JP2004252040A - フォトニッククリスタルファイバの接続構造およびそれに用いる接続用光ファイバ端材 - Google Patents
フォトニッククリスタルファイバの接続構造およびそれに用いる接続用光ファイバ端材 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】接続損失を十分に小さくする。
【解決手段】フォトニッククリスタルファイバ1と他の光ファイバ10との間に両ファイバを接続する接続用光ファイバ端材20を設ける。接続用光ファイバ端材20は、フォトニッククリスタルファイバ1のコア2や他の光ファイバ10のコア11に接続されるコア端材21と、コア端材21の周囲に設けられてフォトニッククリスタルファイバ1のクラッド3や他の光ファイバ10のクラッド12に接続されるクラッド端材22とを有する。コア端材21とクラッド端材22とのうちの少なくとも一つには、フォトニッククリスタルファイバ1との溶融接続時にフォトニッククリスタルファイバ1に拡散することでコア2とクラッド3の間に屈折率差Δを発現させる屈折率調整用不純物24(24’)を添加する。
【選択図】 図4
【解決手段】フォトニッククリスタルファイバ1と他の光ファイバ10との間に両ファイバを接続する接続用光ファイバ端材20を設ける。接続用光ファイバ端材20は、フォトニッククリスタルファイバ1のコア2や他の光ファイバ10のコア11に接続されるコア端材21と、コア端材21の周囲に設けられてフォトニッククリスタルファイバ1のクラッド3や他の光ファイバ10のクラッド12に接続されるクラッド端材22とを有する。コア端材21とクラッド端材22とのうちの少なくとも一つには、フォトニッククリスタルファイバ1との溶融接続時にフォトニッククリスタルファイバ1に拡散することでコア2とクラッド3の間に屈折率差Δを発現させる屈折率調整用不純物24(24’)を添加する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コアとクラッドとが同等の屈折率を有するフォトニッククリスタルファイバの接続構造およびそれに用いる接続用光ファイバ端材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大きな波長分散を発現する光ファイバとして、フォトニッククリスタルファイバが注目されている。フォトニッククリスタルファイバは、クラッドに細空洞群が設けられ、さらにクラッドは二次元的に屈折率が周期的に変動するフォトニッククリスタル構造を有している。フォトニッククリスタルファイバはこのような構成を備えることによって上記特性を発現させている(特許文献1参照。
【0003】
フォトニッククリスタルファイバにおける信号光の閉じ込めはフォトニッククリスタル構造や細空洞群により図ることができる。そのため、フォトニッククリスタルファイバでは、必ずしも他の光ファイバのようにコア材料とクラッド材料との間に屈折率差Δを設けて信号光を閉じ込める必要がない。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−277649
このような特徴を有するフォトニッククリスタルファイバにおいては、従来から、コアの屈折率とクラッドの屈折率とを同等にすることで、偏波モード分散および非線形効果の低減を図ったものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにして偏波モード分散および非線形効果の低減を図ったフォトニッククリスタルファイバを他の光ファイバに融着接続する場合、接続箇所における信号光の閉じ込めが不十分となる結果、接続損失が過大になるという課題があった。これは、融着接続時に加えられる熱によって接続部のクラッドが溶融すると、フォトニッククリスタルファイバの接続端およびその近傍に位置する細空洞群が消滅することに起因している。すなわち、コアとクラッドとの間に屈折率差Δが存在しないフォトニッククリスタルファイバでは、溶融接続部位において細空洞群が消滅すると、この部位において信号光をコア付近に閉じ込めることが不可能となり、接続損失が増大する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するためには、本発明は、コアとクラッドとが同等の屈折率を有するとともに前記クラッドにファイバ軸方向に沿った細空洞群が設けられたフォトニッククリスタルファイバを他の光ファイバに融着接続するフォトニッククリスタルファイバの接続構造において次のように構成する。
【0007】
すなわち、本発明は、前記フォトニッククリスタルファイバと前記他の光ファイバとの間に挿入配置されて両ファイバを接続する接続用光ファイバ端材を有している。前記接続用光ファイバ端材は、前記フォトニッククリスタルファイバのコアや前記他の光ファイバのコアに接続されるコア端材と、前記コア端材の周囲に設けられて前記フォトニッククリスタルファイバのクラッドや前記他の光ファイバのクラッドに接続されるクラッド端材とを有している。前記コア端材と前記クラッド端材とのうちの少なくとも一つには、前記フォトニッククリスタルファイバとの融着接続時にフォトニッククリスタルファイバに拡散することでフォトニッククリスタルファイバ接続端の前記コアと前記クラッドの間に光の閉じ込めに必要な屈折率差Δを発現させる屈折率調整用不純物が添加されている。
【0008】
このような接続構造においても、融着接続時に加えられる熱によって接続端におけるフォトニッククリスタルファイバのクラッドが溶融して、接続端およびその近傍に位置する細空洞群が消滅する。しかしながら、接続用光ファイバ端材が有するコア端材やクラッド端材のうちの少なくとも一つには、前記フォトニッククリスタルファイバとの溶融接続時にフォトニッククリスタルファイバに拡散することでフォトニッククリスタルファイバの前記コアと前記クラッドとの間に光の閉じ込めに必要な屈折率差Δを発現させる屈折率調整用不純物が添加されている。そのため、フォトニッククリスタルファイバの接続端において屈折率差Δが生じて光の閉じ込め作用が発生する。これにより、フォトニッククリスタルファイバの接続端においては、クラッドの溶融により細空洞群が消滅するにもかかわらず、光は発現された屈折率差Δによって確実にコア近傍に閉じ込められることになる。
【0009】
また、コアとクラッドとが同等の屈折率を有するフォトニッククリスタルファイバは、開口率NAが大きいために、他の光ファイバと接続する際の接続損失が大きくなるという特徴がある。これに対して、本発明の構成では、上述したように、フォトニッククリスタルファイバの接続端に接続用光ファイバ端材から屈折率調整用不純物が拡散して屈折率差Δが発現する。そのため、発現した屈折率差Δによってフォトニッククリスタルファイバの接続端での開口率NAが小さくなる結果、フォトニッククリスタルファイバと接続用光ファイバ端材との間の接続損失は小さくなる。
【0010】
例えば、ゲルマニウム(Ge)等は、添加対象物質の屈折率を高める作用する。そのため、屈折率調整用不純物としてゲルマニウム(Ge)等をコア端材に添加すれば、溶融接続時にゲルマニウム(Ge)等がフォトニッククリスタルファイバのコアに拡散することで、接続端でのコアの屈折率が高まり、その結果、上記屈折率差Δが発現する。
【0011】
また、ふっ素(F)等は、添加対象物質の屈折率を低める作用する。そのため、屈折率調整用不純物としてふっ素(F)等をクラッド端材に添加すれば、溶融接続時にふっ素(F)等がフォトニッククリスタルファイバのクラッドに拡散することで、接続端でのクラッドの屈折率が低まり、その結果、上記屈折率差Δが発現する。
【0012】
なお、接続損失を低減させるためには、接続用光ファイバ端材においても光を閉じ込めることが必要となる。そのため、屈折率差Δを生じさせる上述した屈折率調整用不純物は、接続用ファイバ端材においても必要となる。そのため、前記屈折率調整用不純物は、光の閉じ込めに必要な屈折率差Δを接続用光ファイバ端材において前記コア端材と前記クラッド端材との間に生じさせるのに必要な添加量と、光の閉じ込めに必要な屈折率差Δを前記フォトニッククリスタルファイバ接続端において前記コアと前記クラッドとの間に生じさせるのに必要な添加量とを加算した添加量でもって前記コア端材と前記クラッド端材とのうちの少なくとも一つに添加されているのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係るフォトニッククリスタルファイバの接続構造を図面に参照して説明する。
【0014】
図1は、フォトニッククリスタルファイバ1を示す。フォトニッククリスタルファイバ1は、ともに石英(SiO2)からなるコア2およびクラッド3と、被覆4とを備えている。コア2は、ファイバ中心を長手方向に延びる中実構造を有している。クラッド3は、コア2を覆うように設けられている。クラッド3は、ファイバ長手方向に沿って延びる多数の細空洞群5を有している。被覆4は、クラッド3を覆って設けられている。クラッド3は、二次元的に屈折率が周期的に変動するフォトニッククリスタル構造を有している。コア2とクラッド3とは、同一のガラス材(石英)から構成されており、同等の屈折率を有している。したがって、コア2とクラッド3との間には屈折率差Δは存在しない。一般に光ファイバにおいては、コアにゲルマニウム(Ge)を添加することで比屈折率Δを形成する。しかしながら、ゲルマニウム(Ge)は添加されることで光ファイバの偏波モード分散を大きくするという特性がある。そのため、コア2にゲルマニウム(Ge)を添加しないフォトニッククリスタルファイバ1は、偏波モード分散や非線形効果が低減されている。
【0015】
フォトニッククリスタルファイバ1において信号光は、コア2付近に閉じこめられて伝搬される。フォトニッククリスタルファイバ1のファイバ径は125μmで、MFD(d1)は約3μmである。
【0016】
図2は、フォトニッククリスタルファイバ1が接続される他の光ファイバ10を示す。他の光ファイバ10は、ファイバ中心を長手方向に延びる石英(SiO2)製のコア11と、コア11を覆うように設けられた石英(SiO2)製のクラッド12と被覆13とを備えている。他の光ファイバ10では、コア11付近に信号光を閉じ込めるためにコア11とクラッド12との間に屈折率差Δが形成されている。他の光ファイバ10では、屈折率差Δを形成するために、コア11やクラッド12に不純物が添加されている。例えば、他の光ファイバ10では、コア11にゲルマニウム(Ge)がドープされている。他の光ファイバ10のファイバ径は125μmで、MFD(d2)は約10μmである。
【0017】
図3は、本発明の特徴構成である接続用光ファイバ端材20を示す。接続用光ファイバ端材20は、ファイバ中心を長手方向に延びる石英(SiO2)製のコア端材21と、コア端材21を覆うように設けられた石英(SiO2)製のクラッド端材22と、被覆23とを備えている。接続用光ファイバ端材20では、コア端材21付近に信号光を閉じ込めるためにコア端材21とクラッド端材22との間に屈折率差Δが形成されている。接続用光ファイバ端材20では、屈折率差Δを形成するために、コア端材21やクラッド端材22に不純物が添加されている。具体的には、接続用光ファイバ端材20では、コア端材21に、その屈折率を上昇させる作用を有する屈折率調整用不純物24(例えば、ゲルマニウム(Ge))がドープされている。
【0018】
ただし、接続用光ファイバ端材20では、屈折率調整用不純物24の添加量が他の光ファイバ10における不純物の添加量と異なっている。以下、説明する。
【0019】
接続用光ファイバ端材20はフォトニッククリスタルファイバ1に対する融着接続により接続されることを前提に構成されている。さらに、接続用光ファイバ端材20における屈折率調整用不純物24は、融着接続時にフォトニッククリスタルファイバ1(具体的にはコア2)に拡散することで、接続端近傍においてコア2とクラッド3との間に屈折率差Δを発現させて信号光を閉じ込めることを目的としてコア端材21に添加されている。
【0020】
そのため、屈折率調整用不純物24は、次の条件を満たす程度の量がコア端材21に添加されている。
【0021】
すなわち、溶融接続後(コア2に拡散した後)において、
・拡散した屈折率調整用不純物24によってフォトニッククリスタルファイバ接続端のコア2とクラッド3との間に、十分なる信号光の閉じ込めが可能な程度の屈折率差Δを生じさせることが可能である、
・拡散後に残存する屈折率調整用不純物24によってコア端材21とクラッド端材22との間に十分なる信号光の閉じ込めが可能な程度の屈折率差Δを生じさせることが可能である、
という条件を満たす程度の添加量でもって、屈折率調整用不純物24はコア端材21に添加されている。
【0022】
接続用光ファイバ端材20のファイバ径は125μmである。この値は他の光ファイバ10と同等である。
【0023】
次に、接続用光ファイバ端材20を用いたフォトニッククリスタルファイバ1と他の光ファイバ10との接続過程を図4を参照して説明する。まず、フォトニッククリスタルファイバ1の接続端1aに接続用光ファイバ端材20の一端20aが接続される。この接続は融着接続により実施される。このとき、両ファイバ1,20はコア2とコア端材21とが一致して重なるように配置される。
【0024】
接続時、融着熱により、接続端1aの細空洞群5が消滅する。しかしながら、溶融時には、コア端材21に添加された屈折率調整用不純物24が、コア2に拡散する。屈折率調整用不純物24は前述した添加量でもってコア端材21に添加されている。そのため、接続端1aにおけるコア2とクラッド3との間には、コア端材21から拡散した屈折率調整用不純物24により、信号光の閉じ込めが十分に可能な程度の屈折率差Δが生じる。
【0025】
一方、コア端材21では、拡散により屈折率調整用不純物24の添加量が減少する。しかしながら、予め、コア端材21には、融着接続後(拡散後)であってもコア端材21とクラッド端材22との間に十分なる信号光の閉じ込めができる(屈折率差Δを生じさることができる)程度の添加量でもって屈折率調整用不純物24が添加されている。
【0026】
そのため、接続用光ファイバ端材20の一端20aにおいては、コア端材21からコア2に屈折率調整用不純物24が拡散したにもかかわらず、コア端材21とクラッド端材22との間には信号光の閉じ込めが十分に可能な程度の屈折率差Δが残存する。
【0027】
次に、接続用光ファイバ端材20の他端20bに他の光ファイバ10の接続端10aが融着接続される。このとき、両ファイバ10,20は、コア11とコア端材21とが一致して重なるように配置される。このとき、コア端材21からコア11に屈折率調整用不純物24が拡散しようとする。しかしながら、コア11には、既に屈折率調整用不純物24(Ge)と同等の添加量でもって不純物(Ge)が添加されているために、屈折率調整用不純物24は積極的にコア11には拡散しない。そのため、接続端10aにおいて他の光ファイバ10のコア11とクラッド12との間の屈折率差Δの変動は小さく、したがって、接続端10aにおいて信号光は確実にコア11付近に閉じ込められる。
【0028】
なお、上述した説明では、フォトニッククリスタルファイバ1に接続用光ファイバ端材20を接続してから、接続用光ファイバ端材20に他の光ファイバ10を接続した。しかしながら、他の光ファイバ10に接続用光ファイバ端材20を接続してから、接続用光ファイバ端材20にフォトニッククリスタルファイバ1を接続してもよいのはいうまでもない。
【0029】
本実施形態では、接続用光ファイバ端材20を介して、フォトニッククリスタルファイバ1を他の光ファイバ10に接続するために、その接続部位において確実に信号光の閉じ込めが可能となる。したがって、接続損失は十分に抑制されることになる。
【0030】
また、発現した屈折率差Δによってフォトニッククリスタルファイバ1の接続端1aでの開口率NAが小さくなる結果、フォトニッククリスタルファイバ1と接続用光ファイバ端材20との間の接続損失は小さくなる。
【0031】
なお、本実施形態では、接続用光ファイバ端材20を設けることで伝送損失が生じることになる。そのため、接続用光ファイバ端材20の長さを制限することが必要となる。すなわち、接続用光ファイバ端材20を用いずにフォトニッククリスタルファイバ1と他の光ファイバ10とを直接接続した場合の接続損失をA(dB)、接続用光ファイバ端材20を用いた場合の接続損失をB(dB)とする。そうすると、(A−B)(dB)が接続用光ファイバ端材20を用いることにより低減できた接続損失となる。ここで、接続用光ファイバ端材20の伝送損失をC(dB/km)としたとき、接続用光ファイバ端材20の長さが(A−B)/C(km)よりも長くなると、低減した接続損失が接続用光ファイバ端材20の伝送損失によって相殺されてしまうこととなる。しかしながら、実際には、フォトニッククリスタルファイバ1及び他の光ファイバ10のそれぞれとの接続の作業性等を考慮しても接続用光ファイバ端材20の長さは1m以下で十分である。また、接続用光ファイバ端材20の伝送損失は概ね0.001dB以下であると考えることができる。そのため、接続用光ファイバ端材20の伝送損失は事実上無視できる。
【0032】
上述した実施の形態においては、接続用光ファイバ端材20のコア端材21全体に屈折率調整用不純物24が添加されていたが、屈折率調整用不純物24は、少なくとも、フォトニッククリスタルファイバ1との接続端におけるコア端材21にその必要量が添加されておればよい。ただし、それ以外のコア端材21部位においても、光の閉じ込めが可能な程度の添加量でもって屈折率調整用不純物24が添加されている。
【0033】
また、上述した実施の形態においては、屈折率を上昇させる作用を発揮する不純物(ゲルマニウム等)が屈折率調整用不純物24としてコア端材21に添加されていた。しかしながら、この他、屈折率を低下させる作用を発揮する不純物(ふっ素等)が屈折率調整用不純物24’としてクラッド端材22に添加されてもよい。また、コア端材21とクラッド端材22とにそれぞれ屈折率調整用不純物24,24’を添加してもよい。これらの場合であっても、その添加量は次のように設定される。すなわち、溶融接続後(コア2に拡散した後)において、
・拡散した屈折率調整用不純物24(24’)によってフォトニッククリスタルファイバ接続端のコア2とクラッド3との間に、十分なる信号光の閉じ込めが可能な程度の屈折率差Δを生じさせることが可能である、
・拡散後に残存する屈折率調整用不純物24(24’)によってコア端材21とクラッド端材22との間に十分なる信号光の閉じ込めが可能な程度の屈折率差Δを生じさせることが可能である、
という条件を満たす程度の添加量でもって、屈折率調整用不純物24(24’)をコア端材21やクラッド端材22に添加する必要がある。
【0034】
例えば、屈折率調整用不純物24’がクラッド端材22に添加された接続用光ファイバ端材20’を用いたフォトニッククリスタルファイバ1と接続用光ファイバ端材20’との接続過程は次のようになる。すなわち、フォトニッククリスタルファイバ1の接続端1aに接続用光ファイバ端材20’の一端20aが接続される。接続時、融着熱により、接続端1aの細空洞群5が消滅する。しかしながら、溶融時には、クラッド端材22に添加された屈折率調整用不純物24’が、クラッド3に拡散する。屈折率調整用不純物24’は上述した添加量でもってクラッド端材22に添加されている。そのため、接続端1aにおけるコア2とクラッド3との間には、クラッド端材22から拡散した屈折率調整用不純物24’により、信号光の閉じ込めが十分に可能な程度の屈折率差Δが生じる。
【0035】
一方、クラッド端材22では、拡散により屈折率調整用不純物24’の添加量が減少する。しかしながら、予め、クラッド端材22には、融着接続後(拡散後)であってもコア端材21とクラッド端材22との間に十分なる信号光の閉じ込めができる(屈折率差Δを生じさることができる)程度の添加量でもって屈折率調整用不純物24’が添加されている。
【0036】
そのため、接続用光ファイバ端材20の一端20aにおいては、クラッド端材22からクラッド3に屈折率調整用不純物24’が拡散したにもかかわらず、コア端材21とクラッド端材22との間には信号光の閉じ込めが十分に可能な程度の屈折率差Δが残存する。
【0037】
接続用光ファイバ端材20’の他端20bと他の光ファイバ10の接続端10aとの融着接続は、上述した実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0038】
このように、本発明の変形例においても、接続用光ファイバ端材20’を介して、フォトニッククリスタルファイバ1を他の光ファイバ10に接続している。そのため、その接続部位において確実に信号光の閉じ込めが可能となる。したがって、接続損失は十分に抑制されることになる。
【0039】
なお、上述した実施の形態およびその変形例では、フォトニッククリスタルファイバ1のコア2は中実コアとしたが、特にこれに限定されるものではなく、中空コアのものであってもよい。
【0040】
また、接続用光ファイバ端材20を介してフォトニッククリスタルファイバ1に接続する他の光ファイバ10は、フォトニッククリスタルファイバでもよい。
【0041】
また、接続用光ファイバ端材20をフォトニッククリスタルファイバから構成してもよい。
【0042】
また、接続用光ファイバ端材20と他の光ファイバ10とは、コネクタを用いた突き合わせにより接続してもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、偏波モード分散および非線形効果の低減を図るために、コアとクラッドとを同様の屈折率を有する材料から構成したフォトニッククリスタルファイバであっても、接続損失を十分に小さくした状態で他の光ファイバに融着接続することが可能となる。
【0044】
さらには、フォトニッククリスタルファイバの接続端に発現させた屈折率差Δによってフォトニッククリスタルファイバ接続端での開口率NAを小さくできる結果、フォトニッククリスタルファイバと接続用光ファイバ端材との間の接続損失を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フォトニッククリスタルファイバの構造を示す斜視図である。
【図2】他の光ファイバ1の構成を示す斜視図である。
【図3】接続用光ファイバ端材の構成を示す斜視図である。
【図4】接続用光ファイバ端材を用いたフォトニッククリスタルファイバと他の光ファイバとの接続構造を示す一部切欠側面図である。
【符号の説明】
1 フォトニッククリスタルファイバ 1a 接続端 2 コア
3 クラッド 4 被覆 5 細空洞群
10 他の光ファイバ 10a 接続端 11 コア
12 クラッド 13 被覆
20 接続用光ファイバ端材 20a 一端 20b 他端
21 コア端材 22 クラッド端材
23 被覆 24屈折率調整用不純物
【発明の属する技術分野】
本発明は、コアとクラッドとが同等の屈折率を有するフォトニッククリスタルファイバの接続構造およびそれに用いる接続用光ファイバ端材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大きな波長分散を発現する光ファイバとして、フォトニッククリスタルファイバが注目されている。フォトニッククリスタルファイバは、クラッドに細空洞群が設けられ、さらにクラッドは二次元的に屈折率が周期的に変動するフォトニッククリスタル構造を有している。フォトニッククリスタルファイバはこのような構成を備えることによって上記特性を発現させている(特許文献1参照。
【0003】
フォトニッククリスタルファイバにおける信号光の閉じ込めはフォトニッククリスタル構造や細空洞群により図ることができる。そのため、フォトニッククリスタルファイバでは、必ずしも他の光ファイバのようにコア材料とクラッド材料との間に屈折率差Δを設けて信号光を閉じ込める必要がない。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−277649
このような特徴を有するフォトニッククリスタルファイバにおいては、従来から、コアの屈折率とクラッドの屈折率とを同等にすることで、偏波モード分散および非線形効果の低減を図ったものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにして偏波モード分散および非線形効果の低減を図ったフォトニッククリスタルファイバを他の光ファイバに融着接続する場合、接続箇所における信号光の閉じ込めが不十分となる結果、接続損失が過大になるという課題があった。これは、融着接続時に加えられる熱によって接続部のクラッドが溶融すると、フォトニッククリスタルファイバの接続端およびその近傍に位置する細空洞群が消滅することに起因している。すなわち、コアとクラッドとの間に屈折率差Δが存在しないフォトニッククリスタルファイバでは、溶融接続部位において細空洞群が消滅すると、この部位において信号光をコア付近に閉じ込めることが不可能となり、接続損失が増大する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するためには、本発明は、コアとクラッドとが同等の屈折率を有するとともに前記クラッドにファイバ軸方向に沿った細空洞群が設けられたフォトニッククリスタルファイバを他の光ファイバに融着接続するフォトニッククリスタルファイバの接続構造において次のように構成する。
【0007】
すなわち、本発明は、前記フォトニッククリスタルファイバと前記他の光ファイバとの間に挿入配置されて両ファイバを接続する接続用光ファイバ端材を有している。前記接続用光ファイバ端材は、前記フォトニッククリスタルファイバのコアや前記他の光ファイバのコアに接続されるコア端材と、前記コア端材の周囲に設けられて前記フォトニッククリスタルファイバのクラッドや前記他の光ファイバのクラッドに接続されるクラッド端材とを有している。前記コア端材と前記クラッド端材とのうちの少なくとも一つには、前記フォトニッククリスタルファイバとの融着接続時にフォトニッククリスタルファイバに拡散することでフォトニッククリスタルファイバ接続端の前記コアと前記クラッドの間に光の閉じ込めに必要な屈折率差Δを発現させる屈折率調整用不純物が添加されている。
【0008】
このような接続構造においても、融着接続時に加えられる熱によって接続端におけるフォトニッククリスタルファイバのクラッドが溶融して、接続端およびその近傍に位置する細空洞群が消滅する。しかしながら、接続用光ファイバ端材が有するコア端材やクラッド端材のうちの少なくとも一つには、前記フォトニッククリスタルファイバとの溶融接続時にフォトニッククリスタルファイバに拡散することでフォトニッククリスタルファイバの前記コアと前記クラッドとの間に光の閉じ込めに必要な屈折率差Δを発現させる屈折率調整用不純物が添加されている。そのため、フォトニッククリスタルファイバの接続端において屈折率差Δが生じて光の閉じ込め作用が発生する。これにより、フォトニッククリスタルファイバの接続端においては、クラッドの溶融により細空洞群が消滅するにもかかわらず、光は発現された屈折率差Δによって確実にコア近傍に閉じ込められることになる。
【0009】
また、コアとクラッドとが同等の屈折率を有するフォトニッククリスタルファイバは、開口率NAが大きいために、他の光ファイバと接続する際の接続損失が大きくなるという特徴がある。これに対して、本発明の構成では、上述したように、フォトニッククリスタルファイバの接続端に接続用光ファイバ端材から屈折率調整用不純物が拡散して屈折率差Δが発現する。そのため、発現した屈折率差Δによってフォトニッククリスタルファイバの接続端での開口率NAが小さくなる結果、フォトニッククリスタルファイバと接続用光ファイバ端材との間の接続損失は小さくなる。
【0010】
例えば、ゲルマニウム(Ge)等は、添加対象物質の屈折率を高める作用する。そのため、屈折率調整用不純物としてゲルマニウム(Ge)等をコア端材に添加すれば、溶融接続時にゲルマニウム(Ge)等がフォトニッククリスタルファイバのコアに拡散することで、接続端でのコアの屈折率が高まり、その結果、上記屈折率差Δが発現する。
【0011】
また、ふっ素(F)等は、添加対象物質の屈折率を低める作用する。そのため、屈折率調整用不純物としてふっ素(F)等をクラッド端材に添加すれば、溶融接続時にふっ素(F)等がフォトニッククリスタルファイバのクラッドに拡散することで、接続端でのクラッドの屈折率が低まり、その結果、上記屈折率差Δが発現する。
【0012】
なお、接続損失を低減させるためには、接続用光ファイバ端材においても光を閉じ込めることが必要となる。そのため、屈折率差Δを生じさせる上述した屈折率調整用不純物は、接続用ファイバ端材においても必要となる。そのため、前記屈折率調整用不純物は、光の閉じ込めに必要な屈折率差Δを接続用光ファイバ端材において前記コア端材と前記クラッド端材との間に生じさせるのに必要な添加量と、光の閉じ込めに必要な屈折率差Δを前記フォトニッククリスタルファイバ接続端において前記コアと前記クラッドとの間に生じさせるのに必要な添加量とを加算した添加量でもって前記コア端材と前記クラッド端材とのうちの少なくとも一つに添加されているのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係るフォトニッククリスタルファイバの接続構造を図面に参照して説明する。
【0014】
図1は、フォトニッククリスタルファイバ1を示す。フォトニッククリスタルファイバ1は、ともに石英(SiO2)からなるコア2およびクラッド3と、被覆4とを備えている。コア2は、ファイバ中心を長手方向に延びる中実構造を有している。クラッド3は、コア2を覆うように設けられている。クラッド3は、ファイバ長手方向に沿って延びる多数の細空洞群5を有している。被覆4は、クラッド3を覆って設けられている。クラッド3は、二次元的に屈折率が周期的に変動するフォトニッククリスタル構造を有している。コア2とクラッド3とは、同一のガラス材(石英)から構成されており、同等の屈折率を有している。したがって、コア2とクラッド3との間には屈折率差Δは存在しない。一般に光ファイバにおいては、コアにゲルマニウム(Ge)を添加することで比屈折率Δを形成する。しかしながら、ゲルマニウム(Ge)は添加されることで光ファイバの偏波モード分散を大きくするという特性がある。そのため、コア2にゲルマニウム(Ge)を添加しないフォトニッククリスタルファイバ1は、偏波モード分散や非線形効果が低減されている。
【0015】
フォトニッククリスタルファイバ1において信号光は、コア2付近に閉じこめられて伝搬される。フォトニッククリスタルファイバ1のファイバ径は125μmで、MFD(d1)は約3μmである。
【0016】
図2は、フォトニッククリスタルファイバ1が接続される他の光ファイバ10を示す。他の光ファイバ10は、ファイバ中心を長手方向に延びる石英(SiO2)製のコア11と、コア11を覆うように設けられた石英(SiO2)製のクラッド12と被覆13とを備えている。他の光ファイバ10では、コア11付近に信号光を閉じ込めるためにコア11とクラッド12との間に屈折率差Δが形成されている。他の光ファイバ10では、屈折率差Δを形成するために、コア11やクラッド12に不純物が添加されている。例えば、他の光ファイバ10では、コア11にゲルマニウム(Ge)がドープされている。他の光ファイバ10のファイバ径は125μmで、MFD(d2)は約10μmである。
【0017】
図3は、本発明の特徴構成である接続用光ファイバ端材20を示す。接続用光ファイバ端材20は、ファイバ中心を長手方向に延びる石英(SiO2)製のコア端材21と、コア端材21を覆うように設けられた石英(SiO2)製のクラッド端材22と、被覆23とを備えている。接続用光ファイバ端材20では、コア端材21付近に信号光を閉じ込めるためにコア端材21とクラッド端材22との間に屈折率差Δが形成されている。接続用光ファイバ端材20では、屈折率差Δを形成するために、コア端材21やクラッド端材22に不純物が添加されている。具体的には、接続用光ファイバ端材20では、コア端材21に、その屈折率を上昇させる作用を有する屈折率調整用不純物24(例えば、ゲルマニウム(Ge))がドープされている。
【0018】
ただし、接続用光ファイバ端材20では、屈折率調整用不純物24の添加量が他の光ファイバ10における不純物の添加量と異なっている。以下、説明する。
【0019】
接続用光ファイバ端材20はフォトニッククリスタルファイバ1に対する融着接続により接続されることを前提に構成されている。さらに、接続用光ファイバ端材20における屈折率調整用不純物24は、融着接続時にフォトニッククリスタルファイバ1(具体的にはコア2)に拡散することで、接続端近傍においてコア2とクラッド3との間に屈折率差Δを発現させて信号光を閉じ込めることを目的としてコア端材21に添加されている。
【0020】
そのため、屈折率調整用不純物24は、次の条件を満たす程度の量がコア端材21に添加されている。
【0021】
すなわち、溶融接続後(コア2に拡散した後)において、
・拡散した屈折率調整用不純物24によってフォトニッククリスタルファイバ接続端のコア2とクラッド3との間に、十分なる信号光の閉じ込めが可能な程度の屈折率差Δを生じさせることが可能である、
・拡散後に残存する屈折率調整用不純物24によってコア端材21とクラッド端材22との間に十分なる信号光の閉じ込めが可能な程度の屈折率差Δを生じさせることが可能である、
という条件を満たす程度の添加量でもって、屈折率調整用不純物24はコア端材21に添加されている。
【0022】
接続用光ファイバ端材20のファイバ径は125μmである。この値は他の光ファイバ10と同等である。
【0023】
次に、接続用光ファイバ端材20を用いたフォトニッククリスタルファイバ1と他の光ファイバ10との接続過程を図4を参照して説明する。まず、フォトニッククリスタルファイバ1の接続端1aに接続用光ファイバ端材20の一端20aが接続される。この接続は融着接続により実施される。このとき、両ファイバ1,20はコア2とコア端材21とが一致して重なるように配置される。
【0024】
接続時、融着熱により、接続端1aの細空洞群5が消滅する。しかしながら、溶融時には、コア端材21に添加された屈折率調整用不純物24が、コア2に拡散する。屈折率調整用不純物24は前述した添加量でもってコア端材21に添加されている。そのため、接続端1aにおけるコア2とクラッド3との間には、コア端材21から拡散した屈折率調整用不純物24により、信号光の閉じ込めが十分に可能な程度の屈折率差Δが生じる。
【0025】
一方、コア端材21では、拡散により屈折率調整用不純物24の添加量が減少する。しかしながら、予め、コア端材21には、融着接続後(拡散後)であってもコア端材21とクラッド端材22との間に十分なる信号光の閉じ込めができる(屈折率差Δを生じさることができる)程度の添加量でもって屈折率調整用不純物24が添加されている。
【0026】
そのため、接続用光ファイバ端材20の一端20aにおいては、コア端材21からコア2に屈折率調整用不純物24が拡散したにもかかわらず、コア端材21とクラッド端材22との間には信号光の閉じ込めが十分に可能な程度の屈折率差Δが残存する。
【0027】
次に、接続用光ファイバ端材20の他端20bに他の光ファイバ10の接続端10aが融着接続される。このとき、両ファイバ10,20は、コア11とコア端材21とが一致して重なるように配置される。このとき、コア端材21からコア11に屈折率調整用不純物24が拡散しようとする。しかしながら、コア11には、既に屈折率調整用不純物24(Ge)と同等の添加量でもって不純物(Ge)が添加されているために、屈折率調整用不純物24は積極的にコア11には拡散しない。そのため、接続端10aにおいて他の光ファイバ10のコア11とクラッド12との間の屈折率差Δの変動は小さく、したがって、接続端10aにおいて信号光は確実にコア11付近に閉じ込められる。
【0028】
なお、上述した説明では、フォトニッククリスタルファイバ1に接続用光ファイバ端材20を接続してから、接続用光ファイバ端材20に他の光ファイバ10を接続した。しかしながら、他の光ファイバ10に接続用光ファイバ端材20を接続してから、接続用光ファイバ端材20にフォトニッククリスタルファイバ1を接続してもよいのはいうまでもない。
【0029】
本実施形態では、接続用光ファイバ端材20を介して、フォトニッククリスタルファイバ1を他の光ファイバ10に接続するために、その接続部位において確実に信号光の閉じ込めが可能となる。したがって、接続損失は十分に抑制されることになる。
【0030】
また、発現した屈折率差Δによってフォトニッククリスタルファイバ1の接続端1aでの開口率NAが小さくなる結果、フォトニッククリスタルファイバ1と接続用光ファイバ端材20との間の接続損失は小さくなる。
【0031】
なお、本実施形態では、接続用光ファイバ端材20を設けることで伝送損失が生じることになる。そのため、接続用光ファイバ端材20の長さを制限することが必要となる。すなわち、接続用光ファイバ端材20を用いずにフォトニッククリスタルファイバ1と他の光ファイバ10とを直接接続した場合の接続損失をA(dB)、接続用光ファイバ端材20を用いた場合の接続損失をB(dB)とする。そうすると、(A−B)(dB)が接続用光ファイバ端材20を用いることにより低減できた接続損失となる。ここで、接続用光ファイバ端材20の伝送損失をC(dB/km)としたとき、接続用光ファイバ端材20の長さが(A−B)/C(km)よりも長くなると、低減した接続損失が接続用光ファイバ端材20の伝送損失によって相殺されてしまうこととなる。しかしながら、実際には、フォトニッククリスタルファイバ1及び他の光ファイバ10のそれぞれとの接続の作業性等を考慮しても接続用光ファイバ端材20の長さは1m以下で十分である。また、接続用光ファイバ端材20の伝送損失は概ね0.001dB以下であると考えることができる。そのため、接続用光ファイバ端材20の伝送損失は事実上無視できる。
【0032】
上述した実施の形態においては、接続用光ファイバ端材20のコア端材21全体に屈折率調整用不純物24が添加されていたが、屈折率調整用不純物24は、少なくとも、フォトニッククリスタルファイバ1との接続端におけるコア端材21にその必要量が添加されておればよい。ただし、それ以外のコア端材21部位においても、光の閉じ込めが可能な程度の添加量でもって屈折率調整用不純物24が添加されている。
【0033】
また、上述した実施の形態においては、屈折率を上昇させる作用を発揮する不純物(ゲルマニウム等)が屈折率調整用不純物24としてコア端材21に添加されていた。しかしながら、この他、屈折率を低下させる作用を発揮する不純物(ふっ素等)が屈折率調整用不純物24’としてクラッド端材22に添加されてもよい。また、コア端材21とクラッド端材22とにそれぞれ屈折率調整用不純物24,24’を添加してもよい。これらの場合であっても、その添加量は次のように設定される。すなわち、溶融接続後(コア2に拡散した後)において、
・拡散した屈折率調整用不純物24(24’)によってフォトニッククリスタルファイバ接続端のコア2とクラッド3との間に、十分なる信号光の閉じ込めが可能な程度の屈折率差Δを生じさせることが可能である、
・拡散後に残存する屈折率調整用不純物24(24’)によってコア端材21とクラッド端材22との間に十分なる信号光の閉じ込めが可能な程度の屈折率差Δを生じさせることが可能である、
という条件を満たす程度の添加量でもって、屈折率調整用不純物24(24’)をコア端材21やクラッド端材22に添加する必要がある。
【0034】
例えば、屈折率調整用不純物24’がクラッド端材22に添加された接続用光ファイバ端材20’を用いたフォトニッククリスタルファイバ1と接続用光ファイバ端材20’との接続過程は次のようになる。すなわち、フォトニッククリスタルファイバ1の接続端1aに接続用光ファイバ端材20’の一端20aが接続される。接続時、融着熱により、接続端1aの細空洞群5が消滅する。しかしながら、溶融時には、クラッド端材22に添加された屈折率調整用不純物24’が、クラッド3に拡散する。屈折率調整用不純物24’は上述した添加量でもってクラッド端材22に添加されている。そのため、接続端1aにおけるコア2とクラッド3との間には、クラッド端材22から拡散した屈折率調整用不純物24’により、信号光の閉じ込めが十分に可能な程度の屈折率差Δが生じる。
【0035】
一方、クラッド端材22では、拡散により屈折率調整用不純物24’の添加量が減少する。しかしながら、予め、クラッド端材22には、融着接続後(拡散後)であってもコア端材21とクラッド端材22との間に十分なる信号光の閉じ込めができる(屈折率差Δを生じさることができる)程度の添加量でもって屈折率調整用不純物24’が添加されている。
【0036】
そのため、接続用光ファイバ端材20の一端20aにおいては、クラッド端材22からクラッド3に屈折率調整用不純物24’が拡散したにもかかわらず、コア端材21とクラッド端材22との間には信号光の閉じ込めが十分に可能な程度の屈折率差Δが残存する。
【0037】
接続用光ファイバ端材20’の他端20bと他の光ファイバ10の接続端10aとの融着接続は、上述した実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0038】
このように、本発明の変形例においても、接続用光ファイバ端材20’を介して、フォトニッククリスタルファイバ1を他の光ファイバ10に接続している。そのため、その接続部位において確実に信号光の閉じ込めが可能となる。したがって、接続損失は十分に抑制されることになる。
【0039】
なお、上述した実施の形態およびその変形例では、フォトニッククリスタルファイバ1のコア2は中実コアとしたが、特にこれに限定されるものではなく、中空コアのものであってもよい。
【0040】
また、接続用光ファイバ端材20を介してフォトニッククリスタルファイバ1に接続する他の光ファイバ10は、フォトニッククリスタルファイバでもよい。
【0041】
また、接続用光ファイバ端材20をフォトニッククリスタルファイバから構成してもよい。
【0042】
また、接続用光ファイバ端材20と他の光ファイバ10とは、コネクタを用いた突き合わせにより接続してもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、偏波モード分散および非線形効果の低減を図るために、コアとクラッドとを同様の屈折率を有する材料から構成したフォトニッククリスタルファイバであっても、接続損失を十分に小さくした状態で他の光ファイバに融着接続することが可能となる。
【0044】
さらには、フォトニッククリスタルファイバの接続端に発現させた屈折率差Δによってフォトニッククリスタルファイバ接続端での開口率NAを小さくできる結果、フォトニッククリスタルファイバと接続用光ファイバ端材との間の接続損失を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フォトニッククリスタルファイバの構造を示す斜視図である。
【図2】他の光ファイバ1の構成を示す斜視図である。
【図3】接続用光ファイバ端材の構成を示す斜視図である。
【図4】接続用光ファイバ端材を用いたフォトニッククリスタルファイバと他の光ファイバとの接続構造を示す一部切欠側面図である。
【符号の説明】
1 フォトニッククリスタルファイバ 1a 接続端 2 コア
3 クラッド 4 被覆 5 細空洞群
10 他の光ファイバ 10a 接続端 11 コア
12 クラッド 13 被覆
20 接続用光ファイバ端材 20a 一端 20b 他端
21 コア端材 22 クラッド端材
23 被覆 24屈折率調整用不純物
Claims (4)
- コアとクラッドとが同等の屈折率を有するとともに前記クラッドにファイバ軸方向に沿った細空洞群が設けられたフォトニッククリスタルファイバを他の光ファイバに融着接続するフォトニッククリスタルファイバの接続構造であって、
前記フォトニッククリスタルファイバと前記他の光ファイバとの間に挿入配置されて両ファイバを接続する接続用光ファイバ端材を有しており、
前記接続用光ファイバ端材は、前記フォトニッククリスタルファイバのコアや前記他の光ファイバのコアに接続されるコア端材と、前記コア端材の周囲に設けられて前記フォトニッククリスタルファイバのクラッドや前記他の光ファイバのクラッドに接続されるクラッド端材とを有しており、
前記コア端材と前記クラッド端材とのうちの少なくとも一つには、前記フォトニッククリスタルファイバとの融着接続時にフォトニッククリスタルファイバに拡散することでフォトニッククリスタルファイバ接続端の前記コアと前記クラッドとの間に光の閉じ込めに必要な屈折率差Δを発現させる屈折率調整用不純物が添加されている、
ことを特徴とするフォトニッククリスタルファイバの接続構造。 - 請求項1に記載のフォトニッククリスタルファイバの接続構造において、
前記屈折率調整用不純物は、光の閉じ込めに必要な屈折率差Δを接続用光ファイバ端材において前記コア端材と前記クラッド端材との間に生じさせるのに必要な添加量と、光の閉じ込めに必要な屈折率差Δを前記フォトニッククリスタルファイバ接続端において前記コアと前記クラッドとの間に生じさせるのに必要な添加量とを加算した添加量でもって前記コア端材と前記クラッド端材とのうちの少なくとも一つに添加されている、
ことを特徴とするフォトニッククリスタルファイバの接続構造。 - コアとクラッドとが同等の屈折率を有するとともに前記クラッドにファイバ軸方向に沿った細空洞群が設けられたフォトニッククリスタルファイバと他の光ファイバとの間に融着接続により介装されてこれら両光ファイバを接続する接続用光ファイバ端材であって、
前記接続用光ファイバ端材は、前記フォトニッククリスタルファイバのコアや前記他の光ファイバのコアに接続されるコア端材と、前記コア端材の周囲に設けられて前記フォトニッククリスタルファイバのクラッドや前記他の光ファイバのクラッドに接続されるクラッド端材とを有しており、
前記コア端材と前記クラッド端材とのうちの少なくとも一つには、前記フォトニッククリスタルファイバとの溶融接続時にフォトニッククリスタルファイバに拡散することでフォトニッククリスタルファイバ接続端の前記コアと前記クラッドの間に光の閉じ込めに必要な屈折率差Δを発現させる屈折率調整用不純物が添加されている、
ことを特徴とする接続用光ファイバ端材。 - 請求項3に記載の接続用光ファイバ端材において、
前記屈折率調整用不純物は、光の閉じ込めに必要な屈折率差Δを接続用光ファイバ端材において前記コア端材と前記クラッド端材との間に生じさせるのに必要な添加量と、光の閉じ込めに必要な屈折率差Δを前記フォトニッククリスタルファイバ接続端において前記コアと前記クラッドとの間に生じさせるのに必要な添加量とを加算した添加量でもって前記コア端材と前記クラッド端材とのうちの少なくとも一つに添加されている、
ことを特徴とする接続用光ファイバ端材。
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