JP2004249367A - アルミニウム/ステンレスクラッド板材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼板材を利用して、IH特性及び成形性に優れ、且つ、製造が容易なアルミニウム/ステンレスクラッド板材を提供する。
【解決手段】
オーステナイト系ステンレス鋼板材2、アルミニウムを表面にコーティングした磁性を有する鉄又は鉄合金板材11、アルミニウム又はアルミニウム合金板材3、オーステナイト系ステンレス鋼板材2をこの順に積層し接合することにより、アルミニウム/ステンレスクラッド板材10を形成した。
【選択図】図1
Description
図6は、磁性を有するフェライト系ステンレス鋼を使用した従来のAl/STSクラッド板材1′を示した図で、同図(A)に示すように、オーステナイト系ステンレス鋼板材2とフェライト系ステンレス鋼板材4間に、単層又は多層のアルミニウム合金板材3を挿入して構成され、深絞りにより成形する際には、同図(B)に示すように磁性を有するフェライト系ステンレス鋼板材4を外側に位置させて成形する。このような構造が、現在のほとんどのIH用台所容器に適用されている。この場合も、同図(A)の上側のオーステナイト系ステンレス鋼板材2がない構造もある。尚、図5と同一要素には同一符号を付してある。
また、フェライト系ステンレス鋼は、延伸率が30%程度で、クラッド条件や成形条件がほとんど完璧でないと、成形時に破損が発生するという不都合な点があった。
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたもので、非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼を利用して、IH特性及び成形性に優れ、且つ、製造が容易なアルミニウム/ステンレスクラッド板材及びその製造方法を提供することを目的とする。
かかる構成では、磁性を有する鉄又は鉄系合金板材を設けることによって、フェライト系ステンレス鋼板材を使用せずにIH特性を利用することができ、外観の美しさ、耐食性及び成形性などにおいて優秀であり、理想的なクラッド板材が得られるようになる。
かかる構成では、鉄又は鉄系合金板材の酸化を抑制できるようになる。
また、成形性及びIH特性を考慮して、鉄又は鉄系合金板材の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲とするとよい。
本発明に係るアルミニウム/ステンレスクラッド板材の製造方法は、アルミニウム又はアルミニウム板材とオーステナイト系ステンレス鋼板材間に、磁性を有する鉄又は鉄系合金板材を設けて積層する段階と、前記各板材が積層された積層体を圧延する段階と、該圧延された積層体を拡散処理する段階と、を有することを特徴とする。
かかる製造方法では、鉄又は鉄系合金板材の表面にアルミニウム層を形成することで、流通及び保管過程で錆がつくことがなく、クラッド製造時に加熱しても酸化せずに、オーステナイト系ステンレス鋼板材と鉄合金板材との接合を容易にする。
また、積層体を圧延して接合した後に拡散処理することにより、鉄又は鉄系合金板材中にアルミニウムが拡散されて鉄又は鉄系合金板材を強力に接合することができる。
図1は、本発明に係る本実施形態のAl/STSクラッド板材の一実施形態を示す図である。尚、従来と同一要素には同一符号を付してある。
図1において、本実施形態のAl/STSクラッド板材10は、同図(A)に示すように、オーステナイト系ステンレス鋼板材2に、磁性を有する鉄又は鉄系合金板材11、アルミニウム又はアルミニウム合金板材3及びオーステナイト系ステンレス鋼板材2を順に積層して構成されている。同図(B)は、このような構成の本実施形態のAl/STSクラッド板材10を、深絞りにより成形した例を示す。尚、図1(A)の上側オーステナイト系ステンレス鋼板材2(同図(B)の内側のオーステナイト系ステンレス鋼板材2)を、設けないクラッド構造でもよい。
かかる構造のAl/STSクラッド板材10は、磁性を有する鉄又は鉄系合金板材を設けることにより、優れたIH特性が得られる。また、成形性などに優れたオーステナイト系ステンレス鋼板材を用いているので、成形時にリジング又はローピング等の表面欠陥が発生せず、欠陥除去のための表面研磨処理が不要となり、また、成形時の破損もフェライト系ステンレス鋼を用いた場合に比べて格段に少ない。従って、経済的且つIH特性の優秀なクラッド板材を得ることができる。また、鉄又は鉄系合金板材の表面にアルミニウム層を形成することで、鉄又は鉄系合金板材の酸化を抑制でき、流通及び保管過程での錆付きを防止でき、クラッド製造時の加熱による酸化を防止でき、オーステナイト系ステンレス鋼板材2と鉄又は鉄系合金板材11との接合が容易になる。
磁性を有する鉄又は鉄系合金11を用意し、その表面に例えばアルミニウムを溶融メッキして鉄又は鉄系合金11表面にアルミニウム層をコーティングする。その後、オーステナイト系ステンレス鋼板材2、表面にアルミニウム層を形成した鉄又は鉄系合金11、アルミニウム又はアルミニウム合金板材3、オーステナイト系ステンレス鋼板材2をこの順で積層して積層体を形成する。次に、形成した積層体を、熱間圧延して接合した後、200〜400℃の範囲で拡散処理して図1(A)に示すような本実施形態のAl/STSクラッド板材10を製造する。このように、積層体を圧延して接合した後に拡散処理することにより、鉄又は鉄系合金板材11中にアルミニウムが拡散されて鉄又は鉄系合金板材11の接合を強固にできる。
[実施例]
鉄又は鉄系合金板材11として、1.1mm厚さの一般の低炭素鋼板材を用意した後、表面にアルミニウムを溶融メッキして約15μm厚さのアルミニウム層を形成した。このようにアルミニウムがメッキされると、約550℃までは酸化されない。
本実施例との比較のために、図6に示したような従来のフェライト系ステンレス鋼板材/アルミニウム合金(Al3003)/オーステナイト系ステンレス鋼板材からなるAl/STSクラッド板材を用意し、深絞りにより成形した後、成形体の外側であるフェライト系ステンレス鋼板材側から観察した写真を図3に示した。図3の右側上端の拡大写真をみると、表面に深いリジングが発生したことが分る。
3 アルミニウム又はアルミニウム合金板材
10 Al/STSクラッド板材
11 鉄又は鉄系合金板材
Claims (8)
- アルミニウム又はアルミニウム合金板材と、オーステナイト系ステンレス鋼板材とを用いたアルミニウム/ステンレスクラッド板材であって、
アルミニウム又はアルミニウム合金板材とオーステナイト系ステンレス鋼板材間に、磁性を有する鉄又は鉄系合金板材を設けたことを特徴とするアルミニウム/ステンレスクラッド板材。 - 前記鉄又は鉄系合金板材は、アルミニウム層が表面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム/ステンレスクラッド板材。
- 前記鉄又は鉄系合金板材の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム/ステンレスクラッド板材。
- オーステナイト系ステンレス鋼板材、鉄又は鉄系合金板材、アルミニウム又はアルミニウム合金板材、オーステナイト系ステンレス鋼板材の順で積層したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のアルミニウム/ステンレスクラッド板材。
- 前記鉄又は鉄系合金は、フェライト系ステンレス鋼より磁性モーメントが大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のアルミニウム/ステンレスクラッド板材。
- 請求項1〜5のいずれか1つに記載のアルミニウム/ステンレスクラッド板材の製造方法であって、
アルミニウム又はアルミニウム合金板材とオーステナイト系ステンレス鋼板材間に、磁性を有する鉄又は鉄系合金板材を設けて積層する段階と、
前記各板材が積層された積層体を圧延する段階と、
該圧延された積層体を拡散処理する段階と、
を有することを特徴とするアルミニウム/ステンレスクラッド板材の製造方法。 - 前記各板材を積層する段階以前に、前記鉄又は鉄系合金板材の表面にアルミニウム層を形成する段階を有することを特徴とする請求項6に記載のアルミニウム/ステンレスクラッド板材の製造方法。
- 拡散処理は、200〜400℃の範囲で加熱することを特徴とする請求項6又は7に記載のアルミニウム/ステンレスクラッド板材の製造方法。
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