JP2004270481A - ディーゼル機関の燃料供給装置及びディーゼル機関の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液化低沸点燃料に対して気密性を持たない燃料噴射ポンプ等をもったディーゼル機関に、エンジン停止時に気密性が確保できない部分の液化低沸点燃料を回収する装置をもった、小型で軽量なディーゼル機関の燃料供給装置及びディーゼル機関の制御方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】液化低沸点燃料を入れる燃料容器1と、燃料容器1と燃料噴射ポンプ25との間に設けられて液化低沸点燃料を昇圧させる燃料供給装置4とを有し、燃料供給装置4の吐出側配管18と燃料容器1との間に、燃料噴射ポンプ25内、燃料噴射ノズル26内等の燃料を回収する燃料回収装置40を設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】液化低沸点燃料を入れる燃料容器1と、燃料容器1と燃料噴射ポンプ25との間に設けられて液化低沸点燃料を昇圧させる燃料供給装置4とを有し、燃料供給装置4の吐出側配管18と燃料容器1との間に、燃料噴射ポンプ25内、燃料噴射ノズル26内等の燃料を回収する燃料回収装置40を設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌、船舶、発電機などの駆動に用いられる液化低排点燃料を主燃料とするディーゼル機関の燃料供給装置及びこの燃料供給装置を使用したディーゼル機関に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディーゼル機関の燃料は、一般に軽油が用いられていたが、近時、軽油に代えてジメチルエーテル(以下、DMEという)を燃料として用いることが検討されている。DMEを燃料としてディーゼル機関に用いる場合、軽油と同様のセタン値をもつばかりでなく、軽油に比べて排ガス中のNOx濃度が低く、全出力領域で排煙がきわて少ないため、クリーンな燃料として期待されている。
【0003】
しかし、DME燃料は沸点が−25℃と低いため常温では気体であり、このような低沸点燃料をディーゼル機関に用いる場合は、燃料供給ポンプの吐出圧力、すなわち、燃料噴射ポンプヘの燃料供給圧力は、燃焼容器内の燃料の飽和蒸気圧(例えば、0.5〜1.0MPs程度)以上の圧力(例えば、1.5〜2.5MPa程度)に加圧して供給する必要がある。
【0004】
このような問題を解決するための技術として、例えば、液化低沸点燃料を入れる圧力容器と、この圧力容器に接続され圧縮気体の吸込みと放出によって駆動される燃料送りポンプと、ディーゼル機関の始動と停止とに連動して燃料のエンジン本体への供給管路を開閉する弁機構とからなり、燃料送りポンプを構成する吸込み、放出の両室のピストン面積比分だけ作動ガス圧に対する燃料室側の燃料圧を増加させるようにした燃料供給装置がある(例えば、特許文献1参照)。
また、液化低沸点燃料を入れる燃料容器と、燃料噴射ポンプとの間に設けられて液化低沸点燃料を昇圧させる燃料供給装置とを有し、この燃料供給装置に、昇圧ポンプを燃料内に浸漬した複数の昇圧ポンプユニットを直列に接続してなる燃料昇圧手段を設けたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−11687号公報(第2−第3頁、図1)
【特許文献2】
特開2002−256981号公報(第3−第4頁、図1−図3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような燃料供給装置は、液化低沸点燃料を燃焼噴射ポンプに安定して供給することができるが、エンジンが停止したときには、これらの燃料供給装置から供給された液化低沸点燃料は、燃料供給装置吐出口から燃料噴射ポンプまでの供給配管内、燃料噴射ポンプ内、燃料噴射ノズル内及び燃料噴射ポンプと燃料噴射ノズルまでの高圧配管内、そして燃料戻し配管内にDME燃料が残存した状態で残る。
【0007】
軽油用のディーゼルエンジンに一般的に使われている燃料噴射ポンプ、噴射ノズルは気密性がなく、エンジンが停止して燃料噴射ポンプ及び噴射ノズル内に液化低沸点燃料が残留した状態になると、圧力が保てないので液化低沸点燃料はガス化する。ガス化した液化低沸点燃料は、噴射ポンプであれば、噴射ポンプ内のプランジャーとバレルの隙間から噴射ポンプのカムシャフト室を経て、エンジンクランク室に流れ出す。一方、噴射ノズルの場合は、噴射ノズル先端の噴口部からエンジン燃焼室内に流れ出す。
このため、エンジン停止状態で長く放置した後、エンジンを再起動させると、エンジン燃焼室内又はクランク室内に充満した可燃性の液化低沸点燃料のガスが異常燃焼を起こし、エンジンの損傷するおそがある。
【0008】
これを解決するべく、エンジン停止とともに燃料噴射ポンプ及び燃料噴射ノズル内に残存している液化低沸点燃料を系外、すなわち、大気に放出する処置がしばしばとられている。しかし、この放出量は3600cc、88kWほどの2トン小型トラック程度のディーゼルエンジンで100cc以上の液量に相当し、燃費の悪化になるとともに、可燃性ガスの大気放出ということで環境への影響も無視できないのが現状である。
また、文献によれば、エンジン停止とともに燃料供給系内の残留液化低沸点燃料を大気にガスとして放散させるのではなく、ガスとして、一旦パージタンクに回収した上で、ガスを圧縮して再液化後燃料タンクに戻す大掛かりな燃料回収装置も提案されているが、一般的ではない。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、液化低沸点燃料に対して気密性を持たない燃料噴射ポンプ等をもったディーゼル機関に、エンジン停止時に気密性が確保できない部分の液化低沸点燃料を回収する装置をもった、小型で軽量なディーゼル機関の燃料供給装置及びディーゼル機関の制御方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明に係るディーゼル機関の燃料供給装置は、液化低沸点燃料を入れる燃料容器と、該燃料容器と燃料噴射ポンプとの間に設けられて前記液化低沸点燃料を昇圧させる燃料供給装置とを有し、該燃料供給装置の吐出側配管と前記燃料容器との間に、前記燃料噴射ポンプ内、燃料噴射ノズル内等の燃料を回収する燃料回収装置を設けたものである。
【0011】
(2)上記(1)の燃料回収装置は、昇圧ポンプを燃料内に浸漬した昇圧ポンプユニットを1台又は複数台を直列接続して構成したものである。
【0012】
(3)本発明に係るディーゼル機関の制御方法は、上記(1)又は(2)の燃料回収装置を、機関の停止後所定の時間経過したのち停止させるようにしたものである。
【0013】
(4)また、上記(1)又は(2)の燃料回収装置を、該燃料回収装置が液体吸い込みからガス吸い込みに変化したときのポンプ負荷動力の変化により停止させるようにしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1のシステム図である。図において、1は例えば、DMEの如き液化低沸点燃料(以下、単に燃料という)が入れられた燃料容器で、この燃料容器1内の燃料は、通常、圧力P=0.5〜1.0MPa程度、温度T=20〜50℃程度に保持されている。4は燃料容器1と後述の燃料噴射ポンプ25との間に設けられた燃料供給装置で、燃料容器1内の燃料を昇圧する燃料昇圧手段5を備えている。この燃料昇圧手段5は直列に接続した複数の昇圧ポンプユニット6a,6b,6c(以下、単に6と記すことがある)からなり、初段の昇圧ポンプユニット6aの下部と、燃料容器1の底部とは管路2により常時は開放している開閉弁3を介して接続されている。
【0015】
図2は昇圧ポンプユニット6の一例を示す断面図で、圧力容器7の中に昇圧ポンプ8を内蔵したものである。この昇圧ポンプ8は、その一例を図3に示すように、円筒状の容器9内に駆動モータ10と、この駆動モータ10によって回転駆動されるトロコイド式、ギヤ式などの機械式のポンプ11とによって構成したものである。なお、12は容器9の上部に設けた吐出ポート、13は駆動モータ10に給電するための電気配線が接続されるコネクタである。
【0016】
再び図2において、圧力容器7は上下が閉塞された円筒状の構造となっており、下部には、燃料入口14を介して燃料容器1に接続される低圧室15が設けられている。16は低圧室15の上部に設けられた高圧室であり、昇圧ポンプ8は高圧室16内に挿入されて固定され、低圧室15と高圧室16とは昇圧ポンプ8の下部に取付けたテフロン(登録商標)、銅などの材料からなるパッキン17を介して機密に保持されている。
【0017】
18は圧力容器7の上壁に設けられた高圧燃料出口で、次段の昇圧ポンプユニット6b,6cの燃料入口14に接続されている。19aは上壁に設けられた端子で、コネクタ13と例えば車載のバッテリー19とが接続される。上記のような昇圧ポンプユニット6においては、高圧室16内には燃料が充填されており、昇圧ポンプ8はこの燃料内に浸漬されている。そして、昇圧ポンプユニット6a,6b,6cの駆動モータ10は例えば車載のバッテリー(DC24V又は12V)19に直列に接続されて駆動されるようになっており、1台あたりのΔp、すなわち、吸込み圧と吐出圧との差は最大約0.5MPaまで可能である。
【0018】
この昇圧ポンプユニット6は、昇圧ポンプ8が駆動されると、燃料容器1内と同圧の低圧室15内の燃料が、昇圧ポンプ8によって、ポンプ出側の圧力抵抗もしくは差圧調整弁38等の圧力調整弁機構により、一台あたり最大約0.5MPa昇圧されて吐出ポート12から高圧室16内に吐出され、昇圧ポンプ8内の圧力と同圧に保持されると共に、高圧燃料出口18から次段の昇圧ポンプユニット6b,6cに送られ、同様にして順次各最大約0.5MPaずつ昇圧される。
【0019】
本実施の形態によれば、昇圧ポンプユニット6a〜6cを3台直列に接続したので、燃料の最大昇圧量は約1.5MPaとなり、燃料容器1内の自圧、すなわち、DME燃料の場合、燃料容器1内の飽和蒸気圧力が約0.6MPaであるとすると、燃料昇圧手段により最大2.0MPa以上の燃料供給圧力が得られることになる。また、昇圧ポンプユニット6a〜6cの駆動モータ10を、バッテリー19に直列に接続したことで、バッテリー19が24Vとすると、3台の昇圧ポンプユニット6a〜6cの負荷(Δp)配分が釣り合うため、各昇圧ポンプユニット6a〜6cの負荷電圧は8Vで釣り合い、計24Vとなって消費電流は8〜10A程度にすることができ、一般に車載されているバッテリーで十分対応することができる。
【0020】
再び図1において、20はディーゼル機関(以下、単にエンジンという)で、21はシリング、22はピストン、23は吸気口、24は排気口である。25はエンジン20に取付けられた燃料噴射ポンプ、26は各シリンダ21のシリンダヘッドに取付けられ、燃料噴射ポンプ25から供給された燃料をシリンダ21内に噴射する噴射ノズルである。
【0021】
30は燃料昇圧手段5の最終段の昇圧ポンプユニット6cの高圧燃料出口18と、燃料噴射ポンプ25とを接続する燃料供給配管で、昇圧ポンプユニット6cの出口側には電磁開閉弁31が設けられており、その下流側にはエンジン停止時に開く電磁弁32が設けられ、電磁弁32には後述の燃料回収装置である燃料回収ポンプ40の吸入口に接続する回収用配管39が接続されている。
40は燃料噴射ポンプ25内、燃料供給配管30内、噴射ノズル26内、及び燃料戻し配管36内に残留する燃料を回収するための燃料回収ポンプで、昇圧ポンプユニット6と同じ構造のものである。燃料回収ポンプ40の吐出口には吐出配管41が接続され、この吐出配管41は電磁弁42、接続配管43,45を介して燃料容器1に接続されている燃料戻し管37に接続されている。
【0022】
配管39は分岐して電磁開閉弁44が接続され、この電磁開閉弁44は大気開放弁であり、燃料回収ポンプ40の停止後に動作するものである。33は電磁開閉弁31の上流側(昇圧ポンプユニット6c側)において、燃料供給配管30から分岐した分岐管34に設けたアキュムレータである。35は昇圧ポンプユニット6c、電磁開閉弁31、アキュムレータ33、分岐管34内の圧力が異常に高くなったときに、圧力を燃料容器1内にリリーフさせるリリーフ弁である。36は燃料噴射ポンプ25及び噴射ノズル26と燃料容器1との間に設けられ、燃料噴射ポンプ25からの燃料余り分及び噴射ノズル26からのリーク分を燃料容器1に戻す燃料戻し配管で、エンジン20側の燃料戻し配管35と燃料容器1側の燃料戻し配管37との間には差圧調整弁38が設けられている。
【0023】
次に、上記のように構成した本実施の形態の作用を説明する。なお、燃料昇圧手段5を構成する部品のうち、昇圧ポンプユニット6a,6b,6cの低圧室15及び高圧室16、閉じられた電磁開閉弁31の上流側と分岐管34、アキュムレータ33、差圧調整弁38から燃料容器1との間の燃料戻し配管37で形成された系内には、例えば燃料容器1内の飽和蒸気圧力とほぼ同圧の燃料が満たされているものとする。
一方、配管39、燃料回収ポンプ40内は雰囲気温度の飽和蒸気圧のガスで充満しているものとする。
【0024】
差圧調整弁38は、その上流側、すなわち図1においては、エンジン側の燃料戻し配管36と、下流側、すなわち燃料容器1側の燃料戻し配管37との間の差圧を所定の圧力差にするように常に機械的に調整するもので、圧力は下流側の圧力を基準に上流側の圧力を調整し、上流側の圧力の方が高くなるように調整される。この差圧調整弁38は所定の差圧になるまで閉じた状態になっており、エンジン20が停止したとき、すなわち、昇圧ポンプユニット6a〜6cが停止状態においては、差圧調整弁38は閉じている。
【0025】
バッテリー19のスイッチ19bはエンジンキーと連動しており、エンジンキーを回して先ずスイッチ19bをONして各昇圧ポンプユニット6a〜6cの駆動モータ10を駆動すると、これと連動して電磁開閉弁31が開放され、燃料回収ポンプ40と接続開放している電磁弁32が閉じる。飽和蒸気圧力が例えば約0.6MPaの燃料容器1内の燃料は、差圧調整弁38の圧力調整により各昇圧ポンプユニット6a〜6cでそれぞれ最大0.5MPa昇圧されるため、初段の昇圧ポンプユニット6aでは約1.1MPa、中段の昇圧ポンプユニット6bでは約1.6MPa、最終段の昇圧ポンプユニット6cの高圧燃料出口18では約2.1MPaとなって、燃料供給配管30から燃料噴射ポンプ25へ送られる。なお、DME燃料のように低沸点で低粘性の燃料は、昇圧ポンプのシール機構からリークすることが多いが、本発明の昇圧ポンプユニット6によれば、昇圧ポンプ8が燃料内に浸漬されているので、リークの処理を考慮する必要がない。
【0026】
そして、燃料噴射ポンプ25から各シリンダ21に設けられた噴射ノズル26に燃料が送られ、順次シリンダ21内に噴射してエンジン20を駆動する。噴射ノズル26からリークした燃料は、戻し配管36,37から燃料容器1に戻される。
【0027】
このように、燃料昇圧手段5の最終段の昇圧ポンプユニット6cの高圧燃料出口18から燃料噴射ポンプ25までの燃料供給配管30、燃料噴射ポンプ25及び噴射ノズル26、エンジン20側の燃料戻し配管36、差圧調整弁38、燃料容器1側の燃料戻し配管37からなる燃料配管経路が形成されることで、差圧調整弁38の開度調整により、最終段の昇圧ポンプユニット6cの負荷、すなわち出口圧力、つまり噴射ポンプ26への燃料供給圧力を調整することができる。
【0028】
このエンジン20が、例えば始動直後の状況、あるいは寒冷地などで使用される場合において、燃料容器1内の燃料の温度が低く、燃料容器1内の飽和蒸気圧力が低いときには、燃料供給圧力調整に絶対的な圧力値が常に一定となる圧力調整弁を用いて、昇圧ポンプユニット6の吐出圧力を絶対値として一定圧力制御をしたとすると、昇圧ポンプユニット6の各段あたりの昇圧分が増加し、必要以上の負荷が昇圧ポンプユニット6にかかることになるが、燃料容器1内の圧力に対する相対値として圧力を調整する差圧調整弁38を用いることにより、相対的に吐出圧力が決定されるので、燃料容器1内の飽和蒸気圧力の影響を受けることなく、昇圧ポンプユニット6への負荷を一定にすることができる。
【0029】
また、長時間エンジン20が運転されている状況下や、気温が高い条件下で動作するときにおいては、燃料噴射ポンプ25から燃料容器1に戻る燃料が、燃料噴射ポンプ25内を通過するために温度が高くなり、かつ、噴射ノズル26からリークして燃料容器1に戻る燃料も温度が高いため、例えば、燃料噴射ポンプ25及び噴射ノズル26から戻る燃料の温度は60℃程度になる。このため戻ってきた燃料によって燃料容器1内の燃料温度が高くなり、その結果燃料容器1内の飽和蒸気圧力が上昇する。
【0030】
このような場合でも、燃料容器1内の飽和蒸気圧力と、昇圧ポンプユニット6から送り出される燃料の圧力との差がほぼ一定になるように、圧力調整弁38によって調整されるので、昇圧ポンプユニット6の負荷はほぼ一定になる。このように、差圧調整弁38を設けたことにより、使用状況が変化しても昇圧ポンプユニット6の負荷、つまり仕事量はほぼ一定になるので、安定した動作を得ることができる。
【0031】
また、燃料噴射ポンプ25には、通常多気筒のジャーク式ポンプが用いられることが多いが、この場合、燃料供給配管30には激しい脈動が生じ、最終段の昇圧ポンプユニット6cに過大な負荷(トルク)変動を生じさせる。このような脈動を最終段の昇圧ポンプユニット6cの出口側に設けたアキュムレータ33によって吸収させることにより、昇圧ポンプユニット6cの出口側の脈動が無くなり、昇圧ポンプユニット6cの負荷変動を軽減することができる。
【0032】
エンジン20の停止時の動作および燃料回収動作は、次の通りである。エンジン20が停止するとともに、電磁開閉弁31が閉じ、昇圧ポンプユニット6a〜6cが停止する。このとき、燃料噴射ポンプ25、燃料噴射ノズル26、燃料供給管30、燃料戻し配管36内等の残留燃料は徐々に飽和蒸気圧に圧力が下がり、差圧調整弁38の入口と出口間で圧力差が無くなるため、差圧調整弁38は閉じる。その後、電磁弁32が開き、燃料回収ポンプ40が起動し、燃料回収ポンプ40の吐出口と燃料タンク1を接続する電磁弁42が開いて、燃料供給配管30、燃料噴射ポンプ25、噴射ノズル26、燃料戻し配管36内の残留液化低沸点燃料を吸い込み燃料容器1内に吐出回収する。このとき、燃料回収ポンプ40は昇圧ポンプ9と同様に浸漬式の構造であるので、燃料回収ポンプ40での燃料リークは問題とならない。
【0033】
燃料回収ポンプ40での大きな課題は、ポンプ始動とともに残留燃料がポンプによる吸い込みで圧力が低下し、気泡が発生して極端にポンプ効率(吸入効率)の低下を招き、燃料回収能力が大幅に損なわれることであるが、燃料容器1に燃料を戻すための圧力は、燃料容器1内の飽和蒸気圧(回収ポンプ吸入圧)に対して+0.1MPa程度でよいため、ポンプ吸入口での圧力低下は低く、燃料回収ポンプ40の始動直後の残留燃料が多いときには気泡化しない。また、上記の説明では燃料回収ポンプ40は1段の例を示したが、回収ポンプ40を複数段直列に設けることにより、吸入口での圧力低下をより小さくできる。装置の大きさを考えると、燃料回収ポンプの構成は1〜2台が妥当である。しかし、回収が進み残留燃料が少なくなると、燃料回収ポンプ40の吸入効率は低下する。液体状態の残留燃料の回収が十分完了した時点で、燃料回収ポンプ40を停止し、電磁弁42を閉じて、電磁開放弁44を開き、燃料噴射ポンプ25、噴射ノズル26内の圧力を大気に開放させる。
【0034】
燃料噴射ポンプ25の容量に因るが、エンジン停止後、燃料回収ポンプ40の動作時間は30秒程度である。燃料回収ポンプ40の停止設定は、エンジン停止後、所定の時間設定で動作完了させることでも問題ないが、残留燃料の回収が進み、回収配管内がガス化した時点で、燃料回収ポンプ40の動力負荷が極端に変化したときに燃料回収ポンプ40を停止するようにしてもよい。
【0035】
[実施の形態2]
図4は本発明の実施の形態2のシステム図である。本実施の形態は燃料回収ポンプ40と燃料昇圧手段5の最終段の昇圧ポンプユニット6cを兼用するものである。エンジン停止時に電磁弁31及び46,47が閉じる。そして、電磁弁32が開き、最終段の昇圧ポンプユニット6cが再稼動する。これにより、電磁弁49が開いて、配管50,45、燃料もどし配管37を経て燃料容器1に燃料を戻す。
このとき、昇圧ポンプユニット6a,6bも6cと同時運転であってもよい。昇圧ポンプユニット6a,6bは吐出配管18の電磁弁46が閉じているので、浸漬した状態で昇圧ポンプ8が空回りしているだけで問題はない。
【0036】
上記の説明では、本発明に係る燃料供給装置を主として車輌用のディーゼル機関に実施した場合を示したが、本発明はこれに限定するものではなく、船舶、発電機等の運転用ディーゼル機関にも実施することができる。また、DME燃料を使用するディーゼル機関に本発明を実施した場合を示したが、例えば、LPGの如き液化低沸点燃料を使用するディーゼル機関にも本発明を実施することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、エンジンの駆動に使用する液化低沸点燃料の燃料供給装置において、エンジン停止時の気密性がない燃料噴射ポンプ内等の残留液化低沸点燃料を、浸漬式のポンプを1台又は複数台を直列に接続してなり、バッテリーによる小さい動力で作動することのできる燃料回収装置を設けたので、燃料の回収手段を大幅に小型かつ軽量化することができ、燃費の向上、環境負荷の軽減に役立つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のシステム図である。
【図2】図1の昇圧ポンプユニットおよび燃料回収ポンプの説明図である。
【図3】図2の昇圧ポンプユニットに内蔵する昇圧ポンプおよび回収ポンプの説明図である。
【図4】本発明の実施の形態2のシステム図である。
【符号の説明】
1 燃料容器
4 燃料供給装置
5 燃料昇圧手段
6 昇圧ポンプユニット
7 圧力容器
8 昇圧ポンプ
12 燃料の吐出ポート
15 低圧室
16 高圧室
18 高圧燃料出口
19 バッテリー
20 ディーゼル機関(エンジン)
25 燃料噴射ポンプ
26 噴射ノズル
30 燃料供給配管
31 電磁開閉弁
32 大気開放電磁弁
33 アキュムレータ
35 リリーフ弁
36,37 燃料戻し配管
38 差圧調整弁
40 燃料回収ポンプ(燃焼回収装置)
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌、船舶、発電機などの駆動に用いられる液化低排点燃料を主燃料とするディーゼル機関の燃料供給装置及びこの燃料供給装置を使用したディーゼル機関に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディーゼル機関の燃料は、一般に軽油が用いられていたが、近時、軽油に代えてジメチルエーテル(以下、DMEという)を燃料として用いることが検討されている。DMEを燃料としてディーゼル機関に用いる場合、軽油と同様のセタン値をもつばかりでなく、軽油に比べて排ガス中のNOx濃度が低く、全出力領域で排煙がきわて少ないため、クリーンな燃料として期待されている。
【0003】
しかし、DME燃料は沸点が−25℃と低いため常温では気体であり、このような低沸点燃料をディーゼル機関に用いる場合は、燃料供給ポンプの吐出圧力、すなわち、燃料噴射ポンプヘの燃料供給圧力は、燃焼容器内の燃料の飽和蒸気圧(例えば、0.5〜1.0MPs程度)以上の圧力(例えば、1.5〜2.5MPa程度)に加圧して供給する必要がある。
【0004】
このような問題を解決するための技術として、例えば、液化低沸点燃料を入れる圧力容器と、この圧力容器に接続され圧縮気体の吸込みと放出によって駆動される燃料送りポンプと、ディーゼル機関の始動と停止とに連動して燃料のエンジン本体への供給管路を開閉する弁機構とからなり、燃料送りポンプを構成する吸込み、放出の両室のピストン面積比分だけ作動ガス圧に対する燃料室側の燃料圧を増加させるようにした燃料供給装置がある(例えば、特許文献1参照)。
また、液化低沸点燃料を入れる燃料容器と、燃料噴射ポンプとの間に設けられて液化低沸点燃料を昇圧させる燃料供給装置とを有し、この燃料供給装置に、昇圧ポンプを燃料内に浸漬した複数の昇圧ポンプユニットを直列に接続してなる燃料昇圧手段を設けたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−11687号公報(第2−第3頁、図1)
【特許文献2】
特開2002−256981号公報(第3−第4頁、図1−図3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような燃料供給装置は、液化低沸点燃料を燃焼噴射ポンプに安定して供給することができるが、エンジンが停止したときには、これらの燃料供給装置から供給された液化低沸点燃料は、燃料供給装置吐出口から燃料噴射ポンプまでの供給配管内、燃料噴射ポンプ内、燃料噴射ノズル内及び燃料噴射ポンプと燃料噴射ノズルまでの高圧配管内、そして燃料戻し配管内にDME燃料が残存した状態で残る。
【0007】
軽油用のディーゼルエンジンに一般的に使われている燃料噴射ポンプ、噴射ノズルは気密性がなく、エンジンが停止して燃料噴射ポンプ及び噴射ノズル内に液化低沸点燃料が残留した状態になると、圧力が保てないので液化低沸点燃料はガス化する。ガス化した液化低沸点燃料は、噴射ポンプであれば、噴射ポンプ内のプランジャーとバレルの隙間から噴射ポンプのカムシャフト室を経て、エンジンクランク室に流れ出す。一方、噴射ノズルの場合は、噴射ノズル先端の噴口部からエンジン燃焼室内に流れ出す。
このため、エンジン停止状態で長く放置した後、エンジンを再起動させると、エンジン燃焼室内又はクランク室内に充満した可燃性の液化低沸点燃料のガスが異常燃焼を起こし、エンジンの損傷するおそがある。
【0008】
これを解決するべく、エンジン停止とともに燃料噴射ポンプ及び燃料噴射ノズル内に残存している液化低沸点燃料を系外、すなわち、大気に放出する処置がしばしばとられている。しかし、この放出量は3600cc、88kWほどの2トン小型トラック程度のディーゼルエンジンで100cc以上の液量に相当し、燃費の悪化になるとともに、可燃性ガスの大気放出ということで環境への影響も無視できないのが現状である。
また、文献によれば、エンジン停止とともに燃料供給系内の残留液化低沸点燃料を大気にガスとして放散させるのではなく、ガスとして、一旦パージタンクに回収した上で、ガスを圧縮して再液化後燃料タンクに戻す大掛かりな燃料回収装置も提案されているが、一般的ではない。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、液化低沸点燃料に対して気密性を持たない燃料噴射ポンプ等をもったディーゼル機関に、エンジン停止時に気密性が確保できない部分の液化低沸点燃料を回収する装置をもった、小型で軽量なディーゼル機関の燃料供給装置及びディーゼル機関の制御方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明に係るディーゼル機関の燃料供給装置は、液化低沸点燃料を入れる燃料容器と、該燃料容器と燃料噴射ポンプとの間に設けられて前記液化低沸点燃料を昇圧させる燃料供給装置とを有し、該燃料供給装置の吐出側配管と前記燃料容器との間に、前記燃料噴射ポンプ内、燃料噴射ノズル内等の燃料を回収する燃料回収装置を設けたものである。
【0011】
(2)上記(1)の燃料回収装置は、昇圧ポンプを燃料内に浸漬した昇圧ポンプユニットを1台又は複数台を直列接続して構成したものである。
【0012】
(3)本発明に係るディーゼル機関の制御方法は、上記(1)又は(2)の燃料回収装置を、機関の停止後所定の時間経過したのち停止させるようにしたものである。
【0013】
(4)また、上記(1)又は(2)の燃料回収装置を、該燃料回収装置が液体吸い込みからガス吸い込みに変化したときのポンプ負荷動力の変化により停止させるようにしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1のシステム図である。図において、1は例えば、DMEの如き液化低沸点燃料(以下、単に燃料という)が入れられた燃料容器で、この燃料容器1内の燃料は、通常、圧力P=0.5〜1.0MPa程度、温度T=20〜50℃程度に保持されている。4は燃料容器1と後述の燃料噴射ポンプ25との間に設けられた燃料供給装置で、燃料容器1内の燃料を昇圧する燃料昇圧手段5を備えている。この燃料昇圧手段5は直列に接続した複数の昇圧ポンプユニット6a,6b,6c(以下、単に6と記すことがある)からなり、初段の昇圧ポンプユニット6aの下部と、燃料容器1の底部とは管路2により常時は開放している開閉弁3を介して接続されている。
【0015】
図2は昇圧ポンプユニット6の一例を示す断面図で、圧力容器7の中に昇圧ポンプ8を内蔵したものである。この昇圧ポンプ8は、その一例を図3に示すように、円筒状の容器9内に駆動モータ10と、この駆動モータ10によって回転駆動されるトロコイド式、ギヤ式などの機械式のポンプ11とによって構成したものである。なお、12は容器9の上部に設けた吐出ポート、13は駆動モータ10に給電するための電気配線が接続されるコネクタである。
【0016】
再び図2において、圧力容器7は上下が閉塞された円筒状の構造となっており、下部には、燃料入口14を介して燃料容器1に接続される低圧室15が設けられている。16は低圧室15の上部に設けられた高圧室であり、昇圧ポンプ8は高圧室16内に挿入されて固定され、低圧室15と高圧室16とは昇圧ポンプ8の下部に取付けたテフロン(登録商標)、銅などの材料からなるパッキン17を介して機密に保持されている。
【0017】
18は圧力容器7の上壁に設けられた高圧燃料出口で、次段の昇圧ポンプユニット6b,6cの燃料入口14に接続されている。19aは上壁に設けられた端子で、コネクタ13と例えば車載のバッテリー19とが接続される。上記のような昇圧ポンプユニット6においては、高圧室16内には燃料が充填されており、昇圧ポンプ8はこの燃料内に浸漬されている。そして、昇圧ポンプユニット6a,6b,6cの駆動モータ10は例えば車載のバッテリー(DC24V又は12V)19に直列に接続されて駆動されるようになっており、1台あたりのΔp、すなわち、吸込み圧と吐出圧との差は最大約0.5MPaまで可能である。
【0018】
この昇圧ポンプユニット6は、昇圧ポンプ8が駆動されると、燃料容器1内と同圧の低圧室15内の燃料が、昇圧ポンプ8によって、ポンプ出側の圧力抵抗もしくは差圧調整弁38等の圧力調整弁機構により、一台あたり最大約0.5MPa昇圧されて吐出ポート12から高圧室16内に吐出され、昇圧ポンプ8内の圧力と同圧に保持されると共に、高圧燃料出口18から次段の昇圧ポンプユニット6b,6cに送られ、同様にして順次各最大約0.5MPaずつ昇圧される。
【0019】
本実施の形態によれば、昇圧ポンプユニット6a〜6cを3台直列に接続したので、燃料の最大昇圧量は約1.5MPaとなり、燃料容器1内の自圧、すなわち、DME燃料の場合、燃料容器1内の飽和蒸気圧力が約0.6MPaであるとすると、燃料昇圧手段により最大2.0MPa以上の燃料供給圧力が得られることになる。また、昇圧ポンプユニット6a〜6cの駆動モータ10を、バッテリー19に直列に接続したことで、バッテリー19が24Vとすると、3台の昇圧ポンプユニット6a〜6cの負荷(Δp)配分が釣り合うため、各昇圧ポンプユニット6a〜6cの負荷電圧は8Vで釣り合い、計24Vとなって消費電流は8〜10A程度にすることができ、一般に車載されているバッテリーで十分対応することができる。
【0020】
再び図1において、20はディーゼル機関(以下、単にエンジンという)で、21はシリング、22はピストン、23は吸気口、24は排気口である。25はエンジン20に取付けられた燃料噴射ポンプ、26は各シリンダ21のシリンダヘッドに取付けられ、燃料噴射ポンプ25から供給された燃料をシリンダ21内に噴射する噴射ノズルである。
【0021】
30は燃料昇圧手段5の最終段の昇圧ポンプユニット6cの高圧燃料出口18と、燃料噴射ポンプ25とを接続する燃料供給配管で、昇圧ポンプユニット6cの出口側には電磁開閉弁31が設けられており、その下流側にはエンジン停止時に開く電磁弁32が設けられ、電磁弁32には後述の燃料回収装置である燃料回収ポンプ40の吸入口に接続する回収用配管39が接続されている。
40は燃料噴射ポンプ25内、燃料供給配管30内、噴射ノズル26内、及び燃料戻し配管36内に残留する燃料を回収するための燃料回収ポンプで、昇圧ポンプユニット6と同じ構造のものである。燃料回収ポンプ40の吐出口には吐出配管41が接続され、この吐出配管41は電磁弁42、接続配管43,45を介して燃料容器1に接続されている燃料戻し管37に接続されている。
【0022】
配管39は分岐して電磁開閉弁44が接続され、この電磁開閉弁44は大気開放弁であり、燃料回収ポンプ40の停止後に動作するものである。33は電磁開閉弁31の上流側(昇圧ポンプユニット6c側)において、燃料供給配管30から分岐した分岐管34に設けたアキュムレータである。35は昇圧ポンプユニット6c、電磁開閉弁31、アキュムレータ33、分岐管34内の圧力が異常に高くなったときに、圧力を燃料容器1内にリリーフさせるリリーフ弁である。36は燃料噴射ポンプ25及び噴射ノズル26と燃料容器1との間に設けられ、燃料噴射ポンプ25からの燃料余り分及び噴射ノズル26からのリーク分を燃料容器1に戻す燃料戻し配管で、エンジン20側の燃料戻し配管35と燃料容器1側の燃料戻し配管37との間には差圧調整弁38が設けられている。
【0023】
次に、上記のように構成した本実施の形態の作用を説明する。なお、燃料昇圧手段5を構成する部品のうち、昇圧ポンプユニット6a,6b,6cの低圧室15及び高圧室16、閉じられた電磁開閉弁31の上流側と分岐管34、アキュムレータ33、差圧調整弁38から燃料容器1との間の燃料戻し配管37で形成された系内には、例えば燃料容器1内の飽和蒸気圧力とほぼ同圧の燃料が満たされているものとする。
一方、配管39、燃料回収ポンプ40内は雰囲気温度の飽和蒸気圧のガスで充満しているものとする。
【0024】
差圧調整弁38は、その上流側、すなわち図1においては、エンジン側の燃料戻し配管36と、下流側、すなわち燃料容器1側の燃料戻し配管37との間の差圧を所定の圧力差にするように常に機械的に調整するもので、圧力は下流側の圧力を基準に上流側の圧力を調整し、上流側の圧力の方が高くなるように調整される。この差圧調整弁38は所定の差圧になるまで閉じた状態になっており、エンジン20が停止したとき、すなわち、昇圧ポンプユニット6a〜6cが停止状態においては、差圧調整弁38は閉じている。
【0025】
バッテリー19のスイッチ19bはエンジンキーと連動しており、エンジンキーを回して先ずスイッチ19bをONして各昇圧ポンプユニット6a〜6cの駆動モータ10を駆動すると、これと連動して電磁開閉弁31が開放され、燃料回収ポンプ40と接続開放している電磁弁32が閉じる。飽和蒸気圧力が例えば約0.6MPaの燃料容器1内の燃料は、差圧調整弁38の圧力調整により各昇圧ポンプユニット6a〜6cでそれぞれ最大0.5MPa昇圧されるため、初段の昇圧ポンプユニット6aでは約1.1MPa、中段の昇圧ポンプユニット6bでは約1.6MPa、最終段の昇圧ポンプユニット6cの高圧燃料出口18では約2.1MPaとなって、燃料供給配管30から燃料噴射ポンプ25へ送られる。なお、DME燃料のように低沸点で低粘性の燃料は、昇圧ポンプのシール機構からリークすることが多いが、本発明の昇圧ポンプユニット6によれば、昇圧ポンプ8が燃料内に浸漬されているので、リークの処理を考慮する必要がない。
【0026】
そして、燃料噴射ポンプ25から各シリンダ21に設けられた噴射ノズル26に燃料が送られ、順次シリンダ21内に噴射してエンジン20を駆動する。噴射ノズル26からリークした燃料は、戻し配管36,37から燃料容器1に戻される。
【0027】
このように、燃料昇圧手段5の最終段の昇圧ポンプユニット6cの高圧燃料出口18から燃料噴射ポンプ25までの燃料供給配管30、燃料噴射ポンプ25及び噴射ノズル26、エンジン20側の燃料戻し配管36、差圧調整弁38、燃料容器1側の燃料戻し配管37からなる燃料配管経路が形成されることで、差圧調整弁38の開度調整により、最終段の昇圧ポンプユニット6cの負荷、すなわち出口圧力、つまり噴射ポンプ26への燃料供給圧力を調整することができる。
【0028】
このエンジン20が、例えば始動直後の状況、あるいは寒冷地などで使用される場合において、燃料容器1内の燃料の温度が低く、燃料容器1内の飽和蒸気圧力が低いときには、燃料供給圧力調整に絶対的な圧力値が常に一定となる圧力調整弁を用いて、昇圧ポンプユニット6の吐出圧力を絶対値として一定圧力制御をしたとすると、昇圧ポンプユニット6の各段あたりの昇圧分が増加し、必要以上の負荷が昇圧ポンプユニット6にかかることになるが、燃料容器1内の圧力に対する相対値として圧力を調整する差圧調整弁38を用いることにより、相対的に吐出圧力が決定されるので、燃料容器1内の飽和蒸気圧力の影響を受けることなく、昇圧ポンプユニット6への負荷を一定にすることができる。
【0029】
また、長時間エンジン20が運転されている状況下や、気温が高い条件下で動作するときにおいては、燃料噴射ポンプ25から燃料容器1に戻る燃料が、燃料噴射ポンプ25内を通過するために温度が高くなり、かつ、噴射ノズル26からリークして燃料容器1に戻る燃料も温度が高いため、例えば、燃料噴射ポンプ25及び噴射ノズル26から戻る燃料の温度は60℃程度になる。このため戻ってきた燃料によって燃料容器1内の燃料温度が高くなり、その結果燃料容器1内の飽和蒸気圧力が上昇する。
【0030】
このような場合でも、燃料容器1内の飽和蒸気圧力と、昇圧ポンプユニット6から送り出される燃料の圧力との差がほぼ一定になるように、圧力調整弁38によって調整されるので、昇圧ポンプユニット6の負荷はほぼ一定になる。このように、差圧調整弁38を設けたことにより、使用状況が変化しても昇圧ポンプユニット6の負荷、つまり仕事量はほぼ一定になるので、安定した動作を得ることができる。
【0031】
また、燃料噴射ポンプ25には、通常多気筒のジャーク式ポンプが用いられることが多いが、この場合、燃料供給配管30には激しい脈動が生じ、最終段の昇圧ポンプユニット6cに過大な負荷(トルク)変動を生じさせる。このような脈動を最終段の昇圧ポンプユニット6cの出口側に設けたアキュムレータ33によって吸収させることにより、昇圧ポンプユニット6cの出口側の脈動が無くなり、昇圧ポンプユニット6cの負荷変動を軽減することができる。
【0032】
エンジン20の停止時の動作および燃料回収動作は、次の通りである。エンジン20が停止するとともに、電磁開閉弁31が閉じ、昇圧ポンプユニット6a〜6cが停止する。このとき、燃料噴射ポンプ25、燃料噴射ノズル26、燃料供給管30、燃料戻し配管36内等の残留燃料は徐々に飽和蒸気圧に圧力が下がり、差圧調整弁38の入口と出口間で圧力差が無くなるため、差圧調整弁38は閉じる。その後、電磁弁32が開き、燃料回収ポンプ40が起動し、燃料回収ポンプ40の吐出口と燃料タンク1を接続する電磁弁42が開いて、燃料供給配管30、燃料噴射ポンプ25、噴射ノズル26、燃料戻し配管36内の残留液化低沸点燃料を吸い込み燃料容器1内に吐出回収する。このとき、燃料回収ポンプ40は昇圧ポンプ9と同様に浸漬式の構造であるので、燃料回収ポンプ40での燃料リークは問題とならない。
【0033】
燃料回収ポンプ40での大きな課題は、ポンプ始動とともに残留燃料がポンプによる吸い込みで圧力が低下し、気泡が発生して極端にポンプ効率(吸入効率)の低下を招き、燃料回収能力が大幅に損なわれることであるが、燃料容器1に燃料を戻すための圧力は、燃料容器1内の飽和蒸気圧(回収ポンプ吸入圧)に対して+0.1MPa程度でよいため、ポンプ吸入口での圧力低下は低く、燃料回収ポンプ40の始動直後の残留燃料が多いときには気泡化しない。また、上記の説明では燃料回収ポンプ40は1段の例を示したが、回収ポンプ40を複数段直列に設けることにより、吸入口での圧力低下をより小さくできる。装置の大きさを考えると、燃料回収ポンプの構成は1〜2台が妥当である。しかし、回収が進み残留燃料が少なくなると、燃料回収ポンプ40の吸入効率は低下する。液体状態の残留燃料の回収が十分完了した時点で、燃料回収ポンプ40を停止し、電磁弁42を閉じて、電磁開放弁44を開き、燃料噴射ポンプ25、噴射ノズル26内の圧力を大気に開放させる。
【0034】
燃料噴射ポンプ25の容量に因るが、エンジン停止後、燃料回収ポンプ40の動作時間は30秒程度である。燃料回収ポンプ40の停止設定は、エンジン停止後、所定の時間設定で動作完了させることでも問題ないが、残留燃料の回収が進み、回収配管内がガス化した時点で、燃料回収ポンプ40の動力負荷が極端に変化したときに燃料回収ポンプ40を停止するようにしてもよい。
【0035】
[実施の形態2]
図4は本発明の実施の形態2のシステム図である。本実施の形態は燃料回収ポンプ40と燃料昇圧手段5の最終段の昇圧ポンプユニット6cを兼用するものである。エンジン停止時に電磁弁31及び46,47が閉じる。そして、電磁弁32が開き、最終段の昇圧ポンプユニット6cが再稼動する。これにより、電磁弁49が開いて、配管50,45、燃料もどし配管37を経て燃料容器1に燃料を戻す。
このとき、昇圧ポンプユニット6a,6bも6cと同時運転であってもよい。昇圧ポンプユニット6a,6bは吐出配管18の電磁弁46が閉じているので、浸漬した状態で昇圧ポンプ8が空回りしているだけで問題はない。
【0036】
上記の説明では、本発明に係る燃料供給装置を主として車輌用のディーゼル機関に実施した場合を示したが、本発明はこれに限定するものではなく、船舶、発電機等の運転用ディーゼル機関にも実施することができる。また、DME燃料を使用するディーゼル機関に本発明を実施した場合を示したが、例えば、LPGの如き液化低沸点燃料を使用するディーゼル機関にも本発明を実施することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、エンジンの駆動に使用する液化低沸点燃料の燃料供給装置において、エンジン停止時の気密性がない燃料噴射ポンプ内等の残留液化低沸点燃料を、浸漬式のポンプを1台又は複数台を直列に接続してなり、バッテリーによる小さい動力で作動することのできる燃料回収装置を設けたので、燃料の回収手段を大幅に小型かつ軽量化することができ、燃費の向上、環境負荷の軽減に役立つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のシステム図である。
【図2】図1の昇圧ポンプユニットおよび燃料回収ポンプの説明図である。
【図3】図2の昇圧ポンプユニットに内蔵する昇圧ポンプおよび回収ポンプの説明図である。
【図4】本発明の実施の形態2のシステム図である。
【符号の説明】
1 燃料容器
4 燃料供給装置
5 燃料昇圧手段
6 昇圧ポンプユニット
7 圧力容器
8 昇圧ポンプ
12 燃料の吐出ポート
15 低圧室
16 高圧室
18 高圧燃料出口
19 バッテリー
20 ディーゼル機関(エンジン)
25 燃料噴射ポンプ
26 噴射ノズル
30 燃料供給配管
31 電磁開閉弁
32 大気開放電磁弁
33 アキュムレータ
35 リリーフ弁
36,37 燃料戻し配管
38 差圧調整弁
40 燃料回収ポンプ(燃焼回収装置)
Claims (4)
- 液化低沸点燃料を入れる燃料容器と、該燃料容器と燃料噴射ポンプとの間に設けられて前記液化低沸点燃料を昇圧させる燃料供給装置とを有し、
該該燃料供給装置の吐出側配管と前記燃料容器との間に、前記燃料噴射ポンプ内、燃料噴射ノズル内等の燃料を回収する燃料回収装置を設けたことを特徴とするディーゼル機関の燃焼供給装置。 - 前記燃料回収装置は、昇圧ポンプを燃料内に浸漬した昇圧ポンプユニットを1台又は複数台を直列接続して構成したことを特徴とする請求項1記載のディーゼル機関の燃料供給装置。
- 請求項1又は2に記載の燃料回収装置を、機関の停止後所定の時間経過したのち停止させることを特徴とするディーゼル機関の制御方法。
- 請求項1又は2記載の燃料回収装置を、該燃料回収装置が液体吸い込みからガス吸い込みに変化したときのポンプ負荷動力の変化により停止させることを特徴とするディーゼル機関の制御方法。
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JP2003059573A JP2004270481A (ja) | 2003-03-06 | 2003-03-06 | ディーゼル機関の燃料供給装置及びディーゼル機関の制御方法 |
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- 2003-03-06 JP JP2003059573A patent/JP2004270481A/ja active Pending
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