JP2004259727A - 薄板収納用成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体用ウエハ、半導体ウエハや液晶用ガラス等の薄板を複数枚同時に或いは枚葉形式で、支持、保管、搬送、洗浄等を行う為の容器等の薄板収納用成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄板収納用成形品は、半導体用ウエハ、半導体ウエハや液晶用ガラス等を複数枚同時に或いは枚葉方式で支持、収納して保管や搬送等を行う為のものである。この具体例として半導体用シリコンウエハキャリヤがある。このウエハキャリヤは主に、2枚対向して設けられた端壁と、各端壁をつないだ状態で対向して設けられた側壁と、この側壁の内面にそれぞれ設けられ複数枚挿入された半導体用シリコンウエハを相互に一定間隔を保って支持するリブ及び収納溝とを備えて構成されている。このウエハキャリヤは、例えば特許文献1、2に記載されているように、帯電防止機能を備えた材料で成形されている。このように構成された帯電防止型半導体用シリコンウエハキャリヤの材料としては、PEEK(polyether etherketone;ポリエーテルエーテルケトン)、PBT(polybutyleneterephtalate;ポリブチレンテレフタレート)やPP(polypropylene;ポリプロピレン)をマトリックスとし、炭素繊維を添加・分散した材料が知られており、実際に収納用成形品として生産、販売、使用されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−228707号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平5−117446号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、マトリックス樹脂中に剛直な繊維状物質(ガラス繊維、炭素繊維、無機系繊維等)を分散した組成物を成形した場合、成型時の樹脂の流れに対する平行方向と直角方向とでは、成形品の収縮率が大きく異なるという異方性の問題がある。この異方性は、添加・分散する繊維の繊維長が長くなるほど大きくなり、添加量が多いほど大きくなることが知られている。この異方性の程度は次のように表示される。即ち、正四角形の薄い試料板を成形して測定された成形品の実測長(樹脂流に対して平行方向と直角方向)と金型寸法との差を、金型寸法で除した二つの成形収縮率の差として、1/1000単位で表示される。
【0006】
この異方性に対しては金型の製作時に補正するが、実際の複雑な形状を有する成形品では、樹脂流に対する平行方向と直角方向との差が拡大する傾向にある上に、必ずしも予定通りの個所で異方性が発現するとは限らず、成形品における寸法精度に大きな影響を及ぼす。このため、異方性の大きな樹脂組成物を使用して成型品を成形した場合、予定寸法以上に収縮して、種々の不具合が生じる可能性がある。
【0007】
薄板収納用成形品にこれまで使用されている炭素繊維含有樹脂組成物もこの弱点を克服すべく炭素繊維の繊維長を短くする等の技術的改良がなされてきたが、半導体製造における技術進歩とそれに必要とされる成形品の寸法精度に対する使用者側の要求が高まっているにも拘らずに、これに対応できていないのが現状である。
【0008】
また、添加する炭素繊維は成形品の表面低抗値を低下させ、成形品に帯電防止性能を保有させる目的で使用されているが、繊維長が長いと成形品表面に蓄積した静電気の消散、減衰に時間を要し、この時間を短縮する為に炭素繊維の添加量を増大すると前述の異方性が拡大するという矛盾が発生する。
【0009】
最近の半導体における集積度の増大や回路幅の微細化に伴い、キャリアからウエハ表面への汚染に対する要求が厳しくなり、有機性揮発ガスやイオン性不純物の漏出が少ない成形材料や収納用成形品が求められている。しかし、従来の炭素繊維添加型樹脂組成物およびこれらの材料を使用した収納用成形品では、この高まる要求に対応できない。
【0010】
半導体用ウエハ等を収納する薄板収納用成形品に使用される炭素繊維添加系樹脂組成物では、通常の強化型樹脂組成物とは異なり、繊維表面にマトリックス樹脂との接着力を増加する為の処理が出来ない。表面に接着処理がされた繊維を使用すると、成形品からの揮発ガスが激増する。炭素繊維の添加は強度の向上にはつながらず、成形品での強度を実用上必要な水準に維持するには原料として使用する樹脂の強度即ち分子量の管理が極めて重要である。
【0011】
マトリックス樹脂の分子量が低いと成形物が極めて割れやすくなり分子量が高くなりすぎると成形時に樹脂温度を高くせざるを得ず成形物の揮発ガス量が激増する。従って、成形品の実用的な強度や性能を制御する為には、原料として使用する樹脂の分子量を一定範囲に管理する必要がある。
【0012】
また、成形品からの有機性揮発ガス量を一定量以下にする為にはマトリックス樹脂として投入する樹脂からの有機性揮発ガスの量を管理する必要がある。
【0013】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたもので、不純物の漏出や微粒子の発生を抑えて半導体用ウエハ、半導体ウエハ、液晶ガラス等の表面汚染を低減し且つ静電気による不具合の発生を予防できる薄板収納用成形品を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、マトリックス樹脂の成分調整等を行って有機性揮発ガスの発生量を抑えて、収納される薄板の表面汚染を低減すると共に、炭素繊維の繊維長、混合比率等を調整して静電特性を向上させた薄板収納用成形品である。
【0015】
樹脂組成物のマトリックス樹脂であるポリブチレンテレフタレートの有機性揮発ガスの量が一定量以上になると、成形品における有機性揮発ガスの量が激増する。
【0016】
また、ポリブチレンテレフタレートの分子量(溶液の極限粘度で代用表示される)が高すぎると、樹脂中の有機性揮発ガス量が一定量以下でも樹脂組成物の成形品でのガス量が急増する。成形品からの有機性揮発ガスは、薄板収納用成形品に収納された半導体用ウエハ、半導体ウエハ、液晶ガラス等で代表される被収納薄板の表面に吸着し汚染する。
【0017】
半導体用シリコンウエハ或いは半導体シリコンウエハを収納する容器(通常「シリコンウエハキャリヤ」と総称される)を例に取ると、成形品の有機性揮発ガス総量が10.0ppmを超えると、収納されたシリコンウエハに吸着される有機物質の量が急増し、表面の汚染が品質上問題となる。シリコンウエハ表面の有機汚染の状況は、無垢のシリコンウエハを収納したウエハキャリヤを密閉容器に密閉し室温で1週間保持し、その後シリコンウエハ表面に吸着した有機性物質を熱脱着法にてウエハ表面から脱着し総量をガスクロマトグラフィ/マススペクトロスコピィ法で測定する。
【0018】
マトリックス樹脂であるポリブチレンテレフタレートの有機性揮発ガス量が4.0ppmを超えると、本発明における樹脂組成物を成形した成形品からの有機性揮発ガス量は急増する。また、ポリブチレンテレフタレートの分子量(溶液の極限粘度で代用表示される)が、1.10を超えると有機性揮発ガス量が4.0ppm以下であっても樹脂組成物を成形した成形品の有機性揮発ガスは10.0ppm以下にならない。
【0019】
使用樹脂の分子量の下限は、成形品の割れやすさ或いは衝撃強度の観点から規定される。通常の繊維強化型組成物は炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を高める為に炭素繊維表面に各種樹脂にて表面処理がなされているが、この表面処理剤が成形品の有機性揮発ガスの大量発生の原因となる。表面処理を施さない炭素繊維を使用する場合は、成形品での実用的強度からみると原料として使用するポリブチレンテレフタレートの分子量(溶液の極限粘度で代用表示される)は0.80以上が必要である。
【0020】
なお、有機性揮発ガスの量は、原料樹脂にあってはペレットまたはチップの形状のままで、成型品にあっては5mm角程度の粒子状に粉砕した試料5g程度について、80℃×2時間の加熱条件にて密閉式ヘッドスペース・ガスクロマトグラフ法で測定した数値である。有機ガス総量は、トルエンを基準物質として定量した数値である。
【0021】
本発明でマトリックスとして使用するポリブチレンテレフタレートの極限粘度は、35℃におけるオルソクロロフェノール溶液での測定値を基に計算した値である。
【0022】
本発明では、炭素繊維は成形品に帯電防止性能を附与する為に添加されており、樹脂組成物の帯電半減衰時間を60秒以下とし、成形品の表面抵抗値を9×1012Ω/口以下に制御する為に、炭素繊維長およびアスペクト比にもよるが樹脂組成物の10〜30重量%、望ましくはほぼ15〜30重量%の炭素繊維が添加されている。成形品の表面低抗値が1×1013Ω/口以上になると帯電防止効果が無くなり、被収納物の表面に多数の微粒子が付着することが良く知られている。
【0023】
本発明は、揮発性有機ガスの発生量が4.0ppm以下の原料樹脂を使用し、且つ成型品の段階では揮発性有機ガスの発生量が10.0ppm以下となっている薄板収納用成形品である。有機性揮発ガスの発生量が10.0ppm以上の成型品では、被収納物の表面の汚染が甚だしく、また発生量が4.0ppm以上の原料ポリマーを使用すると成型品での揮発性有機ガスの発生量を10.0ppm以下に抑えることが甚だ困難である。
【0024】
本発明の中で、半導体用ウエハは、半導体デバイスが作成される前段階の無垢ウエハを意味し、半導体ウエハは、半導体デバイスを無垢ウエハ上に形成する工程での中間製品を意味する。
【0025】
本発明は、以上の点を踏まえてなされたものであり、第1の発明に係る薄板収納用成形品は、ポリマー主鎖中に
【化2】
で表示される構成単位を90モル%以上含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が0.80以上1.10以下であるポリブチレンテレフタレートを70〜90重量部と、体積抵抗率が5×10−2Ωcm以下、アスペクト比が15以下、数平均繊維長が100μm以下の炭素繊維を30〜10重量部とからなる樹脂組成物を用いて成型したことを特徴とする薄板収納用成形品である。このとき、ステアリン酸金属塩、モンタン酸金属塩、モンタン酸エステル、滑石等の滑剤、離型剤等を実質上一切使用せずに成型することが望ましい。
【0026】
第2の発明に係る薄板収納用成形品は、ポリマー主鎖中に
【化3】
で表示される構成単位を90モル%以上含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が0.80以上1.10以下であるポリブチレンテレフタレートを70〜90重量部と、体積抵抗率が5×10−2Ωcm以下、アスペクト比が15以下の炭素繊維30〜10重量部からなり、帯電半減衰時間が60秒以下の樹脂組成物を用いて成型し、成形後の表面抵抗値が9×1012Ω/口以下であることを特徴とする薄板収納用成形品である。このとき、ステアリン酸金属塩、モンタン酸金属塩、モンタン酸エステル、滑石等の滑剤、離型剤等を実質上一切使用せずに成型することが望ましい。
【0027】
第3の発明に係る薄板収納用成形品は、ポリマー主鎖中に
【化4】
で表示される構成単位を90モル%以上含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が0.80以上1.10以下、ASTM D4526に準拠し密閉容器中で80℃、2時間加熱保持した際に容器内に揮発するガスの量が4.0ppm以下のポリブチレンテレフタレートを70〜90重量部と、体積抵抗率5×10−2Ωcm以下、アスペクト比が15以下の炭素繊維30〜10重量部とからなる樹脂組成物を用いて成型したことを特徴とする薄板収納用成形品である。このとき、樹脂組成物の帯電半減衰時間は60秒以下であることが望ましい。ステアリン酸金属塩、モンタン酸金属塩、モンタン酸エステル、滑石等の滑剤、離型剤等を実質上一切使用せずに成型することが望ましい。成形品の表面低抗値は9×1012Ω/口以下であることが望ましい。
【0028】
第4の発明に係る薄板収納用成形品は、ポリマー主鎖中に
【化5】
で表示される構成単位を90モル%以上含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が0.80以上1.10以下、ASTM D4526に準拠し密閉容器中で80℃、2時間加熱保持した際に容器内に揮発するガスの量が4.0ppm以下のポリブチレンテレフタレートを70〜90重量部と、体積抵抗率5×10−2Ωcm以下、アスペクト比が15以下の炭素繊維30〜10重量部とからなる樹脂組成物を用いて成型したことを特徴とする薄板収納用成形品である。このとき、樹脂組成物の帯電半減衰時間は60秒以下であることが望ましい。ステアリン酸金属塩、モンタン酸金属塩、モンタン酸エステル、滑石等の滑剤、離型剤等を実質上一切使用せずに成型することが望ましい。成形品の表面低抗値は9×1012Ω/口以下であることが望ましい。成形品細片はASTM D4526に準拠し密閉容器中に80℃、2時間加熱保持した際の容器内に揮発するガスの量が10.0ppm以下であることが望ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の薄板収納用成形品の実施形態について説明する。本実施形態の薄板収納用成形品は、収納される薄板状製品の表面汚れとして支障を及ぼさない程度まで揮発ガスの発生を抑制し、且つ蓄積する静電気によるトラブルから被収納物を保護することが可能である帯電防止型薄板収納用成形品である。内部に収納される薄板状製品は、半導体用ウエハ、半導体ウエハ、液晶用ガラス等の表面に揮発性有機ガスや微粒子が付着して汚染されたり、蓄積する静電気により被収納物の性能にトラブルが発生することを予防する必要のある製品である。薄板収納用成形品としては、キャリヤ、カセット、収納枠、収納容器、収納用トレー等がある。
【0030】
以下では、本発明に係る薄板収納用成形品として、半導体用シリコンウエハキャリヤを例にとって説明する。
【0031】
[実施例1]
【化6】
で表示される構成単位を実質的に100モル%含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が0.92であるポリブチレンテレフタレート77重量部と、体積抵抗率が3×10−3Ωcm、数平均繊維長が60μmの炭素繊維23重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。因みに、使用したポリブチレンテレフタレートの揮発性有機ガスの総量は、2.5ppm、炭素繊維のアスペクト比は9であった。また、作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は3/1000であり、帯電半減衰時間は2.5秒であった。
【0032】
この樹脂組成物を使用して、8インチ半導体ウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面低抗値は6×1010Ω/口以下であり細片からの揮発性有機ガス総量は5.5ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0033】
[実施例2]
実施例1で使用したポリブチレンテレフタレート及び炭素繊維と同一の材料を使用し、ポリブチレンテレフタレート71重量部と炭素繊維29重量部を実施例1と同一の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。この樹脂組成物の試料板で測定した異方性は3/1000であり、帯電半減衰時間は2.1秒であった。
【0034】
この樹脂組成物を使用して、実施例1と同一のキャリヤを成形した所、表面抵抗値は8×109Ω/口以下であり細片からの揮発性有機ガス総量は4.8ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0035】
[実施例3]
実施例1で使用したポリブチレンテレフタレート及び炭素繊維と同一の材料を使用し、ポリブチレンテレフタレート84重量部と炭素繊維16重量部を実施例1と同一の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。この樹脂組成物の試料板で測定した異方性は3/1000であり、帯電半減衰時間は6.1秒であった。
【0036】
この樹脂組成物を使用して、実施例1と同一のキャリヤを成形した所、表面低抗値は3×1011Ω/口以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は5.6ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0037】
[比較例1]
実施例1で使用したポリブチレンテレフタレート及び炭素繊維と同一の材料を使用し、ポリブチレンテレフタレート65重量部と炭素繊維35重量部を実施例1と同一の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。この樹脂組成物の試料板で測定した異方性は9/1000であり、帯電半減衰時間は2.1秒であった。
【0038】
この樹脂組成物を使用して、実施例1と同一のキャリヤを成形した所、表面低抗値は4×105Ω/口以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は4.1ppmであったが、実際にウエハをキャリヤに収納し所、ウエハが挿入出来ない収納溝が数カ所発生した。
【0039】
[比較例2]
実施例1で使用したポリブチレンテレフタレート及び炭素繊維と同一の材料を使用し、ポリブチレンテレフタレート95重量部と炭素繊維5重量部を実施例1と同一の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。この樹脂組成物の試料板で測定した異方性は2/1000であり、帯電半減衰時間は75秒であった。
【0040】
この樹脂組成物を使用して、実施例1と同一のキャリヤを成形した所、表面抵抗値は7×1013Ω/口以上であり、細片からの揮発性有機ガス総量は4.9ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかったが、ウエハ表面には多数の微粒子の付着が観察された。
【0041】
[実施例4]
【化7】
で表示される構成単位を実質的に100モル%含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が1.05であるポリブチレンテレフタレート77重量部と、体積抵抗率が3×10−3Ωcm、数平均繊維長が60μmの炭素繊維23重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。因みに、使用したポリブチレンテレフタレートの揮発性有機ガスの総量は、3.3ppm、炭素繊維のアスペクト比は9であった。また、作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は2/1000であり、帯電半減衰時間は7.5秒であった。
【0042】
この樹脂組成物を使用して、8インチ半導体ウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面抵抗値は4×1010Ω/口以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は6.2ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0043】
[実施例5]
【化8】
で表示される構成単位を実質的に100モル%含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が0.85であるポリブチレンテレフタレート77重量部と、体積抵抗率が3×10−3Ωcm、数平均繊維長が60μmの炭素繊維23重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。因みに、使用したポリブチレンテレフタレートの揮発性有機ガスの総量は、2.4ppm、炭素繊維のアスペクト比は9であった。また、作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は2/1000であり、帯電半減衰時間は5.5秒であった。
【0044】
この樹脂組成物を使用して、8インチ半導体ウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面低抗値は2×1010Ω以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は5.2ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0045】
[比較例3]
【化9】
で表示される構成単位を実質的に100モル%含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が1.21であるポリブチレンテレフタレート77重量部と、体積抵抗率が3×10−3Ωcm、数平均繊維長が60μmの炭素繊維23重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。因みに、使用したポリブチレンテレフタレートの揮発性有機ガスの総量は、3.8ppm、炭素繊維のアスペクト比は9であった。また、作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は2/1000であり、帯電半減衰時間は5.2秒であった。
【0046】
この樹脂組成物を使用して、8インチ半導体ウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面低抗値は5×1010Ω/口以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は15ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0047】
[比較例4]
【化10】
で表示される構成単位を実質的に100モル%含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が0.73であるポリブチレンテレフタレート77重量部と、体積抵抗率が3×10−3Ωcm、数平均繊維長が60μmの炭素繊維23重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。因みに、使用したポリブチレンテレフタレートの揮発性有機ガスの総量は、2.1ppm、炭素繊維のアスペクト比は9であった。また、作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は2/1000であり、帯電半減衰時間は5.0秒であった。
【0048】
この樹脂組成物を使用して、8インチ半導体ウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面低抗値は5×1010Ω/口以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は5.2ppmであったが、20cm程度の高さから落とした所、全数が破壊された。
【0049】
[実施例6]
実施例4で使用されたポリブチレンテレフタレート77重量部と、体積低抗率が3×10−3Ωcm、数平均繊維長が91μmの炭素繊維23重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。因みに、使用した炭素繊維のアスペクト比は14であった。また、作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は4/1000であり、帯電半減衰時間は8.3秒であった。
【0050】
この樹脂組成物を使用して、8インチ半導体ウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面抵抗値は2×1010Ω/口以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は6.3ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0051】
[実施例7]
実施例5で使用されたポリブチレンテレフタレート77重量部と、体積抵抗率が3×10−3Ωcm、数平均繊維長が91μmの炭素繊維23重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。因みに、使用した炭素繊維のアスペクト比は14であった。また、作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は4/1000であり、帯電半減衰時間は7.8秒であった。
【0052】
この樹脂組成物を使用して、8インチ半導体ウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面抵抗値は1×1010Ω/口以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は5.9ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0053】
[比較例5]
実施例4で使用したポリブチレンテレフタレート84重量部と、体積抵抗率3×10−3Ωcm、数平均繊維長118μmの炭素繊維16重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。炭素繊維のアスペクト比は18であった。作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は8/1000であり、帯電半減衰時間は68秒であった。この樹脂組成物を使用して実施例1と同じ8インチウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面抵抗は8×1012Ω/口、細片からの揮発性有機ガス総量は6.1ppmであったが、実際にウエハを収納して見ると、ウエハ収納が不可能な収納溝が数カ所あった。
【0054】
[実施例8]
実施例1、2、4及び6で成形した8インチウエハキャリヤに実際に無垢ウエハを収納して密閉容器中に室温で1週間放置した後ウエハを取り出して、表面に吸着した揮発性有機ガス総量を熱脱着法により測定した所、以下のようになった。
【0055】
【表1】
この結果から分かるように、実施例1、2、4及び6では、比較例3に比べて、揮発性有機ガス総量も脱着ガス総量も、大幅に低い値となった。
【0056】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明の薄板収納用成形品によれば、不純物の漏出や微粒子の発生を抑えて、薄板の表面汚染を低減し且つ静電気による不具合の発生を予防することができるようになる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体用ウエハ、半導体ウエハや液晶用ガラス等の薄板を複数枚同時に或いは枚葉形式で、支持、保管、搬送、洗浄等を行う為の容器等の薄板収納用成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄板収納用成形品は、半導体用ウエハ、半導体ウエハや液晶用ガラス等を複数枚同時に或いは枚葉方式で支持、収納して保管や搬送等を行う為のものである。この具体例として半導体用シリコンウエハキャリヤがある。このウエハキャリヤは主に、2枚対向して設けられた端壁と、各端壁をつないだ状態で対向して設けられた側壁と、この側壁の内面にそれぞれ設けられ複数枚挿入された半導体用シリコンウエハを相互に一定間隔を保って支持するリブ及び収納溝とを備えて構成されている。このウエハキャリヤは、例えば特許文献1、2に記載されているように、帯電防止機能を備えた材料で成形されている。このように構成された帯電防止型半導体用シリコンウエハキャリヤの材料としては、PEEK(polyether etherketone;ポリエーテルエーテルケトン)、PBT(polybutyleneterephtalate;ポリブチレンテレフタレート)やPP(polypropylene;ポリプロピレン)をマトリックスとし、炭素繊維を添加・分散した材料が知られており、実際に収納用成形品として生産、販売、使用されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−228707号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平5−117446号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、マトリックス樹脂中に剛直な繊維状物質(ガラス繊維、炭素繊維、無機系繊維等)を分散した組成物を成形した場合、成型時の樹脂の流れに対する平行方向と直角方向とでは、成形品の収縮率が大きく異なるという異方性の問題がある。この異方性は、添加・分散する繊維の繊維長が長くなるほど大きくなり、添加量が多いほど大きくなることが知られている。この異方性の程度は次のように表示される。即ち、正四角形の薄い試料板を成形して測定された成形品の実測長(樹脂流に対して平行方向と直角方向)と金型寸法との差を、金型寸法で除した二つの成形収縮率の差として、1/1000単位で表示される。
【0006】
この異方性に対しては金型の製作時に補正するが、実際の複雑な形状を有する成形品では、樹脂流に対する平行方向と直角方向との差が拡大する傾向にある上に、必ずしも予定通りの個所で異方性が発現するとは限らず、成形品における寸法精度に大きな影響を及ぼす。このため、異方性の大きな樹脂組成物を使用して成型品を成形した場合、予定寸法以上に収縮して、種々の不具合が生じる可能性がある。
【0007】
薄板収納用成形品にこれまで使用されている炭素繊維含有樹脂組成物もこの弱点を克服すべく炭素繊維の繊維長を短くする等の技術的改良がなされてきたが、半導体製造における技術進歩とそれに必要とされる成形品の寸法精度に対する使用者側の要求が高まっているにも拘らずに、これに対応できていないのが現状である。
【0008】
また、添加する炭素繊維は成形品の表面低抗値を低下させ、成形品に帯電防止性能を保有させる目的で使用されているが、繊維長が長いと成形品表面に蓄積した静電気の消散、減衰に時間を要し、この時間を短縮する為に炭素繊維の添加量を増大すると前述の異方性が拡大するという矛盾が発生する。
【0009】
最近の半導体における集積度の増大や回路幅の微細化に伴い、キャリアからウエハ表面への汚染に対する要求が厳しくなり、有機性揮発ガスやイオン性不純物の漏出が少ない成形材料や収納用成形品が求められている。しかし、従来の炭素繊維添加型樹脂組成物およびこれらの材料を使用した収納用成形品では、この高まる要求に対応できない。
【0010】
半導体用ウエハ等を収納する薄板収納用成形品に使用される炭素繊維添加系樹脂組成物では、通常の強化型樹脂組成物とは異なり、繊維表面にマトリックス樹脂との接着力を増加する為の処理が出来ない。表面に接着処理がされた繊維を使用すると、成形品からの揮発ガスが激増する。炭素繊維の添加は強度の向上にはつながらず、成形品での強度を実用上必要な水準に維持するには原料として使用する樹脂の強度即ち分子量の管理が極めて重要である。
【0011】
マトリックス樹脂の分子量が低いと成形物が極めて割れやすくなり分子量が高くなりすぎると成形時に樹脂温度を高くせざるを得ず成形物の揮発ガス量が激増する。従って、成形品の実用的な強度や性能を制御する為には、原料として使用する樹脂の分子量を一定範囲に管理する必要がある。
【0012】
また、成形品からの有機性揮発ガス量を一定量以下にする為にはマトリックス樹脂として投入する樹脂からの有機性揮発ガスの量を管理する必要がある。
【0013】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたもので、不純物の漏出や微粒子の発生を抑えて半導体用ウエハ、半導体ウエハ、液晶ガラス等の表面汚染を低減し且つ静電気による不具合の発生を予防できる薄板収納用成形品を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、マトリックス樹脂の成分調整等を行って有機性揮発ガスの発生量を抑えて、収納される薄板の表面汚染を低減すると共に、炭素繊維の繊維長、混合比率等を調整して静電特性を向上させた薄板収納用成形品である。
【0015】
樹脂組成物のマトリックス樹脂であるポリブチレンテレフタレートの有機性揮発ガスの量が一定量以上になると、成形品における有機性揮発ガスの量が激増する。
【0016】
また、ポリブチレンテレフタレートの分子量(溶液の極限粘度で代用表示される)が高すぎると、樹脂中の有機性揮発ガス量が一定量以下でも樹脂組成物の成形品でのガス量が急増する。成形品からの有機性揮発ガスは、薄板収納用成形品に収納された半導体用ウエハ、半導体ウエハ、液晶ガラス等で代表される被収納薄板の表面に吸着し汚染する。
【0017】
半導体用シリコンウエハ或いは半導体シリコンウエハを収納する容器(通常「シリコンウエハキャリヤ」と総称される)を例に取ると、成形品の有機性揮発ガス総量が10.0ppmを超えると、収納されたシリコンウエハに吸着される有機物質の量が急増し、表面の汚染が品質上問題となる。シリコンウエハ表面の有機汚染の状況は、無垢のシリコンウエハを収納したウエハキャリヤを密閉容器に密閉し室温で1週間保持し、その後シリコンウエハ表面に吸着した有機性物質を熱脱着法にてウエハ表面から脱着し総量をガスクロマトグラフィ/マススペクトロスコピィ法で測定する。
【0018】
マトリックス樹脂であるポリブチレンテレフタレートの有機性揮発ガス量が4.0ppmを超えると、本発明における樹脂組成物を成形した成形品からの有機性揮発ガス量は急増する。また、ポリブチレンテレフタレートの分子量(溶液の極限粘度で代用表示される)が、1.10を超えると有機性揮発ガス量が4.0ppm以下であっても樹脂組成物を成形した成形品の有機性揮発ガスは10.0ppm以下にならない。
【0019】
使用樹脂の分子量の下限は、成形品の割れやすさ或いは衝撃強度の観点から規定される。通常の繊維強化型組成物は炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を高める為に炭素繊維表面に各種樹脂にて表面処理がなされているが、この表面処理剤が成形品の有機性揮発ガスの大量発生の原因となる。表面処理を施さない炭素繊維を使用する場合は、成形品での実用的強度からみると原料として使用するポリブチレンテレフタレートの分子量(溶液の極限粘度で代用表示される)は0.80以上が必要である。
【0020】
なお、有機性揮発ガスの量は、原料樹脂にあってはペレットまたはチップの形状のままで、成型品にあっては5mm角程度の粒子状に粉砕した試料5g程度について、80℃×2時間の加熱条件にて密閉式ヘッドスペース・ガスクロマトグラフ法で測定した数値である。有機ガス総量は、トルエンを基準物質として定量した数値である。
【0021】
本発明でマトリックスとして使用するポリブチレンテレフタレートの極限粘度は、35℃におけるオルソクロロフェノール溶液での測定値を基に計算した値である。
【0022】
本発明では、炭素繊維は成形品に帯電防止性能を附与する為に添加されており、樹脂組成物の帯電半減衰時間を60秒以下とし、成形品の表面抵抗値を9×1012Ω/口以下に制御する為に、炭素繊維長およびアスペクト比にもよるが樹脂組成物の10〜30重量%、望ましくはほぼ15〜30重量%の炭素繊維が添加されている。成形品の表面低抗値が1×1013Ω/口以上になると帯電防止効果が無くなり、被収納物の表面に多数の微粒子が付着することが良く知られている。
【0023】
本発明は、揮発性有機ガスの発生量が4.0ppm以下の原料樹脂を使用し、且つ成型品の段階では揮発性有機ガスの発生量が10.0ppm以下となっている薄板収納用成形品である。有機性揮発ガスの発生量が10.0ppm以上の成型品では、被収納物の表面の汚染が甚だしく、また発生量が4.0ppm以上の原料ポリマーを使用すると成型品での揮発性有機ガスの発生量を10.0ppm以下に抑えることが甚だ困難である。
【0024】
本発明の中で、半導体用ウエハは、半導体デバイスが作成される前段階の無垢ウエハを意味し、半導体ウエハは、半導体デバイスを無垢ウエハ上に形成する工程での中間製品を意味する。
【0025】
本発明は、以上の点を踏まえてなされたものであり、第1の発明に係る薄板収納用成形品は、ポリマー主鎖中に
【化2】
で表示される構成単位を90モル%以上含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が0.80以上1.10以下であるポリブチレンテレフタレートを70〜90重量部と、体積抵抗率が5×10−2Ωcm以下、アスペクト比が15以下、数平均繊維長が100μm以下の炭素繊維を30〜10重量部とからなる樹脂組成物を用いて成型したことを特徴とする薄板収納用成形品である。このとき、ステアリン酸金属塩、モンタン酸金属塩、モンタン酸エステル、滑石等の滑剤、離型剤等を実質上一切使用せずに成型することが望ましい。
【0026】
第2の発明に係る薄板収納用成形品は、ポリマー主鎖中に
【化3】
で表示される構成単位を90モル%以上含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が0.80以上1.10以下であるポリブチレンテレフタレートを70〜90重量部と、体積抵抗率が5×10−2Ωcm以下、アスペクト比が15以下の炭素繊維30〜10重量部からなり、帯電半減衰時間が60秒以下の樹脂組成物を用いて成型し、成形後の表面抵抗値が9×1012Ω/口以下であることを特徴とする薄板収納用成形品である。このとき、ステアリン酸金属塩、モンタン酸金属塩、モンタン酸エステル、滑石等の滑剤、離型剤等を実質上一切使用せずに成型することが望ましい。
【0027】
第3の発明に係る薄板収納用成形品は、ポリマー主鎖中に
【化4】
で表示される構成単位を90モル%以上含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が0.80以上1.10以下、ASTM D4526に準拠し密閉容器中で80℃、2時間加熱保持した際に容器内に揮発するガスの量が4.0ppm以下のポリブチレンテレフタレートを70〜90重量部と、体積抵抗率5×10−2Ωcm以下、アスペクト比が15以下の炭素繊維30〜10重量部とからなる樹脂組成物を用いて成型したことを特徴とする薄板収納用成形品である。このとき、樹脂組成物の帯電半減衰時間は60秒以下であることが望ましい。ステアリン酸金属塩、モンタン酸金属塩、モンタン酸エステル、滑石等の滑剤、離型剤等を実質上一切使用せずに成型することが望ましい。成形品の表面低抗値は9×1012Ω/口以下であることが望ましい。
【0028】
第4の発明に係る薄板収納用成形品は、ポリマー主鎖中に
【化5】
で表示される構成単位を90モル%以上含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が0.80以上1.10以下、ASTM D4526に準拠し密閉容器中で80℃、2時間加熱保持した際に容器内に揮発するガスの量が4.0ppm以下のポリブチレンテレフタレートを70〜90重量部と、体積抵抗率5×10−2Ωcm以下、アスペクト比が15以下の炭素繊維30〜10重量部とからなる樹脂組成物を用いて成型したことを特徴とする薄板収納用成形品である。このとき、樹脂組成物の帯電半減衰時間は60秒以下であることが望ましい。ステアリン酸金属塩、モンタン酸金属塩、モンタン酸エステル、滑石等の滑剤、離型剤等を実質上一切使用せずに成型することが望ましい。成形品の表面低抗値は9×1012Ω/口以下であることが望ましい。成形品細片はASTM D4526に準拠し密閉容器中に80℃、2時間加熱保持した際の容器内に揮発するガスの量が10.0ppm以下であることが望ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の薄板収納用成形品の実施形態について説明する。本実施形態の薄板収納用成形品は、収納される薄板状製品の表面汚れとして支障を及ぼさない程度まで揮発ガスの発生を抑制し、且つ蓄積する静電気によるトラブルから被収納物を保護することが可能である帯電防止型薄板収納用成形品である。内部に収納される薄板状製品は、半導体用ウエハ、半導体ウエハ、液晶用ガラス等の表面に揮発性有機ガスや微粒子が付着して汚染されたり、蓄積する静電気により被収納物の性能にトラブルが発生することを予防する必要のある製品である。薄板収納用成形品としては、キャリヤ、カセット、収納枠、収納容器、収納用トレー等がある。
【0030】
以下では、本発明に係る薄板収納用成形品として、半導体用シリコンウエハキャリヤを例にとって説明する。
【0031】
[実施例1]
【化6】
で表示される構成単位を実質的に100モル%含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が0.92であるポリブチレンテレフタレート77重量部と、体積抵抗率が3×10−3Ωcm、数平均繊維長が60μmの炭素繊維23重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。因みに、使用したポリブチレンテレフタレートの揮発性有機ガスの総量は、2.5ppm、炭素繊維のアスペクト比は9であった。また、作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は3/1000であり、帯電半減衰時間は2.5秒であった。
【0032】
この樹脂組成物を使用して、8インチ半導体ウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面低抗値は6×1010Ω/口以下であり細片からの揮発性有機ガス総量は5.5ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0033】
[実施例2]
実施例1で使用したポリブチレンテレフタレート及び炭素繊維と同一の材料を使用し、ポリブチレンテレフタレート71重量部と炭素繊維29重量部を実施例1と同一の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。この樹脂組成物の試料板で測定した異方性は3/1000であり、帯電半減衰時間は2.1秒であった。
【0034】
この樹脂組成物を使用して、実施例1と同一のキャリヤを成形した所、表面抵抗値は8×109Ω/口以下であり細片からの揮発性有機ガス総量は4.8ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0035】
[実施例3]
実施例1で使用したポリブチレンテレフタレート及び炭素繊維と同一の材料を使用し、ポリブチレンテレフタレート84重量部と炭素繊維16重量部を実施例1と同一の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。この樹脂組成物の試料板で測定した異方性は3/1000であり、帯電半減衰時間は6.1秒であった。
【0036】
この樹脂組成物を使用して、実施例1と同一のキャリヤを成形した所、表面低抗値は3×1011Ω/口以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は5.6ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0037】
[比較例1]
実施例1で使用したポリブチレンテレフタレート及び炭素繊維と同一の材料を使用し、ポリブチレンテレフタレート65重量部と炭素繊維35重量部を実施例1と同一の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。この樹脂組成物の試料板で測定した異方性は9/1000であり、帯電半減衰時間は2.1秒であった。
【0038】
この樹脂組成物を使用して、実施例1と同一のキャリヤを成形した所、表面低抗値は4×105Ω/口以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は4.1ppmであったが、実際にウエハをキャリヤに収納し所、ウエハが挿入出来ない収納溝が数カ所発生した。
【0039】
[比較例2]
実施例1で使用したポリブチレンテレフタレート及び炭素繊維と同一の材料を使用し、ポリブチレンテレフタレート95重量部と炭素繊維5重量部を実施例1と同一の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。この樹脂組成物の試料板で測定した異方性は2/1000であり、帯電半減衰時間は75秒であった。
【0040】
この樹脂組成物を使用して、実施例1と同一のキャリヤを成形した所、表面抵抗値は7×1013Ω/口以上であり、細片からの揮発性有機ガス総量は4.9ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかったが、ウエハ表面には多数の微粒子の付着が観察された。
【0041】
[実施例4]
【化7】
で表示される構成単位を実質的に100モル%含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が1.05であるポリブチレンテレフタレート77重量部と、体積抵抗率が3×10−3Ωcm、数平均繊維長が60μmの炭素繊維23重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。因みに、使用したポリブチレンテレフタレートの揮発性有機ガスの総量は、3.3ppm、炭素繊維のアスペクト比は9であった。また、作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は2/1000であり、帯電半減衰時間は7.5秒であった。
【0042】
この樹脂組成物を使用して、8インチ半導体ウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面抵抗値は4×1010Ω/口以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は6.2ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0043】
[実施例5]
【化8】
で表示される構成単位を実質的に100モル%含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が0.85であるポリブチレンテレフタレート77重量部と、体積抵抗率が3×10−3Ωcm、数平均繊維長が60μmの炭素繊維23重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。因みに、使用したポリブチレンテレフタレートの揮発性有機ガスの総量は、2.4ppm、炭素繊維のアスペクト比は9であった。また、作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は2/1000であり、帯電半減衰時間は5.5秒であった。
【0044】
この樹脂組成物を使用して、8インチ半導体ウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面低抗値は2×1010Ω以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は5.2ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0045】
[比較例3]
【化9】
で表示される構成単位を実質的に100モル%含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が1.21であるポリブチレンテレフタレート77重量部と、体積抵抗率が3×10−3Ωcm、数平均繊維長が60μmの炭素繊維23重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。因みに、使用したポリブチレンテレフタレートの揮発性有機ガスの総量は、3.8ppm、炭素繊維のアスペクト比は9であった。また、作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は2/1000であり、帯電半減衰時間は5.2秒であった。
【0046】
この樹脂組成物を使用して、8インチ半導体ウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面低抗値は5×1010Ω/口以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は15ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0047】
[比較例4]
【化10】
で表示される構成単位を実質的に100モル%含有し且つオルソクロロフェノール溶液での極限粘度が0.73であるポリブチレンテレフタレート77重量部と、体積抵抗率が3×10−3Ωcm、数平均繊維長が60μmの炭素繊維23重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。因みに、使用したポリブチレンテレフタレートの揮発性有機ガスの総量は、2.1ppm、炭素繊維のアスペクト比は9であった。また、作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は2/1000であり、帯電半減衰時間は5.0秒であった。
【0048】
この樹脂組成物を使用して、8インチ半導体ウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面低抗値は5×1010Ω/口以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は5.2ppmであったが、20cm程度の高さから落とした所、全数が破壊された。
【0049】
[実施例6]
実施例4で使用されたポリブチレンテレフタレート77重量部と、体積低抗率が3×10−3Ωcm、数平均繊維長が91μmの炭素繊維23重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。因みに、使用した炭素繊維のアスペクト比は14であった。また、作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は4/1000であり、帯電半減衰時間は8.3秒であった。
【0050】
この樹脂組成物を使用して、8インチ半導体ウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面抵抗値は2×1010Ω/口以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は6.3ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0051】
[実施例7]
実施例5で使用されたポリブチレンテレフタレート77重量部と、体積抵抗率が3×10−3Ωcm、数平均繊維長が91μmの炭素繊維23重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。因みに、使用した炭素繊維のアスペクト比は14であった。また、作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は4/1000であり、帯電半減衰時間は7.8秒であった。
【0052】
この樹脂組成物を使用して、8インチ半導体ウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面抵抗値は1×1010Ω/口以下であり、細片からの揮発性有機ガス総量は5.9ppmであった。このキャリヤに実際にウエハを収納した所、問題無く収納され、自動機器,装置での取扱でもトラブルや故障は発生しなかった。
【0053】
[比較例5]
実施例4で使用したポリブチレンテレフタレート84重量部と、体積抵抗率3×10−3Ωcm、数平均繊維長118μmの炭素繊維16重量部とを通常の方法で混練、押出して樹脂組成物を作成した。炭素繊維のアスペクト比は18であった。作成した樹脂組成物の試料板で測定した異方性は8/1000であり、帯電半減衰時間は68秒であった。この樹脂組成物を使用して実施例1と同じ8インチウエハ用キャリヤを成形した所、成形品の表面抵抗は8×1012Ω/口、細片からの揮発性有機ガス総量は6.1ppmであったが、実際にウエハを収納して見ると、ウエハ収納が不可能な収納溝が数カ所あった。
【0054】
[実施例8]
実施例1、2、4及び6で成形した8インチウエハキャリヤに実際に無垢ウエハを収納して密閉容器中に室温で1週間放置した後ウエハを取り出して、表面に吸着した揮発性有機ガス総量を熱脱着法により測定した所、以下のようになった。
【0055】
【表1】
この結果から分かるように、実施例1、2、4及び6では、比較例3に比べて、揮発性有機ガス総量も脱着ガス総量も、大幅に低い値となった。
【0056】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明の薄板収納用成形品によれば、不純物の漏出や微粒子の発生を抑えて、薄板の表面汚染を低減し且つ静電気による不具合の発生を予防することができるようになる。
Claims (5)
- 請求項1に記載の薄板収納用成形品において、
上記樹脂組成物の帯電半減衰時間が60秒以下であり、成形後の表面抵抗値が9×1012Ω/口以下であることを特徴とする薄板収納用成形品。 - 請求項1又は2に記載の薄板収納用成形品において、
上記ポリブチレンテレフタレートとして、ASTM D4526に準拠し密封容器内で80℃、2時間加熱保持した際に容器内に揮発するガスの量が4.0ppm以下であるポリブチレンテレフタレートを使用したことを特徴とする薄板収納用成形品。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薄板収納用成形品において、
成形後の揮発ガスが、ASTM D4526に準拠し密封容器内で80℃、2時間加熱保持した際に10.0ppm以下であることを特徴とする薄板収納用成形品。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の薄板収納用成形品において、
上記樹脂組成物を用いて成型する際に、滑剤、離型剤等を実質上一切使用しないことを特徴とする薄板収納用成形品。
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Cited By (1)
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|---|---|---|---|---|
| WO2011004729A1 (ja) * | 2009-07-09 | 2011-01-13 | 信越ポリマー株式会社 | 基板収納容器 |
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2003
- 2003-02-24 JP JP2003045548A patent/JP2004259727A/ja active Pending
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