JP2004260044A - トランジスタとそれを用いた半導体メモリ - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも書込電圧を低くでき、かつ従来よりも電流ウインドウを大きくできる多値トランジスタを提供する。
【解決手段】対向する一対の側面13bを有する凸部13aの頂面13c上にゲート絶縁膜15cを形成する。凸部13aを挟む半導体基板の表面に一対のソース・ドレイン領域BL1, BL2, BL3を形成する。凸部13aの側面13cとソース・ドレイン領域BL1, BL2, BL3とを覆うようにトンネル絶縁膜を設ける。各側面13c側に一対の電荷記憶サイトSN1, SN2を設け、この膜はトンネル絶縁膜15aを介して側面13cに対向する。各電荷記憶サイトSN1, SN2上に第3の絶縁膜15bを形成する。第3の絶縁膜15bを介して各電荷記憶サイトSN1, SN2と対向し、かつゲート絶縁膜15cを介して頂面13cと対向するコントロールゲートを設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】対向する一対の側面13bを有する凸部13aの頂面13c上にゲート絶縁膜15cを形成する。凸部13aを挟む半導体基板の表面に一対のソース・ドレイン領域BL1, BL2, BL3を形成する。凸部13aの側面13cとソース・ドレイン領域BL1, BL2, BL3とを覆うようにトンネル絶縁膜を設ける。各側面13c側に一対の電荷記憶サイトSN1, SN2を設け、この膜はトンネル絶縁膜15aを介して側面13cに対向する。各電荷記憶サイトSN1, SN2上に第3の絶縁膜15bを形成する。第3の絶縁膜15bを介して各電荷記憶サイトSN1, SN2と対向し、かつゲート絶縁膜15cを介して頂面13cと対向するコントロールゲートを設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランジスタとそれを用いた半導体メモリに関する。より詳細には、本発明は、半導体メモリの多値化に有用な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
EEPROM (Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリは、携帯電話機等に搭載されて、現在広く普及している。通常、EEPROMは、1つのセルトランジスタに1ビットの情報しか書き込めない。しかし、デバイスの小型化を図るためには、セルトランジスタの多値化を図り、1つのセルトランジスタに2ビット以上書き込めることが好ましい。
【0003】
この多値化技術の一例を図10に示す。図10は、従来例に係る多値セルトランジスタの断面図である(係る多値化技術については、たとえば特許文献1参照。)。
【0004】
図10において、セルトランジスタ1は、いわゆるMONOS (Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)構造を有している。このMONOS構造を構成するのは、コントロールゲート7(Metal)、シリコン酸化膜6(Oxide)、シリコン窒化膜5(Nitride)、シリコン酸化膜4(Oxide)、そしてp型シリコン基板2(Semiconductor)である。
【0005】
この種のセルトランジスタにおいては、n型のソース・ドレイン領域3、8は、書込シーケンスや読み出しシーケンスにおける種々のステージで、今までソースであったものがドレインになったりする。すなわち、ソース・ドレイン領域3、8のどちらがソースでどちらがドレインであるとは確定できない。よって、ソースと言う場合には、ソース・ドレイン領域3、8のうちキャリア(この例では電子)が放出される方を指し、ドレインはもう一方を指すことにする。
【0006】
このセルトランジスタ1にデータを書き込むには、図11(a)のような方法を採る。この方法では、ソース8を接地し、ドレイン3とコントロールゲート7とに適当な正電位VD1、VG1を与える。
【0007】
これによって、ソース・ドレイン領域8、3間の電界で電子が加速されて、ドレイン3の近傍でホットエレクトロンが発生する。ホットエレクトロンは、フォノン等との衝突や、コントロールゲート7の正電位により、シリコン酸化膜4のエネルギ障壁を越えてシリコン窒化膜5に注入される。シリコン窒化膜5には導電性がないから、注入されたホットエレクトロンは、シリコン窒化膜5においてドレイン3に近い部位(以下では、「右側ビット」と呼ぶ)に局在する。この状態が“(1、0)”状態である。
【0008】
同じことを、ソース・ドレイン電圧を入れ替えて行えば、図11(b)に示すように、シリコン窒化膜5においてドレイン8に近い部位(以下では、「左側ビットと」呼ぶ)に電子が局在し、“(0、1)”状態が得られる。
【0009】
図12(a)〜(d)は、セルトランジスタ1で達成し得る4状態を示す。“(1、1)”状態(図12(a)参照)は、左右のいずれのビットにも電子が蓄積されない。そして、“(0、0)”状態(図12(d)参照)は、左右の両ビットに電子が蓄積される。こうして、セルトランジスタ1では、2ビットのデータを書き込むことができる。
【0010】
読み出しは、ソース・ドレイン領域8、3の各々への印加電圧を入れ替えることによりドレイン電流を2回計測し、各回のドレイン電流値と基準電流値との大小を比較して行われる。
【0011】
“(0、0)”状態(図12(d)参照)は、両ビットに電子が局在するから、シリコン窒化膜5の電位が4値の中で最も低くなる。よって、セルトランジスタ1の閾値電圧が最も高くなり、ドレイン電流は殆ど流れない。ドレイン電流値は、ソース・ドレイン領域8、3の印加電圧を入れ替えても同じで、ほとんど零である。よって、各回のドレイン電流値は基準電流よりも小であると計測される。
【0012】
“(1、1)”状態(図12(a)参照)は両ビットに電子が無いから、シリコン窒化膜5の電位が4状態の中で最も高い。よって、閾値電圧が4状態の中で最も低くなり、ドレイン電流が最も多く流れる。このドレイン電流値は、ソース・ドレイン領域8、3を入れ替えても同じで、4状態の中で最も大きい。すなわち、各回のドレイン電流値は基準電流よりも大であると計測される。
【0013】
一方、“(1、0)”と“(0、1)”の各状態(図12(b)、(c)参照)は、電子が一方のビットにのみ局在するから、セルトランジスタ1が左右非対称になり、ソース・ドレイン領域8、3の印加電圧を入れ替えるとドレイン電流値が異なる。よって、“(1、0)”と“(0、1)”との分別は、初回と終回のどちらのドレイン電流が基準電流より大であるか(または小であるか)を判定することにより行える。
【0014】
【特許文献1】
米国特許第6,011,725号明細書。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のメモリトランジスタ1には、次のような問題点がある。一点目は、書き込みに際し(図11(a)、(b)参照)、ホットエレクトロンをシリコン窒化膜5に注入するため、コントロールゲート7に高電位VG1を印加する必要がある点である。
【0016】
ホットエレクトロンがシリコン窒化膜5に注入されるためには、ホットエレクトロンは、シリコン基板2の導電帯からシリコン酸化膜4の導電帯にトンネリングしないといけない。これらの導電帯間のエネルギー差は約3.2eVである。
【0017】
しかし、ホットエレクトロンは、シリコン基板2中のフォノンとの衝突の際にエネルギーを失うので、3.2Vの電圧をコントロールゲート7に印加しても、上記の導電帯間をトンネリングできない。よって、実際には、12〜13Vの高電圧VG1をコントロールゲート7に印加する必要がある。
【0018】
高電圧を供給するのはデコーダ回路(図示しない)中の高耐圧トランジスタであり、高耐圧トランジスタは微細化できない。これは、微細化すると、高耐圧トランジスタのソース・ドレインがパンチスルーしてしまうという不都合が生じるからである。よって、この従来例では、デコーダ回路を含むEEPROM全体のチップサイズを縮小できない。
【0019】
二点目は、“(1、0)”状態や“(0、1)”状態を読み出す際、ドレイン電流の電流ウインドウが小さい点である。電流ウインドウとは、“(1、0)”状態や“(0、1)”状態を読む際に、ソース・ドレイン領域3、8の印加電圧を入れ替えて、2回計測した各回のドレイン電流値の差を言う。
【0020】
この電流ウインドウは、シリコン窒化膜5の右端(または左端)に電子がしっかりと局在し、したがってセルトランジスタ1が明確な非対称性を有する場合に大きくなる。
【0021】
ところが、セルトランジスタ1では、電子がシリコン窒化膜5にある程度の広がりをもって分布するから、非対称性が現れ難い。特に、セル縮小を図るべくゲート長L(図11(a)参照)を短くすると、左右どちらのビットに電子が局在するのかはっきりしなくなるから、セルトランジスタ1の非対称性が小さくなり、よって電流ウインドウも小さくなる。しかしながら、このように電流ウインドウが小さいと、ドレイン電流と基準電流値とのマージンが小さくなるから、書込データを誤認する危険性が高くなる。
【0022】
本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、従来よりも書込電圧を低くでき、かつ従来よりも電流ウインドウを大きくできる多値トランジスタとそれを用いた半導体メモリ、および多値トランジスタの製造方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、トランジスタにおいて、対向する一対の側面を有する凸部が設けられた一導電型半導体基板と、凸部の頂面上に形成された第1の絶縁膜と、凸部を挟む半導体基板の表面に形成された一対の反対導電型ソース・ドレイン領域と、凸部の側面とソース・ドレイン領域とを覆う第2の絶縁膜と、凸部の各側面側に沿って形成され、第2の絶縁膜を介して側面に対向する面として構成され、面内が非導電性を呈する電荷記憶サイトと、電荷記憶サイトを挟んで形成された第3の絶縁膜と、第3の絶縁膜を介して電荷記憶サイトと対向し、かつ第1の絶縁膜を介して凸部の頂面と対向するコントロールゲートとを備えたこととしたものである。
【0024】
本発明によれば、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に形成される。これにより、少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。
【0025】
また凸部の各側面は、電荷記憶サイトと対向するから、頂面を流れているキャリアの進行方向に電荷記憶サイトが位置することになる。よって、書き込みの際、キャリアが電荷記憶サイトに注入されるためには、従来のように当該キャリアの進行方向を変える必要が無いから、キャリアを加速するための加速電圧を低減することができる。したがって、本発明では、従来よりも書込電圧を低くすることができる。
【0026】
これに加え、本発明では電荷記憶サイトが2面設けられ、各電荷記憶サイトに電子が独立に存在するから、トランジスタを微細化する場合でも、どちらのサイトに電子が存在するかが明確であり、従来例のごとくどちらのビットに電子が局在するか不明瞭になることが無い。
【0027】
上記のトランジスタにおいて、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ凸部の基端部の一導電型不純物濃度は、基端部を除く凸部の一導電型不純物濃度よりも高濃度であることが好ましい。
【0028】
このトランジスタによれば、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ凸部の基端部の一導電型不純物濃度を、他の凸部の一導電型不純物濃度よりも高濃度としたため、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に形成され易くなる。これにより、さらに少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。
【0029】
また、これにより各側面は、電荷記憶サイトと対向するから、頂面を流れているキャリアの進行方向に電荷記憶サイトが位置することになる。よって、書き込みの際、キャリアが電荷記憶サイトに注入されるためには、従来のように当該キャリアの進行方向を変える必要が無いから、キャリアを加速するための加速電圧を低減することができる。したがって、従来よりも書込電圧を低くすることができる。
【0030】
さらに、上記の構成によれば、ソース・ドレイン領域のパンチスルーを防止することができる。その結果、読出電圧を比較的高くしても、パンチスルーを発生させることがなく、大きな読出信号を得ることができる。さらには、パンチスルーを防止することができる結果、セルトランジスタのソース・ドレイン間の間隙をさらに小さくすることが可能となり、更なる微細化が可能となる。
【0031】
さらにこれらのトランジスタにおいて、凸部の側面に、ソース・ドレイン領域と接する反対導電型領域を設けてもよい。この領域を設けた場合も、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に容易に形成される。これにより、少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。また、当該領域でのチャネル抵抗を抑えることができ、電圧降下が抑えられる。その結果、当該領域に、ソース・ドレイン間電圧に比して、若干低下しただけの電圧が印加することができるから、この電圧によりキャリアが勢いよく加速され、書込みにおいては電荷記憶サイトに効率よくキャリアの注入が行われる。また読出し時にも当該部分におけるチャネル抵抗が抑えられる。
【0032】
また、ソース・ドレイン間を直線的に結んだ領域の不純物濃度を高くする方法と、凸部の側面にソース・ドレイン領域と接する反対導電型領域を設ける方法とを組み合わせると、当該反対導電型不純物が凸部の基端部における高い濃度の一導電型不純物を補償することができる。これにより凸部の基端部で高い濃度の一導電型不純物を形成することに伴うトランジスタの閾値電圧が高くなることを抑えることができる。
【0033】
凸部の側面に設けられた、ソース・ドレイン領域と接する反対導電型領域の不純物濃度は、ソース・ドレイン領域の不純物濃度に対して1/100〜1/10000であることが好ましい。
【0034】
これらのトランジスタにおいて、第2の絶縁膜を介して電荷記憶サイトが凸部の側面と対向して形成する第2の静電容量は、第1の絶縁膜を介してコントロールゲートが凸部の頂面と対向して形成する第1の静電容量より大きいことが好ましい。また、第2の絶縁膜を介して電荷記憶サイトが凸部の側面と対向して形成する第2の静電容量は、第3の絶縁膜を介して電荷記憶サイトがコントロールゲートと対向して形成する第3の静電容量より大きいことが好ましい。
【0035】
この場合も、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に形成され易くなる。これにより、少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。
【0036】
これにより各側面は、電荷記憶サイトと対向するから、頂面を流れているキャリアの進行方向に電荷記憶サイトが位置することになる。よって、書き込みの際、キャリアが電荷記憶サイトに注入されるためには、従来のように当該キャリアの進行方向を変える必要が無いから、キャリアを加速するための加速電圧を低減することに寄与する。したがって、従来よりも書込電圧を低くすることができる。
【0037】
一方、読出しに関しては、以下の効果がある。読出しは、コントロールゲートに読出し電圧を印加するとともに、一対のソース・ドレイン領域間に所定電位差を印加することにより行われる。電荷記憶サイトは、大きな静電容量を有する第2の絶縁膜を介して凸部側面と容量結合される。そこで、読出電圧が正電位である場合について説明する。
【0038】
電荷記憶サイトが、一対のソース・ドレイン領域のうちの高電位側にあると、凸部側面との容量結合によっても電荷記憶サイトの電位が正電位側に引き付けられる。よって、当該電荷記憶サイトにキャリアとしてたとえば電子が注入されていない場合はソース・ドレイン電圧によって、電荷記憶サイト近傍のチャネル電流は大きくなり、一方、電子が注入されている場合でも、当該電子による電荷記憶サイトの低電位化が抑えられ、電荷記憶サイト近傍のチャネルは比較的大きくなる。よって、これらの場合、ドレインId1は所望に大となる。
【0039】
一方、ソース・ドレイン間の電位差を反転させると、上記した電荷記憶サイトは、低電位側のソース・ドレイン領域につながった凸部側面と対向することになる。一方、当該電荷記憶サイトは、同時に比較的小さな静電容量を有する第3の絶縁膜によってコントロールゲートにも容量結合されている。したがって、当該電荷記憶サイトに電子が注入されていない場合には、電荷記憶サイトが第3の絶縁膜を介してゲート電圧(Vg)によってわずかに正電位に引き上げられ、あるいはこの電位がない場合でも、凸部の側面に設けられた反対導電型領域の存在によって、電荷記憶サイト近傍のチャネルは確保され、ドレインId2は所望の大きさとなる。他方、当該電荷記憶サイトに電子が注入されている場合には、当該電荷記憶サイトは、上述の状態から、注入電子による電位降下によって電位が引き下げられ、これによって、電荷記憶サイト近傍のチャネル抵抗が大きくなるから、この場合のドレイン電流Id2は所望に小となる。よって、本発明では、ドレイン電流Id1、および電荷記憶サイトに電子が注入された状態におけるId2の差(電流ウインドウ)が所望に広がる。
【0040】
これに加え、本発明では電荷記憶サイトが2面設けられ、各電荷記憶サイトに電子が独立に存在するから、トランジスタを微細化する場合でも、どちらの電荷記憶サイトに電子が存在するかが明確であり、従来例のごとくどちらのビットに電子が局在するか不明瞭になることが無い。
【0041】
さらにまた、トランジスタが非選択状態の場合、このトランジスタに繋がる他のトランジスタを選択するために、ソース・ドレイン領域に種々の電位を与えても、電荷記憶サイトは、当該ソース・ドレイン領域と接続された凸部側面との対向容量により、このソース・ドレイン領域の電位側に引き付けられる。
【0042】
よって、電荷記憶サイトとソース・ドレイン領域との間の電位差が小さくなるから、それらの間の第2の絶縁膜に高電界が印加されることが無い。したがって、第2の絶縁膜にトンネル電流が流れ難くなり、第2の絶縁膜が劣化することが防がれる。
【0043】
その上、上記のように電位差が小さくなることから、ソース・ドレイン領域と基板とのpn接合で高電界によりホットホールが発生することが抑えられるため、ホットホールにより第2の絶縁膜が劣化することも防がれる。換言するなら、本発明ではバンド間トンネル耐性が向上する。
【0044】
これらのトランジスタにおいて、コントロールゲートは、第3の絶縁膜を介して各電荷記憶サイトと対向する複数の第1のコントロールゲートセグメントと、第1の絶縁膜を介して凸部の頂面と対向する第2のコントロールゲートセグメントとを含み、第1のコントロールゲートセグメントと第2のコントロールゲートセグメントは、電気的に一体に形成してもよい。この結果、第1のコントロールゲートセグメントと第2のコントロールゲートセグメントは、電気的に一体に形成されているから、コントロールゲートセグメントを一体化して容易に製造できる。
【0045】
これに対して、コントロールゲートは、第3の絶縁膜を介して各電荷記憶サイトと対向する複数の第1のコントロールゲートセグメントと、第1の絶縁膜を介して凸部の頂面と対向する第2のコントロールゲートセグメントとを含み、第1のコントロールゲートセグメントと第2のコントロールゲートセグメントは、各々電気的に独立して制御可能としてもよい。
【0046】
この場合は、第1のコントロールゲートセグメントと第2のコントロールゲートセグメントは、各々電気的に独立して制御可能としたので、これらのコントロールゲートセグメントには、書込み、読出しおよび消去の各動作において、各々最適なゲート電圧を選択して印加することができ、さらに制御性を増すことができる。
【0047】
以上のトランジスタにおいては、書込みを行うときは、ソース・ドレイン領域間に書込み用の電位差を与えるとともに、コントロールゲートに書込電圧を印加することにより、チャネル領域が凸部の両側面と頂面の各表層に形成され、これにより少なくとも一方の電荷記憶サイトに電荷がバリスティック注入させる。
【0048】
チャネルが凸部の両側面と頂面の各表層に形成されるため、キャリアは、一方の側面→頂面→他方の側面と流れる。各側面は、電荷記憶サイトと対向するから、頂面を流れているキャリアから見ると、キャリアの進行方向に電荷記憶サイトが位置することになる。よって、キャリアが電荷記憶サイトに注入されるためには、従来のようにキャリアの進行方向を変える必要が無いから、キャリアを加速するための加速電圧を低減することができる。よって、従来よりも書込電圧を低くすることができる。このようにキャリアが散乱を起こさずに走行して、電荷記憶サイトに注入されることを、バリスティック(Ballistic)注入と呼ぶ。
【0049】
書込み時、ソース・ドレイン領域間を流れる電荷を電子とし、電子が得るエネルギーは、第2の絶縁膜のポテンシャル障壁より大きく、電子はバリスティック注入されるようにするとよい。電子が得るエネルギーが、第2の絶縁膜のポテンシャル障壁より大きいため、効率よく電子をバリスティック注入することができる。
【0050】
本願発明のトランジスタにおいて、消去を行うときは、コントロールゲートと、ソース・ドレイン領域との間に、電荷記憶サイト中の蓄積電荷を消去するための消去電圧を印加し、半導体基板に向けて消去電流を流し、蓄積電荷が消去されるようにする。
【0051】
本願発明の半導体メモリは、以上のトランジスタをセルトランジスタとして、コラム方向およびロウ方向に複数配列して集積化したものであり、たとえば、コラム方向に隣接するセルトランジスタのソース・ドレイン領域を共通とし、ロウ方向に隣接するセルトランジスタ同士がコントロールゲートを共有し、かつセルトランジスタ間のソース・ドレイン領域を共有とすることができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本願発明の多値トランジスタは、対向する一対の側面を有する凸部が設けられた半導体基板と、凸部の頂面上に形成されたゲート絶縁膜と、凸部を挟む半導体基板の表面に形成された一対のソース・ドレイン領域と、凸部の側面とソース・ドレイン領域とを覆うトンネル絶縁膜と、凸部の各側面側に設けられ、トンネル絶縁膜を介して側面に対向する一対の電荷蓄積サイトである電荷蓄積膜と、各電荷蓄積膜上に形成された第3の絶縁膜と、第3の絶縁膜を介して各電荷蓄積膜と対向し、かつゲート絶縁膜を介して凸部の頂面と対向するコントロールゲートとを備えている。電荷蓄積膜は、トンネル絶縁膜を介してソース・ドレイン領域にも対向している。
【0053】
本実施例では、トンネル絶縁膜はシリコン酸化膜であり、電荷蓄積膜は、少なくとも凸部各側面に対向する面を有するシリコン窒化膜からなる絶縁膜であり、第3の絶縁膜はシリコン酸化膜である。
【0054】
上記構造に書込操作により電荷、たとえば電子を注入すると、電荷は、各電荷蓄積膜に蓄積され、特に、トンネル絶縁膜と電荷蓄積膜との界面付近に蓄積される。このように本発明は、1つのトランジスタに2つの電荷蓄積膜を設けている。
【0055】
(1)デバイス構造
図1は、本実施例に係るセルトランジスタTCの断面図である。セルトランジスタTCは、一導電型半導体基板であるp型シリコン基板上に形成されている。p型シリコン基板は、p+基板と、その上のp型エピタキシャル層とから成る。このうち、p型エピタキシャル層に、pウエル13が形成されている。
【0056】
本発明の特徴を成す凸部13aは、p型シリコン基板に複数設けられている。ビット線BL1〜BL3は、凸部13aを挟むpウエル13の表面に形成されている。ビット線BL1〜BL3は、pウエル13の表面の所定のところに、反対導電型であるn型不純物をイオン注入して形成される。後述するようにコラム方向に配列されたセルトランジスタTCの各ビット線BL1〜BL3は、コラム方向に一体化しており、ロウ方向に複数形成されている。
【0057】
また、コントロールゲートCGはポリシリコンから形成されている。コントロールゲートCGは、ロウ方向に一体化しており、後述するようにコラム方向に複数形成されていて、その各々はワード線WL1、WL2、…として機能する。
【0058】
コントロールゲートCGの上には、コントロールゲートCGの抵抗を下げるべく図示しないWSi膜が設けられている。さらにその上にコントロールゲートCGを保護すべく不図示のキャップ膜が設けられており、これはシリコン酸化膜から成る。
【0059】
凸部13aの頂面13cには、第1の絶縁膜であるゲート絶縁膜15cが設けられている。また、凸部13aは、対向する一対の側面13b、13bを有し、各側面13b、13bの表層には、反対導電型領域であるn型領域17、17が設けられている。このn型領域17、17の不純物濃度は、上記ビット線BL1、BL2の不純物濃度に比して、1/100〜1/10000であり、好ましくは1/1000程度の不純物濃度に選択される。
【0060】
第2の絶縁膜であるトンネル絶縁膜15aは、各側面13b、13bとビット線BL1、BL2、BL3とを覆っている。後述するが、ビット線BL1、BL2、BL3はソース・ドレイン領域としても機能するので、以下ではビット線BL1、BL2、BL3のことをソース・ドレイン領域とも称す。
【0061】
電荷蓄積膜SN1、SN2は、凸部13aの各側面側にあり、各々トンネル絶縁膜15aを介して、ソース・ドレイン領域BL1、BL2、BL3および側面13b、13bと対向している。第3の絶縁膜15bは、電荷蓄積膜SN1、SN2の各表面にある。なお、トンネル絶縁膜15a、第3の絶縁膜15b、およびゲート絶縁膜15cは、いずれもシリコン酸化膜から成る。
【0062】
一般に半導体製造上、溝の底部の隅、本実施例の場合ではソース・ドレイン領域BL1、BL2、BL3と接する溝の隅におけるトンネル絶縁膜の均一性は保証し難い。仮にトンネル絶縁膜の上に形成される電荷蓄積膜が導電体である場合、トンネル絶縁膜のこの部分から蓄積電荷が漏洩しやすい。しかし本発明では、シリコン窒化膜SN1、SN2は導電性を有していないので、トンネル絶縁膜のこの部分の均一性が悪くても蓄積電荷の保持は保証されるという利点がある。
【0063】
さらに、以下の利点もある。仮に電荷蓄積膜が導電体である場合、同一溝内の左右の側面に形成した2つの電荷蓄積膜間は、互いに電気的に分離して形成することが要求される。それぞれ、独立に電荷を蓄積する必要があるからである。ところが製造上、溝内に2つの導体を分離して形成する工程が困難性を伴う。しかし本発明では、電荷蓄積膜SN1、SN2は絶縁体からなるため、同一溝内の左右の側面に形成した電荷蓄積膜を互いに電気的に分離することなく連続して形成してよい。なぜならば、左右の電荷蓄積膜に蓄積されている電荷は、電荷蓄積膜自体の絶縁性のため互いに分離して保持できるからである。分離不要なため、溝の左側にある電荷蓄積膜SN2と、溝の右側にある電荷蓄積膜SN1とは、本実施例では製造上の便宜から、溝の底部において接続されたままにしてある。
【0064】
図1のコントロールゲートCGはその一部が少なくとも、第3の絶縁膜15bを介して電荷蓄積膜SN1、SN2と対向し、またゲート絶縁膜15cを介して頂面13cと対向している。このコントロールゲートCGは、第3の絶縁膜15bを介して電荷蓄積膜SN1、SN2と対向する部分と、ゲート絶縁膜15cを介して頂面13cと対向する部分とを一体化して、全体として1つのコントロールゲートを形成することとした。
【0065】
なお、コントロールゲートCGは、上記第3の絶縁膜15bを介して電荷蓄積膜SN1、SN2と対向する部分と、ゲート絶縁膜15cを介して頂面13cと対向する部分とを、2種類のコントロールゲートセグメントとして各々電気的に独立して形成し、これらを独立に電気制御するようにしてもよい。
【0066】
上記の構造では、チャネルは、凸部13aの両側面13b、13bと頂面13cの各表層に三次元的に形成されており、従来のように一平面内に形成されていないので、少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、デバイスの小型化を図ることができる。
【0067】
凸部13aのp型不純物濃度は、セルトランジスタTCがノーマリーオフとなるように調整されている。すなわち、ソース・ドレイン領域BL1(BL2)のうちの一方のソース・ドレイン領域BL1(BL2)に所定電圧がバイアスされた状態で、このバイアスされたソース・ドレイン領域BL1(BL2)とコントロールゲートCGとの電位差が閾値電圧以下のとき、ゲート絶縁膜15cを介してコントロールゲートCGによって制御される凸部の頂面近傍のチャネル領域がオフ状態となり、その結果、セルトランジスタTCがオフ状態となり、電位差が閾値電圧以上のとき、トランジスタTCがオン状態となるように、p型不純物濃度は調整されている。なお、ソース・ドレイン領域BL1(BL2)にバイアスされる所定電圧とは、書込み、読出し等の各種の動作時に印加される後述の電圧VDDを言う。
【0068】
図2は、セルトランジスタTCの等価回路を模式的に表した図であり、さまざまな容量を示している。各容量の意味は次の通りである。
・CCG ・・・コントロールゲートCGと凸部13aの頂面13cとの対向容量である。
・CCF1 (CCF2)・・・コントロールゲートCGと電荷蓄積層SN1(SN2)との対向容量である。電荷はトンネル絶縁膜15aと電荷蓄積層SN1(SN2)との界面近傍に蓄積されると考えられるため、この対向容量は、第3の絶縁膜15bの容量と電荷蓄積層SN1(SN2)の容量とを直列に接続した容量に等しいと考えられる。
・CFG1 (CFG2)・・・電荷蓄積層SN1(SN2)と、凸部13aの側面13bとの対向容量である。これは、側面13bに対向するトンネル絶縁膜15aによる容量である。
【0069】
これらの容量に関しては、以下の大小関係がある。トンネル絶縁膜15aを介して電荷蓄積膜SN1(SN2)が凸部の側面と対向して形成する静電容量CFG1 (CFG2)は、ゲート絶縁膜15cを介してコントロールゲートCGが凸部の頂面と対向して形成する静電容量CCGより大きい。また、トンネル絶縁膜15aを介して電荷蓄積膜SN1(SN2)が凸部の側面と対向して形成する静電容量CFG1 (CFG2)は、電荷蓄積膜SN1(SN2)および第3の絶縁膜15bを介して電荷蓄積膜SN1(SN2)がコントロールゲートCGと対向して形成する静電容量CCF1 (CCF2)より大きい。
【0070】
セルトランジスタTCは、コラム方向およびロウ方向に複数配列されている。コラム方向に隣接するセルトランジスタ同士は、ソース・ドレイン領域BLが共通であり、また、ロウ方向に隣接するセルトランジスタTCは、コントロールゲートCGを共有し、かつ、それらの間のソース・ドレイン領域BLを共有する。
【0071】
(2)駆動方法
次に、上述のセルトランジスタTCの駆動方法について説明する。
【0072】
i) 書込動作
書込動作について、図3を参照して説明する。図3は、セルトランジスタTCへの書込動作について示す断面図である。上述のごとく、凸部13aの両側方には一対の電荷蓄積膜SN1、SN2が設けられており、本発明によれば、各電荷蓄積膜SN1、SN2の界面近傍に独立に電子eを注入することができる。
【0073】
例えば、右側の電荷蓄積層SN2に電子を注入するには、図3に示すように、コントロールゲートCGにゲート電圧VG(たとえば5.5V)を印加する。電子が注入される側のソース・ドレイン領域BL2に電圧VDD(たとえば3.5V)を印加する。基板13と、電子が注入されない側のソース・ドレイン領域BL1とは接地する。
【0074】
これによれば、コントロールゲートCGに正電位が印加されるから、頂面13cの表層に反転層13dが形成され、n型領域17、17同士が反転層13dにより電気的に接続される。n型領域17、17は、同じ導電型(すなわちn型)のソース・ドレイン領域BL1、BL2に接しているから、結局、ソース・ドレイン領域BL1、BL2が電気的に接続される。
【0075】
したがって、キャリア(本実施例では電子e)は、同図の矢印50、52の経路を流れることになる。特に、頂面13cを流れる電子eに注目されたい。この電子eから見れば、その運動方向に右側の電荷蓄積層SN2が位置する。よって、電子eがこの電荷蓄積層SN2に注入されるためには、従来のように電子eの運動方向を変える必要が無いから、電子eを電荷蓄積層SN2に引き付けるためのゲート電圧(すなわち書込電圧)VGを従来よりも下げることができる。さらに電荷蓄積層SN2は、静電容量の大きなゲート絶縁膜15aを介してドレイン電圧によって電位が引き上げられているから、電子eを電荷蓄積層SN2に引き付けるためのゲート電圧VGをさらに下げることができる。
【0076】
しかも、側面13bにn型領域17、17を設けたことで、側面13bが低抵抗となり、そこでの電圧降下が抑えられる。よって、頂面13cの両端に、ソース・ドレイン領域BL1〜BL2間電圧(たとえば3.5V)より若干低下した高い電圧が印加されるから、この電圧により電子eが頂面13cで勢いよく加速され、電荷蓄積層SN2に矢印52のように電子eが効率良く注入される。このように、n型領域17、17も、書込電圧VGを低減するのに寄与する。このn型領域17、17は、ソース・ドレイン領域の不純物濃度に比して、1/100〜1/10000、好ましくは1/1000程度の不純物濃度に選択される。
【0077】
上述の書込電圧VGが低減されるという利点は、頂面13cでのチャネル抵抗を大きくしても得ることができる。チャネル抵抗を大きくするには、ゲート絶縁膜15cを厚膜に形成して、コントロールゲートCGとチャネル領域との間の静電容量を小さくすればよい。本実施例では、図3に示すように、ゲート絶縁膜15cをトンネル絶縁膜15aよりも厚くすることで静電容量を小さくし、チャネル抵抗を大きくしている。
【0078】
チャネル抵抗を大きくする構造は上記に限定されず、凸部13aの頂面13c付近(上述の反転層13dが形成される領域)を、一導電型(本実施例ではp型)不純物領域である高抵抗領域にしてもよい。高抵抗領域は、頂面13c付近に、凸部13aよりも高濃度のp型不純物をイオン注入して形成できる。
【0079】
頂面13cでのチャネル抵抗を大きくすると、頂面13cでの電圧降下が大きくなるから、頂面13cの両端にソース・ドレイン領域BL1〜BL2間電圧より若干低下した高い電圧が印加される。よって、上述したのと同じ理由により、書込電圧VGを低減することができる。
【0080】
このように、書込電圧VGを低減するには、i)側面13bにn型領域17、17を設けるか、ii)トンネル絶縁膜の静電容量を大きくして、電荷蓄積層をドレイン電圧によって引き上げるか、iii)ゲート絶縁膜15cを厚膜にするか、またはiv)頂面13cに高抵抗領域13eを設ければよい。これらi)〜iv)を任意に組み合わせることで、上述の利点を得ることもできる。i)〜iv)のいずれの場合であっても、書込電圧VGは約5.5V程度で良く、従来例(約12〜13V)よりも格段に低くすることができる。
【0081】
図3は、電荷蓄積膜SN2への電荷の蓄積工程(書込工程)を模式的に示すものであり、蓄積工程の初期においては、矢印52のように電荷eが流れて、チャネル上部に対向するシリコン酸化膜15aとシリコン窒化膜SN2との界面にバリスティック注入によって電荷eが注入される。当該部分に電荷eが注入された後は、電荷eによる電界によって、電荷eの流れが矢印51のように順次下方に移る。この結果、順次下方のシリコン窒化膜SN2にバリスティック注入が行なわれ、チャネル側壁の広い領域の電荷蓄積膜SN2に電荷注入が行なわれる。
【0082】
このように、従来技術のMONOS構造と比較して本実施例では、チャンネル領域側面に広い面積で電荷蓄積膜SN1、SN2を形成でき、かつチャンネル領域側面の広い領域にわたって電荷を蓄積できることから、電荷の蓄積電荷量を大きくすることができる。チャンネル領域側面の高さが40nmの場合、実効的に5nm程度の領域に電荷を蓄積する従来技術のMONOS構造に対して8倍から10倍の電荷量を蓄積できる。
【0083】
図3では、右側の電荷蓄積層SN2にのみ電子が注入されたが、左側の電荷蓄積層SN1に電子を注入するには、ソース・ドレイン領域BL1、BL2の電圧を入れ替えればよい。よって、本実施例では、図4(a)〜(d)に示す4状態が得られる。
【0084】
図4(a)は、両電荷蓄積膜SN1、SN2に電子eが注入されていない“(1、1)”状態を示す。図4(b)、(c)は、電荷蓄積膜SN1、SN2の一方にのみ電子eが注入された“(1、0)”、“(0、1)”状態を示す。図4(d)は、両電荷蓄積膜SN1、SN2に電子eが注入された“(0、0)”状態を示す。この状態を得るには、例えば、右側の電荷蓄積層SN2に電子eを注入した後、左側の電荷蓄積層SN1に電子eを注入すればよい。かくして、本実施例では、1つのセルトランジスタTCに2ビットのデータ“(1、1)”〜“(0、0)”を書き込むことができる。
【0085】
本実施例では電荷蓄積膜SN1、SN2が2つ設けられ、各電荷蓄積膜SN1、SN2に電子eが独立に存在するから、セル縮小を図る場合でも、どちらの電荷蓄積膜SN1、SN2に電子eが存在するのかが明確であり、従来例のごとくどちらのビットに電子eが局在するか不明瞭になることが無い。
【0086】
ii) 読み出し動作
次に、読み出し動作について、図5(a)〜(b)を参照して説明する。データを読み出すには、まず、図5(a)に示すように、コントロールゲートCGにゲート電圧VG(たとえば5V)を印加する。そして、一方のソース・ドレイン領域BL2に電圧VDD(たとえば1.2V)を印加し、他方のソース・ドレイン領域BL1と基板12とを接地する。
【0087】
この電位配分だと、コントロールゲートCGが正電位となるから、凸部13aの頂面に反転層13dが形成される。よって、同図の矢印の向きにドレイン電流Id1が流れる。
【0088】
次いで、図5(b)に示すように、ゲート電圧VG(すなわち5V)はそのままで、ソース・ドレイン領域BL1、BL2の電圧を入れ替える。このようにすると、ソース・ドレイン領域BL1〜BL2間の電位差が反転するから、同図の矢印の向きにドレイン電流Id2が流れる。
【0089】
本実施例では、上記のようにソース・ドレイン領域BL1、BL2の電圧を入れ替え、各回のドレイン電流Id1、Id2を計測する。ドレイン電流Id1、Id2の大きさは、各状態によって後述のごとく異なる。よって、各回のドレイン電流値のセット(Id1、Id2)と、各状態とを一対一に対応させることにより、どの状態であるかを読み出すことができる。次に、各状態“(1、1)”〜“(0、0)”におけるドレイン電流値について説明する。
【0090】
(a)“(1、0)”状態
図6(a)〜(b)は、“(1、0)”状態を読み出す場合の断面図である。図6(a)において、それぞれの部材に印加する電圧は上述の図5(a)の通りであって、この電圧によりドレイン電流Id1が流れる。
【0091】
図6(a)の状態では、右側の電荷蓄積層SN2は、電子が注入されたことにより電位が下がる。しかし、電荷蓄積層SN2の電位は、対向容量CCF2によって、コントロールゲートCG(5V)やソース・ドレインBL2(1.2V)の正電位側に引き上げられる。
【0092】
結局、電荷蓄積層SN2の電位下降が抑えられるから、電荷蓄積層SN2近傍でのチャネル抵抗はそれ程大きくない。したがって、ドレイン電流Id1の電流値は比較的大きくなる。
【0093】
特に、図のようにn型領域17を設けた場合は、n型領域17はソース・ドレイン領域BL2に接するから、n型領域17の電位がソース・ドレイン領域BL2のそれとほぼ同じとなる。したがって、電荷蓄積層SN2の電位は、対向容量CFG2によってもソース・ドレインBL側に引き上げられる。よって、右側の電荷蓄積層SN2近傍のチャネル抵抗がさらに小さくなるから、ドレイン電流Id1の電流値はより一層大きくなる。
【0094】
一方、図6(b)は、ソース・ドレインBL1、BL2の電圧を入れ替えて、ドレイン電流Id2を流した場合である。この場合、注入電子によって、右側の電荷蓄積層SN2の電位が下がる。しかも、右側のソース・ドレイン領域BL2が接地されるから、電荷蓄積層SN2の電位は、ソース・ドレイン領域BL2との対向容量CFDにより接地側に引き下げられる。よって、電荷蓄積層SN2の電位が図6(a)の場合よりも低くなるから、電荷蓄積層SN2近傍のチャネル抵抗が大きくなり、ドレイン電流Id2が先のId1よりも小さくなる。
【0095】
特に、n型領域17を設けると、右側の電荷蓄積層SN2の電位は対向容量CFG2によっても接地側に引き下げられ、ドレイン電流Id2がより一層小さくなる。このように、“(1、0)”状態は、
・(Id1、Id2)=(大、小)
で識別することができる。このドレイン電流Id1、Id2の大小の判定は、図示しないセンスアンプが基準電流と比較して行う。
【0096】
本実施例では、各ドレイン電流Id1、Id2の電流量は、対向容量CCF2、CFD、CFG2によって、上述のごとく所望に大にしたり小にしたりすることができ、その差(I d1−Id2)を所望に大きくすることができる。差(I d1−Id2)とは電流ウインドウであるから、本実施例では電流ウインドウを所望に広げることができる。電流ウインドウが広いので、ドレイン電流Id1、Id2と基準電流とのマージンが広くなり、書込データを誤認する危険性が低減できる。
【0097】
(b)“(0、1)”状態
“(0、1)”状態は、上記とは反対に左側の電荷蓄積層SN1に電子が注入される。よって、各ドレイン電流Id1、Id2の電流値は、上記の議論と同様にして評価され、
・(Id1、Id2)=(小、大)
となる。
【0098】
(c)“(1、1)”状態
“(1、1)”状態は、いずれの電荷蓄積膜SN1、SN2にも電子が注入されない。したがって、各電荷蓄積膜SN1、SN2の電位は電子によって引き下げられないから、Id1、Id2の双方とも大となる。また、この状態は左右対称であるから、Id1とId2とに差は生じず、
・(Id1、Id2)=(大、大)
となる。
【0099】
(d)“(0、0)”状態
“(0、0)”状態は、両方の電荷蓄積膜SN1、SN2に電子が注入されるから、左右対称となる。したがって、Id1とId2とに差は生じず、
・(Id1、Id2)=(小、小)
となる。
【0100】
iii) 消去動作
次に、電荷蓄積膜SN1、SN2に注入された電子の消去方法について説明する。蓄積電子を引き抜くには、図7に示すように、電子をソース・ドレイン領域BL1、BL2に引き抜く方法が考えられる。この方法では、コントロールゲートCGを接地して、ソース・ドレイン領域BL1、BL2に高電位“H”(たとえば12V)を与える。ここで、コントロールゲートCGと、ソース・ドレイン領域BL1、BL2との電位差は相対的に設定することができ、たとえば、コントロールゲートCGに−6Vを、ソース・ドレイン領域BL1、BL2に6Vを印加するようにしてもよい。
【0101】
iv) 非選択時
上記i)〜iii)は、いずれもセルトランジスタTCが選択されている場合であった。実際の動作では、セルトランジスタTCが常に選択されているということはなく、非選択状態の場合もある。
【0102】
非選択状態でもビット線、たとえばビット線BL1(図1参照)には、他のセルトランジスタTCを選択すべく、各動作用の電圧VDDが印加される。この場合、非選択セルトランジスタTCの電荷蓄積層SN1は、凸部側壁との大きい対向容量CFG1により、ビット線BL1の電位に引き付けられる。よって、電荷蓄積層SN1とソース・ドレイン領域BL1との間の電位差が小さくなるから、それらの間のトンネル絶縁膜15aが高電界に曝されることが無い。したがって、トンネル絶縁膜15aにトンネル電流が流れ難くなり、トンネル絶縁膜15aの劣化を防ぐことができる。
【0103】
ここで、上記駆動時i)〜iv)の各利点を得るために、電荷蓄積層SN1(SN2)と、凸部側壁との対向容量CFG1、CFG2が重要な役割を果たしているのに注意されたい。本実施例では、電荷蓄積層SN1(SN2)を凸部側壁およびソース・ドレイン領域BL1(BL2)上に覆設することにより、電荷蓄積層SN1〜SN2の間隔を狭めてデバイスを小型化すると共に、対向容量CFG1、CFG2を大きく稼いで上述の利点を得やすくしている。
【0104】
(3)パンチスルー対策と閾値電圧Vthの安定化
ところで、上記の書き込みや読み出し動作の際に、ソース・ドレイン領域BL1〜BL2間のパンチスルーが問題になるなら、図8に示す構造を採用することがよい。図8中のグラフは、凸部13aの深さと、その深さでのボロン(p型不純物)濃度との関係を示すものである。この構造では、凸部13aのボロン濃度を深さ方向に漸増させて、凸部13aの基端部でのボロン濃度を高くする。このようにすると、ソース・ドレイン領域BL1、BL2に近い部位の側面13b、13bにおいて、ボロン濃度が高くなる。
【0105】
上記の構造により、n型のソース・ドレイン領域BL1、BL2に近い部位のチャネルにおいてp型不純物の濃度が高くなるから、チャネルは、n型のソース・ドレイン領域BL1、BL2を直線的に結んだ領域(n型のソース・ドレイン領域BL1、BL2に近い部位)から離間した領域、すなわち凸部の側面13b、13bと頂面13cの各表層に形成されることとなる。このことは、上記の構造により、n型のソース・ドレイン領域BL1、BL2に近い部位のチャネルにおいてp型不純物の濃度が高くなるから、ソース・ドレイン領域BL1、BL2がパンチスルーしにくくなることも意味しており、このセルトランジスタを集積化して半導体メモリを形成する場合に、高い集積度を実現することが可能となる。
【0106】
ところで、セルトランジスタTCの閾値電圧Vthは、基端部の側面13b、13bでの不純物濃度に大きく影響される。したがって、上述のように基端部でボロン濃度を高くすると、セルトランジスタTCの閾値電圧Vthは高くなる。
【0107】
しかし、側面13bにn型領域17を設けると、このn型領域17中のn型不純物と側面13bのp型不純物とが補償するから、側面13bでの実質的なアクセプタ濃度を下げることができる。よって、たとえ凸部13aの基端部でのボロン濃度を高くしても、n型領域17を設けることで、トランジスタの閾値電圧Vthの増加を抑えることができる。
【0108】
また、上述のごとく、閾値電圧Vthは基端部の不純物濃度にデリケートであるから、Vthを安定させるためには基端部で不純物濃度が余り変動しないようにすることが好ましい。したがって、凸部13aにおけるボロン濃度は、単に漸増するだけでなく、太線で示すピークをなるべくフラット(平坦)に形成し、フラットな部位を凸部13aの基端部に位置させることが好ましい。フラットな部位では、ボロン濃度が余り変動しないから、ボロン濃度とn型領域17中のヒ素濃度との濃度関係がほぼ一定となり、閾値電圧Vthを安定させることができる。
【0109】
(4)コントロールゲート−ビット線間のリーク電流
本発明では、図1に示すように、ロウ方向に隣接するセルトランジスタTC、TC間のA部において、コントロールゲートCGとビット線BL2とが対向する。よって、A部において、各種の動作時に、コントロールゲートCGとビット線BL2との間にリーク電流が流れる可能性が考えられる。
【0110】
しかし、コントロールゲートCGとビット線BL2との間には、トンネル絶縁膜15a、電荷蓄積膜SN1、SN2、第3の絶縁膜がある。これらの膜の厚みによって、上記のリーク電流を防ぐことができる。
【0111】
(5)ビット線の低抵抗化
再び、図1を参照されたい。同図では、セルトランジスタTC、TC、・・・は数個しか記載されていないが、実際のデバイスでは多数形成される。セルトランジスタTC、TC、・・・が多数あると、それに伴いビット線BL1〜BL4もコラム方向に長く延びる。よって、ビット線BL1〜BL3の抵抗が無視できなくなるから、ビット線BL1〜BL3をできるだけ低抵抗にすることが好ましい。
【0112】
このため、ビット線BL1〜BL3に、高濃度の反対導電型領域であるn+領域33を併設し、ビット線BL1〜BL3の抵抗を下げるようにしてもよい。図1では、n+領域33を設けるとした場合のその位置を示す。なお、図1では、n+領域33は、その断面しか見えないが、実際に設けるとした場合は、コラム方向にビット線BL1〜BL3に平行して設ける。これにより、ビット線BL1〜BL3の抵抗が下がるから、デバイスの動作速度の低下を抑えることができる。
【0113】
(6)他の実施例
図9に本発明の他の実施例を示す。図9に示した実施例は、図1に示した実施例におけるシリコン窒化膜からなる電荷蓄積膜SN1、SN2をシリコン・ナノ・ドットからなる電荷蓄積ノードSN1、SN2に置換した構成であり、他の構成は図1に示す実施例と同じであり、同一の構成部分には同一の番号または記号を付し、説明を省略する。本発明においては、図1の電荷蓄積膜SN1およびSN2、図9の電荷蓄積ノードSN1、SN2を総称して、電荷記憶サイトと称することとする。
【0114】
図9に示した実施例において、シリコン・ナノ・ドットは、たとえば、応用物理学会編「応用物理」Vol.71、No.8、2002(2002年8月10日発行)の第970頁〜第973頁に記載の技術を用いることができる。すなわち、シリコン・ナノ・ドットからなる電荷蓄積ノードは、凸部13aを有する一導電型半導体基板13上に、シリコン酸化膜からなるトンネル絶縁膜15aを各側面13b、13bとビット線BL1、BL2、BL3とを覆うように形成した後、トンネル絶縁膜15a上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)、エアロゾル堆積法、シリコンリッチ絶縁膜のアニール、ドット材料の絶縁膜中へのインプラント後のアニールなどの手段(特に、容易にドット径や絶縁膜厚条件を設定できることから、特にCVDによる形成手段を用いることが望ましい)で微小シリコンドットを互いのドット間が非導電性を呈するように、少なくとも凸部側面13bに対向する面状に形成し、さらにその上に第3の絶縁膜15bを設けることにより形成することができる。このシリコン・ナノ・ドットからなる電荷蓄積ノードSN1、SN2は図9に示したように、凸部13aの各側面13b、13bおよびビット線BL1、BL2、BL3に対向するように形成してもよいが、各側面13b、13bにのみ対向するように選択的に設けてもよい。
【0115】
この実施例において重要なことは、上記図2において説明したことと同様に、トンネル絶縁膜15aを介してシリコン・ナノ・ドットからなる電荷蓄積ノードSN1、SN2が凸部側面13b、13bと対向して形成する静電容量CFG1(CFG2)は、ゲート絶縁膜15cを介してコントロールゲートCGが凸部頂面13cと対向して形成する静電容量CCGより大きいことである。同様に、トンネル絶縁膜15aを介してシリコン・ナノ・ドットからなる電荷蓄積ノードSN1、SN2が凸部側面13b、13bと対向して形成する静電容量CFG1(CFG2)は、第3の絶縁膜15bを介して電荷蓄積ノードSN1、SN2がコントロールゲートCGと対向して形成する静電容量CCF1(CCF2)より大きいことである。
【0116】
以上、複数の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されない。本発明は、その主旨を逸脱しない範囲内で適宜変形することができる。例えば、上記では半導体メモリについて説明したが、半導体メモリ以外の半導体装置にも本発明を適用することができる。また、上記では、一導電型としてp型を用い、反対導電型としてn型を用いたが、これに代えて、一導電型としてn型を用い、反対導電型としてp型を用いてもよい。
【0117】
【発明の効果】
このように本発明によれば、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に形成される。これにより、少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。
【0118】
また凸部の各側面は、電荷記憶サイトと対向するから、頂面を流れているキャリアの進行方向に電荷記憶サイトが位置することになる。よって、書き込みの際、キャリアが電荷記憶サイトに注入されるためには、従来のように当該キャリアの進行方向を変える必要が無いから、キャリアを加速するための加速電圧を低減することができる。したがって、本発明では、従来よりも書込電圧を低くすることができる。
【0119】
これに加え、本発明では電荷記憶サイトが2面設けられ、各電荷記憶サイトに電子が独立に存在するから、トランジスタを微細化する場合でも、どちらの電荷記憶サイトに電子が存在するかが明確であり、従来例のごとくどちらのビットに電子が局在するか不明瞭になることが無い。
【0120】
また、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ凸部の基端部の一導電型不純物濃度を、他の凸部の一導電型不純物濃度よりも高濃度としたため、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に形成され易くなる。これにより、さらに少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。
【0121】
また、これにより各側面は、電荷記憶サイトと対向するから、頂面を流れているキャリアの進行方向に電荷記憶サイトが位置することになる。よって、書き込みの際、キャリアが電荷記憶サイトに注入されるためには、従来のように当該キャリアの進行方向を変える必要が無いから、キャリアを加速するための加速電圧を低減することができる。したがって、従来よりも書込電圧を低くすることができる。
【0122】
さらに、上記の構成によれば、ソース・ドレイン領域のパンチスルーを防止することができる。その結果、読出電圧を比較的高くしても、パンチスルーを発生させることがなく、大きな読出信号を得ることができる。さらには、パンチスルーを防止することができる結果、セルトランジスタのソース・ドレイン間の間隙をさらに小さくすることが可能となり、更なる微細化が可能となる。
【0123】
さらにこれらのトランジスタにおいて、凸部の側面に、ソース・ドレイン領域と接する反対導電型領域を設けてもよい。この領域を設けた場合も、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に容易に形成される。これにより、少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。また、当該領域でのチャネル抵抗を抑えることができ、電圧効果が抑えられる。その結果、当該領域に、ソース・ドレイン間電圧に比して、若干低下しただけの電圧が印加することができるから、この電圧によりキャリアが勢いよく加速され、書込みにおいては電荷記憶サイトに効率よくキャリアの注入が行われる。また読出し時にも当該部分におけるチャネル抵抗が抑えられる。
【0124】
また、ソース・ドレイン間を直線的に結んだ領域の不純物濃度を高くする方法と、凸部の側面にソース・ドレイン領域と接する反対導電型領域を設ける方法とを組み合わせると、当該反対導電型不純物が凸部の基端部における高い濃度の一導電型不純物を補償することができる。これにより凸部の基端部で高い濃度の一導電型不純物を形成することに伴うトランジスタの閾値電圧が高くなることを抑えることができる。
【0125】
これらのトランジスタにおいて、第2の絶縁膜を介して電荷記憶サイトが凸部の側面と対向して形成する第2の静電容量は、第1の絶縁膜を介してコントロールゲートが凸部の頂面と対向して形成する第1の静電容量より大きいことが好ましい。また、第2の絶縁膜を介して電荷記憶サイトが凸部の側面と対向して形成する第2の静電容量は、第3の絶縁膜を介して電荷記憶サイトがコントロールゲートと対向して形成する第3の静電容量より大きいことが好ましい。
【0126】
この場合も、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に形成され易くなる。これにより、少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。
【0127】
一方、読出しに関しては、以下の効果がある。電荷記憶サイトが、一対のソース・ドレイン領域のうちの高電位側にあると、電荷記憶サイトの電位が正電位側に引き付けられる。よって、当該電荷記憶サイトにキャリアとしてたとえば電子が注入されていない場合はソース・ドレイン電圧によって、電荷記憶サイト近傍のチャネル電流は大きくなり、一方、電子が注入されている場合でも、当該電子による電荷記憶サイトの低電位化が抑えられ、電荷記憶サイト近傍のチャネルは比較的大きくなる。よって、これらの場合、ドレインId1は所望に大となる。
【0128】
一方、ソース・ドレイン間の電位差を反転させると、上記した電荷記憶サイトの電位が低電位側に引き付けられる。一方、当該電荷記憶サイトは、同時に比較的小さな静電容量を有する電荷記憶サイトによってコントロールゲートにも容量結合されている。したがって、当該電荷記憶サイトに電子が注入されていない場合には、電荷記憶サイトが第3の絶縁膜を介してゲート電圧(Vg)によってわずかに正電位に引き上げられ、あるいはこの電位がない場合でも、凸部の側面に設けられた反対導電型領域の存在によって、電荷記憶サイト近傍のチャネルは確保され、ドレインId2は所望の大きさとなる。他方、当該電荷記憶サイトに電子が注入されている場合には、当該電荷記憶サイトは、上述の状態から、注入電子による電位降下によって電位が引き下げられ、これによって、電荷記憶サイト近傍のチャネル抵抗が大きくなるから、この場合のドレイン電流Id2は所望に小となる。よって、本発明では、ドレイン電流Id1、および電荷記憶サイトに電子が注入された状態におけるId2の差(電流ウインドウ)が所望に広がる。
【0129】
さらにまた、トランジスタが非選択状態の場合、このトランジスタに繋がる他のトランジスタを選択するために、ソース・ドレイン領域に種々の電位を与えても、電荷記憶サイトは、このソース・ドレイン領域の電位側に引き付けられる。
【0130】
よって、電荷記憶サイトとソース・ドレイン領域との間の電位差が小さくなるから、それらの間の第2の絶縁膜に高電界が印加されることが無い。したがって、第2の絶縁膜にトンネル電流が流れ難くなり、第2の絶縁膜が劣化することが防がれる。
【0131】
その上、上記のように電位差が小さくなることから、ソース・ドレイン領域と基板とのpn接合で高電界によりホットホールが発生することが抑えられるため、ホットホールにより第2の絶縁膜が劣化することも防がれる。換言するなら、本発明ではバンド間トンネル耐性が向上する。
【0132】
以上のトランジスタにおいては、書込みを行うときは、ソース・ドレイン領域間に書込み用の電位差を与えるとともに、コントロールゲートに書込電圧を印加することにより、チャネル領域が凸部の両側面と頂面の各表層に形成し、これにより少なくとも一方の電荷記憶サイトに電荷がバリスティック注入させる。
【0133】
チャネルが凸部の両側面と頂面の各表層に形成されるため、キャリアは、一方の側面→頂面→他方の側面と流れる。各側面は、電荷記憶サイトと対向するから、頂面を流れているキャリアから見ると、キャリアの進行方向に電荷記憶サイトが位置することになる。よって、キャリアが電荷記憶サイトに注入されるためには、従来のようにキャリアの進行方向を変える必要が無いから、キャリアを加速するための加速電圧を低減することができる。よって、従来よりも書込電圧を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る半導体メモリが備えるセルトランジスタの拡大断面図である。
【図2】本発明の実施例に係る半導体メモリが備えるセルトランジスタの等価回路を模式的に表した図である。
【図3】本発明の実施例に係る半導体メモリが備えるセルトランジスタへの書込動作について示す断面図である。
【図4】本発明の実施例に係る半導体メモリが備えるセルトランジスタが達成し得る4値状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例に係る半導体メモリが備えるセルトランジスタの読出動作について示す断面図である。
【図6】本発明の実施例に係る半導体メモリが備えるセルトランジスタにおいて、“(1、0)”状態を読み出す場合の断面図である。
【図7】電荷蓄積膜に注入された電子の消去方法の一例を示す断面図である。
【図8】本発明の実施例において、pウエルの表面からの深さと、その深さでのボロン濃度との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の他の実施例に係る半導体メモリが備えるセルトランジスタの拡大断面図である。
【図10】従来例に係る多値セルトランジスタの断面図である。
【図11】従来例に係る多値セルトランジスタへの書込動作を示すための断面図である。
【図12】従来例に係る多値セルトランジスタが達成し得る4状態の断面図である。
【符号の説明】
12 p型シリコン基板(一導電型半導体基板)
13 pウエル
13a 凸部
13b 凸部の側面
13c 凸部の頂面
15a トンネル絶縁膜(第2の絶縁膜)
15b 第3の絶縁膜(第3の絶縁膜)
15c ゲート絶縁膜(第1の絶縁膜)
17 n型領域
28 トレンチ
33 n+領域
SN1、SN2 電荷記憶サイト
BL1〜BL3 ビット線
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランジスタとそれを用いた半導体メモリに関する。より詳細には、本発明は、半導体メモリの多値化に有用な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
EEPROM (Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリは、携帯電話機等に搭載されて、現在広く普及している。通常、EEPROMは、1つのセルトランジスタに1ビットの情報しか書き込めない。しかし、デバイスの小型化を図るためには、セルトランジスタの多値化を図り、1つのセルトランジスタに2ビット以上書き込めることが好ましい。
【0003】
この多値化技術の一例を図10に示す。図10は、従来例に係る多値セルトランジスタの断面図である(係る多値化技術については、たとえば特許文献1参照。)。
【0004】
図10において、セルトランジスタ1は、いわゆるMONOS (Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)構造を有している。このMONOS構造を構成するのは、コントロールゲート7(Metal)、シリコン酸化膜6(Oxide)、シリコン窒化膜5(Nitride)、シリコン酸化膜4(Oxide)、そしてp型シリコン基板2(Semiconductor)である。
【0005】
この種のセルトランジスタにおいては、n型のソース・ドレイン領域3、8は、書込シーケンスや読み出しシーケンスにおける種々のステージで、今までソースであったものがドレインになったりする。すなわち、ソース・ドレイン領域3、8のどちらがソースでどちらがドレインであるとは確定できない。よって、ソースと言う場合には、ソース・ドレイン領域3、8のうちキャリア(この例では電子)が放出される方を指し、ドレインはもう一方を指すことにする。
【0006】
このセルトランジスタ1にデータを書き込むには、図11(a)のような方法を採る。この方法では、ソース8を接地し、ドレイン3とコントロールゲート7とに適当な正電位VD1、VG1を与える。
【0007】
これによって、ソース・ドレイン領域8、3間の電界で電子が加速されて、ドレイン3の近傍でホットエレクトロンが発生する。ホットエレクトロンは、フォノン等との衝突や、コントロールゲート7の正電位により、シリコン酸化膜4のエネルギ障壁を越えてシリコン窒化膜5に注入される。シリコン窒化膜5には導電性がないから、注入されたホットエレクトロンは、シリコン窒化膜5においてドレイン3に近い部位(以下では、「右側ビット」と呼ぶ)に局在する。この状態が“(1、0)”状態である。
【0008】
同じことを、ソース・ドレイン電圧を入れ替えて行えば、図11(b)に示すように、シリコン窒化膜5においてドレイン8に近い部位(以下では、「左側ビットと」呼ぶ)に電子が局在し、“(0、1)”状態が得られる。
【0009】
図12(a)〜(d)は、セルトランジスタ1で達成し得る4状態を示す。“(1、1)”状態(図12(a)参照)は、左右のいずれのビットにも電子が蓄積されない。そして、“(0、0)”状態(図12(d)参照)は、左右の両ビットに電子が蓄積される。こうして、セルトランジスタ1では、2ビットのデータを書き込むことができる。
【0010】
読み出しは、ソース・ドレイン領域8、3の各々への印加電圧を入れ替えることによりドレイン電流を2回計測し、各回のドレイン電流値と基準電流値との大小を比較して行われる。
【0011】
“(0、0)”状態(図12(d)参照)は、両ビットに電子が局在するから、シリコン窒化膜5の電位が4値の中で最も低くなる。よって、セルトランジスタ1の閾値電圧が最も高くなり、ドレイン電流は殆ど流れない。ドレイン電流値は、ソース・ドレイン領域8、3の印加電圧を入れ替えても同じで、ほとんど零である。よって、各回のドレイン電流値は基準電流よりも小であると計測される。
【0012】
“(1、1)”状態(図12(a)参照)は両ビットに電子が無いから、シリコン窒化膜5の電位が4状態の中で最も高い。よって、閾値電圧が4状態の中で最も低くなり、ドレイン電流が最も多く流れる。このドレイン電流値は、ソース・ドレイン領域8、3を入れ替えても同じで、4状態の中で最も大きい。すなわち、各回のドレイン電流値は基準電流よりも大であると計測される。
【0013】
一方、“(1、0)”と“(0、1)”の各状態(図12(b)、(c)参照)は、電子が一方のビットにのみ局在するから、セルトランジスタ1が左右非対称になり、ソース・ドレイン領域8、3の印加電圧を入れ替えるとドレイン電流値が異なる。よって、“(1、0)”と“(0、1)”との分別は、初回と終回のどちらのドレイン電流が基準電流より大であるか(または小であるか)を判定することにより行える。
【0014】
【特許文献1】
米国特許第6,011,725号明細書。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のメモリトランジスタ1には、次のような問題点がある。一点目は、書き込みに際し(図11(a)、(b)参照)、ホットエレクトロンをシリコン窒化膜5に注入するため、コントロールゲート7に高電位VG1を印加する必要がある点である。
【0016】
ホットエレクトロンがシリコン窒化膜5に注入されるためには、ホットエレクトロンは、シリコン基板2の導電帯からシリコン酸化膜4の導電帯にトンネリングしないといけない。これらの導電帯間のエネルギー差は約3.2eVである。
【0017】
しかし、ホットエレクトロンは、シリコン基板2中のフォノンとの衝突の際にエネルギーを失うので、3.2Vの電圧をコントロールゲート7に印加しても、上記の導電帯間をトンネリングできない。よって、実際には、12〜13Vの高電圧VG1をコントロールゲート7に印加する必要がある。
【0018】
高電圧を供給するのはデコーダ回路(図示しない)中の高耐圧トランジスタであり、高耐圧トランジスタは微細化できない。これは、微細化すると、高耐圧トランジスタのソース・ドレインがパンチスルーしてしまうという不都合が生じるからである。よって、この従来例では、デコーダ回路を含むEEPROM全体のチップサイズを縮小できない。
【0019】
二点目は、“(1、0)”状態や“(0、1)”状態を読み出す際、ドレイン電流の電流ウインドウが小さい点である。電流ウインドウとは、“(1、0)”状態や“(0、1)”状態を読む際に、ソース・ドレイン領域3、8の印加電圧を入れ替えて、2回計測した各回のドレイン電流値の差を言う。
【0020】
この電流ウインドウは、シリコン窒化膜5の右端(または左端)に電子がしっかりと局在し、したがってセルトランジスタ1が明確な非対称性を有する場合に大きくなる。
【0021】
ところが、セルトランジスタ1では、電子がシリコン窒化膜5にある程度の広がりをもって分布するから、非対称性が現れ難い。特に、セル縮小を図るべくゲート長L(図11(a)参照)を短くすると、左右どちらのビットに電子が局在するのかはっきりしなくなるから、セルトランジスタ1の非対称性が小さくなり、よって電流ウインドウも小さくなる。しかしながら、このように電流ウインドウが小さいと、ドレイン電流と基準電流値とのマージンが小さくなるから、書込データを誤認する危険性が高くなる。
【0022】
本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、従来よりも書込電圧を低くでき、かつ従来よりも電流ウインドウを大きくできる多値トランジスタとそれを用いた半導体メモリ、および多値トランジスタの製造方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、トランジスタにおいて、対向する一対の側面を有する凸部が設けられた一導電型半導体基板と、凸部の頂面上に形成された第1の絶縁膜と、凸部を挟む半導体基板の表面に形成された一対の反対導電型ソース・ドレイン領域と、凸部の側面とソース・ドレイン領域とを覆う第2の絶縁膜と、凸部の各側面側に沿って形成され、第2の絶縁膜を介して側面に対向する面として構成され、面内が非導電性を呈する電荷記憶サイトと、電荷記憶サイトを挟んで形成された第3の絶縁膜と、第3の絶縁膜を介して電荷記憶サイトと対向し、かつ第1の絶縁膜を介して凸部の頂面と対向するコントロールゲートとを備えたこととしたものである。
【0024】
本発明によれば、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に形成される。これにより、少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。
【0025】
また凸部の各側面は、電荷記憶サイトと対向するから、頂面を流れているキャリアの進行方向に電荷記憶サイトが位置することになる。よって、書き込みの際、キャリアが電荷記憶サイトに注入されるためには、従来のように当該キャリアの進行方向を変える必要が無いから、キャリアを加速するための加速電圧を低減することができる。したがって、本発明では、従来よりも書込電圧を低くすることができる。
【0026】
これに加え、本発明では電荷記憶サイトが2面設けられ、各電荷記憶サイトに電子が独立に存在するから、トランジスタを微細化する場合でも、どちらのサイトに電子が存在するかが明確であり、従来例のごとくどちらのビットに電子が局在するか不明瞭になることが無い。
【0027】
上記のトランジスタにおいて、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ凸部の基端部の一導電型不純物濃度は、基端部を除く凸部の一導電型不純物濃度よりも高濃度であることが好ましい。
【0028】
このトランジスタによれば、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ凸部の基端部の一導電型不純物濃度を、他の凸部の一導電型不純物濃度よりも高濃度としたため、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に形成され易くなる。これにより、さらに少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。
【0029】
また、これにより各側面は、電荷記憶サイトと対向するから、頂面を流れているキャリアの進行方向に電荷記憶サイトが位置することになる。よって、書き込みの際、キャリアが電荷記憶サイトに注入されるためには、従来のように当該キャリアの進行方向を変える必要が無いから、キャリアを加速するための加速電圧を低減することができる。したがって、従来よりも書込電圧を低くすることができる。
【0030】
さらに、上記の構成によれば、ソース・ドレイン領域のパンチスルーを防止することができる。その結果、読出電圧を比較的高くしても、パンチスルーを発生させることがなく、大きな読出信号を得ることができる。さらには、パンチスルーを防止することができる結果、セルトランジスタのソース・ドレイン間の間隙をさらに小さくすることが可能となり、更なる微細化が可能となる。
【0031】
さらにこれらのトランジスタにおいて、凸部の側面に、ソース・ドレイン領域と接する反対導電型領域を設けてもよい。この領域を設けた場合も、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に容易に形成される。これにより、少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。また、当該領域でのチャネル抵抗を抑えることができ、電圧降下が抑えられる。その結果、当該領域に、ソース・ドレイン間電圧に比して、若干低下しただけの電圧が印加することができるから、この電圧によりキャリアが勢いよく加速され、書込みにおいては電荷記憶サイトに効率よくキャリアの注入が行われる。また読出し時にも当該部分におけるチャネル抵抗が抑えられる。
【0032】
また、ソース・ドレイン間を直線的に結んだ領域の不純物濃度を高くする方法と、凸部の側面にソース・ドレイン領域と接する反対導電型領域を設ける方法とを組み合わせると、当該反対導電型不純物が凸部の基端部における高い濃度の一導電型不純物を補償することができる。これにより凸部の基端部で高い濃度の一導電型不純物を形成することに伴うトランジスタの閾値電圧が高くなることを抑えることができる。
【0033】
凸部の側面に設けられた、ソース・ドレイン領域と接する反対導電型領域の不純物濃度は、ソース・ドレイン領域の不純物濃度に対して1/100〜1/10000であることが好ましい。
【0034】
これらのトランジスタにおいて、第2の絶縁膜を介して電荷記憶サイトが凸部の側面と対向して形成する第2の静電容量は、第1の絶縁膜を介してコントロールゲートが凸部の頂面と対向して形成する第1の静電容量より大きいことが好ましい。また、第2の絶縁膜を介して電荷記憶サイトが凸部の側面と対向して形成する第2の静電容量は、第3の絶縁膜を介して電荷記憶サイトがコントロールゲートと対向して形成する第3の静電容量より大きいことが好ましい。
【0035】
この場合も、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に形成され易くなる。これにより、少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。
【0036】
これにより各側面は、電荷記憶サイトと対向するから、頂面を流れているキャリアの進行方向に電荷記憶サイトが位置することになる。よって、書き込みの際、キャリアが電荷記憶サイトに注入されるためには、従来のように当該キャリアの進行方向を変える必要が無いから、キャリアを加速するための加速電圧を低減することに寄与する。したがって、従来よりも書込電圧を低くすることができる。
【0037】
一方、読出しに関しては、以下の効果がある。読出しは、コントロールゲートに読出し電圧を印加するとともに、一対のソース・ドレイン領域間に所定電位差を印加することにより行われる。電荷記憶サイトは、大きな静電容量を有する第2の絶縁膜を介して凸部側面と容量結合される。そこで、読出電圧が正電位である場合について説明する。
【0038】
電荷記憶サイトが、一対のソース・ドレイン領域のうちの高電位側にあると、凸部側面との容量結合によっても電荷記憶サイトの電位が正電位側に引き付けられる。よって、当該電荷記憶サイトにキャリアとしてたとえば電子が注入されていない場合はソース・ドレイン電圧によって、電荷記憶サイト近傍のチャネル電流は大きくなり、一方、電子が注入されている場合でも、当該電子による電荷記憶サイトの低電位化が抑えられ、電荷記憶サイト近傍のチャネルは比較的大きくなる。よって、これらの場合、ドレインId1は所望に大となる。
【0039】
一方、ソース・ドレイン間の電位差を反転させると、上記した電荷記憶サイトは、低電位側のソース・ドレイン領域につながった凸部側面と対向することになる。一方、当該電荷記憶サイトは、同時に比較的小さな静電容量を有する第3の絶縁膜によってコントロールゲートにも容量結合されている。したがって、当該電荷記憶サイトに電子が注入されていない場合には、電荷記憶サイトが第3の絶縁膜を介してゲート電圧(Vg)によってわずかに正電位に引き上げられ、あるいはこの電位がない場合でも、凸部の側面に設けられた反対導電型領域の存在によって、電荷記憶サイト近傍のチャネルは確保され、ドレインId2は所望の大きさとなる。他方、当該電荷記憶サイトに電子が注入されている場合には、当該電荷記憶サイトは、上述の状態から、注入電子による電位降下によって電位が引き下げられ、これによって、電荷記憶サイト近傍のチャネル抵抗が大きくなるから、この場合のドレイン電流Id2は所望に小となる。よって、本発明では、ドレイン電流Id1、および電荷記憶サイトに電子が注入された状態におけるId2の差(電流ウインドウ)が所望に広がる。
【0040】
これに加え、本発明では電荷記憶サイトが2面設けられ、各電荷記憶サイトに電子が独立に存在するから、トランジスタを微細化する場合でも、どちらの電荷記憶サイトに電子が存在するかが明確であり、従来例のごとくどちらのビットに電子が局在するか不明瞭になることが無い。
【0041】
さらにまた、トランジスタが非選択状態の場合、このトランジスタに繋がる他のトランジスタを選択するために、ソース・ドレイン領域に種々の電位を与えても、電荷記憶サイトは、当該ソース・ドレイン領域と接続された凸部側面との対向容量により、このソース・ドレイン領域の電位側に引き付けられる。
【0042】
よって、電荷記憶サイトとソース・ドレイン領域との間の電位差が小さくなるから、それらの間の第2の絶縁膜に高電界が印加されることが無い。したがって、第2の絶縁膜にトンネル電流が流れ難くなり、第2の絶縁膜が劣化することが防がれる。
【0043】
その上、上記のように電位差が小さくなることから、ソース・ドレイン領域と基板とのpn接合で高電界によりホットホールが発生することが抑えられるため、ホットホールにより第2の絶縁膜が劣化することも防がれる。換言するなら、本発明ではバンド間トンネル耐性が向上する。
【0044】
これらのトランジスタにおいて、コントロールゲートは、第3の絶縁膜を介して各電荷記憶サイトと対向する複数の第1のコントロールゲートセグメントと、第1の絶縁膜を介して凸部の頂面と対向する第2のコントロールゲートセグメントとを含み、第1のコントロールゲートセグメントと第2のコントロールゲートセグメントは、電気的に一体に形成してもよい。この結果、第1のコントロールゲートセグメントと第2のコントロールゲートセグメントは、電気的に一体に形成されているから、コントロールゲートセグメントを一体化して容易に製造できる。
【0045】
これに対して、コントロールゲートは、第3の絶縁膜を介して各電荷記憶サイトと対向する複数の第1のコントロールゲートセグメントと、第1の絶縁膜を介して凸部の頂面と対向する第2のコントロールゲートセグメントとを含み、第1のコントロールゲートセグメントと第2のコントロールゲートセグメントは、各々電気的に独立して制御可能としてもよい。
【0046】
この場合は、第1のコントロールゲートセグメントと第2のコントロールゲートセグメントは、各々電気的に独立して制御可能としたので、これらのコントロールゲートセグメントには、書込み、読出しおよび消去の各動作において、各々最適なゲート電圧を選択して印加することができ、さらに制御性を増すことができる。
【0047】
以上のトランジスタにおいては、書込みを行うときは、ソース・ドレイン領域間に書込み用の電位差を与えるとともに、コントロールゲートに書込電圧を印加することにより、チャネル領域が凸部の両側面と頂面の各表層に形成され、これにより少なくとも一方の電荷記憶サイトに電荷がバリスティック注入させる。
【0048】
チャネルが凸部の両側面と頂面の各表層に形成されるため、キャリアは、一方の側面→頂面→他方の側面と流れる。各側面は、電荷記憶サイトと対向するから、頂面を流れているキャリアから見ると、キャリアの進行方向に電荷記憶サイトが位置することになる。よって、キャリアが電荷記憶サイトに注入されるためには、従来のようにキャリアの進行方向を変える必要が無いから、キャリアを加速するための加速電圧を低減することができる。よって、従来よりも書込電圧を低くすることができる。このようにキャリアが散乱を起こさずに走行して、電荷記憶サイトに注入されることを、バリスティック(Ballistic)注入と呼ぶ。
【0049】
書込み時、ソース・ドレイン領域間を流れる電荷を電子とし、電子が得るエネルギーは、第2の絶縁膜のポテンシャル障壁より大きく、電子はバリスティック注入されるようにするとよい。電子が得るエネルギーが、第2の絶縁膜のポテンシャル障壁より大きいため、効率よく電子をバリスティック注入することができる。
【0050】
本願発明のトランジスタにおいて、消去を行うときは、コントロールゲートと、ソース・ドレイン領域との間に、電荷記憶サイト中の蓄積電荷を消去するための消去電圧を印加し、半導体基板に向けて消去電流を流し、蓄積電荷が消去されるようにする。
【0051】
本願発明の半導体メモリは、以上のトランジスタをセルトランジスタとして、コラム方向およびロウ方向に複数配列して集積化したものであり、たとえば、コラム方向に隣接するセルトランジスタのソース・ドレイン領域を共通とし、ロウ方向に隣接するセルトランジスタ同士がコントロールゲートを共有し、かつセルトランジスタ間のソース・ドレイン領域を共有とすることができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本願発明の多値トランジスタは、対向する一対の側面を有する凸部が設けられた半導体基板と、凸部の頂面上に形成されたゲート絶縁膜と、凸部を挟む半導体基板の表面に形成された一対のソース・ドレイン領域と、凸部の側面とソース・ドレイン領域とを覆うトンネル絶縁膜と、凸部の各側面側に設けられ、トンネル絶縁膜を介して側面に対向する一対の電荷蓄積サイトである電荷蓄積膜と、各電荷蓄積膜上に形成された第3の絶縁膜と、第3の絶縁膜を介して各電荷蓄積膜と対向し、かつゲート絶縁膜を介して凸部の頂面と対向するコントロールゲートとを備えている。電荷蓄積膜は、トンネル絶縁膜を介してソース・ドレイン領域にも対向している。
【0053】
本実施例では、トンネル絶縁膜はシリコン酸化膜であり、電荷蓄積膜は、少なくとも凸部各側面に対向する面を有するシリコン窒化膜からなる絶縁膜であり、第3の絶縁膜はシリコン酸化膜である。
【0054】
上記構造に書込操作により電荷、たとえば電子を注入すると、電荷は、各電荷蓄積膜に蓄積され、特に、トンネル絶縁膜と電荷蓄積膜との界面付近に蓄積される。このように本発明は、1つのトランジスタに2つの電荷蓄積膜を設けている。
【0055】
(1)デバイス構造
図1は、本実施例に係るセルトランジスタTCの断面図である。セルトランジスタTCは、一導電型半導体基板であるp型シリコン基板上に形成されている。p型シリコン基板は、p+基板と、その上のp型エピタキシャル層とから成る。このうち、p型エピタキシャル層に、pウエル13が形成されている。
【0056】
本発明の特徴を成す凸部13aは、p型シリコン基板に複数設けられている。ビット線BL1〜BL3は、凸部13aを挟むpウエル13の表面に形成されている。ビット線BL1〜BL3は、pウエル13の表面の所定のところに、反対導電型であるn型不純物をイオン注入して形成される。後述するようにコラム方向に配列されたセルトランジスタTCの各ビット線BL1〜BL3は、コラム方向に一体化しており、ロウ方向に複数形成されている。
【0057】
また、コントロールゲートCGはポリシリコンから形成されている。コントロールゲートCGは、ロウ方向に一体化しており、後述するようにコラム方向に複数形成されていて、その各々はワード線WL1、WL2、…として機能する。
【0058】
コントロールゲートCGの上には、コントロールゲートCGの抵抗を下げるべく図示しないWSi膜が設けられている。さらにその上にコントロールゲートCGを保護すべく不図示のキャップ膜が設けられており、これはシリコン酸化膜から成る。
【0059】
凸部13aの頂面13cには、第1の絶縁膜であるゲート絶縁膜15cが設けられている。また、凸部13aは、対向する一対の側面13b、13bを有し、各側面13b、13bの表層には、反対導電型領域であるn型領域17、17が設けられている。このn型領域17、17の不純物濃度は、上記ビット線BL1、BL2の不純物濃度に比して、1/100〜1/10000であり、好ましくは1/1000程度の不純物濃度に選択される。
【0060】
第2の絶縁膜であるトンネル絶縁膜15aは、各側面13b、13bとビット線BL1、BL2、BL3とを覆っている。後述するが、ビット線BL1、BL2、BL3はソース・ドレイン領域としても機能するので、以下ではビット線BL1、BL2、BL3のことをソース・ドレイン領域とも称す。
【0061】
電荷蓄積膜SN1、SN2は、凸部13aの各側面側にあり、各々トンネル絶縁膜15aを介して、ソース・ドレイン領域BL1、BL2、BL3および側面13b、13bと対向している。第3の絶縁膜15bは、電荷蓄積膜SN1、SN2の各表面にある。なお、トンネル絶縁膜15a、第3の絶縁膜15b、およびゲート絶縁膜15cは、いずれもシリコン酸化膜から成る。
【0062】
一般に半導体製造上、溝の底部の隅、本実施例の場合ではソース・ドレイン領域BL1、BL2、BL3と接する溝の隅におけるトンネル絶縁膜の均一性は保証し難い。仮にトンネル絶縁膜の上に形成される電荷蓄積膜が導電体である場合、トンネル絶縁膜のこの部分から蓄積電荷が漏洩しやすい。しかし本発明では、シリコン窒化膜SN1、SN2は導電性を有していないので、トンネル絶縁膜のこの部分の均一性が悪くても蓄積電荷の保持は保証されるという利点がある。
【0063】
さらに、以下の利点もある。仮に電荷蓄積膜が導電体である場合、同一溝内の左右の側面に形成した2つの電荷蓄積膜間は、互いに電気的に分離して形成することが要求される。それぞれ、独立に電荷を蓄積する必要があるからである。ところが製造上、溝内に2つの導体を分離して形成する工程が困難性を伴う。しかし本発明では、電荷蓄積膜SN1、SN2は絶縁体からなるため、同一溝内の左右の側面に形成した電荷蓄積膜を互いに電気的に分離することなく連続して形成してよい。なぜならば、左右の電荷蓄積膜に蓄積されている電荷は、電荷蓄積膜自体の絶縁性のため互いに分離して保持できるからである。分離不要なため、溝の左側にある電荷蓄積膜SN2と、溝の右側にある電荷蓄積膜SN1とは、本実施例では製造上の便宜から、溝の底部において接続されたままにしてある。
【0064】
図1のコントロールゲートCGはその一部が少なくとも、第3の絶縁膜15bを介して電荷蓄積膜SN1、SN2と対向し、またゲート絶縁膜15cを介して頂面13cと対向している。このコントロールゲートCGは、第3の絶縁膜15bを介して電荷蓄積膜SN1、SN2と対向する部分と、ゲート絶縁膜15cを介して頂面13cと対向する部分とを一体化して、全体として1つのコントロールゲートを形成することとした。
【0065】
なお、コントロールゲートCGは、上記第3の絶縁膜15bを介して電荷蓄積膜SN1、SN2と対向する部分と、ゲート絶縁膜15cを介して頂面13cと対向する部分とを、2種類のコントロールゲートセグメントとして各々電気的に独立して形成し、これらを独立に電気制御するようにしてもよい。
【0066】
上記の構造では、チャネルは、凸部13aの両側面13b、13bと頂面13cの各表層に三次元的に形成されており、従来のように一平面内に形成されていないので、少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、デバイスの小型化を図ることができる。
【0067】
凸部13aのp型不純物濃度は、セルトランジスタTCがノーマリーオフとなるように調整されている。すなわち、ソース・ドレイン領域BL1(BL2)のうちの一方のソース・ドレイン領域BL1(BL2)に所定電圧がバイアスされた状態で、このバイアスされたソース・ドレイン領域BL1(BL2)とコントロールゲートCGとの電位差が閾値電圧以下のとき、ゲート絶縁膜15cを介してコントロールゲートCGによって制御される凸部の頂面近傍のチャネル領域がオフ状態となり、その結果、セルトランジスタTCがオフ状態となり、電位差が閾値電圧以上のとき、トランジスタTCがオン状態となるように、p型不純物濃度は調整されている。なお、ソース・ドレイン領域BL1(BL2)にバイアスされる所定電圧とは、書込み、読出し等の各種の動作時に印加される後述の電圧VDDを言う。
【0068】
図2は、セルトランジスタTCの等価回路を模式的に表した図であり、さまざまな容量を示している。各容量の意味は次の通りである。
・CCG ・・・コントロールゲートCGと凸部13aの頂面13cとの対向容量である。
・CCF1 (CCF2)・・・コントロールゲートCGと電荷蓄積層SN1(SN2)との対向容量である。電荷はトンネル絶縁膜15aと電荷蓄積層SN1(SN2)との界面近傍に蓄積されると考えられるため、この対向容量は、第3の絶縁膜15bの容量と電荷蓄積層SN1(SN2)の容量とを直列に接続した容量に等しいと考えられる。
・CFG1 (CFG2)・・・電荷蓄積層SN1(SN2)と、凸部13aの側面13bとの対向容量である。これは、側面13bに対向するトンネル絶縁膜15aによる容量である。
【0069】
これらの容量に関しては、以下の大小関係がある。トンネル絶縁膜15aを介して電荷蓄積膜SN1(SN2)が凸部の側面と対向して形成する静電容量CFG1 (CFG2)は、ゲート絶縁膜15cを介してコントロールゲートCGが凸部の頂面と対向して形成する静電容量CCGより大きい。また、トンネル絶縁膜15aを介して電荷蓄積膜SN1(SN2)が凸部の側面と対向して形成する静電容量CFG1 (CFG2)は、電荷蓄積膜SN1(SN2)および第3の絶縁膜15bを介して電荷蓄積膜SN1(SN2)がコントロールゲートCGと対向して形成する静電容量CCF1 (CCF2)より大きい。
【0070】
セルトランジスタTCは、コラム方向およびロウ方向に複数配列されている。コラム方向に隣接するセルトランジスタ同士は、ソース・ドレイン領域BLが共通であり、また、ロウ方向に隣接するセルトランジスタTCは、コントロールゲートCGを共有し、かつ、それらの間のソース・ドレイン領域BLを共有する。
【0071】
(2)駆動方法
次に、上述のセルトランジスタTCの駆動方法について説明する。
【0072】
i) 書込動作
書込動作について、図3を参照して説明する。図3は、セルトランジスタTCへの書込動作について示す断面図である。上述のごとく、凸部13aの両側方には一対の電荷蓄積膜SN1、SN2が設けられており、本発明によれば、各電荷蓄積膜SN1、SN2の界面近傍に独立に電子eを注入することができる。
【0073】
例えば、右側の電荷蓄積層SN2に電子を注入するには、図3に示すように、コントロールゲートCGにゲート電圧VG(たとえば5.5V)を印加する。電子が注入される側のソース・ドレイン領域BL2に電圧VDD(たとえば3.5V)を印加する。基板13と、電子が注入されない側のソース・ドレイン領域BL1とは接地する。
【0074】
これによれば、コントロールゲートCGに正電位が印加されるから、頂面13cの表層に反転層13dが形成され、n型領域17、17同士が反転層13dにより電気的に接続される。n型領域17、17は、同じ導電型(すなわちn型)のソース・ドレイン領域BL1、BL2に接しているから、結局、ソース・ドレイン領域BL1、BL2が電気的に接続される。
【0075】
したがって、キャリア(本実施例では電子e)は、同図の矢印50、52の経路を流れることになる。特に、頂面13cを流れる電子eに注目されたい。この電子eから見れば、その運動方向に右側の電荷蓄積層SN2が位置する。よって、電子eがこの電荷蓄積層SN2に注入されるためには、従来のように電子eの運動方向を変える必要が無いから、電子eを電荷蓄積層SN2に引き付けるためのゲート電圧(すなわち書込電圧)VGを従来よりも下げることができる。さらに電荷蓄積層SN2は、静電容量の大きなゲート絶縁膜15aを介してドレイン電圧によって電位が引き上げられているから、電子eを電荷蓄積層SN2に引き付けるためのゲート電圧VGをさらに下げることができる。
【0076】
しかも、側面13bにn型領域17、17を設けたことで、側面13bが低抵抗となり、そこでの電圧降下が抑えられる。よって、頂面13cの両端に、ソース・ドレイン領域BL1〜BL2間電圧(たとえば3.5V)より若干低下した高い電圧が印加されるから、この電圧により電子eが頂面13cで勢いよく加速され、電荷蓄積層SN2に矢印52のように電子eが効率良く注入される。このように、n型領域17、17も、書込電圧VGを低減するのに寄与する。このn型領域17、17は、ソース・ドレイン領域の不純物濃度に比して、1/100〜1/10000、好ましくは1/1000程度の不純物濃度に選択される。
【0077】
上述の書込電圧VGが低減されるという利点は、頂面13cでのチャネル抵抗を大きくしても得ることができる。チャネル抵抗を大きくするには、ゲート絶縁膜15cを厚膜に形成して、コントロールゲートCGとチャネル領域との間の静電容量を小さくすればよい。本実施例では、図3に示すように、ゲート絶縁膜15cをトンネル絶縁膜15aよりも厚くすることで静電容量を小さくし、チャネル抵抗を大きくしている。
【0078】
チャネル抵抗を大きくする構造は上記に限定されず、凸部13aの頂面13c付近(上述の反転層13dが形成される領域)を、一導電型(本実施例ではp型)不純物領域である高抵抗領域にしてもよい。高抵抗領域は、頂面13c付近に、凸部13aよりも高濃度のp型不純物をイオン注入して形成できる。
【0079】
頂面13cでのチャネル抵抗を大きくすると、頂面13cでの電圧降下が大きくなるから、頂面13cの両端にソース・ドレイン領域BL1〜BL2間電圧より若干低下した高い電圧が印加される。よって、上述したのと同じ理由により、書込電圧VGを低減することができる。
【0080】
このように、書込電圧VGを低減するには、i)側面13bにn型領域17、17を設けるか、ii)トンネル絶縁膜の静電容量を大きくして、電荷蓄積層をドレイン電圧によって引き上げるか、iii)ゲート絶縁膜15cを厚膜にするか、またはiv)頂面13cに高抵抗領域13eを設ければよい。これらi)〜iv)を任意に組み合わせることで、上述の利点を得ることもできる。i)〜iv)のいずれの場合であっても、書込電圧VGは約5.5V程度で良く、従来例(約12〜13V)よりも格段に低くすることができる。
【0081】
図3は、電荷蓄積膜SN2への電荷の蓄積工程(書込工程)を模式的に示すものであり、蓄積工程の初期においては、矢印52のように電荷eが流れて、チャネル上部に対向するシリコン酸化膜15aとシリコン窒化膜SN2との界面にバリスティック注入によって電荷eが注入される。当該部分に電荷eが注入された後は、電荷eによる電界によって、電荷eの流れが矢印51のように順次下方に移る。この結果、順次下方のシリコン窒化膜SN2にバリスティック注入が行なわれ、チャネル側壁の広い領域の電荷蓄積膜SN2に電荷注入が行なわれる。
【0082】
このように、従来技術のMONOS構造と比較して本実施例では、チャンネル領域側面に広い面積で電荷蓄積膜SN1、SN2を形成でき、かつチャンネル領域側面の広い領域にわたって電荷を蓄積できることから、電荷の蓄積電荷量を大きくすることができる。チャンネル領域側面の高さが40nmの場合、実効的に5nm程度の領域に電荷を蓄積する従来技術のMONOS構造に対して8倍から10倍の電荷量を蓄積できる。
【0083】
図3では、右側の電荷蓄積層SN2にのみ電子が注入されたが、左側の電荷蓄積層SN1に電子を注入するには、ソース・ドレイン領域BL1、BL2の電圧を入れ替えればよい。よって、本実施例では、図4(a)〜(d)に示す4状態が得られる。
【0084】
図4(a)は、両電荷蓄積膜SN1、SN2に電子eが注入されていない“(1、1)”状態を示す。図4(b)、(c)は、電荷蓄積膜SN1、SN2の一方にのみ電子eが注入された“(1、0)”、“(0、1)”状態を示す。図4(d)は、両電荷蓄積膜SN1、SN2に電子eが注入された“(0、0)”状態を示す。この状態を得るには、例えば、右側の電荷蓄積層SN2に電子eを注入した後、左側の電荷蓄積層SN1に電子eを注入すればよい。かくして、本実施例では、1つのセルトランジスタTCに2ビットのデータ“(1、1)”〜“(0、0)”を書き込むことができる。
【0085】
本実施例では電荷蓄積膜SN1、SN2が2つ設けられ、各電荷蓄積膜SN1、SN2に電子eが独立に存在するから、セル縮小を図る場合でも、どちらの電荷蓄積膜SN1、SN2に電子eが存在するのかが明確であり、従来例のごとくどちらのビットに電子eが局在するか不明瞭になることが無い。
【0086】
ii) 読み出し動作
次に、読み出し動作について、図5(a)〜(b)を参照して説明する。データを読み出すには、まず、図5(a)に示すように、コントロールゲートCGにゲート電圧VG(たとえば5V)を印加する。そして、一方のソース・ドレイン領域BL2に電圧VDD(たとえば1.2V)を印加し、他方のソース・ドレイン領域BL1と基板12とを接地する。
【0087】
この電位配分だと、コントロールゲートCGが正電位となるから、凸部13aの頂面に反転層13dが形成される。よって、同図の矢印の向きにドレイン電流Id1が流れる。
【0088】
次いで、図5(b)に示すように、ゲート電圧VG(すなわち5V)はそのままで、ソース・ドレイン領域BL1、BL2の電圧を入れ替える。このようにすると、ソース・ドレイン領域BL1〜BL2間の電位差が反転するから、同図の矢印の向きにドレイン電流Id2が流れる。
【0089】
本実施例では、上記のようにソース・ドレイン領域BL1、BL2の電圧を入れ替え、各回のドレイン電流Id1、Id2を計測する。ドレイン電流Id1、Id2の大きさは、各状態によって後述のごとく異なる。よって、各回のドレイン電流値のセット(Id1、Id2)と、各状態とを一対一に対応させることにより、どの状態であるかを読み出すことができる。次に、各状態“(1、1)”〜“(0、0)”におけるドレイン電流値について説明する。
【0090】
(a)“(1、0)”状態
図6(a)〜(b)は、“(1、0)”状態を読み出す場合の断面図である。図6(a)において、それぞれの部材に印加する電圧は上述の図5(a)の通りであって、この電圧によりドレイン電流Id1が流れる。
【0091】
図6(a)の状態では、右側の電荷蓄積層SN2は、電子が注入されたことにより電位が下がる。しかし、電荷蓄積層SN2の電位は、対向容量CCF2によって、コントロールゲートCG(5V)やソース・ドレインBL2(1.2V)の正電位側に引き上げられる。
【0092】
結局、電荷蓄積層SN2の電位下降が抑えられるから、電荷蓄積層SN2近傍でのチャネル抵抗はそれ程大きくない。したがって、ドレイン電流Id1の電流値は比較的大きくなる。
【0093】
特に、図のようにn型領域17を設けた場合は、n型領域17はソース・ドレイン領域BL2に接するから、n型領域17の電位がソース・ドレイン領域BL2のそれとほぼ同じとなる。したがって、電荷蓄積層SN2の電位は、対向容量CFG2によってもソース・ドレインBL側に引き上げられる。よって、右側の電荷蓄積層SN2近傍のチャネル抵抗がさらに小さくなるから、ドレイン電流Id1の電流値はより一層大きくなる。
【0094】
一方、図6(b)は、ソース・ドレインBL1、BL2の電圧を入れ替えて、ドレイン電流Id2を流した場合である。この場合、注入電子によって、右側の電荷蓄積層SN2の電位が下がる。しかも、右側のソース・ドレイン領域BL2が接地されるから、電荷蓄積層SN2の電位は、ソース・ドレイン領域BL2との対向容量CFDにより接地側に引き下げられる。よって、電荷蓄積層SN2の電位が図6(a)の場合よりも低くなるから、電荷蓄積層SN2近傍のチャネル抵抗が大きくなり、ドレイン電流Id2が先のId1よりも小さくなる。
【0095】
特に、n型領域17を設けると、右側の電荷蓄積層SN2の電位は対向容量CFG2によっても接地側に引き下げられ、ドレイン電流Id2がより一層小さくなる。このように、“(1、0)”状態は、
・(Id1、Id2)=(大、小)
で識別することができる。このドレイン電流Id1、Id2の大小の判定は、図示しないセンスアンプが基準電流と比較して行う。
【0096】
本実施例では、各ドレイン電流Id1、Id2の電流量は、対向容量CCF2、CFD、CFG2によって、上述のごとく所望に大にしたり小にしたりすることができ、その差(I d1−Id2)を所望に大きくすることができる。差(I d1−Id2)とは電流ウインドウであるから、本実施例では電流ウインドウを所望に広げることができる。電流ウインドウが広いので、ドレイン電流Id1、Id2と基準電流とのマージンが広くなり、書込データを誤認する危険性が低減できる。
【0097】
(b)“(0、1)”状態
“(0、1)”状態は、上記とは反対に左側の電荷蓄積層SN1に電子が注入される。よって、各ドレイン電流Id1、Id2の電流値は、上記の議論と同様にして評価され、
・(Id1、Id2)=(小、大)
となる。
【0098】
(c)“(1、1)”状態
“(1、1)”状態は、いずれの電荷蓄積膜SN1、SN2にも電子が注入されない。したがって、各電荷蓄積膜SN1、SN2の電位は電子によって引き下げられないから、Id1、Id2の双方とも大となる。また、この状態は左右対称であるから、Id1とId2とに差は生じず、
・(Id1、Id2)=(大、大)
となる。
【0099】
(d)“(0、0)”状態
“(0、0)”状態は、両方の電荷蓄積膜SN1、SN2に電子が注入されるから、左右対称となる。したがって、Id1とId2とに差は生じず、
・(Id1、Id2)=(小、小)
となる。
【0100】
iii) 消去動作
次に、電荷蓄積膜SN1、SN2に注入された電子の消去方法について説明する。蓄積電子を引き抜くには、図7に示すように、電子をソース・ドレイン領域BL1、BL2に引き抜く方法が考えられる。この方法では、コントロールゲートCGを接地して、ソース・ドレイン領域BL1、BL2に高電位“H”(たとえば12V)を与える。ここで、コントロールゲートCGと、ソース・ドレイン領域BL1、BL2との電位差は相対的に設定することができ、たとえば、コントロールゲートCGに−6Vを、ソース・ドレイン領域BL1、BL2に6Vを印加するようにしてもよい。
【0101】
iv) 非選択時
上記i)〜iii)は、いずれもセルトランジスタTCが選択されている場合であった。実際の動作では、セルトランジスタTCが常に選択されているということはなく、非選択状態の場合もある。
【0102】
非選択状態でもビット線、たとえばビット線BL1(図1参照)には、他のセルトランジスタTCを選択すべく、各動作用の電圧VDDが印加される。この場合、非選択セルトランジスタTCの電荷蓄積層SN1は、凸部側壁との大きい対向容量CFG1により、ビット線BL1の電位に引き付けられる。よって、電荷蓄積層SN1とソース・ドレイン領域BL1との間の電位差が小さくなるから、それらの間のトンネル絶縁膜15aが高電界に曝されることが無い。したがって、トンネル絶縁膜15aにトンネル電流が流れ難くなり、トンネル絶縁膜15aの劣化を防ぐことができる。
【0103】
ここで、上記駆動時i)〜iv)の各利点を得るために、電荷蓄積層SN1(SN2)と、凸部側壁との対向容量CFG1、CFG2が重要な役割を果たしているのに注意されたい。本実施例では、電荷蓄積層SN1(SN2)を凸部側壁およびソース・ドレイン領域BL1(BL2)上に覆設することにより、電荷蓄積層SN1〜SN2の間隔を狭めてデバイスを小型化すると共に、対向容量CFG1、CFG2を大きく稼いで上述の利点を得やすくしている。
【0104】
(3)パンチスルー対策と閾値電圧Vthの安定化
ところで、上記の書き込みや読み出し動作の際に、ソース・ドレイン領域BL1〜BL2間のパンチスルーが問題になるなら、図8に示す構造を採用することがよい。図8中のグラフは、凸部13aの深さと、その深さでのボロン(p型不純物)濃度との関係を示すものである。この構造では、凸部13aのボロン濃度を深さ方向に漸増させて、凸部13aの基端部でのボロン濃度を高くする。このようにすると、ソース・ドレイン領域BL1、BL2に近い部位の側面13b、13bにおいて、ボロン濃度が高くなる。
【0105】
上記の構造により、n型のソース・ドレイン領域BL1、BL2に近い部位のチャネルにおいてp型不純物の濃度が高くなるから、チャネルは、n型のソース・ドレイン領域BL1、BL2を直線的に結んだ領域(n型のソース・ドレイン領域BL1、BL2に近い部位)から離間した領域、すなわち凸部の側面13b、13bと頂面13cの各表層に形成されることとなる。このことは、上記の構造により、n型のソース・ドレイン領域BL1、BL2に近い部位のチャネルにおいてp型不純物の濃度が高くなるから、ソース・ドレイン領域BL1、BL2がパンチスルーしにくくなることも意味しており、このセルトランジスタを集積化して半導体メモリを形成する場合に、高い集積度を実現することが可能となる。
【0106】
ところで、セルトランジスタTCの閾値電圧Vthは、基端部の側面13b、13bでの不純物濃度に大きく影響される。したがって、上述のように基端部でボロン濃度を高くすると、セルトランジスタTCの閾値電圧Vthは高くなる。
【0107】
しかし、側面13bにn型領域17を設けると、このn型領域17中のn型不純物と側面13bのp型不純物とが補償するから、側面13bでの実質的なアクセプタ濃度を下げることができる。よって、たとえ凸部13aの基端部でのボロン濃度を高くしても、n型領域17を設けることで、トランジスタの閾値電圧Vthの増加を抑えることができる。
【0108】
また、上述のごとく、閾値電圧Vthは基端部の不純物濃度にデリケートであるから、Vthを安定させるためには基端部で不純物濃度が余り変動しないようにすることが好ましい。したがって、凸部13aにおけるボロン濃度は、単に漸増するだけでなく、太線で示すピークをなるべくフラット(平坦)に形成し、フラットな部位を凸部13aの基端部に位置させることが好ましい。フラットな部位では、ボロン濃度が余り変動しないから、ボロン濃度とn型領域17中のヒ素濃度との濃度関係がほぼ一定となり、閾値電圧Vthを安定させることができる。
【0109】
(4)コントロールゲート−ビット線間のリーク電流
本発明では、図1に示すように、ロウ方向に隣接するセルトランジスタTC、TC間のA部において、コントロールゲートCGとビット線BL2とが対向する。よって、A部において、各種の動作時に、コントロールゲートCGとビット線BL2との間にリーク電流が流れる可能性が考えられる。
【0110】
しかし、コントロールゲートCGとビット線BL2との間には、トンネル絶縁膜15a、電荷蓄積膜SN1、SN2、第3の絶縁膜がある。これらの膜の厚みによって、上記のリーク電流を防ぐことができる。
【0111】
(5)ビット線の低抵抗化
再び、図1を参照されたい。同図では、セルトランジスタTC、TC、・・・は数個しか記載されていないが、実際のデバイスでは多数形成される。セルトランジスタTC、TC、・・・が多数あると、それに伴いビット線BL1〜BL4もコラム方向に長く延びる。よって、ビット線BL1〜BL3の抵抗が無視できなくなるから、ビット線BL1〜BL3をできるだけ低抵抗にすることが好ましい。
【0112】
このため、ビット線BL1〜BL3に、高濃度の反対導電型領域であるn+領域33を併設し、ビット線BL1〜BL3の抵抗を下げるようにしてもよい。図1では、n+領域33を設けるとした場合のその位置を示す。なお、図1では、n+領域33は、その断面しか見えないが、実際に設けるとした場合は、コラム方向にビット線BL1〜BL3に平行して設ける。これにより、ビット線BL1〜BL3の抵抗が下がるから、デバイスの動作速度の低下を抑えることができる。
【0113】
(6)他の実施例
図9に本発明の他の実施例を示す。図9に示した実施例は、図1に示した実施例におけるシリコン窒化膜からなる電荷蓄積膜SN1、SN2をシリコン・ナノ・ドットからなる電荷蓄積ノードSN1、SN2に置換した構成であり、他の構成は図1に示す実施例と同じであり、同一の構成部分には同一の番号または記号を付し、説明を省略する。本発明においては、図1の電荷蓄積膜SN1およびSN2、図9の電荷蓄積ノードSN1、SN2を総称して、電荷記憶サイトと称することとする。
【0114】
図9に示した実施例において、シリコン・ナノ・ドットは、たとえば、応用物理学会編「応用物理」Vol.71、No.8、2002(2002年8月10日発行)の第970頁〜第973頁に記載の技術を用いることができる。すなわち、シリコン・ナノ・ドットからなる電荷蓄積ノードは、凸部13aを有する一導電型半導体基板13上に、シリコン酸化膜からなるトンネル絶縁膜15aを各側面13b、13bとビット線BL1、BL2、BL3とを覆うように形成した後、トンネル絶縁膜15a上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)、エアロゾル堆積法、シリコンリッチ絶縁膜のアニール、ドット材料の絶縁膜中へのインプラント後のアニールなどの手段(特に、容易にドット径や絶縁膜厚条件を設定できることから、特にCVDによる形成手段を用いることが望ましい)で微小シリコンドットを互いのドット間が非導電性を呈するように、少なくとも凸部側面13bに対向する面状に形成し、さらにその上に第3の絶縁膜15bを設けることにより形成することができる。このシリコン・ナノ・ドットからなる電荷蓄積ノードSN1、SN2は図9に示したように、凸部13aの各側面13b、13bおよびビット線BL1、BL2、BL3に対向するように形成してもよいが、各側面13b、13bにのみ対向するように選択的に設けてもよい。
【0115】
この実施例において重要なことは、上記図2において説明したことと同様に、トンネル絶縁膜15aを介してシリコン・ナノ・ドットからなる電荷蓄積ノードSN1、SN2が凸部側面13b、13bと対向して形成する静電容量CFG1(CFG2)は、ゲート絶縁膜15cを介してコントロールゲートCGが凸部頂面13cと対向して形成する静電容量CCGより大きいことである。同様に、トンネル絶縁膜15aを介してシリコン・ナノ・ドットからなる電荷蓄積ノードSN1、SN2が凸部側面13b、13bと対向して形成する静電容量CFG1(CFG2)は、第3の絶縁膜15bを介して電荷蓄積ノードSN1、SN2がコントロールゲートCGと対向して形成する静電容量CCF1(CCF2)より大きいことである。
【0116】
以上、複数の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されない。本発明は、その主旨を逸脱しない範囲内で適宜変形することができる。例えば、上記では半導体メモリについて説明したが、半導体メモリ以外の半導体装置にも本発明を適用することができる。また、上記では、一導電型としてp型を用い、反対導電型としてn型を用いたが、これに代えて、一導電型としてn型を用い、反対導電型としてp型を用いてもよい。
【0117】
【発明の効果】
このように本発明によれば、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に形成される。これにより、少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。
【0118】
また凸部の各側面は、電荷記憶サイトと対向するから、頂面を流れているキャリアの進行方向に電荷記憶サイトが位置することになる。よって、書き込みの際、キャリアが電荷記憶サイトに注入されるためには、従来のように当該キャリアの進行方向を変える必要が無いから、キャリアを加速するための加速電圧を低減することができる。したがって、本発明では、従来よりも書込電圧を低くすることができる。
【0119】
これに加え、本発明では電荷記憶サイトが2面設けられ、各電荷記憶サイトに電子が独立に存在するから、トランジスタを微細化する場合でも、どちらの電荷記憶サイトに電子が存在するかが明確であり、従来例のごとくどちらのビットに電子が局在するか不明瞭になることが無い。
【0120】
また、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ凸部の基端部の一導電型不純物濃度を、他の凸部の一導電型不純物濃度よりも高濃度としたため、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に形成され易くなる。これにより、さらに少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。
【0121】
また、これにより各側面は、電荷記憶サイトと対向するから、頂面を流れているキャリアの進行方向に電荷記憶サイトが位置することになる。よって、書き込みの際、キャリアが電荷記憶サイトに注入されるためには、従来のように当該キャリアの進行方向を変える必要が無いから、キャリアを加速するための加速電圧を低減することができる。したがって、従来よりも書込電圧を低くすることができる。
【0122】
さらに、上記の構成によれば、ソース・ドレイン領域のパンチスルーを防止することができる。その結果、読出電圧を比較的高くしても、パンチスルーを発生させることがなく、大きな読出信号を得ることができる。さらには、パンチスルーを防止することができる結果、セルトランジスタのソース・ドレイン間の間隙をさらに小さくすることが可能となり、更なる微細化が可能となる。
【0123】
さらにこれらのトランジスタにおいて、凸部の側面に、ソース・ドレイン領域と接する反対導電型領域を設けてもよい。この領域を設けた場合も、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に容易に形成される。これにより、少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。また、当該領域でのチャネル抵抗を抑えることができ、電圧効果が抑えられる。その結果、当該領域に、ソース・ドレイン間電圧に比して、若干低下しただけの電圧が印加することができるから、この電圧によりキャリアが勢いよく加速され、書込みにおいては電荷記憶サイトに効率よくキャリアの注入が行われる。また読出し時にも当該部分におけるチャネル抵抗が抑えられる。
【0124】
また、ソース・ドレイン間を直線的に結んだ領域の不純物濃度を高くする方法と、凸部の側面にソース・ドレイン領域と接する反対導電型領域を設ける方法とを組み合わせると、当該反対導電型不純物が凸部の基端部における高い濃度の一導電型不純物を補償することができる。これにより凸部の基端部で高い濃度の一導電型不純物を形成することに伴うトランジスタの閾値電圧が高くなることを抑えることができる。
【0125】
これらのトランジスタにおいて、第2の絶縁膜を介して電荷記憶サイトが凸部の側面と対向して形成する第2の静電容量は、第1の絶縁膜を介してコントロールゲートが凸部の頂面と対向して形成する第1の静電容量より大きいことが好ましい。また、第2の絶縁膜を介して電荷記憶サイトが凸部の側面と対向して形成する第2の静電容量は、第3の絶縁膜を介して電荷記憶サイトがコントロールゲートと対向して形成する第3の静電容量より大きいことが好ましい。
【0126】
この場合も、チャネルは、ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ領域以外の領域、すなわち、凸部の一方の側面→頂面→他方の側面に形成され易くなる。これにより、少ない占有面積でチャネル長を稼ぐことができ、トランジスタの小型化を図ることができる。
【0127】
一方、読出しに関しては、以下の効果がある。電荷記憶サイトが、一対のソース・ドレイン領域のうちの高電位側にあると、電荷記憶サイトの電位が正電位側に引き付けられる。よって、当該電荷記憶サイトにキャリアとしてたとえば電子が注入されていない場合はソース・ドレイン電圧によって、電荷記憶サイト近傍のチャネル電流は大きくなり、一方、電子が注入されている場合でも、当該電子による電荷記憶サイトの低電位化が抑えられ、電荷記憶サイト近傍のチャネルは比較的大きくなる。よって、これらの場合、ドレインId1は所望に大となる。
【0128】
一方、ソース・ドレイン間の電位差を反転させると、上記した電荷記憶サイトの電位が低電位側に引き付けられる。一方、当該電荷記憶サイトは、同時に比較的小さな静電容量を有する電荷記憶サイトによってコントロールゲートにも容量結合されている。したがって、当該電荷記憶サイトに電子が注入されていない場合には、電荷記憶サイトが第3の絶縁膜を介してゲート電圧(Vg)によってわずかに正電位に引き上げられ、あるいはこの電位がない場合でも、凸部の側面に設けられた反対導電型領域の存在によって、電荷記憶サイト近傍のチャネルは確保され、ドレインId2は所望の大きさとなる。他方、当該電荷記憶サイトに電子が注入されている場合には、当該電荷記憶サイトは、上述の状態から、注入電子による電位降下によって電位が引き下げられ、これによって、電荷記憶サイト近傍のチャネル抵抗が大きくなるから、この場合のドレイン電流Id2は所望に小となる。よって、本発明では、ドレイン電流Id1、および電荷記憶サイトに電子が注入された状態におけるId2の差(電流ウインドウ)が所望に広がる。
【0129】
さらにまた、トランジスタが非選択状態の場合、このトランジスタに繋がる他のトランジスタを選択するために、ソース・ドレイン領域に種々の電位を与えても、電荷記憶サイトは、このソース・ドレイン領域の電位側に引き付けられる。
【0130】
よって、電荷記憶サイトとソース・ドレイン領域との間の電位差が小さくなるから、それらの間の第2の絶縁膜に高電界が印加されることが無い。したがって、第2の絶縁膜にトンネル電流が流れ難くなり、第2の絶縁膜が劣化することが防がれる。
【0131】
その上、上記のように電位差が小さくなることから、ソース・ドレイン領域と基板とのpn接合で高電界によりホットホールが発生することが抑えられるため、ホットホールにより第2の絶縁膜が劣化することも防がれる。換言するなら、本発明ではバンド間トンネル耐性が向上する。
【0132】
以上のトランジスタにおいては、書込みを行うときは、ソース・ドレイン領域間に書込み用の電位差を与えるとともに、コントロールゲートに書込電圧を印加することにより、チャネル領域が凸部の両側面と頂面の各表層に形成し、これにより少なくとも一方の電荷記憶サイトに電荷がバリスティック注入させる。
【0133】
チャネルが凸部の両側面と頂面の各表層に形成されるため、キャリアは、一方の側面→頂面→他方の側面と流れる。各側面は、電荷記憶サイトと対向するから、頂面を流れているキャリアから見ると、キャリアの進行方向に電荷記憶サイトが位置することになる。よって、キャリアが電荷記憶サイトに注入されるためには、従来のようにキャリアの進行方向を変える必要が無いから、キャリアを加速するための加速電圧を低減することができる。よって、従来よりも書込電圧を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る半導体メモリが備えるセルトランジスタの拡大断面図である。
【図2】本発明の実施例に係る半導体メモリが備えるセルトランジスタの等価回路を模式的に表した図である。
【図3】本発明の実施例に係る半導体メモリが備えるセルトランジスタへの書込動作について示す断面図である。
【図4】本発明の実施例に係る半導体メモリが備えるセルトランジスタが達成し得る4値状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例に係る半導体メモリが備えるセルトランジスタの読出動作について示す断面図である。
【図6】本発明の実施例に係る半導体メモリが備えるセルトランジスタにおいて、“(1、0)”状態を読み出す場合の断面図である。
【図7】電荷蓄積膜に注入された電子の消去方法の一例を示す断面図である。
【図8】本発明の実施例において、pウエルの表面からの深さと、その深さでのボロン濃度との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の他の実施例に係る半導体メモリが備えるセルトランジスタの拡大断面図である。
【図10】従来例に係る多値セルトランジスタの断面図である。
【図11】従来例に係る多値セルトランジスタへの書込動作を示すための断面図である。
【図12】従来例に係る多値セルトランジスタが達成し得る4状態の断面図である。
【符号の説明】
12 p型シリコン基板(一導電型半導体基板)
13 pウエル
13a 凸部
13b 凸部の側面
13c 凸部の頂面
15a トンネル絶縁膜(第2の絶縁膜)
15b 第3の絶縁膜(第3の絶縁膜)
15c ゲート絶縁膜(第1の絶縁膜)
17 n型領域
28 トレンチ
33 n+領域
SN1、SN2 電荷記憶サイト
BL1〜BL3 ビット線
Claims (15)
- 対向する一対の側面を有する凸部が設けられた一導電型半導体基板と、
前記凸部の頂面上に形成された第1の絶縁膜と、
前記凸部を挟む前記半導体基板の表面に形成された一対の反対導電型ソース・ドレイン領域と、
前記凸部の側面と前記ソース・ドレイン領域とを覆う第2の絶縁膜と、
前記凸部の各側面側に沿って形成され、前記第2の絶縁膜を介して前記側面に対向する面として構成され、該面内が非導電性を呈する電荷記憶サイトと、
前記電荷記憶サイトを挟んで形成された第3の絶縁膜と、
前記第3の絶縁膜を介して前記電荷記憶サイトと対向し、かつ前記第1の絶縁膜を介して前記凸部の頂面と対向するコントロールゲートとを備えたことを特徴とするトランジスタ。 - 請求項1に記載のトランジスタにおいて、前記第2の絶縁膜は酸化膜であり、前記電荷記憶サイトは、該酸化膜上に形成された窒化膜の界面として形成されることを特徴とするトランジスタ。
- 請求項1に記載のトランジスタにおいて、前記電荷記憶サイトは、前記第2の絶縁膜と前記第3の絶縁膜の界面に形成された微小半導体ドット配列により形成されることを特徴とするトランジスタ。
- 請求項1から3までのいずれかに記載のトランジスタにおいて、前記ソース・ドレイン領域を直線的に結ぶ前記凸部の基端部の一導電型不純物濃度は、該基端部を除く凸部の一導電型不純物濃度よりも高濃度であることを特徴とするトランジスタ。
- 請求項1から4までのいずれかに記載のトランジスタにおいて、前記凸部の側面に、前記ソース・ドレイン領域と接する反対導電型領域を設けたことを特徴とするトランジスタ。
- 請求項5に記載のトランジスタにおいて、前記凸部の側面に設けられた、前記ソース・ドレイン領域と接する反対導電型領域の不純物濃度は、前記ソース・ドレイン領域の不純物濃度に対して1/100〜1/10000であることを特徴とするトランジスタ。
- 請求項1から6までのいずれかに記載のトランジスタにおいて、前記第2の絶縁膜を介して前記電荷記憶サイトが前記凸部の側面と対向して形成する第2の静電容量は、前記第1の絶縁膜を介して前記コントロールゲートが前記凸部の頂面と対向して形成する第1の静電容量より大きいことを特徴とするトランジスタ。
- 請求項1から7までのいずれかに記載のトランジスタにおいて、前記第2の絶縁膜を介して前記電荷記憶サイトが前記凸部の側面と対向して形成する第2の静電容量は、前記第3の絶縁膜を介して前記電荷記憶サイトが前記コントロールゲートと対向して形成する第3の静電容量より大きいことを特徴とするトランジスタ。
- 請求項1から8までのいずれかに記載のトランジスタにおいて、前記コントロールゲートは、前記第3の絶縁膜を介して前記電荷記憶サイトと対向する複数の第1のコントロールゲートセグメントと、前記第1の絶縁膜を介して前記凸部の頂面と対向する第2のコントロールゲートセグメントとを含み、前記第1のコントロールゲートセグメントと前記第2のコントロールゲートセグメントは、電気的に一体に形成されていることを特徴とするトランジスタ。
- 請求項1から8までのいずれかに記載のトランジスタにおいて、前記コントロールゲートは、前記第3の絶縁膜を介して前記電荷記憶サイトと対向する複数の第1のコントロールゲートセグメントと、前記第1の絶縁膜を介して前記凸部の頂面と対向する第2のコントロールゲートセグメントとを含み、前記第1のコントロールゲートセグメントと前記第2のコントロールゲートセグメントは、各々電気的に独立して制御可能であることを特徴とするトランジスタ。
- 請求項1から10までのいずれかに記載のトランジスタにおいて、
前記ソース・ドレイン領域間に書込み用の電位差を与えるとともに、前記コントロールゲートに書込電圧を印加することにより、チャネル領域が前記凸部の両側面と頂面の各表層に形成され、これにより少なくとも一方の前記電荷記憶サイトに電荷がバリスティック注入されることを特徴とするトランジスタ。 - 請求項11に記載のトランジスタにおいて、前記ソース・ドレイン領域間を流れる電荷は電子であり、該電子が得るエネルギーは、前記第2の絶縁膜のポテンシャル障壁より大きく、該電子は前記電荷記憶サイトにバリスティック注入されることを特徴とするトランジスタ。
- 請求項1から12までのいずれかに記載のトランジスタにおいて、
前記コントロールゲートと、前記ソース・ドレイン領域との間に、前記電荷記憶サイト中の蓄積電荷を消去するための消去電圧が印加されて、前記半導体基板に向けて消去電流が流れ、前記蓄積電荷が消去されることを特徴とするトランジスタ。 - 請求項1から13までのいずれかに記載の前記トランジスタをセルトランジスタとして、コラム方向およびロウ方向に複数配列してなる半導体メモリ。
- 請求項14に記載の半導体メモリにおいて、前記コラム方向に隣接するセルトランジスタの前記ソース・ドレイン領域が共通であり、前記ロウ方向に隣接するセルトランジスタ同士が該セルトランジスタ間の前記ソース・ドレイン領域を共有していることを特徴とする半導体メモリ。
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JP2007220914A (ja) * | 2006-02-16 | 2007-08-30 | Nec Electronics Corp | 不揮発性半導体記憶装置 |
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2003
- 2003-02-27 JP JP2003050453A patent/JP2004260044A/ja active Pending
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JPWO2009122458A1 (ja) * | 2008-03-31 | 2011-07-28 | 国立大学法人広島大学 | 量子ドットの製造方法 |
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