JP2004251907A - 導波管共振器を利用した近接場顕微鏡 - Google Patents

導波管共振器を利用した近接場顕微鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】導波管共振器を利用した近接場顕微鏡を提供する。
【解決手段】ウェーブの周波数を調節できるウェーブソース3と、前記ウェーブソース3から出射されたウェーブを進ませる導波管共振器5と、前記導波管共振器5の外壁を貫通して挿入され、導波管共振器5を通じて進むウェーブをサンプル10と相互作用させる探針7と、前記探針7を通じて伝播されてサンプル10と相互作用した後、前記探針7及び導波管共振器5を通じて進まされたウェーブを検出する検出器12と、を含むことを特徴とする近接場顕微鏡である。前記のように導波管共振器5に結合された探針7を利用して、マイクロウェーブ帯域からミリメートルウェーブ帯域まで使用でき、体積を最小化し、かつ感度と分解能とを向上させうる。
【選択図】図3

Description

本発明は近接場顕微鏡に係り、さらに詳細には導波管共振器に探針を結合して使用可能な周波数帯域が拡張され、感度と分解能とが向上した近接場顕微鏡に関する。
ナノメートル単位の微細なサンプルの形状を観測するための光学顕微鏡は、光で物体を観測するため、回折限界現象によって分解能に限界がある。回折限界現象のゆえに、サイズが光の波長の1/2以下である物体は、光学的に観測できなくなる。このような回折限界を克服し、光の波長より非常に小さなサイズを有する物質の光学的特性を測定できる近接場顕微鏡が登場した。近接場顕微鏡では、光の波長より小さな開口を通過した光がこの開口のサイズと同じであるか、または近い距離にあるサンプルに照射されるようになっている。これは、サンプル表面から光の波長より近い距離内にある近接場は回折を発生しない現象を利用して回折限界現象を克服するためである。
このような近接場効果を利用した非接触、非破壊顕微鏡に対する研究は、STM(Scanning Tunneling Microscope)及びAFM(Atomic Force Microscope)が実現された以来に表面研究の一分野として登場した。光学的顕微鏡技術の発展によって従来の光学的方法による媒質の特性測定が巨視的観点から微視的観点に転換された。したがって、サンプルの微視的特性を測定する方法が新しい研究分野として脚光を浴び始めた。一方、産業的側面でも各種の電子部品が集積化しつつ微細構造に対する物理的特性の研究が重要な問題に浮び上がっている。特に、回折限界を有する古典的な光学測定装備とは異なって、回折限界を克服する新しい測定装備の開発は、微細構造の物理的特性を理解し、かつ測定するのに必須的な方法となった。
回折限界を克服した方法の一つとして近接場効果を利用した顕微鏡が開発された。特に、通信部品が集積化しつつ集積化デバイスの微細構造に対する光学特性の研究においてマイクロ波及びミリメートル波領域での近接場顕微鏡の開発が要求された。
マイクロ波を利用した近接場に対する実験は、Ash及びNichollsによって初めてなされ、現在までマイクロ波近接場顕微鏡は発展を繰り返して多様な応用分野に適応されている。マイクロ波近接場イメージを得る方法として、同軸線共振器、ストリップライン共振器、導波管スリットを利用した方法がある。
図6は、従来の同軸線共振器を利用した光学顕微鏡を示した図面であって、非特許文献1に開示されている。
この近接場光学顕微鏡は、マイクロウェーブソース100から出射されたウェーブが同軸線共振器103を通じて進み、前記同軸線共振器103の端部に形成された探針105を通じて光学的特性を調べようとするサンプル107に到達するようになっている。前記探針105を通じて出射されたウェーブがサンプル107と相互作用した後、前記探針105を通じて再び同軸線共振器103に入射される。そして、サンプル107との相互作用によって変形されたマイクロウェーブがダイオード検出器110によって検出される。これにより、サンプルの微視的、光学的特性を測定しうる。ここで、符号102で示す部材は方向性カップラーである。
しかし、同軸線共振器103を利用すれば、同軸線構造による遮断周波数のゆえにマイクロ波帯域での実験だけを行える。したがって、近接場顕微鏡の共振周波数をマイクロ波帯域の特定周波数にだけ限定させて使用しなければならないので、最大の感度を得るのに限界がある。そして、同軸線共振器103は、円筒形の内部導体と外部導体とよりなるが、このように2つの導体よりなる構造ではTEM波だけを利用して実験を行わなければならない。したがって、サンプルの光学的特性を得るためにウェーブの多様なモードを使用するのに制限がある。すなわち、サンプルがウェーブと相互作用するに当って、サンプルごとに光学的特性が特によく発現されるモードがあるが、同軸線共振器ではTEMモードだけを使用するしかないので、同軸線共振器を利用した近接場顕微鏡を利用して調査できるサンプルの種類や範囲が狭くなるしかない。
また、前記同軸線共振器103は、マイクロ波帯域の周波数を使用するため、波長が長くなって同軸線共振器103が長くなる。図6の光学顕微鏡で使われた同軸線共振器103は、約2mの長さを有する。このように同軸線共振器103を利用した光学顕微鏡は、全体的な体積が非常に大きく、このような問題によって商品化に問題がある。
従来のさらに他の近接場顕微鏡として、導波管スリットを利用した顕微鏡がある。非特許文献2に開示された導波管スリットを利用した近接場顕微鏡は、図7に示した通り、導波管113の一端にスリット115が形成され、このスリット115の下側にサンプル117が置かれた基板120が配置され、前記基板120の下側にある光源122から光が照射される構造になっている。符号123で示す部材はシャドーマスクである。
前記構造では、光源122から照射された光がサンプル117と相互作用した後、前記スリット115を通じて前記導波管113に入射される。そして、サンプルと相互作用した後の光に対する特性を検出器によって測定することによって、サンプルの形状と特性とが分かる。しかし、前記のような導波管スリット構造では、ウェーブがスリットを通過して広く広げられるため、ウェーブ損失が大きく、かつ分解能が低下される問題点がある。
APPLIED PHYSICS LETTERS,VOLUME 75,NUMBER 20
APPLIED PHYSICS LETTERS,VOLUME 77,NUMBER 1
本発明は前記問題を解決するために案出されたものであって、その目的とするところは、体積が小さく、感度と分解能とに優れて精密にサンプルの光学的特性を調査できる近接場顕微鏡を提供することにある。
また、本発明は、マイクロ波からミリメートル波帯域まで使用できるウェーブの周波数範囲を拡張させ、TEモードとTMモードとを利用して光学的特性を測定できるサンプルの範囲を拡張させた近接場顕微鏡を提供することを目的とする。
本発明のさらに他の目的は、導波管共振器の共振周波数を変化させることによって、一つの導波管共振器を利用して多様なサンプルを測定できて製造コストを節減させる近接場顕微鏡を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明による導波管共振器を利用した近接場顕微鏡は、ウェーブソースと、前記ウェーブソースから出射されたウェーブを進ませる導波管共振器と、前記導波管の外壁を貫通して挿入され、導波管を通じて進むウェーブをサンプルと相互作用させる探針と、前記探針を通じて伝播されてサンプルと相互作用した後、前記探針と導波管とを通じて進まされたウェーブを検出する検出器と、を含むことを特徴とする。
前記導波管共振器の一端に移動可能に結合されて導波管共振器の体積を調節できるチューナが備わる。
前記導波管共振器の内側にある探針部分が直線状またはループ状に形成されうる。
前記ループ探針部分を貫通する磁場の最大値をH、TE10Pモードでのp値はP、ループ探針部分の前端位置をz、ループ探針部分の後端位置をz、導波管共振器の断面の横長さをa、導波管共振器の縦導波管共振器の長さをdという時、前記探針に発生する起電力のサイズは、次の条件式を満足することを特徴とする。
<条件式>
Figure 2004251907
前記探針は、z=3d/2p、z=d/2pに配置されることが望ましい。
ここで、前記導波管共振器にスリットが形成され、探針が前記スリットに沿って移動可能になっている。
前記ウェーブソースは、マイクロウェーブまたはミリメートルウェーブを出射させうる。
前記ウェーブソースから出射されるウェーブの波長をλという時、前記導波管共振器は、λ/4の長さを有することが望ましい。
本発明による近接場顕微鏡は、導波管共振器に結合された探針を通じて伝えられたウェーブとサンプル間の相互作用によって入力抵抗と共振周波数とが変わることを測定することによって、サンプルの光学的特性が分かる。このように導波管共振器に結合された探針を利用してマイクロウェーブ帯域からミリメートルウェーブ帯域までの近接場映像を得られ、分解能を向上させうる。また、導波管共振器と探針とを使用して体積が最小化し、TE、TM波によるサンプルの電磁気的性質を研究しうる。また、導波管共振器に挿入される探針の結合深さを変化させて共振周波数の調節が可能になって作動可能な周波数範囲を広げることによって、その応用範囲を拡張させうる。
また、探針が導波管共振器に挿入される部分をループ状に形成してループの面積と位置とによって最大の感度を得られる利点があり、モードによる近接場イメージを得られる。
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例について詳細に説明する。
本発明による近接場顕微鏡は、図1を参照すれば、ウェーブソース3、前記ウェーブソース3から出射されたウェーブを進ませる導波管共振器5、前記導波管共振器5を貫通して挿入された探針7を含む。そして、前記導波管共振器5の一側には導波管共振器5の体積を変化させうるように導波管共振器5の長手方向に移動可能になったチューナ9が備えられている。
前記ウェーブソース3は、ウェーブの波長を調節可能になっていてマイクロウェーブだけではなく、ミリメートルウェーブを出射させうる。
前記導波管共振器5は、図2(A)に示されたように、中空であり、その断面が、例えば直方体状になった一つの導体よりなっている。このように一つの導体よりなる構造では、TEMモードは存在できず、TMモード及びTEモードだけが存在する。
前記導波管共振器5の断面での横長さをaといい、縦長さをbという時、a、bによるTEモードを求めれば、次の通りである。TEモードは、電場のz方向成分Ez=0であり、磁場のz方向成分Hzは、数式1の通りである。
Figure 2004251907
ここで、zはウェーブの進行方向座標を表し、x、yはウェーブの進行方向に対して垂直な面での座標を表し、n、mは整数を表す。そして、Amnは、導波管共振器5に探針7が挿入されていない場合に導波管共振器5を通じて流れるウェーブの振幅を表し、βは伝播定数を表す。
次いで、TMモードは磁場のz方向成分Hz=0であり、Ezは数式2の通りである。
Figure 2004251907
一方、前記導波管共振器5の断面での横長さa及び縦長さbによって、前記ウェーブソース3の周波数帯域を1GHzから220GHzに至るまで多様に使用することができる。すなわち、a、bによって導波管共振器5の遮断周波数が決定され、遮断周波数以下の周波数は、導波管共振器5を通じて伝播されない。導波管共振器5の遮断周波数fcmnは、TEモードとTMモードとで全て同一であり、次の通りである。
Figure 2004251907
ここで、fcmmは、mとnとの組み合わせよりなる各モードの遮断周波数を表し、導波管共振器5が誘電率εと透磁率μとで充填されていると仮定する。前記数式3によれば、遮断周波数は、導波管共振器5の断面の寸法によって決まる。遮断周波数のうち最も低い遮断周波数を有するモードを基本モードというが、a>bと仮定する時、TE10モードで遮断周波数が最も小さくなる。遮断周波数以下のウェーブは、導波管共振器5を通じて進まないので、遮断周波数が小さいほどウェーブの周波数帯域が広くなる。
本発明は、導波管共振器5を利用するので、TEM波だけが発生する同軸線共振器と異なって、TEモードとTMモードとが発生し、これによりさらに多様なモードを利用して調査できるサンプルの領域を拡大させうる。また、特定周波数だけが発生するストリップラインと異なって、遮断周波数以上での全ての周波数帯域を使用することができる。言い換えれば、ストリップラインは、特定周波数だけが伝播されるように幅と長さとを決定して製作するために、特定周波数以外の周波数は損失が非常に大きく、伝播されたとしても急に消滅される。一方、導波管共振器は、遮断周波数以下の周波数は消滅させ、遮断周波数以上の周波数は通過させる。
前記のように、前記ウェーブソース3は、周波数変調が可能であり、導波管共振器5ではミリメートルウェーブ及びマイクロウェーブが全て使用されうるので、前記ウェーブソース3で周波数を変調して適切な周波数のウェーブを使用できる。
一方、図2(B)に示されたように、導波管共振器5にホール8を形成し、このホール8に探針7を挿入した後、テフロン(登録商標)11を利用してシーリングすることによって前記探針7を固定させうる。前記探針7は、導波管共振器5の内部に完全に挿入されず、その一部7aは導波管共振器内部に入り、残り7bは導波管共振器5の外部に露出されるように設置される。
図1を参照すれば、導波管共振器5の外部に露出された探針部分7bに近接して光学的特性を調査しようとするサンプル10が位置する。前記サンプル10は、移動可能な支持台2に載せられており、前記支持台2が移動するにつれて前記探針7に対してサンプル10の全領域がスキャニングされるようになっている。
前記探針7は、金属、誘電体または磁性体よりなりうる。この探針7は、顕微鏡の分解能を決定する重要な要素のうち一つであって、KOH溶液で電気化学的にエッチングして探針の終端の直径を10μm以内に製作する。探針7の終端の直径が短いほど分解能が向上する。また、分解能だけではなく、感度を向上させるために、図2(C)に示されたように、部分2段階エッチングによって製作されたハイブリッド探針7’を使用することもある。
一方、前記探針7は、図2(B)に示されたように、導波管共振器5の内部にある部分7aが線形であり、かつ、外部にある探針部分7bが線形に形成された電気探針として構成することができる。また、前記探針7は、図3に示されたように、導波管共振器5の内部にある部分7”aが線形に形成され、かつ、導波管共振器5の外部にある探針部分7”bがループ状に形成された磁気探針7”として構成することもできる。電気探針は、磁気探針に比べて相対的にインピダンスが大きいので、インピダンスが大きいサンプルに対する特性を測定する時に適しており、磁気探針は、電気探針に比べて相対的にインピダンスが小さいので、インピダンスが小さなサンプルに対する特性を測定する時に適している。
次いで、前記探針7を通じて流れる電流について説明する。図2(B)を参照すれば、前記導波管共振器5の断面での横長さをa、縦長さをbといい、前記探針7の導波管共振器5に結合された横方向位置をx、導波管共振器5の内部に結合された探針部分7aの長さをhという時、前記探針7を通じて伝播される電流値Iと電流密度Jとは数式4の通りである。ここで、探針7がy方向に配置されているので、探針7を通じて流れる電流密度Jは、y方向成分だけを有する。
Figure 2004251907
数式4で、Iは探針7を通じて伝播される電流の最大値、ωは2πfを、cは光速を各々表す。また、探針7を通じて伝播されるウェーブのサイズAは、数式5の通りである。
Figure 2004251907
ここで、Zλは、導波管共振器5の内部の波動インピダンスを表す。このように導波管共振器5に探針7が挿入された場合に、TEモードとTMモードとでy方向成分だけ余るので、y方向の電場成分は、次の数式6の通りである。
Figure 2004251907
Figure 2004251907
そして、前記探針7を通じて伝播される電磁気波の周波数fは、次の通りである。
Figure 2004251907
Figure 2004251907
前記数式9でZを考慮すれば、探針7を電気的な抵抗を有するサンプルに近く、すなわち、近接場領域に接近させれば、探針7とサンプル10との間に電気的なキャパシタンス効果が発生する。キャパシタンスは、サンプル10に流入される入力抵抗成分を低める機能をし、相異なるサンプルに対しては入力抵抗成分の変化が異にあらわれる。このような原理に基づいて近接場領域内へサンプル10を接近させつつ発生する入力抵抗成分の強度変化を定量的に測定することによって、サンプルをイメージ化しうる。
ここで、近接場効果によってサンプル10及びTE10モードの導波管共振器5に結合された探針7が相互作用しつつ前記数式9によって探針の入力抵抗成分が変わり、前記数式7によってTE10モードの振幅が変わる。これは、直四角形の断面を有する導波管共振器の物質摂動理論によって説明できる。
また、前記導波管共振器5に結合された探針7を通じてサンプル10にウェーブが伝えられ、このウェーブとサンプル10との相互作用によって共振周波数の強度が変わる。すなわち、サンプル10に探針7が近くなれば、サンプル10を含む新しい共振器が形成され、サンプルの物理的性質によってこの新しい共振器の共振周波数が変わる。したがって、ウェーブとサンプルとの相互作用によって変化された共振周波数を測定してサンプルの特性が分かる。
これにより、本発明による近接場顕微鏡で導波管共振器5に結合された探針7とサンプル10間の電気的な相互作用を通じて高感度、高分解能の近接場イメージを得られる。
一方、電子界分布の外形摂動理論によって導波管共振器5の共振周波数の変化は、次の数式10によって説明されうる。
Figure 2004251907
ここで、E及びHは摂動されていない電場及び磁場を表し、ε及びμは摂動されていない状態の誘電定数及び磁化率を表す。そして、vは電磁気場が発生する領域の体積、fは変化された共振周波数、fは変化される前の共振周波数である。しかし、前記探針7の厚さが非常に薄い場合には、探針7が導波管共振器5の内部で占めている断面積での電子界が一定であると仮定できる。このような仮定をし、前記数式10で前記導波管共振器5のa/2、b/2、d/2の位置にrの半径を有するホール8を形成し、このホール8に探針7を設置した時に次のような式が得られる。
Figure 2004251907
ここで、△vは探針7が導波管共振器5を占めている体積であり、vは探針が挿入されていなくて摂動がない導波管共振器の体積である。前記数式11によれば、探針7が導波管共振器5に深く結合するほど導波管共振器5の共振周波数が減少する。このような関係を利用して、導波管共振器の共振周波数の変化を検査することによって探針が導波管共振器に結合した深さが分かる。一方、導波管共振器5に探針7を結合させる深さを調節して共振周波数を調節することができる。このように共振周波数を多様に調節できるので、導波管共振器で使用できる共振周波数の範囲が広くなる。
一方、前記のようにTE10モードの導波管共振器5に探針7を結合するために導波管共振器5にホール8を形成すると、このホール8を通じて電子界が分極されるが、電気分極率は、次の数式12の通りである。
Figure 2004251907
ここで、rは前記ホール8の半径を表し、電気分極はホール8の半径の3自乗に比例する。これは、電子界がホールの半径が大きいほどホールを通じて抜け出る分極電流の強度が大きくなることを意味する。したがって、前記ホール8を最大限小さくすることが望ましく、分極を防止するために前記ホール8をテフロン(登録商標)11を利用してシーリングする。
次いで、本発明の実施例2による近接場顕微鏡は、図4(A)に示されたように導波管共振器20に探針22が結合され、前記導波管共振器20の内部に結合された探針部分22aがループ状になっていることを特徴とする。実施例2による近接場顕微鏡は、実施例1と比較する時、導波管共振器20及び探針22の構造だけが異なり、残りの構成は同じである。したがって、図1に示された近接場顕微鏡の全体的な構造は、実施例2による近接場顕微鏡にも同一に適用されうる。
ファラデー法則によれば、前記ループ状の探針部分22aを通過する磁場Hx成分を利用して探針22に起電力を発生させうる。前記ループ状の探針部分22aに最大の起電力を発生させるためには、磁場が前記ループ状の探針部分22aを垂直に通過しなければならない。しかし、磁場は、ウェーブの進行方向に垂直な方向を有するため、前記ループ状の探針部分22aに最大の起電力を発生させるために前記探針部分22aがウェーブの進行方向に対して平行に配置されることが望ましい。そして、次の数式13を利用してループ状の探針部分22aに最大の起電力Vを発生させうる位置を探すことができる。
Figure 2004251907
前記数式で、Hはループ探針部分22aを貫通する磁場の最大値、pはTE10Pモードでのp値を表す。また、図4(B)を参照すれば、zはループ探針部分22aの前端位置を、zはループ探針部分22aの後端位置を、dは導波管共振器20の長さを表す。前記数式によれば、ループ探針部分22aをz=3d/2p、z=d/2pに位置させた時、前記探針22に最大の電流を発生させ、この時に最大感度を得られる。例えば、p=2である時、最大起電力を発生させるループ探針部分22aの位置はz=3d/4、z=d/4である。また、ループ探針部分22aの前端位置z、ループ探針部分22aの後端位置zが変われば、ループ探針部分22aの面積が変わる。
前記のように導波管共振器20に探針22が結合される位置によって感度が変わるので、前記探針22の位置を調節可能にすることが望ましい。したがって、図4(A)に示されたように前記導波管共振器20にスリット25を形成し、このスリット25に探針22を結合する。そして、前記スリット25に沿って探針22を移動可能にすることによって探針22の位置を調節する。これにより、モードによって前記探針22に最大の起電力が発生する位置を容易に調節できる。すなわち、モードが幾つか存在する時、TE10Pモードでのp値によって最大起電力が発生する位置が変わりうるだけでなく、周辺環境(温度、湿度など)によって影響を受けるので、最大起電力が発生する位置が変わりうる。起電力が最大となる位置を探して探針22を前記スリット25に沿って移動させることによって一つの導波管共振器20を利用して多様なモードでのサンプルの特性が分かる。
さらに、前記ループ探針部分22aの面積を調節して最大の感度を得られる。ループ探針部分22aの面積が広いほどループを通過する磁気力線が多くなるので、起電力が増加する。前記導波管共振器20の内部に発生する色々なのTEモードと、前記ループ状の探針部分22aの面積とを調節して最大の感度を得らえる。そして、モード別にサンプルの物理的特性はそれぞれ異にイメージ化される。
前記探針22は、導波管共振器20の外部に位置する探針部分22bが図4(B)に示されたように線形の電気探針として構成することができる。また、前記探針22は、図5に示されたように、導波管共振器20の外部に位置する探針部分22’bがループ状になった磁気探針22’として構成することもできる。この時、導波管共振器20の内部に位置する探針部分22’aは、前述したようにループ状になっている。
一方、前記探針22,22’の材質によって探針を通じて流れる電流の入力抵抗成分が異なり、これによりモード別にサンプルの特性が異なる。例えば、探針の材質が磁性体、誘電体または導体であることによって、入力抵抗成分が異なる。例えば、金属探針としては伝導性の良い鋼鉄を使用することが良い。
次いで、前記実施例1による近接場顕微鏡を利用してサンプルの光学的特性を調べる作用について説明するが、この説明は、実施例2による近接場顕微鏡にも同一に適用されうる。
図1を参照すれば、ウェーブソース3から出射されたウェーブがアイソレータ4を経由して導波管共振器5を進む。そして、導波管共振器5に結合された探針7を通じてサンプル10にウェーブが伝えられ、ウェーブとサンプル10との相互作用によって入力抵抗と共振周波数との強度が変わる。入力抵抗と共振周波数との強度変化を測定してサンプル10の特性が分かる。
一方、サンプル10に対する3次元映像を得るために100nmの分解能を有するコンピュータ(図示せず)で駆動できる支持台2にサンプル10を載せる。前記支持台2は、インターフェースを通じてコンピュータに連結されて自動調節される。前記支持台2を移動させてサンプル10を前記探針7に対してスキャンすることによってサンプルの3次元映像を得られる。
前記探針7とサンプル10との相互作用によるマイクロウェーブ及びミリメートルウェーブ領域の共振周波数の強度変化をダイオード検出器12によって検出する。そして、デジタルマルチメートル13によってkHz単位に変調された信号がロックイン増幅器14によって増幅される。前記ロックイン増幅器14は、ウェーブソース3と導波管共振器5間に信号対雑音比を向上させてノイズを最小化するためのものである。このように増幅された信号は、コンピュータ15を通じて処理されてイメージ化される。
一方、前記ウェーブソース3と導波管共振器5間の入力抵抗を、ピンダイオード変調器6を使用して変調することができる。
さらに、前記導波管共振器5で励起される電磁気場の結合程度を高めるために導波管共振器5の一側に結合された前記チューナ9を利用して前記導波管共振器5の長さを調節する。特に、前記ウェーブソース3から出射されるウェーブの波長をλとした時、前記導波管共振器5の長さをλ/4に調節することが望ましい。ここで、導波管共振器5の長さをλ/4に調節することは、導波管共振器5の内部に定常波が発生して共振を起すためである。このように導波管共振器5の長さを調節して導波管共振器に定常波が発生した時、最大補強干渉が生じてエネルギーが最大になる。
前記のように、本発明による近接場顕微鏡は、導波管共振器に電気探針または磁気探針を結合して高分解能、高感度にサンプルの光学的特性を調査できる。
本発明による近接場顕微鏡は、回折限界を克服した方法の一つとして近接場効果を利用した顕微鏡であって、集積化デバイスの微細構造に対する光学特性をマイクロ波及びミリメートル波領域で高分解能及び高感度に測定できる。
図1は本発明による導波管共振器を利用した近接場顕微鏡の全体的な構成図である。 図2(A)は、本発明の実施例1による近接場顕微鏡に使われる導波管共振器の斜視図であり、図2(B)は、同図(A)のIV−IV断面図であり、図2(C)は、本発明の実施例1による近接場顕微鏡に使われる導波管共振器に結合されたハイブリッド探針を示す図面である。 図3は本発明の実施例1による近接場顕微鏡に使われる導波管共振器に磁気探針が結合された例を示す図面である。 図4(A)は、本発明の実施例2による近接場顕微鏡に使われる導波管共振器を示す図面であり、図4(B)は、同図(A)のVI−VI断面図である。 図5は本発明の実施例2による近接場顕微鏡に使われる導波管共振器に磁気探針が結合された例を示す図面である。 図6は従来の同軸線を利用した近接場顕微鏡を示す図面である。 図7は従来のスリットが形成された導波管を利用した近接場顕微鏡を示す図面である。
符号の説明
2 支持台
3 ウェーブソース
4 アイソレータ
5 導波管共振器
6 ピンダイオード変調器
7 探針
9 チューナ
10 サンプル
12 検出器
13 デジタルマルチメートル
14 ロックイン増幅器
15 コンピュータ

Claims (16)

  1. ウェーブの周波数を調節できるウェーブソースと、
    前記ウェーブソースから出射されたウェーブを進ませる導波管共振器と、
    前記導波管共振器の外壁を貫通して挿入されて、導波管共振器を通じて進むウェーブをサンプルと相互作用させる探針と、
    前記探針を通じて伝播されてサンプルと相互作用した後、前記探針と導波管とを通じて進まされたウェーブを検出する検出器と、を含むことを特徴とする導波管共振器を利用した近接場顕微鏡。
  2. 前記導波管共振器の一端に移動可能に結合されて導波管共振器の長さを調節できるようになったチューナが備わったことを特徴とする請求項1に記載の導波管共振器を利用した近接場顕微鏡。
  3. 前記導波管共振器の内側にある探針部分が直線状になったことを特徴とする請求項1に記載の近接場顕微鏡。
  4. 前記導波管共振器の内側にある探針部分がループ状になったことを特徴とする請求項1に記載の近接場顕微鏡。
  5. 前記導波管共振器の外側にある探針部分が直線状またはループ状になったことを特徴とする請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の近接場顕微鏡。
  6. 前記探針は、
    金属、誘電体または磁性体よりなることを特徴とする請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の近接場顕微鏡。
  7. ループ探針部分を貫通する磁場の最大値をH、TE10Pモードでのp値、ループ探針部分の前端位置をz、ループ探針部分の後端位置をz、導波管共振器の断面の横長さをa、導波管共振器の長さをdという時、前記探針に発生する起電力のサイズは、次の条件式を満足することを特徴とする請求項4に記載の近接場顕微鏡。
    <条件式>
    Figure 2004251907
  8. 前記探針は、z=3d/2p、z=d/2pに配置されることを特徴とする請求項7に記載の近接場顕微鏡。
  9. 前記導波管共振器にスリットが形成され、探針が前記スリットに沿って移動可能になったことを特徴とする請求項5、7または8に記載の近接場顕微鏡。
  10. 前記導波管共振器の断面の横長さをa、縦長さをb、m及びnは整数である時、前記導波管共振器の遮断周波数fcmnが次のような条件式を満足し、遮断周波数以上の周波数が使われることを特徴とする請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の近接場顕微鏡。
    <条件式>
    Figure 2004251907
  11. 導波管共振器に探針が結合される前の共振周波数と体積とを各々f、v、導波管共振器に探針が結合された後の体積変化を△vという時、前記導波管共振器の共振周波数fは、次の条件式によって変化されることを特徴とする請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の近接場顕微鏡。
    <条件式>
    Figure 2004251907
  12. 前記探針は、部分2段階エッチングによって製作されたハイブリッド探針であることを特徴とする請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の近接場顕微鏡。
  13. 前記ウェーブソースと導波管共振器との間に信号対雑音比を向上させてノイズを最小化するためのロックイン増幅器が備わることを特徴とする請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の近接場顕微鏡。
  14. 前記ウェーブソースは、マイクロウェーブまたはミリメートルウェーブを出射させることを特徴とする請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の近接場顕微鏡。
  15. 前記ウェーブソースから出射されるウェーブの波長をλという時、前記導波管共振器はλ/4の長さを有することを特徴とする請求項1または2に記載の近接場顕微鏡。
  16. 前記ループ状の探針部分は、ウェーブの進行方向に対して平行に配置されることを特徴とする請求項4に記載の近接場顕微鏡。
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