真空ポンプ
20:質量分析計 21:ガス排出管路 22:ガス導入管路
23、25:バルブ 24:真空計
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂フィルム、コーティング被膜等の試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法に関し、特に有機ELディスプレイ等に用いられる水蒸気バリア性に優れたフィルムの特性測定に用いる、高い感度の水蒸気透過速度測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
樹脂フィルム等の試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法としては、JISK−7126に規定される等圧法や差圧法が従来用いられてきたが、近年、蒸着等の処理により樹脂フィルム自体のバリア性能が向上する中で従来の測定手法ではその測定の限界に到達しつつあった。例えば、差圧法による測定を例に取ると、フィルム(試料)の一方の側(計測側)を真空に保持した上で、試料の他方の側(ガス室側)に所定圧力で水蒸気を導入して、計測側に透過する水蒸気量を圧力上昇や計測側に設置した質量分析装置等により計測する。この方法で、水蒸気バリア性に優れた試料の水蒸気透過量を測定しようとする際の問題として、計測側のチャンバ壁に付着した水蒸気の影響がある。この計測側の水蒸気の影響は、装置のベーキング等による水蒸気除去等である程度は減らすことが出来るものの、完全に無くすことは困難である。このため、試料を透過する水蒸気量が微量になると装置内部に付着した水蒸気の影響が無視できず、測定の限界を与えていた。
【0003】
この状況に鑑み、より高感度で試料を透過する水蒸気量を計測する目的において、例えば、国際公開第02/39092号パンフレット(特許文献1)に開示されているような、重水を用いる方法が開発され提案されている。この提案の方法は基本的には上記の差圧法による計測であるが、ガス室側に導入する水蒸気としては水素(H)の同位体の重水素(D)を成分として含む重水(質量数20)を用いることで、計測室のバックグランドとなる大気中の水分(殆どは質量数18のH2O)と異なる質量数の重水の蒸気を試料を透過させた上で、計測室に設置した質量分析装置で質量数20の蒸気のみを選択的に検出する方法で、バックグラウンドの影響を受けない計測を可能としている。
【0004】
【特許文献1】
国際公開第02/39092号パンフレット(明細書の第4−5頁、第10−12頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、質量数20の重水を、真空中の計測室のガスをイオン化する質量分析手法により検出しようとする時に、大気中に多く存在するアルゴン(質量数40)の存在により次のような問題が発生することがある。即ち、質量分析計により分析時には真空室内のガス分子をイオン化することでその質量分離を行うわけであるが、この過程では一価のイオンだけでなく、例えば二価等の多価イオンが発生する。例えば、アルゴン(Ar)の場合には、Ar+だけでは無く、Ar++が生成される。この二価のイオンを静電的な方法で質量分析を行うと、単位電荷あたりの質量数が検出されるので、本来の質量数40の半分の20として検出されることになる。
【0006】
上記Arは、大気の成分に1%程度含まれているガスであるため、真空室の排気時に排気しきれない残留ガスとして真空室に残留している可能性があるし、真空室に大気からの微量のリークが有った場合も真空室内にArが存在することになる。このため、質量数20の重水の蒸気を用いた計測を行うためには、Arの影響を避けるために真空室を超高真空状態に保つ必要がある。
【0007】
第2の問題点としては、上記提案の方法によれば、大気中で重水を液滴の状態でガス室に投入して試料によりガス室の開口を塞ぐことを行うため、必然的にガス室内には大気の一成分のArが封入される。このため、真空室に試料を透過するガスとしては重水の蒸気だけではなく、Arが含まれる可能性がある。この問題を防ぐためには、ガス室に重水を供給する作業でのArの混入を避ける必要があり、ガス室への重水供給作業を大気から完全に遮断された雰囲気で行う必要性があるといった問題がある。
【0008】
第3のより本質的な問題点としては、樹脂フィルム等に水蒸気バリア性を付与する目的の代表的な手段として、例えばSiOx等の無機性の被覆をスパッタリング法等で行うことがあるが、スパッタリングによる被覆工程ではスパッタリングガスとしてArガスを使用し、多くの場合被膜中にこのArガスが部分的に取り込まれる場合があることが指摘できる。このような被膜を含む試料の水蒸気透過速度測定に質量数20の重水を用いた場合、被膜からArが脱離する可能性があることから、その計測値としての信頼性にも問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解消するためになしたものであって、その目的は、分析を行う真空室に残留又は漏洩したAr、ガス室に封入され試料を透過したAr、あるいは、試料に含まれていたArの影響を受けることなく試料を透過する水蒸気の透過速度を測定し得る、試料の水蒸気透過速度測定方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため以下に述べる構成としたものである。即ち、本発明に係る請求項1の発明は、試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法であって、質量数1の水素(H)、質量数2の重水素(D)および酸素(O)で構成された質量数19の水分子(HDO)又は質量数1の水素(H)2原子および質量数17の酸素(O)で構成された質量数19の水分子(H2O17)を試料を透過させ、この透過した質量数19の水分子を質量分析装置により検出して、試料を透過する水蒸気の透過速度を測定することを特徴とする試料の水蒸気透過速度測定方法である。
【0011】
また、本発明に係る請求項2の発明は、試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法であって、ガス室に質量数19の水分子(HDO又はH2O17)を含む水を供給し、そのガス室を試料を介して真空の下の真空室に連通するように配置するとともに、ガス室の質量数19の水分子を含む水を蒸発させた後、真空室中で、水蒸気における質量数19である同位元素の分圧測定用の質量分析計を用いて当該質量数19である同位元素の分圧を測定し、その測定された分圧から試料を透過する水蒸気の透過速度を測定することを特徴とする試料の水蒸気透過速度測定方法である。
【0012】
また、本発明に係る請求項3の発明は、上記請求項1又は2の発明において、質量数19の水分子を含む水が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、H2O,HDO,D2O混合水中で発生する可逆的平衡反応の結果として得られるモル数比で含むものとするものである。
【0013】
また、本発明に係る請求項4の発明は、上記請求項1又は2の発明において、質量数19の水分子を含む水が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)の混合体であり、この混合体のモル存在割合をa、b、cとしたときに、このa、b、cが次式の関係を有するものとするものである。
a=x2、b=2xy、c=y2 ただし、x+y=1、x:混合水蒸気中に存在するH原子の総モル存在割合、y:混合水蒸気中に存在するD原子の総モル存在割合である。
【0014】
また、本発明に係る請求項5の発明は、上記請求項1又は2の発明において、質量数19の水分子を含む水が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、モル数比で0.25:0.5:0.25で含むものとするものである。
【0015】
また、本発明に係る請求項6の発明は、試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法であって、ガス室を試料を介して真空の下の真空室に連通するように配置し、そのガス室に質量数19の水分子(HDO又はH2O17)を含む水蒸気を供給して充満させた後、真空室中で、水蒸気における質量数19である同位元素の分圧測定用の質量分析計を用いて当該質量数19である同位元素の分圧を測定し、その測定された分圧から試料を透過する水蒸気の透過速度を測定することを特徴とする試料の水蒸気透過速度測定方法である。
【0016】
また、本発明に係る請求項7の発明は、上記請求項6の発明において、質量数19の水分子を含む水蒸気が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、H2O、HDO、D2O混合水中で発生する可逆的平衡反応の結果として得られるモル数比で含むものとするものである。
【0017】
また、本発明に係る請求項8の発明は、上記請求項6の発明において、質量数19の水分子を含む水蒸気が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)の混合体であり、この混合体のモル存在割合をa、b、cとしたときに、このa、b、cが次式の関係を有するものとするものである。
a=x2、b=2xy、c=y2 ただし、x+y=1、x:混合水蒸気中に存在するH原子の総モル存在割合、y:混合水蒸気中に存在するD原子の総モル存在割合である。
【0018】
また、本発明に係る請求項9の発明は、上記請求項6の発明において、質量数19の水分子を含む水蒸気が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、モル数比で0.25:0.5:0.25で含むものとするものである。
【0019】
そして、上述の本発明によれば、質量数1の水素、質量数2の重水素および酸素(質量数16)で構成された質量数19の水分子(HDO)を試料を透過させ、その透過する質量数19の水分子(HDO)を対象に透過速度を測定するので、分析を行う真空室に残留又は漏洩したAr、ガス室に封入され試料を透過したAr、あるいは、試料に含まれていたArによる影響を受けることなく試料を透過する水蒸気の透過速度を測定できる。これにより、水蒸気バリア性に優れた試料の特性測定が高い感度で測定できることが期待できる。
【0020】
また、本発明では、ガス室に供給される質量数19の水分子を含む水蒸気又は水が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、H2O、HDO、D2Oの混合水中で発生する可逆的平衡反応の結果として得られるモル数比で含むので、時間の経過によらず安定な計測が可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る試料の水蒸気透過速度測定方法に適用される装置の一態様を示す説明図である。
【0022】
図示の装置では、計測対象の試料7を挟んで、ガス室1とガス拡散室2が設置されている。ガス拡散室2には高真空バルブ3を介して計測室4が接続され、計測室4はターボ分子ポンプ等の高真空ポンプ5で排気され高真空状態に保たれると共に、質量数19の水蒸気の分圧が計測可能な質量分析計6を具備している。また、ガス拡散室2は、真空バルブ12を介して真空ポンプ10により真空排気可能であり、高真空バルブ3を開ける前の予備排気を行うことができる。一方、ガス室1は空間に形成されており、質量数19の水分子を含む水滴が供給可能とされている。
【0023】
測定試料7は片面がガス室1、他面がガス拡散室2にのみ面するように雰囲気を遮断するように、シール材13を介してセットされる。試料7のガス拡散室2側には、測定試料7の強度によっては、試料7をサポートしながら試料7を透過してきたガス(蒸気)をガス拡散室2に導く多数の小穴14を設けた透過板を設けてもよい。なお、本例では、小穴14を設けた透過板を装置本体に一体に形成した場合を示す。
【0024】
上記シール材13を介在させてセットした試料7の外周側には、小空間9が形成されており、この小空間9は別のシール材15により大気から遮断され、さらにバルブ11を介して真空ポンプ10によって真空状態に保持できるようになっている。この小空間9を真空状態にすることで、大気からシール材13を透過してくるガス成分がガス拡散室2に侵入するのを防止し計測の精度を向上するようになっている。また、図示はしないが、ガス室1、ガス拡散室2の周辺はその全体の温度を所定の温度に保持する保温機構を取り付けることが好ましい。
【0025】
上記装置においては、試料7をガス室1とガス拡散室2の間に設置するにあたり、ガス室1の空間に質量数19の水分子を含む水滴8を供給し、ガス室1、ガス拡散室2を構成する部品をシール材13、15を介在させて組立てる。この組立て後、時間の経過と共にガス室1内の水滴8は蒸発して、ガス室1内部をガス室1の温度における飽和水蒸気圧の質量数19の水蒸気を含む水蒸気で満たす状態となる。なお、水蒸気透過速度を温度を特定して行う場合には、測定装置を設置する室温を所定の温度にするか、保温機構によりガス室1、ガス拡散室2を所定温度に保持する。
【0026】
この状態でガス拡散室2を真空バルブ12の操作により真空ポンプ10で予備真空排気をした上で、真空バルブ12を閉じる。次いで、ガス拡散室2を高真空バルブ3を開け計測室4と連通させて高真空ポンプ5によって排気する。またこのとき、好ましくは試料7の外側の小空間9を真空バルブ11の操作により真空ポンプ10で排気して真空にすることで、シール材13、15から透過するガスの影響を最小化できる。
【0027】
本装置は、上記のように構成されているので、質量数19の水蒸気を含む飽和水蒸気圧で満たされたガス室1内の水蒸気が、試料7を透過して、ガス拡散室2を通って計測室4にまで導かれるようになり、試料7を透過する水蒸気中の質量数19を持つ成分は質量分析計6によりその分圧が計測されることになる。このように分圧が計測できれば、真空チャンバの真空排気ポンプの排気能力を考慮した計算により試料7から透過する水蒸気量を計測できるし、あるいは、別の手法としては既知の水蒸気透過速度を有する試料7を事前に計測し、これとの相対値により水蒸気透過速度を計測することも可能である。即ち、前者の方法の場合は、計測室4に対する高真空ポンプ5の実効的な排気速度Sを正確に求めておくことにより、計測した質量数19の水蒸気の分圧Pを用いて、試料7からの水蒸気透過量Qは、Q=S×Pにより算出できる。さらに試料7の中の計測対象面積A、および全水蒸気中に占める質量数19の水蒸気の割合Bが既知であると、試料7の水蒸気透過速度Vは、V=Q÷(A×B)により計算できる。また、後者の方法の場合は、水蒸気透過速度V0が既知の試料を本方法で計測した場合の質量数19の水蒸気分圧P0を予め計測しておいた上で、計測対象の試料に改めて計測して質量数19の水蒸気分圧P1を計測する。計測した水蒸気分圧と水蒸気透過速度は比例関係にあるので、測定対象の試料の水蒸気透過速度V1は、V1=(P1/P0)×V0の関係式により計算できる。
【0028】
上述の試料7の水蒸気透過速度の測定に用いられる質量数19の水分子を含む水滴8としては、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、H2O、HDO、D2Oの混合水中で発生する可逆的平衡反応の結果として得られるモル数比で含む水滴8を好適に用いることができる。これはHDOを含む系においては、混合水(H2O、HDO、D2O)とイオン(H+、OH−、D+、OD−)との間で可逆的な平衡反応(H2O、HDO、D2O ⇔ H+、OH−、D+、OD−)が常時起こっているためであり、このような平衡反応の結果として得られるモル数比にあらかじめ調整しておくことにより、安定した計測が可能である。
【0029】
より具体的には、水滴8は、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)の混合体であり、このモル存在割合をa、b、cとしたときに、このa、b、cを、a=x2、b=2xy、c=y2 ただし、x+y=1の関係に調整するとよい。ここで、x:混合水蒸気中に存在するH原子の総モル存在割合、y:混合水蒸気中に存在するD原子の総モル存在割合である。
【0030】
そして特に好適なのは、ガス室1に供給する水滴8の成分としては、質量数18の(H2O)、質量数19の(HDO)、質量数20の(D2O)を、モル数比率で0.25:0.5:0.25の割合で含む水であり、この結果として、水蒸気中には最も高い割合の質量数19のHDOを含み、最も高い計測感度が得られる。この場合、透過する水蒸気中のH2OとD2Oが夫々25%を占め、HDOが50%となるので、質量数19の水蒸気分圧から求めた水蒸気透過量を2倍することにより、試料7の真の水蒸気透過速度を求めることが出来る。
【0031】
なお、ガス室1に供給する、質量数18のH2O、質量数19のHDO、質量数20のD2Oの供給比率は最も好適な例として、モル数比で0.25:0.5:0.25を例として示したが、H2O、HDO、D2Oの三種混合体の可逆的平衡反応の結果得られる既知のモル数比であれば何でもよい。例えば、H2OとD2Oを9:1の割合で混合して前記平衡反応が進むと、0.81:0.18:0.01のモル数比の混合液体が得られる。この混合液体を使用して測定を行うと、透過する全水蒸気量の内18%が質量数19の水蒸気として計測されるので、真の透過量は求めた値を0.18で割ることにより求められる。
【0032】
また、本発明の別の側面としては、質量数19の水分子として、質量数17の酸素と質量数1の水素が2原子結合した水分子(H2O17)を用いることも可能である。
【0033】
本発明方法を用いた、実際の試料の水蒸気透過速度の測定は、以下の実験の際の要領と同様にして行われる。
【0034】
まず、ガス拡散室、ガス室を構成する部材は、実験前に十分にベーキングを施し、付着しているガス成分を除去しておく。
この状態でまず測定系の限界を見る目的で、試料を挿入せずまた水滴も入れない状態で、ガス拡散室、ガス室を一体としたままでその残留ガス成分を、真空排気途上(30分経過後)と真空排気を数日継続してシステムとしての到達真空度を達成した後の状態とで分析した。このシステムのバックグラウンド状態での質量分析計での各質量数の検出結果を図2(真空排気途上)および図3(最高真空度達成状態)に示す。
【0035】
この結果(図2、3)から判るように、測定系単体の状態でかつ最高真空度を到達した状態(図3)であっても、H2Oに相当する質量数18のバックグラウンドは存在する。さらに、真空排気途中の状態(図2)では、大気成分に起因する各種成分が現れ、その中でH2Oに相当する質量数18に加えてArに起因すると思われる質量数20の信号が現れていることが判る。また、H2Oに起因する信号としては、Hが1原子脱離したOH(質量数17)や、Hが2原子脱離したO(質量数16)に相当する信号も出ている。これに対して、長期間真空排気継続後は勿論、真空排気途中の状態であっても質量数19の信号は検出限界以下であることが図2、3より判る。したがって、質量数19の信号を用いることで、非常に感度の良好な計測が行えることが判る。
【0036】
次に、同様にガス拡散室、ガス室を構成する部材は、実験前に十分にベーキングを施し、付着しているガス成分を除去した上で、試料を取り付け、例えば、水の成分として、質量数18のH2O、質量数19のHDO、質量数20のD2Oを、モル数比率で0.25:0.5:0.25を含む水滴をガス室に供給して、計測を行う。このモル数比率の水滴は、通常の蒸留水(H2Oが殆ど)と重水(D2O)を等モル数混合し放置するだけで、平衡反応の結果として作られる。
【0037】
ガス拡散室を高真空に排気後の質量数18、19、20の検出量の変化は、真空度が良好になるにつれて、図4に示す挙動を示すはずである。これは、次のような理由による。
【0038】
図4aに示す質量数20の信号(測定値)としては、試料を挿入せずに採取したバックグランドの信号(イ)に加え、ガス室の水蒸気中に25%含まれる質量数20のD2O(ロ)と、ガス室内に封入された大気に含まれるAr(質量数40)に起因する信号(ハ)の合算値として得られる。このとき、バックグラウンドの信号(イ)は時間経過とともに収束し、D2Oからの信号(ロ)は水滴がガス室内に存在する限りは一定値を示すが、ガス室内のArに起因する信号(ハ)はガス室内のArがガス拡散室に徐々に試料を透過して逃げるために長時間に渡り減少しつづける。この結果として、質量数20の信号が安定値を示すには非常に長時間を要することになる。
【0039】
また、図4bに示す質量数18の信号(測定値)としては、バックグラウンドの信号(イ)に加え、試料から放出される水蒸気(H2O)に起因する信号(ロ)、試料を透過するH2Oに起因する信号(ハ)、試料を透過したD2O、DHOが分解したDOに起因する信号(二)の合算値として現れる。この信号(測定値)はバックグラウンドの信号(イ)自身が高いことに加え、各種の要因が重なりあった信号となっており、解析は非常に困難である。
【0040】
これに対して、図4cに示す質量数19の信号(測定値)は、バックグラウンドの信号(イ)と、ガス室の水蒸気中に50%含まれる質量数19のDHOが試料を透過するものの信号(ロ)の合算値となる。質量数19のバックグラウンド信号(イ)はレベルが低く短時間で検出限界以下になるため、質量数19の信号をモニターすることで短時間で安定した水蒸気の透過量に相当する信号(測定値)が得られる。
【0041】
このような方法で、水蒸気透過率が既知の試料と、水蒸気透過率を求めたい試料を夫々測定してその比率をとることで、試料の水蒸気透過率が計測できることになる。
【0042】
上記の実施形態では、ガス室に質量数19の水分子(HDO)を含む水滴を供給する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図5に示す装置を用いて質量数19の水分子(HDO)を含む水蒸気を供給するようにしてもよい。
【0043】
図5に示す装置を用いた例では、計測対象の試料16を挟んで、計測室17とガス室18が設置されている。計測室17はターボ分子ポンプ等の高真空ポンプ19で排気され高真空状態に保たれると共に、質量数19の水蒸気の分圧が計測可能な質量分析計20を具備している。ガス室18にはガス排出管路21とガス導入管路22が設けられており、ガス排出管路21のバルブ23を開け内部のガスを排気したのち、ガス導入管路22から真空計24で圧力を計測しながら、質量数19の水分子を含む水蒸気を所定圧力で充填できるようになっている。あるいは、別の手法としては、ガス排出管路21を大気に開放しながら、ガス導入管路22から質量数19の水分子を含む水蒸気で飽和したガスを流すことによりガス室18内を所定の飽和水蒸気圧で満たすようにしてもよい。なお、25はガス導入管路22のバルブである。
【0044】
このようにして、ガス室18は質量数19の水蒸気を含む所定圧力の水蒸気圧で満たされた状態となるので、試料16を透過した水蒸気は計測室17の質量分析計20により検出できる。図1の実施形態に述べたように、質量数19の分圧を計測することにより計測に影響をもたらすArおよび真空チャンバ中に残留するH2Oの影響を除外した計測が可能になる。分圧が計測できれば、図1の実施形態と同様にして、真空チャンバの真空排気ポンプの排気能力を考慮した計算により試料16から透過する水蒸気量を計測できるし、あるいは、別の手法としては既知の水蒸気透過速度を有する試料を事前に計測し、これとの相対値により水蒸気透過速度を計測することも可能である。また、この実施形態でも、水と水蒸気の違いはあるが、試料16の水蒸気透過速度計測用の水蒸気としては、質量数18のH2O、質量数19のHDO、質量数20のD2Oを、H2O、HDO、D2O混合水中で発生する可逆的平衡反応の結果として得られるモル数比で含むものが好適に使用できる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る試料の水蒸気透過速度測定方法によれば、質量数19の水分子を試料を透過させ、その透過する質量数19の水分子を対象に透過速度を測定するので、分析を行う真空室に残留又は漏洩したAr、ガス室に封入され試料を透過したAr、あるいは、試料に含まれていたArによる影響を受けることなく試料を透過する水蒸気の透過速度を測定できる。またこれにより、水蒸気バリア性に優れた試料の特性測定が高い感度で測定し得ることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る試料の水蒸気透過速度測定方法に適用される装置の一実施態様を示す説明図である。
【図2】質量分析計による各質量数(横軸)に対する検出値(縦軸)を示す真空排気途上でのグラフ図である。
【図3】質量分析計による各質量数(横軸)に対する検出値(縦軸)を示す最高真空度達成状態でのグラフ図である。
【図4】ガス拡散室内における質量数18、19、20の各質量数の検出量の経時変化を示すグラフ図であって、aは質量数20、bは質量数18、cは質量数19の場合のグラフ図である。
【図5】本発明に係る試料の水蒸気透過速度測定方法に適用される装置の別の実施態様を示す説明図である。
【符号の説明】
1:ガス室 2:ガス拡散室 3:高真空バルブ
4:計測室 5:高真空ポンプ 6:質量分析計
7:試料 8:水滴 9:小空間
10:真空ポンプ 11、12:真空バルブ 13:シール材
14:小穴 15:シール材 16:試料
17:計測室 18:ガス室 19:高真空ポンプ
20:質量分析計 21:ガス排出管路 22:ガス導入管路
23、25:バルブ 24:真空計
Claims (9)
- 試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法であって、質量数1の水素(H)、質量数2の重水素(D)および酸素(O)で構成された質量数19の水分子(HDO)又は質量数1の水素(H)2原子および質量数17の酸素(O)で構成された質量数19の水分子(H2O17)を試料を透過させ、この透過した質量数19の水分子を検出して、試料を透過する水蒸気の透過速度を測定することを特徴とする試料の水蒸気透過速度測定方法。
- 試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法であって、ガス室に質量数19の水分子(HDO又はH2O17)を含む水を供給し、そのガス室を試料を介して真空の下の真空室に連通するように配置するとともに、ガス室の質量数19の水分子を含む水を蒸発させた後、真空室中で、水蒸気における質量数19である同位元素の分圧測定用の質量分析計を用いて当該質量数19である同位元素の分圧を測定し、その測定された分圧から試料を透過する水蒸気の透過速度を測定することを特徴とする試料の水蒸気透過速度測定方法。
- 質量数19の水分子を含む水が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、H2O、HDO、D2O混合水中で発生する可逆的平衡反応の結果として得られるモル数比で含む請求項1又は2に記載の試料の水蒸気透過速度測定方法。
- 質量数19の水分子を含む水が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)の混合体であり、この混合体のモル存在割合をa、b、cとしたときに、このa、b、cが次式の関係を有する請求項1又は2に記載の試料の水蒸気透過速度測定方法。a=x2、b=2xy、c=y2 ただし、x+y=1、x:混合水蒸気中に存在するH原子の総モル存在割合、y:混合水蒸気中に存在するD原子の総モル存在割合である。
- 質量数19の水分子を含む水が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、モル数比で0.25:0.5:0.25で含む請求項1又は2に記載の試料の水蒸気透過速度測定方法。
- 試料を透過する水蒸気の透過速度を測定する方法であって、ガス室を試料を介して真空の下の真空室に連通するように配置し、そのガス室に質量数19の水分子(HDO又はH2O17)を含む水蒸気を供給して充満させた後、真空室中で、水蒸気における質量数19である同位元素の分圧測定用の質量分析計を用いて当該質量数19である同位元素の分圧を測定し、その測定された分圧から試料を透過する水蒸気の透過速度を測定することを特徴とする試料の水蒸気透過速度測定方法。
- 質量数19の水分子を含む水蒸気が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、H2O、HDO、D2O混合水中で発生する可逆的平衡反応の結果として得られるモル数比で含む請求項6に記載の試料の水蒸気透過速度測定方法。
- 質量数19の水分子を含む水蒸気が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)の混合体であり、この混合体のモル存在割合をa、b、cとしたときに、このa、b、cが次式の関係を有する請求項6に記載の試料の水蒸気透過速度測定方法。
a=x2、b=2xy、c=y2 ただし、x+y=1、x:混合水蒸気中に存在するH原子の総モル存在割合、y:混合水蒸気中に存在するD原子の総モル存在割合である。 - 質量数19の水分子を含む水蒸気が、質量数18の水分子(H2O)、質量数19の水分子(HDO)、質量数20の水分子(D2O)を、モル数比で0.25:0.5:0.25で含む請求項6に記載の試料の水蒸気透過速度測定方法。
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