JP2004264663A - 反射型液晶プロジェクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】安価かつ簡易な構成でありながら小型化、薄型化された反射型液晶プロジェクタを提供すること。
【解決手段】反射型液晶プロジェクタは、色分解手段によって分解されたR、G、Bの各色成分を、所定の情報に対応して変調するとともに、第一の直線偏光状態を90°回転した第二の直線偏光状態にする、各色に対応した第一から第三の反射型液晶素子と、各反射型液晶素子と合成プリズムの間に配設される、各色に対応した第一から第三の光束分岐部材と、を有し、各光束分岐部材は、所定の入射角θ(但し0°<θ<90°)で第一端面に斜入射した第一の直線偏光状態の色成分を、各反射型液晶素子に直角に入射するように第二端面から射出させ、かつ一方の端面に入射した第二の直線偏光状態の色成分を、該一方の端面における入射角と同一の射出角で他方の端面から射出させる構成にした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、反射型液晶を使用したカラー液晶プロジェクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラー液晶プロジェクタには、光変調手段として使用する液晶素子の種類によって、透過型と反射型との二種類に分けられる。後者は前者に比べ、液晶膜が薄く構成されており、ON−OFFレスポンスが早い、ライフサイクルが長い、光の利用効率が高いなどの利点を有する。従って、反射型カラー液晶プロジェクタは近年の主流となりつつある。
【0003】
該反射型液晶プロジェクタは、さらに3板式反射型液晶プロジェクタと単板式反射型液晶プロジェクタの二種類がある。詳しくは、前者は、光変調手段として反射型の液晶パネルをR(赤色)、G(緑色)、B(青色)用に3枚使用する。後者は、光変調手段としてR、G、Bに共通の反射型液晶パネルを1枚使用する。前者は後者に比べ、液晶素子の駆動に関する負担が軽減され、高輝度・高画質の映像を投射して表示することができる。
このような3板式反射型液晶プロジェクタは、例えば以下に示す特許文献1に開示される。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−98937号公報
【0005】
特許文献1に開示される3板式反射型液晶プロジェクタの概略構成図を図8に示す。図8に示すように、従来の3板式反射型液晶プロジェクタ50は、白色光を照射する光源51、光源51から照射された白色光を平行光束にするコリメートレンズ52、B色成分のみを透過する第一ダイクロイックミラー53、R色成分のみを透過する第二ダイクロイックミラー54、反射ミラー57、3つの反射型液晶パネル(LCOS)56R、56G、56B、各液晶パネルの前方に配設された偏光ビームスプリッタ(PBS)プリズム55R、55G、55B、各LCOS56R、56G、56Bで変調され、各PBS55R、55G、55Bを透過したR、G、Bの各光を合成する合成プリズム58、合成プリズム58により合成された光束をスクリーンSに投影する投影レンズ59群を有する。
【0006】
図8に示すように従来の3板式反射型液晶プロジェクタ50は、各プリズム55R、55G、55B、58の相互の光軸合わせをはじめとする各光学部材の相対的位置調整が極めて困難であることが指摘されている。また、図8に示すように、従来の液晶プロジェクタは、スクリーンSに対して直交する方向に沿って複数の光学部材(例えば、投影レンズ群59、合成プリズム58、PBS55G、LOCS56G)が配設されるため、プロジェクタの奥行きを非常に大きく採らざるを得なかった。
【0007】
さらに近年、スクリーンSの近傍から投影して大画面を表示したいという要望がある。該要望に応えるためには投影レンズ群59の短焦点化を図る必要がある。また、光量の損失を抑えてスクリーンS上に映し出される映像をより明るくするためには、液晶素子等の照明光学系のF値と投影レンズ系のF値を同一とする、つまり、投影レンズ群59のテレセン性を確保しなるべく多くの光量を取り込まなければならない。ところが、上記のような構成に使用される投影レンズ群59は、バックフォーカスを長く取らざるを得ず、短焦点化およびテレセン性の確保を実現するためには、非常に高価で精度の高い光学構成にしなくてはならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は上記の事情に鑑み、安価かつ簡易な構成でありながら小型化、薄型化された反射型液晶プロジェクタを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで上記課題を解決すべく、請求項1に記載の反射型液晶プロジェクタは、第一の直線偏光状態にある白色の平行光束を照射する光源部と、平行光束を、偏光状態を維持しつつR、G、Bの各色成分に分解する色分解手段と、各色成分を、所定の情報に対応して変調するとともに、第一の直線偏光状態を90°回転した第二の直線偏光状態にする、各色に対応した第一から第三の反射型液晶素子と、変調後の各色成分を合成する合成プリズムと、合成プリズムによって合成された光束をスクリーン上に投影する投影レンズ群と、各反射型液晶素子と合成プリズムの間に配設される、各色に対応した第一から第三の光束分岐部材と、を有し、各光束分岐部材は、所定の入射角θ(但し0°<θ<90°)で第一端面に斜入射した第一の直線偏光状態の色成分を、各反射型液晶素子に略直角に入射するように該第一端面と略平行でかつ反対側にある第二端面から射出させ、かつ一方の端面に入射した第二の直線偏光状態の色成分を、該一方の端面における入射角と同一の射出角で他方の端面から射出させることを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の反射型液晶プロジェクタによれば、光束を分岐するための部材として偏光ビームスプリッタプリズムを用いずに構成している。従って、液晶プロジェクタ全体の小型化および薄型化に寄与することができる。
【0011】
一般に、投影レンズは複数の液晶素子からの平行反射光を有効に取り込むように設計されるため、通常のレンズ構成より複雑かつ高い精度が要求される。また、該液晶素子の画素ピッチも高解像化に伴い小さくなっているため、MTFの要求も高まると共に、短焦点距離(高画角)化も要求される。上記請求項1のように構成することにより、各液晶素子と投影レンズ間の距離が短く設定できるため、投影レンズ群の短焦点化およびテレセン性の確保が容易になり、安価に構成することができる。
【0012】
さらに、従来の反射型液晶プロジェクタは、各偏光ビームスプリッタプリズムと合成プリズムの光軸合わせ等、非常に高い精度の組み立て工程が要求されたが、請求項1に記載の発明によれば、各光学部材の相対的位置決めが非常に容易となる。
【0013】
なお本発明によれば、投影レンズのバックフォーカスを短くすることができるため、迷光やフレアの発生を低減する効果も得られる。
【0014】
請求項1に記載の光束分岐部材として、第一の直線偏光状態の色成分は反射して、第二の直線偏光状態の色成分は透過させる光学膜を塗布された複数の透明基板が、各端面の法線に対して第一の傾斜角だけ傾く状態で両端面の間に所定ピッチで周期的に積層された多層構造を有する部材を使用することができる(請求項2)。
【0015】
より具体的には、第一から第三の光束分岐部材の各光学膜はそれぞれ、対応する色成分の第一の直線偏光は略全反射し、該対応する色成分の第二の直線偏光は略全透過する特性を有することが望ましい(請求項3)。これにより、各色成分に特化した反射特性を備えるため、高精度な光束分岐が実現される。なお、全波長域の第一偏光を反射する特性を有する光学膜を使用することも理論上は可能である。しかし、総ての波長域に渡って略均一な反射特性を有する光学膜は、製造時に極めて高い精度が要求され、かつ高価である。また、ダイクロイックミラー等の色分離手段は、必ずしも100%色成分を分離できるわけではない。そのため、請求項3に記載のように、いずれかの色成分に特化した反射特性の光学膜を使用することにより、より高画質な映像を得ることができる。
【0016】
なお、請求項4に記載の発明によれば、光束分岐部材として、両端面の間に液晶膜を有し、該液晶膜は、該両端面に対して平行方向に液晶が配向された第一領域と、垂直方向に液晶が配向された第二領域とが所定ピッチで周期的に並んでおり、第一領域と第二領域の境界面が、各端面の法線に対して第一の傾斜角だけ傾くように構成された光学部材を使用することも可能である。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、光束分岐部材は、各前記端面と前記反射型液晶素子の液晶面とが、第二の傾斜角θをなすように配設されており、該第二の傾斜角θは、0°≦θ<90°の範囲内にあることが望ましい。そして、第二の傾斜角θが0°<θ<90°の範囲内にあるとき、第一の直線偏光状態の各色成分は、液晶面に対して平行な方向から前記光束分岐部材に入射することが望ましい(請求項6)。このように配置構成することにより、各光束分岐部材に入射する光束径を細くすることができる。従って、光路として用いられる空間を狭く設計することができるため、プロジェクタのより一層の小型化、薄型化が図れる。また、各光学部材での偏向を90°の整数倍で行うことができるため、設計が容易になる。
【0018】
また特に、第二の傾斜角θを0°に設定すれば、反射型液晶素子と光束分岐部材との相対的位置決めが極めて容易になる。但し、この場合、第一の直線偏光状態の各色成分は、液晶面に対して非平行な方向から光束分岐部材に入射する(請求項7)。
【0019】
また、請求項8に記載の発明によれば、上記第一の直線偏光をS偏光として設計することが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本実施形態の反射型液晶プロジェクタ100の概略構成を表す図である。反射型液晶プロジェクタ100は、光源1、ライトトンネル2、リレーレンズ群3、単一偏光板4、第一ダイクロイックミラー5、第二ダイクロイックミラー6、ミラー7、R用偏光性偏向素子8R、G用偏光性偏向素子8G、B用偏光性偏向素子8B、R用反射型液晶素子9R、G用反射型液晶素子9G、B用反射型液晶素子9B、合成プリズム10、投影レンズ群11を有する。
【0021】
光源1は、高圧水銀ランプ1aと楕円リフレクタ1bとを有する。高圧水銀ランプ1aから照射された白色光は、楕円リフレクタ1bで反射してライトトンネル2に導かれる。ライトトンネル2は、入射する白色光を、強度分布を均一にしつつ後段にあるリレーレンズ群3に導く。リレーレンズ群3は、ライトトンネル2を介して入射する白色光を平行光束にしつつ単一偏光板4に導く。単一偏光板4は、入射する白色光を第一ダイクロイックミラー5に対してS偏光となるように偏光状態を揃える。
【0022】
単一偏光板4によってS偏光状態に変換された白色光束は、第一と第二のダイクロイックミラー5、6によってR、G、Bの各色成分に色分解される。具体的には、第一ダイクロイックミラー5は、入射する白色光束のうち、R成分のみを透過させ、それ以外の色成分(G、B)を略直角に反射させる。第二ダイクロイックミラー6は、第一のダイクロイックミラー5で反射した色成分のうち、B成分を透過させ、G成分を略直角に反射させる。なお図1中、R成分の光路を実線で、G成分の光路を一点鎖線で、B成分の光路を破線で、それぞれ示す。
【0023】
第一ダイクロイックミラー5を透過したR成分は、ミラー7で直角に偏向されてR用偏光性偏向素子8Rに入射する。第二ダイクロイックミラー6で反射したG成分と該ミラー6を透過したB成分は、そのままG用あるいはB用偏光性偏向素子8G、8Bに入射する。本実施形態において、ミラー7と第二ダイクロイックミラー6は、各ミラー6、7を介した各色成分の光路が、各色に対応する反射型液晶素子9R〜9Bの液晶面91と平行になるような位置に配設される。各色成分の光路と各色に対応する反射型液晶素子9R〜9Bの液晶面91とを平行な関係にすることにより、設計が容易になるだけでなく、各反射型液晶素子9R〜9Bと合成プリズム10との間の距離を短く構成することができる。
【0024】
図2は、R用偏光性偏向素子8RおよびR用反射型液晶素子9Rの近傍を拡大した図である。R用偏光性偏向素子8Rは、多層構造82を有する。多層構造82は、所定の反射特性を有する光学膜が塗布された面83を有する透明基板84が、面83を接合面として複数枚積層されている。
【0025】
図3は、R用偏光性偏向素子の面83に塗布される光学膜の反射特性を示すグラフである。図3に示すように面83の光学膜は、S偏光状態のR成分Rsを略100%に近い反射率で反射するのに対し、P偏光状態のR成分Rpはほとんど反射しない特性を有している。
【0026】
多層構造82は、接合強度を高めるため、透明基板81上に固着されている。詳しくは、多層構造82は、面83が透明基板81の法線Nに対して第一の傾斜角θをなすように傾けられた状態で透明基板81上に固着される。またR用偏光性偏向素子8Rは、透明基板81における該基板81と多層構造82との固着面の反対側の端面85と、多層構造82における該固着面の反対側の端面86とが略平行になるように構成される。なお、R用偏光性偏向素子8Rを構成する各基板は、ガラス製でもプラスチック製でもよい。本実施形態では環境変化による影響が小さいガラス製の基板を使用する。
【0027】
また、図2に示すように、R用偏光性偏向素子8Rは、R用反射型液晶素子9Rの液晶面91と平行な光路を直進する色成分Rs全径を取り込むように配置される。従って、R用偏光性偏向素子8Rは、各端面85、86がR用反射型液晶素子9Rの液晶面91に対して第二の傾斜角θ(但し、0°<θ<90°)をなすように傾けて配設される。なお、θが90°を採らないのは、プロジェクタ100自体が大型化してしまうからである。
【0028】
従って、S偏光状態のR成分Rsは、R用偏光性偏向素子8Rに90°から第二の傾斜角θを引いた値の入射角θで端面85に斜入射する。つまり、本実施形態において、入射角θは、0°<θ<90°の範囲内にある。但し、入射角θがあまりに大きくなりすぎると、端面85で反射する光量が増大するおそれがある。そのため本実施形態では、端面85に反射防止膜を設けている。
【0029】
ここで、第一の傾斜角θおよび第二の傾斜角θ、さらに入射角θは、R用偏光性偏向素子8Rから射出された該R成分Rsが液晶面91に直角に入射(入射角0°で入射)するように適宜設定される。該設定により、R用偏光性偏向素子8Rの端面85に斜入射したS偏光状態のR成分Rsは、液晶面91に直角に入射するように端面86から射出される。なお、図2中矢印線で示すR成分の光路は、便宜上、各端面85、86での入射/射出時における屈折現象を省略した状態になっている。
【0030】
R用反射型液晶素子9Rは、図示しない制御部の制御下、所定のR用の映像情報に基づいてONビットに入射したR成分Rsを変調する。なお変調の際、液晶の性質によって、反射光束の偏光状態は、入射光束の偏光状態が90°回転したP偏光状態となる。P偏光状態のR成分Rpは、該液晶素子9Rで反射して再びR用偏光性偏向素子8Rに入射する。また、図2では、便宜上、R用反射型液晶素子9Rにおいて、入射光線と反射光線(射出光線)とを異なる光路で示しているが、実際には反射光線は入射光線と略同一光路を戻る。つまり、P偏光状態のR成分Rpは、R用反射型液晶素子9Rから直角に射出(射出角0°で射出)される。
【0031】
図3に示すように、面83に塗布された光学膜は、P偏光状態のR成分Rpに対する反射率が極めて低いという特性を有する。そのため、端面86に入射したONビットに対応するP偏光状態のR成分Rpは、略全成分が偏向することなく合成プリズム10に入射する。また、映像信号に基づくOFFビットに対応した反射光は変調されずS偏光状態のままR用偏光性偏向素子8Rに入射する。このとき入射したOFF光はS偏光のままなのでR用偏光性偏向素子8Rで偏向され元の光路をランプ側に戻ることとなる。かくして合成プリズム10側に射出される透過光は映像情報に基づくONビットのみで構成されるRの画像情報を形成する。
【0032】
G用偏光性偏向素子8GとG用反射型液晶素子9Gの構成および相対的位置関係、およびB用偏光性偏向素子8BとB用反射型液晶素子9Bの構成および相対的位置関係は、既述のR用偏光性偏向素子8RとR用反射型液晶素子9Rの説明と同一である。そのため、G用偏光性偏向素子の面83に塗布される光学膜の反射特性を示すグラフを図4に、B用偏光性偏向素子の面83に塗布される光学膜の反射特性を示すグラフを図5に、それぞれ示し、ここでの説明は省略する。第二ダイクロイックミラー6により分解されたG成分やB成分も上記R成分と同様にして、合成プリズム10に入射する。
【0033】
合成プリズム10は、P偏光状態のR成分Rpのみを反射させる第一反射面10aとP偏光状態のB成分Brのみを反射させる第二反射面10bとを有する。合成プリズム10に入射したP偏光状態のR成分Rpは、第一反射面10aで直角に反射されて投影レンズ群11に入射する。合成プリズム10に入射したP偏光状態のB成分Bpは、第一反射面10bで直角に反射されて投影レンズ群11に入射する。合成プリズム10に入射したP偏光状態のG成分Gpは、いずれの反射面10a、10bも透過して投影レンズ群11に入射する。このようにしてR、G、Bの各色成分が合成される。投影レンズ群11によってスクリーンSには、大画面の明るいフルカラー映像が投影される。
【0034】
以上のように構成することにより、反射型液晶プロジェクタ100は、各反射型液晶素子9R、9G、9Bと投影レンズ11との間の距離を短くすることができる。従って、投影レンズ11近傍の構成を小型化することができ、さらにはプロジェクタの奥行き方向の長さを短くすることもできる。また、図3〜図5に示すような反射特性を有する偏光性偏向素子8R、8G、8Bを使用することにより、光量の損失を有効に抑え、より明るい映像をスクリーンS上に表示させることもできる。
【0035】
さらに、反射型液晶プロジェクタ100は、各偏光性偏向素子8R、8G、8Bには、各色成分の光束が斜入射するように構成される。従って、偏光ビームスプリッタプリズムを使用した従来の構成とは異なり、光束径を絞ることが可能になる。そのため、光路として確保すべき空間を小さくすることができる。この点からも、プロジェクタ全体のより一層の小型化が実現される。
【0036】
また図1に示すように、反射型液晶プロジェクタ100は、どの光束もすべて90°の整数倍で偏向するように構成されている。従って本実施形態によれば、各光学部材を簡易な組み立て工程で高い精度をもった位置に配置することができる。
【0037】
以上が本発明の実施形態である。本発明にかかる反射型液晶プロジェクタは、上記の実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形を行っても同様の効果を奏する。
【0038】
上記実施形態では、各色成分の光路と各色に対応する反射型液晶素子9R〜9Bの液晶面とが平行になるように構成している。この点につき、本発明に係る反射型液晶プロジェクタは、各偏光性偏向素子が各色成分全径を取り込むことができるのであれば該構成に限定されるものではない。例えば、各色成分の光路と各色に対応する反射型液晶素子9R〜9Bの液晶面とを非平行にすれば、第二の傾斜角θを0°≦θ<90°の範囲内に設定することも可能である。
【0039】
但し、上記第二の傾斜角を0°に設定した場合、各偏光性偏向素子8R、8G、8BにS偏光を斜入射させるために、上記実施形態とは異なる配置構成を採る必要がある。図6は、第二の傾斜角を0°に設定した反射型液晶プロジェクタ100’の一例を示す概略構成図である。図6に示すように、反射型液晶プロジェクタ100’は、色分解手段である第一ダイクロイックミラー5、第二ダイクロイックミラー6、ミラー7の角度を調整することにより、各偏光性偏向素子8R、8G、8BにS偏光を斜入射させている。反射型液晶プロジェクタ100’のように、第二の傾斜角を0°に設定した場合、各素子8R、8G、8Bと各素子9R、9G、9Bとの相対的位置決めが上記実施形態よりも容易になる。
【0040】
また、反射型液晶プロジェクタ100’のように、第二の傾斜角を0°に設定した場合、各素子8R、8G、8Bと各素子9R、9G、9Bとの相対的位置決めが上記実施形態よりも容易になる利点がある。図7は、多層構造82において規定される各角度を表す説明図である。第一の傾斜角、つまり図7中の角度θは、各色成分が8R(8G、8B)に屈折角θをなすように入射した(つまり、入射角θで入射した)場合に射出角0°で射出されるような角度に設定される。つまり、第一の傾斜角θは、屈折角θの半分に設定される。また隣接する透明基板84間のピッチdは、偏光性偏向素子8R(8G、8B)に入射する光束の波長をλ、液晶膜の屈折率をnとすると、以下の式によって求められる。
【数1】
Figure 2004264663
【0041】
さらに、例えば、上記実施形態では、光源からの光束はS偏光であると説明したが、P偏光であってもよい。また、本実施形態の偏光性偏向素子は上記のような構成以外のものでも使用することができる。例えば、本出願人の出願である特願2003−23413号に開示する液晶膜を備えた偏光性偏向素子を使用することもできる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、該液晶素子と所定角度をなすように配設された所定構造の偏光性偏向素子を、各反射型液晶素子と合成プリズムの間の光束分岐手段として使用することにより、従来のプロジェクタよりも簡易な構成でかつ小型化、薄型化された反射型液晶プロジェクタを提供することができる。
【0043】
また、各液晶素子と投影レンズ間の距離を短くすることができたことにより、近距離からスクリーンに映像を投影するプロジェクタ、例えばリアプロジェクタ、のようなものであっても、高性能な投影レンズを使用せずとも十分に広角に鮮明な画像を投影することが可能となる。よってプロジェクタ自体のコストダウンも実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の反射型液晶プロジェクタの概略構成を表す図である。
【図2】本発明の実施形態の偏光性偏向素子と反射型液晶素子近傍の拡大図である。
【図3】本発明の実施形態のR用偏光性偏向素子に設けられる光学膜の反射特性を表すグラフである。
【図4】本発明の実施形態のR用偏光性偏向素子に設けられる光学膜の反射特性を表すグラフである。
【図5】本発明の実施形態のR用偏光性偏向素子に設けられる光学膜の反射特性を表すグラフである。
【図6】本発明の他の実施形態の反射型液晶プロジェクタの概略構成を表す図である。
【図7】他の実施形態に用いられる偏光性偏向素子に関する説明図である。
【図8】従来の反射型液晶プロジェクタの概略構成図である。
【符号の説明】
1 光源
5、6 ダイクロイックミラー
8R、8G、8B 偏光性偏向素子
9R、9G、9B 反射型液晶素子
10 合成プリズム
11 投影レンズ
100 反射型液晶プロジェクタ

Claims (8)

  1. 第一の直線偏光状態にある白色の平行光束を照射する光源部と、
    前記平行光束を、偏光状態を維持しつつR、G、Bの各色成分に分解する色分解手段と、
    各色成分を、所定の情報に対応して変調するとともに、前記第一の直線偏光状態を90°回転した第二の直線偏光状態にする、各色に対応した第一から第三の反射型液晶素子と、
    変調後の各色成分を合成する合成プリズムと、
    前記合成プリズムによって合成された光束をスクリーン上に投影する投影レンズ群と、
    各前記反射型液晶素子と前記合成プリズムの間に配設される、各色に対応した第一から第三の光束分岐部材と、を有し、
    各前記光束分岐部材は、所定の入射角α(但し0°<α<90°)で第一端面に斜入射した第一の直線偏光状態の色成分を、各前記反射型液晶素子に略直角に入射するように該第一端面と略平行でかつ反対側にある第二端面から射出させ、かつ一方の端面に入射した第二の直線偏光状態の色成分を、該一方の端面における入射角と同一の射出角で他方の端面から射出させることを特徴とする反射型液晶プロジェクタ。
  2. 請求項1に記載の反射型液晶プロジェクタにおいて、
    前記光束分岐部材は、前記第一の直線偏光状態の色成分は反射して、前記第二の直線偏光状態の色成分は透過させる光学膜を塗布された複数の透明基板が、各端面の法線に対して第一の傾斜角だけ傾く状態で両端面の間に所定ピッチで周期的に積層されていることを特徴とする反射型液晶プロジェクタ。
  3. 請求項2に記載の反射型液晶プロジェクタにおいて、
    第一から第三の光束分岐部材の各光学膜はそれぞれ、対応する色成分の第一の直線偏光は略全反射し、該対応する色成分の第二の直線偏光は略全透過する特性を有することを特徴とする反射型液晶プロジェクタ。
  4. 請求項1に記載の反射型液晶プロジェクタにおいて、
    前記光束分岐部材は、両端面の間に液晶膜を有し、
    前記液晶膜は、該両端面に対して平行方向に液晶が配向された第一領域と、垂直方向に液晶が配向された第二領域とが所定ピッチで周期的に並んでおり、第一領域と第二領域の境界面が、各端面の法線に対して第一の傾斜角だけ傾くように構成されていることを特徴とする反射型液晶プロジェクタ。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の反射型液晶プロジェクタにおいて、
    前記光束分岐部材は、各前記端面と前記反射型液晶素子の液晶面とが、第二の傾斜角θをなすように配設されており、該第二の傾斜角θは、0°≦θ<90°の範囲内にあることを特徴とする反射型液晶プロジェクタ。
  6. 請求項5に記載の反射型液晶プロジェクタにおいて、
    前記第二の傾斜角θが0°<θ<90°の範囲内にあるとき、第一の直線偏光状態の各色成分は、前記液晶面に対して平行な方向から前記光束分岐部材に入射することを特徴とする反射型液晶プロジェクタ。
  7. 請求項5に記載の反射型液晶プロジェクタにおいて、
    前記第二の傾斜角θが0°であり、第一の直線偏光状態の各色成分は、前記液晶面に対して非平行な方向から前記光束分岐部材に入射することを特徴とする反射型液晶プロジェクタ。
  8. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の反射型液晶プロジェクタにおいて、
    前記第一の直線偏光はS偏光であり、
    前記第二の直線偏光はP偏光であることを特徴とする反射型液晶プロジェクタ。
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