JP2004252522A - 非接触データキャリア - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のゲートとタグを用いた盗難防止方法より良い盗難防止方法。
【解決手段】非接触データキャリアが無線電波の電力供給範囲から外れたことを検知したら内蔵電池142を使って通信を開始し盗難防止の警報などを発する。くわしくは、共振アンテナ回路部110が受信した無線電波信号を整流・平滑し、得られた直流電圧が所定値より低ければ、内蔵電池142により通信や発光・発声等を行う。すなわちデータキャリア動作をオンする。高ければオフする。
【選択図】 図1
【解決手段】非接触データキャリアが無線電波の電力供給範囲から外れたことを検知したら内蔵電池142を使って通信を開始し盗難防止の警報などを発する。くわしくは、共振アンテナ回路部110が受信した無線電波信号を整流・平滑し、得られた直流電圧が所定値より低ければ、内蔵電池142により通信や発光・発声等を行う。すなわちデータキャリア動作をオンする。高ければオフする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触データキャリアに関し、特に、通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、内蔵電池で通信動作、あるいは発光、発声等の動作を開始する電池内蔵動作回路を備えた、電池内蔵型の非接触データキャリアに関する。
【0002】
【従来の技術】
情報の機密性の面からICカードが次第に普及されつつ中、近年では、読み書き装置(リーダライタ)と接触せずに情報の授受を行う非接触型のICカードが提案されている。
中でも、外部の読み書き装置との信号交換を、あるいは信号交換と電力供給とを電磁波により行う方式のものが一般的である。
一方、データを搭載したICを、アンテナコイルと接続した、シート状ないし札状の非接触式のICタグが、近年、種々提案され、商品や包装箱等に付け、万引き防止、物流システム等に利用されるようになってきた。
【0003】
最近では、データキャリアであるICチップの端子面上にアンテナを設けた、即ちコイルオンチップ型の、半導体チップまたは半導体チップモジュールの試験品が提供され、それを使用した非接触式ICタグや非接触式ICカードが提案されている。
このような非接触ICカードや非接触式ICタグ等の非接触式データキャリア装置では、外部リーダライタと信号交換用のブースターアンテナコイルを設け、且つ、これを一次コイル(ブースターアンテナとも言う)として、これと電磁結合するための二次コイルを設けたコイルオンチップ型のデータキャリア用半導体チップあるいは他のデータキャリアモジュールとを備えて、非接触方式を実現する方法が、通常となつている。
【0004】
ところで、従来より、盗難や万引き防止用途を目的として、「共振式」のタグあるいはメモリを付加した非接触式ICタグ等など、非接触で検知する盗難防止用タグが実用化されている。
通常は、例えば、医薬化粧品や食料品等の商品のパッケージに貼付して不正に持ち出された場合は、所定のゲートのセンサーに感応して警告を発するようにされている。
そして、正規に購入された商品の場合は、所定のゲートのセンサーが感応しないようレジ近傍でタグを無効化する処理を行っている。
しかし、このような盗難防止方法、非接触式ICタグは、所定のゲートを通過しなければ、盗難防止用として役に立たず、
特に、高価な商品については、その盗難防止が重要で、良い盗難防止方法が求められていた。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−133543号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の、所定のゲートとタグを用いた盗難防止方法では十分ではなく、より良い盗難防止方法が求められていた。
本発明は、これに対応するもので、具体的には、通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、通信を開始し、これにより盗難防止することができる、非接触データキャリアを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の非接触データキャリアは、通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、内蔵電池で通信動作、あるいは発光、発声等の動作を開始する電池内蔵動作回路を備えた、電池内蔵型の非接触データキャリアであって、電池内蔵動作回路は、通信する無線電波の信号を受信するための共振アンテナ回路部と、共振アンテナ回路部により受信された受信信号を整流し、平滑化するための、整流平滑化回路部と、内蔵電池により、通信動作や、発光、発声等の動作を行うデータキャリア動作部と、整流平滑化回路部により、整流され、平滑化され得られた直流電圧を入力動作電圧とし、その出力にてデータキャリア動作部の動作をスイッチオン−スイッチオフ制御するスイッチング回路部とを備えたもので、前記スイッチング回路部は、入力動作電圧が所定の電圧以上である場合に、データキャリア動作部の動作をスイッチオフし、入力動作電圧が前記所定の電圧以上でない場合に、データキャリア動作部の動作をスイッチオンするものであることを特徴とするものである。
そして、上記において、共振アンテナ回路部はLC回路からなり、整流平滑化回路部はダイオードブリッジとCR回路を備えたものであることを特徴とするものである。
そしてまた、上記において、スイッチング回路部は、pMOSスイッチからなる負荷インバータに、該負荷インバータの出力を入力として、偶数個のCMOSインバータを直列接続させたもので、前記入力動作電圧を、pMOSスイッチのスイッチ動作電圧とし、且つ、pMOSスイッチのスイッチ動作電圧以外の電圧供給を、内蔵電池から行うものであることを特徴とするものである。
また、上記において、内蔵電池は、一次電池であることを特徴とするものである。
あるいはまた、上記において、内蔵電池は、通信する無線電波の電力供給範囲内である場合に、該無線電波を電圧供給源として充電される方式の二次電池であることを特徴とするものである。
また、上記において、非接触ICタグであることを特徴とするものである。
【0008】
【作用】
本発明の非接触データキャリアは、上記のような構成にすることによって、従来の、所定のゲートとタグを用いた盗難防止方法では十分ではなく、より良い盗難防止方法の提供を可能とするもので、詳しくは、通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、通信を開始し、これにより盗難防止することができる、非接触データキャリアの提供を可能とするものである。
具体的には、電池内蔵動作回路は、通信する無線電波の信号を受信するための共振アンテナ回路部と、共振アンテナ回路部により受信された受信信号を整流し、平滑化するための、整流平滑化回路部と、内蔵電池により、通信動作や、発光、発声等の動作を行うデータキャリア動作部と、整流平滑化回路部により、整流され、平滑化され得られた直流電圧を入力動作電圧とし、その出力にてデータキャリア動作部の動作をスイッチオン−スイッチオフ制御するスイッチング回路部とを備えたもので、前記スイッチング回路部は、入力動作電圧が所定の電圧以上である場合に、データキャリア動作部の動作をスイッチオフし、入力動作電圧が前記所定の電圧以上でない場合に、データキャリア動作部の動作をスイッチオンするものであることにより、これを達成している。
共振アンテナ回路部はLC回路からなり、整流平滑化回路部がダイオードブリッジとCR回路を備えたものが挙げられる。
スイッチング回路部としては、pMOSスイッチによる負荷インバータと、該インバータ出力を入力とする偶数個のCMOSインバータの直列接続からなるものが挙げられるが、この場合、整流平滑化回路部により、整流され、平滑化され得られた直流電圧をpMOSスイッチのスイッチ動作電圧とし、且つ、pMOSスイッチのスイッチ動作電圧以外の電圧供給を、内蔵電池から行うものであることにより、通信する無線電波の電力供給時には、回路上のすべての部分で内蔵電池の電力消費をなくすことを可能としている。
このため、製品やその包装体に配設ないし添付して盗難防止用に用いられる場合には、内蔵電池の不要の電力の消費をなくすことができるものとしており、内蔵電池として、扱いが簡単な一次電池を用いることを可能としている。
また、特に、内蔵電池として、通信する無線電波の電力供給範囲内である場合に、該無線電波を電圧供給源として充電される方式の二次電池を用いることにより、電池交換を全く不要とすることができる。
非接触データキャリアとしては、非接触ICタグが挙げられるが、これに限らない。
【0009】
また、本発明の非接触データキャリアは、通信する無線電波の電力供給範囲内においては、通信する無線電波から電力供給を受け無線通信を行う構成を、電池内蔵動作回路と併せて備えることにより、通信する無線電波の電力供給範囲内からずれた場合にも、内蔵電池を電源としてデータ転送を正常に終了できるものとすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態例を図に基づいて説明する。
図1は本発明の非接触データキャリアの実施の形態の1例の要部である電池内蔵動作回路の概略回路構成図である。
図1中、110は共振アンテナ回路部、111はコイル、112はコンデンサ、120は整流平滑化回路部、121はダイオード、122はコンデンサ、123は抵抗、130はスイッチング回路部、131はpMOSスイッチ(負荷インバータとも言う)、132は抵抗、133、134はインバータ、140はデータキャリア動作部、141は主電源スイッチ、142は内蔵電池である。
尚、図1中、A1、A2、A3、A4は、回路配線上の位置を示し、VDDはソース側の電位を示し、GNDはグランドを示す。
図1に示す本例の非接触データキャリアは、通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、一次電池からなる内蔵電池142で通信動作を開始する電池内蔵動作回路を備えた、電池内蔵型の非接触ICタグで、電池内蔵動作回路は、図1に示すように、通信する無線電波の信号を受信するための共振アンテナ回路部110と、共振アンテナ回路部により受信された受信信号を整流し、平滑化するための、整流平滑化回路部120と、内蔵電池により、非接触データキャリア側から、通信動作を行うデータキャリア動作部140と、整流平滑化回路部により、整流され、平滑化され得られた直流電圧を入力動作電圧とし、その出力にてデータキャリア動作部の動作をスイッチイングするスイッチング回路部130とを備えたものである。
そして、共振アンテナ回路部110はLC回路からなり、整流平滑化回路部120はダイオードブリッジとCR回路を備えたもので、スイッチング回路部130は、pMOSスイッチ(負荷インバータ)131と、該pMOSスイッチ131の出力を入力とする2個のCMOSインバータ133の直列接続からなり、スイッチング回路部130は、入力動作電圧Vg(A2の電位で、ゲート電圧とも言う)が所定の電圧Vth(pMOSスイッチ131のしきい値電圧に相当するもので、以下しきい値電圧と言う)以上である場合に、データキャリア動作部140の主電源スイッチ141をスイッチオフし、入力動作電圧Vgが所定のしきい値電圧Vth以上でない場合に、データキャリア動作部140の主電源スイッチ141をスイッチオンするものである。
また、主電源スイッチ141がスイッチオンすることにより、内蔵電池142を電源として、データ送信用の通信動作が行なわれるものである。
尚、A1はソース側に接続し、A2はゲート側に接続し、A4はドレイン側に接続している。
【0011】
図1には図示していないが、データキャリア動作部140には、無線通信動作を行うための回路が設けられている。
この無線通信動作を行うための回路は、通常、メモリ、制御部、送信回路、受信回路、送受信用のアンテナコイル等からなる。
通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、内蔵電池142を電源としてデータ送信用の通信動作が行なわれる。
保持されているメモリのデータは制御部を介して送信回路に送信データ信号として送られ、更に、アンテナコイルを経て外部へ送られる。
尚、無線通信用のリーダライタとの送受信により本例の非接触データキャリアのメモリへの書込みは行なわれる。
【0012】
一次電池からなる内蔵電池としては、pMOSスイッチ動作用の電圧を供給できるもので、できるだけ小型のものが好ましい。
小型電池としては、ボタン型電池(偏平型とも言う)として、アルカリ電池、酸化銀電池、リチウム電池、亜鉛電池等が挙げられ、また、超小型のものとしては、例えば、腕時計の電源等に用いられる銀電池が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0013】
本例の非接触データキャリアの電池内蔵動作回路の動作を、以下、簡単に説明する。
非接触データキャリアに通信する電波により十分な電力が供給されている状態のとき、即ち、共振アンテナ回路部110は、電波を受信し、電波は交流電圧から直流電圧に変換され、これから得られる直流電圧であるスイッチング回路部130への入力電圧Vg(A2の電位)が、pMOSスイッチ131のしきい値電圧Vth以上である場合には、pMOSスイッチ131は、入力電圧Vgの電圧レベルがしきい値電圧Vth未満でON状態となり、入力電圧Vgの電圧レベルがしきい電値圧Vth以上である時はOFF状態となっているため、その出力はLowの状態となり、インバータ134の出力もLow状態となる。
尚、A2−A3間の電位差が入力電圧Vgとなる。
そして、このとき、VDD/GND間に電流は流れず、電力は消費されない。
一方、非接触データキャリアに通信する電波により十分な電力が供給されていない状態のとき、即ち、非接触データキャリアが、盗難等により移動され、通信する無線電波の電力供給範囲からはずれ、共振アンテナ回路部110が電波を受信できなくなり、pMOSスイッチ131の入力電圧Vgが、そのしきい値電圧Vthのレベルを保てなくなり、0に近づく場合には、pMOSスイッチ131は、ON状態に遷移して、その出力はHighの状態となり、インバータ134の出力もHigh状態となる。
データキャリア動作部140は、このようなインバータ134の出力の状態変化を検知して、主電源スイッチ141がONのときに、内蔵電池142により無線通信を開始する。
ここでは、インバータ134の出力がHighのとき、主電源スイッチ141がONされ、内蔵電池142を電源として、通信動作を開始し、インバータ134の出力がLowのとき、主電源スイッチ141がOFFされ、無線通信動作を停止するとともに、回路上すべての部分での内蔵電池142の電力消費が停止する。
【0014】
本例では、単体の一次電池を内蔵電池142として使用したが、これを、通信する無線電波の電力供給範囲内である場合、該無線電波を電圧供給源として充電される方式の二次電池に代えた形態を採ることもできる。
即ち、図1における内蔵電池142として、二次電池を使用する場合で、例えば、図1においてA2−A3間の電圧、図示していないCR回路にかけて、その出力にて、二次電池を充電する形態を採ることもできる。
【0015】
また、本例では、データキャリアの動作をデータの無線通信動作としたが、光通信動作、発光、発声等の動作を行うように、データキャリア動作部を形成した形態のものを、変形例として挙げることができる。
例えば、音にデータ成分を乗せて行う場合、乗せるデータは自由に設定でき、一定信号でも構わない。
尚、光通信動作の場合、リーダには受光素子を用いる等、データキャリアの動作に対応したリーダが必要となる。
また、本例では、pMOSスイッチ131に接続するCMOSインバータを2個(インバータ133、134に相当)としたが、偶数個であれば良くこれに限定されない。
尚、CMOSインバータは、波形の整形のために配設している。
回路上のしきい電圧VsはA1点でMOSを多段接続する等で様々な方法で調節可能である。
また、本例では、ライタによるデータのメモリへの書込みを行うものであるが、接触式の書込みでも良い。
【0016】
本例の非接触データキャリアは、非接触ICタグであるが、データキャリアとしてはICタグに限定されない。
勿論、非接触ICカードに本例と同様の、電池内蔵動作回路を設けたものも、変形例として挙げられる。
また、非接触データキャリアとしては、ブースターアンテナ(一次コイル)を介して外部と通信するコイルオンチップ型でも、非コイルオンチップ型でも良い。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、上記のように、従来の、所定のゲートとタグを用いた盗難防止方法に比べ、より良い盗難防止方法の提供を可能とした。
具体的には、通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、通信を開始し、これにより盗難防止することができる、非接触データキャリアの提供を可能とした。
特に、通信する無線電波の電力供給時には、回路上のすべての部分で内蔵電池の電力消費をなくすことができる非接触データキャリアの提供を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非接触データキャリアの実施の形態の1例の要部である電池内蔵動作回路の概略回路構成図である。
【符号の説明】
110 共振アンテナ回路部
111 コイル
112 コンデンサ
120 整流平滑化回路部
121 ダイオード
122 コンデンサ
123 抵抗
130 スイッチング回路部
131 pMOSスイッチ(負荷インバータとも言う)
132 抵抗
133、134 インバータ
140 データキャリア動作部
141 主電源スイッチ
142 内蔵電池
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触データキャリアに関し、特に、通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、内蔵電池で通信動作、あるいは発光、発声等の動作を開始する電池内蔵動作回路を備えた、電池内蔵型の非接触データキャリアに関する。
【0002】
【従来の技術】
情報の機密性の面からICカードが次第に普及されつつ中、近年では、読み書き装置(リーダライタ)と接触せずに情報の授受を行う非接触型のICカードが提案されている。
中でも、外部の読み書き装置との信号交換を、あるいは信号交換と電力供給とを電磁波により行う方式のものが一般的である。
一方、データを搭載したICを、アンテナコイルと接続した、シート状ないし札状の非接触式のICタグが、近年、種々提案され、商品や包装箱等に付け、万引き防止、物流システム等に利用されるようになってきた。
【0003】
最近では、データキャリアであるICチップの端子面上にアンテナを設けた、即ちコイルオンチップ型の、半導体チップまたは半導体チップモジュールの試験品が提供され、それを使用した非接触式ICタグや非接触式ICカードが提案されている。
このような非接触ICカードや非接触式ICタグ等の非接触式データキャリア装置では、外部リーダライタと信号交換用のブースターアンテナコイルを設け、且つ、これを一次コイル(ブースターアンテナとも言う)として、これと電磁結合するための二次コイルを設けたコイルオンチップ型のデータキャリア用半導体チップあるいは他のデータキャリアモジュールとを備えて、非接触方式を実現する方法が、通常となつている。
【0004】
ところで、従来より、盗難や万引き防止用途を目的として、「共振式」のタグあるいはメモリを付加した非接触式ICタグ等など、非接触で検知する盗難防止用タグが実用化されている。
通常は、例えば、医薬化粧品や食料品等の商品のパッケージに貼付して不正に持ち出された場合は、所定のゲートのセンサーに感応して警告を発するようにされている。
そして、正規に購入された商品の場合は、所定のゲートのセンサーが感応しないようレジ近傍でタグを無効化する処理を行っている。
しかし、このような盗難防止方法、非接触式ICタグは、所定のゲートを通過しなければ、盗難防止用として役に立たず、
特に、高価な商品については、その盗難防止が重要で、良い盗難防止方法が求められていた。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−133543号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の、所定のゲートとタグを用いた盗難防止方法では十分ではなく、より良い盗難防止方法が求められていた。
本発明は、これに対応するもので、具体的には、通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、通信を開始し、これにより盗難防止することができる、非接触データキャリアを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の非接触データキャリアは、通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、内蔵電池で通信動作、あるいは発光、発声等の動作を開始する電池内蔵動作回路を備えた、電池内蔵型の非接触データキャリアであって、電池内蔵動作回路は、通信する無線電波の信号を受信するための共振アンテナ回路部と、共振アンテナ回路部により受信された受信信号を整流し、平滑化するための、整流平滑化回路部と、内蔵電池により、通信動作や、発光、発声等の動作を行うデータキャリア動作部と、整流平滑化回路部により、整流され、平滑化され得られた直流電圧を入力動作電圧とし、その出力にてデータキャリア動作部の動作をスイッチオン−スイッチオフ制御するスイッチング回路部とを備えたもので、前記スイッチング回路部は、入力動作電圧が所定の電圧以上である場合に、データキャリア動作部の動作をスイッチオフし、入力動作電圧が前記所定の電圧以上でない場合に、データキャリア動作部の動作をスイッチオンするものであることを特徴とするものである。
そして、上記において、共振アンテナ回路部はLC回路からなり、整流平滑化回路部はダイオードブリッジとCR回路を備えたものであることを特徴とするものである。
そしてまた、上記において、スイッチング回路部は、pMOSスイッチからなる負荷インバータに、該負荷インバータの出力を入力として、偶数個のCMOSインバータを直列接続させたもので、前記入力動作電圧を、pMOSスイッチのスイッチ動作電圧とし、且つ、pMOSスイッチのスイッチ動作電圧以外の電圧供給を、内蔵電池から行うものであることを特徴とするものである。
また、上記において、内蔵電池は、一次電池であることを特徴とするものである。
あるいはまた、上記において、内蔵電池は、通信する無線電波の電力供給範囲内である場合に、該無線電波を電圧供給源として充電される方式の二次電池であることを特徴とするものである。
また、上記において、非接触ICタグであることを特徴とするものである。
【0008】
【作用】
本発明の非接触データキャリアは、上記のような構成にすることによって、従来の、所定のゲートとタグを用いた盗難防止方法では十分ではなく、より良い盗難防止方法の提供を可能とするもので、詳しくは、通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、通信を開始し、これにより盗難防止することができる、非接触データキャリアの提供を可能とするものである。
具体的には、電池内蔵動作回路は、通信する無線電波の信号を受信するための共振アンテナ回路部と、共振アンテナ回路部により受信された受信信号を整流し、平滑化するための、整流平滑化回路部と、内蔵電池により、通信動作や、発光、発声等の動作を行うデータキャリア動作部と、整流平滑化回路部により、整流され、平滑化され得られた直流電圧を入力動作電圧とし、その出力にてデータキャリア動作部の動作をスイッチオン−スイッチオフ制御するスイッチング回路部とを備えたもので、前記スイッチング回路部は、入力動作電圧が所定の電圧以上である場合に、データキャリア動作部の動作をスイッチオフし、入力動作電圧が前記所定の電圧以上でない場合に、データキャリア動作部の動作をスイッチオンするものであることにより、これを達成している。
共振アンテナ回路部はLC回路からなり、整流平滑化回路部がダイオードブリッジとCR回路を備えたものが挙げられる。
スイッチング回路部としては、pMOSスイッチによる負荷インバータと、該インバータ出力を入力とする偶数個のCMOSインバータの直列接続からなるものが挙げられるが、この場合、整流平滑化回路部により、整流され、平滑化され得られた直流電圧をpMOSスイッチのスイッチ動作電圧とし、且つ、pMOSスイッチのスイッチ動作電圧以外の電圧供給を、内蔵電池から行うものであることにより、通信する無線電波の電力供給時には、回路上のすべての部分で内蔵電池の電力消費をなくすことを可能としている。
このため、製品やその包装体に配設ないし添付して盗難防止用に用いられる場合には、内蔵電池の不要の電力の消費をなくすことができるものとしており、内蔵電池として、扱いが簡単な一次電池を用いることを可能としている。
また、特に、内蔵電池として、通信する無線電波の電力供給範囲内である場合に、該無線電波を電圧供給源として充電される方式の二次電池を用いることにより、電池交換を全く不要とすることができる。
非接触データキャリアとしては、非接触ICタグが挙げられるが、これに限らない。
【0009】
また、本発明の非接触データキャリアは、通信する無線電波の電力供給範囲内においては、通信する無線電波から電力供給を受け無線通信を行う構成を、電池内蔵動作回路と併せて備えることにより、通信する無線電波の電力供給範囲内からずれた場合にも、内蔵電池を電源としてデータ転送を正常に終了できるものとすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態例を図に基づいて説明する。
図1は本発明の非接触データキャリアの実施の形態の1例の要部である電池内蔵動作回路の概略回路構成図である。
図1中、110は共振アンテナ回路部、111はコイル、112はコンデンサ、120は整流平滑化回路部、121はダイオード、122はコンデンサ、123は抵抗、130はスイッチング回路部、131はpMOSスイッチ(負荷インバータとも言う)、132は抵抗、133、134はインバータ、140はデータキャリア動作部、141は主電源スイッチ、142は内蔵電池である。
尚、図1中、A1、A2、A3、A4は、回路配線上の位置を示し、VDDはソース側の電位を示し、GNDはグランドを示す。
図1に示す本例の非接触データキャリアは、通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、一次電池からなる内蔵電池142で通信動作を開始する電池内蔵動作回路を備えた、電池内蔵型の非接触ICタグで、電池内蔵動作回路は、図1に示すように、通信する無線電波の信号を受信するための共振アンテナ回路部110と、共振アンテナ回路部により受信された受信信号を整流し、平滑化するための、整流平滑化回路部120と、内蔵電池により、非接触データキャリア側から、通信動作を行うデータキャリア動作部140と、整流平滑化回路部により、整流され、平滑化され得られた直流電圧を入力動作電圧とし、その出力にてデータキャリア動作部の動作をスイッチイングするスイッチング回路部130とを備えたものである。
そして、共振アンテナ回路部110はLC回路からなり、整流平滑化回路部120はダイオードブリッジとCR回路を備えたもので、スイッチング回路部130は、pMOSスイッチ(負荷インバータ)131と、該pMOSスイッチ131の出力を入力とする2個のCMOSインバータ133の直列接続からなり、スイッチング回路部130は、入力動作電圧Vg(A2の電位で、ゲート電圧とも言う)が所定の電圧Vth(pMOSスイッチ131のしきい値電圧に相当するもので、以下しきい値電圧と言う)以上である場合に、データキャリア動作部140の主電源スイッチ141をスイッチオフし、入力動作電圧Vgが所定のしきい値電圧Vth以上でない場合に、データキャリア動作部140の主電源スイッチ141をスイッチオンするものである。
また、主電源スイッチ141がスイッチオンすることにより、内蔵電池142を電源として、データ送信用の通信動作が行なわれるものである。
尚、A1はソース側に接続し、A2はゲート側に接続し、A4はドレイン側に接続している。
【0011】
図1には図示していないが、データキャリア動作部140には、無線通信動作を行うための回路が設けられている。
この無線通信動作を行うための回路は、通常、メモリ、制御部、送信回路、受信回路、送受信用のアンテナコイル等からなる。
通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、内蔵電池142を電源としてデータ送信用の通信動作が行なわれる。
保持されているメモリのデータは制御部を介して送信回路に送信データ信号として送られ、更に、アンテナコイルを経て外部へ送られる。
尚、無線通信用のリーダライタとの送受信により本例の非接触データキャリアのメモリへの書込みは行なわれる。
【0012】
一次電池からなる内蔵電池としては、pMOSスイッチ動作用の電圧を供給できるもので、できるだけ小型のものが好ましい。
小型電池としては、ボタン型電池(偏平型とも言う)として、アルカリ電池、酸化銀電池、リチウム電池、亜鉛電池等が挙げられ、また、超小型のものとしては、例えば、腕時計の電源等に用いられる銀電池が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0013】
本例の非接触データキャリアの電池内蔵動作回路の動作を、以下、簡単に説明する。
非接触データキャリアに通信する電波により十分な電力が供給されている状態のとき、即ち、共振アンテナ回路部110は、電波を受信し、電波は交流電圧から直流電圧に変換され、これから得られる直流電圧であるスイッチング回路部130への入力電圧Vg(A2の電位)が、pMOSスイッチ131のしきい値電圧Vth以上である場合には、pMOSスイッチ131は、入力電圧Vgの電圧レベルがしきい値電圧Vth未満でON状態となり、入力電圧Vgの電圧レベルがしきい電値圧Vth以上である時はOFF状態となっているため、その出力はLowの状態となり、インバータ134の出力もLow状態となる。
尚、A2−A3間の電位差が入力電圧Vgとなる。
そして、このとき、VDD/GND間に電流は流れず、電力は消費されない。
一方、非接触データキャリアに通信する電波により十分な電力が供給されていない状態のとき、即ち、非接触データキャリアが、盗難等により移動され、通信する無線電波の電力供給範囲からはずれ、共振アンテナ回路部110が電波を受信できなくなり、pMOSスイッチ131の入力電圧Vgが、そのしきい値電圧Vthのレベルを保てなくなり、0に近づく場合には、pMOSスイッチ131は、ON状態に遷移して、その出力はHighの状態となり、インバータ134の出力もHigh状態となる。
データキャリア動作部140は、このようなインバータ134の出力の状態変化を検知して、主電源スイッチ141がONのときに、内蔵電池142により無線通信を開始する。
ここでは、インバータ134の出力がHighのとき、主電源スイッチ141がONされ、内蔵電池142を電源として、通信動作を開始し、インバータ134の出力がLowのとき、主電源スイッチ141がOFFされ、無線通信動作を停止するとともに、回路上すべての部分での内蔵電池142の電力消費が停止する。
【0014】
本例では、単体の一次電池を内蔵電池142として使用したが、これを、通信する無線電波の電力供給範囲内である場合、該無線電波を電圧供給源として充電される方式の二次電池に代えた形態を採ることもできる。
即ち、図1における内蔵電池142として、二次電池を使用する場合で、例えば、図1においてA2−A3間の電圧、図示していないCR回路にかけて、その出力にて、二次電池を充電する形態を採ることもできる。
【0015】
また、本例では、データキャリアの動作をデータの無線通信動作としたが、光通信動作、発光、発声等の動作を行うように、データキャリア動作部を形成した形態のものを、変形例として挙げることができる。
例えば、音にデータ成分を乗せて行う場合、乗せるデータは自由に設定でき、一定信号でも構わない。
尚、光通信動作の場合、リーダには受光素子を用いる等、データキャリアの動作に対応したリーダが必要となる。
また、本例では、pMOSスイッチ131に接続するCMOSインバータを2個(インバータ133、134に相当)としたが、偶数個であれば良くこれに限定されない。
尚、CMOSインバータは、波形の整形のために配設している。
回路上のしきい電圧VsはA1点でMOSを多段接続する等で様々な方法で調節可能である。
また、本例では、ライタによるデータのメモリへの書込みを行うものであるが、接触式の書込みでも良い。
【0016】
本例の非接触データキャリアは、非接触ICタグであるが、データキャリアとしてはICタグに限定されない。
勿論、非接触ICカードに本例と同様の、電池内蔵動作回路を設けたものも、変形例として挙げられる。
また、非接触データキャリアとしては、ブースターアンテナ(一次コイル)を介して外部と通信するコイルオンチップ型でも、非コイルオンチップ型でも良い。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、上記のように、従来の、所定のゲートとタグを用いた盗難防止方法に比べ、より良い盗難防止方法の提供を可能とした。
具体的には、通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、通信を開始し、これにより盗難防止することができる、非接触データキャリアの提供を可能とした。
特に、通信する無線電波の電力供給時には、回路上のすべての部分で内蔵電池の電力消費をなくすことができる非接触データキャリアの提供を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非接触データキャリアの実施の形態の1例の要部である電池内蔵動作回路の概略回路構成図である。
【符号の説明】
110 共振アンテナ回路部
111 コイル
112 コンデンサ
120 整流平滑化回路部
121 ダイオード
122 コンデンサ
123 抵抗
130 スイッチング回路部
131 pMOSスイッチ(負荷インバータとも言う)
132 抵抗
133、134 インバータ
140 データキャリア動作部
141 主電源スイッチ
142 内蔵電池
Claims (6)
- 通信する無線電波の電力供給範囲からはずれたときに、内蔵電池で通信動作、あるいは発光、発声等の動作を開始する電池内蔵動作回路を備えた、電池内蔵型の非接触データキャリアであって、電池内蔵動作回路は、通信する無線電波の信号を受信するための共振アンテナ回路部と、共振アンテナ回路部により受信された受信信号を整流し、平滑化するための、整流平滑化回路部と、内蔵電池により、通信動作や、発光、発声等の動作を行うデータキャリア動作部と、整流平滑化回路部により、整流され、平滑化され得られた直流電圧を入力動作電圧とし、その出力にてデータキャリア動作部の動作をスイッチオン−スイッチオフ制御するスイッチング回路部とを備えたもので、前記スイッチング回路部は、入力動作電圧が所定の電圧以上である場合に、データキャリア動作部の動作をスイッチオフし、入力動作電圧が前記所定の電圧以上でない場合に、データキャリア動作部の動作をスイッチオンするものであることを特徴とする非接触データキャリア。
- 請求項1において、共振アンテナ回路部はLC回路からなり、整流平滑化回路部はダイオードブリッジとCR回路を備えたものであることを特徴とする非接触データキャリア。
- 請求項1ないし2において、スイッチング回路部は、pMOSスイッチからなる負荷インバータに、該負荷インバータの出力を入力として、偶数個のCMOSインバータを直列接続させたもので、前記入力動作電圧を、pMOSスイッチのスイッチ動作電圧とし、且つ、pMOSスイッチのスイッチ動作電圧以外の電圧供給を、内蔵電池から行うものであることを特徴とする非接触データキャリア。
- 請求項1ないし3において、内蔵電池は、一次電池であることを特徴とする非接触データキャリア。
- 請求項1ないし3において、内蔵電池は、通信する無線電波の電力供給範囲内である場合に、該無線電波を電圧供給源として充電される方式の二次電池であることを特徴とする非接触データキャリア。
- 請求項1ないし5において、非接触ICタグであることを特徴とする非接触データキャリア。
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