JP2004261002A - siRNAの製造方法 - Google Patents
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- C12N2330/00—Production
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Abstract
【課題】安価かつ簡便なsiRNAの転写合成法を開発すること。
【解決手段】5’から3’方向に、少なくとも
(1)標的核酸配列のアンチセンス配列、
(2)塩基特異的RNaseで切断されるトリミング配列、
(3)標的核酸配列のセンス配列、
(4)プロモーター配列のアンチセンス配列、
(5)ループを形成する配列、および、
(6)プロモーター配列のセンス配列、
を含むオリゴヌクレオチドであって、プロモーター配列のアンチセンス配列とセンス配列とがヘアピン構造を介して分子内で二本鎖を形成し、かつ転写された際に標的核酸配列のアンチセンス配列と標的核酸配列のセンス配列の転写産物はトリミング配列を介して分子内で二本鎖を形成する、オリゴヌクレオチド。
【選択図】 なし
【解決手段】5’から3’方向に、少なくとも
(1)標的核酸配列のアンチセンス配列、
(2)塩基特異的RNaseで切断されるトリミング配列、
(3)標的核酸配列のセンス配列、
(4)プロモーター配列のアンチセンス配列、
(5)ループを形成する配列、および、
(6)プロモーター配列のセンス配列、
を含むオリゴヌクレオチドであって、プロモーター配列のアンチセンス配列とセンス配列とがヘアピン構造を介して分子内で二本鎖を形成し、かつ転写された際に標的核酸配列のアンチセンス配列と標的核酸配列のセンス配列の転写産物はトリミング配列を介して分子内で二本鎖を形成する、オリゴヌクレオチド。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、siRNAの製造方法およびそれに用いるオリゴヌクレオチドに関する。
【0002】
【従来の技術】
(1)逆遺伝学的な遺伝子の機能解析
急速な発展を成し遂げたゲノムプロジェクトは、ヒトを含めたあらゆる生物の全ゲノムDNA配列を決定しようとしている。2001年春に発表されたヒトゲノムの概要配列によるとヒトの全遺伝子数は3〜4万種類程度であると見積もられている。これまでの研究では、1万種類に満たない遺伝子について何らかの機能解析を行っているが、残りの2〜3万の遺伝子の機能については未知であり、ヒトを理解するために、これら全遺伝子の機能を明らかにする必要がある。遺伝子の機能を明らかにするためには、それがコードする遺伝子産物、すなわち蛋白質かRNAを同定することのみならず、遺伝子の発現調節機構や他の遺伝子とのネットワークを明らかにすることが重要である。分子遺伝学はそのための有効な手段である。分子遺伝学的な手法が最も開発されている生物として大腸菌、枯草菌、酵母、線虫などのモデル生物を挙げることができる。原核生物の代表例である大腸菌と下等真核生物の代表例である酵母は古くから分子遺伝学が盛んに行われ、1997年に大腸菌と酵母の全ゲノム塩基配列がそれぞれ決定されている。大腸菌と酵母の総遺伝子数はそれぞれ約4300種類と約6100種類であり、このうちのそれぞれ約2000遺伝子が機能未知遺伝子として報告された。これらの遺伝子の機能を探る手段として、非必須遺伝子の場合は遺伝子破壊による逆遺伝学的なアプローチ(ノックアウト法)が有効である。酵母に関してはゲノム1倍体の細胞を用いることにより、相同性組換えで比較的簡単に目的の遺伝子を破壊することができる。酵母の非必須遺伝子約5000種類について、早くから破壊株が構築され、世界中の研究者がそれぞれの研究対象に用いている。大腸菌に関しても日本の研究グループがプロジェクト研究を進行中であり、もうまもなく全遺伝子破壊株のライブラリーが構築されようとしている。
【0003】
(2)RNAiの登場
また、多細胞生物のモデルであり、1000個に満たない全ての細胞の系譜が明らかとなっている線虫に関しても、1998年に全ゲノム配列が決定され、全19000遺伝子の存在が明らかとなった。線虫の遺伝子にはヒトの相同遺伝子が多量に含まれていることから、これらの遺伝子の役割を解明することはヒトの遺伝子の解析につながっている。
【0004】
線虫の遺伝子欠失変異体の作成には、大腸菌や酵母で盛んに行われている通常の遺伝子破壊法ではなく、RNA干渉(RNA interference又はRNAi)による遺伝子発現抑制法(ノックダウン法)が用いられている。RNAiとは細胞に、特定の遺伝子に対するアンチセンスRNAをトランスフェクトすると、ターゲット遺伝子に特異的な発現抑制制御が起こる現象である。1998年に2本鎖RNA(dsRNA)を導入すると発現抑制の効果が数段良くなるという結果が発表された(非特許文献1)。現在ではアンチセンスRNAではなくdsRNA遺伝子発現抑制法をRNAiと呼ぶ。いくつかの手法が開発されているが特に線虫の卵にdsRNAをマイクロインジェクションする方法がさかんに行われ、すでに全ての遺伝子を対象にした発現抑制実験が大々的な行われ(非特許文献2、及び非特許文献3)、逆遺伝学的な遺伝子の解析ツールとして一躍脚光を浴びている。
【0005】
(3)RNAiの作用メカニズム
ヒト遺伝子を逆遺伝学的に解析するためには、現状でマウスの相同遺伝子を破壊したノックアウトマウスの解析が最も有効な手段である。しかし、哺乳動物の体細胞ゲノムは2倍体であり、そのうちの一つを破壊したキメラマウスを掛け合わせることでホモのノックアウトマウスを作出するという行程が必要である。したがって、一つの遺伝子の破壊には多大な労力と資金と時間がかかるため、ポストゲノム時代に要求される網羅的かつ迅速なアプローチにはそぐわないのが実状である。RNAiは遺伝子の発現を転写レベルで抑制するため、早くから多くの研究者が哺乳動物細胞への適用を検討してきた。ところが、哺乳動物細胞においては、線虫やハエなどで行われている長いdsRNAを導入すると、タンパク質リン酸化酵素PKRと2’,5’−オリゴアデニレート合成酵素(2’,5’−AS)が活性化され、塩基配列非特異的なmRNAの分解とタンパク合成のシャットダウンが生じてしまうという根本的な問題があった(非特許文献4、及び非特許文献5)。この問題を解く鍵は、線虫におけるRNAiの発現抑制メカニズムの解析がもたらした。dsRNAは細胞に導入されるとRNase IIIファミリーに属するDicerというdsRNA特異的なRNA切断酵素の作用により、21−23merの短い二本鎖RNA断片にプロセスされる(非特許文献6、及び非特許文献7)。各RNA断片のアンチセンス鎖がターゲットのmRNAに結合し、その複合体にRISC (RNA−induced silencing complex)と呼ばれるRNA分解酵素複合体が作用することでターゲットが破壊されるというものである(非特許文献8)。さらに線虫の場合は一度卵に導入すると発現抑制の持続時間が長く、世代を超えて発現抑制効果が持続することが知られているが、これは、アンチセンス鎖がターゲットのmRNAに結合した際にRNA依存的RNAレプリカーゼの働きにより、さらに大量のdsRNAが増幅されるという機構(degradative PCR)によるもの(非特許文献9)であることが明らかにされている。
【0006】
(4)哺乳動物細胞への適用−siRNA
Tuschlのグループはこのような研究結果を踏まえ、哺乳動物細胞の長いdsRNAに対する防御機構を回避するため、初めから短いdsRNAを導入することを思いついた。標的遺伝子に相補的な塩基配列を有す21塩基のdsRNAを数十nMという低濃度でヒト培養細胞にトランスフェクションしたところ、標的遺伝子の特異的発現抑制が観測された(非特許文献10)。発現抑制効果を示す最も有効なRNA長は21merで、3’末に2塩基がオーバーハングしたdsRNAであると報告されており(非特許文献10、非特許文献11)、このような20mer前後の短い2本鎖のRNAは一般にsmall interfering RNA (siRNA)と呼ばれている。これまで、遺伝子の機能解析をするためには、ノックアウト技術が使用されてきたが、siRNAを使用する方法が確立されれば、大幅な実験時間の短縮とコストの削減が実現することが期待される。
【0007】
(5)有機合成法
21塩基の短いRNAの作成には、ホスホアミダイト法による有機化学的に合成したRNAが広く一般に使用されている。有機合成の利点は配列の選択性がないこと(どのような配列のRNAでも合成可能である)が挙げられる。また、3’末の2塩基のオーバーハングをDNAのTTにすると遺伝子発現抑制活性が若干向上することが知られている(非特許文献10)ことから、DNA−RNAのキメラ核酸を有機合成的に作製できることも長所として挙げられる。現在、合成RNAの受託生産が行われており、現時点でsiRNAの最も一般的な作製法である。ところが、ホスホアミダイト法によるRNAの有機合成はDNAと比較して反応時間が長く合成時間がかかること、また2’水酸基保護基があるために脱保護に時間がかかること、さらには生産コストと品質管理コストがかかるなどの短所が指摘されている。また、最近の研究で、siRNAをデザインする際に19塩基の相補的な配列を標的遺伝子内のどの位置に設定するかで、遺伝子発現抑制効果に差が出ることが知られている。したがって、一般的には一つの遺伝子をノックダウンする際には複数の個所にsiRNAをデザインする必要があり、合成RNAでsiRNAを供給するには限界があり決して汎用的な技術とは言いがたい。
【0008】
(6)試験管内転写合成法
そこで、最近注目されているのは、試験管内転写反応でsiRNAを作製する方法である。試験管内転写反応は合成DNAを鋳型として酵素的にRNAを転写合成するため、比較的安価で合成できる上、同じデザインの有機合成siRNAよりも遺伝子発現抑制効果が高いという報告もある。PicardらはT7 RNAポリメラーゼを使用し、2組の鋳型DNAよりセンス鎖とアンチセンス鎖の2本のRNAを作製し、それを二本鎖化して使用している(非特許文献12)。T7 RNAポリメラーゼは開始塩基がGであると効率よく転写できるため、siRNAの5’末端は必ずGであるという制約付きであるものの、有機合成siRNAよりもはるかに安価でしかも高い活性を示すという利点がある。また、最近Ambion社より、転写法によるsiRNA作製キット(Silencer siRNA construction kit)が発売された。まずセンス鎖とアンチセンス鎖用の2組の鋳型DNAを作製し、それを転写してセンス鎖RNAとアンチセンス鎖RNAをT7 RNAポリメラーゼを使用して合成し、それらを2本鎖化して、最後に一本鎖領域をRNase処理で取り除くことで作製する方法である。キットにはT7プロモーターを含んだ鋳型作成用合成DNAと、鋳型作成用の酵素と試薬、転写用のT7 RNAポリメラーゼと試薬、鋳型の消化とRNA一本鎖領域を除去するDNase及びRNase、siRNAの精製用カートリッジなどから構成されているが、これ以外に29塩基の鋳型用合成DNAが、一デザインにつき2本用意する必要がある。このキットを使用する場合、鋳型作成用の合成DNAが計3本必要であり、また反応ステップが煩雑という問題がある。
【0009】
【非特許文献1】
Fire, A., Xu, S., Montgomery, M.K., Kostas, S.A., Driver, S.E. and Mello, C.C. (1998) Potent and specific genetic interference by double−stranded RNA in Caenorhabditis elegans. Nature, 391, 806−11.
【非特許文献2】
Fraser, A.G., Kamath, R.S., Zipperlen, P., Martinez−Campos, M., Sohrmann, M. and Ahringer, J. (2000) Functional genomic analysis of C. elegans chromosome I by systematic RNA interference. Nature, 408, 325−30.
【非特許文献3】
Gonczy, P., Echeverri, C., Oegema, K., Coulson, A., Jones, S.J., Copley, R.R., Duperon, J., Oegema, J., Brehm, M., Cassin, E., Hannak, E., Kirkham, M., Pichler, S., Flohrs, K., Goessen, A., Leidel, S., Alleaume, A.M., Martin, C., Ozlu, N., Bork, P. and Hyman, A.A. (2000) Functional genomic analysis of cell division in C. elegans using RNAi of genes on chromosome III. Nature, 408, 331−6.
【非特許文献4】
Manche, L., Green, S.R., Schmedt, C. and Mathews, M.B. (1992) Interactions between double−stranded RNA regulators and the protein kinase DAI. Mol Cell Biol, 12, 5238−48.
【0010】
【非特許文献5】
Minks, M.A., West, D.K., Benvin, S. and Baglioni, C. (1979) Structural requirements of double−stranded RNA for the activation of 2’,5’−oligo(A) polymerase and protein kinase of interferon−treated HeLa cells. J Biol Chem, 254, 10180−3.
【非特許文献6】
Bernstein, E., Caudy, A.A., Hammond, S.M. and Hannon, G.J. (2001) Role for a bidentate ribonuclease in the initiation step of RNA interference. Nature, 409, 363−6.
【非特許文献7】
Zamore, P.D., Tuschl, T., Sharp, P.A. and Bartel, D.P. (2000) RNAi: double−stranded RNA directs the ATP−dependent cleavage of mRNA at 21 to 23 nucleotide intervals. Cell, 101, 25−33
【非特許文献8】
Hammond, S.M., Bernstein, E., Beach, D. and Hannon, G.J. (2000) An RNA−directed nuclease mediates post−transcriptional gene silencing in Drosophila cells. Nature, 404, 293−6
【0011】
【非特許文献9】
Lipardi, C., Wei, Q. and Paterson, B.M. (2001) RNAi as random degradative PCR: siRNA primers convert mRNA into dsRNAs that are degraded to generate new siRNAs. Cell, 107, 297−307
【非特許文献10】
Elbashir, S.M., Harborth, J., Lendeckel, W., Yalcin, A., Weber, K. and Tuschl, T. (2001a) Duplexes of 21−nucleotide RNAs mediate RNA interference in cultured mammalian cells. Nature, 411, 494−8
【非特許文献11】
Elbashir, S.M., Lendeckel, W. and Tuschl, T. (2001b) RNA interference is mediated by 21− and 22−nucleotide RNAs. Genes Dev, 15, 188−200.
【非特許文献12】
Donze, O. and Picard, D. (2002) RNA interference in mammalian cells using siRNAs synthesized with T7 RNA polymerase. Nucleic Acids Res, 30, e46
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、安価かつ簡便なsiRNAの転写合成法を開発することを解決すべき課題とした。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本明細書の図1に概要を示す方法によりsiRNAを転写合成する方法により、安価かつ簡便にsiRNAを転写合成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明によれば、5’から3’方向に、少なくとも
(1)標的核酸配列のアンチセンス配列、
(2)塩基特異的RNaseで切断されるトリミング配列、
(3)標的核酸配列のセンス配列、
(4)プロモーター配列のアンチセンス配列、
(5)ループを形成する配列、および、
(6)プロモーター配列のセンス配列、
を含むオリゴヌクレオチドであって、プロモーター配列のアンチセンス配列とセンス配列とがヘアピン構造を介して分子内で二本鎖を形成し、かつ転写された際に標的核酸配列のアンチセンス配列と標的核酸配列のセンス配列の転写産物はトリミング配列を介して分子内で二本鎖を形成する、オリゴヌクレオチドが提供される。
【0015】
本発明の別の態様によれば、5’から3’方向に、少なくとも
(1)標的核酸配列のアンチセンス配列、
(2)塩基特異的RNaseで切断されるトリミング配列、
(3)標的核酸配列のセンス配列、および、
(4)プロモーター配列のアンチセンス配列、
を含むオリゴヌクレオチドであって、転写された際に標的核酸配列のアンチセンス配列と標的核酸配列のセンス配列の転写産物がトリミング配列を介して分子内で二本鎖を形成する、オリゴヌクレオチドが提供される。
上記オリゴヌクレオチドにおいては、少なくともプロモーター配列の領域が二本鎖になっていてもよい。
本発明の別の態様によれば、上記のオリゴヌクレオチドと該オリゴヌクレオチドと相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドとからなる二本鎖DNAが提供される。
【0016】
好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドは、標的核酸配列のアンチセンス配列の上流の5’末端にさらにAAの2塩基を有する。
好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドでは、RNaseで切断されるトリミング配列は、5’−C(D)kCD−3’(式中、DはA、T又はGを示し、kは0から100の整数を示し、(k+1)個のDは互いに同一でも異なっていてもよい)である。
好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドでは、RNaseで切断されるトリミング配列は5’−CTATGCT−3’である。
【0017】
好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドでは、(3)標的核酸配列のセンス配列と(4)プロモーター配列のアンチセンス配列との間に−CCC−が存在する。
好ましくは、プロモーター配列はT7クラスIIIプロモーター配列である。
好ましくは、(5)ループを形成する配列は、−GNA−を含む配列(NはA、T、CまたはGを示す)である。
好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドは、5’−AA−(標的核酸配列のアンチセンス配列)−CTATGCT−(標的核酸配列のセンス配列)−CCC−TATAGTGAGTCGTATTA−GCGAAGC−TAATACGACTCACTATA−3’で表されるオリゴヌクレオチドである。
【0018】
本発明の別の側面によれば、上記した本発明のオリゴヌクレオチドを鋳型としてRNAポリメラーゼを用いて転写を行うことを含む、shRNAの製造方法が提供される。
好ましくは、転写はインビトロで行う。
好ましくは、RNAポリメラーゼとしてT7RNAポリメラーゼを使用する。
本発明のさらに別の側面によれば、上記の方法により製造されるshRNAが提供される。
【0019】
本発明のさらに別の側面によれば、上記の方法により製造されるshRNAを塩基特異的RNaseで処理することを含む、siRNAの製造方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明のオリゴヌクレオチドを鋳型としてRNAポリメラーゼを用いて転写を行ってshRNAを製造し、当該shRNAを塩基特異的RNaseで処理することを含む、siRNAの製造方法が提供される。
【0020】
本発明のさらに別の側面によれば、本発明の方法により製造されるshRNA又はsiRNAを用いて、RNAiにより標的核酸配列を含む遺伝子の発現を抑制する方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、RNAポリメラーゼ及び塩基特異的RNaseを含む、本発明の方法を行うための試薬キットが提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】
(1)オリゴヌクレオチド
本発明のオリゴヌクレオチドは、5’から3’方向に、少なくとも、
(1)標的核酸配列のアンチセンス配列、
(2)塩基特異的RNaseで切断されるトリミング配列、
(3)標的核酸配列のセンス配列、
(4)プロモーター配列のアンチセンス配列、
(5)ループを形成する配列、および、
(6)プロモーター配列のセンス配列、
を含むオリゴヌクレオチドである。
【0022】
標的核酸配列とは、発現を抑制することを意図する遺伝子中の核酸配列である。発現を抑制することを意図する遺伝子としては任意の遺伝子を使用できる。このような標的遺伝子としては、クローニングはされているが機能が未知の遺伝子も含まれる。あるいは、標的遺伝子は、外来性レポータータンパク質またはその変異タンパク質の遺伝子であってもよい。このような外来性レポータータンパク質またはその変異タンパク質の遺伝子の核酸配列を使用した場合は、本発明の技術においてRNAi効果を容易に検出及び評価することができる。標的核酸配列の長さは、転写産物が所望のRNAi効果を達成できる限り特に限定されないが、一般的には10塩基から50塩基程度であり、好ましくは10塩基から30塩基程度であり、より好ましくは15塩基から25塩基程度である。また、標的核酸配列のセンス配列とアンチセンス配列の長さは同一であることが好ましいが、転写産物が所望のRNAi効果を発揮できる限り、長さは多少相違していてもよい。
【0023】
RNaseで切断されるトリミング配列とは、塩基特異的RNaseで切断される塩基配列を意味する。
塩基特異的RNaseの種類は特に限定されないが、例えば、G特異的RNaseとしてRNaseT1、AとG特異的RNaseとしてRNaseU2、C特異的RNaseとしてRNaseCL3、CとU特異的RNaseとしてRNaseAまたはRNaseI、AとU特異的RNaseとしてRNasePhyMなどを挙げることができる。
【0024】
例えば、RNaseT1などのG特異的RNaseを使用する場合には、Gを含むようにトリミング配列を設計することができ、具体的には、トリミング配列として、5’−C(D)kCD−3’(式中、DはA、T又はGを示し、kは0から100の整数を示し、(k+1)個のDは互いに同一でも異なっていてもよい)を使用することができ、一例としては、5’−CTATGCT−3’を挙げることができる。
同様に、AとG特異的RNaseの場合には、トリミング配列として5’−Y(R)kYR−3’を使用することができ、C特異的RNaseの場合には、トリミング配列として5’−G(H)kGH−3’を使用することができ、CとU特異的RNaseの場合には、トリミング配列として5’−R(Y)kRY−3’を使用することができ、AとU特異的RNaseの場合には、トリミング配列として5’−S(W)kSW−3’を使用することができる。ここで、YはC又はTを示し、RはA又はGを示し、HはA、C又はTを示し、SはC又はGを示し、WはA又はTを示す。
【0025】
本発明で用いるプロモーター配列は、RNAポリメラーゼのプロモーターであれば特に限定されない。プロモーター配列としては、例えば、T7クラスIIIプロモーター配列、SP6プロモーター配列またはT3プロモーター配列などを使用することができる。
本発明におけるループを形成する配列は、−GNA−を含む配列(Nは、A、T、C又はGを示す)であることが好ましい。このような配列を用いることにより、本発明のオリゴヌクレオチドでは、プロモーター配列のアンチセンス配列とセンス配列とがヘアピン構造を介して分子内で二本鎖を形成できる(Yoshizawa S,他、GNA trinucleotide loop sequences producing extraordinarily stable DNA minihairpins. Biochemistry. 1997 Apr 22;36(16):4761−7)。これにより、本発明のオリゴヌクレオチドを鋳型としてRNAポリメラーゼを用いて転写を行うことにより、標的核酸配列の逆向き反復配列から成るRNAを合成することができる。また、RNAポリメラーゼを用いて転写を行うと、標的核酸配列のアンチセンス配列と標的核酸配列のセンス配列の転写産物はトリミング配列を介して分子内で二本鎖を形成するようになる。
【0026】
本発明の別の態様によれば、5’から3’方向に、少なくとも
(1)標的核酸配列のアンチセンス配列、
(2)塩基特異的RNaseで切断されるトリミング配列、
(3)標的核酸配列のセンス配列、および、
(4)プロモーター配列のアンチセンス配列、
を含むオリゴヌクレオチドであって、転写された際に標的核酸配列のアンチセンス配列と標的核酸配列のセンス配列とがトリミング配列を介して分子内で二本鎖を形成する、オリゴヌクレオチドが提供される。この場合、プロモーター配列はアンチセンス鎖の一本鎖だけなので、プロモーター配列のセンス配列を有するオリゴヌクレオトドを別に添加して二本鎖を形成してから、RNAポリメラーゼを用いて転写を行うことができる。
【0027】
本発明のさらに別の態様によれば、(6)プロモーター配列のセンス配列のさらに3’末端側に、塩基配列が存在していてもよく、例えば、標的核酸配列のセンス配列および標的核酸配列のアンチセンス配列のそれぞれに相補的な塩基配列が存在していてもよい。
【0028】
また、本発明の好ましい態様によれば、オリゴヌクレオチドの5’末端(即ち、標的核酸配列のアンチセンス配列の上流側)にAAの2塩基を付加することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、標的核酸配列のセンス配列とプロモーター配列のアンチセンス配列との間に塩基配列−CCC−を挿入することができる。このような配列を挿入することによってRNAポリメラーゼによるRNAの合成効率を高めることができる。
【0029】
本発明のオリゴヌクレオチドの一例としては、5’−AA−(標的核酸配列のアンチセンス配列)−CTATGCT−(標的核酸配列のセンス配列)−CCC−TATAGTGAGTCGTATTA−GCGAAGC−TAATACGACTCACTATA−3’で表されるオリゴヌクレオチドが挙げられる。標的核酸配列が19塩基の場合の例を図1に示す。
【0030】
以下、図1を参照して本発明の特に好ましい具体例についてさらに説明する。T7 RNAポリメラーゼによる試験管内転写反応では合成するRNAをコードする鋳型DNA領域は一本鎖でよく、プロモーター部分のみが二本鎖であればよいということがしられている(Milligan, J.F. and Uhlenbeck, O.C. (1989) Synthesis of small RNAs using T7 RNA polymerase. Methods Enzymol, 180, 51−62)。したがって、図1のような91塩基の一本鎖合成DNAを鋳型DNAとして用いることができる。転写合成するRNAはshRNA(small hairpin RNA)とし19塩基のセンス鎖−アンチセンス鎖の間を7塩基のループ(トリミングループ)で連結した構造である。アンチセンス鎖の3’末端にはUUの2塩基のオーバーハングを施した。T7 RNAポリメラーゼのクラスIIIプロモーター領域は二本鎖である必要があるため、GAAトリループによるDNAの安定なヘアピン構造(Hirao, I., Kawai, G., Yoshizawa, S., Nishimura, Y., Ishido, Y., Watanabe, K. and Miura, K. (1994) Most compact hairpin−turn structure exerted by a short DNA fragment, d(GCGAAGC) in solution: an extraordinarily stable structure resistant to nucleases and heat. Nucleic Acids Res, 22, 576−82)を導入した。このため、この鋳型DNAは水溶液中で確実に図1のようにプロモーター領域が二本鎖の構造をとることが予想される。転写開始部位には効率のよいGGG配列をデザインした。この鋳型は91塩基のうち19塩基のセンス鎖−アンチセンス鎖のみが任意の配列であって、それ以外の53塩基はすべて固定の配列である。この鋳型デザインの特徴は、一本の合成DNAがそのままshRNAの鋳型として機能する点であり、XXXらの方法やAmbionの転写キットが3本のDNAを使用することと、さらにはDNAポリメラーゼ(Klenow酵素)による鋳型の作製行程が必要なことを考慮すると、非常に簡便でかつ合理的である。転写されたshRNAはセンス鎖−アンチセンス鎖で19塩基の二本鎖部分を形成し、AGCAUAG(XGXXXXG)のトリミングループ部位を持っている。5’末端にはGGGの一本鎖部位を持ち、3’末端にはUUの一本鎖オーバーハングを有する。トリミングループの特徴は4−10塩基程度のループであり、ループの入口5’側から2番目にGさらにはループの3’末にGを配置する必要がある。次にshRNAをリボヌクレアーゼT1による限定分解(limited digestion)を用いてワンステップでsiRNAに変換する。転写反応後に、反応液に直接マグネシウムイオン(MgCl2など)を終濃度で50−100mM加え、反応液を氷上(0℃)で10分間プレインキュベーションを行う。次にG特異的に切断するリボヌクレアーゼT1(RNase T1)を加えで、氷上(0℃)で30〜60分反応させる。この処理で、5’末端のGGG配列とトリミングループの5塩基CAUAGが特異的に除去される。得られたsiRNAはセンス鎖−アンチセンス鎖それぞれの3’末端に2塩基のオーバーハングが付加されている。したがって、この鋳型のデザインを用いれば、任意のターゲット配列を有するsiRNAが簡便かつ効率よく合成できる。
【0031】
(2)shRNA及びsiRNAの製造、並びにそれらを用いたRNAi
図1に関連して上記(1)において説明した通り、本発明のオリゴヌクレオチドを鋳型としてRNAポリメラーゼを用いて転写を行うことによるshRNAを製造することができ、この方法で製造されるshRNAは、ヘアピン部分に塩基特異的RNaseで切断されるトリミング配列を含んでいる点で新規であり、このようなshRNA自体も本発明の範囲内である。
本発明の方法では、転写をインビトロで行うことができる。また、RNAポリメラーゼとしては、T7RNAポリメラーゼ、SP6RNAポリメラーゼまたはT3RNAポリメラーゼなどを使用することができ、中でもT7RNAポリメラーゼを使用することが好ましい。
【0032】
RNAポリメラーゼを用いた転写反応は当業者に既知の常法で行なうことができ、例えば、鋳型のオリゴヌクレオチドを含む溶液に、塩化マグネシウム、NTP、スペルミジン、ジチオスレイトールを加え、最後にT7 RNAポリメラーゼを適当な濃度になるように加えて反応を行なうことができる。また、反応液中から副生成物であるピロリン酸を除去して転写反応を促進するために、ピロフォスファターゼを加えることが好ましい。このような反応混合物を37℃で60分間インキュベートすることにより転写反応を行うことができる。
【0033】
さらに、上記方法により製造されるshRNAを塩基特異的RNaseで処理することによって、トリミング配列が切断されてsiRNAを産生することができる。塩基特異的RNaseとしては、Gで特異的に切断するRNaseT1、Cで特異的に切断するRNaseCL3などを使用することができる。また、RNaseによる処理は、一本鎖のループの部分のみを切断するという観点から、高濃度の塩の存在下、例えば、100mMのMgCl2の存在下で行なうことが好ましい。
【0034】
shRNA又はsiRNAの精製は以下のように行なうことができる。先ず、反応産物をフェノール処理およびクロロホルム処理などの常法によりタンパク質を除去した後、15%ポリアクリルアミドゲルにロードして電気泳動し、目的のshRNAやsiRNAのバンド部分のみを切り出し、次いで、このゲルを細かくすりつぶし、適当な溶液(例えば、0.5M 塩化ナトリウム、0.1%SDS、1mM EDTAを含む溶液)中に浸し、一定時間37℃で振とうすることによってRNAをゲルから溶出させることができる。この溶液からゲルを除去した後、エタノールを加えてRNAを沈殿させ、ペレットを少量の純水に溶解して回収することにより、精製した目的RNAを得ることができる。
【0035】
上記した本発明の方法で製造されるshRNA、又はsiRNAを用いて、RNAiにより標的核酸配列を含む遺伝子の発現を抑制することが可能である。
例えば、HeLa細胞などの培養細胞を用いる場合には、siRNA又はshRNAと適当なトランスフェクション試薬(例えば、OLIGOFECTAMINEなど)とを混合し、培養細胞に添加することによりsiRNA又はshRNAを培養細胞にトランスフェクションする。培養細胞は好適な条件下で培養することにより、RNAi効果が細胞内で起こり、標的核酸配列を含む遺伝子の発現が抑制される。遺伝子の発現の抑制は、RT−PCR、ノザンブロット又はウエスタンブロットなどにより確認することができ、又は発現を抑制する遺伝子の機能が判明している場合には、細胞の表現型を観察することによって確認することも可能である。
【0036】
(3)試薬キット
さらに本発明によれば、RNAポリメラーゼ及び塩基特異的RNaseを含む上記した本発明の方法を行なうための試薬キットが提供される。本発明の試薬キットには、上記酵素を用いた反応を行なうのに必要な他の試薬および/又は緩衝液を含めることができる。
例えば、RNAポリメラーゼを用いた酵素反応の反応系には、RNAポリメラーゼ以外に、塩化マグネシウム、NTP、スペルミジン、ジチオスレイトール、及びピロフォスファターゼなどを含めることができるので、これらの試薬の全て又は一部を本発明の試薬キットに含めることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0037】
【実施例】
実施例
▲1▼目的
本発明の方法により作製したsiRNA及びshRNAの活性を、ラミンA/Cタンパク質のノックダウンによって確認する。有機合成したsiRNAとの活性の比較も行う。
【0038】
▲2▼実験方法
鋳型 DNA の設計
shRNA転写合成の鋳型となるDNAは、ホスホアミダイト法による有機合成によって製造されたもの(北海道システムサイエンス社)を用いた。鋳型DNAの長さは91塩基であり、1本鎖のまま用いた。配列は、5’−AAC TGG ACT TCC AGA AGA ACA CTA TGC TTG TTC TTC TGG AAG TCC AGC CCT ATA GTG AGT CGT ATT AGC GAA GCT AAT ACG ACT CAC TAT A−3’(配列番号1)である。この鋳型DNAの配列は、3’末端側にT7 RNA ポリメラーゼのプロモーター領域(5’−TAA TAC GAC TCA CTA TA−3’)(配列番号2)を2箇所に相補的になるように配置し、この部分がヘアピン状に折りたたまれることによってプロモーター領域が2本鎖となるように設計した。これによって、合成DNAを2本用意しなくともT7 RNAポリメラーゼによる認識が可能となり、コストの低減を図ることができた。さらに、T7プロモーター領域の2本鎖化をより安定させるために、2箇所のT7プロモーター配列(センスおよびアンチセンス)の間にはヘアピン構造を安定化させる効果を有するGAAトリループを導入した。これによって、T7 RNAポリメラーゼによる転写反応の効率の向上が期待される。
【0039】
一方、鋳型DNAの5’末端側にはヒトのラミンA/CタンパクをコードするDNAの配列のうちの19塩基の配列(5’−CTG GAC TTC CAG AAG AAC A−3’)(配列番号3)を、5’側からセンス、アンチセンスの順に配置した。そして、センス鎖とアンチセンス鎖の間の部分にはリボヌクレアーゼT1による限定分解のターゲットサイトとなるべきトリミングループ(CTATGCT)を配置した。これによって、T7 RNAポリメラーゼによる転写産物は、トリミングループ(AGCAUAG)を含むヘアピン構造を有するRNA(shRNA)となる。
【0040】
試験管内転写法による shRNA の合成
shRNAの転写合成は、上記の鋳型DNAの濃度が50nM、pH7.8の条件下で、塩化マグネシウム、NTP、スペルミジン、ジチオスレイトールを加え、最後にT7 RNAポリメラーゼを終濃度0.02μg/mLとなるように加えて反応を開始させた。また、反応液中から副生成物であるピロリン酸を除去して転写反応を促進するために、酵母由来ピロフォスファターゼ(SIGMA社)を終濃度0.47μg /mLとなるように加えた。これを、37℃で60分間インキュベートして転写反応を行わせた。反応混合物を12%ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動にかけ、目的となるshRNAの生成が確認された。
【0041】
shRNA の限定分解による siRNA の生成(トリミング)
上記の転写反応液に対して、塩化マグネシウムを終濃度100mMになるように加えて、氷上(0℃)で10分間プレインキュベーションした。次に、G特異的に切断するリボヌクレアーゼT1(SIGMA社)を30μg /mLとなるように加えて、氷上(0℃)で30分反応させた。これによりトリミングループ中の2箇所のGの3’末端側のみ限定的に切断され、CAUAGの配列の部分のみ除去される。低温かつ高マグネシウム濃度のため、二本鎖を組んでいる部分は配列中にGを含んでいても切断されることはない。この反応混合物を15%ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動にかけ、目的となるsiRNAの生成が確認された。
【0042】
精製
上記の反応液に対してフェノール処理を2回、クロロホルム処理を1回施して除タンパクした後、15%ポリアクリルアミドゲルにロードして電気泳動し、目的のsiRNAのバンド部分のみをカッターで切り出した。次にこのゲルを細かくすりつぶし、0.5M 塩化ナトリウム、0.1%SDS、1mM EDTAを含む溶液中に浸し、12時間37℃で振とうすることでRNAをゲルから溶出させた。この溶液からゲルを除去した後、エタノールを加えてRNAを沈殿させ、ペレットを少量の純水に溶解して回収した。
【0043】
ノックダウン
HeLa細胞(1x104個)を48ウェルのディッシュに蒔き、0.2mlの培地(D−
MEM+10% FBS)で一晩培養した(30−50%コンフルエント)。7.4 fmolから7.4 pmolのラミンA/Cに対応したsiRNA及びshRNAに25μlのOPTI−MEM I(GIBCO社)を加えた。また、1μlのOLIGOFECTAMINETM(invitrogen社)を5μlのOPTI−MEM Iで希釈し、室温で10分間放置した。2つの溶液をゆっくりと混合し、さらに室温で20分放置した。一晩培養した細胞をOPTI−MEMで洗浄した後、それぞれのウェルに120μlのOPTI−MEMを加えた。siRNAとOligofectamineの混合液を30μl加え、ゆっくり混合した。そのままCO2インキュベーター中で37℃で4時間保温した。225μlの培地(DMEM+30% FBS)を加え、さらに40時間培養した。培地を除き、細胞に50μlの2xSDS−PAGE用サンプルバッファーを加えて溶かし、エッペンドルフチューブへ移した。氷上で10秒×5回ソニケーションを行い、100℃で1分加熱したものをSDS−PAGE用のサンプルとした。
【0044】
ウェスタンブロッティング
30μlのサンプルを10%のSDSポリアクリルアミドゲルで電気泳動を行った。6x9cmに切ったPVDF膜(ImmobilonTM−P Transfer Membrane 0.45μm, MILLIPORE社)を100%メタノールに2分間浸漬させた。その後、膜を転写緩衝液(Tris 3.03g、Glycine 14.4g、SDS 0.1g、MeOH 100ml をMilliQで1Lにした)で30分室温で振とうした。泳動の終了したゲルをセミドライ式のブロッターにセットし、膜をのせ、その上に転写緩衝液で湿らせたろ紙(3MM、ワットマン社)を乗せた。室温で400mAで90分転写した。転写後、膜を10%スキムミルク(TBS)に浸し、37℃で1時間ブロッキングを行った。膜を100倍希釈した抗ラミンA/C1次抗体(Lamin A/C(636):sc−7292, Santa Cruz Biotechnology)と反応させた(室温、1時間)。コントロールとして、抗チューブリン抗体(MONOCLONAL ANTI−β−TUBLIN:T5293, SIGMA)を用いた。反応後に膜をTBSで3回洗浄し、1500倍希釈の2次抗体(Peroxidase−Congugated Rabbit Anti−Mouse Immunogloulins:P0161, DAKO)と反応させた(室温、1時間)。TBSで3回洗浄した後、ECLで発光させ、オートラジオグラフィーでラミンA/Cを定量した。
【0045】
▲3▼結果と考察
50nMのsiRNA及びshRNAの結果を図2に示した。いずれの細胞もチューブリンが同程度の発光を示していること、またコントロールに用いた別のターゲットに対するsiRNAではラミンA/Cのノックダウンが観測されていないことから、実験は成立している。転写で作製したsiRNA及びshRNAいずれの場合も有機合成で作製したsiRNAよりも活性が高いことが示された。
またsiRNAの濃度を変化させてノックダウンしたデータを図3に示した。この結果からも、転写で作製したsiRNA及びshRNAは有機合成で作製したsiRNAよりも活性が高く、5nM程度からノックダウンの活性が見えていることが判明した。
【0046】
【発明の効果】
本発明のオリゴヌクレオチドを用いることにより、安価かつ簡便にsiRNAを転写合成することが可能である。特に、本発明の利点は以下の点にある。
(1)(実施例の場合には91塩基である)鋳型DNAを一本作製するだけでいい。
(2)標的核酸配列の塩基以外は固定の配列を使用できる。
(3)はじめの塩基(実施例では44塩基)はあらかじめ合成したものを使用するので合成時間の短縮と鋳型DNAのコストが大幅に削減できる。
(4)合成DNAをそのまま転写に使用できる。
(5)ワンチューブでの転写合成が可能(96プレートでの適用可能)である。
(6)転写したRNAはshRNAなのでそのまま使うことも可能である。
(7)shRNAからsiRNAの変換がワンステップで行なえる。
(8)センスとアンチセンスを別々に転写していないのでアニーリング操作が不要である。
(9)1本鎖RNAが生じないのでsiRNAの収量がよい。
【0047】
【配列表】
【0048】
【0049】
【0050】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のsiRNA転写合成法の一例の概要を示す。
【図2】図2は、ラミンA/Cタンパク質を標的としたsiRNA及びshRNAの活性の比較を示す。HeLa細胞を用い、ラミンA/Cに対するsiRNA又はshRNA(各50nM)でノックダウンのち抗ラミンA/C抗体でウエスタンブロット分析を行なった。
【図3】図3は、ラミンA/Cタンパク質を標的としたsiRNA及びshRNAの活性の比較を示す。転写合成したsiRNAとshRNAは、共に有機合成siRNAよりも低濃度で効果が現れる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、siRNAの製造方法およびそれに用いるオリゴヌクレオチドに関する。
【0002】
【従来の技術】
(1)逆遺伝学的な遺伝子の機能解析
急速な発展を成し遂げたゲノムプロジェクトは、ヒトを含めたあらゆる生物の全ゲノムDNA配列を決定しようとしている。2001年春に発表されたヒトゲノムの概要配列によるとヒトの全遺伝子数は3〜4万種類程度であると見積もられている。これまでの研究では、1万種類に満たない遺伝子について何らかの機能解析を行っているが、残りの2〜3万の遺伝子の機能については未知であり、ヒトを理解するために、これら全遺伝子の機能を明らかにする必要がある。遺伝子の機能を明らかにするためには、それがコードする遺伝子産物、すなわち蛋白質かRNAを同定することのみならず、遺伝子の発現調節機構や他の遺伝子とのネットワークを明らかにすることが重要である。分子遺伝学はそのための有効な手段である。分子遺伝学的な手法が最も開発されている生物として大腸菌、枯草菌、酵母、線虫などのモデル生物を挙げることができる。原核生物の代表例である大腸菌と下等真核生物の代表例である酵母は古くから分子遺伝学が盛んに行われ、1997年に大腸菌と酵母の全ゲノム塩基配列がそれぞれ決定されている。大腸菌と酵母の総遺伝子数はそれぞれ約4300種類と約6100種類であり、このうちのそれぞれ約2000遺伝子が機能未知遺伝子として報告された。これらの遺伝子の機能を探る手段として、非必須遺伝子の場合は遺伝子破壊による逆遺伝学的なアプローチ(ノックアウト法)が有効である。酵母に関してはゲノム1倍体の細胞を用いることにより、相同性組換えで比較的簡単に目的の遺伝子を破壊することができる。酵母の非必須遺伝子約5000種類について、早くから破壊株が構築され、世界中の研究者がそれぞれの研究対象に用いている。大腸菌に関しても日本の研究グループがプロジェクト研究を進行中であり、もうまもなく全遺伝子破壊株のライブラリーが構築されようとしている。
【0003】
(2)RNAiの登場
また、多細胞生物のモデルであり、1000個に満たない全ての細胞の系譜が明らかとなっている線虫に関しても、1998年に全ゲノム配列が決定され、全19000遺伝子の存在が明らかとなった。線虫の遺伝子にはヒトの相同遺伝子が多量に含まれていることから、これらの遺伝子の役割を解明することはヒトの遺伝子の解析につながっている。
【0004】
線虫の遺伝子欠失変異体の作成には、大腸菌や酵母で盛んに行われている通常の遺伝子破壊法ではなく、RNA干渉(RNA interference又はRNAi)による遺伝子発現抑制法(ノックダウン法)が用いられている。RNAiとは細胞に、特定の遺伝子に対するアンチセンスRNAをトランスフェクトすると、ターゲット遺伝子に特異的な発現抑制制御が起こる現象である。1998年に2本鎖RNA(dsRNA)を導入すると発現抑制の効果が数段良くなるという結果が発表された(非特許文献1)。現在ではアンチセンスRNAではなくdsRNA遺伝子発現抑制法をRNAiと呼ぶ。いくつかの手法が開発されているが特に線虫の卵にdsRNAをマイクロインジェクションする方法がさかんに行われ、すでに全ての遺伝子を対象にした発現抑制実験が大々的な行われ(非特許文献2、及び非特許文献3)、逆遺伝学的な遺伝子の解析ツールとして一躍脚光を浴びている。
【0005】
(3)RNAiの作用メカニズム
ヒト遺伝子を逆遺伝学的に解析するためには、現状でマウスの相同遺伝子を破壊したノックアウトマウスの解析が最も有効な手段である。しかし、哺乳動物の体細胞ゲノムは2倍体であり、そのうちの一つを破壊したキメラマウスを掛け合わせることでホモのノックアウトマウスを作出するという行程が必要である。したがって、一つの遺伝子の破壊には多大な労力と資金と時間がかかるため、ポストゲノム時代に要求される網羅的かつ迅速なアプローチにはそぐわないのが実状である。RNAiは遺伝子の発現を転写レベルで抑制するため、早くから多くの研究者が哺乳動物細胞への適用を検討してきた。ところが、哺乳動物細胞においては、線虫やハエなどで行われている長いdsRNAを導入すると、タンパク質リン酸化酵素PKRと2’,5’−オリゴアデニレート合成酵素(2’,5’−AS)が活性化され、塩基配列非特異的なmRNAの分解とタンパク合成のシャットダウンが生じてしまうという根本的な問題があった(非特許文献4、及び非特許文献5)。この問題を解く鍵は、線虫におけるRNAiの発現抑制メカニズムの解析がもたらした。dsRNAは細胞に導入されるとRNase IIIファミリーに属するDicerというdsRNA特異的なRNA切断酵素の作用により、21−23merの短い二本鎖RNA断片にプロセスされる(非特許文献6、及び非特許文献7)。各RNA断片のアンチセンス鎖がターゲットのmRNAに結合し、その複合体にRISC (RNA−induced silencing complex)と呼ばれるRNA分解酵素複合体が作用することでターゲットが破壊されるというものである(非特許文献8)。さらに線虫の場合は一度卵に導入すると発現抑制の持続時間が長く、世代を超えて発現抑制効果が持続することが知られているが、これは、アンチセンス鎖がターゲットのmRNAに結合した際にRNA依存的RNAレプリカーゼの働きにより、さらに大量のdsRNAが増幅されるという機構(degradative PCR)によるもの(非特許文献9)であることが明らかにされている。
【0006】
(4)哺乳動物細胞への適用−siRNA
Tuschlのグループはこのような研究結果を踏まえ、哺乳動物細胞の長いdsRNAに対する防御機構を回避するため、初めから短いdsRNAを導入することを思いついた。標的遺伝子に相補的な塩基配列を有す21塩基のdsRNAを数十nMという低濃度でヒト培養細胞にトランスフェクションしたところ、標的遺伝子の特異的発現抑制が観測された(非特許文献10)。発現抑制効果を示す最も有効なRNA長は21merで、3’末に2塩基がオーバーハングしたdsRNAであると報告されており(非特許文献10、非特許文献11)、このような20mer前後の短い2本鎖のRNAは一般にsmall interfering RNA (siRNA)と呼ばれている。これまで、遺伝子の機能解析をするためには、ノックアウト技術が使用されてきたが、siRNAを使用する方法が確立されれば、大幅な実験時間の短縮とコストの削減が実現することが期待される。
【0007】
(5)有機合成法
21塩基の短いRNAの作成には、ホスホアミダイト法による有機化学的に合成したRNAが広く一般に使用されている。有機合成の利点は配列の選択性がないこと(どのような配列のRNAでも合成可能である)が挙げられる。また、3’末の2塩基のオーバーハングをDNAのTTにすると遺伝子発現抑制活性が若干向上することが知られている(非特許文献10)ことから、DNA−RNAのキメラ核酸を有機合成的に作製できることも長所として挙げられる。現在、合成RNAの受託生産が行われており、現時点でsiRNAの最も一般的な作製法である。ところが、ホスホアミダイト法によるRNAの有機合成はDNAと比較して反応時間が長く合成時間がかかること、また2’水酸基保護基があるために脱保護に時間がかかること、さらには生産コストと品質管理コストがかかるなどの短所が指摘されている。また、最近の研究で、siRNAをデザインする際に19塩基の相補的な配列を標的遺伝子内のどの位置に設定するかで、遺伝子発現抑制効果に差が出ることが知られている。したがって、一般的には一つの遺伝子をノックダウンする際には複数の個所にsiRNAをデザインする必要があり、合成RNAでsiRNAを供給するには限界があり決して汎用的な技術とは言いがたい。
【0008】
(6)試験管内転写合成法
そこで、最近注目されているのは、試験管内転写反応でsiRNAを作製する方法である。試験管内転写反応は合成DNAを鋳型として酵素的にRNAを転写合成するため、比較的安価で合成できる上、同じデザインの有機合成siRNAよりも遺伝子発現抑制効果が高いという報告もある。PicardらはT7 RNAポリメラーゼを使用し、2組の鋳型DNAよりセンス鎖とアンチセンス鎖の2本のRNAを作製し、それを二本鎖化して使用している(非特許文献12)。T7 RNAポリメラーゼは開始塩基がGであると効率よく転写できるため、siRNAの5’末端は必ずGであるという制約付きであるものの、有機合成siRNAよりもはるかに安価でしかも高い活性を示すという利点がある。また、最近Ambion社より、転写法によるsiRNA作製キット(Silencer siRNA construction kit)が発売された。まずセンス鎖とアンチセンス鎖用の2組の鋳型DNAを作製し、それを転写してセンス鎖RNAとアンチセンス鎖RNAをT7 RNAポリメラーゼを使用して合成し、それらを2本鎖化して、最後に一本鎖領域をRNase処理で取り除くことで作製する方法である。キットにはT7プロモーターを含んだ鋳型作成用合成DNAと、鋳型作成用の酵素と試薬、転写用のT7 RNAポリメラーゼと試薬、鋳型の消化とRNA一本鎖領域を除去するDNase及びRNase、siRNAの精製用カートリッジなどから構成されているが、これ以外に29塩基の鋳型用合成DNAが、一デザインにつき2本用意する必要がある。このキットを使用する場合、鋳型作成用の合成DNAが計3本必要であり、また反応ステップが煩雑という問題がある。
【0009】
【非特許文献1】
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【非特許文献2】
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【非特許文献3】
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【0010】
【非特許文献5】
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【非特許文献6】
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【非特許文献7】
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【非特許文献8】
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【0011】
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Lipardi, C., Wei, Q. and Paterson, B.M. (2001) RNAi as random degradative PCR: siRNA primers convert mRNA into dsRNAs that are degraded to generate new siRNAs. Cell, 107, 297−307
【非特許文献10】
Elbashir, S.M., Harborth, J., Lendeckel, W., Yalcin, A., Weber, K. and Tuschl, T. (2001a) Duplexes of 21−nucleotide RNAs mediate RNA interference in cultured mammalian cells. Nature, 411, 494−8
【非特許文献11】
Elbashir, S.M., Lendeckel, W. and Tuschl, T. (2001b) RNA interference is mediated by 21− and 22−nucleotide RNAs. Genes Dev, 15, 188−200.
【非特許文献12】
Donze, O. and Picard, D. (2002) RNA interference in mammalian cells using siRNAs synthesized with T7 RNA polymerase. Nucleic Acids Res, 30, e46
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、安価かつ簡便なsiRNAの転写合成法を開発することを解決すべき課題とした。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本明細書の図1に概要を示す方法によりsiRNAを転写合成する方法により、安価かつ簡便にsiRNAを転写合成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明によれば、5’から3’方向に、少なくとも
(1)標的核酸配列のアンチセンス配列、
(2)塩基特異的RNaseで切断されるトリミング配列、
(3)標的核酸配列のセンス配列、
(4)プロモーター配列のアンチセンス配列、
(5)ループを形成する配列、および、
(6)プロモーター配列のセンス配列、
を含むオリゴヌクレオチドであって、プロモーター配列のアンチセンス配列とセンス配列とがヘアピン構造を介して分子内で二本鎖を形成し、かつ転写された際に標的核酸配列のアンチセンス配列と標的核酸配列のセンス配列の転写産物はトリミング配列を介して分子内で二本鎖を形成する、オリゴヌクレオチドが提供される。
【0015】
本発明の別の態様によれば、5’から3’方向に、少なくとも
(1)標的核酸配列のアンチセンス配列、
(2)塩基特異的RNaseで切断されるトリミング配列、
(3)標的核酸配列のセンス配列、および、
(4)プロモーター配列のアンチセンス配列、
を含むオリゴヌクレオチドであって、転写された際に標的核酸配列のアンチセンス配列と標的核酸配列のセンス配列の転写産物がトリミング配列を介して分子内で二本鎖を形成する、オリゴヌクレオチドが提供される。
上記オリゴヌクレオチドにおいては、少なくともプロモーター配列の領域が二本鎖になっていてもよい。
本発明の別の態様によれば、上記のオリゴヌクレオチドと該オリゴヌクレオチドと相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドとからなる二本鎖DNAが提供される。
【0016】
好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドは、標的核酸配列のアンチセンス配列の上流の5’末端にさらにAAの2塩基を有する。
好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドでは、RNaseで切断されるトリミング配列は、5’−C(D)kCD−3’(式中、DはA、T又はGを示し、kは0から100の整数を示し、(k+1)個のDは互いに同一でも異なっていてもよい)である。
好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドでは、RNaseで切断されるトリミング配列は5’−CTATGCT−3’である。
【0017】
好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドでは、(3)標的核酸配列のセンス配列と(4)プロモーター配列のアンチセンス配列との間に−CCC−が存在する。
好ましくは、プロモーター配列はT7クラスIIIプロモーター配列である。
好ましくは、(5)ループを形成する配列は、−GNA−を含む配列(NはA、T、CまたはGを示す)である。
好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドは、5’−AA−(標的核酸配列のアンチセンス配列)−CTATGCT−(標的核酸配列のセンス配列)−CCC−TATAGTGAGTCGTATTA−GCGAAGC−TAATACGACTCACTATA−3’で表されるオリゴヌクレオチドである。
【0018】
本発明の別の側面によれば、上記した本発明のオリゴヌクレオチドを鋳型としてRNAポリメラーゼを用いて転写を行うことを含む、shRNAの製造方法が提供される。
好ましくは、転写はインビトロで行う。
好ましくは、RNAポリメラーゼとしてT7RNAポリメラーゼを使用する。
本発明のさらに別の側面によれば、上記の方法により製造されるshRNAが提供される。
【0019】
本発明のさらに別の側面によれば、上記の方法により製造されるshRNAを塩基特異的RNaseで処理することを含む、siRNAの製造方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明のオリゴヌクレオチドを鋳型としてRNAポリメラーゼを用いて転写を行ってshRNAを製造し、当該shRNAを塩基特異的RNaseで処理することを含む、siRNAの製造方法が提供される。
【0020】
本発明のさらに別の側面によれば、本発明の方法により製造されるshRNA又はsiRNAを用いて、RNAiにより標的核酸配列を含む遺伝子の発現を抑制する方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、RNAポリメラーゼ及び塩基特異的RNaseを含む、本発明の方法を行うための試薬キットが提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】
(1)オリゴヌクレオチド
本発明のオリゴヌクレオチドは、5’から3’方向に、少なくとも、
(1)標的核酸配列のアンチセンス配列、
(2)塩基特異的RNaseで切断されるトリミング配列、
(3)標的核酸配列のセンス配列、
(4)プロモーター配列のアンチセンス配列、
(5)ループを形成する配列、および、
(6)プロモーター配列のセンス配列、
を含むオリゴヌクレオチドである。
【0022】
標的核酸配列とは、発現を抑制することを意図する遺伝子中の核酸配列である。発現を抑制することを意図する遺伝子としては任意の遺伝子を使用できる。このような標的遺伝子としては、クローニングはされているが機能が未知の遺伝子も含まれる。あるいは、標的遺伝子は、外来性レポータータンパク質またはその変異タンパク質の遺伝子であってもよい。このような外来性レポータータンパク質またはその変異タンパク質の遺伝子の核酸配列を使用した場合は、本発明の技術においてRNAi効果を容易に検出及び評価することができる。標的核酸配列の長さは、転写産物が所望のRNAi効果を達成できる限り特に限定されないが、一般的には10塩基から50塩基程度であり、好ましくは10塩基から30塩基程度であり、より好ましくは15塩基から25塩基程度である。また、標的核酸配列のセンス配列とアンチセンス配列の長さは同一であることが好ましいが、転写産物が所望のRNAi効果を発揮できる限り、長さは多少相違していてもよい。
【0023】
RNaseで切断されるトリミング配列とは、塩基特異的RNaseで切断される塩基配列を意味する。
塩基特異的RNaseの種類は特に限定されないが、例えば、G特異的RNaseとしてRNaseT1、AとG特異的RNaseとしてRNaseU2、C特異的RNaseとしてRNaseCL3、CとU特異的RNaseとしてRNaseAまたはRNaseI、AとU特異的RNaseとしてRNasePhyMなどを挙げることができる。
【0024】
例えば、RNaseT1などのG特異的RNaseを使用する場合には、Gを含むようにトリミング配列を設計することができ、具体的には、トリミング配列として、5’−C(D)kCD−3’(式中、DはA、T又はGを示し、kは0から100の整数を示し、(k+1)個のDは互いに同一でも異なっていてもよい)を使用することができ、一例としては、5’−CTATGCT−3’を挙げることができる。
同様に、AとG特異的RNaseの場合には、トリミング配列として5’−Y(R)kYR−3’を使用することができ、C特異的RNaseの場合には、トリミング配列として5’−G(H)kGH−3’を使用することができ、CとU特異的RNaseの場合には、トリミング配列として5’−R(Y)kRY−3’を使用することができ、AとU特異的RNaseの場合には、トリミング配列として5’−S(W)kSW−3’を使用することができる。ここで、YはC又はTを示し、RはA又はGを示し、HはA、C又はTを示し、SはC又はGを示し、WはA又はTを示す。
【0025】
本発明で用いるプロモーター配列は、RNAポリメラーゼのプロモーターであれば特に限定されない。プロモーター配列としては、例えば、T7クラスIIIプロモーター配列、SP6プロモーター配列またはT3プロモーター配列などを使用することができる。
本発明におけるループを形成する配列は、−GNA−を含む配列(Nは、A、T、C又はGを示す)であることが好ましい。このような配列を用いることにより、本発明のオリゴヌクレオチドでは、プロモーター配列のアンチセンス配列とセンス配列とがヘアピン構造を介して分子内で二本鎖を形成できる(Yoshizawa S,他、GNA trinucleotide loop sequences producing extraordinarily stable DNA minihairpins. Biochemistry. 1997 Apr 22;36(16):4761−7)。これにより、本発明のオリゴヌクレオチドを鋳型としてRNAポリメラーゼを用いて転写を行うことにより、標的核酸配列の逆向き反復配列から成るRNAを合成することができる。また、RNAポリメラーゼを用いて転写を行うと、標的核酸配列のアンチセンス配列と標的核酸配列のセンス配列の転写産物はトリミング配列を介して分子内で二本鎖を形成するようになる。
【0026】
本発明の別の態様によれば、5’から3’方向に、少なくとも
(1)標的核酸配列のアンチセンス配列、
(2)塩基特異的RNaseで切断されるトリミング配列、
(3)標的核酸配列のセンス配列、および、
(4)プロモーター配列のアンチセンス配列、
を含むオリゴヌクレオチドであって、転写された際に標的核酸配列のアンチセンス配列と標的核酸配列のセンス配列とがトリミング配列を介して分子内で二本鎖を形成する、オリゴヌクレオチドが提供される。この場合、プロモーター配列はアンチセンス鎖の一本鎖だけなので、プロモーター配列のセンス配列を有するオリゴヌクレオトドを別に添加して二本鎖を形成してから、RNAポリメラーゼを用いて転写を行うことができる。
【0027】
本発明のさらに別の態様によれば、(6)プロモーター配列のセンス配列のさらに3’末端側に、塩基配列が存在していてもよく、例えば、標的核酸配列のセンス配列および標的核酸配列のアンチセンス配列のそれぞれに相補的な塩基配列が存在していてもよい。
【0028】
また、本発明の好ましい態様によれば、オリゴヌクレオチドの5’末端(即ち、標的核酸配列のアンチセンス配列の上流側)にAAの2塩基を付加することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、標的核酸配列のセンス配列とプロモーター配列のアンチセンス配列との間に塩基配列−CCC−を挿入することができる。このような配列を挿入することによってRNAポリメラーゼによるRNAの合成効率を高めることができる。
【0029】
本発明のオリゴヌクレオチドの一例としては、5’−AA−(標的核酸配列のアンチセンス配列)−CTATGCT−(標的核酸配列のセンス配列)−CCC−TATAGTGAGTCGTATTA−GCGAAGC−TAATACGACTCACTATA−3’で表されるオリゴヌクレオチドが挙げられる。標的核酸配列が19塩基の場合の例を図1に示す。
【0030】
以下、図1を参照して本発明の特に好ましい具体例についてさらに説明する。T7 RNAポリメラーゼによる試験管内転写反応では合成するRNAをコードする鋳型DNA領域は一本鎖でよく、プロモーター部分のみが二本鎖であればよいということがしられている(Milligan, J.F. and Uhlenbeck, O.C. (1989) Synthesis of small RNAs using T7 RNA polymerase. Methods Enzymol, 180, 51−62)。したがって、図1のような91塩基の一本鎖合成DNAを鋳型DNAとして用いることができる。転写合成するRNAはshRNA(small hairpin RNA)とし19塩基のセンス鎖−アンチセンス鎖の間を7塩基のループ(トリミングループ)で連結した構造である。アンチセンス鎖の3’末端にはUUの2塩基のオーバーハングを施した。T7 RNAポリメラーゼのクラスIIIプロモーター領域は二本鎖である必要があるため、GAAトリループによるDNAの安定なヘアピン構造(Hirao, I., Kawai, G., Yoshizawa, S., Nishimura, Y., Ishido, Y., Watanabe, K. and Miura, K. (1994) Most compact hairpin−turn structure exerted by a short DNA fragment, d(GCGAAGC) in solution: an extraordinarily stable structure resistant to nucleases and heat. Nucleic Acids Res, 22, 576−82)を導入した。このため、この鋳型DNAは水溶液中で確実に図1のようにプロモーター領域が二本鎖の構造をとることが予想される。転写開始部位には効率のよいGGG配列をデザインした。この鋳型は91塩基のうち19塩基のセンス鎖−アンチセンス鎖のみが任意の配列であって、それ以外の53塩基はすべて固定の配列である。この鋳型デザインの特徴は、一本の合成DNAがそのままshRNAの鋳型として機能する点であり、XXXらの方法やAmbionの転写キットが3本のDNAを使用することと、さらにはDNAポリメラーゼ(Klenow酵素)による鋳型の作製行程が必要なことを考慮すると、非常に簡便でかつ合理的である。転写されたshRNAはセンス鎖−アンチセンス鎖で19塩基の二本鎖部分を形成し、AGCAUAG(XGXXXXG)のトリミングループ部位を持っている。5’末端にはGGGの一本鎖部位を持ち、3’末端にはUUの一本鎖オーバーハングを有する。トリミングループの特徴は4−10塩基程度のループであり、ループの入口5’側から2番目にGさらにはループの3’末にGを配置する必要がある。次にshRNAをリボヌクレアーゼT1による限定分解(limited digestion)を用いてワンステップでsiRNAに変換する。転写反応後に、反応液に直接マグネシウムイオン(MgCl2など)を終濃度で50−100mM加え、反応液を氷上(0℃)で10分間プレインキュベーションを行う。次にG特異的に切断するリボヌクレアーゼT1(RNase T1)を加えで、氷上(0℃)で30〜60分反応させる。この処理で、5’末端のGGG配列とトリミングループの5塩基CAUAGが特異的に除去される。得られたsiRNAはセンス鎖−アンチセンス鎖それぞれの3’末端に2塩基のオーバーハングが付加されている。したがって、この鋳型のデザインを用いれば、任意のターゲット配列を有するsiRNAが簡便かつ効率よく合成できる。
【0031】
(2)shRNA及びsiRNAの製造、並びにそれらを用いたRNAi
図1に関連して上記(1)において説明した通り、本発明のオリゴヌクレオチドを鋳型としてRNAポリメラーゼを用いて転写を行うことによるshRNAを製造することができ、この方法で製造されるshRNAは、ヘアピン部分に塩基特異的RNaseで切断されるトリミング配列を含んでいる点で新規であり、このようなshRNA自体も本発明の範囲内である。
本発明の方法では、転写をインビトロで行うことができる。また、RNAポリメラーゼとしては、T7RNAポリメラーゼ、SP6RNAポリメラーゼまたはT3RNAポリメラーゼなどを使用することができ、中でもT7RNAポリメラーゼを使用することが好ましい。
【0032】
RNAポリメラーゼを用いた転写反応は当業者に既知の常法で行なうことができ、例えば、鋳型のオリゴヌクレオチドを含む溶液に、塩化マグネシウム、NTP、スペルミジン、ジチオスレイトールを加え、最後にT7 RNAポリメラーゼを適当な濃度になるように加えて反応を行なうことができる。また、反応液中から副生成物であるピロリン酸を除去して転写反応を促進するために、ピロフォスファターゼを加えることが好ましい。このような反応混合物を37℃で60分間インキュベートすることにより転写反応を行うことができる。
【0033】
さらに、上記方法により製造されるshRNAを塩基特異的RNaseで処理することによって、トリミング配列が切断されてsiRNAを産生することができる。塩基特異的RNaseとしては、Gで特異的に切断するRNaseT1、Cで特異的に切断するRNaseCL3などを使用することができる。また、RNaseによる処理は、一本鎖のループの部分のみを切断するという観点から、高濃度の塩の存在下、例えば、100mMのMgCl2の存在下で行なうことが好ましい。
【0034】
shRNA又はsiRNAの精製は以下のように行なうことができる。先ず、反応産物をフェノール処理およびクロロホルム処理などの常法によりタンパク質を除去した後、15%ポリアクリルアミドゲルにロードして電気泳動し、目的のshRNAやsiRNAのバンド部分のみを切り出し、次いで、このゲルを細かくすりつぶし、適当な溶液(例えば、0.5M 塩化ナトリウム、0.1%SDS、1mM EDTAを含む溶液)中に浸し、一定時間37℃で振とうすることによってRNAをゲルから溶出させることができる。この溶液からゲルを除去した後、エタノールを加えてRNAを沈殿させ、ペレットを少量の純水に溶解して回収することにより、精製した目的RNAを得ることができる。
【0035】
上記した本発明の方法で製造されるshRNA、又はsiRNAを用いて、RNAiにより標的核酸配列を含む遺伝子の発現を抑制することが可能である。
例えば、HeLa細胞などの培養細胞を用いる場合には、siRNA又はshRNAと適当なトランスフェクション試薬(例えば、OLIGOFECTAMINEなど)とを混合し、培養細胞に添加することによりsiRNA又はshRNAを培養細胞にトランスフェクションする。培養細胞は好適な条件下で培養することにより、RNAi効果が細胞内で起こり、標的核酸配列を含む遺伝子の発現が抑制される。遺伝子の発現の抑制は、RT−PCR、ノザンブロット又はウエスタンブロットなどにより確認することができ、又は発現を抑制する遺伝子の機能が判明している場合には、細胞の表現型を観察することによって確認することも可能である。
【0036】
(3)試薬キット
さらに本発明によれば、RNAポリメラーゼ及び塩基特異的RNaseを含む上記した本発明の方法を行なうための試薬キットが提供される。本発明の試薬キットには、上記酵素を用いた反応を行なうのに必要な他の試薬および/又は緩衝液を含めることができる。
例えば、RNAポリメラーゼを用いた酵素反応の反応系には、RNAポリメラーゼ以外に、塩化マグネシウム、NTP、スペルミジン、ジチオスレイトール、及びピロフォスファターゼなどを含めることができるので、これらの試薬の全て又は一部を本発明の試薬キットに含めることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0037】
【実施例】
実施例
▲1▼目的
本発明の方法により作製したsiRNA及びshRNAの活性を、ラミンA/Cタンパク質のノックダウンによって確認する。有機合成したsiRNAとの活性の比較も行う。
【0038】
▲2▼実験方法
鋳型 DNA の設計
shRNA転写合成の鋳型となるDNAは、ホスホアミダイト法による有機合成によって製造されたもの(北海道システムサイエンス社)を用いた。鋳型DNAの長さは91塩基であり、1本鎖のまま用いた。配列は、5’−AAC TGG ACT TCC AGA AGA ACA CTA TGC TTG TTC TTC TGG AAG TCC AGC CCT ATA GTG AGT CGT ATT AGC GAA GCT AAT ACG ACT CAC TAT A−3’(配列番号1)である。この鋳型DNAの配列は、3’末端側にT7 RNA ポリメラーゼのプロモーター領域(5’−TAA TAC GAC TCA CTA TA−3’)(配列番号2)を2箇所に相補的になるように配置し、この部分がヘアピン状に折りたたまれることによってプロモーター領域が2本鎖となるように設計した。これによって、合成DNAを2本用意しなくともT7 RNAポリメラーゼによる認識が可能となり、コストの低減を図ることができた。さらに、T7プロモーター領域の2本鎖化をより安定させるために、2箇所のT7プロモーター配列(センスおよびアンチセンス)の間にはヘアピン構造を安定化させる効果を有するGAAトリループを導入した。これによって、T7 RNAポリメラーゼによる転写反応の効率の向上が期待される。
【0039】
一方、鋳型DNAの5’末端側にはヒトのラミンA/CタンパクをコードするDNAの配列のうちの19塩基の配列(5’−CTG GAC TTC CAG AAG AAC A−3’)(配列番号3)を、5’側からセンス、アンチセンスの順に配置した。そして、センス鎖とアンチセンス鎖の間の部分にはリボヌクレアーゼT1による限定分解のターゲットサイトとなるべきトリミングループ(CTATGCT)を配置した。これによって、T7 RNAポリメラーゼによる転写産物は、トリミングループ(AGCAUAG)を含むヘアピン構造を有するRNA(shRNA)となる。
【0040】
試験管内転写法による shRNA の合成
shRNAの転写合成は、上記の鋳型DNAの濃度が50nM、pH7.8の条件下で、塩化マグネシウム、NTP、スペルミジン、ジチオスレイトールを加え、最後にT7 RNAポリメラーゼを終濃度0.02μg/mLとなるように加えて反応を開始させた。また、反応液中から副生成物であるピロリン酸を除去して転写反応を促進するために、酵母由来ピロフォスファターゼ(SIGMA社)を終濃度0.47μg /mLとなるように加えた。これを、37℃で60分間インキュベートして転写反応を行わせた。反応混合物を12%ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動にかけ、目的となるshRNAの生成が確認された。
【0041】
shRNA の限定分解による siRNA の生成(トリミング)
上記の転写反応液に対して、塩化マグネシウムを終濃度100mMになるように加えて、氷上(0℃)で10分間プレインキュベーションした。次に、G特異的に切断するリボヌクレアーゼT1(SIGMA社)を30μg /mLとなるように加えて、氷上(0℃)で30分反応させた。これによりトリミングループ中の2箇所のGの3’末端側のみ限定的に切断され、CAUAGの配列の部分のみ除去される。低温かつ高マグネシウム濃度のため、二本鎖を組んでいる部分は配列中にGを含んでいても切断されることはない。この反応混合物を15%ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動にかけ、目的となるsiRNAの生成が確認された。
【0042】
精製
上記の反応液に対してフェノール処理を2回、クロロホルム処理を1回施して除タンパクした後、15%ポリアクリルアミドゲルにロードして電気泳動し、目的のsiRNAのバンド部分のみをカッターで切り出した。次にこのゲルを細かくすりつぶし、0.5M 塩化ナトリウム、0.1%SDS、1mM EDTAを含む溶液中に浸し、12時間37℃で振とうすることでRNAをゲルから溶出させた。この溶液からゲルを除去した後、エタノールを加えてRNAを沈殿させ、ペレットを少量の純水に溶解して回収した。
【0043】
ノックダウン
HeLa細胞(1x104個)を48ウェルのディッシュに蒔き、0.2mlの培地(D−
MEM+10% FBS)で一晩培養した(30−50%コンフルエント)。7.4 fmolから7.4 pmolのラミンA/Cに対応したsiRNA及びshRNAに25μlのOPTI−MEM I(GIBCO社)を加えた。また、1μlのOLIGOFECTAMINETM(invitrogen社)を5μlのOPTI−MEM Iで希釈し、室温で10分間放置した。2つの溶液をゆっくりと混合し、さらに室温で20分放置した。一晩培養した細胞をOPTI−MEMで洗浄した後、それぞれのウェルに120μlのOPTI−MEMを加えた。siRNAとOligofectamineの混合液を30μl加え、ゆっくり混合した。そのままCO2インキュベーター中で37℃で4時間保温した。225μlの培地(DMEM+30% FBS)を加え、さらに40時間培養した。培地を除き、細胞に50μlの2xSDS−PAGE用サンプルバッファーを加えて溶かし、エッペンドルフチューブへ移した。氷上で10秒×5回ソニケーションを行い、100℃で1分加熱したものをSDS−PAGE用のサンプルとした。
【0044】
ウェスタンブロッティング
30μlのサンプルを10%のSDSポリアクリルアミドゲルで電気泳動を行った。6x9cmに切ったPVDF膜(ImmobilonTM−P Transfer Membrane 0.45μm, MILLIPORE社)を100%メタノールに2分間浸漬させた。その後、膜を転写緩衝液(Tris 3.03g、Glycine 14.4g、SDS 0.1g、MeOH 100ml をMilliQで1Lにした)で30分室温で振とうした。泳動の終了したゲルをセミドライ式のブロッターにセットし、膜をのせ、その上に転写緩衝液で湿らせたろ紙(3MM、ワットマン社)を乗せた。室温で400mAで90分転写した。転写後、膜を10%スキムミルク(TBS)に浸し、37℃で1時間ブロッキングを行った。膜を100倍希釈した抗ラミンA/C1次抗体(Lamin A/C(636):sc−7292, Santa Cruz Biotechnology)と反応させた(室温、1時間)。コントロールとして、抗チューブリン抗体(MONOCLONAL ANTI−β−TUBLIN:T5293, SIGMA)を用いた。反応後に膜をTBSで3回洗浄し、1500倍希釈の2次抗体(Peroxidase−Congugated Rabbit Anti−Mouse Immunogloulins:P0161, DAKO)と反応させた(室温、1時間)。TBSで3回洗浄した後、ECLで発光させ、オートラジオグラフィーでラミンA/Cを定量した。
【0045】
▲3▼結果と考察
50nMのsiRNA及びshRNAの結果を図2に示した。いずれの細胞もチューブリンが同程度の発光を示していること、またコントロールに用いた別のターゲットに対するsiRNAではラミンA/Cのノックダウンが観測されていないことから、実験は成立している。転写で作製したsiRNA及びshRNAいずれの場合も有機合成で作製したsiRNAよりも活性が高いことが示された。
またsiRNAの濃度を変化させてノックダウンしたデータを図3に示した。この結果からも、転写で作製したsiRNA及びshRNAは有機合成で作製したsiRNAよりも活性が高く、5nM程度からノックダウンの活性が見えていることが判明した。
【0046】
【発明の効果】
本発明のオリゴヌクレオチドを用いることにより、安価かつ簡便にsiRNAを転写合成することが可能である。特に、本発明の利点は以下の点にある。
(1)(実施例の場合には91塩基である)鋳型DNAを一本作製するだけでいい。
(2)標的核酸配列の塩基以外は固定の配列を使用できる。
(3)はじめの塩基(実施例では44塩基)はあらかじめ合成したものを使用するので合成時間の短縮と鋳型DNAのコストが大幅に削減できる。
(4)合成DNAをそのまま転写に使用できる。
(5)ワンチューブでの転写合成が可能(96プレートでの適用可能)である。
(6)転写したRNAはshRNAなのでそのまま使うことも可能である。
(7)shRNAからsiRNAの変換がワンステップで行なえる。
(8)センスとアンチセンスを別々に転写していないのでアニーリング操作が不要である。
(9)1本鎖RNAが生じないのでsiRNAの収量がよい。
【0047】
【配列表】
【0048】
【0049】
【0050】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のsiRNA転写合成法の一例の概要を示す。
【図2】図2は、ラミンA/Cタンパク質を標的としたsiRNA及びshRNAの活性の比較を示す。HeLa細胞を用い、ラミンA/Cに対するsiRNA又はshRNA(各50nM)でノックダウンのち抗ラミンA/C抗体でウエスタンブロット分析を行なった。
【図3】図3は、ラミンA/Cタンパク質を標的としたsiRNA及びshRNAの活性の比較を示す。転写合成したsiRNAとshRNAは、共に有機合成siRNAよりも低濃度で効果が現れる。
Claims (19)
- 5’から3’方向に、少なくとも
(1)標的核酸配列のアンチセンス配列、
(2)塩基特異的RNaseで切断されるトリミング配列、
(3)標的核酸配列のセンス配列、
(4)プロモーター配列のアンチセンス配列、
(5)ループを形成する配列、および、
(6)プロモーター配列のセンス配列、
を含むオリゴヌクレオチドであって、プロモーター配列のアンチセンス配列とセンス配列とがヘアピン構造を介して分子内で二本鎖を形成し、かつ転写された際に標的核酸配列のアンチセンス配列と標的核酸配列のセンス配列の転写産物はトリミング配列を介して分子内で二本鎖を形成する、オリゴヌクレオチド。 - 5’から3’方向に、少なくとも
(1)標的核酸配列のアンチセンス配列、
(2)塩基特異的RNaseで切断されるトリミング配列、
(3)標的核酸配列のセンス配列、および、
(4)プロモーター配列のアンチセンス配列、
を含むオリゴヌクレオチドであって、転写された際に標的核酸配列のアンチセンス配列と標的核酸配列のセンス配列の転写産物がトリミング配列を介して分子内で二本鎖を形成する、オリゴヌクレオチド。 - 少なくともプロモーター配列の領域が二本鎖になっている、請求項2に記載のオリゴヌクレオチド。
- 請求項2に記載のオリゴヌクレオチドと該オリゴヌクレオチドと相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドとからなる二本鎖DNA。
- 標的核酸配列のアンチセンス配列の上流の5’末端にさらにAAの2塩基を有する請求項1から4の何れかに記載のオリゴヌクレオチド又はDNA。
- RNaseで切断されるトリミング配列が5’−C(D)kCD−3’(式中、DはA、T又はGを示し、kは0から100の整数を示し、(k+1)個のDは互いに同一でも異なっていてもよい)である、請求項1から5のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドまたはDNA。
- RNaseで切断されるトリミング配列が5’−CTATGCT−3’である、請求項1から6のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドまたはDNA。
- (3)標的核酸配列のセンス配列と(4)プロモーター配列のアンチセンス配列との間に−CCC−が存在する、請求項1から7のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドまたはDNA。
- プロモーター配列がT7クラスIIIプロモーター配列である、請求項1から8のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドまたはDNA。
- (5)ループを形成する配列が、−GNA−を含む配列(NはA、T、GまたはCを示す)である、請求項1から9のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドまたはDNA。
- 5’−AA−(標的核酸配列のアンチセンス配列)−CTATGCT−(標的核酸配列のセンス配列)−CCC−TATAGTGAGTCGTATTA−GCGAAGC−TAATACGACTCACTATA−3’で表されるオリゴヌクレオチド。
- 請求項1から11の何れかに記載のオリゴヌクレオチドまたはDNAを鋳型としてRNAポリメラーゼを用いて転写を行うことを含む、shRNAの製造方法。
- 転写をインビトロで行う、請求項12に記載のshRNAの製造方法。
- RNAポリメラーゼとしてT7RNAポリメラーゼを使用する、請求項12又は13に記載のshRNAの製造方法。
- 請求項12から14の何れかに記載の方法により製造されるshRNA。
- 請求項12から14の何れかに記載の方法により製造されるshRNAを塩基特異的RNaseで処理することを含む、siRNAの製造方法。
- 請求項1から11の何れかに記載のオリゴヌクレオチドを鋳型としてRNAポリメラーゼを用いて転写を行ってshRNAを製造し、当該shRNAを塩基特異的RNaseで処理することを含む、siRNAの製造方法。
- 請求項12から14の何れかに記載の方法により製造されるshRNA、又は請求項16又は17に記載の方法により製造されたsiRNAを用いて、RNAiにより標的核酸配列を含む遺伝子の発現を抑制する方法。
- RNAポリメラーゼ及び塩基特異的RNaseを含む、請求項12から14又は16から18の何れかに記載の方法を行うための試薬キット。
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