JP2004267811A - 粒状物を表面に有する繊維強化プラスチック成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粒状物を表面に有する繊維強化プラスチック(FRP)成形品の製造方法の提供。
【解決手段】マトリックス樹脂と繊維強化材とを金型に導いて引き抜き、FRPからなる被着体を得る引抜工程と、粉体塗料と前記粉体塗料よりも融点が高い粒状物とを有する混合物を、前記被着体の表面に付着させる付着工程と、前記粉体塗料を、前記粉体塗料の融点以上であり、かつ、前記粒状物の融点未満である温度で溶融させ、粒状物を表面に有するFRP成形品を得る溶融工程とを具備する、粒状物を表面に有するFRP成形品の製造方法。
【選択図】図2
【解決手段】マトリックス樹脂と繊維強化材とを金型に導いて引き抜き、FRPからなる被着体を得る引抜工程と、粉体塗料と前記粉体塗料よりも融点が高い粒状物とを有する混合物を、前記被着体の表面に付着させる付着工程と、前記粉体塗料を、前記粉体塗料の融点以上であり、かつ、前記粒状物の融点未満である温度で溶融させ、粒状物を表面に有するFRP成形品を得る溶融工程とを具備する、粒状物を表面に有するFRP成形品の製造方法。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒状物を表面に有する繊維強化プラスチック成形品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics、以下「FRP」という。)は、強度が高いこと、比較的軽い材料であること、腐食しないこと等の利点を有するため、多様な用途に用いられている。
【0003】
例えば、従来、山沿いの地域において、山から来るシカ、イノシシ等の動物が畑等に侵入して被害を加えることが問題となっており、これを防止するため、畑の周囲等に柵を設けることが行われているが、このような柵として、一般に、繊維強化プラスチック成形品(以下「FRP成形品」という。)のパイプを支柱とし、支柱間にネットまたは電気を通すためのワイヤーを結びつけて張ったものが用いられている。
しかしながら、この柵は、FRP成形品のパイプの表面が平滑なため、ネットをくくりつける紐またはワイヤーがパイプに結びつけられた部分で滑り落ちることがあるという問題を有していた。
【0004】
これに対し、外表面に熱可塑性樹脂を被覆させたFRP成形品のパイプに、ネットまたはワイヤーを結びつけた柵が提案されている。この柵は、パイプの外表面に凹凸のある熱可塑性樹脂層を有しているので、結びつけられたネットをくくりつける紐またはワイヤーが凹凸に引っかかり、滑り落ちない。
しかしながら、この柵は、支柱の構成材料として熱可塑性樹脂が用いられている部分が多いので、FRPのみで構成された支柱を用いる場合に比べて、強度および剛性が弱いという問題があった。
したがって、上述した柵に用いることを目的として、熱可塑性樹脂の被覆を行わなくても表面が滑りにくいFRPからなるパイプが求められている。
【0005】
また、FRPの上記利点を活かした別の用途として、建築現場で用いられる足場板が挙げられるが、この足場板にも表面が滑りにくいことが求められている。即ち、FRP成形品には、表面が滑りにくいことが求められる種々の用途が存在している。
【0006】
一方、表面に凹凸を持たせて滑りにくくした物を製造する方法については、種々の提案がされている。
例えば、特許文献1には、常温で固体の熱硬化型の塗膜形成樹脂(A)とフッ素樹脂(B)を含み、フッ素樹脂(B)が塗膜形成樹脂(A)の溶融温度および硬化温度において溶融せず、塗膜形成樹脂(A)がフッ素樹脂(B)に融着している凹凸模様形成性粉体塗料を用いて、フッ素樹脂(B)の溶融温度未満の温度で塗膜形成樹脂(A)を加熱硬化させて塗膜を形成させる方法が記載されている。
しかしながら、上記方法には、生産効率が悪いという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−123104号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、表面が滑りにくいFRP成形品を効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。
【0010】
(1)マトリックス樹脂と繊維強化材とを金型に導いて引き抜き、FRPからなる被着体を得る引抜工程と、
粉体塗料と前記粉体塗料よりも溶融温度が高い粒状物とを有する混合物を、前記被着体の表面に付着させる付着工程と、
前記粉体塗料を、前記粉体塗料の溶融温度以上であり、かつ、前記粒状物の溶融温度未満である温度で溶融させ、粒状物を表面に有するFRP成形品を得る溶融工程と
を具備する、粒状物を表面に有するFRP成形品の製造方法。
【0011】
(2)前記付着工程が、前記混合物を帯電させて静電気力により前記被着体の表面に付着させる付着工程である、上記(1)に記載の粒状物を表面に有するFRP成形品の製造方法。
【0012】
(3)上記(1)または(2)に記載の粒状物を表面に有するFRP成形品の製造方法により得られる、粒状物を表面に有するFRP成形品。
【0013】
(4)前記FRP成形品がパイプである、上記(3)に記載の粒状物を表面に有するFRP成形品。
【0014】
(5)前記FRP成形品が板状体である、上記(3)に記載の粒状物を表面に有するFRP成形品。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品の製造方法は、
マトリックス樹脂と繊維強化材とを金型に導いて引き抜き、FRPからなる被着体を得る引抜工程と、
粉体塗料と前記粉体塗料よりも溶融温度が高い粒状物とを有する混合物を、前記被着体の表面に付着させる付着工程と、
前記粉体塗料を、前記粉体塗料の溶融温度以上であり、かつ、前記粒状物の溶融温度未満である温度で溶融させ、粒状物を表面に有するFRP成形品を得る溶融工程と
を具備する。
【0016】
初めに、引抜工程について説明する。
引抜工程は、マトリックス樹脂と繊維強化材とを金型に導いて引き抜き、FRPからなる被着体を得る工程である。この引抜工程は、特に限定されず、従来公知のFRPの連続式引抜成形における引抜工程と同様の方法および条件で行うことができる。
マトリックス樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
マトリックス樹脂を含有する液は、硬化剤、顔料等の添加剤を含有することができる。
繊維強化材の材質としては、例えば、ガラス繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、鋼繊維が挙げられる。繊維強化材の形態としては、例えば、ロービング、ヤーン、モノフィラメント、マット、織物、ニットファブリック、スダレ等が挙げられる。
【0017】
マトリックス樹脂と繊維強化材とを金型に導く方法は、特に限定されない。例えば、マトリックス樹脂が付着した繊維強化材を金型に導く方法、マトリックス樹脂が付着した繊維強化材とマトリックス樹脂が付着していない繊維強化材とを金型に導く方法、マトリックス樹脂と繊維強化材とを別個に金型に導く方法が挙げられる。
マトリックス樹脂が付着した繊維強化材を得る方法としては、例えば、繊維強化材をマトリックス樹脂を含有する液に浸せきさせる方法が好適に挙げられる。繊維強化材をマトリックス樹脂を含有する液に浸せきさせると、繊維強化材の外表面にマトリックス樹脂が付着し、繊維強化材の形態によってはその内部にまでマトリックス樹脂が浸透する。
【0018】
マトリックス樹脂と繊維強化材とは、引き取り機等により、金型から引き抜かれて、FRPからなる被着体となる。
被着体は、形状、大きさ等を特に限定されない。被着体の形状としては、例えば、棒状、筒状(パイプ状)、板状、チャンネル状(断面がコの字型)、アングル状(断面がL字型)等が挙げられる。
金型としては、被着体の形状に応じたものが用いられる。
また、ロッド材やパイプ材の場合には、周方向の強度を向上させる目的で、マトリックス樹脂が付着した繊維強化材を金型に導く前に、別の繊維強化材を周囲に巻き付けるワインディングを行ってもよい。また、引抜工程の後に、ワインディングを行うこともできる。
【0019】
この引抜工程においては、通常、金型を加熱しておく。このようにすると、マトリックス樹脂と繊維強化材とを金型から引き抜いたときに、マトリックス樹脂が硬化した状態のFRPからなる被着体が得られる。
また、引抜工程の後にワインディングを行う場合、ワインディングを行った後に、遠赤外線加熱硬化、紫外線硬化等の硬化工程を更に設けるのが好ましい。
【0020】
つぎに、付着工程について説明する。
付着工程は、粉体塗料と前記粉体塗料よりも溶融温度が高い粒状物とを有する混合物を、上記被着体の表面に付着させる工程である。
本発明に用いられる粉体塗料は、粉体状の固形樹脂を成分とする塗料であり、後述する粒状物よりも溶融温度が低ければ特に限定されず、従来公知の粉体塗料を用いることができる。固形樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、これらの混合物(例えば、エポキシポリエステル樹脂、アクリルポリエステル樹脂、ウレタンポリエステル樹脂、フェノールエポキシ樹脂、ブロックイソシアネートポリエステル樹脂)等の熱硬化性樹脂;塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂)、フッ素樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。中でも、塗膜が付着した被着体がある程度、熱を持った状態で引き取り機に入ることから、塗膜の損傷を防ぐために、熱硬化性樹脂であるアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの混合物が好ましい。
【0021】
粉体塗料の粒径は、特に限定されないが、一般的には5〜100μmであり、約20μm付近の粒度分布の比率が最も高い。
粉体塗料は、硬化剤を含有することができる。硬化剤としては、例えば、ジフェニルジアミノメタン、ジフェニルジアミノスルホン等の芳香族アミン;無水トリメリット酸等の酸無水物;ジシアンジアミド;カルボン酸を含有するポリエステル樹脂が挙げられる。
【0022】
粉体塗料の溶融温度は、後述する粒状物の溶融温度よりも低ければ特に限定されない。本発明において、「粉体塗料の溶融温度」とは、固形樹脂として熱硬化性樹脂を用いた粉体塗料の場合は、熱硬化性樹脂の硬化前のプレポリマーの粉体が溶融する温度を意味し、固形樹脂として熱可塑性樹脂を用いた粉体塗料の場合は熱可塑性樹脂の融点を意味する。
固形樹脂として熱硬化性樹脂を用いた粉体塗料は、通常、150〜200℃でプレポリマーの粉体が溶融する。
粉体塗料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
本発明において粉体塗料を用いるのは、被着体との密着性が高く、かつ、安価であるため、生産効率に優れるためである。また、液体塗料を用いて浸せき、塗布等を行うと、膜厚等が均一にならなかったり、ダレが生じたりすることがあるからである。更に、粉体塗料と粒状物がともに粉体であるため、付着工程を1回行うだけで、成形品を得ることができるためでもある。
【0024】
本発明に用いられる粒状物は、上述した粉体塗料よりも溶融温度が高ければ特に限定されず、充填剤等として用いられている従来公知の粒状物を用いることができる。粒状物の材質としては、有機粒状物として、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリスルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、液状ポリエステル(LCP)樹脂等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化物が挙げられる。また、無機粒状物として、例えば、ケイ砂、セラミック系樹脂、ガラス粒子が挙げられる。更に、これらの2種以上の複合物も挙げられる。そのような複合物としては、例えば、ガラス繊維で強化された上記各樹脂を粉砕して得られる粒状物が挙げられる。
【0025】
中でも、溶融温度が高く、粉体塗料の選択の幅が広くなる点、付着工程において混合物を帯電させて静電気力により被着体の表面に付着させる方法を用いる場合において、体積抵抗率が1016Ω・cmと高く、帯電しやすい点、添加物(充填材、強化材等)と混ぜ込みやすい点、および、同等の耐熱性を有する他のスーパーエンジニアリングプラスチックと比べて安価である点で、PPS樹脂が好ましい。また、PPS樹脂とガラス繊維との複合物(コンパウンド)は、上述した利点に加え、得られる粒状物を表面に有するFRP成形品における凹凸が耐摩耗性に優れたものになる点からも好ましい。
粒状物の形状は、特に限定されず、球状、だ円球状、円筒状、円盤状、粉状、不定形状等が挙げられる。粒状物は、中空状、多孔質状であってもよい。
【0026】
粒状物の粒径は、特に限定されないが、得られる本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品の表面が滑りにくくなるという点、および、付着工程において粉体塗料とともに付着しやすいという点で、50μm以上であるのが好ましく、200μm以上であるのがより好ましく、また、1000μm以下であるのが好ましく、700μm以下であるのがより好ましい。
粒状物の比重は、特に限定されないが、0.4〜2.2であるのが好ましい。特に、一般的な粉体塗料の比重である1.1〜1.8であるのがより好ましい。
【0027】
粒状物の溶融温度は、上述した粉体塗料の溶融温度よりも高ければ特に限定されないが、150℃以上であるのが好ましく、200℃以上であるのがより好ましい。本発明において、「粒状物の溶融温度」とは、粒状物が熱可塑性樹脂の場合は融点を意味し、粒状物が熱硬化性樹脂の硬化物および無機粒状物の場合はその硬化物が溶融する温度を意味する。
粒状物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
本発明においては、粒状物は、上述した粉体塗料よりも溶融温度が高い。粉体塗料と粒状物の溶融温度の差は、10℃以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましい。
【0029】
上述した粉体塗料と上述した粒状物との組み合わせの好適例としては、固形樹脂としてアクリル樹脂を用いた粉体塗料(以下「アクリル系粉体塗料」という。)とPPS樹脂からなる粒状物との組み合わせ、アクリル系粉体塗料とフェノール樹脂からなる粒状物との組み合わせが挙げられる。
【0030】
粉体塗料と粒状物とを有する混合物は、粉体塗料、粒状物および必要に応じて添加される他の成分を混合して得ることができる。混合は、従来公知の混合機を用いて混合することができる。
混合物における粉体塗料および粒状物の量は、粉体塗料100質量部に対して粒状物1〜60質量部であるのが好ましい。特に、粒状物の比重が1.1〜1.8である場合には、5〜30質量部であるのがより好ましい。上記範囲であると、山から来る動物の被害を防止するための柵、建築現場の足場板等の用途において、より優れた機能を発揮する。
【0031】
付着工程においては、上述した混合物を、上述した被着体の表面に付着させる。
混合物を被着体の表面に付着させる方法は、特に限定されず、例えば、粉体塗装に従来用いられている方法において、粉体塗料の代わりに上述した混合物を用いる方法を用いることができる。
そのような方法としては、具体的には、例えば、混合物を被着体の表面にスプレーガンで吹き付けて付着させる方法(吹き付け法);混合物の中に被着体を浸せきさせる方法;空気等を用いて流動させた混合物の中に被着体を浸せきさせる方法(流動浸せき法);帯電させた混合物を被着体の表面にスプレーガンで吹き付けて静電気力により付着させる方法(静電吹き付け法);帯電させ、かつ、空気等を用いて流動させた混合物の中に被着体を浸せきさせ、静電気力により付着させる方法(静電流動浸せき法)が挙げられる。これらの方法において、混合物を帯電させる方法としては、例えば、摩擦帯電、はく離帯電、流動帯電、コロナ放電、誘導帯電、粉砕帯電が挙げられる。
中でも、上述した静電吹き付け法や静電流動浸せき法のような、混合物を帯電させて静電気力により被着体の表面に付着させる方法が、混合物と被着体とが互いに静電気力によって引き合うので、混合物の付着性に優れる点で、好ましい。
【0032】
つぎに、溶融工程について説明する。
溶融工程は、粉体塗料を、粉体塗料の溶融温度以上であり、かつ、粒状物の溶融温度未満である温度で溶融させ、粒状物を表面に有するFRP成形品を得る工程である。
粉体塗料を溶融させる温度は、粉体塗料の溶融温度以上であり、かつ、粒状物の溶融温度未満であるが、粉体塗料の全量を完全に溶融させるためには、粉体塗料の溶融温度より10℃以上高いのが好ましく、また、粒状物を全く溶融させないためには、かつ、粒状物の溶融温度より10℃以上低いのが好ましい。
【0033】
粉体塗料を溶融させる方法は、特に限定されず、例えば、粉体塗装に従来用いられている方法を用いることができる。具体的には、例えば、混合物を付着させる前に被着体をあらかじめ加熱しておく方法(予備加熱)、表面に混合物が付着した被着体を加熱する方法(後加熱)、予備加熱と後加熱とを併用する方法が挙げられる。また、引抜工程後の被着体は高温であるので、加熱せずにそのままの状態で粉体塗料を溶融させることもできる。これらは、混合物を被着体の表面に付着させる方法および引抜工程後の被着体の温度に合わせて適宜選択される。例えば、静電吹き付け法を用いる場合には、後加熱、および、予備加熱と後加熱とを併用する方法が好ましい。
被着体を加熱する方法は、特に限定されず、従来公知の加熱装置、例えば、近赤外加熱炉、遠赤外加熱炉を用いて行うことができる。
【0034】
具体的には、粉体塗料としてアクリル系粉体塗料を用い、粒状物としてPPSまたはフェノール樹脂からなるものを用いる場合には、160〜200℃で5〜30分の後加熱を行うのが好ましい。なお、予備加熱を行っている場合は、後加熱を上記温度範囲で1〜25分とすることができる。
【0035】
溶融工程により、粒状物を表面に有するFRP成形品が得られる。溶融工程の後には、粒状物を表面に有するFRP成形品を冷却して粉体塗料を硬化させる冷却工程を行うのが好ましい。この冷却工程は、特に限定されず、従来公知の粉体塗装における冷却工程と同様の方法および条件で行うことができる。
【0036】
冷却工程の後、更に、粒状物を表面に有するFRP成形品を所望の長さに切断する切断工程を行うことができる。この切断工程は、特に限定されず、従来公知のFRPの連続式引抜成形における切断工程と同様の方法および条件で行うことができる。
【0037】
本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品の製造方法においては、原料から、最終製品である粒状物を表面に有するFRP成形品までを連続的に生産することができるので、生産効率が極めて高くなる。それに加えて、被着体の予備加熱および後加熱に用いる熱エネルギーを減らすことができるので、製造装置および消費エネルギーの点でも生産効率に優れる。
【0038】
このようにして得られる本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品は、FRPの表面に、粉体塗料が溶融して形成された膜を有し、この膜に粒状物を含有している。ここで、膜厚、粒状物の粒径、膜および粒状物の比重等を適宜調整することにより、FRP成形品の表面に所望の凹凸を形成させることができる。
本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品においては、粒状物の粒径、形成させる凹凸の程度等にもよるが、一般に、膜厚が50μm以上であるのが好ましく、100μm以上であるのがより好ましく、また、2000μm以下であるのが好ましく、1000μm以下であるのがより好ましい。特に、粒状物の粒径が200〜700μmである場合には、膜厚が100〜1000μmであるのが好ましい。上記範囲であると、滑りにくさが優れたものとなる。
【0039】
膜中の粒状物の存在状態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品の一例の表面付近の部分断面図である。
図1に示される粒状物を表面に有するFRP成形品2は、FRPのマトリックス樹脂の層4の上に粉体塗料の膜6を有し、粉体塗料の膜6の中に粒状物8を有している。図1に示されるように、粒状物8は、マトリックス樹脂の層4に接触していてもよく、粉体塗料の膜6中に浮いた状態で硬化していてもよい。また、粒状物8は、その一部が粉体塗料の膜6の表面に露出していてもよく、完全に粉体塗料の膜6に被覆されていてもよい。
なお、図1においては、上述した種々の存在状態が混在しているが、本発明においては、それぞれの状態が単独で存在していてもよく、各状態の2種以上が混在していてもよい。
【0040】
本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品は、表面が凹凸を有していて滑りにくいため、種々の用途に用いられる。
例えば、本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品がパイプである場合、表面が凹凸を有していて滑りにくいため、山から来る動物の被害を防止するための柵として好適に用いられる。また、本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品がパイプである場合、表面が凹凸を有していて滑りにくいため、建築現場の足場板として好適に用いられる。したがって、FRP成形品がパイプまたは板であるのは、本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品の好適な態様の例である。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
図2に示される装置を用いて、本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品の製造方法を行った。図2は、本発明に好適に用いることができる粒状物を表面に有するFRP成形品の製造装置の一例の模式図である。以下、図面を用いて説明する。
図2に示される粒状物を表面に有するFRP成形品の製造装置10は、マトリックス樹脂を含有する液14の貯留槽13と、金型16と、遠赤外加熱炉20と、粉体塗料吹き付け装置22と、近赤外加熱炉24と、冷却装置28と、引き取り機30と、切断機32とを具備する。
【0042】
初めに、ガラス繊維ロービング12を貯留槽13に貯留されたマトリックス樹脂を含有する液14に浸せきさせて、マトリックス樹脂が付着したガラス繊維ロービング12を得た。マトリックス樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂を用いた。
このマトリックス樹脂が付着したガラス繊維ロービング12を引き上げ、マトリックス樹脂を含有する液14から引き上げ、金型16に導く一方で、マトリックス樹脂が付着していないガラス繊維マット18を金型16に導き、両者を合わせて引き抜き、FRPからなる被着体19を得た(引抜工程)。被着体19は、内径54mm、外径63mm、厚さ4.5mmのパイプ状とした。
【0043】
ついで、FRPからなる被着体19を遠近赤外加熱炉20の中で、約2分間、予備加熱した。
【0044】
更に、粉体塗料吹き付け装置22で、静電吹き付け法により、粉体塗料と粒状物の混合物21を、被着体19の表面に付着させた(付着工程)。具体的には、帯電させた混合物21を、被着体19の表面に、スプレーガン23で4方向から各方向につき70g/分の割合で吹き付けて、静電気力により付着させた。スプレーガン23は被着体19よりも電位を低した。電位差は−60kVとした。
【0045】
粉体塗料としては、アクリル系粉体塗料(エバクラッド#5000白、関西ペイント社製、比重1.4、溶融温度150℃)を用いた。粒状物としては、PPS樹脂(ASAHI−PPS、旭硝子マテックス(株)製、平均粒径400μm、比重1.6、溶融温度260℃、体積抵抗率1016Ω・cm)、フェノール樹脂の硬化物の粉砕物(平均粒径400μm(26メッシュのふるいを通過し、40メッシュのふるいを通過しなかったもの)、体積抵抗率1013Ω・cm)およびケイ砂(ケイ砂6号、平均粒径400μm、比重2.65、溶融温度1725℃、体積抵抗率1018Ω・cm)の3種をそれぞれ用いた。混合物は、粉体塗料100質量部に対して粒状物10質量部の割合で混合して得た。
【0046】
更に、近赤外加熱炉24の中で、180℃で約10分間加熱して、粉体塗料を溶融させ、粒状物を表面に有するFRP成形品26を得た(溶融工程)。
その後、粒状物を表面に有するFRP成形品26を冷却装置28において冷却させた(冷却工程)。具体的には、水をスプレーで噴霧した。
上述した各工程における、粒状物を表面に有するFRP成形品26(混合物を付着させる前においては被着体19、マトリックス樹脂を含有する液に含浸させる前においてはガラス繊維ロービング12)の移動は、冷却装置28の下流側に配置された引き取り機30により行った。引き取り速度は、60cm/分であった。
引き取り機30の更に下流側において、切断機32を用いて、冷却された粒状物を表面に有するFRP成形品26を切断して、パイプを得た(切断工程)。
【0047】
異なる粒状物を用いて得た3種のパイプは、いずれも表面に粒状物に起因する凹凸を有していた。中でも、粒状物としてPPS樹脂を用いた場合およびフェノール樹脂の硬化物の粉砕物を用いた場合は粒状物の付着量が多く、表面が特に滑りにくかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、表面が滑りにくいFRP成形品を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品の一例の表面付近の部分断面図である。
【図2】図2は、本発明に好適に用いることができる粒状物を表面に有するFRP成形品の製造装置の一例の模式図である。
【符号の説明】
2、26 粒状物を表面に有するFRP成形品
4 マトリックス樹脂の層
6 粉体塗料の膜
8 粒状物
10 粒状物を表面に有するFRP成形品の製造装置
12 ガラス繊維ロービング
13 貯留槽
14 マトリックス樹脂
16 金型
18 ガラス繊維マット
19 被着体
20 遠赤外加熱炉
21 混合物
22 粉体塗料吹き付け装置
23 スプレーガン
24 近赤外加熱炉
28 冷却装置
30 引き取り機
32 切断機
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒状物を表面に有する繊維強化プラスチック成形品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics、以下「FRP」という。)は、強度が高いこと、比較的軽い材料であること、腐食しないこと等の利点を有するため、多様な用途に用いられている。
【0003】
例えば、従来、山沿いの地域において、山から来るシカ、イノシシ等の動物が畑等に侵入して被害を加えることが問題となっており、これを防止するため、畑の周囲等に柵を設けることが行われているが、このような柵として、一般に、繊維強化プラスチック成形品(以下「FRP成形品」という。)のパイプを支柱とし、支柱間にネットまたは電気を通すためのワイヤーを結びつけて張ったものが用いられている。
しかしながら、この柵は、FRP成形品のパイプの表面が平滑なため、ネットをくくりつける紐またはワイヤーがパイプに結びつけられた部分で滑り落ちることがあるという問題を有していた。
【0004】
これに対し、外表面に熱可塑性樹脂を被覆させたFRP成形品のパイプに、ネットまたはワイヤーを結びつけた柵が提案されている。この柵は、パイプの外表面に凹凸のある熱可塑性樹脂層を有しているので、結びつけられたネットをくくりつける紐またはワイヤーが凹凸に引っかかり、滑り落ちない。
しかしながら、この柵は、支柱の構成材料として熱可塑性樹脂が用いられている部分が多いので、FRPのみで構成された支柱を用いる場合に比べて、強度および剛性が弱いという問題があった。
したがって、上述した柵に用いることを目的として、熱可塑性樹脂の被覆を行わなくても表面が滑りにくいFRPからなるパイプが求められている。
【0005】
また、FRPの上記利点を活かした別の用途として、建築現場で用いられる足場板が挙げられるが、この足場板にも表面が滑りにくいことが求められている。即ち、FRP成形品には、表面が滑りにくいことが求められる種々の用途が存在している。
【0006】
一方、表面に凹凸を持たせて滑りにくくした物を製造する方法については、種々の提案がされている。
例えば、特許文献1には、常温で固体の熱硬化型の塗膜形成樹脂(A)とフッ素樹脂(B)を含み、フッ素樹脂(B)が塗膜形成樹脂(A)の溶融温度および硬化温度において溶融せず、塗膜形成樹脂(A)がフッ素樹脂(B)に融着している凹凸模様形成性粉体塗料を用いて、フッ素樹脂(B)の溶融温度未満の温度で塗膜形成樹脂(A)を加熱硬化させて塗膜を形成させる方法が記載されている。
しかしながら、上記方法には、生産効率が悪いという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−123104号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、表面が滑りにくいFRP成形品を効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。
【0010】
(1)マトリックス樹脂と繊維強化材とを金型に導いて引き抜き、FRPからなる被着体を得る引抜工程と、
粉体塗料と前記粉体塗料よりも溶融温度が高い粒状物とを有する混合物を、前記被着体の表面に付着させる付着工程と、
前記粉体塗料を、前記粉体塗料の溶融温度以上であり、かつ、前記粒状物の溶融温度未満である温度で溶融させ、粒状物を表面に有するFRP成形品を得る溶融工程と
を具備する、粒状物を表面に有するFRP成形品の製造方法。
【0011】
(2)前記付着工程が、前記混合物を帯電させて静電気力により前記被着体の表面に付着させる付着工程である、上記(1)に記載の粒状物を表面に有するFRP成形品の製造方法。
【0012】
(3)上記(1)または(2)に記載の粒状物を表面に有するFRP成形品の製造方法により得られる、粒状物を表面に有するFRP成形品。
【0013】
(4)前記FRP成形品がパイプである、上記(3)に記載の粒状物を表面に有するFRP成形品。
【0014】
(5)前記FRP成形品が板状体である、上記(3)に記載の粒状物を表面に有するFRP成形品。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品の製造方法は、
マトリックス樹脂と繊維強化材とを金型に導いて引き抜き、FRPからなる被着体を得る引抜工程と、
粉体塗料と前記粉体塗料よりも溶融温度が高い粒状物とを有する混合物を、前記被着体の表面に付着させる付着工程と、
前記粉体塗料を、前記粉体塗料の溶融温度以上であり、かつ、前記粒状物の溶融温度未満である温度で溶融させ、粒状物を表面に有するFRP成形品を得る溶融工程と
を具備する。
【0016】
初めに、引抜工程について説明する。
引抜工程は、マトリックス樹脂と繊維強化材とを金型に導いて引き抜き、FRPからなる被着体を得る工程である。この引抜工程は、特に限定されず、従来公知のFRPの連続式引抜成形における引抜工程と同様の方法および条件で行うことができる。
マトリックス樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
マトリックス樹脂を含有する液は、硬化剤、顔料等の添加剤を含有することができる。
繊維強化材の材質としては、例えば、ガラス繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、鋼繊維が挙げられる。繊維強化材の形態としては、例えば、ロービング、ヤーン、モノフィラメント、マット、織物、ニットファブリック、スダレ等が挙げられる。
【0017】
マトリックス樹脂と繊維強化材とを金型に導く方法は、特に限定されない。例えば、マトリックス樹脂が付着した繊維強化材を金型に導く方法、マトリックス樹脂が付着した繊維強化材とマトリックス樹脂が付着していない繊維強化材とを金型に導く方法、マトリックス樹脂と繊維強化材とを別個に金型に導く方法が挙げられる。
マトリックス樹脂が付着した繊維強化材を得る方法としては、例えば、繊維強化材をマトリックス樹脂を含有する液に浸せきさせる方法が好適に挙げられる。繊維強化材をマトリックス樹脂を含有する液に浸せきさせると、繊維強化材の外表面にマトリックス樹脂が付着し、繊維強化材の形態によってはその内部にまでマトリックス樹脂が浸透する。
【0018】
マトリックス樹脂と繊維強化材とは、引き取り機等により、金型から引き抜かれて、FRPからなる被着体となる。
被着体は、形状、大きさ等を特に限定されない。被着体の形状としては、例えば、棒状、筒状(パイプ状)、板状、チャンネル状(断面がコの字型)、アングル状(断面がL字型)等が挙げられる。
金型としては、被着体の形状に応じたものが用いられる。
また、ロッド材やパイプ材の場合には、周方向の強度を向上させる目的で、マトリックス樹脂が付着した繊維強化材を金型に導く前に、別の繊維強化材を周囲に巻き付けるワインディングを行ってもよい。また、引抜工程の後に、ワインディングを行うこともできる。
【0019】
この引抜工程においては、通常、金型を加熱しておく。このようにすると、マトリックス樹脂と繊維強化材とを金型から引き抜いたときに、マトリックス樹脂が硬化した状態のFRPからなる被着体が得られる。
また、引抜工程の後にワインディングを行う場合、ワインディングを行った後に、遠赤外線加熱硬化、紫外線硬化等の硬化工程を更に設けるのが好ましい。
【0020】
つぎに、付着工程について説明する。
付着工程は、粉体塗料と前記粉体塗料よりも溶融温度が高い粒状物とを有する混合物を、上記被着体の表面に付着させる工程である。
本発明に用いられる粉体塗料は、粉体状の固形樹脂を成分とする塗料であり、後述する粒状物よりも溶融温度が低ければ特に限定されず、従来公知の粉体塗料を用いることができる。固形樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、これらの混合物(例えば、エポキシポリエステル樹脂、アクリルポリエステル樹脂、ウレタンポリエステル樹脂、フェノールエポキシ樹脂、ブロックイソシアネートポリエステル樹脂)等の熱硬化性樹脂;塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂)、フッ素樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。中でも、塗膜が付着した被着体がある程度、熱を持った状態で引き取り機に入ることから、塗膜の損傷を防ぐために、熱硬化性樹脂であるアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの混合物が好ましい。
【0021】
粉体塗料の粒径は、特に限定されないが、一般的には5〜100μmであり、約20μm付近の粒度分布の比率が最も高い。
粉体塗料は、硬化剤を含有することができる。硬化剤としては、例えば、ジフェニルジアミノメタン、ジフェニルジアミノスルホン等の芳香族アミン;無水トリメリット酸等の酸無水物;ジシアンジアミド;カルボン酸を含有するポリエステル樹脂が挙げられる。
【0022】
粉体塗料の溶融温度は、後述する粒状物の溶融温度よりも低ければ特に限定されない。本発明において、「粉体塗料の溶融温度」とは、固形樹脂として熱硬化性樹脂を用いた粉体塗料の場合は、熱硬化性樹脂の硬化前のプレポリマーの粉体が溶融する温度を意味し、固形樹脂として熱可塑性樹脂を用いた粉体塗料の場合は熱可塑性樹脂の融点を意味する。
固形樹脂として熱硬化性樹脂を用いた粉体塗料は、通常、150〜200℃でプレポリマーの粉体が溶融する。
粉体塗料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
本発明において粉体塗料を用いるのは、被着体との密着性が高く、かつ、安価であるため、生産効率に優れるためである。また、液体塗料を用いて浸せき、塗布等を行うと、膜厚等が均一にならなかったり、ダレが生じたりすることがあるからである。更に、粉体塗料と粒状物がともに粉体であるため、付着工程を1回行うだけで、成形品を得ることができるためでもある。
【0024】
本発明に用いられる粒状物は、上述した粉体塗料よりも溶融温度が高ければ特に限定されず、充填剤等として用いられている従来公知の粒状物を用いることができる。粒状物の材質としては、有機粒状物として、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリスルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、液状ポリエステル(LCP)樹脂等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化物が挙げられる。また、無機粒状物として、例えば、ケイ砂、セラミック系樹脂、ガラス粒子が挙げられる。更に、これらの2種以上の複合物も挙げられる。そのような複合物としては、例えば、ガラス繊維で強化された上記各樹脂を粉砕して得られる粒状物が挙げられる。
【0025】
中でも、溶融温度が高く、粉体塗料の選択の幅が広くなる点、付着工程において混合物を帯電させて静電気力により被着体の表面に付着させる方法を用いる場合において、体積抵抗率が1016Ω・cmと高く、帯電しやすい点、添加物(充填材、強化材等)と混ぜ込みやすい点、および、同等の耐熱性を有する他のスーパーエンジニアリングプラスチックと比べて安価である点で、PPS樹脂が好ましい。また、PPS樹脂とガラス繊維との複合物(コンパウンド)は、上述した利点に加え、得られる粒状物を表面に有するFRP成形品における凹凸が耐摩耗性に優れたものになる点からも好ましい。
粒状物の形状は、特に限定されず、球状、だ円球状、円筒状、円盤状、粉状、不定形状等が挙げられる。粒状物は、中空状、多孔質状であってもよい。
【0026】
粒状物の粒径は、特に限定されないが、得られる本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品の表面が滑りにくくなるという点、および、付着工程において粉体塗料とともに付着しやすいという点で、50μm以上であるのが好ましく、200μm以上であるのがより好ましく、また、1000μm以下であるのが好ましく、700μm以下であるのがより好ましい。
粒状物の比重は、特に限定されないが、0.4〜2.2であるのが好ましい。特に、一般的な粉体塗料の比重である1.1〜1.8であるのがより好ましい。
【0027】
粒状物の溶融温度は、上述した粉体塗料の溶融温度よりも高ければ特に限定されないが、150℃以上であるのが好ましく、200℃以上であるのがより好ましい。本発明において、「粒状物の溶融温度」とは、粒状物が熱可塑性樹脂の場合は融点を意味し、粒状物が熱硬化性樹脂の硬化物および無機粒状物の場合はその硬化物が溶融する温度を意味する。
粒状物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
本発明においては、粒状物は、上述した粉体塗料よりも溶融温度が高い。粉体塗料と粒状物の溶融温度の差は、10℃以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましい。
【0029】
上述した粉体塗料と上述した粒状物との組み合わせの好適例としては、固形樹脂としてアクリル樹脂を用いた粉体塗料(以下「アクリル系粉体塗料」という。)とPPS樹脂からなる粒状物との組み合わせ、アクリル系粉体塗料とフェノール樹脂からなる粒状物との組み合わせが挙げられる。
【0030】
粉体塗料と粒状物とを有する混合物は、粉体塗料、粒状物および必要に応じて添加される他の成分を混合して得ることができる。混合は、従来公知の混合機を用いて混合することができる。
混合物における粉体塗料および粒状物の量は、粉体塗料100質量部に対して粒状物1〜60質量部であるのが好ましい。特に、粒状物の比重が1.1〜1.8である場合には、5〜30質量部であるのがより好ましい。上記範囲であると、山から来る動物の被害を防止するための柵、建築現場の足場板等の用途において、より優れた機能を発揮する。
【0031】
付着工程においては、上述した混合物を、上述した被着体の表面に付着させる。
混合物を被着体の表面に付着させる方法は、特に限定されず、例えば、粉体塗装に従来用いられている方法において、粉体塗料の代わりに上述した混合物を用いる方法を用いることができる。
そのような方法としては、具体的には、例えば、混合物を被着体の表面にスプレーガンで吹き付けて付着させる方法(吹き付け法);混合物の中に被着体を浸せきさせる方法;空気等を用いて流動させた混合物の中に被着体を浸せきさせる方法(流動浸せき法);帯電させた混合物を被着体の表面にスプレーガンで吹き付けて静電気力により付着させる方法(静電吹き付け法);帯電させ、かつ、空気等を用いて流動させた混合物の中に被着体を浸せきさせ、静電気力により付着させる方法(静電流動浸せき法)が挙げられる。これらの方法において、混合物を帯電させる方法としては、例えば、摩擦帯電、はく離帯電、流動帯電、コロナ放電、誘導帯電、粉砕帯電が挙げられる。
中でも、上述した静電吹き付け法や静電流動浸せき法のような、混合物を帯電させて静電気力により被着体の表面に付着させる方法が、混合物と被着体とが互いに静電気力によって引き合うので、混合物の付着性に優れる点で、好ましい。
【0032】
つぎに、溶融工程について説明する。
溶融工程は、粉体塗料を、粉体塗料の溶融温度以上であり、かつ、粒状物の溶融温度未満である温度で溶融させ、粒状物を表面に有するFRP成形品を得る工程である。
粉体塗料を溶融させる温度は、粉体塗料の溶融温度以上であり、かつ、粒状物の溶融温度未満であるが、粉体塗料の全量を完全に溶融させるためには、粉体塗料の溶融温度より10℃以上高いのが好ましく、また、粒状物を全く溶融させないためには、かつ、粒状物の溶融温度より10℃以上低いのが好ましい。
【0033】
粉体塗料を溶融させる方法は、特に限定されず、例えば、粉体塗装に従来用いられている方法を用いることができる。具体的には、例えば、混合物を付着させる前に被着体をあらかじめ加熱しておく方法(予備加熱)、表面に混合物が付着した被着体を加熱する方法(後加熱)、予備加熱と後加熱とを併用する方法が挙げられる。また、引抜工程後の被着体は高温であるので、加熱せずにそのままの状態で粉体塗料を溶融させることもできる。これらは、混合物を被着体の表面に付着させる方法および引抜工程後の被着体の温度に合わせて適宜選択される。例えば、静電吹き付け法を用いる場合には、後加熱、および、予備加熱と後加熱とを併用する方法が好ましい。
被着体を加熱する方法は、特に限定されず、従来公知の加熱装置、例えば、近赤外加熱炉、遠赤外加熱炉を用いて行うことができる。
【0034】
具体的には、粉体塗料としてアクリル系粉体塗料を用い、粒状物としてPPSまたはフェノール樹脂からなるものを用いる場合には、160〜200℃で5〜30分の後加熱を行うのが好ましい。なお、予備加熱を行っている場合は、後加熱を上記温度範囲で1〜25分とすることができる。
【0035】
溶融工程により、粒状物を表面に有するFRP成形品が得られる。溶融工程の後には、粒状物を表面に有するFRP成形品を冷却して粉体塗料を硬化させる冷却工程を行うのが好ましい。この冷却工程は、特に限定されず、従来公知の粉体塗装における冷却工程と同様の方法および条件で行うことができる。
【0036】
冷却工程の後、更に、粒状物を表面に有するFRP成形品を所望の長さに切断する切断工程を行うことができる。この切断工程は、特に限定されず、従来公知のFRPの連続式引抜成形における切断工程と同様の方法および条件で行うことができる。
【0037】
本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品の製造方法においては、原料から、最終製品である粒状物を表面に有するFRP成形品までを連続的に生産することができるので、生産効率が極めて高くなる。それに加えて、被着体の予備加熱および後加熱に用いる熱エネルギーを減らすことができるので、製造装置および消費エネルギーの点でも生産効率に優れる。
【0038】
このようにして得られる本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品は、FRPの表面に、粉体塗料が溶融して形成された膜を有し、この膜に粒状物を含有している。ここで、膜厚、粒状物の粒径、膜および粒状物の比重等を適宜調整することにより、FRP成形品の表面に所望の凹凸を形成させることができる。
本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品においては、粒状物の粒径、形成させる凹凸の程度等にもよるが、一般に、膜厚が50μm以上であるのが好ましく、100μm以上であるのがより好ましく、また、2000μm以下であるのが好ましく、1000μm以下であるのがより好ましい。特に、粒状物の粒径が200〜700μmである場合には、膜厚が100〜1000μmであるのが好ましい。上記範囲であると、滑りにくさが優れたものとなる。
【0039】
膜中の粒状物の存在状態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品の一例の表面付近の部分断面図である。
図1に示される粒状物を表面に有するFRP成形品2は、FRPのマトリックス樹脂の層4の上に粉体塗料の膜6を有し、粉体塗料の膜6の中に粒状物8を有している。図1に示されるように、粒状物8は、マトリックス樹脂の層4に接触していてもよく、粉体塗料の膜6中に浮いた状態で硬化していてもよい。また、粒状物8は、その一部が粉体塗料の膜6の表面に露出していてもよく、完全に粉体塗料の膜6に被覆されていてもよい。
なお、図1においては、上述した種々の存在状態が混在しているが、本発明においては、それぞれの状態が単独で存在していてもよく、各状態の2種以上が混在していてもよい。
【0040】
本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品は、表面が凹凸を有していて滑りにくいため、種々の用途に用いられる。
例えば、本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品がパイプである場合、表面が凹凸を有していて滑りにくいため、山から来る動物の被害を防止するための柵として好適に用いられる。また、本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品がパイプである場合、表面が凹凸を有していて滑りにくいため、建築現場の足場板として好適に用いられる。したがって、FRP成形品がパイプまたは板であるのは、本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品の好適な態様の例である。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
図2に示される装置を用いて、本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品の製造方法を行った。図2は、本発明に好適に用いることができる粒状物を表面に有するFRP成形品の製造装置の一例の模式図である。以下、図面を用いて説明する。
図2に示される粒状物を表面に有するFRP成形品の製造装置10は、マトリックス樹脂を含有する液14の貯留槽13と、金型16と、遠赤外加熱炉20と、粉体塗料吹き付け装置22と、近赤外加熱炉24と、冷却装置28と、引き取り機30と、切断機32とを具備する。
【0042】
初めに、ガラス繊維ロービング12を貯留槽13に貯留されたマトリックス樹脂を含有する液14に浸せきさせて、マトリックス樹脂が付着したガラス繊維ロービング12を得た。マトリックス樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂を用いた。
このマトリックス樹脂が付着したガラス繊維ロービング12を引き上げ、マトリックス樹脂を含有する液14から引き上げ、金型16に導く一方で、マトリックス樹脂が付着していないガラス繊維マット18を金型16に導き、両者を合わせて引き抜き、FRPからなる被着体19を得た(引抜工程)。被着体19は、内径54mm、外径63mm、厚さ4.5mmのパイプ状とした。
【0043】
ついで、FRPからなる被着体19を遠近赤外加熱炉20の中で、約2分間、予備加熱した。
【0044】
更に、粉体塗料吹き付け装置22で、静電吹き付け法により、粉体塗料と粒状物の混合物21を、被着体19の表面に付着させた(付着工程)。具体的には、帯電させた混合物21を、被着体19の表面に、スプレーガン23で4方向から各方向につき70g/分の割合で吹き付けて、静電気力により付着させた。スプレーガン23は被着体19よりも電位を低した。電位差は−60kVとした。
【0045】
粉体塗料としては、アクリル系粉体塗料(エバクラッド#5000白、関西ペイント社製、比重1.4、溶融温度150℃)を用いた。粒状物としては、PPS樹脂(ASAHI−PPS、旭硝子マテックス(株)製、平均粒径400μm、比重1.6、溶融温度260℃、体積抵抗率1016Ω・cm)、フェノール樹脂の硬化物の粉砕物(平均粒径400μm(26メッシュのふるいを通過し、40メッシュのふるいを通過しなかったもの)、体積抵抗率1013Ω・cm)およびケイ砂(ケイ砂6号、平均粒径400μm、比重2.65、溶融温度1725℃、体積抵抗率1018Ω・cm)の3種をそれぞれ用いた。混合物は、粉体塗料100質量部に対して粒状物10質量部の割合で混合して得た。
【0046】
更に、近赤外加熱炉24の中で、180℃で約10分間加熱して、粉体塗料を溶融させ、粒状物を表面に有するFRP成形品26を得た(溶融工程)。
その後、粒状物を表面に有するFRP成形品26を冷却装置28において冷却させた(冷却工程)。具体的には、水をスプレーで噴霧した。
上述した各工程における、粒状物を表面に有するFRP成形品26(混合物を付着させる前においては被着体19、マトリックス樹脂を含有する液に含浸させる前においてはガラス繊維ロービング12)の移動は、冷却装置28の下流側に配置された引き取り機30により行った。引き取り速度は、60cm/分であった。
引き取り機30の更に下流側において、切断機32を用いて、冷却された粒状物を表面に有するFRP成形品26を切断して、パイプを得た(切断工程)。
【0047】
異なる粒状物を用いて得た3種のパイプは、いずれも表面に粒状物に起因する凹凸を有していた。中でも、粒状物としてPPS樹脂を用いた場合およびフェノール樹脂の硬化物の粉砕物を用いた場合は粒状物の付着量が多く、表面が特に滑りにくかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、表面が滑りにくいFRP成形品を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の粒状物を表面に有するFRP成形品の一例の表面付近の部分断面図である。
【図2】図2は、本発明に好適に用いることができる粒状物を表面に有するFRP成形品の製造装置の一例の模式図である。
【符号の説明】
2、26 粒状物を表面に有するFRP成形品
4 マトリックス樹脂の層
6 粉体塗料の膜
8 粒状物
10 粒状物を表面に有するFRP成形品の製造装置
12 ガラス繊維ロービング
13 貯留槽
14 マトリックス樹脂
16 金型
18 ガラス繊維マット
19 被着体
20 遠赤外加熱炉
21 混合物
22 粉体塗料吹き付け装置
23 スプレーガン
24 近赤外加熱炉
28 冷却装置
30 引き取り機
32 切断機
Claims (5)
- マトリックス樹脂と繊維強化材とを金型に導いて引き抜き、繊維強化プラスチックからなる被着体を得る引抜工程と、
粉体塗料と前記粉体塗料よりも溶融温度が高い粒状物とを有する混合物を、前記被着体の表面に付着させる付着工程と、
前記粉体塗料を、前記粉体塗料の溶融温度以上であり、かつ、前記粒状物の溶融温度未満である温度で溶融させ、粒状物を表面に有する繊維強化プラスチック成形品を得る溶融工程と
を具備する、粒状物を表面に有する繊維強化プラスチック成形品の製造方法。 - 前記付着工程が、前記混合物を帯電させて静電気力により前記被着体の表面に付着させる付着工程である、請求項1に記載の粒状物を表面に有する繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
- 請求項1または2のいずれかに記載の粒状物を表面に有する繊維強化プラスチック成形品の製造方法により得られる、粒状物を表面に有する繊維強化プラスチック成形品。
- 前記繊維強化プラスチック成形品がパイプである、請求項3に記載の粒状物を表面に有する繊維強化プラスチック成形品。
- 前記繊維強化プラスチック成形品が板状体である、請求項3に記載の粒状物を表面に有する繊維強化プラスチック成形品。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101939137B1 (ko) * | 2017-12-06 | 2019-04-11 | (주)필택산업 | 요철부분을 갖는 에프알피 판재 제조방법 |
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