JP2004251858A - 到来波電力算出装置、到来波電力算出方法及びアンテナシミュレーション装置 - Google Patents

到来波電力算出装置、到来波電力算出方法及びアンテナシミュレーション装置 Download PDF

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英明 岡本
Tokio Taga
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Abstract

【課題】本願の課題は、到来波の電力分布を従来よりも詳細に算出することの可能な到来波電力分布算出装置、方法及びアンテナシミュレーション装置を提供することである。
【解決手段】本発明による到来波電力算出装置は、空間的な電力分布の計算に必要なパラメータを設定するパラメータ設定手段と、設定されたパラメータ及び複数の第1確率密度関数を利用して、N個(Nは自然数)の到来波の各々について、電力分布を算出する第1算出手段と、少なくとも前記第1算出手段により算出されたN個の電力分布に基づいて、1つの合成電力分布を作成する合成手段を有する。前記合成電力分布にて所定値を超える電力値を有する方向の内、任意の1つの方向における電力値は、前記N個の電力分布における前記任意の1つの方向に関連するN個の電力値の何れかに等しい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に移動通信の技術分野に関し、特に到来波電力分布算出装置、到来波電力分布算出方法及び到来波電力分布算出装置を有するアンテナシミュレーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、移動通信システムで使用されるアンテナに関する各種のパラメータは、シミュレーションを行うことで最適化される。このシミュレーションは、到来波の空間的な電力の分布(到来波電力分布)や、アンテナの指向性等を利用して行われる。
【0003】
従来のシミュレーション手法では、電波の到来する方向について、方位角(φ)は一様な確率分布で与えられ、仰角(θ)はガウス分布で与えられるような確率密度関数が使用されていた。ここで、仰角(θ)とは、極座標(r,θ,φ)における鉛直方向に対する到来波の入射角であり(−π/2≦θ≦π/2)、方位角(φ)とは水平面内のある軸に対する到来波の入射角である(0≦φ≦2π)。このような数学的モデル(確率密度関数)を利用して、例えば実環境下における移動局アンテナの実効利得が評価される。従来の移動局アンテナは、水平面内無指向性アンテナを基にした受動アンテナが用いられており、実環境(例えば、電波伝搬環境)が変化しても指向性は変化しない。従って、上記の仮定の下に行われるシミュレーションは、比較的高精度の評価結果を与える。このようなシミュレーション手法については、例えば非特許文献1に開示されている。
【0004】
【非特許文献1】
T.Taga,“Analysis for Mean EffectiveGain of Mobile Antennas in Land Mobile Radio Environments”,IEEE Trans.on VT,Vol39,No.2,May1990
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
現在、通信品質の向上とシステムの容量を増大させるために、広帯域移動通信システムへの空間信号処理技術の適用が検討されている。このうち代表的なものは、適応アレーアンテナ(AAA:Adaptive Array Antenna)を利用する技術であり、これは、ビームフォーミング又はヌルフォーミングを行うことで、希望波と干渉波を空間的に分離する適応制御技術である。適応アレーアンテナは、所定の方向(方位角及び仰角で特定される)で電波強度が強くなるように、指向性(指向性パターン)を調整することが可能である。指向性の強いビームを利用して無線信号を伝送することで、通信資源を節約しつつ干渉の少ない通信システムを実現することが可能になる。ただし、実環境の変化に応じて、その指向性が適応的に制御される必要がある。このような適応アレーアンテナの特性(例えば、実効利得)を正確に評価するには、到来波の空間的な電力分布を詳しく知る必要がある。
【0006】
しかしながら、指向性が固定の受動アンテナを前提とする従来の手法では、適応アレーアンテナを十分に評価することは困難である。また、一定期間にわたる平均的な到来波の電力分布を利用する従来の手法では、刻一刻と変化する実環境化に応じて変化する適応アレーアンテナの指向性を評価することは困難である。
【0007】
一方、移動通信システムで伝送される信号は、マルチパス伝搬環境に委ねられる。この場合に、あるマルチパス成分が伝送速度の低い場合には無視することが可能であったとしても、伝送速度が高くなるとそれを無視せずに先行波と区別して取り扱う必要性が生じる。従って、高速のデータ伝送を行う上記のような広帯域移動通信システムのシミュレーションでは、従来とは異なり、先行波に続いて到来する複数のパスを適切に取り扱うことが望まれる。
【0008】
本願の課題は、到来波の電力分布を従来よりも詳細に算出することの可能な到来波電力分布算出装置、到来波電力分布算出方法及びアンテナシミュレーション装置を提供することである。
【0009】
本願の別の課題は、到来波の電力分布を従来よりも詳細に算出することが可能であり、適応アレーアンテナの特性を評価するのに適した到来波電力分布算出装置、到来波電力分布算出方法及びアンテナシミュレーション装置を提供することである。
【0010】
本願の別の課題は、複数のパス(到来波)の影響を適切に取り扱うことで、到来波の電力分布を従来よりも詳細に算出することが可能な到来波電力分布算出装置、到来波電力分布算出方法及びアンテナシミュレーション装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による到来波電力推定装置は、設定されたパラメータ及び複数の第1確率密度関数を利用して、N個の到来波の各々について、電力分布を算出する第1算出手段と、少なくとも前記第1算出手段により算出されたN個の電力分布に基づいて、1つの合成電力分布を作成する合成手段を有する。合成電力分布にて所定値を超える電力値を有する方向の内、任意の1つの方向における電力値は、前記N個の電力分布における前記任意の1つの方向に関連するN個の電力値の何れかに等しい。従って、マルチパス伝搬環境の影響に配慮しつつ従来よりも詳細に電力分布を算出することが可能になる。
【0012】
本発明による到来波電力算出装置は、設定されたパラメータ及び第2確率密度関数を利用して、前記N個の到来波以外の到来波について1つの電力分布を算出する第2算出手段を有する。前記合成手段は、前記第1及び第2算出手段により算出されたN+1個の電力分布に基づいて、1つの合成電力分布を作成する。前記合成電力分布における任意の1つの方向の電力値は、前記N+1個の電力分布における前記任意の1つの方向に関連するN+1個の電力値の何れかに等しい。支配的なN個の到来波と、その他の到来波との影響を適切に考慮することで、高精度な電力分布を作成することが可能になる。
【0013】
本発明による到来波電力算出装置は、所与の電力分布における電力値を、該電力値に関連する方向の複素振幅に変換する変換手段と、前記合成電力分布における各電力値に対応する複素振幅に基づいて、複素振幅分布を作成する複素振幅分布算出手段を有する。これにより、適応アレーアンテナのように、実環境の変化、すなわち電力分布の変化によって指向性パターンを変化させるアンテナの特性を高精度にシミュレーションすることが可能になる。
【0014】
本発明の到来波電力算出装置におけるパラメータ設定手段は、少なくとも第1確率密度関数を定義するのに必要な初期パラメータを設定する初期パラメータ設定手段と、移動体の移動条件を設定するための移動条件設定手段と、移動条件に合わせて初期パラメータを出力する出力手段を有する。これにより、例えば、移動局の移動条件に関連付けられた初期パラメータを次々と設定又は出力してゆくことで、移動中の移動局アンテナの様子をシミュレーションすることが可能になる。
【0015】
本発明によれば、極座標表示における仰角方向θ及び方位角方向φの両方向に対して、到来波がガウス分布となるような第1確率密度関数(数式1,9)が使用される。これにより、指向性の強いアンテナをシミュレーションすることが可能になる。
【0016】
本発明によれば、総ての到来波の内、比較的電力の高いN個の到来波以外の到来波全体について、方位角方向に一様な分布を与える確率密度関数が使用される。これにより、N個のパスだけでなく総ての到来波の影響を考慮し、より高精度に電力分布を作成することが可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
[第1実施例]
図1は、本願第1実施例によるアンテナシミュレーション装置の全体図を示す。アンテナシミュレーション装置は、概して、垂直偏波成分の平均到来波電力分布を算出する垂直偏波電力分布算出部100と、水平偏波成分の平均到来波電力分布を算出する水平偏波電力分布算出部100と、アンテナ出力部109とを有する。
【0018】
垂直偏波電力分布算出部100は、到来波パラメータ入力部101を有し、これにより、後述するようなN+1個の確率密度関数を定義するのに必要な初期パラメータと、移動端末の移動条件を定めるための移動条件パラメータとが設定される。これらのパラメータの全部又は一部は、アンテナシミュレーション装置の外部から与えることも可能であるし、到来波パラメータ入力部101内で算出することも可能である。初期パラメータには、例えば、
電力分布におけるピーク電力値A (n)
到来波の平均仰角θ(n) mV
到来波の平均方位角φ(n) mV
仰角の標準偏差σ(n) θV
方位角の標準偏差σ(n) φV,及び
一定の電力値B(N+1) 等が含まれる。
この場合において、nは、ある自然数N以下の自然数である。Nは、アンテナに向かって様々方向から伝搬して来るマルチパス成分(個々の到来波)の内、例えば電力レベルの高い順に選択されたパス(到来波)の数を示す。nの範囲は、電力及び仰角については1≦n≦N+1であり、方位角については1≦n≦Nである。なお、例えば信号雑音比のような電力レベル以外の基準に基づいてN個のパスを選択することも可能である。また、下付の添え字「V」は、それらの値が垂直偏波成分に関する値であることを示す。水平偏波電力分布算出部100にも同様なパラメータが与えられる。
【0019】
到来波パラメータ入力部101の出力は、(N+1)個の3次元的な平均到来波電力分布を算出する第1乃至第(N+1)算出部102V1−102V(N+1)に接続される。第1乃至第(N+1)算出部102V1−102V(N+1)の出力は、3次元的な(N+1)個の平均到来波電力分布を合成して、1つの合成電力分布を作成する合成部103に接続される。合成部103は、第1乃至第(N+1)算出部102V1−102V(N+1)の出力に接続された平均到来波電力比較部104を有する。平均到来波電力比較部104は平均到来波電力選択部105に接続される。
【0020】
なお、「電力分布」とは、到来波の空間的な電力の分布であり、空間的な方向(θ,φ)と電力値とを対応付けるものである。従って、1つの電力分布は、シミュレーションの行われる総ての方向(−π/2≦θ≦π/2,0≦φ≦2π)の1つ1つと、それらの方向に関連する電力値との対応関係を与える。
【0021】
水平偏波電力分布算出部100は、垂直偏波電力分布算出部100と同様の構成を有するが、取り扱う到来波の数はM(自然数)であり、これは上記のNと同一であっても良いし異なっていても良い。簡単のため図示を省略するが、水平偏波電力成分算出部100は、到来波パラメータ入力部101を有し、これにより、M+1個の確率密度関数を定義するのに必要な初期パラメータと、移動端末の移動条件を定めるための移動条件パラメータとが設定される。到来波パラメータ入力部101の出力は、(M+1)個の3次元的な平均到来波電力分布を算出する第1乃至第M+1算出部102H1−102H(M+1)に接続される。これらの出力は、3次元的なM+1個の平均到来波電力分布を合成して、1つの合成電力分布を作成する合成部103に接続される。合成部103は、第1乃至第M+1算出部102H1−102H(M+1)の出力に接続された平均到来波電力比較部104を有する。平均到来波電力比較部104は平均到来波電力選択部105に接続される。
【0022】
垂直偏波電力分布算出部100の平均到来波電力選択部105及び水平偏波電力分布算出部100の不図示の平均到来波電力選択部105は、アンテナ出力部109のアンテナ出力算出部106に接続される。アンテナ出力算出部106には、評価対象とするアンテナパターンの仰角成分及び方位角成分を出力するアンテナパターン仰角成分入力部107及びアンテナパターン方位角成分入力部108が接続される。アンテナ出力算出部106は、これらの入力に基づいて、実効利得や電力値等のアンテナ出力を出力する。
【0023】
動作を次に説明する。第1ないし第(N+1)算出部102V1−102V(N+1)は、到来波パラメータ設定部101から各種のパラメータを受け取り、(N+1)個の3次元的な平均到来波電力分布を算出する。例えば、第n算出部101Vn(nはN以下の自然数)は、N個の到来波(パス)の内のn番目のパスに対する空間的な平均電力分布を次式(数式6)に基づいて算出する。
【0024】
【数6】
Figure 2004251858
ここで、P(n)(θ,φ)は、n番目の到来波についての空間的な電力分布であり、
θは、(r,θ,φ)極座標における鉛直方向からの角度である仰角(−π/2≦θ≦π/2)であり、
φは、水平面内のある軸からの角度である方位角(0≦φ≦2π)であり、
(n)は、電力分布におけるピーク電力値であり、
θ(n) は、到来波の平均仰角であり、
φ(n) は、到来波の平均方位角であり、
σ(n) θは、仰角の標準偏差であり、
σ(n) φは、方位角の標準偏差である。
また、「平均」とあるのは、ある期間内の時間平均又は複数のサンプルに対する平均値を意味し、後述する「瞬時値」の平均値を示す。
【0025】
数式6によれば、到来波方向の仰角θだけでなく、方位角φについてもガウス分布であることが想定されている。この点、方位角φについては一様な分布であることを想定していた従来の手法と大きく異なる。N個のパスについては、数式6を用いてパス毎に電力分布が算出され、第1乃至第N算出部102V1−102VNによりN個の電力分布が得られる。上述したように、各算出部の出力は、例えば(仰角、方位角、電力値)の総ての組み合わせを一覧表の形式で与える。
【0026】
一方、アンテナに到来する到来波の数は理論上は無数にあり、上記N個の到来波はその内の主要なものに相当する。総ての到来波から上記N個の到来波を除いた残余の到来波については、電力は比較的小さく、方位角φについての依存性も一様であると近似することが可能である。第(N+1)算出部では、この残余の到来波についての電力分布を、次式(数式7)に従って算出する。
【0027】
【数7】
Figure 2004251858
により表現され、
(N+1)(θ,φ)は、上記のN個以外の到来波全体についての空間的な電力分布であり、
θは、仰角であり、
φは、方位角であり、
(N+1)は、電力分布におけるピーク電力値であり、
θ(N+1) は、到来波の平均仰角であり、
σ(N+1) θは、仰角の標準偏差であり、
(N+1)は、一定の電力値である。
数式7に示されるように、仰角θについてはガウス分布であるが、方位角φについては一様な分布であることが想定されている。
【0028】
第1乃至第N算出部102V1−102VN及び第(N+1)算出部102V(N+1)により算出された(N+1)個の電力分布は、合成部103に与えられる。平均到来波電力比較部104は、(N+1)個の電力分布に対して同一角度条件(θ、φ)における電力値(平均到来波電力)を比較する。上述したように、各電力分布は、ある方向(仰角θ、方位角φ)とその方向に対応する電力値の総ての組み合わせ(例えば、一覧表)として与えられる。平均到来波電力比較部104には、(N+1)個の電力分布が与えられているので、ある1つの方向(仰角θ、方位角φ)を指定すると、その方向に関する(N+1)個の電力値を指定することができる。
【0029】
これら(N+1)個の電力値の内、最も大きな電力値を有するものが、平均到来波電力選択部105により選択される。例えば、ある1つの方向(仰角θ、方位角φ)に対して、(N+1)個の電力値pij (1),pij (2),...,pij (N),pij (N+1)が指定され、これら(N+1)個の電力値のうちの最大値pij (k)が選択されたとする。平均到来波電力選択部105は、その方向(仰角θ、方位角φ)に対して電力値pij (k)を関連付ける。このような電力値の比較及び選択が総ての方向について行われることで、1つの新たな合成電力分布が作成され、垂直偏波に関する最終的な平均電力分布として、出力される。言い換えれば、合成電力分布における任意の1つの方向の電力値は、算出された(N+1)個の電力分布における上記任意の1つの方向に関連する(N+1)個の電力値の何れかに等しい、と言える。更に、N個の到来波に関するN個の電力分布に関して言えば、合成電力分布にて所定値を超える電力値を有する方向の内、任意の1つの方向の電力値は、該任意の1つの方向に関するN個の電力値の何れかに等しい、と言える。なお、このようにして出力される合成電力分布も、総ての方向についての電力値として、例えば一覧表の形式で出力される。
【0030】
なお、1つの方向における(N+1)個の電力値を加算して、その方向における1つの電力値を形成することも理論的には可能であるが、電力値の誤差を小さくする観点からは、本実施例のように最大値を選択することが望ましい。ガウス分布のようなすそ野の広い分布関数を利用する場合には、分布の中心から比較的遠く離れていても0でない電力値が得られる。(N+1)個の電力値を加算してしまうと、そのようなすそ野の部分を重ね合わせることに起因して、実際には低電力の方向であるにもかかわらず、シミュレーションでは無視できない電力レベルになることが懸念される。
【0031】
このような垂直偏波電力分布算出部100における動作と同様の動作が、水平偏波電力分布算出部100でも行われる。垂直偏波電力分布算出部100及び水平偏波電力分布算出部100からの合成電力分布は、アンテナ出力部109のアンテナ出力算出部106に入力される。アンテナ出力算出部106では、垂直偏波及び水平偏波に関する2つの合成電力分布と、アンテナパターンの仰角成分及び方位角成分とに基づいて、アンテナ出力を算出し、シミュレーション結果として出力する。
【0032】
本実施例では、(N+1)個の到来波についての電力分布を作成し、これを1つに合成することで合成電力分布を作成している。しかしながら、主要なN個の到来波についての電力分布のみに基づいて、1つの合成電力分布を作成することも可能である。ただし、(N+1)番目の電力分布は、N個の到来波以外の総ての到来波の影響を表現しているので、N個だけでなく(N+1)個の電力分布を考慮すれば、(少なくとも近似的には)総ての到来波を考慮することが可能になる。従って、高精度化の観点からは、(N+1)個総ての電力分布を考慮して合成電力分布を作成することが望ましい。例えば、ある方向では、N個の主要な到来波による電力値よりも、(N+1)番目の電力分布(N個の到来波以外の到来波の電力分布)による電力値の方が大きい場合もあり得る。
【0033】
[第2実施例]
図2は、本願第2実施例によるアンテナシミュレーション装置の全体図を示す。本実施例では、複数の(p個の)アンテナ素子を有する適応アレーアンテナのシミュレーションを行うことを想定している。アンテナシミュレーション装置は、概して、垂直偏波成分の平均到来波電力分布を算出する垂直偏波複素振幅分布算出部200と、水平偏波成分の平均到来波電力分布を算出する水平偏波複素振幅分布算出部200と、振幅位相調整部213と、アンテナ出力部215とを有する。
【0034】
垂直偏波複素振幅分布算出部200は、第1実施例と同様に、到来波パラメータ入力部201を有し、(N+1)個の確率密度関数を定義するのに必要な初期パラメータと、移動端末の移動条件を定めるための移動条件パラメータとが設定される。到来波パラメータ入力部201の出力は、(N+1)個の3次元的な平均到来波電力分布を算出する第1乃至第(N+1)算出部202V1−202V(N+1)に接続される。第1乃至第(N+1)算出部202V1−202V(N+1)の出力は、3次元的な(N+1)個の平均到来波電力分布を合成して、1つの合成電力分布を作成する合成部214に接続される。合成部214は、第1乃至第(N+1)算出部102V1−202V(N+1)の出力に接続された平均到来波電力比較部204を有する。平均到来波電力比較部204は平均到来波電力選択部205に接続される。
【0035】
更に、垂直偏波複素振幅分布算出部200は、第1乃至第(N+1)算出部202V1−202V(N+1)の出力にそれぞれ接続される第1乃至第(N+1)複素振幅変換部203V1−203V(N+1)を有する。垂直偏波複素振幅分布算出部200は、第1乃至第(N+1)複素振幅変換部203V1−203V(N+1)の出力に接続され、平均到来波電力選択部205の出力にも接続される複素振幅選択部206を有する。
【0036】
水平偏波複素振幅分布算出部200の構成は、垂直偏波複素振幅分布算出部200と同様であるため、説明を省略する。ただし、水平偏波複素振幅分布算出部で取り扱う到来波の数M(自然数)、及び使用するパラメータの値は、垂直偏波複素振幅分布算出部のものと同一であっても良いし異なっていても良い。
【0037】
垂直偏波複素振幅分布算出部200の平均到来波電力選択部205及び水平偏波複素振幅分布算出部200の不図示の平均到来波電力選択部205は、振幅位相調整部213に接続される。振幅位相調整部213は、垂直偏波複素振幅分布算出部200からの信号をp個に分配する分配器207を有する。振幅位相調整部213は、分配部207の出力に接続される振幅部208V1及び移相部209V1、ないし振幅部208Vp及び移相部209Vpを有する。同様に、振幅位相調整部213は、水平偏波複素振幅分布算出部200からの合成振幅分布を示す信号をp個に分配する分配器207を有する。振幅位相調整部213は、分配部207の出力に接続された振幅部208H1及び移相部209H1、ないし振幅部208Hp及び移相部209Hpを有する。
【0038】
第1乃至第pアンテナ出力算出部210−210は、振幅位相調整部213からの2×p個の出力に接続される。各アンテナ出力算出部210−210には、評価対象とするアンテナパターンの仰角成分及び方位角成分を出力するアンテナパターン仰角成分入力部211−211及びアンテナパターン方位角成分入力部212−212が、それぞれ接続される。
【0039】
動作を次に説明する。垂直偏波複素振幅分布算出部200の第1ないし第(N+1)算出部202V1から202V(N+1)は、第1実施例と同様に、パラメータ設定部201から各種のパラメータを受け取り、(N+1)個の3次元的な平均到来波電力分布を算出する。第1乃至第N算出部202V1−202VNは、上記の数式6を利用して、N個の電力分布を算出する。第(N+1)算出部202V(N+1)は、上記の数式7を利用して、1つの電力分布を算出する。
【0040】
第1乃至第N算出部202V1−202VN及び第(N+1)算出部202V(N+1)により算出された(N+1)個の電力分布は、合成部214に与えられる。平均到来波電力比較部204は、(N+1)個の電力分布に対して同一角度条件(θ、φ)における電力値(平均到来波電力)を比較する。例えば、平均到来波電力選択部205は、ある1つの方向(仰角θ、方位角φ)に対して、(N+1)個の電力値pij (n)の中から最大値pij (k)を特定する。
【0041】
一方、第1乃至第(N+1)複素振幅変換部203V1−203V(N+1)は、電力分布における電力値を、次式(数式8)に従って、その方向の電力に関する複素振幅に変換する。
【0042】
【数8】
Figure 2004251858
ここで、Eは、平均複素振幅であり、
Pは、平均電力であり、
αは、信号の位相成分である。位相αは、(N+1)個の複素振幅変換の際に個別の異なる値であってもよいし、同一の値であってもよい。
【0043】
平均到来波電力選択部205は、1つの方向に対して、(N+1)個の電力値の中から選択された、最も大きい電力値を与える平均到来波電力分布(最大電力値の選択元)を特定する番号q(1≦q≦N+1)を出力する。例えば、ある1つの方向(仰角θ、方位角φ)に対して、(N+1)個の電力値pij 1),pij (2),...,pij (N),pij (N+1)の中から最大値pij (k)が選択されたとする。この場合に、特定される番号qは、kである(q=k)。複素振幅選択部206は、(N+1)個の電力分布の中から、その番号qに対応する電力分布を特定し、その方向における平均複素振幅Eを選択する。これにより、1つの方向(仰角θ、方位角φ)に対して、最大電力値に対応する1つの複素振幅Eが対応付けられる。このような電力値の比較、選択、電力分布の指定、及び複素振幅の選択が、総ての方向について行われることで、1つの新たな複素振幅分布が作成され、垂直偏波に関する複素振幅分布として、出力される。出力される複素振幅分布も、総ての方向についての複素振幅値として、例えば一覧表の形式で出力される。
【0044】
このような垂直偏波複素振幅分布算出部200における動作と同様の動作が、水平偏波複素振幅分布算出部200でも行われ、垂直及び水平偏波成分のそれぞれについての複素振幅分布が、分配器207,207に入力される。分配器207にて分配された信号の各々は、振幅部208V1及び移相部209V1、ないし振幅部208Vp及び移相部209Vpにより、各アンテナ素子に対する適切な値に調整され、各自のアンテナ出力算出部210−210に入力される。振幅及び位相の調整量は、評価対象となる適応アレーアンテナをどのように構築するかに依存して、適宜設定され得る。同様に、分配器207により分配された信号の各々は、振幅部208H1及び移相部209H1、ないし振幅部208Hp及び移相部209Hpにより、各アンテナ素子に対する適切な値に調整され、各自のアンテナ出力算出部210−210に入力される。
【0045】
各アンテナ出力算出部210−210には、評価対象とするアンテナパターンの仰角成分及び方位角成分を出力するアンテナパターン仰角成分入力部211−211及びアンテナパターン方位角成分入力部212−212が、それぞれ接続される。各アンテナ出力算出部210−210は、これらの入力に基づいて、アンテナ素子毎の実効利得や電力値等のアンテナ出力を、シミュレーション結果として出力する。
【0046】
[第3実施例]
図3は、本願第3実施例によるアンテナシミュレーション装置の全体図を示す。アンテナシミュレーション装置は、垂直偏波成分の瞬時的な到来波電力分布を算出する垂直偏波電力分布算出部300と、水平偏波成分の瞬時的な到来波電力分布を算出する水平偏波電力分布算出部300と、アンテナ出力部311とを有する。本実施例では、平均的な電力分布ではなく、例えばサンプリングデータ毎の瞬時的な電力分布を算出する。
【0047】
垂直偏波電力分布算出部300は、第1実施例と同様に、到来波パラメータ入力部301を有し、これにより、後述するような(N+1)個の確率密度関数を定義するのに必要な初期パラメータと、移動端末の移動条件を定めるための移動条件パラメータとが設定される。
【0048】
到来波パラメータ入力部301の出力は、電力分布の仰角成分を算出する第1乃至第(N+1)仰角成分算出部302V1−302V(N+1)、電力分布の方位角成分を算出する第1乃至第(N+1)方位角成分算出部303V1−303V(N+1)及び電力分布の電力成分を算出する第1乃至第(N+1)電力成分算出部304V1−304V(N+1)に接続される。垂直偏波電力分布算出部300は、(N+1)組の(仰角成分、方位角成分及び電力成分)に基づいて、(N+1)個の3次元的な電力分布を算出する第1乃至第(N+1)電力分布算出部305V1−305V(N+1)を有する。これら各算出部からの出力は、3次元的な(N+1)個の瞬時電力分布を合成して、1つの合成電力分布を作成する合成部313に接続される。合成部313は、第1乃至第(N+1)算出部102V1から102V(N+1)の出力に接続された瞬時到来波電力比較部304を有する。瞬時到来波電力比較部304は瞬時到来波電力選択部307に接続される。
【0049】
水平偏波電力分布算出部300の構成は、垂直偏波電力分布算出部300と同様であるため、説明を省略する。ただし、水平偏波電力分布算出部300で取り扱う到来波の数M(自然数)、及び使用されるパラメータは、垂直偏波電力成分算出部300のものと同一であっても良いし異なっていても良い。
【0050】
垂直偏波電力分布算出部300の瞬時到来波電力選択部307及び水平偏波電力分布算出部300の不図示の瞬時到来波電力選択部307は、アンテナ出力部311のアンテナ出力算出部308に接続される。アンテナ出力算出部308には、評価対象とするアンテナパターンの仰角成分及び方位角成分を出力するアンテナパターン仰角成分入力部309及びアンテナパターン方位角成分入力部310が接続される。アンテナ出力算出部106は、これら各種の入力に基づいて、実効利得や電力値等のアンテナ出力を出力する。
【0051】
動作を次に説明する。本実施例では、第1乃至第(N+1)電力分布算出部305V1−305V(N+1)にて、サンプリングデータ毎に、瞬時的な(N+1)個の電力分布が算出され、合成部313で1つの合成された瞬時電力分布が作成される。第1ないし第N仰角成分算出部302V1−302VNは、パラメータ設定部301から各種のパラメータを受け取り、次式のような仰角を確率変数とする確率密度関数(数式9)に基づいて、N個のパスについての仰角を発生させる。
【0052】
【数9】
Figure 2004251858
ここで、θ(n)は、n番目の到来波についての、極座標表示における鉛直方向からの角度である仰角であり(−π/2≦θ≦π/2)、
θ(n) は、到来波の平均仰角であり、
σ(n) θは、仰角の標準偏差であり、
θは、確率密度関数の規格化定数である。
【0053】
例えば、第1仰角成分算出部302V1は、第1のパスについての仰角が、n=1の場合の数式9に示されるような仰角θを確率変数とする確率密度関数に従って出現するように、ある仰角θ(1) を発生させる。他のパス(n=2,...,N)についても同様に仰角θ(n) が発生させられる。これらの瞬時的な仰角は、第1乃至第N電力分布算出部305V1−305VNに入力される。
同様に、第1ないし第N方位角成分算出部303V1−303VNは、パラメータ設定部301から各種のパラメータを受け取り、次式のような方位角を確率変数とする確率密度関数(数式10)に基づいて、N個のパスについての方位角を発生させる。
【0054】
【数10】
Figure 2004251858
ここで、φ(n)は、n番目の到来波についての、極座標表示における水平面内のある軸からの角度であり(0≦φ≦2π)、
φ(n) は、到来波の平均方位角であり、
σ(n) φは、方位角の標準偏差であり、
φは、確率密度関数の規格化定数である。
【0055】
例えば、第1方位角成分算出部303V1は、第1のパスについての方位角が、n=1の場合の数式10に示されるような方位角φを確率変数とする確率密度関数に従って出現するように、ある方位角φ(1) を発生させる。他のパス(n=2,...,N)についても同様に方位角φ(n) が発生させられる。これらの瞬時的な方位角も、第1乃至第N電力分布算出部305V1−305VNに入力される。
【0056】
更に、第1ないし第N成分算出部304V1−304VNは、パラメータ設定部301から各種のパラメータを受け取り、次式のような電力値を確率変数とする確率密度関数(数式11)に基づいて、N個のパスについての電力を発生させる。
【0057】
【数11】
Figure 2004251858
ここで、A(n)は、n番目の到来波についての電力値であり、
(n) は、到来波の平均電力値であり、
σ(n) は、電力値の標準偏差であり、
は、確率密度関数の規格化定数である。
【0058】
例えば、第1電力成分算出部302V1は、第1のパスについての電力が、n=1の場合の数式11に示されるような電力Aを確率変数とする確率密度関数に従って出現するように、ある電力値A(1) を発生させる。他のパス(n=2,...,N)についても同様に電力値A(n) が発生させられる。これらの瞬時的な電力も、第1乃至第N電力分布算出部305V1−305VNに入力される。なお、数式8における各変数は、理論的には真値を採用することも対数を採用することも可能である。しかし、例えば対数を採用した方が実測値に適合する、というような経験的な事情が存在する場合もある。このような場合は対数を採用することが望ましい。本実施例では、対数が使用されている。
【0059】
第1乃至第N電力分布算出部305V1−305VNでは、以下の数式(A)を利用して、N個の3次元的な瞬時的な電力分布を算出する。
【0060】
(n)(θ,φ)=A(n)・δ(θ−θ(n))・δ(φ−φ(n))・・・(A)
ここで、P(n)(θ,φ)は、n番目(1≦n≦N)の到来波についての空間的な電力分布である。
【0061】
第1及び第2実施例とは異なり、本実施例では、瞬時的な仰角、方位角、及び電力値に基づいて、瞬時的な電力分布が作成される。ただし、この電力分布も、シミュレーションの行われる総ての方向(−π/2≦θ≦π/2,0≦φ≦2π)の1つ1つと、それらの方向に関連する電力値との対応関係を与える。従って、各算出部の出力は、例えば(仰角、方位角、電力値)の総ての組み合わせを一覧表の形式で与えられる。
【0062】
一方、アンテナに到来する到来波の数は理論上は無数にあり、上記N個の到来波はその内の主要なものに相当する。総ての到来波から上記のN個の到来波を除いた残余の到来波については、電力は比較的小さく、方向依存性も一様であると近似することが可能である。瞬時値を取り扱う本実施例でも、微弱な到来波が瞬時的にも様々な方位角から一様に到来しているものと近似することが可能である。第(N+1)算出部では、この残余の到来波についての電力分布を、第1及び第2実施例と同様に、上記の数式4に従って算出する。
【0063】
第1乃至第N算出部305V1−305VN及び第(N+1)算出部305V(N+1)により算出された(N+1)個の電力分布は、合成部103に与えられる。瞬時到来波電力比較部306は、(N+1)個の電力分布に対して同一角度条件(θ、φ)における電力値(瞬時到来波電力)を比較する。第1実施例にて説明したのと同様に、(N+1)個の電力分布を利用して、同一方向における(N+1)個の電力値の比較及び最大値の選択を、全方位について行うことで、垂直偏波に関する新たな1つの瞬時電力分布(合成電力分布)が作成される。この瞬時電力分布も、総ての方向についての電力値として、例えば一覧表の形式で出力される。
【0064】
このような垂直偏波電力分布算出部300における動作と同様の動作が、水平偏波電力分布算出部300でも行われる。垂直偏波電力分布算出部300及び水平偏波電力分布算出部300からの合成電力分布は、アンテナ出力部311のアンテナ出力算出部308に入力される。アンテナ出力算出部308では、垂直偏波及び水平偏波に関する2つの合成電力分布と、アンテナパターンの仰角成分及び方位角成分とに基づいて、アンテナ出力を算出し、シミュレーション結果として出力する。
【0065】
本実施例によれば、n番目の主到来波の電力、仰角及び方位角に関するパラメータが、上記の数式9から11の確率密度関数に従う乱数として与えられる。このような乱数を用いて作成された瞬時的な電力分布を平均化すれば、第1及び第2実施例のような平均電力分布が得られる。本実施例では、瞬時的な電力分布を算出することで、刻々と変化する実環境に的確に追従することが可能になり、例えば適応アレーアンテナの特性を詳細に評価するような動的モデルへの拡張を図ることが可能になる。
【0066】
[第4実施例]
図4は、本願第4実施例によるアンテナシミュレーション装置の全体図を示す。アンテナシミュレーション装置は、垂直偏波成分の瞬時的な到来波電力分布を算出する垂直偏波電力分布算出部400と、水平偏波成分の瞬時的な到来波電力分布を算出する水平偏波電力分布算出部400と、振幅調整部416と、アンテナ出力部417とを有する。本実施例では、複数の(p個の)アンテナ素子を有する適応アレーアンテナのシミュレーションを行うことを想定している。また、本実施例では、平均的な電力分布ではなく、例えばサンプリングデータ毎の瞬時的な電力分布を算出する。
【0067】
垂直偏波電力分布算出部400は、第1実施例と同様に、到来波パラメータ入力部401を有し、これにより、後述するような(N+1)個の確率密度関数を定義するのに必要な初期パラメータと、移動端末の移動条件を定めるための移動条件パラメータとが設定される。
【0068】
到来波パラメータ入力部401の出力は、電力分布の仰角成分を算出する第1乃至第(N+1)仰角成分算出部402V1−402V(N+1)、電力分布の方位角成分を算出する第1乃至第(N+1)方位角成分算出部403V1−403V(N+1)及び電力分布の電力成分を算出する第1乃至第(N+1)電力成分算出部404V1−404V(N+1)に接続される。垂直偏波電力分布算出部400は、(N+1)組の(仰角成分、方位角成分及び電力成分)に基づいて、(N+1)個の3次元的な電力分布を算出する第1乃至第(N+1)電力分布算出部405V1−405V(N+1)を有する。これら各算出部からの出力は、3次元的な(N+1)個の瞬時電力分布を合成して、1つの合成電力分布を作成する合成部418に接続される。合成部418は、第1乃至第(N+1)算出部102V1から102V(N+1)の出力に接続された瞬時到来波電力比較部407を有する。瞬時到来波電力比較部407は瞬時到来波電力選択部408に接続される。
【0069】
更に、垂直偏波電力分布算出部400は、第1乃至第(N+1)算出部405V1−405V(N+1)の出力にそれぞれ接続される第1乃至第(N+1)複素振幅変換部406V1−406V(N+1)を有する。垂直偏波電力分布算出部400は、第1乃至第(N+1)複素振幅変換部406V1−406V(N+1)の出力に接続され、瞬時到来波電力選択部408の出力にも接続される複素振幅選択部409を有する。
【0070】
水平偏波電力分布算出部400の構成は、垂直偏波電力分布算出部400と同様であるため、説明を省略する。ただし、水平偏波電力分布算出部400で取り扱う到来波の数M(自然数)、及び使用されるパラメータは、垂直偏波電力成分算出部400と同一であっても良いし異なっていても良い。
【0071】
垂直偏波電力分布算出部400の複素振幅選択部409及び水平偏波電力分布算出部400の不図示の複素振幅選択部409は、振幅位相調整部416に接続される。振幅位相調整部416は、垂直偏波電力分布算出部400からの信号をp個に分配する分配器210を有する。振幅位相調整部416は、分配部410の出力に接続される振幅部411V1及び移相部412V1、ないし振幅部411Vp及び移相部412Vpを有する。同様に、振幅位相調整部416は、水平偏波電力分布算出部400からの合成振幅分布を示す信号をp個に分配する分配器410を有する。振幅位相調整部416は、分配部410の出力に接続された振幅部411H1及び移相部412H1、ないし振幅部411Hp及び移相部412Hpを有する。
【0072】
第1乃至第pアンテナ出力算出部413−413は、振幅位相調整部416からの2×p個の出力に接続される。各アンテナ出力算出部413−413には、評価対象とするアンテナパターンの仰角成分及び方位角成分を出力するアンテナパターン仰角成分入力部414−414及びアンテナパターン方位角成分入力部415−415が、それぞれ接続される。
【0073】
動作を次に説明する。本実施例では、第1乃至第(N+1)電力分布算出部405V1−405V(N+1)にて、サンプリングデータ毎に、瞬時的な(N+1)個の電力分布が算出され、合成部418で1つの合成された瞬時電力分布が作成される。第1ないし第N仰角成分算出部402V1−402VNは、パラメータ設定部401から各種のパラメータを受け取り、上記の数式9に基づいて、N個のパスについての仰角を発生させる。発生させたこれらの瞬時的な仰角は、第1乃至第(N+1)電力分布算出部405V1−405VNに入力される。
同様に、第1ないし第N方位角成分算出部403V1−403VNは、パラメータ設定部401から各種のパラメータを受け取り、上記の数式10に基づいて、N個のパスについての方位角を発生させる。発生させたこれらの瞬時的な方位角も、第1乃至第N電力分布算出部405V1−405VNに入力される。
【0074】
更に、第1ないし第N成分算出部404V1−404VNは、パラメータ設定部401から各種のパラメータを受け取り、上記の数式11に基づいて、N個のパスについての電力を発生させる。発生させたこれらの瞬時的な電力も、第1乃至第N電力分布算出部405V1−405VNに入力される。
【0075】
第1乃至第N電力分布算出部405V1−405VNでは、上記の数式(A)を利用して、N個の3次元的な瞬時的な電力分布を算出する。また、第(N+1)算出部405V(N+1)では、N個の到来波以外の残余の到来波についての電力分布を、第1及び第2実施例と同様に、上記の数式4に従って算出する。
【0076】
また、第1乃至第(N+1)複素振幅変換部406V1−406V(N+1)は、電力分布における電力値を、上記の数式5に従って、その方向の電力に関する複素振幅に変換する。
【0077】
第1乃至第N算出部405V1−405VN及び第(N+1)算出部405V(N+1)により算出された(N+1)個の電力分布は、合成部418に与えられる。瞬時到来波電力比較部407は、(N+1)個の電力分布に対して同一角度条件(θ、φ)における電力値(平均到来波電力)を比較する。瞬時到来波電力選択部408は、1つの方向j(仰角θ、方位角φ)に対して、(N+1)個の値の中で最大の電力値pを関連付ける。
【0078】
瞬時到来波電力選択部408は、1つの方向に対して、選択された最も大きい電力値を与える平均到来波電力分布(最大電力値の選択元)を特定する番号q(1≦q≦N+1)を出力する。複素振幅選択部409は、第2実施例の場合と同様に、電力値の比較、最大電力値の選択、選択元の電力分布の指定、及び複素振幅の選択を、総ての方向について行うことで、1つの新たな複素振幅分布が作成される。垂直偏波に関する複素振幅分布として出力される複素振幅分布も、総ての方向についての複素振幅値として、例えば一覧表の形式で出力される。
【0079】
このような垂直偏波電力分布算出部400における動作と同様の動作が、水平偏波電力分布算出部400でも行われ、垂直及び水平偏波成分のそれぞれについての複素振幅分布が、分配器410,410に入力される。分配器410にて分配された信号の各々は、振幅部411V1及び移相部412V1、ないし振幅部411Vp及び移相部412Vpにより、各アンテナ素子に対する適切な値に調整され、各自のアンテナ出力算出部413−413に入力される。振幅及び位相の調整量は、評価対象となる適応アレーアンテナをどのように構築するかに依存して、適宜設定され得る。同様に、分配器410により分配された信号の各々も、振幅部411H1及び移相部412H1、ないし振幅部411Hp及び移相部412Hpにより、各アンテナ素子に対する適切な値に調整され、各自のアンテナ出力算出部413−413に入力される。
【0080】
各アンテナ出力算出部413−413には、評価対象とするアンテナパターンの仰角成分及び方位角成分を出力するアンテナパターン仰角成分入力部414−414及びアンテナパターン方位角成分入力部415−415が、それぞれ接続される。各アンテナ出力算出部413−413は、これらの入力に基づいて、アンテナ素子毎の実効利得や電力値等のアンテナ出力を、シミュレーション結果として出力する。
【0081】
[第5実施例]
図5は、到来波パラメータ設定部101,201,301,401の一例を示す。図示されている到来波パラメータ設定部501は、既知のs組(sは自然数)の到来波初期パラメータが入力される到来波初期パラメータ入力部502を有する。この到来波初期パラメータは、数式3,4及び数式6乃至9に示されるような確率密度関数を定義するのに使用される。到来波パラメータ設定部501は、s組の道路角が入力される道路角入力部503を有する。道路角とは、移動局の進行する道路の方向と、移動局及び基地局を結ぶ直線方向との間のなす角度である。従って、道路角は、移動局の移動と供に変化する量である。到来波パラメータ設定部501はデータベース記憶部504を有し、このデータベース記憶部504には、到来波初期パラメータ入力部502より入力されたs組の到来波初期パラメータと、道路角入力部503より入力されたs組の道路角とが、例えば図6の図表に示すような形式で記憶される。
【0082】
データベース記憶部504は近似関数算出部505に接続されており、近似関数算出部505では、データベース記憶部504に記憶されたs組の到来波初期パラメータとs組の道路角の中からt組(tはs以下の自然数)が選択される。これらの到来波初期パラメータに対応する道路角、及び道路角と到来波パラメータとの関係を表す近似関数を利用して、シミュレーションの対象とする道路角に対する各到来波パラメータを算出する。最も簡単な近似の方法は、複数の道路角に対する到来波パラメータの各々を道路角に対して線形近似することである。ただし、本発明は線形近似に限定されず、それらの間の対応関係を与える任意の近似関数を利用することが可能である。近似関数算出部505は到来波パラメータ選択部506に接続されている。到来波パラメータ選択部506は、近似関数算出部505により算出された各到来波パラメータ、又はデータベース部503に記憶されたs組の到来波初期パラメータのうちシミュレーションの対象とする道路角に関連するものを選択する。到来波パラメータ選択部506は切替部507に接続されており、切替部507には到来波初期パラメータ入力部502も接続されている。
【0083】
このように構成することで、切替部507は、(1)到来波初期パラメータ入力部502からの直接的に与えられるパラメータ、(2)データベース記憶部504に格納されている一覧表にて指定されるパラメータ、及び(3)所定の近似計算を行うことで得られるパラメータのうち、適切なものを選択して出力することが可能である。例えば、移動局が移動するにつれて道路角が変化し、それに応じてパラメータの値も変化する場合を想定する。(1)の場合は、変化するパラメータを直接的に入力し、切替部507を通じてそれらを以後の処理要素(電力分布算出部等)に与えることを要する。(2)の場合は、道路角とパラメータとの間の対応関係が図6の図表のようにして対応付けられていることを利用するので、ユーザ又はオペレータは道路角を設定することで、必要なパラメータを切替部から適宜出力させることが可能である。(3)の場合は、道路角とパラメータとの既知の関係を利用して、未知のパラメータを近似計算しながらそれを切替部から出力させる。(1)ないし(3)の何れの動作を行わせるにせよ、本実施例によれば、切替部から適切なパラメータを適切に出力し続けることで、移動局が移動している間の様子をシミュレーションすることが可能になる。
【0084】
なお、本実施例では、移動局の移動条件を定める要素として道路角を設定していたが、本発明はこれに限定されず、移動局の移動条件、すなわち移動局及び基地局等との間の位置関係を特定することの可能な任意のパラメータを使用することが可能である。
【0085】
図7ないし図10は、本願実施例によるシミュレーション結果を説明するための図を示す。図7は、電力分布の算出に使用される到来波初期パラメータを示す。図7(A),(B)は垂直偏波成分用の到来波初期パラメータであり、図7(C),(D)は水平偏波成分用の到来波初期パラメータである。図示されているように、垂直及び水平偏波成分の何れに対しても、想定する個別のパスは8である(N=M=8)。従って、垂直偏波成分に対して、N+1=9個の確率密度関数を利用して9個の電力分布が算出される。図7(A)の各値は、N=8個の確率密度関数(数式3)を定義するのに使用され、図7(B)の各値は1個の確率密度関数(数式4)を定義するのに使用される。水平偏波成分に対しも、(N+1)=9個の確率密度関数を利用して9個の電力分布が算出され、図7(C)の各値は、N=8個の確率密度関数(数式3)を定義するのに使用され、図7(D)の各値は1個の確率密度関数(数式4)を定義するのに使用される。
【0086】
図8は、図7に示される値を利用して行ったシミュレーション結果、従来方式によるシミュレーション結果、及び測定値を示す。図8(A)は垂直偏波成分に関するものであり、左側は仰角が80度の場合を示し(θ=80°)、右側は仰角が70度の場合を示す(θ=70°)。図8(B)は水平偏波成分に関するものであり、左側は仰角が80度の場合を示し(θ=80°)、右側は仰角が70度の場合を示す(θ=70°)。図示されているように、従来の技術では、ある仰角面における方位角に対する平均到来波電力分布は一定値となり、実環境と大きく異なるが、本願実施例により算出された移動局平均到来波電力分布は、実測値とほぼ一致していることが分かる。また、N個,M個の比較的大きな電力の到来波が、平均到来波電力分布上でも大きくなっており、本願実施例による手法は、支配的な到来波の到来角条件や到来波電力に適切に追従することが可能である。したがって、算出された移動局平均到来波電力分布と評価対象のアンテナ素子に対するアンテナパターンを入力することにより、アダプティブ・アレー・アンテナのように伝搬環境の変化に従って指向性パターンを制御するアンテナの評価が可能となる。
【0087】
図9,図10も、電力分布の算出に使用される到来波初期パラメータ及びシミュレーション結果を示す。この例における到来波パラメータは、近似関数算出部505で線形近似を行うことによって算出される。この例でも、本願実施例により算出された移動局平均到来波電力分布は、実測値とほぼ一致していることが分かる。
【0088】
図11は、測定データの解析より得られた最大到来波電力の方位角分布である。図12は、本願実施例における数式(A)を用いて発生した到来波分布より求めた到来波の最大電力方位角分布である。サンプル数は1000である。この場合において、最大電力の到来波を理想的に追跡する狭ビームのV偏波適応アレーアンテナを利用することを想定している。なお、電力成分の標準偏差σA(n)については、図13に示されるような値を使用している。図12に示されるように、本願実施例により求めた最大到来波電力の方位角頻度分布は、測定値とほぼ同様の傾向を示している。本願実施例によれば、瞬時的な到来波電力分布を適切に発生させることができるため、適応アレーアンテナの精度良い性能評価を行うことが可能となる。
【0089】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、到来波の電力分布を従来よりも詳細に算出することが可能になる。
【0090】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願第1実施例によるアンテナシミュレーション装置のブロック図を示す。
【図2】図2は、本願第2実施例によるアンテナシミュレーション装置のブロック図を示す。
【図3】図3は、本願第3実施例によるアンテナシミュレーション装置のブロック図を示す。
【図4】図4は、本願第4実施例によるアンテナシミュレーション装置のブロック図を示す。
【図5】図5は、パラメータ設定部の一例を示すブロック図を示す。
【図6】図6は、到来波初期パラメータと道路角との対応関係例を示す図表である。
【図7】図7は、本願実施例によるシミュレーションにて採用された各種のパラメータを示す図表である。
【図8】図8は、本願実施例によるシミュレーション結果を示す図である。
【図9】図9は、本願実施例によるシミュレーションにて採用された各種のパラメータを示す図表である。
【図10】図10は、本願実施例によるシミュレーション結果を示す図である。
【図11】図11は、測定された最大到来波電力の方位角分布を示す図である。
【図12】図12は、本願実施例により推定された最大到来波電力の方位角分布を示す図である。
【図13】図13は、図12のシミュレーションで使用された電力の標準偏差を示す図表である。
【符号の説明】
100,300 垂直偏波電力分布算出部
100,300 水平偏波電力分布算出部
200,400 垂直偏波複素振幅分布算出部
200,400 水平偏波複素振幅分布算出部
101,201,301,401 到来波パラメータ入力部
102Vn,202Vn,302Vn,402Vn 電力分布算出部
103,214,313,418 合成部
104,204,306,407 到来波電力比較部
105,205,307,408 到来波電力選択部
109,215,311,417 アンテナ出力部
106,210,311,413 アンテナ出力算出部
107,211,309,414 アンテナパターン仰角成分入力部
108,212,310,415 アンテナパターン方位角成分入力部
213,416 振幅位相調整部
207,410 分配器
208,411 振幅部
209,412 位相部
203Vn,406Vn 複素振幅変換部
206,409 複素振幅選択部
501 到来波パラメータ入力部
502 到来波初期パラメータ入力部
503 道路角入力部
504 データベース記憶部
505 近似関数算出部
506 到来波パラメータ選択部
507 切替部

Claims (12)

  1. 到来波の電力分布を算出する到来波電力算出装置であって、
    空間的な電力分布の計算に必要なパラメータを設定するパラメータ設定手段と、
    設定されたパラメータ及び複数の第1確率密度関数を利用して、N個(Nは自然数)の到来波の各々について、電力分布を算出する第1算出手段と、
    少なくとも前記第1算出手段により算出されたN個の電力分布に基づいて、1つの合成電力分布を作成する合成手段
    を有し、前記合成電力分布にて所定値を超える電力値を有する方向の内、任意の1つの方向における電力値は、前記N個の電力分布における前記任意の1つの方向に関連するN個の電力値の何れかに等しいことを特徴とする到来波電力算出装置。
  2. 更に、設定されたパラメータ及び第2確率密度関数を利用して、前記N個の到来波以外の到来波について1つの電力分布を算出する第2算出手段を有し、
    前記合成手段が、前記第1及び第2算出手段により算出されたN+1個の電力分布に基づいて、1つの合成電力分布を作成し、
    前記合成電力分布における任意の1つの方向の電力値は、前記N+1個の電力分布における前記任意の1つの方向に関連するN+1個の電力値の何れかに等しいことを特徴とする請求項1記載の到来波電力算出装置。
  3. 第1及び第2の空間座標成分で指定される方向から到来する電波の電力分布を算出する到来波電力算出装置であって、
    空間的な電力分布を算出するのに必要なパラメータを設定するパラメータ設定手段と、
    前記第1の空間座標成分を確率変数とする複数の第1確率密度関数を利用して、N個(Nは自然数)の到来波の各々について、第1の空間座標成分を発生させる第1算出手段と、
    前記第2の空間座標成分を確率変数とする複数の第2確率密度関数を利用して、N個の到来波の各々について、第2の空間座標成分を発生させる第2算出手段と、
    電力値を確率変数とする複数の第3確率密度関数を利用して、N個の到来波の各々について、瞬時的な電力値を発生させる第3算出手段と、
    発生させた前記第1,第2の空間座標成分及び前記瞬時的な電力値に基づいて、N個の到来波の各々について電力分布を算出する第1電力分布算出手段と、
    前記第1電力分布算出手段にて算出されたN個の電力分布に基づいて、1つの合成電力分布を作成する合成手段
    を有し、前記合成電力分布にて所定値を超える電力値を有する方向の内、任意の1つの方向における電力値は、前記N個の電力分布における前記任意の1つの方向に関するN個の電力値の何れかに等しいことを特徴とする到来波電力算出装置。
  4. 更に、設定されたパラメータ及び第4確率密度関数を利用して、前記N個の到来波以外の到来波について1つの電力分布を算出する第2電力分布算出手段を有し、
    前記合成手段が、前記第1及び第2算出手段により算出されたN+1個の電力分布に基づいて、1つの合成電力分布を作成し、
    前記合成電力分布における任意の1つの方向の電力値は、前記N+1個の電力分布における前記任意の1つの方向に関連するN+1個の電力値の何れかに等しいことを特徴とする請求項3記載の到来波電力算出装置。
  5. 更に、所与の電力分布における電力値を、該電力値に関連する方向の複素振幅に変換する変換手段と、
    前記合成電力分布における各電力値に対応する複素振幅に基づいて、複素振幅分布を作成する複素振幅分布算出手段
    を有することを特徴とする請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載の到来波電力算出装置。
  6. 前記パラメータ設定手段が、
    少なくとも第1確率密度関数を定義するのに必要な初期パラメータを設定する初期パラメータ設定手段と、
    移動体の移動条件を設定するための移動条件設定手段と、
    移動条件に合わせて初期パラメータを出力する出力手段
    を有することを特徴とする請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載の到来波電力算出装置。
  7. 前記第1確率密度関数が、
    Figure 2004251858
    により表現され、
    (n)(θ,φ)は、n番目(1≦n≦N)の到来波についての空間的な電力分布であり、
    θは、仰角であり、
    φは、方位角であり、
    (n)は、電力分布におけるピーク電力値であり、
    θ(n) は、到来波の平均仰角であり、
    φ(n) は、到来波の平均方位角であり、
    σ(n) θは、仰角の標準偏差であり、
    σ(n) φは、方位角の標準偏差である
    ことを特徴とする請求項1記載の到来波電力算出装置。
  8. 請求項2における前記第2確率密度関数、又は請求項4における前記第4確率密度関数が、
    Figure 2004251858
    により表現され、
    (n)(θ,φ)は、前記N個以外の到来波全体についての空間的な電力分布であり、
    θは、仰角であり、
    φは、方位角であり、
    (n)は、電力分布におけるピーク電力値であり、
    θ(n) は、到来波の平均仰角であり、
    σ(n) θは、仰角の標準偏差であり、
    (N+1)は、一定の電力値である
    ことを特徴とする請求項2又は4の何れか1項に記載の到来波電力算出装置。
  9. 請求項3記載の前記第1確率密度関数が、
    Figure 2004251858
    によって表現され、
    θ(n)は、第1の空間座標成分であり、
    θ(n) は、第1の空間座標成分の平均値であり、
    θは、所定の定数であり、
    前記第2確率密度関数が、
    Figure 2004251858
    によって表現され、
    φ(n)は、第2の空間座標成分であり、
    φ(n) は、第2の空間座標成分の平均値であり、
    φは、所定の定数であり、
    前記第3確率密度関数が、
    Figure 2004251858
    によって表現され、
    (n)は、到来波の瞬時的な電力値であり、
    (n) は、平均電力値であり、
    は、所定の定数であり、
    前記第1電力分布算出手段は、
    (n)(θ,φ)=A(n)・δ(θ−θ(n))・δ(φ−φ(n)
    に基づいて、N個の電力分布であるP(n)(θ,φ)を算出することを特徴とする請求項3記載の到来波電力算出装置。
  10. 到来波の電力分布を算出する到来波電力算出方法であって、
    空間的な電力分布の計算に必要なパラメータを設定するステップと、
    設定されたパラメータ及び複数の第1確率密度関数を利用して、N個(Nは自然数)の到来波の各々について、電力分布を算出する算出ステップと、
    少なくとも前記算出ステップにより算出されたN個の電力分布に基づいて、1つの合成電力分布を作成する合成ステップ
    を有し、前記合成電力分布にて所定値を超える電力値を有する方向の内、任意の1つの方向における電力値は、前記N個の電力分布における前記任意の1つの方向に関連するN個の電力値の何れかに等しいことを特徴とする到来波電力算出方法。
  11. 第1及び第2の空間座標成分で指定される方向から到来する電波の電力分布を算出する到来波電力算出方法であって、
    空間的な電力分布を算出するのに必要なパラメータを設定するステップと、
    第1,第2の空間座標成分及び瞬時的な電力値を発生させる瞬時値生成ステップと、
    前記第1,第2の空間座標成分及び前記瞬時的な電力値に基づいて、N個の到来波の各々についての電力分布を算出するステップと、
    電力分布を算出する前記ステップにて算出されたN個の電力分布に基づいて、1つの合成電力分布を作成するステップ
    より成り、前記瞬時値生成ステップが、
    前記第1の空間座標成分を確率変数とする複数の第1確率密度関数を利用して、N個(Nは自然数)の到来波の各々について、第1の空間座標成分を発生させ、
    前記第2の空間座標成分を確率変数とする複数の第2確率密度関数を利用して、N個の到来波の各々について、第2の空間座標成分を発生させ、
    電力値を確率変数とする複数の第3確率密度関数を利用して、N個の到来波の各々について、瞬時的な電力値を発生させるステップより成り、
    前記合成電力分布にて所定値を超える電力値を有する方向の内、任意の1つの方向における電力値は、前記N個の電力分布における前記任意の1つの方向に関するN個の電力値の何れかに等しいことを特徴とする到来波電力算出方法。
  12. 請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載の到来波電力算出装置を有するアンテナシミュレーション装置であって、
    前記到来波電力算出装置からの合成電力分布と、所与の指向性パターンとを利用して、アンテナ出力のシミュレーションを行うよう形成されることを特徴とするアンテナシミュレーション装置。
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