JP2004269318A - 重量コンクリート及び重量モルタル - Google Patents
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Abstract
【課題】銅スラグを有効に利用することができ、施工性のよい重量コンクリート及び重量モルタルを提供する。
【解決手段】重量コンクリートの粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いる。この重量コンクリートの比重を2.90〜3.10とする。また、重量モルタルの細骨材に銅スラグを用い、重量モルタルの比重が2.50〜2.80とする。
【効果】重量コンクリートの粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いたことにより、生成後に堆積され、いづれ産業廃棄物として処理される銅スラグの量を減少させることができる。また、重量コンクリートでは比重を2.90〜3.10、重量モルタルでは比重を2.50〜2.80とすることにより、施工性を向上させつつ、資源である鉄鉱石等を用いることなく高比重の重量コンクリート及び重量モルタルを得ることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】重量コンクリートの粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いる。この重量コンクリートの比重を2.90〜3.10とする。また、重量モルタルの細骨材に銅スラグを用い、重量モルタルの比重が2.50〜2.80とする。
【効果】重量コンクリートの粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いたことにより、生成後に堆積され、いづれ産業廃棄物として処理される銅スラグの量を減少させることができる。また、重量コンクリートでは比重を2.90〜3.10、重量モルタルでは比重を2.50〜2.80とすることにより、施工性を向上させつつ、資源である鉄鉱石等を用いることなく高比重の重量コンクリート及び重量モルタルを得ることができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨材に銅スラグを用いた重量コンクリート及び重量モルタルに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にコンクリートは、水、セメント、粗骨材、細骨材を主な構成要素とし、これらを練混ぜて使用される。また、モルタルは、水、セメント、細骨材を主な構成要素とし、これらを練混ぜて使用される。この中で粗骨材及び細骨材には、天然に存在する岩石や砂が用いられているが、資源の枯渇や環境保全の観点から、産業廃棄物の発生量の抑制の動向と同調するように、これら岩石や砂に替わる代替品として鉄鋼石や鋼スラグが用いられるようになってきている。
【0003】
このように、スラグを骨材として用いた場合は、その骨材を用いたコンクリート及びモルタルの比重が増大することから、護岸整備で使用されるテトラポット等に使用されるようになってきている。具体的に、そのスラグを骨材とするためには、例えば、スラグから無機質を分取して骨材として用いている。この無機質の骨材と、鉄鉱石からなる骨材とを用いることで、天然資源の保護という目的を達成しようとしている。また、この無機質は、製鋼スラグ、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、ゴミ溶融スラグ又は下水汚泥溶融スラグから分取される。また、これらを種々に配合することにより、比重を調節して高比重の重量コンクリート及び重量モルタルを得ていた(例えば特許文献1)。
【0004】
一方、銅スラグは、銅鉱石から銅を製錬採取する際に大量に生成されるものであり、そのほとんどが山積するように堆積されており、いづれ産業廃棄物として処理されることとなる。このように、銅を製錬する際に生成される銅スラグは、産業廃棄物処理施設の処理能力の限界等から、再利用を促進させるための施策が講じられるようになってきた(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−72511号公報([0002]−[0018])
【非特許文献1】
経済産業省リサイクル推進課、“資源有効利用促進法の施行に向けて”、[online]、平成13年7月12日、経済産業省、[平成15年2月7日検索]、インターネット<URLhttp://www.meti.go.jp/kohosys/press/0001717/0/010712risaikuru−siryou.pdf>
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、製鋼スラグ、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、ゴミ溶融スラグ又は下水汚泥溶融スラグから無機質を分取しても、廃棄される物質が存在するため、産業廃棄物の発生量の抑制としては抑制できる量が少なかった。特に、銅スラグは、セメントの原材料等に用いられるものの、再利用される量は少なく、そのほとんどが山積するように堆積され、いづれ産業廃棄物として処理されることにより、銅スラグの処分方法の行き詰りによって銅製錬に支障を来たすという問題があった。
【0007】
また、銅スラグを骨材として使用した場合には、細骨材としてしか使用されておらず、堆積される銅スラグの量を減少させるには銅スラグの使用量としては少ないという問題もあった。
【0008】
一方、コンクリート及びモルタルの比重を大きくしすぎると、搬入手段が限られているために一度に搬入できるコンクリート又はモルタルの量が少なくなり、これにより、施工性が悪くなるという問題もあった。他方、コンクリート及びモルタルの比重を小さくしすぎると、浮力が生じる個所で用いた場合に構造物が浮き上がるという問題もあった。
【0009】
また、使用する骨材に比重の異なる材料を用いてコンクリート及びモルタルを練り混ぜると、比重の違いにより骨材分離を起こす恐れがあるという問題もあった。
【0010】
そこで、本発明は、銅スラグを有効に利用することができ、施工性のよい重量コンクリート及び重量モルタルを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決すべく構成されるものであり、請求項1記載の発明は、粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いたことを特徴とする重量コンクリートからなるものである。
【0012】
そして、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、比重が2.90〜3.10であることを特徴とする重量コンクリートからなるものである。
【0013】
そして、請求項3記載の発明は、細骨材に銅スラグを用い、比重が2.50〜2.80であることを特徴とする重量モルタルからなるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の重量コンクリート及び重量モルタルは、例えば、地下構造物や構造物の基礎部など、地下水や海水等による浮力の影響を受ける位置に主に用いることができる。例えば、海底トンネル、テトラポット、橋脚、地下水がある土地での地下構造物や地下階を有する構造物の地下階等に用いることができる。
なお、本実施の形態では、銅スラグ(いわゆる銅■又は銅カラミ)を用いた粗骨材の各種粒形及び細骨材の各種粒形は、日本工業規格、コンクリート標準示方書または建築工事標準仕様書に適合したものを用いる。
【0015】
[重量コンクリート]
本発明の重量コンクリートにおいて、粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いたときの重量コンクリートの比重の上限を3.10としたのは、比重が3.10を超えると、一度に搬入できる量が少なくなるために施工効率が悪くなるからである。例えば、通常のコンクリートであれば、10tコンクリートミキサー車で4m3程度の量のコンクリートを一回で搬入することができるが、重量コンクリートの比重が大きくなれば、運搬用の車輌に積載できる重量コンクリートの量が少なくなるのは明確である。一度に搬入できる量が少なくなれば、所定量の重量コンクリートを運搬する車輌の台数が増加するため、施工時間や費用が多くかかり、施工性が悪くなるのである。
【0016】
また、本発明の重量コンクリートの比重の下限を2.90としたのは、比重が2.90を下回ると、重量コンクリートとしての効果が薄れるからである。例えば、浮力が生じる場所における構造物の施工においては、構造物がこの浮力により浮き上がることがあってはならないため、施工後の構造物に錘を乗せて浮き上がらないようにするなどの別途処置が必要になるのである。
【0017】
また、大量に生成された後、山積するように堆積され、いづれ産業廃棄物として処理される銅スラグを、コンクリートの粗骨材と細骨材として使用することができるので、廃棄物として処理される量を減少させることができる。
【0018】
このように、重量コンクリートの粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いることにより、それまで大量に生成された後、山積するように堆積され、いづれ産業廃棄物として処理される銅スラグを有効に利用することができ、かつ、重量コンクリートの比重を2.90〜3.10としたので施工性の良い重量コンクリートとすることができる。また、資源である鉄鉱石等を用いることなく高比重の重量コンクリートを得ることができる。
【0019】
[重量モルタル]
本発明の重量モルタルにおいて、細骨材に銅スラグを用いたときの重量モルタルの比重の上限を2.80としたのは、比重が2.80を超えると、一度に搬入できる量が少なくなるために施工効率が悪くなるからである。例えば、通常のモルタルであれば、10tコンクリートミキサー車で4m3程度の量を一回で搬入することができるが、重量モルタルの比重が大きくなれば、運搬用の車輌に積載できる重量モルタルの量が少なくなるのは明確である。一度に搬入できる量が少なくなれば、所定量の重量モルタルを運搬する車輌の台数が増加するため、施工時間や費用が多くかかり、施工性が悪くなるのである。また、重量モルタルの比重の下限を2.50としたのは、比重が2.50を下回ると、重量モルタルとしての効果が薄れるからである。
【0020】
このように、重量モルタルの細骨材に銅スラグを用いることにより、重量モルタルの比重を2.50〜2.80としたので施工性の良い重量モルタルとすることができる。資源である鉄鉱石等を用いることなく高比重の重量モルタルを得ることができる。
【0021】
【実施例】
これより、本発明の骨材に銅スラグを用いた重量コンクリート及び重量モルタルを実施例により説明する。なお、本実施例において、粗骨材及び細骨材の総てに銅スラグを用いている。
【0022】
本発明の重量コンクリート及び重量モルタルに用いられる銅スラグの細骨材について、図1は、銅スラグを細骨材として用いたときの細骨材の粒度分布を表している。図1に表されている破線は、「JIS A 5011−3」に定められているCUS2.5mm規格の上限の範囲と下限の範囲を表している。本発明の重量コンクリート及び重量モルタルに用いられる細骨材は、実線で表されている。このように、規格の範囲内に収まるべく細骨材の粒度を調節している。
【0023】
なお、この細骨材の各篩を通過する質量百分率(%)は、0.15mm篩で4(%)、0.3mm篩で10(%),0.6mm篩で33(%)、1.2mm篩で86(%)、2.5mm篩で100(%)、5mm篩で100(%)、10mm篩で100(%)の通過質量となっている。
また、銅スラグの細骨材は、表乾密度が3.49(g/cm3),絶乾密度が3.46(g/cm3),吸水率が0.82(%)となっている。
【0024】
本発明の重量コンクリートに用いられる銅スラグの粗骨材について、25mm篩を通過したものを使用している。
なお、銅スラグの粗骨材は、生成された銅スラグの塊を徐冷してから砕いたものを使用している。
また、銅スラグの粗骨材は、表乾密度が3.66(g/cm3),絶乾密度が3.65(g/cm3),吸水率が0.22(%)となっている。
【0025】
[重量コンクリート]
本発明の重量コンクリートを表1に示すような配合で練混ぜを行った。表2で示すように、そのときの重量コンクリートから供試体を3個採取し、圧縮強度試験を材齢7日と材齢28日とで行った。なお、このときの供試体は、直径、高さ及び断面積が表2に示すものを使用している。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
(配合)
本発明の重量コンクリートの配合Aは、品質の向上の観点から水セメント比[W/C]を45(%)で行った。これより、細骨材率[s/a](%),水[W],セメント[C],細骨材[銅スラグ],粗骨材[銅スラグ]の単位量(kg/m3)を決定すると、水[W]の単位量が172(kg/m3)、セメント[C]の単位量が382(kg/m3)、粗骨材[銅スラグ]の単位量が1333(kg/m3)、細骨材[銅スラグ]の単位量が1041(kg/m3)、細骨材率[s/a]が43.9(%)となる。このとき、本発明の重量コンクリートに化学混和材を0.955(kg/m3)を添加している。
【0029】
(試験)
本発明の重量コンクリートをフレッシュ時と硬化時とに分けて各種試験を行った。
【0030】
フレッシュ時において、「JIS A 1101」(コンクリートのスランプ試験方法)、「JIS A 1116」(フレッシュコンクリートの単位容積質量試験方法及び空気量の質量による試験方法(質量方法))、「JIS A 1128」(フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法(空気室圧力方法))に従って各試験を行った。その結果、表1に示すように、スランプが8.8(cm)、質量方法による空気量が4.4(%),空気室圧力方法による空気量が4.8(%)となった。
【0031】
また、このときのフレッシュコンクリートの単位容積質量を測ったところ、2928(kg/m3)であったことから、比重は、2.92であった。これにより、配合において、比重2.90〜3.10の範囲に入る結果となった。なお、小数点第三位以下を切り捨てて比重の値を表している。
【0032】
硬化時において、「JIS A 1108」(コンクリートの圧縮強度試験方法)に従って試験を行った。その結果、表2に示すように、材齢7日の各供試体の圧縮強度は、供試体A1の圧縮強度が36.6(N/mm2)、供試体A2の圧縮強度が36.6(N/mm2)、供試体A3の圧縮強度が36.0(N/mm2)となり、各供試体の圧縮強度の平均が36.4(N/mm2)となり、材齢7日であるにもかかわらず高強度を発現する結果となった。これにより、強度発現が早いため、本発明の重量コンクリートは、工期を短縮する工事においても使用可能である。
【0033】
また、このときの比重は、供試体A1の比重が2.95、供試体A2の比重が2.97、供試体A3の比重が2.96となり、各供試体の比重の平均が2.96となった。
【0034】
これにより、各供試体の比重が2.95〜2.97で、その平均が2.96となり、比重2.90〜3.10の範囲に入る結果となった。
【0035】
材齢28日の各配合における3つの供試体の圧縮強度試験の結果は、供試体A1の圧縮強度が49.0(N/mm2)、供試体A2の圧縮強度が49.9(N/mm2)、供試体A3の圧縮強度が49.8(N/mm2)となり、各供試体の圧縮強度の平均が49.6(N/mm2)となり、高強度の重量コンクリートとなる結果となった。
【0036】
また、このときの比重は、供試体A1の比重が3.00、供試体A2の比重が3.00、供試体A3の比重が2.98となり、各供試体の比重の平均が2.99となった。
【0037】
このように、各供試体の比重が2.98〜3.00で、その平均が2.99となり、比重2.90〜3.10の範囲に入る結果となった。
【0038】
(比較)
一般に普通コンクリートの配合は、打設する時期や打設場所によって異なるが、例えば、配合の設計条件として、呼び強度が30(N)、スランプが8(cm)、粗骨材の最大寸法による記号を25とした場合に、水セメント比が45.3(%)、水が159(kg/m3)、セメントが351(kg/m3)、粗骨材が1060[砂利:砕石=50:50](kg/m3)、細骨材[砂]が728(kg/m3)、細骨材率[s/a]が41.2(%)となる。
【0039】
このとき、本発明の重量コンクリートの配合と、普通コンクリートの配合と比較すると、水セメント比と細骨材率をほぼ同一とした場合、まず、重量コンクリートの粗骨材の単位量が普通コンクリートの粗骨材の単位量よりも1.26倍大きいことがわかる。また、重量コンクリートの細骨材の単位量が普通コンクリートの細骨材の単位量よりも1.43倍大きいことがわかる。
【0040】
これにより、粗骨材と細骨材の単位量が大きくなることにより、コンクリートの比重を大きくしている。
【0041】
また、本発明の重量コンクリートは、工場又はプラントで生産されるので、品質を安定させ、所定量の重量コンクリートを供給することができる。
また、銅スラグは、粗骨材及び細骨材として用いるための粒径の調節が容易であるので、粗骨材及び細骨材の粒径の基準にあったものを生成することができる。
さらに、銅スラグは、砕石等に付着しているシルト等の不純物がないため、安定した品質の粗骨材及び細骨材を生成することができる。
【0042】
[重量モルタル]
本発明の重量モルタルを表3に示すような6種類の配合で練混ぜを行った。表4及び表5で示すように、そのときの重量モルタルから供試体をそれぞれ3個づつ採取し、圧縮強度試験を材齢7日と材齢28日とで行った。なお、このときの供試体は、直径、高さ及び断面積が表4及び表5に示すものを使用している。
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
(配合)
本発明の重量モルタルの各配合は、表3に示すように、配合Bが品質の向上の観点から水セメント比[W/C]を45(%)で行った。これらから、水,セメント,細骨材[銅スラグ]の単位量(kg/m3)、砂セメント比[S/C](%)を決定すると、水[W]の単位量が320(kg/m3)、セメント[C]の単位量が712(kg/m3)、細骨材[銅スラグ]の単位量が1577(kg/m3)、砂セメント比[S/C]が2.2となる。
【0047】
同様に、配合Cは、水セメント比[W/C]を45(%)で行い、水[W]の単位量は288(kg/m3)、セメント[C]の単位量は639(kg/m3)、細骨材[銅スラグ]の単位量は1773(kg/m3)、砂セメント比[S/C]が2.8となる。
【0048】
配合Dは、水セメント比[W/C]を45(%)で行い、水[W]の単位量は262(kg/m3)、セメント[C]の単位量は583(kg/m3)、細骨材[銅スラグ]の単位量は1937(kg/m3)、砂セメント比[S/C]が3.3となる。
【0049】
配合Eは、水セメント比[W/C]を55(%)で行い、水[W]の単位量は331(kg/m3)、セメント[C]の単位量は602(kg/m3)、細骨材[銅スラグ]の単位量は1668(kg/m3)、砂セメント比[S/C]が2.8となる。
【0050】
配合Fは、水セメント比[W/C]を55(%)で行い、水[W]の単位量は301(kg/m3)、セメント[C]の単位量は548(kg/m3)、細骨材[銅スラグ]の単位量は1822(kg/m3)、砂セメント比[S/C]が3.3となる。
【0051】
配合Gは、水セメント比[W/C]を55(%)で行い、水[W]の単位量は277(kg/m3)、セメント[C]の単位量は504(kg/m3)、細骨材[銅スラグ]の単位量は1954(kg/m3)、砂セメント比[S/C]が3.9となる。
【0052】
(試験)
本発明の重量モルタルをフレッシュ時と硬化時と分けて各種試験を行った。
【0053】
フレッシュ時において、各配合における重量モルタルの比重は、配合Bでは比重が2.60、配合Cでは比重が2.70、配合Dでは比重が2.78、配合Eでは比重が2.60、配合Fでは比重が2.67、配合Gでは比重が2.73、であった。これにより比重が2.60〜2.78となり、比重2.50〜2.80の範囲に入る結果となる。なお、小数点第三位以下を切り捨てて比重の値を表している。
【0054】
硬化時において、JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)に従って圧縮強度試験を行った。その結果、表4に示すように、材齢7日の各配合における3つの供試体の圧縮強度試験の結果の平均は、配合Bの圧縮強度が39.9(N/mm2)、配合Cの圧縮強度が34.9(N/mm2)、配合Dの圧縮強度が33.6(N/mm2)、配合Eの圧縮強度が26.3(N/mm2)、配合Fの圧縮強度が24.6(N/mm2)、配合Gの圧縮強度が21.5(N/mm2)となり、材齢7日であるにもかかわらず高強度を発現する結果となった。
【0055】
また、このときの各配合における3つの供試体の比重の平均は、配合Bの比重が2.69、配合Cの比重が2.67、配合Dの比重が2.70、配合Eの比重が2.71、配合Fの比重が2.69、配合Gの比重が2.66となった。
【0056】
これにより、比重が2.66〜2.71となり、比重2.50〜2.80の範囲に入る結果となる。
【0057】
また、表5に示すように、材齢28日の各配合における3つの供試体の圧縮強度試験の結果の平均は、配合Bの圧縮強度が60.4(N/mm2)、配合Cの圧縮強度が53.2(N/mm2)、配合Dの圧縮強度が51.9(N/mm2)、配合Eの圧縮強度が44.2(N/mm2)、配合Fの圧縮強度が41.3(N/mm2)、配合Gの圧縮強度が38.6(N/mm2)となり、材齢28日で高強度を発現する結果となった。
【0058】
また、このときの各配合における3つの供試体の比重の平均は、配合Bの比重が2.69、配合Cの比重が2.67、配合Dの比重が2.70、配合Eの比重が2.71、配合Fの比重が2.69、配合Gの比重が2.65となった。
【0059】
これにより、比重が2.65〜2.71となり、比重2.50〜2.80の範囲に入る結果となる。
【0060】
(比較)
一般にモルタルの配合は、打設する時期や打設場所によって異なるが、例えば、配合の設計条件として、水セメント比[W/C]を45.5(%)、砂セメント比[S/C]を2.25とした場合に、水が263(kg/m3)、セメントが593(kg/m3)、細骨材が1335(kg/m3)となる。
【0061】
このとき、本発明の重量モルタルの配合と、普通モルタルの配合とを比較すると、水セメント比と砂セメント比をほぼ同一とした場合、まず、重量モルタルの細骨材の単位量が普通モルタルの細骨材の単位量よりも1.18倍大きいことがわかる。また、重量モルタルのセメントの単位量が普通モルタルのセメントの単位量よりも1.20倍大きいことがわかる。さらに、重量モルタルの水の単位量が普通モルタルの水の単位量よりも1.22倍大きいことがわかる。
【0062】
これにより、細骨材の単位量が大きくなることにより、モルタルの比重を大きくしている。
【0063】
このように、本発明の重量モルタルは、工場又はプラントで生産されるので、品質を安定させ、所定量の重量モルタルを供給することができる。
また、銅スラグは、細骨材として用いるための粒径の調節が容易であるので、細骨材の粒径の基準にあったものを生成することができる。
さらに、銅スラグは、砕石等に付着しているシルト等の不純物がないため、安定した品質の細骨材を生成することができる。
【0064】
【発明の効果】
これにより、本発明の重量コンクリートは、粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いることにより、用途が少なく、堆積させるのにも限界があり、いづれ産業廃棄物として廃棄される銅スラグの利用価値が高まり、銅スラグの堆積量を減少させさせることができる。
【0065】
また、本発明の重量コンクリートの比重を2.90〜3.10とすることにより、運搬や打設などの施工効率を向上させることができる。また、本発明の重量コンクリートを浮力が作用する構造物に使用することで、コンクリートの体積を増やすことなく、浮力による構造物の浮き上がりを防止することに有効である。
【0066】
また、粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いたことにより、銅スラグが粗骨材であっても細骨材であっても粒径にかかわらず同一比重であることから、骨材分離の恐れがなく、安定した練り混ぜや打設を行うことができる。
【0067】
そして、本発明の重量モルタルは、細骨材に銅スラグを用い、その重量モルタルの比重を2.50〜2.80とすることにより、運搬や打設などの施工効率を向上させることができる。
【0068】
また、細骨材に銅スラグを用いたことにより、銅スラグの粒径にかかわらず比重が同一なので、骨材分離の恐れがなく、安定した練り混ぜや打設を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】細骨材の粒度分布を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨材に銅スラグを用いた重量コンクリート及び重量モルタルに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にコンクリートは、水、セメント、粗骨材、細骨材を主な構成要素とし、これらを練混ぜて使用される。また、モルタルは、水、セメント、細骨材を主な構成要素とし、これらを練混ぜて使用される。この中で粗骨材及び細骨材には、天然に存在する岩石や砂が用いられているが、資源の枯渇や環境保全の観点から、産業廃棄物の発生量の抑制の動向と同調するように、これら岩石や砂に替わる代替品として鉄鋼石や鋼スラグが用いられるようになってきている。
【0003】
このように、スラグを骨材として用いた場合は、その骨材を用いたコンクリート及びモルタルの比重が増大することから、護岸整備で使用されるテトラポット等に使用されるようになってきている。具体的に、そのスラグを骨材とするためには、例えば、スラグから無機質を分取して骨材として用いている。この無機質の骨材と、鉄鉱石からなる骨材とを用いることで、天然資源の保護という目的を達成しようとしている。また、この無機質は、製鋼スラグ、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、ゴミ溶融スラグ又は下水汚泥溶融スラグから分取される。また、これらを種々に配合することにより、比重を調節して高比重の重量コンクリート及び重量モルタルを得ていた(例えば特許文献1)。
【0004】
一方、銅スラグは、銅鉱石から銅を製錬採取する際に大量に生成されるものであり、そのほとんどが山積するように堆積されており、いづれ産業廃棄物として処理されることとなる。このように、銅を製錬する際に生成される銅スラグは、産業廃棄物処理施設の処理能力の限界等から、再利用を促進させるための施策が講じられるようになってきた(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−72511号公報([0002]−[0018])
【非特許文献1】
経済産業省リサイクル推進課、“資源有効利用促進法の施行に向けて”、[online]、平成13年7月12日、経済産業省、[平成15年2月7日検索]、インターネット<URLhttp://www.meti.go.jp/kohosys/press/0001717/0/010712risaikuru−siryou.pdf>
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、製鋼スラグ、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、ゴミ溶融スラグ又は下水汚泥溶融スラグから無機質を分取しても、廃棄される物質が存在するため、産業廃棄物の発生量の抑制としては抑制できる量が少なかった。特に、銅スラグは、セメントの原材料等に用いられるものの、再利用される量は少なく、そのほとんどが山積するように堆積され、いづれ産業廃棄物として処理されることにより、銅スラグの処分方法の行き詰りによって銅製錬に支障を来たすという問題があった。
【0007】
また、銅スラグを骨材として使用した場合には、細骨材としてしか使用されておらず、堆積される銅スラグの量を減少させるには銅スラグの使用量としては少ないという問題もあった。
【0008】
一方、コンクリート及びモルタルの比重を大きくしすぎると、搬入手段が限られているために一度に搬入できるコンクリート又はモルタルの量が少なくなり、これにより、施工性が悪くなるという問題もあった。他方、コンクリート及びモルタルの比重を小さくしすぎると、浮力が生じる個所で用いた場合に構造物が浮き上がるという問題もあった。
【0009】
また、使用する骨材に比重の異なる材料を用いてコンクリート及びモルタルを練り混ぜると、比重の違いにより骨材分離を起こす恐れがあるという問題もあった。
【0010】
そこで、本発明は、銅スラグを有効に利用することができ、施工性のよい重量コンクリート及び重量モルタルを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決すべく構成されるものであり、請求項1記載の発明は、粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いたことを特徴とする重量コンクリートからなるものである。
【0012】
そして、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、比重が2.90〜3.10であることを特徴とする重量コンクリートからなるものである。
【0013】
そして、請求項3記載の発明は、細骨材に銅スラグを用い、比重が2.50〜2.80であることを特徴とする重量モルタルからなるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の重量コンクリート及び重量モルタルは、例えば、地下構造物や構造物の基礎部など、地下水や海水等による浮力の影響を受ける位置に主に用いることができる。例えば、海底トンネル、テトラポット、橋脚、地下水がある土地での地下構造物や地下階を有する構造物の地下階等に用いることができる。
なお、本実施の形態では、銅スラグ(いわゆる銅■又は銅カラミ)を用いた粗骨材の各種粒形及び細骨材の各種粒形は、日本工業規格、コンクリート標準示方書または建築工事標準仕様書に適合したものを用いる。
【0015】
[重量コンクリート]
本発明の重量コンクリートにおいて、粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いたときの重量コンクリートの比重の上限を3.10としたのは、比重が3.10を超えると、一度に搬入できる量が少なくなるために施工効率が悪くなるからである。例えば、通常のコンクリートであれば、10tコンクリートミキサー車で4m3程度の量のコンクリートを一回で搬入することができるが、重量コンクリートの比重が大きくなれば、運搬用の車輌に積載できる重量コンクリートの量が少なくなるのは明確である。一度に搬入できる量が少なくなれば、所定量の重量コンクリートを運搬する車輌の台数が増加するため、施工時間や費用が多くかかり、施工性が悪くなるのである。
【0016】
また、本発明の重量コンクリートの比重の下限を2.90としたのは、比重が2.90を下回ると、重量コンクリートとしての効果が薄れるからである。例えば、浮力が生じる場所における構造物の施工においては、構造物がこの浮力により浮き上がることがあってはならないため、施工後の構造物に錘を乗せて浮き上がらないようにするなどの別途処置が必要になるのである。
【0017】
また、大量に生成された後、山積するように堆積され、いづれ産業廃棄物として処理される銅スラグを、コンクリートの粗骨材と細骨材として使用することができるので、廃棄物として処理される量を減少させることができる。
【0018】
このように、重量コンクリートの粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いることにより、それまで大量に生成された後、山積するように堆積され、いづれ産業廃棄物として処理される銅スラグを有効に利用することができ、かつ、重量コンクリートの比重を2.90〜3.10としたので施工性の良い重量コンクリートとすることができる。また、資源である鉄鉱石等を用いることなく高比重の重量コンクリートを得ることができる。
【0019】
[重量モルタル]
本発明の重量モルタルにおいて、細骨材に銅スラグを用いたときの重量モルタルの比重の上限を2.80としたのは、比重が2.80を超えると、一度に搬入できる量が少なくなるために施工効率が悪くなるからである。例えば、通常のモルタルであれば、10tコンクリートミキサー車で4m3程度の量を一回で搬入することができるが、重量モルタルの比重が大きくなれば、運搬用の車輌に積載できる重量モルタルの量が少なくなるのは明確である。一度に搬入できる量が少なくなれば、所定量の重量モルタルを運搬する車輌の台数が増加するため、施工時間や費用が多くかかり、施工性が悪くなるのである。また、重量モルタルの比重の下限を2.50としたのは、比重が2.50を下回ると、重量モルタルとしての効果が薄れるからである。
【0020】
このように、重量モルタルの細骨材に銅スラグを用いることにより、重量モルタルの比重を2.50〜2.80としたので施工性の良い重量モルタルとすることができる。資源である鉄鉱石等を用いることなく高比重の重量モルタルを得ることができる。
【0021】
【実施例】
これより、本発明の骨材に銅スラグを用いた重量コンクリート及び重量モルタルを実施例により説明する。なお、本実施例において、粗骨材及び細骨材の総てに銅スラグを用いている。
【0022】
本発明の重量コンクリート及び重量モルタルに用いられる銅スラグの細骨材について、図1は、銅スラグを細骨材として用いたときの細骨材の粒度分布を表している。図1に表されている破線は、「JIS A 5011−3」に定められているCUS2.5mm規格の上限の範囲と下限の範囲を表している。本発明の重量コンクリート及び重量モルタルに用いられる細骨材は、実線で表されている。このように、規格の範囲内に収まるべく細骨材の粒度を調節している。
【0023】
なお、この細骨材の各篩を通過する質量百分率(%)は、0.15mm篩で4(%)、0.3mm篩で10(%),0.6mm篩で33(%)、1.2mm篩で86(%)、2.5mm篩で100(%)、5mm篩で100(%)、10mm篩で100(%)の通過質量となっている。
また、銅スラグの細骨材は、表乾密度が3.49(g/cm3),絶乾密度が3.46(g/cm3),吸水率が0.82(%)となっている。
【0024】
本発明の重量コンクリートに用いられる銅スラグの粗骨材について、25mm篩を通過したものを使用している。
なお、銅スラグの粗骨材は、生成された銅スラグの塊を徐冷してから砕いたものを使用している。
また、銅スラグの粗骨材は、表乾密度が3.66(g/cm3),絶乾密度が3.65(g/cm3),吸水率が0.22(%)となっている。
【0025】
[重量コンクリート]
本発明の重量コンクリートを表1に示すような配合で練混ぜを行った。表2で示すように、そのときの重量コンクリートから供試体を3個採取し、圧縮強度試験を材齢7日と材齢28日とで行った。なお、このときの供試体は、直径、高さ及び断面積が表2に示すものを使用している。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
(配合)
本発明の重量コンクリートの配合Aは、品質の向上の観点から水セメント比[W/C]を45(%)で行った。これより、細骨材率[s/a](%),水[W],セメント[C],細骨材[銅スラグ],粗骨材[銅スラグ]の単位量(kg/m3)を決定すると、水[W]の単位量が172(kg/m3)、セメント[C]の単位量が382(kg/m3)、粗骨材[銅スラグ]の単位量が1333(kg/m3)、細骨材[銅スラグ]の単位量が1041(kg/m3)、細骨材率[s/a]が43.9(%)となる。このとき、本発明の重量コンクリートに化学混和材を0.955(kg/m3)を添加している。
【0029】
(試験)
本発明の重量コンクリートをフレッシュ時と硬化時とに分けて各種試験を行った。
【0030】
フレッシュ時において、「JIS A 1101」(コンクリートのスランプ試験方法)、「JIS A 1116」(フレッシュコンクリートの単位容積質量試験方法及び空気量の質量による試験方法(質量方法))、「JIS A 1128」(フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法(空気室圧力方法))に従って各試験を行った。その結果、表1に示すように、スランプが8.8(cm)、質量方法による空気量が4.4(%),空気室圧力方法による空気量が4.8(%)となった。
【0031】
また、このときのフレッシュコンクリートの単位容積質量を測ったところ、2928(kg/m3)であったことから、比重は、2.92であった。これにより、配合において、比重2.90〜3.10の範囲に入る結果となった。なお、小数点第三位以下を切り捨てて比重の値を表している。
【0032】
硬化時において、「JIS A 1108」(コンクリートの圧縮強度試験方法)に従って試験を行った。その結果、表2に示すように、材齢7日の各供試体の圧縮強度は、供試体A1の圧縮強度が36.6(N/mm2)、供試体A2の圧縮強度が36.6(N/mm2)、供試体A3の圧縮強度が36.0(N/mm2)となり、各供試体の圧縮強度の平均が36.4(N/mm2)となり、材齢7日であるにもかかわらず高強度を発現する結果となった。これにより、強度発現が早いため、本発明の重量コンクリートは、工期を短縮する工事においても使用可能である。
【0033】
また、このときの比重は、供試体A1の比重が2.95、供試体A2の比重が2.97、供試体A3の比重が2.96となり、各供試体の比重の平均が2.96となった。
【0034】
これにより、各供試体の比重が2.95〜2.97で、その平均が2.96となり、比重2.90〜3.10の範囲に入る結果となった。
【0035】
材齢28日の各配合における3つの供試体の圧縮強度試験の結果は、供試体A1の圧縮強度が49.0(N/mm2)、供試体A2の圧縮強度が49.9(N/mm2)、供試体A3の圧縮強度が49.8(N/mm2)となり、各供試体の圧縮強度の平均が49.6(N/mm2)となり、高強度の重量コンクリートとなる結果となった。
【0036】
また、このときの比重は、供試体A1の比重が3.00、供試体A2の比重が3.00、供試体A3の比重が2.98となり、各供試体の比重の平均が2.99となった。
【0037】
このように、各供試体の比重が2.98〜3.00で、その平均が2.99となり、比重2.90〜3.10の範囲に入る結果となった。
【0038】
(比較)
一般に普通コンクリートの配合は、打設する時期や打設場所によって異なるが、例えば、配合の設計条件として、呼び強度が30(N)、スランプが8(cm)、粗骨材の最大寸法による記号を25とした場合に、水セメント比が45.3(%)、水が159(kg/m3)、セメントが351(kg/m3)、粗骨材が1060[砂利:砕石=50:50](kg/m3)、細骨材[砂]が728(kg/m3)、細骨材率[s/a]が41.2(%)となる。
【0039】
このとき、本発明の重量コンクリートの配合と、普通コンクリートの配合と比較すると、水セメント比と細骨材率をほぼ同一とした場合、まず、重量コンクリートの粗骨材の単位量が普通コンクリートの粗骨材の単位量よりも1.26倍大きいことがわかる。また、重量コンクリートの細骨材の単位量が普通コンクリートの細骨材の単位量よりも1.43倍大きいことがわかる。
【0040】
これにより、粗骨材と細骨材の単位量が大きくなることにより、コンクリートの比重を大きくしている。
【0041】
また、本発明の重量コンクリートは、工場又はプラントで生産されるので、品質を安定させ、所定量の重量コンクリートを供給することができる。
また、銅スラグは、粗骨材及び細骨材として用いるための粒径の調節が容易であるので、粗骨材及び細骨材の粒径の基準にあったものを生成することができる。
さらに、銅スラグは、砕石等に付着しているシルト等の不純物がないため、安定した品質の粗骨材及び細骨材を生成することができる。
【0042】
[重量モルタル]
本発明の重量モルタルを表3に示すような6種類の配合で練混ぜを行った。表4及び表5で示すように、そのときの重量モルタルから供試体をそれぞれ3個づつ採取し、圧縮強度試験を材齢7日と材齢28日とで行った。なお、このときの供試体は、直径、高さ及び断面積が表4及び表5に示すものを使用している。
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
(配合)
本発明の重量モルタルの各配合は、表3に示すように、配合Bが品質の向上の観点から水セメント比[W/C]を45(%)で行った。これらから、水,セメント,細骨材[銅スラグ]の単位量(kg/m3)、砂セメント比[S/C](%)を決定すると、水[W]の単位量が320(kg/m3)、セメント[C]の単位量が712(kg/m3)、細骨材[銅スラグ]の単位量が1577(kg/m3)、砂セメント比[S/C]が2.2となる。
【0047】
同様に、配合Cは、水セメント比[W/C]を45(%)で行い、水[W]の単位量は288(kg/m3)、セメント[C]の単位量は639(kg/m3)、細骨材[銅スラグ]の単位量は1773(kg/m3)、砂セメント比[S/C]が2.8となる。
【0048】
配合Dは、水セメント比[W/C]を45(%)で行い、水[W]の単位量は262(kg/m3)、セメント[C]の単位量は583(kg/m3)、細骨材[銅スラグ]の単位量は1937(kg/m3)、砂セメント比[S/C]が3.3となる。
【0049】
配合Eは、水セメント比[W/C]を55(%)で行い、水[W]の単位量は331(kg/m3)、セメント[C]の単位量は602(kg/m3)、細骨材[銅スラグ]の単位量は1668(kg/m3)、砂セメント比[S/C]が2.8となる。
【0050】
配合Fは、水セメント比[W/C]を55(%)で行い、水[W]の単位量は301(kg/m3)、セメント[C]の単位量は548(kg/m3)、細骨材[銅スラグ]の単位量は1822(kg/m3)、砂セメント比[S/C]が3.3となる。
【0051】
配合Gは、水セメント比[W/C]を55(%)で行い、水[W]の単位量は277(kg/m3)、セメント[C]の単位量は504(kg/m3)、細骨材[銅スラグ]の単位量は1954(kg/m3)、砂セメント比[S/C]が3.9となる。
【0052】
(試験)
本発明の重量モルタルをフレッシュ時と硬化時と分けて各種試験を行った。
【0053】
フレッシュ時において、各配合における重量モルタルの比重は、配合Bでは比重が2.60、配合Cでは比重が2.70、配合Dでは比重が2.78、配合Eでは比重が2.60、配合Fでは比重が2.67、配合Gでは比重が2.73、であった。これにより比重が2.60〜2.78となり、比重2.50〜2.80の範囲に入る結果となる。なお、小数点第三位以下を切り捨てて比重の値を表している。
【0054】
硬化時において、JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)に従って圧縮強度試験を行った。その結果、表4に示すように、材齢7日の各配合における3つの供試体の圧縮強度試験の結果の平均は、配合Bの圧縮強度が39.9(N/mm2)、配合Cの圧縮強度が34.9(N/mm2)、配合Dの圧縮強度が33.6(N/mm2)、配合Eの圧縮強度が26.3(N/mm2)、配合Fの圧縮強度が24.6(N/mm2)、配合Gの圧縮強度が21.5(N/mm2)となり、材齢7日であるにもかかわらず高強度を発現する結果となった。
【0055】
また、このときの各配合における3つの供試体の比重の平均は、配合Bの比重が2.69、配合Cの比重が2.67、配合Dの比重が2.70、配合Eの比重が2.71、配合Fの比重が2.69、配合Gの比重が2.66となった。
【0056】
これにより、比重が2.66〜2.71となり、比重2.50〜2.80の範囲に入る結果となる。
【0057】
また、表5に示すように、材齢28日の各配合における3つの供試体の圧縮強度試験の結果の平均は、配合Bの圧縮強度が60.4(N/mm2)、配合Cの圧縮強度が53.2(N/mm2)、配合Dの圧縮強度が51.9(N/mm2)、配合Eの圧縮強度が44.2(N/mm2)、配合Fの圧縮強度が41.3(N/mm2)、配合Gの圧縮強度が38.6(N/mm2)となり、材齢28日で高強度を発現する結果となった。
【0058】
また、このときの各配合における3つの供試体の比重の平均は、配合Bの比重が2.69、配合Cの比重が2.67、配合Dの比重が2.70、配合Eの比重が2.71、配合Fの比重が2.69、配合Gの比重が2.65となった。
【0059】
これにより、比重が2.65〜2.71となり、比重2.50〜2.80の範囲に入る結果となる。
【0060】
(比較)
一般にモルタルの配合は、打設する時期や打設場所によって異なるが、例えば、配合の設計条件として、水セメント比[W/C]を45.5(%)、砂セメント比[S/C]を2.25とした場合に、水が263(kg/m3)、セメントが593(kg/m3)、細骨材が1335(kg/m3)となる。
【0061】
このとき、本発明の重量モルタルの配合と、普通モルタルの配合とを比較すると、水セメント比と砂セメント比をほぼ同一とした場合、まず、重量モルタルの細骨材の単位量が普通モルタルの細骨材の単位量よりも1.18倍大きいことがわかる。また、重量モルタルのセメントの単位量が普通モルタルのセメントの単位量よりも1.20倍大きいことがわかる。さらに、重量モルタルの水の単位量が普通モルタルの水の単位量よりも1.22倍大きいことがわかる。
【0062】
これにより、細骨材の単位量が大きくなることにより、モルタルの比重を大きくしている。
【0063】
このように、本発明の重量モルタルは、工場又はプラントで生産されるので、品質を安定させ、所定量の重量モルタルを供給することができる。
また、銅スラグは、細骨材として用いるための粒径の調節が容易であるので、細骨材の粒径の基準にあったものを生成することができる。
さらに、銅スラグは、砕石等に付着しているシルト等の不純物がないため、安定した品質の細骨材を生成することができる。
【0064】
【発明の効果】
これにより、本発明の重量コンクリートは、粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いることにより、用途が少なく、堆積させるのにも限界があり、いづれ産業廃棄物として廃棄される銅スラグの利用価値が高まり、銅スラグの堆積量を減少させさせることができる。
【0065】
また、本発明の重量コンクリートの比重を2.90〜3.10とすることにより、運搬や打設などの施工効率を向上させることができる。また、本発明の重量コンクリートを浮力が作用する構造物に使用することで、コンクリートの体積を増やすことなく、浮力による構造物の浮き上がりを防止することに有効である。
【0066】
また、粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いたことにより、銅スラグが粗骨材であっても細骨材であっても粒径にかかわらず同一比重であることから、骨材分離の恐れがなく、安定した練り混ぜや打設を行うことができる。
【0067】
そして、本発明の重量モルタルは、細骨材に銅スラグを用い、その重量モルタルの比重を2.50〜2.80とすることにより、運搬や打設などの施工効率を向上させることができる。
【0068】
また、細骨材に銅スラグを用いたことにより、銅スラグの粒径にかかわらず比重が同一なので、骨材分離の恐れがなく、安定した練り混ぜや打設を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】細骨材の粒度分布を示すグラフである。
Claims (3)
- 粗骨材と細骨材とに銅スラグを用いたことを特徴とする重量コンクリート。
- 比重が2.90〜3.10であることを特徴とする請求項1に記載の重量コンクリート。
- 細骨材に銅スラグを用い、比重が2.50〜2.80であることを特徴とする重量モルタル。
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Cited By (2)
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JP2014169213A (ja) * | 2013-03-05 | 2014-09-18 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | 超高強度高流動コンクリートおよびセメント組成物 |
JP2022008582A (ja) * | 2015-04-03 | 2022-01-13 | メタロ ベルジウム | 非鉄金属製造の際に生じる改質スラグ |
-
2003
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