JP2004252027A - 液晶装置製造方法と液晶装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶表示面を部分的に光遮蔽したときにもコントラスト斑が生じないようにした液晶表示装置とそのような液晶表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】紫外線遮蔽材8を組み込んでから、400nmから450nmの領域に強い光成分を有する照明光を照射し液晶の作動電圧Vthを安定させて、その後に液晶表示装置9を組み上げる。また、450nm付近まで光遮蔽できる紫外線カットフィルタを液晶表示面に貼付したものであってもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】紫外線遮蔽材8を組み込んでから、400nmから450nmの領域に強い光成分を有する照明光を照射し液晶の作動電圧Vthを安定させて、その後に液晶表示装置9を組み上げる。また、450nm付近まで光遮蔽できる紫外線カットフィルタを液晶表示面に貼付したものであってもよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、初期におけるコントラスト斑を抑制した液晶装置の製造方法に関し、また、初期コントラスト斑を抑制した液晶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の液晶装置は、表示装置や液晶プリンタや画像投影装置などに利用されるが、本明細書では代表して液晶表示装置に適用したものについて説明する。
液晶表示装置は、2枚の透明基板の間隙に液晶材料を封入し、透明基板の裏側に形成した電極で画素毎の電界を調整して液晶の透明度を変化させて、外光の反射量やバックライトの透過量を制御することにより文字や図形を表示するものである。液晶材料が接触する面に配向層が形成されており、また透明基板の外表面には偏光板あるいは位相差板や光反射板が貼り付けられている。
【0003】
従来の液晶表示装置は、紫外線照射により液晶材料、色素、配向膜等の劣化があるので、これらの光学材料を保護するため400nm以下の光線を遮断する紫外線カットフィルタを備えたり、偏光板や反射板などに紫外線遮蔽能力を有する物質を混入したりして、紫外線の入射を抑制し製品寿命の長期化を図っている。
遮蔽材等は、可視光線を遮蔽しないようにするため、可視光である400nm以上の光線をシャープに透過するものが選択される。
【0004】
たとえば、特許文献1には、透明基板と配向膜を有する液晶表示素子を覆うように400nm以下の光線を吸収する紫外線カットフィルタを備えた液晶表示装置を開示している。紫外線カットフィルタに代えて、偏光板や位相差板に、ベンゾフェノンやベンゾトリアゾールなど、紫外線吸収材を混入して用いてもよい。
また、特許文献2には、液晶ディスプレーの偏光板用保護フィルムに最適なシャープカットフィルタとして、400nm前後の波長より長い波長域の光に対して高い透過率を示し、より短い波長域の光をほぼ完全に吸収することができる透明ポリマーフィルムが開示されている。
このように紫外線遮蔽性能のよいフィルタで液晶部分を覆い周辺部分から来る光の透過を抑えることにより、液晶表示素子の劣化現象を防ぎ、初期表示の特性を維持し、表示面の局所や全体に起こる表示不良を無くすことが可能である。
【0005】
ところで、液晶表示装置を商品として店先で展示するときには、電源を切って電池の電力消費を防止するが、表示状態が見えないと商品の訴求力が減退するので、表示を模擬した模様を印刷した透明シールを装置の液晶面に貼付しておくことがある。透明シールには広告や商標などを印刷しておいてもよい。
購入者はこのシールを剥がして液晶表示装置の使用を開始する。ところが、印刷シールを剥がすと、液晶面において透明シールを通して光が当たっていた部分と印刷部分で遮光されていた部分の間で表示色や色の濃さが異なるためシールの模様に対応した斑が生ずる場合がある。同じ現象は、液晶表示装置の一部を何かの物体で遮っておいて、その後その物体を取り除いたときにも観察できる。実際には、このコントラスト斑は太陽光や蛍光灯照明中で数10時間経過すると消滅するので、実用上大きな問題ではない。
【0006】
しかし、展示中の液晶表示装置にこのようなコントラスト斑が発生すれば購買者はこの品物を購入する気が起きないし、新品の液晶表示装置にこのような斑が発生すれば購入者は液晶装置の品質について疑いを抱くことになる。品質に疑問をもたらす要因は、少しでも無くすようにしないと厳しい販売競争に打ち勝つことはできない。
そこで、発明者らは、この事象に絞った解析を行って、この斑がどんな原理で発生するかは不明ながら、400nmから450nmの間の波長を有する紫から青の光により引き起こされる飽和現象であることを解明した。
【0007】
ところが、従来の液晶表示装置は、先に説明したとおり、400nm以下の光線を遮断する紫外線カットフィルタなどを適用するのが普通であるが、遮蔽材等は、可視光線を遮蔽しないため、400nm付近でシャープに透過率を増大させて可視光である400nm以上の光線をよく透過するものが選択される。したがって、従来方法で紫外線遮蔽を行う液晶表示装置では、目的とする400nmより長い波長の光線を遮蔽しないため、問題とする初期のコントラスト斑を防止することができない。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−80400号公報
【特許文献2】
特開平8−239509号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、液晶表示面を部分的に光遮蔽したときにもコントラスト斑が生じないようにした液晶表示装置の製造方法を提供することであり、初期コントラスト斑を抑制した液晶表示装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の液晶表示装置の製造方法は、紫外線遮蔽材を組み込んでから、紫から青の短波長光線、特に400nmから450nmの領域に強い光成分を有する照明光を照射し液晶の作動電圧Vthを安定させて、液晶表示装置の製品とすることを特徴とする。
【0011】
液晶表示装置は、従来、セルを製造し配向膜を形成した後に液晶材料を封入して封口し、セル毎に切断し、偏光板や光反射板などを貼り付け、IC(integrated circuit)やFPC(flexible printed circuit)を実装して完成する。本発明の液晶表示装置製造方法では、偏光板などを貼付し紫外線遮光機能を備えた部材を組み込んだ後に、400nmから450nmの間の照明光を照射して液晶の作動電圧Vthを安定させた後に、液晶表示装置として製品化する。
【0012】
たとえば、白色蛍光灯は435nmの付近に強い発光成分を有する。白色蛍光灯で液晶表示面を照射し、液晶の作動電圧Vthを観察すると、初めの電圧から徐々に低下して遂にはある電圧で安定し、それ以後は変化しない。4500Lxの白色蛍光灯を用いた場合、20cmの位置から50時間照射すると液晶の作動電圧Vthが安定するので、その後に露光履歴が異なっても作動電圧に差が生じない。
【0013】
したがって、光線照射によるエージング処理を受けた液晶表示面に印刷透明シールの貼付を行えば、その後は液晶の作動電圧が変化せず、液晶駆動電圧も変化しないから、シールを剥いでも模様に対応したコントラスト斑が発生することはない。また、液晶表示面を物体で隠したときにも、物体を取り除いた後でコントラスト斑が生じることはない。
なお、液晶駆動電圧は、紫外線曝露後の安定した液晶作動電圧に対応する電圧に調整することが好ましい。この電圧は液晶作動電圧から予測することができるので、紫外線曝露の前に調整することもできる。
このようなエージング処理をした液晶表示装置は、店舗における展示や使用の開始において異常なコントラスト斑が生じないので、購入者や購入予定者の判断を誤らせることなく、固有の性能を判断してもらうことができる。
【0014】
また、本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するため、液晶表示面を覆う紫外線遮光膜の長波長側遮光範囲を450nmに上げたものにすることを特徴とする。
本発明の液晶表示装置に用いる紫外線カットフィルタは、コントラスト斑の原因となる、たとえば435nmの光線を遮蔽するから、外光を部分的に遮る図形や文字盤などが表示面に存在していても、遮蔽部分と露出部分の間に液晶作動電圧Vthの差が生じないので、コントラスト斑にならない。
【0015】
ところで、従来の紫外線カットフィルタは透過率が増大する位置が400nm付近になるように極めて注意深く設定している。これは、勿論、可視光の短波長端が380nmから400nmにあるとされるためである。そこで、本発明におけるように遮光範囲が450nmまで広がると色の再現性が悪化することが心配される。しかし、液晶表示装置では、RGB(赤緑青)の混色を使うため、実際には最も短波長の青成分の波長域である470nmから480nmの光が正しく発色できる範囲を確保すれば、カラー表示の障害にはならない。したがって、450nmまで遮光するフィルタを装備した本発明の液晶表示装置は、再現性のある発色性能を備え、十分実用に耐えることになる。
【0016】
なお、液晶表示面を覆う紫外線遮光膜は、遮光のみを目的とした紫外線カットフィルタであってもよいが、偏光板や位相差板に紫外線吸収材を添加して目的の遮光性能を付与したものであってもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液晶表示装置製造方法と液晶表示装置について図面を用い実施例に基づいて詳細に説明する。
【0018】
【実施例1】
図1は本発明の1実施例である液晶表示装置製造方法を説明する工程図、図2は液晶の構造を示す断面図、図3は液晶駆動電源の要部を示す回路図、図4は照射時間と液晶作動電圧Vthの関係を例示するグラフ、図5は液晶駆動電圧に対する液晶のコントラスト変化を示したグラフ、図6は蛍光灯のスペクトル図である。
従来の液晶表示装置は、新品状態で表示面の一部を覆っておくと、光が遮断された部分と露光していた部分の間にコントラストの斑が生じることがある。したがって、たまたま表示面にノートブックが被さっていたときなどばかりでなく、新しい液晶にかけられた保護シートを剥がしたときにも保護シートに印刷された模様が表示面を遮蔽してコントラスト斑となる場合がある。このような現象は、商品価値を減退させるので好ましくない。
【0019】
本願発明の発明者らは、こうした現象を確認するため、液晶表示面の一部を覆って、経時による液晶作動電圧Vthの変化を測定した。図4はその結果の1例を示すグラフで、偏光板付き液晶表示面のほぼ半分を物体でマスクし、4500Lxの白色蛍光灯を液晶面から20cmの距離に配置して観測した結果である。グラフは、液晶表示面を覆っていた時間を横軸に取り、液晶の表示が可能になる液晶作動電圧Vthを縦軸に取ったものである。
グラフを観察すると、光遮蔽した部分は蛍光灯の光を照射しても当然に液晶作動電圧が変化しないが、露光している部分では時間が経つにつれて液晶作動電圧が低下し、ほぼ50時間経ったところでようやく飽和してその後は変化しなくなる。この飽和時間は、光が強ければ短くなると推定される。なお、白色蛍光灯に代えて暗室用黄色蛍光灯を用いたときには、コントラスト斑が生じないことが確認されている。
【0020】
液晶駆動電圧と液晶のコントラストの関係を例示した図5からも知られるように、液晶駆動電圧が変るにつれて液晶のコントラストが激しく変化する。図5では、横軸に液晶駆動電圧、縦軸に前方0度から測定した液晶のコントラスト指標を取って、液晶駆動電圧に対する液晶のコントラスト変化を示してある。液晶駆動電圧に対するコントラスト変化は鋭いピークを形成し、たとえば図に示した条件におけるコントラストのピークは駆動電圧15.3Vに存在してコントラスト指標14を示すが、半値幅は約1.0Vしかない。
このため、液晶装置ではできるだけコントラストの高いクリアな画面を生成するようにするように、液晶駆動電圧を正確に調整する必要がある。
【0021】
ところが、液晶駆動電圧の最適値は、液晶動作電圧Vthによって異なり、液晶動作電圧Vthが低くなると、最適な液晶駆動電圧は低下する。液晶動作電圧が1.887Vある液晶は紫外線照射により液晶動作電圧が1.870Vに低下するが、これに伴って、最適な液晶駆動電圧は16.53Vから16.3Vに低下することが観察されている。図5に示すように液晶コントラストのピークは鋭く、たとえば液晶駆動電圧が0.2V変化すると、コントラスト指標が14から12程度に低下し、0.3Vの変化では指標値が10程度まで低下する。
これらのことから、場所によって異なる強度の紫外線照射を受けた液晶のコントラスト斑の原因は、場所ごとに液晶作動電圧Vthが異なることにあると判断することができる。
【0022】
白色蛍光灯の可視光領域におけるスペクトラムは、図6に示すように、ほぼ405nmと435nmの位置に強い特性成分を有し、特にほぼ435nmの成分は極めて強いエネルギを有する。一方、黄色蛍光灯はこれらの成分を含まない。
したがって、コントラスト斑の現象は、これらの特性成分付近の光を原因とする光化学反応と考えられるが、従来から知られていた液晶材料や配向膜の紫外線反応と異なり、液晶表示装置としての許容限界を超えて劣化するものではないところに特徴がある。また、予め部分的に蛍光灯照射したセルに液晶材料を注入して構成した液晶でも、光照射部分と光遮蔽部分の間で液晶作動電圧に差異が生じる現象が観察されるので、配向膜のラビング処理などに影響を与える反応である可能性もあるが、真のメカニズムは未だ解明されていない。
また、試験では白色蛍光灯で著しい作用があることが証明されたが、この現象は自然光に曝露された液晶装置にも発生するものであって、この反応に寄与する光は白色蛍光灯の発光特性に限られず、ほぼ400nmから450nmの間の短波長光線であることが観察されている。
【0023】
本実施例の液晶表示装置製造方法は、従来方法による液晶素子製作工程において、紫外線カットフィルタを添えた後で、400nmから450nmの間の短波長光線を照射してエージングする工程を追加したことに特徴を有する。
本実施例の液晶表示装置製造方法は、図1の工程図に示すように、ガラスやプラスチック製の大型基板1を用意して、表面を洗浄した後、透明導電膜を被着しレジストを塗布して、液晶作動用電極パターンを切ったフォトマスクを用いて露光し、現像、エッチングを行って電極を形成する(S11)。レジストを剥離、除去した後、配向剤2を印刷して基板表面に配向層を形成する(S12)。配向層をラビング処理した後(S13)、単品の液晶領域を区切るようにシール剤3を印刷する(S14)。シール剤印刷パターンは、一部に液晶注入口となる途切れ部分を形成しておく。
【0024】
一方の基板上にスペーサ4を散布した後、2枚の基板をシール剤を介して貼り合わせ、加圧して加熱し、シール剤を硬化させて、単品の液晶素子領域を何段かの短冊状に多数形成する(S15)。これを短冊毎に切断して、短冊の端面に液晶注入口を向けて液晶素子が並んだ状態にする(S16)。短冊状の液晶素子と液晶材料5を満たした容器とを真空室に収納し、室内を真空に引いて液晶素子を液晶材料容器に浸けた後に室内を大気圧に戻すと、液晶材料が液晶素子内に吸引される(S17)。液晶の注入が終了した後に、液晶注入口を紫外線硬化樹脂からなる封止剤6で封止し(S18)、付着している液晶材料を洗い流して、単品の液晶パネル毎に分断する(S19)。
【0025】
付着しているガラス粉などを除去して、フレキシブル配線基板(FPC)や外部のICなど7と電気的に接続し(S20)、2枚の透明基板の外側表面に偏光板や光反射板などの光学フィルム8を貼り付ける(S21)。偏光板や光反射板は、紫外線吸収材を添加して400nmより短波長の紫外線を遮光する機能を付与したものであることが好ましい。なお、これら光学フィルムの紫外線遮光機能が弱いときは、さらに紫外線カットフィルタを貼り付けて、液晶材料や配向膜などが紫外線で劣化するのを防止して、液晶素子の寿命を確保する。
【0026】
こうして、図2に示すような液晶構造体20を得る。液晶構造体20は、液晶28を挟んで複数の走査電極23とこれと交差する複数の信号電極24を有し、これらの交点で画素を形成する液晶表示体である。上側と下側の構成要素は原則的に対称で、いずれも基板21,22の上に電極23,24が形成されその上に配向膜25,26を有する。液晶構造体22はこれら1対の基板21,22を配向膜が対向するように貼り合わせてシール剤27で外気と絶縁したものである。シール27で囲まれた空間に液晶が充填された液晶層28が形成されている。液晶層28には層厚を均一に保持できるように、スペーサボール29が混ぜられている。さらに、上面の最外層に偏光板30を形成し、下面の最外層に反射板31を形成する。用途によって、下面最外層に偏光板を形成してもよいことは言うまでもない。
【0027】
液晶の画素はX軸とY軸にマトリックス状に配置され、Y軸の走査電極駆動回路(Y駆動回路)とX軸の信号電極駆動回路(X駆動回路)により電源の供給を受けて画素の選択、非選択を決定する。液晶の表示は、走査電極と信号電極の電位差によって制御される。選択した液晶画素に適当な電位差を与えることによりコントラストを付けて表示する。
Y駆動回路とX駆動回路は、液晶駆動電圧供給回路で発生する駆動電圧を選択して、それぞれY軸とX軸に並んだ液晶画素に供給する。通常は、液晶駆動電圧供給回路は、外部供給電圧Vsを順次R1〜R5の抵抗で分圧したV0(=Vs),V1,V2,V3,V4,V5(=0V)の6個の電位を生成する。分圧抵抗は、中間に設けられるR3を除いて同じ抵抗値Rを持たせて、V0−V1,V1−V2,V3−V4,V4−V5の電位差を等しくしている。なお、V2−V3の値は、液晶駆動条件として定めるバイアス比aから4を引いた数mをRに掛けた値mRにする。
【0028】
ところが、本実施例の液晶表示装置では紫外線曝露によるエージングを行うため、紫外線照射による最適な液晶駆動電圧が変動することを考慮して、エージング後に最適になる液晶駆動電圧を選択するように、図3に表すような液晶駆動電圧供給回路40を用いるところが異なる。
本実施例の液晶駆動電圧供給回路40は、外部供給電圧Vsと液晶駆動電圧V0の間に可変抵抗器Rvを介装した他は従来の液晶駆動電圧供給回路と変わらない。液晶駆動電圧供給回路40が供給する電圧のうちV0,V1,V4,V5が走査電極駆動回路に供給され、V0,V2,V3,V5が信号電極駆動回路に供給される。走査電極駆動回路は、選択した画素に対応してV0またはV5を出力し、非選択の画素に対応してV1またはV4を出力する。また、信号電極駆動回路は、選択した画素に対応してV5またはV0を出力し、非選択の画素に対応してV2またはV3を出力する。こうして、選択した画素に対して最適な液晶駆動電圧であるV0−V5が印加され、画素が高いコントラストで表示されるようになる。
【0029】
この工程までは、従来の液晶表示装置製造方法と同じであるが、本実施例では、この後で白色蛍光灯の光を照射してエージングを行う(S22)。光照射エージングにより液晶材料や配向層が400nmから450nmの波長を持つ光で変態しないように十分安定させて、液晶表示装置9を完成させる(S23)。
完成した液晶表示装置は、液晶表示面が傷付かないように保護すると共に、液晶を作動させないでも、どのように表示されるか分かるように、適当な模様を印刷した透明シール10を貼付して(S23)、店先で展示販売できる商品11として出荷する。
【0030】
このような光照射エージングを施すことにより、模様付きの透明シールを貼付した液晶表示面がコントラスト斑を生じないようにすることができる。
なお、光照射エージングは、液晶作動電圧Vthをそれ以上変化しない飽和状態にすることが目的であるので、白色蛍光灯に限らず、ハロゲン電球や太陽光など、対象とする光反応を促進する400nmから450nmの波長の光を大量に含むような光源を用いることができる。
【0031】
上記説明の製造工程は例に過ぎず、この他にも色々な方式を用いることができることは言うまでもない。しかし、いずれの方法による場合であっても、本実施例の液晶表示装置製造方法における光照射エージングは、液晶表示素子や配向層が照明光の紫外線成分により劣化しないようにするため、紫外線遮蔽機能を備えた後に行うことが肝要である。
【0032】
【実施例2】
図7は本発明の1実施例である液晶表示装置に使用する紫外線カットフィルタの特性を示すグラフである。
実施例1の製造方法により得られた液晶表示装置は、仕上げ処理工程に光照射エージングを取り込むことにより、従来技術と同じ構造の液晶表示装置においてコントラスト斑を生じさせないようにしたものである。
【0033】
本発明の解決しようとする課題であるコントラスト斑は、400nmから450nmの間の波長の光により引き起こされる飽和現象である。したがって、製品となった液晶表示装置について400nmから450nmの間の波長領域についても完全に遮光すれば、上記の斑が生じない。
【0034】
そこで、実施例2では、従来技術で液晶材料や配向膜の劣化を防ぐために利用されていた紫外線カットフィルタの特性を調整することにより、同じ目的を達成するようにしたものである。図7は、横軸に波長をとり縦軸に透過率をとって、点線で従来から使用されてきた紫外線カットフィルタの、また実線で本実施例において使用される紫外線カットフィルタの透過特性を示したものである。
【0035】
図7に点線で表示したとおり、従来使用されていた紫外線カットフィルタは、液晶材料などが累積的に曝露される紫外線によって劣化することを防ぎ、かつ液晶表示画面の色特性を損ねないために、380nmから400nmの辺りで急峻な立ち上がりを有する透過率特性を持つように調合されている。このため、本発明者らが観測したコントラスト斑を防止する能力を備えていない。
【0036】
一方、本実施例の液晶表示装置に使用する紫外線カットフィルタは、図7に実線で示すように、450nm付近で透過率が急変するようになっていて、450nmより短波長側の光を遮蔽し、450nmより長波長側の光を透過する。
本実施例の液晶表示装置は、このように構成された紫外線カットフィルタを液晶表示面の前面に貼付する。したがって、液晶材料や配向膜が450nmより短い波長の光に曝露されないため、印刷シールや上に載せた物体など、液晶表示面の一部を遮蔽する物があっても、コントラスト斑が生じない。
【0037】
なお、紫外線カットフィルタは、光の遮蔽を専ら目的とするフィルムでもよいが、液晶表面に貼付する偏光板や位相差板に光吸収材を混入したものであってもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液晶表示装置および本発明の製造方法により製造された液晶表示装置は、店先に展示しておいてもまた何かが表示面に被さっていても、初期不良と誤解されるコントラスト斑が発生しないため、顧客に品質を見誤ることなく購入の当否を判断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例である液晶表示装置製造方法を説明する工程図である。
【図2】第1実施例で製造される液晶の構造を概念的に示す断面図である。
【図3】第1実施例において使用する液晶駆動電源の要部を示す回路図である。
【図4】第1実施例における照射時間と液晶作動電圧Vthの関係を例示するグラフである。
【図5】第1実施例における液晶駆動電圧に対する液晶のコントラスト変化を示したグラフである。
【図6】第1実施例において使用する蛍光灯のスペクトル図である。
【図7】本発明の1実施例である液晶表示装置に使用する紫外線カットフィルタの特性を示すグラフである。
【符号の説明】
20 液晶構造体
21,22 基板
23 走査電極
24 信号電極
25,26 配向膜
27 シール
28 液晶層
29 スペーサボール
30 偏光板
31 反射板
【発明の属する技術分野】
本発明は、初期におけるコントラスト斑を抑制した液晶装置の製造方法に関し、また、初期コントラスト斑を抑制した液晶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の液晶装置は、表示装置や液晶プリンタや画像投影装置などに利用されるが、本明細書では代表して液晶表示装置に適用したものについて説明する。
液晶表示装置は、2枚の透明基板の間隙に液晶材料を封入し、透明基板の裏側に形成した電極で画素毎の電界を調整して液晶の透明度を変化させて、外光の反射量やバックライトの透過量を制御することにより文字や図形を表示するものである。液晶材料が接触する面に配向層が形成されており、また透明基板の外表面には偏光板あるいは位相差板や光反射板が貼り付けられている。
【0003】
従来の液晶表示装置は、紫外線照射により液晶材料、色素、配向膜等の劣化があるので、これらの光学材料を保護するため400nm以下の光線を遮断する紫外線カットフィルタを備えたり、偏光板や反射板などに紫外線遮蔽能力を有する物質を混入したりして、紫外線の入射を抑制し製品寿命の長期化を図っている。
遮蔽材等は、可視光線を遮蔽しないようにするため、可視光である400nm以上の光線をシャープに透過するものが選択される。
【0004】
たとえば、特許文献1には、透明基板と配向膜を有する液晶表示素子を覆うように400nm以下の光線を吸収する紫外線カットフィルタを備えた液晶表示装置を開示している。紫外線カットフィルタに代えて、偏光板や位相差板に、ベンゾフェノンやベンゾトリアゾールなど、紫外線吸収材を混入して用いてもよい。
また、特許文献2には、液晶ディスプレーの偏光板用保護フィルムに最適なシャープカットフィルタとして、400nm前後の波長より長い波長域の光に対して高い透過率を示し、より短い波長域の光をほぼ完全に吸収することができる透明ポリマーフィルムが開示されている。
このように紫外線遮蔽性能のよいフィルタで液晶部分を覆い周辺部分から来る光の透過を抑えることにより、液晶表示素子の劣化現象を防ぎ、初期表示の特性を維持し、表示面の局所や全体に起こる表示不良を無くすことが可能である。
【0005】
ところで、液晶表示装置を商品として店先で展示するときには、電源を切って電池の電力消費を防止するが、表示状態が見えないと商品の訴求力が減退するので、表示を模擬した模様を印刷した透明シールを装置の液晶面に貼付しておくことがある。透明シールには広告や商標などを印刷しておいてもよい。
購入者はこのシールを剥がして液晶表示装置の使用を開始する。ところが、印刷シールを剥がすと、液晶面において透明シールを通して光が当たっていた部分と印刷部分で遮光されていた部分の間で表示色や色の濃さが異なるためシールの模様に対応した斑が生ずる場合がある。同じ現象は、液晶表示装置の一部を何かの物体で遮っておいて、その後その物体を取り除いたときにも観察できる。実際には、このコントラスト斑は太陽光や蛍光灯照明中で数10時間経過すると消滅するので、実用上大きな問題ではない。
【0006】
しかし、展示中の液晶表示装置にこのようなコントラスト斑が発生すれば購買者はこの品物を購入する気が起きないし、新品の液晶表示装置にこのような斑が発生すれば購入者は液晶装置の品質について疑いを抱くことになる。品質に疑問をもたらす要因は、少しでも無くすようにしないと厳しい販売競争に打ち勝つことはできない。
そこで、発明者らは、この事象に絞った解析を行って、この斑がどんな原理で発生するかは不明ながら、400nmから450nmの間の波長を有する紫から青の光により引き起こされる飽和現象であることを解明した。
【0007】
ところが、従来の液晶表示装置は、先に説明したとおり、400nm以下の光線を遮断する紫外線カットフィルタなどを適用するのが普通であるが、遮蔽材等は、可視光線を遮蔽しないため、400nm付近でシャープに透過率を増大させて可視光である400nm以上の光線をよく透過するものが選択される。したがって、従来方法で紫外線遮蔽を行う液晶表示装置では、目的とする400nmより長い波長の光線を遮蔽しないため、問題とする初期のコントラスト斑を防止することができない。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−80400号公報
【特許文献2】
特開平8−239509号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、液晶表示面を部分的に光遮蔽したときにもコントラスト斑が生じないようにした液晶表示装置の製造方法を提供することであり、初期コントラスト斑を抑制した液晶表示装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の液晶表示装置の製造方法は、紫外線遮蔽材を組み込んでから、紫から青の短波長光線、特に400nmから450nmの領域に強い光成分を有する照明光を照射し液晶の作動電圧Vthを安定させて、液晶表示装置の製品とすることを特徴とする。
【0011】
液晶表示装置は、従来、セルを製造し配向膜を形成した後に液晶材料を封入して封口し、セル毎に切断し、偏光板や光反射板などを貼り付け、IC(integrated circuit)やFPC(flexible printed circuit)を実装して完成する。本発明の液晶表示装置製造方法では、偏光板などを貼付し紫外線遮光機能を備えた部材を組み込んだ後に、400nmから450nmの間の照明光を照射して液晶の作動電圧Vthを安定させた後に、液晶表示装置として製品化する。
【0012】
たとえば、白色蛍光灯は435nmの付近に強い発光成分を有する。白色蛍光灯で液晶表示面を照射し、液晶の作動電圧Vthを観察すると、初めの電圧から徐々に低下して遂にはある電圧で安定し、それ以後は変化しない。4500Lxの白色蛍光灯を用いた場合、20cmの位置から50時間照射すると液晶の作動電圧Vthが安定するので、その後に露光履歴が異なっても作動電圧に差が生じない。
【0013】
したがって、光線照射によるエージング処理を受けた液晶表示面に印刷透明シールの貼付を行えば、その後は液晶の作動電圧が変化せず、液晶駆動電圧も変化しないから、シールを剥いでも模様に対応したコントラスト斑が発生することはない。また、液晶表示面を物体で隠したときにも、物体を取り除いた後でコントラスト斑が生じることはない。
なお、液晶駆動電圧は、紫外線曝露後の安定した液晶作動電圧に対応する電圧に調整することが好ましい。この電圧は液晶作動電圧から予測することができるので、紫外線曝露の前に調整することもできる。
このようなエージング処理をした液晶表示装置は、店舗における展示や使用の開始において異常なコントラスト斑が生じないので、購入者や購入予定者の判断を誤らせることなく、固有の性能を判断してもらうことができる。
【0014】
また、本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するため、液晶表示面を覆う紫外線遮光膜の長波長側遮光範囲を450nmに上げたものにすることを特徴とする。
本発明の液晶表示装置に用いる紫外線カットフィルタは、コントラスト斑の原因となる、たとえば435nmの光線を遮蔽するから、外光を部分的に遮る図形や文字盤などが表示面に存在していても、遮蔽部分と露出部分の間に液晶作動電圧Vthの差が生じないので、コントラスト斑にならない。
【0015】
ところで、従来の紫外線カットフィルタは透過率が増大する位置が400nm付近になるように極めて注意深く設定している。これは、勿論、可視光の短波長端が380nmから400nmにあるとされるためである。そこで、本発明におけるように遮光範囲が450nmまで広がると色の再現性が悪化することが心配される。しかし、液晶表示装置では、RGB(赤緑青)の混色を使うため、実際には最も短波長の青成分の波長域である470nmから480nmの光が正しく発色できる範囲を確保すれば、カラー表示の障害にはならない。したがって、450nmまで遮光するフィルタを装備した本発明の液晶表示装置は、再現性のある発色性能を備え、十分実用に耐えることになる。
【0016】
なお、液晶表示面を覆う紫外線遮光膜は、遮光のみを目的とした紫外線カットフィルタであってもよいが、偏光板や位相差板に紫外線吸収材を添加して目的の遮光性能を付与したものであってもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液晶表示装置製造方法と液晶表示装置について図面を用い実施例に基づいて詳細に説明する。
【0018】
【実施例1】
図1は本発明の1実施例である液晶表示装置製造方法を説明する工程図、図2は液晶の構造を示す断面図、図3は液晶駆動電源の要部を示す回路図、図4は照射時間と液晶作動電圧Vthの関係を例示するグラフ、図5は液晶駆動電圧に対する液晶のコントラスト変化を示したグラフ、図6は蛍光灯のスペクトル図である。
従来の液晶表示装置は、新品状態で表示面の一部を覆っておくと、光が遮断された部分と露光していた部分の間にコントラストの斑が生じることがある。したがって、たまたま表示面にノートブックが被さっていたときなどばかりでなく、新しい液晶にかけられた保護シートを剥がしたときにも保護シートに印刷された模様が表示面を遮蔽してコントラスト斑となる場合がある。このような現象は、商品価値を減退させるので好ましくない。
【0019】
本願発明の発明者らは、こうした現象を確認するため、液晶表示面の一部を覆って、経時による液晶作動電圧Vthの変化を測定した。図4はその結果の1例を示すグラフで、偏光板付き液晶表示面のほぼ半分を物体でマスクし、4500Lxの白色蛍光灯を液晶面から20cmの距離に配置して観測した結果である。グラフは、液晶表示面を覆っていた時間を横軸に取り、液晶の表示が可能になる液晶作動電圧Vthを縦軸に取ったものである。
グラフを観察すると、光遮蔽した部分は蛍光灯の光を照射しても当然に液晶作動電圧が変化しないが、露光している部分では時間が経つにつれて液晶作動電圧が低下し、ほぼ50時間経ったところでようやく飽和してその後は変化しなくなる。この飽和時間は、光が強ければ短くなると推定される。なお、白色蛍光灯に代えて暗室用黄色蛍光灯を用いたときには、コントラスト斑が生じないことが確認されている。
【0020】
液晶駆動電圧と液晶のコントラストの関係を例示した図5からも知られるように、液晶駆動電圧が変るにつれて液晶のコントラストが激しく変化する。図5では、横軸に液晶駆動電圧、縦軸に前方0度から測定した液晶のコントラスト指標を取って、液晶駆動電圧に対する液晶のコントラスト変化を示してある。液晶駆動電圧に対するコントラスト変化は鋭いピークを形成し、たとえば図に示した条件におけるコントラストのピークは駆動電圧15.3Vに存在してコントラスト指標14を示すが、半値幅は約1.0Vしかない。
このため、液晶装置ではできるだけコントラストの高いクリアな画面を生成するようにするように、液晶駆動電圧を正確に調整する必要がある。
【0021】
ところが、液晶駆動電圧の最適値は、液晶動作電圧Vthによって異なり、液晶動作電圧Vthが低くなると、最適な液晶駆動電圧は低下する。液晶動作電圧が1.887Vある液晶は紫外線照射により液晶動作電圧が1.870Vに低下するが、これに伴って、最適な液晶駆動電圧は16.53Vから16.3Vに低下することが観察されている。図5に示すように液晶コントラストのピークは鋭く、たとえば液晶駆動電圧が0.2V変化すると、コントラスト指標が14から12程度に低下し、0.3Vの変化では指標値が10程度まで低下する。
これらのことから、場所によって異なる強度の紫外線照射を受けた液晶のコントラスト斑の原因は、場所ごとに液晶作動電圧Vthが異なることにあると判断することができる。
【0022】
白色蛍光灯の可視光領域におけるスペクトラムは、図6に示すように、ほぼ405nmと435nmの位置に強い特性成分を有し、特にほぼ435nmの成分は極めて強いエネルギを有する。一方、黄色蛍光灯はこれらの成分を含まない。
したがって、コントラスト斑の現象は、これらの特性成分付近の光を原因とする光化学反応と考えられるが、従来から知られていた液晶材料や配向膜の紫外線反応と異なり、液晶表示装置としての許容限界を超えて劣化するものではないところに特徴がある。また、予め部分的に蛍光灯照射したセルに液晶材料を注入して構成した液晶でも、光照射部分と光遮蔽部分の間で液晶作動電圧に差異が生じる現象が観察されるので、配向膜のラビング処理などに影響を与える反応である可能性もあるが、真のメカニズムは未だ解明されていない。
また、試験では白色蛍光灯で著しい作用があることが証明されたが、この現象は自然光に曝露された液晶装置にも発生するものであって、この反応に寄与する光は白色蛍光灯の発光特性に限られず、ほぼ400nmから450nmの間の短波長光線であることが観察されている。
【0023】
本実施例の液晶表示装置製造方法は、従来方法による液晶素子製作工程において、紫外線カットフィルタを添えた後で、400nmから450nmの間の短波長光線を照射してエージングする工程を追加したことに特徴を有する。
本実施例の液晶表示装置製造方法は、図1の工程図に示すように、ガラスやプラスチック製の大型基板1を用意して、表面を洗浄した後、透明導電膜を被着しレジストを塗布して、液晶作動用電極パターンを切ったフォトマスクを用いて露光し、現像、エッチングを行って電極を形成する(S11)。レジストを剥離、除去した後、配向剤2を印刷して基板表面に配向層を形成する(S12)。配向層をラビング処理した後(S13)、単品の液晶領域を区切るようにシール剤3を印刷する(S14)。シール剤印刷パターンは、一部に液晶注入口となる途切れ部分を形成しておく。
【0024】
一方の基板上にスペーサ4を散布した後、2枚の基板をシール剤を介して貼り合わせ、加圧して加熱し、シール剤を硬化させて、単品の液晶素子領域を何段かの短冊状に多数形成する(S15)。これを短冊毎に切断して、短冊の端面に液晶注入口を向けて液晶素子が並んだ状態にする(S16)。短冊状の液晶素子と液晶材料5を満たした容器とを真空室に収納し、室内を真空に引いて液晶素子を液晶材料容器に浸けた後に室内を大気圧に戻すと、液晶材料が液晶素子内に吸引される(S17)。液晶の注入が終了した後に、液晶注入口を紫外線硬化樹脂からなる封止剤6で封止し(S18)、付着している液晶材料を洗い流して、単品の液晶パネル毎に分断する(S19)。
【0025】
付着しているガラス粉などを除去して、フレキシブル配線基板(FPC)や外部のICなど7と電気的に接続し(S20)、2枚の透明基板の外側表面に偏光板や光反射板などの光学フィルム8を貼り付ける(S21)。偏光板や光反射板は、紫外線吸収材を添加して400nmより短波長の紫外線を遮光する機能を付与したものであることが好ましい。なお、これら光学フィルムの紫外線遮光機能が弱いときは、さらに紫外線カットフィルタを貼り付けて、液晶材料や配向膜などが紫外線で劣化するのを防止して、液晶素子の寿命を確保する。
【0026】
こうして、図2に示すような液晶構造体20を得る。液晶構造体20は、液晶28を挟んで複数の走査電極23とこれと交差する複数の信号電極24を有し、これらの交点で画素を形成する液晶表示体である。上側と下側の構成要素は原則的に対称で、いずれも基板21,22の上に電極23,24が形成されその上に配向膜25,26を有する。液晶構造体22はこれら1対の基板21,22を配向膜が対向するように貼り合わせてシール剤27で外気と絶縁したものである。シール27で囲まれた空間に液晶が充填された液晶層28が形成されている。液晶層28には層厚を均一に保持できるように、スペーサボール29が混ぜられている。さらに、上面の最外層に偏光板30を形成し、下面の最外層に反射板31を形成する。用途によって、下面最外層に偏光板を形成してもよいことは言うまでもない。
【0027】
液晶の画素はX軸とY軸にマトリックス状に配置され、Y軸の走査電極駆動回路(Y駆動回路)とX軸の信号電極駆動回路(X駆動回路)により電源の供給を受けて画素の選択、非選択を決定する。液晶の表示は、走査電極と信号電極の電位差によって制御される。選択した液晶画素に適当な電位差を与えることによりコントラストを付けて表示する。
Y駆動回路とX駆動回路は、液晶駆動電圧供給回路で発生する駆動電圧を選択して、それぞれY軸とX軸に並んだ液晶画素に供給する。通常は、液晶駆動電圧供給回路は、外部供給電圧Vsを順次R1〜R5の抵抗で分圧したV0(=Vs),V1,V2,V3,V4,V5(=0V)の6個の電位を生成する。分圧抵抗は、中間に設けられるR3を除いて同じ抵抗値Rを持たせて、V0−V1,V1−V2,V3−V4,V4−V5の電位差を等しくしている。なお、V2−V3の値は、液晶駆動条件として定めるバイアス比aから4を引いた数mをRに掛けた値mRにする。
【0028】
ところが、本実施例の液晶表示装置では紫外線曝露によるエージングを行うため、紫外線照射による最適な液晶駆動電圧が変動することを考慮して、エージング後に最適になる液晶駆動電圧を選択するように、図3に表すような液晶駆動電圧供給回路40を用いるところが異なる。
本実施例の液晶駆動電圧供給回路40は、外部供給電圧Vsと液晶駆動電圧V0の間に可変抵抗器Rvを介装した他は従来の液晶駆動電圧供給回路と変わらない。液晶駆動電圧供給回路40が供給する電圧のうちV0,V1,V4,V5が走査電極駆動回路に供給され、V0,V2,V3,V5が信号電極駆動回路に供給される。走査電極駆動回路は、選択した画素に対応してV0またはV5を出力し、非選択の画素に対応してV1またはV4を出力する。また、信号電極駆動回路は、選択した画素に対応してV5またはV0を出力し、非選択の画素に対応してV2またはV3を出力する。こうして、選択した画素に対して最適な液晶駆動電圧であるV0−V5が印加され、画素が高いコントラストで表示されるようになる。
【0029】
この工程までは、従来の液晶表示装置製造方法と同じであるが、本実施例では、この後で白色蛍光灯の光を照射してエージングを行う(S22)。光照射エージングにより液晶材料や配向層が400nmから450nmの波長を持つ光で変態しないように十分安定させて、液晶表示装置9を完成させる(S23)。
完成した液晶表示装置は、液晶表示面が傷付かないように保護すると共に、液晶を作動させないでも、どのように表示されるか分かるように、適当な模様を印刷した透明シール10を貼付して(S23)、店先で展示販売できる商品11として出荷する。
【0030】
このような光照射エージングを施すことにより、模様付きの透明シールを貼付した液晶表示面がコントラスト斑を生じないようにすることができる。
なお、光照射エージングは、液晶作動電圧Vthをそれ以上変化しない飽和状態にすることが目的であるので、白色蛍光灯に限らず、ハロゲン電球や太陽光など、対象とする光反応を促進する400nmから450nmの波長の光を大量に含むような光源を用いることができる。
【0031】
上記説明の製造工程は例に過ぎず、この他にも色々な方式を用いることができることは言うまでもない。しかし、いずれの方法による場合であっても、本実施例の液晶表示装置製造方法における光照射エージングは、液晶表示素子や配向層が照明光の紫外線成分により劣化しないようにするため、紫外線遮蔽機能を備えた後に行うことが肝要である。
【0032】
【実施例2】
図7は本発明の1実施例である液晶表示装置に使用する紫外線カットフィルタの特性を示すグラフである。
実施例1の製造方法により得られた液晶表示装置は、仕上げ処理工程に光照射エージングを取り込むことにより、従来技術と同じ構造の液晶表示装置においてコントラスト斑を生じさせないようにしたものである。
【0033】
本発明の解決しようとする課題であるコントラスト斑は、400nmから450nmの間の波長の光により引き起こされる飽和現象である。したがって、製品となった液晶表示装置について400nmから450nmの間の波長領域についても完全に遮光すれば、上記の斑が生じない。
【0034】
そこで、実施例2では、従来技術で液晶材料や配向膜の劣化を防ぐために利用されていた紫外線カットフィルタの特性を調整することにより、同じ目的を達成するようにしたものである。図7は、横軸に波長をとり縦軸に透過率をとって、点線で従来から使用されてきた紫外線カットフィルタの、また実線で本実施例において使用される紫外線カットフィルタの透過特性を示したものである。
【0035】
図7に点線で表示したとおり、従来使用されていた紫外線カットフィルタは、液晶材料などが累積的に曝露される紫外線によって劣化することを防ぎ、かつ液晶表示画面の色特性を損ねないために、380nmから400nmの辺りで急峻な立ち上がりを有する透過率特性を持つように調合されている。このため、本発明者らが観測したコントラスト斑を防止する能力を備えていない。
【0036】
一方、本実施例の液晶表示装置に使用する紫外線カットフィルタは、図7に実線で示すように、450nm付近で透過率が急変するようになっていて、450nmより短波長側の光を遮蔽し、450nmより長波長側の光を透過する。
本実施例の液晶表示装置は、このように構成された紫外線カットフィルタを液晶表示面の前面に貼付する。したがって、液晶材料や配向膜が450nmより短い波長の光に曝露されないため、印刷シールや上に載せた物体など、液晶表示面の一部を遮蔽する物があっても、コントラスト斑が生じない。
【0037】
なお、紫外線カットフィルタは、光の遮蔽を専ら目的とするフィルムでもよいが、液晶表面に貼付する偏光板や位相差板に光吸収材を混入したものであってもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液晶表示装置および本発明の製造方法により製造された液晶表示装置は、店先に展示しておいてもまた何かが表示面に被さっていても、初期不良と誤解されるコントラスト斑が発生しないため、顧客に品質を見誤ることなく購入の当否を判断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例である液晶表示装置製造方法を説明する工程図である。
【図2】第1実施例で製造される液晶の構造を概念的に示す断面図である。
【図3】第1実施例において使用する液晶駆動電源の要部を示す回路図である。
【図4】第1実施例における照射時間と液晶作動電圧Vthの関係を例示するグラフである。
【図5】第1実施例における液晶駆動電圧に対する液晶のコントラスト変化を示したグラフである。
【図6】第1実施例において使用する蛍光灯のスペクトル図である。
【図7】本発明の1実施例である液晶表示装置に使用する紫外線カットフィルタの特性を示すグラフである。
【符号の説明】
20 液晶構造体
21,22 基板
23 走査電極
24 信号電極
25,26 配向膜
27 シール
28 液晶層
29 スペーサボール
30 偏光板
31 反射板
Claims (6)
- 液晶表示素子に紫外線遮蔽材を組み込んでから、強い短波長光線を含む照明光を照射し液晶の作動電圧Vthを安定させたことを特徴とする液晶装置製造方法。
- 前記照明光が、400nmから450nmの領域に強い光成分を有することを特徴とする請求項1記載の液晶装置製造方法。
- 前記照明光は白色蛍光灯が発する光であることを特徴とする請求項1または2記載の液晶装置製造方法。
- 前記液晶素子の駆動電圧を前記照明光で照射した後の安定した作動電圧Vthに対応する電圧とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液晶装置製造方法。
- 液晶面を紫外線遮光膜で覆った液晶装置であって、該紫外線遮光膜は長波長側の遮光限界が450nm付近であることを特徴とする液晶装置。
- 前記紫外線遮光膜は偏光板もしくは位相差板に紫外線吸収剤を添加したものであることを特徴とする請求項5記載の液晶装置。
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JP2006267523A (ja) * | 2005-03-24 | 2006-10-05 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 面光源装置 |
JP2008032945A (ja) * | 2006-07-28 | 2008-02-14 | Casio Comput Co Ltd | 液晶表示装置 |
JP5240190B2 (ja) * | 2007-04-09 | 2013-07-17 | 旭硝子株式会社 | 位相差板の製造方法 |
CN110824755A (zh) * | 2018-08-08 | 2020-02-21 | 豪威科技股份有限公司 | 具有uv截止滤光器的lcos显示器面板 |
-
2003
- 2003-02-19 JP JP2003040684A patent/JP2004252027A/ja active Pending
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