JP2004251678A - 変位角測定装置 - Google Patents

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Shiro Mitsuki
史朗 光木
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Abstract

【課題】構造物に簡単に取り付けることができ、複雑な構成など必要なく、継続的に構造物の層間変位角を測定できる変位角測定装置を提供する。
【解決手段】構造物1に備えた第1発光ダイオード2と第2発光ダイオード3から照射される照射光2a,3aを第1PSDセンサ4の検出部4b,第2PSDセンサ5の検出部5bで検出し、照射光2a,3aの移動量からパソコン7を用いて高精度で簡単に構造物1の層間変位角を導出する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震や風等によるビルや橋や鉄塔等の変位角を測定する変位角測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、免震構造を備えた構造物、放送や送電等に利用される鉄塔、原子力発電所等の実構造物の耐震壁や鉄骨架構等の構造物は、変形量を測定することで構造物の耐震性能や健全性等の確認を行っている。このような構造物の耐震性能や健全性を確認するために変形量を測定する方法は、複数の加速度計を構造物に取り付けて振動性状を計測する方法や、ビル等の構造物の壁面に水平変位の測定を行う基準側線を水平に張設し、この基準側線の変位を光学式センサや過電流変位センサ等の非接触型検出センサを用いて、構造物の水平方向の変位の測定を行う方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−29172号公報(全頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複数の加速度計を構造物に設置しても、直接的に、変位角を測定して耐震性能・健全性を確認することができないという問題があった。また、ビル等の構造物の壁面の水平変位の測定を行うだけでは、構造物の変位角を測定することができないという問題があった。
【0005】
そこで、構造物の変位角を測定するために、構造物に簡単に取り付けることができ、複雑な構成など必要なく、継続的に構造物の変位角を測定できる変位角測定装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するために、本発明の変位角測定装置は構造物の所定の変位計測位置の変位角を測定する変位角測定装置であって、前記構造物の測定点に備えた第1光照射手段と、前記測定点に対して基準となる基準点に備えた第2光照射手段と、前記第1光照射手段の照射光を検出する第1光検出手段と、前記第2光照射手段の照射光を検出する第2光検出手段と、前記第1光検出手段と第2光検出手段で検出された前記照射光から前記構造物の変位角を導出する解析手段とを備え、前記第1光検出手段と第2光検出手段は、同一の設置点に設けられ、前記解析手段は、前記測定点と前記設置点と前記基準点とのなす角を変位前と変位後で比較して、前記構造物の変位角を導出することを特徴とする。
なお、測定点とは、構造物の変位,変位角を測定する場所であり、例えば、ビルなどの構造物に対しては、構造物の鉛直方向の一部を測定点として、測定点の基準を、構造物の水平方向又は水平方向の延長上を測定点の基準とすることが好ましい。
【0007】
本発明の変位角測定装置によれば、構造物の変位角を測定したい測定点に第1光照射手段を固定し、この測定点の基準となる基準点に第2光照射手段を固定すると共に、第1光照射手段の照射光を検出する第1光検出手段及び第2光照射手段の照射光を検出する第2光検出手段を用いて構造物の変位量を測定し、この変位量から解析手段を用いることで、振動や地震による構造物の測定点の変位角を正確に導出することができる。また、第1光照射手段と第2照射手段は、同一設置点に固定されている。なお、例えば、ビルなどの構造物の測定点の基準は、構造物の底面に第2照射手段を備えるか、構造物の底面(水平方向)の延長上を測定点の基準として第2光照射手段を備えることで、地震や風によって生じたビル等の構造物の変位角を正確に測定することができる。また、鉄塔などの構造物は、地面に第2光照射手段を備えることで、鉄塔などの構造物の変位角を正確に測定することができる。
【0008】
また、前記第1光照射手段は、前記構造物の鉛直方向の側面の一部に備えられ、前記第2光照射手段は、前記構造物の水平方向の底面の一部に備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の変位角測定装置によれば、構造物の鉛直方向の側面の一部に第1光照射手段を固定し、構造物の水平方向の底面の一部に第2光照射手段を固定し、第1光照射手段と第2光照射手段の照射光を同時に検出できる位置に検出手段を固定することで、変形前に構造物の光検出手段で検出された照射光と、構造物の変形後に光検出手段で検出された照射光の移動量を導出し、解析手段を用いて構造物の変位角を測定することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る変位角測定装置の一実施形態について、適宣図面を参照して説明する。なお、一実施の形態において、地表面を測定点の基準として構造物の層間変形角を測定している。参照する図面において、図1は、本実施形態に係る変位角測定装置を構造物に備えた状態を示す構成図である。図2(a)は、変位角測定装置の構成を示す装置図であり、図2(b)は、第1PSDセンサと第2PSDセンサを固定した状態を示す側面図である。図3は、構造物が変位した状態を示す模式図である。図4(a)は、構造物の層間変位角を示す模式図であり、図4(b)は、構造物の鉛直方向の変位角を示す模式図であり、図4(c)は、構造物の水平方向の変位角を示す模式図である。図5(a)は、構造物の2階より上層階に変位角測定装置を備えた状態を示す構成図であり、図5(b)は、3階より上層階の層間変位角を測定する状態を示す模式図である。図5(c)は、図5(b)に示した構造物の層間変位角の鉛直方向及び水平方向の成分を示す模式図である。図6(a)〜(c)は、他の実施形態を示す側面図である。図7(a)は、鉄塔に変位角測定装置を備えた状態を示す構成図であり、図7(b)は、鉄塔が変形した状態を示す構成図であり、図7(c)は、鉄塔と共にPSDセンサが変位した状態を示す模式図であり、図7(d)は、図7(c)で計測される変位角を示した模式図である。
【0011】
まず、本発明に係る変位角測定装置Sの構成について、図1を参照して説明する。
本発明の実施の形態に係る変位角測定装置Sは、図1に示すように、構造物1に備えられた第1発光ダイオード2及び第2発光ダイオード3と、第1発光ダイオード2の照射光を検出する第1PSDセンサ4と、第2発光ダイオード3の照射光を検出する第2PSDセンサ5と、この第1PSDセンサ4,第2PSDセンサ5の動作を制御する制御装置6と、この第1PSDセンサ4,第2PSDセンサ5で検出されたデータを解析するコンピュータ7(以下、パソコン7と示す)等を備えて構成されている。
【0012】
第1発光ダイオード2は、構造物1の鉛直方向の側面1aの端部、即ち、構造物1の最上部付近を層間変位角の測定点とし、外壁の側面1aに固定されている。この第1発光ダイオード2から照射される照射光2aは、第1PSDセンサ4で検出できるように光軸が調節されている。なお、第1発光ダイオード2の固定位置は、構造物1の層間変位角を測定したい位置(測定点)に取り付けることができる。
【0013】
また、第2発光ダイオード3は、構造物1の水平方向の底部1bの近傍の外壁の端部に、即ち、第1発光ダイオード2を設けた測定点に対して、基準となる底部1bに第2発光ダイオード3が固定されている。この第2発光ダイオード3から照射される照射光3aは、第2PSDセンサ5で検出できるように光軸が調節されている。また、第2発光ダイオード3の固定位置は、構造物1の水平方向の延長上の任意の位置に固定してもよい。
【0014】
この第1PSDセンサ4は、構造物1の鉛直方向(高さ方向)に備えた第1発光ダイオード2からの照射光2aを検出できるように、通常時において第1発光ダイオード2の直下に配置されている。
【0015】
また、第2PSDセンサ5は、構造物1の水平方向に備えられた第2発光ダイオード3からの照射光3aを検出できるように、通常時において第2発光ダイオード3と第2PSDセンサ5が水平になるように配置されている。なお、第2発光ダイオード3と第2PSDセンサ5の配置が固定点であれば、水平でなくてもよい。
【0016】
また、第1PSDセンサ4と第2PSDセンサ5は、外れないように一体型に固定されると共に、この一体型に固定された第1PSDセンサ4と第2PSDセンサ5は、底面1bにしっかりと固定されている。
【0017】
ここで、鉛直方向の基準線は、通常時において、第1発光ダイオード2と第1光検出手段4を結ぶ線を鉛直方向の基準線とし、水平方向の基準線は、通常時おいて、第2発光ダイオード3と第2光検出手段5を結ぶ線を水平方向の基準線としており、前記鉛直方向の基準線と水平方向の基準線は交差するように配置されている。また、この直交する交点に第1PSDセンサ4と第2PSDセンサ5が設置されている。なお、第1PSDセンサ4及び第2PSDセンサ5は、半導体位置検出素子(Position Sensitive Detector)といい、スポット状の光の位置を高精度で測定できる非接触型センサの一種である。なお、鉛直方向の基準線と水平方向の基準線は、直交するように配置することにより、簡単に構造物1の層間変位角を測定することができる。
【0018】
次に、第1発光ダイオード2及び第2発光ダイオード3と、第1PSDセンサ4及び第2PSDセンサ5を用いた変位角測定装置Sの原理について、図2を用いて詳細に説明する。
【0019】
図2(a)に示すように、まず、第1発光ダイオード2及び第2発光ダイオード3を発光させ、第1PSDセンサ4,第2PSDセンサ5でスポット状の光の位置(光の重心位置)を検出する。そして、第1発光ダイオード2と第2発光ダイオード3の位置が移動すると、第1PSDセンサ4及び第2PSDセンサ5でスポット状の光の移動が検出され、第1発光ダイオード2及び第2発光ダイオード3が移動した移動量を第1PSDセンサ4,第2PSDセンサ5を用いて測定する。そして、この移動量をパソコン7の解析手段で解析することで、層間変位角を高精度で簡単に導出することができる。なお、本発明に実施形態において、図2(b)に示すように、第1PSDセンサ4と第2PSDセンサ5を固定し、第1PSDセンサ4と第2PSDセンサ5は衝撃などを与えても外れないように構成されている。
【0020】
次に、このような変位角測定装置Sを用いて構造物1が変形した時の層間変位角の導出方法について図面を用いて詳細に説明をする。
まず、予め、図1に示すような構造物1に歪みなどが生じていない状態から、図3に示すように地震等の振動によって構造物1に変形や変位が生じた場合、変位角測定装置Sを用いて層間変位角の測定方法について説明する。
【0021】
構造物1の層間変位角の測定方法としては、図4(a)に示すように、変形前の構造物1の鉛直方向(側面1a)及び水平方向(底面1b)の基準線の間の角度をαとする。また、地震や風等によって変形した構造物1の側面1c及び底面1dの間の角度をβとする。このとき、変形した構造物1の側面1cは、構造物1の変形前の側面1aが鉛直方向の基準線に対してθ2だけ傾いたものである。また、変形した構造物1の底面1dは、構造物1の変形前の底面1bが水平方向の基準線に対してθ1だけ傾いたものである。
【0022】
このとき、図4(a)に示すように、α―θ2=β―θ1と表すことができ、θ2−θ1=α―βと変形すると、地震や風等によって変形した構造物1の層間変形角α―βをθ2とθ1の差で算出することができる。
【0023】
まず、θ2を導出する方法について説明する。図4(b)に示すように、構造物1に備えた第1発光ダイオード2及び第2発光ダイオード3から照射された照射光が直交する位置を点a(第1PSDセンサ4と第2PSDセンサ5の設置位置)とし、この点aから第1発光ダイオード2の照射面2bを結ぶ点を点iとし、点aから点iまでの辺aiの長さをY2とする。また、第1発光ダイオード2から照射された光が第1PSDセンサ4の検出部4aで検出される点を点gとし、点aから点gまでの長さをY1とする。
【0024】
また、辺ahは、辺aiに対してθ2傾くことで移動した辺であり、点hは、辺aiがθ2傾くことによって点iが動いた点である。また、点hから辺aiに下ろしたときの垂線の辺hiの長さをX2とする。同様に、点fは、点gがθ2傾いた点であり、この辺fgの長さをX1とする。なお、三角形(以下、△と示す)aihと△agfは、∠aih=∠agf=90度、∠hai=∠fag=θ2であり、相似の関係である。
【0025】
このとき、△aihからθ2を求めると、tanθ2=X2/Y2であり、θ2=tan−1(X2/Y2)と表すことができる。X2は、△aihと△agfとの相似の関係から導き出すことができる。なお、Y2,Y1の長さは一定であり、辺fgの長さX1は、辺aiがθ2傾くことで、第1PSDセンサ4の検出部4aで検出されるスポット光の移動量を測定することで導出することができる。即ち、△aihと△agfとの間で相似の関係を用いると、△aih:△agf=X2:Y2=X1:Y1と表すことができ、これから、X2=X1Y2/Y1という関係式が成立する。
【0026】
以上より、辺agの長さY1,辺aiの長さY2,辺fgの長さ(第1PSDセンサ4で検出される光の移動量)X1は定数であり、簡単にX2を導出することができる。その結果、簡単にθ2を算出することができる。
【0027】
次に、θ1を導出する方法について説明する。θ1を導出するためには、図4(c)に示すように、点aから第2発光ダイオード3の照射面3bを結ぶ点を点eとし、点aから点eまでの辺aeの長さをX4とする。また、第2発光ダイオード3から照射された光が第2PSDセンサ5の検出部5aで検出される点を点cとし、点aから点cまでの辺acの長さをX3とする。なお、点aはθ2を導出する際に定義した点と同様である。
【0028】
また、辺adは、辺aeに対してθ1傾くことで移動した辺であり、点dは、辺aeがθ2傾くことによって点eが動いた点である。また、点dから辺aeに下ろした垂線辺deの長さをY4とする。同様に、点bは、点cがθ1傾くことで動いた点であり、この辺bcの長さをY3とする。なお、△aedと△acbは、∠aed=∠acb=90度,∠dae=∠bac=θ1であり、相似の関係である。
【0029】
このとき、△aedからθ1を求めると、tanθ1=Y4/X4であり、θ1=tan−1(Y4/X4)と表すことができる。Y4は、△aedと△acdとの相似の関係から導き出すことができる。また、X3,X4の長さは定数であり、辺bcの長さY3は、辺aeがθ1傾くことによって、第2PSDセンサ5の検出部5aに検出されるスポット光の移動量を測定することで導出することができる。即ち、△aedと△acbとの間で相似の関係を用いると、△aed:△acb=X4:Y4=X3:Y3と表すことができ、これから、Y4=X4Y3/X4という関係式が成立する。
【0030】
以上より、辺acの長さX3,辺aeの長さX4,辺bcの長さ(第2PSDセンサ5で検出される光の移動量)Y3,は定数であり、簡単にY4を導出することができる。その結果、簡単にθ1を算出することができる。
【0031】
これより、構造物1の層間変位角のα−β=θ2−θ1は、α−β=tan−1(X2/Y2)−tan−1(Y4/X4)と表すことができる。この層間変位角のα―βを、パソコン7等を用いて計算するだけで、構造物1の層間変位角を簡単に算出することができる。
【0032】
この結果、構造物1に備えた第1発光ダイオード2と第2発光ダイオード3から照射される照射光2a,3aを第1PSDセンサ4の検出部4b,第2PSDセンサ5の検出部5bで検出し、照射光2a,3aの移動量からパソコン7を用いて高精度で簡単に構造物1の層間変位角を簡単に導出することができる。
【0033】
また、変位角測定装置Sは、継続的に層間変位角の測定及び測定結果の一時保管を行い、地震が生じたときに地震波を検知して、それをトリガとしてパソコン7が構造物1の層間変位角のデータを保存するような構成にすることで、地震時の層間変位角のデータを時刻歴データとして得ることができる。
【0034】
特に、一組の発光ダイオードとPSDセンサの組み合わせでだけで構造物1の変位角を測定すると、即ち、例えば、第1PSDセンサ4と第1発光ダイオード2だけの組み合わせで測定すると、PSDセンサ4が地震や風等によって固定した角度が移動すると、構造物1に地震や風による変形が生じていなくても、構造物1が変形したと判断してしまうおそれがある。しかし、第1PSDセンサ4,第2PSDセンサ5を互いに固定し、第1発光ダイオード2,第2発光ダイオード3を用いて構造物1の層間変位角を測定することで、PSDセンサの固定した角度が移動することでおこる影響を受けることなく、構造物1の層間変位角を高精度に測定することができる。
【0035】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく限りにおいて、種々の変形が可能である。
【0036】
例えば、本実施の形態では、構造物1の底部1bを変位角測定における測定点の基準として構造物1の層間変位角を求めるように記載したが、図5(a)に示すように、構造物1の3階床を変位角測定における測定点の基準とし、この構造物1の3階より上の階の地震や風等の影響による層間変位角を、変位角測定装置Sを用いて測定するようにしてもよい。
【0037】
このような場合、例えば、図5(b)に示すように地震等で構造物1の3階以上の構造物1が傾いた場合の層間変位角は、図5(c)に示すように、θ4−θ3=α1−β1と表すことができる。このθ3,θ4は、前記実施形態で示した方法と同様の手順で導出するができる。
【0038】
この結果、構造物1の3階より上の階の層間変位角を簡単に求めることができる。
【0039】
また、図6(a)に示すような鉄橋9において、スパン中途部のたわみ角(変位角)を測定する場合であっても、鉄橋9の一端部の固定部に配置したPSDセンサ10と、他端部の固定部(測定点に対する基準)に第2発光ダイオード12を配置すると共に、この鉄橋9の中央部分に第1発光ダイオード11(測定点)を備える構成にすることで、この鉄橋9に地震等の揺れが発生した場合、たわみ角を測定することができる。例えば、図6(a)で示した鉄橋9が地震等によって、図6(b)に示すように中央部が下方に変位した場合、第1発光ダイオード11,第2発光ダイオード12,PSDセンサ10を用いて、鉄橋9のたわみ角θ7を測定することができる。
【0040】
この鉄橋9のたわみ角θ7の導出方法は、図6(c)に示すように、PSDセンサ10は、第1発光ダイオード11と第2発光ダイオード12に対して兼用して測定を行い、第1発光ダイオード11を固定している測定点に対して基準となる位置に設けられたPSDセンサ10及び第2発光ダイオード12を利用して、鉄橋9の第2発光ダイオード12が備えられている部分の変位角θ5を測定する。また、PSDセンサ10を用いて、鉄橋9の第1発光ダイオード11が備えられている部分の変位角θ6を測定する。そして、鉄橋9の中央部分の変位角θ6から鉄橋9の第2発光ダイオード12が備えられている変位角θ5を引くことで、鉄橋9のスパン中途部のたわみ角θ7を導出することができる。なお、鉄橋9の第1発光ダイオード11の固定位置(測定点)を変えることで、たわみ角を測定する場所を自由に選択することができる。
【0041】
また、例えば、図7(a)に示すような鉄塔13の変位角及び変位量を測定するための変位角測定装置Sは、鉄塔13の最高部Tに備えた第1発光ダイオード2と、地面(測定点に対して基準となる位置)に固定された第2発光ダイオード3と、第1発光ダイオード2の直下の地面に備えられ、第1発光ダイオード2からの照射光を検出する第1PSDセンサ4と、第1PSDセンサ4と同じ場所に第2発光ダイオード3からの照射光を検出できる第2PSDセンサ5と、第1PSDセンサ4及び第2PSDセンサ5で検出した照射光から変位角を導出するパソコン(図示なし)等を備えて構成されている。
【0042】
このような変位角測定装置Sを備えた鉄塔13の変位角の測定方法は、鉄塔13の最高部Tが地震や風等の影響で、図7(b)に示すように、鉄塔13のように変形した場合でも、第1PSDセンサ4で検出される第1発光ダイオード2の光の移動量を求めることで、前記実施形態と同様の方法で、鉄塔13が変形したときの変位角を簡単に導出することができる。
【0043】
次に、鉄塔13が地震や風等の影響で図7(c)に示す鉄塔13のように変形し、第1PSDセンサ4と第2PSDセンサ5の固定している位置が移動した場合について図7(c)を用いて詳細に説明する。
【0044】
図7(c)に示すように、地震や風等によって鉄塔13の変形が生じるのと同時に、第1PSDセンサ4,第2PSDセンサ5の固定角度が変化しても、鉄塔13の水平方向の変位角を測定するために、第2発光ダイオード3と第2PSDセンサ5を備えてあるので、図7(c)及び図7(d)に示すように、第1PSDセンサ4と第2PSDセンサ5の固定角度が変化することで生じる変位角を補正し、地震や風等による鉄塔13の正確な変位角を測定することができる。
【0045】
その結果、鉄塔13の変形と同時に第1PSDセンサ4と第2PSDセンサ5を設置している地面が傾き、第1PSDセンサ4と第2PSDセンサ5の固定位置が変わってしまった場合でも、地震や風等による鉄塔13の最高部Tの変位角を求めることができる。図7(d)に示すように、変形前の鉄塔13に対して変形後の鉄塔13で測定される変位角θ9と、第1PSDセンサ4と第2PSDセンサ5の固定箇所が移動することによって生じる変位角θ8を求める。そして、第1PSDセンサ4と第2PSDセンサ5の固定箇所が移動することで生じる変位角θ8を補正することで、鉄塔13の変形後の正確な変位角θ10を求めることができる。つまり、変位後の鉄塔13の変位角は、θ8+θ9=θ10として求めることができる。なお、変位角θ8,θ9を求めるには、前記実施形態に記載した方法と同様の導出方法を用いることで算出することができる。
【0046】
なお、一例として、図7(c)に示すような鉄塔13と第1PSDセンサ4,第2PSDセンサ5が同じ方向に傾く形で示したが、傾く方向が同一方向でもなくても鉄塔13の変位角を高精度に求めることができる。
【0047】
また、一実施形態の光照射装置として、発光ダイオードを用いたが、レーザーのような指向性の高い光線を用いるように構成しても同様の効果を得ることができる。なお、鉄塔や高層ビル等の構造物の変位角測定を行う際には、光照射装置にレーザーを用いることで構造物の高さ等の影響を受けることなく測定を行うことができる。
【0048】
また、変位角測定装置Sに通信手段などを備える構成にすることで、遠隔地であっても構造物1や鉄橋9や鉄塔13等の構造物の変形や変位の状態を継続的に確認することができる。例えば、山間部に建設されている高圧電線などの鉄塔に変位角測定装置Sを備えることで、現地に行かなくても遠隔地で鉄塔の変位や変形等の状況を瞬時に計測することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の変位角測定装置によれば、構造物の変位角を測定する測定点に第1光照射手段を備えると共に、この測定点に対して基準となる位置に第2光照射手段を備え、この第1光照射手段の照射光を検出する第1光検出手段と第2光照射手段からの照射光を検出する第2光検出手段を備える構成にし、この第1光検出手段と第2光検出手段とで検出される照射光の変位量を、解析手段を用いて導出することで、地震や風等の影響によって変形又は変位した構造物の層間変位角を簡単に高精度の測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る変位角測定装置を構造物に備えた状態を示す構成図である。
【図2】(a)は、変位角測定装置の構成を示す装置図である。
(b)は、第1PSDセンサと第2PSDセンサを固定した状態を示す側面図である。
【図3】構造物が変位した状態を示す模式図である。
【図4】(a)は、構造物の層間変位角を示す模式図である。
(b)は、構造物の鉛直方向の変位角を示す模式図である。
(c)は、構造物の水平方向の変位角を示す模式図である。
【図5】(a)は、構造物の2階より上層階に変位角測定装置を備えた状態を示す構成図である。
(b)は、2階より上層階の層間変位角を測定する状態を示す模式図である。
(c)は、 図5(b)に示す構造物の層間変位角の鉛直方向及び水平方向の成分を示す模式図である。
【図6】(a)〜(c)は、他の実施形態を示す側面図である。
【図7】(a)は、鉄塔に変位角測定装置を備えた状態を示す構成図である。
(b)は、鉄塔が変形した状態を示す構成図である。
(c)は、鉄塔と共にPSDセンサが変位した状態を示す模式図である。
(d)は、図7(c)で計測される変位角を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ・・・ 構造物
1a ・・・ 側面
1b ・・・ 底面
2 ・・・ 第1発光ダイオード(第1光照射手段)
2a ・・・ 照射光
2b ・・・ 照射面
3 ・・・ 第2発光ダイオード(第2光照射手段)
3a ・・・ 照射光
3b ・・・ 照射面
4 ・・・ 第1PSDセンサ
4a ・・・ 検出部
5 ・・・ 第2PSDセンサ
5a ・・・ 検出部
6 ・・・ 制御装置
7 ・・・ パソコン(解析手段)
9 ・・・ 鉄橋
10 ・・・ PSDセンサ
11 ・・・ 第1発光ダイオード
12 ・・・ 第2発光ダイオード
13 ・・・ 鉄塔
14 ・・・ 発光ダイオード
S ・・・ 変位角測定装置
T ・・・ 最高部

Claims (2)

  1. 構造物の所定の変位計測位置の変位角を測定する変位角測定装置であって、
    前記構造物の測定点に備えた第1光照射手段と、
    前記測定点に対して基準となる基準点に備えた第2光照射手段と、
    前記第1光照射手段の照射光を検出する第1光検出手段と、
    前記第2光照射手段の照射光を検出する第2光検出手段と、
    前記第1光検出手段と第2光検出手段で検出された前記照射光から前記構造物の変位角を導出する解析手段とを備え、
    前記第1光検出手段と第2光検出手段は、同一の設置点に設けられ、
    前記解析手段は、前記測定点と前記設置点と前記基準点とのなす角を変位前と変位後で比較して、前記構造物の変位角を導出することを特徴とする変位角測定装置。
  2. 前記第1光照射手段は、前記構造物の鉛直方向の側面の一部に備えられ、前記第2光照射手段は、前記構造物の水平方向の底面の一部に備えることを特徴とする請求項1に記載の変位角測定装置。
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