JP2004273030A - ディスク基板、磁気ディスクおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気ディスク端面の外端側面部の曲率半径によって、バイアス電圧を印加するためのコンタクト端子との間の接触抵抗が変化し、DLC保護膜の膜質が変化する。
【解決手段】非磁性基板上に少なくとも磁性膜、保護膜、潤滑膜が順次形成されてなる磁気記録媒体において、非磁性基板が非導電性の基板1であり、保護膜がバイアス印加により形成されるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)保護膜である磁気記録媒体であり、基板端面2の外端側面部5の曲率半径Rが1000μm以下100μm以上であるように形状を調整する。
【選択図】 図1
【解決手段】非磁性基板上に少なくとも磁性膜、保護膜、潤滑膜が順次形成されてなる磁気記録媒体において、非磁性基板が非導電性の基板1であり、保護膜がバイアス印加により形成されるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)保護膜である磁気記録媒体であり、基板端面2の外端側面部5の曲率半径Rが1000μm以下100μm以上であるように形状を調整する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク用基板、磁気ディスク及びその製造方法に係り、特にDLC保護膜の成膜条件が変化しない基板端面形状及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録媒体は非磁性基板上に少なくとも磁性膜、保護膜を形成した後にその信頼性向上のために潤滑膜が形成されている。磁気ディスクを例に取ると非磁性基板としてはアルミニュウム基板にNiPメッキした基板やガラス基板が用いられており、磁性膜にはCo合金薄膜を、保護膜としてはカーボン保護膜をスパッタ法などの薄膜形成技術を用いて形成するのが一般的である。潤滑膜としてはパーフルオロポリエーテル潤滑剤が一般的に用いられており、特に保護膜との吸着性を高める目的で潤滑剤の末端に極性基をもつものが使用されている。
【0003】
また、保護膜にはアモルファスカーボン膜やDLC(Diamond like carbon)膜などが使用される。特にDLC膜は炭化水素系のガスを原料として媒体にバイアス電圧を印可して成膜するケミカルベーパーデポジション(CVD)法やイオンビームデポジション(IBD)法で成膜するのが一般的である。ガラス基板などの非導電性の基板上にDLC膜を成膜する際には、磁性膜まで成膜してディスクの端面へ電圧を印可するためのコンタクト端子を接触させることで、電圧を印可する。
【0004】
磁気ディスクの基板端面の形状について、特許文献1には、基板本体上に形成された膜の耐久性を向上するために、基板本体の少なくとも外周端面の面取部を丸み状とすることが開示されている。特許文献2には、磁気記録媒体用ガラス基板をスピンドルへ取付ける際の精度を向上させるために、ガラス基板の側面と面取部の間あるいは主表面と面取部の間に曲面を介在させる形状が開示されている。特許文献3には、にはロールオフ、スキージャンプを改善し、磁気ディスクの記録エリアを拡大するために、磁気ディスク用ガラス基板の外周部端面の突出を極力少なくする形状が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−102122号公報(第1頁、図1(B))
【特許文献2】
特開2002−100031号公報(第1頁、図11)
【特許文献3】
特開2001−291229号公報(第1頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
磁性膜を成膜した磁気ディスクの端面にコンタクト端子を接触させて、バイアス電圧を印可しながらDLC膜を成膜する場合、磁気ディスク端面の平坦部の曲率半径によって接触抵抗が異なるため、磁気ディスクに印可されるバイアス電圧が実効的に変化する。すなわち、接触抵抗が大きい場合には実効的なバイアス電圧は小さくなり、接触抵抗が小さい場合には実効的なバイアス電圧は大きくなる。実効的なバイアス電圧の変化はDLC膜の膜質を変化させる。バイアス電圧が大きくなると保護膜表面に含まれる水素量が少なくなり、小さくなると水素量は多くなる。保護膜表面に含まれる水素量が多くなると膜質は有機的なハイドロカーボンに近づくため、耐摩耗性が低下し、グライドヘッドや磁気ヘッドの浮上性を劣化させる。したがって、グライドヘッドや磁気ヘッドの浮上性を向上させるためには、保護膜表面の水素量を少なくすること、つまり磁気ディスクの端面とコンタクト端子間の接触抵抗を小さくすることが必要となる。
【0007】
特に外形が95mm(3.5インチ)で基板厚さの厚い磁気ディスクでは、端面の平坦部が広いため、通常に端面形状を加工したときに平坦部の曲率半径は大きくなる。そのため、コンタクト端子の面と端面平坦部とが平行でない場合、例えば数度傾いている場合には端面の平坦部とコンタクト端子とが接触せず、平坦部とチャンファ部との間の角とが接触して接触抵抗が大きくなる。また、コンタクト端子もディスクの端面を受けるために一般的にはディスク側へ凹の形状をしているため、端子の接触する部分はディスク端面の平坦部とチャンファとのなす角で接触することとなり、接触抵抗が大きくなる。
【0008】
基板厚さの薄いディスクでは、端面平坦部の曲率半径は一般的に小さくなるため、コンタクト端子と平坦部で接触しやすくなるが、逆に曲率半径が小さくなりすぎて接触点の面積が小さくなりすぎ接触抵抗が増加するといった問題が生じる。
【0009】
上記従来の技術は、ディスク基板の端面の形状により、DLC膜の成膜条件が変化することに関しては何ら言及されていない。
【0010】
本発明の第1の目的は、DLC膜の成膜条件を変化させることのない端面形状を有するディスク基板を提供することである。
【0011】
本発明の第2の目的は、前記ディスク基板を用いた磁気ヘッドの浮上性に優れた磁気ディスクを提供することである。
【0012】
本発明の第3の目的は、DLC膜の成膜条件を変化させることのないバイアス電圧印加用コンタクト端子を用いた磁気ディスクの製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために本発明のディスク基板は、非導電性の材料からなる基板であって、端面が、基板両表面から所定の角度を有するチャンファと、該チャンファの間の凸形状の外端側面部とで構成され、該外端側面部の曲率半径は1000μm以下100μm以上であることを特徴とする。
【0014】
前記非導電性の材料はガラスである。
【0015】
前記基板の厚さは0.6mm以上である。
【0016】
上記第2の目的を達成するために本発明の磁気ディスクは、非磁性基板上に少なくとも磁性膜、DLC保護膜、潤滑膜を有し、前記非磁性基板は非導電性の基板であり、端面が、基板両表面から所定の角度を有するチャンファと、該チャンファの間の凸形状の外端側面部とで構成され、該外端側面部の曲率半径は1000μm以下100μm以上であることを特徴とする。
【0017】
前記非導電性の基板はガラスである。
【0018】
前記基板の厚さは0.6mm以上である。
【0019】
前記DLC保護膜に含まれる水素量の割合が20%から35%の範囲である。
【0020】
上記第2の目的を達成するために本発明の磁気ディスクは、非磁性基板上にNiTaシード層、CrTi下地層、CoCrPt合金磁性膜、DLC保護膜、潤滑膜を有し、前記非磁性基板は非導電性の基板であり、端面が、基板両表面から所定の角度を有するチャンファと、該チャンファの間の凸形状の外端側面部とで構成され、該外端側面部の曲率半径は1000μm以下100μm以上であることを特徴とする磁気ディスク。
【0021】
前記非導電性の基板はガラスである。
【0022】
前記基板の厚さは0.6mm以上である。
【0023】
前記DLC保護膜に含まれる水素量の割合が20%から35%の範囲である。
【0024】
上記第3の目的を達成するために本発明の磁気ディスクの製造方法は、非金属基板上に少なくとも磁性膜を形成し、前記非金属基板の端面にバイアス電圧を印加するコンタクト端子の形状を前記端面側に凸形状とし、該コンタクト端子を前記非金属基板の端面に接触させてバイアス電圧を印加し、IBD法により前記磁性膜の上にDLC保護膜を形成することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。図1の上部に磁気ディスク用基板1の形状を示し、図1の下側には基板1のA部を拡大し、端面2の形状を示している。基板1は、ガラス板を円板状に切抜いたもので、端面2はダイアモンドバイト等で研削し、チャンファ4と外端側面部5を形成する。チャンファ4は、基板表面3に対し30°〜45°の角度を有し、外端側面部5は、研磨面が曲率半径Rの凹形状のダイアモンドバイトで研磨し、曲率半径Rを有する凸面形状に仕上げる。基板表面3は研磨テープ等により研磨し鏡面に仕上げる。端面2の形状は、基板表面3からチャンファ4に至り、チャンファ4の間が外端幅L、外端高さhの、円弧形状の外端側面部5となる。この形状は、板厚t、チャンファ角、端面加工条件で決定される。
【0026】
表1に示すように、板厚t、外端側面部5の曲率半径Rの異なるガラス基板をサンプル1〜7として用意し、これらを洗浄した後、NiTaシード層、CrTi下地層、CoCrPt合金磁性膜をスパッタリングにより順次成膜した。トータルの膜厚は約60nmである。外端側面部5の曲率半径Rは、小坂研究所の3次元面粗さ計を用い、図2に示すように凸部の頂点から5μm程度低い位置での曲率半径を測定したものである。つぎにこれらの磁気ディスク媒体の外端側面部5へ、図6に示すコンタクト端子Aを押し当ててバイアス電圧を印可し、エチレンガスを材料としてIBD法によりDLC保護膜を成膜した。保護膜の膜厚は4nmである。保護膜上にはフォンブリンZ−DOLあるいはフォンブリンZ−Tetraol等の潤滑剤を塗布した。
【0027】
【表1】
上記のようにして作成した磁気ディスクの接触抵抗を、図3に示す測定機を用いて測定した。磁気ディスクを回転軸に取付け、任意の3箇所で回転を停止し、磁気ディスクの外端側面部にアルミ製の円柱からなるコンタクトバーを押付け、電圧Vを印加し、負荷抵抗Rの電圧Vrを測定することにより接触抵抗R′を測定した。コンタクトバーの押付け力は平行バネによる力センサで検出し、等しい押付け力になったときの接触抵抗を測定した。コンタクトバーはφ3mm、押付け力は0.5Nである。測定はコンタクトバーの押付け力を自動ステージで徐々に増加させて、0.5Nになったときの接触抵抗として測定した。測定結果を表1に示す。
【0028】
表1のデータから分かる磁気ディスクの外端側面部の曲率半径と接触抵抗との関係を図4に示す。図4から明らかなように曲率半径が小さくなるに伴って接触抵抗は減少し、曲率半径が小さくなりすぎると接触抵抗は増加するという曲線となる。接触抵抗は小さい方が好ましいが、バイアス電圧を100V〜300V程度印可することを仮定すると、現実的な値として100Ω以下が好ましい。そうすると基板端面の外端平坦部の曲率半径は1000μm以下で100μm以上程度が好ましい範囲となる。
【0029】
また、表1から分かるように、接触抵抗が大きくなるのは基板の厚さが0.635mm以上のものであるので、外端平坦部の曲率半径Rを制御するのは基板の厚さが0.6mm以上の基板について行うのが好ましい。
【0030】
次に、これらの磁気ディスクについて、グライドチェックと呼ばれる浮上性検査を行った。そのときのグライドヘッドと磁気ディスクとの接触カウントを比較した結果を図5に黒点として示す。図5には、保護膜表面に含まれる水素量をERDA(Elastic Ricoil Detection Analysis)法で測定した結果も黒点と合わせて示す。また、エチレンガスの流量を変化させ保護膜中の水素量を変化させた磁気ディスクの接触カウントも白点として示す。図から明らかなように、グライドチェックによる接触カウント(黒点)は接触抵抗と同じ挙動を示しており、磁気ディスクの外端側面部の曲率半径が小さくなると少なくなっている。すなわち曲率半径に依存していることが明らかである。また、成膜条件であるエチレンガスの流量を変化させた場合は水素量が減少しており、そのため接触カウント(白点)は減少している。
【0031】
このような結果から、接触カウントの少ない浮上性の優れた磁気ディスクを得るには、外端側面部の曲率半径を1000μm以下、100μm以上として、保護膜表面に含まれる水素量を20%〜35%とすることが好ましい。水素量の下限値20%は、IBD法で成膜した場合の最小含有量とした。
【0032】
上記実施例は、DLC保護膜をIBD法により成膜したが、CVD法で成膜した場合も同じ結果が得られることが分かった。。
【0033】
また、上記実施例は、ディスク基板の外端側面部の形状に関するものであるが、磁性膜を成膜した状態の磁気ディスク媒体の外端側面部とコンタクト端子との接触抵抗を低減するには、コンタクト端子の形状を工夫することでも可能である。図6に示すコンタクト端子Bは、磁気ディスク媒体側に凸の形状をしている。このようなコンタクト端子Bで作成した磁気ディスクは、磁気ディスク基板の外端平坦部の曲率半径によらず、グライドチェックの接触カウントも少なく、保護膜表面に含まれる水素量も約30%少なく、良好な特性を示した。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明のとおり本発明によれば、DLC膜の成膜条件を変化させることのない端面形状を有するディスク基板及びこのディスク基板を用いた磁気ヘッドの浮上性に優れた磁気ディスクを提供することができる。
【0035】
また、DLC膜の成膜条件を変化させることのないバイアス電圧印加用コンタクト端子を用いた磁気ディスクの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるディスク基板の形状と端面形状を示す図である。
【図2】ディスク基板端面の外端側面部の曲率半径Rの測定例を示す図である。
【図3】磁気ディスク端面の接触抵抗の測定方法を説明するための図である。
【図4】磁気ディスク端面の曲率半径と接触抵抗との関係を示す図である。
【図5】磁気ディスク端面の曲率半径と、グライドヘッドと磁気ディスクとの接触カウントとの関係を示す図である。
【図6】本発明の一実施例によるコンタクト端子Bと従来のコンタクト端子Aの形状を示す図である。
【符号の説明】
1 ディスク基板 2 端面
3 基板表面 4 チャンファ
5 外端側面部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク用基板、磁気ディスク及びその製造方法に係り、特にDLC保護膜の成膜条件が変化しない基板端面形状及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録媒体は非磁性基板上に少なくとも磁性膜、保護膜を形成した後にその信頼性向上のために潤滑膜が形成されている。磁気ディスクを例に取ると非磁性基板としてはアルミニュウム基板にNiPメッキした基板やガラス基板が用いられており、磁性膜にはCo合金薄膜を、保護膜としてはカーボン保護膜をスパッタ法などの薄膜形成技術を用いて形成するのが一般的である。潤滑膜としてはパーフルオロポリエーテル潤滑剤が一般的に用いられており、特に保護膜との吸着性を高める目的で潤滑剤の末端に極性基をもつものが使用されている。
【0003】
また、保護膜にはアモルファスカーボン膜やDLC(Diamond like carbon)膜などが使用される。特にDLC膜は炭化水素系のガスを原料として媒体にバイアス電圧を印可して成膜するケミカルベーパーデポジション(CVD)法やイオンビームデポジション(IBD)法で成膜するのが一般的である。ガラス基板などの非導電性の基板上にDLC膜を成膜する際には、磁性膜まで成膜してディスクの端面へ電圧を印可するためのコンタクト端子を接触させることで、電圧を印可する。
【0004】
磁気ディスクの基板端面の形状について、特許文献1には、基板本体上に形成された膜の耐久性を向上するために、基板本体の少なくとも外周端面の面取部を丸み状とすることが開示されている。特許文献2には、磁気記録媒体用ガラス基板をスピンドルへ取付ける際の精度を向上させるために、ガラス基板の側面と面取部の間あるいは主表面と面取部の間に曲面を介在させる形状が開示されている。特許文献3には、にはロールオフ、スキージャンプを改善し、磁気ディスクの記録エリアを拡大するために、磁気ディスク用ガラス基板の外周部端面の突出を極力少なくする形状が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−102122号公報(第1頁、図1(B))
【特許文献2】
特開2002−100031号公報(第1頁、図11)
【特許文献3】
特開2001−291229号公報(第1頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
磁性膜を成膜した磁気ディスクの端面にコンタクト端子を接触させて、バイアス電圧を印可しながらDLC膜を成膜する場合、磁気ディスク端面の平坦部の曲率半径によって接触抵抗が異なるため、磁気ディスクに印可されるバイアス電圧が実効的に変化する。すなわち、接触抵抗が大きい場合には実効的なバイアス電圧は小さくなり、接触抵抗が小さい場合には実効的なバイアス電圧は大きくなる。実効的なバイアス電圧の変化はDLC膜の膜質を変化させる。バイアス電圧が大きくなると保護膜表面に含まれる水素量が少なくなり、小さくなると水素量は多くなる。保護膜表面に含まれる水素量が多くなると膜質は有機的なハイドロカーボンに近づくため、耐摩耗性が低下し、グライドヘッドや磁気ヘッドの浮上性を劣化させる。したがって、グライドヘッドや磁気ヘッドの浮上性を向上させるためには、保護膜表面の水素量を少なくすること、つまり磁気ディスクの端面とコンタクト端子間の接触抵抗を小さくすることが必要となる。
【0007】
特に外形が95mm(3.5インチ)で基板厚さの厚い磁気ディスクでは、端面の平坦部が広いため、通常に端面形状を加工したときに平坦部の曲率半径は大きくなる。そのため、コンタクト端子の面と端面平坦部とが平行でない場合、例えば数度傾いている場合には端面の平坦部とコンタクト端子とが接触せず、平坦部とチャンファ部との間の角とが接触して接触抵抗が大きくなる。また、コンタクト端子もディスクの端面を受けるために一般的にはディスク側へ凹の形状をしているため、端子の接触する部分はディスク端面の平坦部とチャンファとのなす角で接触することとなり、接触抵抗が大きくなる。
【0008】
基板厚さの薄いディスクでは、端面平坦部の曲率半径は一般的に小さくなるため、コンタクト端子と平坦部で接触しやすくなるが、逆に曲率半径が小さくなりすぎて接触点の面積が小さくなりすぎ接触抵抗が増加するといった問題が生じる。
【0009】
上記従来の技術は、ディスク基板の端面の形状により、DLC膜の成膜条件が変化することに関しては何ら言及されていない。
【0010】
本発明の第1の目的は、DLC膜の成膜条件を変化させることのない端面形状を有するディスク基板を提供することである。
【0011】
本発明の第2の目的は、前記ディスク基板を用いた磁気ヘッドの浮上性に優れた磁気ディスクを提供することである。
【0012】
本発明の第3の目的は、DLC膜の成膜条件を変化させることのないバイアス電圧印加用コンタクト端子を用いた磁気ディスクの製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために本発明のディスク基板は、非導電性の材料からなる基板であって、端面が、基板両表面から所定の角度を有するチャンファと、該チャンファの間の凸形状の外端側面部とで構成され、該外端側面部の曲率半径は1000μm以下100μm以上であることを特徴とする。
【0014】
前記非導電性の材料はガラスである。
【0015】
前記基板の厚さは0.6mm以上である。
【0016】
上記第2の目的を達成するために本発明の磁気ディスクは、非磁性基板上に少なくとも磁性膜、DLC保護膜、潤滑膜を有し、前記非磁性基板は非導電性の基板であり、端面が、基板両表面から所定の角度を有するチャンファと、該チャンファの間の凸形状の外端側面部とで構成され、該外端側面部の曲率半径は1000μm以下100μm以上であることを特徴とする。
【0017】
前記非導電性の基板はガラスである。
【0018】
前記基板の厚さは0.6mm以上である。
【0019】
前記DLC保護膜に含まれる水素量の割合が20%から35%の範囲である。
【0020】
上記第2の目的を達成するために本発明の磁気ディスクは、非磁性基板上にNiTaシード層、CrTi下地層、CoCrPt合金磁性膜、DLC保護膜、潤滑膜を有し、前記非磁性基板は非導電性の基板であり、端面が、基板両表面から所定の角度を有するチャンファと、該チャンファの間の凸形状の外端側面部とで構成され、該外端側面部の曲率半径は1000μm以下100μm以上であることを特徴とする磁気ディスク。
【0021】
前記非導電性の基板はガラスである。
【0022】
前記基板の厚さは0.6mm以上である。
【0023】
前記DLC保護膜に含まれる水素量の割合が20%から35%の範囲である。
【0024】
上記第3の目的を達成するために本発明の磁気ディスクの製造方法は、非金属基板上に少なくとも磁性膜を形成し、前記非金属基板の端面にバイアス電圧を印加するコンタクト端子の形状を前記端面側に凸形状とし、該コンタクト端子を前記非金属基板の端面に接触させてバイアス電圧を印加し、IBD法により前記磁性膜の上にDLC保護膜を形成することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。図1の上部に磁気ディスク用基板1の形状を示し、図1の下側には基板1のA部を拡大し、端面2の形状を示している。基板1は、ガラス板を円板状に切抜いたもので、端面2はダイアモンドバイト等で研削し、チャンファ4と外端側面部5を形成する。チャンファ4は、基板表面3に対し30°〜45°の角度を有し、外端側面部5は、研磨面が曲率半径Rの凹形状のダイアモンドバイトで研磨し、曲率半径Rを有する凸面形状に仕上げる。基板表面3は研磨テープ等により研磨し鏡面に仕上げる。端面2の形状は、基板表面3からチャンファ4に至り、チャンファ4の間が外端幅L、外端高さhの、円弧形状の外端側面部5となる。この形状は、板厚t、チャンファ角、端面加工条件で決定される。
【0026】
表1に示すように、板厚t、外端側面部5の曲率半径Rの異なるガラス基板をサンプル1〜7として用意し、これらを洗浄した後、NiTaシード層、CrTi下地層、CoCrPt合金磁性膜をスパッタリングにより順次成膜した。トータルの膜厚は約60nmである。外端側面部5の曲率半径Rは、小坂研究所の3次元面粗さ計を用い、図2に示すように凸部の頂点から5μm程度低い位置での曲率半径を測定したものである。つぎにこれらの磁気ディスク媒体の外端側面部5へ、図6に示すコンタクト端子Aを押し当ててバイアス電圧を印可し、エチレンガスを材料としてIBD法によりDLC保護膜を成膜した。保護膜の膜厚は4nmである。保護膜上にはフォンブリンZ−DOLあるいはフォンブリンZ−Tetraol等の潤滑剤を塗布した。
【0027】
【表1】
上記のようにして作成した磁気ディスクの接触抵抗を、図3に示す測定機を用いて測定した。磁気ディスクを回転軸に取付け、任意の3箇所で回転を停止し、磁気ディスクの外端側面部にアルミ製の円柱からなるコンタクトバーを押付け、電圧Vを印加し、負荷抵抗Rの電圧Vrを測定することにより接触抵抗R′を測定した。コンタクトバーの押付け力は平行バネによる力センサで検出し、等しい押付け力になったときの接触抵抗を測定した。コンタクトバーはφ3mm、押付け力は0.5Nである。測定はコンタクトバーの押付け力を自動ステージで徐々に増加させて、0.5Nになったときの接触抵抗として測定した。測定結果を表1に示す。
【0028】
表1のデータから分かる磁気ディスクの外端側面部の曲率半径と接触抵抗との関係を図4に示す。図4から明らかなように曲率半径が小さくなるに伴って接触抵抗は減少し、曲率半径が小さくなりすぎると接触抵抗は増加するという曲線となる。接触抵抗は小さい方が好ましいが、バイアス電圧を100V〜300V程度印可することを仮定すると、現実的な値として100Ω以下が好ましい。そうすると基板端面の外端平坦部の曲率半径は1000μm以下で100μm以上程度が好ましい範囲となる。
【0029】
また、表1から分かるように、接触抵抗が大きくなるのは基板の厚さが0.635mm以上のものであるので、外端平坦部の曲率半径Rを制御するのは基板の厚さが0.6mm以上の基板について行うのが好ましい。
【0030】
次に、これらの磁気ディスクについて、グライドチェックと呼ばれる浮上性検査を行った。そのときのグライドヘッドと磁気ディスクとの接触カウントを比較した結果を図5に黒点として示す。図5には、保護膜表面に含まれる水素量をERDA(Elastic Ricoil Detection Analysis)法で測定した結果も黒点と合わせて示す。また、エチレンガスの流量を変化させ保護膜中の水素量を変化させた磁気ディスクの接触カウントも白点として示す。図から明らかなように、グライドチェックによる接触カウント(黒点)は接触抵抗と同じ挙動を示しており、磁気ディスクの外端側面部の曲率半径が小さくなると少なくなっている。すなわち曲率半径に依存していることが明らかである。また、成膜条件であるエチレンガスの流量を変化させた場合は水素量が減少しており、そのため接触カウント(白点)は減少している。
【0031】
このような結果から、接触カウントの少ない浮上性の優れた磁気ディスクを得るには、外端側面部の曲率半径を1000μm以下、100μm以上として、保護膜表面に含まれる水素量を20%〜35%とすることが好ましい。水素量の下限値20%は、IBD法で成膜した場合の最小含有量とした。
【0032】
上記実施例は、DLC保護膜をIBD法により成膜したが、CVD法で成膜した場合も同じ結果が得られることが分かった。。
【0033】
また、上記実施例は、ディスク基板の外端側面部の形状に関するものであるが、磁性膜を成膜した状態の磁気ディスク媒体の外端側面部とコンタクト端子との接触抵抗を低減するには、コンタクト端子の形状を工夫することでも可能である。図6に示すコンタクト端子Bは、磁気ディスク媒体側に凸の形状をしている。このようなコンタクト端子Bで作成した磁気ディスクは、磁気ディスク基板の外端平坦部の曲率半径によらず、グライドチェックの接触カウントも少なく、保護膜表面に含まれる水素量も約30%少なく、良好な特性を示した。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明のとおり本発明によれば、DLC膜の成膜条件を変化させることのない端面形状を有するディスク基板及びこのディスク基板を用いた磁気ヘッドの浮上性に優れた磁気ディスクを提供することができる。
【0035】
また、DLC膜の成膜条件を変化させることのないバイアス電圧印加用コンタクト端子を用いた磁気ディスクの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるディスク基板の形状と端面形状を示す図である。
【図2】ディスク基板端面の外端側面部の曲率半径Rの測定例を示す図である。
【図3】磁気ディスク端面の接触抵抗の測定方法を説明するための図である。
【図4】磁気ディスク端面の曲率半径と接触抵抗との関係を示す図である。
【図5】磁気ディスク端面の曲率半径と、グライドヘッドと磁気ディスクとの接触カウントとの関係を示す図である。
【図6】本発明の一実施例によるコンタクト端子Bと従来のコンタクト端子Aの形状を示す図である。
【符号の説明】
1 ディスク基板 2 端面
3 基板表面 4 チャンファ
5 外端側面部
Claims (12)
- 非導電性の材料からなる基板であって、端面が、基板両表面から所定の角度を有するチャンファと、該チャンファの間の凸形状の外端側面部とで構成され、該外端側面部の曲率半径は1000μm以下100μm以上であることを特徴とするディスク基板。
- 前記非導電性の材料はガラスであることを特徴とする請求項1記載のディスク基板。
- 前記基板の厚さは0.6mm以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のディスク基板。
- 非磁性基板上に少なくとも磁性膜、DLC保護膜、潤滑膜を有する磁気ディスクにおいて、前記非磁性基板は非導電性の基板であり、端面が、基板両表面から所定の角度を有するチャンファと、該チャンファの間の凸形状の外端側面部とで構成され、該外端側面部の曲率半径は1000μm以下100μm以上であることを特徴とする磁気ディスク。
- 前記非導電性の基板はガラスであることを特徴とする請求項4記載の磁気ディスク。
- 前記基板の厚さは0.6mm以上であることを特徴とする請求項4又は5記載の磁気ディスク。
- 前記DLC保護膜に含まれる水素量の割合が20%から35%の範囲であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の磁気ディスク。
- 非磁性基板上にNiTaシード層、CrTi下地層、CoCrPt合金磁性膜、DLC保護膜、潤滑膜を有する磁気ディスクにおいて、前記非磁性基板は非導電性の基板であり、端面が、基板両表面から所定の角度を有するチャンファと、該チャンファの間の凸形状の外端側面部とで構成され、該外端側面部の曲率半径は1000μm以下100μm以上であることを特徴とする磁気ディスク。
- 前記非導電性の基板はガラスであることを特徴とする請求項8記載の磁気ディスク。
- 前記基板の厚さは0.6mm以上であることを特徴とする請求項8又は9記載の磁気ディスク。
- 前記DLC保護膜に含まれる水素量の割合が20%から35%の範囲であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の磁気ディスク。
- 非金属基板上に少なくとも磁性膜を形成し、該磁性膜の上にDLC保護膜を形成する磁気ディスクの製造方法において、前記非金属基板の端面にバイアス電圧を印加するコンタクト端子の形状を前記端面側に凸形状とし、該コンタクト端子を前記非金属基板の端面に接触させてバイアス電圧を印加し、IBD法により前記DLC保護膜を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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2003
- 2003-03-10 JP JP2003062776A patent/JP2004273030A/ja active Pending
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