JP2004254698A - ヒト破骨細胞特異的およびヒト破骨細胞関連遺伝子 - Google Patents

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Abstract

【課題】破骨細胞特異的および破骨細胞関連遺伝子産物をコードする単離DNAを提供する。
【解決手段】単離された破骨細胞特異的DNA、またはその相補的DNAであって、下記a)およびb)からなる群より選択される核酸配列を含むDNA、a)特定の塩基配列を有するDNA、およびそれらの相補鎖からなる群によって表されるDNA配列、b)(a)で規定されたDNAと、標準条件下でハイブリダイズするDNA、ここで、前記標準条件には、5×SSC、5×デンハルト液、1%SDSおよび100μg/ml変性非相同DNAからなるハイブリダイゼーション緩衝液、並びに65℃で12〜20時間のインキュベーションを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、破骨細胞特異的および破骨細胞関連遺伝子産物をコードする単離DNAに関する。
破骨細胞による過剰な骨吸収は、関節炎、骨粗鬆症、歯周炎、および悪性高カルシウム血症など多くのヒト疾患の病態に寄与している。骨吸収時、破骨細胞は骨のミネラル成分と有機成分の両者を除去する(非特許文献1)。ミネラル相は破骨細胞より小さい骨小腔が酸性化されることで可溶化され、その結果、ヒドロキシアパタイトの溶解を招く(非特許文献2)。しかしながら、骨の主要構造タンパク質であるタイプIコラーゲンが分解される機序(単数または複数)については議論の余地がある。また、破骨細胞活性の調節については一部わかっているにすぎない。破骨細胞機能に関する情報が不足しているのは、これらの細胞を純粋な集団として大量に単離することが極めて困難であるという事実が一因となっている。さらに、利用可能な破骨細胞株は存在しない。従来未知の破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子および遺伝子産物の同定を可能にするような破骨細胞機能研究法があれば、骨吸収および破骨細胞活性の調節に関与する遺伝子および遺伝子産物の同定が可能になるであろう。したがって、破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子または遺伝子産物の同定は、骨吸収異常が関与する障害を治療する治療法を開発する上で有用であろう。
Blair, H.C., et al., J. Cell Biol. 102:1164 (1986) Vaes, G., Clin. Orthop. Relat. 231:239 (1988)
本発明の課題は、破骨細胞特異的および破骨細胞関連遺伝子産物をコードする単離DNAを提供することにある。
すなわち、本発明は、
〔1〕単離された破骨細胞特異的DNA、またはその相補的DNAであって、下記a)およびb)からなる群より選択される核酸配列を含むDNA、
a) 配列番号1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、27、28、29、30、31、32、およびそれらの相補鎖からなる群によって表されるDNA配列、
b) (a)で規定されたDNAと、標準条件下でハイブリダイズするDNA、ここで、前記標準条件には、5×SSC、5×デンハルト液、1%SDSおよび100μg/ml 変性非相同DNAからなるハイブリダイゼーション緩衝液、並びに65℃で12〜20時間のインキュベーションを含む、
〔2〕宿主細胞中で、破骨細胞特異的DNAを複製することができる、下記a)およびb)を含むDNA構築物、
a) 前記〔1〕記載のDNA、および
b) (a)のDNAに作動可能に連結されたプロモーター、
〔3〕前記〔2〕記載のDNA構築物で安定に形質転換またはトランスフェクトされた細胞、
〔4〕前記〔1〕記載のDNAの破骨細胞特異的遺伝子産物に特異的な抗体、
〔5〕破骨細胞特異的遺伝子産物をコードするDNAを同定する方法であって、a)前記〔1〕に規定する標準条件下で、DNAを含む試料と間質細胞+ 、破骨細胞+ プローブとを接触させる工程;b)前記〔1〕に規定する標準条件下で、前記試料と間質細胞+ 、破骨細胞- プローブとを接触させる工程;及びc)間質細胞+ 、破骨細胞+ プローブとハイブリダイズするが、間質細胞+ 、破骨細胞- プローブとハイブリダイズしないDNAクローンを同定し、それにより、破骨細胞特異的遺伝子産物をコードするDNAを同定する工程を含む方法、
〔6〕破骨細胞腫特異的遺伝子産物をコードするDNAを同定する方法であって、a)前記〔1〕に規定する標準条件下で、DNAを含む試料と破骨細胞腫由来cDNAまたはmRNAとを接触させる工程;b)前記〔1〕に規定する標準条件下で、前記試料と間質細胞由来cDNAまたはmRNAとを接触させる工程;及びc)破骨細胞腫由来のcDNAまたはmRNAとハイブリダイズするが、破骨細胞腫由来の培養された間質細胞由来のcDNAまたはmRNAとハイブリダイズしないDNAクローンを同定し、それにより、破骨細胞腫特異的遺伝子産物をコードするDNAを同定する工程を含む方法、ならびに
〔7〕配列番号1〜24および26〜32のDNAならびにそれらの相補的配列からなる群より選択されるDNAを含むヌクレオチド配列によりコードされる破骨細胞特異的タンパク質、
に関する。
本発明によれば、破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物をコードするDNAを同定することができる。
本発明は、破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物の全体または一部をコードする単離DNA配列に関する。本発明はさらに、破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物をコードするDNAを複製する能力を有するDNA構築物に関する。別の態様においては、本発明は、宿主細胞中で破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物の全体または一部の発現を指示する能力を有するDNA構築物に関する。
破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物の全体または一部をコードするDNA構築物で形質転換またはトランスフェクトされた原核細胞または真核細胞も本発明に包含される。特定の態様によれば、これらの細胞は、破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物をコードするDNAを含むDNA構築物を複製する能力を有し、場合によっては破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物を発現する能力を有する。破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物またはこれらの遺伝子産物の一部に対する抗体も請求対象である。
本発明はさらに、破骨細胞特異的または破骨細胞関連DNA配列を同定する方法およびこのようにして同定されたDNA配列を包含する。一つの態様においては、破骨細胞をコードするcDNAは次のように同定される。まず、ヒト骨巨細胞腫を用いて、1)cDNAライブラリーを構築し、2)間質細胞+ 、破骨細胞+ のプローブとして使用する32P標識cDNAを作成し、3)破骨細胞を含まない間質細胞集団を作成する(培養によって)。巨細胞腫に破骨細胞が存在することは、破骨細胞マーカーであるタイプ5の酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)を検出する組織学的染色法およびモノクローナル抗体試薬を使用することによって確認された。
破骨細胞を含まない間質細胞集団は、巨細胞腫の細胞を解離させた後、細胞集団が均一かつ繊維芽細胞状になるまで細胞を組織培養で継代培養することによって作成した。培養間質細胞集団は破骨細胞を含んでいなかった。次いで、培養間質細胞を用いて、間質細胞+ 、破骨細胞- 32P標識cDNAプローブを作成した。
次いで、骨の巨細胞腫から作成したcDNAライブラリーを二重にスクリーニングして、cDNAプローブとのハイブリダイゼーションの有無を調べた。一方のスクリーニングは、巨細胞腫cDNAプローブ(間質細胞+ 、破骨細胞+ )を用いて実施し、もう一方のスクリーニングは培養間質細胞cDNAプローブ(間質細胞+ 、破骨細胞- )を用いて実施した。間質細胞+ 、破骨細胞+ のプローブとハイブリダイズするが間質細胞+ 、破骨細胞- のプローブとはハイブリダイズしないことは、そのクローンが破骨細胞によって特異的に発現された核酸配列を保持していることを示すものであった。
別の態様においては、破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物をコードするゲノムDNAを公知のハイブリダイゼーション技術または増幅技術で同定する。一つの態様においては、本発明は、表Iに示したDNA配列(配列番号:1〜32)から成る群より選択される1つ以上の配列を含むcDNAプローブを用いてcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、破骨細胞特異的または破骨細胞関連タンパク質または遺伝子産物をコードするDNAを同定する方法に関する。最後に、本発明は、表Iに示した配列またはそれらの相補鎖からなる群より選ばれるDNA配列を含むヌクレオチド配列によってコードされる破骨細胞特異的または破骨細胞関連タンパク質に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書で説明するように、本出願人は破骨細胞特異的または破骨細胞関連核酸配列を同定した。これらの配列は次のようにして同定された。ヒト骨の巨細胞腫を用いて、1)cDNAライブラリーを構築し、2)間質細胞+ 、破骨細胞+ のプローブとして使用する32P標識cDNAを作成し、3)破骨細胞を含まない間質細胞集団を作成した(培養によって)。巨細胞腫に破骨細胞が存在することが、破骨細胞マーカーであるタイプ5の酸性ホスファターゼ(TRAP)を検出する組織学的染色法によって確認された。また、モノクローナル抗体試薬を用いて、巨細胞腫中の多核細胞のキャラクタライゼーションを行なったところ、この細胞はマクロファージとは明確に異なるが破骨細胞とは一致する表現型を有することがわかった。
破骨細胞を含まない間質細胞集団は、巨細胞腫の細胞を解離させた後、組織培養で少なくとも5回の継代培養を行なうことによって作成した。5継代後の培養細胞集団は均一で繊維芽細胞状であった。この時点で、培養細胞集団は多核細胞を含んでおらず、タイプ5の酸性ホスファターゼは陰性であり、アルカリホスファターゼは様々な程度に陽性であった。すなわち、培養間質細胞は破骨細胞を含んでいなかった。次いで、培養間質細胞を用いて、間質細胞+ 、破骨細胞- 32P標識cDNAプローブを作成した。
次いで、骨の巨細胞腫から作成したcDNAライブラリーを二重スクリーニングして、cDNAプローブとのハイブリダイゼーションの有無を調べた。一方のスクリーニングは、巨細胞腫cDNAプローブ(間質細胞+ 、破骨細胞+ )を用いて実施し、もう一方のスクリーニングは、培養間質細胞cDNAプローブ(間質細胞+ 、破骨細胞- )を用いて実施した。巨細胞腫cDNAプローブ(間質細胞+ 、破骨細胞+ )とハイブリダイズしたが間質細胞cDNAプローブ(間質細胞+ 、破骨細胞- )とはハイブリダイズしなかったクローンは、破骨細胞によって特異的に発現される核酸配列を含んでいると考えられた。
本明細書で説明する識別スクリーニング(differential screen )の結果、本明細書で説明した特徴を有し破骨細胞中で特異的に発現されるDNAが同定された。本明細書では、このDNAおよび同等のDNA配列を破骨細胞特異的または破骨細胞関連DNAと呼ぶ。本発明の破骨細胞特異的または破骨細胞関連DNAは、そのものが天然に現れるソースから得ることができるが、組替え法で作成したり、化学的に合成することもできる。また、そのものはcDNA、ゲノムDNA、組替え法で作成されたDNA、または化学的に製造されたDNAであってもよい。同等なDNA配列とは、本明細書で説明するようにして同定された破骨細胞特異的または破骨細胞関連DNAと、またはその相補物と標準的ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするものをいう。
ヒト破骨細胞腫cDNAライブラリーの識別スクリーニングを実施して、破骨細胞中で特異的に発現される遺伝子を同定した。スクリーニングした12,000個のクローンのうち、破骨細胞中でユニークに発現されるか破骨細胞関連である195個のクローンが同定された。さらに、これらのクローンは、上皮細胞、繊維芽細胞、リンパ球、骨髄単球、骨芽細胞、および神経芽細胞など様々な無関係のヒト細胞タイプに由来するmRNAとハイブリダイズしなかったことから、破骨細胞特異的であると同定された。これらのクローンのうちの32個は、ゲンバンク(GenBank )のデータベースに未登録の新規cDNA配列を含んでいる。
この手順によって得られた多数のcDNAクローンは、92kDaのタイプIVコラゲナーゼ(ゲラチナーゼB;E.C.3.4.24.35)ならびに酒石酸耐性酸性ホスファターゼに相当することがわかった。イン・シテュのハイブリダイゼーションで、ゲラチナーゼBのmRNAはヒト破骨細胞腫の多核巨大細胞に存在することがわかった。合成ゲラチナーゼBペプチドに対して作成されたポリクローナル抗血清を使用することで、8/8個の破骨細胞腫に由来する巨細胞、正常骨の破骨細胞、およびパジェット病の破骨細胞にゲラチナーゼB免疫反応性が認められた。一方、別の遺伝子の産物である72kDaのタイプIVコラゲナーゼ(ゲラチナーゼA;E.C.3.4.24.24)に対する免疫反応性は、破骨細胞腫や正常破骨細胞には見られなかった。
本発明は、破骨細胞特異的または破骨細胞関連DNAを同定するのに有用な核酸プローブの作成と同定に有用性がある。本発明の破骨細胞特異的または破骨細胞関連DNAは、骨吸収異常が関与する障害の治療処置に有用な破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物を製造するのに用いることができる。また、本発明の破骨細胞特異的または破骨細胞関連配列は、破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物を同定したり破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物の活性を変化させたりするのに有用な抗体を製造する目的に使用できるペプチドを作成する上でも有用である。このような抗体を破骨細胞特異的抗体という。破骨細胞特異的抗体は破骨細胞を同定する目的にも有用である。最後に、本発明の破骨細胞特異的または破骨細胞関連DNA配列は遺伝子治療に有用である。たとえば、本発明の破骨細胞特異的または破骨細胞関連DNA配列は、異常な破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物の破骨細胞中での発現を変化させたり、破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物の異常発現を矯正するのに用いることができる。本明細書で説明する配列はさらに、発現が通常起きない細胞すなわち破骨細胞以外の細胞中で破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子の発現を引き起こすのにも用いることができる。
実施例1:破骨細胞cDNAライブラリーの構築
ヒト破骨細胞腫(「骨の巨細胞腫」)から得たメッセンジャーRNA(mRNA)を用いて破骨細胞腫cDNAライブラリーを構築した。破骨細胞腫は骨吸収活性の強い腫瘍であるが、通常は転移しない。凍結切片において、破骨細胞腫の約30%は、イン・ビボで破骨細胞に特異的であり汎用されている表現型マーカーである酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)に陽性の多核細胞で占められている[ミンキン(Minkin)、Calcif. Tissue Int. 34:285-290 (1982) ]。残りの細胞は特徴不明の(uncharacterized )「間質」細胞、すなわち繊維芽細胞状/間葉状形態を有する複数の細胞タイプの混合物である。証明されてはいないが、これらの腫瘍の破骨細胞は形質転換されないこと、および間質細胞要素によって産生される単数または複数の物質によってイン・ビボで活性化されて骨を吸収するようになると一般に考えられている。
モノクローナル抗体試薬を用い、長骨巨細胞腫の多核細胞の表面発現型の一部をキャラクタライズした。凍結切片において、全ての多核細胞はCD68を発現した。CD68は、既報の中で破骨細胞とマクロファージの両方に対して特異的な抗原と定義されている[ホートンとヘルフリッヒ(Horton, M.A. and M.H. Helfrich)、In Biology and Physiology of the Osteoclast 、リフキンとゲイ(B.R. Rifkin and C.V. Gay)編、CRC Press, Inc. Boca Raton, FL, 33-54 (1992)]。一方、単核球/マクロファージおよび顆粒球上に存在するCD11bまたはCD14表面抗原については巨大細胞の染色は観察されなかった[アルナアウトら(Arnaout, M.A. et al.)、J. Cell Physiol. 137:305 (1988) ;ハジオットら(Haziot, A. et al. )、J. Immunol. 141:547 (1988)]。ヒト末梢血単核球の細胞遠心分離標本はCD68、CD11b、およびCD14に対し陽性であった。これらの結果から、破骨細胞腫の多核巨大細胞は、マクロファージのものとは明確に区別されるが破骨細胞のものとは一致する表現型を有することが明らかである。
破骨細胞腫組織を液体窒素中で瞬時凍結させたものを用いて、常法に従ってポリA+ mRNAを調製した。市販キット(Librarian 、InVitrogen社)を用い、cDNAをpcDNAIIベクターにクローン化した。約2.6×106 個のクローンが得られたが、そのうちの>95%は平均長0.6kBの挿入断片を含んでいた。
実施例2:間質細胞mRNAの調製
各破骨細胞腫の一部を液体窒素中で瞬時凍結させてmRNAを調製した。腫瘍の残部は短時間トリプシン処理と機械的分散によって解離させ、組織培養に付した。これらの細胞を、10%ウシ新生仔血清(MA Bioproducts社)、ゲンタマイシン(0.5mg/ml)、l−グルタミン(2mM)および非必須アミノ酸(0.1mM)(Gibco 社)を添加したダルベッコのMEM(高グルコース、Sigma 社)中で増殖させた。間質細胞集団を少なくとも5回継代培養したところ、多核細胞を含まない均一な繊維芽細胞状細胞集団が得られた。これらの間質細胞は単核性で、酸性ホスファターゼ陰性で、アルカリホスファターゼに対しては様々な程度に陽性であった。これらの知見は、増殖した間質細胞(継代培養されている間質細胞)は非破骨細胞性で非活性であることを示している。
実施例3:破骨細胞腫cDNAライブラリーの識別スクリーニングによる破骨細胞腫特異的または破骨細胞腫関連遺伝子産物をコードするDNAの同定
破骨細胞腫cDNAライブラリーから得た合計12,000個のクローンを、(1)巨細胞腫mRNA(間質細胞+ 、OC+ )および(2)同じ腫瘍から培養した間質細胞由来mRNA(間質細胞+ 、OC- )から得た32P標識cDNAプローブ混合物を用いる識別ハイブリダイゼーションによってスクリーニングした。ランダムプライミングによって約109 CPM/μgの活性になるまで、プローブを32[P]dCTPで標識した。これら12000個のクローンのうち195個は、巨大細胞(破骨細胞および間質細胞)mRNAに対して陽性のハイブリダイゼーションシグナルを示したが、間質細胞mRNAに対しては示さなかった。さらに、これらのクローンは、上皮細胞、繊維芽細胞、リンパ球、骨髄単球、骨芽細胞、および神経芽細胞など様々な無関係のヒト細胞タイプ由来のmRNAから作成されたcDNAとはハイブリダイズしなかった。これらのクローンが他の細胞タイプ由来のmRNAから作成されたcDNAとハイブリダイズしないという事実は、これらのクローンが破骨細胞中でユニークに発現されるか破骨細胞と関連があるという結論を支持するものである。
破骨細胞(OC)cDNAライブラリーは、次のようにして、OC cDNA(間質細胞+ 、OC+ )と間質細胞cDNA(間質細胞+ 、OC- )とを用いる識別ハイブリダイゼーションによりスクリーニングした。
成育培地とアンピシリンを含む寒天平板上にNYTRANフィルター(Schleicher & Schuell社)を載置した。OCライブラリー由来の個々の細菌コロニーをランダムに採取し、あらかじめ仕切っておいたフィルター3枚づつに移した後、マスター寒天平板に移した。これらの手法を用い、最大200個のクローンを1枚の90mmフィルター/平板に接種した。平板を倒置し、細菌接種物が直径0.5〜1.0mmに成長するまで(フィルター上)37℃でインキュベートした。
次いで、コロニーを溶菌した後、フィルターを0.5NのNaOHで5分間飽和させた2枚のホワットマン3MM濾紙上に載置することによって、DNAをフィルターに結合させた。1Mトリス−HCL(pH8.0)で3〜5分間飽和させた2枚のホワットマン3MM濾紙上にフィルターを載置することによってフィルターを中和した。中和処理後、1Mトリス−HCL(pH8.0)/1.5MNaClで3〜5分間飽和させた別の2枚のホワットマン3MM濾紙上でインキュベートした。次いで、フィルターを2xSSCで短時間洗った。
フィルターを80℃で30分間加熱することによって、DNAをフィルター上に固定した。フィルターはただちに使用するのが最良であったが、真空ジャーに入れて室温で最高1週間までなら保存可能であった。
フィルターは、熔封可能なバッグ中、1枚あたり5〜8mlのハイブリダイゼーション液中で、あらかじめ2〜4時間ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションバッグにフィルターを1枚追加するごとに2mlの溶液を追加した。ハイブリダイゼーション緩衝液は、5xSSC、5xデンハルト液(Denhardt's solution )、1%SDSおよび100μg/ml変性非相同DNAから成るものであった。
ハイブリダイゼーションに先立ち、標識プローブを1xSSC中100℃で5分間加熱して変性させ、次いで直ちに氷上で冷却した。変性させたプローブをハイブリダイゼーション溶液中のフィルターに加え、フィルターを65℃で12〜20時間連続攪拌しながらハイブリダイズさせた。
ハイブリダイゼーション終了後、フィルターを2xSSCと0.2%SDS中、50〜60℃で30分間洗った後、0.2xSSCと0.2%SDS中、60℃で60分間洗った。
次いで、フィルターを空気乾燥させ、−70℃で一晩、増強スクリーンを用いてオートラジオグラフィーを行なった。
実施例4:選抜クローンのDNA配列決定
混合腫瘍プローブとは反応するが間質細胞プローブとは反応しないクローンは、破骨細胞関連またはイン・ビボ「活性化」間質細胞関連遺伝子産物を含んでいると予想される。腫瘍細胞cDNAとはハイブリダイズしたが間質細胞cDNAとはハイブリダイズしなかった144個のcDNAクローンにつき、シークエナーゼ(US Biochemical社)を用いてサンガーら(Sanger et al. )のジデオキシ鎖終止法[サンガーら(Sanger F., et al. )、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5463 (1977) ]によって配列を決定した。DNASIS(日立)プログラムを用いて配列分析およびGenBank /EMBLデータベースでの相同性サーチを行なった。
195個の腫瘍+、間質細胞- のクローンのうち14個は、破骨細胞マーカーであるタイプ5の酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)と同一の配列を有する挿入断片を含むものであると同定された(Genbank 寄託番号J04430 M19534)。TRAP陽性クローンが高率で出現したことも、破骨細胞特異的または破骨細胞関連cDNA配列を含むクローンの数を増やす上でこのスクリーニング法の効果が高かったことを示している。
おもしろいことに、より高比率の腫瘍+ 、間質細胞- のクローン(77/195;39.5%)がヒトゲラチナーゼB(マクロファージ由来ゲラチナーゼB)[ウイルヘルム(Wilhelm, S.M. )、J. Biol. Chem. 264:17213 (1989) ]として同定された。この事実も、この酵素が破骨細胞によって高率で発現されることを示すものである。これらのゲラチナーゼBクローンのうちの25個をジデオキシ配列分析によって同定したところ、25個全てが公知のゲラチナーゼB配列(Genbank 寄託番号J05070)と100%の配列相同性を示した。これらのクローンによってカバーされているゲラチナーゼB cDNA配列の一部を図に示した(配列番号:33)。ゲラチナーゼBを検出する32P標識プローブとの反応性によりさらに52個のゲラチナーゼBクローンが同定された。
配列決定されたクローンのうちの13個は読み取り可能配列を生じなかった。GenBank /EMBLデータベースのDNASISサーチで、残りの91個のクローンのうちの32個はデータベースや文献に未だ報告のない新規配列を含むことがわかった。これらの部分配列を表Iに示す。これらの配列のうちの3つはリピート配列であることに注意されたいが、このことは、この配列に関連するmRNAの発現がかなり高頻度であることを示している。リピート配列は上付き文字a b で示される〔表I(以下の表1〜5)のクローン198B、223B、および32C〕。
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OC+ 、間質細胞- のクローン化DNA配列の配列分析によって、新規配列に加えて複数の既報遺伝子が見つかった。同定された公知遺伝子(タイプ5の酸性ホスファターゼ、ゲラチナーゼB、シスタチンC(13クローン)、Aluリピート配列(11クローン)、クレアチンキナーゼ(creatnine kinase)(6クローン)、およびその他のものを含む)を表IIににまとめた。イン・シテュのハイブリダイゼーション(以下に説明する)で、ゲラチナーゼBのmRNAは多核破骨細胞中で発現され、間質細胞中では発現されないことが直接証明された。ゲラチナーゼBは特徴がよくわかっているプロテアーゼであるが、破骨細胞中で高レベル発現されることは未記載である。システインプロテアーゼ阻害剤であるシスタチンCの破骨細胞中での発現も予想されていない。この知見はイン・シテュのハイブリダイゼーションでは未確認である。これらの結果を総合すると、これらの同定遺伝子のほとんどのものは破骨細胞によって発現されることが明らかであるので、破骨細胞特異的または破骨細胞関連遺伝子産物をコードするDNAを同定する識別スクリーニング法の有効性が確認されたことになる。したがって、本法によって同定された新規遺伝子はOC特異的またはOC関連である可能性が高い。
また、このスクリーニング法で同定された遺伝子のうちの少数のものはおそらくOCによっては発現されない〔表II(以下の表6〜7)〕。たとえば、タイプIIIコラーゲン(6クローン)、コラーゲンタイプI(1クローン)、デルマタン硫酸(1クローン)、およびタイプVIコラーゲン(1クローン)は、間質細胞に由来するか、腫瘍中に存在する骨芽細胞に由来する可能性の方が高い。これらのcDNA配列は、それらを腫瘍中でイン・ビボ産生する細胞が間質細胞増殖期に死滅するか、イン・ビトロでの産物産生を停止するかといういずれかの理由によって、識別スクリーニングプロセスを素通りしてしまう。これらのクローンは、識別ハイブリダイゼーションによって選択された配列全体の5〜10%以上を占めることはない。
Figure 2004254698
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実施例5:OC発現遺伝子のイン・シテュのハイブリダイゼーション
OC特異的またはOC関連と推定される新規遺伝子がヒト巨細胞腫の破骨細胞中で異なったふうに発現されるかどうか(および間質細胞中で発現されないかどうか)を調べるために、新規クローン化配列由来のプローブを用いてイン・シテュのハイブリダイゼーションを行なった。まず、35S−UTPで標識したヒトタイプIVコラゲナーゼ/ゲラチナーゼBに対するアンチセンス(陽性)およびセンス(陰性対照)cRNAプローブを用いて、イン・シテュのハイブリダイゼーションを行なった。
ヒト巨細胞腫薄切標本はアンチセンスプローブと反応して、全てのOCが高度標識されたことが、これらの細胞全面に銀色粒子が沈着したことで明らかになったが、間質細胞要素は標識しなかった。一方、センス(陰性対照)プローブの場合は、バックグランド標識はほとんど見られなかった。この結果から、ゲラチナーゼBがヒトOC中で発現されることが確認された。
次いで、公知方法に従いジゴキシゲニンUTPで標識した11/32個の新規遺伝子に由来するcRNAプローブを用いてイン・シテュのハイブリダイゼーションを行なった。
この分析の結果を表IIIにまとめた。クローン28B、118B、140B、198B、および212Bはいずれも、巨細胞腫の凍結切片中でOCと陽性反応を示し、陽性対照ゲラチナーゼBも同様であった。したがって、これらの新規クローンはOC中で発現され、OC関連性の基準を全て満たしたことになる。198Bは3回反復され、比較的高率で発現されていることを示している。クローン4B、37B、88C、および98Bは腫瘍組織と陽性反応を示したが、シグナルはOCに充分に局在していなかった。したがって、これらのクローンは有用でないと思われ、以後の検討対象から除外する。クローン86Bおよび87Bはどの細胞タイプとも陽性反応を示さなかったので、おそらく非常に低レベルの発現であったと思われる。このグループのクローンは有用性があるが、これ以上調べるのは困難かもしれない。この分析の結果から、5/11個の新規遺伝子がOC中で発現されたことが示され、新規配列の約50%はOC関連であることがわかる。
イン・シテュのハイブリダイゼーションに使用するプローブを作成するために、新規クローン化破骨細胞に特異的であるか関連するcDNAに由来するcDNAをBlueScript II SK(−)ベクターにサブクローニングした。クローン化した挿入断片の方向をサブクローンの制限酵素分析によって決定した。BlueScript IIベクター中のT7およびT3プロモーターを用いて35S標識(35S−UTP、850Ci/mmol、Amersham社、アーリントンハイツ、イリノイ州)またはUTPジゴキシゲニン標識cRNAプローブを作成した。
Figure 2004254698
既報[チャンら(Chang,L.-C. et al.)、Cancer Res. 49:6700 (1989)]に従い、ヒト破骨細胞腫の7ミクロン凍結切片に対してイン・シテュのハイブリダイゼーションを行なった。手順を簡単にまとめる。まず4%パラホルムアルデヒドで組織を固定し、OCT(Miles Inc.社、カンカケー、イリノイ州)に包埋した。切片を再水和し、4%ホルムアルデヒドで後固定し、洗浄し、10mM DTT、10mMヨードアセタミド、10mM N−エチルマレイミド、0.1mMトリエタノールアミン−HCLで前処理した。50%脱イオンホルムアミド、10mMトリス−HCl(pH7.0)、1xデンハルト液、500mg/ml tRNA、80mg/mlサケ精子DNA、0.3M NaCl、1mM EDTA、および100mM DTTで45℃で2時間のプレハイブリダイゼーションを行なった。10%デキストラン硫酸と1.5ng/mlの35S標識またはジゴキシゲニン標識RNAプローブを含む新鮮ハイブリダイゼーション溶液を熱変性後に加えた。切片にカバーガラスをかけた後、45〜50℃で一晩加湿チャンバー中でインキュベートした。ハイブリダイズした切片を45℃で50%ホルムアミド、および10mM DTTと0.5%トリトンX−100を含む2xSSCで4回洗った。切片をRNアーゼAとRNアーゼT1で処理して一本鎖RNAを消化し、2xSSC/10mM DTTで4回洗った。
オートラジオグラフィーで35S標識を検出するために、スライド標本を脱水し、乾燥させ、コダックNTB−2乳剤で被覆した。2枚づつのスライド標本をそれぞれ2分割し、各組を乾燥剤入りの黒箱に入れ、密封し、4℃で2日間インキュベートした。コダック現像剤D19とコダック定着剤を用いて、スライド標本を現像し(4分)、定着(5分)させた。対照染色剤としてヘマトキシリンとエオシンを用いた。
ジゴキシゲニン標識プローブを検出するために、核酸検出キット(Boehringer-Mannheim 社、カタログ番号1175041)を用いた。スライド標本を100mMトリス/150mM NaCl(pH7.5)から成る緩衝液1中で1分間洗った。100μlの緩衝液2(メーカー提供の2mg/mlのブロッキング試薬を加えることによって作成)を緩衝液1に加えたものを各スライド標本に加えた。スライド標本を振とう器に載置し、20℃で静かに振とうした。
抗体溶液を緩衝液2(メーカー提供のもの)で1:100に希釈した。100μlの希釈抗体溶液をスライド標本に加えた後、スライド標本をチャンバー中室温で1時間インキュベートした。乾燥しないようスライド標本をモニターした。抗体溶液とのインキュベーション終了後、スライド標本を緩衝液1中で10分間洗った後、2mMレバミゾールを含む緩衝液3中で2分間洗った。
洗浄後、100μlの色素液をスライド標本に加えた。色素液は、ニトロブルー/テトラゾリウム塩(NBT)(1:225希釈液)4.5μl、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート(1:285希釈液)3.5μl、緩衝液3(メーカー提供のもの)に溶かしたレバミゾール0.2mgを合わせた合計1mlから成っていた。色素液は使用直前に調製した。
色素液を添加した後、スライド標本を20℃の暗黒加湿チャンバーに2〜5時間入れ、発色をモニターした。TE緩衝液中でスライド標本をすすいで発色反応を停止させた。
スライド標本を0.25%メチルグリーン中で60秒間染色し、水道水で洗った後、水性Permount(Fisher社)を用いてマウントした。
実施例6:免疫組織化学
凍結組織およびパラフィン包埋組織ならびに細胞遠心分離標本について免疫組織化学的染色を行なった(表IV参照)。次の抗体を用いた。すなわち、ポリクローナルウサギ抗ヒトゲラチナーゼ抗体、ゲラチナーゼB抗体Ab110、モノクローナルマウス抗ヒトCD68抗体(クローンKP1)(DAKO社、デンマーク)、ATCC細胞株HB CRL8026およびTIB228/HB44由来のMo1(抗CD11b)およびMo2(抗CD14)である。抗ヒトゲラチナーゼB抗体Ab110は、ヒトゲラチナーゼBに対して特異的な[コーコランら(Corcoran, M.L. et al. )、J. Biol. Chem. 267:515 (1992) ]アミノ酸配列EALMYPMYRFTEGPPLHK(配列番号:34)を有する合成ペプチドに対して作成されたものである。
免疫組織化学的染色の検出は、メーカーの指示に従いヤギ抗ウサギグルコースオキシダーゼキット(Vector Laboratories 社、Burlingame CA )を用いて行なった。手順を簡単に説明する。まず、切片を再水和させ、アセトンまたは0.1%トリプシンで予備試験を行なった。正常ヤギ血清を用いて非特異的結合をブロックした。一次抗体とのインキュベーションを2時間または一晩行なった後(Ab110:1/500希釈)、グルコースオキシダーゼ標識二次抗ウサギ血清を加えるか、マウスモノクローナル抗体の場合には、精製ウサギ抗マウスIgと反応させた後で二次抗体とのインキュベーションを行なった。
破骨細胞腫(GCT)由来のパラフィン包埋および凍結切片を抗ゲラチナーゼBウサギ抗血清(抗体110)[コーコランら(Corcoran, M.L. et al. )、J. Biol. Chem. 267:515 (1992) ]と反応させた後、グルコースオキシダーゼ結合試薬を用いて発色を調べた。巨細胞腫の破骨細胞は均一で強いゲラチナーゼB陽性を示したのに対し、間質細胞は反応しなかった。あらかじめ免疫化させておいたウサギ血清と反応させた対照切片は陰性であった。調べた8つの長骨巨細胞腫の全てで同様の結果が得られた(表IV)。下顎骨の中心巨細胞肉芽腫(GCG)4つのうちの3つに存在する破骨細胞でも、ゲラチナーゼB発現に対して陽性であった。これらの新生物は顎に存在する点は共通していたが、長骨巨細胞腫と類似してはいるものの同じものではなかった[シェイファーら(Shafer, W.G. et al. )、Textbook of Oral Pathology, W.B. Saunders Company, Philadelphia, pp. 144-149 (1983) ]。一方、一般に口腔軟組織にできる非吸収性腫瘍である末梢巨細胞腫に由来する多核細胞は、抗体110と反応しなかった[シェイファーら(Shafer, W.G. et al. )、Textbook of Oral Pathology, W.B. Saunders Company, Philadelphia, pp. 144-149 (1983) ]。
抗体110を用いて正常骨(n=3)、および骨再形成の増強と破骨細胞活性の上昇が見られるパジェット病にゲラチナーゼBが存在するかどうかも判定した。正常骨(2歳児の下顎骨)およびパジェット病の両方の破骨細胞で強いゲラチナーゼB染色が見られた。あらかじめ免疫しておいた血清とともにインキュベーションした対照では、染色は見られなかった。どの組織切片でも骨芽細胞は染色しなかったことから、ゲラチナーゼB発現は骨の破骨細胞に限定されることがわかる。末梢血単核球も抗体110と反応した〔表IV(以下の表9〜10)〕。
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本発明は、破骨細胞特異的および破骨細胞関連遺伝子産物をコードする単離DNAを提供する。
図1は、ヒトゲラチナーゼBのcDNA配列(配列番号:33)を示したもので、本発明の破骨細胞特異的または破骨細胞関連cDNAクローンによって表される配列の一部分を強調表示している。

Claims (7)

  1. 単離された破骨細胞特異的DNA、またはその相補的DNAであって、下記a)およびb)からなる群より選択される核酸配列を含むDNA、
    a) 配列番号1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、27、28、29、30、31、32、およびそれらの相補鎖からなる群によって表されるDNA配列、
    b) (a)で規定されたDNAと、標準条件下でハイブリダイズするDNA、ここで、前記標準条件には、5×SSC、5×デンハルト液、1%SDSおよび100μg/ml 変性非相同DNAからなるハイブリダイゼーション緩衝液、並びに65℃で12〜20時間のインキュベーションを含む。
  2. 宿主細胞中で、破骨細胞特異的DNAを複製することができる、下記a)およびb)を含むDNA構築物、
    a) 請求項1記載のDNA、および
    b) (a)のDNAに作動可能に連結されたプロモーター。
  3. 請求項2記載のDNA構築物で安定に形質転換またはトランスフェクトされた細胞。
  4. 請求項1記載のDNAの破骨細胞特異的遺伝子産物に特異的な抗体。
  5. 破骨細胞特異的遺伝子産物をコードするDNAを同定する方法であって、a)請求項1に規定する標準条件下で、DNAを含む試料と間質細胞+ 、破骨細胞+ プローブとを接触させる工程;b)請求項1に規定する標準条件下で、前記試料と間質細胞+ 、破骨細胞- プローブとを接触させる工程;及びc)間質細胞+ 、破骨細胞+ プローブとハイブリダイズするが、間質細胞+ 、破骨細胞- プローブとハイブリダイズしないDNAクローンを同定し、それにより、破骨細胞特異的遺伝子産物をコードするDNAを同定する工程を含む方法。
  6. 破骨細胞腫特異的遺伝子産物をコードするDNAを同定する方法であって、a)請求項1に規定する標準条件下で、DNAを含む試料と破骨細胞腫由来cDNAまたはmRNAとを接触させる工程;b)請求項1に規定する標準条件下で、前記試料と間質細胞由来cDNAまたはmRNAとを接触させる工程;及びc)破骨細胞腫由来のcDNAまたはmRNAとハイブリダイズするが、破骨細胞腫由来の培養された間質細胞由来のcDNAまたはmRNAとハイブリダイズしないDNAクローンを同定し、それにより、破骨細胞腫特異的遺伝子産物をコードするDNAを同定する工程を含む方法。
  7. 配列番号1〜24および26〜32のDNAならびにそれらの相補的配列からなる群より選択されるDNAを含むヌクレオチド配列によりコードされる破骨細胞特異的タンパク質。
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