JP2004259652A - 電気化学素子用電極とそれを用いた電気化学素子 - Google Patents

電気化学素子用電極とそれを用いた電気化学素子 Download PDF

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洋 樋口
Shuji Ito
修二 伊藤
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Abstract

【課題】電気化学素子用電極の活物質と集電体の間の電気的結合は、充放電サイクルを繰り返すことによって次第に弱くなり、電気化学素子はその容量を減少させる。
【解決手段】第一に、活物質結晶体の理論容量D(gcm−3)に対する活物質の嵩密度D(gcm−3)の割合D/Dが、従来はD/D≦0.8であったのに対して、0.9≦D/D≦1であるように活物質を形成すること。第二に、集電体の材質を樹脂フィルムとすること。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学素子用正極部品とその製造装置と製法、さらに前記部品を用いた電気化学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
代表的な電気化学素子であるリチウムイオン二次電池は、その高いエネルギー密度を特徴として、既にモバイル用途を中心として広く使用されている。
【0003】
しかしながら、その主要部品である電極は原料の粉状活物質原料を圧縮成型したものを使用していることから、活物質が集電体からの剥離して充放電容量が低下する問題、活物質の嵩密度が低く充放電容量が理論値より小さくなる問題が指摘されている。前者に対しては、クロム含有層を集電体表面に設ける技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
研究段階にあるスパッタ法、蒸着法などの半導体プロセスによる活物質形成(例えば特許文献2、非特許文献1参照)の分野においても、活物質と集電体層(銅箔)の密着性を改善するために集電体表面にクロム含有層を形成する(例えば特許文献2参照)、充放電容量の向上及び活物質膨張収縮に伴う集電体からの活物質の脱落の抑制のために、集電体に凹凸をつける(例えば特許文献3参照)などの提案がなされている。
【0005】
この手法においては、結晶構造を有する活物質を形成することができないため、形成したものを高温熱処理するという新たな課題があり、成膜面に対してイオンを照射しながら活物質を形成する方法が提案されている(例えば特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−319407号公報
【特許文献2】
米国特許第5338625号公報
【特許文献3】
特開2002−313319号公報
【特許文献4】
特開平6−256933号公報
【非特許文献1】
J.B.Batesら著、「Preferred Orientationof Plycrystalline LiCoO Films」、Journal of Electrochemical Society、147巻、1号、2000年、p.59−70
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、電気化学素子の充放電サイクル寿命に関するものである。
【0008】
リチウムイオン二次電池の多くは、正負の各電極、電解質、セパレータ、外装材に大別される主要部品を用いて構成されている。その主要部品である活物質は、結晶粉末材料に有機溶剤を加えて作製したペーストを集電体表面に塗布し、乾燥・焼成することで形成される。図2は、従来の電極の断面図の一例である。活物質は活物質結晶粉の圧縮成形体であり、層の中には空隙が多く存在し、また2と1の接触も全面ではなされていない。従って、集電体−活物質間は完全な接触面ではなく、多くの点接触の集合体である。
【0009】
活物質は、充電においてイオンを放出して膨張し、放電においてイオンを吸収して収縮するが、元々粉体であるために粉−粉間、粉−集電体間の接着が十分ではないので、充放電時の活物質の膨張収縮を繰り返す間に活物質が集電体から剥離し始める。このようにして活物質と集電体の間の電気的結合は、充放電を繰り返すことによって次第に弱くなり、電気化学素子はその容量を減少させてしまうため、充放電サイクル寿命はせいぜい300サイクル程度に留まっている。
【0010】
本発明は電気化学素子における充放電サイクル特性を改善することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の電気化学素子用電極は電子伝導性を有する集電体と、前記集電体の少なくとも片面に密着した活物質とからなる電気化学素子用電極において、前記活物質は、理論密度D(g/cm)に対する同層の嵩密度D(g/cm)の割合D/Dが、0.9≦D/D≦1であるものである。
【0012】
さらに、活物質は2θ−θモードでのX線回折分析において観測される回折ピークの半値全幅Δ2θFWHMが0<Δ2θFWHM≦1°であるものである。
【0013】
さらに、集電体は電子伝導層をその表面に形成した樹脂であるものである。
【0014】
さらに、樹脂フィルムの材質はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリイミド、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンまたはポリ塩化ビニル及びこれらの2種類以上の組み合わせよりなる混合樹脂のいずれかであるものである。
【0015】
さらに、電子伝導層の厚さは0.05μm≦T≦5μmであるものである。
【0016】
さらに、活物質は少なくともコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、鉄酸リチウム、窒化コバルト酸リチウム、窒化ニッケル酸リチウム、窒化マンガン酸リチウム、窒化バナジウム酸リチウムまたは窒化鉄酸リチウムから選ばれるいずれかであるものである。
【0017】
さらに、活物質の厚さは10μm以下であるものである。
【0018】
また、本発明の電気化学素子は上記のいずれかに記載の電気化学素子用電極を用いたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明が提案する手段は二つである。
【0020】
その第一の手段は、集電体の材質を樹脂フィルムとすることである。ここで、樹脂フィルムとは、従来において使用していた金属基板よりも柔軟で伸縮性に富む材料とすべきであり、その材質はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエステル、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンまたはポリ塩化ビニル及びこれらの2種類以上の組み合わせよりなる混合樹脂等の材料が使用可能である。これによって、充放電における活物質の膨張収縮時に加わる集電体との接合面に加わるストレスを低減して、集電体から活物質が脱落することを抑制する効果がある。
【0021】
さらに加えるならば、樹脂フィルムを使用することによって重量を大幅に削減することができて、電極ならびに電気化学素子の軽量化も可能である。
【0022】
(実施の形態2)
その第二の手段は、集電体表面に対して密着形成した活物質を形成することである。密着形成とは、集電体と活物質の界面及び活物質内部に隙間が従来では不可能なレベルに少ないことを指し、具体的には、活物質の理論容量D(gcm−3)に対する活物質の嵩密度D(gcm−3)の割合D/Dが、従来はD/D≦0.8であったのに対して、0.9≦D/D≦1であることをいう。
【0023】
これによって、集電体と活物質の密着性が向上するために充放電に伴う活物質の膨張収縮の影響により活物質が脱落する可能性が減少し、また同時に、活物質の嵩密度が向上するために、同じ見かけ体積の従来活物質と比較して容量が増大するという二つの効果がある。
【0024】
(実施の形態3)
図1は、本発明の電極の構造を示す図であり、図2は従来の電極の構造を示す図である。
【0025】
図1は、集電体1と活物質2がほぼ前面で密着し、さらに活物質2の内部にも空隙がない。この形態は、密着面積が最大であるので集電体1と活物質2の間の接着力が最大であると考えられる。しかも、活物質が最も緻密に詰まった状態であるので、見かけ体積あたりの放電容量が最大である。さらに、電極としての電気抵抗が最も小さい状態であるので、充放電時の抵抗損失が最小である。
【0026】
集電体の材質は、充放電時に膨張収縮する活物質に追従して変形する必要があることから、柔軟性を持つ材料である必要があり、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリイミド、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンまたはポリ塩化ビニル及びこれらの2種類以上の組み合わせよりなる混合樹脂などの材料からなる樹脂フィルムなどが適用できる。
【0027】
また、集電体として電子伝導性を必要とすることから、その表面には電子伝導層が必要であり、一般的な金属、電子伝導性酸化物などが使用できる。ただし、抵抗ロスを抑制するために電子伝導層の厚さは少なくとも0.05μm以上であり、加えて電子伝導層も充放電時に膨張収縮する活物質に追従して変形する必要があることから、その厚さは5μm以下であることが好ましい。
【0028】
(実施の形態4)
図3は本発明の電極に用いるコバルト酸リチウムのX線回折信号パターンの結果を示す図である。電極は少なくとも活物質と集電体により構成される。本発明により作製した電極の表層になっている活物質に対して、2θ―θ測定モードによるX線回折分析の結果得られる回折信号のパターンを示している。活物質はコバルト酸リチウムを用い、その厚さ(膜厚)は10μmである。コバルト酸リチウムの場合、比較的強い回折ピークはそれぞれ(003)、(101)、(104)の3本で、それぞれ2θ=19°、36°、45°付近に観測される。
【0029】
これらの信号の半値全幅値Δ2θFWHMは、結晶性が向上すると小さくなる傾向があることから、この評価法による判別が有効であると考えられる。
【0030】
我々の実験では、膜厚10μm以下、Δ2θFWHM値が1°以下の場合には活物質として十分な充放電容量を得ることが可能である。
【0031】
(実施の形態5)
図4は、本発明が提案する集電体の断面構造を示す図である。なお、電極は少なくとも集電体と活物質を有する。図番11は集電体の基体で、伸縮する性質を有する樹脂フィルム、図番12は電子伝導層である。樹脂フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエステル、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル及びこれらの2種類以上の組み合わせよりなる混合樹脂等が有効であり、電子伝導層としては、金属、電子伝導性酸化物(インジウムスズ酸化物、酸化スズ、酸化亜鉛、スズ酸カドミウム等)、有機電子伝導材などが有効である。電子伝導層は、樹脂フィルムの伸縮性を阻害しない程度に薄く且つ電子伝導性を保てる程度に厚い必要があることから、0.1μm〜5μmの範囲が適当であり、さらに好ましくは0.1μm〜0.5μmの範囲である。
【0032】
また、電子伝導層と樹脂フィルムの密着性を確保するためには、電子伝導層を形成する際に、(1)予め樹脂フィルム表面にカップリング剤を塗布してから電子伝導層を形成する、(2)電子伝導層形成直前に樹脂フィルム表面をプラズマ照射などの手段によって多少荒らしてから電子伝導層を形成する、(3)低分子モノマーを蒸着してから電子伝導層を形成する、(4)低分子モノマーを蒸着しつつ電子伝導層を形成する、(5)フィルム面で低分子モノマーを蒸着・重合させ、その直後に電子伝導層を形成する、などの手法を採る必要がある。
【0033】
(実施の形態6)
図5は、本発明の電極を作製するための装置の概断面を示す図である。
【0034】
集電体211は、基板ホルダー220によって固定されており、温度制御機構223との接触によって温度制御される。蒸着ユニット(蒸着ソース202、ルツボ203、抵抗加熱ヒーター204、蒸着ソース212、ルツボ214、偏向型電子銃215)及びエネルギー照射装置(対基板用電子源231、対クラスター及び対ガス用電子源232、対基板用電子源用ガス導入管233、対クラスター及び対ガス用電子源用ガス導入管234からなる装置)の上方にあって、基板ホルダー20によって基板温度制御機構223に密着した状態で固定されている。
【0035】
集電体211の下方にはシャッター222がある。蒸着ユニットは蒸着ソース202、212を加熱して蒸発させる機能を有している。203にはリチウム、214には周期律表第4周期の遷移金属を入れ、それぞれ適当な温度に保つことによって蒸発させる。
【0036】
(実施の形態7)
個々で、前出の図5を用いて電極の作製工程を説明する。
【0037】
容器221の内部を5×10−3Pa以下に減圧した後、蒸着ソース202としてのリチウムをヒーター204で加熱し、また蒸発ソース212としての第4周期遷移金属に偏向型電子銃215から電子ビームを照射して蒸発させる。
【0038】
蒸発ソース202,蒸発ソース212を溶解させた後、ガス導入管217から酸素あるいは窒素を導入し、基板照射用電子銃231から20〜160Vの加速電圧の電子を集電体211に向けて照射した状態で、シャッター222を開放することにより、集電体211の表面にリチウムと第4周期遷移金属の複合酸化物層あるいはリチウムと第4周期遷移金属の複合窒化物層を形成する。形成の際には、211の温度上昇を抑制するために、基板温度制御機構223によって基板温度を調整する。
【0039】
なお、基板照射用電子銃231からの電子照射の代わりに対クラスター及び対ガス用電子源232を使用し、容器221の雰囲気ガスに対して電子を照射することも有効である。
【0040】
【実施例】
(実施例1)
本実施例では試料番号、実施例1−1〜1−8(1−4は比較例)ならびに試料番号、従来例1−1、1−2について述べる。
【0041】
本発明による電極のうち、高密度な活物質を形成したものは高容量であること、さらにその中でも集電体材質として表面に電子伝導性膜を形成した樹脂フィルムは高信頼性であることを、従来例との比較により示す。
【0042】
本発明の実施例1−1〜1−15は以下の作製方法によって作製した。図5とともに説明をする。
【0043】
蒸発ソース212に金属塊100g、蒸発ソース202にリチウムの金属塊10gを入れ、集電体211を基板ホルダー220に取り付け、排気管218を通じて容器221内を10−3Paまで減圧した後、蒸発ソース202を加熱し溶解させ、水晶振動式成膜速度計で蒸発速度を測定し、さらに蒸発ソース212に対して電子銃215から電子ビームを照射することによって加熱して溶解させ、同様にして蒸発速度を測定して、LiとCoが基板に到達する量が等しくなるように215からの電子ビーム電流を調整した。ガス導入管217から酸素50sccmを供給し、また233よりアルゴンを10sccmで供給しながら、基板照射用電子銃231から電子を照射した。
【0044】
真空チャンバー221内を5×10−2Paになるようにバルブ219で調整した後、シャッター222を開放して、集電体211の表面に厚さ10μmのリチウム金属複合酸化物の活物質を形成した。集電体211の材質、蒸発ソース212の材質および蒸発ソース202の、印加電流、温度はそれぞれ下記に示す通りである。
【0045】
(実施例1―1)銅箔、コバルト、90mA、540℃、
(実施例1−2)銅箔、コバルト、150mA、550℃、
(実施例1−3)銅箔、コバルト、200mA、570℃、
(比較例1−4)銅箔、コバルト、350mA、600℃、
(実施例1―5)ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルム)、コバルト、80mA、540℃、
(実施例1−6)PETフィルム、コバルト、100mA、550℃、
(実施例1−7)PETフィルム、コバルト、150mA、580℃、
(実施例1−8)PETフィルム、コバルト、300mA、600℃、
PETフィルム(帝人・デュポン株式会社製マイラー(登録商標))は厚さが10μmで、その表面に0.5μm厚の銅層を設けてあり、集電体としての十分な電子伝導性を確保したものを使用した。銅層をPETフィルム面に形成する際には、低分子有機化合物としてのポリエチレン(分子量200〜500)の蒸気が存在する減圧雰囲気中で、フィルム面に対して低速の電子(数百V程度)を照射することによって極めて薄い膜を形成した後、そのまま銅を電子ビーム蒸着することによって、銅層がフィルム面に密着するように工夫した。本発明において使用したPETフィルムをはじめとする樹脂フィルムと電子伝導対からなる集電体は、特に断りがない限りこの仕様である。
【0046】
また、従来例として、コバルト酸リチウム結晶粉(粒径7μm)を塗布し、100tプレスしたものを準備した。従来例に使用した集電体の材質は下記である。
【0047】
(従来例1−1)銅箔、
(従来例1−2)PETフィルム、
得られた電極を30mm×30mmに切断し、重量と膜厚の測定データから活物質の嵩密度を求めた。結果を(表1)A欄に示す。
【0048】
【表1】
Figure 2004259652
【0049】
従来例による電極の活物質の嵩密度は、理論密度の80%程度であるのに対して、実施例1−1〜1−3、1−5〜1−7は、嵩密度が理論密度の85%以上と極めて近いことがわかる。比較例1−4と実施例1−8の嵩密度が低いが、電子顕微鏡による観察の結果、層中に空隙が発生していたことが判った。空隙の発生は、活物質の成膜速度が速くなったことによって、活物質が結晶格子を構成する際の原子再配列の速度が成膜の速度に追いつかなくなったことによると考えられる。
【0050】
本発明による部品の活物質が結晶化していることを、X線回折パターンで示す。図3は実施例1−1のサンプルの結果である。コバルト酸リチウムの結晶格子に起因する回折信号が観測され、活物質としてのコバルト酸リチウムが結晶化していることが分かる。
【0051】
以下に、この電極を用いて作製した図6に示す評価用コイン型リチウムイオン二次電池の充放電サイクル寿命の評価結果を示す。
【0052】
なお、評価用リチウムイオン二次電池の作製方法は以下のとおりである。
【0053】
実施例1−1〜8および従来例1−1〜2で得られた電極を直径20mmの円形に打ち抜き、正極側の電極64とする。電解液67は、プロオピレンカーボネートとジメトキシエタンの混合溶液(体積比1:1)に1モル/L濃度となるように過塩素酸リチウムを溶解したもの、セパレータ65は微孔性ポリプロピレンシート(厚さ25μm)を26mmφで円形に打ち抜いたもの、負極側の電極62として、抵抗加熱蒸着によって金属リチウムを0.5μm厚で形成した集電体を22mmφで円形に打ち抜いたものをそれぞれ用いた。上記材料を図6に示す構成に組み立て、電解液67を入れた後に、ガスケット66をフタ61とケース63の間に入れ、封口したものを評価用コイン型リチウムイオン二次電池とした。
【0054】
充放電サイクル寿命を評価するための充放電サイクル試験方法は以下のとおりである。
【0055】
得られた評価用リチウムイオン二次電池を、環境温度20℃、0.2Cレート(電池の理論容量を5時間で充電できる電流値)で(表1)C欄に示す電圧まで4.2Vまで充電し、2Cレート(電池の理論容量を1/2時間で放電できる電流値)で同じく(表1)D欄に示す電圧まで放電させた。
【0056】
5サイクル目の活物質重量当たりの放電容量を初期放電容量とし、(表1)B欄に示した。前記した充放電を1サイクルと計数し、初期放電容量の80%まで容量が低下するまでの充放電サイクル数を測定し、そのサイクル数を充放電サイクル試験結果として(表1)C欄に記載した。
【0057】
これによると本発明の実施例1−1〜1−7の電極の容量は、従来よりも大きな値を示しているが、実施例1−8は嵩密度が低かったために従来例よりも低い容量となった。
【0058】
この実施例から、基板材質によって効果の程度に違いはみられるが、嵩密度を理論密度の80%以上に保つことによって、少なくとも従来例以上の容量を確保することが可能であると考えられる。
【0059】
これによると、まず従来例が300サイクル程度であるのに対して、本発明の実施例はすべて600サイクル以上を確保した。
【0060】
比較例1−4は約400サイクルで実施例1−1〜1−3と比べてと少なかった。
【0061】
一方、集電体としてPETフィルムを用いた場合は、充放電による容量低下が大幅に抑制されて、充放電サイクル試験結果は2500サイクルを超える。
【0062】
充放電試験後にこれらの電池を分解して活物質を調べたところ、従来例及び比較例1−4では、集電体の銅箔上の活物質が集電体表面から剥離しているのが観測されたが、これら以外のものでは特に変化が見られなかった。
【0063】
以上の結果から、本発明に従って基板に伸縮性を有する樹脂フィルムを用いることによって充放電サイクル寿命が改善されること、また、本発明に従って、集電体に形成した活物質を使用することによって、さらに改善されることがわかる。
【0064】
(実施例2)
ここでは試料番号、実施例2−1〜2−8(2−4、2−8は比較例)ならびに試料番号、従来例2−1、2−2について述べる。
【0065】
本発明による電極のうち、高い結晶性の活物質を形成したものは高容量であること、さらにその中でも集電体材質として表面に電子伝導性膜を形成した樹脂フィルムは高信頼性であることを、従来例との比較により示す。
【0066】
以下に、実施例2−1〜2−8では、基板照射用電子源231からの電子電流を変化させることによって、活物質の結晶性を制御した。本実施例では、そのX線回折分析の結果と電気化学素子の容量の測定結果を示す。
【0067】
本発明の試料番号、実施例2−1〜2−8及び試料番号、従来例2−1、2−2は以下の作製方法によって作製した。
【0068】
蒸発ソース212に金属塊100g、蒸発ソース202にリチウムの金属塊10gを入れ、集電体211を基板ホルダー220に取り付け、排気管218を通じて容器221内を10−3Paまで減圧した後、蒸発ソース202を540℃に加熱し溶解させ、水晶振動式成膜速度計で蒸発速度を測定し、蒸発ソース212に対して電子銃215から90mAの電子ビームを照射することによって加熱して溶解させ、同様にして蒸発速度を測定して、LiとCoが基板に到達する量が等しくなるように215からの電子ビーム電流を調整した。
【0069】
ガス導入管217から酸素50sccmを供給し、また233よりアルゴンを10sccmで供給しながら、基板照射用電子銃231から電子を照射した。
【0070】
真空チャンバー221内を5×10−2Paになるようにバルブ219で調整した後、シャッター222を開放して、集電体211の表面に厚さ10μmの活物質を形成した。
【0071】
集電体211の材質、ソース212の材質および電子銃215からの電子ビーム電流、231からの電子電流はそれぞれ下記に示す通りである。
【0072】
(実施例2―1)銅箔、コバルト、30A
(実施例2−2)銅箔、コバルト、20A
(実施例2−3)銅箔、コバルト、10A
(比較例2−4)銅箔、コバルト、5A
(従来例2−1)銅箔、コバルト、0A
(実施例2―5)PETフィルム、コバルト、30A
(実施例2−6)PETフィルム、コバルト、20A
(実施例2−7)PETフィルム、コバルト、10A
(比較例2−8)PETフィルム、コバルト、5A
(従来例2−2)PETフィルム、コバルト、0A
本発明による部品の活物質が結晶化の様子をX線回折分析によって評価した。
【0073】
線源はCuのKα1(λ=1.54056Å)を使用した。面指数(101)に起因する回折信号(2θ=37.3°〜37.4°付近)の半値全幅Δ2θFWHMの値を(表2)A欄に示す。
【0074】
【表2】
Figure 2004259652
【0075】
半値全幅値Δ2θFWHMは、基板照射用電子線231からの照射エネルギーが小さくなるに従って増大する傾向が見られ、従来例においては、回折ピークが微弱であったためにΔ2θFWHMを特定することが困難であった。
【0076】
この電極を用いて図6に示す評価用コイン型リチウムイオン二次電池を作製し、充放電試験を行って初期放電容量を測定した。評価用電池ならびに評価方法は実施例1で述べた方法と同様である。結果を(表2)B欄に示す。
【0077】
Δ2θFWHMの増大とともに活物質の単位体積当り容量が低下していることが判る。この内、実施例2−1〜2−3、2−5〜2−7は、従来例1−1、1−2の値を上回っており、基板照射用電子線231からの電子照射によって結晶性が向上したことの効果が認められる。その効果は結晶性を反映する数値としてのΔ2θFWHMが1°以下の場合に発現しており、0<Δ2θFWHM≦1°条件を満たす程度の結晶性を備えていることが、高容量を実現するための必要条件であると考えられる。
【0078】
(実施例3)
ここでは試料番号、実施例3−1〜3−6、ならびに比較例3−1について述べる。
【0079】
集電体としての樹脂の表面に形成された電子伝導層の厚さと、これを用いた電極で作製した電気化学素子の充放電サイクル寿命の関係から、適当な電子伝導層の厚さTが0.05μm≦T≦1μmであることを示す。
【0080】
電子伝導層としての銅層の形成は、図5の装置を使用する。集電体としてのポリエチレンフィルム211(以下、PEフィルム、この場合は電子伝導層なし)をセットし、10−4Paまで減圧する。ソースとしての低分子ポリプロピレン202(分子量200〜500)をルツボ203に入れ200〜280℃で加熱してポリプロピレンを蒸発させて、容器221内にポリプロピレン蒸気を充満させた状態で、対基板用電子源用ガス導入管233にArを10sccm導入し電子源231から電子を集電体211に対して照射し、シャッター222を数秒間開放することによって、集電体211上に0.01μmのポリプロピレンを形成した後、蒸発ソース212としての銅に対して電子ビームを照射して、銅層を形成した。銅層の厚さTは、シャッター222の開放時間によって制御することによって、下記のものを作製した。
【0081】
(実施例3−1)T=0.01μm、
(実施例3−2)T=0.05μm、
(実施例3−3)T=0.1μm、
(実施例3−4)T=0.5μm、
(実施例3−5)T=1μm、
(実施例3−6)T=2μm、
比較例3−1として、集電体としての銅箔を準備した。
【0082】
実施例3−1〜3−6、比較例3−1の集電体に対して、実施例1−5と同条件にてコバルト酸リチウムからなる活物質を形成して電極とした。
【0083】
実施例3−1〜3−6、比較例3−1により作製した電極を使用して、実施例1の方法に準じて図6に示す評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル寿命評価のための充放電サイクル試験を行った。(表3)A欄に初期放電容量、(表3)B欄に充放電サイクル試験結果を示す。
【0084】
【表3】
Figure 2004259652
【0085】
(表3)A欄に示すように、電子伝導層の厚さの増大に伴って活物質の単位体積あたり容量が増大している。その原因は、電池の樹脂フィルムの抵抗成分がわずかではあるが内部損失として影響している。
【0086】
(表3)B欄から、1μm以上の厚さにおいてサイクル数が急激に減少することが観測されている。以上の結果から、少なくとも電子伝導層の厚さTが0.01≦T≦5μmの範囲にある場合は、集電体層に伸縮性を持たせたことの効果が発揮され、5μm以上の範囲では、集電体が銅箔である場合と同様の結果になり、効果がなくなると考えられる。
【0087】
(実施例4)
ここでは試料番号、実施例4−1〜4−8(4−4は比較例)、ならびに試料番号、従来例4−1、4−2について述べる。
【0088】
本発明による電極のうち、高密度な活物質を形成したものは高容量であること、さらにその中でも集電体材質として表面に電子伝導性膜を形成した樹脂フィルムを用いた場合は、充放電サイクル寿命が長くなることを、従来例との比較により示す。
【0089】
本発明の実施例4−1〜4−8は以下の作製方法によって作製した。
【0090】
蒸発ソース212に金属塊100g、蒸発ソース202にリチウムの金属塊10gを入れ、集電体211を基板ホルダー220に取り付け、排気管218を通じて容器221内を10−3Paまで減圧した後、蒸発ソース202を加熱し溶解させ、水晶振動式成膜速度計で蒸発速度を測定し、さらに蒸発ソース212に対して電子銃215から電子ビームを照射することによって加熱して溶解させ、同様にして蒸発速度を測定して、LiとCoが基板に到達する量が等しくなるように電子銃215からの電子ビーム電流を調整した。ガス導入管217から窒素50sccmを供給し、また対基板用電子源用ガス導入管233よりアルゴンを10sccmで供給しながら、基板照射用電子銃231から電子を照射した。
【0091】
真空チャンバー221内を5×10−2Paになるようにバルブ219で調整した後、シャッター222を開放して、集電体211の表面に厚さ10μmのリチウム金属複合酸化物の活物質を形成した。
【0092】
集電体211の材質、蒸発ソース212の材質および蒸発ソース202の温度、印加電流、及びリチウム金属複合酸化物の組成を一般式LiM3−αNαで表される化合物と表したときのαはそれぞれ下記の通りである。
【0093】
(実施例4−1)銅箔、コバルト、90mA、540℃、0.3、
(実施例4−2)銅箔、コバルト、150mA、550℃、0.36、
(実施例4−3)銅箔、コバルト、200mA、570℃、0.38、
(比較例4−4)銅箔、コバルト、350mA、600℃、0.41、
(実施例4―5)ポリエチレンナフタレートフィルム(以下PENフィルム)、コバルト、80mA、540℃、0.3、
(実施例4−6)PENフィルム、コバルト、100mA、550℃、0.35、
(実施例4−7)PENフィルム、コバルト、150mA、580℃、0.38、
(実施例4−8)PENフィルム、コバルト、300mA、600℃、0.4、
PENフィルム(帝人・デュポン株式会社製テオネックス)の厚さは7μmで、やはり表面に電子伝導層としての銅層0.5μmを形成した。銅層の形成方法は実施例1の方法に準じた。
【0094】
また、従来例として、粉状活物質を塗布し、100tプレスしたものを準備して、本発明の電極の特徴を明確にする。
【0095】
従来例に使用した集電体の材質は下記の通りである。
【0096】
(従来例4−1)銅箔、窒化コバルト酸リチウム粉(粒径7μm)
(従来例4−2)PENフィルム、窒化コバルト酸リチウム粉(粒径7μm)
実施例4−1〜4−8、従来例4−1、4−2により得られた電極を30mm×30mmに切断し、重量と膜厚の測定データから活物質の嵩密度を求めた。結果を(表4)A欄に示す。従来例による電極の活物質の嵩密度は、理論密度の80〜85%程度であるのに対して、本発明の場合は、嵩密度が理論密度に極めて近いことがわかる。
【0097】
【表4】
Figure 2004259652
【0098】
本実施例で用いた活物質が結晶化していることを、X線回折パターンで示す。図7は実施例4−1のサンプルの結果である。窒化コバルト酸リチウムの結晶格子に起因する回折信号が観測され、活物質としての窒化コバルト酸リチウムが結晶化している。
【0099】
以下に、この電極を用いて作製した図6に示す評価用コイン型リチウムイオン二次電池のサイクル寿命の評価結果を示す。
【0100】
評価用リチウムイオン二次電池の作製方法は以下のとおりである。組み立て方法は実施例1と同様であるため、実施例1と異なる材料を示す。
【0101】
得られた電極を直径22mmの円形に打ち抜き、負極側の電極62とする。電解液67は、プロピレンカーボネートとジメトキシエタンの混合溶液(体積比1:1)に1モル/L濃度となるように過塩素酸リチウムを溶解したもの、セパレータは微孔性ポリプロピレンシート(厚さ25μm)を26mmφで円形に打ち抜いたもの、正極側の電極64として、従来例1−1に準じた方法により、酸化バナジウム層を20μmの厚さで形成した電極を20mmφで円形に打ち抜いたものを用いた。このとき酸化バナジウム粉末(粒径6μm)を使用した。
【0102】
まず、得られた評価用リチウムイオン二次電池を、環境温度20℃、0.5Cレート(電池の理論容量を2時間で放電できる電流値)で2Vまで放電して放電状態にし、続いて充放電試験を行った。
【0103】
試験方法は以下の通りである。
【0104】
環境温度20℃、0.2Cレート(電池の理論容量を5時間で充電できる電流値)で3.2Vまで充電し、2Cレート(電池の理論容量を1/2時間で放電できる電流値)で2Vまで放電させた。
【0105】
5サイクル目の活物質重量当たりの放電容量を初期放電容量とし、(表4)B欄に示した。前記した充放電を1サイクルと計数し、初期放電容量の80%まで容量が低下するまでの充放電サイクル数を測定し、そのサイクル数を充放電サイクル試験結果として(表4)C欄に記載した。
【0106】
これによると本発明による全ての電極の容量は、従来よりも大きな値を示している。また、容量は嵩密度との密接な関係があることも明確である。
【0107】
さらに、実施例1と同様にして、放電容量が(表4)C欄の値の80%に低下するまでに要する充放電サイクル数を測定し、充放電サイクル試験結果として(表4)C欄に示した。
【0108】
これによると、まず従来例が300サイクル余りであるのに対して、本発明の実施例はすべて300サイクル以上を確保した。
【0109】
比較例4−4は約250サイクルで実施例4−1〜4−3と比べてと少なかった。
【0110】
一方、集電体としてPENフィルムを用いた場合は、充放電による容量低下が大幅に抑制されて、充放電サイクル試験結果は1500サイクル余りまで向上する。
【0111】
充放電試験後にこれらの電池を分解して活物質を調べたところ、従来例及び比較例4−4では、集電体の銅箔上の活物質が集電体表面から剥離しているのが観測されたが、これら以外のものでは特に変化が見られなかった。
【0112】
以上の結果から、本発明に従って基板に伸縮性を有する樹脂フィルムを用いることによって充放電サイクル寿命が改善されること、また、本発明に従って集電体に密着形成した活物質を使用することによって、さらに改善されることがわかる。
【0113】
(実施例5)
ここでは試料番号、実施例5−1〜6について述べる。
【0114】
試料番号、実施例1−2で紹介した電極の製造方法を応用して集電体両面に活物質を形成した電極と、試料番号、実施例2−2で紹介した電極の製造方法を応用して集電体両面に活物質を形成した電極と、ジメチルカーボネートとジメチルエーテルの混合液に六フッ化リン酸リチウムを溶解させたものを電解液、ポリエチレン製セパレータ、さらに電池側面の封止材としてブチルゴムを使用して図8に示す評価用捲回型リチウムイオン二次電池を作製した。
【0115】
集電体の材料および厚さは下記に示すものを用いた。
【0116】
(実施例5−1)銅箔、14μm
(実施例5−2)PETフィルム、10μm、
(実施例5−3)PENフィルム、7μm、
(実施例5−4)ポリエステルフィルム(東レ株式会社、ルミラー(登録商標)S10)、15μm、
(実施例5−5)ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、カプトンH(登録商標))、7.5μm、
(実施例5−6)アラミドフィルム(東レ株式会社製、ミクトロン(登録商標))、4μm
実施例5−2〜5−6のフィルムには、実施例1の方法に準じて電子伝導層としての0.5μm厚の銅層を両面に形成したものを用いた。
【0117】
作製したフィルムの両面に対して、実施例1−5に準じた方法によってコバルト酸リチウムからなる活物質を10μm厚で形成し、さらに実施例1に準じた方法によって容量、充放電サイクル数の評価を行った。結果を(表5)に示す。
【0118】
【表5】
Figure 2004259652
【0119】
活物質の嵩密度、容量ともほぼ同程度の値を示しており、充放電サイクル試験結果も従来例1−1等と比較して十分大きな値となっているが、樹脂フィルムの場合には、充放電サイクル試験結果が2000サイクルを超えて良好な結果となった。
【0120】
なお、本願の実施例で上げた樹脂フィルム材料はPETフィルムとPENフィルムのみであるが、これ以外にもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリイミド、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニルなどの伸縮性を有する樹脂フィルムが適用できる。
【0121】
また、本発明によって作製される電極は、コイン型リチウムイオン二次電池たけでなく、図8に示すような一般的な捲回型のリチウムイオン二次電池の電極としても使用可能である。
【0122】
【発明の効果】
本発明によって、集電体の構成材に樹脂フィルムを導入することによって充放電における活物質の膨張収縮時に加わる集電体との接合面に加わるストレスを低減して、充放電サイクル寿命を長くすることができる。
【0123】
また、本発明によって、活物質を集電体表面に対して密着形成したことによって、さらに充放電サイクル寿命を長くすることができる。
【0124】
また、活物質の嵩密度向上の副次的効果として、電気化学素子の容量を増大させることも確認される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極の構造を示す概断面図
【図2】従来の電極の構造を示す概断面図
【図3】本発明の電極に用いるコバルト酸リチウムのX線回折信号パターンの結果を示す図
【図4】本発明の集電体の断面の断面を示す図
【図5】本発明における電極を作製する装置の概断面を示す図
【図6】評価用コイン型リチウムイオン二次電池の断面を示す図
【図7】本発明の電極に用いるリチウムコバルト複合窒化物活物質のX線回折信号パターンの結果を示す図
【図8】捲回型リチウムイオン二次電池の構造を示す図
【符号の説明】
1 集電体
2 活物質
11 樹脂フィルム
12 電子伝導層
61 フタ
62 電極(負極側)
63 ケース
64 電極(正極側)
65 セパレータ
66 ガスケット
67 電解液
71 集電体
72 活物質
73 集電体
74 活物質
75 固体電解質層
76 封止材
81 電池ケース
82 封口板
83 絶縁パッキング
84 極板群
85 電極(正極)
85a 電極リード(正極)
86 電極(負極)
86a 電極リード(負極)
87 セパレータ
88 絶縁リング
202 蒸発ソース
203 ルツボ
204 抵抗加熱ヒーター
205a,b 抵抗加熱装置用電力供給線
211 集電体
212 蒸着ソース
214 ルツボ
215 電子銃
217 ガス導入管
218 排気管
219 排気系メインバルブ
220 基板ホルダー
221 真空チャンバー
222 シャッター
223 基板温度制御機構
231 基板照射用電子源
232 対クラスター及び対ガス用電子源
233 対基板用電子源用ガス導入管
234 対クラスター及び対ガス用電子源用ガス導入管
241 対基板用プラズマ源
242 対クラスター及び対ガス用プラズマ源
243 対基板用プラズマ源用ガス導入管
244 対クラスター及び対ガス用プラズマ源用ガス導入管
245 対基板用プラズマ源用材料ガス導入管
246 対クラスター及び対ガス用プラズマ源用材料ガス導入管
251 対基板用紫外線源
252 対クラスター及び対ガス用紫外線源

Claims (8)

  1. 電子伝導性を有する集電体と、前記集電体の少なくとも片面に密着した活物質とからなる電気化学素子用電極において、前記活物質は、理論密度D(g/cm)に対する同層の嵩密度D(g/cm)の割合D/Dが、0.9≦D/D≦1であることを特徴とする電気化学素子用電極。
  2. 活物質は2θ−θモードでのX線回折分析において観測される回折ピークの半値全幅Δ2θFWHMが0<Δ2θFWHM≦1°であることを特徴とする請求項1記載の電気化学素子用電極。
  3. 集電体は電子伝導層をその表面に形成した樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の電気化学素子用電極。
  4. 樹脂フィルムの材質はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリイミド、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンまたはポリ塩化ビニル及びこれらの2種類以上の組み合わせよりなる混合樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項3記載の電気化学素子用電極。
  5. 電子伝導層の厚さは0.05μm≦T≦5μmであることを特徴とする請求項3記載の電気化学素子用電極。
  6. 活物質は少なくともコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、鉄酸リチウム、窒化コバルト酸リチウム、窒化ニッケル酸リチウム、窒化マンガン酸リチウム、窒化バナジウム酸リチウムまたは窒化鉄酸リチウムから選ばれるいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の電気化学素子用電極。
  7. 活物質の厚さは10μm以下であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の電気化学素子用電極。
  8. 請求項1〜7いずれかに記載の電気化学素子用電極を用いた電気化学素子。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007329004A (ja) * 2006-06-07 2007-12-20 Nissan Motor Co Ltd 双極型電池用電極
JP2011529849A (ja) * 2008-08-04 2011-12-15 ユミコア ソシエテ アノニム 高結晶性リチウム遷移金属酸化物
JP2014216296A (ja) * 2013-04-30 2014-11-17 信越ポリマー株式会社 二次電池の集電体用の導電性樹脂フィルム及びその製造方法
CN115000418A (zh) * 2022-07-06 2022-09-02 远景动力技术(江苏)有限公司 无涂层复合集流体、其制备方法和锂离子电池

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