JP2004269674A - 導電性蛍光体材料とその製造方法及びそれを用いた発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明導電性材料に蛍光発光機能をもたせること。
【解決手段】化学式がMIn2 O4 (M=Zn、Mg、Ca及びそれらの混合物)又はZnGa2 O4 またはそれらの混合物であって、MIn2 O4 (M=Zn、Mg、Ca及びそれらの混合物)及びZnGa2 O4 に蛍光中心として希土類元素をドープすることにより、蛍光発光機能を有する透明導電性酸化物を作製し、これを用いて蛍光発光機能を有する透明導電性電極とした。
【選択図】 なし
【解決手段】化学式がMIn2 O4 (M=Zn、Mg、Ca及びそれらの混合物)又はZnGa2 O4 またはそれらの混合物であって、MIn2 O4 (M=Zn、Mg、Ca及びそれらの混合物)及びZnGa2 O4 に蛍光中心として希土類元素をドープすることにより、蛍光発光機能を有する透明導電性酸化物を作製し、これを用いて蛍光発光機能を有する透明導電性電極とした。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性蛍光体材料とその製造方法及びそれを用いた発光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディスプレイ・表示用途に近年広く用いられているEL(エレクトロルミネッセンス)デバイスあるいは半導体発光デバイスの如き発光装置は、一般に、用途に応じた様々な色調の光を出すための発光層と該発光層に電力を供給するための電極層とを備えている。これらの発光装置の発光部は動作特性の面から電界による発光作用を用いたものまたは電流注入による発光作用を用いたものに大別されるが、発光中心として希土類元素を用いる手法が多用されている。希土類元素を発光中心として用いる場合、電界または電流注入によって直接希土類元素を励起し、該希土類元素から発する蛍光を用いる方式、及び電界または電流注入により得られた発光を別途設けられた希土類元素を含有する蛍光体層に導いて該希土類元素を励起し、該希土類元素から発する蛍光を利用する方式が知られている。
【0003】
いずれの発光方式を採用するにしても、その基本構造は発光層を一対の電極ではさんだコンデンサ構造であり、これら一対の電極により発光層へ電力を供給している。この場合、発光層から射出される光を効率的に取り出すため一対の電極の内、少なくとも光取り出し面を含む面に設置される電極には透明導電材料が用いられている。
【0004】
例えば近年広く用いられている白色発光ダイオードの場合、光取り出し面に透明導電膜を有する紫外発光可能なpn接合ダイオードを形成後、当該光取り出し面上に当該ダイオードより射出される紫外光により励起される1種類以上の蛍光体を含む蛍光材料層を設け、該蛍光体層より発せられる1種類以上の蛍光の組み合わせにより白色の光を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の発光デバイスは、上述の如く、蛍光発光層と電極層とはそれぞれ別の機能を担っており、発光デバイスの設計に際しては各層をその所要の機能が良く達成できるように設計され、且つこのような設計に基づく発光デバイスの作製に当っては各層を別プロセスによって積層している。この結果、設計、製造プロセスが複雑であり、発光デバイスの製造コストは高くならざるを得ず、高機能なデバイスを安価に市場に提供することの障害のひとつとなっていた。
【0006】
この問題を解決する方法として、蛍光発光層と電極層との機能の融合を図り、製造プロセスの簡単化を図ることが考えられる。しかし、蛍光発光層は絶縁性ないし高抵抗の母体材料となっており、一方、電極層として用いられる透明導電性材料は導電性を確保するために高密度の電子又は正孔を含んでいる。したがって、希土類元素が外部からの励起光により励起されたのち再び基底状態に戻るときにその母体材料である蛍光発光層中における配位状態により決定される遷移エネルギーに対応する特定波長での蛍光を発するという機構を従来の透明電極材料中においても正常に機能させることは極めて困難である。
【0007】
本発明の目的は、従来技術における上述の問題点を解決することができる導電性蛍光体材料とその製造方法及びそれを用いた発光装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記実情に鑑み、種々実験を重ねた結果、希土類元素を添加した場合でも透明性・導電性を損なうことなく当該希土類元素が実際に蛍光発光中心として機能させることが可能な透明導電材料を実現させ、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
この結果、従来別機能を有すると考えられ、別個のプロセスを経て形成されていた蛍光発光層と電極層とを融合し、単一プロセスにより両機能を有する新規な材料層を備えた発光デバイスを実現することができたもので、発光デバイスの製造プロセスを改革し高機能かつ安価なデバイスの提供が可能となった。
【0010】
本来、希土類を発光中心とする蛍光体における発光機構は外部からの励起光により励起された当該希土類元素が再び基底状態に戻る際に当該希土類元素種及びその母体材料中における配位状態により決定される遷移エネルギーに対応する特定波長での蛍光を発することに基づく。従来の蛍光体層においてはこれら蛍光中心となる希土類元素は絶縁性ないし高抵抗の母体材料に添加されているのが通例であった。
【0011】
これに対し当該発光デバイスを構成するもうひとつの要素である透明導電性材料はその高い導電性が示すようにきわめて高密度の電子あるいは正孔といったキャリアを含んでおり、これらのキャリアは当該導電材料内を容易に拡散移動することで低い電気抵抗を実現している。しかし、このような高い導電性を有する透明導電性材料中ではその中に含有される不純物類との間でも容易にキャリアの移動・拡散といった現象が生じうるため、例えば励起状態にある希土類元素をその中に置いた場合、励起状態にある該希土類元素の電子あるいは正孔(空準位)が周囲に影響されることなく蛍光発光可能であるかはどうかは全く不明であった。
【0012】
また従来多用されてきた蛍光材料とは異なる材料である透明導電性材料を母体とした場合、ドープされた希土類元素がそもそも蛍光発光可能な配位構造を有するか否かも不明であった。
【0013】
本発明者等はこれらの疑問に答えるべく鋭意検討の結果、ある種の透明導電性材料において透明性・導電性を損なうことなく当該希土類元素が実際に蛍光発光中心として機能することが可能な例を見出した。
【0014】
より具体的には導電性酸化物材料であるMIn2 O4 (M=Zn,Mg,Ca及びそれらの混合物)またはそれらの混合物であって、MIn2 O4 (M=Zn,Mg,Ca及びそれらの混合物)において蛍光中心として希土類元素がドープされていることを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料を採用することにより、実際に蛍光発光という機能と透明導電性という機能とが単一材料において可能となる。
【0015】
請求項1の発明によれば、希土類元素がドープされ蛍光発光機能を有することを特徴とする透明導電性蛍光体材料が提案される。
【0016】
請求項2の発明によれば、希土類元素がドープされ蛍光発光機能を有することを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料が提案される。
【0017】
請求項3の発明によれば、化学式がMIn2 O4 (M=Zn、Mg、Ca及びそれらの混合物)またはZnGa2 O4 またはそれらの混合物であって、MIn2 O4 (M=Zn、Mg、Ca及びそれらの混合物)及びZnGa2 O4 において蛍光中心として希土類元素がドープされていることを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料が提案される。
【0018】
請求項4の発明によれば、透明導電性酸化物蛍光体材料の製造方法であって、少なくとも酸化インジウムと酸化マグネシウムとを含む混合体を加熱して焼結体を得る工程と、前記焼結体を粉砕して粉体とする工程と、前記粉体に希土類元素材料を混合して加熱し焼結体を得る工程とを含むことを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料の製造方法が提案される。
【0019】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明において、前記希土類元素材料がエルビウム、ホルミウム、ディスプロシウム、ユーロピウム、サマリウムのうちの少なくとも1つである透明導電性酸化物蛍光体材料の製造方法が提案される。
【0020】
請求項6の発明によれば、請求項2又は3に記載の透明導電性酸化物蛍光体材料を成分として含むことを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料が提案される。
【0021】
請求項7の発明によれば、請求項2、3又は6に記載の透明導電性酸化物蛍光体材料と、蛍光発光機能を有していない透明導電性酸化物材料との混合物であることを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料が提案される。
【0022】
請求項8の発明によれば、請求項1、2、3、6又は7に記載の蛍光体材料と、蛍光発光機能を有していない透明導電性材料との混合物又は積層物であることを特徴とする透明導電性蛍光体材料が提案される。
【0023】
請求項9の発明によれば、請求項1、2、3、6、7又は8に記載の蛍光体材料のうちのいずれか1つを用いた電極層が光取り出し面に設けられていることを特徴とする発光装置が提案される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例につき詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明による発光装置の実施の形態の一例を示す構成図、図2は図1の装置に使用されている蛍光発光機能を備えている導電性透明電極の拡大詳細図である。
【0026】
発光装置1は、電解液2(ここでは、0.5M、Na2 SO4 )が満たされている容器3内に、蛍光発光機能を備えている導電性透明電極4と、参照電極5と、対極6とが図示の如く収容されたエレクトロケミカルルミネッセンス装置の構成となっている。
【0027】
導電性透明電極4は図2に拡大して詳細に示されているように、透明電極本体41にIn−Ga合金から成る薄膜層42が蒸着されており、薄膜層42には導線43の一端が電気的に接続されている。導線43はガラス管44内を通って延びており、透明電極本体41と薄膜層42と導線43の接続部分は、エポキシ樹脂層45及びシリコーン層46によって被覆され、保護されている。
【0028】
透明電極本体41は、希土類元素がドープされ蛍光発光機能を有している透明導電性酸化物蛍光材料から成っている。蛍光発光機能を有する透明導電性酸化物として、化学式がMIn2 O4 (M=Zn、Mg、Ca及びそれらの混合物)又はZnGa2 O4 またはそれらの混合物であって、MIn2 O4 (M=Zn、Mg、Ca及びそれらの混合物)及びZnGa2 O4 においては蛍光中心として希土類元素がドープされている材料を用いることができる。
【0029】
このような蛍光発光機能を有する透明導電性酸化物は例えば次のようにして作ることができる。先ず、等量比の酸化インジウムと酸化マグネシウムを湿式ボールミルで混合後、ペレッターを用いてペレットを作製し、空気雰囲気中で焼結する。これを粉砕してボールミルで混合後同様にして焼結ペレットを作製する。この焼結ペレット製作過程をもう一度繰り返し、得られたペレットを粉砕する。これにより得られた粉体に硝酸エルビウムを加えてボールミルで混合し、ペレッターを用いて成型後焼結し、透明電極本体41を作ることができる。これにより、可視領域(波長が400〜800nm)の範囲で吸収の少ない透明な吸収特性を有し、高電界下での電流注入により発光可能な導電性の材料を得ることができる。
【0030】
図1に戻ると、発光装置1は、電解液2が満たされている容器3内に、蛍光発光機能を備えている導電性透明電極4と対極6とを間隔をあけて配設し、導電性透明電極4と対極6との間に参照電極5を設けた構成のエレクトロケミカルルミネッセンス装置の構成となっている。発光装置1は以上のようにしてエレクトロケミカルルミネッセンス用セルとして構成されているので、導電性透明電極4と対極6との間に電圧を印加することにより、透明電極本体41から電流注入による発光を得ることができる。
【0031】
このように、透明電極本体41は、導電性酸化物材料であるMIn2 O4 (M=Zn,Mg,Ca及びそれらの混合物)またはそれらの混合物であって、MIn2 O4 (M=Zn,Mg,Ca及びそれらの混合物)においては蛍光中心として希土類元素がドープされている透明導電性酸化物蛍光体材料を用いて構成されているので、透明導電性の機能を果たすと同時にドープされている希土類元素が蛍光発光中心として機能する。したがって、従来は発光層と電極層とを別設計で且つ別プロセスで製造しなければならなかったが、透明電極本体41ではその必要がなく、その設計及び製造プロセスを一緒にすることができる。この結果、発光素子の構造を簡単化することができ、その製造のためのコストの低減を図ることができる。
【0032】
【実施例】
(実施例1)(MgIn2 O4 :Er)
図1及び図2に示したエレクトロケミカルルミネッセンス装置にカソード電極として用いる導電性透明電極4のための材料を次のようにして作製した。
【0033】
等量比の酸化インジウム(2.78g)と酸化マグネシウム(0.40g)を湿式ボールミルで一晩混合後、ペレッターを用いて直径10mmのペレットを作製し、空気雰囲気中1350℃で12時間焼結した。これを粉砕してボールミルで一晩混合後同様にして焼結ペレットを作製した。上記過程をもう一度繰り返し、得られたペレットをもう一度粉砕した。得られた粉体0.4gに硝酸エルビウムを0.0029g(0.5mol%)加え一時間ボールミルで混合。直径8mmのペレッターを用いて成型後、1350℃で12時間焼結し、目的の焼結体ペレットを得た。また硝酸エルビウムの量を加えないもの、また硝酸エルビウムを2.0mol%、4.0mol%,6.0mol%,8.0mol%,としたものも同様にして調製した。
【0034】
得られたMgIn2 O4 ペレットの吸収スペクトルを計測したところ、図3のようなスペクトルを得、可視領域(波長が400〜800nm)の範囲で吸収の少ない透明な吸収特性を得た。
【0035】
次に得られたペレットの導電率を計測した。その結果を図4に示す。図4は導電率(S)をその添加エルビウム(Er)の量(mol%)に対してプロットしたものである。
【0036】
次に該ペレットを用いて図2に示されている導電性透明電極4を作製した。そして、この導電性透明電極4を用いて図1に示されているエレクトロケミカルルミネッセンス用セルを製作した。導電性透明電極4と対極6との間に電界を印加し、その時のポテンシャルと電流との間の関係を示す電流電位特性を計測した。その結果を図5に示す。また、導電性透明電極4の電圧を18V、25V、60V、70Vとしたときのエレクトロケミカルルミネッセンス特性を測定した。その結果を図6に示す。波長(nm)が600〜800の範囲で発光強度が大きくなっていることがわかる。これらの測定により。このペレットは、高電界下での電流注入により発光可能な導電性材料であることが確認された。
【0037】
(実施例2)(MgIn2 O4 ):RE系(Ho、Dy、Eu、Sm)
添加する希土類元素をホルミウム、ディスプロシウム、ユーロピウム、サマリウムを用いること以外は実施例1と同様にして焼結体ペレットを作製し、エレクトロケミカルルミネッセンスを計測したところ添加元素によって各々スペクトルの異なる発光を得た。図7〜図11にエルビウムの場合を含むエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示す。
【0038】
図7はホルミウム(Ho)をドープした場合の波長(nm)と発光強度(cps)との関係を示すグラフである。同様に、図8はエルビウム(Er)をドープした場合のグラフ、図9はディスプロシウム(Dy)をドープした場合のグラフ、図10はユーロピウム(Eu)をドープした場合のグラフ、図11はサマリウム(Sm)をドープした場合のグラフである。いずれの場合も、高電界下での電流注入により発光可能な導電性材料であることが確認された。
【0039】
(実施例3)
出発材料として、実施例1で用いた酸化インジウムと酸化マグネシウムに、酸化カルシウムを混合比を変化させて加えた以外は、実施例1と同様にしてErをドープした焼結体ペレットを6種類((イ)〜(ヘ))作製した。このようにして得られたペレットのX線回折データを測定した。この測定結果を図12に示す。図12に示される測定結果から、仕込み量に応じてマグネシウムとカルシウムの比が95:5〜60:40の範囲で変化している各試料が得られていることを確認した。
【0040】
これら6種類のペレットを用い、実施例1、2の場合と同様にしてカソード電極を作製し、これらのカソード電極を用いてエレクトロケミカルルミネッセンス用セルを作製した(図1、図2参照)。そして、ペレット(イ)〜(ヘ)による各カソード電極について実施例1〜2と同様にしてエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルを計測した。
【0041】
図13〜図18はこれらの測定結果を示すグラフで、それぞれ、横軸に波長(nm)、縦軸に発光の強度(cps)をとって示してある。図13はマグネシウム(Mg)の組成xが1の場合、図14は0.95の場合、図15は0.90の場合、図16は0.80の場合、図17は0.70の場合、図18は0.60の場合の各測定結果である。いずれの場合も500数十nmの波長においてピークを有しており、マグネシウムの組成に応じて変化する発光スペクトルを得た。
【0042】
図19、図20は、一部ペレットを用いてフォトルミネッセンスを計測した結果を示すグラフである。図19は、Mgの組成が0.70のペレットについての計測結果、図20は、Mgの組成が0.60のペレットについての計測結果を示している。これらの図からそれぞれのフォトルミネッセンス及び励起スペクトルが判る。
【0043】
以上、本発明をいくつかの実施の形態及び実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの一例に限定されるものではない。本発明の意義は透明導電性と蛍光発光という異なる機能を集積した材料という新たな概念を提供するものである。ここに記載はされていないが類似の物質系あるいは記載の物質系を含有する既存物質との混合系で同様の機能を示す物質およびその適用デバイスに広く適用されるべきものである。
【0044】
また実際のデバイス応用に際しては本発明の概念に基づき、適切な既存の製膜技術を用いることで容易に適用が可能である。例えば電流注入型発光ダイオード等においては本明細書に例示されるようなMIn2 O4 (M=Zn,Mg,Ca及びそれらの混合物)等の材料を適当に成型したものをターゲットとしたスパッタリング法により薄膜層としてpn接合を形成する半導体層上に形成することが可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上、詳細に説明してきたように本発明を適用することにより従来異なった機能であると考えられてきた透明導電性と蛍光発光性を単一の材料で実現でき、その工業的なメリットはきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す半導体発光装置の構成図。
【図2】図1の装置に使用されている蛍光発光機能を有する導電性透明電極の拡大詳細図。
【図3】実施例1によるMgIn2 O4 ペレットの吸収スペクトル特性を示すグラフ。
【図4】実施例1によるMgIn2 O4 ペレットの導電率特性を示すグラフ。
【図5】実施例1によるMgIn2 O4 ペレットを用いて作製したエレクトロケミカルルミネッセンス用セルの電流電位特性の測定結果を示すグラフ。
【図6】実施例1によるMgIn2 O4 ペレットを用いて作製したエレクトロケミカルルミネッセンス用セルのエレクトロケミカルルミネッセンス特性の測定結果を示すグラフ。
【図7】実施例2によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図8】実施例2によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図9】実施例2によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図10】実施例2によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図11】実施例2によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図12】実施例3のペレットのX線回折データを示すグラフ。
【図13】実施例3によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図14】実施例3によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図15】実施例3によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図16】実施例3によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図17】実施例3によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図18】実施例3によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図19】実施例3のペレットのフォトルミネッセンス計測結果を示すグラフ。
【図20】実施例3のペレットのフォトルミネッセンス計測結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1 発光装置
2 電解液
3 容器
4 導電性透明電極
5 参照電極
6 対極
41 透明電極本体
42 薄膜層
43 導線
44 ガラス管
45 エポキシ樹脂層
46 シリコーン層
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性蛍光体材料とその製造方法及びそれを用いた発光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディスプレイ・表示用途に近年広く用いられているEL(エレクトロルミネッセンス)デバイスあるいは半導体発光デバイスの如き発光装置は、一般に、用途に応じた様々な色調の光を出すための発光層と該発光層に電力を供給するための電極層とを備えている。これらの発光装置の発光部は動作特性の面から電界による発光作用を用いたものまたは電流注入による発光作用を用いたものに大別されるが、発光中心として希土類元素を用いる手法が多用されている。希土類元素を発光中心として用いる場合、電界または電流注入によって直接希土類元素を励起し、該希土類元素から発する蛍光を用いる方式、及び電界または電流注入により得られた発光を別途設けられた希土類元素を含有する蛍光体層に導いて該希土類元素を励起し、該希土類元素から発する蛍光を利用する方式が知られている。
【0003】
いずれの発光方式を採用するにしても、その基本構造は発光層を一対の電極ではさんだコンデンサ構造であり、これら一対の電極により発光層へ電力を供給している。この場合、発光層から射出される光を効率的に取り出すため一対の電極の内、少なくとも光取り出し面を含む面に設置される電極には透明導電材料が用いられている。
【0004】
例えば近年広く用いられている白色発光ダイオードの場合、光取り出し面に透明導電膜を有する紫外発光可能なpn接合ダイオードを形成後、当該光取り出し面上に当該ダイオードより射出される紫外光により励起される1種類以上の蛍光体を含む蛍光材料層を設け、該蛍光体層より発せられる1種類以上の蛍光の組み合わせにより白色の光を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の発光デバイスは、上述の如く、蛍光発光層と電極層とはそれぞれ別の機能を担っており、発光デバイスの設計に際しては各層をその所要の機能が良く達成できるように設計され、且つこのような設計に基づく発光デバイスの作製に当っては各層を別プロセスによって積層している。この結果、設計、製造プロセスが複雑であり、発光デバイスの製造コストは高くならざるを得ず、高機能なデバイスを安価に市場に提供することの障害のひとつとなっていた。
【0006】
この問題を解決する方法として、蛍光発光層と電極層との機能の融合を図り、製造プロセスの簡単化を図ることが考えられる。しかし、蛍光発光層は絶縁性ないし高抵抗の母体材料となっており、一方、電極層として用いられる透明導電性材料は導電性を確保するために高密度の電子又は正孔を含んでいる。したがって、希土類元素が外部からの励起光により励起されたのち再び基底状態に戻るときにその母体材料である蛍光発光層中における配位状態により決定される遷移エネルギーに対応する特定波長での蛍光を発するという機構を従来の透明電極材料中においても正常に機能させることは極めて困難である。
【0007】
本発明の目的は、従来技術における上述の問題点を解決することができる導電性蛍光体材料とその製造方法及びそれを用いた発光装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記実情に鑑み、種々実験を重ねた結果、希土類元素を添加した場合でも透明性・導電性を損なうことなく当該希土類元素が実際に蛍光発光中心として機能させることが可能な透明導電材料を実現させ、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
この結果、従来別機能を有すると考えられ、別個のプロセスを経て形成されていた蛍光発光層と電極層とを融合し、単一プロセスにより両機能を有する新規な材料層を備えた発光デバイスを実現することができたもので、発光デバイスの製造プロセスを改革し高機能かつ安価なデバイスの提供が可能となった。
【0010】
本来、希土類を発光中心とする蛍光体における発光機構は外部からの励起光により励起された当該希土類元素が再び基底状態に戻る際に当該希土類元素種及びその母体材料中における配位状態により決定される遷移エネルギーに対応する特定波長での蛍光を発することに基づく。従来の蛍光体層においてはこれら蛍光中心となる希土類元素は絶縁性ないし高抵抗の母体材料に添加されているのが通例であった。
【0011】
これに対し当該発光デバイスを構成するもうひとつの要素である透明導電性材料はその高い導電性が示すようにきわめて高密度の電子あるいは正孔といったキャリアを含んでおり、これらのキャリアは当該導電材料内を容易に拡散移動することで低い電気抵抗を実現している。しかし、このような高い導電性を有する透明導電性材料中ではその中に含有される不純物類との間でも容易にキャリアの移動・拡散といった現象が生じうるため、例えば励起状態にある希土類元素をその中に置いた場合、励起状態にある該希土類元素の電子あるいは正孔(空準位)が周囲に影響されることなく蛍光発光可能であるかはどうかは全く不明であった。
【0012】
また従来多用されてきた蛍光材料とは異なる材料である透明導電性材料を母体とした場合、ドープされた希土類元素がそもそも蛍光発光可能な配位構造を有するか否かも不明であった。
【0013】
本発明者等はこれらの疑問に答えるべく鋭意検討の結果、ある種の透明導電性材料において透明性・導電性を損なうことなく当該希土類元素が実際に蛍光発光中心として機能することが可能な例を見出した。
【0014】
より具体的には導電性酸化物材料であるMIn2 O4 (M=Zn,Mg,Ca及びそれらの混合物)またはそれらの混合物であって、MIn2 O4 (M=Zn,Mg,Ca及びそれらの混合物)において蛍光中心として希土類元素がドープされていることを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料を採用することにより、実際に蛍光発光という機能と透明導電性という機能とが単一材料において可能となる。
【0015】
請求項1の発明によれば、希土類元素がドープされ蛍光発光機能を有することを特徴とする透明導電性蛍光体材料が提案される。
【0016】
請求項2の発明によれば、希土類元素がドープされ蛍光発光機能を有することを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料が提案される。
【0017】
請求項3の発明によれば、化学式がMIn2 O4 (M=Zn、Mg、Ca及びそれらの混合物)またはZnGa2 O4 またはそれらの混合物であって、MIn2 O4 (M=Zn、Mg、Ca及びそれらの混合物)及びZnGa2 O4 において蛍光中心として希土類元素がドープされていることを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料が提案される。
【0018】
請求項4の発明によれば、透明導電性酸化物蛍光体材料の製造方法であって、少なくとも酸化インジウムと酸化マグネシウムとを含む混合体を加熱して焼結体を得る工程と、前記焼結体を粉砕して粉体とする工程と、前記粉体に希土類元素材料を混合して加熱し焼結体を得る工程とを含むことを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料の製造方法が提案される。
【0019】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明において、前記希土類元素材料がエルビウム、ホルミウム、ディスプロシウム、ユーロピウム、サマリウムのうちの少なくとも1つである透明導電性酸化物蛍光体材料の製造方法が提案される。
【0020】
請求項6の発明によれば、請求項2又は3に記載の透明導電性酸化物蛍光体材料を成分として含むことを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料が提案される。
【0021】
請求項7の発明によれば、請求項2、3又は6に記載の透明導電性酸化物蛍光体材料と、蛍光発光機能を有していない透明導電性酸化物材料との混合物であることを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料が提案される。
【0022】
請求項8の発明によれば、請求項1、2、3、6又は7に記載の蛍光体材料と、蛍光発光機能を有していない透明導電性材料との混合物又は積層物であることを特徴とする透明導電性蛍光体材料が提案される。
【0023】
請求項9の発明によれば、請求項1、2、3、6、7又は8に記載の蛍光体材料のうちのいずれか1つを用いた電極層が光取り出し面に設けられていることを特徴とする発光装置が提案される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例につき詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明による発光装置の実施の形態の一例を示す構成図、図2は図1の装置に使用されている蛍光発光機能を備えている導電性透明電極の拡大詳細図である。
【0026】
発光装置1は、電解液2(ここでは、0.5M、Na2 SO4 )が満たされている容器3内に、蛍光発光機能を備えている導電性透明電極4と、参照電極5と、対極6とが図示の如く収容されたエレクトロケミカルルミネッセンス装置の構成となっている。
【0027】
導電性透明電極4は図2に拡大して詳細に示されているように、透明電極本体41にIn−Ga合金から成る薄膜層42が蒸着されており、薄膜層42には導線43の一端が電気的に接続されている。導線43はガラス管44内を通って延びており、透明電極本体41と薄膜層42と導線43の接続部分は、エポキシ樹脂層45及びシリコーン層46によって被覆され、保護されている。
【0028】
透明電極本体41は、希土類元素がドープされ蛍光発光機能を有している透明導電性酸化物蛍光材料から成っている。蛍光発光機能を有する透明導電性酸化物として、化学式がMIn2 O4 (M=Zn、Mg、Ca及びそれらの混合物)又はZnGa2 O4 またはそれらの混合物であって、MIn2 O4 (M=Zn、Mg、Ca及びそれらの混合物)及びZnGa2 O4 においては蛍光中心として希土類元素がドープされている材料を用いることができる。
【0029】
このような蛍光発光機能を有する透明導電性酸化物は例えば次のようにして作ることができる。先ず、等量比の酸化インジウムと酸化マグネシウムを湿式ボールミルで混合後、ペレッターを用いてペレットを作製し、空気雰囲気中で焼結する。これを粉砕してボールミルで混合後同様にして焼結ペレットを作製する。この焼結ペレット製作過程をもう一度繰り返し、得られたペレットを粉砕する。これにより得られた粉体に硝酸エルビウムを加えてボールミルで混合し、ペレッターを用いて成型後焼結し、透明電極本体41を作ることができる。これにより、可視領域(波長が400〜800nm)の範囲で吸収の少ない透明な吸収特性を有し、高電界下での電流注入により発光可能な導電性の材料を得ることができる。
【0030】
図1に戻ると、発光装置1は、電解液2が満たされている容器3内に、蛍光発光機能を備えている導電性透明電極4と対極6とを間隔をあけて配設し、導電性透明電極4と対極6との間に参照電極5を設けた構成のエレクトロケミカルルミネッセンス装置の構成となっている。発光装置1は以上のようにしてエレクトロケミカルルミネッセンス用セルとして構成されているので、導電性透明電極4と対極6との間に電圧を印加することにより、透明電極本体41から電流注入による発光を得ることができる。
【0031】
このように、透明電極本体41は、導電性酸化物材料であるMIn2 O4 (M=Zn,Mg,Ca及びそれらの混合物)またはそれらの混合物であって、MIn2 O4 (M=Zn,Mg,Ca及びそれらの混合物)においては蛍光中心として希土類元素がドープされている透明導電性酸化物蛍光体材料を用いて構成されているので、透明導電性の機能を果たすと同時にドープされている希土類元素が蛍光発光中心として機能する。したがって、従来は発光層と電極層とを別設計で且つ別プロセスで製造しなければならなかったが、透明電極本体41ではその必要がなく、その設計及び製造プロセスを一緒にすることができる。この結果、発光素子の構造を簡単化することができ、その製造のためのコストの低減を図ることができる。
【0032】
【実施例】
(実施例1)(MgIn2 O4 :Er)
図1及び図2に示したエレクトロケミカルルミネッセンス装置にカソード電極として用いる導電性透明電極4のための材料を次のようにして作製した。
【0033】
等量比の酸化インジウム(2.78g)と酸化マグネシウム(0.40g)を湿式ボールミルで一晩混合後、ペレッターを用いて直径10mmのペレットを作製し、空気雰囲気中1350℃で12時間焼結した。これを粉砕してボールミルで一晩混合後同様にして焼結ペレットを作製した。上記過程をもう一度繰り返し、得られたペレットをもう一度粉砕した。得られた粉体0.4gに硝酸エルビウムを0.0029g(0.5mol%)加え一時間ボールミルで混合。直径8mmのペレッターを用いて成型後、1350℃で12時間焼結し、目的の焼結体ペレットを得た。また硝酸エルビウムの量を加えないもの、また硝酸エルビウムを2.0mol%、4.0mol%,6.0mol%,8.0mol%,としたものも同様にして調製した。
【0034】
得られたMgIn2 O4 ペレットの吸収スペクトルを計測したところ、図3のようなスペクトルを得、可視領域(波長が400〜800nm)の範囲で吸収の少ない透明な吸収特性を得た。
【0035】
次に得られたペレットの導電率を計測した。その結果を図4に示す。図4は導電率(S)をその添加エルビウム(Er)の量(mol%)に対してプロットしたものである。
【0036】
次に該ペレットを用いて図2に示されている導電性透明電極4を作製した。そして、この導電性透明電極4を用いて図1に示されているエレクトロケミカルルミネッセンス用セルを製作した。導電性透明電極4と対極6との間に電界を印加し、その時のポテンシャルと電流との間の関係を示す電流電位特性を計測した。その結果を図5に示す。また、導電性透明電極4の電圧を18V、25V、60V、70Vとしたときのエレクトロケミカルルミネッセンス特性を測定した。その結果を図6に示す。波長(nm)が600〜800の範囲で発光強度が大きくなっていることがわかる。これらの測定により。このペレットは、高電界下での電流注入により発光可能な導電性材料であることが確認された。
【0037】
(実施例2)(MgIn2 O4 ):RE系(Ho、Dy、Eu、Sm)
添加する希土類元素をホルミウム、ディスプロシウム、ユーロピウム、サマリウムを用いること以外は実施例1と同様にして焼結体ペレットを作製し、エレクトロケミカルルミネッセンスを計測したところ添加元素によって各々スペクトルの異なる発光を得た。図7〜図11にエルビウムの場合を含むエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示す。
【0038】
図7はホルミウム(Ho)をドープした場合の波長(nm)と発光強度(cps)との関係を示すグラフである。同様に、図8はエルビウム(Er)をドープした場合のグラフ、図9はディスプロシウム(Dy)をドープした場合のグラフ、図10はユーロピウム(Eu)をドープした場合のグラフ、図11はサマリウム(Sm)をドープした場合のグラフである。いずれの場合も、高電界下での電流注入により発光可能な導電性材料であることが確認された。
【0039】
(実施例3)
出発材料として、実施例1で用いた酸化インジウムと酸化マグネシウムに、酸化カルシウムを混合比を変化させて加えた以外は、実施例1と同様にしてErをドープした焼結体ペレットを6種類((イ)〜(ヘ))作製した。このようにして得られたペレットのX線回折データを測定した。この測定結果を図12に示す。図12に示される測定結果から、仕込み量に応じてマグネシウムとカルシウムの比が95:5〜60:40の範囲で変化している各試料が得られていることを確認した。
【0040】
これら6種類のペレットを用い、実施例1、2の場合と同様にしてカソード電極を作製し、これらのカソード電極を用いてエレクトロケミカルルミネッセンス用セルを作製した(図1、図2参照)。そして、ペレット(イ)〜(ヘ)による各カソード電極について実施例1〜2と同様にしてエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルを計測した。
【0041】
図13〜図18はこれらの測定結果を示すグラフで、それぞれ、横軸に波長(nm)、縦軸に発光の強度(cps)をとって示してある。図13はマグネシウム(Mg)の組成xが1の場合、図14は0.95の場合、図15は0.90の場合、図16は0.80の場合、図17は0.70の場合、図18は0.60の場合の各測定結果である。いずれの場合も500数十nmの波長においてピークを有しており、マグネシウムの組成に応じて変化する発光スペクトルを得た。
【0042】
図19、図20は、一部ペレットを用いてフォトルミネッセンスを計測した結果を示すグラフである。図19は、Mgの組成が0.70のペレットについての計測結果、図20は、Mgの組成が0.60のペレットについての計測結果を示している。これらの図からそれぞれのフォトルミネッセンス及び励起スペクトルが判る。
【0043】
以上、本発明をいくつかの実施の形態及び実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの一例に限定されるものではない。本発明の意義は透明導電性と蛍光発光という異なる機能を集積した材料という新たな概念を提供するものである。ここに記載はされていないが類似の物質系あるいは記載の物質系を含有する既存物質との混合系で同様の機能を示す物質およびその適用デバイスに広く適用されるべきものである。
【0044】
また実際のデバイス応用に際しては本発明の概念に基づき、適切な既存の製膜技術を用いることで容易に適用が可能である。例えば電流注入型発光ダイオード等においては本明細書に例示されるようなMIn2 O4 (M=Zn,Mg,Ca及びそれらの混合物)等の材料を適当に成型したものをターゲットとしたスパッタリング法により薄膜層としてpn接合を形成する半導体層上に形成することが可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上、詳細に説明してきたように本発明を適用することにより従来異なった機能であると考えられてきた透明導電性と蛍光発光性を単一の材料で実現でき、その工業的なメリットはきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す半導体発光装置の構成図。
【図2】図1の装置に使用されている蛍光発光機能を有する導電性透明電極の拡大詳細図。
【図3】実施例1によるMgIn2 O4 ペレットの吸収スペクトル特性を示すグラフ。
【図4】実施例1によるMgIn2 O4 ペレットの導電率特性を示すグラフ。
【図5】実施例1によるMgIn2 O4 ペレットを用いて作製したエレクトロケミカルルミネッセンス用セルの電流電位特性の測定結果を示すグラフ。
【図6】実施例1によるMgIn2 O4 ペレットを用いて作製したエレクトロケミカルルミネッセンス用セルのエレクトロケミカルルミネッセンス特性の測定結果を示すグラフ。
【図7】実施例2によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図8】実施例2によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図9】実施例2によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図10】実施例2によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図11】実施例2によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図12】実施例3のペレットのX線回折データを示すグラフ。
【図13】実施例3によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図14】実施例3によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図15】実施例3によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図16】実施例3によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図17】実施例3によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図18】実施例3によるエレクトロケミカルルミネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフ。
【図19】実施例3のペレットのフォトルミネッセンス計測結果を示すグラフ。
【図20】実施例3のペレットのフォトルミネッセンス計測結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1 発光装置
2 電解液
3 容器
4 導電性透明電極
5 参照電極
6 対極
41 透明電極本体
42 薄膜層
43 導線
44 ガラス管
45 エポキシ樹脂層
46 シリコーン層
Claims (9)
- 希土類元素がドープされ蛍光発光機能を有することを特徴とする透明導電性蛍光体材料。
- 希土類元素がドープされ蛍光発光機能を有することを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料。
- 化学式がMIn2 O4 (M=Zn、Mg、Ca及びそれらの混合物)またはZnGa2 O4 またはそれらの混合物であって、MIn2 O4 (M=Zn、Mg、Ca及びそれらの混合物)及びZnGa2 O4 において蛍光中心として希土類元素がドープされていることを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料。
- 透明導電性酸化物蛍光体材料の製造方法であって、
少なくとも酸化インジウムと酸化マグネシウムとを含む混合体を加熱して焼結体を得る工程と、
前記焼結体を粉砕して粉体とする工程と、
前記粉体に希土類元素材料を混合して加熱し焼結体を得る工程と
を含むことを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料の製造方法。 - 前記希土類元素材料がエルビウム、ホルミウム、ディスプロシウム、ユーロピウム、サマリウムのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項4記載の透明導電性酸化物蛍光体材料の製造方法。
- 請求項2又は3に記載の透明導電性酸化物蛍光体材料を成分として含むことを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料。
- 請求項2、3又は6に記載の透明導電性酸化物蛍光体材料と、蛍光発光機能を有していない透明導電性酸化物材料との混合物であることを特徴とする透明導電性酸化物蛍光体材料。
- 請求項1、2、3、6又は7に記載の蛍光体材料と、蛍光発光機能を有していない透明導電性材料との混合物又は積層物であることを特徴とする透明導電性蛍光体材料。
- 請求項1、2、3、6、7又は8に記載の蛍光体材料のうちのいずれか1つを用いた電極層が光取り出し面に設けられていることを特徴とする発光装置。
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JP2006032355A (ja) * | 2004-07-20 | 2006-02-02 | Samsung Sdi Co Ltd | 発光型の透明導電層及びこれを備えた電子放出素子 |
JP2007045902A (ja) * | 2005-08-09 | 2007-02-22 | Canon Inc | 酸化物、発光素子及び表示装置 |
JP2008273856A (ja) * | 2007-04-26 | 2008-11-13 | Ryuei Soken:Kk | ヒトデエキスを有効成分とする物質 |
CN116814264A (zh) * | 2023-06-28 | 2023-09-29 | 南京信息工程大学 | 铕、铒单掺及铕铒共掺铟酸锶钇多晶荧光粉及其制备方法 |
-
2003
- 2003-03-07 JP JP2003061930A patent/JP2004269674A/ja active Pending
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