JP2004262390A - 車両設定変更装置 - Google Patents
車両設定変更装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004262390A JP2004262390A JP2003056891A JP2003056891A JP2004262390A JP 2004262390 A JP2004262390 A JP 2004262390A JP 2003056891 A JP2003056891 A JP 2003056891A JP 2003056891 A JP2003056891 A JP 2003056891A JP 2004262390 A JP2004262390 A JP 2004262390A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vehicle
- speaker
- information
- voice
- setting
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】使用者に煩わしさを感じさせることなく、しかもセキュリティ面での安全性を保持しつつ、短時間で使用者に応じた車両の設定内容の変更を行うことができる車両設定変更装置を提供する。
【解決手段】この車両設定変更装置では、マイクロホンアレイ1により取得した話者の音声(任意の単語等)に基づいてその話者が予め登録された登録話者と認識できた場合には、その登録話者に対応する予め登録された記憶装置21内の設定情報に基づいて車両に備えられる各制御対象装置31(例えば、座席シートの位置、エアコン、オーディオ機器等)の設定内容が、CPU13及び車載制御装置25の制御により変更されるようになっている。
【選択図】 図1
【解決手段】この車両設定変更装置では、マイクロホンアレイ1により取得した話者の音声(任意の単語等)に基づいてその話者が予め登録された登録話者と認識できた場合には、その登録話者に対応する予め登録された記憶装置21内の設定情報に基づいて車両に備えられる各制御対象装置31(例えば、座席シートの位置、エアコン、オーディオ機器等)の設定内容が、CPU13及び車載制御装置25の制御により変更されるようになっている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の設定内容を搭乗者に応じて変更する車両設定変更装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本願発明に関連する従来技術としては、特許文献1に記載のものがある。この従来技術では、入力した音声に基づいてその話者が登録済みの使用者であるか否かを判定し、話者が登録話者である場合には音声によるコマンド入力に基づいて車両の制御を行う一方、話者が登録話者でない場合には音声入力に基づく車両制御を行わないようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−80828公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術では、音声コマンドを順次入力して車両制御を行う構成のため、複数の制御動作を行わせようとした場合には複数の音声コマンドを順次入力してゆく必要があり、車両の設定内容の変更等に時間がかかるとともに、使用者が煩わしく思うという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、使用者に煩わしさを感じさせることなく、しかもセキュリティ面での安全性を保持しつつ、短時間で使用者に応じた車両の設定内容の変更を行うことができる車両設定変更装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための技術的手段は、車両の設定内容を搭乗者に応じて変更する車両設定変更装置であって、音声入力を受け付ける音声受付手段と、予め登録された少なくとも一人の登録話者の音声の特徴情報を格納した第1の情報格納手段と、前記各登録話者に応じた車両の設定内容に関する設定情報を格納した第2の情報格納手段と、前記音声受付手段が受け付けた話者の音声の特徴と抽出し、その特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されていると判定された場合に、その話者に対応する前記設定情報を前記第2の情報格納手段から読み出し、その読み出した前記設定情報に基づいて前記車両の前記設定内容を変更する設定変更手段と、を備えている。
【0007】
好ましくは、前記音声受付手段は、複数のマイクロホンからなる音取得部と、前記各マイクロホンから与えられるマイクロホン信号に対して信号処理を行うことにより前記音取得部が音取得を行う際の指向性を形成するとともに、その指向性を変化させる信号処理部と、を備え、前記判定手段は、前記信号処理部を制御して前記音取得部の音取得の指向性を予め設定された車室内の各座席に対応する方向に向けさせ、その各座席に着座した話者の音声を前記音声受付手段に取得させ、その取得した話者の音声の特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されているかを前記座席ごとに判定し、前記設定変更手段は、前記判定手段によっていずれかの前記座席の前記話者の前記音声の前記特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されていると判定された場合に、その話者に対応する前記設定情報を前記第2の情報格納手段から読み出し、その読み出した前記設定情報に基づいて前記車両の前記設定内容を変更するのがよい。
【0008】
また、好ましくは、前記設定変更手段は、前記設定情報に基づいて、車両に設けられる座席シートの設定内容を少なくとも変更するのがよい。
【0009】
さらに、好ましくは、前記設定変更手段は、前記判定手段によっていずれかの前記座席の前記話者の前記音声の前記特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されていると判定された場合に、その話者に対応する前記設定情報を前記第2の情報格納手段から読み出し、その読み出した前記設定情報に基づいて、その話者が着座する座席シートの設定内容を少なくとも変更するのがよい。
【0010】
また、好ましくは、前記設定変更手段は、前記設定情報に基づいて、前記座席シートの位置及び背もたれ部の角度のうちの少なくともいずれか一方を変更するのがよい。
【0011】
さらに、好ましくは、前記設定変更手段は、前記設定情報に基づいて、車両に設けられるエアコン、オーディオ機器、バックミラーの向き、ルームミラーの向き、及びハンドルの位置のうちの少なくとも一つを変更するのがよい。
【0012】
また、好ましくは、所定の伝送経路を介して予め設定された報知手段に指令を送信する送信手段をさらに備え、前記判定手段は、さらに、前記音声受付手段が受け付けた話者の音声の前記特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に存在しないと判定した場合には、前記報知手段に所定の報知動作を行わせるための報知指令を前記送信手段に送信させるのがよい。
【0013】
さらに、好ましくは、前記伝送経路は無線通信経路であり、前記報知手段は携帯電話又は情報端末であるのがよい。
【0014】
また、好ましくは、前記各登録話者及び日時と関連付けられて予め登録されたスケジュール情報を格納する第3の情報格納手段と、音響出力及び画像出力の少なくともいずれか一方を行う第1の出力手段と、をさらに備え、前記判定手段は、さらに、日時管理機能を有しており、前記第3の情報格納手段に格納された前記スケジュール情報に対応する日時が到来した場合において、そのスケジュール情報と関連付けられた前記登録話者が車両に乗車していることを、前記音声受付手段が受け付けた前記音声の特徴と前記第1の情報格納手段に格納された前記特徴情報とに基づいて検出している場合には、そのスケジュール情報に対応した通知出力を前記第1の出力手段を介して行うのがよい。
【0015】
さらに、好ましくは、所定の通信回線を介して電子メールの受信を行うメール受信手段と、スピーカと、をさらに備え、前記判定手段は、さらに、前記メール受信手段が前記登録話者宛の電子メールを受信した場合において、その電子メールに対応する前記登録話者が車両に乗車していることを、前記音声受付手段が受け付けた前記音声の特徴と前記第1の情報格納手段に格納された前記特徴情報とに基づいて検出している場合には、音声合成によりその電子メールの内容を音声により読み上げて前記スピーカを介して出力する一方、受信した電子メールに対応する前記登録話者の乗車が検出できていない場合には、検出できるまで前記電子メールの読み上げ出力を保留するのがよい。
【0016】
また、好ましくは、音響出力及び画像出力の少なくともいずれか一方を行う第2の出力手段をさらに備え、前記第1の情報格納手段には、前記登録話者のうちのいずれが車両の持ち主であるかを示す持ち主情報も格納されており、前記判定手段は、さらに、車両の各部の状態を検出するセンサから出力されるセンサ情報を取り込む機能を有しており、取り込んだセンサ情報に基づいて車両の走行に支障がない程度の異常の発生を検出した場合において、車両の持ち主が車両に乗車していることを、前記音声受付手段が受け付けた前記音声の特徴、前記第1の情報格納手段に格納された前記特徴情報及び前記持ち主情報に基づいて検出している場合には、検出した異常に対応した警告出力を前記第2の出力手段を介して行う一方、車両の持ち主の乗車が検出できていない場合には、検出できるまで前記警告出力を保留するのがよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両設定変更装置のブロック図である。この車両設定変更装置は、図1に示すように、マイクロホンアレイ(音取得部)1と、スピーカ(第1及び第2の出力手段)3と、A/D変換装置5と、D/A変換装置7と、信号処理装置(信号処理部)9と、話者識別装置11と、車両情報取得装置12と、CPU13と、着座検出装置15と、ドア開閉検出装置17と、話者登録要求装置19と、記憶装置(第1ないし第3の情報格納手段)21と、通信装置(送信手段、メール受信手段)23と、車載制御装置(設定変更手段)25とを備えており、車両の設定内容を搭乗者に応じて変更するようになっている。このうち、本発明に係る音声受付手段にはマイクロホンアレイ1、A/D変換装置5及び信号処理装置9が対応しており、判定手段には話者識別装置11及びCPU13が対応しており、報知手段には後述する端末装置27が対応している。
【0018】
マイクロホンアレイ1は、1又は複数のマイクロホン1aを備え(本実施形態では、互いに所定間隔をあけて直線的、平面的又は立体的に配置された複数のマイクロホン1aを備えている)、その各マイクロホン1aで車室内の音を取得し、電気信号に変換してA/D変換装置5に出力する。A/D変換装置5は、各マイクロホン1aから与えられる音声信号をA/D変換してCPU13に出力する。
【0019】
スピーカ3は、D/A変換装置7を介してCPU13から与えられる音声信号を音響(音声も含む)として出力する。なお、本実施形態では、第1又は第2の出力手段としてスピーカ3を備える構成としたが、スピーカ3とともに画像出力を行う表示装置を備える構成としてもよい。D/A変換装置7は、CPU13から与えられる音声信号をD/A変換してスピーカ3に出力する。
【0020】
信号処理装置9は、CPU13の制御により動作し、CPU13から与えられる各マイクロホン1aの音声信号に対して信号処理(遅延処理又は進み処理等)を施すことにより、マイクロホンアレイ1に対して特定の方向から入射した音を強調し、その処理後の音声信号をCPU13に与える。この信号処理装置9による信号処理により、実質的にマイクロホンアレイ1が音取得を行う際の指向性が形成されることとなる。そして、その指向性に対応する方向はCPU13の制御により変化されるようになっている。
【0021】
話者識別装置11は、CPU13と共働して話者識別を行う。その具体的な処理動作の内容については後述する。
【0022】
車両情報取得装置12は、車両各部に備えられた図示しないセンサから与えられる車両情報(センサ情報)を取得してCPU13に与える。前記センサは、車両各部の状態や故障の有無等を検出するものであり、CPU13は車両情報取得装置12を介して車両各部の状態や故障の有無などを監視する。なお、車両情報取得装置12を省略して、その機能を車載制御装置25に持たせてもよい。
【0023】
CPU13は、この車両設定変更装置全体の制御を行う装置であり、その具体的な処理動作については後述する。
【0024】
着座検出装置15は、車室内の各座席に設けられ、その各座席に人が着座しているか否かを検出し、検出結果をCPU13に与える。
【0025】
ドア開閉検出装置17は、車両に設けられる各ドアの開閉状態を検出し、検出結果をCPU13に出力する。
【0026】
話者登録要求装置19は、使用者から入力される新規登録話者に関する情報や各種の情報を登録する際の各種入力を受け付けて、その入力内容に応じた各種要求(新規話者の登録を求める話者登録要求など)をCPU13に対して行う。
【0027】
記憶装置21には、各登録話者の音声の特徴を識別するための特徴情報、後述する各制御対象装置31の設定内容に関する設定情報、及びスケジュール情報などが、予め登録された登録話者に関する識別情報と関連付けられて、登録話者ごとに格納されている。
【0028】
特徴情報としては、登録話者の声の特徴パラメータに基づいて作成された隠れマルコフモデル(以下、「HMM」という)又はガウス混合モデル(以下、「GMM」という)が登録されている。登録話者のHMM又はGMMは、後述するように、CPU13の制御により、後述するように話者識別装置11によって作成されて記憶装置21に登録される。
【0029】
設定情報は、各登録話者に応じた各制御対象装置31の設定内容に関する情報であり、CPU13の制御により記憶装置21に登録され、話者識別の結果に基づいて各制御対象装置31の設定内容を変更する際に用いられる。
【0030】
スケジュール情報は、各登録話者のスケジュール(記念日等の特別な日時など)や、オイル交換や車検の予定日等の車両の整備スケジュール等の各種スケジュールに関する情報であり、各登録話者及び日時と関連付けられて登録されており、後述するCPU13によるスケジュール管理に用いられる。
【0031】
また、記憶装置21には、CPU13がこの車両設定変更装置を制御する上で必要となる各種情報が格納されているとともに、登録話者のうちのいずれが車両の持ち主であるかを示す情報(持ち主情報)や、後述する通信装置23により受信された電子メールなども格納されている。
【0032】
通信装置23は、CPU13の制御により動作し、この車両設定変更装置と所定の端末装置27との通信、及びユーザが契約している所定のメールサーバ29を介した電子メールの送受信を行う。端末装置27としては、携帯電話又は各種の携帯型の情報端末等が用いられるが、車両の持ち主が携帯可能なものであるのが好ましい。
【0033】
通信装置23の具体的な動作としては、後述するように、車両への未登録話者の乗車が検出された際に、CPU13の指示により、端末装置27に所定の報知動作を行わせるための報知指令を、所定の無線電話回線等の無線通信回線(インターネット等の通信ネットワークを含む)を介して端末装置27に送信するようになっている。また、CPU13の制御により、前記無線通信回線を介して所定のメールサーバ29にアクセスし、そのメールサーバを介して電子メールの送受を行うようになっている。
【0034】
車載制御装置25は、CPU13の指示により、記憶装置21に格納された前記設定情報に基づいて、車両に搭載された各種の制御対象装置31を制御する。車載制御装置25によって制御される制御対象装置31としては、前部座席(ここでは、運転席)の座席シート41(図3参照)の設定内容(座席シート41の位置及びその背もたれ部の角度等)を調節するシート設定調節装置、エアコン、オーディオ機器、バックミラーの向きを調節するバックミラー駆動装置、ルームミラーの向きを調節するルームミラー駆動装置、及び、ハンドルの位置(前後方向及び上下方向の位置、及び角度も含む)を調節するハンドル位置調節装置などが考えられる。
【0035】
図2は、CPU13等の主要な制御内容の一つについて示すフローチャートである。図2に示すように、電源投入に伴ってステップS1に進み、着座検出装置15の検出結果に基づいて各座席に搭乗者が着座しているか否かがCPU13により判断され、いずれかの座席に搭乗者が存在している場合にはステップS2に進み、CPU13からA/D変換装置5に対してA/D変換の開始指令が出され、A/D変換装置5によってマイクロホンアレイ1からの音声信号のA/D変換が開始されて、ステップS3に進む。A/D変換された音声信号(音声データ)は、CPU13によって信号処理装置9に与えられる。
【0036】
一方、ステップS1でいずれの座席にも搭乗者が存在しないと判断された場合には、ステップS16に進み、CPU13から車載制御装置25に対して各制御対象装置31の設定内容を初期状態に戻す旨の指令が出され、各制御対象装置31の設定内容が車載制御装置25により初期状態に戻されて、ステップS17に進む。ここで、各制御対象装置31の設定内容の初期状態に関する情報(初期設定情報)は、記憶装置21に登録されている。ステップS17では、ドア開閉検出装置17の検出結果に基づいて、各ドアの開閉の有無の判断がCPU13により行われ、ドアの開閉が行われたと判断された場合には、新たな搭乗者の乗車がある可能性があるため、ステップS1に進み、着座の有無を確認する一方、ドアの開閉が行われないと判断した場合には、ドアの開閉が行われるまでステップS17の処理が繰り返される。
【0037】
ステップS3では、着座検出装置15の検出結果に基づいて、搭乗者が着座している座席がCPU13によって特定されて、ステップS3に進む。
【0038】
ステップS4では、CPU13の制御により、マイクロホンアレイ1の指向性を、ステップS3で搭乗者が着座していると特定された座席の方向(搭乗者の存在している方向)に向かせるための設定が信号処理装置9に対して行われる。これによって、信号処理装置9が、CPU13から与えられる各マイクロホン1aの音声信号に対して信号処理(遅延処理又は進み処理等)を施すことにより、マイクロホンアレイ1に対して搭乗者に対応する特定の方向から入射した音を強調し、その処理後の音声信号をCPU13に与える。このステップS4における処理の詳細な内容については、図4のフローチャートに基づいて後述する。
【0039】
続くステップS5では、CPU13の制御により、ステップS4の信号処理が施された音声信号が話者識別装置11に与えられて、その与えらえた音声信号に基づいて話者の識別が話者識別装置11により行われる。その詳細な処理内容については図5のフローチャートに基づいて後述する。
【0040】
続くステップS6では、ステップS5での識別結果に基づいて、その識別対象の音声の話者が、予め登録された登録話者であるか否かが話者識別装置11により判断され、登録話者である場合にはステップS7に進む一方、登録話者でない場合にはステップS10に進む。
【0041】
ステップS7では、CPU13の制御により、ステップS6で識別された登録話者に対応する予め登録された各制御対象装置31の設定情報が記憶装置21から読み出される。
【0042】
続くステップS8では、ステップS7で読み出された設定情報が、各制御対象装置31の設定変更指令とともに、CPU13から車載制御装置25に与えられ、車載制御装置25によって、各制御対象装置31の設定内容が、ステップS6で識別された登録話者に対応する登録設定内容に自動的に変更される。
【0043】
続くステップS9では、着座検出装置15の検出結果に基づいて、話者識別がまだ行われていない搭乗者が別の座席に存在しているか否かがCPU13により判断され、存在していない場合にはステップS10に進む一方、存在する場合にはステップS3に戻り、ステップS1で着座が検出されたすべての座席について搭乗者の話者識別が行われるまで、ステップS3〜S9等の処理が繰り返される。
【0044】
このようなステップS1〜S8等の一連の処理により、運転席等のへの搭乗者の着座が検出され、その搭乗者の音声(任意の単語等)に基づく識別処理によってその搭乗者が登録話者である場合には、例えば図3に示すように、運転席等の座席シート41の位置(あるいは、座席シート41の位置及び座席シート41の背もたれ部の角度)が予め登録された設定内容に自動的に変更されるようになっている。また、ステップS1〜S8等の一連の処理を繰り返すことにより、搭乗者が着座している各座席ごとに、その搭乗者に対する話者識別が行われ、その識別の結果、搭乗者が登録話者である場合にはそれに応じた各制御対象装置31の設定変更が行われてゆくようになっている。
【0045】
ステップS10では、CPU10からA/D変換装置5に対してA/D変換処理の終了指令が与えられ、A/D変換装置5による変換動作が停止される。
【0046】
続くステップS11では、話者登録要求装置19からの話者登録要求があるか否かがCPU13によって判断され、登録要求がない場合にはステップS17に進む一方、登録要求がある場合にはステップS12に進む。
【0047】
ステップS12では、ステップS5の処理において識別対象とされた音声に基づいて、その音声の特徴に関する情報(特徴情報)が話者識別装置11によって導出されて、CPU13の制御により記憶装置21に登録される(登録話者の学習処理)。このステップS12での登録話者の学習処理の詳細については、図5のフローチャートに基づいて後述する。
【0048】
続くステップS13では、各制御対象装置31の設定内容を自己の所望の状態に調整して登録することを促す調節要求出力が、CPU13の制御によって、音声又は映像により話者(使用者)に対して出力される。本実施形態では、調節要求出力に対応する音声データ(記憶装置21に予め格納されている)が、CPU13からA/D変換装置7を介してスピーカ3に与えられ、スピーカ3を介して音響出力されるようになっている。そして、話者により制御対象装置31の設定変更が行われると、CPU13の制御によって、ステップS14にて車載制御装置25よりその時点における各制御対象装置31の設定内容に関する情報(設定情報)が取得される。続くステップS15にて、CPU13の制御によって、その取得された設定情報が、ステップS12で学習された音声の特徴情報等と関連付けられて記憶装置23に登録され、ステップS1に戻る。このように新たに学習、登録された音声の特徴情報及び設定情報は、それらが対応する登録話者が車両に搭乗した場合の話者の識別及び各制御対象装置31の自動設定変更に用いられる。
【0049】
図4は、前述の図2のステップS4の処理内容を示すフローチャートである。図2のステップS4では、その前段のステップS3の処理に続いて、図4に示すステップS21〜S26が行われる。すなわち、ステップS21では、マイクロホンアレイ1を基準とした、図2のステップS3で特定された座席の方向(話者方向)に関する情報(方向情報)がCPU13によって記憶装置21から読み込まれる。ここで、マイクロホンアレイ1を基準とした各座席の方向(話者方向)は、マイクロホンアレイ1と各座席との位置関係に基づいて予め記憶装置21に登録されている。
【0050】
続くステップS22では、CPU13が、ステップS21で読み込んだ方向情報に基づいて、各マイクロホン1aの音声信号に対して信号処理装置9に行わせるべき処理パラメータ(係数)を決定し、その処理パラメータを信号処理装置9に設定する。この処理パラメータは、例えば、各マイクロホン1aからの音声信号を遅延等させる際の遅延処理等の大きさを決定するものであり、マイクロホンアレイ1の指向性が話者方向に適合し、話者方向に対してその感度が最も強くなるような値に決定される。
【0051】
ステップS23では、A/D変換装置5によってデジタル信号に変換された音声信号がCPU13によって取り込まれて、信号処理装置9に与えられ、ステップS24にて、信号処理装置9によりステップS22で設定された処理パラメータに従って、その与えられた各マイクロホン1aの音声信号に対する信号処理が行われる。この信号処理により、マイクロホンアレイ1に入力される音声のうちの注目した話者方向の音声が強調された状態で、マイクロホンアレイ1の音声信号がCPU13等に与えられることとなる。
【0052】
続くステップS25では、話者の発生が終了したか否かがCPU13又は信号処理装置9により判断され、終了していない場合には、ステップS26で信号処理後の音声信号がCPU13に返されつつ、発声が終了するまでステップS23〜S26の処理が繰り返され、発声が終了すると前述の図2のステップS5に進む。
【0053】
図5は、前述の図2のステップS5,S12の処理内容を示すフローチャートである。図2のステップS5,S12では、その前段のステップS4又はS11の処理に続いて、図5に示すステップS31〜S41の処理が行われる。なお、ステップS31〜S41の処理のうち、ステップS32〜S36の処理が図2のステップS12の処理に実質的に対応しており、ステップS37〜S41の処理が図2のステップS5の処理に実質的に対応しており、この2つの処理系統のいずれが実行されるかが、ステップS31の判定処理の結果により決定されるようになっている。
【0054】
すなわち、ステップS31では、話者登録要求装置19からCPU13に対して話者登録の要求が行われたか否かが、CPU13又は話者識別装置11によって判断され、話者登録の要求がない場合にはステップS37に進む一方、話者登録の要求がある場合にはステップS32に進む。
【0055】
ステップS37では、図2のステップS4の信号処理が施された音声信号がCPU13から話者識別装置11に取り込まれ、話者識別装置11によって、その音声信号中に含まれる話者の発声する任意単語や文章に対応する音声データが話者識別用のデータとして取得される。続くステップS38では、その音声データから話者の声の特徴パラメータが抽出され、続くステップS39にて、その特徴パラメータと、記憶装置21に登録されている各特徴情報(HMM又はGMM)とに基づいてゆう度計算が行われる。
【0056】
続くステップS40では、話者による発声が終了したか否かが話者識別装置11又はCPU13によって判断され、発声が終了していない場合にはステップS37に戻り、発声が終了するまでステップS37〜S40の処理が繰り返される一方、発声が終了した場合にはステップS41に進む。
【0057】
ステップS41では、ステップS39での計算結果に基づいて、話者の音声の特徴に対応する特徴情報が記憶装置21に登録されているか否か(話者が登録話者であるか否か)、及び、登録されている場合にはいずれの特徴情報が対応するかが判断されて、図2のステップS6に進む。
【0058】
また、ステップS31で話者登録の要求が行われたと判断された場合には、ステップS32に進み、図2のステップS4の信号処理が施された音声信号がCPU13から話者識別装置11に取り込まれ、話者識別装置11によって、その音声信号の中に含まれる話者の発声する任意単語や文章に対応する音声データが話者登録用のデータとして取得される。続くステップS33では、その音声データから話者の声の特徴パラメータが抽出される。続くステップS34では、その抽出された特徴パラメータに基づいて話者識別用の特徴情報(HMM又はGMM)が作成される。
【0059】
続くステップS35では、話者による発声が終了したか否かが話者識別装置11又はCPU13によって判断され、発声が終了していない場合にはステップS32に戻り、発声が終了するまでステップS32〜S35の処理が繰り返される一方、発声が終了した場合にはステップS36に進む。ステップS36では、ステップS34で算出された話者の特徴情報がCPU13の制御により記憶装置21に登録されて、図2のステップS13に進む。
【0060】
図6は、前述の図2のステップS8,S14の処理内容を示すフローチャートである。図2のステップS8,S14では、その前段のステップS7又はS13の処理に続いて、図6に示すステップS51〜S58の処理が行われる。なお、ステップS51〜S58の処理のうち、ステップS52〜S54の処理が図2のステップS8の処理に実質的に対応しており、ステップS56〜S58の処理が図2のステップS14の処理に実質的に対応しており、この2つの処理系統のいずれが実行されるかが、ステップS51,S55の判定処理の結果により決定されるようになっている。
【0061】
すなわち、ステップS51では、CPU13から車載制御装置25に制御対象装置31の設定要求があったか否かが車載制御装置25により判断され、設定要求があった場合にはステップS52に進む一方、設定要求がない場合にはステップS55に進む。ステップS55では、CPU13から車載制御装置25に制御対象装置31の設定状態取得要求が行われた否かが車載制御装置25により判断され、設定状態取得要求が行われた場合にはステップS56に進む一方、設定状態取得要求が行われない場合には、図2のステップS15を介してステップS1に戻る。
【0062】
ステップS52では、CPU13からの設定要求に基づいて設定変更を行うべき制御対象装置31が特定され、続くステップS53にて、その制御対象装置31の設定内容が車載制御装置25によって変更される。続くステップS54では、すべての設定要求に対する設定変更処理が終了したか否かが車載制御装置25によって判断され、終了していない場合にはステップS52に戻り、すべての設定要求に対する設定変更処理が終了するまでステップS52〜S54の処理が繰り返され、すべての設定要求に対する設定変更処理が終了すると、図2のステップS9に進む。
【0063】
ステップS56では、その時点におけるすべての制御対象装置31の設定状態に関する情報(設定情報)が車載制御装置25によって取得され、続くステップS57にて、その取得された設定情報がCPU13に転送される。続くステップS58では、CPU13からの設定状態取得要求が終了したか否かが車載制御装置25によって判断され、要求が終了していない場合にはステップS56に戻り、設定状態取得要求が終了するまでステップS56〜S58の処理が繰り返され、設定状態取得要求が終了すると、図2のステップS15に進む。
【0064】
また、この車両設定変更装置の他の機能として以下のものがある。
【0065】
CPU13は、例えば前述の図2のステップS6の処理により、識別対象の話者の音声の特徴に対応する特徴情報が記憶装置21に登録されておらず、その話者が登録話者でないと判断した場合には、通信装置23を制御して、通信装置23を介して所定の端末装置27に対して所定の報知動作を行うべき指令(報知指令)を無線電話回線等を介して送信するようになっている。端末装置27は、例えば車両の持ち主により携帯されているため、その報知指令に応じた携帯端末27の音響、画像又はバイブレーション等の出力による報知動作により、車両の持ち主が自車に未登録話者が乗車したことを認識することができる。
【0066】
また、CPU13は、各登録話者のスケジュールを管理するスケジュール管理機能及びその機能を実行するための日付管理機能(時計機能)も有している。すなわち、話者登録要求装置19等を介した操作入力により、各登録話者が、自己のスケジュールや車両の整備スケジュール等の各種スケジュールに関する情報を入力すれば、それに応じて、CPU13が、その入力情報を各登録話者(ここでは、例えば登録話者の音声の特徴情報)及び日時と関連付けて、スケジュール情報して記憶装置21に登録するようになっている。
【0067】
そして、CPU13は、記憶装置21に登録されたスケジュール情報に対応する日時が到来した場合において、そのスケジュール情報と関連付けられた登録話者が車両に乗車していることを、マイクロホンアレイ1が取得した話者の音声の特徴と記憶装置21に登録された特徴情報とに基く、前述の図2のステップS3〜S9等の処理により検出している場合には、そのスケジュール情報に対応した通知出力をD/A変換装置7を介してスピーカ3に与え、スピーカ3を介して対応する登録話者に音声等で通知出力を行うようになっている。通知出力は、例えば、CPU13からディジタル音声データ等としてD/A変換装置7に与えられ、D/A変換装置7にてアナログ信号に変換されて、スピーカ3から音声として出力される。その際に、音声によるどのような通知出力を行わせるかは、話者登録要求装置19等を介して使用者が予め設定しておけるようになっている。
【0068】
なお、記憶装置21に登録されたスケジュール情報に対応する日時が到来した場合において、そのスケジュール情報と関連付けられた登録話者が車両に乗車していない場合には、その登録話者が乗車してくるまで、そのスケジュール情報に対応する通知出力が保留されるようになっている。
【0069】
また、CPU13は、通信装置23と共働してメール送受信を行う機能も有している。すなわち、CPU13は、通信装置23がメールサーバ29を介して無線通信によりいずれかの登録話者宛の電子メールを受信した場合において、その受信電子メールに対応する登録話者が車両に乗車していることを、マイクロホンアレイ1が取得した話者の音声の特徴と記憶装置21に登録された特徴情報とに基づく、前述の図2のステップS3〜S9等の処理により検出している場合には、その電子メールの内容を音声により読み上げるための音声信号を音声合成により作成し、その音声信号をD/A変換装置7を介してスピーカ3に与え、スピーカ3を介して対応する登録話者に対してその電子メールの内容を音声で読み上げ出力するようになっている。
【0070】
なお、通信装置23がメールサーバ29を介していずれかの登録話者宛の電子メールを受信した場合において、その受信電子メールに対応する登録話者が車両に乗車していない場合には、その登録話者が乗車してくるまで、その受信電子メールの読み上げ出力が保留されるようになっている。受信された電子メールは、記憶装置21に順次保存されてゆくようになっているが、話者登録要求装置19を介した操作入力等により、記憶装置21内に保存された電子メールを適宜削除できるようになっている。
【0071】
また、話者登録要求装置19等を介した操作入力等により電子メールの内容及びその電子メールの送信指示が入力されると、CPU13が通信装置23を制御してその電子メールを通信装置23に送信させるようになっている。
【0072】
さらに、CPU13は、車両情報取得装置12によって取得された車両情報に基づいて車両各部の状態や故障の有無を監視し、車両の故障発生時に故障発生を車両の持ち主に警告する機能も有している。具体的には、CPU13は、車両情報取得装置12が取得した車両情報に基づいて車両の走行に支障がない程度の異常(例えば、オーディオ機器の故障や、エアコンの故障など)の発生を検出した場合において、車両の持ち主が車両に乗車していることを、マイクロホンアレイ1が取得した話者の音声の特徴と記憶装置21に登録された特徴情報及び持ち主情報とに基づく、前述の図2のステップS3〜S9等の処理により検出している場合には、その検出した異常に対応した警告出力をD/A変換装置7を介してスピーカ3に与え、スピーカ3を介して対応する登録話者に音声等で警告出力を行うようになっている。警告出力は、例えば、CPU13からディジタル音声データ等としてD/A変換装置7に与えられ、D/A変換装置7にてアナログ信号に変換されて、スピーカ3から音声として出力される。
【0073】
なお、車両の走行に支障がない程度の異常の発生が検出された場合において、持ち主が車両に乗車していない場合には、持ち主が乗車してくるまで、その検出した車両の異常に対応する警告出力が保留されるようになっている。
【0074】
以上のように、本実施形態によれば、話者の音声(任意の単語等)に基づいてその話者が予め登録された登録話者と認識できた場合には、その登録話者に対応する予め登録された設定情報に基づいて車両に備えられる各制御対象装置31(例えば、座席シートの位置、エアコン、オーディオ機器等)の設定内容が変更されるため、従来のように設定内容の変更のために複数の音声コマンドを順次入力する必要がない。その結果、使用者に煩わしさを感じさせることなく、しかもセキュリティ面での安全性を保持しつつ、短時間で使用者に応じた車両の設定内容の変更を行うことができる。
【0075】
また、複数のマイクロホン1aを備えたマイクロホンアレイ1の指向性を変更させつつ音声取得を行うことにより、各座席ごとに話者を的確に識別し、その各座席の話者に対応して車両の設定内容を変更することができる。
【0076】
さらに、音声により識別した話者に応じて座席シート41の位置や背もたれ部の角度等の設定内容を各座席ごとに自動的に変更することができる。
【0077】
また、車両に乗車した話者が未登録話者である場合には、車両の持ち主に付与された端末装置27に対して報知指令が送信されるため、未登録話者が車両に乗車したことを車両の持ち主に報知することができ、セキュリティ面での安全性の向上が図れる。
【0078】
さらに、予め登録されたスケジュール情報に対応する日時が到来し、そのスケジュール情報と関連付けられた登録話者が車両に乗車していることが検出されている場合には、その登録話者に対してそのスケジュール情報に対応した報知出力がスピーカ3を介して行われるため、各登録話者のスケジュール管理の補助を行うことができる。
【0079】
さらに、登録話者宛の電子メールを受信した場合において、その電子メールに対応する登録話者が車両に乗車していることが検出されている場合には、その電子メールの内容が音声により読み上げ出力されるため、車両に乗車中に(特に、運転中で手が放せない場合などであっても)電子メールが届いたこと及びその内容を迅速に搭乗者に認知させることができる。
【0080】
また、その受信メールに対応する登録話者が車両に乗車していない場合には、電子メールの読み上げ出力が保留されるため、他の登録話者等に電子メールの内容が知られるのを防止することができ、個人情報の保護が図れる。
【0081】
さらに、車両の走行に支障がない程度の異常の発生が検出された場合において、予め登録した車両の持ち主が車両に乗車していることが検出されている場合には、その異常が発生したことが車両の持ち主に対してスピーカ3を介して警告されるため、車両の持ち主がその異常を迅速に認識することができる。
【0082】
また、車両の走行に支障がない程度の異常の発生が検出された場合において、予め登録した車両の持ち主が車両に乗車していない場合には、その異常発生に対する警告出力が保留されるため、走行に支障がない程度の異常発生に対する警告出力によって車両の持ち主でない搭乗者が惑わされるのを防止することができる。
【0083】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、話者の音声に基づいてその話者が予め登録された登録話者と認識できた場合には、その登録話者に対応する予め登録された設定情報に基づいて車両の設定内容が変更されるため、従来のように設定内容の変更のために複数の音声コマンドを順次入力する必要がない。その結果、使用者に煩わしさを感じさせることなく、しかもセキュリティ面での安全性を保持しつつ、短時間で使用者に応じた車両の設定内容の変更を行うことができる。
【0084】
請求項2に記載の発明によれば、判定手段が、複数のマイクロホンを備えた音声受付手段が音取得方向の指向性を変更させつつ音声取得を行うことにより、各座席ごとに的確に話者を識別し、その各座席の話者に対応して車両の設定内容を変更することができる。
【0085】
請求項3に記載の発明によれば、音声により識別した話者に応じて座席シートの設定内容を変更することができる。
【0086】
請求項4に記載の発明によれば、音声により各座席の話者を識別し、その識別結果に基づいてその話者が着座する座席シートの設定内容を変更するため、各座席シートごとに話者に応じて自動的に座席シートの設定内容を変更することができる。
【0087】
請求項5に記載の発明によれば、音声により識別した話者に応じて、その話者が着座する各座席シートの位置及び背もたれ部の角度のうちの少なくともいずれか一方を変更することができる。
【0088】
請求項6に記載の発明によれば、音声により識別した話者に応じて、車両に設けられるエアコン、オーディオ機器、バックミラーの向き、ルームミラーの向き、及びハンドルの位置のうちの少なくとも一つを変更することができる。
【0089】
請求項7及び8に記載の発明によれば、車両に乗車した話者が未登録話者である場合には、所定の報知手段に対して報知指令が送信されるため、その報知手段を車両の持ち主に付与しておくことにより、未登録話者が車両に乗車したことを車両の持ち主に報知することができ、セキュリティ面での安全性の向上が図れる。
【0090】
請求項9に記載の発明によれば、予め登録されたスケジュール情報に対応する日時が到来し、そのスケジュール情報と関連付けられた登録話者が車両に乗車していることが検出されている場合には、その登録話者に対してそのスケジュール情報に対応した報知出力が第1の出力手段を介して行われるため、各登録話者のスケジュール管理の補助を行うことができる。
【0091】
請求項10に記載の発明によれば、登録話者宛の電子メールを受信した場合において、その電子メールに対応する登録話者が車両に乗車していることが検出されている場合には、その電子メールの内容が音声により読み上げ出力されるため、車両に乗車中に(特に、運転中で手が放せない場合などであっても)電子メールが届いたこと及びその内容を迅速に搭乗者に認知させることができる。
【0092】
また、その受信メールに対応する登録話者が車両に乗車していない場合には、電子メールの読み上げ出力が保留されるため、他の登録話者等に電子メールの内容が知られるのを防止することができ、個人情報の保護が図れる。
【0093】
請求項11に記載の発明によれば、車両の走行に支障がない程度の異常の発生が検出された場合において、予め登録した車両の持ち主が車両に乗車していることが検出されている場合には、その異常が発生したことが車両の持ち主に対して警告されるため、車両の持ち主がその異常を迅速に認識することができる。
【0094】
また、車両の走行に支障がない程度の異常の発生が検出された場合において、予め登録した車両の持ち主が車両に乗車していない場合には、その異常発生に対する警告出力が保留されるため、走行に支障がない程度の異常発生に対する警告出力によって車両の持ち主でない搭乗者が惑わされるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両設定変更装置のブロック図である。
【図2】CPU等の主要な制御内容の一つについて示すフローチャートである。
【図3】話者の識別結果に基づいて座席シートの位置等が変更される際の動作を示す説明図である。
【図4】図2のステップS4の処理内容を示すフローチャートである。
【図5】図2のステップS5,S12の処理内容を示すフローチャートである。
【図6】図2のステップS8,S14の処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 マイクロホンアレイ
1a マイクロホン
3 スピーカ
9 信号処置装置
11 話者識別装置
12 車両情報取得装置
13 CPU
15 着座検出装置
17 ドア開閉検出装置
19 話者登録要求装置
21 記憶装置
25 車載制御装置
27 端末装置
31 制御対象装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の設定内容を搭乗者に応じて変更する車両設定変更装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本願発明に関連する従来技術としては、特許文献1に記載のものがある。この従来技術では、入力した音声に基づいてその話者が登録済みの使用者であるか否かを判定し、話者が登録話者である場合には音声によるコマンド入力に基づいて車両の制御を行う一方、話者が登録話者でない場合には音声入力に基づく車両制御を行わないようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−80828公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術では、音声コマンドを順次入力して車両制御を行う構成のため、複数の制御動作を行わせようとした場合には複数の音声コマンドを順次入力してゆく必要があり、車両の設定内容の変更等に時間がかかるとともに、使用者が煩わしく思うという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、使用者に煩わしさを感じさせることなく、しかもセキュリティ面での安全性を保持しつつ、短時間で使用者に応じた車両の設定内容の変更を行うことができる車両設定変更装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための技術的手段は、車両の設定内容を搭乗者に応じて変更する車両設定変更装置であって、音声入力を受け付ける音声受付手段と、予め登録された少なくとも一人の登録話者の音声の特徴情報を格納した第1の情報格納手段と、前記各登録話者に応じた車両の設定内容に関する設定情報を格納した第2の情報格納手段と、前記音声受付手段が受け付けた話者の音声の特徴と抽出し、その特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されていると判定された場合に、その話者に対応する前記設定情報を前記第2の情報格納手段から読み出し、その読み出した前記設定情報に基づいて前記車両の前記設定内容を変更する設定変更手段と、を備えている。
【0007】
好ましくは、前記音声受付手段は、複数のマイクロホンからなる音取得部と、前記各マイクロホンから与えられるマイクロホン信号に対して信号処理を行うことにより前記音取得部が音取得を行う際の指向性を形成するとともに、その指向性を変化させる信号処理部と、を備え、前記判定手段は、前記信号処理部を制御して前記音取得部の音取得の指向性を予め設定された車室内の各座席に対応する方向に向けさせ、その各座席に着座した話者の音声を前記音声受付手段に取得させ、その取得した話者の音声の特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されているかを前記座席ごとに判定し、前記設定変更手段は、前記判定手段によっていずれかの前記座席の前記話者の前記音声の前記特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されていると判定された場合に、その話者に対応する前記設定情報を前記第2の情報格納手段から読み出し、その読み出した前記設定情報に基づいて前記車両の前記設定内容を変更するのがよい。
【0008】
また、好ましくは、前記設定変更手段は、前記設定情報に基づいて、車両に設けられる座席シートの設定内容を少なくとも変更するのがよい。
【0009】
さらに、好ましくは、前記設定変更手段は、前記判定手段によっていずれかの前記座席の前記話者の前記音声の前記特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されていると判定された場合に、その話者に対応する前記設定情報を前記第2の情報格納手段から読み出し、その読み出した前記設定情報に基づいて、その話者が着座する座席シートの設定内容を少なくとも変更するのがよい。
【0010】
また、好ましくは、前記設定変更手段は、前記設定情報に基づいて、前記座席シートの位置及び背もたれ部の角度のうちの少なくともいずれか一方を変更するのがよい。
【0011】
さらに、好ましくは、前記設定変更手段は、前記設定情報に基づいて、車両に設けられるエアコン、オーディオ機器、バックミラーの向き、ルームミラーの向き、及びハンドルの位置のうちの少なくとも一つを変更するのがよい。
【0012】
また、好ましくは、所定の伝送経路を介して予め設定された報知手段に指令を送信する送信手段をさらに備え、前記判定手段は、さらに、前記音声受付手段が受け付けた話者の音声の前記特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に存在しないと判定した場合には、前記報知手段に所定の報知動作を行わせるための報知指令を前記送信手段に送信させるのがよい。
【0013】
さらに、好ましくは、前記伝送経路は無線通信経路であり、前記報知手段は携帯電話又は情報端末であるのがよい。
【0014】
また、好ましくは、前記各登録話者及び日時と関連付けられて予め登録されたスケジュール情報を格納する第3の情報格納手段と、音響出力及び画像出力の少なくともいずれか一方を行う第1の出力手段と、をさらに備え、前記判定手段は、さらに、日時管理機能を有しており、前記第3の情報格納手段に格納された前記スケジュール情報に対応する日時が到来した場合において、そのスケジュール情報と関連付けられた前記登録話者が車両に乗車していることを、前記音声受付手段が受け付けた前記音声の特徴と前記第1の情報格納手段に格納された前記特徴情報とに基づいて検出している場合には、そのスケジュール情報に対応した通知出力を前記第1の出力手段を介して行うのがよい。
【0015】
さらに、好ましくは、所定の通信回線を介して電子メールの受信を行うメール受信手段と、スピーカと、をさらに備え、前記判定手段は、さらに、前記メール受信手段が前記登録話者宛の電子メールを受信した場合において、その電子メールに対応する前記登録話者が車両に乗車していることを、前記音声受付手段が受け付けた前記音声の特徴と前記第1の情報格納手段に格納された前記特徴情報とに基づいて検出している場合には、音声合成によりその電子メールの内容を音声により読み上げて前記スピーカを介して出力する一方、受信した電子メールに対応する前記登録話者の乗車が検出できていない場合には、検出できるまで前記電子メールの読み上げ出力を保留するのがよい。
【0016】
また、好ましくは、音響出力及び画像出力の少なくともいずれか一方を行う第2の出力手段をさらに備え、前記第1の情報格納手段には、前記登録話者のうちのいずれが車両の持ち主であるかを示す持ち主情報も格納されており、前記判定手段は、さらに、車両の各部の状態を検出するセンサから出力されるセンサ情報を取り込む機能を有しており、取り込んだセンサ情報に基づいて車両の走行に支障がない程度の異常の発生を検出した場合において、車両の持ち主が車両に乗車していることを、前記音声受付手段が受け付けた前記音声の特徴、前記第1の情報格納手段に格納された前記特徴情報及び前記持ち主情報に基づいて検出している場合には、検出した異常に対応した警告出力を前記第2の出力手段を介して行う一方、車両の持ち主の乗車が検出できていない場合には、検出できるまで前記警告出力を保留するのがよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両設定変更装置のブロック図である。この車両設定変更装置は、図1に示すように、マイクロホンアレイ(音取得部)1と、スピーカ(第1及び第2の出力手段)3と、A/D変換装置5と、D/A変換装置7と、信号処理装置(信号処理部)9と、話者識別装置11と、車両情報取得装置12と、CPU13と、着座検出装置15と、ドア開閉検出装置17と、話者登録要求装置19と、記憶装置(第1ないし第3の情報格納手段)21と、通信装置(送信手段、メール受信手段)23と、車載制御装置(設定変更手段)25とを備えており、車両の設定内容を搭乗者に応じて変更するようになっている。このうち、本発明に係る音声受付手段にはマイクロホンアレイ1、A/D変換装置5及び信号処理装置9が対応しており、判定手段には話者識別装置11及びCPU13が対応しており、報知手段には後述する端末装置27が対応している。
【0018】
マイクロホンアレイ1は、1又は複数のマイクロホン1aを備え(本実施形態では、互いに所定間隔をあけて直線的、平面的又は立体的に配置された複数のマイクロホン1aを備えている)、その各マイクロホン1aで車室内の音を取得し、電気信号に変換してA/D変換装置5に出力する。A/D変換装置5は、各マイクロホン1aから与えられる音声信号をA/D変換してCPU13に出力する。
【0019】
スピーカ3は、D/A変換装置7を介してCPU13から与えられる音声信号を音響(音声も含む)として出力する。なお、本実施形態では、第1又は第2の出力手段としてスピーカ3を備える構成としたが、スピーカ3とともに画像出力を行う表示装置を備える構成としてもよい。D/A変換装置7は、CPU13から与えられる音声信号をD/A変換してスピーカ3に出力する。
【0020】
信号処理装置9は、CPU13の制御により動作し、CPU13から与えられる各マイクロホン1aの音声信号に対して信号処理(遅延処理又は進み処理等)を施すことにより、マイクロホンアレイ1に対して特定の方向から入射した音を強調し、その処理後の音声信号をCPU13に与える。この信号処理装置9による信号処理により、実質的にマイクロホンアレイ1が音取得を行う際の指向性が形成されることとなる。そして、その指向性に対応する方向はCPU13の制御により変化されるようになっている。
【0021】
話者識別装置11は、CPU13と共働して話者識別を行う。その具体的な処理動作の内容については後述する。
【0022】
車両情報取得装置12は、車両各部に備えられた図示しないセンサから与えられる車両情報(センサ情報)を取得してCPU13に与える。前記センサは、車両各部の状態や故障の有無等を検出するものであり、CPU13は車両情報取得装置12を介して車両各部の状態や故障の有無などを監視する。なお、車両情報取得装置12を省略して、その機能を車載制御装置25に持たせてもよい。
【0023】
CPU13は、この車両設定変更装置全体の制御を行う装置であり、その具体的な処理動作については後述する。
【0024】
着座検出装置15は、車室内の各座席に設けられ、その各座席に人が着座しているか否かを検出し、検出結果をCPU13に与える。
【0025】
ドア開閉検出装置17は、車両に設けられる各ドアの開閉状態を検出し、検出結果をCPU13に出力する。
【0026】
話者登録要求装置19は、使用者から入力される新規登録話者に関する情報や各種の情報を登録する際の各種入力を受け付けて、その入力内容に応じた各種要求(新規話者の登録を求める話者登録要求など)をCPU13に対して行う。
【0027】
記憶装置21には、各登録話者の音声の特徴を識別するための特徴情報、後述する各制御対象装置31の設定内容に関する設定情報、及びスケジュール情報などが、予め登録された登録話者に関する識別情報と関連付けられて、登録話者ごとに格納されている。
【0028】
特徴情報としては、登録話者の声の特徴パラメータに基づいて作成された隠れマルコフモデル(以下、「HMM」という)又はガウス混合モデル(以下、「GMM」という)が登録されている。登録話者のHMM又はGMMは、後述するように、CPU13の制御により、後述するように話者識別装置11によって作成されて記憶装置21に登録される。
【0029】
設定情報は、各登録話者に応じた各制御対象装置31の設定内容に関する情報であり、CPU13の制御により記憶装置21に登録され、話者識別の結果に基づいて各制御対象装置31の設定内容を変更する際に用いられる。
【0030】
スケジュール情報は、各登録話者のスケジュール(記念日等の特別な日時など)や、オイル交換や車検の予定日等の車両の整備スケジュール等の各種スケジュールに関する情報であり、各登録話者及び日時と関連付けられて登録されており、後述するCPU13によるスケジュール管理に用いられる。
【0031】
また、記憶装置21には、CPU13がこの車両設定変更装置を制御する上で必要となる各種情報が格納されているとともに、登録話者のうちのいずれが車両の持ち主であるかを示す情報(持ち主情報)や、後述する通信装置23により受信された電子メールなども格納されている。
【0032】
通信装置23は、CPU13の制御により動作し、この車両設定変更装置と所定の端末装置27との通信、及びユーザが契約している所定のメールサーバ29を介した電子メールの送受信を行う。端末装置27としては、携帯電話又は各種の携帯型の情報端末等が用いられるが、車両の持ち主が携帯可能なものであるのが好ましい。
【0033】
通信装置23の具体的な動作としては、後述するように、車両への未登録話者の乗車が検出された際に、CPU13の指示により、端末装置27に所定の報知動作を行わせるための報知指令を、所定の無線電話回線等の無線通信回線(インターネット等の通信ネットワークを含む)を介して端末装置27に送信するようになっている。また、CPU13の制御により、前記無線通信回線を介して所定のメールサーバ29にアクセスし、そのメールサーバを介して電子メールの送受を行うようになっている。
【0034】
車載制御装置25は、CPU13の指示により、記憶装置21に格納された前記設定情報に基づいて、車両に搭載された各種の制御対象装置31を制御する。車載制御装置25によって制御される制御対象装置31としては、前部座席(ここでは、運転席)の座席シート41(図3参照)の設定内容(座席シート41の位置及びその背もたれ部の角度等)を調節するシート設定調節装置、エアコン、オーディオ機器、バックミラーの向きを調節するバックミラー駆動装置、ルームミラーの向きを調節するルームミラー駆動装置、及び、ハンドルの位置(前後方向及び上下方向の位置、及び角度も含む)を調節するハンドル位置調節装置などが考えられる。
【0035】
図2は、CPU13等の主要な制御内容の一つについて示すフローチャートである。図2に示すように、電源投入に伴ってステップS1に進み、着座検出装置15の検出結果に基づいて各座席に搭乗者が着座しているか否かがCPU13により判断され、いずれかの座席に搭乗者が存在している場合にはステップS2に進み、CPU13からA/D変換装置5に対してA/D変換の開始指令が出され、A/D変換装置5によってマイクロホンアレイ1からの音声信号のA/D変換が開始されて、ステップS3に進む。A/D変換された音声信号(音声データ)は、CPU13によって信号処理装置9に与えられる。
【0036】
一方、ステップS1でいずれの座席にも搭乗者が存在しないと判断された場合には、ステップS16に進み、CPU13から車載制御装置25に対して各制御対象装置31の設定内容を初期状態に戻す旨の指令が出され、各制御対象装置31の設定内容が車載制御装置25により初期状態に戻されて、ステップS17に進む。ここで、各制御対象装置31の設定内容の初期状態に関する情報(初期設定情報)は、記憶装置21に登録されている。ステップS17では、ドア開閉検出装置17の検出結果に基づいて、各ドアの開閉の有無の判断がCPU13により行われ、ドアの開閉が行われたと判断された場合には、新たな搭乗者の乗車がある可能性があるため、ステップS1に進み、着座の有無を確認する一方、ドアの開閉が行われないと判断した場合には、ドアの開閉が行われるまでステップS17の処理が繰り返される。
【0037】
ステップS3では、着座検出装置15の検出結果に基づいて、搭乗者が着座している座席がCPU13によって特定されて、ステップS3に進む。
【0038】
ステップS4では、CPU13の制御により、マイクロホンアレイ1の指向性を、ステップS3で搭乗者が着座していると特定された座席の方向(搭乗者の存在している方向)に向かせるための設定が信号処理装置9に対して行われる。これによって、信号処理装置9が、CPU13から与えられる各マイクロホン1aの音声信号に対して信号処理(遅延処理又は進み処理等)を施すことにより、マイクロホンアレイ1に対して搭乗者に対応する特定の方向から入射した音を強調し、その処理後の音声信号をCPU13に与える。このステップS4における処理の詳細な内容については、図4のフローチャートに基づいて後述する。
【0039】
続くステップS5では、CPU13の制御により、ステップS4の信号処理が施された音声信号が話者識別装置11に与えられて、その与えらえた音声信号に基づいて話者の識別が話者識別装置11により行われる。その詳細な処理内容については図5のフローチャートに基づいて後述する。
【0040】
続くステップS6では、ステップS5での識別結果に基づいて、その識別対象の音声の話者が、予め登録された登録話者であるか否かが話者識別装置11により判断され、登録話者である場合にはステップS7に進む一方、登録話者でない場合にはステップS10に進む。
【0041】
ステップS7では、CPU13の制御により、ステップS6で識別された登録話者に対応する予め登録された各制御対象装置31の設定情報が記憶装置21から読み出される。
【0042】
続くステップS8では、ステップS7で読み出された設定情報が、各制御対象装置31の設定変更指令とともに、CPU13から車載制御装置25に与えられ、車載制御装置25によって、各制御対象装置31の設定内容が、ステップS6で識別された登録話者に対応する登録設定内容に自動的に変更される。
【0043】
続くステップS9では、着座検出装置15の検出結果に基づいて、話者識別がまだ行われていない搭乗者が別の座席に存在しているか否かがCPU13により判断され、存在していない場合にはステップS10に進む一方、存在する場合にはステップS3に戻り、ステップS1で着座が検出されたすべての座席について搭乗者の話者識別が行われるまで、ステップS3〜S9等の処理が繰り返される。
【0044】
このようなステップS1〜S8等の一連の処理により、運転席等のへの搭乗者の着座が検出され、その搭乗者の音声(任意の単語等)に基づく識別処理によってその搭乗者が登録話者である場合には、例えば図3に示すように、運転席等の座席シート41の位置(あるいは、座席シート41の位置及び座席シート41の背もたれ部の角度)が予め登録された設定内容に自動的に変更されるようになっている。また、ステップS1〜S8等の一連の処理を繰り返すことにより、搭乗者が着座している各座席ごとに、その搭乗者に対する話者識別が行われ、その識別の結果、搭乗者が登録話者である場合にはそれに応じた各制御対象装置31の設定変更が行われてゆくようになっている。
【0045】
ステップS10では、CPU10からA/D変換装置5に対してA/D変換処理の終了指令が与えられ、A/D変換装置5による変換動作が停止される。
【0046】
続くステップS11では、話者登録要求装置19からの話者登録要求があるか否かがCPU13によって判断され、登録要求がない場合にはステップS17に進む一方、登録要求がある場合にはステップS12に進む。
【0047】
ステップS12では、ステップS5の処理において識別対象とされた音声に基づいて、その音声の特徴に関する情報(特徴情報)が話者識別装置11によって導出されて、CPU13の制御により記憶装置21に登録される(登録話者の学習処理)。このステップS12での登録話者の学習処理の詳細については、図5のフローチャートに基づいて後述する。
【0048】
続くステップS13では、各制御対象装置31の設定内容を自己の所望の状態に調整して登録することを促す調節要求出力が、CPU13の制御によって、音声又は映像により話者(使用者)に対して出力される。本実施形態では、調節要求出力に対応する音声データ(記憶装置21に予め格納されている)が、CPU13からA/D変換装置7を介してスピーカ3に与えられ、スピーカ3を介して音響出力されるようになっている。そして、話者により制御対象装置31の設定変更が行われると、CPU13の制御によって、ステップS14にて車載制御装置25よりその時点における各制御対象装置31の設定内容に関する情報(設定情報)が取得される。続くステップS15にて、CPU13の制御によって、その取得された設定情報が、ステップS12で学習された音声の特徴情報等と関連付けられて記憶装置23に登録され、ステップS1に戻る。このように新たに学習、登録された音声の特徴情報及び設定情報は、それらが対応する登録話者が車両に搭乗した場合の話者の識別及び各制御対象装置31の自動設定変更に用いられる。
【0049】
図4は、前述の図2のステップS4の処理内容を示すフローチャートである。図2のステップS4では、その前段のステップS3の処理に続いて、図4に示すステップS21〜S26が行われる。すなわち、ステップS21では、マイクロホンアレイ1を基準とした、図2のステップS3で特定された座席の方向(話者方向)に関する情報(方向情報)がCPU13によって記憶装置21から読み込まれる。ここで、マイクロホンアレイ1を基準とした各座席の方向(話者方向)は、マイクロホンアレイ1と各座席との位置関係に基づいて予め記憶装置21に登録されている。
【0050】
続くステップS22では、CPU13が、ステップS21で読み込んだ方向情報に基づいて、各マイクロホン1aの音声信号に対して信号処理装置9に行わせるべき処理パラメータ(係数)を決定し、その処理パラメータを信号処理装置9に設定する。この処理パラメータは、例えば、各マイクロホン1aからの音声信号を遅延等させる際の遅延処理等の大きさを決定するものであり、マイクロホンアレイ1の指向性が話者方向に適合し、話者方向に対してその感度が最も強くなるような値に決定される。
【0051】
ステップS23では、A/D変換装置5によってデジタル信号に変換された音声信号がCPU13によって取り込まれて、信号処理装置9に与えられ、ステップS24にて、信号処理装置9によりステップS22で設定された処理パラメータに従って、その与えられた各マイクロホン1aの音声信号に対する信号処理が行われる。この信号処理により、マイクロホンアレイ1に入力される音声のうちの注目した話者方向の音声が強調された状態で、マイクロホンアレイ1の音声信号がCPU13等に与えられることとなる。
【0052】
続くステップS25では、話者の発生が終了したか否かがCPU13又は信号処理装置9により判断され、終了していない場合には、ステップS26で信号処理後の音声信号がCPU13に返されつつ、発声が終了するまでステップS23〜S26の処理が繰り返され、発声が終了すると前述の図2のステップS5に進む。
【0053】
図5は、前述の図2のステップS5,S12の処理内容を示すフローチャートである。図2のステップS5,S12では、その前段のステップS4又はS11の処理に続いて、図5に示すステップS31〜S41の処理が行われる。なお、ステップS31〜S41の処理のうち、ステップS32〜S36の処理が図2のステップS12の処理に実質的に対応しており、ステップS37〜S41の処理が図2のステップS5の処理に実質的に対応しており、この2つの処理系統のいずれが実行されるかが、ステップS31の判定処理の結果により決定されるようになっている。
【0054】
すなわち、ステップS31では、話者登録要求装置19からCPU13に対して話者登録の要求が行われたか否かが、CPU13又は話者識別装置11によって判断され、話者登録の要求がない場合にはステップS37に進む一方、話者登録の要求がある場合にはステップS32に進む。
【0055】
ステップS37では、図2のステップS4の信号処理が施された音声信号がCPU13から話者識別装置11に取り込まれ、話者識別装置11によって、その音声信号中に含まれる話者の発声する任意単語や文章に対応する音声データが話者識別用のデータとして取得される。続くステップS38では、その音声データから話者の声の特徴パラメータが抽出され、続くステップS39にて、その特徴パラメータと、記憶装置21に登録されている各特徴情報(HMM又はGMM)とに基づいてゆう度計算が行われる。
【0056】
続くステップS40では、話者による発声が終了したか否かが話者識別装置11又はCPU13によって判断され、発声が終了していない場合にはステップS37に戻り、発声が終了するまでステップS37〜S40の処理が繰り返される一方、発声が終了した場合にはステップS41に進む。
【0057】
ステップS41では、ステップS39での計算結果に基づいて、話者の音声の特徴に対応する特徴情報が記憶装置21に登録されているか否か(話者が登録話者であるか否か)、及び、登録されている場合にはいずれの特徴情報が対応するかが判断されて、図2のステップS6に進む。
【0058】
また、ステップS31で話者登録の要求が行われたと判断された場合には、ステップS32に進み、図2のステップS4の信号処理が施された音声信号がCPU13から話者識別装置11に取り込まれ、話者識別装置11によって、その音声信号の中に含まれる話者の発声する任意単語や文章に対応する音声データが話者登録用のデータとして取得される。続くステップS33では、その音声データから話者の声の特徴パラメータが抽出される。続くステップS34では、その抽出された特徴パラメータに基づいて話者識別用の特徴情報(HMM又はGMM)が作成される。
【0059】
続くステップS35では、話者による発声が終了したか否かが話者識別装置11又はCPU13によって判断され、発声が終了していない場合にはステップS32に戻り、発声が終了するまでステップS32〜S35の処理が繰り返される一方、発声が終了した場合にはステップS36に進む。ステップS36では、ステップS34で算出された話者の特徴情報がCPU13の制御により記憶装置21に登録されて、図2のステップS13に進む。
【0060】
図6は、前述の図2のステップS8,S14の処理内容を示すフローチャートである。図2のステップS8,S14では、その前段のステップS7又はS13の処理に続いて、図6に示すステップS51〜S58の処理が行われる。なお、ステップS51〜S58の処理のうち、ステップS52〜S54の処理が図2のステップS8の処理に実質的に対応しており、ステップS56〜S58の処理が図2のステップS14の処理に実質的に対応しており、この2つの処理系統のいずれが実行されるかが、ステップS51,S55の判定処理の結果により決定されるようになっている。
【0061】
すなわち、ステップS51では、CPU13から車載制御装置25に制御対象装置31の設定要求があったか否かが車載制御装置25により判断され、設定要求があった場合にはステップS52に進む一方、設定要求がない場合にはステップS55に進む。ステップS55では、CPU13から車載制御装置25に制御対象装置31の設定状態取得要求が行われた否かが車載制御装置25により判断され、設定状態取得要求が行われた場合にはステップS56に進む一方、設定状態取得要求が行われない場合には、図2のステップS15を介してステップS1に戻る。
【0062】
ステップS52では、CPU13からの設定要求に基づいて設定変更を行うべき制御対象装置31が特定され、続くステップS53にて、その制御対象装置31の設定内容が車載制御装置25によって変更される。続くステップS54では、すべての設定要求に対する設定変更処理が終了したか否かが車載制御装置25によって判断され、終了していない場合にはステップS52に戻り、すべての設定要求に対する設定変更処理が終了するまでステップS52〜S54の処理が繰り返され、すべての設定要求に対する設定変更処理が終了すると、図2のステップS9に進む。
【0063】
ステップS56では、その時点におけるすべての制御対象装置31の設定状態に関する情報(設定情報)が車載制御装置25によって取得され、続くステップS57にて、その取得された設定情報がCPU13に転送される。続くステップS58では、CPU13からの設定状態取得要求が終了したか否かが車載制御装置25によって判断され、要求が終了していない場合にはステップS56に戻り、設定状態取得要求が終了するまでステップS56〜S58の処理が繰り返され、設定状態取得要求が終了すると、図2のステップS15に進む。
【0064】
また、この車両設定変更装置の他の機能として以下のものがある。
【0065】
CPU13は、例えば前述の図2のステップS6の処理により、識別対象の話者の音声の特徴に対応する特徴情報が記憶装置21に登録されておらず、その話者が登録話者でないと判断した場合には、通信装置23を制御して、通信装置23を介して所定の端末装置27に対して所定の報知動作を行うべき指令(報知指令)を無線電話回線等を介して送信するようになっている。端末装置27は、例えば車両の持ち主により携帯されているため、その報知指令に応じた携帯端末27の音響、画像又はバイブレーション等の出力による報知動作により、車両の持ち主が自車に未登録話者が乗車したことを認識することができる。
【0066】
また、CPU13は、各登録話者のスケジュールを管理するスケジュール管理機能及びその機能を実行するための日付管理機能(時計機能)も有している。すなわち、話者登録要求装置19等を介した操作入力により、各登録話者が、自己のスケジュールや車両の整備スケジュール等の各種スケジュールに関する情報を入力すれば、それに応じて、CPU13が、その入力情報を各登録話者(ここでは、例えば登録話者の音声の特徴情報)及び日時と関連付けて、スケジュール情報して記憶装置21に登録するようになっている。
【0067】
そして、CPU13は、記憶装置21に登録されたスケジュール情報に対応する日時が到来した場合において、そのスケジュール情報と関連付けられた登録話者が車両に乗車していることを、マイクロホンアレイ1が取得した話者の音声の特徴と記憶装置21に登録された特徴情報とに基く、前述の図2のステップS3〜S9等の処理により検出している場合には、そのスケジュール情報に対応した通知出力をD/A変換装置7を介してスピーカ3に与え、スピーカ3を介して対応する登録話者に音声等で通知出力を行うようになっている。通知出力は、例えば、CPU13からディジタル音声データ等としてD/A変換装置7に与えられ、D/A変換装置7にてアナログ信号に変換されて、スピーカ3から音声として出力される。その際に、音声によるどのような通知出力を行わせるかは、話者登録要求装置19等を介して使用者が予め設定しておけるようになっている。
【0068】
なお、記憶装置21に登録されたスケジュール情報に対応する日時が到来した場合において、そのスケジュール情報と関連付けられた登録話者が車両に乗車していない場合には、その登録話者が乗車してくるまで、そのスケジュール情報に対応する通知出力が保留されるようになっている。
【0069】
また、CPU13は、通信装置23と共働してメール送受信を行う機能も有している。すなわち、CPU13は、通信装置23がメールサーバ29を介して無線通信によりいずれかの登録話者宛の電子メールを受信した場合において、その受信電子メールに対応する登録話者が車両に乗車していることを、マイクロホンアレイ1が取得した話者の音声の特徴と記憶装置21に登録された特徴情報とに基づく、前述の図2のステップS3〜S9等の処理により検出している場合には、その電子メールの内容を音声により読み上げるための音声信号を音声合成により作成し、その音声信号をD/A変換装置7を介してスピーカ3に与え、スピーカ3を介して対応する登録話者に対してその電子メールの内容を音声で読み上げ出力するようになっている。
【0070】
なお、通信装置23がメールサーバ29を介していずれかの登録話者宛の電子メールを受信した場合において、その受信電子メールに対応する登録話者が車両に乗車していない場合には、その登録話者が乗車してくるまで、その受信電子メールの読み上げ出力が保留されるようになっている。受信された電子メールは、記憶装置21に順次保存されてゆくようになっているが、話者登録要求装置19を介した操作入力等により、記憶装置21内に保存された電子メールを適宜削除できるようになっている。
【0071】
また、話者登録要求装置19等を介した操作入力等により電子メールの内容及びその電子メールの送信指示が入力されると、CPU13が通信装置23を制御してその電子メールを通信装置23に送信させるようになっている。
【0072】
さらに、CPU13は、車両情報取得装置12によって取得された車両情報に基づいて車両各部の状態や故障の有無を監視し、車両の故障発生時に故障発生を車両の持ち主に警告する機能も有している。具体的には、CPU13は、車両情報取得装置12が取得した車両情報に基づいて車両の走行に支障がない程度の異常(例えば、オーディオ機器の故障や、エアコンの故障など)の発生を検出した場合において、車両の持ち主が車両に乗車していることを、マイクロホンアレイ1が取得した話者の音声の特徴と記憶装置21に登録された特徴情報及び持ち主情報とに基づく、前述の図2のステップS3〜S9等の処理により検出している場合には、その検出した異常に対応した警告出力をD/A変換装置7を介してスピーカ3に与え、スピーカ3を介して対応する登録話者に音声等で警告出力を行うようになっている。警告出力は、例えば、CPU13からディジタル音声データ等としてD/A変換装置7に与えられ、D/A変換装置7にてアナログ信号に変換されて、スピーカ3から音声として出力される。
【0073】
なお、車両の走行に支障がない程度の異常の発生が検出された場合において、持ち主が車両に乗車していない場合には、持ち主が乗車してくるまで、その検出した車両の異常に対応する警告出力が保留されるようになっている。
【0074】
以上のように、本実施形態によれば、話者の音声(任意の単語等)に基づいてその話者が予め登録された登録話者と認識できた場合には、その登録話者に対応する予め登録された設定情報に基づいて車両に備えられる各制御対象装置31(例えば、座席シートの位置、エアコン、オーディオ機器等)の設定内容が変更されるため、従来のように設定内容の変更のために複数の音声コマンドを順次入力する必要がない。その結果、使用者に煩わしさを感じさせることなく、しかもセキュリティ面での安全性を保持しつつ、短時間で使用者に応じた車両の設定内容の変更を行うことができる。
【0075】
また、複数のマイクロホン1aを備えたマイクロホンアレイ1の指向性を変更させつつ音声取得を行うことにより、各座席ごとに話者を的確に識別し、その各座席の話者に対応して車両の設定内容を変更することができる。
【0076】
さらに、音声により識別した話者に応じて座席シート41の位置や背もたれ部の角度等の設定内容を各座席ごとに自動的に変更することができる。
【0077】
また、車両に乗車した話者が未登録話者である場合には、車両の持ち主に付与された端末装置27に対して報知指令が送信されるため、未登録話者が車両に乗車したことを車両の持ち主に報知することができ、セキュリティ面での安全性の向上が図れる。
【0078】
さらに、予め登録されたスケジュール情報に対応する日時が到来し、そのスケジュール情報と関連付けられた登録話者が車両に乗車していることが検出されている場合には、その登録話者に対してそのスケジュール情報に対応した報知出力がスピーカ3を介して行われるため、各登録話者のスケジュール管理の補助を行うことができる。
【0079】
さらに、登録話者宛の電子メールを受信した場合において、その電子メールに対応する登録話者が車両に乗車していることが検出されている場合には、その電子メールの内容が音声により読み上げ出力されるため、車両に乗車中に(特に、運転中で手が放せない場合などであっても)電子メールが届いたこと及びその内容を迅速に搭乗者に認知させることができる。
【0080】
また、その受信メールに対応する登録話者が車両に乗車していない場合には、電子メールの読み上げ出力が保留されるため、他の登録話者等に電子メールの内容が知られるのを防止することができ、個人情報の保護が図れる。
【0081】
さらに、車両の走行に支障がない程度の異常の発生が検出された場合において、予め登録した車両の持ち主が車両に乗車していることが検出されている場合には、その異常が発生したことが車両の持ち主に対してスピーカ3を介して警告されるため、車両の持ち主がその異常を迅速に認識することができる。
【0082】
また、車両の走行に支障がない程度の異常の発生が検出された場合において、予め登録した車両の持ち主が車両に乗車していない場合には、その異常発生に対する警告出力が保留されるため、走行に支障がない程度の異常発生に対する警告出力によって車両の持ち主でない搭乗者が惑わされるのを防止することができる。
【0083】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、話者の音声に基づいてその話者が予め登録された登録話者と認識できた場合には、その登録話者に対応する予め登録された設定情報に基づいて車両の設定内容が変更されるため、従来のように設定内容の変更のために複数の音声コマンドを順次入力する必要がない。その結果、使用者に煩わしさを感じさせることなく、しかもセキュリティ面での安全性を保持しつつ、短時間で使用者に応じた車両の設定内容の変更を行うことができる。
【0084】
請求項2に記載の発明によれば、判定手段が、複数のマイクロホンを備えた音声受付手段が音取得方向の指向性を変更させつつ音声取得を行うことにより、各座席ごとに的確に話者を識別し、その各座席の話者に対応して車両の設定内容を変更することができる。
【0085】
請求項3に記載の発明によれば、音声により識別した話者に応じて座席シートの設定内容を変更することができる。
【0086】
請求項4に記載の発明によれば、音声により各座席の話者を識別し、その識別結果に基づいてその話者が着座する座席シートの設定内容を変更するため、各座席シートごとに話者に応じて自動的に座席シートの設定内容を変更することができる。
【0087】
請求項5に記載の発明によれば、音声により識別した話者に応じて、その話者が着座する各座席シートの位置及び背もたれ部の角度のうちの少なくともいずれか一方を変更することができる。
【0088】
請求項6に記載の発明によれば、音声により識別した話者に応じて、車両に設けられるエアコン、オーディオ機器、バックミラーの向き、ルームミラーの向き、及びハンドルの位置のうちの少なくとも一つを変更することができる。
【0089】
請求項7及び8に記載の発明によれば、車両に乗車した話者が未登録話者である場合には、所定の報知手段に対して報知指令が送信されるため、その報知手段を車両の持ち主に付与しておくことにより、未登録話者が車両に乗車したことを車両の持ち主に報知することができ、セキュリティ面での安全性の向上が図れる。
【0090】
請求項9に記載の発明によれば、予め登録されたスケジュール情報に対応する日時が到来し、そのスケジュール情報と関連付けられた登録話者が車両に乗車していることが検出されている場合には、その登録話者に対してそのスケジュール情報に対応した報知出力が第1の出力手段を介して行われるため、各登録話者のスケジュール管理の補助を行うことができる。
【0091】
請求項10に記載の発明によれば、登録話者宛の電子メールを受信した場合において、その電子メールに対応する登録話者が車両に乗車していることが検出されている場合には、その電子メールの内容が音声により読み上げ出力されるため、車両に乗車中に(特に、運転中で手が放せない場合などであっても)電子メールが届いたこと及びその内容を迅速に搭乗者に認知させることができる。
【0092】
また、その受信メールに対応する登録話者が車両に乗車していない場合には、電子メールの読み上げ出力が保留されるため、他の登録話者等に電子メールの内容が知られるのを防止することができ、個人情報の保護が図れる。
【0093】
請求項11に記載の発明によれば、車両の走行に支障がない程度の異常の発生が検出された場合において、予め登録した車両の持ち主が車両に乗車していることが検出されている場合には、その異常が発生したことが車両の持ち主に対して警告されるため、車両の持ち主がその異常を迅速に認識することができる。
【0094】
また、車両の走行に支障がない程度の異常の発生が検出された場合において、予め登録した車両の持ち主が車両に乗車していない場合には、その異常発生に対する警告出力が保留されるため、走行に支障がない程度の異常発生に対する警告出力によって車両の持ち主でない搭乗者が惑わされるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両設定変更装置のブロック図である。
【図2】CPU等の主要な制御内容の一つについて示すフローチャートである。
【図3】話者の識別結果に基づいて座席シートの位置等が変更される際の動作を示す説明図である。
【図4】図2のステップS4の処理内容を示すフローチャートである。
【図5】図2のステップS5,S12の処理内容を示すフローチャートである。
【図6】図2のステップS8,S14の処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 マイクロホンアレイ
1a マイクロホン
3 スピーカ
9 信号処置装置
11 話者識別装置
12 車両情報取得装置
13 CPU
15 着座検出装置
17 ドア開閉検出装置
19 話者登録要求装置
21 記憶装置
25 車載制御装置
27 端末装置
31 制御対象装置
Claims (11)
- 車両の設定内容を搭乗者に応じて変更する車両設定変更装置であって、
音声入力を受け付ける音声受付手段と、
予め登録された少なくとも一人の登録話者の音声の特徴情報を格納した第1の情報格納手段と、
前記各登録話者に応じた車両の設定内容に関する設定情報を格納した第2の情報格納手段と、
前記音声受付手段が受け付けた話者の音声の特徴と抽出し、その特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されていると判定された場合に、その話者に対応する前記設定情報を前記第2の情報格納手段から読み出し、その読み出した前記設定情報に基づいて前記車両の前記設定内容を変更する設定変更手段と、
を備える、車両設定変更装置。 - 請求項1に記載の車両設定変更装置において、
前記音声受付手段は、
複数のマイクロホンからなる音取得部と、
前記各マイクロホンから与えられるマイクロホン信号に対して信号処理を行うことにより前記音取得部が音取得を行う際の指向性を形成するとともに、その指向性を変化させる信号処理部と、
を備え、
前記判定手段は、
前記信号処理部を制御して前記音取得部の音取得の指向性を予め設定された車室内の各座席に対応する方向に向けさせ、その各座席に着座した話者の音声を前記音声受付手段に取得させ、その取得した話者の音声の特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されているかを前記座席ごとに判定し、
前記設定変更手段は、
前記判定手段によっていずれかの前記座席の前記話者の前記音声の前記特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されていると判定された場合に、その話者に対応する前記設定情報を前記第2の情報格納手段から読み出し、その読み出した前記設定情報に基づいて前記車両の前記設定内容を変更する、車両設定変更装置。 - 請求項1又は2に記載の車両設定変更装置において、
前記設定変更手段は、前記設定情報に基づいて、車両に設けられる座席シートの設定内容を少なくとも変更する、車両設定変更装置。 - 請求項2に記載の車両設定変更装置において、
前記設定変更手段は、
前記判定手段によっていずれかの前記座席の前記話者の前記音声の前記特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に格納されていると判定された場合に、その話者に対応する前記設定情報を前記第2の情報格納手段から読み出し、その読み出した前記設定情報に基づいて、その話者が着座する座席シートの設定内容を少なくとも変更する、車両設定変更装置。 - 請求項3又は4に記載の車両設定変更装置において、
前記設定変更手段は、前記設定情報に基づいて、前記座席シートの位置及び背もたれ部の角度のうちの少なくともいずれか一方を変更する、車両設定変更装置。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の車両設定変更装置において、
前記設定変更手段は、前記設定情報に基づいて、車両に設けられるエアコン、オーディオ機器、バックミラーの向き、ルームミラーの向き、及びハンドルの位置のうちの少なくとも一つを変更する、車両設定変更装置。 - 請求項1ないし6のいずれかに記載の車両設定変更装置において、
所定の伝送経路を介して予め設定された報知手段に指令を送信する送信手段をさらに備え、
前記判定手段は、さらに、
前記音声受付手段が受け付けた話者の音声の前記特徴に対応する前記特徴情報が前記第1の情報格納手段に存在しないと判定した場合には、前記報知手段に所定の報知動作を行わせるための報知指令を前記送信手段に送信させる、車両設定変更装置。 - 請求項7に記載の車両設定変更装置において、
前記伝送経路は無線通信経路であり、
前記報知手段は携帯電話又は情報端末である、車両設定変更装置。 - 請求項1ないし8のいずれかに記載の車両設定変更装置において、
前記各登録話者及び日時と関連付けられて予め登録されたスケジュール情報を格納する第3の情報格納手段と、
音響出力及び画像出力の少なくともいずれか一方を行う第1の出力手段と、
をさらに備え、
前記判定手段は、さらに、
日時管理機能を有しており、前記第3の情報格納手段に格納された前記スケジュール情報に対応する日時が到来した場合において、そのスケジュール情報と関連付けられた前記登録話者が車両に乗車していることを、前記音声受付手段が受け付けた前記音声の特徴と前記第1の情報格納手段に格納された前記特徴情報とに基づいて検出している場合には、そのスケジュール情報に対応した通知出力を前記第1の出力手段を介して行う、車両設定変更装置。 - 請求項1ないし9のいずれかに記載の車両設定変更装置において、
所定の通信回線を介して電子メールの受信を行うメール受信手段と、
スピーカと、
をさらに備え、
前記判定手段は、さらに、
前記メール受信手段が前記登録話者宛の電子メールを受信した場合において、その電子メールに対応する前記登録話者が車両に乗車していることを、前記音声受付手段が受け付けた前記音声の特徴と前記第1の情報格納手段に格納された前記特徴情報とに基づいて検出している場合には、音声合成によりその電子メールの内容を音声により読み上げて前記スピーカを介して出力する一方、受信した電子メールに対応する前記登録話者の乗車が検出できていない場合には、検出できるまで前記電子メールの読み上げ出力を保留する、車両設定変更装置。 - 請求項1ないし10のいずれかに記載の車両設定変更装置において、
音響出力及び画像出力の少なくともいずれか一方を行う第2の出力手段をさらに備え、
前記第1の情報格納手段には、前記登録話者のうちのいずれが車両の持ち主であるかを示す持ち主情報も格納されており、
前記判定手段は、さらに、
車両の各部の状態を検出するセンサから出力されるセンサ情報を取り込む機能を有しており、取り込んだセンサ情報に基づいて車両の走行に支障がない程度の異常の発生を検出した場合において、車両の持ち主が車両に乗車していることを、前記音声受付手段が受け付けた前記音声の特徴、前記第1の情報格納手段に格納された前記特徴情報及び前記持ち主情報に基づいて検出している場合には、検出した異常に対応した警告出力を前記第2の出力手段を介して行う一方、車両の持ち主の乗車が検出できていない場合には、検出できるまで前記警告出力を保留する、車両設定変更装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003056891A JP2004262390A (ja) | 2003-03-04 | 2003-03-04 | 車両設定変更装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003056891A JP2004262390A (ja) | 2003-03-04 | 2003-03-04 | 車両設定変更装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004262390A true JP2004262390A (ja) | 2004-09-24 |
Family
ID=33120449
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003056891A Pending JP2004262390A (ja) | 2003-03-04 | 2003-03-04 | 車両設定変更装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004262390A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007106372A (ja) * | 2005-10-17 | 2007-04-26 | Mitsubishi Electric Corp | 車載機器制御装置 |
US8315763B2 (en) | 2008-11-27 | 2012-11-20 | Hyundai Motor Company | Control apparatus for vehicle |
CN104661150A (zh) * | 2013-11-25 | 2015-05-27 | 现代自动车株式会社 | 用于识别语音的装置和方法 |
CN113449178A (zh) * | 2020-03-25 | 2021-09-28 | 本田技研工业株式会社 | 信息提供系统、信息提供装置及其控制方法以及记录介质 |
-
2003
- 2003-03-04 JP JP2003056891A patent/JP2004262390A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007106372A (ja) * | 2005-10-17 | 2007-04-26 | Mitsubishi Electric Corp | 車載機器制御装置 |
US8315763B2 (en) | 2008-11-27 | 2012-11-20 | Hyundai Motor Company | Control apparatus for vehicle |
CN104661150A (zh) * | 2013-11-25 | 2015-05-27 | 现代自动车株式会社 | 用于识别语音的装置和方法 |
CN104661150B (zh) * | 2013-11-25 | 2019-06-04 | 现代自动车株式会社 | 用于识别语音的装置和方法 |
CN113449178A (zh) * | 2020-03-25 | 2021-09-28 | 本田技研工业株式会社 | 信息提供系统、信息提供装置及其控制方法以及记录介质 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10485049B1 (en) | Wireless device connection handover | |
US20090055180A1 (en) | System and method for optimizing speech recognition in a vehicle | |
US10419868B2 (en) | Sound system | |
JP6011584B2 (ja) | 音声認識装置及び音声認識システム | |
EP2028061A2 (en) | System and method of controlling personalized settings in a vehicle | |
JP5141463B2 (ja) | 車載機器及び通信の接続先選択方法 | |
KR20130101118A (ko) | 엘리베이터의 호출 등록 장치 | |
JP6466385B2 (ja) | サービス提供装置、サービス提供方法およびサービス提供プログラム | |
CN110027409B (zh) | 车辆控制装置、车辆控制方法以及计算机可读取记录介质 | |
US20090191922A1 (en) | Method of operating a portable hands-free phone accessory | |
WO2017183372A1 (ja) | 車室内会話支援装置 | |
US20210166683A1 (en) | Vehicle control apparatus and method using speech recognition | |
CN103144598A (zh) | 汽车碰撞报警方法和装置 | |
JP2009290789A (ja) | 緊急通報システム、緊急通報方法 | |
JP2015074315A (ja) | 車載中継装置及び車載通信システム | |
JP2004354930A (ja) | 音声認識システム | |
JP4360308B2 (ja) | 車載音響制御システム及びaiエージェント | |
JP2004262390A (ja) | 車両設定変更装置 | |
JP2010023639A (ja) | 車内会話補助装置 | |
JP2008236636A (ja) | 車載ハンズフリー通話装置および車両用ナビゲーション装置 | |
JP6785889B2 (ja) | サービス提供装置 | |
US10825332B2 (en) | Home smart listening device linking to transport vehicle | |
JP2007043356A (ja) | 音量自動調節装置および音量自動調節方法 | |
US20120269330A1 (en) | Navigation System Support of In-Vehicle TTY System | |
KR20200072965A (ko) | 차량용 듀얼 마이크의 능동형 제어 시스템 및 그의 제어 방법 |