【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線の端末処理構造に関し、更に詳しくは、摺動熱などの熱を発する各種作動機器、特に、電気自動車等に搭載されるモータやバッテリ等の作動機器に接続される電線の端末処理構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電気自動車やハイブリッド型の電気自動車などでは、モータとインバータ間、インバータとバッテリ間等に電線が使用されており、これらのモータ等の各種作動機器に接続される電線の端末部付近は、作動機器から生ずる摺動熱の影響を受けて100℃近い高温環境下にさらされる。このような作動機器との接続に使用する電線として、一般に汎用電線として普及している安価なポリ塩化ビニル樹脂製あるいはポリオレフィン系樹脂製の絶縁電線が考えられるが、耐熱性に乏しく不適当である。
【0003】
そのため、上記作動機器との接続には、高温の摺動熱にも耐え得るように、全長に亘って耐熱性の被覆部材で被覆したものを使用するか、あるいは、その導体を被覆する絶縁外被層に耐熱化処理が施されたものが使用されている。電線の絶縁外被層を耐熱化させる方法としては、絶縁外被層を構成する樹脂材料に電子線を照射等することにより架橋させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような架橋処理を施すことによって、絶縁外被層に優れた耐熱特性を具有させることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−345022号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような耐熱化処理が施された電線を得るためには、絶縁外被層に電子線を照射するなどして樹脂材料を架橋させる工程が必要となり、製造工数が増える上に、電線製品の製造コストが高くなるという問題があった。また、耐熱性が必要となるのは作動機器からの熱の影響を受ける機器との接続部分近傍だけで、そこから離れた部分は特に耐熱処理を施す必要性がないこととなり、被覆層全体を架橋ポリエチレン等で形成した上記電線では耐熱性能的に無駄が生じ、その結果、電線製品の高コスト化を招くという問題があった。このような問題は、特に、各種作動機器間の配線に電線が多用される電気自動車等において、自動車製品全体の高コスト化に直接影響してくるため重要である。
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、摺動熱を発する各種作動機器との接続部分における耐熱性が良好であり、電線製品の低廉化を図ることが可能な電線の端末処理構造を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明に係る電線の端末処理構造は、摺動熱を発する作動機器に接続される電線の端末処理構造において、電線のこれら作動機器との端末接続部分のみを耐熱被覆部で保護してなることを要旨とする。
【0008】
電線の端末接続部のみが耐熱被覆部で被覆されておれば、高温環境下にさらされる作動機器との接続部分は確実に保護されるので、従来高価な耐熱型の電線が使用されていた作動機器との接続に、比較的耐熱特性の劣る安価な汎用電線を使用することが可能となる。
【0009】
またこの場合、耐熱被覆部が耐熱性の熱収縮チューブで構成されておれば、電線の絶縁外被層の端末部分のみに耐熱性を持たせることが容易にでき、また、耐熱部分のみに耐熱性を持たせた電線を容易に作製することができる。また、接続対象となる作動機器によって生じる摺動熱の温度に違いがある場合にも、熱収縮チューブの長さを適宜調節することにより容易に対応することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る電線の端末処理構造について説明する。この電線の端末処理構造は、主に電気自動車やハイブリッド型自動車などの、バッテリ〜インバータ間やインバータ〜モータ間等の作動機器同士の接続に用いられる。これら電気自動車等の作動機器との接続部分は、作動機器から生じる摺動熱の影響を受けて100℃近い高温に達する。そこで、作動機器との接続部分を担う電線の端末部を100℃の環境下にも安定に存在し得る耐熱被覆部で保護することで、摺動熱の影響を緩和させる必要がある。
【0011】
本願発明者は、作動機器から生ずる摺動熱の温度分布を調べた結果、電線として絶縁外被層がポリ塩化ビニル(耐熱温度:約80℃)からなる汎用電線を用いた場合、上記作動機器との接続部において電線の端縁から約200mm(0.2m)離れた部分では、これら汎用電線でも十分に耐え得る程度にまで摺動熱の温度が低下するという知見を見出した。したがって、モータ等の各種作動機器に接続される電線の端部から約200mmの部分にそれぞれ耐熱被覆部を形成すれば、摺動熱からの保護が十分なものとなる。
【0012】
耐熱被覆部は、熱収縮性のチューブであることが好ましい。この熱収縮チューブは、電線の対象部分に被せ、加熱することにより収縮して電線周囲に装着されるものである。また、この熱収縮チューブは、電線周囲に装着する際に電線に先通ししておくことが必要となるが、半割状のものとすれば、後付けも可能である。なお、耐熱被覆部としては、熱収縮チューブに限られることはなく、例えば、押出成形により、耐熱被覆部を電線端末の周囲に形成するようにしても構わない。
【0013】
電線端末の周囲に形成する耐熱性の被覆層の肉厚(厚み)は、電線の絶縁外被層の肉厚の約1割程度であること、すなわち、耐熱被覆部の肉厚と電線の絶縁外被層の肉厚との比(肉厚比)が約0.1となることが好ましい。この被覆層の肉厚が薄くなりすぎると、電線に十分な耐熱性を付与することができなくなるおそれがあり、特に、被覆層が熱収縮チューブによるものである場合には、電線への締付け力が低下して被覆層としての機能を果たせなくおそれがある。一方、被覆層の肉厚が厚くなりすぎると、電線の柔軟性が低下し、特に、熱収縮チューブにおいては、熱収縮に時間が掛かってしまうという問題がある。上記電気自動車等に用いられる電線は断面積が10〜50mm2程度であり、そのうちの絶縁外被層の肉厚(厚み)は、1.0〜2.0mm程度である。したがって、形成する耐熱被覆部の肉厚としては、0.1〜0.2mm程度であることが好ましい。
【0014】
耐熱被覆部の材料としては、高耐熱特性への要望から、通常、ポリ塩化ビニル(PVC)系樹脂が使用されているが、これ以外にも、耐油性や耐薬品性に優れたポリオレフィン系樹脂であっても良い。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテン共重合体等を適用することが好ましく、これらは単独あるいは2種以上を併用してもよい。
【0015】
耐熱被覆部が被着される電線は、如何なる材質によって形成されていても良い。絶縁外被層の材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂やポリオレフィン系樹脂が使用されていても構わない。また、導体としても、銅、アルミニウムなど種々の材料が選択可能である。
【0016】
【実施例】
以下に、本発明の実施例品及び比較例品について説明する。
【0017】
(実施例品)
本発明の実施例品について、図1を参照して説明する。実施例品は、銅素線を撚り合わせてなる導体1aにポリ塩化ビニル(耐熱温度:80℃)からなる、肉厚が1.5mmの絶縁外被層1bが被覆された全長が4mの汎用電線の両側端末に、耐熱被覆部として耐熱性の熱収縮チューブ2を被覆した電線1である。熱収縮チューブ2としては、架橋ポリ塩化ビニルからなる、肉厚が約0.15mm、長さが200mmの住友電気工業(株)製の熱収縮チューブ「スミチューブ(登録商標)/商品名:スミチューブV」を使用した。本実施例品の熱収縮チューブ2の肉厚と電線の絶縁外被層1bの肉厚との比(肉厚比)は0.1である。なお、熱収縮チューブ2の耐熱温度は約105℃である。
【0018】
熱収縮チューブ2を電線1に被着するに際しては、予め熱収縮チューブ2を電線1の外周に被せ、これにドライヤ等を用いて熱風を吹き付けて熱収縮チューブ2を収縮させた。これにより、図1に示したように、電線1の端末部周囲に耐熱被覆部として熱収縮チューブ2が被着される。
【0019】
(比較例品1〜4)
比較例品1は、外径が5.0mmφの導体の周囲に、架橋ポリ塩化ビニルからなる、肉厚が1.5mmの耐熱性の絶縁外被層を被覆した全長が4mの耐熱電線である。
比較例品2は、外径が5.0mmφの導体の周囲に、ポリ塩化ビニルからなる、肉厚が1.5mmの絶縁外被層を被覆した全長が4mの汎用電線である。
比較例品3は、比較例品2で使用した汎用電線の両側端末の周囲に、架橋ポリ塩化ビニルからなる、肉厚が0.05mm、長さが200mmの住友電気工業(株)製の熱収縮チューブ「スミチューブ(登録商標)/商品名:スミチューブV」を被覆した全長が4mの電線である。この比較例品3の熱収縮チューブ2の肉厚と電線の絶縁外被層1bの肉厚との比(肉厚比)は0.03である。
比較例品4は、比較例品3と同じ熱収縮チューブを用い、肉厚を0.5mmとしたものを被覆した全長が4mの電線である。この比較例品4の熱収縮チューブ2の肉厚と電線の絶縁外被層1bの肉厚との比(肉厚比)は0.3である。
【0020】
上記実施例品及び比較例品について、100℃における耐熱性の評価と製品コストの評価を行った。以下に、具体的な評価手段について説明する。
【0021】
(100℃における耐熱性の評価)
上記実施例品及び比較例品の100℃雰囲気下における耐熱性の評価を行った。この耐熱性の評価は、高温下における電線の変形率を測定することにより行うものである。具体的には、電線上に500gの分銅を載せた状態で230℃の雰囲気下に30分間放置して、電線径が直径方向に30%以上変形(つぶれた状態)したら「不合格」と判断し、一方、変形率が30%以内であれば「合格」と判断した。
【0022】
(柔軟性の評価)
電線を折り曲げた時の手感触により柔軟性の評価を行った。この手感触により、柔軟さが十分な時を良好「○」と判断し、一方、柔軟さが不十分な時を不良「×」と判断した。
【0023】
(製品コストの評価)
実施例品及び比較例品の製品コストについて比較を行った。電線の絶縁外被層全体に耐熱処理が施された比較例品1の製品コストを基準として、比較例品の製品コストを100としたときの、その他の実施例品及び比較例品のコスト(コスト比)を求めた。
【0024】
実施例品及び比較例品の耐熱性、柔軟性、及び製品コストの評価結果について表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
表1に示した結果から、実施例品は、変形率が15%であり100℃の環境下では良好な耐熱性を呈することが分かった。また、柔軟性も良好であった。また、熱収縮チューブが電線の端縁から200mmの部分にのみ被着されているので、電線の絶縁外被全体が耐熱処理された比較例品1よりも製品コストを安く抑えられる。また、電線長が4mよりも長くなれば、耐熱被覆部(熱収縮チューブ)の電線に占める割合が小さくなるので、同じ電線長を有する耐熱電線(比較例品1)に対するコスト比はさらに低くなる。
【0027】
これに対して、比較例品1は、変形率が10%と優れた耐熱性を呈するが、絶縁外被層全体に耐熱化処理を施しているため、製品コストが高くなるという問題がある。
【0028】
比較例品2は、変形率が80%と極めて大きかった。また、比較例品3は、耐熱被覆部(熱収縮チューブ)が0.05mmと薄いため変形率が50%であり、共に十分な耐熱性が得られなかった。また、比較例品4は、耐熱被覆部(熱収縮チューブ)の厚みが0.5mmと厚く、変形率は12%と優れた耐熱性を呈するが、柔軟性に劣ることが分かった。
【0029】
以上、実施例について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記実施例では、電線の両側端末部に長さ200mmの耐熱被覆部(熱収縮チューブ)をそれぞれ被覆しているが、接続される作動機器から生じる摺動熱の温度や使用する電線の材質によって、耐熱被覆部の長さは適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0030】
【発明の効果】
本発明に係る電線の端末処理構造は、作動機器から生ずる摺動熱の影響を受ける電線の接続端末部の周囲にのみ耐熱性の被覆層が形成され、この被覆部分は摺動熱から確実に保護されるので、従来高価な耐熱型の電線が使用されていた作動機器との接続に、比較的に耐熱特性が劣る安価な汎用電線を使用することが可能となり、電線製品の低廉化を図ることができるという効果がある。
【0031】
また、耐熱被覆部が熱収縮チューブで構成されておれば、電線の絶縁外被層の端末部分のみに耐熱性を持たせることが容易にでき、また、耐熱部分のみに耐熱性を持たせた電線を容易に作製することができるという効果がある。さらには、接続対象となる作動機器から生じる摺動熱の温度に違いがある場合にも、熱収縮チューブの長さを適宜調節することによって、容易に対応することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電線の端末処理構造を示した外観図である。
【符号の説明】
1 電線
1a 導体
1b 絶縁外被層
2 耐熱被覆部(熱収縮チューブ)[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an electric wire terminal processing structure, and more particularly, to various operating devices that generate heat such as sliding heat, in particular, a terminal of an electric wire connected to an operating device such as a motor or a battery mounted on an electric vehicle or the like. Regarding the processing structure.
[0002]
[Prior art]
For example, in electric vehicles and hybrid electric vehicles and the like, electric wires are used between a motor and an inverter, between an inverter and a battery, and the like. Under the influence of the sliding heat generated from the operating device, the device is exposed to a high temperature environment near 100 ° C. An insulated wire made of inexpensive polyvinyl chloride resin or polyolefin resin, which is generally used as a general-purpose wire, is considered as an electric wire used for connection with such an operating device, but is inadequate due to poor heat resistance. .
[0003]
Therefore, in order to withstand the high-temperature sliding heat, use a cable covered with a heat-resistant covering member over its entire length, or use an insulating outside covering the conductor. What has been subjected to a heat-resistant treatment on the layer is used. As a method of increasing the heat resistance of the insulating jacket layer of the electric wire, a method of cross-linking the resin material constituting the insulating jacket layer by irradiating an electron beam or the like is known (for example, see Patent Document 1). By performing such a cross-linking treatment, the insulating jacket layer can have excellent heat resistance.
[0004]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 2001-345022
[Problems to be solved by the invention]
However, in order to obtain an electric wire that has been subjected to the above heat-resistance treatment, a step of cross-linking the resin material by, for example, irradiating the insulating jacket layer with an electron beam is required, and in addition to increasing the number of manufacturing steps, There was a problem that the manufacturing cost of the electric wire product was increased. In addition, heat resistance is required only in the vicinity of the connection with equipment that is affected by the heat from the operating equipment, and there is no need to perform heat treatment on the parts away therefrom. The above-mentioned electric wire formed of cross-linked polyethylene or the like has a problem in that heat is wasted in terms of heat resistance, resulting in an increase in cost of the electric wire product. Such a problem is particularly important in an electric vehicle or the like in which electric wires are frequently used for wiring between various operating devices, since it directly affects the cost of the entire automobile product.
[0006]
The problem to be solved by the present invention is to provide a wire terminal treatment structure that has good heat resistance at a connection portion with various operating devices that generate sliding heat and can reduce the cost of wire products. It is.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve this problem, a terminal treatment structure of an electric wire according to the present invention is a terminal treatment structure of an electric wire connected to an operating device that generates sliding heat. The gist shall be that it is protected by the department.
[0008]
If only the terminal connection part of the electric wire is covered with the heat-resistant covering part, the connection part with the operating equipment exposed to the high temperature environment is reliably protected, so the operation that used expensive expensive heat-resistant electric wire was used conventionally. An inexpensive general-purpose electric wire having relatively inferior heat resistance can be used for connection to equipment.
[0009]
Also, in this case, if the heat-resistant covering portion is made of a heat-resistant heat-shrinkable tube, it is possible to easily provide heat resistance only to the end portion of the insulating sheath layer of the electric wire, and only the heat-resistant portion has heat resistance. An electric wire having properties can be easily manufactured. Further, even when there is a difference in the temperature of the sliding heat generated by the operating device to be connected, it can be easily coped with by appropriately adjusting the length of the heat-shrinkable tube.
[0010]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the wire terminal processing structure according to the present invention will be described. This structure for terminating electric wires is mainly used for connection between operating devices, such as between a battery and an inverter or between an inverter and a motor, such as electric vehicles and hybrid vehicles. The connection portion with an operating device such as an electric vehicle reaches a high temperature close to 100 ° C. under the influence of sliding heat generated from the operating device. Therefore, it is necessary to reduce the influence of the sliding heat by protecting the terminal portion of the electric wire serving as the connection portion with the operating device with a heat-resistant covering portion that can stably exist even in an environment of 100 ° C.
[0011]
As a result of examining the temperature distribution of sliding heat generated from the operating device, the inventor of the present application has found that when a general-purpose electric wire whose insulation jacket layer is made of polyvinyl chloride (heat-resistant temperature: about 80 ° C.) is used, It has been found that the temperature of the sliding heat is reduced to a level at which the general-purpose electric wire can withstand sufficiently at a portion about 200 mm (0.2 m) away from the edge of the electric wire at the connection portion with the wire. Therefore, if the heat-resistant coatings are formed at portions approximately 200 mm from the ends of the wires connected to various operating devices such as motors, protection from sliding heat will be sufficient.
[0012]
The heat-resistant coating is preferably a heat-shrinkable tube. The heat-shrinkable tube is placed over a target portion of the electric wire, shrunk by heating, and attached around the electric wire. In addition, it is necessary that the heat-shrinkable tube be passed through the electric wire when the heat-shrinkable tube is attached around the electric wire. The heat-resistant coating is not limited to the heat-shrinkable tube, but may be formed around the wire terminal by extrusion, for example.
[0013]
The thickness (thickness) of the heat-resistant covering layer formed around the end of the electric wire is about 10% of the thickness of the insulating coating layer of the electric wire, that is, the thickness of the heat-resistant covering portion and the insulation of the electric wire. It is preferable that the ratio to the thickness of the jacket layer (thickness ratio) is about 0.1. If the thickness of the coating layer is too thin, it may not be possible to impart sufficient heat resistance to the electric wire. In particular, when the coating layer is made of a heat-shrinkable tube, the fastening force to the electric wire may be reduced. And the function as a coating layer may not be achieved. On the other hand, if the thickness of the coating layer is too thick, the flexibility of the electric wire is reduced, and in particular, in the case of a heat-shrinkable tube, there is a problem that it takes time for heat shrinkage. The electric wire used for the electric vehicle or the like has a cross-sectional area of about 10 to 50 mm 2 , and the thickness (thickness) of the insulating jacket layer is about 1.0 to 2.0 mm. Therefore, the thickness of the heat-resistant coating to be formed is preferably about 0.1 to 0.2 mm.
[0014]
As a material for the heat-resistant coating, a polyvinyl chloride (PVC) -based resin is usually used due to a demand for high heat-resistant properties. In addition, a polyolefin-based resin having excellent oil resistance and chemical resistance is used. It may be. As the polyolefin resin, for example, it is preferable to apply polyethylene, polypropylene, polybutene, ethylene-vinyl acetate copolymer, ethylene-ethyl acrylate copolymer, ethylene-propylene rubber, ethylene-butene copolymer, and the like. May be used alone or in combination of two or more.
[0015]
The electric wire to which the heat-resistant coating is applied may be formed of any material. As a material of the insulating jacket layer, for example, a polyvinyl chloride resin or a polyolefin resin may be used. As the conductor, various materials such as copper and aluminum can be selected.
[0016]
【Example】
Hereinafter, examples and comparative examples of the present invention will be described.
[0017]
(Example product)
An embodiment of the present invention will be described with reference to FIG. The product of the embodiment is a general-purpose conductor having a total length of 4 m, in which a conductor 1a formed by twisting copper wires is covered with an insulating jacket layer 1b made of polyvinyl chloride (heat-resistant temperature: 80 ° C.) and having a thickness of 1.5 mm. An electric wire 1 in which both ends of the electric wire are coated with a heat-resistant heat-shrinkable tube 2 as a heat-resistant coating portion. The heat-shrinkable tube 2 is a heat-shrinkable tube made of cross-linked polyvinyl chloride having a thickness of about 0.15 mm and a length of 200 mm manufactured by Sumitomo Electric Industries, Ltd. "Sumitube (registered trademark) / trade name: Sumitube V""It was used. The ratio (thickness ratio) between the thickness of the heat-shrinkable tube 2 and the thickness of the insulating jacket layer 1b of the electric wire of the present embodiment is 0.1. The heat-resistant temperature of the heat-shrinkable tube 2 is about 105 ° C.
[0018]
When the heat-shrinkable tube 2 was attached to the electric wire 1, the heat-shrinkable tube 2 was previously put on the outer periphery of the electric wire 1, and the heat-shrinkable tube 2 was shrunk by blowing hot air using a dryer or the like. Thereby, as shown in FIG. 1, the heat-shrinkable tube 2 is attached as a heat-resistant coating around the end of the electric wire 1.
[0019]
(Comparative products 1-4)
Comparative example product 1 is a heat-resistant electric wire having a total length of 4 m, in which a conductor having an outer diameter of 5.0 mmφ is covered with a heat-resistant insulating jacket layer made of crosslinked polyvinyl chloride and having a thickness of 1.5 mm. .
The comparative example product 2 is a general-purpose electric wire having a total length of 4 m, in which a conductor having an outer diameter of 5.0 mmφ is covered with an insulating jacket layer made of polyvinyl chloride and having a thickness of 1.5 mm.
Comparative example product 3 is a heat-generating heat-generating device made of cross-linked polyvinyl chloride having a thickness of 0.05 mm and a length of 200 mm manufactured by Sumitomo Electric Industries, Ltd., around both ends of the general-purpose electric wire used in comparative example product 2. This is an electric wire having a total length of 4 m and covered with a shrinkable tube "Sumitube (registered trademark) / trade name: Sumitube V". The ratio (thickness ratio) between the thickness of the heat-shrinkable tube 2 of the comparative example product 3 and the thickness of the insulating jacket layer 1b of the electric wire is 0.03.
The comparative example product 4 is an electric wire having a total length of 4 m covered with the same heat-shrinkable tube as the comparative example product 3 having a thickness of 0.5 mm. The ratio (thickness ratio) between the thickness of the heat-shrinkable tube 2 of the comparative example product 4 and the thickness of the insulating jacket layer 1b of the electric wire is 0.3.
[0020]
The heat resistance at 100 ° C. and the product cost were evaluated for the above-mentioned examples and comparative examples. Hereinafter, specific evaluation means will be described.
[0021]
(Evaluation of heat resistance at 100 ° C.)
The heat resistance of the above-mentioned examples and comparative examples in a 100 ° C. atmosphere was evaluated. The evaluation of the heat resistance is performed by measuring the deformation rate of the electric wire at a high temperature. Specifically, the wire is left in an atmosphere of 230 ° C. for 30 minutes with a 500 g weight placed on the wire, and when the wire diameter is deformed (crushed) by 30% or more in the diameter direction, it is judged as “fail”. On the other hand, if the deformation rate was within 30%, it was judged as "pass".
[0022]
(Evaluation of flexibility)
Flexibility was evaluated by the hand feeling when the electric wire was bent. Based on this hand feeling, when the softness was sufficient, it was judged as good “」 ”, while when the softness was insufficient, it was judged as poor“ x ”.
[0023]
(Evaluation of product cost)
A comparison was made between the product cost of the example product and the product cost of the comparative example product. When the product cost of the comparative example product is set to 100 based on the product cost of the comparative example product 1 in which the heat insulation treatment is applied to the entire insulation jacket layer of the electric wire, the cost of the other example product and the comparative example product ( Cost ratio).
[0024]
Table 1 shows the evaluation results of the heat resistance, flexibility, and product cost of the example product and the comparative example product.
[0025]
[Table 1]
[0026]
From the results shown in Table 1, it was found that the example product had a deformation rate of 15% and exhibited good heat resistance under an environment of 100 ° C. The flexibility was also good. In addition, since the heat-shrinkable tube is attached only to a portion 200 mm from the end of the electric wire, the product cost can be suppressed lower than that of the comparative example 1 in which the entire insulation jacket of the electric wire is heat-treated. Further, when the wire length is longer than 4 m, the ratio of the heat-resistant covering portion (heat-shrinkable tube) to the wire becomes smaller, so that the cost ratio with respect to the heat-resistant wire having the same wire length (Comparative Example 1) is further reduced. .
[0027]
On the other hand, the product of Comparative Example 1 exhibits excellent heat resistance with a deformation rate of 10%, but has a problem in that the cost of the product is increased because the entire insulating jacket layer is subjected to the heat treatment.
[0028]
The comparative example product 2 had an extremely large deformation rate of 80%. In Comparative Example 3, the heat-resistant coating (heat-shrinkable tube) was as thin as 0.05 mm, so that the deformation rate was 50%, and sufficient heat resistance was not obtained. In addition, it was found that Comparative Example Product 4 exhibited excellent heat resistance with a heat-resistant coating (heat-shrinkable tube) having a thickness of 0.5 mm and a deformation rate of 12%, but was inferior in flexibility.
[0029]
Although the embodiments have been described above, various modifications can be made without departing from the spirit of the present invention. For example, in the above-described embodiment, both ends of the electric wire are coated with a heat-resistant coating (heat-shrinkable tube) having a length of 200 mm, respectively. It goes without saying that the length of the heat-resistant covering portion can be appropriately changed depending on the material.
[0030]
【The invention's effect】
In the wire terminal treatment structure according to the present invention, a heat-resistant coating layer is formed only around the connection end portion of the wire that is affected by sliding heat generated from the operating device, and this coated portion is surely protected from sliding heat. Because it is protected, it is possible to use inexpensive general-purpose wires with relatively inferior heat resistance for connection to operating equipment that used to use expensive heat-resistant wires in the past, and to reduce the cost of wire products. There is an effect that can be.
[0031]
In addition, if the heat-resistant coating portion is formed of a heat-shrinkable tube, it is easy to provide heat resistance only to the terminal portion of the insulating jacket layer of the electric wire, and only the heat-resistant portion has heat resistance. There is an effect that an electric wire can be easily manufactured. Furthermore, even when there is a difference in the temperature of the sliding heat generated from the operating device to be connected, there is an effect that the length can be easily adjusted by appropriately adjusting the length of the heat-shrinkable tube.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an external view showing a wire terminal processing structure according to the present invention.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Electric wire 1a Conductor 1b Insulation jacket layer 2 Heat-resistant coating part (heat-shrinkable tube)