JP2004251778A - 航行衛星システムにおける航行衛星の絶対位置決定方法及び航行衛星システム - Google Patents

航行衛星システムにおける航行衛星の絶対位置決定方法及び航行衛星システム Download PDF

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Abstract

【課題】航行衛星の絶対位置を高精度で画定する事により、高精度な測位を可能にする。
【解決手段】航行衛星のそれぞれについて、当該それぞれの航行衛星と該航行衛星以外の少なくとも3つの航行衛星との間の衛星間距離を衛星間通信測距によって測定し、少なくとも3つの管制局と少なくとも3つの航行衛星の間の地上衛星間距離を管制局と航行衛星の少なくとも6つの適切な組について測定し、測定された衛星間距離、測定された地上衛星間距離、及び管制局の地球を基準とする絶対位置に基づいて、航行衛星それぞれの地球を基準とする絶対位置を導出する。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、航行衛星システムにおける航行衛星の絶対位置決定方法に関し、より詳しくは、少なくとも4個の人工衛星を使用して、人工衛星内で生成した測位信号を搬送波に変調して地表面に向かって放射し、地表面付近にいる者に前記の測位信号を受信・処理させることによって測位を行わせる航行衛星システムの測位精度の向上に寄与する航行衛星の絶対位置決定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在最も普及している航行衛星システムは米国のGPS(Global Positioning System)である。類似の設計思想に基づいた航行衛星システムとしてロシアの GLONASS(Global Navigation Satellite System)が存在するが、完成度が低いので、GPSが実用化されているものの総てを代表すると言える。GPSは軌道半径26,561km、軌道傾斜角55度、6種類の軌道面に標準として24個の人工衛星が投入され、全地球域にわたり測位のサービスを提供している。GPSは非特許文献1に詳細が記述されている。
【0003】
【非特許文献1】
ブラッドフォード・W・パーキンソン他(Bradford W. Parkinson, et al.)著, 「グローバル・ポジショニング・システム:セオリー・アンド・アプリケーションズ・第I巻及び第II巻(Global Positioning System: Theory and Applications Volume I&II), アメリカン・インスティテュート・オブ・エアロノーティクス・アンド・アストロノーティクス・インコーポレイテッド). (American Institute of Aeronautics and Astronautics, Inc.)、 ワシントンDC,米国(Washington DC, USA )
【0004】
最近のGPSの動向は非特許文献2、3に示されている。GPSの年代と共に変化する型式とその開発、運用の時系列は非特許文献3に最新版が示されている。ある年代の型式はブロックと定義されていて、現在はブロックIIRの打ち上げが完了してブロックIIFの時代に入り、将来的にはGPS IIIが登場する計画が示されている。ユーザの立場で見たシステムの改善点は、民生用、軍用共に新しい信号が増えることである。システムの内部ではUHF帯の衛星間通信回線が付加される。新しい信号が増えることで、民生用、軍用共に利便性が増大する。また、ブロックIIF以前に無かったUHF帯の衛星間通信回線が付加されることで、それ以前のシステムでは実現できなかった性能の向上が図られている。
【0005】
【非特許文献2】
S.C.フィッシャー他(S. C. Fisher, et al.)著, 「GPS IIF−ザ・ネキスト・ジェネレーション(GPS IIF The Next Generation)」, p. 24−47, プロシーディングス・オブ・ザ・IEEE,第87巻、第1号、1999年1月(Proceedings of the IEEE, Vol.87, No.1, Jan. 1999)
【非特許文献3】
J.E.クラーク(J. E. Clark)著, 「GPS モダーナイゼーション(GPS Modernization)」, p.2773−2803, ION GPS 2001, 2001年9月(Sept. 2001), ソルトレーク・シティ(Salt Lake City), ユタ州,米国(UT, USA)
【0006】
GPSの基本になる構成要素は非特許文献1の第I巻の11ページ 「イントロダクション・アンド・ヘリテージ・オブ・ナブスター (Introduction and Heritage of NAVSTAR)」 に示されている。図16において、GPSシステムの宇宙部分(Space Segment)であるGPS衛星群220は、複数のGPS衛星(Navstar)221から構成される。GPS衛星221同士は、UHF帯衛星通信回線222で接続される計画が進んでいる。GPSシステムの管理部分(Control Segment)は、Colorado Springsに在る管制局223、並びにHawaii局224、Kwajalein局225、Ascension Is.局226、及びDiego Garcia局227に在るモニター局から構成される。
【0007】
GPS衛星221はColorado Springs管制局によって時刻が管理された原子時計を搭載して、その原子時計を源泉として発生させた測位信号と、Colorado Springs局から送られてきた衛星の位置、状態などに関するテレメトリ信号を搬送波に変調して地球域に送信する。観測者は少なくとも4個のGPS衛星221からの信号を受信して自分の位置を検出する。
【0008】
ブロックIIF以前のシステムではGPS衛星221のシステムを管理するために使用する、GPS衛星221と、管制局223、モニター局224、225、226、及び227との間を接続するトラッキング、テレメトリおよびコマンド( TT&C )回線の接続できる時間帯は散発的にしか確保できない。このような状態のもとでは、もしGPS衛星221が不具合を起こし、正しい信号が送信できない状態になったとしても、システムを管理する管制局223がこの状態を即時に検出できず、ユーザがシステムの不具合を通知されずに、システムを継続的に使用する事象が起こり得るので、システムの完全性が低いと指摘されてきた。また、管制局223が持っている最新の軌道情報、時刻情報などが個々のGPS衛星221に伝送できるまでに長い待ち時間を要するので、GPS衛星221のテレメトリ情報の更新頻度が低くなり、GPS衛星221の保存しているデータの更新がされずに長い時間が経過すると誤差が拡大してシステムの精度を劣化させていた。
【0009】
ブロックIIFの世代になると、UHF帯衛星通信回線222で衛星間が接続可能になるので、管制局223と各GPS衛星221との間を定常的に接続できる間隔が短縮できる。管制局が持つ最新データを衛星にアップロードできるまでの時間間隔をAge of Data ( AOD )と称して、AODを短縮することにより、衛星位置データの誤差の縮小、時刻の更新頻度の向上が可能になる。また同時に衛星の不具合が短時間で管制局に通報されるので、完全性の著しい改善が実現できる。
【0010】
GPSを航空管制に使用した場合、飛行期間の全般にわたっては、瞬時、瞬時のシステムの信頼性が課題であり、さらに離着陸段階では信頼性と共に位置精度の向上が課題である。また、測量、地球観測のような静的な利用ではミリメートル単位での位置精度の検出が課題である。この課題を解決するため、GPS補完システムが提案され、構築されている。非特許文献1のVolume IIに、広域に適応される Wide Area Augmentation System ( WAAS )、や狭域に適応されるLocal Area Augmentation System ( LAAS )が解説されている。WAASは広域のGPS補完システムの一般名称である。LAASは地球観測、測量、空港の近辺で精密測位を必要とする所に構築されている。以上のGPS或いはGPS補完システムは、GPSを主体とした、あるいはGPSを補強したシステム構成を成していたが、GPSを全く客観的な観測対象としたInternational GPS Service ( IGS )システムが存在する。非特許文献4にその内容が示されている。
【0011】
この明細書ではこの発明に係る全システムを航行衛星システムと称し、システムを構成する人工衛星単体を航行衛星と称し、システムを構成する測位機能を達成するため必要な複数の航行衛星を航行衛星群と称する。
【0012】
地表面付近で高精度な測位を可能にするため、航行衛星システムには高精度に関する二種類の基本機能が必要とされる。その一は人工衛星から送信される測位信号の発生源になる時刻が正確であることと、安定していることである。その二はある時刻における衛星の位置が正確に判明していることである。この課題に対してGPSは以下のように対応している。その一の要求である時間の安定は、現在搭載用として一番安定度が高い原子時計を使用することで、達成されている。その時刻の基準は国が管理している。国の管理している時刻が一次基準で、国内の時刻は一次基準に従う。GPSではこの一次基準に準拠した管制局223の時刻を全システムの基準にしている。管制局223はGPS衛星221のある時刻における位置、管制局223とGPS衛星221の間に存在する電波伝搬の媒体の状態を最尤推定して、GPS衛星221の時刻の推定を行う。時刻の推定に当たっては長時間の観測と、その観測によって得られたデータに基づく、軌道や伝搬媒体の状態モデルを使用したデータ処理に依って時刻の推定を行う。推定の結果補正が必要で有れば、AODの間隔でテレメトリの内容を更新するコマンドの送信が可能である。
【0013】
ブロックIIF以前の状態ではAODの最短が24時間で運用されることを目標としていた。ブロックIIFではUHF帯の衛星間通信回線222が搭載される計画になっているので、AODの短縮が図られている。目標とするAODは最長で3時間である。UHF帯衛星間通信回線222で伝送されるデータは、軌道や、時刻に関する項目である。このようにGPSのシステム内部でシステムパラメータを更新することによりシステム性能の向上が図られている。
【0014】
地殻変動など地球観測にGPSの測位を使用しているユーザは、現在GPSから提供される衛星位置情報の精度に満足していない。そこで、米国のNASAのJPL ( Jet Propulsion Laboratory ) が中心になって、この分野の研究者が参加して、IGS が設立された。IGSの概念は非特許文献4に示されている。IGSの構成要素はNetworks of Tracking Stations、Data Centers、Analysis and Associate Analysis Center Working Groups and Pilot Projects、Central Bureau、 Governing Boardである。IGSの基本になるデータは地球上に広く分布した200局以上のTracking Stationで2周波数の測位信号が連続的に取得されている。ここで取得されたデータはData Centerを経由して、データの流れに沿って上流の局に送られ、逐次高度なデータ処理が行われ、高精度なGPSに関するデータが作成される。このデータは広く研究者を中心に世界中に配信されている。
【0015】
【非特許文献4】
R.E.ニーラン他(R. E. Neilan, et al.)著, 「インターナショナル・GPS・サービス:ライフ・ウィズアウト・SA (International GPS Service: Life without SA)」 , p.438−446, ION GPS2000, 2000年9月(Sept. 2000), ソルトレーク・シティ(Salt Lake City,) ユタ州,米国(UT, USA)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
このようにGPS単独では、高精度な測位を必要とするユーザの要求を満たすことができず、GPSを管理している組織とは別の世界規模の組織が補完データを提供することにより、高精度測位が達成されている。GPS衛星221の宇宙空間における位置を確定する精度に限界があるのは、GPS衛星221の軌道決定の原データを取得するモニター局224,225、226、227の世界的な分布が、全部のGPS衛星221に比較して少ないため、1個のGPS衛星に対する長時間にわたる高精度な観測データが得られないことに起因する。従って、外部の機関であるIGSがシステム補強の手段として講じられた。しかし、本来航行衛星システムは自らのシステム内部に観測手段を持ち、IGSユーザの要求する測位精度と同等の精度をユーザに提供すべきである。本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、航行衛星システムの衛星間に高精度な衛星間通信回線を経由した測距機能を提供し、航行衛星と管制局間に広帯域のフィーダ回線を経由した測距機能を提供することによって、高精度な測位を実現することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の特徴を有する本発明によって達成される。すなわち、請求項1に記載の発明は、4つ以上の航行衛星及び当該航行衛星を管制する3つ以上の地球上の管制局を含む航行衛星システムにおける航行衛星の絶対位置決定方法において、当該航行衛星のそれぞれについて、当該それぞれの航行衛星と該航行衛星以外の少なくとも3つの航行衛星との間の衛星間距離を衛星間通信測距によって測定するステップと、当該管制局のいずれか1つと当該航行衛星のいずれか1つとの間の地上衛星間距離を地上衛星間通信測距によって測定するステップと、当該管制局のいずれか他の1つと当該航行衛星のいずれか1つとの間の地上衛星間距離を地上衛星間通信測距によって測定するステップと、当該管制局のいずれか更に他の1つと当該航行衛星のいずれか1つとの間の地上衛星間距離を地上衛星間通信測距によって測定するステップと、当該管制局のいずれか1つと当該航行衛星のいずれか1つとの間の地上衛星間距離であって、既に測定された当該地上衛星間距離の値及び当該衛星間距離からは地上衛星間距離が導出できない管制局と航行衛星の組についての地上衛星間距離を少なくとも3つの組について測定するステップと、測定された当該衛星間距離、測定された前記地上衛星間距離、及び当該管制局の地球を基準とする絶対位置に基づいて、当該航行衛星それぞれの地球を基準とする絶対位置を導出するステップと、を有することを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の特徴に加えて、当該航行衛星それぞれの地球を基準とする絶対位置を導出する当該ステップは、測定された当該衛星間距離に基づいて、いずれか4つの航行衛星を頂点とし、かつ、それらの航行衛星間の距離を稜の長さとする四面体を画定するステップと、四面体を画定する当該ステップを、航行衛星を換えて、すべての航行衛星が当該四面体のいずれかに含まれるようになるまで反復するステップと、画定された当該四面体すべてを幾何学的に連結することによって、すべての航行衛星の相対位置を導出するステップと、導出された当該航行衛星の当該相対位置、測定された当該地上衛星間距離、及び前記の管制局の地球を基準とする絶対位置に基づいて、当該航行衛星それぞれの地球を基準とする絶対位置を導出するステップと、から構成されることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明の特徴に加えて、四面体を画定する前記ステップで画定される当該四面体の内部には、当該四面体の頂点を構成しない航行衛星が含まれないことを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、当該衛星間通信測距は、ミリ波帯の搬送波を測距信号によって変調した測距電波を当該航行衛星間で往復させ、当該測距電波の送信時と受信時との時間差を測定することによって実施されることを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明の特徴に加えて、当該衛星間通信測距で使用される当該測距信号は、逓倍数を1以外の公約数を有しないn個の整数として、当該クロック周波数の当該逓倍数倍の周波数であるn個の正弦波の合成である第2の測距信号を、所定のクロック周波数の駆動信号で駆動される符号である第1の測距信号によって変調した測距信号であり、並びに当該衛星間通信測距は、当該測距電波の送信時と受信時との時間差の測定において、送信側の符号と受信された符号とのビット単位の位相差を測定することによって、当該符号の1符号周期より短く、かつ、当該符号の1ビットの時間より長い時間差を測定し、送信側のクロック周波数の駆動信号と受信されたクロック周波数の駆動信号との位相差を測定することによって、当該符号の1ビットの時間より短く、かつ、当該クロック周波数の当該逓倍数倍の周波数の信号の1周期より長い時間差を測定し、及び送信側の第2の測距信号と受信された第2の測距信号との、当該クロック周波数の当該逓倍数倍のn個の正弦波のそれぞれの位相差を測定することによって、当該クロック周波数の当該逓倍数倍の周波数の信号の1周期より短い時間差を測定することを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明の特徴に加えて、当該符号は、PN符号であることを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の航行衛星システムにおける航行衛星の絶対位置決定方法を使用して航行衛星の絶対位置を決定することを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
航行衛星システムの使用目的は地表面における測位である。航行衛星システムの構築に当たっては地表面のある点を原点と定め、この原点と航行衛星システムを構成する航行衛星の間の幾何学的な位置関係が高精度で決定されているほど、航行衛星システムは高精度な測位を実現できる。
【0025】
地球上の位置を表す経度、緯度、標高は国別に採用する測地基準系に基づいて定められる。日本の場合、測地基準系の原点になっているのが、日本経緯度原点と日本水準原点で、これらが日本の絶対的位置であり、他の位置の基準になっている。この発明ではこの基準点を既知点として、GPSの相対測位を使用して計測された位置情報を持つ管制局の位置をこの発明の航行衛星システムの絶対位置の原点と定める。ここでは日本における高精度に導出された絶対位置の使用をこの発明の基本条件として示したが、国外であってもこのような対策を講じている地域ではシステムの構築は日本国内同様に可能である。なお、本実施例では、このような高精度の絶対位置を使用するが、「絶対位置」の用語は、地球に対して固定されている位置という程度の意味で使用し、必ずしも厳密な意義を有しなくても良いものとする。
【0026】
GPSの初号機の打ち上げは1974年7月である。その後現在のGPSに至るまで、多くの機能向上が図られた。この発明では非特許文献5に示すように最近宇宙上で実用化が始まった衛星間通信の技術を使用して、衛星間の精密な測距の機能を航行衛星システムに取り込み、また、絶対位置が確定した管制局の測距機能を組み合わせて、宇宙空間における衛星の絶対位置を高精度に導出して、高精度な測位機能をユーザに提供できる航行衛星システムを構築する。
【0027】
【非特許文献5】
ウォルター・L・モーガン(Walter L. Morgan), 「インターサテライト・リンクス(Intersatellite links)」, p.9−12, スペース・ビジネス・インターナショナル(Space Business International), 1999年第1四半期(Quarter 1, 1999)
【0028】
図1は、宇宙空間に投入されたこの発明に係る航行衛星群を示す図である。航行衛星群は、航行衛星1から航行衛星6を含む。それぞれの航行衛星の位置を記号Sから Sで示す。
【0029】
GPS方式の測位の原理を満たす衛星システムは最低4個からなる一群の航行衛星を有し、それから測位信号を送信して、ユーザがこの信号を受信して測位を実行できるようにする。図1は測位の必要条件を満たす航行衛星群として、航行衛星1から航行衛星6を示している。航行衛星1から航行衛星4は、それらを頂点とする四面体を形成しており、その四面体の内部には当該四面体の頂点を構成しない航行衛星が含まれない。すなわち、それらは最小単位の四面体を構成している。各々の航行衛星の位置をSからSの記号で示す。各航行衛星間には衛星間通信回線を使用した衛星間の距離を計測する測距線を想定して、線分で示す。航行衛星1から航行衛星4のそれぞれの間の測距線は実線で、航行衛星5及び6を一端に含む測距線は破線で示す。図1で示す多くの測距線のうち、SとSの間の測距線であるS−S間測距線7を代表例として明示した。
【0030】
これから四面体Sを画定する手順について説明する。まず、S、S、Sの間の測距値を取得できたとすると、三角形Sを決定できる。すなわち、Sの相対位置を決定できる。次に三角形Sと三角形Sを繋げて、四面体Sを作成する。四面体Sは、各衛星間を結ぶ6本の測距線によって立体として決定することができる。
【0031】
四面体Sを基本として隣接する航行衛星S、Sにそれぞれ3本の測距線を加え、四面体を連結することによってこの立体を隣接する方向に拡張していくことが可能である。
【0032】
表1は前記の方法に従って航行衛星の数を拡張して行った場合、航行衛星が存在する位置に相当する頂点の数、頂点と頂点とを結ぶ線の数を示したものである。航行衛星の配置を一般化するため、航行衛星が存在する位置の1番目を示す点をSで表し、以下j番目の点をSと表す。ケース7はj個の点があるときの辺あるいは稜の数と点の集合の幾何学的な意味を示す。
【0033】
【表1】
Figure 2004251778
【0034】
前記の通り測位に必要な航行衛星の必要最低限の個数は4個である。従ってこの発明に係る航行衛星群は4個以上の航行衛星を含むシステムとして一般化している。その4個以上の衛星を含む航行衛星群は相互の距離が高精度で判明した立体をなす。この状態は航行衛星が結合点となり、長さが高精度で判明している棒で接続されたトラス構造状の三次元剛体が宇宙空間に存在していることと同等の幾何学的な意味がある。このように、航行衛星間の距離に基づいて立体を画定することは、それらの航行衛星の相対位置を導出することと等価である。
【0035】
つぎに前記の三次元物体の地球を基準とした絶対位置を決定するため、地上との関係を明らかにする。
【0036】
図2は特定の航行衛星3個とそれらの衛星が持つフィーダ回線の構成を示したものである。位置がCSである管制局10は、それぞれ位置がS、S、及びSである航行衛星11、12及び13と、衛星への視線14に沿ったフィーダ回線によって結ばれている。衛星間測距線15は、航行衛星11と航行衛星12との間の衛星間通信を利用する測距線である。管制局10の位置CS1、は測地成果2000に準拠した電子基準点、GPS、 DGPSを使った長期間観測を通じて、ミリメートル単位の精度で決定されていると考える。
【0037】
この発明に係るフィーダ回線の使用目的は高精度測位を達成するための航行衛星と管制局の間の高精度な測距を行うことにある。当該目的を達成するためには広帯域のミリ波を使ったフィーダ回線が必要である。一般にトラッキング、テレメトリおよびコマンド(TT&C)回線には狭帯域マイクロ波が使用されているが、狭帯域では高精度な測距信号は伝送できないし、マイクロ波は衛星と地球局間に存在する電離層を通過する時屈折して、伝搬誤差が発生する。従って、高精度測距を達成するための航行衛星システムのフィーダ回線は、伝搬誤差の小さい、広帯域の通信路の確保が容易なミリ波が適している。但し、ミリ波は、降雨減衰がマイクロ波より著しいが、複数の管制局を使用したスペースダイバシティーでこの欠陥を避けることができる。
【0038】
フィーダ回線には広帯域伝送が可能なミリ波の使用を想定したので、管制局10(位置CS)は、それから航行衛星11(位置S)までの距離を衛星への視線14に沿ったフィーダ回線を使用した測距で高精度に計測できる。この距離を距離CSと表す。同様に距離CS、距離CSも計測できる。宇宙上において、航行衛星11(位置S)、航行衛星12(位置S)、航行衛星13(位置S)を結ぶ三角形の各辺の測距ができ、管制局CSから各点間の測距と合わせて、四面体SCSの総ての稜の長さが計測できたので、その四面体を決定できる。
【0039】
立体の構造が決定された四面体SCSの宇宙空間における位置は、管制局CSの位置を中心に、任意の仰角、方位角に回転させることができる自由度を持つ。
【0040】
図3は管制局10(位置CS)を中心とした座標を表わす。x軸20、y軸21、およびz軸22として、航行衛星への視線14は、原点Oから方位角23、仰角24の方向に向かっている。
【0041】
管制局10はフィーダ回線を接続するため、一般にパラボラ型などの開口面アンテナを持つ。フェーズド・アレー型を採用することも可能であるが、両者の構造は異なっていても、この発明が必要としている機能は同じであるので、パラボラ型で代表する。管制局10のパラボラ型アンテナの放射ビームは航行衛星11を指向し、追尾する。そのパラボラ型アンテナが航行衛星11を指向している間、航行衛星への視線14の方位角23、仰角24の測角と測距のデータを出力することができる。同様に管制局CSは航行衛星12と航行衛星13との間の測角と測距のデータも計測できる。
【0042】
管制局10は航行衛星11、航行衛星12、航行衛星13との間の距離、方位角、仰角を取得することができる。衛星間通信測距による航行衛星間の距離および管制局が地上衛星間通信測距により計測した距離、角度のデータに基づいて、その精度内の航行衛星11,航行衛星12、及び航行衛星13の3点の地球を基準とする絶対位置を決定することができる。
【0043】
管制局10が距離と角度データを取得したが、角度データに含まれる誤差を位置誤差に変換したとき、遠方に行くに従いそれは拡大する。従って、四面体SCSは高精度の測距、測角データを用いて固定したが、管制局C10を中心にした回転周りの誤差が測距データに比較して大きい。
【0044】
図4は管制局10が航行衛星11、航行衛星12、航行衛星13を時分割で追尾し、測距データを取得する様子を示す。すなわち、縦軸に軌道をとり、横軸に時間軸30をとって、航行衛星11(位置S)の軌道31、航行衛星12(位置S)の軌道32、航行衛星13(位置S)の軌道33において、それぞれの航行衛星の位置が時間と共に変化する様子を表す。管制局10のアンテナが、3種類の軌道のうち、1種類の軌道をそれぞれ1区間の時間内において追尾している様子を、第1区間、第2区間、第3区間、及び第4区間に区分した図で示している。
【0045】
管制局10がパラボラ型アンテナを一基備える場合、3個の航行衛星のフィーダ回線との接続は時分割になる。一般に航行衛星には、GPSのような12時間周期の軌道や、静止高度付近の軌道が使われるので、管制局から長時間の可視時間が可能である。第1区間34では3種類の軌道のうち、実線で示した航行衛星11(位置S)の軌道31を追尾する。同様に第2区間、第3区間、第4区間では、それぞれ航行衛星12(位置S)、航行衛星13(位置S)、及び航行衛星11(位置S)の軌道32、33、及び31を追尾する。航行衛星の軌道の変化に対して時分割で追尾する頻度がその変化分を十分取り込める程に高頻度であれば、管制局10は3個の航行衛星の有意義な軌道データを取得が可能である。例えば静止高度の衛星軌道であって、常時可視の場合、10分置きの取得データで軌道の変化を高精度で取得できる。管制局がフェーズド・アレー型アンテナを備えるときは同時に3個の航行衛星と回線接続することは可能である。
【0046】
管制局10が取得できるデータのうち、測角データは遠方になるに従い、衛星の位置を確定する精度が劣化するので、測角データは位置確定のための補助手段として使用することにする。それ故、ここでは測距データのみで、人工衛星の位置を高精度に画定する。この場合、管制局10を含め、管制局を最低3局備えなければならない。
【0047】
図5は測地基準系の絶対位置を示す原点からの相対位置が測定されている管制局を3局備え、測距データを用いて宇宙上の航行衛星の3点と管制局3局の間の相対位置を確定することにより、宇宙上の航行衛星の3点の絶対位置を画定するための構成である。航行衛星同士の距離は立体として画定されているため、すべての航行衛星の地球を基準とする絶対位置を求めるためには、3点の航行衛星の絶対位置を求めるとよい。第1基線42は管制局10(位置CS)と管制局40(位置CS)との間の、第2基線43は管制局10と管制局41(位置CS)との間の、及び第3基線44は管制局40と管制局41との間のお互いの視線である。ここで、3点の航行衛星の絶対位置を確定するためには、管制局と航行衛星の間の地上衛星間距離を、いくつの管制局と航行衛星の組について測定することが必要かを検討する。まず、3つの航行衛星の座標は、それぞれ(x,y,z)、(x,y,z)、(x,y,z)と表わせる。これらは、合計9つの変数を有する。地上の3箇所の管制局の座標は、(X,Y,Z)、(X,Y,Z)、(X,Y,Z)と表わせる。管制局の座標はそれぞれ既知であり、実際には具体的な値を代入することができるため、定数である。3点の航行衛星の絶対位置を確定するためには、航行衛星の座標に含まれる9つの変数を、定数で一意的に表わすことができるとよい。それは9つの変数の値を一意的に確定することであるから、そのためには、9つの方程式が存在すると、それらの変数をその連立方程式の解として代数的に確定することができる。ここで、3つの航行衛星間の距離は画定されているため、(x−x+(y−y+(z−z、(x−x+(y−y+(z−z、(x−x+(y−y+(z−zの値は、それぞれの航行衛星間の距離の2乗に等しい。このことより、3つの方程式が導かれる。したがって、あと6つの方程式が必要である。これは、航行衛星と地上の管制局との間の地上衛星間距離が6つ判明することが必要であることを表わしている。したがって、航行衛星と管制局の適切な6つの組について、それらの間の地上衛星間距離を測定すると、すべての航行衛星の地球を基準とする絶対位置を決定することができる。ここで適切な航行衛星と管制局の6つの組の例としては、それまでに既に測定された地上衛星間距離の値及び衛星間距離からは地上衛星間距離が導出できない管制局と航行衛星の組が挙げられる。このようにして、適切な航行衛星と管制局の6つの組を選ぶことにより、航行衛星の位置の確定に寄与しないような地上衛星間距離を無駄に測定することを防止できる。
【0048】
次に図5を参照し、3つの航行衛星を地球上の管制局に対して固定するための、最も地上衛星間測距回数の少ない具体的な手順の一例を説明する。そのためには、航行衛星を1つずつ、最小限の管制局の位置を用いてその位置を確定して行けばよい。まず、航行衛星11の地球を基準とする固定の手順を考える。他の航行衛星12及び13はまだ位置が確定しておらず測距の相手方にはできないため、地上の3箇所の管制局との間の距離を測定する必要がある。すなわち、3つの地上衛星間距離SCS、SCS、SCSを測定すると、航行衛星11の地球を基準とする絶対位置を確定できる。次に、航行衛星12の地球を基準とする固定の手順を考える。他の航行衛星11の地球を基準とする絶対位置が確定しているため、それを測距の相手方にできる。ここで航行衛星11と航行衛星12との間の距離Sは、衛星間通信測距によって確定されている。したがって、地上の2箇所の管制局との間の距離を測定する必要がある。2つの地上衛星間距離、例えばSCS、SCSを測定すると、航行衛星12の地球を基準とする絶対位置を確定できる。次に、航行衛星13の地球を基準とする固定の手順を考える。他の航行衛星11及び12の地球を基準とする絶対位置が確定しているため、それを測距の相手方にできる。ここで航行衛星11と航行衛星13との間の距離S及び航行衛星12と航行衛星13との間の距離Sは、衛星間通信測距によって確定されている。したがって、地上の箇所の管制局との間の距離を測定する必要がある。1つの地上衛星間距離、例えばSCSを測定すると、航行衛星13の地球を基準とする絶対位置を確定できる。これで、航行衛星11、12及び13すべての地球を基準とする絶対位置が確定されたが、そのためには、3+2+1=6回の地上衛星間測距が必要であった。
【0049】
上記の航行衛星の絶対位置を導出する方法は、一般的には以下のように表現できる。まず、当該航行衛星のそれぞれについて、当該それぞれの航行衛星と該航行衛星以外の少なくとも3つの航行衛星との間の衛星間距離を衛星間通信測距によって測定する。これによって、4つの航行衛星を頂点とする四面体を形成することができ、それを連結することによってすべての航行衛星同士の相対距離を確定することができる。次に、当該管制局のいずれか1つと当該航行衛星のいずれか1つとの間の地上衛星間距離を地上衛星間通信測距によって測定し、当該管制局のいずれか他の1つと当該航行衛星のいずれか1つとの間の地上衛星間距離を地上衛星間通信測距によって測定し、そして当該管制局のいずれか更に他の1つと当該航行衛星のいずれか1つとの間の地上衛星間距離を地上衛星間通信測距によって測定する。これによって、管制局と航行衛星の間の位置関係の自由度が減少、すなわちそれらの位置関係が段々と固定化されてくる。更に、管制局のいずれか1つと航行衛星のいずれか1つとの間の地上衛星間距離であって、前記の地上衛星間距離を地上衛星間通信測距によって測定するステップによってはまだ測定されていない管制局と航行衛星の組についての地上衛星間距離を少なくとも3つの組について測定する。すなわち、少なくとも3つの管制局と少なくとも3つの航行衛星の間の地上衛星間距離を、管制局と航行衛星の少なくとも6つの適切な組について測定する。これで、管制局と航行衛星の少なくとも6つの組についての地上衛星間距離が測定される。6つの組を適切に選択することによって、管制局と航行衛星の間の位置関係を完全に固定することができる。すなわち、測定された衛星間距離、測定された地上衛星間距離、及び管制局の地球を基準とする絶対位置に基づいて、航行衛星それぞれの地球を基準とする絶対位置を導出することができる。なお、実際の航行衛星を地上から見たとき、時間が経過すると、位置が移動して、航行衛星と管制局との相対位置関係は変化する。従って、時間経過により前記多面体の頂点にある航行衛星が異なるようになるが、瞬時、瞬時で前記多面体の稜の測距ができれば、位置の確定ができる。図5の航行衛星と管制局間の衛星への視線は接続可能な総てを示した。
【0050】
航行衛星11、航行衛星12、航行衛星13の位置を決定するとき、3本の第1基線42、第2基線43、第3基線44を辺として作られる三角形の面積はできるかぎり大きくなければならない。基線の例として、気象衛星「ひまわり」の場合、衛星の位置を検出するため、三点測距法が採用されている。すなわち、静止軌道上のひまわり、鳩山管制局、石垣局、オーストラリア局で四面体が構成されている。この場合の基線はこの地上の3局を結ぶ直線である。また、その三角形の形状に関しては、三角形の面積が大きいほど、また、三角形が正三角形に近いほど、航行衛星システムの絶対位置をより高精度で確定することができる。
【0051】
図6は航行衛星群60と3カ所の管制局10、40及び41の関係を示す図である。航行衛星群60は航行衛星を構成する総ての衛星を含む。航行衛星群60に含まれる総ての航行衛星は図1で示した構成の如く、お互いに隣り合う衛星間は衛星間通信回線で接続されていて、航行衛星間の距離が高精度で計測されている。従って、航行衛星群60内の総ての航行衛星は航行衛星を結合点として図1で示した原則に基づき、長さが高精度で計測された固体の棒に相当する衛星間通信回線で接続されている高精度に決定された単一の立体と等価であると言うことができる。
【0052】
航行衛星の絶対位置の画定は図5の航行衛星と管制局との関係が基本であるから、図6は図5の構成を拡張したものである。航行衛星群60に属する航行衛星のお互いの位置は前記のごとく確定しているので、管制局は航行衛星群60に含まれているいずれの航行衛星と組み合わせても、図5で示した管制局と航行衛星の関係から航行衛星の絶対位置の画定をすることが可能である。航行衛星群60は特定な地域に分布する場合から全地球的に分布する場合までの種々の形態がある。
【0053】
図6では航行衛星群60の内の代表的な9個の航行衛星を示した。一般に航行衛星は全地球的、あるいはそれに準ずる広い範囲の宇宙空間に分布するので、各管制局から可視範囲にある3個の衛星を代表的に示した。フィーダ回線64、フィーダ回線65、フィーダ回線66は管制局付近の可視範囲にある全部の航行衛星と回線接続する様子を示している。航行衛星群60の絶対位置を管制局10、管制局40、管制局41との関係で画定する条件は前記図5で示した通りである。すなわち、前述のように、最低で適切な6つの地上衛星間距離を測定することによって、すべての航行衛星の地球を基準とする絶対位置を確定することができる。管制局が地球上の広い範囲で分布しているとき、基線は地中を貫通する仮想の直線になる。
【0054】
地球を基準とするすべての航行衛星の絶対位置を導出する方法は、最初に起点となる四面体を構成する航行衛星の絶対位置を導出した後に、その四面体に隣接する他の航行衛星を順次連結することによって新たな四面体を順次構成すること、すなわち、他の航行衛星の絶対位置を順次導出していってもよいし、あるいは、最初に総ての航行衛星の相対位置を導出した後に、それらの航行衛星が画定する立体に含まれる四面体の頂点を構成する航行衛星の絶対位置を管制局との関係で確定し、それによって総ての航行衛星の絶対位置を導出してもよい。
【0055】
次に衛星間通信回線について検討する。衛星間通信回線は最大の中継距離に余裕を持った回線が設定される必要がある。そのため中継最大距離を算出する必要がある。衛星間の最大距離は衛星の配置に依存する。地上にいる観測者が最も効果的に測位を行える衛星の配置の典型的な例は直上に1個、低い仰角によって作られる仮想の面内に120度離れた所に3個の衛星がある場合である。実際の隣り合う衛星間の距離はこの想定の場合より短いが、初期検討に当たっては最大距離を想定することが妥当である。
【0056】
図7は静止高度を持つ航行衛星1が観測者の直上にあり、航行衛星2が仰角5度の方向に在るとき、航行衛星1(位置S)、航行衛星2(位置S)、地心Oを含む面を横から眺めたときの構成である。Pは地心Oと航行衛星1の位置Sとを結ぶ直線OSが地表と交わる点であり、Pは航行衛星2の位置Sから直線OSに下ろした垂線が直線OSと交わる点である。仰角である角度∠Sは5度であり、直線OS、直線OSの距離は地心からの静止高度で42,000kmである。地球の半径OPは6378kmである。
【0057】
角度∠POをXで表し、式(1)の正弦定理から求めるとXは8.7度になる。
【0058】
【数1】
Figure 2004251778
従って、角度∠POSは76.3度になる。式(2)の正弦定理より距離Pは40961kmである。
【0059】
【数2】
Figure 2004251778
さらに、直線Pは40961×cos5であるから、40805kmとなる。天頂の航行衛星1と仰角5度の方向にある航行衛星2の間の距離は式(3)の余弦定理を用いて算出できる。距離Sは51,889kmである。
【0060】
【数3】
Figure 2004251778
図8はPを含む面を天頂から見た図である。Pから点Sと点Sを見込む角は120度であるから、距離Sは式(3)の距離Sから、距離Pを求めた値に基づき、70,676kmである。観測者から見て直上の衛星と、3個の仰角5度の方向に120度置きに配置された衛星間の最大距離は70,676kmになる。
【0061】
実際の航行衛星群60に含まれる航行衛星の構成は特定のシステムを定義することにより決まる。衛星間の距離について言えば、隣りの衛星との間隔が70,676kmより短い場合が多いと考えるが、衛星間通信回線を考察するとき、予測される最大距離に基づいて考察すべきである。
【0062】
表2は衛星間距離が70676kmの時の回線表である。これは、非特許文献6に示された通信回線に使用された数値と、非特許文献1の拡散符号の受信電力強度に基づき作成したものである。表2によれば、搬送波は60GHz、アンテナの直径は送受共30cm、送信電力は43mWである。これらの値は、宇宙局から地球面に放射するときのきびしい電力束密度制限を順守するため、低い値になっている。しかし本発明では、この回線は衛星間の回線接続に使われるので、地球面への照射の可能性がない場合、送信電力の増大、アンテナ径の拡大などEIRPの増大が可能であり、この場合、拡散符号の復号に必要な積分時間を短縮できる。また、表2は測距機能1回線分の設計条件であるが、実際には複数の測距回線の使用、観測された測距データの伝送、航行衛星システムの維持管理のために必要なデータが重畳されて伝送される。データを伝送する場合は測距の場合と異なり、拡散符号の復号利得が得られないので、表2で示された数値より相当大きな値が必要である。
【0063】
【表2】
搬送波60GHzの時の回線表
Figure 2004251778
【0064】
【非特許文献6】
「NASA 60GHz インターサテライト・コミュニケーション・リンク・デフィニション・スタディ(NASA 60GHz Intersatellite Communication Link Definition Study)」, NASA−CR−186339, 90N23590
【0065】
次に具体的に衛星間の距離を高精度で計測する方式について説明する。図9は航行衛星1と航行衛星2が衛星間通信回線7で接続された状態を示す。衛星間の測距は、衛星間に電気信号を往復させて、往復に要する時間を計測して行う。航行衛星1から測距信号を60GHz帯の搬送波に変調して、航行衛星2に送信する。航行衛星2では受信信号を位相同期した復調を行い、それを60GHz帯の搬送波に変調して、航行衛星1に送信する。航行衛星1では送信信号と受信信号の間の位相差(時間差に対応する)を計測して、それらの2箇の衛星間の距離を算出する。図9の航行衛星1と航行衛星2は航行衛星群60の中の隣り合う任意の2個の衛星を取り出した状態を代表して表している。
【0066】
航行衛星1と航行衛星2が測距信号を送受信するための前提としては、両方の衛星のアンテナの放射ビームが対向していて、なおかつ、衛星の移動につれて放射ビームが連続的に移動して、そのような対向の状態が継続される必要がある。この機能の初期状態は、放射ビームが相手の衛星を指向してない状態から始まる。最初に放射ビームを所定の衛星に向けることは衛星の軌道情報に基づいてなされる。しかし、軌道情報のみでは放射ビームを正確に相手の衛星に向けて照射できない場合があるので、放射ビームを相手の衛星が存在する確率の高い方向に向けて、その周辺を捜索させ、正確に放射ビームを相手の衛星の受信アンテナの中心に指向させる。この機能を角度取得、または角度アクイジションと称する。角度取得が達成された後、双方の衛星の移動に従って、放射ビームが常に2個の衛星の送受信アンテナの中心を照射するように、衛星の角度情報を検出して、放射ビームの方向を制御する機能を角度追尾と称する。衛星間の測距を達成するために角度取得と角度追尾は必要不可欠な機能であるが、この発明に係る測距機能に直接関わらないので、この明細書ではこの機能が提供されるものとして説明する。
【0067】
図10は測距信号の内容を示す図であり、クロック周波数のクロック80、PN(擬似雑音)符号81、p副搬送波83、q副搬送波84、およびr副搬送波85の波形を示す。なお、PN符号は生成多項式に相当するシフトレジスタから生成される直交符号を想定した。またこれ以外の直交符号を用いることも可能である。測距信号に使用する源泉になる信号はクロック80である。式(4)にクロックを示す。
【0068】
【数4】
Figure 2004251778
式(4)は位相速度ω(以下周波数と言う)の正弦波を表している。この正弦波は0と1の繰り返し信号であるクロックと振幅の表し方は異なるが、同一の繰り返し周期を持つ信号である。そのクロックは、PN符号、式(5)で示される副搬送波、および式(7)で示される搬送波の源泉になる。
【0069】
【数5】
Figure 2004251778
【0070】
【数6】
Figure 2004251778
【0071】
【数7】
Figure 2004251778
【0072】
測距に使用する測距信号を式(5)に示す。ここで、ω、ω、ωは各p副搬送波、q副搬送波、r副搬送波の周波数、φ、φ、φは各p副搬送波、q副搬送波、r副搬送波の位相である。測距信号R( t )は時間の関数である。XP( t )はPN符号を示す。PN符号81は式(4)で示したクロック80で駆動された生成多項式に相当するPN符号発生回路から生成される。図10(a)に、クロック80とPN符号81の典型的な波形を示す。PN符号81は、生成多項式の次数で定まる一連の長さのビットのシーケンスを持ち、これを一定周期で繰り返す。PN符号81は、位相が一致した自己符号との間でピークの鋭い自己相関特性を有するが、位相がずれた自己符号との間では符号長分の1の小さい自己相関特性を有する。クロック周波数はGPSで使用されている精符号の周波数と同じ10.23MHzを使用してこの発明を説明する。副搬送波をPN符号で変調して、式(5)で示す測距信号を生成する。この発明では3種類の副搬送波を想定した。それらは、p副搬送波83、q副搬送波84、及びr副搬送波85である。
【0073】
式(6)は副搬送波の位相の組み合わせを示す。式(7)はこの発明で使用する測距信号である。ここで、Pは振幅、ω、φはそれぞれ搬送波の周波数と位相である。
【0074】
GPSの場合、測位信号はPN符号と搬送波より成り立ち、副搬送波は含まれていない。この発明の測距信号においては、GPSの搬送波に相当する信号を副搬送波に使用し、搬送波は60GHz帯のミリ波を使用した。
【0075】
クロック周波数と副搬送波の間には整数関係が存在する。副搬送波はクロック周波数を逓倍して生成する。逓倍率(逓倍数)はGPSの搬送波の生成に使用する倍率と一部異なる組を使用した。ここでは、120、154、169である。これらの数は、1以外の公約数を有しない(互いに素)。PN符号1ビットの周期の中にp副搬送波83、q副搬送波84、及びr副搬送波85の波数が、それぞれ120、154、及び169箇存在する。副搬送波はクロック周波数80から生成されたので、PN符号の立ち上がり点でp副搬送波83、q副搬送波84、及びr副搬送波85の位相が同時にゼロクロス点を通過したとするなら、それ以降のそれらの副搬送波のゼロクロス点 はPN符号81の次の周期が始まるまで、すなわちクロック80の次の周期が始まるまで同時に重なることはない。図10(b)に、PN符号の駆動信号(クロック周波数)の1周期における、それぞれの副搬送波同士の関係を示す。それぞれの副搬送波は正弦波である。また、搬送波のゼロクロス点を「○」で表わした。図10(b)に示した期間は、図10(a)でPN符号の駆動信号(クロック周波数)の1周期と示した期間に対応する。図10(b)から分かるように、それぞれの副搬送波は、図の左端の位置(駆動信号の1周期の開始時)で振幅がすべてゼロ(ゼロクロス点)で揃っており、さらに図の右端の位置(駆動信号の1周期の終了時)でも振幅がすべてゼロで揃っている。そして、それらの間の期間では、3つの副搬送波の位相の組み合わせが一通りである。従って、それら3つの副搬送波のそれぞれの位相を計測すると、その組み合わせがそのクロックの1周期の中のどの位相のところに位置するかを一意的に特定することができる。
【0076】
送信側のクロック(クロック周波数の駆動信号)80と受信されたクロック80との位相差を測定することによって、PN符号81の1ビットの時間より短く、かつ、クロック80の逓倍数倍の周波数の信号の1周期より長い時間差が測定される。クロック周波数の逓倍数倍より成る送信側の副搬送波(第2の測距信号)と受信された副搬送波の3つの正弦波のそれぞれの位相差を測定することによって、当該クロック周波数の逓倍数倍の周波数の信号の1周期より短い時間差が測定される。従って、PN符号81の1ビットの単位の計測では、副搬送波の位相を用いたクロック80の逓倍数倍の周波数の信号の1周期より短い時間差に係る測距と同時に、1ビットの位相計測のよる測距が可能である。
【0077】
さらに、PN符号1ビットより上の桁の距離はPN符号の符号の位相によって表せる。すなわち、送信側のPN符号81と受信されたPN符号81と間の符号長の位相をビット単位の位相差(ビットのずれ)で測定することによって、PN符号81の1周期より短く、かつ、PN符号81の符号長の1ビットの時間より長い時間差が測定される。クロック周波数が10.23MHzで、符号長を210 − 1 = 1023とするなら、1符号長である30kmを固有なビットパターンで模様化できるのでこの距離が測距の範囲内である。さらに30kmより長い距離に不確定性が存在するが、従来の軌道処理方法で求めた衛星の位置はこの不確定性の値より小さく、これより上の桁を測距信号から求める必要がない。
【0078】
図11は測距信号の生成過程と送信の過程を示すブロック図である。原振90は原子時計のような超安定な発振源から原振の周波数を得て、式(4)で示すクロック80を発生する。クロック80はPN符号発生器91に送られ、それを駆動してPN符号81を発生させる。クロック80は、p副搬送波発生器92、q副搬送波発生器93、及びr副搬送波発生器94にも送られる。クロック80は、p副搬送波発生器92では120倍に、q副搬送波発生器93では154倍に、及びr副搬送波発生器94では169倍に逓倍され、それぞれ副搬送波を発生する。変調回路95、96及び97に副搬送波が送られ、PN符号発生器91からのPN符号81と位相が同期した形式で変調され、式(5)の信号形式を得る。一方、原振90からのクロック80は逓倍器100に送られ、逓倍されて60GHz帯のミリ波帯の信号を発生する。変調回路95、96及び97のそれぞれからの変調出力は、更に変調回路98に送られ、原振90からのクロック80を逓倍した逓倍器100の出力を変調する。変調回路98からの出力は、送信機101に送られて所望の出力にまで電力増幅される。送信機101からの式(7)で示された出力は、送受分波器102を介してアンテナ103に送られ、そこから放射される。以上の動作は、測距信号発生器部制御部106によって制御される。また、アンテナ103は、アンテナ追尾制御ループ105によって、測距しようとする衛星に向けて方向を制御される。以上の構成要素から、測距信号発生部107が構成される。
【0079】
図11に示すブロック図全体を示す距離信号発生部107は図9の航行衛星1に含まれ、送信する測距信号を発生する。発生した測距信号はS−S間測距線7に沿って、航行衛星2に送信される。
【0080】
逓倍器100は原振90から基準の周波数のクロックを受けて、それを逓倍することによって60GHz帯の搬送波を発生する。60GHz帯という用語は、60GHzの近辺の周波数と言う意味である。表2の回線表は衛星間の距離が最大になる可能性のある値を採用したが、短い距離の場合は距離に応じて出力制限する必要がある。また、地上を照射する可能性の有るときは地表面に対する最大放射電力が制限される。アンテナ103は送信と受信を兼ねる。アンテナ103で受信された信号は送受分波器102で分離されて、受信信号104として出力される。
【0081】
測距信号発生器部制御部106は予め定められた方法、または管制局からの指令に基づいて図11の測距信号発生器部107の管理、制御を行う。アンテナ追尾制御ループ105はアンテナ103の方向の初期設定、あるいは追尾信号を受けて連続的に対象とする相手の衛星を追尾させる。
【0082】
図12は測距信号を受信して復調した後、それを再び発信側に送信するトランスポンダのブロック図である。アンテナ110は送受分波器111に接続されている。受信信号は、送受分波器111からLNA(低雑音増幅器)112に送られてきた微弱な信号は雑音温度の低い増幅器で増幅され、さらにダウンコンバータ(周波数変換)113に送られて第1局発115からの信号とそこで混合されてダウンコンバートされる。ダウンコンバータ113からの信号は、IF(中間周波)増幅器114に送られて増幅され、さらにダウンコンバータ116に送られて第2局発120からの局部信号とそこで混合されてベースバンドにダウンコンバートされる。
【0083】
ダウンコンバータ116の出力と、ビット同期ループ119の中のLP&VCXO118で発生したクロック周波数は、位相検出器117に入力され、位相差が検出される。その位相差を入力として、LP&VCXO118のクロック周波数を受信信号のクロックと位相同期させ、ビット同期ループ119から再生したクロック信号を発生させる。LP&VCXO118のLP(ループ・フィルター)は位相検出器117の出力の中からクロックの位相同期に必要な周波数成分を抽出する役割を持ち、VCXO(電圧制御水晶発振子)はLPの出力によって発振周波数が可変になる高安定な原振の役割を持つ。
【0084】
さらに、ダウンコンバータ116の出力と、この再生したクロック信号で駆動された局部PN符号発生器121から発生した局部PN符号は相関検出器122に入力され、位相検出が行われる。相関検出器122の相関出力は積分器123で定められた期間積分され、この積分出力を判断・更新器124に入力して、両者の間の相関の有無や、遅延追尾機能を動作させるために必要な追尾信号を検出し、局部PN符号発生器121の内容を更新して、局部PN符号発生器121の出力をダウンコンバータ116のベースバンドのPN符号と同期させ、PN符号を再生させる。
【0085】
ビット同期ループ119からの再生されたクロック信号は、p副搬送波発生器125、q副搬送波発生器126、及びr副搬送波発生器127に入力され、所定の値で逓倍されて、各副搬送波が作られ、その出力と局部PN符号発生器121で再生されたPN符号が、それぞれ変調器128内の3つの変調回路に送られる。それら3つの変調回路からの出力は、再生されたクロック信号を逓倍器129に入力して所定の逓倍を行って得られた60GHz帯の搬送波を、下流の変調回路において変調し、それによって再生された測距信号が得られる。その出力は送信機130に送られ、最大で−13.63dBW(表2の項目1)に電力増幅され、送受分波器111を介してアンテナ110に送られる。以上の構成要素に、アンテナ追尾制御ループ131及びトランスポンダ部制御部132を加えたものから、トランスポンダ133が構成される。測距のために必須の情報は、副搬送波とPN符号である。従って、60GHz帯の搬送波が周波数変換され、副搬送波とPN符号が抽出された状態で位相同期されて再送される機能が、このトランスポンダにより実現されていれば測距は可能である。副搬送波の位相同期のため、p副搬送波発生器125、q副搬送波発生器126、r副搬送波発生器127は位相同期機能を必要により有している。
【0086】
図13の測距信号発生部107と測距信号処理部175とは、航行衛星1に含まれる。図11で示した測距信号発生部107で発生した測距信号は、S−S間測距線7に沿って送信されて、航行衛星2に含まれている図12で示したトランスポンダ133で受信され、同期復調、再生、増幅され、再び航行衛星1に送信される。このようにして、図13の測距信号発生部107と測距信号処理部175とで航行衛星1と航行衛星2の間の測距を行う。
【0087】
図13の測距信号処理部175の機能のうち、LNA141で受信した信号から、クロック成分を再生し、PN符号を再生する機能は、図12のLNA112から局部PN符号発生器121に至る信号の流れに沿った機能と同一である。従って、図13に関してはクロック信号が再生され、PN符号が再生された後の機能について説明する。
【0088】
図13において、アンテナ103から入力した受信波は送受分波器102で送信波と分離され、LNA141で雑音温度が低い増幅が行われる。その受信信号は第一局発145からの信号を受けて、ダウンコンバータ143で副搬送波にダウンコンバートされる。その副搬送波はIF増幅器146で増幅される。副搬送波はp、q、rの3種類の副搬送波を含んでいるので、PN符号復調フィルタ150で3波を分離し、さらに、変調されているPN符号を受信PN符号再生器170で再生されたPN符号によって同期復調して、副搬送波成分のみを取り出す。
【0089】
測距信号発生部107からトランスポンダ133に送られた副搬送波の発振源であるp副搬送波発生器92から一部取得したp副搬送波は送信搬送波線156を経由して、ダウンコンバータ153に入力される。送信副搬送波は式(8)で示す。
【0090】
【数8】
Figure 2004251778
ここで、ω、φは送信p副搬送波の周波数と位相である。一方、受信副搬送波は、PN符号復調フィルタ150から出力して、ダウンコンバータ151に入力される。受信副搬送波は式(9)で示す。
【0091】
【数9】
Figure 2004251778
ここで、ω 、φ は受信p副搬送波の周波数と位相である。
副搬送波の周波数を下げるための局部周波数の信号を局部発振器152で発生させる。局部発信周波数は式(10)で示す。
【0092】
【数10】
Figure 2004251778
ここで、ω、φは局部発振周波数の周波数と位相である。
その局部周波数の信号をダウンコンバータ151、153に加え、副搬送波の持っている位相を保存した状態で周波数を下げる。周波数の下げられた副搬送波は式(11)で示す。
【0093】
【数11】
Figure 2004251778
その周波数の下げられた副搬送波は位相差検出器154に入力され、送信副搬送波と受信副搬送波の間の位相差を検出する。位相差は式(12)に示す。
【0094】
【数12】
Figure 2004251778
ここで、φ は送信p副搬送波と受信p副搬送波の計測された位相差である。前記の位相差検出に当たっては航行衛星1と航行衛星2の間の距離は一定であると想定した。しかし、実際には2個の衛星は移動するので、受信信号はドップラ効果で周波数が変移している。従って最終的に周波数のシフトを検出して、算出距離の補正が必要である。
【0095】
p副搬送波位相差検出器155で行った送信副搬送波と受信副搬送波の位相比較は、q副搬送波についてはq副搬送波位相差検出器158で、r副搬送波についてはr副搬送波位相差検出器159で行われる。それぞれの検出位相は式(13)、(14)に示す。
【0096】
【数13】
Figure 2004251778
同様に、ここで、φ、φ 、φ はそれぞれ送信q副搬送波の位相、受信q副搬送波の位相、そして、両副搬送波の位相差である。
【0097】
【数14】
Figure 2004251778
同様に、ここで、φ、φ 、φ はそれぞれ送信r搬送波の位相、受信r副搬送波の位相、そして、両副搬送波の位相差である。
さらにp、q、r副搬送波の3種類の検出された位相差を式(15)で示す。
【0098】
【数15】
Figure 2004251778
式(15)で示した3種類の位相の組み合わせは、PN符号81の1(ビットクロック80の1周期)の間で固有な値を示す。すなわち、式(6)で示された1ビット区間での独特な位相値の組合わせの内の1組に一義的に対応するような、特定の解を示している。すなわち、3種類の副搬送波を使用することより、測距信号のPN符号81の1ビットの区間を、当該1ビットの区間より更に細かく、副搬送波の1周期内における位相分解能の単位で計測(すなわち測距。以下、時間差の計測値は距離の値に一意的に対応するため、「時間差の計測」のことを「測距」と表現する。)が可能である。すなわち、一般的には副搬送波の1周期の100分の1単位での測距が可能である。
【0099】
1ビットあるいは原振の1波長の送信波と受信波の位相差からも測距が可能である。原振90はクロック80を発生し、それは式(4)で示される。クロック80はビット位相差検出器171に入力される。LNA141を経由した受信信号は、ダウンコンバータ143、第1局発145、IF増幅器146、ダウンコンバータ147及び第2局発148からなる復調回路を経由して、ビット同期ループ149で再生される。再生されたビット波形は式(16)で示す。
【0100】
【数16】
Figure 2004251778
再生クロックはビット位相差検出器171に入力される。前記送信クロックと受信クロックの位相差φは高速のカウンタで時間を計測して求めるか、必要に応じて周波数変換して、扱い易い周波数にして位相計測することも可能である。
【0101】
1ビットより大きな距離は、PN符号81の符号長をビット単位の細かさで計測した位相差から、PN符号81の1ビットを単位として求めることができる。送信されるPN符号81は、測距信号発生部107の中のPN符号発生器91で発生させられる。そのPN符号81は、測距信号発生部107から測距信号処理部175にも導かれ、PN符号位相差検出器172に入力される。送信されるPN符号81は式(5)の振幅で表される。受信PN符号は、局部PN符号を受信信号に同期させることにより受信PN符号再生器170で再生される。再生された受信PN符号は、PN符号位相差検出器172に入力される。PN符号位相差検出器172は、送信PN符号81を基準にして、受信PN符号の位相を移動させて、最大相関値が得られる位相の移動値を計測することで、位相差を検出できる。位相差検出のための演算を式(17)で示す。
【0102】
【数17】
Figure 2004251778
ここで、XP (t)は受信PN符号である。
またある時点における送信PN符号発生器91の生成多項式に相当するシフトレジスタの内容と受信PN符号再生器170の同様なシフトレジスタの内容を抽出して、論理演算から両者の位相を算出することも可能である。
【0103】
副搬送波位相差検出器160、ビット位相差検出器171、PN符号位相差検出器172の出力は距離算出処理器173に入力され、時計174からの時刻を付加して、ある時刻における航行衛星1と航行衛星2の間の距離を算出する。すなわち距離算出処理器173は、副搬送波位相差検出器160で検出された位相差からは副搬送波の1周期内における位相分解能単位の時間差を、ビット位相差検出器171で検出された位相差からはPN符号の1ビット内における位相差、およびPN符号位相差検出器172で検出された位相差からはPN符号の1周期内における位相差をそれぞれ取得することによって一番細かい分解能を持つ精度から粗い大きな桁に至る総ての位相差を計算し、それによって衛星間の距離を算出する。
【0104】
以上では図9の2個の航行衛星間で測距が行われるときの信号の流れについて説明した。管制局と航行衛星間の測距も同様な方法で行うことが可能である。多数の航行衛星と衛星間通信の構成は図1に示した。図1における航行衛星1の場合、航行衛星2から航行衛星6に至る5本の測距線を有する。この構成において、測距の実施は図4で示した管制局と航行衛星の測距タイムラインの関係のように時分割で行われる。
【0105】
図12は衛星間通信回線が動作するときのモードの変化を示す図である。時間経過と共に捜索モード180、アクイジション・モード181、そして測距モードと推移する。測距モードの期間には測距が実施された時刻と測距のデータが取得される。また、同時に航行衛星と管制局間で衛星の管理などの必要なデータの送受のために必要なデータの作成も可能である。計測されたデータおよび通信データは受信先、送信先、衛星番号などパケット型の通信に必要なヘッダを付加したパケット・データに加工される。
【0106】
図15は衛星間通信回線、衛星と管制局間の測距、通信のタイミングを示す図である。接続時間191はSとSの接続期間、接続時間192はSとSの接続期間、接続時間193はSとSとの接続期間、接続時間194はSと管制局との接続期間である。
【0107】
衛星間通信回線で測距を実施する場合、対象とする2個の衛星間のお互いのアンテナのビームの中心が常に対向していなければならない。この機能を実行するため、アンテナ追尾制御ループ105及び131が存在する。衛星間通信回線を接続するとき、事前に得られる衛星の位置情報の精度に応じて、接続の過程の難易度がきまる。捜索モード180はお互いのビームを向け合っている状態である。アンテナのビームは予想される方位角、仰角方向に相手の衛星が存在していることを前提に相手の信号を捜索する。捜索の範囲が狭い程、早くビームを対向させることができる。航行衛星システムを最初に立ち上げる状態の時は、管制局が実行する軌道決定、軌道予測を初期条件として捜索を開始する。しかし、この発明にかかる方法によると衛星位置の検出精度が向上し、それにつれて捜索モードに要する時間も過去の実績に応じて短縮できる。お互いに相手のビームが認識できる段階になるとアクイジション・モードに移る。アンテナ追尾制御ループ105及び131は、角度誤差信号を検出して、角度追尾を開始させると同時に、受信機は信号に内部のクロックを同期させる。角度、信号の同期を完了した後、測距モード182で2個の衛星間の測距を実行して、時刻の付加された距離情報を出力する。
【0108】
航行衛星ならびに管制局は通信の結合点(ノード)の役割を持つ。結合点にはデータのバッファ機能を持たせる。結合点では二点間が接続されたとき、データをバッファに蓄積し、プロトコールに従って、そのデータを転送する。結合点間の接続の例は図15に示す通りである。航行衛星1、航行衛星2、航行衛星3の関係で航行衛星1の1台のアンテナで接続を行う場合は、S・S接続期間191とS・S接続期間192とが直列に配置される様子がそこに示されている。航行衛星1が2台のアンテナを搭載するときは、前記直列に接続する制約は受けない。前記航行衛星と接続タイミングの関係ない航行衛星11、航行衛星12の接続は前記2つの接続期間に制約されることなく、S・S接続期間193、航行衛星61と管制局のS・管制局接続期間194も同様に制約されずに設定される。
【0109】
図15では数個の航行衛星と管制局の例を示したが、実際の航行衛星システムは航行衛星群60と、管制局10、40、41、第一、第二、第三の基線42、43、44の各結合点を結ぶネットワークが構成されている。計測されたデータおよび通信内容を含むパケット型データは結合点を転送され、受信先に送られる。単位時間当たりの接続回数は各結合点が持つアンテナの数の関数になる。アンテナの数はシステムが必要とする精度から割り出されるデータ取得の頻度を算出して、システム設計の際決められるべきである。開口面アンテナが用いられるとき、捜索モード180、アクイジション・モード181にかなりの時間を要する。この時間を短縮するために、前記のモードが開始される前に相手の航行衛星の方向が予備知識として準備されていることが必要である。このため各結合点は管制局から前記2つのモードに関する情報はネットワークを通じて取得しなければならない。フェーズドアレー・アンテナが使われた場合、開口面アンテナのとき必要とされた機械的なアンテナの駆動が必要なく、マルチビームの放射パターンの作成も可能であるので、計測精度をより向上させることができる。
【0110】
管制局10、管制局40、管制局41は、航行衛星群60の全航行衛星の軌道情報に基づき、計測データを高頻度で取得でき、データの転送を迅速に行えるようなネットワークの接続計画を作成して、その実行がなされるように航行衛星群の総ての航行衛星に指令を伝える管理機能を備える必要がある。
【0111】
この発明に係る総てのシステム管理を担当する管制局は冗長構成とすることが可能で、管制局10、管制局40、管制局41の局間はリアルタイムの通信回線で接続することが可能であるから、管理機能を持つ管制局は相互に管理に必要なデータの補完が可能である。
【0112】
【発明の効果】
この発明によると、絶対位置が画定している管制局を原点として、管制局と航行衛星間の広帯域なフィーダ回線、航行衛星システム内部の広帯域な衛星間通信を使用した測距の手段により、航行衛星システム内部の航行衛星の絶対位置を高精度で画定する事により、高精度な測位が可能になるという効果が得られる。
【0113】
また、この発明の航行衛星システムの構築に当たって、システムの位置の原点の絶対位置を定めるため、GPSの測位を利用した。その理由はこの発明を構築する際、GPSの測位が最も高精度を所有しているからである。従って、この発明によると、GPSより高い精度の測位が可能になるので、その時点で基準となる測位精度の見直しが可能になるほどの高精度測位が可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る航行衛星の航行衛星の星座の図である。
【図2】この発明に係る3箇の航行衛星と管制局の関係を示した図である。
【図3】この発明に係る管制局の座標の図である。
【図4】この発明に係る衛星間通信回線の接続状態を示した図である。
【図5】この発明に係る3箇の航行衛星と3局の管制局の関係を示した図である。
【図6】この発明に係る航行衛星群、管制局、基線の関係を示した図である。
【図7】この発明に係る航行衛星の位置を南北面の投影した図である。
【図8】この発明に係る航行衛星を天頂方向から眺めた図である。
【図9】この発明に係る2箇の航行衛星と衛星間通信回線を示した図である。
【図10】この発明に係る測距信号を示した図である。
【図11】この発明に係る測距信号の生成の過程を示す図である。
【図12】この発明に係る測距信号の受信、再生、送信の過程を示す図である。
【図13】この発明に係る測距信号の検出、処理の過程を示す図である。
【図14】この発明に係る測距の時系列を示した図である。
【図15】この発明に係る衛星間通信回線の接続状態を示す図である。
【図16】従来のシステムの構成を示す図である。
【符号の説明】
1〜6 航行衛星
7、15 衛星間測距線
10 管制局
11〜13 航行衛星
14 衛星への視線
20〜22 x、y、z軸
23 方位角
24 仰角
30 時間
31〜33 軌道
34〜37 区間
40,41 管制局
42〜44 基線
45,46 衛星への視線
60 航行衛星群
61〜63 航行衛星
64〜66 フィーダ回線
80 クロック
81 PN符号
83 p副搬送波
84 q副搬送波
85 r副搬送波
90 原振
91 PN符号発生器
92 p副搬送波発生器
93 q副搬送波発生器
94 r副搬送波発生器
95〜98 変調回路
99 変調器
100 逓倍器
101 送信機
102 送受分波器
103 アンテナ
105 アンテナ追尾制御ループ
106 測距信号発生部制御部
107 測距信号発生部
110 アンテナ
111 送受分波器
112 LNA
113 ダウンコンバータ
114 IF増幅器
115 第一局発
116 ダウンコンバータ
117 位相検出器
118 LP&VCXO
119 ビット同期ループ
120 第二局発
121 局部PN符号発生器
122 相関検出器
123 積分器
124 判断・更新器
125 p副搬送波発生器
126 q副搬送波発生器
127 r副搬送波発生器
128 変調器
129 逓倍器
130 送信機
131 アンテナ追尾制御ループ
132 トランスポンダ部制御部
133 トランスポンダ
140 LNA
143 ダウンコンバータ
145 第一局発
146 IF増幅器
147 ダウンコンバータ
148 第二局発
149 ビット同期回路
150 PN符号復調フィルタ
151 ダウンコンバータ
152 局部発振器
153 ダウンコンバータ
154 位相差検出器
155 p副搬送波位相差検出器
156 送信副搬送波信号線
157 受信副搬送波信号線
158 q副搬送波位相差検出器
159 r副搬送波位相差検出器
160 副搬送波位相検出器
170 受信PN符号再生器
171 ビット位相差検出器
172 PN符号位相差検出器
173 距離算出処理器
174 時計
175 測距信号処理部
180 捜索モード
181 アクイジション・モード
182 測距モード
190 接続時刻
191 S接続期間
192 S接続期間
193 S接続期間
220 GPS衛星群
221 GPS衛星
222 UHF衛星間通信回線
223 管制局
224 Hawaii局
225 Kwajalein局
226 Diego Garcia局
227 Ascension Is.局

Claims (7)

  1. 4つ以上の航行衛星及び当該航行衛星を管制する3つ以上の地球上の管制局を含む航行衛星システムにおける航行衛星の絶対位置決定方法において、
    前記航行衛星のそれぞれについて、当該それぞれの航行衛星と該航行衛星以外の少なくとも3つの航行衛星との間の衛星間距離を衛星間通信測距によって測定するステップと、
    前記管制局のいずれか1つと前記航行衛星のいずれか1つとの間の地上衛星間距離を地上衛星間通信測距によって測定するステップと、
    前記管制局のいずれか他の1つと前記航行衛星のいずれか1つとの間の地上衛星間距離を地上衛星間通信測距によって測定するステップと、
    前記管制局のいずれか更に他の1つと前記航行衛星のいずれか1つとの間の地上衛星間距離を地上衛星間通信測距によって測定するステップと、
    前記管制局のいずれか1つと前記航行衛星のいずれか1つとの間の地上衛星間距離であって、既に測定された前記地上衛星間距離の値及び前記衛星間距離からは地上衛星間距離が導出できない管制局と航行衛星の組についての地上衛星間距離を少なくとも3つの組について測定するステップと、
    測定された前記衛星間距離、測定された前記地上衛星間距離、及び前記の管制局の地球を基準とする絶対位置に基づいて、前記航行衛星それぞれの地球を基準とする絶対位置を導出するステップと、を有することを特徴とする航行衛星システムにおける航行衛星の絶対位置決定方法。
  2. 前記航行衛星それぞれの地球を基準とする絶対位置を導出する前記ステップは、
    測定された前記衛星間距離に基づいて、いずれか4つの航行衛星を頂点とし、かつ、それらの航行衛星間の距離を稜の長さとする四面体を画定するステップと、
    四面体を画定する前記ステップを、航行衛星を換えて、すべての航行衛星が当該四面体のいずれかに含まれるようになるまで反復するステップと、
    画定された前記四面体すべてを幾何学的に連結することによって、すべての航行衛星の相対位置を導出するステップと、
    導出された前記航行衛星の前記相対位置、測定された前記地上衛星間距離、及び前記の管制局の地球を基準とする絶対位置に基づいて、前記航行衛星それぞれの地球を基準とする絶対位置を導出するステップと、から構成される請求項1に記載の航行衛星システムにおける航行衛星の絶対位置決定方法。
  3. 四面体を画定する前記ステップで画定される前記四面体の内部には、当該四面体の頂点を構成しない航行衛星が含まれない請求項2に記載の航行衛星システムにおける航行衛星の絶対位置決定方法。
  4. 前記衛星間通信測距は、ミリ波帯の搬送波を測距信号によって変調した測距電波を前記航行衛星間で往復させ、当該測距電波の送信時と受信時との時間差を測定することによって実施される請求項1から3のいずれか1項に記載の航行衛星システムにおける航行衛星の絶対位置決定方法。
  5. 前記衛星間通信測距で使用される前記測距信号は、逓倍数を1以外の公約数を有しないn個の整数として、前記クロック周波数の当該逓倍数倍の周波数であるn個の正弦波の合成である第2の測距信号を、所定のクロック周波数の駆動信号で駆動される符号である第1の測距信号によって変調した測距信号であり、並びに
    前記衛星間通信測距は、前記測距電波の送信時と受信時との時間差の測定において、
    送信側の符号と受信された符号とのビット単位の位相差を測定することによって、前記符号の1符号周期より短く、かつ、当該符号の1ビットの時間より長い時間差を測定し、
    送信側のクロック周波数の駆動信号と受信されたクロック周波数の駆動信号との位相差を測定することによって、前記符号の1ビットの時間より短く、かつ、当該クロック周波数の前記逓倍数倍の周波数の信号の1周期より長い時間差を測定し、及び
    送信側の第2の測距信号と受信された第2の測距信号との、前記クロック周波数の前記逓倍数倍のn個の正弦波のそれぞれの位相差を測定することによって、当該クロック周波数の当該逓倍数倍の周波数の信号の1周期より短い時間差を測定する請求項4に記載の航行衛星システムにおける航行衛星の絶対位置決定方法。
  6. 前記符号は、PN符号である請求項5に記載の航行衛星システムにおける航行衛星の絶対位置決定方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の航行衛星システムにおける航行衛星の絶対位置決定方法を使用して航行衛星の絶対位置を決定することを特徴とする航行衛星システム。
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