JP2004277443A - カーボンブラックの製造方法及びその装置 - Google Patents
カーボンブラックの製造方法及びその装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004277443A JP2004277443A JP2003066666A JP2003066666A JP2004277443A JP 2004277443 A JP2004277443 A JP 2004277443A JP 2003066666 A JP2003066666 A JP 2003066666A JP 2003066666 A JP2003066666 A JP 2003066666A JP 2004277443 A JP2004277443 A JP 2004277443A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- medium
- carbon black
- spray nozzle
- oil
- temperature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
Abstract
【課題】媒体によって回収される熱エネルギーの利用が可能であって、しかも原料油の温度が高く粘性も低くできるカーボンブラックの製造方法及びその装置を提供する。
【解決手段】原料油を加熱又は冷却可能な媒体を流している噴霧ノズル12から、原料油を高温燃焼ガス流中に噴霧して反応させ、原料油からカーボンブラックを製造するカーボンブラックの製造方法及びその装置10において、媒体の噴霧ノズル12への入口側温度が、噴霧ノズル12への原料油の入口側温度と同一であるか又はそれ以上とし、更に好ましくは、媒体に熱媒又は原料油を使用している。
【選択図】 図1
【解決手段】原料油を加熱又は冷却可能な媒体を流している噴霧ノズル12から、原料油を高温燃焼ガス流中に噴霧して反応させ、原料油からカーボンブラックを製造するカーボンブラックの製造方法及びその装置10において、媒体の噴霧ノズル12への入口側温度が、噴霧ノズル12への原料油の入口側温度と同一であるか又はそれ以上とし、更に好ましくは、媒体に熱媒又は原料油を使用している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温燃焼ガス流に噴霧ノズルを用いて、例えば炭化水素油等からなる原料油を吹き込んで、カーボンブラックを製造する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファーネス法によりカーボンブラックを製造するには、例えば、特許文献1に記載のように、一般に円筒状のカーボンブラック製造炉の基側に、炉軸方向又はその接線方向に酸素含有ガスと燃料を導入して、これらの燃焼によって高温燃焼ガス流を形成し、この高温燃焼ガス流中に噴霧ノズルより原料炭化水素を導入してカーボンブラックを生成させている。
そして、噴霧ノズルは周囲の高温燃焼ガス流によって加熱されるので、外側に冷却媒体のジャケット部を設け、この噴霧ノズルの温度上昇を抑制している。
【0003】
【特許文献1】
特開平3−68665号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のカーボンブラックの製造装置においては、原料を供給する噴霧ノズルの冷却には媒体(即ち、冷却媒体)として水を使用しているので、以下のような問題があった。
(1)冷却媒体である水の温度は、例えば噴霧ノズルの入口側で43℃、出口側で60℃程度であったが、60℃程度の温水では熱回収も難しく他に用途がないので、そのまま外部に捨てていた。このため、熱エネルギーと水を無駄にしていた。勿論、冷却水をある程度循環させれば、更に高温の温水を確保することも可能であるが、それでも100℃未満であり、カーボンブラックを製造しようとする化学工場では用途がない。
(2)噴霧ノズルに供給する冷却水によって、噴霧ノズルから供給される原料が冷やされ、このため、原料の粘度が大きくなって、噴霧される原料の粒径が大きくなりやすく、更には、熱効率も低下する。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、媒体によって回収される熱エネルギーの利用が可能であって、しかも原料油の温度が高く粘性も低くできるカーボンブラックの製造方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係るカーボンブラックの製造方法は、一部又は全部が高温燃焼ガス中にある噴霧ノズルから、原料油を高温燃焼ガス流中に噴霧して反応させ、この原料油からカーボンブラックを製造するカーボンブラックの製造方法において、
前記噴霧ノズルに、該噴霧ノズルと前記原料油を加熱又は冷却可能な媒体を流す媒体流路を備え、
前記媒体の前記噴霧ノズルへの入口側温度が、前記噴霧ノズルへの前記原料油の入口側温度と同一であるか又はそれ以上としている。
これによって、噴霧ノズルを通過する媒体によって原料油を加熱又は冷却することが可能となり、更には、噴霧ノズルから出る媒体の温度が高くなるので、媒体が吸収した熱エネルギーの利用が容易となる。
【0006】
また、第2の発明に係るカーボンブラックの製造方法は、第1の発明に係るカーボンブラックの製造方法において、前記媒体は高沸点油からなる熱媒であって、前記噴霧ノズルの入口側温度が、前記原料油の沸点温度以下の高温度状態である。
これによって、原料油を加熱することができると共に、媒体の温度を高温度とすることができるので、熱回収が容易となる。
第3の発明に係るカーボンブラックの製造方法は、第1及び第2の発明に係るカーボンブラックの製造方法において、前記媒体が前記噴霧ノズルを通過することによって得た熱エネルギーによって、前記原料油及び/又は前記高温燃焼ガス流を発生する燃焼用バーナの燃料を予熱している。
これによって、噴霧ノズルに吸収される熱エネルギーを直接回収できる。
【0007】
第4の発明に係るカーボンブラックの製造方法は、第1の発明に係るカーボンブラックの製造方法において、前記媒体が、前記原料油自体である。
これによって、原料油で熱エネルギーを回収すると共に、原料油を加熱して粘性を低くし、流動性を増して噴霧される原料油をより小粒とすることができる。
第5の発明に係るカーボンブラックの製造方法は、第4の発明に係るカーボンブラックの製造方法において、前記媒体が前記噴霧ノズルを通過することによって得た熱エネルギーによって、前記高温燃焼ガス流を発生する燃焼用バーナの燃料を予熱している。
第6の発明に係るカーボンブラックの製造方法は、第4及び第5の発明に係るカーボンブラックの製造方法において、前記媒体の循環路には、該媒体の温度調整手段を有し、前記噴霧ノズルに供給する前記媒体の温度を制御している。
【0008】
第7の発明に係るカーボンブラックの製造装置は、燃料と酸素含有ガスを燃焼させて高温燃焼ガス流を発生させる高温燃焼ガス流発生部と、該高温燃焼ガス流発生部に配置されて、原料油を噴射する噴霧ノズルとを備え、しかも該噴霧ノズルには、その外側に該噴霧ノズル自体を加熱又は冷却可能な媒体を流す媒体流路を有し、前記噴霧ノズルから前記高温燃焼ガス流中に前記原料油を噴霧してカーボンブラックを製造するカーボンブラックの製造装置において、
前記媒体としてその沸点が前記原料油の沸点より高い高沸点油からなる熱媒を使用し、前記媒体の循環路に前記噴霧ノズルから与えられた熱エネルギーを回収する熱交換器を設けている。
これによって、噴霧ノズルから回収される熱エネルギーは、熱交換器によって回収され、この場合、媒体の温度を高くすることによって熱効率が増す。
第8の発明に係るカーボンブラックの製造装置は、第7の発明に係るカーボンブラックの製造装置において、前記熱交換器によって、前記高温燃焼ガス流の発生用の燃料及び/又は前記原料油を加熱している。
【0009】
そして、第9の発明に係るカーボンブラックの製造装置は、燃料と酸素含有ガスを燃焼させて高温燃焼ガス流を発生させる高温燃焼ガス流発生部と、該高温燃焼ガス流発生部に配置されて、原料油を噴射する噴霧ノズルとを備え、しかも該噴霧ノズルには、その外側に該噴霧ノズル自体を加熱又は冷却可能な媒体を流す媒体流路を有し、前記噴霧ノズルから前記高温燃焼ガス流中に前記原料油を噴霧してカーボンブラックを製造するカーボンブラックの製造装置において、
前記媒体が前記原料油自体であり、前記噴霧ノズルで前記原料油の予熱を行い、更に前記媒体の循環路に、該媒体の温度調整を行う温度調整手段を設けている。これによって、原料油が加熱されるので、粘性が小さくなり、熱効率も向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の第1の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置の概略説明図、図2は本発明の第2の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置の説明図、図3は本発明の第3の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置の説明図である。
【0011】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置10は、高温燃焼ガス流の発生部(高温燃焼ガス流発生部)となる炉体11と、炉体11の軸心に配置されている噴霧ノズル12とを有している。炉体11は先側がテーパー部13を有し、更にその下流側にはカーボンブラックの生成を行う絞り部14を備え、絞り部14の更に下流側にはカーボンブラックの生成反応を停止させる図示しない反応停止領域を有している。
炉体11の側壁基部には、接線方向又は接線方向よりやや内側を向けて複数の燃焼用バーナ15が設けられ、酸素含有ガスと燃料とを供給して混合燃焼し、炉体11内に高温燃焼ガスの旋回流を発生させている。
【0012】
炉体11の軸心に配置された噴霧ノズル12は、図1に示すように中央の原料油噴出管16と、その周囲に設けられ、媒体の温度によって冷却部とも加熱部ともなる媒体流路17とを有し、炉体11に対して噴霧ノズル12は進退可能に配置されている。
媒体流路17は、同心上に配置され、前後を閉塞された外管18及び内管19と、外管18及び内管19の間に配置され、外管18及び内管19内に外側流路20及び内側流路21を形成する仕切り管22とを備えている。仕切り管22の先側には連通部23が形成され、外側流路20及び内側流路21を連通している。媒体流路17の基側には、内側流路21に繋がる媒体の流入口24と外側流路20に繋がる媒体の流出口25が設けられている。
【0013】
そして、カーボンブラックの製造装置10は、炉体11及び噴霧ノズル12とは別に、媒体の一例である熱媒の貯留タンク26、貯留タンク26から熱媒を送り出すポンプ27が設けられ、噴霧ノズル12の流入口24から熱媒を供給して、媒体流路17を通って流出口25から排出されるようになっている。流出口25から排出された熱媒は、熱媒の循環路に設けた第1の熱交換器28及び第2の熱交換器29を介して貯留タンク26に戻るようになっている。
熱媒の循環路に含まれるこの貯留タンク26内には、図示しない温度調整手段が設けられ、常時熱媒の温度を一定温度(例えば、200℃)に保持するようにしている。流入口24から供給され、媒体流路17を通過する熱媒は燃焼用バーナ15から発生する高温燃焼ガスによって加熱され、例えば、約300℃になって流出口25から排出される。これによって、噴霧ノズル12の温度は最高が例えば300℃程度に保持され、熱媒によって冷却されていることになる。
【0014】
一方、媒体流路17を通過する単位時間当たりの熱媒の量をQkg/h、比熱をρとすると、以上のような場合、噴霧ノズル12を通過することによって、熱媒は(300−200)×Q×ρ(Kcal/h)の熱量を吸収することになる。これを第1の熱交換器28に通して、原料油(例えば、クレオソート油)を加熱する。具体的には80℃の原料油を約150℃に加熱することができる。熱媒の噴霧ノズル12への入口側温度が原料油の噴霧ノズル12への入口側温度と同一かそれ以上となる。
そして、150℃の原料油を原料油噴出管16に供給すると、通過する間に200〜300℃の熱媒によって加熱され、先部のノズルから高温燃焼ガス中に噴出される。この場合、原料油は更に加熱されて粘性が低くなり、更には一部が気化して先部のノズルから、高温燃焼ガス流中に噴出される。これによって、原料油の噴霧ノズル12から噴出される粒の径をより小さくし、更には、熱効率を高めて、より粒径の小さいカーボンブラックが形成される。
第1の熱交換器28を通過した熱媒は第2の熱交換器29に入り、燃焼用バーナ15の燃料油(一般には重油)を、約80℃から150℃に加熱する。これによって、熱媒は約200℃になって、貯留タンク26に戻る。
なお、貯留タンク26に戻る熱媒の温度が200℃を超える場合には、前記した温度調整手段によって降温し、200℃未満の場合には、温度調整手段によって昇温する。また、ポンプ27の回転速度を変えて、熱媒の供給量を変え、熱媒の温度を最適温度(原料油の沸点温度以下の高温度状態)に調整することもできる。
この実施の形態のように、噴霧ノズル12に原料油より温度の高い熱媒(高沸点油からなる)を供給して、原料油を加熱すると共に、更に熱媒を水の沸点より十分高温度に加熱して熱回収を行うことができる。
なお、この実施の形態においては、第1の熱交換器28で原料油を予熱し、第2の熱交換器29で燃料油を加熱したが、これに限定されず、他の液体(例えば、水)又は気体の加熱に使用してもよい。
【0015】
続いて、図2に示す本発明の第2の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置31について説明する。なお、カーボンブラックを製造する炉体及び噴霧ノズルの構造は第1の実施の形態と同じであるので、同一の番号を付して詳しい説明は省略する(以下の実施の形態においても同様)。
第2の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置31は、原料油(例えば、クレオソート油)を媒体(即ち、冷却媒体)として使用するもので、媒体流路17及びその軸心に配置された原料油噴出管16を備えた噴霧ノズル12を備えている。媒体流路17の流入口24には、原料油タンク32に貯留された原料油がポンプ33及び流量計34を介して供給されている。媒体流路17の流出口25からは、加熱された原料油を排出し、その一部を絞り弁35を介して原料油噴出管16に供給し、残りの原料油をクーラー36を介して原料油タンク32に戻している。
【0016】
原料油タンク32には常時その沸点以下(又は未満)の約150〜180℃に加熱された原料油が貯留され、噴霧ノズル12に送られ、周囲の高温燃焼ガス流(1500〜2000℃)から噴霧ノズル12の過熱を防止している。噴霧ノズル12によってその沸点以下の約200〜230℃に加熱されて、流出口25から排出され、その一部は、絞り弁35を介して原料油噴出管16に供給される。この実施の形態においては、媒体流路17を流れる原料油は、例えば約30m3 /hであるのに対して、原料油噴出管16に供給される原料油は1.5〜3m3 /hである。
媒体流路17で加熱された原料油はそのまま戻すと、原料油の温度が徐々に上がるので、途中にクーラー36が設けられて、原料油の温度を150〜180℃程度に下げている。なお、このクーラー36の代わりに、原料油タンク32内に温度調整手段(例えば、冷却配管及び加熱配管)を設けることによって、温度を調整することもできる。
原料油噴出管16に供給された原料油は、先端のノズルから高温燃焼ガス流中に吹き込まれる。この実施の形態においては、原料油は原料油噴出管16の入り側部分で沸点以下になるように、ポンプ33の供給量、クーラー36の冷却状態を調整するのが好ましい。
【0017】
次に、図3を参照しながら本発明の第3の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置38について説明する。この実施の形態においては、原料油を冷却用の媒体として使用し、更に、加熱された原料油を用いて燃焼用バーナ15の燃料の加熱を行っている。
即ち、図3に示すように、原料油タンク32からポンプ33を介して、150〜180℃の例えば、クレオソート油からなる原料油が媒体流路17の媒体の流入口24に供給される。媒体流路17を原料油が通過すると原料油によって噴霧ノズル12が冷却されるが、原料油は加熱されて、噴霧ノズル12の流出口25から排出される。流出口25から排出された原料油の一部は絞り弁35を介して原料油噴出管16に供給され、残りは絞り弁39、熱交換器40を介して原料油タンク32に戻る。熱交換器40においては、燃焼用バーナ15の燃料が予熱されて、熱エネルギーの回収が行われ媒体と原料油の温度が制御されている。
【0018】
原料油噴出管16を通過した原料油は先部のノズルから高温燃焼ガス流中に噴出される。ここで、原料油は噴出ノズル12の媒体流路17によって予熱されているので、沸点により近い温度になって、効率的に噴霧ノズル12から噴出される。原料油は、原料油噴出管16の基側の部分で沸点を超えないように、全体の温度制御を行うのが好ましい。この実施の形態では、熱交換器40で燃料油が加熱されているが、他の液体又は気体であってもよい。
なお、原料油を使用すると原料油タンク32内の原料油が減少するので、弁42を開いて新しい原料油を供給する。この原料の供給に当たって、原料油タンク32の液面レベルをセンサーで検知し、液面が所定値より低い場合には自動的に弁42を開く制御を行うのが好ましい。また、原料油タンク32内には温度調整手段41が設けられて、原料油を所定温度に保持している。
【0019】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、前記実施の形態を組み合わせて発明を構成する場合にも適用される。また、前記実施の形態では原料油としてクレオソート油を用いたが、別の原料油、例えば、重油、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタリン、アントラセン等の芳香族炭化水素、カルボン酸油等の石炭系炭化水素、エチレンヘビーエンドオイル、FCCオイル等の石油系重質油、アセチレン系不飽和炭化水素、エチレン系炭化水素、ペンタンやヘキサン等の脂肪族飽和炭化水素が好適に用いられる。
また、前記実施の形態においては、媒体流路に対して原料油噴出管の位置は一定であったが、媒体流路に対して原料油噴出管を進退自在に設けることもでき、これによって、原料油噴出管を高温燃焼ガス流中に露出させ、原料油噴出管の先部を加熱して原料油の温度を更に上昇させることもできる。この場合、原料油は液体の状態より、気液混合状態であるのがより好ましい。なお、噴霧ノズルの一部又は全部が高温燃焼ガス中に露出してもよい。
更には、前記実施の形態においては、噴霧ノズルとして原料油のみを噴出する一流体ノズルで説明したが、噴霧ノズルに原料油と気体(例えば、空気)を同時に供給して噴霧ノズルの先部が混合し、気体圧によって原料油を吹き出す二流体ノズルにも本発明は当然適用できる。
【0020】
【発明の効果】
請求項1〜6記載のカーボンブラックの製造方法においては、媒体の噴霧ノズルへの入口側温度が、噴霧ノズルへの原料油の入口側温度と同一であるか又はそれ以上であり、噴霧ノズルを冷却しようとする媒体によって原料油が冷却されないので、熱効率が向上する。更には、原料油の流動性も確保できる。
特に、請求項2記載のカーボンブラックの製造方法においては、媒体は高沸点油からなる熱媒であって、原料油の沸点温度以下の高温度状態で、噴霧ノズルに供給されているので、原料油を積極的に加熱し、更には、噴霧ノズルから排出される媒体は更に高温になるので、熱回収が容易となる。
【0021】
請求項3記載のカーボンブラックの製造方法においては、媒体が噴霧ノズルを通過することによって得た熱エネルギーによって、原料油及び/又は高温燃焼ガス流を発生する燃焼用バーナの燃料を予熱しているので、全体的な熱効率が向上する。
請求項4記載のカーボンブラックの製造方法においては、媒体が、原料油自体であるので、原料油の直接予熱が可能となる。
請求項5記載のカーボンブラックの製造方法においては、媒体が噴霧ノズルを通過することによって得た熱エネルギーによって、高温燃焼ガス流を発生する燃焼用バーナの燃料を予熱するので、全体的熱効率が向上する。
請求項6記載のカーボンブラックの製造方法においては、媒体の循環路には温度調整手段が設けられ、噴霧ノズルに供給する媒体の温度が制御されているので、制御系が安定し結果として設備自体の運転状態が安定する。
【0022】
請求項7及び8記載のカーボンブラックの製造装置においては、噴霧ノズルの媒体に高沸点油からなる熱媒を使用し、熱媒の循環路に噴霧ノズルから与えられた熱エネルギーを回収する熱交換器を設けたので、媒体の温度を可能な限り上げることが可能となり、これによって、原料油の加熱が可能となり、更には熱回収が容易となる。
特に、請求項8記載のカーボンブラックの製造装置においては、熱交換器によって、原料油及び/又は高温燃焼ガス流を発生させる燃焼用バーナの燃料を加熱したので、全体的な熱効率が向上する。
請求項9記載のカーボンブラックの製造装置においては、噴霧ノズルの媒体に原料油自体を使用し、噴霧ノズルで原料油の予熱を行い、更に媒体の循環路に温度調整を行う温度調整手段を設けているので、原料油の直接加熱が可能となり、より効率的に設備の運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置の概略説明図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置の概略説明図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置の概略説明図である。
【符号の説明】
10:カーボンブラックの製造装置、11:炉体、12:噴霧ノズル、13:テーパー部、14:絞り部、15:燃焼用バーナ、16:原料油噴出管、17:媒体流路、18:外管、19:内管、20:外側流路、21:内側流路、22:仕切り管、23:連通部、24:流入口、25:流出口、26:貯留タンク、27:ポンプ、28:第1の熱交換器、29:第2の熱交換器、31:カーボンブラックの製造装置、32:原料油タンク、33:ポンプ、34:流量計、35:絞り弁、36:クーラー、38:カーボンブラックの製造装置、39:絞り弁、40:熱交換器、41:温度調整手段、42:弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温燃焼ガス流に噴霧ノズルを用いて、例えば炭化水素油等からなる原料油を吹き込んで、カーボンブラックを製造する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファーネス法によりカーボンブラックを製造するには、例えば、特許文献1に記載のように、一般に円筒状のカーボンブラック製造炉の基側に、炉軸方向又はその接線方向に酸素含有ガスと燃料を導入して、これらの燃焼によって高温燃焼ガス流を形成し、この高温燃焼ガス流中に噴霧ノズルより原料炭化水素を導入してカーボンブラックを生成させている。
そして、噴霧ノズルは周囲の高温燃焼ガス流によって加熱されるので、外側に冷却媒体のジャケット部を設け、この噴霧ノズルの温度上昇を抑制している。
【0003】
【特許文献1】
特開平3−68665号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のカーボンブラックの製造装置においては、原料を供給する噴霧ノズルの冷却には媒体(即ち、冷却媒体)として水を使用しているので、以下のような問題があった。
(1)冷却媒体である水の温度は、例えば噴霧ノズルの入口側で43℃、出口側で60℃程度であったが、60℃程度の温水では熱回収も難しく他に用途がないので、そのまま外部に捨てていた。このため、熱エネルギーと水を無駄にしていた。勿論、冷却水をある程度循環させれば、更に高温の温水を確保することも可能であるが、それでも100℃未満であり、カーボンブラックを製造しようとする化学工場では用途がない。
(2)噴霧ノズルに供給する冷却水によって、噴霧ノズルから供給される原料が冷やされ、このため、原料の粘度が大きくなって、噴霧される原料の粒径が大きくなりやすく、更には、熱効率も低下する。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、媒体によって回収される熱エネルギーの利用が可能であって、しかも原料油の温度が高く粘性も低くできるカーボンブラックの製造方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係るカーボンブラックの製造方法は、一部又は全部が高温燃焼ガス中にある噴霧ノズルから、原料油を高温燃焼ガス流中に噴霧して反応させ、この原料油からカーボンブラックを製造するカーボンブラックの製造方法において、
前記噴霧ノズルに、該噴霧ノズルと前記原料油を加熱又は冷却可能な媒体を流す媒体流路を備え、
前記媒体の前記噴霧ノズルへの入口側温度が、前記噴霧ノズルへの前記原料油の入口側温度と同一であるか又はそれ以上としている。
これによって、噴霧ノズルを通過する媒体によって原料油を加熱又は冷却することが可能となり、更には、噴霧ノズルから出る媒体の温度が高くなるので、媒体が吸収した熱エネルギーの利用が容易となる。
【0006】
また、第2の発明に係るカーボンブラックの製造方法は、第1の発明に係るカーボンブラックの製造方法において、前記媒体は高沸点油からなる熱媒であって、前記噴霧ノズルの入口側温度が、前記原料油の沸点温度以下の高温度状態である。
これによって、原料油を加熱することができると共に、媒体の温度を高温度とすることができるので、熱回収が容易となる。
第3の発明に係るカーボンブラックの製造方法は、第1及び第2の発明に係るカーボンブラックの製造方法において、前記媒体が前記噴霧ノズルを通過することによって得た熱エネルギーによって、前記原料油及び/又は前記高温燃焼ガス流を発生する燃焼用バーナの燃料を予熱している。
これによって、噴霧ノズルに吸収される熱エネルギーを直接回収できる。
【0007】
第4の発明に係るカーボンブラックの製造方法は、第1の発明に係るカーボンブラックの製造方法において、前記媒体が、前記原料油自体である。
これによって、原料油で熱エネルギーを回収すると共に、原料油を加熱して粘性を低くし、流動性を増して噴霧される原料油をより小粒とすることができる。
第5の発明に係るカーボンブラックの製造方法は、第4の発明に係るカーボンブラックの製造方法において、前記媒体が前記噴霧ノズルを通過することによって得た熱エネルギーによって、前記高温燃焼ガス流を発生する燃焼用バーナの燃料を予熱している。
第6の発明に係るカーボンブラックの製造方法は、第4及び第5の発明に係るカーボンブラックの製造方法において、前記媒体の循環路には、該媒体の温度調整手段を有し、前記噴霧ノズルに供給する前記媒体の温度を制御している。
【0008】
第7の発明に係るカーボンブラックの製造装置は、燃料と酸素含有ガスを燃焼させて高温燃焼ガス流を発生させる高温燃焼ガス流発生部と、該高温燃焼ガス流発生部に配置されて、原料油を噴射する噴霧ノズルとを備え、しかも該噴霧ノズルには、その外側に該噴霧ノズル自体を加熱又は冷却可能な媒体を流す媒体流路を有し、前記噴霧ノズルから前記高温燃焼ガス流中に前記原料油を噴霧してカーボンブラックを製造するカーボンブラックの製造装置において、
前記媒体としてその沸点が前記原料油の沸点より高い高沸点油からなる熱媒を使用し、前記媒体の循環路に前記噴霧ノズルから与えられた熱エネルギーを回収する熱交換器を設けている。
これによって、噴霧ノズルから回収される熱エネルギーは、熱交換器によって回収され、この場合、媒体の温度を高くすることによって熱効率が増す。
第8の発明に係るカーボンブラックの製造装置は、第7の発明に係るカーボンブラックの製造装置において、前記熱交換器によって、前記高温燃焼ガス流の発生用の燃料及び/又は前記原料油を加熱している。
【0009】
そして、第9の発明に係るカーボンブラックの製造装置は、燃料と酸素含有ガスを燃焼させて高温燃焼ガス流を発生させる高温燃焼ガス流発生部と、該高温燃焼ガス流発生部に配置されて、原料油を噴射する噴霧ノズルとを備え、しかも該噴霧ノズルには、その外側に該噴霧ノズル自体を加熱又は冷却可能な媒体を流す媒体流路を有し、前記噴霧ノズルから前記高温燃焼ガス流中に前記原料油を噴霧してカーボンブラックを製造するカーボンブラックの製造装置において、
前記媒体が前記原料油自体であり、前記噴霧ノズルで前記原料油の予熱を行い、更に前記媒体の循環路に、該媒体の温度調整を行う温度調整手段を設けている。これによって、原料油が加熱されるので、粘性が小さくなり、熱効率も向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の第1の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置の概略説明図、図2は本発明の第2の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置の説明図、図3は本発明の第3の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置の説明図である。
【0011】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置10は、高温燃焼ガス流の発生部(高温燃焼ガス流発生部)となる炉体11と、炉体11の軸心に配置されている噴霧ノズル12とを有している。炉体11は先側がテーパー部13を有し、更にその下流側にはカーボンブラックの生成を行う絞り部14を備え、絞り部14の更に下流側にはカーボンブラックの生成反応を停止させる図示しない反応停止領域を有している。
炉体11の側壁基部には、接線方向又は接線方向よりやや内側を向けて複数の燃焼用バーナ15が設けられ、酸素含有ガスと燃料とを供給して混合燃焼し、炉体11内に高温燃焼ガスの旋回流を発生させている。
【0012】
炉体11の軸心に配置された噴霧ノズル12は、図1に示すように中央の原料油噴出管16と、その周囲に設けられ、媒体の温度によって冷却部とも加熱部ともなる媒体流路17とを有し、炉体11に対して噴霧ノズル12は進退可能に配置されている。
媒体流路17は、同心上に配置され、前後を閉塞された外管18及び内管19と、外管18及び内管19の間に配置され、外管18及び内管19内に外側流路20及び内側流路21を形成する仕切り管22とを備えている。仕切り管22の先側には連通部23が形成され、外側流路20及び内側流路21を連通している。媒体流路17の基側には、内側流路21に繋がる媒体の流入口24と外側流路20に繋がる媒体の流出口25が設けられている。
【0013】
そして、カーボンブラックの製造装置10は、炉体11及び噴霧ノズル12とは別に、媒体の一例である熱媒の貯留タンク26、貯留タンク26から熱媒を送り出すポンプ27が設けられ、噴霧ノズル12の流入口24から熱媒を供給して、媒体流路17を通って流出口25から排出されるようになっている。流出口25から排出された熱媒は、熱媒の循環路に設けた第1の熱交換器28及び第2の熱交換器29を介して貯留タンク26に戻るようになっている。
熱媒の循環路に含まれるこの貯留タンク26内には、図示しない温度調整手段が設けられ、常時熱媒の温度を一定温度(例えば、200℃)に保持するようにしている。流入口24から供給され、媒体流路17を通過する熱媒は燃焼用バーナ15から発生する高温燃焼ガスによって加熱され、例えば、約300℃になって流出口25から排出される。これによって、噴霧ノズル12の温度は最高が例えば300℃程度に保持され、熱媒によって冷却されていることになる。
【0014】
一方、媒体流路17を通過する単位時間当たりの熱媒の量をQkg/h、比熱をρとすると、以上のような場合、噴霧ノズル12を通過することによって、熱媒は(300−200)×Q×ρ(Kcal/h)の熱量を吸収することになる。これを第1の熱交換器28に通して、原料油(例えば、クレオソート油)を加熱する。具体的には80℃の原料油を約150℃に加熱することができる。熱媒の噴霧ノズル12への入口側温度が原料油の噴霧ノズル12への入口側温度と同一かそれ以上となる。
そして、150℃の原料油を原料油噴出管16に供給すると、通過する間に200〜300℃の熱媒によって加熱され、先部のノズルから高温燃焼ガス中に噴出される。この場合、原料油は更に加熱されて粘性が低くなり、更には一部が気化して先部のノズルから、高温燃焼ガス流中に噴出される。これによって、原料油の噴霧ノズル12から噴出される粒の径をより小さくし、更には、熱効率を高めて、より粒径の小さいカーボンブラックが形成される。
第1の熱交換器28を通過した熱媒は第2の熱交換器29に入り、燃焼用バーナ15の燃料油(一般には重油)を、約80℃から150℃に加熱する。これによって、熱媒は約200℃になって、貯留タンク26に戻る。
なお、貯留タンク26に戻る熱媒の温度が200℃を超える場合には、前記した温度調整手段によって降温し、200℃未満の場合には、温度調整手段によって昇温する。また、ポンプ27の回転速度を変えて、熱媒の供給量を変え、熱媒の温度を最適温度(原料油の沸点温度以下の高温度状態)に調整することもできる。
この実施の形態のように、噴霧ノズル12に原料油より温度の高い熱媒(高沸点油からなる)を供給して、原料油を加熱すると共に、更に熱媒を水の沸点より十分高温度に加熱して熱回収を行うことができる。
なお、この実施の形態においては、第1の熱交換器28で原料油を予熱し、第2の熱交換器29で燃料油を加熱したが、これに限定されず、他の液体(例えば、水)又は気体の加熱に使用してもよい。
【0015】
続いて、図2に示す本発明の第2の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置31について説明する。なお、カーボンブラックを製造する炉体及び噴霧ノズルの構造は第1の実施の形態と同じであるので、同一の番号を付して詳しい説明は省略する(以下の実施の形態においても同様)。
第2の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置31は、原料油(例えば、クレオソート油)を媒体(即ち、冷却媒体)として使用するもので、媒体流路17及びその軸心に配置された原料油噴出管16を備えた噴霧ノズル12を備えている。媒体流路17の流入口24には、原料油タンク32に貯留された原料油がポンプ33及び流量計34を介して供給されている。媒体流路17の流出口25からは、加熱された原料油を排出し、その一部を絞り弁35を介して原料油噴出管16に供給し、残りの原料油をクーラー36を介して原料油タンク32に戻している。
【0016】
原料油タンク32には常時その沸点以下(又は未満)の約150〜180℃に加熱された原料油が貯留され、噴霧ノズル12に送られ、周囲の高温燃焼ガス流(1500〜2000℃)から噴霧ノズル12の過熱を防止している。噴霧ノズル12によってその沸点以下の約200〜230℃に加熱されて、流出口25から排出され、その一部は、絞り弁35を介して原料油噴出管16に供給される。この実施の形態においては、媒体流路17を流れる原料油は、例えば約30m3 /hであるのに対して、原料油噴出管16に供給される原料油は1.5〜3m3 /hである。
媒体流路17で加熱された原料油はそのまま戻すと、原料油の温度が徐々に上がるので、途中にクーラー36が設けられて、原料油の温度を150〜180℃程度に下げている。なお、このクーラー36の代わりに、原料油タンク32内に温度調整手段(例えば、冷却配管及び加熱配管)を設けることによって、温度を調整することもできる。
原料油噴出管16に供給された原料油は、先端のノズルから高温燃焼ガス流中に吹き込まれる。この実施の形態においては、原料油は原料油噴出管16の入り側部分で沸点以下になるように、ポンプ33の供給量、クーラー36の冷却状態を調整するのが好ましい。
【0017】
次に、図3を参照しながら本発明の第3の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置38について説明する。この実施の形態においては、原料油を冷却用の媒体として使用し、更に、加熱された原料油を用いて燃焼用バーナ15の燃料の加熱を行っている。
即ち、図3に示すように、原料油タンク32からポンプ33を介して、150〜180℃の例えば、クレオソート油からなる原料油が媒体流路17の媒体の流入口24に供給される。媒体流路17を原料油が通過すると原料油によって噴霧ノズル12が冷却されるが、原料油は加熱されて、噴霧ノズル12の流出口25から排出される。流出口25から排出された原料油の一部は絞り弁35を介して原料油噴出管16に供給され、残りは絞り弁39、熱交換器40を介して原料油タンク32に戻る。熱交換器40においては、燃焼用バーナ15の燃料が予熱されて、熱エネルギーの回収が行われ媒体と原料油の温度が制御されている。
【0018】
原料油噴出管16を通過した原料油は先部のノズルから高温燃焼ガス流中に噴出される。ここで、原料油は噴出ノズル12の媒体流路17によって予熱されているので、沸点により近い温度になって、効率的に噴霧ノズル12から噴出される。原料油は、原料油噴出管16の基側の部分で沸点を超えないように、全体の温度制御を行うのが好ましい。この実施の形態では、熱交換器40で燃料油が加熱されているが、他の液体又は気体であってもよい。
なお、原料油を使用すると原料油タンク32内の原料油が減少するので、弁42を開いて新しい原料油を供給する。この原料の供給に当たって、原料油タンク32の液面レベルをセンサーで検知し、液面が所定値より低い場合には自動的に弁42を開く制御を行うのが好ましい。また、原料油タンク32内には温度調整手段41が設けられて、原料油を所定温度に保持している。
【0019】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、前記実施の形態を組み合わせて発明を構成する場合にも適用される。また、前記実施の形態では原料油としてクレオソート油を用いたが、別の原料油、例えば、重油、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタリン、アントラセン等の芳香族炭化水素、カルボン酸油等の石炭系炭化水素、エチレンヘビーエンドオイル、FCCオイル等の石油系重質油、アセチレン系不飽和炭化水素、エチレン系炭化水素、ペンタンやヘキサン等の脂肪族飽和炭化水素が好適に用いられる。
また、前記実施の形態においては、媒体流路に対して原料油噴出管の位置は一定であったが、媒体流路に対して原料油噴出管を進退自在に設けることもでき、これによって、原料油噴出管を高温燃焼ガス流中に露出させ、原料油噴出管の先部を加熱して原料油の温度を更に上昇させることもできる。この場合、原料油は液体の状態より、気液混合状態であるのがより好ましい。なお、噴霧ノズルの一部又は全部が高温燃焼ガス中に露出してもよい。
更には、前記実施の形態においては、噴霧ノズルとして原料油のみを噴出する一流体ノズルで説明したが、噴霧ノズルに原料油と気体(例えば、空気)を同時に供給して噴霧ノズルの先部が混合し、気体圧によって原料油を吹き出す二流体ノズルにも本発明は当然適用できる。
【0020】
【発明の効果】
請求項1〜6記載のカーボンブラックの製造方法においては、媒体の噴霧ノズルへの入口側温度が、噴霧ノズルへの原料油の入口側温度と同一であるか又はそれ以上であり、噴霧ノズルを冷却しようとする媒体によって原料油が冷却されないので、熱効率が向上する。更には、原料油の流動性も確保できる。
特に、請求項2記載のカーボンブラックの製造方法においては、媒体は高沸点油からなる熱媒であって、原料油の沸点温度以下の高温度状態で、噴霧ノズルに供給されているので、原料油を積極的に加熱し、更には、噴霧ノズルから排出される媒体は更に高温になるので、熱回収が容易となる。
【0021】
請求項3記載のカーボンブラックの製造方法においては、媒体が噴霧ノズルを通過することによって得た熱エネルギーによって、原料油及び/又は高温燃焼ガス流を発生する燃焼用バーナの燃料を予熱しているので、全体的な熱効率が向上する。
請求項4記載のカーボンブラックの製造方法においては、媒体が、原料油自体であるので、原料油の直接予熱が可能となる。
請求項5記載のカーボンブラックの製造方法においては、媒体が噴霧ノズルを通過することによって得た熱エネルギーによって、高温燃焼ガス流を発生する燃焼用バーナの燃料を予熱するので、全体的熱効率が向上する。
請求項6記載のカーボンブラックの製造方法においては、媒体の循環路には温度調整手段が設けられ、噴霧ノズルに供給する媒体の温度が制御されているので、制御系が安定し結果として設備自体の運転状態が安定する。
【0022】
請求項7及び8記載のカーボンブラックの製造装置においては、噴霧ノズルの媒体に高沸点油からなる熱媒を使用し、熱媒の循環路に噴霧ノズルから与えられた熱エネルギーを回収する熱交換器を設けたので、媒体の温度を可能な限り上げることが可能となり、これによって、原料油の加熱が可能となり、更には熱回収が容易となる。
特に、請求項8記載のカーボンブラックの製造装置においては、熱交換器によって、原料油及び/又は高温燃焼ガス流を発生させる燃焼用バーナの燃料を加熱したので、全体的な熱効率が向上する。
請求項9記載のカーボンブラックの製造装置においては、噴霧ノズルの媒体に原料油自体を使用し、噴霧ノズルで原料油の予熱を行い、更に媒体の循環路に温度調整を行う温度調整手段を設けているので、原料油の直接加熱が可能となり、より効率的に設備の運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置の概略説明図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置の概略説明図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置の概略説明図である。
【符号の説明】
10:カーボンブラックの製造装置、11:炉体、12:噴霧ノズル、13:テーパー部、14:絞り部、15:燃焼用バーナ、16:原料油噴出管、17:媒体流路、18:外管、19:内管、20:外側流路、21:内側流路、22:仕切り管、23:連通部、24:流入口、25:流出口、26:貯留タンク、27:ポンプ、28:第1の熱交換器、29:第2の熱交換器、31:カーボンブラックの製造装置、32:原料油タンク、33:ポンプ、34:流量計、35:絞り弁、36:クーラー、38:カーボンブラックの製造装置、39:絞り弁、40:熱交換器、41:温度調整手段、42:弁
Claims (9)
- 一部又は全部が高温燃焼ガス中にある噴霧ノズルから、原料油を高温燃焼ガス流中に噴霧して反応させ、この原料油からカーボンブラックを製造するカーボンブラックの製造方法において、
前記噴霧ノズルに、該噴霧ノズルと前記原料油を加熱又は冷却可能な媒体を流す媒体流路を備え、
前記媒体の前記噴霧ノズルへの入口側温度が、前記噴霧ノズルへの前記原料油の入口側温度と同一であるか又はそれ以上であることを特徴とするカーボンブラックの製造方法。 - 請求項1記載のカーボンブラックの製造方法において、前記媒体は高沸点油からなる熱媒であって、前記噴霧ノズルの入口側温度が、前記原料油の沸点温度以下の高温度状態であることを特徴とするカーボンブラックの製造方法。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載のカーボンブラックの製造方法において、前記媒体が前記噴霧ノズルを通過することによって得た熱エネルギーによって、前記原料油及び/又は前記高温燃焼ガス流を発生する燃焼用バーナの燃料を予熱することを特徴とするカーボンブラックの製造方法。
- 請求項1記載のカーボンブラックの製造方法において、前記媒体が、前記原料油自体であることを特徴とするカーボンブラックの製造方法。
- 請求項4記載のカーボンブラックの製造方法において、前記媒体が前記噴霧ノズルを通過することによって得た熱エネルギーによって、前記高温燃焼ガス流を発生する燃焼用バーナの燃料を予熱することを特徴とするカーボンブラックの製造方法。
- 請求項4及び5のいずれか1項に記載のカーボンブラックの製造方法において、前記媒体の循環路には、該媒体の温度調整手段を有し、前記噴霧ノズルに供給する前記媒体の温度を制御することを特徴とするカーボンブラックの製造方法。
- 燃料と酸素含有ガスを燃焼させて高温燃焼ガス流を発生させる高温燃焼ガス流発生部と、該高温燃焼ガス流発生部に配置されて、原料油を噴射する噴霧ノズルとを備え、しかも該噴霧ノズルには、その外側に該噴霧ノズル自体を加熱又は冷却可能な媒体を流す媒体流路を有し、前記噴霧ノズルから前記高温燃焼ガス流中に前記原料油を噴霧してカーボンブラックを製造するカーボンブラックの製造装置において、
前記媒体としてその沸点が前記原料油の沸点より高い高沸点油からなる熱媒を使用し、前記媒体の循環路に前記噴霧ノズルから与えられた熱エネルギーを回収する熱交換器を設けたことを特徴とするカーボンブラックの製造装置。 - 請求項7記載のカーボンブラックの製造装置において、前記熱交換器によって、前記高温燃焼ガス流の発生用の燃料及び/又は前記原料油を加熱することを特徴とするカーボンブラックの製造装置。
- 燃料と酸素含有ガスを燃焼させて高温燃焼ガス流を発生させる高温燃焼ガス流発生部と、該高温燃焼ガス流発生部に配置されて、原料油を噴射する噴霧ノズルとを備え、しかも該噴霧ノズルには、その外側に該噴霧ノズル自体を加熱又は冷却可能な媒体を流す媒体流路を有し、前記噴霧ノズルから前記高温燃焼ガス流中に前記原料油を噴霧してカーボンブラックを製造するカーボンブラックの製造装置において、
前記媒体が前記原料油自体であり、前記噴霧ノズルで前記原料油の予熱を行い、更に前記媒体の循環路に、該媒体の温度調整を行う温度調整手段を設けたことを特徴とするカーボンブラックの製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003066666A JP2004277443A (ja) | 2003-03-12 | 2003-03-12 | カーボンブラックの製造方法及びその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003066666A JP2004277443A (ja) | 2003-03-12 | 2003-03-12 | カーボンブラックの製造方法及びその装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004277443A true JP2004277443A (ja) | 2004-10-07 |
Family
ID=33284501
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003066666A Pending JP2004277443A (ja) | 2003-03-12 | 2003-03-12 | カーボンブラックの製造方法及びその装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004277443A (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011096378A1 (ja) * | 2010-02-05 | 2011-08-11 | 東海カーボン株式会社 | カーボンブラック、カーボンブラックの製造方法およびゴム組成物 |
JP2013520382A (ja) * | 2010-02-19 | 2013-06-06 | キャボット コーポレイション | 予備加熱原料を用いたカーボンブラックの作製方法、およびそのための装置 |
WO2014192635A1 (ja) | 2013-05-31 | 2014-12-04 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤ及びゴムマスターバッチ |
WO2014200009A1 (ja) | 2013-06-14 | 2014-12-18 | 住友ゴム工業株式会社 | ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
EP3498492A1 (en) | 2017-12-18 | 2019-06-19 | Sumitomo Rubber Industries Ltd. | Rubber composition for tires and pneumatic tire |
EP3498771A1 (en) | 2017-12-14 | 2019-06-19 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Rubber composition for tires and pneumatic tire |
EP3501846A1 (en) | 2017-12-18 | 2019-06-26 | Sumitomo Rubber Industries Ltd. | Rubber composition for tires and pneumatic tire |
EP3501845A1 (en) | 2017-12-18 | 2019-06-26 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Rubber composition for tires and pneumatic tire |
EP3501844A1 (en) | 2017-12-18 | 2019-06-26 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Rubber composition for tires and pneumatic tire |
EP3508524A1 (en) | 2017-12-18 | 2019-07-10 | Sumitomo Rubber Industries Ltd. | Rubber composition for tires and pneumatic tire |
-
2003
- 2003-03-12 JP JP2003066666A patent/JP2004277443A/ja active Pending
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9145482B2 (en) | 2010-02-05 | 2015-09-29 | Tokai Carbon Co., Ltd. | Carbon black, method for producing carbon black, and rubber composition |
JP2011162596A (ja) * | 2010-02-05 | 2011-08-25 | Tokai Carbon Co Ltd | カーボンブラック、カーボンブラックの製造方法およびゴム組成物 |
WO2011096378A1 (ja) * | 2010-02-05 | 2011-08-11 | 東海カーボン株式会社 | カーボンブラック、カーボンブラックの製造方法およびゴム組成物 |
JP2013520382A (ja) * | 2010-02-19 | 2013-06-06 | キャボット コーポレイション | 予備加熱原料を用いたカーボンブラックの作製方法、およびそのための装置 |
US9574087B2 (en) | 2010-02-19 | 2017-02-21 | Cabot Corporation | Method for carbon black production using preheated feedstock and apparatus for same |
WO2014192635A1 (ja) | 2013-05-31 | 2014-12-04 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤ及びゴムマスターバッチ |
WO2014200009A1 (ja) | 2013-06-14 | 2014-12-18 | 住友ゴム工業株式会社 | ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
EP3498771A1 (en) | 2017-12-14 | 2019-06-19 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Rubber composition for tires and pneumatic tire |
EP3498492A1 (en) | 2017-12-18 | 2019-06-19 | Sumitomo Rubber Industries Ltd. | Rubber composition for tires and pneumatic tire |
EP3501846A1 (en) | 2017-12-18 | 2019-06-26 | Sumitomo Rubber Industries Ltd. | Rubber composition for tires and pneumatic tire |
EP3501845A1 (en) | 2017-12-18 | 2019-06-26 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Rubber composition for tires and pneumatic tire |
EP3501844A1 (en) | 2017-12-18 | 2019-06-26 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Rubber composition for tires and pneumatic tire |
EP3508524A1 (en) | 2017-12-18 | 2019-07-10 | Sumitomo Rubber Industries Ltd. | Rubber composition for tires and pneumatic tire |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6224815B2 (ja) | 増量剤流体を使用してカーボンブラックを製造するための方法 | |
JP3513662B1 (ja) | コジェネレーションシステム | |
CN100556527C (zh) | 紧凑型蒸汽重整装置 | |
CN101715529B (zh) | 辅助的flox-操作以及用于此的燃烧器 | |
JP2004277443A (ja) | カーボンブラックの製造方法及びその装置 | |
WO2019196497A1 (zh) | 一种合成气显热回收装置和回收方法及气化炉 | |
KR101278487B1 (ko) | 연료의 무염 연소 및 처리 유체의 직접 가열을 위한 직접가열 시스템의 작동 개시 방법 | |
JP2016118353A (ja) | 拡散燃焼バーナー | |
JP2008194637A (ja) | 微粒子製造装置 | |
CN1093912C (zh) | 一种液态燃料和气态燃料的处理装置 | |
US5470225A (en) | Atomizing type burner | |
JP2004051647A (ja) | 固形バイオマス燃料のガス化装置 | |
JP3916999B2 (ja) | バーナ | |
KR101620968B1 (ko) | 액체 금속을 이용한 순산소 직접 연소 시스템 | |
EP2705300A1 (en) | Cooled pilot fuel lance | |
CN202265552U (zh) | 一种用于气化炉的烧嘴 | |
JP2006189247A (ja) | 燃焼方法 | |
JP3268240B2 (ja) | 酸素吹液体燃料バーナ | |
JP4693968B2 (ja) | 炉の運転方法 | |
JP5134474B2 (ja) | 球状粒子の製造方法 | |
JP5214890B2 (ja) | 水性ガスバーナー | |
JP2008240303A (ja) | 原油抽出装置及び原油抽出装置の蒸気生成方法 | |
JP2008094671A (ja) | 燃料改質装置及びこれを利用する燃料電池発電システム | |
JP4936817B2 (ja) | 合成ガス製造用燃焼装置及び合成ガス製造方法 | |
JP2005003360A (ja) | 管状火炎バーナ |