JP2004264251A - 温度測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成で、流体の温度測定を行うことができる超音波流体温度測定装置を提供すること。
【解決手段】導管9を通過する流体の温度を測定する温度測定装置であって、導管9の外周部に配設される1対の超音波送受信器10a,10bと、導管9内を伝播する超音波の伝播時間と音速、流体内を伝播する超音波の伝播時間と音速を演算する演算部5とを備え、1対の超音波送受信器10a,10b間で双方向に超音波を伝播させるとともに、互いに受信させ、演算部5が、演算した超音波の音速値に基づいて、流体の温度を特定する。
【選択図】 図1
【解決手段】導管9を通過する流体の温度を測定する温度測定装置であって、導管9の外周部に配設される1対の超音波送受信器10a,10bと、導管9内を伝播する超音波の伝播時間と音速、流体内を伝播する超音波の伝播時間と音速を演算する演算部5とを備え、1対の超音波送受信器10a,10b間で双方向に超音波を伝播させるとともに、互いに受信させ、演算部5が、演算した超音波の音速値に基づいて、流体の温度を特定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、超音波流量計を利用して流体の温度を測定する温度測定装置に関し、発泡性飲料水の自動供給装置に適し、特に飲料水に注入するガスの量を制御するうえで、飲料水の温度計測に適した温度測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発泡性飲料の供給装置、例えば、ビールディスペンサにおいては、温度変化のよる発泡量抑制のため、ビールを供給する導管に温度センサを挿入してビールの温度を測定しており、供給するビールの量を図示しない流量検出手段によって測定している。このようなビールディスペンサの温度測定装置として、例えば、図7に示す温度測定装置は、ビールの導管9に挿入された温度センサ11と、変換器1とを有している。
【0003】
変換器1は、温度センサ11からの信号に基づいてビールの温度を計測する温度測定部12と、温度測定部12からの温度信号に基づいてビールに注入する炭酸ガスの量を制御する制御部13とを有している。
【0004】
温度センサ11は、導管9内のビールの温度を検出し、温度に対応した電気信号を温度測定部12へ出力するもので、種々のものが知られている(特許文献1〜3参照)。温度測定部12は、温度センサ11から入力された電気信号を温度信号に変換し、制御部13へ出力する。
【0005】
制御部13は、ビールの温度と炭酸ガスの含有率との関係が予め記憶され、温度信号を入力すると、入力した温度に対応した炭酸ガスの含有率を読み出すことができる。そして、制御部13は、ビールの温度に対応した炭酸ガスの含有率となるように炭酸ガスボンベの圧力調整バルブに対して圧力調整信号を出力するように設定されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−023373号公報
【特許文献2】
特開平11−326070号公報
【特許文献3】
特開2000−292269公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、発泡性飲料の供給装置、例えば、ビールディスペンサにおいては、上記のように、温度変化による発泡量抑制のため、測定したビールの温度から制御部13を介して炭酸ガスの圧力制御を行うと共に、定量抽出のため、温度測定手段と流量検出手段という別個独立の測定手段を設けていた。このように、流体の温度と流量とを測定する装置においては、2種類の測定手段を用いていることから、大型化すると共に、価格が高価になるという問題を生じさせていた。
【0008】
この発明は上記に鑑みてなされたものであって、大型化を抑えてコンパクトにし、コストダウンを図りつつ流体の温度を測定することが可能な温度測定装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる温度測定装置は、導管を通過する流体の温度を測定する温度測定装置であって、前記導管の外周部に配設される1対の超音波送受信器と、前記導管内を伝播する超音波の伝播時間と音速、前記流体内を伝播する超音波の伝播時間と音速を演算する演算部とを備え、前記1対の超音波送受信器間で双方向に超音波を伝播させるとともに、互いに受信させ、前記演算部が、演算した前記超音波の音速値に基づいて、前記流体の温度を特定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2にかかる温度測定装置は、上記の発明において、前記演算部は、前記流体の温度と、前記流体内を伝播する音速値との関係を記憶する記憶部を備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3にかかる温度測定装置は、上記の発明において、前記流体内を伝播する超音波の伝播時間を、前記流体を前記導管に封止して、測定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4にかかる温度測定装置は、上記の発明において、前記演算部は、特定された前記流体の温度に基づいて、前記流体に注入するガスの量を制御することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる温度測定装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
本発明にかかる温度測定装置は、上記目的を達成するため、超音波流量計を利用することによって、簡易な構成で、流体の温度を安価に測定可能としたことを特徴としている。また、本発明は、流体の温度が、その流体の音速と相関関係を有していることを利用し、流体の音速から、流体の温度を導き出すことを基本原理としている。
【0015】
まず、超音波流量計の測定原理から説明する。超音波を利用した超音波流量計とは、被測定流体を通過させる導管に配設した1対の超音波送受信器を用いて、超音波を互いに送受信させる。そして、移動流体中の超音波速度が音速と流速のベクトル和になることを利用し、流れ方向および逆方向に超音波を発信し、伝播時間差、信号の位相差などによって流量を求めるものである。
【0016】
したがって、本発明にかかる温度測定装置は、超音波流量計としての機能も有しているため、基本的な構成も超音波流量計と共通している。
【0017】
図1は、この発明の実施の形態1である温度測定装置の構成を示すブロック図である。図1において、この温度測定装置は、流体を通過させる導管9の外周部に配設され、超音波を互いに送受信する1対の超音波送受信器10a,10bと、超音波送受信器10a,10bから入力される超音波信号を処理し流体の温度を特定し、流体に含有させるガスの量を制御するための制御信号を出力する変換器1とを有している。
【0018】
まず、送信部2は、制御部8からの超音波信号の送信指示を受けると、切替器7を介して超音波送受信器10aに超音波発信信号を送信する。ここで、切替器7は、制御部8の制御のもとに、送信部2から超音波送受信器10a,10bに対する信号と、超音波送受信器10a,10bから受信部3に対する信号の切替を行う。
【0019】
送信部2から超音波発信信号が超音波送受信器10aに送信されると、超音波送受信器10aから超音波が発信され、超音波送受信器10bに受信される。そして、超音波送受信器10bから受信した超音波に基づく超音波受信信号は、切替器7を介して受信部3に送信される。
【0020】
受信部3は、予め設定された所定の基準値に基づいて、受信した超音波信号を2値化して、受信信号として認識し、受信したと認識した時刻を時間計測部4に送信する。時間計測部4は、超音波信号を送信した時刻が制御部8から通知されており、送信信号と受信信号との時間差を計測することによって、超音波送受信器10aから超音波送受信器10bへの伝播時間を特定する。同様にして、切替器7の伝送路を切替えることによって、時間計測部4は、超音波送受信器10bから超音波送受信器10aへの伝播時間を特定し、これら2種類の伝播時間を、演算部5に送信する。
【0021】
演算部5は、流体の温度と音速との関係特性を記憶している記憶部6を有している。演算部5は、時間計測部4から入力された流体内を伝播した2種類の超音波の伝播時間から、流体内の音速を算出し、記憶部5に記憶されている流体温度と音速の関係特性によって、流体温度を特定する。
【0022】
ここで、2種類の超音波の伝播時間をもとにして導管9を流れる流体の温度を特定する方法を詳細に説明する。図2は、送信部2での送信信号(a)、受信部3での受信信号(b)、時間計測部4での時間計測部発信パルス(c)の変化を示すタイムチャートである。また、図3は、超音波の伝播経路を詳しく説明するための導管9の断面図である。
【0023】
まず、制御部8から、超音波の発信指示が出力されると、送信部2においては、図2(a)に示すような送信信号a1を出力する。送信部2の送信信号a1によって、導管9に配設された超音波送受信器10aから超音波が発信される。発信された超音波の一部は、図3に示すように経路RAを経由し、導管内で反射して経路RA´を経由して超音波送受信器10bに到達する。このような経路(RA→RA´)を経由した超音波信号は、伝播距離が最短であるため、受信部3では、図2(b)に示すように最も速く、超音波受信信号b1を受信する。
【0024】
また、発信された超音波は、図3に示すように導管9経路RBを経由し、一旦、所定の屈折角をもって流体内に進入し、流体経路RCを経由し、導管9で反射して、流体経路RC´を経由して、再び所定の屈折角をもって導管9に進入し、導管9経路RB´を経由して、超音波送受信器10bに到達する。このような経路(RB→RC→RC´→RB´)を経由した超音波信号は、流体内を経由する経路としては最短であるため、受信部3では、図2(b)に示すような受信信号b2を受信する。
【0025】
本発明にかかる温度測定装置に用いられる導管9の材質として、ポリサルホン等の樹脂材が知られているが、ポリサルホン材中を伝播する超音波の音速は3MHz,10℃のときに、2,300m/sであり、一方、流体の主成分である水を伝播する超音波の音速は、3MHz,10℃のときに、1,400m/sである。したがって、導管9のみを経路とした超音波が最も速く伝播する。
【0026】
しかし、超音波は、媒質の密度、粘性、比熱、熱伝導率等の様々な要因によって、減衰するため、超音波の減衰率は経路長のみに依存しない。そのため、図2(b)に示すように、導管9のみを経由した音波b1は速いが、振幅は小さく受信され、逆に、導管9と流体の両方を経由した音波b2は遅いが、振幅は大きく受信される。
【0027】
つぎに、時間計測部4では、送信部2から送信した送信信号a1と、受信部3で受信した受信信号b1,b2に対応して、パルスc1,c2,c3を発信する。この結果、導管9のみを伝播する超音波の伝播時間をT1とすると、T1=c2−c1となり、導管9と流体の両方を経路(RB→RC→RC´→RB´)とする超音波の下流方向への伝播時間をT2aとすると、T2a=c3−c1となる。
【0028】
つぎに、切替器7を介して超音波信号の授受が反対方向になる場合を説明する。つまり、流体の下流にある超音波送受信器10bから、超音波が発信され、流体の上流にある超音波送受信器10aに受信される場合である。
【0029】
この場合、送信部2では、図2(a)に示すように送信信号a2が送信され、受信部3では、図2(b)に示すように、受信信号b3,b4が受信される。そして、所定の基準値によって2値化を行い、受信信号b3,b4を時間計測部4に出力する。時間計測部4では、送信部2で送信した送信信号a2と、受信部3で受信した受信信号b3,b4に対応して、図2(c)に示すようにパルスc4,c5,c6を発信し、演算部5に出力する。
【0030】
そこで、導管9のみを伝播する超音波経路(RA→RA´)の伝播時間をT1´とすると、T1´=c5−c4となり、導管9と流体の両方を経路(RB´→RC´→RC→RB)とする超音波の上流方向への伝播時間をT2bとすると、T2b=c6−c5となる。
【0031】
ところで、T1とT1´は導管9のみを伝播した伝播時間であり、流体の流れとは無関係であるので、T1=T1´としてよい。一方、T2aは上流から下流への伝播時間であって、T2bは逆に、下流から上流への伝播時間であるから、流体の流れの影響を受けて、T2a≠T2bとなる。
【0032】
しかし、仮に導管9と静止流体の両方を経由した総伝播時間をT3とすると、導管9内の流体の流れが一定であれば、下流方向への伝播時間T2aと、上流方向への伝播時間T2bの相加平均を用いて、総伝播時間T3を式(1)のように表すことができる。
T3=(T2a+T2b)/2 ・・・・(1)
【0033】
ここで、導管9と静止流体の両方を経由する総伝播時間T3が求まるが、総伝播時間T3と、流体の温度との関係特性を示す図4から分かるように、総伝播時間T3は、温度の2次関数になっており、総伝播時間T3からは、一意的に流体の温度は特定できない。これは、伝播媒質の違いによって、音速も異なることに起因する。換言すれば、音速は媒質に依存するからである。
【0034】
そこで、導管9と流体を経由する超音波の総伝播時間T3を、導管9経路(RB←→RB´)を伝播する時間TBと、静止流体経路(RC←→RC´)を伝播する時間TCとに分けると、総伝播時間T3は以下の式(2)で表される。
T3=TB+TC ・・・・(2)
さらに、夫々導管9の音速をVBとし、流体の音速をVCとすると、夫々の伝播時間TB,TCは以下の式(3),(4)で表される。
TB=(RB+RB´)/VB ・・・・(3)
TC=(RC+RC´)/VC ・・・・(4)
【0035】
また、導管9の音速VBは、次式(5)で表される。
VB=(RA+RA´)/T1 ・・・・(5)
ここで、各経路RA,RA´,RB,RB´,RC,RC´の長さは、いずれも幾何学的に導き出される値である。また、伝播時間T1,T2a,T2bは、時間計測部4において発信されたパルス間の時間差を測定することによって求められる。したがって、伝播時間T1が求まれば、式(5)から導管9の音速VBが求まり、音速VBが求まれば、式(3)より、導管9の伝播時間TBが求まる。
【0036】
導管9の伝播時間TBが求まれば、総伝播時間T3は式(1)によって求められているので、式(2)に代入して、流体の伝播時間TCが求まる。そして、伝播時間TCの値が求まれば、式(4)より、流体の音速VCが得られる。つまり、伝播時間T1,T2a,T2bが時間計測部4から演算部5に出力されれば、上記の演算を演算部5で行うことによって、流体の音速VCが算出されることになる。
【0037】
そこで、流体の音速VCと温度との関係特性(図5)を記憶部6に入力しておけば、演算部5で算出された音速VCの値と、関係特性(図5)から流体の温度が特定される。流体の温度が特定されると、この特定された流体温度を制御部8に出力する。制御部8は、特定された流体温度における炭酸ガスの含有率を記憶しており、その含有率の値が所定の値と一致するように、ガスボンベの圧力調整バルブに対して、圧力の加減制御信号を出力し、所定量の炭酸ガスを含有する飲料を供給するようにする。
【0038】
実施の形態1で説明した、温度測定装置は、超音波流量計を利用することで、流体の温度が測定でき、また、演算部5での演算処理は、流量測定の演算と平行して行うことができるため、温度測定と流量測定とが、同時に行えるという利点を有する。
【0039】
更に、温度測定装置は、流体温度測定のために新たな測定器等を導管9等に付加する必要がないため、コストアップせずに、流体の温度を測定できるという利点を有する。
【0040】
更に、温度測定装置は、導管9等に温度センサ11等の突起物を設ける必要がないため、発泡性の飲料が導管9を通過する際に、それらの突起物によって、ガスが気化して気泡となり、超音波流量計における測定誤差を誘引する原因を除去できるという利点も有する。
【0041】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、導管中の流体が一定の流れを伴っている場合での、流体温度測定について説明したが、実施の形態2では、導管中の流体の流れを一時的に止めて、封止状態にして、流体温度の測定を行うことを特徴としている。
【0042】
なお、超音波流量計としての測定原理は、実施の形態1でした説明と同一であるので、省略する。また、実施の形態2にかかる発明においては、実施の形態1で説明した装置構成は同一であるので、実施の形態2の説明においても、同一の構成ブロック図(図1)と、同一の導管9の断面図(図3)を用いて説明する。
【0043】
まず、導管9に流体を導入した状態で、制御部8から飲料水供給バルブに制御信号を出力して、導管9の流体の流れを止め、導管9に流体を封止する。制御部8は、その封止状態を確認してから、導管9に楔状に配設されている1対超音波送受信器10a,10bの一方の超音波送受信器10aに対して、送信部2から超音波発信信号を伝送するように指示を出す。
【0044】
超音波送受信器10aから超音波信号が発信されると、超音波送受信器10bでは、超音波信号を受信して、受信した超音波信号を受信部3に送信する。受信部3では、受信した前記受信信号を時間計測部4に出力する。時間計測部4では、超音波送信時において、送信部2から送信信号を入力しており、受信部3から受信した受信信号に対して、夫々に対して発信パルスを発信して、伝播時間(送信時刻と受信時刻の時間差)が分かるようになっている。
【0045】
この伝播時間を演算部5に出力すると、演算部5では、超音波の伝播時間に基づいて、流体内を伝播する超音波の音速を演算し、記憶部6に記憶されている流体の温度と音速の関係特性(図5)とを照合することによって、流体の温度を特定する。そして、特定された流体の温度に基づいて、飲料水が所定量の炭酸ガスを含有するように、ガスボンベの圧力調整バルブに対して、圧力の加減制御信号を出力する。そして、所定量の炭酸ガスを含有する飲料が供給される。
【0046】
図6は、送信部2での送信信号(a)、受信部3での受信信号(b)、時間計測部4での時間計測部発信パルス(c)の変化を示すタイムチャートである。まず、制御部8から超音波の発信指示が出力されると、送信部2においては、図6(a)に示すような送信信号a1を出力する。
【0047】
送信部2から切替器7を介して、超音波送受信器10aから超音波が発信されると、他方の超音波受信器10bに受信された超音波は、切替器7を介して、受信部3で、図6(b)に示すような受信信号b1,b2として受信される。受信された受信信号は、所定の基準値を用いて2値化され、受信されたと認識した時刻が時間計測部4に出力される。
【0048】
図3に示すようにb1は、導管9経路(RA→RA´)のみを経由して伝播してきた超音波であり、b2は、導管9と流体の両方を経路(RB→RC→RC´→RB´)とする超音波である。時間計測部4では、送信部2で送信した送信信号a1と、受信部3で受信した受信信号b1,b2に対応して、図6(c)に示すようにパルスc1,c2,c3を発信し、演算部5に出力する。
【0049】
実施の形態1で説明した同様な理由によって、導管9のみを経由した超音波は速いが、振幅は小さく受信され、一方、導管9と流体の両方を経由した超音波は遅いが、振幅は大きく受信される。
【0050】
そして、導管9のみを伝播した超音波の伝播時間をT1とし、導管9と流体の両方を経由して伝播した超音波の総伝播時間をT3とすると、伝播時間T1と、総伝播時間T3は、夫々以下の式(6),(7)で表される。
T1=c2−c1 ・・・・(6)
T3=c3−c1 ・・・・(7)
【0051】
演算部5においては、時間計測部4から出力されたパルスc1,c2,c3から、上式(6),(7)によって伝播時間T1と、総伝播時間T3が算出される。伝播時間T1は、導管9を伝播した時間であり、導管9経路(RA→RA´)は幾何学的に導き出される。したがって、導管9内を伝播する超音波の音速VAは以下の式(8)によって求まる。
VA=(RA+RA´)/T1 ・・・・(8)
【0052】
一方、流体を伝播する超音波の音速をVBとすると、総伝播時間T3は以下の式(9)によって表される。
T3={(RB+RB´)/VA}+{(RC+RC´)/VB}・・・(9)
ここで、総伝播時間T3は測定によって求められ、また流体経路(RC→RC´)は幾何学的に求められるので、総伝播時間T3を表す式(9)に、式(8)で求められた導管9を伝播する超音波の音速VAを代入することによって、流体の音速VBが求まる。
【0053】
ここで、演算部5は、上記の演算によって算出された流体の音速VBを記憶部6に記憶されている、流体の温度と音速の関係特性(図5)と照合することによって、流体の温度を特定する。そして、演算部5は特定された流体の温度を制御部8に出力する。制御部8は、特定された流体温度における炭酸ガスの含有率を記憶しており、その含有率の値が所定の値と一致するように、ガスボンベの圧力調整バルブに対して、圧力加減制御信号を出力し、所定量の炭酸ガスを含有する飲料を供給する。
【0054】
なお、上述した実施の形態2では、超音波の発信側を超音波送受信器10aとし、受信側を超音波送受信器10bとしたが、流体は封止されており、双方の超音波送受信器10a,10bの流体に対して上流と下流との位置関係が無いから、送受信方向を逆にしてもよい。
【0055】
この実施の形態2の発明によれば、流体温度の特定のための超音波の発信は1回で済むため、超音波の発信回数を減らして、超音波送受信器10a,10bおよび送信部2、受信部3の負担を減らし、夫々の寿命を延ばせるという利点を有する。
【0056】
また、実施の形態2の発明によれば、流体を封止するため、流体が静止状態となって、飲料中に含有するガスが気泡化する可能性を小さくし、超音波信号の授受に対して、擾乱を起こさず、正確な温度特定ができるという利点も有する。
【0057】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、既存の超音波流量計を利用して、流体の温度が測定できるため、流体温度測定のために追加の部品等を設けること無しに、つまりコストアップをせずに、かつコンパクトに流体の温度が測定できるという効果を奏する。
【0058】
また、この発明によれば、流量を止めている封止状態でも、流れを伴っている場合の両方の場合においても、流体の温度が測定できるので、発泡性飲料の自動供給装置に用いられる場合、自由な時に流体温度が測定でき、温度測定のために、新たな時間を設定する必要が無く、稼働時間を下げずに流体の温度測定ができるという効果を奏する。
【0059】
また、この発明によれば、流体温度測定のために、導管9に、部品を付加する必要が無いので、温度測定のためのセンサ類などの突起物によってガスが気化して、気泡による超音波の伝播時間の誤差を招来して、超音波流量計および、本発明にかかる温度測定装置への悪影響を無くすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1である温度測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1で説明した温度測定装置の送信部、受信部、および時間計測部における信号の変化を示すタイムチャートである。
【図3】図1に示した温度測定装置の導管における超音波の伝播経路を説明する導管断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1で説明した、導管と流体を経由した超音波の総伝播時間と、流体の温度との関係を示すグラフ図である。
【図5】この発明にかかる温度測定装置の記憶部に記憶されている、流体の音速と温度との関係特性を示すグラフ図である。
【図6】この発明の実施の形態2で説明した温度測定装置の送信部、受信部、時間計測部における信号の変化を示すフローチャートである。
【図7】従来の温度測定装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 変換器
2 送信部
3 受信部
4 時間計測部
5 演算部
6 記憶部
7 切替器
8 制御部
9 導管
10a 超音波送受信器
10b 超音波送受信器
11 温度センサ
12 温度測定部
13 制御部
【発明の属する技術分野】
この発明は、超音波流量計を利用して流体の温度を測定する温度測定装置に関し、発泡性飲料水の自動供給装置に適し、特に飲料水に注入するガスの量を制御するうえで、飲料水の温度計測に適した温度測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発泡性飲料の供給装置、例えば、ビールディスペンサにおいては、温度変化のよる発泡量抑制のため、ビールを供給する導管に温度センサを挿入してビールの温度を測定しており、供給するビールの量を図示しない流量検出手段によって測定している。このようなビールディスペンサの温度測定装置として、例えば、図7に示す温度測定装置は、ビールの導管9に挿入された温度センサ11と、変換器1とを有している。
【0003】
変換器1は、温度センサ11からの信号に基づいてビールの温度を計測する温度測定部12と、温度測定部12からの温度信号に基づいてビールに注入する炭酸ガスの量を制御する制御部13とを有している。
【0004】
温度センサ11は、導管9内のビールの温度を検出し、温度に対応した電気信号を温度測定部12へ出力するもので、種々のものが知られている(特許文献1〜3参照)。温度測定部12は、温度センサ11から入力された電気信号を温度信号に変換し、制御部13へ出力する。
【0005】
制御部13は、ビールの温度と炭酸ガスの含有率との関係が予め記憶され、温度信号を入力すると、入力した温度に対応した炭酸ガスの含有率を読み出すことができる。そして、制御部13は、ビールの温度に対応した炭酸ガスの含有率となるように炭酸ガスボンベの圧力調整バルブに対して圧力調整信号を出力するように設定されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−023373号公報
【特許文献2】
特開平11−326070号公報
【特許文献3】
特開2000−292269公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、発泡性飲料の供給装置、例えば、ビールディスペンサにおいては、上記のように、温度変化による発泡量抑制のため、測定したビールの温度から制御部13を介して炭酸ガスの圧力制御を行うと共に、定量抽出のため、温度測定手段と流量検出手段という別個独立の測定手段を設けていた。このように、流体の温度と流量とを測定する装置においては、2種類の測定手段を用いていることから、大型化すると共に、価格が高価になるという問題を生じさせていた。
【0008】
この発明は上記に鑑みてなされたものであって、大型化を抑えてコンパクトにし、コストダウンを図りつつ流体の温度を測定することが可能な温度測定装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる温度測定装置は、導管を通過する流体の温度を測定する温度測定装置であって、前記導管の外周部に配設される1対の超音波送受信器と、前記導管内を伝播する超音波の伝播時間と音速、前記流体内を伝播する超音波の伝播時間と音速を演算する演算部とを備え、前記1対の超音波送受信器間で双方向に超音波を伝播させるとともに、互いに受信させ、前記演算部が、演算した前記超音波の音速値に基づいて、前記流体の温度を特定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2にかかる温度測定装置は、上記の発明において、前記演算部は、前記流体の温度と、前記流体内を伝播する音速値との関係を記憶する記憶部を備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3にかかる温度測定装置は、上記の発明において、前記流体内を伝播する超音波の伝播時間を、前記流体を前記導管に封止して、測定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4にかかる温度測定装置は、上記の発明において、前記演算部は、特定された前記流体の温度に基づいて、前記流体に注入するガスの量を制御することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる温度測定装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
本発明にかかる温度測定装置は、上記目的を達成するため、超音波流量計を利用することによって、簡易な構成で、流体の温度を安価に測定可能としたことを特徴としている。また、本発明は、流体の温度が、その流体の音速と相関関係を有していることを利用し、流体の音速から、流体の温度を導き出すことを基本原理としている。
【0015】
まず、超音波流量計の測定原理から説明する。超音波を利用した超音波流量計とは、被測定流体を通過させる導管に配設した1対の超音波送受信器を用いて、超音波を互いに送受信させる。そして、移動流体中の超音波速度が音速と流速のベクトル和になることを利用し、流れ方向および逆方向に超音波を発信し、伝播時間差、信号の位相差などによって流量を求めるものである。
【0016】
したがって、本発明にかかる温度測定装置は、超音波流量計としての機能も有しているため、基本的な構成も超音波流量計と共通している。
【0017】
図1は、この発明の実施の形態1である温度測定装置の構成を示すブロック図である。図1において、この温度測定装置は、流体を通過させる導管9の外周部に配設され、超音波を互いに送受信する1対の超音波送受信器10a,10bと、超音波送受信器10a,10bから入力される超音波信号を処理し流体の温度を特定し、流体に含有させるガスの量を制御するための制御信号を出力する変換器1とを有している。
【0018】
まず、送信部2は、制御部8からの超音波信号の送信指示を受けると、切替器7を介して超音波送受信器10aに超音波発信信号を送信する。ここで、切替器7は、制御部8の制御のもとに、送信部2から超音波送受信器10a,10bに対する信号と、超音波送受信器10a,10bから受信部3に対する信号の切替を行う。
【0019】
送信部2から超音波発信信号が超音波送受信器10aに送信されると、超音波送受信器10aから超音波が発信され、超音波送受信器10bに受信される。そして、超音波送受信器10bから受信した超音波に基づく超音波受信信号は、切替器7を介して受信部3に送信される。
【0020】
受信部3は、予め設定された所定の基準値に基づいて、受信した超音波信号を2値化して、受信信号として認識し、受信したと認識した時刻を時間計測部4に送信する。時間計測部4は、超音波信号を送信した時刻が制御部8から通知されており、送信信号と受信信号との時間差を計測することによって、超音波送受信器10aから超音波送受信器10bへの伝播時間を特定する。同様にして、切替器7の伝送路を切替えることによって、時間計測部4は、超音波送受信器10bから超音波送受信器10aへの伝播時間を特定し、これら2種類の伝播時間を、演算部5に送信する。
【0021】
演算部5は、流体の温度と音速との関係特性を記憶している記憶部6を有している。演算部5は、時間計測部4から入力された流体内を伝播した2種類の超音波の伝播時間から、流体内の音速を算出し、記憶部5に記憶されている流体温度と音速の関係特性によって、流体温度を特定する。
【0022】
ここで、2種類の超音波の伝播時間をもとにして導管9を流れる流体の温度を特定する方法を詳細に説明する。図2は、送信部2での送信信号(a)、受信部3での受信信号(b)、時間計測部4での時間計測部発信パルス(c)の変化を示すタイムチャートである。また、図3は、超音波の伝播経路を詳しく説明するための導管9の断面図である。
【0023】
まず、制御部8から、超音波の発信指示が出力されると、送信部2においては、図2(a)に示すような送信信号a1を出力する。送信部2の送信信号a1によって、導管9に配設された超音波送受信器10aから超音波が発信される。発信された超音波の一部は、図3に示すように経路RAを経由し、導管内で反射して経路RA´を経由して超音波送受信器10bに到達する。このような経路(RA→RA´)を経由した超音波信号は、伝播距離が最短であるため、受信部3では、図2(b)に示すように最も速く、超音波受信信号b1を受信する。
【0024】
また、発信された超音波は、図3に示すように導管9経路RBを経由し、一旦、所定の屈折角をもって流体内に進入し、流体経路RCを経由し、導管9で反射して、流体経路RC´を経由して、再び所定の屈折角をもって導管9に進入し、導管9経路RB´を経由して、超音波送受信器10bに到達する。このような経路(RB→RC→RC´→RB´)を経由した超音波信号は、流体内を経由する経路としては最短であるため、受信部3では、図2(b)に示すような受信信号b2を受信する。
【0025】
本発明にかかる温度測定装置に用いられる導管9の材質として、ポリサルホン等の樹脂材が知られているが、ポリサルホン材中を伝播する超音波の音速は3MHz,10℃のときに、2,300m/sであり、一方、流体の主成分である水を伝播する超音波の音速は、3MHz,10℃のときに、1,400m/sである。したがって、導管9のみを経路とした超音波が最も速く伝播する。
【0026】
しかし、超音波は、媒質の密度、粘性、比熱、熱伝導率等の様々な要因によって、減衰するため、超音波の減衰率は経路長のみに依存しない。そのため、図2(b)に示すように、導管9のみを経由した音波b1は速いが、振幅は小さく受信され、逆に、導管9と流体の両方を経由した音波b2は遅いが、振幅は大きく受信される。
【0027】
つぎに、時間計測部4では、送信部2から送信した送信信号a1と、受信部3で受信した受信信号b1,b2に対応して、パルスc1,c2,c3を発信する。この結果、導管9のみを伝播する超音波の伝播時間をT1とすると、T1=c2−c1となり、導管9と流体の両方を経路(RB→RC→RC´→RB´)とする超音波の下流方向への伝播時間をT2aとすると、T2a=c3−c1となる。
【0028】
つぎに、切替器7を介して超音波信号の授受が反対方向になる場合を説明する。つまり、流体の下流にある超音波送受信器10bから、超音波が発信され、流体の上流にある超音波送受信器10aに受信される場合である。
【0029】
この場合、送信部2では、図2(a)に示すように送信信号a2が送信され、受信部3では、図2(b)に示すように、受信信号b3,b4が受信される。そして、所定の基準値によって2値化を行い、受信信号b3,b4を時間計測部4に出力する。時間計測部4では、送信部2で送信した送信信号a2と、受信部3で受信した受信信号b3,b4に対応して、図2(c)に示すようにパルスc4,c5,c6を発信し、演算部5に出力する。
【0030】
そこで、導管9のみを伝播する超音波経路(RA→RA´)の伝播時間をT1´とすると、T1´=c5−c4となり、導管9と流体の両方を経路(RB´→RC´→RC→RB)とする超音波の上流方向への伝播時間をT2bとすると、T2b=c6−c5となる。
【0031】
ところで、T1とT1´は導管9のみを伝播した伝播時間であり、流体の流れとは無関係であるので、T1=T1´としてよい。一方、T2aは上流から下流への伝播時間であって、T2bは逆に、下流から上流への伝播時間であるから、流体の流れの影響を受けて、T2a≠T2bとなる。
【0032】
しかし、仮に導管9と静止流体の両方を経由した総伝播時間をT3とすると、導管9内の流体の流れが一定であれば、下流方向への伝播時間T2aと、上流方向への伝播時間T2bの相加平均を用いて、総伝播時間T3を式(1)のように表すことができる。
T3=(T2a+T2b)/2 ・・・・(1)
【0033】
ここで、導管9と静止流体の両方を経由する総伝播時間T3が求まるが、総伝播時間T3と、流体の温度との関係特性を示す図4から分かるように、総伝播時間T3は、温度の2次関数になっており、総伝播時間T3からは、一意的に流体の温度は特定できない。これは、伝播媒質の違いによって、音速も異なることに起因する。換言すれば、音速は媒質に依存するからである。
【0034】
そこで、導管9と流体を経由する超音波の総伝播時間T3を、導管9経路(RB←→RB´)を伝播する時間TBと、静止流体経路(RC←→RC´)を伝播する時間TCとに分けると、総伝播時間T3は以下の式(2)で表される。
T3=TB+TC ・・・・(2)
さらに、夫々導管9の音速をVBとし、流体の音速をVCとすると、夫々の伝播時間TB,TCは以下の式(3),(4)で表される。
TB=(RB+RB´)/VB ・・・・(3)
TC=(RC+RC´)/VC ・・・・(4)
【0035】
また、導管9の音速VBは、次式(5)で表される。
VB=(RA+RA´)/T1 ・・・・(5)
ここで、各経路RA,RA´,RB,RB´,RC,RC´の長さは、いずれも幾何学的に導き出される値である。また、伝播時間T1,T2a,T2bは、時間計測部4において発信されたパルス間の時間差を測定することによって求められる。したがって、伝播時間T1が求まれば、式(5)から導管9の音速VBが求まり、音速VBが求まれば、式(3)より、導管9の伝播時間TBが求まる。
【0036】
導管9の伝播時間TBが求まれば、総伝播時間T3は式(1)によって求められているので、式(2)に代入して、流体の伝播時間TCが求まる。そして、伝播時間TCの値が求まれば、式(4)より、流体の音速VCが得られる。つまり、伝播時間T1,T2a,T2bが時間計測部4から演算部5に出力されれば、上記の演算を演算部5で行うことによって、流体の音速VCが算出されることになる。
【0037】
そこで、流体の音速VCと温度との関係特性(図5)を記憶部6に入力しておけば、演算部5で算出された音速VCの値と、関係特性(図5)から流体の温度が特定される。流体の温度が特定されると、この特定された流体温度を制御部8に出力する。制御部8は、特定された流体温度における炭酸ガスの含有率を記憶しており、その含有率の値が所定の値と一致するように、ガスボンベの圧力調整バルブに対して、圧力の加減制御信号を出力し、所定量の炭酸ガスを含有する飲料を供給するようにする。
【0038】
実施の形態1で説明した、温度測定装置は、超音波流量計を利用することで、流体の温度が測定でき、また、演算部5での演算処理は、流量測定の演算と平行して行うことができるため、温度測定と流量測定とが、同時に行えるという利点を有する。
【0039】
更に、温度測定装置は、流体温度測定のために新たな測定器等を導管9等に付加する必要がないため、コストアップせずに、流体の温度を測定できるという利点を有する。
【0040】
更に、温度測定装置は、導管9等に温度センサ11等の突起物を設ける必要がないため、発泡性の飲料が導管9を通過する際に、それらの突起物によって、ガスが気化して気泡となり、超音波流量計における測定誤差を誘引する原因を除去できるという利点も有する。
【0041】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、導管中の流体が一定の流れを伴っている場合での、流体温度測定について説明したが、実施の形態2では、導管中の流体の流れを一時的に止めて、封止状態にして、流体温度の測定を行うことを特徴としている。
【0042】
なお、超音波流量計としての測定原理は、実施の形態1でした説明と同一であるので、省略する。また、実施の形態2にかかる発明においては、実施の形態1で説明した装置構成は同一であるので、実施の形態2の説明においても、同一の構成ブロック図(図1)と、同一の導管9の断面図(図3)を用いて説明する。
【0043】
まず、導管9に流体を導入した状態で、制御部8から飲料水供給バルブに制御信号を出力して、導管9の流体の流れを止め、導管9に流体を封止する。制御部8は、その封止状態を確認してから、導管9に楔状に配設されている1対超音波送受信器10a,10bの一方の超音波送受信器10aに対して、送信部2から超音波発信信号を伝送するように指示を出す。
【0044】
超音波送受信器10aから超音波信号が発信されると、超音波送受信器10bでは、超音波信号を受信して、受信した超音波信号を受信部3に送信する。受信部3では、受信した前記受信信号を時間計測部4に出力する。時間計測部4では、超音波送信時において、送信部2から送信信号を入力しており、受信部3から受信した受信信号に対して、夫々に対して発信パルスを発信して、伝播時間(送信時刻と受信時刻の時間差)が分かるようになっている。
【0045】
この伝播時間を演算部5に出力すると、演算部5では、超音波の伝播時間に基づいて、流体内を伝播する超音波の音速を演算し、記憶部6に記憶されている流体の温度と音速の関係特性(図5)とを照合することによって、流体の温度を特定する。そして、特定された流体の温度に基づいて、飲料水が所定量の炭酸ガスを含有するように、ガスボンベの圧力調整バルブに対して、圧力の加減制御信号を出力する。そして、所定量の炭酸ガスを含有する飲料が供給される。
【0046】
図6は、送信部2での送信信号(a)、受信部3での受信信号(b)、時間計測部4での時間計測部発信パルス(c)の変化を示すタイムチャートである。まず、制御部8から超音波の発信指示が出力されると、送信部2においては、図6(a)に示すような送信信号a1を出力する。
【0047】
送信部2から切替器7を介して、超音波送受信器10aから超音波が発信されると、他方の超音波受信器10bに受信された超音波は、切替器7を介して、受信部3で、図6(b)に示すような受信信号b1,b2として受信される。受信された受信信号は、所定の基準値を用いて2値化され、受信されたと認識した時刻が時間計測部4に出力される。
【0048】
図3に示すようにb1は、導管9経路(RA→RA´)のみを経由して伝播してきた超音波であり、b2は、導管9と流体の両方を経路(RB→RC→RC´→RB´)とする超音波である。時間計測部4では、送信部2で送信した送信信号a1と、受信部3で受信した受信信号b1,b2に対応して、図6(c)に示すようにパルスc1,c2,c3を発信し、演算部5に出力する。
【0049】
実施の形態1で説明した同様な理由によって、導管9のみを経由した超音波は速いが、振幅は小さく受信され、一方、導管9と流体の両方を経由した超音波は遅いが、振幅は大きく受信される。
【0050】
そして、導管9のみを伝播した超音波の伝播時間をT1とし、導管9と流体の両方を経由して伝播した超音波の総伝播時間をT3とすると、伝播時間T1と、総伝播時間T3は、夫々以下の式(6),(7)で表される。
T1=c2−c1 ・・・・(6)
T3=c3−c1 ・・・・(7)
【0051】
演算部5においては、時間計測部4から出力されたパルスc1,c2,c3から、上式(6),(7)によって伝播時間T1と、総伝播時間T3が算出される。伝播時間T1は、導管9を伝播した時間であり、導管9経路(RA→RA´)は幾何学的に導き出される。したがって、導管9内を伝播する超音波の音速VAは以下の式(8)によって求まる。
VA=(RA+RA´)/T1 ・・・・(8)
【0052】
一方、流体を伝播する超音波の音速をVBとすると、総伝播時間T3は以下の式(9)によって表される。
T3={(RB+RB´)/VA}+{(RC+RC´)/VB}・・・(9)
ここで、総伝播時間T3は測定によって求められ、また流体経路(RC→RC´)は幾何学的に求められるので、総伝播時間T3を表す式(9)に、式(8)で求められた導管9を伝播する超音波の音速VAを代入することによって、流体の音速VBが求まる。
【0053】
ここで、演算部5は、上記の演算によって算出された流体の音速VBを記憶部6に記憶されている、流体の温度と音速の関係特性(図5)と照合することによって、流体の温度を特定する。そして、演算部5は特定された流体の温度を制御部8に出力する。制御部8は、特定された流体温度における炭酸ガスの含有率を記憶しており、その含有率の値が所定の値と一致するように、ガスボンベの圧力調整バルブに対して、圧力加減制御信号を出力し、所定量の炭酸ガスを含有する飲料を供給する。
【0054】
なお、上述した実施の形態2では、超音波の発信側を超音波送受信器10aとし、受信側を超音波送受信器10bとしたが、流体は封止されており、双方の超音波送受信器10a,10bの流体に対して上流と下流との位置関係が無いから、送受信方向を逆にしてもよい。
【0055】
この実施の形態2の発明によれば、流体温度の特定のための超音波の発信は1回で済むため、超音波の発信回数を減らして、超音波送受信器10a,10bおよび送信部2、受信部3の負担を減らし、夫々の寿命を延ばせるという利点を有する。
【0056】
また、実施の形態2の発明によれば、流体を封止するため、流体が静止状態となって、飲料中に含有するガスが気泡化する可能性を小さくし、超音波信号の授受に対して、擾乱を起こさず、正確な温度特定ができるという利点も有する。
【0057】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、既存の超音波流量計を利用して、流体の温度が測定できるため、流体温度測定のために追加の部品等を設けること無しに、つまりコストアップをせずに、かつコンパクトに流体の温度が測定できるという効果を奏する。
【0058】
また、この発明によれば、流量を止めている封止状態でも、流れを伴っている場合の両方の場合においても、流体の温度が測定できるので、発泡性飲料の自動供給装置に用いられる場合、自由な時に流体温度が測定でき、温度測定のために、新たな時間を設定する必要が無く、稼働時間を下げずに流体の温度測定ができるという効果を奏する。
【0059】
また、この発明によれば、流体温度測定のために、導管9に、部品を付加する必要が無いので、温度測定のためのセンサ類などの突起物によってガスが気化して、気泡による超音波の伝播時間の誤差を招来して、超音波流量計および、本発明にかかる温度測定装置への悪影響を無くすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1である温度測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1で説明した温度測定装置の送信部、受信部、および時間計測部における信号の変化を示すタイムチャートである。
【図3】図1に示した温度測定装置の導管における超音波の伝播経路を説明する導管断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1で説明した、導管と流体を経由した超音波の総伝播時間と、流体の温度との関係を示すグラフ図である。
【図5】この発明にかかる温度測定装置の記憶部に記憶されている、流体の音速と温度との関係特性を示すグラフ図である。
【図6】この発明の実施の形態2で説明した温度測定装置の送信部、受信部、時間計測部における信号の変化を示すフローチャートである。
【図7】従来の温度測定装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 変換器
2 送信部
3 受信部
4 時間計測部
5 演算部
6 記憶部
7 切替器
8 制御部
9 導管
10a 超音波送受信器
10b 超音波送受信器
11 温度センサ
12 温度測定部
13 制御部
Claims (4)
- 導管を通過する流体の温度を測定する温度測定装置であって、前記導管の外周部に配設される1対の超音波送受信器と、
前記導管内を伝播する超音波の伝播時間と音速、前記流体内を伝播する超音波の伝播時間と音速を演算する演算部とを備え、
前記1対の超音波送受信器間で双方向に超音波を伝播させるとともに、互いに受信させ、前記演算部が、演算した前記超音波の音速値に基づいて、前記流体の温度を特定することを特徴とする温度測定装置。 - 前記演算部は、前記流体の温度と、前記流体内を伝播する音速値との関係を記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項1に記載の温度測定装置。
- 前記流体内を伝播する超音波の伝播時間を、前記流体を前記導管に封止して、測定することを特徴とする請求項1または2に記載の温度測定装置。
- 前記演算部は、特定された前記流体の温度に基づいて、前記流体に注入するガスの量を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の温度測定装置。
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