【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質電池に関するもので、特に正極の活物質として硫黄を含むようにしたことを特徴とするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高エネルギー密度の二次電池として、非水電解質を使用し、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させて充放電を行うようにした非水電解質二次電池の研究が盛んに行われている。
【0003】
近年、小型ビデオカメラ、携帯電話、ノートパソコン等の携帯用電子・通信機器等に用いられる電池として、イオン伝導媒体としてリチウムイオンを用いたものが提案されている。これらは、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な合金もしくは炭素材料、珪素材料などを負極活物質とし、層状のコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、あるいはスピネル型のマンガン酸リチウム(LiMn2O4)等のリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質材料とするとともに、エチレンカーボネートやジエチルカーボネートなどの有機溶媒にLiBF4やLiPF6等のリチウム塩からなる電解質を溶解させたものを用いたリチウムイオン電池で代表され、これらの非水電解質電池は、小型軽量でかつ高容量で充放電可能な電池として実用化が期待されている。
【0004】
また、硫黄を正極活物質として用い、リチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属よりなる負極と、非水系の電解質とを用いた電池も提案されている(特許文献1参照)
【0005】
【特許文献1】
特開2002−75446号公報
【0006】
その一方で、エネルギー密度という観点から、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属あるいはアルミニウムなどの軽金属を負極活物質として用いる研究が行われている。
【0007】
イオン伝導媒体として、リチウムイオンに代えてマグネシウムイオンを用いた場合、反応電子数が大きくまた安価であると共に、安定であるため安全性に優れるという利点がある。
【0008】
マグネシウムは、標準電極電位が−2.375V(vsNHE)と低く、軽量である上、リチウムに比べて安価で取り扱いが容易であり、かつ資源的にも豊富であるなどの利点により電池の負極としてすぐれた材料である。
【0009】
マグネシウムを負極に用いた電池は、水溶液系の電池としてMg−MnO2電池、Mg注水電池、Mg−空気電池などがあり、安価で長期保存性が良いなどの利点がある。しかしながらいったん使用をはじめると保存特性が著しく悪化することや、電池電圧が低く高容量が期待できないため、現在はほとんど使われていない。
【0010】
一方、高電圧が期待できる非水系のマグネシウム電池は、イオン解離するマグネシウム塩が数少ないこと、高容量の正極が見出されていないことなどの理由からほとんど実用化されていない。
【0011】
また、非水溶媒に溶解するマグネシウム塩としては、Mg(ClO4)2、MgCl2程度しかなく、MgCl2は不溶性の溶媒も多く存在する上、高電位正極を使った場合にはCl2が発生する可能性がある。また、Mg(ClO4)2は過酸化物であるので、安全性に問題がある場合もあった。
【0012】
また、非水系マグネシウム電池の可能性が示されている(非特許文献1参照)が、このとき用いた正極の容量は122mAh/g程度と小さく、電池容量がリチウム電池に劣る。また、この例では、電解質に、グリニヤール試薬を用いている。グリニヤール試薬は、塩ではなく有機金属化合物であり、爆発の危険もあり、安全性に問題があった。
このため非水系マグネシウム電池としては、更なる高容量化、高安全性が求められている。
【0013】
【非特許文献1】
充電可能なマグネシウム電池のためのプロトタイプシステム:D.Aurbach.Nature407(2000)724
【発明が解決しようとする課題】
このようにマグネシウムを活物質として用いた電池も提案されているものの、従来の非水電解質電池では、正極の容量が小さく、また電解質として、過塩素酸マグネシウムや、グリニヤール試薬などを用いているため、酸素を発生し易く、反応性が高く、安全性に問題があった。
このため非水系マグネシウム電池としては、更なる高容量化、高安全性が求められている。
【0014】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、その目的の第1は、高容量の非水電解質電池を提供することにある。
またその目的の第2は、安全性の高い非水電解質電池を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の非水電解質電池は、硫黄を活物質として含む正極と、マグネシウムを活物質とする負極と、マグネシウム塩を含む非水電解質とを具備したことを特徴とする。
マグネシウム電池の正極として硫黄を用いた場合、硫黄はマグネシウムイオンと以下のような反応をする。
S+Mg2++2e−⇔MgS
理論容量は、950mAh/gと大きく、この硫黄を正極に用いることで大容量のマグネシウム電池を期待することができる。
ここで正極を構成する材料の組成としては、硫黄が少量でも含有されていればよいものとする。ただし硫黄は導電性が十分でないため、導電性を高めて充放電特性を向上させるためには、正極に導電剤を添加させることが好ましく、このような導電剤としては、例えば、導電性の炭素材料などを用いることができる。なお、このように導電性の炭素材料を添加させるにあたり、その添加量が少ないと、正極における導電性を十分に向上させることができない。一方、その添加量が多くなり過ぎると、正極における硫黄の割合が少なくなって高い容量が得られなくなる。このため導電剤としての炭素材料を全体の5〜84質量%好ましくは5〜54質量%、さらに好ましくは、5〜20質量%の範囲になるようにする。
望ましくは、前記マグネシウム塩が、イミド塩およびスルホン酸塩の少なくとも一方を含む。
イミド塩あるいはスルホン酸塩は、過塩素酸マグネシウムに比べて安定であり、酸素の放出も少ないため、電解質として安全性の高いものであるため、安全性が高く高容量の非水電解質電池を提供することが可能となる。
【0016】
なお、本発明の非水電解質電池では、非水電解質としてマグネシウムのイミド塩またはマグネシウムのスルホン酸塩を有機溶媒に溶解した形態、あるいはまたこれにさらに室温溶融塩を添加した形態であるのが望ましいが、マグネシウムのイミド塩またはマグネシウムのスルホン酸塩からなる固体電解質の形態であってもよい。
【0017】
イミド塩あるいはスルホン酸塩は、グリニヤール試薬や過塩素酸マグネシウムに比べて安定であり、酸素の放出も少ないため、電解質として安全性が高い。従って、安全性が高く高容量の非水電解質電池を提供することが可能となる。
また、合成が容易で、入手し易いことから、前記イミド塩として、アルキルスルホニルイミド塩を用いるのが望ましい。
【0018】
ここで有効に用いられるイミド塩としては、アルキルスルホニルイミドマグネシウムMg[N(CxF2x+1SO2)2]2 x=1〜8があり、中でも特にx=1、2のものが合成し易く望ましい。
また、前記アルキルスルホニルイミド塩として、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドマグネシウムMg[N(CF3SO2)2]2を用いるのが望ましい。この塩は導電率が高いため、高出力、高容量の電池を提供することが可能となる。
【0019】
また、前記アルキルスルホニルイミド塩としては、上述したMg[N(CF3SO2)2]2のほかMg[N(C2F5SO2)2]2、Mg[N(CF3SO2)(COCF3)]2、Mg[N(C4F9SO2)(CF3SO2)]2、Mg[N(C6F5SO2)(CF3SO2)]2、Mg[N(C8F17SO2)(CF3SO2)] 2 、Mg[N(CF3CH2OSO2) 2]2、Mg[N(CF3CF2CH2OSO2) 2]2、Mg[N(HCF2CF2CH2OSO2) 2]2、Mg[N((CF3) 2CHOSO2) 2]2などが適用可能である。
【0020】
また、望ましくは、前記スルホン酸塩が、アルキルスルホン酸塩である。
ここで有効に用いられるスルホン酸塩としては、アルキルスルホン酸マグネシウムMg[(CxF2x+1SO3)2]2 x=1〜8が有効である。
なかでも、前記アルキルスルホン酸塩としては、トリフルオロメタンスルホネートマグネシウムMg(CF3SO3)2が望ましい。この塩は、合成もし易く、高出力高容量の電池を提供することが可能となる。
ここで、トリフルオロメタンスルホネートマグネシウムMg(CF3SO3)2の導電率は、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドマグネシウムMg[N(CF3SO2)2]2の導電率の10分の1程度であり、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドマグネシウムMg[N(CF3SO2)2]2がより望ましい。
またこの他、Mg(C4F9SO3)2なども適用可能である。
さらにまた、他、Mg(CH3SO3)2、Mg(C6F5SO3)2、Mg(C6H5SO3)2なども安全性が高い。
【0021】
また非水電解質で用いられる有機溶媒(非水溶媒)としては、環状エステル、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステルなどのエステル類、環状エーテル、鎖状エーテル、ニトリル類、アミド類などがあげられる。環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどがあげられ、これらの水素基の一部または全部をフッ素化されているものも用いることが可能で、トリフルオロプロピレンカーボネートやフルオロエチルカーボネートなどがあげられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネートなどがあげられ、これらの水素基の一部または全部をフッ素化されているものも用いることが可能である。エステル類としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γブチロラクトンなどがあげられる。上記の環状エーテル類としては1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテルなどがあげられる。また、鎖状エーテルとしては、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルから選択される少なくとも1種を用いることができる。ニトリル類としては、アセトニトリル類、アミド類としてはジメチルホルムアミドなどである。また、これらを2種以上混合した混合溶媒も有効である。
【0022】
さらに、上記電解質溶液には、以下に示すような、融点60℃以下の室温溶融塩を含有するのが望ましい。この室温溶融塩としては、トリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH3)3N+(C3H7)N−(SO2CF3)2)、トリメチルオクチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH3)N+(C8H17)N−(SO2CF3)2)、トリメチルアリルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH3)3N+(Allyl)N−(SO2CF3)2、トリヘキシルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH3)3N+(C6H13)N−(SO2CF3)2)、トリメチルエチルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((CH3)2N+(C2H5)(CF3CO)N−(SO2CF3))、トリメチルアリルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((CH3)3N+(Allyl)(CF3CO)N−(SO2CF3))、トリメチルプロピルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((CH3)3N+(C3H7)(CF3CO)N−(SO2CF3))、テトラエチルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((C2H5)4N+(CF3CO)N−(SO2CF3))、トリエチルメチルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((C2H5)N+(CH3)(CF3CO)N−(SO2CF3))、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド((C2H5)(C3H3N2)+(CH3)N−(SO2C2F5)2)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((C2H5)(C3H3N2)+(CH3)N−(SO2CF3)2)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・テトラフルオロボレート((C2H5)(C3H3N2)+(CH3)BF4 −)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ペンタフルオロボレート(C2H5)(C3H3N2)+(CH3)PF6 −)から選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする。
【0023】
また、マグネシウムを活物質とする負極すなわちマグネシウムを吸蔵または放出可能な負極材料としては、マグネシウム金属、マグネシウム合金、マグネシウム酸化物、珪素、炭素、遷移金属の硫化物のいずれか1種を含む材料を用いるのが望ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
この非水電解質電池では、正極に硫黄、負極にマグネシウム金属を用いたことを特徴とするものである。電解質としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドマグネシウムMg[N(CF3SO2)2]2をジメトキシエタンに溶解させて調製した電解液を用いた。
【0025】
(実施例1)
1.正極の作製
活物質としての硫黄(S)50質量%、導電剤としてのケッチェンブラック45質量%、結着剤としてのスチレン−ブタジエンゴム4質量%、増粘剤としてカルボキシ−メチル−セルロ−スが1質量%となるように混合し、合剤とし、これに水を加えスラリーを調整した。
次いで、このスラリーを、正極集電体としてのアルミニウム箔の片面にドクターブレード法により塗布し、真空下において50℃で乾燥し、NMPを蒸散させ、正極(硫黄を活物質として含む正極)を形成した。
【0026】
2.負極の作製
マグネシウム金属板を所定の大きさにカットし、マグネシウム金属からなる対極としての負極(マグネシウムを活物質とする負極)とした。
一方リチウム金属板を所定の大きさにカットし、リチウム金属からなる参照極を用意した。
【0027】
3.非水電解質の調整
ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドマグネシウムMg[N(CF3SO2)2]2をγ−ブチロラクトン(GBL)に1モル/リットルの濃度で溶解させて電解液を作成した。
【0028】
4.試験セルの作製
上述のようにして作製した正極にリードを取り付け、作用極としての正極12aとし、上述のようにして作製された負極にリードを取り付け、対極としての負極11とし、上述のように作製されたリチウム金属にリードをとりつけて参照極13とし、上記電解液14を試験セル容器10内に注液して図1に示すような試験セルを形成した。15はセパレータである。
【0029】
5.試験
上述のようにして作製した試験セルを、室温雰囲気で電流密度0.1mA/cm2の定電流で1時間にわたり1.0V(vs.Li/Li+)まで定電流放電を行った。
このときの放電特性を図2に示す。この放電曲線から、硫黄の放電容量は、480mAh/gと大きかった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、硫黄を正極活物質として用いることにより、イオン伝導媒体としてマグネシウムを用いた、安全で高容量の非水電解質電池を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の非水電解質電池の試験セルを示す斜視図である。
【図2】本発明実施例の試験セルの放電特性を示す図である。
【符号の説明】
10 試験セル容器
11 負極
12a 正極
13 参照極
14 非水電解質
15 セパレータ[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a non-aqueous electrolyte battery, and is particularly characterized in that it contains sulfur as an active material of a positive electrode.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, non-aqueous electrolyte secondary batteries that use a non-aqueous electrolyte as a high energy density secondary battery and perform charging and discharging by moving lithium ions between a positive electrode and a negative electrode have been actively researched. Has been done.
[0003]
2. Description of the Related Art In recent years, batteries using lithium ions as an ion conductive medium have been proposed as batteries used in portable electronic and communication devices such as small video cameras, mobile phones, and notebook personal computers. These include an alloy or a carbon material capable of occluding and releasing lithium ions, a silicon material, or the like as a negative electrode active material, and are formed of layered lithium cobalt oxide (LiCoO 2 ), lithium nickel oxide (LiNiO 2 ), or spinel lithium manganate. A lithium transition metal composite oxide such as (LiMn 2 O 4 ) is used as a positive electrode active material, and an electrolyte comprising a lithium salt such as LiBF 4 or LiPF 6 is dissolved in an organic solvent such as ethylene carbonate or diethyl carbonate. These non-aqueous electrolyte batteries are typified by lithium-ion batteries using, and are expected to be practically used as small, lightweight, high-capacity, chargeable / dischargeable batteries.
[0004]
Also, a battery using sulfur as a positive electrode active material, a negative electrode made of an alkali metal such as lithium or sodium, and a non-aqueous electrolyte has been proposed (see Patent Document 1).
[0005]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 2002-75446
On the other hand, from the viewpoint of energy density, studies are being made on using an alkaline earth metal such as magnesium or calcium or a light metal such as aluminum as a negative electrode active material.
[0007]
When magnesium ions are used instead of lithium ions as the ion-conducting medium, there are advantages in that the number of reactive electrons is large and inexpensive, and that they are stable and excellent in safety.
[0008]
Magnesium has a low standard electrode potential of -2.375 V (vsNHE), is lightweight, and is inexpensive, easy to handle, and abundant in resources compared to lithium. Excellent material.
[0009]
Battery using magnesium for the negative electrode, Mg-MnO 2 battery as a battery for aqueous systems, Mg water-activated cell, include Mg- air battery, there are advantages such as long-term storage is good with low cost. However, they are hardly used at present because their storage characteristics deteriorate remarkably once they begin to be used, and the battery voltage is low and high capacity cannot be expected.
[0010]
On the other hand, non-aqueous magnesium batteries that can be expected to have a high voltage have hardly been put into practical use because of a small number of magnesium salts capable of dissociating ions and a lack of a high-capacity positive electrode.
[0011]
In addition, magnesium salts dissolved in a non-aqueous solvent are only about Mg (ClO 4 ) 2 and MgCl 2. MgCl 2 has many insoluble solvents, and when a high-potential positive electrode is used, Cl 2 becomes Cl 2. Can occur. Moreover, since Mg (ClO 4 ) 2 is a peroxide, there was a problem in safety in some cases.
[0012]
Although the possibility of a non-aqueous magnesium battery is indicated (see Non-Patent Document 1), the capacity of the positive electrode used at this time is as small as about 122 mAh / g, and the battery capacity is inferior to that of a lithium battery. In this example, a Grignard reagent is used for the electrolyte. The Grignard reagent is not a salt but an organometallic compound, has a risk of explosion, and has a safety problem.
For this reason, non-aqueous magnesium batteries are required to have higher capacity and higher safety.
[0013]
[Non-patent document 1]
Prototype system for rechargeable magnesium batteries: Aurbach. Nature 407 (2000) 724
[Problems to be solved by the invention]
Although a battery using magnesium as an active material has been proposed as described above, in a conventional nonaqueous electrolyte battery, the capacity of a positive electrode is small, and as an electrolyte, magnesium perchlorate or a Grignard reagent is used. Easily generated oxygen, had high reactivity, and had a problem in safety.
For this reason, non-aqueous magnesium batteries are required to have higher capacity and higher safety.
[0014]
The present invention has been made in view of the above circumstances, and a first object of the present invention is to provide a high-capacity nonaqueous electrolyte battery.
A second object of the present invention is to provide a highly safe nonaqueous electrolyte battery.
[0015]
[Means for Solving the Problems]
Therefore, a nonaqueous electrolyte battery according to the present invention includes a positive electrode containing sulfur as an active material, a negative electrode containing magnesium as an active material, and a nonaqueous electrolyte containing a magnesium salt.
When sulfur is used as the positive electrode of a magnesium battery, the sulfur reacts with magnesium ions as follows.
S + Mg 2+ + 2e − ⇔MgS
The theoretical capacity is as large as 950 mAh / g. By using this sulfur for the positive electrode, a large capacity magnesium battery can be expected.
Here, as the composition of the material constituting the positive electrode, it is sufficient that sulfur is contained even in a small amount. However, since sulfur has insufficient conductivity, it is preferable to add a conductive agent to the positive electrode in order to enhance the conductivity and improve the charge / discharge characteristics. Examples of such a conductive agent include conductive carbon. Materials and the like can be used. In addition, when the conductive carbon material is added as described above, if the addition amount is small, the conductivity of the positive electrode cannot be sufficiently improved. On the other hand, if the amount of addition is too large, the proportion of sulfur in the positive electrode decreases, and a high capacity cannot be obtained. For this reason, the carbon material as the conductive agent should be in the range of 5 to 84% by mass, preferably 5 to 54% by mass, and more preferably 5 to 20% by mass.
Preferably, the magnesium salt contains at least one of an imide salt and a sulfonate.
Since imide salts or sulfonates are more stable than magnesium perchlorate and emit less oxygen, they are highly safe as electrolytes, providing highly safe and high capacity non-aqueous electrolyte batteries. It is possible to do.
[0016]
In the non-aqueous electrolyte battery of the present invention, it is desirable that the non-aqueous electrolyte be a form in which a magnesium imide salt or a magnesium sulfonate is dissolved in an organic solvent, or a form in which a room temperature molten salt is further added thereto. May be in the form of a solid electrolyte composed of an imide salt of magnesium or a sulfonate of magnesium.
[0017]
An imide salt or a sulfonate is more stable than a Grignard reagent or magnesium perchlorate and releases less oxygen, so that it is highly safe as an electrolyte. Therefore, it is possible to provide a non-aqueous electrolyte battery with high safety and high capacity.
In addition, it is desirable to use an alkylsulfonylimide salt as the imide salt because the synthesis is easy and it is easily available.
[0018]
Suitable imide salts which are effectively used herein, there is alkylsulfonylimide magnesium Mg [N (C x F 2x + 1 SO 2) 2] 2 x = 1~8, easily synthesized Among these, especially x = 1, 2 desirable.
Further, it is desirable to use bis (trifluoromethylsulfonyl) imide magnesium Mg [N (CF 3 SO 2 ) 2 ] 2 as the alkylsulfonylimide salt. Since this salt has high conductivity, it is possible to provide a battery with high output and high capacity.
[0019]
As examples of the alkylsulfonyl imide salt, the above-mentioned Mg [N (CF 3 SO 2 ) 2] 2 In addition to Mg [N (C 2 F 5 SO 2) 2] 2, Mg [N (CF 3 SO 2) (COCF 3 )] 2 , Mg [N (C 4 F 9 SO 2 ) (CF 3 SO 2 )] 2 , Mg [N (C 6 F 5 SO 2 ) (CF 3 SO 2 )] 2 , Mg [N (C 8 F 17 SO 2 ) (CF 3 SO 2 )] 2 , Mg [N (CF 3 CH 2 OSO 2 ) 2 ] 2 , Mg [N (CF 3 CF 2 CH 2 OSO 2 ) 2 ] 2 , Mg [N (HCF 2 CF 2 CH 2 OSO 2 ) 2 ] 2 , Mg [N ((CF 3 ) 2 CHOSO 2 ) 2 ] 2 and the like can be applied.
[0020]
Preferably, the sulfonate is an alkyl sulfonate.
The sulfonate are effectively used herein, magnesium alkyl sulfonate Mg [(C x F 2x + 1 SO 3) 2] 2 x = 1~8 is valid.
Among them, magnesium trifluoromethanesulfonate Mg (CF 3 SO 3 ) 2 is desirable as the alkyl sulfonate. This salt can be easily synthesized and can provide a battery with high output and high capacity.
Here, the conductivity of magnesium trifluoromethanesulfonate Mg (CF 3 SO 3 ) 2 is about 1/10 of the conductivity of magnesium bis (trifluoromethylsulfonyl) imide magnesium [N (CF 3 SO 2 ) 2 ] 2. And bis (trifluoromethylsulfonyl) imidomagnesium Mg [N (CF 3 SO 2 ) 2 ] 2 is more preferable.
In addition, Mg (C 4 F 9 SO 3 ) 2 and the like are also applicable.
In addition, Mg (CH 3 SO 3 ) 2 , Mg (C 6 F 5 SO 3 ) 2 , and Mg (C 6 H 5 SO 3 ) 2 are also highly safe.
[0021]
Examples of the organic solvent (non-aqueous solvent) used in the non-aqueous electrolyte include esters such as cyclic esters, cyclic carbonates, and chain carbonates, cyclic ethers, chain ethers, nitriles, and amides. Examples of the cyclic carbonate include ethylene carbonate, propylene carbonate, butylene carbonate and the like, and those in which some or all of these hydrogen groups are fluorinated can also be used, such as trifluoropropylene carbonate or fluoroethyl carbonate. And so on. Examples of the chain carbonate include dimethyl carbonate, ethyl methyl carbonate, diethyl carbonate, methyl propyl carbonate, and methyl isopropyl carbonate, and those in which some or all of these hydrogen groups are fluorinated can also be used. It is. Esters include methyl acetate, ethyl acetate, propyl acetate, methyl propionate, ethyl propionate, γ-butyrolactone, and the like. Examples of the above cyclic ethers include 1,3-dioxolan, 4-methyl-1,3-dioxolan, tetrahydrofuran, 2-methyltetrahydrofuran, propylene oxide, 1,2-butylene oxide, 1,4-dioxane, 1,3,3 5-trioxane, furan, 2-methylfuran, 1,8-cineole, crown ether and the like. Examples of the chain ether include 1,2-dimethoxyethane, diethyl ether, dipropyl ether, diisopropyl ether, dibutyl ether, dihexyl ether, ethyl vinyl ether, butyl vinyl ether, methyl phenyl ether, ethyl phenyl ether, butyl phenyl ether, and pentyl. Phenyl ether, methoxytoluene, benzylethyl ether, diphenyl ether, dibenzyl ether, o-dimethoxybenzene, 1,2-diethoxyethane, 1,2-dibutoxyethane, diethylene glycol dimethyl ether, diethylene glycol diethyl ether, diethylene glycol dibutyl ether, dimethoxymethane , 1,1-diethoxyethane, triethylene glycol dimethyl ether, tetraethylene It may be at least one selected from recall dimethyl ether. Nitriles include acetonitriles, and amides include dimethylformamide. A mixed solvent obtained by mixing two or more of these is also effective.
[0022]
Further, it is desirable that the above-mentioned electrolyte solution contains a room temperature molten salt having a melting point of 60 ° C. or less as shown below. Examples of the room temperature molten salt include trimethylpropylammonium bis (trifluoromethylsulfonyl) imide ((CH 3 ) 3 N + (C 3 H 7 ) N − (SO 2 CF 3 ) 2 ) and trimethyloctyl ammonium bis ( trifluoromethylsulfonyl) imide ((CH 3) N + ( C 8 H 17) N - (SO 2 CF 3) 2), trimethyl allyl ammonium bis (trifluoromethylsulfonyl) imide ((CH 3) 3 N + (Allyl) N - (SO 2 CF 3) 2, tri-hexyl ammonium bis (trifluoromethylsulfonyl) imide ((CH 3) 3 N + (C 6 H 13) N - (SO 2 CF 3) 2), Trimethylethylammonium 2,2,2-trifluoro-N- (trifluoromethylsulfur Yl) acetamide ((CH 3) 2 N + (C 2 H 5) (CF 3 CO) N - (SO 2 CF 3)), trimethyl allyl ammonium 2,2,2-trifluoro -N- (trifluoro methylsulfonyl) acetamide ((CH 3) 3 N + (Allyl) (CF 3 CO) N - (SO 2 CF 3)), trimethylpropylammonium-2,2,2-trifluoro -N- (trifluoromethylsulfonyl ) Acetamide ((CH 3 ) 3 N + (C 3 H 7 ) (CF 3 CO) N − (SO 2 CF 3 )), tetraethylammonium · 2,2,2-trifluoro-N- (trifluoromethylsulfonyl) ) acetamide ((C 2 H 5) 4 N + (CF 3 CO) N - (SO 2 CF 3)), triethylmethylammonium 2,2,2-trifluoro -N- (trifluoromethylsulfonyl) acetamide ((C 2 H 5) N + (CH 3) (CF 3 CO) N - (SO 2 CF 3)), 1- ethyl - 3-methyl imidazolium bis (pentafluoroethyl sulfonyl) imide ((C 2 H 5) ( C 3 H 3 N 2) + (CH 3) N - (SO 2 C 2 F 5) 2), 1- ethyl 3-methylimidazolium bis (trifluoromethylsulfonyl) imide ((C 2 H 5) ( C 3 H 3 N 2) + (CH 3) N - (SO 2 CF 3) 2), 1- ethyl - 3-methylimidazolium tetrafluoroborate ((C 2 H 5) ( C 3 H 3 N 2) + (CH 3) BF 4 -), 1- ethyl-3-methylimidazolium pentafluoro borate C 2 H 5) (C 3 H 3 N 2) + (CH 3) PF 6 -) , characterized in that it comprises at least one selected from the.
[0023]
As the negative electrode using magnesium as an active material, that is, a negative electrode material capable of inserting or extracting magnesium, a material containing any one of magnesium metal, a magnesium alloy, magnesium oxide, silicon, carbon, and a sulfide of a transition metal is used. It is desirable to use.
[0024]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described in detail with reference to the drawings.
This nonaqueous electrolyte battery is characterized by using sulfur for the positive electrode and magnesium metal for the negative electrode. As the electrolyte, an electrolytic solution prepared by dissolving bis (trifluoromethylsulfonyl) imide magnesium Mg [N (CF 3 SO 2 ) 2 ] 2 in dimethoxyethane was used.
[0025]
(Example 1)
1. 50% by mass of sulfur (S) as an active material for preparing a positive electrode, 45% by mass of Ketjen black as a conductive agent, 4% by mass of styrene-butadiene rubber as a binder, and carboxy-methyl-cellulose as a thickener Was adjusted to 1% by mass to prepare a mixture, and water was added thereto to prepare a slurry.
Next, this slurry is applied to one side of an aluminum foil as a positive electrode current collector by a doctor blade method, dried at 50 ° C. under vacuum, and NMP is evaporated to form a positive electrode (a positive electrode containing sulfur as an active material). did.
[0026]
2. Preparation of Negative Electrode A magnesium metal plate was cut into a predetermined size to obtain a negative electrode (a negative electrode using magnesium as an active material) as a counter electrode made of magnesium metal.
On the other hand, a lithium metal plate was cut into a predetermined size to prepare a reference electrode made of lithium metal.
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3. Preparation of non-aqueous electrolyte Bis (trifluoromethylsulfonyl) imide magnesium Mg [N (CF 3 SO 2 ) 2 ] 2 was dissolved in γ-butyrolactone (GBL) at a concentration of 1 mol / liter to prepare an electrolytic solution.
[0028]
4. Preparation of a test cell A lead was attached to the positive electrode produced as described above, and a positive electrode 12a was provided as a working electrode. A lead was attached to the negative electrode produced as described above, and a negative electrode 11 was provided as a counter electrode. A lead was attached to the produced lithium metal to form a reference electrode 13, and the above-mentioned electrolyte solution 14 was injected into the test cell container 10 to form a test cell as shown in FIG. Reference numeral 15 denotes a separator.
[0029]
5. Test The test cell fabricated as described above was discharged at a constant current of 0.1 mA / cm 2 at a constant current of 1.0 mA (vs. Li / Li + ) over 1 hour in a room temperature atmosphere.
FIG. 2 shows the discharge characteristics at this time. From this discharge curve, the sulfur discharge capacity was as large as 480 mAh / g.
[0030]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, by using sulfur as the positive electrode active material, it is possible to form a safe and high-capacity nonaqueous electrolyte battery using magnesium as the ion conductive medium.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a perspective view showing a test cell of a nonaqueous electrolyte battery according to an example of the present invention.
FIG. 2 is a diagram showing discharge characteristics of a test cell according to an example of the present invention.
[Explanation of symbols]
Reference Signs List 10 Test cell container 11 Negative electrode 12a Positive electrode 13 Reference electrode 14 Nonaqueous electrolyte 15 Separator