JP2004272565A - 画像評価装置、画像評価方法、およびその方法をコンピュータが実行するためのプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】人間の視覚系の特性に基づいた心理相関の高い(主観評価値と相関の高い)画質評価(テクスチャ評価や粒状度評価)を行うことが可能な画像評価装置を提供すること。
【解決手段】図1に示す画像評価装置は、入力される被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する直交変換部12と、直交変換部12で算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化部13と、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を算出する減算部14と、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング処理部15と、フィルタリング処理部15でフィルタ処理された、当該差分に基づいて、画質予測値1(テクスチャ評価値)を算出する第1の画質評価値算出部16と、を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】図1に示す画像評価装置は、入力される被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する直交変換部12と、直交変換部12で算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化部13と、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を算出する減算部14と、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング処理部15と、フィルタリング処理部15でフィルタ処理された、当該差分に基づいて、画質予測値1(テクスチャ評価値)を算出する第1の画質評価値算出部16と、を備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像評価装置、画像評価方法、およびその方法をコンピュータが実行するためのプログラムに関し、詳細には、ハードコピー画像の画像品質を客観的に評価する画像評価装置、画像評価方法、およびその方法をコンピュータが実行するためのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像の粒状性(ざらつき、ノイズ)の評価法としては、例えば、特許文献1などに示されるように、直交変換により空間周波数成分に変換された画像情報に対して、人間の視覚の空間周波数特性(VTF)を乗じた量を用いるという方法が一般的である。
【0003】
印刷、電子写真、およびインクジェットなどの分野においては、面積階調により画像の濃淡を表現するのが一般的であるため、通常、網点、ロゼッタなどと呼ばれる周期的な画像構造、いわゆるテクスチャが画像に内包されている。
【0004】
テクスチャの影響を除去するための方法として、特許文献2や特許文献3では、2次元の空間周波数成分を1次元化、すなわちテクスチャによるピークをradial方向に平均化することにより、テクスチャの影響を低減している。しかるに、特許文献2や特許文献3の技術では、1次元化のみではテクスチャを完全に除去することはできず、また、テクスチャ自体を評価することができないという問題がある。
【0005】
また、特許文献4では、粒状度とテクスチャ特徴量の線形1次結合によって最終的な粒状度(粒状度:粒状性を定量化した心理物理量)を算出して、テクスチャの影響を低減している。しかるに、テクスチャと粒状度という特性の異なる評価値の線形結合による評価式の表現に課題が残されており、汎用的な画像への適用は難しいという問題がある。また、テクスチャ抽出法として複雑で計算時間のかかる同時生起行列を用いる手法を採用しているため、短時間での評価値算出が困難であるという問題がある。
【0006】
また、特許文献5では、被評価画像の光学情報を周波数空間で1次元化したのちに視覚の空間周波数特性を乗じ、さらに平滑化処理を掛けて積分することにより、テクスチャ成分を除去した粒状度を算出している。しかるに、1次元化された空間周波数成分は元の画像の情報の多くが失われてしまうため、これを用いたテクスチャ成分等の画像特徴量の正確な抽出および除去は困難であるという問題がある。
【0007】
ところで、「画像解析ハンドブック:東京大学出版会p.517〜」の記述によると、一般に、テクスチャの評価法としては、前述した同時生起行列を用いる手法の他に、(1)濃度ヒストグラム、(2)差分統計量、(3)ランレングス行列、(4)パワースペクトルを用いる方法があるが、いずれも、評価対象画像が限定されていたり、十分な成果が得られていないなどの問題が指摘されている。
【0008】
人間の視覚機能においては、空間周波数選択性を有する複数のチャンネル(マルチチャンネル)が存在することが知られている。網膜神経節細胞(ganglion cell)には、ほぼ円対称の受容野(receptive field)を持ち、受容野中心部に興奮性領域を有し周辺部に抑制性領域を有するオン中心型細胞とその逆の特性を有するオフ中心型細胞が存在することが、神経生理学的、および解剖学的研究の結果明らかにされており、これらが空間周波数選択性のチャンネルの視覚経路をなしていると考えられている。
【0009】
前述したような、人間の視覚のMTF特性(VTF)を用いる手法では、デジタル画像のテクスチャの知覚と粒状性を統合することが困難な点など様々な限界が見えてきている。これは、画質を知覚する人間の視覚系といった非常に非線形なシステムを記述するに当たっては空間周波数特性は近似的にしか有効ではありえないことや、ここで用いられる視覚のMTF特性は人間の正弦波状の刺激に対するコントラスト感度の閾値のデータを基に得られたものであり、上述したマルチチャンネルによる視覚現象の1側面を記述したものにすぎないこと等に起因すると考えられる。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−325922号公報
【特許文献2】
特開平5−284260号公報
【特許文献3】
特開平10−23191号公報
【特許文献4】
特開平11−25275号公報
【特許文献5】
特開2002−245465号公報
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、人間の視覚系の特性に基づいた心理相関の高い(主観評価値と相関の高い)画質評価(テクスチャ評価や粒状度評価)を行うことが可能な画像評価装置、画像評価方法、およびその方法をコンピュータが実行するためのプログラムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1にかかる発明は、被評価画像の画質を評価する画像評価装置おいて、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出手段と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化手段と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング手段と、前記フィルタリング手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質評価値を算出する画質評価手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
上記発明によれば、空間周波数成分算出手段は、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出し、平滑化手段は、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施し、フィルタリング手段は、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施し、画質評価手段は、前記フィルタリング手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質評価値を算出する。
【0014】
また、請求項2にかかる発明は、被評価画像の画質を評価する画像評価装置おいて、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出手段と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化手段と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング手段と、フィルタリング処理手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を逆直交変換する逆直交変換手段と、前記逆直交変換手段の出力結果に基づいて、画質評価値を算出する画質評価手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
上記発明によれば、空間周波数成分算出手段は、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出し、平滑化手段は、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施し、フィルタリング手段は、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施し、逆直交変換手段は、フィルタリング処理手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を逆直交変換し、画質評価手段は、前記逆直交変換手段の出力結果に基づいて、画質評価値を算出する。
【0016】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかる発明において、さらに、画像観察距離に応じて前記フィルタリング処理手段のフィルタ群の周波数帯域を可変的に設定するフィルタ可変手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
上記発明によれば、フィルタ可変手段は、フィルタリング処理手段のフィルタ群の周波数帯域を画像観察距離に応じて変更する。
【0018】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1つにかかる発明において、前記フィルタ群は、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間フィルタであることを特徴とする。
【0019】
上記発明によれば、フィルタ群として、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間フィルタを使用する。
【0020】
また、請求項5にかかる発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1つにかかる発明において、前記平滑化手段は、メディアンフィルタによる平滑化処理を施すことを特徴とする。
【0021】
上記発明によれば、平滑化手段は、メディアンフィルタによる平滑化処理を施す。
【0022】
また、請求項6にかかる発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1つにかかる発明において、前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報であることを特徴とする。
【0023】
上記発明によれば、被評価画像の2次元光学情報を2次元的な明度(濃淡)情報とする。
【0024】
また、請求項7にかかる発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1つにかかる発明において、前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報および色度情報であることを特徴とする。
【0025】
上記発明によれば、被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報および色度情報とする。
【0026】
また、請求項8にかかる発明は、被評価画像の画質を評価する画像評価方法おいて、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出工程と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化工程と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング工程と、前記フィルタリング工程でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質評価値を算出する画質評価工程と、を含むことを特徴とする。
【0027】
上記発明によれば、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出し、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施し、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施し、フィルタ処理された平滑化処理後の空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質評価値を算出する。
【0028】
また、請求項9にかかる発明は、被評価画像の画質を評価する画像評価方法おいて、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出工程と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化工程と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分、の少なくともいずれかに対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング工程と、フィルタリング処理手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を逆直交変換する逆直交変換工程と、前記逆直交変換工程の出力結果に基づいて、画質評価値を算出する画質評価工程と、を含むことを特徴とする。
【0029】
上記発明によれば、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出し、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化工程と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング工程と、フィルタリング処理手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を逆直交変換し、その出力結果に基づいて、画質評価値を算出する。
【0030】
また、請求項10にかかる発明は、請求項8または請求項9にかかる発明において、さらに、画像観察距離に応じて前記フィルタ群の周波数帯域を可変的に設定するフィルタ可変工程を含むことを特徴とする。
【0031】
上記発明によれば、画像観察距離に応じてフィルタ群の周波数帯域を変更する。
【0032】
また、請求項11にかかる発明は、請求項8〜請求項10のいずれか1つにかかる発明において、前記フィルタ群は、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間フィルタであることを特徴とする。
【0033】
上記発明によれば、フィルタ群として、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間フィルタを使用する。
【0034】
また、請求項12にかかる発明は、請求項8〜請求項11のいずれか1つにかかる発明において、前記平滑化工程では、メディアンフィルタによる平滑化処理を施すことを特徴とする。
【0035】
上記発明によれば、メディアンフィルタによる平滑化処理を施す。
【0036】
また、請求項13にかかる発明は、請求項8〜請求項12のいずれか1つにかかる発明において、前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報であることを特徴とする。
【0037】
上記発明によれば、被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報を使用する。
【0038】
また、請求項14にかかる発明は、請求項8〜請求項12のいずれか1つにかかる発明にいおいて、前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報および色度情報であることを特徴とする。
【0039】
上記発明によれば、被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報および色度情報とする。
【0040】
また、請求項15にかかる発明は、請求項8〜請求項14に記載の画像評価方法の各工程をコンピュータが実行するためのプログラムであることを特徴とする。
【0041】
上記発明によれば、コンピュータでプログラムを実行することにより、請求項8〜請求項14に記載の画像評価方法の各工程を実現する。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明にかかる画像評価装置、画像評価方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムの好適な実施の形態を、(実施の形態1)、(実施の形態2)、(実施の形態3)の順に詳細に説明する。
【0043】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる画像評価装置を図1〜図3を参照して説明する。図1は、実施の形態1にかかる画像評価装置の構成を示す図である。図1に示す画像評価装置は、被評価画像の2次元光学情報を入力する画像入力部11と、画像入力部11から入力される被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する直交変換部12と、直交変換部12で算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化部13と、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を算出する減算部14と、平滑化処理された空間周波数成分と、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分とに対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりそれぞれフィルタリング処理を施すフィルタリング処理部15と、フィルタリング処理部15でフィルタ処理された、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質予測値1(テクスチャ評価値)を算出する第1の画質評価値算出部16と、フィルタリング処理部15でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分に基づいて画質予測値2(粒状度評価値)を算出する第2の画質評価値算出部17と、を備えている。
【0044】
画像入力部11は、被評価画像であるハードコピーの2次元的な光学情報を読み取り可能なスキャナ、ミクロ濃度計(マイクロデンシトメータ等)、およびCCDカメラ等で構成され、被評価画像の2次元的な光学情報を読みって直交変換部12に出力する。ここで、被評価画像はコンピュータ上で作成された電子画像や特開2000−022858号公報で開示されたような画像シミュレーションの出力結果でも良く、これらの場合は必ずしもスキャナ等の画像入力部11は必要ではない。
【0045】
直交変換部12は、画像入力部11から入力される、被評価画像の2次元的な光学情報に対して、離散フーリエ変換(DFT)等の直交変換により2次元の空間周波数成分に変換して、平滑化部13および減算部14に出力する。
【0046】
平滑化部13は、直交変換部12から入力される、2次元の空間周波数成分に対して、平滑化フィルタによる平滑化処理を施して、減算部14およびフィルタ処理部15に出力する。
【0047】
ここで平滑化フィルタとしては、既存の任意の平滑化フィルタを用いることが可能であるが、メディアンフィルタを使用するのが好ましい。一般に周期性のあるテクスチャは、直交変換により比較的鋭いピーク部を持つ特徴がある。実空間では、テクスチャの周波数は様々であり、これらを同一処理で除去や抽出することは困難であるが、周波数空間においては、周期性を有するテクスチャはいずれも鋭いピーク部を持つという特徴があるため、メディアンフィルタにより容易に除去可能となる。
【0048】
すなわち、平均値ファイルタなどでは、単にデータを平均化するだけであるため、例えば積分値は平滑化処理前と変わらないが、周辺に比べて著しく値の異なる特異点を好適に除去可能なメディアンフィルタを用いることにより、これらのテクスチャ特徴量であるピーク部を良好に除去できるため、テクスチャ成分の好適な除去が可能である。また、メディアンフィルタ処理前のデータからメディアンフィルタ処理後のデータを減算することにより、テクスチャ成分を好適に抽出することも可能となる。
【0049】
減算部14は、平滑化部13から入力される平滑化処理された2次元周波数成分と、直交変換部12から入力される平滑化処理前の2次元の空間周波数成分との差分を演算して、平滑化処理された2次元周波数成分と平滑化処理前の2次元の空間周波数成分との差分をフィルタ処理部15に出力する。
【0050】
フィルタ処理部15は、減算部14から入力される平滑化処理された2次元周波数成分と平滑化処理前の2次元の空間周波数成分との差分に対して、帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりそれぞれフィルタリング処理を施して、第1の画質評価算出部16に出力する。また、フィルタ処理部15は、平滑化部13から入力される平滑化処理された2次元空間周波数成分に対して、帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりそれぞれフィルタリング処理を施して、第2の画質評価算出部17に出力する。
【0051】
第1の画質評価値算出部16は、フィルタ処理部15から入力される、フィルタ処理後の、平滑化処理された2次元周波数成分と平滑化処理前の2次元の空間周波数成分との差分に基づいて、画質予測値1(テクスチャ評価値)を画質評価値として算出する。
【0052】
第2の画質評価値算出部17は、フィルタ処理部15から入力される、フィルタ処理後の、平滑化処理された2次元周波数成分に基づいて、画質予測値2(粒状度評価値)を画質評価値として算出する。
【0053】
つぎに、上記画像評価装置による画像評価の具体例を図2を参照して説明する。図2は、テクスチャ構造を有する画像を説明するための説明図をしている。同図(A)は、テクスチャ構造を有する画像の一例として、45度106線、45度141線のK(Black)版の網点画像、およびほぼ同一線数でスクリーン角付きディザ処理を施されたYMC版による2種類の画像(いわゆる”ロゼッタパターン”を有する画像)の拡大画像を示している。同図(B)は、同図(A)の画像の周波数スペクトル(正確には周波数空間の振幅成分)を可視化した様子を示している。これは、直交変換部12の周波数変換後を示している。同図(C)は、同図(B)の画像の周波数スペクトルにメディアンフィルタによるメディアン処理を施した画像を示している。これは、平滑化部13の平滑処理化後を示している。
【0054】
図2(B)に示すように、テクスチャ構造を有する画像は、周波数空間においては、テクスチャを特徴づける複数のピーク部と、ノイズ成分を特徴づけるアットランダムで比較的低レベルな成分によりなる背景部とから構成されている。
【0055】
また、同図2(C)に示すように、メディアン処理を施すことにより、テクスチャを特徴づけるピーク部がほぼ完全に除去されているとともに、背景部が平滑化されているがその平均値(すなわち積分値)はほぼ保存されていることがわかる。したがって、平滑化処理前の周波数成分から平滑化処理後の周波数成分を減じることにより、ピーク部はほぼ完全に保存されるとともに、背景部はその平均値(すなわち積分値)がほぼ「0」となるように除去されていることがわかる。すなわち、周波数空間における平滑化処理と減算処理により、画像のテクスチャ成分とノイズ成分が良好に分離されたことが分かる。
【0056】
ここで、フィルタ処理部15のフィルタ群として適用される一例として、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間演算フィルタについて説明する。
【0057】
実空間では、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づくフィルタ群は、下式(1)のような関数で表わされる等方性微分演算フィルタである。ただし、下式(1)において、σは定数で各チャンネルによって異なり、rはフィルタ原点からの距離を示している。
【0058】
LG(r)=(−1/(πσ^4))・(1−r^2/(2σ^2))・exp(−r^2/(2σ^2))・・・(1)
【0059】
一方、周波数空間では、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づくフィルタ群は、帯域の異なる複数の等方的な2次元バンドパスフィルタとして表現される。図3は、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づくフィルタ群(チャンネル1〜チャンネル5)の特性の一例を示す図である。同図において、横軸は、周波数空間の原点から距離、縦軸はレスポンスを示している。
【0060】
図3に示す視覚系のマルチチャンネルモデルに基づくフィルタ群の例は、チャンネル1が最も高周波、チャンネル5が最も低周波な5チャンネルからなるバンドパスフィルタ群により構成されている。これらのチャンネル群によって被評価空間周波数成分にフィルタリング処理(乗ずる)することにより、各チャンネルによるチャンネル成分が被評価画像の特徴量として抽出される。
【0061】
本実施の形態では、ノイズ成分を抽出された、直交変換後に平滑化処理を施された空間周波数成分、および、テクスチャ成分を抽出された、直交変換後に平滑化処理を施し、平滑化処理前から平滑化処理後の差分をとられた空間周波数成分が、このフィルタ群によりフィルタリング処理を施され、その出力結果を演算処理をすることによりテクスチャや、テクスチャを除去した粒状度を定量的に算出する。
【0062】
フィルタリング処理結果の演算処理法としては、例えば積分処理により2次元のフィルタリング処理結果をスカラー量に変換したものを各チャンネルの抽出値とし、各チャンネルの抽出値を用いた評価式に従って画質評価値が算出される。
【0063】
このように、視覚系のマルチチャンネルモデルを用いることで、従来の視覚のMTFを乗ずる方式に比して、より視覚特性に忠実な出力結果を得ることができると共に、画質評価値の定量化に用いられる説明変数がチャンネル数の数だけ増加することで自由度が増すため、従来よりも主観評価結果に忠実な画質評価値を行うことができる。また、この際、従来のように、周波数空間の処理の途中で1次元化することがなく2次元情報として処理を行っているので、画像情報の欠落がなく正確な画像評価値を算出することが可能となる。
【0064】
なお、フィルタ群のチャンネル数としては、視覚系のモデルとして6チャンネルとする説もあり、また、5〜6に限らず任意のチャンネル数とすることが可能である。また、このうち、実際に画質評価値算出に用いるチャンネルを全て用いる必要もなく、選択的に任意のチャンネルを使用することにしても良い。また、視覚系のモデルに従わない、帯域の異なる任意の複数の空間ファイルタをフィルタ群として使用することも可能である。
【0065】
上記した被評価画像の光学情報としては、明度、濃度、反射率、等の濃淡情報を使用することができる。例えば、最も一般的には、CIE1976L*a*b*均等色空間における明度L*を使用することができる。このように、色度情報を用いずに明度等の画像の濃淡情報のみを用いることで、処理の高速化が可能となる。また、一般に画像におけるa*,b*などの色度情報はL*等の濃淡情報と強い相関があるため、色度情報を使わずに濃淡情報のみを用いて画質評価値を算出してもその信頼度が大きく低下することはない。
【0066】
また、被評価画像の光学情報としては、明度等の濃淡情報、および色度情報を用いることにしても良い。例えば、最も一般的には、CIE1976L*a*b*均等色空間における明度L*および色度a*,b*を使用することができる。このように、濃淡情報と色度情報の両者を用いることで、濃淡情報のみで画質評価値を算出した場合よりも、より正確な画質評価値を算出することができる。
【0067】
以上説明したように、実施の形態1の画像評価装置によれば、人間の視覚系のマルチチャンネルデルに基づく複数のフィルタリング処理の出力結果を用いて画質評価値を定量化しているので、心理相関の高い画質評価値を算出することが可能となる。
【0068】
また、周波数空間での2次元光学情報に平滑化フィルタを施す前後の差分を演算することとしたので、周波数成分のピーク部を好適に抽出することができ、テクスチャを高精度に抽出することが可能となる。
【0069】
また、周波数空間での2次元光学情報に平滑化フィルタを施すことにより、周波数成分のピーク部を好適に除去することが可能となり、テクスチャ、およびテクスチャを除去した粒状度について同時に高精度で心理相関の高い画質評価値を得ることが可能となる。
【0070】
また、フィルタリング処理を周波数空間で行っているので、高速な処理が可能となる。
【0071】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる画像評価装置を図4〜図11を参照して説明する。図4は、実施の形態2にかかる画像評価装置の構成を示す図である。図4において、図1(実施の形態1)と同等機能を有する部位には同一符号を付し、同様の処理を行う部位の説明は省略する。実施の形態2の画像評価装置は、図1の実施の形態1の画像評価装置において、フィルタ処理部15と、第1および第2の画質評価値算出部16,17の間に、逆直交変換部20を追加した構成である。
【0072】
実施の形態2の画像評価装置は、フィルタ群によるフィルタリング処理を行った後に、逆直交変換部20で逆直交変換を施し、実空間での画像情報(2次元光学情報)に変換した後に、第1の画質評価算出部16で画質予測値1(テクスチャ)を算出し、第2の画質評価値算出部17で画質予測値2(粒状性)を算出するように構成している。かかる構成とすることで、可視像として各チャンネルの抽出した画像特徴量を確認、把握したり、評価することが可能となる。
【0073】
逆直交変換部20で逆直交変換により実空間に変換された各ファイルタリング処理画像は、第1および第2の画質評価算出部16、17によって、標準偏差を求めたり、絶対値の平均値を求めたりすることにより、各チャンネルの抽出値を例えばスカラー量として算出し、これらの各チャンネルの抽出値を用いた評価式に従って画質評価値が算出される。
【0074】
図5は、画像観察距離を350mmとし、上述したようにしてテクスチャ抽出画像の明度成分について可視化された各チャンネルの画像を示す。図5に示すように、主にテクスチャに寄与しているのは、チャンネル1〜3であり、チャンネル3以降では次第にテクスチャ成分よりも、ノイズ成分が支配的になることが分かる。なお、図中で画像の周辺に行くに従って画像のコントラストが低下しているのは、直交変換としてDFT処理を施す際にデータの打ち切り誤差による影響を低減するために、DFT処理の前処理としてWindow(HanningWindoew)処理を施したためである。この処理は必須の処理ではないが、この処理を施すことで、データの打ち切り誤差による空間周波数成分データのボケや滲みを低減することが可能となる。
【0075】
以上説明したように、実施の形態2の画像評価装置によれば、逆直交変換を施すことにより、各チャンネルで検出されたテクスチャや粒状度が抽出された画像を可視像として確認・評価することが可能となる。
【0076】
つぎに、図4の画像評価装置を適用した実験例について説明する。被評価画像は約100線から200線のスクリーン角つきの網点および万線のディザ処理画像の1〜4次色のグレイパッチを、カラープルファおよびカラーレーザプリンタから出力した出力画像を使用した。主観評価は、パネラ10人でマグニチュード推定法等を使用して、上記出力画像から選択した136サンプルについて、テクスチャの目立ちやすさを評価し点数付けを行った。そして、本画像評価装置で算出したテクスチャ評価値と、主観的評価値とを比較して、本画像評価装置の画質評価の有用性を検証した。
【0077】
図6は、図4の画像評価装置を使用して画像のテクスチャ評価の実験を行ったその実験手順を説明するための処理フローを示している。図6において、まず、画像入力部1で被評価画像のRGB情報を取り込み(ステップS1)、RGB情報をL*a*b*変換し(ステップS2)、L*a*b*の成分を分離する(ステップS3)。そして、平均値を減算後(ステップS4)、データの打ち切り誤差による影響を低減するために、DFT処理の前処理としてHanningWindow処理を行う(ステップS5)。
【0078】
つづいて、直交変換として2D−FFT(高速フーリエ変換)処理を行って周波数空間に変換後に(ステップS6)、実画像(real/imaginary)を振幅/位相成分に変換し(ステップS7)、振幅成分のみに、メディアンフィルタ処理を行う(ステップS8)。そして、メディアンフィル処理前の振幅成分からメディアンフィルタ処理後の振幅成分を減算する(ステップS9)。そして、減算処理後のデータの負数を「0」に変換した後(ステップS10)、フィルタ群によるフィルタ処理を行った後(ステップS11)、振幅/位相成分を実画像(real/imaginary)に変換する(ステップS12)。
【0079】
そして、逆FFTにより実空間に戻した後(ステップS13)、絶対値の加算平均により各フィルタ(各チャンネル)の抽出値を算出する(ステップS14)。そして、テクスチャ評価値を算出する評価式を使用して、テクスチャ評価値を算出する(ステップS15)。
【0080】
ここで、テクスチャ評価値を算出する評価式は、明度情報のみを用いた下式(2)を使用した。
【0081】
テクスチャ評価値=(a・L*_ch1+b・L*_ch2+c・L*_ch3−d・L*_ch4)^e+f・・・(2)
ここで、a,b,c,d>0
e=0.331
f=−0.287
L*_ch1:L*のチャンネル1による抽出値
L*_ch2:L*のチャンネル2による抽出値
L*_ch3:L*のチャンネル3による抽出値
L*_ch4:L*のチャンネル4による抽出値
【0082】
上記式(2)の評価式によるテクスチャ評価値と、主観評価値の相関係数は0.85、寄与率は0.72と良好な結果を得ることができた。図7は、式(2)の評価式で算出されたテクスチャ評価値と主観評価値の相関を示す図である。図7において、縦軸が主観評価値、横軸が算出されたテクスチャ評価値を示している。
【0083】
また、テクスチャの別の評価式として、色度情報を含めた下式(3)についても評価を行った。
【0084】
テクスチャ評価値=a・[(b・L*_ch1+ L*_ch2+c・L*_ch3−d・L*_ch4)^e +f・a*_ch2]+g・・・(3)
ここで、a,b,c,d,f>0
e=0.369
f=−0.44
L*_ch1:L*のチャンネル1による抽出値
L*_ch2:L*のチャンネル2による抽出値
L*_ch3:L*のチャンネル3による抽出値
L*_ch4:L*のチャンネル4による抽出値
a*_ch2:a*のチャンネル2による抽出値
【0085】
上記式(3)の評価式によるテクスチャ評価値と、主観価値の相関係数は0.86、寄与率は0.74と更に良好な結果を得ることができた。図8は、式(3)の評価式で算出されたテクスチャ評価値と主観評価値の相関を示す図である。図8において、縦軸が主観評価値、横軸が算出されたテクスチャ評価値を示している。
【0086】
図4の画像評価装置で同一サンプルを用いて画像ノイズの評価を行った実験例を説明する。図9は、画像評価装置を使用した画像ノイズ(テクスチャを除去した粒状度)の評価の実験手順を説明するための処理フローを示している。図9において、図6と同様の処理を行うステップは同一符号を付してあり、基本的には、周波数空間での平滑化処理前後の差分をとらず、平滑化処理した周波数成分を評価に用いるということ以外はテクスチャ評価と同様な処理を行うので、その詳細な説明は省略する。
【0087】
画像ノイズ(粒状度)評価値を算出する評価式は、明度情報のみを用いた下式(4)を使用した。
【0088】
画像ノイズ評価値=(a・L*_ch1+b・L*_ch2+c・L*_ch3−d・L*_ch4)・exp(e・L*)+f・・・(4)
ただし、a,b,c,d>0
e=0.00591
f=−0.198
L*:平均明度
exp(e・L*):視覚の明度特性(画像のハイライト部はダーク
部よりざらつき感が目立つという特性)を補正している。
【0089】
主観評価実験は実施していないが、従来の画像ノイズ評価法とし、特開平10−23191号公報で開示されている手法による評価値との相関図を図10に示す。同図において、縦軸は特開平10−23191号公報の手法による評価値、横軸は算出されたノイズ評価値を示している。その結果、相関係数0.95、寄与率0.91と高い相関を得ることができ、本手法の有効性が証明された。なお、本手法では、テクスチャ成分を良好に除去しているという特徴がある。
【0090】
また、画像ノイズ評価値を算出する評価式として、色度情報を含めた評価式を下式(5)に示す。
【0091】
画像ノイズ評価値=(a・L*_ch2−b・L*_ch4)・exp(c・L*)+d・a*_ch1+e・b*_ch3+f・・・(5)
【0092】
ここで、a,b,d,e>0
c=0.00677
f=−0.235
a*_ch1:a*のチャンネル1による抽出値
b*_ch3L*は:b*のチャンネル3による抽出値
L*:平均明度
exp(c・L*):視覚の明度特性(画像のハイライト部はダーク部よりざらつき感が目立つという特性)を補正している。
【0093】
主観評価実験は実施していないが、従来の画像ノイズ評価法とし、特開平10−23191号公報に開示された手法による評価値との相関図を図11に示す。縦軸が特開平10−23191号公報による評価値、横軸が本手法により算出されたノイズ評価値である。その結果、相関係数0.97、寄与率0.94と更に高い相関を得ることができ、本手法の有効性が証明された。
【0094】
(実施の形態3)
実施の形態3にかかる画像評価装置を図12〜図15を参照して説明する。図12は、実施の形態3にかかる画像評価装置の構成を示す図である。図12において、図4(実施の形態2)と同等機能を有する部位には同一符号を付し、同様の処理を行う部位の説明は省略する。実施の形態3(図12)の画像評価装置は、図4の実施の形態2の画像評価装置において、画像観察距離入力部31と、フィルタ可変部32を追加した構成である。
【0095】
画像観察距離入力部31は、画像観察距離をフィルタ可変部32に出力する。フィルタ可変部31は、画像観察距離入力部31から入力される画像観察距離に応じて、フィルタ処理部20のフィルタ群の縮小や拡大演算等を行なうことにより、演算に用いるフィルタのサイズを任意のサイズに変更して、周波数帯域を可変に設定する。
【0096】
図13〜図15は、画像観察距離が、250,350,450mmの時のそれぞれの適用すべきファイルタ群の一例を示す図である。かかる構成とすることにより、画像観察距離などの画質評価条件が標準条件と異なる場合においても、または、異なる画質評価条件での評価が必要になった場合でも、画質評価値を高速かつ正確に算出することが可能となる。
【0097】
以上説明したように、実施の形態3の画像評価装置によれば、画像観察距離に応じて各フィルタの周波数帯域を可変としたので、任意の画像観察距離におけるテクスチャおよび(テクスチャを除去した)粒状度が評価可能となる。
【0098】
なお、本発明の画像評価装置は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェイス機器、スキャナ、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器から構成される装置(ホストコンピュータ等)に適用しても良い。
【0099】
また、本発明の目的は、上述した画像評価装置の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(または、CPU、MPU、DSP)が記録媒体に格納されたプログラムコードを実行することによっても達成することが可能である。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した画像評価装置の機能を実現することになり、そのプログラムコードまたはそのプログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記録媒体としては、FD、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリ部5、ROMなどの光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、半導体記録媒体を使用することができる。
【0100】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した画像評価装置の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した画像評価装置の機能が実現される場合も含まれること言うまでもない。
【0101】
また、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した画像評価装置の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0102】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変形して実行可能である。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1にかかる画像評価装置によれば、被評価画像の画質を評価する画像評価装置において、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出手段と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化手段と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング手段と、前記フィルタリング手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質評価値を算出する画質評価手段と、を備えたこととしたので、人間の視覚系の特性に基づいた心理相関の高い(主観評価値と相関の高い)画質評価(テクスチャ評価、粒状度評価)が可能な画像評価装置を提供することが可能となる。
【0104】
また、請求項2にかかる画像評価装置によれば、被評価画像の画質を評価する画像評価装置において、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出手段と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化手段と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分、の少なくともいずれかに対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング手段と、フィルタリング処理手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を逆直交変換する逆直交変換手段と、前記逆直交変換手段の出力結果に基づいて、画質評価値を算出する画質評価手段と、を備えたこととしたので、人間の視覚系の特性に基づいた心理相関の高い画質評価(テクスチャ評価、粒状度評価)が可能な画像評価装置を提供することが可能となる。また、この場合、画像を可視像として評価することが可能となる。
【0105】
また、請求項3にかかる画像評価装置によれば、請求項1または請求項2にかる発明において、さらに、画像観察距離に応じて前記フィルタリング処理手段のフィルタ群の周波数帯域を可変的に設定するフィルタ可変手段を備えたこととしたので、任意の画像観察距離における画質評価を高精度に行うことが可能となる。
【0106】
また、請求項4にかかる画像評価装置によれば、請求項1〜請求項3のいずれか1つにかかる発明において、前記フィルタ群は、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間フィルタであることととしたので、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく画質評価が可能となる。
【0107】
また、請求項5にかかる画像評価装置によれば、請求項1〜請求項4のいずれか1つにかかる発明において、前記平滑化手段は、メディアンフィルタによる平滑化処理を施すこととしたので、テクスチャ特徴量であるピーク部を良好に除去でき、テクスチャ成分を好適に除去することが可能となる。
【0108】
また、請求項6にかかる画像評価装置によれば、請求項1〜請求項5のいずれか1つにかかる発明において、前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報であることとしたので、画質評価を短時間で行うことが可能となる。
【0109】
また、請求項7にかかる画像評価装置によれば、請求項1〜請求項5のいずれか1つにかかる発明において、被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報および色度情報であることとしたので、濃淡情報だけではなく、色度情報を使用することにより、より精度の高い画質評価を行うことが可能となる。
【0110】
また、請求項8にかかる画像評価方法によれば、被評価画像の画質を評価する画像評価方法おいて、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出工程と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化工程と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング工程と、前記フィルタリング工程でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質評価値を算出する画質評価工程と、を含むこととしたので、人間の視覚系の特性に基づいた心理相関の高い画質評価(テクスチャ評価、粒状度評価)が可能な画像評価装置を提供することが可能となる。また、この場合、画像を可視像として評価することが可能となる。
【0111】
また、請求項9にかかる画像評価方法によれば、被評価画像の画質を評価する画像評価方法おいて、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出工程と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化工程と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分、の少なくともいずれかに対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング工程と、フィルタリング処理手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を逆直交変換する逆直交変換工程と、前記逆直交変換工程の出力結果に基づいて、画質評価値を算出する画質評価工程と、を含むこととしたので、人間の視覚系の特性に基づいた心理相関の高い画質評価(テクスチャ評価、粒状度評価)が可能な画像評価方法を提供することが可能となる。
【0112】
また、請求項10にかかる画像評価方法によれば、請求項8または請求項9にかかる発明において、さらに、画像観察距離に応じて前記フィルタ群の周波数帯域を可変的に設定するフィルタ可変工程を含むこととしたので、任意の画像観察距離における画質評価を高精度に行うことが可能となる。
【0113】
また、請求項11にかかる画像評価方法によれば、請求項8〜請求項10にかかる発明において、前記フィルタ群は、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間フィルタであることとしたので、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく画質評価が可能となる。
【0114】
また、請求項12にかかる画像評価方法によれば、請求項8〜請求項11のいずれか1つにかかる発明において、前記平滑化工程では、メディアンフィルタによる平滑化処理を施すこととしたので、テクスチャ特徴量であるピーク部を良好に除去でき、テクスチャ成分を好適に除去することが可能となる。
【0115】
また、請求項13にかかる画像評価方法によれば、請求項8〜請求項12のいずれか1つにかかる発明において、前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報であることとしたので、画質評価を短時間で行うことが可能となる。
【0116】
また、請求項14にかかる画像評価方法によれば、請求項8〜請求項12のいずれか1つにかかる発明において、前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報および色度情報であることとしたので、濃淡情報だけではなく、色度情報を使用することにより、より精度の高い画質評価を行うことが可能となる。
【0117】
また、請求項15にかかるコンピュータが実行するためのプログラムによれば、コンピュータでプログラムを実行することにより、請求項8〜請求項14のいずれか1つに記載の画像評価方法の各工程を実現することとしたので、人間の視覚系の特性に基づいた心理相関の高い画質評価(テクスチャ評価、粒状度評価)が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる画像評価装置の構成を示す図である。
【図2】テクスチャ構造を有する画像を説明するための説明図である。
【図3】人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づくフィルタ群(チャンネル1〜チャンネル5)の断面(周波数空間の原点から距離の関数として表示)の特性を示す図である。
【図4】実施の形態2にかかる画像評価装置の構成を示す図である。
【図5】画像観察距離を350mmとし、上述したようにしてテクスチャ抽出画像の明度成分について可視化された各チャンネルの画像を示す図である。
【図6】画像のテクスチャ評価の実験手順を説明するための処理フローを示す図である。
【図7】式(2)の評価式で算出されたテクスチャ評価値と主観評価値の相関を示す図である。
【図8】式(3)の評価式で算出されたテクスチャ評価値と主観評価値の相関を示す図である。
【図9】画像ノイズ(テクスチャを除去した粒状度)の評価の実験手順を説明するための処理フローを示す図である。
【図10】式(4)の評価式で算出されたテクスチャ評価値と他の評価値の相関を示す図である。
【図11】式(5)の評価式で算出されたテクスチャ評価値と他の評価値の相関を示す図である。
【図12】実施の形態3にかかる画像評価装置の構成を示す図である。
【図13】画像観察距離が、250mmの時のそれぞれの適用すべきファイルタ群の一例を示す図である。
【図14】画像観察距離が、350mmの時のそれぞれの適用すべきファイルタ群の一例を示す図である。
【図15】画像観察距離が、450mmの時のそれぞれの適用すべきファイルタ群の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 画像評価装置
11 画像入力部
12 直交変換部
13 平滑化部
14 減算部
15 フィルタリング処理部
16 第1の画質評価値算出部
17 第2の画質評価値算出部
20 逆直交変換部
31 画像観察距離入力部
32 フィルタ可変部
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像評価装置、画像評価方法、およびその方法をコンピュータが実行するためのプログラムに関し、詳細には、ハードコピー画像の画像品質を客観的に評価する画像評価装置、画像評価方法、およびその方法をコンピュータが実行するためのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像の粒状性(ざらつき、ノイズ)の評価法としては、例えば、特許文献1などに示されるように、直交変換により空間周波数成分に変換された画像情報に対して、人間の視覚の空間周波数特性(VTF)を乗じた量を用いるという方法が一般的である。
【0003】
印刷、電子写真、およびインクジェットなどの分野においては、面積階調により画像の濃淡を表現するのが一般的であるため、通常、網点、ロゼッタなどと呼ばれる周期的な画像構造、いわゆるテクスチャが画像に内包されている。
【0004】
テクスチャの影響を除去するための方法として、特許文献2や特許文献3では、2次元の空間周波数成分を1次元化、すなわちテクスチャによるピークをradial方向に平均化することにより、テクスチャの影響を低減している。しかるに、特許文献2や特許文献3の技術では、1次元化のみではテクスチャを完全に除去することはできず、また、テクスチャ自体を評価することができないという問題がある。
【0005】
また、特許文献4では、粒状度とテクスチャ特徴量の線形1次結合によって最終的な粒状度(粒状度:粒状性を定量化した心理物理量)を算出して、テクスチャの影響を低減している。しかるに、テクスチャと粒状度という特性の異なる評価値の線形結合による評価式の表現に課題が残されており、汎用的な画像への適用は難しいという問題がある。また、テクスチャ抽出法として複雑で計算時間のかかる同時生起行列を用いる手法を採用しているため、短時間での評価値算出が困難であるという問題がある。
【0006】
また、特許文献5では、被評価画像の光学情報を周波数空間で1次元化したのちに視覚の空間周波数特性を乗じ、さらに平滑化処理を掛けて積分することにより、テクスチャ成分を除去した粒状度を算出している。しかるに、1次元化された空間周波数成分は元の画像の情報の多くが失われてしまうため、これを用いたテクスチャ成分等の画像特徴量の正確な抽出および除去は困難であるという問題がある。
【0007】
ところで、「画像解析ハンドブック:東京大学出版会p.517〜」の記述によると、一般に、テクスチャの評価法としては、前述した同時生起行列を用いる手法の他に、(1)濃度ヒストグラム、(2)差分統計量、(3)ランレングス行列、(4)パワースペクトルを用いる方法があるが、いずれも、評価対象画像が限定されていたり、十分な成果が得られていないなどの問題が指摘されている。
【0008】
人間の視覚機能においては、空間周波数選択性を有する複数のチャンネル(マルチチャンネル)が存在することが知られている。網膜神経節細胞(ganglion cell)には、ほぼ円対称の受容野(receptive field)を持ち、受容野中心部に興奮性領域を有し周辺部に抑制性領域を有するオン中心型細胞とその逆の特性を有するオフ中心型細胞が存在することが、神経生理学的、および解剖学的研究の結果明らかにされており、これらが空間周波数選択性のチャンネルの視覚経路をなしていると考えられている。
【0009】
前述したような、人間の視覚のMTF特性(VTF)を用いる手法では、デジタル画像のテクスチャの知覚と粒状性を統合することが困難な点など様々な限界が見えてきている。これは、画質を知覚する人間の視覚系といった非常に非線形なシステムを記述するに当たっては空間周波数特性は近似的にしか有効ではありえないことや、ここで用いられる視覚のMTF特性は人間の正弦波状の刺激に対するコントラスト感度の閾値のデータを基に得られたものであり、上述したマルチチャンネルによる視覚現象の1側面を記述したものにすぎないこと等に起因すると考えられる。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−325922号公報
【特許文献2】
特開平5−284260号公報
【特許文献3】
特開平10−23191号公報
【特許文献4】
特開平11−25275号公報
【特許文献5】
特開2002−245465号公報
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、人間の視覚系の特性に基づいた心理相関の高い(主観評価値と相関の高い)画質評価(テクスチャ評価や粒状度評価)を行うことが可能な画像評価装置、画像評価方法、およびその方法をコンピュータが実行するためのプログラムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1にかかる発明は、被評価画像の画質を評価する画像評価装置おいて、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出手段と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化手段と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング手段と、前記フィルタリング手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質評価値を算出する画質評価手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
上記発明によれば、空間周波数成分算出手段は、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出し、平滑化手段は、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施し、フィルタリング手段は、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施し、画質評価手段は、前記フィルタリング手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質評価値を算出する。
【0014】
また、請求項2にかかる発明は、被評価画像の画質を評価する画像評価装置おいて、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出手段と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化手段と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング手段と、フィルタリング処理手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を逆直交変換する逆直交変換手段と、前記逆直交変換手段の出力結果に基づいて、画質評価値を算出する画質評価手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
上記発明によれば、空間周波数成分算出手段は、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出し、平滑化手段は、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施し、フィルタリング手段は、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施し、逆直交変換手段は、フィルタリング処理手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を逆直交変換し、画質評価手段は、前記逆直交変換手段の出力結果に基づいて、画質評価値を算出する。
【0016】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかる発明において、さらに、画像観察距離に応じて前記フィルタリング処理手段のフィルタ群の周波数帯域を可変的に設定するフィルタ可変手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
上記発明によれば、フィルタ可変手段は、フィルタリング処理手段のフィルタ群の周波数帯域を画像観察距離に応じて変更する。
【0018】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1つにかかる発明において、前記フィルタ群は、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間フィルタであることを特徴とする。
【0019】
上記発明によれば、フィルタ群として、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間フィルタを使用する。
【0020】
また、請求項5にかかる発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1つにかかる発明において、前記平滑化手段は、メディアンフィルタによる平滑化処理を施すことを特徴とする。
【0021】
上記発明によれば、平滑化手段は、メディアンフィルタによる平滑化処理を施す。
【0022】
また、請求項6にかかる発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1つにかかる発明において、前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報であることを特徴とする。
【0023】
上記発明によれば、被評価画像の2次元光学情報を2次元的な明度(濃淡)情報とする。
【0024】
また、請求項7にかかる発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1つにかかる発明において、前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報および色度情報であることを特徴とする。
【0025】
上記発明によれば、被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報および色度情報とする。
【0026】
また、請求項8にかかる発明は、被評価画像の画質を評価する画像評価方法おいて、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出工程と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化工程と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング工程と、前記フィルタリング工程でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質評価値を算出する画質評価工程と、を含むことを特徴とする。
【0027】
上記発明によれば、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出し、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施し、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施し、フィルタ処理された平滑化処理後の空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質評価値を算出する。
【0028】
また、請求項9にかかる発明は、被評価画像の画質を評価する画像評価方法おいて、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出工程と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化工程と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分、の少なくともいずれかに対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング工程と、フィルタリング処理手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を逆直交変換する逆直交変換工程と、前記逆直交変換工程の出力結果に基づいて、画質評価値を算出する画質評価工程と、を含むことを特徴とする。
【0029】
上記発明によれば、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出し、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化工程と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング工程と、フィルタリング処理手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を逆直交変換し、その出力結果に基づいて、画質評価値を算出する。
【0030】
また、請求項10にかかる発明は、請求項8または請求項9にかかる発明において、さらに、画像観察距離に応じて前記フィルタ群の周波数帯域を可変的に設定するフィルタ可変工程を含むことを特徴とする。
【0031】
上記発明によれば、画像観察距離に応じてフィルタ群の周波数帯域を変更する。
【0032】
また、請求項11にかかる発明は、請求項8〜請求項10のいずれか1つにかかる発明において、前記フィルタ群は、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間フィルタであることを特徴とする。
【0033】
上記発明によれば、フィルタ群として、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間フィルタを使用する。
【0034】
また、請求項12にかかる発明は、請求項8〜請求項11のいずれか1つにかかる発明において、前記平滑化工程では、メディアンフィルタによる平滑化処理を施すことを特徴とする。
【0035】
上記発明によれば、メディアンフィルタによる平滑化処理を施す。
【0036】
また、請求項13にかかる発明は、請求項8〜請求項12のいずれか1つにかかる発明において、前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報であることを特徴とする。
【0037】
上記発明によれば、被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報を使用する。
【0038】
また、請求項14にかかる発明は、請求項8〜請求項12のいずれか1つにかかる発明にいおいて、前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報および色度情報であることを特徴とする。
【0039】
上記発明によれば、被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報および色度情報とする。
【0040】
また、請求項15にかかる発明は、請求項8〜請求項14に記載の画像評価方法の各工程をコンピュータが実行するためのプログラムであることを特徴とする。
【0041】
上記発明によれば、コンピュータでプログラムを実行することにより、請求項8〜請求項14に記載の画像評価方法の各工程を実現する。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明にかかる画像評価装置、画像評価方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムの好適な実施の形態を、(実施の形態1)、(実施の形態2)、(実施の形態3)の順に詳細に説明する。
【0043】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる画像評価装置を図1〜図3を参照して説明する。図1は、実施の形態1にかかる画像評価装置の構成を示す図である。図1に示す画像評価装置は、被評価画像の2次元光学情報を入力する画像入力部11と、画像入力部11から入力される被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する直交変換部12と、直交変換部12で算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化部13と、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を算出する減算部14と、平滑化処理された空間周波数成分と、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分とに対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりそれぞれフィルタリング処理を施すフィルタリング処理部15と、フィルタリング処理部15でフィルタ処理された、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質予測値1(テクスチャ評価値)を算出する第1の画質評価値算出部16と、フィルタリング処理部15でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分に基づいて画質予測値2(粒状度評価値)を算出する第2の画質評価値算出部17と、を備えている。
【0044】
画像入力部11は、被評価画像であるハードコピーの2次元的な光学情報を読み取り可能なスキャナ、ミクロ濃度計(マイクロデンシトメータ等)、およびCCDカメラ等で構成され、被評価画像の2次元的な光学情報を読みって直交変換部12に出力する。ここで、被評価画像はコンピュータ上で作成された電子画像や特開2000−022858号公報で開示されたような画像シミュレーションの出力結果でも良く、これらの場合は必ずしもスキャナ等の画像入力部11は必要ではない。
【0045】
直交変換部12は、画像入力部11から入力される、被評価画像の2次元的な光学情報に対して、離散フーリエ変換(DFT)等の直交変換により2次元の空間周波数成分に変換して、平滑化部13および減算部14に出力する。
【0046】
平滑化部13は、直交変換部12から入力される、2次元の空間周波数成分に対して、平滑化フィルタによる平滑化処理を施して、減算部14およびフィルタ処理部15に出力する。
【0047】
ここで平滑化フィルタとしては、既存の任意の平滑化フィルタを用いることが可能であるが、メディアンフィルタを使用するのが好ましい。一般に周期性のあるテクスチャは、直交変換により比較的鋭いピーク部を持つ特徴がある。実空間では、テクスチャの周波数は様々であり、これらを同一処理で除去や抽出することは困難であるが、周波数空間においては、周期性を有するテクスチャはいずれも鋭いピーク部を持つという特徴があるため、メディアンフィルタにより容易に除去可能となる。
【0048】
すなわち、平均値ファイルタなどでは、単にデータを平均化するだけであるため、例えば積分値は平滑化処理前と変わらないが、周辺に比べて著しく値の異なる特異点を好適に除去可能なメディアンフィルタを用いることにより、これらのテクスチャ特徴量であるピーク部を良好に除去できるため、テクスチャ成分の好適な除去が可能である。また、メディアンフィルタ処理前のデータからメディアンフィルタ処理後のデータを減算することにより、テクスチャ成分を好適に抽出することも可能となる。
【0049】
減算部14は、平滑化部13から入力される平滑化処理された2次元周波数成分と、直交変換部12から入力される平滑化処理前の2次元の空間周波数成分との差分を演算して、平滑化処理された2次元周波数成分と平滑化処理前の2次元の空間周波数成分との差分をフィルタ処理部15に出力する。
【0050】
フィルタ処理部15は、減算部14から入力される平滑化処理された2次元周波数成分と平滑化処理前の2次元の空間周波数成分との差分に対して、帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりそれぞれフィルタリング処理を施して、第1の画質評価算出部16に出力する。また、フィルタ処理部15は、平滑化部13から入力される平滑化処理された2次元空間周波数成分に対して、帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりそれぞれフィルタリング処理を施して、第2の画質評価算出部17に出力する。
【0051】
第1の画質評価値算出部16は、フィルタ処理部15から入力される、フィルタ処理後の、平滑化処理された2次元周波数成分と平滑化処理前の2次元の空間周波数成分との差分に基づいて、画質予測値1(テクスチャ評価値)を画質評価値として算出する。
【0052】
第2の画質評価値算出部17は、フィルタ処理部15から入力される、フィルタ処理後の、平滑化処理された2次元周波数成分に基づいて、画質予測値2(粒状度評価値)を画質評価値として算出する。
【0053】
つぎに、上記画像評価装置による画像評価の具体例を図2を参照して説明する。図2は、テクスチャ構造を有する画像を説明するための説明図をしている。同図(A)は、テクスチャ構造を有する画像の一例として、45度106線、45度141線のK(Black)版の網点画像、およびほぼ同一線数でスクリーン角付きディザ処理を施されたYMC版による2種類の画像(いわゆる”ロゼッタパターン”を有する画像)の拡大画像を示している。同図(B)は、同図(A)の画像の周波数スペクトル(正確には周波数空間の振幅成分)を可視化した様子を示している。これは、直交変換部12の周波数変換後を示している。同図(C)は、同図(B)の画像の周波数スペクトルにメディアンフィルタによるメディアン処理を施した画像を示している。これは、平滑化部13の平滑処理化後を示している。
【0054】
図2(B)に示すように、テクスチャ構造を有する画像は、周波数空間においては、テクスチャを特徴づける複数のピーク部と、ノイズ成分を特徴づけるアットランダムで比較的低レベルな成分によりなる背景部とから構成されている。
【0055】
また、同図2(C)に示すように、メディアン処理を施すことにより、テクスチャを特徴づけるピーク部がほぼ完全に除去されているとともに、背景部が平滑化されているがその平均値(すなわち積分値)はほぼ保存されていることがわかる。したがって、平滑化処理前の周波数成分から平滑化処理後の周波数成分を減じることにより、ピーク部はほぼ完全に保存されるとともに、背景部はその平均値(すなわち積分値)がほぼ「0」となるように除去されていることがわかる。すなわち、周波数空間における平滑化処理と減算処理により、画像のテクスチャ成分とノイズ成分が良好に分離されたことが分かる。
【0056】
ここで、フィルタ処理部15のフィルタ群として適用される一例として、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間演算フィルタについて説明する。
【0057】
実空間では、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づくフィルタ群は、下式(1)のような関数で表わされる等方性微分演算フィルタである。ただし、下式(1)において、σは定数で各チャンネルによって異なり、rはフィルタ原点からの距離を示している。
【0058】
LG(r)=(−1/(πσ^4))・(1−r^2/(2σ^2))・exp(−r^2/(2σ^2))・・・(1)
【0059】
一方、周波数空間では、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づくフィルタ群は、帯域の異なる複数の等方的な2次元バンドパスフィルタとして表現される。図3は、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づくフィルタ群(チャンネル1〜チャンネル5)の特性の一例を示す図である。同図において、横軸は、周波数空間の原点から距離、縦軸はレスポンスを示している。
【0060】
図3に示す視覚系のマルチチャンネルモデルに基づくフィルタ群の例は、チャンネル1が最も高周波、チャンネル5が最も低周波な5チャンネルからなるバンドパスフィルタ群により構成されている。これらのチャンネル群によって被評価空間周波数成分にフィルタリング処理(乗ずる)することにより、各チャンネルによるチャンネル成分が被評価画像の特徴量として抽出される。
【0061】
本実施の形態では、ノイズ成分を抽出された、直交変換後に平滑化処理を施された空間周波数成分、および、テクスチャ成分を抽出された、直交変換後に平滑化処理を施し、平滑化処理前から平滑化処理後の差分をとられた空間周波数成分が、このフィルタ群によりフィルタリング処理を施され、その出力結果を演算処理をすることによりテクスチャや、テクスチャを除去した粒状度を定量的に算出する。
【0062】
フィルタリング処理結果の演算処理法としては、例えば積分処理により2次元のフィルタリング処理結果をスカラー量に変換したものを各チャンネルの抽出値とし、各チャンネルの抽出値を用いた評価式に従って画質評価値が算出される。
【0063】
このように、視覚系のマルチチャンネルモデルを用いることで、従来の視覚のMTFを乗ずる方式に比して、より視覚特性に忠実な出力結果を得ることができると共に、画質評価値の定量化に用いられる説明変数がチャンネル数の数だけ増加することで自由度が増すため、従来よりも主観評価結果に忠実な画質評価値を行うことができる。また、この際、従来のように、周波数空間の処理の途中で1次元化することがなく2次元情報として処理を行っているので、画像情報の欠落がなく正確な画像評価値を算出することが可能となる。
【0064】
なお、フィルタ群のチャンネル数としては、視覚系のモデルとして6チャンネルとする説もあり、また、5〜6に限らず任意のチャンネル数とすることが可能である。また、このうち、実際に画質評価値算出に用いるチャンネルを全て用いる必要もなく、選択的に任意のチャンネルを使用することにしても良い。また、視覚系のモデルに従わない、帯域の異なる任意の複数の空間ファイルタをフィルタ群として使用することも可能である。
【0065】
上記した被評価画像の光学情報としては、明度、濃度、反射率、等の濃淡情報を使用することができる。例えば、最も一般的には、CIE1976L*a*b*均等色空間における明度L*を使用することができる。このように、色度情報を用いずに明度等の画像の濃淡情報のみを用いることで、処理の高速化が可能となる。また、一般に画像におけるa*,b*などの色度情報はL*等の濃淡情報と強い相関があるため、色度情報を使わずに濃淡情報のみを用いて画質評価値を算出してもその信頼度が大きく低下することはない。
【0066】
また、被評価画像の光学情報としては、明度等の濃淡情報、および色度情報を用いることにしても良い。例えば、最も一般的には、CIE1976L*a*b*均等色空間における明度L*および色度a*,b*を使用することができる。このように、濃淡情報と色度情報の両者を用いることで、濃淡情報のみで画質評価値を算出した場合よりも、より正確な画質評価値を算出することができる。
【0067】
以上説明したように、実施の形態1の画像評価装置によれば、人間の視覚系のマルチチャンネルデルに基づく複数のフィルタリング処理の出力結果を用いて画質評価値を定量化しているので、心理相関の高い画質評価値を算出することが可能となる。
【0068】
また、周波数空間での2次元光学情報に平滑化フィルタを施す前後の差分を演算することとしたので、周波数成分のピーク部を好適に抽出することができ、テクスチャを高精度に抽出することが可能となる。
【0069】
また、周波数空間での2次元光学情報に平滑化フィルタを施すことにより、周波数成分のピーク部を好適に除去することが可能となり、テクスチャ、およびテクスチャを除去した粒状度について同時に高精度で心理相関の高い画質評価値を得ることが可能となる。
【0070】
また、フィルタリング処理を周波数空間で行っているので、高速な処理が可能となる。
【0071】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる画像評価装置を図4〜図11を参照して説明する。図4は、実施の形態2にかかる画像評価装置の構成を示す図である。図4において、図1(実施の形態1)と同等機能を有する部位には同一符号を付し、同様の処理を行う部位の説明は省略する。実施の形態2の画像評価装置は、図1の実施の形態1の画像評価装置において、フィルタ処理部15と、第1および第2の画質評価値算出部16,17の間に、逆直交変換部20を追加した構成である。
【0072】
実施の形態2の画像評価装置は、フィルタ群によるフィルタリング処理を行った後に、逆直交変換部20で逆直交変換を施し、実空間での画像情報(2次元光学情報)に変換した後に、第1の画質評価算出部16で画質予測値1(テクスチャ)を算出し、第2の画質評価値算出部17で画質予測値2(粒状性)を算出するように構成している。かかる構成とすることで、可視像として各チャンネルの抽出した画像特徴量を確認、把握したり、評価することが可能となる。
【0073】
逆直交変換部20で逆直交変換により実空間に変換された各ファイルタリング処理画像は、第1および第2の画質評価算出部16、17によって、標準偏差を求めたり、絶対値の平均値を求めたりすることにより、各チャンネルの抽出値を例えばスカラー量として算出し、これらの各チャンネルの抽出値を用いた評価式に従って画質評価値が算出される。
【0074】
図5は、画像観察距離を350mmとし、上述したようにしてテクスチャ抽出画像の明度成分について可視化された各チャンネルの画像を示す。図5に示すように、主にテクスチャに寄与しているのは、チャンネル1〜3であり、チャンネル3以降では次第にテクスチャ成分よりも、ノイズ成分が支配的になることが分かる。なお、図中で画像の周辺に行くに従って画像のコントラストが低下しているのは、直交変換としてDFT処理を施す際にデータの打ち切り誤差による影響を低減するために、DFT処理の前処理としてWindow(HanningWindoew)処理を施したためである。この処理は必須の処理ではないが、この処理を施すことで、データの打ち切り誤差による空間周波数成分データのボケや滲みを低減することが可能となる。
【0075】
以上説明したように、実施の形態2の画像評価装置によれば、逆直交変換を施すことにより、各チャンネルで検出されたテクスチャや粒状度が抽出された画像を可視像として確認・評価することが可能となる。
【0076】
つぎに、図4の画像評価装置を適用した実験例について説明する。被評価画像は約100線から200線のスクリーン角つきの網点および万線のディザ処理画像の1〜4次色のグレイパッチを、カラープルファおよびカラーレーザプリンタから出力した出力画像を使用した。主観評価は、パネラ10人でマグニチュード推定法等を使用して、上記出力画像から選択した136サンプルについて、テクスチャの目立ちやすさを評価し点数付けを行った。そして、本画像評価装置で算出したテクスチャ評価値と、主観的評価値とを比較して、本画像評価装置の画質評価の有用性を検証した。
【0077】
図6は、図4の画像評価装置を使用して画像のテクスチャ評価の実験を行ったその実験手順を説明するための処理フローを示している。図6において、まず、画像入力部1で被評価画像のRGB情報を取り込み(ステップS1)、RGB情報をL*a*b*変換し(ステップS2)、L*a*b*の成分を分離する(ステップS3)。そして、平均値を減算後(ステップS4)、データの打ち切り誤差による影響を低減するために、DFT処理の前処理としてHanningWindow処理を行う(ステップS5)。
【0078】
つづいて、直交変換として2D−FFT(高速フーリエ変換)処理を行って周波数空間に変換後に(ステップS6)、実画像(real/imaginary)を振幅/位相成分に変換し(ステップS7)、振幅成分のみに、メディアンフィルタ処理を行う(ステップS8)。そして、メディアンフィル処理前の振幅成分からメディアンフィルタ処理後の振幅成分を減算する(ステップS9)。そして、減算処理後のデータの負数を「0」に変換した後(ステップS10)、フィルタ群によるフィルタ処理を行った後(ステップS11)、振幅/位相成分を実画像(real/imaginary)に変換する(ステップS12)。
【0079】
そして、逆FFTにより実空間に戻した後(ステップS13)、絶対値の加算平均により各フィルタ(各チャンネル)の抽出値を算出する(ステップS14)。そして、テクスチャ評価値を算出する評価式を使用して、テクスチャ評価値を算出する(ステップS15)。
【0080】
ここで、テクスチャ評価値を算出する評価式は、明度情報のみを用いた下式(2)を使用した。
【0081】
テクスチャ評価値=(a・L*_ch1+b・L*_ch2+c・L*_ch3−d・L*_ch4)^e+f・・・(2)
ここで、a,b,c,d>0
e=0.331
f=−0.287
L*_ch1:L*のチャンネル1による抽出値
L*_ch2:L*のチャンネル2による抽出値
L*_ch3:L*のチャンネル3による抽出値
L*_ch4:L*のチャンネル4による抽出値
【0082】
上記式(2)の評価式によるテクスチャ評価値と、主観評価値の相関係数は0.85、寄与率は0.72と良好な結果を得ることができた。図7は、式(2)の評価式で算出されたテクスチャ評価値と主観評価値の相関を示す図である。図7において、縦軸が主観評価値、横軸が算出されたテクスチャ評価値を示している。
【0083】
また、テクスチャの別の評価式として、色度情報を含めた下式(3)についても評価を行った。
【0084】
テクスチャ評価値=a・[(b・L*_ch1+ L*_ch2+c・L*_ch3−d・L*_ch4)^e +f・a*_ch2]+g・・・(3)
ここで、a,b,c,d,f>0
e=0.369
f=−0.44
L*_ch1:L*のチャンネル1による抽出値
L*_ch2:L*のチャンネル2による抽出値
L*_ch3:L*のチャンネル3による抽出値
L*_ch4:L*のチャンネル4による抽出値
a*_ch2:a*のチャンネル2による抽出値
【0085】
上記式(3)の評価式によるテクスチャ評価値と、主観価値の相関係数は0.86、寄与率は0.74と更に良好な結果を得ることができた。図8は、式(3)の評価式で算出されたテクスチャ評価値と主観評価値の相関を示す図である。図8において、縦軸が主観評価値、横軸が算出されたテクスチャ評価値を示している。
【0086】
図4の画像評価装置で同一サンプルを用いて画像ノイズの評価を行った実験例を説明する。図9は、画像評価装置を使用した画像ノイズ(テクスチャを除去した粒状度)の評価の実験手順を説明するための処理フローを示している。図9において、図6と同様の処理を行うステップは同一符号を付してあり、基本的には、周波数空間での平滑化処理前後の差分をとらず、平滑化処理した周波数成分を評価に用いるということ以外はテクスチャ評価と同様な処理を行うので、その詳細な説明は省略する。
【0087】
画像ノイズ(粒状度)評価値を算出する評価式は、明度情報のみを用いた下式(4)を使用した。
【0088】
画像ノイズ評価値=(a・L*_ch1+b・L*_ch2+c・L*_ch3−d・L*_ch4)・exp(e・L*)+f・・・(4)
ただし、a,b,c,d>0
e=0.00591
f=−0.198
L*:平均明度
exp(e・L*):視覚の明度特性(画像のハイライト部はダーク
部よりざらつき感が目立つという特性)を補正している。
【0089】
主観評価実験は実施していないが、従来の画像ノイズ評価法とし、特開平10−23191号公報で開示されている手法による評価値との相関図を図10に示す。同図において、縦軸は特開平10−23191号公報の手法による評価値、横軸は算出されたノイズ評価値を示している。その結果、相関係数0.95、寄与率0.91と高い相関を得ることができ、本手法の有効性が証明された。なお、本手法では、テクスチャ成分を良好に除去しているという特徴がある。
【0090】
また、画像ノイズ評価値を算出する評価式として、色度情報を含めた評価式を下式(5)に示す。
【0091】
画像ノイズ評価値=(a・L*_ch2−b・L*_ch4)・exp(c・L*)+d・a*_ch1+e・b*_ch3+f・・・(5)
【0092】
ここで、a,b,d,e>0
c=0.00677
f=−0.235
a*_ch1:a*のチャンネル1による抽出値
b*_ch3L*は:b*のチャンネル3による抽出値
L*:平均明度
exp(c・L*):視覚の明度特性(画像のハイライト部はダーク部よりざらつき感が目立つという特性)を補正している。
【0093】
主観評価実験は実施していないが、従来の画像ノイズ評価法とし、特開平10−23191号公報に開示された手法による評価値との相関図を図11に示す。縦軸が特開平10−23191号公報による評価値、横軸が本手法により算出されたノイズ評価値である。その結果、相関係数0.97、寄与率0.94と更に高い相関を得ることができ、本手法の有効性が証明された。
【0094】
(実施の形態3)
実施の形態3にかかる画像評価装置を図12〜図15を参照して説明する。図12は、実施の形態3にかかる画像評価装置の構成を示す図である。図12において、図4(実施の形態2)と同等機能を有する部位には同一符号を付し、同様の処理を行う部位の説明は省略する。実施の形態3(図12)の画像評価装置は、図4の実施の形態2の画像評価装置において、画像観察距離入力部31と、フィルタ可変部32を追加した構成である。
【0095】
画像観察距離入力部31は、画像観察距離をフィルタ可変部32に出力する。フィルタ可変部31は、画像観察距離入力部31から入力される画像観察距離に応じて、フィルタ処理部20のフィルタ群の縮小や拡大演算等を行なうことにより、演算に用いるフィルタのサイズを任意のサイズに変更して、周波数帯域を可変に設定する。
【0096】
図13〜図15は、画像観察距離が、250,350,450mmの時のそれぞれの適用すべきファイルタ群の一例を示す図である。かかる構成とすることにより、画像観察距離などの画質評価条件が標準条件と異なる場合においても、または、異なる画質評価条件での評価が必要になった場合でも、画質評価値を高速かつ正確に算出することが可能となる。
【0097】
以上説明したように、実施の形態3の画像評価装置によれば、画像観察距離に応じて各フィルタの周波数帯域を可変としたので、任意の画像観察距離におけるテクスチャおよび(テクスチャを除去した)粒状度が評価可能となる。
【0098】
なお、本発明の画像評価装置は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェイス機器、スキャナ、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器から構成される装置(ホストコンピュータ等)に適用しても良い。
【0099】
また、本発明の目的は、上述した画像評価装置の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(または、CPU、MPU、DSP)が記録媒体に格納されたプログラムコードを実行することによっても達成することが可能である。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した画像評価装置の機能を実現することになり、そのプログラムコードまたはそのプログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記録媒体としては、FD、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリ部5、ROMなどの光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、半導体記録媒体を使用することができる。
【0100】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した画像評価装置の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した画像評価装置の機能が実現される場合も含まれること言うまでもない。
【0101】
また、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した画像評価装置の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0102】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変形して実行可能である。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1にかかる画像評価装置によれば、被評価画像の画質を評価する画像評価装置において、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出手段と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化手段と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング手段と、前記フィルタリング手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質評価値を算出する画質評価手段と、を備えたこととしたので、人間の視覚系の特性に基づいた心理相関の高い(主観評価値と相関の高い)画質評価(テクスチャ評価、粒状度評価)が可能な画像評価装置を提供することが可能となる。
【0104】
また、請求項2にかかる画像評価装置によれば、被評価画像の画質を評価する画像評価装置において、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出手段と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化手段と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分、の少なくともいずれかに対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング手段と、フィルタリング処理手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を逆直交変換する逆直交変換手段と、前記逆直交変換手段の出力結果に基づいて、画質評価値を算出する画質評価手段と、を備えたこととしたので、人間の視覚系の特性に基づいた心理相関の高い画質評価(テクスチャ評価、粒状度評価)が可能な画像評価装置を提供することが可能となる。また、この場合、画像を可視像として評価することが可能となる。
【0105】
また、請求項3にかかる画像評価装置によれば、請求項1または請求項2にかる発明において、さらに、画像観察距離に応じて前記フィルタリング処理手段のフィルタ群の周波数帯域を可変的に設定するフィルタ可変手段を備えたこととしたので、任意の画像観察距離における画質評価を高精度に行うことが可能となる。
【0106】
また、請求項4にかかる画像評価装置によれば、請求項1〜請求項3のいずれか1つにかかる発明において、前記フィルタ群は、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間フィルタであることととしたので、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく画質評価が可能となる。
【0107】
また、請求項5にかかる画像評価装置によれば、請求項1〜請求項4のいずれか1つにかかる発明において、前記平滑化手段は、メディアンフィルタによる平滑化処理を施すこととしたので、テクスチャ特徴量であるピーク部を良好に除去でき、テクスチャ成分を好適に除去することが可能となる。
【0108】
また、請求項6にかかる画像評価装置によれば、請求項1〜請求項5のいずれか1つにかかる発明において、前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報であることとしたので、画質評価を短時間で行うことが可能となる。
【0109】
また、請求項7にかかる画像評価装置によれば、請求項1〜請求項5のいずれか1つにかかる発明において、被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報および色度情報であることとしたので、濃淡情報だけではなく、色度情報を使用することにより、より精度の高い画質評価を行うことが可能となる。
【0110】
また、請求項8にかかる画像評価方法によれば、被評価画像の画質を評価する画像評価方法おいて、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出工程と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化工程と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング工程と、前記フィルタリング工程でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質評価値を算出する画質評価工程と、を含むこととしたので、人間の視覚系の特性に基づいた心理相関の高い画質評価(テクスチャ評価、粒状度評価)が可能な画像評価装置を提供することが可能となる。また、この場合、画像を可視像として評価することが可能となる。
【0111】
また、請求項9にかかる画像評価方法によれば、被評価画像の画質を評価する画像評価方法おいて、被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出工程と、算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化工程と、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分、の少なくともいずれかに対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング工程と、フィルタリング処理手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を逆直交変換する逆直交変換工程と、前記逆直交変換工程の出力結果に基づいて、画質評価値を算出する画質評価工程と、を含むこととしたので、人間の視覚系の特性に基づいた心理相関の高い画質評価(テクスチャ評価、粒状度評価)が可能な画像評価方法を提供することが可能となる。
【0112】
また、請求項10にかかる画像評価方法によれば、請求項8または請求項9にかかる発明において、さらに、画像観察距離に応じて前記フィルタ群の周波数帯域を可変的に設定するフィルタ可変工程を含むこととしたので、任意の画像観察距離における画質評価を高精度に行うことが可能となる。
【0113】
また、請求項11にかかる画像評価方法によれば、請求項8〜請求項10にかかる発明において、前記フィルタ群は、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間フィルタであることとしたので、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく画質評価が可能となる。
【0114】
また、請求項12にかかる画像評価方法によれば、請求項8〜請求項11のいずれか1つにかかる発明において、前記平滑化工程では、メディアンフィルタによる平滑化処理を施すこととしたので、テクスチャ特徴量であるピーク部を良好に除去でき、テクスチャ成分を好適に除去することが可能となる。
【0115】
また、請求項13にかかる画像評価方法によれば、請求項8〜請求項12のいずれか1つにかかる発明において、前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報であることとしたので、画質評価を短時間で行うことが可能となる。
【0116】
また、請求項14にかかる画像評価方法によれば、請求項8〜請求項12のいずれか1つにかかる発明において、前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報および色度情報であることとしたので、濃淡情報だけではなく、色度情報を使用することにより、より精度の高い画質評価を行うことが可能となる。
【0117】
また、請求項15にかかるコンピュータが実行するためのプログラムによれば、コンピュータでプログラムを実行することにより、請求項8〜請求項14のいずれか1つに記載の画像評価方法の各工程を実現することとしたので、人間の視覚系の特性に基づいた心理相関の高い画質評価(テクスチャ評価、粒状度評価)が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる画像評価装置の構成を示す図である。
【図2】テクスチャ構造を有する画像を説明するための説明図である。
【図3】人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づくフィルタ群(チャンネル1〜チャンネル5)の断面(周波数空間の原点から距離の関数として表示)の特性を示す図である。
【図4】実施の形態2にかかる画像評価装置の構成を示す図である。
【図5】画像観察距離を350mmとし、上述したようにしてテクスチャ抽出画像の明度成分について可視化された各チャンネルの画像を示す図である。
【図6】画像のテクスチャ評価の実験手順を説明するための処理フローを示す図である。
【図7】式(2)の評価式で算出されたテクスチャ評価値と主観評価値の相関を示す図である。
【図8】式(3)の評価式で算出されたテクスチャ評価値と主観評価値の相関を示す図である。
【図9】画像ノイズ(テクスチャを除去した粒状度)の評価の実験手順を説明するための処理フローを示す図である。
【図10】式(4)の評価式で算出されたテクスチャ評価値と他の評価値の相関を示す図である。
【図11】式(5)の評価式で算出されたテクスチャ評価値と他の評価値の相関を示す図である。
【図12】実施の形態3にかかる画像評価装置の構成を示す図である。
【図13】画像観察距離が、250mmの時のそれぞれの適用すべきファイルタ群の一例を示す図である。
【図14】画像観察距離が、350mmの時のそれぞれの適用すべきファイルタ群の一例を示す図である。
【図15】画像観察距離が、450mmの時のそれぞれの適用すべきファイルタ群の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 画像評価装置
11 画像入力部
12 直交変換部
13 平滑化部
14 減算部
15 フィルタリング処理部
16 第1の画質評価値算出部
17 第2の画質評価値算出部
20 逆直交変換部
31 画像観察距離入力部
32 フィルタ可変部
Claims (15)
- 被評価画像の画質を評価する画像評価装置において、
被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出手段と、
算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化手段と、
平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング手段と、
前記フィルタリング手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質評価値を算出する画質評価手段と、
を備えたことを特徴とする画像評価装置。 - 被評価画像の画質を評価する画像評価装置において、
被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出手段と、
算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化手段と、
平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分、の少なくともいずれかに対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング手段と、
フィルタリング処理手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を逆直交変換する逆直交変換手段と、
前記逆直交変換手段の出力結果に基づいて、画質評価値を算出する画質評価手段と、
を備えたことを特徴とする画像評価装置。 - さらに、画像観察距離に応じて前記フィルタリング処理手段のフィルタ群の周波数帯域を可変的に設定するフィルタ可変手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像評価装置。
- 前記フィルタ群は、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間フィルタであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の画像評価装置。
- 前記平滑化手段は、メディアンフィルタによる平滑化処理を施すことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の画像評価装置。
- 前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の画像評価装置。
- 前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報および色度情報であることを特徴とする請求項1〜請求項5いずれか1つに記載の画像評価装置。
- 被評価画像の画質を評価する画像評価方法おいて、
被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出工程と、
算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化工程と、
平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング工程と、
前記フィルタリング工程でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分に基づいて、画質評価値を算出する画質評価工程と、
を含むことを特徴とする画像評価方法。 - 被評価画像の画質を評価する画像評価方法おいて、
被評価画像の2次元光学情報を直交変換して空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出工程と、
算出された空間周波数成分に対して平滑化処理を施す平滑化工程と、
平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分、の少なくともいずれかに対して、周波数帯域の異なる複数のフィルタからなるフィルタ群によりフィルタリング処理を施すフィルタリング工程と、
フィルタリング処理手段でフィルタ処理された、平滑化処理された空間周波数成分、および/または、平滑化処理前の空間周波数成分と平滑化処理後の空間周波数成分の差分を逆直交変換する逆直交変換工程と、
前記逆直交変換工程の出力結果に基づいて、画質評価値を算出する画質評価工程と、
を含むことを特徴とする画像評価方法。 - さらに、画像観察距離に応じて前記フィルタリング処理手段のフィルタ群の周波数帯域を可変的に設定するフィルタ可変工程を含むことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の画像評価方法。
- 前記フィルタ群は、人間の視覚系のマルチチャンネルモデルに基づく複数の空間フィルタであることを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれか1つに記載の画像評価方法。
- 前記平滑化工程では、メディアンフィルタによる平滑化処理を施すことを特徴とする請求項8〜請求項11のいずれか1つに記載の画像評価方法。
- 前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報であることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1つに記載の画像評価方法。
- 前記被評価画像の2次元光学情報は2次元的な明度(濃淡)情報および色度情報である事を特徴とする請求項8〜12のいずれか1つに記載の画像評価方法。
- 請求項8〜請求項14のいずれか1つに記載の画像評価方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータが実行するためのプログラム。
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