JP2004262028A - Mold and method for manufacturing resin molded product - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、型締めされた状態で成形材料が充填されるキャビティを構成する固定金型と可動金型よりなる成形金型に関し、特に樹脂成形体の成形に供される成形金型に関する。
【0002】
なお、本発明の成形金型は、成形材料としては樹脂のほか金属粉末、溶融金属にも使用可能であり、したがって、成形体としては樹脂成形体のほか金属成形体にも使用可能である。また、本発明の成形金型は、成形法としては射出成形法および圧縮成形法の両方に使用可能である。
【0003】
【従来の技術】
以下、樹脂成形体の射出成形に用いられる成形金型を例に説明を行う(非特許文献1参照)。
【0004】
樹脂成形体の射出成形に使用される成形金型は、一般的に図1に示されるような構造が採用されている。成形材料である樹脂Aは、図示しない射出ユニットで溶融可塑化された後に、ノズル10より高圧で、固定金型2と移動金型3よりなる成形金型1内に射出される。すなわち、ノズル10より射出された溶融状態の樹脂Aは、スプール11を介して固定金型2と移動金型3とによって構成されるキャビティ4内に充填され、冷却・固化された後に取り出され、樹脂成形体となる。
【0005】
この溶融状態の樹脂Aの充填時において、キャビティ4内に滞留していた空気および溶融状態の樹脂Aから発生するガス(以下、単に「ガス」と総称する。)をキャビティ4外に放出することが必要である。このため、一般的には、固定金型2と移動金型3との合わせ面であるパーティング面5における各金型2,3の接触面5a,5bのいずれかにガス抜き溝を設ける方法(例えば、特許文献1、2参照)で対処している。なお、成形金型1内部にガス抜き機構を設けてキャビティ4からガスを除去する方法(例えば、特許文献3参照)も提案されているが、成形金型1の構造が複雑になるため成形金型のコストが高くなり一般的でない。
【0006】
また、キャビティ4内に樹脂Aが充填される際に、キャビティ4に内部圧力が発生するが、この内部圧力に打ち勝つ型締め力を図示しない型締め装置によって成形金型1に作用させることで、パーティング面5より樹脂がはみ出すことを防止している。このようにパーティング面5を構成する接触面5a,5bには大きな接触面圧が作用するために、接触面5a,5bには硬度を高くする焼入れ等の熱処理が施される。
【0007】
なお、溶融状態の樹脂Aは高圧でキャビティ4内に射出されるために、パーティング面5に隙間が生じると溶融状態の樹脂Aがパーティング面5よりはみ出し、いわゆる「バリ」を発生させる。成形条件(温度、圧力)によっては、例えば高温高圧条件下では、パーティング面5の隙間が0.03mmを超えるとバリが発生することが知られている。
【0008】
以上のように、成形金型1においてパーティング面5の役割は極めて重要なものであるが、上記のように焼入れ等の熱処理を施すために成形金型1が高価になること、高圧力で成形金型1を締め付けるためにパーティング面5を構成する接触面5a,5bを損傷すること、いわゆる「ヘタリ」を発生させること等の問題が生じる。
【0009】
以下、これらの問題点について、さらに詳細に説明する。
【0010】
(1)パーティング面を構成する接触面の硬度
一般的には、成形金型1(固定金型2、移動金型3)には機械構造用炭素鋼が用いられ、わが国では通常S55C鋼が使用されているが、さらにコスト低減のためにS45C鋼、S35C鋼等の低炭素鋼の使用が望まれている。しかし、S55C鋼でもそのまま使用すると硬度が低いため、接触面にヘタリなどが発生することから、接触面の硬度を上昇させるために火炎焼入れを施すことが多い。ところが、S55C鋼より炭素含有量の低い低炭素鋼では焼入れで硬度を上昇させることは困難であり、単に火炎焼入れを行うだけでは十分な硬度が得られない。また、S55C鋼に対する火炎焼入れも手作業で行われるために、熟練者以外では焼入れ面の場所による硬度むらを発生させるために品質が安定しない問題がある。また、火炎焼入れでは、マスキングがし難いため必要な面のみの焼入れが困難であり、パーティング面を構成する接触面を超えてキャビティを構成するキャビティ面まで焼入れがなされてしまう場合がある。このような場合には、キャビティ面の硬化によって樹脂への転写性が変化し、樹脂成形体の表面性状に異常を来たすことにもつながる。
【0011】
(2)ガス抜き
上述したように、キャビティ内に樹脂を充填させる際に、キャビティ内のガスをキャビティ外に放出させる必要がある。従来は図2および図3に示すような、パーティング面25を構成する接触面25bにガス抜き溝26を機械加工により形成する方法や、図4に示すような、金型42内にガス抜き孔47を設け、多孔質金属48、有孔金属49を介してガス抜きを行う方法が行われている。
【0012】
標準的な成形条件下で用いる金型の場合、図2および図3に示す方法では、パーティング面を構成する接触面に設けるガス抜き溝の深さは、結晶性材料用のもので0.015mm未満、非結晶性材料用のもので0.03mm未満とする必要があり、精密な機械加工等を要するためコストが高くなる問題がある。図4に示す方法でも、成形金型が複雑な機械加工を必要とすることからコストが高くなることに加え、有孔金属等の孔の目詰まりが発生しやすく、長期使用には問題がある。
【0013】
(3)バリの発生
バリは、パーティング面に生じた隙間から樹脂がはみ出すことにより発生するものであるが、このようなパーティング面の隙間は、キャビティ内への樹脂充填の際におけるキャビティ内部圧力上昇による成形金型の開き(固定金型と移動金型の接触面同士が離れること)や、接触面のヘタリ等を原因とするものである。
【0014】
成形金型の開きに関しては、前述したとおり、パーティング面の隙間が0.003mm程度でバリが発生し得ることが経験的に知られている。したがって、パーティング面を構成する接触面にガス抜き溝を設けた場合には、成形金型のわずかな変形により接触面同士が少しでも離れるとバリが発生する隙間の上限値(0.003mm)をすぐに超えてしまう。このために、樹脂のキャビティ内への射出圧力を全体的に低下させることや、経験的に設定したキャビティ内への樹脂の充填完了時間に近づいたときに射出圧力を低下させること等、成形条件に制限を加えることによって接触面同士の離脱を防止する処置が実施されている。しかし、このように射出圧力を低下させると樹脂成形体の転写不良、充填不良、変形等が発生しやすい問題がある。
【0015】
したがって、このような成形条件に制限を加える手段を取れない場合には、型締め力を上昇させてパーティング面を構成する接触面の接触面圧を大きくする方法が採用されるが、この方法では、成形機を大型化する必要があり、設備コスト、操業コストとも大きくなる問題がある。また、必要以上の接触面圧を接触面に作用させると、接触面の損傷やヘタリが発生するため、かえってバリの原因にもなる。パーティング面を構成する接触面の接触面圧を上昇させるための対応としては、成形金型にSCM440のような合金鋼を使用し、接触面を焼入れ処理する方法が実施されているが、成形金型の著しいコスト上昇を招くため、最適な方法とはいえない。
【0016】
【非特許文献1】
綾井英二、「射出成形の手引き」、初版(増補改訂版)、アルファー企画、平成2年4月
【特許文献1】
特許2994580号公報
【特許文献2】
特開平7−329128号公報
【特許文献3】
特開平7−40396号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題を解決するものであり、キャビティ内のガス抜きを容易としつつ、バリの発生を防止すること、さらにはパーティング面を構成する接触面のヘタリを防止して寿命を延長することができる成形金型を低コストで提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、型締めされた状態で成形材料が充填されるキャビティを構成する固定金型と可動金型よりなる成形金型において、前記固定金型と前記可動金型とのパーティング面における接触面の双方またはいずれか一方が、多数の微小くぼみを有することを特徴とする成形金型である。
【0019】
請求項2に係る発明は、前記多数の微小くぼみの深さが、0.003〜0.03mmである、請求項1に記載の成形金型である。
【0020】
請求項3に係る発明は、前記多数の微小くぼみが、ショットピーニング処理により形成されたものである、請求項1または2に記載の成形金型である。
【0021】
請求項4に係る発明は、前記ショットピーニング処理に用いるショットが、炭化珪素を含むものである、請求項3に記載の成形金型である。
【0022】
請求項5に係る発明は、前記多数の微小くぼみが、エッチング処理により形成されたものである、請求項1または2に記載の成形金型である。
【0023】
請求項6に係る発明は、前記多数の微小くぼみが、コーティング処理により形成されたものである、請求項1または2に記載の成形金型である。
【0024】
請求項7に係る発明は、樹脂成形体の成形に用いる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形金型である。
【0025】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の成形金型を用いて樹脂成形体を製造することを特徴とする樹脂成形体の製造方法である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
本発明は、成形金型のパーティング面を構成する接触面が多数の微小くぼみを有することを特徴とするものである。
【0028】
これら多数の微小くぼみは、例えば接触面に対しショットピーニング処理、エッチング処理、コーティング処理を施すことなどにより容易に形成できる。以下、ショットピーニング処理を例にとって詳細に説明する。
【0029】
成形金型を構成する固定金型と可動金型とのパーティング面における接触面の双方またはいずれか一方に微小径のショットを高速で噴射して衝突させる。
【0030】
これにより、接触面の表面にショットの衝突によって微小くぼみが多数形成される。この微小くぼみが多数形成された接触面を有する成形金型を合わせたとき(すなわち、固定金型と移動金型の接触面同士を接触させたとき)、多数の微小くぼみが連なってパーティング面にちょうどラビリンスシールに近似した形状の通路が形成される。このため、ガス抜きのための通路が確保されてガスは容易に通過するが、溶融状態の樹脂は通過できない,したがって、キャビティ内のガス抜きを容易としつつ、バリの発生を防止することが可能となる。
【0031】
また、ショットが接触面に衝突することにより、ショットの運動エネルギーが熱エネルギーに変換されてショットが衝突した接触面が加熱され、その表面近傍の温度が一時的にA3変態点を超える。このため、接触面の表面がショットの衝突により、加熱、ピーニング加工、焼き戻しが繰り返して行われることとなる。この結果、ショットピーニングによる残留圧縮応力の発生にともなう表面の加工硬化に加え、表面近傍の金属組織が改善されるため、疲労強度が向上し、接触面のヘタリが防止される(特許1594395号公報参照)。
【0032】
したがって、上記ラビリンスシールの効果を得るためには、固定金型または可動金型のいずれか一方の接触面だけにショットピーニング処理を施せばよいが、接触面のヘタリ防止のためには、固定金型と可動金型の両方の接触面にショットピーニング処理を施す方が好ましい。
【0033】
上記ショットピーニング処理により形成される微小くぼみの深さは、0.003〜0.03mmとすることが好ましい。0.003mm未満ではガス抜き効果が低下するからであり、0.03mmを超えるとラビリンスシールの効果が低下して溶融状態の樹脂が微小くぼみ(凹部)に侵入しやすくなりバリが形成されるおそれが高まるからである。
【0034】
上記ショットピーニング処理による加工硬化と金属組織の改善が可能となる結果、成形金型(固定金型および可動金型)の材質としては、従来のS55C鋼に加え、さらに低炭素含有量のS45C鋼、S35C鋼なども使用可能となり、C含有量が0.61質量%以下の機械構造用炭素鋼を用いることができることとなる。
【0035】
ショットピーニング処理に用いるショットとしては、金属粉やセラミックス粉を用いればよいが、成形金型の接触面の材質より硬度の高いものが望ましく、金属粉であればスチール粉、セラミックス粉であればアルミナ粉や炭化珪素粉を用いればよい。なかでも炭化珪素粉は、炭素分を接触面の表面に残留させて潤滑性を付与することができるため、特に好ましい。
【0036】
ショットの径は平均径で40〜200μm、ショットの噴射速度は100m/s以上の範囲とすることが推奨され、この範囲内で、ショットピーニング処理後の接触面に形成された微小くぼみの深さが0.003〜0.03mmとなるように、適宜調整すればよい。上記ショット径および噴射速度の範囲が推奨されるのは、この範囲でショットピーニング処理を行うことにより、残留圧縮応力の付与による表面の加工硬化に加え、接触面の表面近傍の温度がA3変態点を超えるため、金属組織が改善される効果が得られるからである。
【0037】
また、キャビティ面等が硬化処理されることを避ける必要がある場合には、例えばキャビティ面等に粘着ガムテープを数層重ねて貼り付けるだけの簡単なマスキングを行うことにより容易に対処できる。
【0038】
上記実施の形態では、接触面に微小くぼみを形成する方法としてショットピーニング処理を例にとって説明したが、これに限られるものではない。例えば、接触面を酸性溶液等でエッチング処理することにより、多数の微小くぼみを形成することができる。あるいは、接触面上に、イオンプレーティング法等により金属イオンを照射してポーラスな金属膜を形成する、いわゆるコーティング処理を施すことによっても接触面に多数の微小くぼみを形成することができる。したがって、上記エッチング処理およびコーティング処理においては、ショットピーニング処理のようなヘタリ防止効果は期待できないものの、ショットピーニング処理と同様に、パーティング面にラビリンスシールに近似した形状の通路が形成されるため、キャビティ内のガス抜きを容易としつつ、バリの発生を防止することができる。
【0039】
【実施例】
SC45C鋼を用いて成形金型の試験片を作製し、この試験片の表面に対して、平均径50μmの炭化珪素粉を圧縮空気圧力0.5MPaで噴射することにより噴射速度200m/sでショットピーニング処理を行った。図5に、ショットピーニング処理後の試験片の表面近傍の硬度分布を示す。この図に示すように、処理前の母材の硬度がHv300であったものが、処理後の表面の硬度がHv430まで上昇している。また、SC35C鋼を用いた場合には、図示していないが、処理前の母材の硬度がHv200であったものが、処理後の表面の硬度がHv300まで上昇した。このように、本発明を適用することにより、焼入れによっては硬化できない低炭素鋼でも硬化処理ができることを確認した。
【0040】
図6に、上記ショットピーニング処理の前後における試験片の表面近傍の様子を示す。(a)は比較例(処理前)、(b)は本発明例(処理後)である。図6の(a)と(b)とを比較して分かるように、本発明例では、比較例に比べて表面近傍の金属組織が緻密化しているとともに、表面に凹部が形成されている。この凹部の深さは約7μm(0.007mm)、幅は10〜20μmであった。
【0041】
したがって、S45C鋼からなる固定金型、可動金型の少なくとも一方の接触面に上記ショットピーニング処理を施すことにより、パーティング面に上記微小くぼみが連なったラビリンスシール近似の形状の通路が形成されることとなり、ガス抜き通路を確保しつつ樹脂は通過させないという効果が発揮されることが明らかである。
【0042】
なお、実施例においては低炭素鋼を用いたが、本発明は低炭素鋼以外の金型用の材料に適用できることはいうまでもなく、金型の材料は用途に応じて適宜選択すればよい。
【0043】
【発明の効果】
以上より、本発明によれば、キャビティ内のガス抜きを容易としつつ、バリの発生を防止すること、さらにはパーティング面を構成する接触面のヘタリを防止して寿命を延長することができる成形金型を低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂成形体の射出成形に使用される成形金型の構造を示す概略断面図である。
【図2】パーティング面にガス抜き溝を形成した従来例を示す概略断面図であり、(a)は金型全体、(b)は(a)のX部の詳細である。
【図3】パーティング面にガス抜き溝を形成した別の従来例を示す概略断面図である。
【図4】金型内に多孔質金属、有孔金属を取り付けた従来例を示す概略断面図である。
【図5】ショットピーニング処理後における、試験片表面からの深さと硬度Hvとの関係を示すグラフ図である。
【図6】ショットピーニング処理の前後における、試験片表面近傍の様子を示す断面図であり、(a)は比較例(処理前)、(b)は本発明例(処理後)である。
【符号の説明】
1…成形金型
2…固定金型
3…移動金型
4…キャビティ
5,25…パーティング面
5a,5b,25b…接触面
10…ノズル
11…スプール
26…ガス抜き溝
47…ガス抜き孔
48…多孔性金属
49…有孔金属
A…樹脂[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a molding die including a fixed die and a movable die that constitute a cavity filled with a molding material in a clamped state, and more particularly to a molding die used for molding a resin molded body.
[0002]
The molding die of the present invention can be used not only for resin but also for metal powder and molten metal as a molding material. Therefore, it can be used for metal moldings as well as resin moldings as moldings. Further, the molding die of the present invention can be used for both the injection molding method and the compression molding method as a molding method.
[0003]
[Prior art]
Hereinafter, a description will be given of a molding die used for injection molding of a resin molded body as an example (see Non-Patent Document 1).
[0004]
A molding die used for injection molding of a resin molded body generally adopts a structure as shown in FIG. After the resin A as a molding material is melt-plasticized by an injection unit (not shown), it is injected into the molding die 1 composed of the fixed die 2 and the
[0005]
When filling the resin A in the molten state, the air staying in the cavity 4 and gas generated from the resin A in the molten state (hereinafter, simply referred to as “gas”) are discharged out of the cavity 4. is necessary. For this reason, generally, a method of providing a gas vent groove on one of the
[0006]
Further, when the cavity 4 is filled with the resin A, an internal pressure is generated in the cavity 4. By applying a mold clamping force that overcomes the internal pressure to the molding die 1 by a mold clamping device (not shown), The resin is prevented from protruding from the
[0007]
Since the resin A in the molten state is injected into the cavity 4 at a high pressure, when a gap is formed in the
[0008]
As described above, the role of the
[0009]
Hereinafter, these problems will be described in more detail.
[0010]
(1) Hardness of Contact Surface Constituting Parting Surface In general, carbon steel for machine structure is used for the molding die 1 (fixed die 2 and moving die 3), and in Japan, S55C steel is usually used. Although it is used, use of low carbon steel such as S45C steel and S35C steel is desired for further cost reduction. However, if S55C steel is used as it is, its hardness is low, and settling occurs on the contact surface. Therefore, flame quenching is often performed to increase the hardness of the contact surface. However, it is difficult to increase the hardness by quenching with low carbon steel having a lower carbon content than S55C steel, and sufficient hardness cannot be obtained simply by flame quenching. Further, since the flame quenching of S55C steel is also performed manually, there is a problem that the quality is not stable due to uneven hardness due to the location of the quenched surface except for a skilled person. Further, in the flame quenching, it is difficult to quench only a necessary surface because masking is difficult, and quenching may be performed to a cavity surface constituting a cavity beyond a contact surface constituting a parting surface. In such a case, the transferability to the resin is changed by the curing of the cavity surface, which leads to an abnormality in the surface properties of the resin molded body.
[0011]
(2) Gas Release As described above, when filling the cavity with the resin, it is necessary to release the gas in the cavity to the outside of the cavity. Conventionally, as shown in FIGS. 2 and 3, a method of forming a
[0012]
In the case of a mold used under standard molding conditions, in the method shown in FIG. 2 and FIG. 3, the depth of the gas vent groove provided on the contact surface constituting the parting surface is 0.1 mm for a crystalline material. It is required to be less than 015 mm and less than 0.03 mm for non-crystalline materials, and there is a problem that the cost is increased because precise machining is required. In the method shown in FIG. 4 as well, the molding die requires complicated machining, so that the cost is high and the holes such as perforated metal are easily clogged. .
[0013]
(3) Generation of burrs Burrs are generated when resin protrudes from gaps formed on the parting surface, and such gaps on the parting surface are formed inside the cavity when resin is filled into the cavity. This is caused by the opening of the molding die due to an increase in pressure (the contact surfaces of the fixed die and the moving die are separated from each other), and settling of the contact surface.
[0014]
Regarding the opening of the molding die, it is empirically known that burrs can be generated when the gap between the parting surfaces is about 0.003 mm as described above. Therefore, when a gas vent groove is provided on the contact surface constituting the parting surface, the upper limit value of the gap (0.003 mm) at which burrs occur when the contact surfaces are separated from each other even by a slight deformation of the molding die. Will be exceeded immediately. For this purpose, molding conditions such as reducing the injection pressure of the resin into the cavity as a whole, and reducing the injection pressure when approaching the completion time of filling the resin into the cavity set empirically, etc. In order to prevent the contact surfaces from separating from each other, a measure has been taken to limit the distance between the contact surfaces. However, when the injection pressure is reduced in this way, there is a problem that poor transfer, poor filling, deformation and the like of the resin molded body are likely to occur.
[0015]
Therefore, when it is not possible to take measures to limit such molding conditions, a method is adopted in which the mold clamping force is increased to increase the contact surface pressure of the contact surface constituting the parting surface. Therefore, there is a problem that it is necessary to increase the size of the molding machine, and both the equipment cost and the operation cost increase. Further, if an excessive contact surface pressure is applied to the contact surface, the contact surface may be damaged or set, thereby causing burrs. As a countermeasure for increasing the contact surface pressure of the contact surface constituting the parting surface, a method of quenching the contact surface using an alloy steel such as SCM440 in a molding die has been implemented. This is not an optimal method because it causes a significant increase in the cost of the mold.
[0016]
[Non-patent document 1]
Ayai Eiji, “Injection Molding Guide”, First Edition (Augmented and Revised Edition), Alpha Planning, April 1990 [Patent Document 1]
Japanese Patent No. 29994580 [Patent Document 2]
JP-A-7-329128 [Patent Document 3]
JP-A-7-40396
[Problems to be solved by the invention]
The present invention is intended to solve such a problem, and it is possible to prevent the generation of burrs while facilitating the degassing of the cavity, and further to prevent the contact surface constituting the parting surface from being set, thereby extending the life. An object of the present invention is to provide a mold that can be extended at a low cost.
[0018]
[Means for Solving the Problems]
The invention according to claim 1 is a molding die comprising a fixed die and a movable die which constitute a cavity filled with a molding material in a clamped state, wherein a party between the fixed die and the movable die is provided. The molding die is characterized in that both or one of the contact surfaces on the bearing surface has a large number of minute depressions.
[0019]
The invention according to claim 2 is the molding die according to claim 1, wherein the depth of the plurality of minute depressions is 0.003 to 0.03 mm.
[0020]
The invention according to
[0021]
The invention according to claim 4 is the molding die according to
[0022]
The invention according to
[0023]
The invention according to claim 6 is the molding die according to claim 1 or 2, wherein the plurality of minute dents are formed by a coating process.
[0024]
The invention according to claim 7 is the molding die according to any one of claims 1 to 6, which is used for molding a resin molded article.
[0025]
An eighth aspect of the present invention is a method for manufacturing a resin molded body, wherein the resin molded body is manufactured using the molding die according to the seventh aspect.
[0026]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described in detail.
[0027]
The present invention is characterized in that the contact surface constituting the parting surface of the molding die has a large number of minute depressions.
[0028]
These many small dents can be easily formed by, for example, performing shot peening, etching, or coating on the contact surface. Hereinafter, the shot peening process will be described in detail as an example.
[0029]
A small-diameter shot is ejected at high speed and collides with both or any one of the contact surfaces of the parting surfaces of the fixed die and the movable die that constitute the molding die.
[0030]
As a result, a large number of minute depressions are formed on the surface of the contact surface by the collision of the shot. When a molding die having a contact surface in which a large number of micro-dents are formed is fitted (that is, when the contact surfaces of a fixed die and a movable die are brought into contact with each other), a large number of micro-dents are connected to form a parting surface. Thus, a passage having a shape similar to the labyrinth seal is formed. For this reason, a passage for degassing is secured, and gas can easily pass therethrough, but resin in a molten state cannot pass through. Therefore, it is possible to easily degas the cavity and to prevent generation of burrs. It becomes.
[0031]
Further, by shot collides with the contact surface, the contact surface of the shot has collided shot kinetic energy is converted into heat energy is heated, the temperature of the vicinity of the surface temporarily exceeds A 3 transformation point. For this reason, heating, peening, and tempering are repeatedly performed by the collision of shots on the surface of the contact surface. As a result, in addition to the work hardening of the surface due to the generation of residual compressive stress due to shot peening, the metal structure near the surface is improved, so that the fatigue strength is improved and the contact surface is prevented from settling (Japanese Patent No. 1594395). reference).
[0032]
Therefore, in order to obtain the effect of the labyrinth seal, shot peening may be performed only on the contact surface of either the fixed die or the movable die. It is preferable to perform shot peening on both contact surfaces of the mold and the movable mold.
[0033]
It is preferable that the depth of the minute dent formed by the shot peening process is 0.003 to 0.03 mm. If the thickness is less than 0.003 mm, the degassing effect decreases. If the thickness exceeds 0.03 mm, the effect of the labyrinth seal decreases, and the resin in the molten state easily penetrates into the fine dents (recesses), and burrs may be formed. Is increased.
[0034]
As a result of the work hardening and the improvement of the metal structure by the shot peening treatment, the material of the forming die (fixed die and movable die) is S45C steel having a low carbon content in addition to the conventional S55C steel. , S35C steel, etc. can be used, and carbon steel for machine structural use having a C content of 0.61% by mass or less can be used.
[0035]
As the shot used for the shot peening treatment, metal powder or ceramic powder may be used, but those having hardness higher than the material of the contact surface of the molding die are desirable, and metal powder is steel powder, and ceramic powder is alumina. Powder or silicon carbide powder may be used. Among them, silicon carbide powder is particularly preferable since it can leave carbon content on the surface of the contact surface and impart lubricity.
[0036]
It is recommended that the diameter of the shot be 40 to 200 μm in average diameter and that the injection speed of the shot be 100 m / s or more. Within this range, the depth of the fine dent formed on the contact surface after the shot peening treatment May be adjusted appropriately so as to be 0.003 to 0.03 mm. The above shot size and range of the injection rate is recommended, by performing shot peening treatment in this range, in addition to work hardening of the surface by application of residual compressive stress, the temperature in the vicinity of the surface of the contact surface A 3 transformation This is because the effect of improving the metallographic structure can be obtained.
[0037]
Further, when it is necessary to prevent the cavity surface and the like from being cured, it can be easily dealt with by performing simple masking, for example, by sticking several layers of adhesive gum tape on the cavity surface and the like.
[0038]
In the above-described embodiment, shot peening processing has been described as an example of a method for forming minute depressions on the contact surface, but the method is not limited to this. For example, by etching the contact surface with an acidic solution or the like, a large number of minute depressions can be formed. Alternatively, the contact surface may be irradiated with metal ions by an ion plating method or the like to form a porous metal film, that is, by performing a so-called coating process, whereby a large number of minute depressions can be formed on the contact surface. Therefore, in the etching process and the coating process, although a settling prevention effect such as a shot peening process cannot be expected, similarly to the shot peening process, a passage having a shape similar to a labyrinth seal is formed on the parting surface. Burrs can be prevented from occurring while facilitating degassing of the cavity.
[0039]
【Example】
A test piece of a molding die was prepared using SC45C steel, and silicon carbide powder having an average diameter of 50 μm was sprayed onto the surface of the test piece at a compressed air pressure of 0.5 MPa so that a shot speed of 200 m / s was obtained. Peening treatment was performed. FIG. 5 shows the hardness distribution near the surface of the test piece after the shot peening treatment. As shown in this figure, the hardness of the base material before the treatment was Hv300, but the hardness of the surface after the treatment increased to Hv430. When SC35C steel was used, although not shown, the hardness of the base material before the treatment was Hv200, but the hardness of the surface after the treatment increased to Hv300. Thus, by applying the present invention, it was confirmed that hardening treatment can be performed even on low carbon steel that cannot be hardened by quenching.
[0040]
FIG. 6 shows the state near the surface of the test piece before and after the shot peening process. (A) is a comparative example (before processing), and (b) is an example of the present invention (after processing). As can be seen by comparing FIGS. 6A and 6B, in the example of the present invention, the metal structure near the surface is denser than that in the comparative example, and a concave portion is formed on the surface. The depth of the recess was about 7 μm (0.007 mm), and the width was 10 to 20 μm.
[0041]
Therefore, by applying the shot peening process to at least one of the contact surfaces of the fixed mold and the movable mold made of S45C steel, a passage having a shape similar to a labyrinth seal in which the minute recesses are continuous on the parting surface is formed. Thus, it is apparent that the effect of preventing the resin from passing while securing the gas vent passage is exhibited.
[0042]
Although low-carbon steel was used in the examples, it goes without saying that the present invention can be applied to materials for molds other than low-carbon steel, and the material of the mold may be appropriately selected according to the application. .
[0043]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, it is possible to prevent the occurrence of burrs while facilitating the degassing of the cavity, and further to prevent the contact surface constituting the parting surface from being set, thereby extending the life. A molding die can be provided at low cost.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic sectional view showing a structure of a molding die used for injection molding of a resin molded body.
FIGS. 2A and 2B are schematic cross-sectional views showing a conventional example in which a gas vent groove is formed on a parting surface, wherein FIG. 2A shows details of an entire mold, and FIG. 2B shows details of an X part of FIG.
FIG. 3 is a schematic sectional view showing another conventional example in which a gas vent groove is formed on a parting surface.
FIG. 4 is a schematic sectional view showing a conventional example in which a porous metal and a perforated metal are mounted in a mold.
FIG. 5 is a graph showing the relationship between the depth from the test piece surface and the hardness Hv after the shot peening treatment.
FIGS. 6A and 6B are cross-sectional views showing a state near the surface of a test piece before and after a shot peening treatment. FIG. 6A is a comparative example (before treatment), and FIG. 6B is a present invention example (after treatment).
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 ... Molding mold 2 ...
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