JP2004253742A - Rare earth magnet and its manufacturing method - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、希土類磁石素体に電解めっきにより保護膜が形成されてなる希土類磁石およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高性能磁石として希土類磁石が知られている。この希土類磁石としては、希土類元素(R)と、遷移金属(TM)および硼素(B)とを含んで構成されたR−TM−B系のものが挙げられ、より具体的には、ネオジム(Nd)、鉄(Fe)を含むNd−Fe−B系のものが挙げられる。希土類磁石は、高エネルギー積を示す点において優れている一方で、酸化されやすい元素を含んでいるため、耐食性に乏しい点が問題となっていた。この耐食性を改善するために、従来から電解めっきを使用して希土類磁石に保護膜を形成していた。この保護膜の形成手法としては、例えば、一般的な鉄鋼用防錆めっき技術が使用されていた。
【0003】
保護膜の形成手法やその保護膜が形成された希土類磁石としては、既にいくつかの具体例が提案されている。例えば、希土類磁石にニッケル電解めっき保護膜を積層することにより、耐食性を向上させる手法(例えば、特許文献1参照。)、無電解めっきにより保護膜を形成させる手法(例えば、特許文献2参照。)、銅めっき膜よりなる電解めっき保護膜を形成させる手法(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平02−023603号公報
【特許文献2】
特開昭63−266020号公報
【特許文献3】
特開2002−332592号公報
【0005】
また、例えば、50μm以下の算術平均表面粗さ(Ra)を有するR−Fe−B系の希土類磁石が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献4】
特開平03−254102号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、希土類磁石は、産業機械や自動車などの高耐食性が要求される用途だけでなく、それほど高耐食性が要求されない用途においても利用されている。この種の用途としては、例えば、管理された比較的穏やかな環境下において使用される精密電子機器などが挙げられ、具体的には、ハードディスク装置に搭載されるボイスコイルモータ用途が挙げられる。
【0008】
このボイスコイルモータは、温湿変化が小さな環境中に設置されて使用されている。このような比較的穏やかな環境では、保護膜を設けずに希土類磁石をそのまま使用したとしても、磁石の表面に酸化物が僅かに形成される程度であり、酸化反応がさらに進行して磁石の磁気特性が劣化するまでには至らない。
【0009】
一方、ハードディスク装置内でボイスコイルモータを使用する場合には、塵や埃などの異物の存在に起因してハードディスク装置が誤作動または故障することを防止するために、装置内の環境を清浄に維持する必要がある。しかしながら、保護膜を設けない希土類磁石では、表層の酸化物が振動や衝撃等に起因して剥離しやすいため、この酸化物が塵や埃として滞留し、ハードディスク装置が動作不良を起こす場合がある。
【0010】
このため、希土類磁石の酸化物の剥離防止のために、他の用途の場合と同様の保護膜を設けた磁石が使用されているが、この保護膜はもともと希土類磁石の耐食性向上を目的として設計されたものであり、発塵性抑制を目的として設計されたものでない。このため、希土類磁石に従来公知の保護膜を設けただけでは発塵性の防止に関して十分な効果が得られないという問題点があった。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、発塵性を抑制し、搭載機器の動作不良発生を防止することが可能な希土類磁石およびその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る希土類磁石は、希土類磁石素体に電解めっきにより保護膜が形成されてなるものであり、保護膜が0.4μm以下の表面粗さを有するようにしたものである。
【0013】
本発明に係る希土類磁石の製造方法は、希土類磁石素体に電解めっきにより保護膜が形成されてなる希土類磁石の製造方法であって、硫黄を有する有機化合物を含む予備浸漬浴中において、未通電の状態で希土類磁石素体に浸漬処理を施す工程の後、電気めっき浴を使用して希土類磁石素体に電解めっき処理を施し保護膜を形成する工程を有するようにしたものであり、0.4μm以下の表面粗さを有する保護膜を容易に形成しうる製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態に係る希土類磁石の構成について説明する。図1は、希土類磁石10の断面構成を拡大してイメージとして表している。
【0016】
この希土類磁石10は、表面凹凸(凹部1A,凸部1B)を有する希土類磁石素体1に、電解めっきにより保護膜2が形成されてなるものである。
【0017】
保護膜2は、0.4μm以下の表面粗さを有している。この「表面粗さ」とは、JIS−B0601−1994に規定されている算術平均表面粗さ(Ra)であり、例えば、評価長さ=4.0mm、カットオフ値=0.8mmでの値である。保護膜2の寸法が上記した評価長さに満たない場合には、評価長さが4.0mm未満であってもよい。なお、希土類磁石10を多方面の用途において使用する上で、その生産性やコスト等を考慮するのであれば、保護膜2の表面粗さは0.2μm以下、あるいは0.1μm以下であることがより好ましい。 下限は特に限定されないが、実用上、製造コストを考慮すると0.01μm程度である。
【0018】
また、保護膜2は、30μm以下、好ましくは1μm〜20μmの厚さを有している。保護膜2の厚さが薄すぎると、本願発明に係る製造方法を用いても容易には上記した適正な表面粗さ(0.4μm以下)を有し得ず、一方、厚すぎると、膜応力が増加して希土類磁石素体1との密着強度が低下してしまうと共に、磁石全体における膜厚分布が大きくなって磁石の寸法精度が劣化してしまう。なお、寸法精度は磁石としての寸法であり、全面に保護膜を形成した場合には、磁石の表面、裏面の両方に保護膜がある。したがって、保護膜の膜厚分布の2倍の割合で、磁石の寸法精度が劣化する。なお、ハードディスク装置のボイスコイルモータ用途では、磁石はヨークに貼り付けられて使用されるために、片面と側面のみに保護膜を形成することも可能であり、この場合には、磁石の寸法精度は保護膜の膜厚分布に等しくなる。さらに、磁石が強い磁力によりヨークに押しつけられるために保護膜が変形し、時間の経過につれて保護膜の膜厚分布が良くなる傾向もあるので、有機系接着剤で磁石をヨークに貼り付ける場合には、短時間硬化の接着剤ではなく、少なくとも6時間以上の硬化時間を有する接着剤を用いることが好ましい。また、ニッケル等の強磁性保護膜の場合には、保護膜の膜厚が厚くなると、磁気回路を構成した際に実質的に磁石としての磁気特性が劣化するという問題もある。
【0019】
この保護膜2は、ニッケルまたは銅を主成分として含んで構成されている。なお、保護膜2としては、必ずしもニッケルや銅を主成分とするものに限らず、他の金属や合金を主成分として構成されていてもよい。ただし、保護膜2の形成容易性やコスト等を考慮すれば、保護膜2はニッケルや銅を主成分とすることが最も好ましい。
【0020】
本発明の希土類磁石素体1は、希土類元素(R;ただし、Rはイットリウム(Y)を含む希土類元素のうちの少なくとも1種)を含む磁石であり、例えば、希土類元素と、鉄と、硼素とを含むR−Fe−B系のものである。この希土類元素は、ネオジム、プラセオジム、ホルミウムおよびテルビウムのうちの少なくとも1種であり、あるいは先に列挙した一連の元素と共にランタン、サマリウム、セリウム、ガドリニウム、エルビウム、ユウロピウム、プロメチウム、ツリウム、イッテルビウムおよびイットリウムを含む元素群のうちの少なくとも1種である。なお、希土類元素が2種以上の元素を含む場合には、その希土類元素はミッシュメタル等の混合物であってもよい。
【0021】
このR−Fe−B系の希土類磁石素体1は、元素の一部が他の元素で置換されていてもよい。例えば、Nd−Fe−B系の場合には、ネオジムの一部がプラセオジムで置換されていれば、プラセオジムで置換されていないものと比較して、耐食性が向上すると共に水素吸蔵性が低くなる。この場合には、置換量がネオジムの含有量のうちの1原子%〜50原子%であることが好ましい。
【0022】
この希土類磁石素体1は、上記したように、微視的には表面に凹凸を有している。この希土類磁石素体1の表面粗さ(Ra)は、一般的に量産が容易な、0.7μm〜3μmである。希土類磁石素体1の表面粗さが0.7μm未満になると、アンカー作用による密着効果が得られずに保護膜2が膨れて剥離しやすくなると共に、めっき前の磁石素体の加工が高コストとなり工業的には現実的ではない。この希土類磁石素体1は、実質的に正方晶系の結晶構造の主相を含むと共に、体積比で1%〜50%の非磁性相を含み、その主相の粒径は1μm〜100μmである。この希土類磁石素体1は、燒結磁石であってもよいし、ボンド磁石(樹脂結合型磁石)であってもよい。
【0023】
次に、図1および図2を参照して、希土類磁石の製造方法について説明する。図2は、図1に示した希土類磁石10の製造工程を説明するためのものである。
【0024】
この希土類磁石の製造方法は、図2に示したように、硫黄を有する有機化合物を含む予備浸漬浴20中において、未通電の状態で希土類磁石素体1に浸漬処理を施す工程の後、電気めっき浴30を使用して希土類磁石素体1に電解めっき処理を施すことにより、図1に示したように、保護膜2を形成するものである。予備浸漬浴20に希土類磁石素体1を浸漬させる時間は、1秒〜1000秒程度が好ましい。前記範囲未満では十分に前記有機化合物が磁石表面に吸着せず、前記範囲を超えると工程時間が長くなってコスト高の原因となる。また、少なくとも浸漬処理の前半において、超音波を利用して予備浸漬浴20を攪拌するのが好ましい。予備浸漬浴20を超音波攪拌すると、硫黄を有する有機化合物が拡散して希土類磁石素体1の凹部1Aまで到達し得るからである。予備浸積浴20の温度に制限はないが、室温から電気めっき浴30の温度程度が好ましい。
【0025】
なお、希土類磁石素体1に保護膜2を形成する際には、無電解めっきを使用して希土類磁石素体1にあらかじめ下地膜(例えばニッケルリンめっき膜)を形成しておいてから、この下地膜上に保護膜2を形成するようにしてもよい。また、保護膜2上に、さらに上部保護膜(オーバーコート膜;例えば無電解ニッケルリンめっき膜、電着塗装膜、電解ニッケルめっき膜等)を形成するようにしてもよい。ただし、表面粗さを劣化させる上部保護膜は好ましくない。
【0026】
本発明の硫黄を有する有機化合物は、めっきにおける、いわゆる光沢剤として知られている一連の低分子水溶性有機化合物(分子量=30〜100000)から選択される1種以上である。光沢剤とは、電解めっき中にめっき膜の各種特性(外観、機械的特性、結晶構造、粒径、レベリング性等)を変化させるためのものであり、具体的には、めっき膜を微細粒子化したり、あるいはレベリングさせるためのものである。なお、本発明において、めっき光沢剤とは、狭義の光沢剤であるいわゆるブライトナーを意味する物ではなく、いわゆるキャリヤー、応力緩和剤またはレベラーなどと呼ばれる各種のめっき添加剤の全てを含む広義の光沢剤の意味である。
【0027】
硫黄を有する有機化合物は、上記光沢剤の中から、特に、応力緩和剤、1次光沢剤、ブライトナーと呼ばれている光沢剤から選択することができる。すなわち、電解ニッケルめっき浴において応力緩和剤、1次光沢剤と呼ばれている光沢剤としては、例えば、=C−SO2−構造を有する有機化合物、具体的には、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、1,5−、1,6−または2,5−ナフタレンジスルホン酸、アリルスルホン酸またはベンゼンスルホン酸などのスルホン酸塩や、サッカリンまたはサッカリンナトリウムなどの芳香族スルホンイミドや、パラトルエンスルホンアミドまたはベンゼンスルホンアミドなどのスルホンアミドや、スルフィン酸や、ベンゼンスルフィン酸などのスルフィン酸塩や、チオ硫酸塩や、亜硫酸塩、さらには、チオ尿素、チオセミカルバジド、メチルチオセミカルバジド等のチオ尿素基を有する化合物、さらには前記有機化合物の塩、誘導体、誘導体塩などのいずれか1種以上を使用することが可能である。応力緩和剤、1次光沢剤と呼ばれている光沢剤の予備浸漬浴20への添加量は0.1g/L(リットル)〜100g/L程度である。
【0028】
また、電解銅めっき浴のブライトナーと呼ばれている光沢剤には、チオ尿素、チオセミカルバジド、メチルチオセミカルバジド等のチオ尿素基を有する化合物に加えて、チアントレンスルホン酸、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドナトリウム、ビス(2−スルホエチル)ジスルフィド、3−メルカプトプロパン−1−スルホン酸、ビス−メルカプト−オキシ−メチレン−ジ−スルフィド、N,N−ジエチル−ジチオカルバミン酸−(スルホプロピル)−エステル、メルカプト−ベンゾチアゾール−S−プロパンスルホン酸、o−エチル−ジチオ−石炭塩−(8−スルホプロピル)エステルなどのスルホン基を有する有機化合物、その塩、前記有機化合物の誘導体、誘導体の塩などのいずれか1種以上を使用することが可能である。ブライトナーと呼ばれている光沢剤の予備浸漬浴20への添加量は10ppm〜10000ppm程度である。後述のようにブライトナーのみを使用する場合には多く、キャリヤーおよび塩素を併用添加する場合には少なくなる。
【0029】
これら、硫黄を有する光沢剤の中でも、スルホン構造(−SO2−構造または−SO3−構造)を有する有機化合物が好ましく、特に好ましくは、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、1,5−、1,6−または2,5−ナフタレンジスルホン酸、アリルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サッカリン、チアントレンスルホン酸、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドナトリウム、ビス(2−スルホエチル)ジスルフィド、3−メルカプトプロパン−1−スルホン酸、これらの有機化合物、その塩、それらの誘導体のいずれか1種以上である。
【0030】
なお、光沢剤の塩としては、ナトリウム塩またはカリウム塩が入手容易であり、価格面や水への溶解度の観点からも好ましい。
【0031】
なぜ、これらの硫黄を有する有機化合物を含む予備浸漬浴20中において、未通電の状態で希土類磁石素体1に浸漬処理を施す工程の後、電気めっき浴30を使用して希土類磁石素体1に電解めっき処理を行うことで、極めて表面粗さの小さな電解めっき膜が得られるかは明らかではない。しかし、後述のように、そして実験事実として、希土類磁石素体1の凹部1Aに、これらの硫黄を有する有機化合物が優先的に吸着することで、凹部1Aにおけるめっき膜の成膜を促進していることが判明している。
【0032】
そして、本発明の予備浸積浴20、および電気めっき浴30には、上記予備浸積浴20に用いる有機化合物以外は、いわゆる光沢剤を一切用いないで、めっき膜を形成することも可能であるが、併用することが好ましい。
【0033】
すなわち、電解ニッケルめっき浴においては、2次光沢剤と呼ばれている光沢剤を用いることが好ましい。例えば、C=O、C=C、C≡O、C=N、N−C−S、N=Nまたは−CH2−CH−O−などの構造を有する有機化合物が好ましく、具体的には、キノリンや、ピリジンや、ホルムアルデヒドや、抱水クロラールや、1,4−ブチンジオールまたは2−ブチン−1,4−ジオールにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを付加した化合物や、プロパギルアルコールや、エチレンシアンヒドリンや、クマリンや、上記した一連の有機化合物の誘導体などを使用することが可能である。さらに、予備浸積浴20に用いた1次光沢剤を、さらに電気めっき浴30に使用することも可能である。
【0034】
一方、電解銅めっき浴においては、キャリヤー、またはレベラーと呼ばれている光沢剤を使用することが好ましい。さらに、予備浸積浴20に用いた1次光沢剤を、さらに電気めっき浴30に使用することも可能である。また、予備浸積浴20にキャリヤー、またはレベラーと呼ばれている光沢剤を使用することも可能である。
【0035】
キャリヤーとしては、平均分子量=200〜100000のポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンオレインエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルまたはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリエーテル化合物や、1,3−ジオキソラン重合体などがある。そして、これらは予備浸積浴20に使用すること、さらには電気めっき浴30にも使用することが可能である。なお、キャリヤーを用いる際には、その効果に塩素イオンが大きく寄与することが知られているため、塩素イオンも同時に添加して使用することが好ましい。キャリヤーを予備浸積浴20に使用すると、予備浸積浴20に使用する硫黄(スルホン基)を有する有機化合物の希土類磁石素体1への吸着反応が促進され、キャリヤーを併用しない場合に比べて、硫黄を有する有機化合物の予備浸積浴20への使用量を減少させることが可能となる。キャリヤーの添加量は、10ppm〜2000ppm程度である。塩素の添加量は1ppm〜200ppm程度である。
【0036】
レベラーとしては、ヤヌスグリーンB、ヤヌスブラック、ヤヌスブルー、ヤヌスグレーなどのフェナジン系染料などを電気めっき浴30にのみ、あるいは電気めっき浴30と予備浸積浴20の両方使用することができる。これらのレベラーの添加量は1ppm〜500ppm程度である。
【0037】
電解めっきのめっき手法としては、引っかけめっき法やバレルめっき法などを用いることが可能である。電流密度は引っかけめっき法において0.1A/dm2〜20A/dm2となり、バレルめっき法において約0.01A/dm2〜3A/dm2となる。また直流めっきだけでなく、間欠めっき、パルスめっき等も使用可能である。
【0038】
この希土類磁石の製造方法では、以下で説明するめっき膜の成膜原理により、希土類磁石素体1に保護膜2が形成される。
【0039】
すなわち、例えば、図2に示したように、キャリヤー、ブライトナーおよび塩素イオンを含む予備浸漬浴20に、未通電の状態で希土類磁石素体1が浸漬されると、その希土類磁石素体1の表面に最初にキャリヤーが吸着し単分子膜を作成する。その吸着には塩素イオンが補助的に機能する。この後、さらにブライトナーが吸着する。水洗後、光沢剤を添加しない硫酸銅系の電気めっき浴30中において希土類磁石素体1に電解めっきが施されると、その希土類磁石素体1の表面に銅めっき膜が成長することにより、図1に示したように、保護膜2が形成される。この保護膜2の形成過程では、予備浸漬時に希土類磁石素体1の表面に吸着したブライトナーが、脱離・吸着を繰り返して保護膜2(陰極)の表面に留まりながら、凸部1B近傍よりも凹部1A近傍において銅めっき膜の成長を促進させるレベリング作用を示す。これにより、希土類磁石素体1の凹部1Aに対応する箇所ではその周辺の凸部1Bに対応する箇所よりも膜厚が厚くなり、かつ凸部1Bに対応する箇所ではその周辺の凹部1Aに対応する箇所よりも膜厚が薄くなるように、銅めっき膜が成長する。したがって、希土類磁石素体1が表面凹凸構造を有しているにも関わらず、ほぼ平坦となるように保護膜2の成長過程が制御されるため、その保護膜2の表面粗さを容易に0.4μm以下とすることができる。
【0040】
なお、上記した「ブライトナーが希土類磁石素体1の凹部1A近傍において銅めっき膜の成長を促進させる」作用は見かけ上の作用であり、実際には、希土類磁石素体1に保護膜2が形成される際に、ブライトナーによりキャリヤーの析出抑制作用が緩和されたり、あるいはブライトナーの吸着反応とキャリヤーの吸着反応とが競争関係にあり、希土類磁石素体1のうちのブライトナーが既に吸着している箇所にキャリヤーが吸着できなくなるために、結果として、相対的に凹部1A近傍において銅めっき膜の成長が促進されるものと推定される。
【0041】
特に、この保護膜2の表面粗さが0.4μm以下の希土類磁石10では、以下の理由により、希土類磁石10の発塵性を抑制し、その希土類磁石10が適用されたボイスコイルモータを搭載するハードディスク装置の動作不良発生を防止することができる。
【0042】
図3および図4は本実施の形態に対する比較例としての希土類磁石の製造方法により製造された希土類磁石100の問題点を説明するためのものであり、いずれも図1に対応する断面構成を表している。この比較例の希土類磁石の製造方法は、予備浸漬されていない希土類磁石素体101に電解めっきを施して保護膜102を形成している点を除き、本実施の形態の希土類磁石の製造方法と同様である。
【0043】
比較例では、希土類磁石素体101に保護膜102を形成するために、一般的な電解めっきと同様に保護膜102の均一電着性が高まるようなめっき浴およびめっき条件を使用している。この保護膜102の均一電着性とは、図3に示したように、希土類磁石素体101が表面凹凸構造(凹部101A,凸部101B)を有する場合に、ほぼ均一な膜厚となるように希土類磁石素体101を被覆し、その表面凹凸構造を忠実にトレースして同様の表面凹凸構造(凹部102A,凸部102B)を有するように保護膜102が成長する性質である。この保護膜102の均一電着性を利用すれば、酸化されやすい希土類磁石素体101の表面がほぼ均一な膜厚の保護膜102により保護されるため、その希土類磁石素体101の耐食性が確保される。なお、実際に希土類磁石素体101に電解めっきを施した場合には、凹部101A近傍よりも凸部101B近傍において電流密度が高まり、その凸部101B近傍において局所的に成膜速度が速くなるため、図4に示したように、凹部101Aに対応する箇所よりも凸部101Bに対応する箇所において膜厚が厚めになり、希土類磁石素体101の表面凹凸構造よりも大きな表面凹凸構造を有するように保護膜102が形成される場合が多い。この比較例の希土類磁石の製造方法を使用して形成された保護膜102の表面粗さは概ね1.0μm以上であり、最も平坦化された場合でも0.5μm程度である。
【0044】
この希土類磁石100では、保護膜102により希土類磁石素体101の耐食性が確保される一方で、図3および図4に示したように、保護膜102の表面粗さが0.4μmよりも大きくなり、その表面に比較的大きな凸部102Bが存在しているため、発塵性が高くなるという問題がある。具体的には、例えば、凸部102Bの強度が低いため、その凸部102Bが振動や衝撃等に起因して脱離し、塵や埃等として飛散しやすくなる。その上、保護膜102のうちの凸部102Bが脱離した箇所にピンホールが生じ、そのピンホールを通じて希土類磁石素体101が部分的に露出した場合には、その露出部分が酸化して膨張すると、その膨張した酸化物が振動や衝撃等に起因して脱離し、やはり塵や埃等として飛散しやすくなる。この場合には、希土類磁石100が適用されたボイスコイルモータがハードディスク装置に搭載されていると、上記「発明が解決しようとする課題」の項において説明したように、装置内に滞留している塵や埃などに起因して動作不良が発生しやすくなってしまう。
【0045】
これに対して、本実施の形態の希土類磁石10では、保護膜2の表面粗さが0.4μm以下であるため、図1に示したように、その表面には比較的小さな凸部2Bしか存在していない。この場合には、凸部2Bの強度が高いため、その凸部2Bが振動や衝撃等に起因して脱離しにくくなる。しかも、凸部2Bが脱離しにくいため、希土類磁石素体1が部分的に露出して酸化されることがなく、その希土類磁石素体1の部分的酸化に起因して酸化物が脱離しない。これにより、希土類磁石10の発塵性が抑制され、ハードディスク装置内に滞留する塵や埃の滞留量が少なくなるため、動作不良が発生しにくくなる。したがって、本実施の形態では、比較例の場合とは異なり、希土類磁石10の発塵性を抑制し、ハードディスク装置の動作不良発生を防止することが可能になるのである。
【0046】
なお、保護膜2の表面粗さを小さくするためには、本実施の形態において説明した手法以外に、希土類磁石素体1の表面を機械加工等で研磨してあらかじめ平坦化させたのち、その希土類磁石素体1に均一電着性の高い保護膜2を形成する手法も考えられるが、この手法を使用する場合には、希土類磁石素体1の表面加工を要するため、その表面加工分だけ希土類磁石10の製造コストが高くなり、現実的ではない。この点に関して、本実施の形態では、希土類磁石素体1の表面加工を要せず、表面凹凸構造を有する希土類磁石素体1をそのまま使用することが可能なため、希土類磁石10のコストアップを回避することができ、工業的に利用できる。
【0047】
本実施の形態に係る希土類磁石の製造方法を使用して形成された希土類磁石10に関する保護膜2の表面粗さとその厚さとの関係は、例えば、図5に示した通りである。図5は保護膜の表面粗さの厚さ依存性を表しており、横軸は保護膜の厚さT(μm)、縦軸は表面粗さRa(μm)を示している。なお、図5中の5Aは保護膜の均一電着性を説明するための仮想例、5B,5Cは図3,図4に示した比較例、5D,5Eは本実施の形態について示しており、希土類磁石素体の表面粗さは5B〜5Eのいずれについても1.25μmである。5Bは均一電着性の特に高いめっき浴、5Cは通常のめっき浴について示し、5Dはニッケルめっき、5Eは銅めっきについて示している。
【0048】
図5に示したように、表面凹凸構造を有する希土類磁石素体に保護膜が形成される際、その保護膜が完全な均一電着性を示すと仮想すると(5A)、厚さTに関係せずに表面粗さRaが一定となるのに対して、実際には(5B〜5D)、保護膜の厚さが増加するにしたがって表面粗さが低下する。この場合、比較例と本実施の形態とを比較すると、希土類磁石素体を予備浸漬させていない比較例(5B,5C)では、保護膜の厚さを約20μm以上まで増加させても表面粗さが0.5μm〜1.15μmまでしか低下しないのに対して、希土類磁石素体を予備浸漬させた本実施の形態(5D,5E)では、保護膜の厚さが10μm程度で、表面粗さが0.1μmまで低下する。すなわち、本実施の形態では、比較例よりも薄厚で表面粗さが小さい保護膜を実現可能となるのである。
【0049】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0050】
まず、以下の手順により、燒結法を利用して希土類磁石素体を形成した。すなわち、粉末治金法を利用して、希土類元素としてネオジムを含む合金(Nd−Dy−B−Fe系;Nd=27.4重量%、Dy=3重量%、B=1重量%、Fe=68.6重量%)を形成したのち、この合金を鋳造してインゴットとした。続いて、スタンプミルを使用してインゴットを粗粉砕したのち、さらにボールミルを使用して微粉砕することによりインゴットを粉末化した。続いて、磁場中でインゴット粉末を成形し成形体を得た。続いて、不活性ガス雰囲気中において時効処理を施した。最後に、25mm×40mm×5mmの直方体状となるように成形体を加工したのち、この成形体にバレル研磨処理を施し、面取りして形状を整えることにより、希土類磁石素体を得た。
【0051】
この希土類磁石素体を使用して希土類磁石を形成する前に、表面粗さ(Ra)を測定した。すなわち、評価長さ=4mm、カットオフ値=0.8mmの条件下、触針式表面粗さ計を使用して、1つの希土類磁石素体について5箇所を測定した上、その平均値を求めたところ、表面粗さは1.36μmであった。なお、5箇所の表面粗さ値の中に、他の測定値と比較して10%以上異なる測定値があった場合には、その測定値を特異点として判断して使用せず、再測定して新たに得た測定値を使用して平均値を求めた。
【0052】
この希土類磁石素体に、アルカリ脱脂処理、0.5%硝酸溶液を使用した表面酸化膜除去処理(酸洗浄処理)、1%グルコン酸溶液を使用した超音波洗浄処理(スマット除去処理)をこの順に施した。この処理後に表面粗さは、1.93μmとなった。以下に列挙する条件で、電解めっきを使用して希土類磁石素体に保護膜を形成することにより、保護膜付き希土類磁石を製造した。
【0053】
(実施例1)
まず、奥野製薬工業社製の無電解ニッケル−リン系めっき浴(浴温=35℃、pH=9.0)を使用し、希土類磁石素体に0.5μm厚の無電解ニッケルリンめっき下地膜を形成した。下地膜が形成された希土類磁石素体の表面粗さは1.89μmであり、下地膜が形成される前の表面粗さ(1.93μm)とほぼ同様であった。続いて、銅系の予備浸漬浴中に未通電の状態で2分間に渡って希土類磁石素体を浸漬させた。この際、予備浸漬浴としては、200g/Lの硫酸銅(5水和物)と、85g/Lの硫酸(98%)と、300ppmのポリエチレングリコールと、3ppmのSPS(ビス(3−スルフォプロピル)ジスルフィド2ナトリウム塩)と、50ppmの塩素とを含むものを使用すると共に、浴温=25℃とし、浸漬処理の前半において1分間に渡って超音波攪拌した。続いて、予備浸漬浴から希土類磁石素体を取り出して純水で洗浄したのち、硫酸銅系のめっき浴を使用して電解めっきを行い、その希土類磁石素体に8μm厚の銅めっき保護膜を形成することにより、希土類磁石を製造した。この際、めっき浴としては、ポリエチレングリコール、SPS、塩素を除き、替わりに30ppmのヤヌスグリーンBを添加した予備浸漬浴と同様の組成を有するものを使用すると共に、浴温=25℃、電流密度=3A/dm2とした。最後に、下地膜を形成した場合と同様の条件により、希土類磁石の保護膜上に0.5μm厚の無電解ニッケルリンめっきオーバーコート膜を形成した。なお、オーバーコート膜の成膜前後で表面粗さは変化していないことを確認した。
【0054】
(実施例2)
実施例1と同様の希土類磁石素体、前処理、無電解成膜、予備浸積の後に、200g/Lの硫酸銅(5水和物)と、85g/Lの硫酸(98%)と、300ppmのポリエチレングリコールと、3ppmのSPS(ビス(3−スルフォプロピル)ジスルフィド2ナトリウム塩)とに、50ppmの塩素および30ppmのヤヌスグリーンBを添加した電気めっき浴を用い、13μm厚の銅めっき保護膜を形成した。その後、実施例1と同様に無電解ニッケルリンめっきオーバーコート膜を形成した。
【0055】
(実施例3)
実施例1と同様の希土類磁石素体、前処理、無電解成膜、予備浸積の後に、200g/Lの硫酸銅(5水和物)と、85g/Lの硫酸(98%)のみからなる光沢剤未添加の電気めっき浴を用い、10μm厚の銅めっき保護膜を形成した。その後、実施例1と同様に無電解ニッケルリンめっきオーバーコート膜を形成した。
【0056】
(実施例4)
実施例1と同様の希土類磁石素体、前処理の後に、希土類磁石素体を予備浸漬浴に浸漬させた。この際、270g/Lの硫酸ニッケル(6水和物)と、50g/Lの塩化ニッケル(6水和物)と、40g/Lの硼酸と、15g/Lの1,3,6−ナフタレントリスルホン酸トリナトリウムとを含むものを使用し、pH=4.5、浴温=50℃、浸漬時間=1分間とし、浸漬処理の前半において30秒間に渡って超音波攪拌した。その後、電気めっき浴として、予備浸漬浴に0.5mg/Lのクマリンをさらに添加した浴を用い、浴温=50℃、pH=4.5、電流密度=1A/dm2にて9μm厚の電解ニッケルめっき保護膜を成膜した。なお、めっき時間は45分間としたが、途中、15分毎に、電気めっき浴から磁石を引き上げ、予備浸積浴にて1分間の浸積を行った。
【0057】
(実施例5)
実施例4において、電解めっき時間を2時間とし、膜厚を厚くした(25μm厚)以外は同様に試作した。なお、途中引き上げ、予備浸積の回数は8回であった。
【0058】
(比較例1)
実施例1、2,3に対する比較例として、予備浸漬浴を使用せずに通常の電気めっき浴、すなわち実施例2で用いた浴を用いて成膜した以外は実施例1と同様の工程で15μm厚の保護膜を形成した。
【0059】
(比較例2)
実施例1、2,3に対する比較例として、硫黄を含まない光沢剤である300ppmのポリエチレングリコールに、50ppmの塩素および30ppmのヤヌスグリーンBを添加した予備浸漬浴を用い、電気めっき浴に硫黄を含む光沢剤である3ppmのSPS(ビス(3−スルフォプロピル)ジスルフィド2ナトリウム塩)を添加した以外は実施例1と同様の工程で20μm厚の保護膜を形成した。
【0060】
(比較例3)
実施例4、5に対する比較例として、予備浸漬浴を使用せずに通常の電気めっき浴、すなわち実施例4で用いた浴を用いて成膜した以外は実施例4と同様の工程で32μm厚の保護膜を形成した。
【0061】
(比較例4)
実施例4,5に対する比較例として、硫黄を含まない光沢剤である0.5mg/Lのクマリンを予備浸積浴に添加し、電気めっき浴には硫黄を含む光沢剤である15g/Lの1,3,6−ナフタレントリスルホン酸トリナトリウムを添加した浴を用いて成膜した以外は実施例4と同様の工程で15μm厚の保護膜を形成した。
【0062】
(比較例5)
また、下地膜やオーバーコート膜を形成するために使用したニッケル系の無電解めっき用めっき浴を使用して、希土類磁石素体に10μm厚のニッケルリンめっき保護膜を形成した点を除いて、実施例1の場合と同様の手順で希土類磁石を製造した。
【0063】
(比較例6)
なお、上記した一連の比較例1〜4以外に、保護膜が設けられていない希土類磁石素体を比較例6とした。
【0064】
(比較例7)
実施例1と同様の希土類磁石素体を、さらに高精度機械加工を行い表面粗さを0.52μmとした。なお、加工コストは実施例1の5倍を要した。この希土類磁石素体に、アルカリ脱脂処理、0.5%硝酸溶液を使用した表面酸化膜除去処理(酸洗浄処理)、1%グルコン酸溶液を使用した超音波洗浄処理(スマット除去処理)をこの順に施した。この処理後に表面粗さは、0.55μmとなった。この希土類磁石素体に、ニッケル系の電解めっき用めっき浴を使用して、10μm厚の保護膜を形成した。この際、めっき浴としては、50g/Lの塩化ニッケル(6水和物)と、300g/Lの硫酸ナトリウムと、45g/Lの硼酸と、2g/Lのサッカリンナトリウムと、0.1g/Lのブチンジオールと、10ppmの酢酸鉛とを含むものを使用すると共に、pH=4.0、浴温=55℃、電流密度=2A/dm2とした。
【0065】
これらの実施例1〜5および比較例1〜7の希土類磁石の表面粗さ(すなわち保護膜の表面粗さ)を測定したのち、各希土類磁石をボイスコイルモータに適用してハードディスク装置を構成し、その装置内の清浄度と保護膜の表面粗さとの関係を調べた。また、希土類磁石素体と保護膜との密着性も調べた。その結果は、表1に示した通りである。
【0066】
なお、清浄度の評価は、以下の手順で行った。すなわち、希土類磁石がヨークに貼り付けられたボイスコイルモータをハードディスク装置に搭載したのち、そのハードディスク装置に設けられた換気口にパーティクルカウンタの吸入チューブを差し込み、装置内の清浄度を評価可能とした。そして、第1の評価として、試験用のハードディスクを回転させながらハードディスク装置を150時間に渡って連続稼働させ、その間の総粒子数(粒径=0.48μm以上)を測定し、その測定粒子数を「粒子数1」とした。また、第2の評価として、50cmの高さ位置からハードディスク装置を板張りの床に落下させる工程を10回繰り返し、上記した第1の評価と同様にその間の総粒子数を測定し、その測定粒子数を「粒子数2」とした。
【0067】
一方、密着性の評価は、以下の手順で行った。すなわち、ワイヤーソーを使用して、希土類磁石の表面に少なくとも保護膜が切断されるまで5mm四方の切れ目を入れたのち、その希土類磁石の表面に粘着テープを貼り付け、その粘着テープを剥がしたときの保護膜の剥離状況を目視にて確認した。この際、保護膜の剥離が目視にて確認されたものを「剥離有」と判断した。
【0068】
【表1】
【0069】
表1に示した結果から判るように、本発明に係る希土類磁石(実施例1〜5)では、いずれも表面粗さが0.4μm以下であり、粒子数1,2が1桁であった。これに対して、従来の方法で作成した希土類磁石(比較例1〜5)では、保護膜の材質(銅またはニッケル)やめっき手法(電解めっきまたは無電解めっき)に関係せず、いずれも膜厚を厚くしても表面粗さが0.4μm以下には達しておらず、粒子数1,2が3桁であった。なお、保護膜を設けていない希土類磁石(比較例6)では、粒子数1,2がいずれも10000以上であった。また、希土類磁石素体を精密機械加工した希土類磁石(比較例7)では、表面粗さが0.55μmと小さいため、粒子数1,2がいずれも2桁まで減少しているが、前記のように極めてコスト高となっており実用性に乏しいことが判明した。
【0070】
また、密着性を見ると、実施例1〜4では保護膜の剥離が無かったのに対して、実施例5では一部剥離が生じた。これは、膜厚が25μmと比較的厚かったため、膜応力の影響と考えられる。また、実施例5では強磁性金属であるニッケルを保護膜とし、その膜厚が厚いため、膜厚分布の問題もあり、ヨークに貼り付けた際の磁気回路における磁力は、実施例4に比べて実質的に3%低下していることがシミュレーションから計算された。一方、比較例1,2,4では剥離が生じなかったが、比較例3では剥離が生じた。このことから、本発明の希土類磁石の製造方法を使用して希土類磁石を製造すれば、希土類磁石素体と保護膜との密着性が確保されることが確認された。
【0071】
なお、比較例1,3について更に長時間の電解めっきを行い、膜厚を40μmにした希土類磁石を作成し、その表面粗さを測定したところ、銅めっき膜(比較例1)では0.55μm、ニッケルめっき膜(比較例3)では0.97μmであり、なお0.4μmを超えていた。
【0072】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、光沢剤として1次光沢剤、2次光沢剤、キャリヤー、ブライトナーまたはレベラーと呼ばれている光沢剤などを列挙したが、必ずしもこれらに限られるものではなく、光沢剤の機能として上記した所望の特性を確保し得る限り、光沢剤の種類は自由に選定可能である。具体的には、例えば、光沢剤としては市販のめっき処理用添加剤を使用することが可能であり、奥野製薬工業社製のアクナB250S(商品名)や、荏原ユージライト社製のマーベライトM(商品名)などが挙げられる。
【0073】
また、例えば、上記実施の形態および実施例では、本発明の希土類磁石をハードディスク装置のボイスコイルモータに適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ボイスコイルモータ以外の他の機器に適用するようにしてもよい。この場合においても、上記実施の形態および実施例と同様の効果を得ることができる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の希土類磁石によれば、保護膜が0.4μm以下の表面粗さを有するので、保護膜の表面に極微細な凸部しか存在せず、その凸部が振動や衝撃等に起因して脱離しにくくなる。しかも、保護膜の凸部が脱離しにくいため、希土類磁石素体の酸化物が振動や衝撃等に起因して脱離することもない。したがって、保護膜が0.4μmよりも大きな表面粗さを有する場合とは異なり、希土類磁石の発塵性が抑制され、その希土類磁石を搭載した機器の動作不良発生を防止することができる。また同時に生産性、コスト、寸法精度も確保できる。
【0075】
また、本発明の希土類磁石の製造方法によれば、保護膜の表面粗さが0.4μm以下となるように、希土類磁石を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る希土類磁石の断面構成を拡大して表す断面イメージ図である。
【図2】図1に示した希土類磁石の製造工程を説明するための断面イメージ図である。
【図3】本発明に対する比較例としての希土類磁石の製造方法により製造された希土類磁石の問題点を説明するための断面イメージ図である。
【図4】図3に示した希土類磁石の問題点を説明するための他の断面イメージ図である。
【図5】保護膜の表面粗さの厚さ依存性を表す図である。
【符号の説明】
1…希土類磁石素体、1A,2A…凹部、1B,2B…凸部、2…保護膜、10…希土類磁石、20…予備浸漬浴、30…電気めっき浴。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a rare earth magnet in which a protective film is formed on a rare earth magnet body by electrolytic plating, and a method for manufacturing the same.
[0002]
[Prior art]
Rare earth magnets are known as high performance magnets. Examples of the rare earth magnet include an R-TM-B magnet including a rare earth element (R), a transition metal (TM) and boron (B), and more specifically, neodymium (R). Nd) and Nd-Fe-B-based materials containing iron (Fe). Rare earth magnets are excellent in that they have a high energy product, but have a problem of poor corrosion resistance because they contain elements that are easily oxidized. In order to improve the corrosion resistance, a protective film has been conventionally formed on the rare-earth magnet using electrolytic plating. As a method of forming the protective film, for example, a general rust-proof plating technique for steel has been used.
[0003]
Some specific examples have already been proposed for the method of forming the protective film and the rare earth magnet on which the protective film is formed. For example, a method of improving corrosion resistance by laminating a nickel electrolytic plating protective film on a rare earth magnet (for example, see Patent Document 1) and a method of forming a protective film by electroless plating (for example, see Patent Document 2). A method of forming an electrolytic plating protective film made of a copper plating film is known (for example, see Patent Document 3).
[0004]
[Patent Document 1]
JP-A-02-023603
[Patent Document 2]
JP-A-63-266020
[Patent Document 3]
JP-A-2002-332592
[0005]
Further, for example, an R-Fe-B-based rare earth magnet having an arithmetic average surface roughness (Ra) of 50 μm or less is known (for example, see Patent Document 4).
[0006]
[Patent Document 4]
JP-A-03-254102
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
Incidentally, rare-earth magnets are used not only in applications requiring high corrosion resistance, such as industrial machines and automobiles, but also in applications not requiring high corrosion resistance. Examples of this type of application include precision electronic equipment used in a controlled and relatively gentle environment, and specifically, a voice coil motor mounted on a hard disk device.
[0008]
This voice coil motor is installed and used in an environment where the temperature and humidity change is small. In such a relatively mild environment, even if the rare-earth magnet is used without a protective film, only a small amount of oxide is formed on the surface of the magnet, and the oxidation reaction proceeds further, and It does not reach the point where the magnetic properties deteriorate.
[0009]
On the other hand, when using a voice coil motor in a hard disk drive, clean the environment inside the device in order to prevent the hard disk drive from malfunctioning or failing due to the presence of foreign matter such as dust. Need to be maintained. However, in a rare-earth magnet without a protective film, the oxide on the surface layer is easily peeled off due to vibration, impact, and the like, and this oxide stays as dust or dirt, and the hard disk device may malfunction. .
[0010]
For this reason, magnets provided with a protective film similar to those used for other applications are used to prevent the oxide of the rare earth magnet from peeling off, but this protective film was originally designed to improve the corrosion resistance of rare earth magnets. It is not designed for the purpose of suppressing dust generation. For this reason, there is a problem that a sufficient effect for preventing dust generation cannot be obtained only by providing a conventionally known protective film on the rare earth magnet.
[0011]
The present invention has been made in view of such a problem, and an object of the present invention is to provide a rare earth magnet capable of suppressing dust generation and preventing operation failure of mounted equipment and a method of manufacturing the same. .
[0012]
[Means for Solving the Problems]
The rare earth magnet according to the present invention is obtained by forming a protective film on a rare earth magnet body by electrolytic plating, and the protective film has a surface roughness of 0.4 μm or less.
[0013]
The method for manufacturing a rare-earth magnet according to the present invention is a method for manufacturing a rare-earth magnet in which a protective film is formed on a rare-earth magnet body by electrolytic plating, and in a pre-immersion bath containing an organic compound having sulfur, After the step of immersing the rare earth magnet body in the state described in the above, the rare earth magnet body is subjected to electrolytic plating using an electroplating bath to form a protective film. This is a manufacturing method capable of easily forming a protective film having a surface roughness of 4 μm or less.
[0014]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described in detail with reference to the drawings.
[0015]
First, a configuration of a rare earth magnet according to an embodiment of the present invention will be described with reference to FIG. FIG. 1 shows an enlarged cross-sectional configuration of the rare earth magnet 10 as an image.
[0016]
The rare earth magnet 10 is obtained by forming a protective film 2 by electrolytic plating on a rare earth magnet body 1 having surface irregularities (
[0017]
Protective film 2 has a surface roughness of 0.4 μm or less. The “surface roughness” is an arithmetic average surface roughness (Ra) defined in JIS-B0601-1994. For example, a value at an evaluation length = 4.0 mm and a cutoff value = 0.8 mm It is. When the dimension of the protective film 2 is less than the above-described evaluation length, the evaluation length may be less than 4.0 mm. When the rare earth magnet 10 is used in various applications, the surface roughness of the protective film 2 should be 0.2 μm or less, or 0.1 μm or less, in consideration of productivity, cost, and the like. Is more preferred. The lower limit is not particularly limited, but is practically about 0.01 μm in consideration of production cost.
[0018]
In addition, the protective film 2 has a thickness of 30 μm or less, preferably 1 μm to 20 μm. If the thickness of the protective film 2 is too thin, the appropriate surface roughness (0.4 μm or less) described above cannot be easily obtained even by using the manufacturing method according to the present invention. The stress increases and the adhesion strength to the rare-earth magnet body 1 decreases, and the film thickness distribution in the entire magnet increases, and the dimensional accuracy of the magnet deteriorates. Note that the dimensional accuracy is the size of a magnet, and when a protective film is formed on the entire surface, the protective film is provided on both the front and back surfaces of the magnet. Therefore, the dimensional accuracy of the magnet is degraded at twice the ratio of the thickness distribution of the protective film. In the case of a voice coil motor for a hard disk drive, since the magnet is used by being attached to the yoke, it is possible to form a protective film only on one side and the side surface. Becomes equal to the film thickness distribution of the protective film. Furthermore, since the protective film is deformed because the magnet is pressed against the yoke by a strong magnetic force, and the film thickness distribution of the protective film tends to be improved over time, when the magnet is attached to the yoke with an organic adhesive. It is preferable to use an adhesive having a curing time of at least 6 hours or more, instead of an adhesive that cures in a short time. Further, in the case of a ferromagnetic protective film of nickel or the like, there is a problem that if the film thickness of the protective film is increased, the magnetic characteristics as a magnet are substantially deteriorated when a magnetic circuit is formed.
[0019]
This protective film 2 is configured to contain nickel or copper as a main component. In addition, the protective film 2 is not necessarily limited to a material having nickel or copper as a main component, and may be configured to have another metal or alloy as a main component. However, considering the ease of forming the protection film 2 and the cost, it is most preferable that the protection film 2 contains nickel or copper as a main component.
[0020]
The rare earth magnet body 1 of the present invention is a magnet containing a rare earth element (R; where R is at least one of rare earth elements including yttrium (Y)), for example, a rare earth element, iron, and boron. R-Fe-B-based materials containing The rare earth element is at least one of neodymium, praseodymium, holmium and terbium, or lanthanum, samarium, cerium, gadolinium, erbium, europium, promethium, thulium, ytterbium and yttrium together with the above-listed elements. It is at least one of a group of elements included. When the rare earth element includes two or more elements, the rare earth element may be a mixture of misch metal or the like.
[0021]
In the R-Fe-B-based rare earth magnet body 1, some of the elements may be replaced with other elements. For example, in the case of the Nd-Fe-B system, if a part of neodymium is substituted with praseodymium, the corrosion resistance is improved and the hydrogen storage property is reduced as compared with the case where the neodymium is not substituted with praseodymium. In this case, the substitution amount is preferably 1 to 50 atomic% of the neodymium content.
[0022]
As described above, the rare-earth magnet body 1 has irregularities on its surface microscopically. The surface roughness (Ra) of the rare earth magnet body 1 is generally 0.7 μm to 3 μm, which is easily mass-produced. When the surface roughness of the rare earth magnet body 1 is less than 0.7 μm, the protective film 2 is easily swelled and peeled without obtaining an adhesion effect by an anchoring action, and processing of the magnet body before plating is expensive. It is not industrially realistic. The rare earth magnet body 1 includes a main phase having a substantially tetragonal crystal structure, a nonmagnetic phase in a volume ratio of 1% to 50%, and a particle size of the main phase of 1 μm to 100 μm. is there. The rare earth magnet body 1 may be a sintered magnet or a bonded magnet (resin-bonded magnet).
[0023]
Next, a method for manufacturing a rare earth magnet will be described with reference to FIGS. FIG. 2 is a view for explaining a manufacturing process of the rare earth magnet 10 shown in FIG.
[0024]
As shown in FIG. 2, the method for manufacturing a rare earth magnet includes a step of immersing the rare earth magnet body 1 in a pre-immersion bath 20 containing an organic compound having sulfur in a non-energized state, The protective film 2 is formed by subjecting the rare-earth magnet body 1 to electrolytic plating using the plating bath 30, as shown in FIG. The time for immersing the rare earth magnet body 1 in the preliminary immersion bath 20 is preferably about 1 second to 1000 seconds. If the amount is less than the above range, the organic compound is not sufficiently adsorbed on the magnet surface. Further, it is preferable to stir the preliminary immersion bath 20 using ultrasonic waves at least in the first half of the immersion treatment. This is because, when the preliminary immersion bath 20 is ultrasonically stirred, the organic compound having sulfur can diffuse and reach the
[0025]
When forming the protective film 2 on the rare earth magnet body 1, a base film (for example, a nickel phosphorus plating film) is formed on the rare earth magnet body 1 in advance by using electroless plating. The protective film 2 may be formed on the base film. Further, an upper protective film (an overcoat film; for example, an electroless nickel-phosphorous plating film, an electrodeposition coating film, an electrolytic nickel plating film, etc.) may be formed on the protective film 2. However, an upper protective film that deteriorates the surface roughness is not preferable.
[0026]
The sulfur-containing organic compound of the present invention is at least one selected from a series of low-molecular water-soluble organic compounds (molecular weight = 30 to 100,000) known as so-called brighteners in plating. Brighteners are used to change various properties (appearance, mechanical properties, crystal structure, particle size, leveling property, etc.) of the plating film during electrolytic plating. Or for leveling. In the present invention, the plating brightener does not mean a so-called brightener which is a brightener in a narrow sense, but has a broad sense including all of various plating additives called a carrier, a stress relaxation agent or a leveler. It means brightener.
[0027]
The sulfur-containing organic compound can be selected from among the above brighteners, in particular, brighteners called stress relievers, primary brighteners, and brighteners. That is, in the electrolytic nickel plating bath, as a stress relaxing agent, a brightening agent called a primary brightening agent, for example, = C-SO 2 Organic compounds having a structure, such as 1,3,6-naphthalenetrisulfonic acid, 1,5-, 1,6- or 2,5-naphthalenedisulfonic acid, allylsulfonic acid or benzenesulfonic acid; Sulfonates, aromatic sulfonimides such as saccharin or sodium saccharin, sulfonamides such as paratoluenesulfonamide or benzenesulfonamide, sulfinic acids such as sulfinic acid and benzenesulfinic acid, thiosulfates, and sulfurous acid It is possible to use salts, furthermore, compounds having a thiourea group such as thiourea, thiosemicarbazide, methylthiosemicarbazide and the like, and further any one or more of salts, derivatives and derivative salts of the above organic compounds. The amount of the stress relaxing agent and the brightener called the primary brightener added to the preliminary immersion bath 20 is about 0.1 g / L (liter) to 100 g / L.
[0028]
Brighteners called brighteners in electrolytic copper plating baths include thiourea, thiosemicarbazide, methylthiosemicarbazide and other compounds having a thiourea group, as well as thiantrenesulfonic acid and bis (3-sulfopropyl). ) Sodium disulfide, bis (2-sulfoethyl) disulfide, 3-mercaptopropane-1-sulfonic acid, bis-mercapto-oxy-methylene-di-sulfide, N, N-diethyl-dithiocarbamic acid- (sulfopropyl) -ester, Organic compounds having a sulfone group such as mercapto-benzothiazole-S-propanesulfonic acid, o-ethyl-dithio-coal salt- (8-sulfopropyl) ester, salts thereof, derivatives of the organic compounds, and salts of the derivatives. Any one or more of them can be used. The amount of brightener, called a brightener, added to the pre-immersion bath 20 is about 10 ppm to 10,000 ppm. As described later, the amount is large when only a brightener is used, and is small when a carrier and chlorine are added together.
[0029]
Among these brighteners having sulfur, a sulfone structure (-SO 2 -Structure or -SO 3 -Structure) is preferable, and 1,3,6-naphthalenetrisulfonic acid, 1,5-, 1,6- or 2,5-naphthalenedisulfonic acid, allylsulfonic acid, and benzenesulfonic acid are particularly preferable. , Saccharin, thianthrenesulfonic acid, sodium bis (3-sulfopropyl) disulfide, bis (2-sulfoethyl) disulfide, 3-mercaptopropane-1-sulfonic acid, any of these organic compounds, salts thereof, and derivatives thereof One or more.
[0030]
In addition, as a salt of a brightener, a sodium salt or a potassium salt is easily available, and is preferable from the viewpoint of cost and solubility in water.
[0031]
Why, after the step of immersing the rare-earth magnet body 1 in the pre-immersion bath 20 containing these sulfur-containing organic compounds in a non-energized state, using the electroplating bath 30, the rare-earth magnet body 1 It is not clear whether an electrolytic plating film having extremely small surface roughness can be obtained by performing the electrolytic plating treatment on the substrate. However, as will be described later, and as an experimental fact, the organic compound having sulfur is preferentially adsorbed to the
[0032]
Further, in the pre-soaking bath 20 and the electroplating bath 30 of the present invention, it is also possible to form a plating film without using any so-called brightener except for the organic compound used in the pre-soaking bath 20. However, it is preferable to use them in combination.
[0033]
That is, in the electrolytic nickel plating bath, it is preferable to use a brightener called a secondary brightener. For example, C = O, C = C, C≡O, C = N, NCS, N = N or -CH 2 Organic compounds having a structure such as —CH—O— are preferred, and specific examples thereof include quinoline, pyridine, formaldehyde, chloral hydrate, 1,4-butynediol, and 2-butyne-1,4-diol. It is possible to use a compound obtained by adding ethylene oxide or propylene oxide to the above, propargyl alcohol, ethylene cyanohydrin, coumarin, derivatives of the above-mentioned series of organic compounds, and the like. Furthermore, the primary brightener used in the pre-immersion bath 20 can be further used in the electroplating bath 30.
[0034]
On the other hand, in the electrolytic copper plating bath, it is preferable to use a brightener called a carrier or a leveler. Furthermore, the primary brightener used in the pre-immersion bath 20 can be further used in the electroplating bath 30. It is also possible to use a brightener called a carrier or a leveler in the pre-immersion bath 20.
[0035]
As the carrier, a polyether compound such as polypropylene glycol, polyethylene glycol, polyoxyethylene olein ether, polyoxyethylene lauryl ether or polyoxyethylene nonylphenyl ether having an average molecular weight of 200 to 100,000, 1,3-dioxolane polymer, etc. There is. These can be used for the pre-soaking bath 20 and also for the electroplating bath 30. When a carrier is used, it is known that chlorine ions greatly contribute to the effect, and thus it is preferable to add chlorine ions at the same time. When a carrier is used in the pre-soaking bath 20, the adsorption reaction of the organic compound having sulfur (sulfone group) used in the pre-soaking bath 20 to the rare earth magnet body 1 is promoted, and compared with the case where the carrier is not used in combination. In addition, it is possible to reduce the amount of the organic compound having sulfur used in the pre-immersion bath 20. The added amount of the carrier is about 10 ppm to 2000 ppm. The addition amount of chlorine is about 1 ppm to 200 ppm.
[0036]
As the leveler, a phenazine dye such as Janus Green B, Janus Black, Janus Blue, Janus Gray, or the like can be used only in the electroplating bath 30 or both the electroplating bath 30 and the pre-soaking bath 20. The addition amount of these levelers is about 1 ppm to 500 ppm.
[0037]
As a plating technique of electrolytic plating, a hook plating method, a barrel plating method, or the like can be used. The current density is 0.1 A / dm in the hook plating method. 2 ~ 20A / dm 2 Approximately 0.01 A / dm in barrel plating 2 ~ 3A / dm 2 It becomes. In addition to DC plating, intermittent plating, pulse plating and the like can be used.
[0038]
In the method of manufacturing a rare earth magnet, the protective film 2 is formed on the rare earth magnet body 1 by the plating film formation principle described below.
[0039]
That is, as shown in FIG. 2, for example, when the rare earth magnet body 1 is immersed in a pre-immersion bath 20 containing a carrier, a brightener and chlorine ions in a non-energized state, the rare earth magnet body 1 The carrier is first adsorbed on the surface to form a monomolecular film. Chloride ions function to assist the adsorption. Thereafter, the brightener is further adsorbed. After the water washing, when the rare earth magnet body 1 is subjected to electrolytic plating in a copper sulfate-based electroplating bath 30 to which no brightener is added, a copper plating film grows on the surface of the rare earth magnet body 1, As shown in FIG. 1, the protective film 2 is formed. In the process of forming the protective film 2, the brightener adsorbed on the surface of the rare earth magnet element 1 during the preliminary immersion is repeatedly desorbed and adsorbed and stays on the surface of the protective film 2 (cathode). Also shows a leveling action for promoting the growth of the copper plating film in the vicinity of the
[0040]
Note that the above-described action “the brightener promotes the growth of the copper plating film in the vicinity of the
[0041]
In particular, in the rare earth magnet 10 having a surface roughness of 0.4 μm or less of the protective film 2, the dust generation of the rare earth magnet 10 is suppressed for the following reasons, and a voice coil motor to which the rare earth magnet 10 is applied is mounted. Operation failure of the hard disk device can be prevented.
[0042]
3 and 4 are for explaining the problem of the
[0043]
In the comparative example, in order to form the
[0044]
In the rare-
[0045]
In contrast, in the rare-earth magnet 10 of the present embodiment, since the surface roughness of the protective film 2 is 0.4 μm or less, as shown in FIG. Does not exist. In this case, since the strength of the
[0046]
In addition, in order to reduce the surface roughness of the protective film 2, in addition to the method described in the present embodiment, the surface of the rare earth magnet body 1 is polished by mechanical processing or the like, and is flattened in advance. Although a method of forming the protective film 2 having a high uniform electrodeposition property on the rare-earth magnet body 1 is also conceivable, when this method is used, the surface processing of the rare-earth magnet body 1 is required. The manufacturing cost of the rare earth magnet 10 increases, which is not practical. In this regard, in the present embodiment, the surface treatment of the rare earth magnet body 1 is not required, and the rare earth magnet body 1 having the uneven surface structure can be used as it is, so that the cost of the rare earth magnet 10 can be increased. Can be avoided and industrially available.
[0047]
The relationship between the surface roughness of the protective film 2 and the thickness of the rare-earth magnet 10 formed using the rare-earth magnet manufacturing method according to the present embodiment is, for example, as shown in FIG. FIG. 5 shows the dependence of the surface roughness of the protective film on the thickness. The horizontal axis represents the thickness T (μm) of the protective film, and the vertical axis represents the surface roughness Ra (μm). 5A is a hypothetical example for explaining the uniform electrodeposition of the protective film, 5B and 5C are the comparative examples shown in FIGS. 3 and 4, and 5D and 5E are the present embodiment. The surface roughness of the rare earth magnet element is 1.25 μm in any of 5B to 5E. 5B shows a plating bath having particularly high throwing power, 5C shows a normal plating bath, 5D shows a nickel plating, and 5E shows a copper plating.
[0048]
As shown in FIG. 5, when a protective film is formed on a rare earth magnet body having a surface uneven structure, it is assumed that the protective film exhibits perfect uniform electrodeposition (5A). While the surface roughness Ra is constant without performing this, in actuality (5B to 5D), the surface roughness decreases as the thickness of the protective film increases. In this case, when comparing the comparative example with the present embodiment, in the comparative examples (5B, 5C) in which the rare earth magnet body was not pre-immersed, the surface roughness was increased even when the thickness of the protective film was increased to about 20 μm or more. In this embodiment (5D, 5E) in which the rare earth magnet body is pre-immersed, the protective film has a thickness of about 10 μm and a surface roughness of about 10 μm to 1.15 μm. Is reduced to 0.1 μm. That is, in the present embodiment, it is possible to realize a protective film having a smaller thickness and a smaller surface roughness than the comparative example.
[0049]
【Example】
Next, specific examples of the present invention will be described.
[0050]
First, a rare-earth magnet body was formed using the sintering method according to the following procedure. Specifically, an alloy containing neodymium as a rare earth element (Nd-Dy-B-Fe system; Nd = 27.4% by weight, Dy = 3% by weight, B = 1% by weight, Fe = (68.6% by weight), and then the alloy was cast into an ingot. Subsequently, the ingot was coarsely pulverized using a stamp mill, and then finely pulverized using a ball mill to pulverize the ingot. Subsequently, the ingot powder was molded in a magnetic field to obtain a molded body. Subsequently, aging treatment was performed in an inert gas atmosphere. Finally, after processing the formed body into a rectangular parallelepiped shape of 25 mm × 40 mm × 5 mm, the formed body was subjected to barrel polishing, chamfering and shaping to obtain a rare earth magnet body.
[0051]
Before forming a rare earth magnet using this rare earth magnet element body, the surface roughness (Ra) was measured. That is, under the conditions of the evaluation length = 4 mm and the cut-off value = 0.8 mm, using a stylus type surface roughness meter, five locations were measured for one rare earth magnet body, and the average value was determined. As a result, the surface roughness was 1.36 μm. In addition, when there is a measured value which is different from other measured values by 10% or more among the five surface roughness values, the measured value is judged as a singular point and is not used, and is measured again. Then, an average value was obtained using the newly obtained measurement values.
[0052]
The rare earth magnet body was subjected to an alkali degreasing treatment, a surface oxide film removing treatment using a 0.5% nitric acid solution (acid cleaning treatment), and an ultrasonic cleaning treatment (smut removing treatment) using a 1% gluconic acid solution. It was applied in order. After this treatment, the surface roughness became 1.93 μm. Under the conditions listed below, a rare earth magnet with a protective film was manufactured by forming a protective film on the rare earth magnet body using electrolytic plating.
[0053]
(Example 1)
First, an electroless nickel-phosphorus plating bath (bath temperature = 35 ° C., pH = 9.0) manufactured by Okuno Pharmaceutical Co., Ltd. was used, and a 0.5 μm-thick electroless nickel-phosphorus plating base film was formed on the rare earth magnet body. Was formed. The surface roughness of the rare earth magnet body on which the base film was formed was 1.89 μm, which was almost the same as the surface roughness before the base film was formed (1.93 μm). Subsequently, the rare earth magnet element was immersed in a copper-based pre-immersion bath for 2 minutes in a non-energized state. At this time, as a pre-soaking bath, 200 g / L of copper sulfate (pentahydrate), 85 g / L of sulfuric acid (98%), 300 ppm of polyethylene glycol, and 3 ppm of SPS (bis (3-sulfonate) (Propyl) disulfide disodium salt) and 50 ppm of chlorine were used, the bath temperature was set to 25 ° C., and the mixture was ultrasonically stirred for 1 minute in the first half of the immersion treatment. Then, after taking out the rare earth magnet body from the preliminary immersion bath and washing with pure water, electrolytic plating is performed using a copper sulfate-based plating bath, and an 8 μm thick copper plating protective film is applied to the rare earth magnet body. By forming, a rare earth magnet was manufactured. At this time, a plating bath having the same composition as that of the preliminary immersion bath to which 30 ppm of Janus Green B was added instead of polyethylene glycol, SPS, and chlorine was used. = 3A / dm 2 And Finally, an electroless nickel-phosphorus plating overcoat film having a thickness of 0.5 μm was formed on the protective film of the rare earth magnet under the same conditions as in the case where the underlayer film was formed. It was confirmed that the surface roughness did not change before and after the overcoat film was formed.
[0054]
(Example 2)
After the same rare earth magnet body as in Example 1, pretreatment, electroless film formation, and pre-immersion, 200 g / L copper sulfate (pentahydrate) and 85 g / L sulfuric acid (98%) 13 μm thick copper plating protection using an electroplating bath in which 300 ppm of polyethylene glycol and 3 ppm of SPS (bis (3-sulfopropyl) disulfide disodium salt) are added with 50 ppm of chlorine and 30 ppm of Janus Green B A film was formed. Thereafter, an electroless nickel-phosphorous plating overcoat film was formed in the same manner as in Example 1.
[0055]
(Example 3)
After the same rare earth magnet body as in Example 1, pretreatment, electroless film formation, and pre-immersion, only 200 g / L of copper sulfate (pentahydrate) and 85 g / L of sulfuric acid (98%) were used. Using an electroplating bath containing no brightener, a copper plating protective film having a thickness of 10 μm was formed. Thereafter, an electroless nickel-phosphorous plating overcoat film was formed in the same manner as in Example 1.
[0056]
(Example 4)
After the same rare earth magnet body and pretreatment as in Example 1, the rare earth magnet body was immersed in a preliminary immersion bath. At this time, 270 g / L of nickel sulfate (hexahydrate), 50 g / L of nickel chloride (hexahydrate), 40 g / L of boric acid, and 15 g / L of 1,3,6-naphthalenetriene A solution containing trisodium sulfonate was used, and the pH was set to 4.5, the bath temperature was set to 50 ° C., and the immersion time was set to 1 minute. Ultrasonic stirring was performed for 30 seconds in the first half of the immersion treatment. Thereafter, as an electroplating bath, a bath prepared by further adding 0.5 mg / L coumarin to a pre-immersion bath was used, bath temperature = 50 ° C., pH = 4.5, and current density = 1 A / dm. 2 To form a 9 μm-thick electrolytic nickel plating protective film. Although the plating time was 45 minutes, the magnet was pulled up from the electroplating bath every 15 minutes, and immersion was performed for 1 minute in the preliminary immersion bath.
[0057]
(Example 5)
A prototype was produced in the same manner as in Example 4, except that the electrolytic plating time was set to 2 hours and the film thickness was increased (thickness: 25 μm). The number of times of lifting and pre-soaking was 8 times.
[0058]
(Comparative Example 1)
As a comparative example to Examples 1, 2 and 3, the same steps as in Example 1 were performed except that a film was formed using a normal electroplating bath, that is, the bath used in Example 2 without using a pre-immersion bath. A protective film having a thickness of 15 μm was formed.
[0059]
(Comparative Example 2)
As a comparative example to Examples 1, 2 and 3, sulfur was used in the electroplating bath using a preliminary immersion bath in which 50 ppm of chlorine and 30 ppm of Janus Green B were added to 300 ppm of polyethylene glycol which was a sulfur-free brightener. A protective film having a thickness of 20 μm was formed in the same manner as in Example 1, except that 3 ppm of SPS (bis (3-sulfopropyl) disulfide disodium salt) as a brightener was added.
[0060]
(Comparative Example 3)
As a comparative example for Examples 4 and 5, a film was formed in the same process as in Example 4 except that a film was formed using a normal electroplating bath, that is, a bath used in Example 4, without using a pre-immersion bath. Was formed.
[0061]
(Comparative Example 4)
As a comparative example to Examples 4 and 5, 0.5 mg / L coumarin, a sulfur-free brightener, was added to the pre-immersion bath, and 15 g / L, a sulfur-containing brightener, was added to the electroplating bath. A protective film having a thickness of 15 μm was formed in the same process as in Example 4 except that the film was formed using a bath to which trisodium 1,3,6-naphthalenetrisulfonate was added.
[0062]
(Comparative Example 5)
Also, except that a nickel-phosphorous plating protective film having a thickness of 10 μm was formed on the rare earth magnet body by using the nickel-based electroless plating bath used for forming the base film and the overcoat film. A rare earth magnet was manufactured in the same procedure as in Example 1.
[0063]
(Comparative Example 6)
In addition, in addition to the above-described series of comparative examples 1 to 4, a rare-earth magnet body without a protective film was used as comparative example 6.
[0064]
(Comparative Example 7)
The same rare earth magnet body as in Example 1 was further machined with high precision to a surface roughness of 0.52 μm. The processing cost was five times that of the first embodiment. The rare earth magnet body was subjected to an alkali degreasing treatment, a surface oxide film removing treatment using a 0.5% nitric acid solution (acid cleaning treatment), and an ultrasonic cleaning treatment (smut removing treatment) using a 1% gluconic acid solution. It was applied in order. After this treatment, the surface roughness became 0.55 μm. A protective film having a thickness of 10 μm was formed on the rare earth magnet body using a nickel-based plating bath for electrolytic plating. At this time, as a plating bath, 50 g / L nickel chloride (hexahydrate), 300 g / L sodium sulfate, 45 g / L boric acid, 2 g / L sodium saccharin, 0.1 g / L A solution containing butynediol and 10 ppm of lead acetate was used, and pH = 4.0, bath temperature = 55 ° C., current density = 2 A / dm. 2 And
[0065]
After measuring the surface roughness of the rare earth magnets of Examples 1 to 5 and Comparative Examples 1 to 7 (that is, the surface roughness of the protective film), each rare earth magnet was applied to a voice coil motor to constitute a hard disk drive. The relationship between the cleanliness in the apparatus and the surface roughness of the protective film was examined. Further, the adhesion between the rare earth magnet element and the protective film was also examined. The results are as shown in Table 1.
[0066]
The evaluation of cleanliness was performed in the following procedure. That is, after mounting the voice coil motor in which the rare earth magnet is attached to the yoke to the hard disk device, the suction tube of the particle counter is inserted into the ventilation port provided in the hard disk device, and the cleanliness in the device can be evaluated. . Then, as a first evaluation, the hard disk drive was continuously operated for 150 hours while rotating the test hard disk, and the total number of particles (particle diameter = 0.48 μm or more) was measured during the operation. Was set as “the number of particles 1”. As a second evaluation, the process of dropping the hard disk device from a height of 50 cm onto a wooden floor was repeated 10 times, and the total number of particles during the measurement was measured in the same manner as in the first evaluation described above. The number was set to “number of particles 2”.
[0067]
On the other hand, the adhesion was evaluated according to the following procedure. That is, using a wire saw, after making a cut of 5 mm square at least until the protective film is cut on the surface of the rare earth magnet, when sticking an adhesive tape on the surface of the rare earth magnet and peeling off the adhesive tape Of the protective film was visually observed. At this time, those in which peeling of the protective film was visually confirmed were determined to be "peeled".
[0068]
[Table 1]
[0069]
As can be seen from the results shown in Table 1, in the rare earth magnets according to the present invention (Examples 1 to 5), the surface roughness was 0.4 μm or less and the number of particles 1 and 2 was one digit. . On the other hand, in the rare-earth magnets prepared by the conventional method (Comparative Examples 1 to 5), regardless of the material of the protective film (copper or nickel) or the plating technique (electrolytic plating or electroless plating), all of Even when the thickness was increased, the surface roughness did not reach 0.4 μm or less, and the number of particles 1 and 2 was three digits. In the rare earth magnet without the protective film (Comparative Example 6), the number of particles 1 and the number of particles were 10,000 or more. In the rare earth magnet (Comparative Example 7) in which the rare earth magnet body was precision machined, the surface roughness was as small as 0.55 μm. It was found that the cost was extremely high and the utility was poor.
[0070]
Looking at the adhesion, in Examples 1 to 4, there was no peeling of the protective film, whereas in Example 5, some peeling occurred. This is considered to be due to the influence of the film stress, since the film thickness was relatively thick at 25 μm. Further, in Example 5, nickel, which is a ferromagnetic metal, was used as the protective film, and the film thickness was large. Therefore, there was a problem of film thickness distribution, and the magnetic force in the magnetic circuit when attached to the yoke was smaller than that in Example 4. It has been calculated from the simulations that it is substantially reduced by 3%. On the other hand, no peeling occurred in Comparative Examples 1, 2, and 4, but peeling occurred in Comparative Example 3. From this, it was confirmed that when a rare earth magnet was manufactured using the method for manufacturing a rare earth magnet of the present invention, the adhesion between the rare earth magnet body and the protective film was ensured.
[0071]
The comparative examples 1 and 3 were further subjected to electrolytic plating for a longer time to prepare a rare earth magnet having a film thickness of 40 μm, and the surface roughness was measured. As a result, the copper plating film (Comparative Example 1) had a thickness of 0.55 μm. In the case of the nickel plating film (Comparative Example 3), the thickness was 0.97 μm and still exceeded 0.4 μm.
[0072]
As described above, the present invention has been described with reference to the embodiment and the example. However, the present invention is not limited to the embodiment and the example, and various modifications are possible. For example, as a brightener, a primary brightener, a secondary brightener, a brightener called a carrier, a brightener or a leveler, and the like are listed. The type of brightener can be freely selected as long as the desired properties can be ensured. Specifically, for example, a commercially available plating treatment additive can be used as the brightening agent, and Akuna B250S (trade name) manufactured by Okuno Pharmaceutical Co., Ltd. (Product name).
[0073]
Further, for example, in the above-described embodiments and examples, the case where the rare earth magnet of the present invention is applied to the voice coil motor of the hard disk device has been described. However, the present invention is not necessarily limited to this. You may make it apply to an apparatus. In this case, the same effects as those of the above embodiment and example can be obtained.
[0074]
【The invention's effect】
As described above, according to the rare-earth magnet of the present invention, since the protective film has a surface roughness of 0.4 μm or less, only a very minute convex portion exists on the surface of the protective film, and the convex portion is vibrated. And it is difficult to be detached due to shock or the like. In addition, since the projections of the protective film are not easily desorbed, the oxide of the rare-earth magnet element is not desorbed due to vibration or impact. Therefore, unlike the case where the protective film has a surface roughness larger than 0.4 μm, the dust generation of the rare earth magnet is suppressed, and the operation failure of a device equipped with the rare earth magnet can be prevented. At the same time, productivity, cost, and dimensional accuracy can be secured.
[0075]
Further, according to the method for manufacturing a rare earth magnet of the present invention, the rare earth magnet can be easily manufactured such that the surface roughness of the protective film is 0.4 μm or less.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional image diagram illustrating an enlarged cross-sectional configuration of a rare-earth magnet according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a cross-sectional image diagram for explaining a manufacturing process of the rare earth magnet shown in FIG.
FIG. 3 is a sectional image diagram for explaining a problem of a rare earth magnet manufactured by a method of manufacturing a rare earth magnet as a comparative example with respect to the present invention.
FIG. 4 is another sectional image view for explaining a problem of the rare earth magnet shown in FIG. 3;
FIG. 5 is a diagram showing the thickness dependence of the surface roughness of a protective film.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 ... Rare earth magnet body, 1A, 2A ... Concave part, 1B, 2B ... Convex part, 2 ... Protective film, 10 ... Rare earth magnet, 20 ... Pre-immersion bath, 30 ... Electroplating bath.
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