JP2004251171A - エンジンブレーキ力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明はエンジンブレーキの制御装置に関し、車両のエンジンブレーキ力を効果的に高めることができるようにする。
【解決手段】エンジン22のスロットル弁に接続されスロットル弁の開度を変更可能なスロットルアクチュエータと、スロットルアクチュエータの作動を制御する作動制御手段10,10’と、車両の減速走行時に燃料カットを行なう燃料カット制御手段18とをそなえ、作動制御手段10,10’は、燃料カット制御手段18による燃料カット制御の実行中には、エンジン22の負荷が大きくなる目標スロットル開度を算出するとともに、スロットル弁を目標スロットル開度となるようにスロットルアクチュエータを制御するように構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】エンジン22のスロットル弁に接続されスロットル弁の開度を変更可能なスロットルアクチュエータと、スロットルアクチュエータの作動を制御する作動制御手段10,10’と、車両の減速走行時に燃料カットを行なう燃料カット制御手段18とをそなえ、作動制御手段10,10’は、燃料カット制御手段18による燃料カット制御の実行中には、エンジン22の負荷が大きくなる目標スロットル開度を算出するとともに、スロットル弁を目標スロットル開度となるようにスロットルアクチュエータを制御するように構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンブレーキ力制御装置に関し、特に、先行車に対して所定の距離を保持して走行可能な車両に用いて好適のエンジンブレーキ力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の減速時にインジェクタへの燃料供給を停止(いわゆる燃料カット)することによって燃費を向上させると共に、スロットル弁を全閉として、エンジンにおけるポンピングロスを増大させることによってエンジンブレーキ効果を向上させる技術が知られている。
【0003】
しかし、このような手法では運転者が意図する細やかなエンジンブレーキ効果と実際のエンジンブレーキ効果とのアンマッチが生ずるなどの課題が生じたため、燃料カットを行なっている場合であってもエンジンへの吸気流量を調整することで、運転者の走行意図に応じたエンジンブレーキ効果を確保することができるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
具体的には、上記特許文献1には、エンジンブレーキ力が強すぎる場合には、エンジンブレーキ力が弱くなるように、スロットル弁を開くようにした技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−150858号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年ではオートクルーズ装置(定速走行装置)や、オートクルーズ装置を発展させた自動追従装置や車間距離制御装置などが種々提案または開発されている。
そして、このような装置では、基本的にはドライバはステアリング操作のみを行ない、アクセルペダルから足を放した状態で運転する。この時、スロットル弁の開度は電子制御装置等により制御される。
【0007】
このような装置を用いて、例えば先行車との車間距離を一定に保持した追従走行を行なう場合、先行車との車間距離が短くなると速やかに減速を行なう必要があるが、この場合にも、〔従来の技術〕の欄でも説明したとおり、燃料カットを行なうとともにスロットル開度を全閉として、エンジンにおけるポンピングロスを増大させ、大きなエンジンブレーキ力を得ることが考えられる。
【0008】
しかし、大きなエンジンブレーキ力を得るために燃料カット動作とスロットル全閉動作を同時に行なった場合よりも、ある所定エンジン回転数以上においては、スロットルを開いた方が大きなエンジンブレーキ力が得られるという現象が存在する。
この現象について、図12を用いて説明する。図12に示すグラフの縦軸は燃料カット中のエンジンの負荷トルク、つまり、エンジンブレーキ力であって、横軸はエンジン回転数NEである。このグラフより、所定のエンジン回転数NE0以下の回転数においては、スロットル弁を開いた場合よりも、スロットル弁を閉めた場合のほうが負荷トルクは高くなっていることが示されている。
【0009】
しかし、この図12のグラフによれば、エンジン回転数NE0よりも大きな回転数においては、スロットル弁を閉めておくよりも、むしろ開いた方が高いエンジンブレーキ力を得られることがわかる。
これは、エンジン回転数NE0に達するまでの回転域(低回転域)におけるエンジンブレーキ力はエンジンのポンピングロス(吸気行程によるエンジン負荷)が大部分を占めており、スロットル弁を開いておくよりも閉じておく方が大きなエンジンブレーキ力が得られるのに対し、エンジン回転数NE0以上の高回転領域内でスロットル弁を開くと、上述のポンピングロスだけではなく、シリンダ内の空気を圧縮する際に生じる圧縮負荷(圧縮ロス)や、シリンダ内の空気を排出する際に生じる排気負荷(排気ロス)が大きく発生することに起因する。つまり、高回転領域においてスロットル弁を開くことで、ポンピングロス,圧縮ロス,排気ロスを合計したエンジン負荷が総合的に高まるのである。
【0010】
ところで、特許文献1の〔0026〕段落には、燃料カット中にスロットル弁を調整しエンジンブレーキ効果を得る旨が記載されている。しかし、実際には、この特許文献1の技術はエンジンのポンピングロスにのみ着目した手法であることが〔0080〕段落や図8に示され、さらに、〔0084〕段落や〔0093〕段落にはスロットル弁を開放することでエンジンのポンピングロスを低減させることが明記されている。つまり、特許文献1の技術は、燃料カット動作中にスロットル弁を開くことによってエンジンブレーキ力を減ずる技術となっている。
【0011】
このため、上述したような自動追従走行が可能な車両に対して特許文献1の技術を適用しても、十分なエンジンブレーキ力を確保することができず、不足したエンジンブレーキ力をブレーキアクチュエータの作動によって補うなどの制御が必要となってしまう事態が生じる。
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、車両のエンジンブレーキ力を効果的に高めることができるエンジンブレーキ力制御装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる請求項1記載のエンジンブレーキ力制御装置は、エンジンのスロットル弁に接続され該スロットル弁の開度を変更可能なスロットルアクチュエータと、該スロットルアクチュエータの作動を制御する作動制御手段と、該車両の減速走行時に燃料カットを行なう燃料カット制御手段とをそなえ、該作動制御手段は、該燃料カット制御手段による燃料カット制御の実行中には、該エンジンの負荷が大きくなる目標スロットル開度を算出するとともに、該スロットル弁が該目標スロットル開度となるように該スロットルアクチュエータを制御することを特徴としている。
【0013】
これにより、エンジンを燃料カット運転し、さらに、エンジンブレーキ力を増大させるのに適した目標スロットル開度を算出して、実際にスロットル弁の開度を目標スロットル開度とすることができる。
また、請求項2記載のエンジンブレーキ力制御装置は、上記請求項1記載の構成において、該車両の目標減速度を算出する目標減速度算出手段をそなえ、該燃料カット制御時における目標スロットル開度が、該目標減速度算出手段で算出された目標減速度に応じて設定されることを特徴としている。
【0014】
これにより、走行中の車両が必要とする減速度である目標減速度に応じて、燃料カット中のエンジンのスロットル開度を設定できる。
また、請求項3記載のエンジンブレーキ力制御装置は、上記請求項1記載の構成において、該車両の目標トルクを算出する目標トルク算出手段をそなえ、該燃料カット制御時における目標スロットル開度が、該目標トルク算出手段で算出された目標トルクに基づいて設定されることを特徴としている。
【0015】
これにより、走行中の車両が必要とする目標トルクに応じて、燃料カット中のエンジンのスロットル開度を設定できる。
また、請求項4記載のエンジンブレーキ力制御装置は、ドライバのアクセル操作やブレーキ操作によらず一定の速度で走行可能、又は先行車に対して所定の距離を保持して走行可能に構成された車両のエンジンブレーキ力制御装置であって、該車両のスロットル弁に接続され該スロットル弁の開度を変更可能なスロットルアクチュエータと、該スロットルアクチュエータの作動を制御する作動制御手段と、該車両の目標減速度を算出する目標減速度算出手段と、該車両の減速走行時に燃料カットを行なう燃料カット制御手段とをそなえ、該作動制御手段は、該燃料カット制御手段による燃料カット制御の実行中には、該目標減速度算出手段で算出された目標減速度となるような目標スロットル開度を求めるとともに、該スロットル弁が該目標スロットル開度となるように該スロットルアクチュエータを制御することを特徴としている。
【0016】
これにより、クルーズコントロールによる定速走行時や先行車両への追従走行などの自動運転走行を行なっている場合に、エンジンの燃料カット運転を実行するとともに、エンジンブレーキ力を増大させるのに適した目標スロットル開度を算出して、実際にスロットル弁の開度を目標スロットル開度とすることができる。この時、走行中の車両が必要とする減速度である目標減速度に応じて、燃料カット中のエンジンのスロットル開度を設定できる。
【0017】
また、請求項5記載のエンジンブレーキ力制御装置は、ドライバのアクセル操作やブレーキ操作によらず一定の速度で走行可能、又は先行車に対して所定の距離を保持して走行可能に構成された車両のエンジンブレーキ力制御装置であって、該車両のスロットル弁に接続され該スロットル弁の開度を変更可能なスロットルアクチュエータと、該スロットルアクチュエータの作動を制御する作動制御手段と、該車両の目標トルクを算出する目標トルク算出手段と、該車両の減速走行時に燃料カットを行なう燃料カット制御手段とをそなえ、該作動制御手段は、該燃料カット制御手段による燃料カット制御の実行中には、該目標トルク算出手段で算出された目標トルクとなるような目標スロットル開度を求めるとともに、該スロットル弁が該目標スロットル開度となるように該スロットルアクチュエータを制御することを特徴としている。
【0018】
これにより、クルーズコントロールによる定速走行時や先行車両への追従走行などの自動運転走行を行なっている場合に、エンジンの燃料カット運転を実行するとともに、エンジンブレーキ力を増大すべく最適な目標スロットル開度を算出して、実際にスロットル弁の開度を目標スロットル開度とすることができる。この時、走行中の車両が必要とする負荷トルクに応じて、燃料カット中のエンジンのスロットル開度を設定できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかるエンジンブレーキ力制御装置について図1〜図8を用いて説明すると、図1はその要部構成を示す模式的なブロック図、図2はその要部を示す模式的な制御ブロック図、図3はその自動変速機制御に用いられる第1マップの一例を示す図、図4はその自動変速機制御に用いられる第1マップの他の例を示す図、図5はその電子スロットル弁制御に用いられる第2マップを示す図、図6はその電子スロットル弁制御に用いられる第3マップを示す図、図7はそのエンジン制御演算部を示す模式的なブロック図、そして、図8はその動作フローを示す図である。
【0020】
本発明が適用される車両には、図1に示すように、主にECU1、CVT(自動変速機)21、エンジン22がそなえられ、このECU1には車間距離設定スイッチ11,メインスイッチ12,セットスイッチ13,レジュームスイッチ14,キャンセルスイッチ15,レーザレーダ(実車距離検出手段・相対速度検出手段)16,車速センサ(車速検出手段)17及びエンジン回転数センサ(エンジン回転数検出手段;図示略)が接続され、更に、このECU1には、上記のCVT21とエンジン22とが接続されている。
【0021】
また、この車両は、アクセルペダルとスロットル弁とが電気的に接続された、いわゆるドライブバイワイヤ機構をそなえている。このドライブバイワイヤ機構は、スロットル弁(図示略)と、スロットルアクチュエータ(図示略)とを有しており、スロットル弁の開度は、このスロットル弁に付設された上記アクチュエータにより変更されるようになっている。また、このスロットルアクチュエータは、ECU1のスロットルアクチュエータ制御部10(後述する)によりその作動が制御されるようになっている。
【0022】
ECU1の内部には、設定車速演算部2,CVT制御演算部(目標変速比設定手段)3,目標車速演算部(目標車速設定手段)4,加減速制御演算部(目標減速度算出手段)5及びエンジン制御演算部6が設けられている。また、設定車速演算部2内には目標車間距離設定手段7が設けられると共に、エンジン制御演算部6内には、スロットルアクチュエータ制御部(作動制御手段)10、燃料カット制御手段18、そして目標アクセル開度算出手段20が設けられている。なお、ECU1内におけるそれぞれの構成要素はソフトウェアによって実現されているが、電子回路として構成しても良い。
【0023】
ここで、設定車速演算部2は、車間距離設定スイッチ11,メインスイッチ12,セットスイッチ13,レジュームスイッチ14,キャンセルスイッチ15からの信号により車速(巡航車速)を設定し、この巡航車速で車両が走行できるようにするものであって、いわゆる、クルーズコントロールシステムや車間距離制御装置のコントローラに相当するものである。なお、これらのメインスイッチ12,セットスイッチ13,レジュームスイッチ14,キャンセルスイッチ15は、一般的なクルーズコントロールや車間距離制御装置における機能と同様のスイッチであるので詳しい説明は省略する。
【0024】
目標車速演算部4は、車両前方に設けられたレーザレーダ16によって測定された先行車両と自車両との相対速度と、車速センサ17によって計測された自車両の走行速度とに基づき、先行車両の絶対速度(以後、単に“速度”という場合は“相対速度”と明記しない限り“絶対速度”の意)を算出する先行車速算出手段8を有している。
【0025】
そして、この目標車速演算部4では、レーザレーダ16によって測定された先行車両と自車両との間の実際の車間距離(実車間距離)と、上記の先行車速算出手段8で算出した先行車速とに基づき自車両の目標車速を算出し、さらに、設定車速演算部2によって算出された設定車速と、上記の目標車速との大きさを比較し、低い方を最終的な目標車速として設定するようになっている。
【0026】
加減速制御演算部5は、車速センサ17によって算出された自車速と、上記の目標車速演算部4によって設定された目標車速とに基づき、自車両に対してどのような加速もしくは減速をさせる必要があるかを判断して目標加速度を算出して、エンジン制御演算部6へ出力するものである。
また、エンジン制御演算部6は、後述するCVT制御演算部3によって設定されたCVT21の目標変速比と、目標車速演算部4によって設定された目標車速と、加減速制御演算部5によって設定された目標加速度とに基づいて目標スロットル開度(目標アクセル開度)を算出し、この目標スロットル開度となるようにエンジン22のスロットル弁(図示略)を制御するものである。なお、このエンジン制御部6の詳細な機能については後で詳しく説明する。
【0027】
目標車間距離設定手段7は、車間距離設定スイッチ11の操作に基づいて、先行車両と自車両との車間距離を選択し、目標車間距離として設定するものである。なお、本実施形態においては、“長”“中”“短”のいずれかに設定するようになっている。
CVT制御演算部(目標変速比設定手段)3は、設定車速演算部2によって設定された目標巡航車速と、目標車速演算部4によって設定された目標車速と、目標車間距離設定手段7によって設定された目標車間距離とに基づいて、CVT21に対する目標変速比を設定し、実際にCVT21の変速比を目標変速比になるように制御するものである。
【0028】
さらに、このCVT制御演算部3には変速比制御範囲変更手段9がそなえられており、この変速比制御範囲変更手段9は、目標車間距離設定手段7によって設定された目標車間距離に応じて、CVT制御演算部3によるCVT21の変速比の制御範囲(変速比制御範囲)における下限値(すなわち、最も高速側の変速比)を変更するものである。
【0029】
ここで、変速比制御範囲変更手段9による制御内容を、図3に示す第1マップ38Aを用いて説明すると、この第1マップ38Aは縦軸に目標変速比(R)が設定されるとともに、横軸に目標加速度(GT)が設定されており、目標車速(V1〜V6)毎に目標変速比(R)と目標加速度(GT)との関係が定義されている。
【0030】
また、図3において、“Full Low”として示される変速比は変速比制御範囲における上限値であって、これはCVT21の変速制御範囲における最も低速側の変速比である。一方、“Full High”として示される変速比はCVT21の変速比制御範囲における下限値であって、最も高速側の変速比である。
【0031】
そして、上述の変速比制御範囲変更手段9は、以下の条件(1)及び(2)のうち少なくとも(1)を満たした場合には、Full Highとして設定された変速比制御範囲の下限値を低速側のFull High′に変更するようになっている。
(1)車間距離設定スイッチ11および目標車間距離設定手段7によって 設定された目標車間距離が“短”である場合。
【0032】
(2)レーザレーダ16によって先行車両と自車両との車間距離が所定距 離より短いことが検出された場合。
つまり、上述のような条件設定に基づく制御によれば、Full Highにまで達していない変速比域内においては、自動変速機21は通常の動作マップに沿って制御されるので、燃費を良好な状態でエンジン22を運転することが可能となり、一方、最も高速側の変速比(Full High)が、通常走行時よりも低速側(Full High′)にクリップされるので、エンジンブレーキの効きを高めることができ、例えば、短い車間距離で先行車に追従走行する場合などの安全性を向上させることができる。また、従来と同程度の安全性を確保する場合には、先行車両と自車両との車間距離をさらに短く設定することが可能となる。
【0033】
なお、図3に示す第1マップ38A以外にも、例えば、図4に示す第1マップ38Bを用いて変速比制御範囲を変更するようにしてもよい。この第1マップ38Bにおいても、図3において示した第1マップ38Aと同様に、縦軸に目標変速比(R)が設定されるとともに、横軸に目標加速度(GT)が設定され、目標車速(V1〜V6)毎に目標変速比(R)と目標加速度(GT)との関係が定義されている。また、この図4の第1マップ38Bにおいては、目標車速(V1〜V6)毎にFull High(R1〜R6)が設定されている。
【0034】
そして、加減速制御演算部5によって算出された目標加速度(GT)がマイナス(GT<0)である場合は、第1マップ38B内の一点鎖線に沿ってCVT21は制御され、また、車両の目標加速度が0近傍であるとともに、目標車間距離設定手段7によって設定された目標車間距離が“短”である場合には、CVT制御演算部3内の変速比制御範囲変更手段9によってFull High(R1〜R6)として設定された変速比制御範囲の下限値が低速側のFull High′ (R1′〜R6 ′)へ変更されるようになっている。
【0035】
なお、図4に示すように、変速比制御範囲変更手段9による変速比制御範囲の下限値変更量(つまり、Full HighとFull High′との差分)は、目標速度(V1〜V6)が上昇するにしたがって大きくなるように設定されている。これは、下限値変更量を大きくしても、目標速度が高い場合にはエンジン22の燃費低下率が小さいことに起因している。なお、この図4に示す第1第1マップ38Bにおいては、各目標速度(V1〜V6)毎に設定されたFull HighからFull High′への変更量を、それぞれエンジン22の燃費低下率が3%程度になるように設定している。
【0036】
次に、エンジン制御演算部6について詳しく説明する。
エンジン制御演算部6には、図1に示すように、スロットルアクチュエータ制御部10、燃料カット制御手段18及び、目標アクセル開度算出手段20が設けられている。
ここで、スロットルアクチュエータ制御部10には、図7に示すように第4マップ(第1目標アクセル開度算出マップ)44と、第5マップ(リミッタマップ)36と、セレクタ43とが設けられ、また、燃料カット制御手段18には、第6マップ(燃料カット制御マップ)37が設けられ、そして、目標アクセル開度算出手段20には図5及び図6に示す第2マップ39と第3マップ40とが設けられている。
【0037】
そして、図2に示すように、目標アクセル開度算出手段20の第2マップ39は、加減速制御演算部5によって算出された目標加速度とCVT21の実変速比とに基づいて目標アクセル開度を算出し、また、第3マップ40は、目標車速演算部4によって設定された目標車速とCVT21の実変速比とに基づいて目標アクセル開度を算出するようになっている。そして、その後、第2マップ39による算出結果と第3マップ40による算出結果とが加算されて、燃料カット制御手段18の第6マップ37(後述する)に出力されるとともに、スロットルアクチュエータ作動制御手段10の第5マップ36に出力されるようになっている。
【0038】
第5マップ36は、図7に示すように、入力された目標アクセル開度を0〜100%の間の値に制限した後に、通常時(つまり、燃料カットOFF時)の目標アクセル開度として、セレクタ43へ出力するようになっている。これは目標アクセル開度の計算中に、その計算結果が何らかの原因で0%未満または100%以上となる場合が想定されるためであり、このような事態を回避すべく上記のようなリミッタマップ36を設けているのである。
【0039】
スロットルアクチュエータ制御部10の第4マップ44は、インジェクタ(図示略)によって実現される燃料噴射手段の燃料噴射停止(以後、燃料カットという)時における目標アクセル開度を設定するものであり、横軸に目標加速度が設定され、エンジン22の回転数(NE1〜NE5)毎に燃料カット時の目標アクセル開度の特性が記憶されている。
【0040】
そして、この図7に示す第4マップ44により、エンジン22の回転数(NEと加減速制御演算部5によって算出された目標加速度(GT)とから、燃料カット運転中の目標アクセル開度(ATFC)が算出され、セレクタ43へ出力されるようになっている。この目標アクセル開度(ATFC)は目標加速度(GT)が小さい程(つまり、目標減速度が大きい程)大きくなるような特性に設定されている。
【0041】
なお、このように、燃料カット中に、あえて目標アクセル開度(ATFC)を設定し、スロットル弁を開く制御を行なうのは、主に以下の理由による。つまり、〔従来の技術〕の欄でも説明したとおり、車両減速時に燃料カットを行なうとともにスロットル弁を全閉とすると、エンジンにおけるポンピングロスが増大し、大きなエンジンブレーキ力を得ることができるのが一般的である。
【0042】
しかし、より大きいエンジンブレーキ力を得るために燃料カット動作とスロットル全閉動作を同時に行なうよりも、ある所定エンジン回転数以上においては、スロットル弁を開いた方が大きなエンジンブレーキ力が得られるという現象が存在する。
この現象について、再度、図12を用いて簡単に説明すると、図12に示すグラフには、所定のエンジン回転数NE0以下の回転数においては、スロットルを開いた場合よりも、スロットルを閉じておいたほうが負荷トルクは高くなっていることが示されている。しかし、エンジン回転数NE0よりも大きな回転数においては、スロットル弁を閉じておくよりも、むしろ開いた方が高いエンジンブレーキ力を得ることができることがわかる。
【0043】
これは、エンジン回転数NE0に達するまでの回転域(低回転域)におけるエンジンブレーキ力はエンジンのポンピングロスが大部分を占めているのに対し、エンジン回転数NE0以上のエンジン回転数でスロットル弁を開放した場合には、ポンピングロスだけではなく、圧縮行程で生じる圧縮ロスや、排気行程で生じる排気ロスが大きく発生し、これらの負荷が総合的に高まることでスロットル弁閉鎖時よりも開放時のエンジンブレーキ力の方が大きくなるのである。
【0044】
そこで、本願発明ではこの現象に着目し、燃料カット運転時において、目標減速度を得られるようなエンジン負荷トルク(エンジンブレーキ力)となる目標スロットル開度を算出し、この目標スロットル開度となるようにスロットル弁の開度を制御するようになっている。
次に、燃料カット制御手段18について簡単に説明すると、この燃料カット制御手段18は、燃料カット制御を行なうか否かを判定するものであって、図7に示す第6マップ37が設けられている、この第6マップ37は、目標アクセル開度算出手段20によって算出された目標アクセル開度(ACP)に基づいて燃料カット信号をエンジン22のインジェクタに対して送信するものであり、目標アクセル開度(ACP)がゼロである場合にはエンジン22の燃料カット運転を実行するべく燃料カット信号を出力するようになっている。なお、燃料カット信号はエンジン22の燃料噴射手段(インジェクタ)に出力されると共に、スロットルアクチュエータ制御部10のセレクタ43にも出力されるようになっている。
【0045】
このセレクタ43は、燃料カット制御手段18からの燃料カット信号に基づき切り替えられるON−OFFスイッチであって、通常はOFFとなっているが、燃料カット信号が入力されると、燃料カット運転が開始されたと認識してONに切り替えられるようになっている。
そして、燃料カットが行なわれている場合、セレクタ43は、第4マップ44によって算出された目標アクセル開度(ATFC)をスロットル制御信号として設定し、スロットルアクチュエータへ送信することによってエンジン22のスロットル開度を制御するようになっている。一方、燃料カットが行なわれていない場合、セレクタ43は燃料カット制御手段18から燃料カット信号を受信しないので、セレクタ43はエンジン22が通常運転中であると認識してOFFとなり、第5マップ36から入力された通常運転時用の目標アクセル開度(ATN)をスロットル制御信号として選択し、エンジン22のスロットルアクチュエータへ送信して、スロットル開度を制御するようになっている。
【0046】
本発明のエンジンブレーキ力制御装置は上述のように構成されているので、図2に示す本実施形態における制御ブロック図を用いてその作用を説明すると、まず、自車両の車速が車速センサ17によって検出され、この検出結果信号が目標車速演算部4内の先行車速算出手段8及び加減速制御演算部5にそれぞれ入力される。
【0047】
また、レーザレーダ16により、自車両と先行車両との相対速度が検出され、この検出結果信号が先行車速算出手段8へ入力される。そして、先行車速算出手段8によって相対速度と自車両速度とが加算されることにより、先行車速が算出される。
また、レーザレーダ16により、自車両と先行車両との実車間距離も検出され、この検出結果信号がCVT制御演算部3へ入力されると共に、目標車速演算部4に入力される。そして、実車間距離に所定ゲインKLを乗じたものと先行車速に所定ゲインKPを乗じたものとを加算することにより目標車速が算出され、目標車速演算部4のセレクタ35へ伝達される。そして、このセレクタ35によって、設定車速演算部2によって設定された巡航車速(設定車速)と前記目標車速とのうち、どちらか低い方が最終的な目標車速として選択されて、加減速制御演算部5とCVT制御演算部3とエンジン制御演算部6とに出力される。
【0048】
そして、加減速制御演算部5において、セレクタ35によって設定された目標速度と自車両の実車速との偏差が算出され、この偏差にゲインKVを乗じることで目標加速度が算出される。そして、この目標加速度がCVT制御演算部3とエンジン制御演算部6とに入力される。
ここで、エンジン制御演算部6の目標アクセル開度算出手段20には、通常時(燃料カットOFF時)の目標アクセル開度を算出する第2マップ39及び第3マップ40が設けられている。この第2マップ39は、図5に示すように、縦軸に目標アクセル開度(ACP)が設定されるとともに、横軸に目標加速度(GT)が設定されており、目標変速比(R1〜R4,R4′)に応じて目標アクセル開度(ACP)が設定されるようになっている。ここで、目標変速比R1はFull Lowであり、一方、目標変速比R4はFull Highである。また、目標変速比R4′はFull High′であって、変速比制御範囲変更手段9によって変速比範囲下限値であるFull High(ここでは目標変速比R4)を低速側にクリップした場合の目標変速比である。なお、本実施形態における自動変速機21はCVTであるので各目標変速比の間(例えば、目標変速比R1とR2との間や、R2とR3の間)にも無段階で変速比が存在するが、ここでは、目標アクセル開度(ACP)と、目標加速度(GT)と、目標変速比との関係を説明するため、模式的に段階的な目標変速比(R1〜R4,R4′)を示して説明する。
【0049】
この第2マップ39においては、目標加速度(GT)及び変速比に応じた目標スロットル開度(ATP)が設定されている。
次に、第3マップ40について説明すると、図6に示すように、この第3マップ40には、縦軸に目標アクセル開度(ACP)が設定されるとともに、横軸に目標車速(V)が設定されており、目標変速比(R1〜R4,R4′)に応じて目標アクセル開度(ACP)が設定されるようになっている。
【0050】
なお、図2に示すKLおよびKPは目標車間距離が短く設定されている場合には大きく設定され、一方、目標車間距離が長く設定されている場合には小さく設定されるゲインである。
そして、上述のエンジン制御演算部6の第2マップ39に対して、加減速制御演算部5より目標加速度(目標減速度)が入力されるとともに、CVT21より実変速比が入力される。一方、第3マップ40には、目標車速演算部4より目標車速が入力されるとともに、CVT21より実変速比が入力される。そして、第2マップ39の算出結果と第3マップ40の算出結果とが加算されることによって、通常時(燃料カット中ではない時)の目標アクセル開度が算出され、スロットルアクチュエータ制御部10の第5マップ36へ出力されるとともに、燃料カット制御手段18の第6マップ37へ出力される。この時、第6マップ37へ入力された目標アクセル開度がゼロである場合には、燃料カット信号がエンジン22に対して出力される。
【0051】
また、図7で示すように、第5マップ36に入力された目標アクセル開度(ACP)はその値が0〜100%の間に収まるように制限され、通常時用の目標アクセル開度(ATN)としてセレクタ43へ出力される。
そして、スロットルアクチュエータ制御部10の第4マップ44には、エンジン回転数(NE)と目標減速度(GT)とが入力され、燃料カット時の目標アクセル開度(ATFC)が算出されて、セレクタ43へと出力される。
【0052】
次に、このセレクタ43において、第4マップ44によって算出された燃料カット時の目標アクセル開度(ATFC)と、第5マップ36によって算出された通常時の目標アクセル開度(ATN)とのどちらか一方が、エンジン22が燃料カット運転中であるか否かに応じて選択される。つまり、燃料カット制御手段18からエンジン22のインジェクタに対して燃料カット信号が出力されている場合(燃料カット中)は、燃料カット中の目標アクセル開度(ATFC)がスロットル制御信号としてセレクタ43によって選択され、エンジン22のスロットルアクチュエータに対して出力される。一方、燃料カット制御手段18によって燃料カット信号が出力されていない場合(通常の場合)は、セレクタ43によって通常時の目標アクセル開度(ATN)がスロットル制御信号として選択され、エンジン22のスロットルアクチュエータに対して出力される。
【0053】
次に、図8の動作フローに基づき、本発明の作用を更に説明すると、まず、ステップA1においてECU1への信号入力処理が行なわれる。具体的には、図1に示す車間距離設定スイッチ11,メインスイッチ12,セットスイッチ13,レジュームスイッチ14,キャンセルスイッチ15のそれぞれからECU1へ制御信号が入力されるとともに、レーザレーダ16,車速センサ17,エンジン回転数センサのそれぞれから検出信号がECU1へ入力される(ステップA1a参照)。
【0054】
そして、ステップA2では巡航車速(設定車速)の演算処理が行なわれる。具体的には、まず、自車両と先行車両との車間距離を制御しながら自動的に走行しているか否かが判断され(ステップA2a参照)、当該制御中でなければNoルートを辿ってリターンし、一方、制御中であればYesルートを辿ってステップA2bへ進む。そして、ステップA2bでは目標車間距離(本実施形態においては“短”“中”“長”のうちの1つ)が設定され、その後、ステップA2cにおいて、ドライバの所望する巡行車速が設定される。なお、ここで巡航車速とは、前方に先行車両が存在しない状態で車両を巡航させる場合にドライバが所望する車速をいう。
【0055】
次に、ステップA3では目標車速演算が行なわれる。これは、自車両と先行車両との車間距離をレーザレーダ16によって検出すると共に、レーザレーダ16によって自車両と先行車両との相対速度を検出し、これらの、車間距離と相対速度とに基づき、目標車速を算出し(ステップA3a参照)、その後、上述のステップA2cにて設定した巡行車速とステップA3aにて算出した目標車速とを比較して速度が低い方を最終的な目標車速として設定する(ステップA3b参照)。
【0056】
その後、ステップA4において車速制御演算が行なわれ、ここでは、ステップA3bにおいて設定された目標車速と、ステップA1aにおいて車速センサ17から入力された自車両の実際の走行速度(実速度)との偏差から目標加速度を算出する(ステップA4a参照)。
次に、ステップA5においては、CVT21を制御するための演算処理が行なわれる。具体的には、ステップA3bにおいて設定した目標車速とステップA4aにおいて算出した目標加速度とからCVT21における目標変速比を算出する(ステップA5a参照)。
【0057】
そして、この目標変速比に従ってCVT21を実際に制御し(ステップA5b参照)、また、車間距離設定スイッチ11によって設定された目標車間距離に応じて、CVT21の高速側変速比のクリップ値を変更する。具体的には、車間距離設定スイッチ11によって設定された目標車間距離が“短”であれば、CVT21における最も高速側の変速比Full High(例えば0.445)を僅かに低速側のFull High′(例えば、0.550)に変更する。
【0058】
その後、ステップA6において、エンジン22を制御するための演算処理が行なわれ、具体的には、ステップA3bにおいて設定された目標車速とステップA4aにおいて算出された目標加速度とに基づき、CVT21における実際の変速比(実変速比)に応じた目標アクセル開度を算出して、エンジン22を制御(即ち、通常時の制御)を実行し(ステップA6a参照)、もし、算出された目標アクセル開度が0%よりも大きい場合にはリターンする(ステップA6bとステップA6cとをスキップしてリターンへ至る)。
【0059】
一方、算出された目標アクセル開度が0%である場合には、燃料カット制御手段18により、燃料カット信号がエンジン22のインジェクタに対して出力されると共に、目標アクセル開度算出手段20により、所定のエンジン負荷(目標減速度)を得るための目標アクセル開度(目標スロットル開度)が算出され、この目標アクセル開度(目標スロットル開度)となるように作動制御手段10によりスロットルアクチュエータが制御される(ステップA6bとステップA6cとを経てリターンへ至る)。
【0060】
これにより、燃料カット運転中に強力なエンジンブレーキ力を得ることができるので、例えば、オートクルーズ装置や車間距離制御装置などを用いて、先行車に対して所定の距離を保持して走行する場合に、先行車両の減速に伴って自車両を確実且つスムーズに制動することが可能となる。
また、強力なエンジンブレーキ力を適切に使用することで、自動変速機における変速比のロー側への変動量を大幅に抑制することが可能となるので、変速比の上昇に伴って増大するエンジンノイズも確実に抑制することが可能となる。
【0061】
次に、上述した実施形態にかかるエンジンブレーキ力制御装置の変形例について、主に図9〜図11を用いて説明すると、図9は本変形例の模式的な制御ブロック図、図10はそのエンジン制御演算部の内部を模式的に示す構成ブロック図、図11はその制御フローである。なお、上述の実施形態の説明において用いた図1〜図9及び〔発明が解決しようとする課題〕の欄における説明において用いた図12も本変形例の説明に用いる場合がある。
【0062】
本変形例に係るエンジンブレーキ力制御装置は、基本的には上述した実施形態とほぼ同様に構成されているが、実施形態においてはエンジン制御演算部6がスロットルアクチュエータ制御部10をそなえているのに対し、本変形例においてはエンジン制御演算部6′がスロットルアクチュエータ制御部10′をそなえている点で異なり、さらに、本変形例のECU1′が目標トルクを算出する目標トルク算出手段23(図1においては図示略)をそなえている点で異なる。なお、上述した実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付すとともにその説明を省略し、以下、上述の実施形態と本変形例との間で差異のある箇所を中心に詳述する。
【0063】
まず、本変形例のECU1′内には、図1に示した上述の実施形態のECU1内の構成要素に加えて、図9に符号23で示す目標トルク算出手段が設けられている。
この目標トルク算出手段23は、加減速制御演算部5によって算出された目標加速度と、自動変速機21の実変速比にゲインKtを乗じた値とを乗算することにより、目標加速度を得るための目標トルクを算出しエンジン制御演算部6′へ出力するものである。
【0064】
また、本変形例のエンジン制御演算部6′には、スロットルアクチュエータ制御部10′と燃料カット制御手段18と目標アクセル開度算出手段20とがそなえられている。
このスロットルアクチュエータ制御部10′には、図10に示すように、第5マップ36、第7マップ(目標スロットル開度算出マップ)45、第8マップ(第2目標アクセル開度算出マップ)46及び、セレクタ43が設けられ、上記セレクタ43を介してスロットルアクチュエータに対してスロットル制御信号を出力して、スロットル弁の開度を調節するようになっている。
【0065】
ここで、第7マップ45には、目標負荷トルク(TQT1〜TQT3)毎にエンジン回転数(NE)と目標スロットル開度(THFC)との特性が記憶されており、燃料カット中の目標スロットル開度(THFC)を設定できるようになっている。具体的には、この第7マップ45に対して、目標トルク算出手段23によって算出された目標負荷トルク(TQT)と、エンジン22のエンジン回転数センサ(図示略)によって検出されたエンジン回転数(NE)とが入力されることによって、燃料カット中の目標スロットル開度(THFC)が算出され、第8マップ46へ出力されるようになっている。
【0066】
この第7マップ45には、目標負荷トルク(TQT)が大きい程、目標スロットル開度(THFC)が大きくなるような特性が設定されており、燃料カット中にあえて目標アクセル開度(THFC)を設定し、スロットル弁を開く制御を実行できるようになっている。これは、図12を用いて上述したように、エンジン回転数NE0よりも大きな回転数においては、スロットル弁を全閉としておくよりも、むしろ開放した方が大きなエンジンブレーキ力を得ることができるという現象を利用し、燃料カット中においても、エンジン負荷(エンジンブレーキ力)が増大する目標スロットル開度を算出し、この目標スロットル開度となるようにスロットル弁を制御するようになっているのである。
【0067】
一方、第8マップ46には、エンジン回転数(NE1〜NE2)毎に目標スロットル開度(THT)と燃料カット時の目標アクセル開度(ATFC)との特性が記憶されており、第7マップ45によって算出された目標スロットル開度(THFC)とエンジン回転数(NE)とに基づいて燃料カット時における目標アクセル開度(ATFC)を算出するようになっている。
【0068】
このように、燃料カット時の目標スロットル開度(THFC)を算出した後に目標アクセル開度(ATFC)へ変換し、これを最終的にスロットル制御信号としてスロットルアクチュエータへ出力する構成としているのは以下の理由による。
つまり、本変形例における車両においても、ドライブバイワイヤ機構がそなえられており、スロットルアクチュエータがアクセル開度信号に基づいてスロットル弁の開度を制御するようになっているため、第7マップ45によって目標スロットル開度(THFC)が算出されても、この目標スロットル開度(THFC)をそのままスロットル制御信号として設定し、スロットルアクチュエータへ適用することはできない。そこで、第8マップ46において目標スロットル開度(THFC)を目標アクセル開度(ATFC)に変換した後にスロットルアクチュエータへ入力することによって、スロットル弁の開度を制御する構成としている。
【0069】
また、第6マップ37は、上述の実施形態において図7を用いて説明したのと同様に、目標アクセル開度(ACP)がゼロである場合には、目標アクセル開度算出手段20によって算出された目標アクセル開度(ACP)に基づいて燃料カット信号をエンジン22のインジェクタへ出力するものである。なお、燃料カット信号はエンジン22に出力されるとともに、スロットルアクチュエータ制御部10′のセレクタ43に対しても出力されるようになっている。
【0070】
セレクタ43は、燃料カット制御手段18からの燃料カット信号に基づいて動作するON−OFFスイッチであって、燃料カット信号が入力されると、エンジン22は燃料カット運転中であると認識してONに切り替えられ、第8マップ46によって算出された燃料カット運転中用の目標アクセル開度(ATFC)をスロットル制御信号として選択し、エンジン22のスロットルアクチュエータへ出力してスロットル弁の開度を制御するようになっている。
【0071】
一方、燃料カット制御手段18から燃料カット信号を受信していない場合、このセレクタ43は、エンジン22が通常運転中であると認識してOFFとなり、第5マップ36から入力された通常運転時用の目標アクセル開度(ATN)をスロットル制御信号として設定し、エンジン22のスロットルアクチュエータへ出力することでスロットル弁の開度を制御するようになっている。
【0072】
本変形例にかかるエンジンブレーキ力制御装置は上述の構成されるので、以下のような作用・効果を奏する。
まず、図9に示す本変形例における制御ブロック図を用いてその作用を以下のように説明する。なお、図9に示す本変形例の制御ブロック図の内容と図2に示した上述の実施形態の制御ブロック図の内容とは基本的には同じであるが、図9に示す本変形例の制御ブロック図には目標トルク算出手段23が追加されている点で図2に示した上述の実施形態の制御ブロック図と異なる。また、図9のエンジン制御演算部6′における制御と図2のエンジン制御演算部6における制御とが異なる。
【0073】
したがって、以下、目標トルク算出手段23やエンジン制御演算部6′を中心とした制御について説明し、上述の実施形態と共通する部分についてはその説明を省略する場合がある。
まず、エンジン制御演算部6′の第2マップ39には加減速制御演算部5より目標加速度が入力されるとともに、CVT21より実変速比が入力され、一方、第3マップ40には目標車速演算部4より目標車速が入力されるとともに、CVT21より実変速比が入力される。そして、第2マップ39の算出結果と第3マップの算出結果とが加算されることによって、通常時の目標アクセル開度が算出され、スロットルアクチュエータ制御部10′の第5マップ36と燃料カット制御手段18の第6マップ37とへ出力される。この時、第6マップ37へ入力された通常時の目標アクセル開度がゼロである場合には、燃料カット制御手段18によって燃料カット信号がエンジン22に対して出力される。
【0074】
また、図10で示すように、第5マップ36に入力された目標アクセル開度(ACP)は、0〜100%の間の値となるように制限され、通常時用のアクセル開度(ATN)としてセレクタ43へ出力される。
一方、スロットルアクチュエータ制御部10′の第7マップ45には、エンジン22のエンジン回転数センサによって検出されたエンジン回転数(NE)と、目標トルク算出手段23によって算出された目標トルク(TQT)とが入力され、燃料カット時の目標スロットル開度(THFC)が算出される。さらに、この第7マップ45によって算出された燃料カット時の目標スロットル開度(THFC)と、エンジン回転数(NE)とが第8マップ46へ入力され、燃料カット時の目標アクセル開度(ATFC)が算出されて、セレクタ43へと出力される。
【0075】
そして、セレクタ43においては、第8マップ46において算出された燃料カット時の目標アクセル開度(ATFC)と、第5マップ36によって算出された通常時の目標アクセル開度(ATN)とのどちらか一方が、エンジン22の運転状態に応じて選択される。つまり、燃料カット制御手段18からエンジン22のインジェクタに対して燃料カット信号が出力されている場合は、セレクタ43によって燃料カット中の目標アクセル開度(ATFC)がスロットル制御信号として設定され、エンジン22のスロットルアクチュエータに対して出力される。一方、燃料カット制御手段18によって燃料カット信号が出力されていない場合は、セレクタ43によって通常時の目標アクセル開度(ATN)がスロットル制御信号として選択され、エンジン22のスロットルアクチュエータに対して出力される。
【0076】
次に、図11の動作フローに基づき、本発明の作用を更に説明すると、まず、ステップB1においてECU1への信号入力処理が行なわれる。具体的には、図1に示す車間距離設定スイッチ11,メインスイッチ12,セットスイッチ13,レジュームスイッチ14,キャンセルスイッチ15のそれぞれからECU1へ制御信号が入力されるとともに、レーザレーダ16,車速センサ17,エンジン回転数センサのそれぞれから検出信号がECU1へ入力される(ステップB1a参照)。
【0077】
そして、ステップB2では巡航車速(設定車速)の演算処理が行なわれる。具体的には、まず、自車両と先行車両との車間距離を自動的に制御しながら走行しているか否かが判断され(ステップB2a参照)、制御中でなければNoルートを辿ってリターンし、一方、制御中であればYesルートを辿ってステップB2bへ進む。そして、ステップB2bでは目標車間距離(本変形例においては“短”“中”“長”のうちの1つ)が設定され、その後、ステップB2cにおいて、ドライバの所望する巡行車速が設定される。なお、ここで巡航車速とは、前方に先行車両が存在しない状態で車両を巡航させる場合にドライバが必要とする車速をいう。
【0078】
次に、ステップB3では目標車速演算が行なわれる。これは、自車両と先行車両との車間距離をレーザレーダ16によって検出すると共に、レーザレーダ16によって先行車両の相対速度を検出し、これらの、車間距離と相対速度とに基づき、目標車速を算出し(ステップB3a参照)、その後、上述のステップB2cにて設定した巡行車速とステップB3aにて算出した目標車速とを比較して速度が低い方を最終的な目標車速として設定する(ステップB3b参照)。
【0079】
その後、ステップB4において車速制御演算が行なわれ、ここでは、ステップB3bにおいて設定された目標車速と、ステップB1aにおいて車速センサ17から入力された自車両の実際の走行速度(実速度)との偏差から目標加速度を算出する(ステップB4a参照)。
次に、ステップB5においては、CVT21を制御するための演算処理が行なわれる。具体的には、ステップB3bにおいて設定した目標車速とステップB4aにおいて算出した目標加速度とからCVT21における目標変速比を算出する(ステップB5a参照)。
【0080】
そして、この目標変速比に従ってCVT21を実際に制御し(ステップB5b参照)、また、車間距離設定スイッチ11によって設定された目標車間距離に応じて、CVT21の高速側変速比のクリップ値を変更する。具体的には、車間距離設定スイッチ11によって設定された目標車間距離が“短”であれば、CVT21における最も高速側の変速比Full High(例えば0.445)を僅かに低速側のFull High′(例えば、0.550)に変更する。
【0081】
その後、ステップB6において、エンジン22を制御するための演算処理が行なわれ、具体的には、ステップB3bにおいて設定された目標車速とステップB4aにおいて算出された目標加速度とに基づき、CVT21における実際の変速比(実変速比)に応じた目標アクセル開度を算出して、エンジン22を制御(即ち、通常時の制御)を実行し(ステップB6a参照)、もし、算出された目標アクセル開度が0%よりも大きい場合にはリターンする(ステップB6b〜ステップB6dをスキップしてリターンへ至る)。
【0082】
一方、算出された目標アクセル開度が0%である場合には、燃料カット制御手段18によりエンジン22への燃料カット信号が出力されるとともに、エンジン負荷を大きくして目標負荷トルクを得ることができるような目標スロットル開度が第7マップ45によって算出される。そして、この目標スロットル開度が第8マップ46によって目標アクセル開度に変換され、セレクタ43によって前記目標アクセル開度がスロットル制御信号として選択されてスロットルアクチュエータに出力されることによって、スロットル弁が目標アクセル開度となるように制御される(ステップB6b,B6c,B6dを経てリターンへ至る)。
【0083】
上述の作用により、本変形例によっても、強力なエンジンブレーキ力を得ることが可能となり、オートクルーズ装置や車間距離制御装置などを用いて先行車に対して所定の距離を保持して走行する場合に、先行車両の減速に伴う自車両の制動動作を確実且つスムーズに実行することが可能となる。
また、強力なエンジンブレーキ力を適切に使用することで、自動変速機における変速比のロー側への変動量を適切に抑制することが可能となるので、変速比の上昇に伴って増大するエンジンノイズも大幅に抑制することが可能となる。
【0084】
なお、本発明は上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
例えば、ECU1内の目標車間距離設定手段7は、ドライバによって操作される車間距離設定スイッチ11により目標車間距離を設定する構成となっているが、ITS技術が適用された道路設備より受信する車間距離指示信号に基づいて自動的に目標車間距離が設定される構成としても良い。なお、この場合、図示しない信号受信部が車両に搭載されることになる。
【0085】
また、上述の実施形態においては、図4に示すように、変速比制御範囲変更手段9による変速比制御範囲の下限値変更量は、目標車速度(V1〜V6)が上昇するにしたがって大きくなるように設定されているが、いずれの目標速度においても下限値変更量が一定となるように設定しても良い。
また、図4に示す第1マップ38Bにおいては、各目標速度(V1〜V6)毎に設定された変速比において、Full HighからFull High′への変更量が、それぞれ燃費低下率が3%程度になるように設定しているが、車両に要求される運転レスポンス性や先行車両に対する追従性に応じて、Full HighからFull High′への変更量は適宜変更可能である。
【0086】
また、上述の実施形態および変形例においては、自動変速機21としてCVT適用した場合を示したがCVTに限定するものではなく、例えば、遊星歯車式の自動変速機を適用することも可能である。
また、上述の実施形態およびその変形例に係るエンジンブレーキ力制御装においては、図8や図11の制御フローに示すように、CVT制御演算ステップを行なった後でエンジン制御演算ステップを行なうように構成されているが、エンジン制御演算ステップを実行した後にCVT制御演算ステップを実行するように構成してもよい。
【0087】
これにより、最大エンジンブレーキ力による減速制御演算を行ない、その後、この最大エンジンブレーキ力によっても目標減速度(目標負荷トルク)を達成できない場合にのみCVT制御演算を実行し、これらの演算結果に基づいてエンジンおよびCVTを制御することができるので、CVTの変速制御の演算負荷を抑制するとともに、変速制御動作の回数も抑制することが可能となり、更なるドライブフィールの向上に寄与することができる。
【0088】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のエンジンブレーキ力制御装置によれば、車両のエンジンブレーキ力を効果的に高めることが可能となる。
つまり、エンジンを燃料カット運転し、さらに、エンジンブレーキ力(エンジン負荷)を増大させるのに適した目標スロットル開度を算出して、実際にスロットル弁の開度を目標スロットル開度とすることができるので、的確に強力なエンジンブレーキ力を得ることができる(請求項1)。
【0089】
また、走行中の車両が必要とする減速度である目標減速度に応じて、燃料カット中のエンジンにおけるスロットル弁の開度を自在に設定できるので、強力なエンジンブレーキ力を、車両の走行状態に応じたエンジンブレーキ力を自由に設定することが可能となり、きめ細やかな減速制御を実行することができる(請求項2)。
【0090】
また、走行中の車両が必要とする目標トルクに応じて、燃料カット中のエンジンのスロットル開度を設定できるので、強力なエンジンブレーキ力を、車両の走行状態に応じたエンジンブレーキ力を自由に設定することが可能となり、きめ細やかな減速制御を実行することができる(請求項3)。
また、クルーズコントロールによる定速走行時や先行車両への追従走行などの自動運転走行を行なっている場合に、エンジンの燃料カット運転を実行するとともに、エンジンブレーキ力を増大するのに適した目標スロットル開度を算出して、実際にスロットル弁の開度を目標スロットル開度とすることができるので、強力なエンジンブレーキ力を得ることができる。また、走行中の車両が必要とする減速度である目標減速度に応じて、燃料カット中のエンジンのスロットル開度を自在に設定できるので、強力なエンジンブレーキ力を、車両の減速状態に応じて自由に設定し、きめ細やかな減速制御を行なうことが可能となる(請求項4)。
【0091】
また、クルーズコントロールによる定速走行時や先行車両への追従走行などの自動運転走行を行なっている場合に、エンジンの燃料カット運転を実行するとともに、エンジンブレーキ力を増大するのに適した目標スロットル開度を算出して、実際にスロットル弁の開度を目標スロットル開度とすることができるので、強力なエンジンブレーキ力を得ることができる。また、この時、走行中の車両が必要とする負荷トルク(目標トルク)に応じて、燃料カット中のエンジンのスロットル開度を自在に設定できるので、強力なエンジンブレーキ力を、車両の走行状態に応じて自由に設定し、きめ細やかな減速制御を行なうことが可能となる(請求項5)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置の制御装置の構成を示す模式的なブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置の制御内容を示す模式的な制御ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置による自動変速機制御に用いられる制御マップである。
【図4】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置による自動変速機制御に用いられる制御マップである。
【図5】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置によるスロットル弁制御に用いられる制御マップである。
【図6】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置によるスロットル弁制御に用いられる制御マップである。
【図7】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置におけるエンジン制御演算部の要部を示す模式的なブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置における制御フローである。
【図9】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置の変形例における制御内容を示す模式的な制御ブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置の変形例におけるエンジン制御演算部の要部を示す模式的なブロック図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置の変形例における制御フローである。
【図12】燃料カット運転中のエンジンにおいて、エンジン回転数とスロットル開度とに応じて負荷トルクが変化する現象を示すグラフである。
【符号の説明】
1,1′ ECU
5 加減速度制御演算部(目標減速度算出手段)
10,10′ スロットルアクチュエータ作動制御手段(作動制御手段)
18 燃料カット制御手段
22 エンジン
23 目標トルク算出手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンブレーキ力制御装置に関し、特に、先行車に対して所定の距離を保持して走行可能な車両に用いて好適のエンジンブレーキ力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の減速時にインジェクタへの燃料供給を停止(いわゆる燃料カット)することによって燃費を向上させると共に、スロットル弁を全閉として、エンジンにおけるポンピングロスを増大させることによってエンジンブレーキ効果を向上させる技術が知られている。
【0003】
しかし、このような手法では運転者が意図する細やかなエンジンブレーキ効果と実際のエンジンブレーキ効果とのアンマッチが生ずるなどの課題が生じたため、燃料カットを行なっている場合であってもエンジンへの吸気流量を調整することで、運転者の走行意図に応じたエンジンブレーキ効果を確保することができるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
具体的には、上記特許文献1には、エンジンブレーキ力が強すぎる場合には、エンジンブレーキ力が弱くなるように、スロットル弁を開くようにした技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−150858号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年ではオートクルーズ装置(定速走行装置)や、オートクルーズ装置を発展させた自動追従装置や車間距離制御装置などが種々提案または開発されている。
そして、このような装置では、基本的にはドライバはステアリング操作のみを行ない、アクセルペダルから足を放した状態で運転する。この時、スロットル弁の開度は電子制御装置等により制御される。
【0007】
このような装置を用いて、例えば先行車との車間距離を一定に保持した追従走行を行なう場合、先行車との車間距離が短くなると速やかに減速を行なう必要があるが、この場合にも、〔従来の技術〕の欄でも説明したとおり、燃料カットを行なうとともにスロットル開度を全閉として、エンジンにおけるポンピングロスを増大させ、大きなエンジンブレーキ力を得ることが考えられる。
【0008】
しかし、大きなエンジンブレーキ力を得るために燃料カット動作とスロットル全閉動作を同時に行なった場合よりも、ある所定エンジン回転数以上においては、スロットルを開いた方が大きなエンジンブレーキ力が得られるという現象が存在する。
この現象について、図12を用いて説明する。図12に示すグラフの縦軸は燃料カット中のエンジンの負荷トルク、つまり、エンジンブレーキ力であって、横軸はエンジン回転数NEである。このグラフより、所定のエンジン回転数NE0以下の回転数においては、スロットル弁を開いた場合よりも、スロットル弁を閉めた場合のほうが負荷トルクは高くなっていることが示されている。
【0009】
しかし、この図12のグラフによれば、エンジン回転数NE0よりも大きな回転数においては、スロットル弁を閉めておくよりも、むしろ開いた方が高いエンジンブレーキ力を得られることがわかる。
これは、エンジン回転数NE0に達するまでの回転域(低回転域)におけるエンジンブレーキ力はエンジンのポンピングロス(吸気行程によるエンジン負荷)が大部分を占めており、スロットル弁を開いておくよりも閉じておく方が大きなエンジンブレーキ力が得られるのに対し、エンジン回転数NE0以上の高回転領域内でスロットル弁を開くと、上述のポンピングロスだけではなく、シリンダ内の空気を圧縮する際に生じる圧縮負荷(圧縮ロス)や、シリンダ内の空気を排出する際に生じる排気負荷(排気ロス)が大きく発生することに起因する。つまり、高回転領域においてスロットル弁を開くことで、ポンピングロス,圧縮ロス,排気ロスを合計したエンジン負荷が総合的に高まるのである。
【0010】
ところで、特許文献1の〔0026〕段落には、燃料カット中にスロットル弁を調整しエンジンブレーキ効果を得る旨が記載されている。しかし、実際には、この特許文献1の技術はエンジンのポンピングロスにのみ着目した手法であることが〔0080〕段落や図8に示され、さらに、〔0084〕段落や〔0093〕段落にはスロットル弁を開放することでエンジンのポンピングロスを低減させることが明記されている。つまり、特許文献1の技術は、燃料カット動作中にスロットル弁を開くことによってエンジンブレーキ力を減ずる技術となっている。
【0011】
このため、上述したような自動追従走行が可能な車両に対して特許文献1の技術を適用しても、十分なエンジンブレーキ力を確保することができず、不足したエンジンブレーキ力をブレーキアクチュエータの作動によって補うなどの制御が必要となってしまう事態が生じる。
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、車両のエンジンブレーキ力を効果的に高めることができるエンジンブレーキ力制御装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる請求項1記載のエンジンブレーキ力制御装置は、エンジンのスロットル弁に接続され該スロットル弁の開度を変更可能なスロットルアクチュエータと、該スロットルアクチュエータの作動を制御する作動制御手段と、該車両の減速走行時に燃料カットを行なう燃料カット制御手段とをそなえ、該作動制御手段は、該燃料カット制御手段による燃料カット制御の実行中には、該エンジンの負荷が大きくなる目標スロットル開度を算出するとともに、該スロットル弁が該目標スロットル開度となるように該スロットルアクチュエータを制御することを特徴としている。
【0013】
これにより、エンジンを燃料カット運転し、さらに、エンジンブレーキ力を増大させるのに適した目標スロットル開度を算出して、実際にスロットル弁の開度を目標スロットル開度とすることができる。
また、請求項2記載のエンジンブレーキ力制御装置は、上記請求項1記載の構成において、該車両の目標減速度を算出する目標減速度算出手段をそなえ、該燃料カット制御時における目標スロットル開度が、該目標減速度算出手段で算出された目標減速度に応じて設定されることを特徴としている。
【0014】
これにより、走行中の車両が必要とする減速度である目標減速度に応じて、燃料カット中のエンジンのスロットル開度を設定できる。
また、請求項3記載のエンジンブレーキ力制御装置は、上記請求項1記載の構成において、該車両の目標トルクを算出する目標トルク算出手段をそなえ、該燃料カット制御時における目標スロットル開度が、該目標トルク算出手段で算出された目標トルクに基づいて設定されることを特徴としている。
【0015】
これにより、走行中の車両が必要とする目標トルクに応じて、燃料カット中のエンジンのスロットル開度を設定できる。
また、請求項4記載のエンジンブレーキ力制御装置は、ドライバのアクセル操作やブレーキ操作によらず一定の速度で走行可能、又は先行車に対して所定の距離を保持して走行可能に構成された車両のエンジンブレーキ力制御装置であって、該車両のスロットル弁に接続され該スロットル弁の開度を変更可能なスロットルアクチュエータと、該スロットルアクチュエータの作動を制御する作動制御手段と、該車両の目標減速度を算出する目標減速度算出手段と、該車両の減速走行時に燃料カットを行なう燃料カット制御手段とをそなえ、該作動制御手段は、該燃料カット制御手段による燃料カット制御の実行中には、該目標減速度算出手段で算出された目標減速度となるような目標スロットル開度を求めるとともに、該スロットル弁が該目標スロットル開度となるように該スロットルアクチュエータを制御することを特徴としている。
【0016】
これにより、クルーズコントロールによる定速走行時や先行車両への追従走行などの自動運転走行を行なっている場合に、エンジンの燃料カット運転を実行するとともに、エンジンブレーキ力を増大させるのに適した目標スロットル開度を算出して、実際にスロットル弁の開度を目標スロットル開度とすることができる。この時、走行中の車両が必要とする減速度である目標減速度に応じて、燃料カット中のエンジンのスロットル開度を設定できる。
【0017】
また、請求項5記載のエンジンブレーキ力制御装置は、ドライバのアクセル操作やブレーキ操作によらず一定の速度で走行可能、又は先行車に対して所定の距離を保持して走行可能に構成された車両のエンジンブレーキ力制御装置であって、該車両のスロットル弁に接続され該スロットル弁の開度を変更可能なスロットルアクチュエータと、該スロットルアクチュエータの作動を制御する作動制御手段と、該車両の目標トルクを算出する目標トルク算出手段と、該車両の減速走行時に燃料カットを行なう燃料カット制御手段とをそなえ、該作動制御手段は、該燃料カット制御手段による燃料カット制御の実行中には、該目標トルク算出手段で算出された目標トルクとなるような目標スロットル開度を求めるとともに、該スロットル弁が該目標スロットル開度となるように該スロットルアクチュエータを制御することを特徴としている。
【0018】
これにより、クルーズコントロールによる定速走行時や先行車両への追従走行などの自動運転走行を行なっている場合に、エンジンの燃料カット運転を実行するとともに、エンジンブレーキ力を増大すべく最適な目標スロットル開度を算出して、実際にスロットル弁の開度を目標スロットル開度とすることができる。この時、走行中の車両が必要とする負荷トルクに応じて、燃料カット中のエンジンのスロットル開度を設定できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかるエンジンブレーキ力制御装置について図1〜図8を用いて説明すると、図1はその要部構成を示す模式的なブロック図、図2はその要部を示す模式的な制御ブロック図、図3はその自動変速機制御に用いられる第1マップの一例を示す図、図4はその自動変速機制御に用いられる第1マップの他の例を示す図、図5はその電子スロットル弁制御に用いられる第2マップを示す図、図6はその電子スロットル弁制御に用いられる第3マップを示す図、図7はそのエンジン制御演算部を示す模式的なブロック図、そして、図8はその動作フローを示す図である。
【0020】
本発明が適用される車両には、図1に示すように、主にECU1、CVT(自動変速機)21、エンジン22がそなえられ、このECU1には車間距離設定スイッチ11,メインスイッチ12,セットスイッチ13,レジュームスイッチ14,キャンセルスイッチ15,レーザレーダ(実車距離検出手段・相対速度検出手段)16,車速センサ(車速検出手段)17及びエンジン回転数センサ(エンジン回転数検出手段;図示略)が接続され、更に、このECU1には、上記のCVT21とエンジン22とが接続されている。
【0021】
また、この車両は、アクセルペダルとスロットル弁とが電気的に接続された、いわゆるドライブバイワイヤ機構をそなえている。このドライブバイワイヤ機構は、スロットル弁(図示略)と、スロットルアクチュエータ(図示略)とを有しており、スロットル弁の開度は、このスロットル弁に付設された上記アクチュエータにより変更されるようになっている。また、このスロットルアクチュエータは、ECU1のスロットルアクチュエータ制御部10(後述する)によりその作動が制御されるようになっている。
【0022】
ECU1の内部には、設定車速演算部2,CVT制御演算部(目標変速比設定手段)3,目標車速演算部(目標車速設定手段)4,加減速制御演算部(目標減速度算出手段)5及びエンジン制御演算部6が設けられている。また、設定車速演算部2内には目標車間距離設定手段7が設けられると共に、エンジン制御演算部6内には、スロットルアクチュエータ制御部(作動制御手段)10、燃料カット制御手段18、そして目標アクセル開度算出手段20が設けられている。なお、ECU1内におけるそれぞれの構成要素はソフトウェアによって実現されているが、電子回路として構成しても良い。
【0023】
ここで、設定車速演算部2は、車間距離設定スイッチ11,メインスイッチ12,セットスイッチ13,レジュームスイッチ14,キャンセルスイッチ15からの信号により車速(巡航車速)を設定し、この巡航車速で車両が走行できるようにするものであって、いわゆる、クルーズコントロールシステムや車間距離制御装置のコントローラに相当するものである。なお、これらのメインスイッチ12,セットスイッチ13,レジュームスイッチ14,キャンセルスイッチ15は、一般的なクルーズコントロールや車間距離制御装置における機能と同様のスイッチであるので詳しい説明は省略する。
【0024】
目標車速演算部4は、車両前方に設けられたレーザレーダ16によって測定された先行車両と自車両との相対速度と、車速センサ17によって計測された自車両の走行速度とに基づき、先行車両の絶対速度(以後、単に“速度”という場合は“相対速度”と明記しない限り“絶対速度”の意)を算出する先行車速算出手段8を有している。
【0025】
そして、この目標車速演算部4では、レーザレーダ16によって測定された先行車両と自車両との間の実際の車間距離(実車間距離)と、上記の先行車速算出手段8で算出した先行車速とに基づき自車両の目標車速を算出し、さらに、設定車速演算部2によって算出された設定車速と、上記の目標車速との大きさを比較し、低い方を最終的な目標車速として設定するようになっている。
【0026】
加減速制御演算部5は、車速センサ17によって算出された自車速と、上記の目標車速演算部4によって設定された目標車速とに基づき、自車両に対してどのような加速もしくは減速をさせる必要があるかを判断して目標加速度を算出して、エンジン制御演算部6へ出力するものである。
また、エンジン制御演算部6は、後述するCVT制御演算部3によって設定されたCVT21の目標変速比と、目標車速演算部4によって設定された目標車速と、加減速制御演算部5によって設定された目標加速度とに基づいて目標スロットル開度(目標アクセル開度)を算出し、この目標スロットル開度となるようにエンジン22のスロットル弁(図示略)を制御するものである。なお、このエンジン制御部6の詳細な機能については後で詳しく説明する。
【0027】
目標車間距離設定手段7は、車間距離設定スイッチ11の操作に基づいて、先行車両と自車両との車間距離を選択し、目標車間距離として設定するものである。なお、本実施形態においては、“長”“中”“短”のいずれかに設定するようになっている。
CVT制御演算部(目標変速比設定手段)3は、設定車速演算部2によって設定された目標巡航車速と、目標車速演算部4によって設定された目標車速と、目標車間距離設定手段7によって設定された目標車間距離とに基づいて、CVT21に対する目標変速比を設定し、実際にCVT21の変速比を目標変速比になるように制御するものである。
【0028】
さらに、このCVT制御演算部3には変速比制御範囲変更手段9がそなえられており、この変速比制御範囲変更手段9は、目標車間距離設定手段7によって設定された目標車間距離に応じて、CVT制御演算部3によるCVT21の変速比の制御範囲(変速比制御範囲)における下限値(すなわち、最も高速側の変速比)を変更するものである。
【0029】
ここで、変速比制御範囲変更手段9による制御内容を、図3に示す第1マップ38Aを用いて説明すると、この第1マップ38Aは縦軸に目標変速比(R)が設定されるとともに、横軸に目標加速度(GT)が設定されており、目標車速(V1〜V6)毎に目標変速比(R)と目標加速度(GT)との関係が定義されている。
【0030】
また、図3において、“Full Low”として示される変速比は変速比制御範囲における上限値であって、これはCVT21の変速制御範囲における最も低速側の変速比である。一方、“Full High”として示される変速比はCVT21の変速比制御範囲における下限値であって、最も高速側の変速比である。
【0031】
そして、上述の変速比制御範囲変更手段9は、以下の条件(1)及び(2)のうち少なくとも(1)を満たした場合には、Full Highとして設定された変速比制御範囲の下限値を低速側のFull High′に変更するようになっている。
(1)車間距離設定スイッチ11および目標車間距離設定手段7によって 設定された目標車間距離が“短”である場合。
【0032】
(2)レーザレーダ16によって先行車両と自車両との車間距離が所定距 離より短いことが検出された場合。
つまり、上述のような条件設定に基づく制御によれば、Full Highにまで達していない変速比域内においては、自動変速機21は通常の動作マップに沿って制御されるので、燃費を良好な状態でエンジン22を運転することが可能となり、一方、最も高速側の変速比(Full High)が、通常走行時よりも低速側(Full High′)にクリップされるので、エンジンブレーキの効きを高めることができ、例えば、短い車間距離で先行車に追従走行する場合などの安全性を向上させることができる。また、従来と同程度の安全性を確保する場合には、先行車両と自車両との車間距離をさらに短く設定することが可能となる。
【0033】
なお、図3に示す第1マップ38A以外にも、例えば、図4に示す第1マップ38Bを用いて変速比制御範囲を変更するようにしてもよい。この第1マップ38Bにおいても、図3において示した第1マップ38Aと同様に、縦軸に目標変速比(R)が設定されるとともに、横軸に目標加速度(GT)が設定され、目標車速(V1〜V6)毎に目標変速比(R)と目標加速度(GT)との関係が定義されている。また、この図4の第1マップ38Bにおいては、目標車速(V1〜V6)毎にFull High(R1〜R6)が設定されている。
【0034】
そして、加減速制御演算部5によって算出された目標加速度(GT)がマイナス(GT<0)である場合は、第1マップ38B内の一点鎖線に沿ってCVT21は制御され、また、車両の目標加速度が0近傍であるとともに、目標車間距離設定手段7によって設定された目標車間距離が“短”である場合には、CVT制御演算部3内の変速比制御範囲変更手段9によってFull High(R1〜R6)として設定された変速比制御範囲の下限値が低速側のFull High′ (R1′〜R6 ′)へ変更されるようになっている。
【0035】
なお、図4に示すように、変速比制御範囲変更手段9による変速比制御範囲の下限値変更量(つまり、Full HighとFull High′との差分)は、目標速度(V1〜V6)が上昇するにしたがって大きくなるように設定されている。これは、下限値変更量を大きくしても、目標速度が高い場合にはエンジン22の燃費低下率が小さいことに起因している。なお、この図4に示す第1第1マップ38Bにおいては、各目標速度(V1〜V6)毎に設定されたFull HighからFull High′への変更量を、それぞれエンジン22の燃費低下率が3%程度になるように設定している。
【0036】
次に、エンジン制御演算部6について詳しく説明する。
エンジン制御演算部6には、図1に示すように、スロットルアクチュエータ制御部10、燃料カット制御手段18及び、目標アクセル開度算出手段20が設けられている。
ここで、スロットルアクチュエータ制御部10には、図7に示すように第4マップ(第1目標アクセル開度算出マップ)44と、第5マップ(リミッタマップ)36と、セレクタ43とが設けられ、また、燃料カット制御手段18には、第6マップ(燃料カット制御マップ)37が設けられ、そして、目標アクセル開度算出手段20には図5及び図6に示す第2マップ39と第3マップ40とが設けられている。
【0037】
そして、図2に示すように、目標アクセル開度算出手段20の第2マップ39は、加減速制御演算部5によって算出された目標加速度とCVT21の実変速比とに基づいて目標アクセル開度を算出し、また、第3マップ40は、目標車速演算部4によって設定された目標車速とCVT21の実変速比とに基づいて目標アクセル開度を算出するようになっている。そして、その後、第2マップ39による算出結果と第3マップ40による算出結果とが加算されて、燃料カット制御手段18の第6マップ37(後述する)に出力されるとともに、スロットルアクチュエータ作動制御手段10の第5マップ36に出力されるようになっている。
【0038】
第5マップ36は、図7に示すように、入力された目標アクセル開度を0〜100%の間の値に制限した後に、通常時(つまり、燃料カットOFF時)の目標アクセル開度として、セレクタ43へ出力するようになっている。これは目標アクセル開度の計算中に、その計算結果が何らかの原因で0%未満または100%以上となる場合が想定されるためであり、このような事態を回避すべく上記のようなリミッタマップ36を設けているのである。
【0039】
スロットルアクチュエータ制御部10の第4マップ44は、インジェクタ(図示略)によって実現される燃料噴射手段の燃料噴射停止(以後、燃料カットという)時における目標アクセル開度を設定するものであり、横軸に目標加速度が設定され、エンジン22の回転数(NE1〜NE5)毎に燃料カット時の目標アクセル開度の特性が記憶されている。
【0040】
そして、この図7に示す第4マップ44により、エンジン22の回転数(NEと加減速制御演算部5によって算出された目標加速度(GT)とから、燃料カット運転中の目標アクセル開度(ATFC)が算出され、セレクタ43へ出力されるようになっている。この目標アクセル開度(ATFC)は目標加速度(GT)が小さい程(つまり、目標減速度が大きい程)大きくなるような特性に設定されている。
【0041】
なお、このように、燃料カット中に、あえて目標アクセル開度(ATFC)を設定し、スロットル弁を開く制御を行なうのは、主に以下の理由による。つまり、〔従来の技術〕の欄でも説明したとおり、車両減速時に燃料カットを行なうとともにスロットル弁を全閉とすると、エンジンにおけるポンピングロスが増大し、大きなエンジンブレーキ力を得ることができるのが一般的である。
【0042】
しかし、より大きいエンジンブレーキ力を得るために燃料カット動作とスロットル全閉動作を同時に行なうよりも、ある所定エンジン回転数以上においては、スロットル弁を開いた方が大きなエンジンブレーキ力が得られるという現象が存在する。
この現象について、再度、図12を用いて簡単に説明すると、図12に示すグラフには、所定のエンジン回転数NE0以下の回転数においては、スロットルを開いた場合よりも、スロットルを閉じておいたほうが負荷トルクは高くなっていることが示されている。しかし、エンジン回転数NE0よりも大きな回転数においては、スロットル弁を閉じておくよりも、むしろ開いた方が高いエンジンブレーキ力を得ることができることがわかる。
【0043】
これは、エンジン回転数NE0に達するまでの回転域(低回転域)におけるエンジンブレーキ力はエンジンのポンピングロスが大部分を占めているのに対し、エンジン回転数NE0以上のエンジン回転数でスロットル弁を開放した場合には、ポンピングロスだけではなく、圧縮行程で生じる圧縮ロスや、排気行程で生じる排気ロスが大きく発生し、これらの負荷が総合的に高まることでスロットル弁閉鎖時よりも開放時のエンジンブレーキ力の方が大きくなるのである。
【0044】
そこで、本願発明ではこの現象に着目し、燃料カット運転時において、目標減速度を得られるようなエンジン負荷トルク(エンジンブレーキ力)となる目標スロットル開度を算出し、この目標スロットル開度となるようにスロットル弁の開度を制御するようになっている。
次に、燃料カット制御手段18について簡単に説明すると、この燃料カット制御手段18は、燃料カット制御を行なうか否かを判定するものであって、図7に示す第6マップ37が設けられている、この第6マップ37は、目標アクセル開度算出手段20によって算出された目標アクセル開度(ACP)に基づいて燃料カット信号をエンジン22のインジェクタに対して送信するものであり、目標アクセル開度(ACP)がゼロである場合にはエンジン22の燃料カット運転を実行するべく燃料カット信号を出力するようになっている。なお、燃料カット信号はエンジン22の燃料噴射手段(インジェクタ)に出力されると共に、スロットルアクチュエータ制御部10のセレクタ43にも出力されるようになっている。
【0045】
このセレクタ43は、燃料カット制御手段18からの燃料カット信号に基づき切り替えられるON−OFFスイッチであって、通常はOFFとなっているが、燃料カット信号が入力されると、燃料カット運転が開始されたと認識してONに切り替えられるようになっている。
そして、燃料カットが行なわれている場合、セレクタ43は、第4マップ44によって算出された目標アクセル開度(ATFC)をスロットル制御信号として設定し、スロットルアクチュエータへ送信することによってエンジン22のスロットル開度を制御するようになっている。一方、燃料カットが行なわれていない場合、セレクタ43は燃料カット制御手段18から燃料カット信号を受信しないので、セレクタ43はエンジン22が通常運転中であると認識してOFFとなり、第5マップ36から入力された通常運転時用の目標アクセル開度(ATN)をスロットル制御信号として選択し、エンジン22のスロットルアクチュエータへ送信して、スロットル開度を制御するようになっている。
【0046】
本発明のエンジンブレーキ力制御装置は上述のように構成されているので、図2に示す本実施形態における制御ブロック図を用いてその作用を説明すると、まず、自車両の車速が車速センサ17によって検出され、この検出結果信号が目標車速演算部4内の先行車速算出手段8及び加減速制御演算部5にそれぞれ入力される。
【0047】
また、レーザレーダ16により、自車両と先行車両との相対速度が検出され、この検出結果信号が先行車速算出手段8へ入力される。そして、先行車速算出手段8によって相対速度と自車両速度とが加算されることにより、先行車速が算出される。
また、レーザレーダ16により、自車両と先行車両との実車間距離も検出され、この検出結果信号がCVT制御演算部3へ入力されると共に、目標車速演算部4に入力される。そして、実車間距離に所定ゲインKLを乗じたものと先行車速に所定ゲインKPを乗じたものとを加算することにより目標車速が算出され、目標車速演算部4のセレクタ35へ伝達される。そして、このセレクタ35によって、設定車速演算部2によって設定された巡航車速(設定車速)と前記目標車速とのうち、どちらか低い方が最終的な目標車速として選択されて、加減速制御演算部5とCVT制御演算部3とエンジン制御演算部6とに出力される。
【0048】
そして、加減速制御演算部5において、セレクタ35によって設定された目標速度と自車両の実車速との偏差が算出され、この偏差にゲインKVを乗じることで目標加速度が算出される。そして、この目標加速度がCVT制御演算部3とエンジン制御演算部6とに入力される。
ここで、エンジン制御演算部6の目標アクセル開度算出手段20には、通常時(燃料カットOFF時)の目標アクセル開度を算出する第2マップ39及び第3マップ40が設けられている。この第2マップ39は、図5に示すように、縦軸に目標アクセル開度(ACP)が設定されるとともに、横軸に目標加速度(GT)が設定されており、目標変速比(R1〜R4,R4′)に応じて目標アクセル開度(ACP)が設定されるようになっている。ここで、目標変速比R1はFull Lowであり、一方、目標変速比R4はFull Highである。また、目標変速比R4′はFull High′であって、変速比制御範囲変更手段9によって変速比範囲下限値であるFull High(ここでは目標変速比R4)を低速側にクリップした場合の目標変速比である。なお、本実施形態における自動変速機21はCVTであるので各目標変速比の間(例えば、目標変速比R1とR2との間や、R2とR3の間)にも無段階で変速比が存在するが、ここでは、目標アクセル開度(ACP)と、目標加速度(GT)と、目標変速比との関係を説明するため、模式的に段階的な目標変速比(R1〜R4,R4′)を示して説明する。
【0049】
この第2マップ39においては、目標加速度(GT)及び変速比に応じた目標スロットル開度(ATP)が設定されている。
次に、第3マップ40について説明すると、図6に示すように、この第3マップ40には、縦軸に目標アクセル開度(ACP)が設定されるとともに、横軸に目標車速(V)が設定されており、目標変速比(R1〜R4,R4′)に応じて目標アクセル開度(ACP)が設定されるようになっている。
【0050】
なお、図2に示すKLおよびKPは目標車間距離が短く設定されている場合には大きく設定され、一方、目標車間距離が長く設定されている場合には小さく設定されるゲインである。
そして、上述のエンジン制御演算部6の第2マップ39に対して、加減速制御演算部5より目標加速度(目標減速度)が入力されるとともに、CVT21より実変速比が入力される。一方、第3マップ40には、目標車速演算部4より目標車速が入力されるとともに、CVT21より実変速比が入力される。そして、第2マップ39の算出結果と第3マップ40の算出結果とが加算されることによって、通常時(燃料カット中ではない時)の目標アクセル開度が算出され、スロットルアクチュエータ制御部10の第5マップ36へ出力されるとともに、燃料カット制御手段18の第6マップ37へ出力される。この時、第6マップ37へ入力された目標アクセル開度がゼロである場合には、燃料カット信号がエンジン22に対して出力される。
【0051】
また、図7で示すように、第5マップ36に入力された目標アクセル開度(ACP)はその値が0〜100%の間に収まるように制限され、通常時用の目標アクセル開度(ATN)としてセレクタ43へ出力される。
そして、スロットルアクチュエータ制御部10の第4マップ44には、エンジン回転数(NE)と目標減速度(GT)とが入力され、燃料カット時の目標アクセル開度(ATFC)が算出されて、セレクタ43へと出力される。
【0052】
次に、このセレクタ43において、第4マップ44によって算出された燃料カット時の目標アクセル開度(ATFC)と、第5マップ36によって算出された通常時の目標アクセル開度(ATN)とのどちらか一方が、エンジン22が燃料カット運転中であるか否かに応じて選択される。つまり、燃料カット制御手段18からエンジン22のインジェクタに対して燃料カット信号が出力されている場合(燃料カット中)は、燃料カット中の目標アクセル開度(ATFC)がスロットル制御信号としてセレクタ43によって選択され、エンジン22のスロットルアクチュエータに対して出力される。一方、燃料カット制御手段18によって燃料カット信号が出力されていない場合(通常の場合)は、セレクタ43によって通常時の目標アクセル開度(ATN)がスロットル制御信号として選択され、エンジン22のスロットルアクチュエータに対して出力される。
【0053】
次に、図8の動作フローに基づき、本発明の作用を更に説明すると、まず、ステップA1においてECU1への信号入力処理が行なわれる。具体的には、図1に示す車間距離設定スイッチ11,メインスイッチ12,セットスイッチ13,レジュームスイッチ14,キャンセルスイッチ15のそれぞれからECU1へ制御信号が入力されるとともに、レーザレーダ16,車速センサ17,エンジン回転数センサのそれぞれから検出信号がECU1へ入力される(ステップA1a参照)。
【0054】
そして、ステップA2では巡航車速(設定車速)の演算処理が行なわれる。具体的には、まず、自車両と先行車両との車間距離を制御しながら自動的に走行しているか否かが判断され(ステップA2a参照)、当該制御中でなければNoルートを辿ってリターンし、一方、制御中であればYesルートを辿ってステップA2bへ進む。そして、ステップA2bでは目標車間距離(本実施形態においては“短”“中”“長”のうちの1つ)が設定され、その後、ステップA2cにおいて、ドライバの所望する巡行車速が設定される。なお、ここで巡航車速とは、前方に先行車両が存在しない状態で車両を巡航させる場合にドライバが所望する車速をいう。
【0055】
次に、ステップA3では目標車速演算が行なわれる。これは、自車両と先行車両との車間距離をレーザレーダ16によって検出すると共に、レーザレーダ16によって自車両と先行車両との相対速度を検出し、これらの、車間距離と相対速度とに基づき、目標車速を算出し(ステップA3a参照)、その後、上述のステップA2cにて設定した巡行車速とステップA3aにて算出した目標車速とを比較して速度が低い方を最終的な目標車速として設定する(ステップA3b参照)。
【0056】
その後、ステップA4において車速制御演算が行なわれ、ここでは、ステップA3bにおいて設定された目標車速と、ステップA1aにおいて車速センサ17から入力された自車両の実際の走行速度(実速度)との偏差から目標加速度を算出する(ステップA4a参照)。
次に、ステップA5においては、CVT21を制御するための演算処理が行なわれる。具体的には、ステップA3bにおいて設定した目標車速とステップA4aにおいて算出した目標加速度とからCVT21における目標変速比を算出する(ステップA5a参照)。
【0057】
そして、この目標変速比に従ってCVT21を実際に制御し(ステップA5b参照)、また、車間距離設定スイッチ11によって設定された目標車間距離に応じて、CVT21の高速側変速比のクリップ値を変更する。具体的には、車間距離設定スイッチ11によって設定された目標車間距離が“短”であれば、CVT21における最も高速側の変速比Full High(例えば0.445)を僅かに低速側のFull High′(例えば、0.550)に変更する。
【0058】
その後、ステップA6において、エンジン22を制御するための演算処理が行なわれ、具体的には、ステップA3bにおいて設定された目標車速とステップA4aにおいて算出された目標加速度とに基づき、CVT21における実際の変速比(実変速比)に応じた目標アクセル開度を算出して、エンジン22を制御(即ち、通常時の制御)を実行し(ステップA6a参照)、もし、算出された目標アクセル開度が0%よりも大きい場合にはリターンする(ステップA6bとステップA6cとをスキップしてリターンへ至る)。
【0059】
一方、算出された目標アクセル開度が0%である場合には、燃料カット制御手段18により、燃料カット信号がエンジン22のインジェクタに対して出力されると共に、目標アクセル開度算出手段20により、所定のエンジン負荷(目標減速度)を得るための目標アクセル開度(目標スロットル開度)が算出され、この目標アクセル開度(目標スロットル開度)となるように作動制御手段10によりスロットルアクチュエータが制御される(ステップA6bとステップA6cとを経てリターンへ至る)。
【0060】
これにより、燃料カット運転中に強力なエンジンブレーキ力を得ることができるので、例えば、オートクルーズ装置や車間距離制御装置などを用いて、先行車に対して所定の距離を保持して走行する場合に、先行車両の減速に伴って自車両を確実且つスムーズに制動することが可能となる。
また、強力なエンジンブレーキ力を適切に使用することで、自動変速機における変速比のロー側への変動量を大幅に抑制することが可能となるので、変速比の上昇に伴って増大するエンジンノイズも確実に抑制することが可能となる。
【0061】
次に、上述した実施形態にかかるエンジンブレーキ力制御装置の変形例について、主に図9〜図11を用いて説明すると、図9は本変形例の模式的な制御ブロック図、図10はそのエンジン制御演算部の内部を模式的に示す構成ブロック図、図11はその制御フローである。なお、上述の実施形態の説明において用いた図1〜図9及び〔発明が解決しようとする課題〕の欄における説明において用いた図12も本変形例の説明に用いる場合がある。
【0062】
本変形例に係るエンジンブレーキ力制御装置は、基本的には上述した実施形態とほぼ同様に構成されているが、実施形態においてはエンジン制御演算部6がスロットルアクチュエータ制御部10をそなえているのに対し、本変形例においてはエンジン制御演算部6′がスロットルアクチュエータ制御部10′をそなえている点で異なり、さらに、本変形例のECU1′が目標トルクを算出する目標トルク算出手段23(図1においては図示略)をそなえている点で異なる。なお、上述した実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付すとともにその説明を省略し、以下、上述の実施形態と本変形例との間で差異のある箇所を中心に詳述する。
【0063】
まず、本変形例のECU1′内には、図1に示した上述の実施形態のECU1内の構成要素に加えて、図9に符号23で示す目標トルク算出手段が設けられている。
この目標トルク算出手段23は、加減速制御演算部5によって算出された目標加速度と、自動変速機21の実変速比にゲインKtを乗じた値とを乗算することにより、目標加速度を得るための目標トルクを算出しエンジン制御演算部6′へ出力するものである。
【0064】
また、本変形例のエンジン制御演算部6′には、スロットルアクチュエータ制御部10′と燃料カット制御手段18と目標アクセル開度算出手段20とがそなえられている。
このスロットルアクチュエータ制御部10′には、図10に示すように、第5マップ36、第7マップ(目標スロットル開度算出マップ)45、第8マップ(第2目標アクセル開度算出マップ)46及び、セレクタ43が設けられ、上記セレクタ43を介してスロットルアクチュエータに対してスロットル制御信号を出力して、スロットル弁の開度を調節するようになっている。
【0065】
ここで、第7マップ45には、目標負荷トルク(TQT1〜TQT3)毎にエンジン回転数(NE)と目標スロットル開度(THFC)との特性が記憶されており、燃料カット中の目標スロットル開度(THFC)を設定できるようになっている。具体的には、この第7マップ45に対して、目標トルク算出手段23によって算出された目標負荷トルク(TQT)と、エンジン22のエンジン回転数センサ(図示略)によって検出されたエンジン回転数(NE)とが入力されることによって、燃料カット中の目標スロットル開度(THFC)が算出され、第8マップ46へ出力されるようになっている。
【0066】
この第7マップ45には、目標負荷トルク(TQT)が大きい程、目標スロットル開度(THFC)が大きくなるような特性が設定されており、燃料カット中にあえて目標アクセル開度(THFC)を設定し、スロットル弁を開く制御を実行できるようになっている。これは、図12を用いて上述したように、エンジン回転数NE0よりも大きな回転数においては、スロットル弁を全閉としておくよりも、むしろ開放した方が大きなエンジンブレーキ力を得ることができるという現象を利用し、燃料カット中においても、エンジン負荷(エンジンブレーキ力)が増大する目標スロットル開度を算出し、この目標スロットル開度となるようにスロットル弁を制御するようになっているのである。
【0067】
一方、第8マップ46には、エンジン回転数(NE1〜NE2)毎に目標スロットル開度(THT)と燃料カット時の目標アクセル開度(ATFC)との特性が記憶されており、第7マップ45によって算出された目標スロットル開度(THFC)とエンジン回転数(NE)とに基づいて燃料カット時における目標アクセル開度(ATFC)を算出するようになっている。
【0068】
このように、燃料カット時の目標スロットル開度(THFC)を算出した後に目標アクセル開度(ATFC)へ変換し、これを最終的にスロットル制御信号としてスロットルアクチュエータへ出力する構成としているのは以下の理由による。
つまり、本変形例における車両においても、ドライブバイワイヤ機構がそなえられており、スロットルアクチュエータがアクセル開度信号に基づいてスロットル弁の開度を制御するようになっているため、第7マップ45によって目標スロットル開度(THFC)が算出されても、この目標スロットル開度(THFC)をそのままスロットル制御信号として設定し、スロットルアクチュエータへ適用することはできない。そこで、第8マップ46において目標スロットル開度(THFC)を目標アクセル開度(ATFC)に変換した後にスロットルアクチュエータへ入力することによって、スロットル弁の開度を制御する構成としている。
【0069】
また、第6マップ37は、上述の実施形態において図7を用いて説明したのと同様に、目標アクセル開度(ACP)がゼロである場合には、目標アクセル開度算出手段20によって算出された目標アクセル開度(ACP)に基づいて燃料カット信号をエンジン22のインジェクタへ出力するものである。なお、燃料カット信号はエンジン22に出力されるとともに、スロットルアクチュエータ制御部10′のセレクタ43に対しても出力されるようになっている。
【0070】
セレクタ43は、燃料カット制御手段18からの燃料カット信号に基づいて動作するON−OFFスイッチであって、燃料カット信号が入力されると、エンジン22は燃料カット運転中であると認識してONに切り替えられ、第8マップ46によって算出された燃料カット運転中用の目標アクセル開度(ATFC)をスロットル制御信号として選択し、エンジン22のスロットルアクチュエータへ出力してスロットル弁の開度を制御するようになっている。
【0071】
一方、燃料カット制御手段18から燃料カット信号を受信していない場合、このセレクタ43は、エンジン22が通常運転中であると認識してOFFとなり、第5マップ36から入力された通常運転時用の目標アクセル開度(ATN)をスロットル制御信号として設定し、エンジン22のスロットルアクチュエータへ出力することでスロットル弁の開度を制御するようになっている。
【0072】
本変形例にかかるエンジンブレーキ力制御装置は上述の構成されるので、以下のような作用・効果を奏する。
まず、図9に示す本変形例における制御ブロック図を用いてその作用を以下のように説明する。なお、図9に示す本変形例の制御ブロック図の内容と図2に示した上述の実施形態の制御ブロック図の内容とは基本的には同じであるが、図9に示す本変形例の制御ブロック図には目標トルク算出手段23が追加されている点で図2に示した上述の実施形態の制御ブロック図と異なる。また、図9のエンジン制御演算部6′における制御と図2のエンジン制御演算部6における制御とが異なる。
【0073】
したがって、以下、目標トルク算出手段23やエンジン制御演算部6′を中心とした制御について説明し、上述の実施形態と共通する部分についてはその説明を省略する場合がある。
まず、エンジン制御演算部6′の第2マップ39には加減速制御演算部5より目標加速度が入力されるとともに、CVT21より実変速比が入力され、一方、第3マップ40には目標車速演算部4より目標車速が入力されるとともに、CVT21より実変速比が入力される。そして、第2マップ39の算出結果と第3マップの算出結果とが加算されることによって、通常時の目標アクセル開度が算出され、スロットルアクチュエータ制御部10′の第5マップ36と燃料カット制御手段18の第6マップ37とへ出力される。この時、第6マップ37へ入力された通常時の目標アクセル開度がゼロである場合には、燃料カット制御手段18によって燃料カット信号がエンジン22に対して出力される。
【0074】
また、図10で示すように、第5マップ36に入力された目標アクセル開度(ACP)は、0〜100%の間の値となるように制限され、通常時用のアクセル開度(ATN)としてセレクタ43へ出力される。
一方、スロットルアクチュエータ制御部10′の第7マップ45には、エンジン22のエンジン回転数センサによって検出されたエンジン回転数(NE)と、目標トルク算出手段23によって算出された目標トルク(TQT)とが入力され、燃料カット時の目標スロットル開度(THFC)が算出される。さらに、この第7マップ45によって算出された燃料カット時の目標スロットル開度(THFC)と、エンジン回転数(NE)とが第8マップ46へ入力され、燃料カット時の目標アクセル開度(ATFC)が算出されて、セレクタ43へと出力される。
【0075】
そして、セレクタ43においては、第8マップ46において算出された燃料カット時の目標アクセル開度(ATFC)と、第5マップ36によって算出された通常時の目標アクセル開度(ATN)とのどちらか一方が、エンジン22の運転状態に応じて選択される。つまり、燃料カット制御手段18からエンジン22のインジェクタに対して燃料カット信号が出力されている場合は、セレクタ43によって燃料カット中の目標アクセル開度(ATFC)がスロットル制御信号として設定され、エンジン22のスロットルアクチュエータに対して出力される。一方、燃料カット制御手段18によって燃料カット信号が出力されていない場合は、セレクタ43によって通常時の目標アクセル開度(ATN)がスロットル制御信号として選択され、エンジン22のスロットルアクチュエータに対して出力される。
【0076】
次に、図11の動作フローに基づき、本発明の作用を更に説明すると、まず、ステップB1においてECU1への信号入力処理が行なわれる。具体的には、図1に示す車間距離設定スイッチ11,メインスイッチ12,セットスイッチ13,レジュームスイッチ14,キャンセルスイッチ15のそれぞれからECU1へ制御信号が入力されるとともに、レーザレーダ16,車速センサ17,エンジン回転数センサのそれぞれから検出信号がECU1へ入力される(ステップB1a参照)。
【0077】
そして、ステップB2では巡航車速(設定車速)の演算処理が行なわれる。具体的には、まず、自車両と先行車両との車間距離を自動的に制御しながら走行しているか否かが判断され(ステップB2a参照)、制御中でなければNoルートを辿ってリターンし、一方、制御中であればYesルートを辿ってステップB2bへ進む。そして、ステップB2bでは目標車間距離(本変形例においては“短”“中”“長”のうちの1つ)が設定され、その後、ステップB2cにおいて、ドライバの所望する巡行車速が設定される。なお、ここで巡航車速とは、前方に先行車両が存在しない状態で車両を巡航させる場合にドライバが必要とする車速をいう。
【0078】
次に、ステップB3では目標車速演算が行なわれる。これは、自車両と先行車両との車間距離をレーザレーダ16によって検出すると共に、レーザレーダ16によって先行車両の相対速度を検出し、これらの、車間距離と相対速度とに基づき、目標車速を算出し(ステップB3a参照)、その後、上述のステップB2cにて設定した巡行車速とステップB3aにて算出した目標車速とを比較して速度が低い方を最終的な目標車速として設定する(ステップB3b参照)。
【0079】
その後、ステップB4において車速制御演算が行なわれ、ここでは、ステップB3bにおいて設定された目標車速と、ステップB1aにおいて車速センサ17から入力された自車両の実際の走行速度(実速度)との偏差から目標加速度を算出する(ステップB4a参照)。
次に、ステップB5においては、CVT21を制御するための演算処理が行なわれる。具体的には、ステップB3bにおいて設定した目標車速とステップB4aにおいて算出した目標加速度とからCVT21における目標変速比を算出する(ステップB5a参照)。
【0080】
そして、この目標変速比に従ってCVT21を実際に制御し(ステップB5b参照)、また、車間距離設定スイッチ11によって設定された目標車間距離に応じて、CVT21の高速側変速比のクリップ値を変更する。具体的には、車間距離設定スイッチ11によって設定された目標車間距離が“短”であれば、CVT21における最も高速側の変速比Full High(例えば0.445)を僅かに低速側のFull High′(例えば、0.550)に変更する。
【0081】
その後、ステップB6において、エンジン22を制御するための演算処理が行なわれ、具体的には、ステップB3bにおいて設定された目標車速とステップB4aにおいて算出された目標加速度とに基づき、CVT21における実際の変速比(実変速比)に応じた目標アクセル開度を算出して、エンジン22を制御(即ち、通常時の制御)を実行し(ステップB6a参照)、もし、算出された目標アクセル開度が0%よりも大きい場合にはリターンする(ステップB6b〜ステップB6dをスキップしてリターンへ至る)。
【0082】
一方、算出された目標アクセル開度が0%である場合には、燃料カット制御手段18によりエンジン22への燃料カット信号が出力されるとともに、エンジン負荷を大きくして目標負荷トルクを得ることができるような目標スロットル開度が第7マップ45によって算出される。そして、この目標スロットル開度が第8マップ46によって目標アクセル開度に変換され、セレクタ43によって前記目標アクセル開度がスロットル制御信号として選択されてスロットルアクチュエータに出力されることによって、スロットル弁が目標アクセル開度となるように制御される(ステップB6b,B6c,B6dを経てリターンへ至る)。
【0083】
上述の作用により、本変形例によっても、強力なエンジンブレーキ力を得ることが可能となり、オートクルーズ装置や車間距離制御装置などを用いて先行車に対して所定の距離を保持して走行する場合に、先行車両の減速に伴う自車両の制動動作を確実且つスムーズに実行することが可能となる。
また、強力なエンジンブレーキ力を適切に使用することで、自動変速機における変速比のロー側への変動量を適切に抑制することが可能となるので、変速比の上昇に伴って増大するエンジンノイズも大幅に抑制することが可能となる。
【0084】
なお、本発明は上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
例えば、ECU1内の目標車間距離設定手段7は、ドライバによって操作される車間距離設定スイッチ11により目標車間距離を設定する構成となっているが、ITS技術が適用された道路設備より受信する車間距離指示信号に基づいて自動的に目標車間距離が設定される構成としても良い。なお、この場合、図示しない信号受信部が車両に搭載されることになる。
【0085】
また、上述の実施形態においては、図4に示すように、変速比制御範囲変更手段9による変速比制御範囲の下限値変更量は、目標車速度(V1〜V6)が上昇するにしたがって大きくなるように設定されているが、いずれの目標速度においても下限値変更量が一定となるように設定しても良い。
また、図4に示す第1マップ38Bにおいては、各目標速度(V1〜V6)毎に設定された変速比において、Full HighからFull High′への変更量が、それぞれ燃費低下率が3%程度になるように設定しているが、車両に要求される運転レスポンス性や先行車両に対する追従性に応じて、Full HighからFull High′への変更量は適宜変更可能である。
【0086】
また、上述の実施形態および変形例においては、自動変速機21としてCVT適用した場合を示したがCVTに限定するものではなく、例えば、遊星歯車式の自動変速機を適用することも可能である。
また、上述の実施形態およびその変形例に係るエンジンブレーキ力制御装においては、図8や図11の制御フローに示すように、CVT制御演算ステップを行なった後でエンジン制御演算ステップを行なうように構成されているが、エンジン制御演算ステップを実行した後にCVT制御演算ステップを実行するように構成してもよい。
【0087】
これにより、最大エンジンブレーキ力による減速制御演算を行ない、その後、この最大エンジンブレーキ力によっても目標減速度(目標負荷トルク)を達成できない場合にのみCVT制御演算を実行し、これらの演算結果に基づいてエンジンおよびCVTを制御することができるので、CVTの変速制御の演算負荷を抑制するとともに、変速制御動作の回数も抑制することが可能となり、更なるドライブフィールの向上に寄与することができる。
【0088】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のエンジンブレーキ力制御装置によれば、車両のエンジンブレーキ力を効果的に高めることが可能となる。
つまり、エンジンを燃料カット運転し、さらに、エンジンブレーキ力(エンジン負荷)を増大させるのに適した目標スロットル開度を算出して、実際にスロットル弁の開度を目標スロットル開度とすることができるので、的確に強力なエンジンブレーキ力を得ることができる(請求項1)。
【0089】
また、走行中の車両が必要とする減速度である目標減速度に応じて、燃料カット中のエンジンにおけるスロットル弁の開度を自在に設定できるので、強力なエンジンブレーキ力を、車両の走行状態に応じたエンジンブレーキ力を自由に設定することが可能となり、きめ細やかな減速制御を実行することができる(請求項2)。
【0090】
また、走行中の車両が必要とする目標トルクに応じて、燃料カット中のエンジンのスロットル開度を設定できるので、強力なエンジンブレーキ力を、車両の走行状態に応じたエンジンブレーキ力を自由に設定することが可能となり、きめ細やかな減速制御を実行することができる(請求項3)。
また、クルーズコントロールによる定速走行時や先行車両への追従走行などの自動運転走行を行なっている場合に、エンジンの燃料カット運転を実行するとともに、エンジンブレーキ力を増大するのに適した目標スロットル開度を算出して、実際にスロットル弁の開度を目標スロットル開度とすることができるので、強力なエンジンブレーキ力を得ることができる。また、走行中の車両が必要とする減速度である目標減速度に応じて、燃料カット中のエンジンのスロットル開度を自在に設定できるので、強力なエンジンブレーキ力を、車両の減速状態に応じて自由に設定し、きめ細やかな減速制御を行なうことが可能となる(請求項4)。
【0091】
また、クルーズコントロールによる定速走行時や先行車両への追従走行などの自動運転走行を行なっている場合に、エンジンの燃料カット運転を実行するとともに、エンジンブレーキ力を増大するのに適した目標スロットル開度を算出して、実際にスロットル弁の開度を目標スロットル開度とすることができるので、強力なエンジンブレーキ力を得ることができる。また、この時、走行中の車両が必要とする負荷トルク(目標トルク)に応じて、燃料カット中のエンジンのスロットル開度を自在に設定できるので、強力なエンジンブレーキ力を、車両の走行状態に応じて自由に設定し、きめ細やかな減速制御を行なうことが可能となる(請求項5)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置の制御装置の構成を示す模式的なブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置の制御内容を示す模式的な制御ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置による自動変速機制御に用いられる制御マップである。
【図4】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置による自動変速機制御に用いられる制御マップである。
【図5】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置によるスロットル弁制御に用いられる制御マップである。
【図6】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置によるスロットル弁制御に用いられる制御マップである。
【図7】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置におけるエンジン制御演算部の要部を示す模式的なブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置における制御フローである。
【図9】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置の変形例における制御内容を示す模式的な制御ブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置の変形例におけるエンジン制御演算部の要部を示す模式的なブロック図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るエンジンブレーキ力制御装置の変形例における制御フローである。
【図12】燃料カット運転中のエンジンにおいて、エンジン回転数とスロットル開度とに応じて負荷トルクが変化する現象を示すグラフである。
【符号の説明】
1,1′ ECU
5 加減速度制御演算部(目標減速度算出手段)
10,10′ スロットルアクチュエータ作動制御手段(作動制御手段)
18 燃料カット制御手段
22 エンジン
23 目標トルク算出手段
Claims (5)
- エンジンのスロットル弁に接続され該スロットル弁の開度を変更可能なスロットルアクチュエータと、
該スロットルアクチュエータの作動を制御する作動制御手段と、
該車両の減速走行時に燃料カットを行なう燃料カット制御手段とをそなえ、
該作動制御手段は、
該燃料カット制御手段による燃料カット制御の実行中には、該エンジンの負荷が大きくなる目標スロットル開度を算出するとともに、該スロットル弁が該目標スロットル開度となるように該スロットルアクチュエータを制御する
ことを特徴とする、エンジンブレーキ力制御装置。 - 該車両の目標減速度を算出する目標減速度算出手段をそなえ、
該燃料カット制御時における目標スロットル開度が、該目標減速度算出手段で算出された目標減速度に応じて設定される
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンブレーキ力制御装置。 - 該車両の目標トルクを算出する目標トルク算出手段をそなえ、
該燃料カット制御時における目標スロットル開度が、該目標トルク算出手段で算出された目標トルクに基づいて設定される
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンブレーキ力制御装置。 - ドライバのアクセル操作やブレーキ操作によらず一定の速度で走行可能、又は先行車に対して所定の距離を保持して走行可能に構成された車両のエンジンブレーキ力制御装置であって、
該車両のスロットル弁に接続され該スロットル弁の開度を変更可能なスロットルアクチュエータと、
該スロットルアクチュエータの作動を制御する作動制御手段と、
該車両の目標減速度を算出する目標減速度算出手段と、
該車両の減速走行時に燃料カットを行なう燃料カット制御手段とをそなえ、
該作動制御手段は、
該燃料カット制御手段による燃料カット制御の実行中には、該目標減速度算出手段で算出された目標減速度となるような目標スロットル開度を求めるとともに、該スロットル弁が該目標スロットル開度となるように該スロットルアクチュエータを制御する
ことを特徴とする、エンジンブレーキ力制御装置。 - ドライバのアクセル操作やブレーキ操作によらず一定の速度で走行可能、又は先行車に対して所定の距離を保持して走行可能に構成された車両のエンジンブレーキ力制御装置であって、
該車両のスロットル弁に接続され該スロットル弁の開度を変更可能なスロットルアクチュエータと、
該スロットルアクチュエータの作動を制御する作動制御手段と、
該車両の目標トルクを算出する目標トルク算出手段と、
該車両の減速走行時に燃料カットを行なう燃料カット制御手段とをそなえ、
該作動制御手段は、
該燃料カット制御手段による燃料カット制御の実行中には、該目標トルク算出手段で算出された目標トルクとなるような目標スロットル開度を求めるとともに、該スロットル弁が該目標スロットル開度となるように該スロットルアクチュエータを制御する
ことを特徴とする、エンジンブレーキ力制御装置。
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