JP2004251242A - 可変流量式ウォータポンプの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ウォータポンプの吸込側と吐出側とを開閉弁を備えた還流路により連通させ、エンジン回転速度Neがキャビテーション発生回転速度付近に設定した切換点Nec未満のときには、開閉弁を閉弁して十分な冷却水流量を確保する一方、エンジン回転速度Neが切換点Nec以上になると、開閉弁を開弁して冷却水の還流によりポンプ効率を低下させてキャビテーションを抑制する。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンの冷却水を循環させるウォータポンプに係り、詳しくは冷却水の流量を調整可能な可変流量式ウォータポンプの制御装置に関するものである。
【0002】
【関連する背景技術】
周知のように、水冷式エンジンの冷却性能にはウォータポンプによって循環される冷却水の流量が大きく関与し、最も冷却性能が要求される運転領域に合わせてポンプ容量が設定されている。ウォータポンプはエンジン駆動されているため、一般に車両の牽引登坂時のような低回転高負荷域で、エンジン負荷が高いにも拘わらず低回転故に冷却水の流量が不足気味となってオーバヒートが懸念される。従って、このような運転領域でも十分な冷却水の流量が確保されるようにポンプ容量を設定することが望ましい。
【0003】
しかしながら、ポンプ容量を単純に増大させると、高回転域でのキャビテーションという別の問題が発生してしまう。即ち、図6はポンプ容量が小さい場合と大きい場合との流量特性を比較した図であるが、ポンプ容量が小の場合に比較して大の場合には同一エンジン回転速度でより大きな冷却水の流量が得られるものの、エンジン回転速度の増加に伴ってインペラ前水圧が急激に低下(負圧が増加)して高回転域で飽和水蒸気圧に達するため、インペラ表面からの冷却水の剥離により気泡が生成されてキャビテーションを生じてしまうことがわかる。この要因によりポンプ容量の増大が制限されるため、結果として上記低回転高負荷域での十分な冷却水流量を実現することができなかった。
【0004】
一方、上記は同一エンジン回転速度で流量一定の一般的なウォータポンプについて説明したが、冷却水流量を調整可能な可変流量式ウォータポンプも提案されている(例えば、特許文献1参照)。当該特許文献1には、ウォータポンプの吸込側と吐出側とを開閉弁を備えた還流路により連通させ、ウォータポンプから吐出された冷却水の一部を開閉弁の開度に応じて還流路を経て吐出側に還流させ、これによりポンプ効率を低下させて冷却水の流量を可変する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−295647号公報(図1,6)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載された技術は、エンジンの適正な冷却のためにウォータポンプの可変流量の機能を利用している。即ち、エンジン負荷及びエンジン回転速度から目標水温を求め、実際の冷却水温が目標水温となるように開閉弁の開度(つまり、冷却水の流量)を制御し、これにより、例えばエンジン負荷やエンジン回転速度が低いときには、高い目標水温に基づいて冷却水の流量を減少させて暖機促進を図っている。
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術はキャビテーションについては何ら配慮していないため、流量一定の一般的なウォータポンプの場合と同様に高回転域でのキャビテーションが避けられず、上記問題を解決することはできなかった。
本発明の目的は、低回転高負荷域での冷却水の流量を十分に確保して良好な冷却性能を実現した上で、高回転域でのキャビテーションを確実に抑制することができる可変流量式ウォータポンプの制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、エンジンの駆動力によって回転駆動されるウォータポンプと、ウォータポンプから吐出される冷却水の流量を調整可能な流量調整手段とを備え、エンジンの運転状態に応じて冷却水の流量を調整する可変流量式ウォータポンプの制御装置において、エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、エンジン回転速度検出手段によって検出されるエンジン回転速度が予め設定されたキャビテーションの発生回転域近傍にあるときに、エンジン回転速度と共に増加する冷却水の流量を流量調整手段により制限する流量制御手段とを備えたものである。
【0009】
従って、ウォータポンプがエンジンにより回転駆動されることから、冷却水の流量はエンジン回転速度と共に増加し、高回転域では、例えばインペラ前の水圧が飽和水蒸気圧に達してキャビテーションを発生する。このとき、エンジン回転速度が予め設定されたキャビテーションの発生回転域近傍、例えば所定の発生回転速度以上の領域にあるとして、流量制御手段が流量調整手段により冷却水の流量を制限することから、キャビテーションの発生が未然に抑制される。よって、キャビテーションを抑制するためにポンプ容量(流量調整範囲の上限に相当)を低減する必要がなくなり、低回転高負荷域でも十分な冷却水の流量を確保して良好な冷却性能を実現可能となる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1において、エンジンの冷却水温を検出する水温検出手段を備え、流量制御手段が、水温検出手段によって検出される冷却水温の上昇に伴って冷却水流量の制限量を増加するものである。
従って、エンジンの冷却水温が高いほど、飽和水蒸気圧が上昇してキャビテーションを発生させ易くなるが、冷却水温の上昇に伴って流量制御手段による冷却水流量の制限量が増加されるため、結果として冷却水流量が減少されてキャビテーションが抑制される。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、エンジンの負荷を検出するエンジン負荷検出手段を備え、流量制御手段が、エンジン負荷検出手段によって検出されるエンジン負荷の増加に伴って冷却水流量の制限量を減少するものである。
従って、エンジン負荷が高いほどエンジン側から要求される冷却性能が高まるが、エンジン負荷の増加に伴って流量制御手段による冷却水流量の制限量が減少されるため、結果として冷却水流量が増加されて要求に応じた冷却性能が実現される。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1において、エンジンの冷却水温を検出する水温検出手段と、エンジンの負荷を検出するエンジン負荷検出手段とを備え、水温検出手段によって検出される冷却水温の上昇に伴って冷却水流量の制限量を増加し、エンジン負荷検出手段によって検出されるエンジン負荷の増加に伴って冷却水流量の制限量を減少すると共に、冷却水温による制限量の増加量をエンジン負荷による制限量の減少量よりも大きく設定する、又は冷却水温による制限をエンジン負荷による制限よりも優先的に行うものである。
【0013】
従って、冷却水温の上昇に伴い発生し易くなるキャビテーションを抑制できると共に、エンジン負荷に応じた冷却性能を得ることができる。又、冷却水温による制限量の増加量をエンジン負荷による制限量の減少量よりも大きく設定する、又は冷却水温による制限をエンジン負荷による制限よりも優先的に行うので、キャビテーションの発生を確実に抑制できる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至4において、流量調整手段が、ウォータポンプの吸込側と吐出側とを連通する還流路と、還流路を開閉する開閉手段とを備え、流量制御手段が、開閉手段の開度を制御することにより冷却水の流量を調整するものである。
従って、流量制御手段により開閉手段の開度が制御されて、ウォータポンプから吐出された冷却水の一部が吸込側に還流され、その還流量に応じてエンジン側に供給される冷却水の流量が減少され、このように還流路に開閉手段を設けただけの簡単な構成により、冷却水流量を調整可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明を車両に搭載されたエンジン用の可変流量式ウォータポンプの制御装置に具体化した第1実施形態を説明する。
図1はエンジンの冷却水経路を示す図であり、エンジン1のシリンダブロック1aの後部にはウォータポンプ2が設けられ、エンジン1のシリンダヘッド1bの前部にはポペット式の開閉弁3aを備えたサーモスタット3が設けられている。これらのウォータポンプ2とサーモスタット3は、シリンダブロック1a内及びシリンダヘッド1b内に形成された図示しない冷却水路を介して相互に連通している。サーモスタット3は車両前部に設けられたラジエータ4の入口側に接続され、ラジエータ4の出口側はウォータパイプ5を介してウォータポンプ2に接続されている。
【0016】
ウォータポンプ2から吐出された冷却水はエンジン1の冷却水路内で冷却作用を奏した後に、サーモスタット3を経てラジエータ4内に導入され、ラジエータ4内を流通しながら放熱された後にウォータパイプ5を経て再びウォータポンプ2内に吸込まれ、以上の経路を循環する。
サーモスタット3はバイパス路6を介してウォータパイプ5と接続され、冷却水温が設定温度未満のときには開閉弁3aを閉鎖し、冷却水をバイパス路6に案内することでエンジン1の暖機促進を図り、冷却水温が設定温度以上になると開閉弁3aを開放し、冷却水をラジエータ4側に案内することでエンジン1の冷却を図る。
【0017】
次に、上記ウォータポンプ2の詳細を説明すると、図2はエンジン1のウォータポンプ近傍を示す断面図であり、ウォータポンプ2のケーシング11内にはポンプ軸12が回転可能に支持されている。ポンプ軸12の先端側はケーシング11外に突出してプーリ13が固定され、プーリ13はベルト14を介してエンジンの図示しないクランク軸と連結されて回転駆動される。ケーシング11内にはポンプ室15が形成され、ポンプ軸12の基端側はポンプ室15内に突出してインペラ16が固定されている。
【0018】
ポンプ室15にはインペラ16の回転中心と対応して吸込口15aが形成され、この吸込口15aを介してポンプ室15はチャンバー室17と連通している。チャンバー室17には上記ウォータパイプ5の一端が接続されている。ポンプ室15にはインペラ16の半径方向の一側に吐出口15bが形成され、この吐出口15bはエンジン1の冷却水路と連通している。
【0019】
従って、エンジン運転時にはクランク軸によりポンプ軸12と共にインペラ16が回転駆動され、インペラ16によりポンプ室15の吸込口15a側の冷却水が吐出口15b側に吐出され、これによりウォータポンプ2は所謂軸流式ポンプとして機能して、上記のように冷却水を循環させる。ここで、ウォータポンプ2はエンジン1により駆動されるため、エンジン回転速度Neに比例して冷却水の流量を変化させることになるが、本実施形態では、最も冷却性能が要求される低回転高負荷域でも十分な冷却水の流量を確保可能なように、比較的大きなポンプ容量が設定されている。
【0020】
又、ポンプ室15の吐出口15bとチャンバー室17とは還流路18(流量調整手段)により接続され、還流路18にはバタフライ式の開閉弁19(開閉手段、流量調整手段)が設けられている。開閉弁19にはアクチュエータ20が連結され、このアクチュエータ20に駆動されて開閉弁19は全閉と全開との2位置間で切換えられる。開閉弁19の閉弁時にはウォータポンプ2から吐出された全ての冷却水がエンジン1側に供給されるため、上記設定されたポンプ容量の全てが冷却水の循環に利用される一方、開閉弁19の開弁時にはウォータポンプ2から吐出された冷却水の一部が還流路18を経てチャンバー室17側に還流されるため、ポンプ効率の低下に伴って冷却水の流量が減少する。
【0021】
尚、このように冷却水の還流によりポンプ効率は低下するものの、この種の軸流ポンプではポンプ効率の低下と共にエンジン1の駆動損失も低下するため、冷却水の流量減少分は無駄に消費されることなく燃費向上等に有効利用される。
一方、車室内には、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えたECU(電子制御ユニット)31が設置されている。ECU31の入力側にはエンジン1の回転速度Neを検出する回転速度センサ32(エンジン回転速度検出手段)、冷却水温Twを検出する水温センサ33(水温検出手段)等の各種センサが接続され、出力側には上記アクチュエータ20等の各種デバイス類が接続されている。
【0022】
ECU31はセンサ類からの検出情報に基づいて燃料噴射弁や点火用イグナイタ等を制御してエンジン1を運転すると共に、エンジン1の運転中において、冷却水温Twに基づいて開閉弁19を駆動してウォータポンプ2による冷却水の流量を制御する。そこで、このECU31による流量制御の状況を説明する。
ECU31は図3に示すポンプ制御ルーチンを所定の制御インターバルで実行し、まず、ステップS2でエンジン回転速度Neと冷却水温Twを読込み、続くステップS4で予め設定されたマップに従って冷却水温Twから切換点Necを求める。当該切換点Necは、エンジン回転速度Neに応じて開閉弁19の開閉状態を切換えるためのものであり、以下の点を鑑みてマップ特性が設定されている。
【0023】
図4は本実施形態のウォータポンプ2の流量特性を示しているが、太線に示すように、開閉弁19はエンジン回転速度Neが切換点Nec未満の領域では閉側に切換えられ、切換点Nec以上の領域では開側に切換えられる。上記のようにポンプ容量は、冷却水の流量が得難い低回転域でも十分な冷却水の流量が確保可能なように比較的大きく設定され、且つ、冷却水流量はエンジン回転速度Neと共に増加するため、開閉弁19を閉弁したまま高回転域に移行すると、インペラ前水圧が飽和水蒸気圧に達してキャビテーションを発生する。例えば事前の試験では、開閉弁19を閉保持してエンジン回転速度Neを増加させることでキャビテーションの発生回転速度が割り出され、この発生回転速度、若しくは若干低い回転速度として切換点Necが設定される(図4では、Nec=キャビテーション発生回転速度)。
【0024】
又、飽和水蒸気圧は冷却水温Twの影響を受けて高温ほど上昇(大気圧に接近)してキャビテーションを発生させ易くなるため、例えば上記試験での冷却水温度Twを基準として、冷却水温Twが高いほど切換点Necが低回転側に設定される。
このような特性のマップに従って切換点Necを設定した後、ECU31はステップS6に移行する。ステップS6ではエンジン回転速度Neが切換点Nec未満であるか否かを判定し、判定がYES(肯定)のときにはステップS8でアクチュエータ20により開閉弁19を閉弁し、一方、判定がNO(否定)のときにはステップS10で開閉弁19を開弁した後、ルーチンを終了する。
【0025】
以上のECU31による開閉弁19の制御の結果、ウォータポンプ2による冷却水の流量は図4に示すように調整される。即ち、エンジン回転速度Neが切換点Nec未満の領域では開閉弁19が閉弁されるため、ポンプ容量の全てが冷却水の循環に利用されて、低回転高負荷域でも十分な冷却水の流量を確保して良好な冷却性能を実現し、これによりエンジン1のオーバヒートを確実に回避することができる。一方、エンジン回転速度Neが切換点Nec以上の領域では開閉弁19が開弁されるため、冷却水の還流によりポンプ効率が低下され、エンジン回転速度Neの増加に伴ってインペラ前水圧が飽和水蒸気圧に達する事態が防止され、高回転域でのキャビテーションを確実に抑制することができる。
【0026】
加えて、冷却水温Twに応じて切換点Necを設定しているため、水温変化に伴って飽和水蒸気圧が変動しても、その影響を受けることなくより確実にキャビテーションを抑制できる。よって、制御装置としての信頼性を一層向上できるという利点も得られる。
一方、以上のように還流路18に開閉弁19を設けただけの簡単な構成により冷却水の流量を調整しているため、非常に安価な製造コストにより上記種々の利点を得ることができる。
【0027】
[第2実施形態]
次に、本発明を別の可変流量式ウォータポンプの制御装置に具体化した第2実施形態を説明する。尚、本実施形態の制御装置は、第1実施形態のように開閉弁19を全閉と全開との2位置間で切換えることなく、その開度θwを連続的に制御している点、及び冷却水温Twに加えてエンジン負荷情報として目標平均有効圧Peを制御に反映させている点が相違しており、その他の構成は第1実施形態のものと同様である。よって、共通の構成部分は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
【0028】
ECU31は図5に示すポンプ制御ルーチンを所定の制御インターバルで実行し、まず、ステップS12でエンジン回転速度Ne、冷却水温Tw、及び目標平均有効圧Peを読込む。例えば目標平均有効圧Peは、図2に示すスロットルセンサ41(エンジン負荷検出手段)により検出されたスロットル開度θthと回転速度センサ32(エンジン負荷検出手段)により検出されたエンジン回転速度Neとに基づき所定のマップから求められる。尚、エンジン負荷情報は目標平均有効圧Peに限ることなく種々に変更可能であり、例えば体積効率Ev等で代替してもよい。
【0029】
続くステップS14では予め設定されたマップに従ってエンジン回転速度Ne、冷却水温Tw、及び目標平均有効圧Peから開閉弁19の開度θwを求める。当該マップ特性は、以下の点を鑑みて設定されている。
まず、エンジン回転速度Neに関しては、第1実施形態で述べたように高回転域でキャビテーションを抑制する必要があることから、例えばキャビテーションの発生回転速度、若しくは若干低い回転速度までは開閉弁19の開度θwが0(全閉)に保持され、それ以上の回転域では開度θwが次第に増加設定される。
【0030】
又、冷却水温Twに関しては、第1実施形態で述べたように高温ほど飽和水蒸気圧が上昇することから、冷却水温Twが高いほど開閉弁19の開度θwが増加側に設定される。又、開閉弁19の開度θwを0(全閉)に保持するキャビテーション発生回転速度(Nec)を冷却水温Twが高いほど低回転側に設定するようにしてもよい。
【0031】
一方、目標平均有効圧Peに関しては、エンジン負荷が高いほどエンジン側から要求される冷却性能が高まるため、オーバヒートを回避すべくより多量の冷却水流量を確保する必要が生じる。よって、目標平均有効圧Peが高いほど開閉弁19の開度θwが減少側に設定される。又、エンジン負荷が高いほど切換点Necを高回転側に設定するようにしてもよい。
【0032】
尚、冷却水温Twに応じた開閉弁19の開度θwの増加側への補正量(制限量の増加量)をエンジン負荷(目標平均有効圧Pe)による開閉弁19の開度θwの減少側への補正量(制限量の減少量)と同等になるように設定してもよいが、キャビテーションの発生を確実に抑制するために冷却水温Twに応じた開閉弁19の開度θwの増加側への補正量をエンジン負荷による開閉弁19の開度θwの減少側への補正量よりも大きくなるように設定してもよい。
【0033】
又、冷却水温Twに応じた開閉弁19の開度θwの設定をエンジン負荷による開閉弁19の開度θwの設定よりも優先的に行うべく、冷却水温Twに応じて設定される切換点Necをエンジン負荷に応じて設定される切換点Necよりも低く設定するようにしてもよい。
このような特性のマップに従って開閉弁19の開度θwを設定した後、ECU31はステップS16に移行して設定した開度θwに基づいてアクチュエータ20により開閉弁19を駆動制御した後、ルーチンを終了する。
【0034】
以上のように本実施形態では開閉弁19の開度を連続的に制御しているため、第1実施形態のものに比較して、エンジン仕様等に対応してより緻密に冷却水の流量を制御できる。例えば、同一車種でターボエンジンとNAエンジンとが設定されている場合、NAエンジンに比較して高回転域でより高い冷却性能が要求されるターボエンジンでは、キャビテーション発生回転速度以上の回転域でNAエンジンより開閉弁19の開度θwを減少させれば、十分な冷却水流量によりオーバヒートを防止でき、結果として双方のエンジン仕様に対応した冷却特性を実現して、ウォータポンプ2やラジエータ4等の冷却システムの共有化を図ることができる。
【0035】
しかも、エンジン回転速度Neや冷却水温Twのみならず、エンジン負荷情報としての目標平均有効圧Peに基づき開閉弁19の開度θwを設定しているため、エンジン1の負荷状態に応じて要求される冷却性能が変化しても、常に適切な冷却水流量を実現でき、もって、エンジン1の運転状態に関わらず確実にオーバヒートを防止して、制御装置としての信頼性を一層向上させることができる。
【0036】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態では、車両用エンジンに備えられた可変流量式ウォータポンプ2の制御装置に具体化したが、エンジンの種別や用途はこれに限定されることはなく、例えば発電用エンジン等のウォータポンプに対する制御装置として具体化してもよい。
【0037】
又、上記各実施形態では、ウォータポンプ2のケーシング11に一体的に還流路18及び開閉弁19を設けたが、ウォータポンプ2の構成はこれに限定されることはなく、例えば還流路18及び開閉弁19をケーシング11とは別体としてエンジン1側に設けてもよいし、開閉弁19の形式についてもバタフライ式に限らず、例えばポペット式としてもよい。
【0038】
更に、上記各実施形態では、開閉弁19の開度θwに応じて冷却水の一部を還流路18を経てウォータポンプ2の吸込側に還流させることで冷却水の流量を調整したが、流量調整の原理はこれに限定されるものではない。
例えば、同様に冷却水を還流させるものであっても、実公平2−17145号公報に記載のように、ウォータポンプの吐出側と吸込側とを隣接させて、その間に開閉弁を位置させたレイアウトとしてもよい。又、特公平5−11359号公報や特公平5−20598号公報に記載のように、インペラを覆ったカバーを軸方向に摺動させてインペラの有効長さを変化させ、これによりウォータポンプの吐出量、つまり冷却水流量を調整するように構成してもよい。更に、特開平10−122177号公報に記載のようにインペラを構成する各羽根をガイド溝とピンとの係合により移動させ、これによりインペラの外径を変化させて吐出量を調整したり、或いは特開平7−208393号公報に記載のように、各羽根を中間部から屈曲させ、これによりインペラの外径を変化させて吐出量を調整したりしてもよい。
【0039】
一方、上記第1実施形態では、冷却水温Twに応じて切換点Necを変更したが、必ずしも冷却水温Twは考慮する必要はなく、単一の切換点Necを適用してもよい。又、エンジン回転速度Neの増加方向と減少方向とで異なる切換点Necを設定して、開閉弁19の開側への切換と閉側への切換との間にヒステリシスを設けてもよく、このように構成すれば、切換点Nec付近でエンジン回転速度Neが頻繁に変動したときの無駄な開閉弁19の切換を防止することができる。
【0040】
又、上記各実施形態では、エンジン回転速度Ne、冷却水温Tw、目標平均有効圧Peに基づいて開閉弁19を開閉制御したが、他のファクターを考慮してもよく、例えばキャビテーションの発生し易さには冷却水の圧力が影響することから、冷却水圧を考慮してもよい。具体的には、冷却水圧は冷態始動時の大気圧近傍から暖機完了後のラジエータ設定圧までの間で変動すると共に、図1に示すサーモスタット3の開閉に応じて冷却水流路がラジエータ4側とバイパス路6側とで切換えられて管路抵抗が変化したときにも変動する。そこで、冷却水圧の実測値やサーモスタット3の開閉状況に基づいて上記切換点Necや開度θwを補正してもよい。又、暖機時の冷却水圧の上昇過程やサーモスタット3の開閉状況は共に冷却水温Twから推測できるため、これらのファクターを加味した試験により冷却水温Twに関するマップ特性を設定し、設定したマップに基づいて切換点Necや開度θwを求めるようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明の可変流量式ウォータポンプの制御装置によれば、低回転高負荷域での冷却水の流量を十分に確保して良好な冷却性能を実現し、もってエンジンのオーバヒートを防止した上で、高回転域でのキャビテーションを確実に抑制することができる。
【0042】
請求項2の発明の可変流量式ウォータポンプの制御装置によれば、請求項1に加えて、冷却水温の影響を受けることなく一層確実にキャビテーションを抑制することができる。
請求項3の発明の可変流量式ウォータポンプの制御装置によれば、請求項1又は2に加えて、エンジン負荷の影響を受けることなく一層確実にオーバヒートを防止することができる。
【0043】
請求項4の発明の可変流量式ウォータポンプの制御装置によれば、請求項1に加えて、高回転域でのキャビテーションを一層確実に抑制することができる。
請求項5の発明の可変流量式ウォータポンプの制御装置によれば、請求項1乃至4に加えて、簡単な構成により冷却水の流量を調整でき、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のエンジンの冷却水路を示す図である。
【図2】エンジンのウォータポンプ近傍を示す断面図である。
【図3】第1実施形態のECUが実行するポンプ制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態のウォータポンプの流量特性を示す図である。
【図5】第2実施形態のECUが実行するポンプ制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】従来のポンプ容量が小さい場合と大きい場合との流量特性を比較した図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 ウォータポンプ
18 還流路(流量調整手段)
19 開閉弁(流量調整手段、開閉手段)
31 ECU(流量制御手段)
32 回転速度センサ(エンジン回転速度検出手段、エンジン負荷検出手段)
33 水温センサ(水温検出手段)
41 スロットルセンサ(エンジン負荷検出手段)
Claims (5)
- エンジンの駆動力によって回転駆動されるウォータポンプと、該ウォータポンプから吐出される冷却水の流量を調整可能な流量調整手段とを備え、上記エンジンの運転状態に応じて上記冷却水の流量を調整する可変流量式ウォータポンプの制御装置において、
上記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、
上記エンジン回転速度検出手段によって検出されるエンジン回転速度が予め設定されたキャビテーションの発生回転域近傍にあるときに、該エンジン回転速度と共に増加する冷却水の流量を上記流量調整手段により制限する流量制御手段と
を備えたことを特徴とする可変流量式ウォータポンプの制御装置。 - 上記エンジンの冷却水温を検出する水温検出手段を備え、
上記流量制御手段は、上記水温検出手段によって検出される冷却水温の上昇に伴って上記冷却水流量の制限量を増加することを特徴とする請求項1記載の可変流量式ウォータポンプの制御装置。 - 上記エンジンの負荷を検出するエンジン負荷検出手段を備え、
上記流量制御手段は、上記エンジン負荷検出手段によって検出されるエンジン負荷の増加に伴って上記冷却水流量の制限量を減少することを特徴とする請求項1又は2記載の可変流量式ウォータポンプの制御装置。 - 上記エンジンの冷却水温を検出する水温検出手段と、上記エンジンの負荷を検出するエンジン負荷検出手段とを備え、
上記流量制御手段は、上記水温検出手段によって検出される冷却水温の上昇に伴って上記冷却水流量の制限量を増加し、上記エンジン負荷検出手段によって検出されるエンジン負荷の増加に伴って上記冷却水流量の制限量を減少すると共に、上記冷却水温による制限量の増加量を上記エンジン負荷による制限量の減少量よりも大きく設定する、又は上記冷却水温による制限を上記エンジン負荷による制限よりも優先的に行うことを特徴とする請求項1記載の可変流量式ウォータポンプの制御装置。 - 上記流量調整手段は、上記ウォータポンプの吸込側と吐出側とを連通する還流路と、該還流路を開閉する開閉手段とを備え、上記流量制御手段は、該開閉手段の開度を制御することにより上記冷却水の流量を調整することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の可変流量式ウォータポンプの制御装置。
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