JP2004268107A - 遠隔操作型粉塵除去装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車輪により移動可能に構成された架台車21に粉塵捕集フード11を支持させるとともに、架台車21の車輪として電気モータ27により回転させる駆動輪24と、その従動輪25とを設ける。そして、電気モータ27をスイッチ33による遠隔操作により作動させ、架台車21及び粉塵捕集フード11を移動させる。スイッチ33は、溶接用保護面の把持部43に取り付ける。
【選択図】 図2
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、溶接作業場における溶接粉塵等の除去に適した遠隔操作機能を備える粉塵除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
代表的な職業病として知られる塵肺は、現在も日本における業務上疾病分類上の首位を占め、塵肺に占める溶接工肺の割合は、近年増加の傾向にある。溶接工肺とは、溶接粉塵の吸入により発症する塵肺の一種であり、その予防には、起因物質である溶接粉塵を作業場から排除し、作業者の曝露を未然に防ぐことが必要である。そのための工場換気として最も多用されている技術的手法は、局所排気による換気である。
【0003】
局所排気用の粉塵除去装置を使用して溶接粉塵を除去するには、粉塵発生源であるアーク点が作業の進行に伴って移動することに留意しなければならない。一般的な粉塵除去装置は、原則としてフードが位置的に固定された状態で使用されるので、作業が進行してアーク点がフードから離れてしまうと、充分な換気効率を得ることができなくなるためである。粉塵除去装置のフードを可動とした製品「Mobile Exhauster」も存在し、Jeffersonにより紹介されている(下記非特許文献1)。
【0004】
【非特許文献1】
Welding Engnieer誌、55(10);39−40、1970
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のフード可動型粉塵除去装置「Mobile Exhauster」では、フードの位置が自動的に調整されるわけではないので、作業者は、これを手動で調整しなければならない。このため、作業中にフードの位置を頻繁に調整しなければならず、そのためにときに作業が中断されることにもなるので、現場では使用が敬遠されがちである。
【0006】
そこで、本発明は、溶接作業の進行に伴ってフードの位置を遠隔操作により調節する機能を粉塵除去装置に持たせることで、作業を中断させることなく、溶接粉塵等を効率的に除去することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶接時に発生する粉塵(ヒュームを含むものとする。)を除去するための装置を提供するものであり、粉塵の吸入口を形成する粉塵捕集フードを、溶接作業場内を移動可能に構成された手段により支持して、アーク点に対する位置を定めるとともに、前記手段に対して変位可能に構成されたスイッチから有線又は無線により操作信号を送信し、前記手段をこの信号に基づいて作動させて、粉塵捕集フードを溶接作業場内の異なる位置に移動させるように構成する。
【0008】
本発明に係る遠隔操作型粉塵除去装置は、粉塵の吸入口を形成する粉塵捕集フードと、溶接作業場内を移動可能に構成され、粉塵捕集フードを支持してそのアーク点に対する位置を定める支持部と、この支持部を移動させて粉塵捕集フードを溶接作業場の第1の位置からこれとは異なる第2の位置に移動させる駆動部と、を含んで構成されるフード移動手段と、フード移動手段の駆動部の作動及び停止を切り換えるためのスイッチであって、この駆動部と操作信号を送信可能に実質的に接続され、かつフード移動手段に対して変位可能に構成されたスイッチと、を含んで構成される。
【0009】
このような構成によれば、溶接作業の進行に伴ってアーク点が移動したときであっても、これに追随させて粉塵捕集フードを移動させ、粉塵捕集フードを常にアーク点近傍に位置させることができるので、高い換気効率を維持することができる。また、粉塵捕集フードの移動がスイッチによる遠隔操作により行われるので、作業を中断させることなく粉塵捕集フードの位置を調整することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る遠隔操作型粉塵除去装置(以下「粉塵除去装置」という。)1の側面図である。
【0011】
粉塵除去装置1の構成を図1により説明する。粉塵除去装置1は、溶接時に発生する粉塵を除去するための装置である。粉塵を吸入する吸入口11aを形成する粉塵捕集フード(以下「フード」という。)11にフレキシブルダクト(以下「ダクト」という。)12が接続され、車輪を備えた架台車21にこれらフード11及びダクト12のアッセンブリを支持させて構成されている。フード11は、強い上昇気流を伴う粉塵の捕集に適したキャノッピー型に近い形状をしている。また、ダクト12は、吸入された粉塵を集塵装置としてのダストボックス13に搬送するためのものであり、管軸と直交する方向に自由に変位させることができる。ダストボックス13には、吸入された粉塵を捕集するための措置が施されており、清浄化された空気が大気中に放出されるように構成されている。例えば、ダストボックス13にフィルタを内蔵し、ろ過後の空気が放出されるように構成する。ダストボックス13の下流側には、吸入負圧を発生させるための図示しないポンプが設置されている。
【0012】
粉塵除去装置1の架台車21は、車輪を備えることにより溶接作業場内を移動可能に構成されるとともに、ベッド部22上に直立させて固定された支柱23a〜23cによりフード11及びダクト12を作業場床面F上に支持して、吸入口11aのアーク点Aからの高さを定めている。架台車21には、前記車輪として駆動輪24,24及び従動輪25,25,26が設けられており、駆動輪24,24及び従動輪のうち符号25で示すものは、車軸がベッド部22に対して固定されており、架台車21及びフード11の移動方向を定めている。一方、従動輪のうち符号26で示すものは、ダクト12の荷重を支えるためのものであり、車軸がベッド部22と平行な平面内で回転可能に構成され、駆動輪24,24による架台車21の移動に追従することができる。また、架台車21の床下には、電気モータ27が設置されており、電気モータ27により発生させた動力を所定の減速比を与える図示しないギアを介して駆動輪24,24に伝達させて、架台車21を溶接作業場内で所定の速度で移動させるように構成されている。なお、符号28,28は、電気モータ27に電力を供給するためのバッテリである。
【0013】
図2は、粉塵除去装置1の正面図である。
粉塵除去装置1には、作業者がフード11の位置を確認することができるようにするため、光源としての電球31が取り付けられている。電球31は、溶接用保護面の遮光部を透過することのできる光を発するものであり、支柱32により架台車21のベッド部22上に固定されている。電球31の向きは、電気モータ27による架台車21の移動方向に直交する方向に、すなわち、粉塵除去装置1の正面に向く方向に設定されている。
【0014】
また、粉塵除去装置1には、電気モータ27の作動及び停止を切り換えて、フード11の位置を調整するためのスイッチ33が設けられている。スイッチ33は、導線により電気モータ27のモータコントローラ34と接続される一方、架台車21に対する機械的な拘束はなく、自由に変位させることができる。本実施形態では、スイッチ33に電気モータ27の正転、逆転及び停止を切り換える機能を持たせるとともに、スイッチ33からの操作信号に応じて作動して、対応する信号を電気モータ27に送信するリレー回路を含んでモータコントローラ34を構成している。電気モータ27とモータコントローラ34とは、駆動ユニットとしてケースCに内蔵され、架台車21の床下に一体的に設置されている。
【0015】
本実施形態に関して、ベッド部22、支柱23a〜23c、駆動輪24及び従動輪25,26がフード移動手段の支持部を、電気モータ27及びモータコントローラ(リレー回路を含む。)34がフード移動手段の駆動部を構成する。
【0016】
図3は、溶接時に粉塵除去装置1とともに使用される溶接用保護面の構成図である。
溶接用保護面は、溶接時にアーク点Aと作業者の頭部との間に介在させる本体41と、本体41の一部として設けられ、アーク点Aから発せられた光を選択的に透過させる遮光部42と、作業者が自らに対する本体41の位置を定めるための、本体41に取り付けられた把持部43とを含んで構成される。本実施形態では、粉塵除去装置1のスイッチ33が溶接用保護面の把持部43に取り付けられており、スイッチ33のレバー33aにより電気モータ27の作動及び停止が切り換えられるように構成されている。
【0017】
次に、本実施形態に係る粉塵除去装置1の動作を図1により説明する。
溶接作業に際して、粉塵除去装置1は、架台車21の移動方向と溶接の進行方向とが平行になるように向きを設定するとともに、フード11の中央がアーク点Aのほぼ真上に位置するようにアーク点A近傍に配置する。
【0018】
溶接時において、作業者は、電球31から発せられた光によりフード11の位置を確認し、フード11がアーク点Aから許容範囲を越えて離れたときは、その方向に応じてスイッチ33のレバー33aを操作し、電気モータ27を正転又は逆転させる。これにより、駆動輪24,24がギアの減速比に応じた速度で回転し、架台車21及びこれに支持されるフード11を前進又は後退させる。フード11がアーク点Aに近付いたときは、レバー33aの操作を止めて電気モータ27を停止させ、フード11をその位置で停止させる。作業者がこのような動作を繰り返すことで、フード11をアーク点Aに追随させて移動させ、フード11を常にアーク点A近傍に位置させることができる。
【0019】
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
第1に、溶接作業の進行に伴ってアーク点Aが移動したときであっても、これに追随させてフード11を移動させることができるので、フード11を常にアーク点A近傍に位置させ、高い換気効率を維持することができる。このため、少ない排気風量で経済的に局所排気を実現することができ、ダストボックス13及び吸入負圧を発生させるためのポンプの小型軽量化を図ることも容易となる。また、アーク点Aに追随させたフード11の移動がスイッチ33による遠隔操作により行われるので、フード11の位置を調整するために作業を中断する必要がない。
【0020】
第2に、スイッチ33を溶接用保護面の把持部43に設けたので、作業中であっても容易にこれを操作することができる。
第3に、架台車21に電球31を取り付けたので、溶接を行いながらフード11の位置を確認することができる。
【0021】
なお、以上では、スイッチ33とモータコントローラ34とを導線により接続して、フード11の位置を遠隔操作するように構成したが、スイッチ33からモータコントローラ34に操作信号が無線により送信されるように構成して、フード11の位置を遠隔操作することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る遠隔操作型粉塵除去装置の側面図
【図2】同上粉塵除去装置の正面図
【図3】同上粉塵除去装置とともに使用される溶接用保護面の構成図
【符号の説明】
1…遠隔操作型粉塵除去装置、11…粉塵捕集フード、12…フレキシブルダクト、21…架台車、24…駆動輪、25…従動輪、27…電気モータ、28…バッテリ、31…光源としての電球、33…スイッチ、34…モータコントローラ、41…溶接用保護面本体、42…遮光部、43…把持部、A…アーク点、F…作業場床面。
Claims (7)
- 溶接時に発生する粉塵を除去するための装置であって、
粉塵の吸入口を形成する粉塵捕集フードと、
溶接作業場内を移動可能に構成され、粉塵捕集フードを支持してそのアーク点に対する位置を定める支持部と、この支持部を移動させて粉塵捕集フードを溶接作業場の第1の位置からこれとは異なる第2の位置に移動させる駆動部と、を含んで構成されるフード移動手段と、
フード移動手段の駆動部の作動及び停止を切り換えるためのスイッチであって、この駆動部と操作信号を送信可能に実質的に接続され、かつフード移動手段に対して変位可能に構成されたスイッチと、を含んで構成され、
フード移動手段の駆動部は、スイッチからの操作信号を受け、これに応じて作動して粉塵捕集フードを移動させる遠隔操作型粉塵除去装置。 - スイッチを溶接用保護面の把持部に備える請求項1に記載の遠隔操作型粉塵除去装置。
- 粉塵捕集フードに対する位置が固定されて設けられ、溶接用保護面の遮光部を透過する光を発する光源を更に含んで構成される請求項1又は2に記載の遠隔操作型粉塵除去装置。
- 前記光源の向きがフード移動手段の支持部の移動方向に直交する方向に設定された請求項3に記載の遠隔操作型粉塵除去装置。
- 溶接の進行方向とフード移動手段の支持部の移動方向とを平行にして使用される請求項4に記載の遠隔操作型粉塵除去装置。
- スイッチとしてフード移動手段の支持部の前進のための第1のスイッチと、その後退のための第2のスイッチとを備え、フード移動手段の駆動部は、第1及び第2のスイッチからの操作信号に応じて作動して、フード移動手段の支持部を前進又は後退させるリレー回路を含んで構成される請求項1〜5のいずれかに記載の遠隔操作型粉塵除去装置。
- 溶接時に発生する粉塵を除去するための装置であって、
粉塵の吸入口を形成する粉塵捕集フードが、溶接作業場内を移動可能に構成された手段により支持されて、アーク点に対する位置が定められるとともに、前記手段に対して変位可能に構成されたスイッチから有線又は無線により操作信号が送信され、前記手段がこの信号に基づいて作動して、粉塵捕集フードを溶接作業場内の異なる位置に移動させる遠隔操作型粉塵除去装置。
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JP2003064025A JP3769617B2 (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | 遠隔操作型粉塵除去装置 |
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---|---|---|---|---|
JP2010075958A (ja) * | 2008-09-25 | 2010-04-08 | Amada Co Ltd | 溶接作業台装置 |
CN109128458A (zh) * | 2018-10-15 | 2019-01-04 | 庞江涛 | 一种电焊机及其配套附属用品用移动放置装置 |
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- 2003-03-10 JP JP2003064025A patent/JP3769617B2/ja not_active Expired - Lifetime
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