JP2004253375A - 有機半導体膜の形成方法、及び発光素子の製造方法 - Google Patents

有機半導体膜の形成方法、及び発光素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低コスト、高スループット及び光学材料の自由度が高いこと等の特徴を維持しつつ、パターニングの精度を向上させることを目的とする。
【解決手段】 有機半導体膜を基板に選択的に形成する方法において、溶媒に溶かされた有機半導体材料を基板にインクジェット法により塗布する工程と、前記溶媒を蒸発させて前記基板に前記有機半導体膜を形成する工程と、を具備することを特徴とする有機半導体膜の形成方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、表示基板上の所定位置に選択的に有機半導体膜を配置する有機半導体膜の形成方法、及び発光素子の製造方法に関するものである。
LCD(Liquid Crystal Display)やEL(Electroluminescense)表示素子等のマトリクス型表示素子は、軽量、薄型、高画質および高精細を実現する表示素子として、多種かつ多数用いられている。マトリクス型表示素子は、マトリクス状のバス配線と、光学材料(発光材料または光変調材料)と、必要に応じて他の構造とにより構成される。
ここで、単色のマトリクス型表示素子であれば、配線や電極は表示基板上にマトリクス状に配置する必要はあるが、光学材料は、表示基板全面に一様に塗布することも可能である。
これに対し、例えば自己が発光するタイプであるEL表示素子でいわゆるカラーのマトリクス型表示素子を実現しようとする場合、一画素毎に、RGBという光の三原色に対応して三つの画素電極を配置するとともに、各画素電極毎にRGBいずれかに対応した光学材料を塗布しなければならない。つまり、光学材料を所定の位置に選択的に配置する必要がある。
そこで、光学材料をパターニングする方法の開発が望まれるのであるが、有効なパターニング方法の候補としては、エッチングと塗布とが挙げられる。
エッチングによる場合の工程は、次のようになる。
先ず、表示基板上の全面に、光学材料の層を形成する。次に、光学材料の層の上にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜をマスクを介して露光した後にパターニングする。そして、エッチングを行い、レジストのパターンに応じて、光学材料の層のパターニングを行う。
しかしながら、この場合は、工程数が多く、各材料、装置が高価であることにより、コストが高くなる。また、工程数が多く、各工程が複雑であることにより、スループットも悪い。さらに、光学材料の化学的性質によっては、レジストやエッチング液に対する耐性が低く、これらの工程が不可能な場合もある。
一方、塗布による場合の工程は、次のようになる。
先ず、光学材料を溶媒に溶かして液状にし、この液状の光学材料を、表示基板上の所定位置に、インクジェット方式等により選択的に塗布する。そして、必要に応じて、加熱や光照射等により、光学材料を固形化する。この場合は、工程数が少なく、各材料、装置が安価であることにより、コストが安くなる。また、工程数が少なく、各工程が簡略であることにより、スループットも良い。さらに、光学材料の化学的性質に関係なく、液状化ができれば、これらの工程が可能である。
上記のような塗布によるパターニングの方法は、一見容易に実行可能なようにも思える。しかし、インクジェット方式により光学材料を塗布する際には、その光学材料を溶媒により数十倍以上希釈しなければならないため、その流動性が高く、塗布した後にそれの固形化が完了するまで塗布位置に保持しておくことが困難であることが判った。
つまり、液状の光学材料の流動性に起因して、パターニングの精度が悪いことである。例えば、ある画素に塗布した光学材料が、隣接する画素に流出することにより、画素の光学特性が劣化する。また、各画素毎に、塗布面積にバラツキが生じることにより、塗布厚さにバラツキが生じ、光学材料の光学特性にバラツキが生じる。
かかる問題点は、塗布する際には液状で、後に固形化されるEL表示素子用の発光材料等で顕著であるが、塗布した際及びその後も液状である液晶を、表示基板上に選択的に塗布する場合にも同様に生じる問題点である。
本発明は、このような従来の技術が有する未解決の課題に着目してなされたものであって、低コスト、高スループットおよび光学材料の自由度が高いこと等の特徴を維持しつつ、液状の光学材料を所定位置に確実に配置することができる表示素子の製造方法を提供することを目的としている。
本発明の有機半導体膜の形成方法は、有機半導体膜を基板に選択的に形成する方法において、溶媒に溶かされた有機半導体材料を基板にインクジェット法により塗布する工程と、前記溶媒を蒸発させて前記基板に前記有機半導体膜を形成する工程と、を具備することを特徴とする。
また、本発明の発光素子の製造方法は、発光素子を製造する方法において、溶媒に溶かされた発光材料を基板にインクジェット法により塗布する工程と、前記溶媒を蒸発させて前記基板に前記有機半導体膜からなる発光素子を形成する工程と、を具備することを特徴とする。
更には、表示素子の製造方法は、第1のバス配線及び第2のバス配線との交差部に対応する所定位置に発光材料または正孔注入層が配置されたが表示素子の製造方法であって、基板上に第1のバス配線を形成する工程と、前記所定位置と前記所定位置の周辺との間に段差ができるよう絶縁膜を形成する工程と、液体材料を塗布することにより前記所定位置に前記発光材料または前記正孔注入層を配置する工程と、前記発光材料または前記正孔注入層の上方に第2のバス配線を形成する工程と、を含むこと、を特徴とする。
上記の表示素子の製造方法において、前記所定位置の前記液体材料に対する親液性を前記所定位置の周囲に比べて相対的に向上させる処理を行うことが好ましい。
上記の表示素子の製造方法において、前記処理はプラズマ照射により行うことが好ましい。
上記の表示素子の製造方法において、前記プラズマ照射を、O2、CF4、及びArから選ばれた1つの気体をプラズマの原料として行うことができる。
上記の表示素子の製造方法において、前記プラズマ原料を、O2、CF4、及びArから選ばれた少なくとも2つの気体からなる混合気体を用いて行ってもよい。
上記の表示素子の製造方法において、前記絶縁膜は酸化シリコン及びポリイミドの少なくともいずれか一方であることが好ましい。
上記の表示素子の製造方法において、前記所定位置は前記第1の配線と前記第2の配線との交差部にあってもよい。
また、マトリクス型表示素子は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子において、前記所定位置とその周囲との境界部分に、前記光学材料を選択的に塗布するための段差を有するものである。
上記マトリクス型表示素子は、上記のような段差を有しているため、塗布する際に光学材料が液状であっても、それを所定位置に選択的に配置することができる。つまり、本発明のマトリクス型表示素子は、光学材料が所定位置に正確に配置された高性能のマトリクス型表示素子である。
上記マトリクス型表素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法であって、前記液状の光学材料を塗布するための段差を、前記表示基板上の前記所定位置とその周囲との境界部分に形成する工程と、前記段差を利用して前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布する工程と、を備えている。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法によれば、液状の光学材料を塗布する前に段差を形成するため、所定位置に塗布された液状の光学材料が周囲に広がることを、その段差により阻止することができる。この結果、低コスト、高スループットおよび光学材料の自由度が高いこと等の特徴を維持しつつ、パターニングの精度を向上させることが可能となる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記段差を設け、前記所定位置の方がその周囲よりも低くなっている凹型の形状とし、前記表示基板の前記液状の光学材料が塗布される面を上に向けて、前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布するようにしてもよい。
このようにすることにより、表示基板の光学材料が塗布される面を上に向けると、段差によって形成される凹部も上向きとなる。そして、その凹部の内側に液状の光学材料が塗布されると、重力により凹部内に光学材料が溜まるようになり、塗布された液状の光学材料は、それが極端に大量でない限り重力や表面張力等によって凹部内に溜まっていることができるから、この状態で例えば乾燥させて光学材料を固形化しても問題はなく、高精度のパターニングが行える。
また、逆に、前記段差を設けて、前記所定位置の方がその周囲よりも高くなっている凸型の形状とすることも可能である。前記表示基板の前記液状の光学材料が塗布される面を下に向けて、前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布するようにしてもよい。
このようにすることにより、表示基板の光学材料が塗布される面を下に向けると、段差によって形成される凸部も下向きとなる。そして、その凸部に液状の光学材料が塗布されると、表面張力により凸部上に光学材料が集まるようになり、塗布された液状の光学材料は、それが極端に大量でない限り表面張力によって凸部上に溜まっていることができるから、この状態で例えば乾燥させて光学材料を固形化しても問題はなく、高精度のパターニングが行える。
また、マトリクス型表示素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法であって、前記表示基板上に、複数の第1のバス配線を形成する工程と、前記液状の光学材料を塗布するための段差を、表示基板上の前記所定位置とその周囲との境界部分に形成する工程と、前記段差を利用して前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布する工程と、前記第1のバス配線と交差する複数の第2のバス配線を、前記光学材料を覆うように形成する工程と、を備えている。
このようにすることにより、液状の光学材料を塗布する前に段差を形成するため、所定位置に塗布された液状の光学材料が周囲に広がることを、その段差により阻止することができる。この結果、低コスト、高スループットおよび光学材料の自由度が高いこと等の特徴を維持しつつ、パターニングの精度を向上させることが可能となる
また、他例のマトリクス型表示素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法であって、前記表示基板の上方に、複数の第1のバス配線を形成する工程と、前記液状の光学材料を塗布するための段差を、前記表示基板上の前記所定位置とその周囲との境界部分に形成する工程と、前記段差を利用して前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布する工程と、剥離用基板上に、剥離層を介して複数の第2のバス配線を形成する工程と、前記光学材料が塗布された表示基板上に、前記剥離用基板上の前記剥離層から剥離された構造を、前記第1のバス配線と前記第2のバス配線とが交差するように転写する工程と、を備えている。
このようにすることにより、液状の光学材料を塗布する前に段差を形成するため、所定位置に塗布された液状の光学材料が周囲に広がることを、その段差により阻止することができる。この結果、低コスト、高スループットおよび光学材料の自由度が高いこと等の特徴を維持しつつ、パターニングの制度を向上させることが可能となる。また、光学材料が配置された後に、その上面に第2のバス配線用の層を形成しこれをエッチングするような工程は行われない分、光学材料等の下地材料へのその後の工程によるダメージを軽減することが可能となる。
また、他例のマトリクス型表示素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法であって、前記表示基板上に、複数の走査線及び信号線を含む配線と、前記所定位置に対応した画素電極と、前記配線の状態に応じて前記画素電極の状態を制御するためのスイッチング素子と、を形成する工程と、前記液状の光学材料を塗布するための段差を、前記表示基板上の前記所定位置とその周囲との境界部分に形成する工程と、前記段差を利用して前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布する工程と、を備えている。
このようにすることにより、液状の光学材料を塗布する前に段差を形成するため、所定位置に塗布された液状の光学材料が周囲に広がることを、その段差により阻止することができる。この結果、低コスト、高スループットおよび光学材料の自由度が高いこと等の特徴を維持しつつ、パターニングの精度を向上されることが可能となる。
また、他例のマトリクス型表示素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法であって、前記液状の光学材料を塗布するための段差を、前記表示基板上の前記所定位置とその周囲との境界部分に形成する工程と、前記段差を利用して前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布する工程と、剥離用基板上に、剥離層を介して、複数の走査線及び信号線を含む配線と、前記所定位置に対応した画素電極と、前記配線の状態に応じて前記画素電極の状態を制御するためのスイッチング素子と、を形成する工程と、前記光学材料が塗布された表示基板上に、前記剥離用基板上の前記剥離層から剥離された構造を転写する工程と、を備えている。
このようにすることにより、液状の光学材料を塗布する前に段差を形成するため、所定位置に塗布された液状の光学材料が周囲に広がることを、その段差により阻止することができる。この結果、低コスト、高スループットおよび光学材料の自由度が高いこと等の特徴を維持しつつ、パターニングの精度を向上されることが可能となる。さらに光学材料が配置された後に、その上面に配線用の層や画素電極用の層を形成しこれらをエッチングするような工程は行われない分、光学材料等の下地材料へのその後の工程によるダメージや、走査線、信号線、画素電極またはスイッチング素子等への、光学材料の塗布等によるダメージを、軽減することが可能となる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記段差は、前記第1のバス配線を利用して形成され、前記所定位置の方がその周囲よりも低くなっている凹型の段差であり、前記液状の光学材料を塗布する工程では、前記表示基板の前記液状の光学材料が塗布される面を上に向けて、前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布するようにしてもよい。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、液状の光学材料を塗布する前に段差を形成するため、所定位置に塗布された液状の光学材料が周囲に広がることを、その段差により阻止することができる。この結果、低コスト、高スループットおよび光学材料の自由度が高いこと等の特徴を維持しつつ、パターニングの精度を向上させることが可能となる。さらに、第1のバス配線を利用して段差を形成すれば、第1のバス配線を形成する工程の一部又は全部が、段差を形成する工程を兼ねるようになるから、工程の増加を抑制できる。
また、走査線、信号線、または、共通給電線などの配線を利用して段差を形成すれば、配線を形成する工程に一部又は全部が、段差を形成する工程を兼ねるようになるから、工程の増加を抑制できる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記所定位置の方がその周囲よりも高くなっている凸型の段差であり、前記液状の光学材料を塗布する工程では、前記表示基板の前記液状の光学材料が塗布される面を下に向けて、前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布するようにしてもよい。この場合、前記段差の形成には、前記画素電極を利用することができる。
このようにすれば画素電極を利用して段差を形成する結果、画素電極を形成する工程の一部又は全部が、段差を形成する工程を兼ねるようになるから、工程の増加を抑制できる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、層間絶縁膜を形成する工程を備え、前記段差は、前記層間絶縁膜を利用して形成され、前記所定位置の方がその周囲よりも低くなっている凹型の段差であり、前記液状の光学材料を塗布する工程では、前記表示基板の前記液状の光学材料が塗布される面を上に向けて、前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布するようになっていてもよい。
このようにすることにより、層間絶縁膜を利用して段差を形成する結果、層間絶縁膜を形成する工程の一部又は全部が、段差を形成する工程を兼ねるようになるから、工程の増加を抑制できる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、さらに遮光層を形成する工程を備え、前記段差は、前記遮光層を利用して形成され、前記所定位置の方がその周囲よりも低くなっている凹型の段差であり、前記液状の光学材料を塗布する工程では、前記表示基板の前記液状の光学材料が塗布される面を上に向けて、前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布するようにしてもよい。
このようにすることにより、遮光層を利用して段差を形成する結果、遮光層を形成する工程の一部又は全部が、段差を形成する工程を兼ねるようになるから、工程の増加を抑制できる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記段差を形成する工程は、液状の材料を塗布した後にこれを選択的に除去することにより段差を形成するようにしてもよい。液状の材料としてはレジスト等が適用でき、レジストを適用した場合には、表示基板面上にレジストをスピンコートして適当な厚さのレジスト膜を形成し、そのレジスト膜を露光・エッチングして所定位置に対応して凹部を形成し、これにより段差を形成することができる。
このようにすることにより、段差を形成する工程の簡略化が可能となると同時に、下地材料へのダメージを軽減しつつ、高低差の大きい段差も容易に形成することが可能となる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記段差を形成する工程は、剥離用基板上に剥離層を介して段差を形成し、その剥離用基板上の剥離層から剥離された構造を表示基板上に転写するようにしてもよい。
このようにすることにより、剥離基板上に別途形成した段差を転写するようになっているから、段差を形成する工程の簡略化が可能となると同時に、下地材料へのダメージを軽減しつつ、高低差の大きい段差も容易に形成することが可能となる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記段差の高さdrは、下記(1)式を満たすようにしてもよい。
da <dr ……(1)
ただし、daは前記液状の光学材料の一回当たりの塗布厚さである。
このようにすれば、液状の光学材料の表面張力に頼らなくても、凹型の段差を越えて、所定位置の周囲に光学材料が流出することを抑制することが可能となる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、下記(2)式を満たすようにしてもよい。
Vd /(db ・r)>Et ……(2)
ただし、Vdは前記光学材料に印加される駆動電圧、dbは前記液状の光学材料の各塗布厚さの和、rは前記液状の光学材料の濃度、Etは前記光学材料の光学特性変化が現れる最少の電界強度(しきい電界強度)である。
これにより、塗布厚さと駆動電圧との関係が明確化され、光学材料の電気光学効果が発現することが補償される。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記段差の高さdrは、下記(3)式を満たすようにしてもよい。
df =dr ……(3)
ただし、dfは前記光学材料の完成時の厚さである。
このようにすることにより、段差と完成時の光学材料との平坦性が確保され、光学材料の光学特性変化の一様性と、短絡の防止が可能となる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記完成時の厚さdfは、下記(4)式を満たすようにしてもよい。
Vd /df >Et ……(4)
ただし、Vdは前記光学材料に印加される駆動電圧、Etは前記光学材料の光学特性変化が現れる最少の電界強度(しきい電界強度)である。
このようにすることにより、塗布厚さと駆動電圧との関係が明確化され、光学材料の電気光学効果が発現することが補償される。
また、他例のマトリクス型表示素子の製造方法は、前記表示基板上の前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くする工程と、前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布する工程と、を備えている。
このようにすることにより、液状の光学材料を塗布する前に所定位置の親液性を強くするようになっているため、所定位置に塗布された液状の光学材料は、その周囲よりも所定位置に溜まり易くなっており、所定位置とその周囲との親液性の差を十分に大きくしておけば、所定位置に塗布された液状の光学材料はその周囲には広がらない。
この結果、低コスト、高スループットおよび光学材料の自由度が高いこと等の特徴を維持しつつ、パターニングの精度を向上させることが可能となる。
なお、表示基板上の所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くする工程としては、所定位置の親液性を強くするか、所定位置の周囲の撥液性を強くするか、若しくはその両方を行うことが考えられる。
また、他例のマトリクス型表示素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法であって、前記表示基板上に、複数の第1のバス配線を形成する工程と、前記表示基板上の前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くする工程と、前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布する工程と、前記第1のバス配線と交差する複数の第2のバス配線を、前記光学材料を覆うように形成する工程と、を備えている。
また、他例のマトリクス型表示素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法であって、前記表示基板上に、複数の第1のバス配線を形成する工程と、前記表示基板上の前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くする工程と、前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布する工程と、剥離用基板上に、剥離層を介して複数の第2のバス配線を形成する工程と、前記光学材料が塗布された表示基板上に、前記剥離用基板上の前記剥離層から剥離された構造を、前記第1のバス配線と前記第2のバス配線とが交差するように転写する工程と、を備えている。
このようにすることにより、光学材料が配置された後に、その上面に第2のバス配線用の層を形成しこれをエッチングするような工程は行われない分、光学材料等の下地材料へのその後の工程によるダメージを軽減することが可能となる。
また、他例のマトリクス型表示素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法であって、前記表示基板上に、複数の走査線及び信号線を含む配線と、前記所定位置に対応した画素電極と、前記配線の状態に応じて前記画素電極の状態を制御するためのスイッチング素子と、を形成する工程と、前記表示基板上の前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くする工程と、前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布する工程と、を備えている。
また、他例のマトリクス型表示素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法であって、前記表示基板上の前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くする工程と、前記所定位置に前記液状の光学材料を塗布する工程と、剥離用基板上に、剥離層を介して、複数の走査線及び信号線を含む配線と、前記所定位置に対応した画素電極と、前記配線の状態に応じて前記画素電極の状態を制御するためのスイッチング素子と、を形成する工程と、前記光学材料が塗布された表示基板上に、前記剥離用基板上の前記剥離層から剥離された構造を転写する工程と、を備えている。
このようにすることにより、例えば、光学材料が配置された後に、その上面に配線用の層や画素電極用の層を形成しこれらをエッチングするような工程は行われない分、光学材料等の下地材料へのその後の工程によるダメージや、走査線、信号線、画素電極またはスイッチング素子等への、光学材料の塗布等によるダメージを、軽減することが可能となる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記表示基板上の前記第1のバス配線に沿って撥液性の強い分布を形成することにより、前記表示基板上の前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くするようにしてもよい。
このようにすることにより、第1のバス配線に沿って親液性の強い分布を形成する結果、第1のバス配線を形成する工程の一部又は全部が、前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くする工程を兼ねるようになるから、工程の増加を抑制できる。
また、上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記表示基板上の前記配線に沿って撥液性の強い分布を形成することにより、前記表示基板上の前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くすることも可能である。
このようにすることにより、配線を形成する工程の一部又は全部が、前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くする工程を兼ねるようになるから、工程の増加を抑制できる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記表示基板上の前記画素電極表面の親液性を強くすることにより、前記表示基板上の前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くするようにしてもよい。
このようにすることにより、画素電極表面の親液性を強くする結果、画素電極を形成する工程の一部又は全部が、前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くする工程を兼ねるようになるから、工程の増加を抑制できる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、層間絶縁膜を形成する工程を備え、前記表示基板上の前記層間絶縁膜に沿って撥液性の強い分布を形成することにより、前記表示基板上の前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くするようにしてもよい。
このようにすることにより、層間絶縁膜に沿って親液性の強い分布を形成する結果、層間絶縁膜を形成する工程の一部又は全部が、前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くする工程を兼ねるようになるから、工程の増加を抑制できる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記画素電極の表面は露出するように層間絶縁膜を形成する工程を備え、前記層間絶縁膜を形成する際には、前記液状の光学材料を塗布するための段差を、前記画素電極の表面が露出する部分とその周囲との境界部分に形成し、前記層間絶縁膜の表面の撥液性を強くすることにより、前記表示基板上の前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くするようにしてもよい。
このようにすることにより、液状の光学材料が塗布される前に、層間絶縁膜によって凹型の段差が形成されるとともに、その層間絶縁膜の表面の撥液性が強くなることにより所定位置の親液性がその周囲の親液性よりも相対的に強くなっている。このため、所定位置に塗布された液状の光学材料が周囲に広がることを、より確実に阻止することができる。この結果、低コスト、高スループットおよび光学材料の自由度が高いこと等の特徴を維持しつつ、パターニングの精度をさらに向上させることが可能となる。
上記のトリクス型表示素子の製造方法において、遮光層を形成する工程を備え、前記表示基板上の前記遮光層に沿って撥液性の強い分布を形成することにより、前記表示基板上の前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くするようにしてもよい。
このようにすることにより、遮光層に沿って親液性の強い分布を形成する結果、遮光層を形成する工程の一部又は全部が、前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くする工程を兼ねるようになるから、工程の増加を抑制できる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、紫外線を照射する若しくはO2,CF4,Ar等のプラズマを照射することにより、前記所定位置とその周囲との親液性の差を大きくするようにしてもよい
このようにすれば、例えば層間絶縁膜表面等の撥液性を容易に強くすることができる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記表示基板上の前記所定位置の親液性をその周囲の親液性よりも相対的に強くする工程を備えていてもよい。
また、上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記液状の光学材料を塗布するための段差を、前記表示基板上の前記所定位置とその周囲との境界部分に形成する工程を備えてもよい。
このようにすることにより、液状の光学材料が塗布される前に、所定の段差が形成されるとともに、所定位置の親液性がその周囲の親液性よりも相対的に強くなる。所定位置に塗布された液状の光学材料が周囲に広がることを、より確実に阻止することができる。この結果、低コスト、高スループットおよび光学材料の自由度が高いこと等の特徴を維持しつつ、パターニングの精度をさらに向上させることが可能となる。
また、他例のマトリクス型表示素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法であって、前記表示基板上に、前記所定位置とその周囲とが異なる電位となるように電位分布を形成する工程と、前記電位分布を利用して前記液状の光学材料を前記所定位置に選択的に塗布する工程と、を備えている。
このようにすることにより、液状の光学材料を塗布する前に電位分布を形成するため、所定位置に塗布された液状の光学材料が周囲に広がることを、その電位分布により阻止することができる。この結果、低コスト、高スループットおよび光学材料の自由度が高いこと等の特徴を維持しつつ、パターニングの精度を向上させることが可能となる。
また、他例のマトリクス型表示素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法において、前記表示基板上に、前記所定位置とその周囲とが異なる電位となるように電位分布を形成する工程と、前記液状の光学材料を、前記所定位置の周囲との間で斥力が発生する電位に帯電させてから、前記所定位置に塗布する工程と、を備えている。
このようにすることにより、塗布された液状の光学材料と所定位置の周囲との間に斥力が生じるから、所定位置に塗布された液状の光学材料が周囲に広がることを、阻止することができる。この結果、低コスト、高スループットおよび光学材料の自由度が高いこと等の特徴を維持しつつ、パターニングの精度を向上させることが可能となる。
また、他例のマトリクス型表示素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法であって、前記表示基板上に、複数の第1のバス配線を形成する工程と、前記表示基板上に、前記所定位置とその周囲とが異なる電位となるように電位分布を形成する工程と、前記液状の光学材料を、前記所定位置の周囲との間で斥力が発生する電位に帯電させてから、前記所定位置に塗布する工程と、前記第1のバス配線と交差する複数の第2のバス配線を、前記光学材料を覆うように形成する工程と、を備えている。
また、他例のマトリクス型表示素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法において、前記表示基板上に、複数の第1のバス配線を形成する工程と、前記表示基板上に、前記所定位置とその周囲とが異なる電位となるように電位分布を形成する工程と、前記液状の光学材料を、前記所定位置の周囲との間で斥力が発生する電位に帯電させてから、前記所定位置に塗布する工程と、剥離用基板上に、剥離層を介して複数の第2のバス配線を形成する工程と、前記光学材料が塗布された表示基板上に、前記剥離用基板上の前記剥離層から剥離された構造を、前記第1のバス配線と前記第2のバス配線とが交差するように転写する工程と、を備えている。
このようにすることにより、光学材料が配置された後に、その上面に第2のバス配線用の層を形成しこれをエッチングするような工程は行われない分、光学材料等の下地材料へのその後の工程によるダメージを軽減することが可能となる。
また、他例のマトリクス型表示素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法であって、前記表示基板上に、複数の走査線及び信号線を含む配線と、前記所定位置に対応した画素電極と、前記配線の状態に応じて前記画素電極の状態を制御するためのスイッチング素子と、を形成する工程と、前記表示基板上に、前記所定位置とその周囲とが異なる電位となるように電位分布を形成する工程と、前記液状の光学材料を、前記所定位置の周囲との間で斥力が発生する電位に帯電させてから、前記所定位置に塗布する工程と、を備えている。
また、他例のマトリクス型表示素子の製造方法は、表示基板上の所定位置に選択的に光学材料を配置した構成を有し、前記光学材料は少なくとも前記所定位置に塗布される際には液状であるマトリクス型表示素子の製造方法であって、前記表示基板上に、前記所定位置とその周囲とが異なる電位となるように電位分布を形成する工程と、前記液状の光学材料を、前記所定位置の周囲との間で斥力が発生する電位に帯電させてから、前記所定位置に塗布する工程と、剥離用基板上に、剥離層を介して、複数の走査線及び信号線を含む配線と、前記所定位置に対応した画素電極と、前記配線の状態に応じて前記画素電極の状態を制御するためのスイッチング素子と、を形成する工程と、前記光学材料が塗布された表示基板上に、前記剥離用基板上の前記剥離層から剥離された構造を転写する工程と、を備えている。
このようにすることにより、光学材料が配置された後に、その上面に配線用の層や画素電極用の層を形成しこれらをエッチングするような工程は行われない分、光学材料等の下地材料へのその後の工程によるダメージや、走査線、信号線、画素電極またはスイッチング素子等への、光学材料の塗布等によるダメージを、軽減することが可能となる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記電位分布は、少なくとも前記表示基板上の前記所定位置の周囲が帯電するように形成するようにしてもよい。
このようにすることにより、液状の光学材料を帯電させることにより確実に斥力を発生させることができるようになる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記電位分布は、前記第1のバス配線に電圧を印加することにより形成するようにしてもよい。
また、上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記電位分布は、前記配線に電圧を印加することにより形成するようにしてもよい。
そして、上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記電位分布は、前記画素電極に電圧を印加することにより形成するようにしてもよい。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記電位分布は、前記走査線に順次電圧を印加し、同時に前記信号線に電位を印加し、前記画素電極に前記スイッチング素子を介して電圧を印加することにより形成するようにしてもよい。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、遮光層を形成する工程を備え、前記電位分布は、前記遮光層に電圧を印加することにより形成されるようにしてもよい。
このようにすれば、マトリクス型表示素子が備える構成を利用して電位分布を形成するため、工程の増加が抑制できる。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記電位分布は、前記所定位置とその周囲とが逆極性となるように形成するようにしてもよい。
このようにすることにより、液状の光学材料と所定位置との間には引力が発生し、液状の光学材料と所定位置の周囲との間には斥力が発生するため、光学材料が所定位置により溜まり易くなり、パターニングの精度がさらに向上する。
なお、上記のマトリクス型表示素子の製造方法における前記光学材料としては、例えば、無機又は有機の蛍光材料(発光材料)を適用することができる。蛍光材料(発光材料)としては、EL(Electroluminescense)が好適である。液状の光学材料とするためには、適当な溶媒に溶かして溶液とすればよい。
また、マトリクス型表示素子の製造方法における前記光学材料としては、例えば、液晶材料も採用可能である。
上記のマトリクス型表示素子の製造方法において、前記スイッチング素子は、非晶質シリコン、600℃以上の高温プロセスで形成された多結晶シリコン又は600℃以下の低温プロセスで形成された多結晶シリコンにより形成するようにしてもよい。
このようにすることにより、光学材料のパターニングの精度を向上させることが可能となる。特に低温プロセスで形成された多結晶シリコンを用いた場合には、ガラス基板の使用による低コスト化と、高移動度による高性能化が両立できる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する、
(1)第1の実施の形態
図1乃至図5は、本発明の第1の実施の形態を示す図であって、この実施の形態は、本発明に係るマトリクス型表示素子及びその製造方法を、EL表示素子を用いたアクティブマトリクス型の表示装置に適用したものである。より具体的には、配線としての走査線、信号線及び共通給電線を利用して、光学材料としての発光材料の塗布を行う例を示している。
図1は、本実施の形態における表示装置1の一部を示す回路図であって、この表示装置1は、透明の表示基板上に、複数の走査線131と、これら走査線131に対して交差する方向に延びる複数の信号線132と、これら信号線132に並列に延びる複数の共通給電線133と、がそれぞれ配線された構成を有するとともに、走査線131及び信号線132の各交点毎に、画素領域素1Aが設けられている。
信号線132に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ側駆動回路3が設けられている。また、走査線131に対しては、シフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査側駆動回路4が設けられている。さらに、また、画素領域1Aの各々には、走査線131を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング薄膜トランジスタ142と、このスイッチング薄膜トランジスタ142を介して信号線線132から供給される画像信号を保持する保持容量capと、該保持容量capによって保持された画像信号がゲート電極に供給されるカレント薄膜トランジスタ143と、このカレント薄膜トランジスタ143を介して共通給電線133に電気的に接続したときに共通給電線133から駆動電流が流れ込む画素電極141と、この画素電極141と反射電極154との間に挟み込まれる発光素子140と、が設けられている。
かかる構成であれば、走査線131が駆動されてスイッチング薄膜トランジスタ142がオンとなると、その時の信号線132の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、カレント薄膜トランジスタ143のオン・オフ状態が決まる。そして、カレント薄膜トランジスタ143のチャネルを介して、共通給電線133から画素電極141に電流が流れ、さらに発光素子140を通じて反射電極154に電流が流れるから、発光素子140は、これを流れる電流量に応じて発光する。
ここで、各画素領域1Aの平面構造は、反射電極や発光素子を取り除いた状態での拡大平面図である図2に示すように、平面形状が長方形の画素電極141の四辺が、信号線132、共通給電線133、走査線131及び図示しない他の画素電極用の走査線によって囲まれた配置となっている。
図3〜図5は、画素領域1Aの製造過程を順次示す断面図であって、図2のA−A線断面に相当する。以下、図3〜図5に従って、画素領域1Aの製造工程を説明する。
先ず、図3(a)に示すように、透明の表示基板121に対して、必要に応じて、TEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料ガスとしてプラズマCVD法により厚さが約2000〜5000オングストロームのシリコン酸化膜からなる下地保護膜(図示せず。)を形成する。次いで、表示基板121の温度を約350℃に設定して、下地保護膜の表面にプラズマCVD法により厚さが約300〜700オングストロームのアモルファスのシリコン膜からなる半導体膜200を形成する。次にアモルファスのシリコン膜からなる半導体膜200に対して、レーザアニールまたは固相成長法などの結晶化工程を行い、半導体膜200をポリシリコン膜に結晶化する。レーザアニール法では、例えば、エキシマレーザでビームの長寸が400mmのラインビームを用い、その出力強度はたとえば200mJ/cm2である。ラインビームについてはその短寸方向におけるレーザ強度のピーク値の90%に相当する部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査する。
次いで、図3(b)に示すように、半導体膜200をパターニングして島状の半導体膜210とし、その表面に対して、TEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料ガスとしてプラズマCVD法により厚さが約600〜1500オングストロームのシリコン酸化膜または窒化膜からなるゲート絶縁膜220を形成する。なお、半導体膜210は、カレント薄膜トランジスタ143のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となるものであるが、異なる断面位置においてはスイッチング薄膜トランジスタ142のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となる半導体膜も形成されている。つまり、図3〜図5に示す製造工程では二種類のトランジスタ142、143が同時に作られるのであるが、同じ手順で作られるため、以下の説明では、トランジスタに関しては、カレント薄膜トランジスタ143についてのみ説明し、スイッチング薄膜トランジスタ142については説明を省略する。
次いで、図3(c)に示すように、アルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステンなどの金属膜からなる導電膜をスパッタ法により形成した後、パターニングし、ゲート電極143Aを形成する。
この状態で、高濃度のリンイオンを打ち込んで、シリコン薄膜210に、ゲート電極143Aに対して自己整合的にソース・ドレイン領域143a、143bを形成する。なお、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域143cとなる。
次いで、図3(d)に示すように、層間絶縁膜230を形成した後、コンタクトホール232、234を形成し、それらコンタクトホール232、234内に中継電極236、238を埋め込む。
次いで、図3(e)に示すように、層間絶縁膜230上に、信号線132、共通給電線133及び走査線(図3には図示せず。)を形成する。このとき、信号線132、共通給電線133及び走査線の各配線は、配線として必要な厚さに捕らわれることなく、十分に厚く形成する。
具体的には、各配線を1〜2μm程度の厚さに形成する。ここで中継電極238と各配線とは、同一工程で形成されていてもよい。この時、中継電極236は、後述するITO膜により形成されることになる。
そして、各配線の上面をも覆うように層間絶縁膜240を形成し、中継電極236に対応する位置にコンタクトホール242を形成し、そのコンタクトホール242内にも埋め込まれるようにITO膜を形成し、そのITO膜をパターニングして、信号線132、共通給電線133及び走査線に囲まれた所定位置に、ソース・ドレイン領域143aに電気的に接続する画素電極141を形成する。
ここで、図3(e)では、信号線132及び共通給電線133に挟まれた部分が、光学材料が選択的に配置される所定位置に相当するものである。そして、その所定位置とその周囲との間には、信号線132や共通給電線133によって段差111が形成されている。具体的には、所定位置の方がその周囲よりも低くなっている凹型の段差111が形成されている。
次いで、図4(a)に示すように、表示基板121の上面を上に向けた状態で、インクジェットヘッド方式により、発光素子140の下層部分に当たる正孔注入層を形成するための液状(溶媒に溶かされた溶液状)の光学材料(前駆体)114Aを吐出し、これを段差111で囲まれた領域内(所定位置)に選択的に塗布する。なお、インクジェット方式の具体的な内容は、本発明の要旨ではないため、省略する(かかる方式については、例えば、特開昭56−13184号公報や特開平2−167751号公報を参照)。
正孔注入層を形成するための材料としては、ポリマー前駆体がポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム等が挙げられる。
このとき、液状の前駆体114Aは、流動性が高いため、水平方向に広がろうとするが、塗布された位置を取り囲むように段差111が形成されているため、その液状の前駆体114Aの1回当たりの塗布量を極端に大量にしなければ、液状の前駆体114Aが段差111を越えて所定位置の外側に広がることは防止される。
次いで、図4(b)に示すように、加熱或いは光照射により液状の前駆体114Aの溶媒を蒸発させて、画素電極141上に、固形の薄い正孔注入層140aを形成する。ここでは、液状の前駆体114Aの濃度にもよるが、薄い正孔注入層140aしか形成されない。そこで、より厚い正孔注入層140aを必要とする場合には、図4(a)及び(b)の工程を必要回数繰り返し実行し、図4(c)に示すように、十分な厚さの正孔注入層140Aを形成する。
次いで、図5(a)に示すように、表示基板121の上面を上に向けた状態で、インクジェットヘッド方式により、発光素子140の上層部分に当たる有機半導体膜を形成するための液状(溶媒に溶かされた溶液状)の光学材料(有機蛍光材料)114Bを吐出し、これを段差111で囲まれた領域内(所定位置)に選択的に塗布する。
有機蛍光材料としては、シアノポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアルキルフェニレン、2,3,6,7−テトラヒドロ−11−オキソ−1H,5H,11H(1)ベンゾピラノ[6,7,8−ij]−キノリジン−10−カルボン酸、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、2−13’,4’−ジヒドロキシフェニル)−3,5,7−トリヒドロキシ−1−ベンゾピリリウムパークロレート、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム、2,3,6,7−テトラヒドロ−9−メチル−11−オキソ−1H,5H,11H(1)ベンゾピラノ[6,7,8−ij]−キノリジン、アロマティックジアミン誘導体(TDP)、オキシジアゾールダイマー(OXD)、オキシジアゾール誘導体(PBD)、ジスチルアリーレン誘導体(DSA)、キノリノール系金属錯体、ベリリウム−ベンゾキノリノール錯体(Bebq)、トリフェニルアミン誘導体(MTDATA)、ジスチリル誘導体、ピラゾリンダイマー、ルブレン、キナクリドン、トリアゾール誘導体、ポリフェニレン、ポリアルキルフルオレン、ポリアルキルチオフェン、アゾメチン亜鉛錯体、ポリフィリン亜鉛錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、フェナントロリンユウロピウム錯体等が挙げられる。
このとき、液状の有機蛍光材料114Bは、流動性が高いため、やはり水平方向に広がろうとするが、塗布された位置を取り囲むように段差111が形成されているため、その液状の有機蛍光材料114Bの1回当たりの塗布量を極端に大量にしなければ、液状の有機蛍光材料114Bが段差111を越えて所定位置の外側に広がることは防止される。
次いで、図5(b)に示すように、加熱或いは光照射により液状の有機蛍光材料114Bの溶媒を蒸発させて、正孔注入層140A上に、固形の薄い有機半導体膜140bを形成する。ここでは、液状の有機蛍光材料114Bの濃度にもよるが、薄い有機半導体膜140bしか形成されない。そこで、より厚い有機半導体膜140bを必要とする場合には、図5(a)及び(b)の工程を必要回数繰り返し実行し、図5(c)に示すように、十分な厚さの有機半導体膜140Bを形成する。正孔注入層140A及び有機半導体膜140Bによって、発光素子140が構成される。最後に、図5(d)に示すように、表示基板121の表面全体に若しくはストライプ状に反射電極154を形成する。
このように、本実施の形態にあっては、発光素子140が配置される処置位置を四方から取り囲むように信号線132、共通配線133等の配線を形成するとともに、それら配線を通常よりも厚く形成して段差111を形成し、そして、液状の前駆体114Aや液状の有機蛍光材料114Bを選択的に塗布するようにしているため、発光素子140のパターニング精度が高いという利点がある。
そして、段差111を形成すると、反射電極154は比較的凹凸の大きな面に形成されることになるが、その反射電極154の厚さをある程度厚くしておけば、断線等の不具合が発生する可能性は極めて小さくなる。
しかも、信号線132や共通配線133等の配線を利用して段差111を形成するため、特に新たな工程が増加する訳ではないから、製造工程の大幅な複雑化等を招くこともない。
なお、液状の前駆体114Aや液状の有機蛍光材料114Bが、段差111の内側から外側に流れ出すことをより確実に防止するためには、液状の前駆体114Aや液状の有機蛍光材料114Bの塗布厚さdaと、段差111の高さdrとの間に、
da <dr ……(1)
という関係が成立するようにしておくことが望ましい。
ただし、液状の有機蛍光材料114Bを塗布する際には、既に正孔注入層140Aが形成されているため、段差111の高さdrは、当初の高さからその正孔注入層140Aの分を差し引いて考えることが必要である。
また、上記(1)式を満足するとともに、さらに、有機半導体膜140Bに印加される駆動電圧Vdと、液状の有機蛍光材料114Bの各塗布厚さの和dbと、液状の有機蛍光材料114Bの濃度rと、有機半導体膜140Bに光学特性変化が現れる最少の電界強度(しきい電界強度)Etとの間に、
Vd /(db ・r)>Et ……(2)
という関係が成立するようにすれば、塗布厚さと駆動電圧との関係が明確化され、有機半導体膜140Bの電気光学効果が発現することが補償される。
一方、段差111と発光素子140との平坦性が確保でき、有機半導体膜140Bの光学特性変化の一様性と、短絡の防止を可能とするためには、発光素子140の完成時の厚さdfと、段差111の高さdrとの間に、
df =dr ……(3)
という関係を成立させればよい。
さらに、上記(3)式を満足するとともに、下記の(4)式を満足すれば、発光素子140の完成時の厚さと駆動電圧との関係が明確化され、有機蛍光材料の電気光学効果が発現することが補償される。
Vd /df >Et ……(4)
ただし、この場合のdfは、発光素子140全体ではなく、有機半導体膜140Bの完成時の厚さである。
なお、発光素子140の上層部を形成する光学材料は、有機蛍光材料114Bに限定されるものではなく、無機の蛍光材料であってもよい。
また、スイッチング素子としての各トランジスタ142、143は、600℃以下の低温プロセスで形成された多結晶シリコンにより形成することが望ましく、これにより、ガラス基板の使用による低コスト化と、高移動度による高性能化が両立できる。なお、スイッチング素子は、非晶質シリコンまたは600℃以上の高温プロセスで形成された多結晶シリコンにより形成されてもよい。
そして、スイッチング薄膜トランジスタ142およびカレント薄膜トランジスタ143の他にトランジスタを設ける形式であってもよいし、或いは、一つのトランジスタで駆動する形式であってもよい。
また、段差111は、パッシブマトリクス型表示素子の第1のバス配線、アクテイブマトリクス型表示素子の走査線131および、遮光層によって形成してもよい。
なお、発光素子140としては、発光効率(正孔注入率)がやや低下するものの、正孔注入層140Aを省略してもよい。また、正孔注入層140Aに代えて電子注入層を有機半導体膜140Bと反射電極154との間に形成してもよいし、或いは、正孔注入層及び電子注入層の双方を形成してもよい。
また、上記実施の形態では、特にカラー表示を念頭において、各発光素子140全体を選択的に配置した場合について説明したが、例えば単色表示の表示装置1の場合には、図6に示すように、有機半導体膜140Bは、表示基板121全面に一様に形成してもよい。ただし、この場合でも、クロストークを防止するために正孔注入層140Aは各所定位置毎に選択的に配置しなければならないため、段差111を利用した塗布が極めて有効である。
(2)第2の実施の形態
図7は本発明の第2の実施の形態を示す図であって、この実施の形態は、本発明に係るマトリクス型表示素子及びその製造方法を、EL表示素子を用いたパッシブマトリクス型の表示装置に適用したものである。
なお、図7(a)は、複数の第1のバス配線300と、これに直交する方向に配設された複数の第2のバス配線310と、の配置関係を示す平面図であり、図7(b)は、同(a)のB−B線断面図である。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。また、細かな製造工程等も上記第1の実施の形態と同様であるため、その図示及び説明は省略する。
即ち、本実施の形態にあっては、発光素子140が配置される所定位置を取り囲むように、例えばSiO2等の絶縁膜320が配設されていて、これにより、所定位置とその周囲との間に、段差111が形成されている。
このような構成であっても、上記第1の実施の形態と同様に、液状の前駆体114Aや液状の有機蛍光材料114Bを選択的に塗布する際に、それらが周囲に流れ出ることが防止でき、高精度のパターニングが行える等の利点がある。
(3)第3の実施の形態
図8は本発明の第3の実施の形態を示す図であって、この実施の形態も、上記第1の実施の形態と同様に、本発明に係るマトリクス型表示素子及びその製造方法を、EL表示素子を用いたアクティブマトリクス型の表示装置に適用したものである。より具体的には、画素電極141を利用して段差111を形成することにより、高精度のパターニングが行えるようにしたものである。なお、上記実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付しておく。また、図8は製造工程の途中を示す断面図であり、その前後は上記第1の実施の形態と略同様であるためその図示及び説明は省略する。
即ち、本実施の形態では、画素電極141を通常よりも厚く形成し、これにより、その周囲と間に段差111を形成している。つまり、本実施の形態では、後に光学材料が塗布される画素電極141の方がその周囲よりも高くなっている凸型の段差が形成されている。
そして、上記第1の実施の形態と同様に、インクジェットヘッド方式により、発光素子140の下層部分に当たる正孔注入層を形成するための液状(溶媒に溶かされた溶液状)の光学材料(前駆体)114Aを吐出し、画素電極141上面に塗布する。
ただし、上記第1の実施の形態の場合とは異なり、表示基板121を上下逆にした状態、つまり液状の前駆体114Aが塗布される画素電極141上面を下方に向けた状態で、液状の前駆体114Aの塗布を行う。
すると、液状の前駆体114Aは、重力と表面張力とによって、画素電極141上面に溜まり、その周囲には広がらない。よって、加熱や光照射等を行って固形化すれば、図4(b)と同様の薄い正孔注入層を形成でき、これを繰り返せば正孔注入層が形成される。同様の手法で、有機半導体膜も形成される。
このように、本実施の形態では、凸型の段差111を利用して液状の光学材料を塗布して発光素子のパターニング精度を向上することができる。
なお、遠心力等の慣性力を利用して、画素電極141上面に溜まる液状の光学材料の量を調整するようにしてもよい。
(4)第4の実施の形態
図9は本発明の第4の実施の形態を示す図であって、この実施の形態も、上記第1の実施の形態と同様に、本発明に係るマトリクス型表示素子及びその製造方法を、EL表示素子を用いたアクティブマトリクス型の表示装置に適用したものである。なお、上記実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付しておく。また、図9は製造工程の途中を示す断面図であり、その前後は上記第1の実施の形態と略同様であるためその図示及び説明は省略する。
即ち、本実施の形態では、先ず、表示基板121上に、反射電極154を形成し、次いで、反射電極154上に、後に発光素子140が配置される所定位置を取り囲むように絶縁膜320を形成し、これにより所定位置の方がその周囲よりも低くなっている凹型の段差111を形成する。
そして、上記第1の実施の形態と同様に、段差111で囲まれた領域内に、インクジェット方式により液状の光学材料を選択的に塗布することにより、発光素子140を形成する。
一方、剥離用基板122上に、剥離層152を介して、走査線131、信号線132、画素電極141、スイッチング薄膜トランジスタ142、カレント薄膜トランジスタ143および絶縁膜240を形成する。
最後に、表示基板121上に、剥離用基板122上の剥離層122から剥離された構造を転写する。
このように、本実施の形態であっても、段差111を利用して液状の光学材料を塗布するようにしたから、高精度のパターニングが行える。
さらに、本実施の形態では、発光素子140等の下地材料への、その後の工程によるダメージ、あるいは、走査線131、信号線132、画素電極141、スイッチング薄膜トランジスタ142、カレント薄膜トランジスタ143または絶縁膜240への、光学材料の塗布等によるダメージを、軽減することが可能となる。
本実施の形態では、アクティブマトリクス型表示素子として説明したが、パッシブマトリクス型表示素子であってもよい。
(5)第5の実施の形態
図10は本発明の第6の実施の形態を示す図であって、この実施の形態も、上記第1の実施の形態と同様に、本発明に係るマトリクス型表示素子及びその製造方法を、EL表示素子を用いたアクティブマトリクス型の表示装置に適用したものである。なお、上記実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付しておく。また、図10は製造工程の途中を示す断面図であり、その前後は上記第1の実施の形態と略同様であるためその図示及び説明は省略する。
即ち、本実施の形態では、層間絶縁膜240を利用して凹型の段差111を形成していて、これにより、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を得るようにしている。
また、層間絶縁膜240を利用して段差111を形成するため、特に新たな工程が増加する訳ではないから、製造工程の大幅な複雑化等を招くこともない。
(6)第6の実施の形態
図11は本発明の第6の実施の形態を示す図であって、この実施の形態も、上記第1の実施の形態と同様に、本発明に係るマトリクス型表示素子及びその製造方法を、EL表示素子を用いたアクティブマトリクス型の表示装置に適用したものである。なお、上記実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付しておく。また、図11は製造工程の途中を示す断面図であり、その前後は上記第1の実施の形態と略同様であるためその図示及び説明は省略する。
即ち、本実施の形態では、段差を利用してパターニング精度を向上させるのではなく、液状の光学材料が塗布される所定位置の親水性を、その周囲の親水性よりも相対的に強くすることにより、塗布された液状の光学材料が周囲に広がらないようにしたものである。
具体的には、図11に示すように、層間絶縁膜240を形成した後に、その上面に非晶質シリコン層155を形成している。非晶質シリコン層155は、画素電極141を形成するITOよりも相対的に撥水性が強いので、ここに、画素電極141表面の親水性がその周囲の親水性よりも相対的に強い撥水性・親水性の分布が形成される。
そして、上記第1の実施の形態と同様に、画素電極141の上面に向けて、インクジェット方式により液状の光学材料を選択的に塗布することにより、発光素子140を形成し、最後に反射電極を形成する。
このように、本実施の形態であっても、所望の撥水性・親液性の分布を形成してから液状の光学材料を塗布するようにしているから、パターニングの精度を向上させることができる。
なお、本実施の形態の場合も、パッシブマトリクス型表示素子に適用できることは勿論である。
また、剥離用基板121上に剥離層152を介して形成された構造を、表示基板121に転写する工程を含んでいてもよい。
さらに、本実施の形態では、所望の撥水性・親水性の分布を、非晶質シリコン層155によって形成しているが、撥水性・親水性の分布は、金属や、陽極酸化膜、ポリイミドまたは酸化シリコン等の絶縁膜や、他の材料により形成されていてもよい。なお、パッシブマトリクス型表示素子であれば第1のバス配線、アクティブマトリクス型表示素子であれば走査線131、信号線132、画素電極141、絶縁膜240或いは遮光層によって形成してもよい。また、本実施の形態では、液状の光学材料が水溶液であることを前提に説明したが、他の液体の溶液を用いた液状の光学材料であってもよく、その場合は、その溶液に対して撥液性・親液性が得られるようにすればよい。
(7)第7の実施の形態
本発明の第7の実施の形態は、断面構造は上記第5の実施の形態で使用した図10と同様であるため、これを用いて説明する。
即ち、本実施の形態では、層間絶縁膜240をSiO2で形成するとともに、その表面に紫外線を照射し、その後に、画素電極141表面を露出させ、そして液状の光学材料を選択的に塗布するようになっている。
このような製造工程であれば、段差111が形成されるだけでなく、層間絶縁膜240表面に沿って撥液性の強い分布が形成されるため、塗布された液状の光学材料は、段差111と層間絶縁膜240の撥液性との両方の作用によって所定位置に溜まり易くなっている。つまり、上記第5の実施の形態と、上記第6の実施の形態との両方の作用が発揮されるから、さらに発光素子140のパターニング精度を向上させることができる。
なお、紫外線を照射するタイミングは、画素電極141の表面を露出させる前後いずれでもよく、層間絶縁膜240を形成する材料や、画素電極141を形成する材料等に応じて適宜選定すればよく。ちなみに、画素電極141の表面を露出させる前に紫外線を照射する場合には、段差111の内壁面は撥液性が強くならないから、段差111で囲まれた領域に液状の光学材料を溜めることにとって有利である。これとは逆に、画素電極141の表面を露出させた後に紫外線を照射する場合には、段差111の内壁面の撥液性が強くならないように垂直に紫外線を照射する必要があるが、画素電極141の表面を露出する際のエッチング工程の後で紫外線を照射するため、そのエッチング工程によって撥液性が弱まるような懸念がないという利点がある。
また、層間絶縁膜240を形成する材料としては、例えばフォトレジストを用いることもできるし、或いはポリイミドを用いてもよく、これらであればスピンコートにより膜を形成できるという利点がある。
そして、層間絶縁膜240を形成する材料によっては、紫外線を照射するのではなく、例えばO2、CF4、Ar等のプラズマを照射することにより撥液性が強くなるようにしてもよい。
(8)第8の実施の形態
図12は本発明の第8の実施の形態を示す図であって、この実施の形態も、上記第1の実施の形態と同様に、本発明に係るマトリクス型表示素子及びその製造方法を、EL表示素子を用いたアクティブマトリクス型の表示装置に適用したものである。なお、上記実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付しておく。また、図12は製造工程の途中を示す断面図であり、その前後は上記第1の実施の形態と略同様であるためその図示及び説明は省略する。
即ち、本実施の形態では、段差や撥液性・親液性の分布等を利用してパターニング精度を向上させるのではなく、電位による引力や斥力を利用してパターニング精度の向上を図っている。
つまり、図12に示すように、信号線132や共通給電線133を駆動するとともに、図示しないトランジスタを適宜オン・オフすることにより、画素電極141がマイナス電位となり、層間絶縁膜240がプラス電位となる電位分布を形成する。そして、インクジェット方式により、プラスに帯電した液状の光学材料114を所定位置に選択的に塗布する。
このように、本実施の形態であれば、表示基板121上に所望の電位分布を形成し、その電位分布と、プラスに帯電した液状の光学材料114との間の引力及び斥力を利用して、液状の光学材料を選択的に塗布しているから、パターニングの精度を向上させることができる。
特に、本実施の形態では、液状の光学材料114を帯電させているので、自発分極だけでなく帯電電荷も利用することにより、パターニングの精度を向上する効果が、さらに高まる。
本実施の形態では、アクティブマトリクス型表示素子に適用した場合を示しているが、パッシブマトリクス型表示素子であっても適用可能である。
なお、剥離用基板121上に剥離層152を介して形成された構造を、表示基板121に転写する工程を含んでいてもよい。
また、本実施の形態では、所望の電位分布は、走査線131に順次電位を印加し、同時に信号線132および共通線133に電位を印加し、画素電極141にスイッチング薄膜トランジスタ142およびカレント薄膜トランジスタ143を介して電位を印加することにより形成される。
電位分布を走査線131、信号線132、共通線133および画素電極141で形成することにより、工程の増加が抑制できる。なお、パッシブマトリクス型表示素子であれば、電位分布は、第1のバス配線および遮光層によって形成することができる。
さらに、本実施の形態では、画素電極141と、その周囲の層間絶縁膜240との両方に電位を与えているが、これに限定されるものではなく、例えば図13に示すように、画素電極141には電位を与えず、層間絶縁膜240にのみプラス電位を与え、そして、液状の光学材料114をプラスに帯電させてから塗布するようにしてもよい。このようにすれば、塗布された後にも、液状の光学材料114は確実にプラスに帯電した状態を維持できるから、周囲の層間絶縁膜240との間の斥力によって、液状の光学材料114が周
囲に流れ出ることをより確実に防止することができるようになる。
なお、上記各実施の形態で説明したものとは異なり、例えば、段差111を、液状の材料を塗布することにより形成してもよいし、或いは、段差111を、剥離用基板上に剥離層を介して材料を形成し、表示基板上に剥離用基板上の剥離層から剥離された構造を転写することにより形成してもよい。
また、上記各実施の形態では、光学材料として有機又は無機のELが適用可能であるとして説明したが、これに限定されるものではなく、光学材料は液晶であってもよい。
以上説明したように、本発明によれば、段差や、所望の撥液性・親液性の分布や、所望の電位分布等を利用して液状の光学材料を塗布するようにしたから、光学材料のパターニング精度を向上することができるという効果がある。
本発明の第1の実施の形態における表示装置の一部を示す回路図である。 画素領域の平面構造を示す拡大平面図である。 第1の実施の形態における製造工程の流れを示す断面図である。 第1の実施の形態における製造工程の流れを示す断面図である。 第1の実施の形態における製造工程の流れを示す断面図である。 第1の実施の形態における変形例を示す断面図である。 第2の実施の形態における平面図及び断面図である。 第3の実施の形態における製造工程の一部を示す断面図である。 第4の実施の形態における製造工程の一部を示す断面図である。 第5の実施の形態における製造工程の一部を示す断面図である。 第6の実施の形態における製造工程の一部を示す断面図である。 第8の実施の形態における製造工程の一部を示す断面図である。 第8の実施の形態における変形例を示す断面図である。

Claims (7)

  1. 有機半導体膜を基板に選択的に形成する方法において、
    溶媒に溶かされた有機半導体材料を基板にインクジェット法により塗布する工程と、
    前記溶媒を蒸発させて前記基板に前記有機半導体膜を形成する工程と、を具備することを特徴とする有機半導体膜の形成方法。
  2. 請求項1に記載の有機半導体膜の形成方法において、
    前記有機半導体材料が、ポリマー前駆体を含むことを特徴とする有機半導体膜の形成方法。
  3. 請求項1に記載の有機半導体膜の形成方法において、
    前記有機半導体材料が、光学材料であることを特徴とする有機半導体膜の形成方法。
  4. 請求項1に記載の有機半導体膜の形成方法において、
    前記有機半導体材料が、シアノポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアルキルフェニレン、2,3,6,7−テトラヒドロ−11−オキソ−1H,5H,11H(1)ベンゾピラノ[6,7,8−ij]−キノリジン−10ーカルボン酸、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、2−13’,4’−ジヒドロキシフェニル)−3,5,7−トリヒドロキシ−1−ベンゾピリリウムパークロレート、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム、2,3,6,7−テトラヒドロ−9−メチル−11−オキソ−1H,5H,11H(1)ベンゾピラノ[6,7,8−ij]−キノリジン、アロマティックジアミン誘導体(TDP)、オキシジアゾールダイマー(OXD)、オキシジアゾール誘導体(PBD)、ジスチルアリーレン誘導体(DSA)、キノリノール系金属錯体、ベリリウム−ベンゾキノリノール錯体(Bebq)、トリフェニルアミン誘導体(MTDATA)、ジスチリル誘導体、ピラゾリンダイマー、ルブレン、キナクリドン、トリアゾール誘導体、ポリフェニレン、ポリアルキルフルオレン、ポリアルキルチオフェン、アゾメチン亜鉛錯体、ポリフィリン亜鉛錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、及びフェナントロリンユウロピウム錯体等から選ばれることを特徴とする有機半導体膜の形成方法。
  5. 発光素子を製造する方法において、
    溶媒に溶かされた発光材料を基板にインクジェット法により塗布する工程と、
    前記溶媒を蒸発させて前記基板に前記有機半導体膜からなる発光素子を形成する工程と、を具備することを特徴とする発光素子の形成方法。
  6. 請求項5に記載の有機半導体膜の形成方法において、前記有機半導体材料が、シアノポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアルキルフェニレン、2,3,6,7−テトラヒドロ−11−オキソ−1H,5H,11H(1)ベンゾピラノ[6,7,8−ij]−キノリジン−10ーカルボン酸、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、2−13’,4’−ジヒドロキシフェニル)−3,5,7−トリヒドロキシ−1−ベンゾピリリウムパークロレート、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム、2,3,6,7−テトラヒドロ−9−メチル−11−オキソ−1H,5H,11H(1)ベンゾピラノ[6,7,8−ij]−キノリジン、アロマティックジアミン誘導体(TDP)、オキシジアゾールダイマー(OXD)、オキシジアゾール誘導体(PBD)、ジスチルアリーレン誘導体(DSA)、キノリノール系金属錯体、ベリリウム−ベンゾキノリノール錯体(Bebq)、トリフェニルアミン誘導体(MTDATA)、ジスチリル誘導体、ピラゾリンダイマー、ルブレン、キナクリドン、トリアゾール誘導体、ポリフェニレン、ポリアルキルフルオレン、ポリアルキルチオフェン、アゾメチン亜鉛錯体、ポリフィリン亜鉛錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、及びフェナントロリンユウロピウム錯体等から選ばれることを特徴とする発光素子の製造方法。
  7. 請求項6に記載の発光素子の製造方法において、前記有機半導体膜上に反射電極を形成することを特徴とする発光素子の製造方法。

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