JP2004271283A - 分析装置及び分析システム - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の分析装置に対する分析条件ファイルの共有を面倒な手間を掛けずに行う。
【解決手段】パソコン100からネットワーク300を介し要求があると、LC装置201のコントローラ1では、全体分析条件ファイル情報収集部14が当該装置におけるファイル属性情報を収集する一方、他のLC装置202〜204にそれぞれ保存されている分析条件ファイルの属性情報を収集する。表示データ作成部17はこれらファイル属性情報について、LC装置の構成が同一であるか否かを区別して一覧表を作成する。この一覧表の情報はネットワーク300を介してパソコン100へと送信されて画面上に表示される。オペレータが所望の分析条件ファイルの選択及びコピー指示を行うと、個別分析条件ファイル情報管理部15は、対応するLC装置からそのファイルを読み出して複製を保存部16に格納する。
【選択図】 図2
【解決手段】パソコン100からネットワーク300を介し要求があると、LC装置201のコントローラ1では、全体分析条件ファイル情報収集部14が当該装置におけるファイル属性情報を収集する一方、他のLC装置202〜204にそれぞれ保存されている分析条件ファイルの属性情報を収集する。表示データ作成部17はこれらファイル属性情報について、LC装置の構成が同一であるか否かを区別して一覧表を作成する。この一覧表の情報はネットワーク300を介してパソコン100へと送信されて画面上に表示される。オペレータが所望の分析条件ファイルの選択及びコピー指示を行うと、個別分析条件ファイル情報管理部15は、対応するLC装置からそのファイルを読み出して複製を保存部16に格納する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体クロマトグラフ装置、質量分析装置等の分析装置、及び、こうした分析装置が複数台、ネットワークに接続されて成る分析システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に分析装置では、分析に際して各種の分析条件を設定する必要がある。例えば液体クロマトグラフ装置(以下LCと略す)では、分離カラムに流す移動相(溶離液)の流量(流速)、分離カラムを温調するカラムオーブンの温度プロファイル、検出器として紫外可視分光光度計を用いる場合にはその測定波長等、が分析条件に含まれるパラメータである。同一分析条件で分析を行う場合に、その度毎にオペレータ(分析担当者など)がこうした分析条件を一々設定するのは大変面倒である。そこで、従来の分析装置では、こうした分析条件はそれぞれ1つのファイル(以下、これを分析条件ファイルと呼ぶ)としてハードディスク駆動装置(HDD)などの外部記憶装置に保存しておくことができるようになっている(例えば特許文献1など参照)。
【0003】
近年、こうした分析装置を利用している施設や企業では、同じような構成の分析装置を複数台設置し並行して稼働させておくことが多くなっている。こうした場合、構成が同一である複数の分析装置において同一の分析条件ファイルを使用することができる。こうした多数台の分析装置を備える分析システムにおいて分析条件ファイルを共用する方法として一般的であるのは、各分析装置が備えるフレキシブルディスク駆動装置(FDD)を利用し、フレキシブルディスク(FD)に分析条件ファイルを保存(セーブ)して他の分析装置のFDDでそのデータを読み出すという方法である。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−11537号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のような方法では、分析条件ファイルが保存されているFDを他の分析装置の設置場所まで搬送し、そのFDをFDDに装填してデータを読み込むといった面倒な手順を必要とする。そのため、分析装置が多数台存在して、しかもそれらの設置場所が離れている場合には、かなり面倒な作業である。
【0006】
また、分析条件ファイルは原則として構成が同一である、即ちLCであればカラムや検出器が同一種類であるような分析装置に対してのみ適用可能であるため、他の分析装置で使用した分析条件ファイルをFDを介してせっかく読み込んでも、分析装置の構成が同一でないためにその分析条件ファイルを使用できないような場合もあり得る。そのため、実際には、FDを介して他の分析装置で設定された様々な分析条件ファイルを読み込みつつ、使用できる分析条件ファイルを探すという煩雑な作業が伴う場合もある。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、複数の分析装置において分析条件ファイルの共用を容易にし、或る分析装置で使用された分析条件ファイルを他の分析装置で使用する際の操作性を大幅に向上させた分析装置及び分析システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された第1発明は、ネットワークを介して1乃至複数の他の分析装置と相互にデータ通信可能に接続された分析装置において、
a)当該分析装置で分析を遂行するための分析条件を情報として含む分析条件ファイルが保存される保存手段と、
b)該保存手段に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を取得するとともに、前記ネットワークを介して他の分析装置内に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を収集する情報収集手段と、
c)該情報収集手段により収集されたファイル属性情報を統合して所定形式で表示可能に構成する情報統合手段と、
d)該情報統合手段により統合されたファイル属性情報を表示する表示手段と、
e)該表示手段による表示に対応して指示された分析条件ファイルについて、該ファイルが保存されている他の分析装置から前記ネットワークを介して該ファイルを構成するデータを取得し、前記保存手段に複製する複製手段と、
を備えることを特徴としている。
【0009】
また、上記課題を解決するために成された第2発明は、複数台の分析装置と少なくとも1台のクライアント端末とがそれぞれネットワークに接続された分析システムにおいて、
前記複数台の分析装置のうちの少なくとも1台の分析装置は、
a)当該分析装置で分析を遂行するための分析条件を情報として含む分析条件ファイルが保存される保存手段と、
b)該保存手段に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を取得するとともに、前記ネットワークを介して他の分析装置内に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を収集する情報収集手段と、
c)該情報収集手段により収集されたファイル属性情報を統合して前記クライアント端末の表示画面上に表示可能に構成する情報統合手段と、
d)該情報統合手段により統合されたファイル属性情報を前記ネットワークを介して前記クライアント端末へと送信するとともに、該クライアント端末の表示画面上の表示に対応した分析条件ファイルの選択指示を受け付けるネットワーク入出力手段と、
e)前記選択指示された分析条件ファイルについて、該ファイルが保存されている他の分析装置からネットワークを介して該ファイルを構成するデータを取得し、前記保存手段に複製する複製手段と、
を備えることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態、及び効果】
第1発明に係る分析装置において、情報収集手段は保存手段に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を収集するのみならず、ネットワークに接続されている他の分析装置内に同様の形式で保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を、そのネットワークを介した通信によって収集する。ここでいうファイル属性情報とは、分析条件を示す情報そのものではなく、当該ファイルを識別するため、或いは特定するために必要な、いわゆるプロパティに相当する情報である。各分析装置に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報は当該分析装置に集約され、その後、情報統合手段はこれらファイル属性情報を統合して所定形式、典型的には一覧表形式で表示できるように構成する。そして、表示手段はこうしたファイル属性情報の一覧表を画面上に表示する。
【0011】
従って、オペレータは当該分析装置の設置場所に居ながら、他の分析装置に設定されている分析条件ファイルも確認することができる。そこで、例えば当該分析装置で使用したい分析条件ファイルが存在する場合には、その一覧表の中から所望の分析条件ファイルを選択指示する。すると、複製手段は、その選択指示された分析条件ファイルについて、ネットワークを介し該ファイルが保存されている他の分析装置にアクセスし、該ファイルを構成するデータを取得して上記保存手段に複製する。従って、それ以降は、その分析条件ファイルを使用して分析を行うことができる。
【0012】
また、第2発明に係る分析システムでは、上述した分析装置と同様に、複数の分析装置からファイル属性情報を或る1台の分析装置に集約した後、それらファイル属性情報を統合して一覧表形式等で表示できるように構成する。そして、ネットワーク入出力手段により、その情報をネットワークを介してクライアント端末へと送信し、そのクライアント端末の表示画面上に表示させる。ここで言うクライアント端末はパーソナルコンピュータであって、分析装置で取得した分析データを解析処理する機能を持たせたり、或いはこうしたデータを蓄積するデータベースサーバの機能を持たせたりするように構成することができる。従って、この分析システムでは、オペレータはクライアント端末の設置場所に居ながら、全ての分析装置内のファイル属性情報を確認し、必要な分析条件ファイルを選択してその複製を作成することができる。
【0013】
このように第1及び第2発明に係る分析装置及び分析システムによれば、従来のようにフレキシブルディスク等のリムーバブルメモリを利用して物理的に分析条件ファイルを搬送し、他の分析装置で読み込むという面倒な作業が不要になり、きわめて容易で簡便に、他の分析装置で設定された分析条件ファイルを使用することができる。
【0014】
また、第1及び第2発明に係る分析装置及び分析システムでは、好ましくは、ネットワークに接続された分析装置は、他の分析装置の構成を識別する構成識別手段を備え、前記情報統合手段は、該構成識別手段による識別結果に基づいて、当該分析装置と同一構成を有する他の分析装置からの分析条件ファイルを選択して、又は当該分析装置と同一構成を有する他の分析装置からの分析条件ファイルと構成が同一でない他の分析装置からの分析条件ファイルとを区別して、統合ファイル属性情報を作成する構成とするとよい。
【0015】
この構成によれば、オペレータは、使用しようとしている分析装置と同一構成を有する他の分析装置で設定された分析条件ファイルの中から所望のファイルを選択することができるので、オペレータ自身が分析装置の構成の同一性を確認する必要がなく、作業効率が向上する。また、誤って構成が同一でない他の分析装置で設定された分析条件ファイルの複製を作成してしまうといったミスも防止でき、不適切な分析条件の下での無意味な分析を行うこともなくなる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明に係る分析装置として液体クロマトグラフ(LC)装置を例に挙げて説明する。
【0017】
図1は本実施例によるLC装置201を含む分析システム全体の構成図の一例である。この実施例の分析システムでは、イントラネット等のネットワーク300に、4台のLC装置201〜204と、1台のパソコン100とが接続されている。4台のLC装置201〜204は同じ構成を有しているため、図1ではそのうちの1台のみの内部構成を記載している。
【0018】
LC装置201は、分析を実行するユニットとして、溶離液をカラムに送る送液ポンプ2、試料成分の分離を行うカラムを内装するカラムオーブン4、送液ポンプ2によりカラムに送られる溶離液中に試料液を注入するオートサンプラ3、及びカラムから溶出した試料成分を順次検出する検出器5を備えており、後述するように設定された分析条件に従ってこれら各部の動作を統括的に制御したり、或いは検出器5による検出信号を収集したりするコントローラ1が設けられている。
【0019】
パソコン100には所定の制御・処理プログラムがインストールされており、この制御・処理プログラムを実行することによって、各LC装置201〜204で収集されたデータに対し適宜の演算処理を行うことができるようになっている。但し、こうしたデータ処理は、汎用のパソコンではなく、専用のデータ処理装置(例えば島津製作所製のクロマトパックなど)によって行うようにしてもよい。
【0020】
図2は、図1中の1つのLC装置201におけるコントローラ1の主要な機能を、より詳細に示した構成図である。
【0021】
コントローラ1は、機能的に、ネットワーク300に接続され該ネットワーク300を介したデータの送受信を行うネットワークインタフェース(I/F)10と、ネットワーク300を介して外部に提供するWebコンテンツを作成するとともに、Web上での外部からの要求を解読して各部に伝達するWebサーバ11と、当該LC装置201に含まれる送液ポンプ2、オートサンプラ3、カラムオーブン4及び検出器5の動作をそれぞれ制御する制御信号を装置内通信インタフェース13を介して送出する装置制御部12と、操作キーを含みコントローラ1における各種の操作を指示するための操作部19と、文字及びグラフィックを表示する表示部18と、を備える。ここでは、ネットワークI/F10及びWebサーバ11が上記ネットワーク入出力手段に相当する。
【0022】
更にコントローラ1は、本実施例に特徴的な構成要素として、このLC装置201に対してオペレータにより設定されたり後述するように他のLC装置202〜204からコピーしてきた分析条件をファイル形式で保存しておくための分析条件ファイル保存部16(保存手段)と、その分析条件ファイル保存部16への分析条件ファイルの書き込み及び読み出しを制御するとともに、そこに保存されている分析条件ファイルに関する情報を収集する個別分析条件ファイル情報管理部15(複製手段)と、分析条件ファイル保存部16に保存されている個別分析条件ファイルに関するファイル属性情報を個別分析条件ファイル情報管理部15を介して収集するとともに、ネットワーク300を介して他のLC装置202〜204(実際にはその装置内のコントローラ1)を検索して、それらが保有する個別分析条件ファイルに関するファイル属性情報を収集し、それらを統合して全体分析条件ファイル情報として保持する全体分析条件ファイル情報収集部14(情報収集手段)と、この全体分析条件ファイル情報収集部14に保持されている全体ファイル属性情報について、当該LC装置201と同一構成を有するLC装置における情報であるか否かを区別して表示するためのデータを作成する表示データ作成部17(情報統合手段)と、を備える。
【0023】
ネットワーク300を介してコントローラ1と接続されるパソコン100(クライアント端末)には、例えばマイクロソフト社が提供するインターネット・エクスプローラなどのブラウザが搭載されており、このブラウザがコントローラ1のWebサーバ11からプログラム又はデータ等のWebコンテンツを受け取って解析し、必要な処理を実行することによって、文字やグラフィックなどを含む所定の画面がパソコン100のディスプレイ(表示部)上に形成される。
【0024】
上記分析システムでは、各LC装置201〜204で個別にそれぞれ分析条件を設定してその分析条件に従った分析を実行することができる。こうして各LC装置201〜204でそれぞれ設定された分析条件は1つの分析条件ファイルとして、個別分析条件ファイル情報管理部15を介して分析条件ファイル保存部16に格納される。また、パソコン100上での各種キー操作やマウス操作によってそれぞれのLC装置201〜204で分析を行う際の分析条件を設定し、その情報をネットワーク300を介して各LC装置201〜204のコントローラ1へ送って分析を指示するようにすることもできる。その場合でも、パソコン100から送られた分析条件は1つの分析条件ファイルとして分析条件ファイル保存部16に格納される。
【0025】
また、パソコン100上での操作により各LC装置201〜204の分析動作を管理することもできる。即ち、各LC装置201〜204に対してそれぞれ分析条件や順序を記述したスケジュール表をパソコン100で作成すると、ネットワーク300を介してこのスケジュール表自体又はスケジュール表に従った制御信号が各LC装置201〜204のコントローラ1へと送られる。コントローラ1の装置制御部12は、スケジュール表の内容に従ってオートサンプラ3により順番に検体を採取して分析を実行する。
【0026】
分析実行時には、コントローラ1による制御の下で、送液ポンプ2の動作により溶離液槽から溶離液を吸引し、一定流量でカラムへと供給する。オートサンプラ3は予め複数装填された検体を所定の順序で選択し、選択された検体による試料は所定のタイミングで溶離液中に注入される。この試料は溶離液に乗ってカラムへと導入され、カラムオーブン4により適度な温度に制御されているカラムを通過する間に試料中の各成分が時間的に分離される。検出器5はカラムから溶出する試料成分を時間の経過に伴って順次検出し、その検出信号はA/D変換器でデジタル信号に変換された後に、コントローラ1へと渡される。コントローラ1は、分析によって取得されたデータを収集してパソコン100へと送る。
【0027】
上述したように、分析を実行する際に必須である分析条件は各LC装置201〜204のコントローラ1の分析条件ファイル保存部16に格納されているが、LC装置201〜204の構成が同一である場合には、他のLC装置で設定された分析条件ファイルを利用した分析も可能である。ここで言う、構成が同一であるというのは、例えばカラム、検出器など、交換可能なユニットの種類が同じであって、分析条件を同一にすることが意味のある場合のことである。
【0028】
次に、本実施例の分析システムにおける特徴的な処理である、分析条件ファイルの共有化に関する動作について図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0029】
いまオペレータはパソコン100の操作を行いながら、LC装置201で分析を行うのに適切な分析条件を探そうとしているものとする。また、LC装置202、203の2台はLC装置201と同一構成であるが、LC装置204のみ構成が相違しているものとする。
【0030】
オペレータはパソコン100に搭載されているブラウザを用いて、全体分析条件ファイル情報の表示を指示する。この指示はパソコン100からネットワーク300を介してLC装置201のコントローラ1へと送信される。コントローラ1において全体分析条件ファイル情報収集部14は、ブラウザからの要求を常に監視し(ステップS1)、ブラウザから要求があると、ネットワーク300に接続されている他のLC装置201〜204のコントローラ1の有無を検出する(ステップS2)。例えば、物理的にはネットワーク300に接続されていても、電源が投入されていない等の理由によって稼働不可能なLC装置は、この段階で無視されることになる。
【0031】
そして、全体分析条件ファイル情報収集部14は、接続を確認したコントローラ1に対して、それらLC装置202〜204における個別分析条件ファイルのファイル属性情報の送信を要求する。また同時に、全体分析条件ファイル情報収集部14は、個別分析条件ファイル情報管理部15に対しても分析条件ファイル保存部16に保存されている個別分析条件ファイルについてのファイル属性情報を要求する。
【0032】
こうして全体分析条件ファイル情報収集部14は、当該コントローラ1の個別分析条件ファイル情報管理部15から収集したファイル属性情報と、他の3台のLC装置202〜204のコントローラ1から収集したファイル属性情報とを統合して全体ファイル属性情報を作成する(ステップS4)。ここで、ファイル属性情報とは、分析条件ファイルを特定するための情報であり、例えばファイル名、作成日時、作成者名等を含むほか、場合によっては簡単なコメント文を添付できるようにしておいてもよい。
【0033】
なお、上述したように個別分析条件ファイルの属性情報を収集する際に同時に、それぞれのLC装置202〜204の構成を識別するための管理情報(どのような種類のカラム、検出器が接続されているのか等を示す情報)を取得する。
【0034】
表示データ作成部17は、上記構成識別用の管理情報を参照して、全体ファイル属性情報の中で当該LC装置201と同一の構成を有しているLC装置から得られたものであるか否かを区別した上で、表示データとして例えば上記ファイル属性情報の一覧リストを作成する(ステップS5)。Webサーバ11はこの表示データを受け取り、必要に応じてWebページ上に掲載可能な形式に変換した上で、ネットワークインタフェース10を介しパソコン100にその表示データを送信する(ステップS6)。パソコン100にあってはブラウザがこのデータを処理し、表示画面内にそのファイル属性情報のリストを表示する。
【0035】
図4はパソコン100のディスプレイの画面上に表示されるファイル属性情報リストの一例を示す図である。この例では、分析条件ファイルに関して、ファイル名、ファイル作成日時、作成者、LC装置の構成の同一(〇印)・非同一(×印)の識別、コメントなどが一覧表20の中に集約されている。
【0036】
オペレータはディスプレイの画面上で図4に示したようなリストを見て、例えば、適当と思われる分析条件ファイルが有る場合には、そのファイルのコピーの指示操作を行う。例えば図4の例では、各ファイルに対して設けられているチェックボックス21にチェック印を入れて、図示しないコピー開始ボタンをクリック操作することにより、ファイルの指示とコピー開始指示とを行うことができる。
【0037】
いま例えば指示された分析条件ファイルがLC装置203に有るものとする。その場合、上記コピー開始の指示を受けると(ステップS7「Yes」)、個別分析条件ファイル情報管理部15は、ネットワーク300を介して指定された分析条件ファイルが格納されているLC装置203のコントローラ1にアクセスし、そのコントローラ1内の分析条件ファイル保存部16に格納されている分析条件ファイルを読み出してきて、自らのLC装置201の分析条件ファイル保存部16にコピーする(ステップS8)。こうしてコピーされた分析条件ファイルは、そのLC装置201で設定された分析条件ファイルと全く同様に使用することができる。
【0038】
上記実施例では、LC装置202〜204はLC装置201と同様の機能を有するため、いずれのLC装置201〜204においても上記と同様の処理を行わせることができる。但し、構成の相違するLC装置204で設定されている分析条件ファイルは、通常、そのままLC装置201で使用することはできない。従って、構成が相違するLC装置204に保存されている分析条件ファイルは全体ファイル属性情報リストから落とすか、或いは、該リストに掲載する場合でも誤ってコピーすることを防止するためコピー実行の確認を強化するか、しておくことが望ましい。図4の例では、構成が同一でないLC装置204に保存されている分析条件ファイルに対しては、チェックボックス21自体が表示されず、コピーの選択が行えないようにしている。
【0039】
上記実施例のような分析システムでは、構成が同一でありさえすればいずれのLC装置で設定された分析条件ファイルをも共用化できるようにするのが基本ではあるが、例えば分析条件の設定内容自体がノウハウ的なものであって秘密性を持たせたい場合、分析条件ファイル毎にネットワーク300上でオープンとするか或いは他のLC装置での使用を制限するかを選択できるようにしてもよい。即ち、分析条件ファイルを保存する際、或いは保存した後に追加的に、他のLC装置やパソコンからは見えないような一種の隠しファイル形式としたり、或いは実際にファイル内容を見るためにパスワードの入力を要求するような管理を行ってもよい。このようにすれば、その分析装置がネットワークに接続されている場合でも、高いセキュリティ性を確保することができる。
【0040】
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形や追加を行っても本願発明の請求の範囲に包含されることは明らかである。具体的には、ネットワークに接続される分析装置やパソコンの台数や種類などは上記記載に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例によるLC装置を含む分析システム全体の構成図。
【図2】図1中の1つのLC装置におけるコントローラの主要な機能を詳細に示した構成図。
【図3】本分析システムにおける分析条件ファイルの共有化に関する動作を示すフローチャート。
【図4】本分析システムにおいて全体分析条件ファイル情報リストの一例を示す図。
【符号の説明】
100…パソコン
201〜204…LC装置
300…ネットワーク
1…コントローラ
10…ネットワークインタフェース(I/F)
11…Webサーバ
12…装置制御部
13…装置内通信インタフェース(I/F)
14…全体分析条件ファイル情報収集部
15…個別分析条件ファイル情報管理部
16…分析条件ファイル保存部
17…表示データ作成部
18…表示部
19…操作部
20…一覧表
21…チェックボックス
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体クロマトグラフ装置、質量分析装置等の分析装置、及び、こうした分析装置が複数台、ネットワークに接続されて成る分析システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に分析装置では、分析に際して各種の分析条件を設定する必要がある。例えば液体クロマトグラフ装置(以下LCと略す)では、分離カラムに流す移動相(溶離液)の流量(流速)、分離カラムを温調するカラムオーブンの温度プロファイル、検出器として紫外可視分光光度計を用いる場合にはその測定波長等、が分析条件に含まれるパラメータである。同一分析条件で分析を行う場合に、その度毎にオペレータ(分析担当者など)がこうした分析条件を一々設定するのは大変面倒である。そこで、従来の分析装置では、こうした分析条件はそれぞれ1つのファイル(以下、これを分析条件ファイルと呼ぶ)としてハードディスク駆動装置(HDD)などの外部記憶装置に保存しておくことができるようになっている(例えば特許文献1など参照)。
【0003】
近年、こうした分析装置を利用している施設や企業では、同じような構成の分析装置を複数台設置し並行して稼働させておくことが多くなっている。こうした場合、構成が同一である複数の分析装置において同一の分析条件ファイルを使用することができる。こうした多数台の分析装置を備える分析システムにおいて分析条件ファイルを共用する方法として一般的であるのは、各分析装置が備えるフレキシブルディスク駆動装置(FDD)を利用し、フレキシブルディスク(FD)に分析条件ファイルを保存(セーブ)して他の分析装置のFDDでそのデータを読み出すという方法である。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−11537号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のような方法では、分析条件ファイルが保存されているFDを他の分析装置の設置場所まで搬送し、そのFDをFDDに装填してデータを読み込むといった面倒な手順を必要とする。そのため、分析装置が多数台存在して、しかもそれらの設置場所が離れている場合には、かなり面倒な作業である。
【0006】
また、分析条件ファイルは原則として構成が同一である、即ちLCであればカラムや検出器が同一種類であるような分析装置に対してのみ適用可能であるため、他の分析装置で使用した分析条件ファイルをFDを介してせっかく読み込んでも、分析装置の構成が同一でないためにその分析条件ファイルを使用できないような場合もあり得る。そのため、実際には、FDを介して他の分析装置で設定された様々な分析条件ファイルを読み込みつつ、使用できる分析条件ファイルを探すという煩雑な作業が伴う場合もある。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、複数の分析装置において分析条件ファイルの共用を容易にし、或る分析装置で使用された分析条件ファイルを他の分析装置で使用する際の操作性を大幅に向上させた分析装置及び分析システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された第1発明は、ネットワークを介して1乃至複数の他の分析装置と相互にデータ通信可能に接続された分析装置において、
a)当該分析装置で分析を遂行するための分析条件を情報として含む分析条件ファイルが保存される保存手段と、
b)該保存手段に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を取得するとともに、前記ネットワークを介して他の分析装置内に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を収集する情報収集手段と、
c)該情報収集手段により収集されたファイル属性情報を統合して所定形式で表示可能に構成する情報統合手段と、
d)該情報統合手段により統合されたファイル属性情報を表示する表示手段と、
e)該表示手段による表示に対応して指示された分析条件ファイルについて、該ファイルが保存されている他の分析装置から前記ネットワークを介して該ファイルを構成するデータを取得し、前記保存手段に複製する複製手段と、
を備えることを特徴としている。
【0009】
また、上記課題を解決するために成された第2発明は、複数台の分析装置と少なくとも1台のクライアント端末とがそれぞれネットワークに接続された分析システムにおいて、
前記複数台の分析装置のうちの少なくとも1台の分析装置は、
a)当該分析装置で分析を遂行するための分析条件を情報として含む分析条件ファイルが保存される保存手段と、
b)該保存手段に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を取得するとともに、前記ネットワークを介して他の分析装置内に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を収集する情報収集手段と、
c)該情報収集手段により収集されたファイル属性情報を統合して前記クライアント端末の表示画面上に表示可能に構成する情報統合手段と、
d)該情報統合手段により統合されたファイル属性情報を前記ネットワークを介して前記クライアント端末へと送信するとともに、該クライアント端末の表示画面上の表示に対応した分析条件ファイルの選択指示を受け付けるネットワーク入出力手段と、
e)前記選択指示された分析条件ファイルについて、該ファイルが保存されている他の分析装置からネットワークを介して該ファイルを構成するデータを取得し、前記保存手段に複製する複製手段と、
を備えることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態、及び効果】
第1発明に係る分析装置において、情報収集手段は保存手段に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を収集するのみならず、ネットワークに接続されている他の分析装置内に同様の形式で保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を、そのネットワークを介した通信によって収集する。ここでいうファイル属性情報とは、分析条件を示す情報そのものではなく、当該ファイルを識別するため、或いは特定するために必要な、いわゆるプロパティに相当する情報である。各分析装置に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報は当該分析装置に集約され、その後、情報統合手段はこれらファイル属性情報を統合して所定形式、典型的には一覧表形式で表示できるように構成する。そして、表示手段はこうしたファイル属性情報の一覧表を画面上に表示する。
【0011】
従って、オペレータは当該分析装置の設置場所に居ながら、他の分析装置に設定されている分析条件ファイルも確認することができる。そこで、例えば当該分析装置で使用したい分析条件ファイルが存在する場合には、その一覧表の中から所望の分析条件ファイルを選択指示する。すると、複製手段は、その選択指示された分析条件ファイルについて、ネットワークを介し該ファイルが保存されている他の分析装置にアクセスし、該ファイルを構成するデータを取得して上記保存手段に複製する。従って、それ以降は、その分析条件ファイルを使用して分析を行うことができる。
【0012】
また、第2発明に係る分析システムでは、上述した分析装置と同様に、複数の分析装置からファイル属性情報を或る1台の分析装置に集約した後、それらファイル属性情報を統合して一覧表形式等で表示できるように構成する。そして、ネットワーク入出力手段により、その情報をネットワークを介してクライアント端末へと送信し、そのクライアント端末の表示画面上に表示させる。ここで言うクライアント端末はパーソナルコンピュータであって、分析装置で取得した分析データを解析処理する機能を持たせたり、或いはこうしたデータを蓄積するデータベースサーバの機能を持たせたりするように構成することができる。従って、この分析システムでは、オペレータはクライアント端末の設置場所に居ながら、全ての分析装置内のファイル属性情報を確認し、必要な分析条件ファイルを選択してその複製を作成することができる。
【0013】
このように第1及び第2発明に係る分析装置及び分析システムによれば、従来のようにフレキシブルディスク等のリムーバブルメモリを利用して物理的に分析条件ファイルを搬送し、他の分析装置で読み込むという面倒な作業が不要になり、きわめて容易で簡便に、他の分析装置で設定された分析条件ファイルを使用することができる。
【0014】
また、第1及び第2発明に係る分析装置及び分析システムでは、好ましくは、ネットワークに接続された分析装置は、他の分析装置の構成を識別する構成識別手段を備え、前記情報統合手段は、該構成識別手段による識別結果に基づいて、当該分析装置と同一構成を有する他の分析装置からの分析条件ファイルを選択して、又は当該分析装置と同一構成を有する他の分析装置からの分析条件ファイルと構成が同一でない他の分析装置からの分析条件ファイルとを区別して、統合ファイル属性情報を作成する構成とするとよい。
【0015】
この構成によれば、オペレータは、使用しようとしている分析装置と同一構成を有する他の分析装置で設定された分析条件ファイルの中から所望のファイルを選択することができるので、オペレータ自身が分析装置の構成の同一性を確認する必要がなく、作業効率が向上する。また、誤って構成が同一でない他の分析装置で設定された分析条件ファイルの複製を作成してしまうといったミスも防止でき、不適切な分析条件の下での無意味な分析を行うこともなくなる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明に係る分析装置として液体クロマトグラフ(LC)装置を例に挙げて説明する。
【0017】
図1は本実施例によるLC装置201を含む分析システム全体の構成図の一例である。この実施例の分析システムでは、イントラネット等のネットワーク300に、4台のLC装置201〜204と、1台のパソコン100とが接続されている。4台のLC装置201〜204は同じ構成を有しているため、図1ではそのうちの1台のみの内部構成を記載している。
【0018】
LC装置201は、分析を実行するユニットとして、溶離液をカラムに送る送液ポンプ2、試料成分の分離を行うカラムを内装するカラムオーブン4、送液ポンプ2によりカラムに送られる溶離液中に試料液を注入するオートサンプラ3、及びカラムから溶出した試料成分を順次検出する検出器5を備えており、後述するように設定された分析条件に従ってこれら各部の動作を統括的に制御したり、或いは検出器5による検出信号を収集したりするコントローラ1が設けられている。
【0019】
パソコン100には所定の制御・処理プログラムがインストールされており、この制御・処理プログラムを実行することによって、各LC装置201〜204で収集されたデータに対し適宜の演算処理を行うことができるようになっている。但し、こうしたデータ処理は、汎用のパソコンではなく、専用のデータ処理装置(例えば島津製作所製のクロマトパックなど)によって行うようにしてもよい。
【0020】
図2は、図1中の1つのLC装置201におけるコントローラ1の主要な機能を、より詳細に示した構成図である。
【0021】
コントローラ1は、機能的に、ネットワーク300に接続され該ネットワーク300を介したデータの送受信を行うネットワークインタフェース(I/F)10と、ネットワーク300を介して外部に提供するWebコンテンツを作成するとともに、Web上での外部からの要求を解読して各部に伝達するWebサーバ11と、当該LC装置201に含まれる送液ポンプ2、オートサンプラ3、カラムオーブン4及び検出器5の動作をそれぞれ制御する制御信号を装置内通信インタフェース13を介して送出する装置制御部12と、操作キーを含みコントローラ1における各種の操作を指示するための操作部19と、文字及びグラフィックを表示する表示部18と、を備える。ここでは、ネットワークI/F10及びWebサーバ11が上記ネットワーク入出力手段に相当する。
【0022】
更にコントローラ1は、本実施例に特徴的な構成要素として、このLC装置201に対してオペレータにより設定されたり後述するように他のLC装置202〜204からコピーしてきた分析条件をファイル形式で保存しておくための分析条件ファイル保存部16(保存手段)と、その分析条件ファイル保存部16への分析条件ファイルの書き込み及び読み出しを制御するとともに、そこに保存されている分析条件ファイルに関する情報を収集する個別分析条件ファイル情報管理部15(複製手段)と、分析条件ファイル保存部16に保存されている個別分析条件ファイルに関するファイル属性情報を個別分析条件ファイル情報管理部15を介して収集するとともに、ネットワーク300を介して他のLC装置202〜204(実際にはその装置内のコントローラ1)を検索して、それらが保有する個別分析条件ファイルに関するファイル属性情報を収集し、それらを統合して全体分析条件ファイル情報として保持する全体分析条件ファイル情報収集部14(情報収集手段)と、この全体分析条件ファイル情報収集部14に保持されている全体ファイル属性情報について、当該LC装置201と同一構成を有するLC装置における情報であるか否かを区別して表示するためのデータを作成する表示データ作成部17(情報統合手段)と、を備える。
【0023】
ネットワーク300を介してコントローラ1と接続されるパソコン100(クライアント端末)には、例えばマイクロソフト社が提供するインターネット・エクスプローラなどのブラウザが搭載されており、このブラウザがコントローラ1のWebサーバ11からプログラム又はデータ等のWebコンテンツを受け取って解析し、必要な処理を実行することによって、文字やグラフィックなどを含む所定の画面がパソコン100のディスプレイ(表示部)上に形成される。
【0024】
上記分析システムでは、各LC装置201〜204で個別にそれぞれ分析条件を設定してその分析条件に従った分析を実行することができる。こうして各LC装置201〜204でそれぞれ設定された分析条件は1つの分析条件ファイルとして、個別分析条件ファイル情報管理部15を介して分析条件ファイル保存部16に格納される。また、パソコン100上での各種キー操作やマウス操作によってそれぞれのLC装置201〜204で分析を行う際の分析条件を設定し、その情報をネットワーク300を介して各LC装置201〜204のコントローラ1へ送って分析を指示するようにすることもできる。その場合でも、パソコン100から送られた分析条件は1つの分析条件ファイルとして分析条件ファイル保存部16に格納される。
【0025】
また、パソコン100上での操作により各LC装置201〜204の分析動作を管理することもできる。即ち、各LC装置201〜204に対してそれぞれ分析条件や順序を記述したスケジュール表をパソコン100で作成すると、ネットワーク300を介してこのスケジュール表自体又はスケジュール表に従った制御信号が各LC装置201〜204のコントローラ1へと送られる。コントローラ1の装置制御部12は、スケジュール表の内容に従ってオートサンプラ3により順番に検体を採取して分析を実行する。
【0026】
分析実行時には、コントローラ1による制御の下で、送液ポンプ2の動作により溶離液槽から溶離液を吸引し、一定流量でカラムへと供給する。オートサンプラ3は予め複数装填された検体を所定の順序で選択し、選択された検体による試料は所定のタイミングで溶離液中に注入される。この試料は溶離液に乗ってカラムへと導入され、カラムオーブン4により適度な温度に制御されているカラムを通過する間に試料中の各成分が時間的に分離される。検出器5はカラムから溶出する試料成分を時間の経過に伴って順次検出し、その検出信号はA/D変換器でデジタル信号に変換された後に、コントローラ1へと渡される。コントローラ1は、分析によって取得されたデータを収集してパソコン100へと送る。
【0027】
上述したように、分析を実行する際に必須である分析条件は各LC装置201〜204のコントローラ1の分析条件ファイル保存部16に格納されているが、LC装置201〜204の構成が同一である場合には、他のLC装置で設定された分析条件ファイルを利用した分析も可能である。ここで言う、構成が同一であるというのは、例えばカラム、検出器など、交換可能なユニットの種類が同じであって、分析条件を同一にすることが意味のある場合のことである。
【0028】
次に、本実施例の分析システムにおける特徴的な処理である、分析条件ファイルの共有化に関する動作について図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0029】
いまオペレータはパソコン100の操作を行いながら、LC装置201で分析を行うのに適切な分析条件を探そうとしているものとする。また、LC装置202、203の2台はLC装置201と同一構成であるが、LC装置204のみ構成が相違しているものとする。
【0030】
オペレータはパソコン100に搭載されているブラウザを用いて、全体分析条件ファイル情報の表示を指示する。この指示はパソコン100からネットワーク300を介してLC装置201のコントローラ1へと送信される。コントローラ1において全体分析条件ファイル情報収集部14は、ブラウザからの要求を常に監視し(ステップS1)、ブラウザから要求があると、ネットワーク300に接続されている他のLC装置201〜204のコントローラ1の有無を検出する(ステップS2)。例えば、物理的にはネットワーク300に接続されていても、電源が投入されていない等の理由によって稼働不可能なLC装置は、この段階で無視されることになる。
【0031】
そして、全体分析条件ファイル情報収集部14は、接続を確認したコントローラ1に対して、それらLC装置202〜204における個別分析条件ファイルのファイル属性情報の送信を要求する。また同時に、全体分析条件ファイル情報収集部14は、個別分析条件ファイル情報管理部15に対しても分析条件ファイル保存部16に保存されている個別分析条件ファイルについてのファイル属性情報を要求する。
【0032】
こうして全体分析条件ファイル情報収集部14は、当該コントローラ1の個別分析条件ファイル情報管理部15から収集したファイル属性情報と、他の3台のLC装置202〜204のコントローラ1から収集したファイル属性情報とを統合して全体ファイル属性情報を作成する(ステップS4)。ここで、ファイル属性情報とは、分析条件ファイルを特定するための情報であり、例えばファイル名、作成日時、作成者名等を含むほか、場合によっては簡単なコメント文を添付できるようにしておいてもよい。
【0033】
なお、上述したように個別分析条件ファイルの属性情報を収集する際に同時に、それぞれのLC装置202〜204の構成を識別するための管理情報(どのような種類のカラム、検出器が接続されているのか等を示す情報)を取得する。
【0034】
表示データ作成部17は、上記構成識別用の管理情報を参照して、全体ファイル属性情報の中で当該LC装置201と同一の構成を有しているLC装置から得られたものであるか否かを区別した上で、表示データとして例えば上記ファイル属性情報の一覧リストを作成する(ステップS5)。Webサーバ11はこの表示データを受け取り、必要に応じてWebページ上に掲載可能な形式に変換した上で、ネットワークインタフェース10を介しパソコン100にその表示データを送信する(ステップS6)。パソコン100にあってはブラウザがこのデータを処理し、表示画面内にそのファイル属性情報のリストを表示する。
【0035】
図4はパソコン100のディスプレイの画面上に表示されるファイル属性情報リストの一例を示す図である。この例では、分析条件ファイルに関して、ファイル名、ファイル作成日時、作成者、LC装置の構成の同一(〇印)・非同一(×印)の識別、コメントなどが一覧表20の中に集約されている。
【0036】
オペレータはディスプレイの画面上で図4に示したようなリストを見て、例えば、適当と思われる分析条件ファイルが有る場合には、そのファイルのコピーの指示操作を行う。例えば図4の例では、各ファイルに対して設けられているチェックボックス21にチェック印を入れて、図示しないコピー開始ボタンをクリック操作することにより、ファイルの指示とコピー開始指示とを行うことができる。
【0037】
いま例えば指示された分析条件ファイルがLC装置203に有るものとする。その場合、上記コピー開始の指示を受けると(ステップS7「Yes」)、個別分析条件ファイル情報管理部15は、ネットワーク300を介して指定された分析条件ファイルが格納されているLC装置203のコントローラ1にアクセスし、そのコントローラ1内の分析条件ファイル保存部16に格納されている分析条件ファイルを読み出してきて、自らのLC装置201の分析条件ファイル保存部16にコピーする(ステップS8)。こうしてコピーされた分析条件ファイルは、そのLC装置201で設定された分析条件ファイルと全く同様に使用することができる。
【0038】
上記実施例では、LC装置202〜204はLC装置201と同様の機能を有するため、いずれのLC装置201〜204においても上記と同様の処理を行わせることができる。但し、構成の相違するLC装置204で設定されている分析条件ファイルは、通常、そのままLC装置201で使用することはできない。従って、構成が相違するLC装置204に保存されている分析条件ファイルは全体ファイル属性情報リストから落とすか、或いは、該リストに掲載する場合でも誤ってコピーすることを防止するためコピー実行の確認を強化するか、しておくことが望ましい。図4の例では、構成が同一でないLC装置204に保存されている分析条件ファイルに対しては、チェックボックス21自体が表示されず、コピーの選択が行えないようにしている。
【0039】
上記実施例のような分析システムでは、構成が同一でありさえすればいずれのLC装置で設定された分析条件ファイルをも共用化できるようにするのが基本ではあるが、例えば分析条件の設定内容自体がノウハウ的なものであって秘密性を持たせたい場合、分析条件ファイル毎にネットワーク300上でオープンとするか或いは他のLC装置での使用を制限するかを選択できるようにしてもよい。即ち、分析条件ファイルを保存する際、或いは保存した後に追加的に、他のLC装置やパソコンからは見えないような一種の隠しファイル形式としたり、或いは実際にファイル内容を見るためにパスワードの入力を要求するような管理を行ってもよい。このようにすれば、その分析装置がネットワークに接続されている場合でも、高いセキュリティ性を確保することができる。
【0040】
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形や追加を行っても本願発明の請求の範囲に包含されることは明らかである。具体的には、ネットワークに接続される分析装置やパソコンの台数や種類などは上記記載に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例によるLC装置を含む分析システム全体の構成図。
【図2】図1中の1つのLC装置におけるコントローラの主要な機能を詳細に示した構成図。
【図3】本分析システムにおける分析条件ファイルの共有化に関する動作を示すフローチャート。
【図4】本分析システムにおいて全体分析条件ファイル情報リストの一例を示す図。
【符号の説明】
100…パソコン
201〜204…LC装置
300…ネットワーク
1…コントローラ
10…ネットワークインタフェース(I/F)
11…Webサーバ
12…装置制御部
13…装置内通信インタフェース(I/F)
14…全体分析条件ファイル情報収集部
15…個別分析条件ファイル情報管理部
16…分析条件ファイル保存部
17…表示データ作成部
18…表示部
19…操作部
20…一覧表
21…チェックボックス
Claims (3)
- ネットワークを介して1乃至複数の他の分析装置と相互にデータ通信可能に接続された分析装置において、
a)当該分析装置で分析を遂行するための分析条件を情報として含む分析条件ファイルが保存される保存手段と、
b)該保存手段に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を取得するとともに、前記ネットワークを介して他の分析装置内に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を収集する情報収集手段と、
c)該情報収集手段により収集されたファイル属性情報を統合して所定形式で表示可能に構成する情報統合手段と、
d)該情報統合手段により統合されたファイル属性情報を表示する表示手段と、
e)該表示手段による表示に対応して指示された分析条件ファイルについて、該ファイルが保存されている他の分析装置から前記ネットワークを介して該ファイルを構成するデータを取得し、前記保存手段に複製する複製手段と、
を備えることを特徴とする分析装置。 - 複数台の分析装置と少なくとも1台のクライアント端末とがそれぞれネットワークに接続された分析システムにおいて、
前記複数台の分析装置のうちの少なくとも1台の分析装置は、
a)当該分析装置で分析を遂行するための分析条件を情報として含む分析条件ファイルが保存される保存手段と、
b)該保存手段に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を取得するとともに、前記ネットワークを介して他の分析装置内に保存されている分析条件ファイルに関するファイル属性情報を収集する情報収集手段と、
c)該情報収集手段により収集されたファイル属性情報を統合して前記クライアント端末の表示画面上に表示可能に構成する情報統合手段と、
d)該情報統合手段により統合されたファイル属性情報を前記ネットワークを介して前記クライアント端末へと送信するとともに、該クライアント端末の表示画面上の表示に対応した分析条件ファイルの選択指示を受け付けるネットワーク入出力手段と、
e)前記選択指示された分析条件ファイルについて、該ファイルが保存されている他の分析装置からネットワークを介して該ファイルを構成するデータを取得し、前記保存手段に複製する複製手段と、
を備えることを特徴とする分析システム。 - 前記分析装置は、他の分析装置の構成を識別する構成識別手段を備え、前記情報統合手段は、該構成識別手段による識別結果に基づいて、当該分析装置と同一構成を有する他の分析装置内の分析条件ファイルを選択して、又は当該分析装置と同一構成を有する他の分析装置からの分析条件ファイルと構成が同一でない他の分析装置からの分析条件ファイルとを区別して、統合ファイル属性情報を作成することを特徴とする請求項1に記載の分析装置、又は請求項2に記載の分析システム。
Priority Applications (1)
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- 2003-03-06 JP JP2003060491A patent/JP2004271283A/ja active Pending
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