JP2004266765A - 音叉型振動片及び圧電デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】落下衝撃試験に対して安定した周波数特性が得られ、CI値のバラツキを小さくできるようにする。
【解決手段】音叉型振動片10は、基部11と、この基部11から突出して形成されている振動腕部12、13とを備え、振動腕部12、13の表面部及び裏面部に溝部14、15を有する。音叉型振動片10は、振動腕部12、13の幅をW1、振動腕部12、13の間隔をW2、基部11の幅をW0、基部11の長さをLk、全長をLoとすると、(2×W1+W2)≦W0≦3×(2×W1+W2)であって、かつ、0.1×Lo≦Lk≦0.5×Loとしたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】音叉型振動片10は、基部11と、この基部11から突出して形成されている振動腕部12、13とを備え、振動腕部12、13の表面部及び裏面部に溝部14、15を有する。音叉型振動片10は、振動腕部12、13の幅をW1、振動腕部12、13の間隔をW2、基部11の幅をW0、基部11の長さをLk、全長をLoとすると、(2×W1+W2)≦W0≦3×(2×W1+W2)であって、かつ、0.1×Lo≦Lk≦0.5×Loとしたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば水晶などの圧電材料からなる音叉型振動片及び圧電デバイスに関する。
【0002】
【従来技術】
圧電振動子、特に音叉型振動子は、正確なクロック周波数を簡易に得ることができるものとして知られている。
図9は従来の音叉型振動子に用いられる音叉型振動片の一例を示す概略図である。従来の音叉型振動片100は、図9に示すように、基部110と、この基部110から突出して形成されている振動腕部121、122とを備えている。音叉型振動片100は、振動腕部121、122の表面部及び裏面部に溝部123、124が形成されているとともに、前記基部110に切込み部125、125が形成されているものが提案されている(特許文献1)。
【0003】
従来の他の音叉型振動子は、基部と、この基部から突出して形成されている振動腕部とを備え、かつ、振動腕部の幅Wと振動腕部の長さLの比W/Lが0.2以上の音叉型振動子において、前記基部の長さLbは振動腕部の長さLよりも長いものが提案されている(特許文献2)。
【0004】
従来の音叉型振動片100は、水晶などの圧電材料で形成され、例えば略30kHzないし略40kHzで発振するようにしてある。また、振動腕部121、122はそれぞれ断面が矩形状であり、その振動腕部121、122の表面部の短辺である腕部幅Wが50μm以上150μm以下のものを使用している。さらに、前記振動腕部121、122の表面部及び裏面部に設けられた溝部123、124の深さは、前記振動腕部121、122の深さ方向の全長である厚みdに対して30%以上50%以下に形成されている。また、前記振動腕部121、122の表面部及び裏面部に設けられた溝部123、124の幅は、振動腕部121、122の幅の40%以上70%以下に形成されている。音叉型振動片100は、振動腕部121、122の各面に電極膜をスパッタリング等で形成される。音叉型振動片100は、パッケージ内に収容されることにより音叉型振動子とされる。このとき、各振動腕部121、122に形成された電極膜がパッケージ側の電極に電気的に接続される。
【0005】
上記従来の音叉型振動片100をパッケージ内に収容してなる音叉型振動子では、切込み部125、125を設けて垂直振動成分の影響を抑制するようにしている。また、切込み部125を設けることにより、基部110を短くしてもCI値(クリスタルインピーダンス値)のバラツキが安定するとともに、音叉型振動片100の全体も小型化できるという利点があった。
【0006】
従来の他の音叉型振動子も、振動腕部の幅Wと振動腕部の長さLの比W/Lが0.2以上で、前記基部の長さLbは振動腕部の長さLよりも長い構造にしたので、振動漏れがなく、低い等価抵抗と、高いQ値、安定した周波数径時変化持つことができるという利点があった。
【0007】
【特許文献1】特開2002−261575号公報(第1図ないし第4図、段落番号〔0045〕以降)
【特許文献2】特開昭59−36413号公報(明細書及び第1図ないし第5図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の音叉型振動片100は、振動腕部121、122の幅Wについては規定しているものの、基部110の長さや幅を規定しておらず、特性の安定限界が不明で、製造する上で特性のばらつきを生ずるなどの不都合を生ずる。また、従来の他の音叉型振動子の場合には、確かに、振動腕部の幅と長さを規定し、かつ、振動腕部長さに対する基部の長を規定したものがあるが、具体的な値を示したものではなく、また、基部長さと落下衝撃試験に対する安定性との関係が明らかでなく、結局、製造する上の目安とならないという不都合があった。
本発明は上記問題に鑑み、落下衝撃試験に対して安定した周波数特性が得られ、CI値のバラツキを小さくできるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決しようとする手段】
本発明者は、音叉型振動片の厚みdを変えるとともに、当該厚みdにおける振動腕部の幅W1及び両振動腕部の間隔W2と基部幅W0との関係を変化させ、かつ、前記基部の長さLkと、全長(基部長さLkと振動腕部の長さとの和)Loとの比を変化させてある一定個数の音叉型振動片のCI値を測定し、CI値のバラツキ(標準偏差σ)を調べ、また、落下衝撃試験前後での発振周波数の周波数変化率を調べた。これらの結果を基に本発明に至る知見を得たものである。以下、説明する。
【0010】
上記目的を達成する本発明に係る音叉型振動片は、基部と、この基部から突出して形成されている振動腕部とを備え、前記振動腕部の表面部及び裏面部に溝部を形成してなる音叉型振動片であって、前記振動腕部の幅をW1、前記振動腕部間の間隔をW2、前記基部の幅をW0、前記基部の長さをLk、前記基部の長さと前記振動腕部の長さとの和をLoとすると、(2×W1+W2)≦W0≦3×(2×W1+W2)であって、かつ、0.1×Lo≦Lk≦0.5×Loとしたことを特徴としている。これにより、落下衝撃試験に対して安定した周波数特性が得られ、かつ、CI値のバラツキの小さい音叉型振動片を得る事ができる。
【0011】
そして、基部及び振動腕部は、厚さが80μm以上130μm以下であることが望ましい。厚さが80μmより小さいと、取り扱いが困難で破損しやすい。また、厚さが130μmより大きくなると、顧客の要求する音叉型振動片の小型化が困難であるとともに、振動腕部の質量が大きくなり、落下したときに破損しやすい。
また、本発明に係る圧電デバイスは、上記の音叉型振動片を有することを特徴としている。これにより、上記の効果を有する圧電デバイスが得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1ないし図8は本発明の実施の形態を説明するためのものである。ここに、図1は、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片を示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片を示す正面図である。図3は、図2のA−A線断面図である。
【0013】
本発明の実施の形態に係る音叉型振動片10は、図1ないし図2に示すように、基部11と、この基部11から突出して形成された矩形状の振動腕部12、13とを備えている。各振動腕部12、13は、表面部及び裏面部に溝部14、15が形成されている。基部11は、振動腕部12、13の幅をW1、各振動腕部12、13間の間隔をW2、前記基部11の幅をW0、基部11の長さをLk、前記基部11の長さLkと前記振動腕部の長さLaとの和(全長)をLoとすると、(2×W1+W2)≦W0≦3×(2×W1+W2)であって、かつ、0.1×Lo≦Lk≦0.5×Loとしたものである。
【0014】
さらに説明すると、前記音叉型振動片10は、水晶などの圧電材料から形成してあり、例えば略30kHzないし40kHzで発振するようにしてある。これは、振動腕部12、13の長さをLaとすると、音叉型振動片10の発振周波数fは、次の数式1により求められる。
【数1】
ここに、kは比例定数である。
【0015】
また、音叉型振動片10の基部11の長さLkは、例えば560μmに形成されている。また、振動腕部12、13の長さLaは、例えば1644μmに形成してあって、音叉型振動片10の長さLkと振動腕部12、13の長さLaの和である全長Loは、2204μmに形成されている。また、前記振動腕部12、13は、その前記振動腕部12、13の表面部の短辺である腕部幅W1が50μm以上150μm以下のものを使用している。さらに、前記振動腕部12、13の表面部及び裏面部に設けられた溝部14、15の深さは、前記振動腕部12、13の各深さ方向の全長である厚みdに対して30%以上50%以下に形成されたものである。また、前記振動腕部12、13の表面部及び裏面部に設けられた溝部14、15の幅は、振動腕部12、13の幅W1の40%以上70%以下に形成されたものである。
【0016】
図4は、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片10を備えた音叉型振動子を示す断面図である。この図4において、音叉型振動子20は、パッケージ21の内部に音叉型振動片10を収容して構成される。パッケージ21は、例えばアルミナなどのセラミックス等で構成されたベース部22と、ガラスからなる蓋体23と、低融点ガラスからなる封止部24とから構成されており、箱状の形状をとる。ベース部22の内部には、マウント部26が形成される。このマウント部26の上面には、パッケージ側電極(マウント電極)25が設けられている。
【0017】
音叉型振動片10は、振動腕部12、13の各面に電極膜がスパッタリング等で形成され、電極膜をエッチングして形成した励振電極(図示せず)を備えている。また、音叉型振動片10は、基部11に励振電極を電気的に接続された接続電極(図示せず)を有する。音叉型振動片10は、基部11がパッケージ21のマウント部26に導電性接着剤などによって接合され、接続電極がマウント電極25に電気的に接続される。
【0018】
上述した音叉型振動片10の各種寸法は、落下衝撃試験を行うことによって得られたものである。ここで、落下衝撃試験とは、100gの治具に音叉型振動子を実装した基板を取り付け、音叉型振動子の落下姿勢を直交XYZの3軸に対して各10回、150cmの高さからコンクリート床上に落下させ、その後、音叉型振動片の各種特性を測定する試験のことである。
【0019】
以下に当該落下衝撃試験を行った結果、(1)前記基部11の幅W0の下限値、(2)前記基部11の幅W0の上限値、(3)前記基部11の長Lkの下限値、(4)前記基部の長さLkの上限値が得られることを以下に詳説する。
音叉型振動片10の基部11の幅W0の下限値は、落下衝撃試験に際して、当該音叉型振動片10の厚みdを変えるとともに、当該厚みdにおける振動腕部12、13の幅W1及び両振動腕12、13間の間隔W2と基部幅W0との関係を変化させる。そして、落下衝撃試験の試験前後において、当該音叉型振動片10発振周波数を測定した。図5は、基部幅に対する落下衝撃事件の試験前後における周波数変化率の絶対値を示したものである。
【0020】
ここで、落下衝撃試験前の周波数をfoとし、落下衝撃試験後の周波数をfとしたときの周波数変化率Δf(単位:ppm)を測定し、その周波数変化率Δfが±8ppm以上とならないことを基準としている。なお、周波数変化率は、落下衝撃試験前の周波数をfo、試験後の周波数をfとすると、
【数2】
として求めたものである。
【0021】
ここで、図5は、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片10において、厚み小(80μm)と厚み大(130μm)の二つについて、基部幅W0が、1.0×(2×W1+W2)から3.0×(2×W1+W2)に変化させたときの周波数変化率(落下衝撃試験)Δfを示す特性図であり、横軸に基部幅W0を、縦軸に落下衝撃試験による周波数変化率Δfの絶対値|Δf|を、それぞれとったものである。
【0022】
この図5において、音叉型振動片10の厚みが80μmの場合、基部幅W0=1.0×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|が8.0ppmとなり、基部幅W0=1.5×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|は6.0ppmとなる。また、厚さが80μmの場合、基部幅W0=2.0×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|は4.0ppmとなり、基部幅W0=3.0×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|は2.0ppmとなった。すなわち、基部11の厚みdが80μmの場合には、基部幅W0が1.0×(2×W1+W2)になると、落下衝撃試験|Δf|が8ppmまで悪化することが分かる。これにより、基部11の幅W0は、厚みdが80μmの場合、1.0×(2×W1+W2)のときが下限界値となる。
【0023】
一方、音叉型振動片10の厚みを130μmとした場合、基部幅W0=1.0×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|は略13.0ppmとなり、基部幅W0=1.5×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|は略10.0ppmとなり、基部幅W0=2.0×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|は略8.0ppmとなり、基部幅W0=3.0×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|は4.0ppmとなった。基部11の厚みdが130μmの場合には、基部幅W0が2.0×(2×W1+W2)のときに落下衝撃試験|Δf|が約8ppmまで悪化することが分かる。これにより、基部11の幅W0は、厚みdが130μmの場合、2.0×(2×W1+W2)のときが限界値となる。
【0024】
上述した音叉型振動片10の基部11の幅W0の上限値は、当該音叉型振動片10の厚みdを変えるとともに、当該厚みdにおける振動腕部12、13の幅W1及び両振動腕12、13の間の間隔W2と基部幅W0との関係を変化させた時の、ある一定数の音叉型振動片のCI値を測定し、CI値のバラツキを調べた。図6は、その結果を示したものである。
【0025】
ここに、図6は、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片10において、厚み小(80μm)と厚み大(130μm)の二つについて、基部幅W0が、1.0×(2×W1+W2)から3.0×(2×W1+W2)に変化させたときのCI値バラツキを標準偏差σによって示した特性図であり、横軸に基部幅W0を、縦軸にCI値バラツキσ(単位:kΩ)を、それぞれとったものである。
【0026】
この図6において、音叉型振動片10の厚みが80μmの場合、基部幅W0=1.0×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキσは略1.0kΩとなり、基部幅W0=1.5×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキは略2.0kΩとなる。また、基部幅W0=2.0×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキは略3.0kΩとなり、基部幅W0=3.0×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキは略5.0kΩとなった。
【0027】
また、上記図6において、音叉型振動片10の厚みを130μmとし場合、基部幅W0=1.0×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキσは略2.0kΩとなり、基部幅W0=1.5×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキは略3.0kΩとなり、基部幅W0=2.0×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキは略4.0kΩとなり、基部幅W0=3.0×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキは略7.5kΩとなった。
【0028】
この図6に示す特性図によれば、基部幅W0の値が大きくなるのに従ってCI値バラツキσが大きくなる傾向を示す。CI値バラツキσは、小さければ小さいほどよいということになっている。通常の音叉型振動片10では、CI値のバラツキの標準偏差σは、通常、2.0kΩ位に設定されている。また、現状品では、CI値の平均が略50kΩに設定され、CI値の最大が略65kΩに設定されている。したがって、
【数3】
の関係から、CI値バラツキσの上限は、5kΩとなるので、CI値バラツキσの最大値を略5kΩに設定した。しかし、こうした理論では、CI値の平均値、CI値の最大値が変わればCI値バラツキ最大値も変わってよいことになるが、CI値バラツキが5.0kΩは品質上大きな問題があるレベルといえる。なお、厚みが80μmの場合では、基部幅W0が3.0×(2×W1+W2)でCI値バラツキが限界の5kΩとなり、厚みが130μmの場合、基部幅W0が2.0×でCI値バラツキが限界の5kΩとなる。
以上の図5、図6との知見から、(2×W1+W2)≦基部幅W0≦3×(2×W1+W2)を満たせば、音叉型振動片の厚みが80μmから130μmの範囲内で、落下衝撃試験で周波数変化率が小さく、かつCI値のバラツキの小さな音叉型振動片を得る事ができる。
【0029】
次に、音叉型振動片10の基部11の長さLkの下限値は、図7より求めた。図7は、音叉型振動片10の厚みdを変えるとともに、当該厚みdにおける振動腕部12、13の長さLaと基部11の長さLkとの和(全長)Loとの関係を変化させた時の、ある一定数の音叉型振動片のCI値を測定し、CI値バラツキσを調べた特性図である。
【0030】
ここに、図7は、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片10において、厚み小(80μm)と厚み大(130μm)との二つについて、基部の長さLkを0.1×Loから0.4×Loに変化させたときのCI値バラツキσを示したものである。図7において、横軸が基部の長さLkを示し、縦軸がCI値バラツキσ(単位:kΩ)を示している。
【0031】
この図7において、音叉型振動片10の厚みが80μmの場合、基部11の長さLk=0.1×LoのときのCI値バラツキσは略5.0kΩとなり、基部11の長さLk=0.2×LoのときのCI値バラツキは略3.0kΩとなる。さらに、厚さが80μmの場合、基部11の長さLk=0.3×LoのときのCI値バラツキは略2.0kΩとなり、基部11の長さLk=0.4×LoのときのCI値バラツキは略1.0kΩとなった。
【0032】
一方、音叉型振動片10の厚みが130μmの場合、基部11の長さLk=0.1×LoのときのCI値バラツキσは略8.0kΩとなり、基部11の長さLk=0.2×LoのときのCI値バラツキは略6.0kΩとなり、基部11の長さLk=0.3×LoのときのCI値バラツキは略3.0kΩとなり、基部11の長さLk=0.4×LoのときのCI値バラツキは略2.0kΩとなった。すなわち、図7に示す特性図によれば、基部11の長さLkが大きくなるのに従ってCI値バラツキσが小さくなる傾向を示す。
【0033】
音叉型振動片10の基部11の長さLkの上限値は、図8により求めた。図8は、音叉型振動片10の厚みdを変えるとともに、当該厚みdにおける音叉型振動片10の基部長さLkを変化させて、落下衝撃試験をしてその試験前後おける発振周波数を測定した結果である。ここで、落下衝撃試験結果を示す周波数変化率Δfは、前記の数式2によって求めた値である。
【0034】
ここで、図8は、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片10において、厚み小(80μm)と厚み大(130μm)との二つについて、基部11の長さLkを、0.1×Loから0.4×Loに変化させたときの周波数変化(落下衝撃試験)Δfを示す特性図である。そして、図8は、横軸が基部11の長さLkを示し、縦軸が落下衝撃試験による周波数変化率Δf(単位;ppm)の絶対値|Δf|を示している。
【0035】
この図8において、音叉型振動片10の厚みを80μmとした場合、基部11の長さLk=0.1×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は6.0ppmとなり、基部11の長さLk=0.2×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は略3.0ppmとなる。また、基部11の長さLk=0.3×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は2.0ppmとなり、基部11の長さLk=0.5×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は8.0ppmとなった。
【0036】
一方、上記図8において、音叉型振動片10の厚みを130μmとした場合、基部11の長さLk=0.1×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は7.0ppmとなり、基部11の長さLk=0.2×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は略6.0ppmとなる。そして、基部11の長さLk=0.3×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は5.0ppmとなり、基部11の長さLk=0.5×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は13.0ppmとなった。
【0037】
この図8から、落下衝撃試験|Δf|は、基部11の長さLk=0.3×Loのときが略最小になる下に凸の放物線状の曲線を描くことになる。したがって、図7及び図8の結果から、基部11の長さLkとしては、0.1Lo≦Lk≦0.5Loを満足すれば音叉型振動片の厚みが80μmから130μmの範囲内で、落下衝撃試験で周波数変化率が小さく、かつCI値のバラツキの小さな音叉型振動片を得る事ができる。
【0038】
すなわち、図5ないし図8によれば、音叉型振動片10は、前記振動腕部の幅をW1、前記振動腕部の間隔をW2、前記基部の幅をW0、前記基部の長さをLk、音叉型振動片10の全長をLoとすると、(2×W1+W2)≦W0≦3×(2×W1+W2)であって、かつ、0.1×Lo≦Lk≦0.5×Loとすることが望ましい。また、前記基部11及び振動腕部12、13の厚みは、80μm以上130μm以下と設定することが望ましい。厚さが80μmより小さいと、取り扱いが困難で破損しやすい。また、厚さが130μmより大きくなると、顧客の要求する音叉型振動片の小型化が困難であるとともに、振動腕部の質量が大きくなり、落下したときに破損しやすい。
【0039】
なお、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片10は、デジタル携帯電話、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン受像機、ビデオ機器などの各種の電子機器や、時計、時計内蔵機器に使用できる。また、上記した実施の形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、これらの形態に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る音叉型振動片を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る音叉型振動片を示す正面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る音叉型振動子を示す断面図である。
【図5】基部幅による落下衝撃試験特性を示す図である。
【図6】基部幅とCI値のバラツキとの関係示す特性図である。
【図7】基部長さとCI値のバラツキとの関係を示す特性図である。
【図8】基部長さによる落下衝撃試験特性を示す図である。
【図9】従来の音叉型振動片の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
10………音叉型振動片、11………基部、12、13………振動腕部、14、15………溝部、20………音叉型振動子、21………パッケージ、22………ベース部、23………蓋体、24………封止部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば水晶などの圧電材料からなる音叉型振動片及び圧電デバイスに関する。
【0002】
【従来技術】
圧電振動子、特に音叉型振動子は、正確なクロック周波数を簡易に得ることができるものとして知られている。
図9は従来の音叉型振動子に用いられる音叉型振動片の一例を示す概略図である。従来の音叉型振動片100は、図9に示すように、基部110と、この基部110から突出して形成されている振動腕部121、122とを備えている。音叉型振動片100は、振動腕部121、122の表面部及び裏面部に溝部123、124が形成されているとともに、前記基部110に切込み部125、125が形成されているものが提案されている(特許文献1)。
【0003】
従来の他の音叉型振動子は、基部と、この基部から突出して形成されている振動腕部とを備え、かつ、振動腕部の幅Wと振動腕部の長さLの比W/Lが0.2以上の音叉型振動子において、前記基部の長さLbは振動腕部の長さLよりも長いものが提案されている(特許文献2)。
【0004】
従来の音叉型振動片100は、水晶などの圧電材料で形成され、例えば略30kHzないし略40kHzで発振するようにしてある。また、振動腕部121、122はそれぞれ断面が矩形状であり、その振動腕部121、122の表面部の短辺である腕部幅Wが50μm以上150μm以下のものを使用している。さらに、前記振動腕部121、122の表面部及び裏面部に設けられた溝部123、124の深さは、前記振動腕部121、122の深さ方向の全長である厚みdに対して30%以上50%以下に形成されている。また、前記振動腕部121、122の表面部及び裏面部に設けられた溝部123、124の幅は、振動腕部121、122の幅の40%以上70%以下に形成されている。音叉型振動片100は、振動腕部121、122の各面に電極膜をスパッタリング等で形成される。音叉型振動片100は、パッケージ内に収容されることにより音叉型振動子とされる。このとき、各振動腕部121、122に形成された電極膜がパッケージ側の電極に電気的に接続される。
【0005】
上記従来の音叉型振動片100をパッケージ内に収容してなる音叉型振動子では、切込み部125、125を設けて垂直振動成分の影響を抑制するようにしている。また、切込み部125を設けることにより、基部110を短くしてもCI値(クリスタルインピーダンス値)のバラツキが安定するとともに、音叉型振動片100の全体も小型化できるという利点があった。
【0006】
従来の他の音叉型振動子も、振動腕部の幅Wと振動腕部の長さLの比W/Lが0.2以上で、前記基部の長さLbは振動腕部の長さLよりも長い構造にしたので、振動漏れがなく、低い等価抵抗と、高いQ値、安定した周波数径時変化持つことができるという利点があった。
【0007】
【特許文献1】特開2002−261575号公報(第1図ないし第4図、段落番号〔0045〕以降)
【特許文献2】特開昭59−36413号公報(明細書及び第1図ないし第5図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の音叉型振動片100は、振動腕部121、122の幅Wについては規定しているものの、基部110の長さや幅を規定しておらず、特性の安定限界が不明で、製造する上で特性のばらつきを生ずるなどの不都合を生ずる。また、従来の他の音叉型振動子の場合には、確かに、振動腕部の幅と長さを規定し、かつ、振動腕部長さに対する基部の長を規定したものがあるが、具体的な値を示したものではなく、また、基部長さと落下衝撃試験に対する安定性との関係が明らかでなく、結局、製造する上の目安とならないという不都合があった。
本発明は上記問題に鑑み、落下衝撃試験に対して安定した周波数特性が得られ、CI値のバラツキを小さくできるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決しようとする手段】
本発明者は、音叉型振動片の厚みdを変えるとともに、当該厚みdにおける振動腕部の幅W1及び両振動腕部の間隔W2と基部幅W0との関係を変化させ、かつ、前記基部の長さLkと、全長(基部長さLkと振動腕部の長さとの和)Loとの比を変化させてある一定個数の音叉型振動片のCI値を測定し、CI値のバラツキ(標準偏差σ)を調べ、また、落下衝撃試験前後での発振周波数の周波数変化率を調べた。これらの結果を基に本発明に至る知見を得たものである。以下、説明する。
【0010】
上記目的を達成する本発明に係る音叉型振動片は、基部と、この基部から突出して形成されている振動腕部とを備え、前記振動腕部の表面部及び裏面部に溝部を形成してなる音叉型振動片であって、前記振動腕部の幅をW1、前記振動腕部間の間隔をW2、前記基部の幅をW0、前記基部の長さをLk、前記基部の長さと前記振動腕部の長さとの和をLoとすると、(2×W1+W2)≦W0≦3×(2×W1+W2)であって、かつ、0.1×Lo≦Lk≦0.5×Loとしたことを特徴としている。これにより、落下衝撃試験に対して安定した周波数特性が得られ、かつ、CI値のバラツキの小さい音叉型振動片を得る事ができる。
【0011】
そして、基部及び振動腕部は、厚さが80μm以上130μm以下であることが望ましい。厚さが80μmより小さいと、取り扱いが困難で破損しやすい。また、厚さが130μmより大きくなると、顧客の要求する音叉型振動片の小型化が困難であるとともに、振動腕部の質量が大きくなり、落下したときに破損しやすい。
また、本発明に係る圧電デバイスは、上記の音叉型振動片を有することを特徴としている。これにより、上記の効果を有する圧電デバイスが得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1ないし図8は本発明の実施の形態を説明するためのものである。ここに、図1は、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片を示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片を示す正面図である。図3は、図2のA−A線断面図である。
【0013】
本発明の実施の形態に係る音叉型振動片10は、図1ないし図2に示すように、基部11と、この基部11から突出して形成された矩形状の振動腕部12、13とを備えている。各振動腕部12、13は、表面部及び裏面部に溝部14、15が形成されている。基部11は、振動腕部12、13の幅をW1、各振動腕部12、13間の間隔をW2、前記基部11の幅をW0、基部11の長さをLk、前記基部11の長さLkと前記振動腕部の長さLaとの和(全長)をLoとすると、(2×W1+W2)≦W0≦3×(2×W1+W2)であって、かつ、0.1×Lo≦Lk≦0.5×Loとしたものである。
【0014】
さらに説明すると、前記音叉型振動片10は、水晶などの圧電材料から形成してあり、例えば略30kHzないし40kHzで発振するようにしてある。これは、振動腕部12、13の長さをLaとすると、音叉型振動片10の発振周波数fは、次の数式1により求められる。
【数1】
ここに、kは比例定数である。
【0015】
また、音叉型振動片10の基部11の長さLkは、例えば560μmに形成されている。また、振動腕部12、13の長さLaは、例えば1644μmに形成してあって、音叉型振動片10の長さLkと振動腕部12、13の長さLaの和である全長Loは、2204μmに形成されている。また、前記振動腕部12、13は、その前記振動腕部12、13の表面部の短辺である腕部幅W1が50μm以上150μm以下のものを使用している。さらに、前記振動腕部12、13の表面部及び裏面部に設けられた溝部14、15の深さは、前記振動腕部12、13の各深さ方向の全長である厚みdに対して30%以上50%以下に形成されたものである。また、前記振動腕部12、13の表面部及び裏面部に設けられた溝部14、15の幅は、振動腕部12、13の幅W1の40%以上70%以下に形成されたものである。
【0016】
図4は、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片10を備えた音叉型振動子を示す断面図である。この図4において、音叉型振動子20は、パッケージ21の内部に音叉型振動片10を収容して構成される。パッケージ21は、例えばアルミナなどのセラミックス等で構成されたベース部22と、ガラスからなる蓋体23と、低融点ガラスからなる封止部24とから構成されており、箱状の形状をとる。ベース部22の内部には、マウント部26が形成される。このマウント部26の上面には、パッケージ側電極(マウント電極)25が設けられている。
【0017】
音叉型振動片10は、振動腕部12、13の各面に電極膜がスパッタリング等で形成され、電極膜をエッチングして形成した励振電極(図示せず)を備えている。また、音叉型振動片10は、基部11に励振電極を電気的に接続された接続電極(図示せず)を有する。音叉型振動片10は、基部11がパッケージ21のマウント部26に導電性接着剤などによって接合され、接続電極がマウント電極25に電気的に接続される。
【0018】
上述した音叉型振動片10の各種寸法は、落下衝撃試験を行うことによって得られたものである。ここで、落下衝撃試験とは、100gの治具に音叉型振動子を実装した基板を取り付け、音叉型振動子の落下姿勢を直交XYZの3軸に対して各10回、150cmの高さからコンクリート床上に落下させ、その後、音叉型振動片の各種特性を測定する試験のことである。
【0019】
以下に当該落下衝撃試験を行った結果、(1)前記基部11の幅W0の下限値、(2)前記基部11の幅W0の上限値、(3)前記基部11の長Lkの下限値、(4)前記基部の長さLkの上限値が得られることを以下に詳説する。
音叉型振動片10の基部11の幅W0の下限値は、落下衝撃試験に際して、当該音叉型振動片10の厚みdを変えるとともに、当該厚みdにおける振動腕部12、13の幅W1及び両振動腕12、13間の間隔W2と基部幅W0との関係を変化させる。そして、落下衝撃試験の試験前後において、当該音叉型振動片10発振周波数を測定した。図5は、基部幅に対する落下衝撃事件の試験前後における周波数変化率の絶対値を示したものである。
【0020】
ここで、落下衝撃試験前の周波数をfoとし、落下衝撃試験後の周波数をfとしたときの周波数変化率Δf(単位:ppm)を測定し、その周波数変化率Δfが±8ppm以上とならないことを基準としている。なお、周波数変化率は、落下衝撃試験前の周波数をfo、試験後の周波数をfとすると、
【数2】
として求めたものである。
【0021】
ここで、図5は、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片10において、厚み小(80μm)と厚み大(130μm)の二つについて、基部幅W0が、1.0×(2×W1+W2)から3.0×(2×W1+W2)に変化させたときの周波数変化率(落下衝撃試験)Δfを示す特性図であり、横軸に基部幅W0を、縦軸に落下衝撃試験による周波数変化率Δfの絶対値|Δf|を、それぞれとったものである。
【0022】
この図5において、音叉型振動片10の厚みが80μmの場合、基部幅W0=1.0×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|が8.0ppmとなり、基部幅W0=1.5×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|は6.0ppmとなる。また、厚さが80μmの場合、基部幅W0=2.0×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|は4.0ppmとなり、基部幅W0=3.0×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|は2.0ppmとなった。すなわち、基部11の厚みdが80μmの場合には、基部幅W0が1.0×(2×W1+W2)になると、落下衝撃試験|Δf|が8ppmまで悪化することが分かる。これにより、基部11の幅W0は、厚みdが80μmの場合、1.0×(2×W1+W2)のときが下限界値となる。
【0023】
一方、音叉型振動片10の厚みを130μmとした場合、基部幅W0=1.0×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|は略13.0ppmとなり、基部幅W0=1.5×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|は略10.0ppmとなり、基部幅W0=2.0×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|は略8.0ppmとなり、基部幅W0=3.0×(2×W1+W2)のときには落下衝撃試験|Δf|は4.0ppmとなった。基部11の厚みdが130μmの場合には、基部幅W0が2.0×(2×W1+W2)のときに落下衝撃試験|Δf|が約8ppmまで悪化することが分かる。これにより、基部11の幅W0は、厚みdが130μmの場合、2.0×(2×W1+W2)のときが限界値となる。
【0024】
上述した音叉型振動片10の基部11の幅W0の上限値は、当該音叉型振動片10の厚みdを変えるとともに、当該厚みdにおける振動腕部12、13の幅W1及び両振動腕12、13の間の間隔W2と基部幅W0との関係を変化させた時の、ある一定数の音叉型振動片のCI値を測定し、CI値のバラツキを調べた。図6は、その結果を示したものである。
【0025】
ここに、図6は、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片10において、厚み小(80μm)と厚み大(130μm)の二つについて、基部幅W0が、1.0×(2×W1+W2)から3.0×(2×W1+W2)に変化させたときのCI値バラツキを標準偏差σによって示した特性図であり、横軸に基部幅W0を、縦軸にCI値バラツキσ(単位:kΩ)を、それぞれとったものである。
【0026】
この図6において、音叉型振動片10の厚みが80μmの場合、基部幅W0=1.0×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキσは略1.0kΩとなり、基部幅W0=1.5×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキは略2.0kΩとなる。また、基部幅W0=2.0×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキは略3.0kΩとなり、基部幅W0=3.0×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキは略5.0kΩとなった。
【0027】
また、上記図6において、音叉型振動片10の厚みを130μmとし場合、基部幅W0=1.0×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキσは略2.0kΩとなり、基部幅W0=1.5×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキは略3.0kΩとなり、基部幅W0=2.0×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキは略4.0kΩとなり、基部幅W0=3.0×(2×W1+W2)のときのCI値バラツキは略7.5kΩとなった。
【0028】
この図6に示す特性図によれば、基部幅W0の値が大きくなるのに従ってCI値バラツキσが大きくなる傾向を示す。CI値バラツキσは、小さければ小さいほどよいということになっている。通常の音叉型振動片10では、CI値のバラツキの標準偏差σは、通常、2.0kΩ位に設定されている。また、現状品では、CI値の平均が略50kΩに設定され、CI値の最大が略65kΩに設定されている。したがって、
【数3】
の関係から、CI値バラツキσの上限は、5kΩとなるので、CI値バラツキσの最大値を略5kΩに設定した。しかし、こうした理論では、CI値の平均値、CI値の最大値が変わればCI値バラツキ最大値も変わってよいことになるが、CI値バラツキが5.0kΩは品質上大きな問題があるレベルといえる。なお、厚みが80μmの場合では、基部幅W0が3.0×(2×W1+W2)でCI値バラツキが限界の5kΩとなり、厚みが130μmの場合、基部幅W0が2.0×でCI値バラツキが限界の5kΩとなる。
以上の図5、図6との知見から、(2×W1+W2)≦基部幅W0≦3×(2×W1+W2)を満たせば、音叉型振動片の厚みが80μmから130μmの範囲内で、落下衝撃試験で周波数変化率が小さく、かつCI値のバラツキの小さな音叉型振動片を得る事ができる。
【0029】
次に、音叉型振動片10の基部11の長さLkの下限値は、図7より求めた。図7は、音叉型振動片10の厚みdを変えるとともに、当該厚みdにおける振動腕部12、13の長さLaと基部11の長さLkとの和(全長)Loとの関係を変化させた時の、ある一定数の音叉型振動片のCI値を測定し、CI値バラツキσを調べた特性図である。
【0030】
ここに、図7は、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片10において、厚み小(80μm)と厚み大(130μm)との二つについて、基部の長さLkを0.1×Loから0.4×Loに変化させたときのCI値バラツキσを示したものである。図7において、横軸が基部の長さLkを示し、縦軸がCI値バラツキσ(単位:kΩ)を示している。
【0031】
この図7において、音叉型振動片10の厚みが80μmの場合、基部11の長さLk=0.1×LoのときのCI値バラツキσは略5.0kΩとなり、基部11の長さLk=0.2×LoのときのCI値バラツキは略3.0kΩとなる。さらに、厚さが80μmの場合、基部11の長さLk=0.3×LoのときのCI値バラツキは略2.0kΩとなり、基部11の長さLk=0.4×LoのときのCI値バラツキは略1.0kΩとなった。
【0032】
一方、音叉型振動片10の厚みが130μmの場合、基部11の長さLk=0.1×LoのときのCI値バラツキσは略8.0kΩとなり、基部11の長さLk=0.2×LoのときのCI値バラツキは略6.0kΩとなり、基部11の長さLk=0.3×LoのときのCI値バラツキは略3.0kΩとなり、基部11の長さLk=0.4×LoのときのCI値バラツキは略2.0kΩとなった。すなわち、図7に示す特性図によれば、基部11の長さLkが大きくなるのに従ってCI値バラツキσが小さくなる傾向を示す。
【0033】
音叉型振動片10の基部11の長さLkの上限値は、図8により求めた。図8は、音叉型振動片10の厚みdを変えるとともに、当該厚みdにおける音叉型振動片10の基部長さLkを変化させて、落下衝撃試験をしてその試験前後おける発振周波数を測定した結果である。ここで、落下衝撃試験結果を示す周波数変化率Δfは、前記の数式2によって求めた値である。
【0034】
ここで、図8は、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片10において、厚み小(80μm)と厚み大(130μm)との二つについて、基部11の長さLkを、0.1×Loから0.4×Loに変化させたときの周波数変化(落下衝撃試験)Δfを示す特性図である。そして、図8は、横軸が基部11の長さLkを示し、縦軸が落下衝撃試験による周波数変化率Δf(単位;ppm)の絶対値|Δf|を示している。
【0035】
この図8において、音叉型振動片10の厚みを80μmとした場合、基部11の長さLk=0.1×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は6.0ppmとなり、基部11の長さLk=0.2×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は略3.0ppmとなる。また、基部11の長さLk=0.3×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は2.0ppmとなり、基部11の長さLk=0.5×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は8.0ppmとなった。
【0036】
一方、上記図8において、音叉型振動片10の厚みを130μmとした場合、基部11の長さLk=0.1×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は7.0ppmとなり、基部11の長さLk=0.2×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は略6.0ppmとなる。そして、基部11の長さLk=0.3×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は5.0ppmとなり、基部11の長さLk=0.5×Loのときには落下衝撃試験|Δf|は13.0ppmとなった。
【0037】
この図8から、落下衝撃試験|Δf|は、基部11の長さLk=0.3×Loのときが略最小になる下に凸の放物線状の曲線を描くことになる。したがって、図7及び図8の結果から、基部11の長さLkとしては、0.1Lo≦Lk≦0.5Loを満足すれば音叉型振動片の厚みが80μmから130μmの範囲内で、落下衝撃試験で周波数変化率が小さく、かつCI値のバラツキの小さな音叉型振動片を得る事ができる。
【0038】
すなわち、図5ないし図8によれば、音叉型振動片10は、前記振動腕部の幅をW1、前記振動腕部の間隔をW2、前記基部の幅をW0、前記基部の長さをLk、音叉型振動片10の全長をLoとすると、(2×W1+W2)≦W0≦3×(2×W1+W2)であって、かつ、0.1×Lo≦Lk≦0.5×Loとすることが望ましい。また、前記基部11及び振動腕部12、13の厚みは、80μm以上130μm以下と設定することが望ましい。厚さが80μmより小さいと、取り扱いが困難で破損しやすい。また、厚さが130μmより大きくなると、顧客の要求する音叉型振動片の小型化が困難であるとともに、振動腕部の質量が大きくなり、落下したときに破損しやすい。
【0039】
なお、本発明の実施の形態に係る音叉型振動片10は、デジタル携帯電話、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン受像機、ビデオ機器などの各種の電子機器や、時計、時計内蔵機器に使用できる。また、上記した実施の形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、これらの形態に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る音叉型振動片を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る音叉型振動片を示す正面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る音叉型振動子を示す断面図である。
【図5】基部幅による落下衝撃試験特性を示す図である。
【図6】基部幅とCI値のバラツキとの関係示す特性図である。
【図7】基部長さとCI値のバラツキとの関係を示す特性図である。
【図8】基部長さによる落下衝撃試験特性を示す図である。
【図9】従来の音叉型振動片の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
10………音叉型振動片、11………基部、12、13………振動腕部、14、15………溝部、20………音叉型振動子、21………パッケージ、22………ベース部、23………蓋体、24………封止部。
Claims (3)
- 基部と、この基部から突出して形成されている振動腕部とを備え、前記振動腕部の表面部及び裏面部に溝部を形成してなる音叉型振動片であって、
前記振動腕部の幅をW1、前記振動腕部間の間隔をW2、前記基部の幅をW0、前記基部の長さをLk、前記基部の長さと前記振動腕部の長さとの和をLoとすると、(2×W1+W2)≦W0≦3×(2×W1+W2)であって、かつ、0.1×Lo≦Lk≦0.5×Loとしたことを特徴とする音叉型振動片。 - 前記基部及び前記振動腕部は、厚さが80μm以上130μm以下であることを特徴とする請求項1記載の音叉型振動片。
- 請求項1または2に記載の音叉型振動片を有することを特徴とする圧電デバイス。
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