JP2004248468A - 防振ゴム構造とその製造方法ならびにステッピングモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】通常の使用目的では変位に対する荷重が小さく、急激な荷重に対しては変位し難い特性を有する防振ゴム構造とその製造方法ならびにステッピングモータを提供する。
【解決手段】2枚のフランジ状基板2,3間にゴム部材が一体的に配置されていると共に中心箇所に軸孔4が形成されている。ゴム部材が繊維補強材1aを内包していて、この繊維補強材1aが両基板2,3に接する側ほど軸孔4方向に傾斜して配列されている防振ゴム構造。
【選択図】 図1
【解決手段】2枚のフランジ状基板2,3間にゴム部材が一体的に配置されていると共に中心箇所に軸孔4が形成されている。ゴム部材が繊維補強材1aを内包していて、この繊維補強材1aが両基板2,3に接する側ほど軸孔4方向に傾斜して配列されている防振ゴム構造。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は防振ゴム構造とその製造方法ならびにステッピングモータに関し、詳しくは、2枚のフランジ状基板間にゴム部材が一体的に配置されていると共に中心箇所に軸孔が形成されているステッピングモータ用などとして使用可能な防振ゴム構造とその製造方法ならびにステッピングモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ステッピングモータ用防振ゴム構造は、中心部に軸を挿通させる挿通孔が形成され、角形をした2枚のフランジ状金属基板(あるいは硬質樹脂板)間にゴム部材が接着され配置された構造をしており、高速で回転するステッピングモータの振動を効果的に防止するために用いられる(例えば、特許文献1)。
【0003】
2枚の金属板の一方(駆動側)から回転力が与えられ、この回転力を他方(伝達側)に伝達することになるが、防振ゴムが生じる軸変位を吸収すると共に、回転開始時の衝撃的な回転作用を吸収して緩和する。その場合、防振ゴムは軸に直角方向の変位反力や、軸に対する曲げ反力の小さいことが要求される。つまり、ステッピングモータの停止時から急な回転開始があったり、急な逆転動作が生じたりすると、大きな慣性力が防振ゴムに作用することになるが、その場合にも、防振ゴムが破断することなくステッピングモータの振動を効果的に防止することが必要となる。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−168193号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、低反力を得ようとすれば、ゴム部材として一般に柔らかい軟質材を使用せざるをえないが、軟質材では急速で衝撃的な力が作用した場合には、変位が大きくなり、その大きさによってはゴム部材が損傷することがある。その結果、通常の使用目的では変位に対する荷重が小さく、急激な荷重に対しては変位し難い特性を有することが強く要請されている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、通常の使用目的では変位に対する荷重が小さく、急激な荷重に対しては変位し難い特性を有する防振ゴム構造とその製造方法ならびにステッピングモータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る防振ゴム構造の特徴構成は、2枚のフランジ状基板間にゴム部材が一体的に配置されていると共に中心箇所に軸孔が形成されている防振ゴム構造において、前記ゴム部材が繊維補強材を内包していて、この繊維補強材が前記両基板に接する側ほど前記軸孔方向に傾斜して配列されていることにある。
【0007】
この構成によれば、軸孔に挿入された伝達軸を介して高速エネルギーが作用し、より高荷重の負荷がかかるような場合にも捩じり角度が大きく変位するのを極力抑制できるので、従来技術の防振ゴム構造に比べて、ゴム部材への損傷を効果的に低減でき、耐久性が顕著に増す。したがって、停止ー起動の繰り返しが激しいステッピングモータ等の防振用として用いた場合に、耐久性が顕著に増大することになる
通常の使用目的では変位に対する荷重が小さく、急激な荷重に対しては変位し難い特性を有する防振ゴム構造を提供できた。
【0008】
前記繊維補強材が短繊維であり、前記ゴム部材が柔軟性に優れた天然ゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムから選ばれたものであることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、製造上短繊維を、両基板に接する側ほど軸孔方向に傾斜して配列し易く、かつ柔軟性に優れた天然ゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムの有する特性から低反力を得易いため、停止ー起動の繰り返しが激しいステッピングモータ等の防振用として一層優れた防振ゴム構造が得られる。ここに、柔軟性が優れたゴム部材とは、ショア硬度60〜75°程度の特性を備えたものをいう。
【0010】
又、本発明に係る防振ゴム構造の製造方法の特徴構成は、中心箇所に軸孔を有する2枚のフランジ状基板間に、前記軸孔と略同形の軸孔を中心箇所に有し繊維補強材を内包した未加硫ゴム組成物を装入して、これらを金型内に配置し、前記軸孔位置に中心型を挿入・配置した状態で前記基板を圧縮しつつ加熱することにより、前記未加硫ゴム組成物を加硫して前記両基板に接着する防振ゴム構造の製造方法において、前記中心型として、前記未加硫ゴム組成物と両基板とが共に接する近傍箇所に、前記未加硫ゴム組成物の圧縮変形に伴うゴムの流動を受け入れる周方向溝を有する中心型を用いることにある。
【0011】
この構成によれば、圧縮変形される未加硫ゴム組成物が変形途中において、中心型に形成されている周方向溝に向けて部分的に流動されるので、内包されている維繊補強材がゴム組成物と共に流動し、両基板に接する側ほど軸孔方向に傾斜して配列されるようになり、その状態で加硫され成型される。その結果、通常の使用目的では変位に対する荷重が小さく、急激な荷重に対しては変位し難い特性を有する防振ゴム構造の製造方法を提供できる。
【0012】
更に又、本発明に係るステッピングモータの特徴構成は、請求項1又は2の防振ゴム構造を備えることにある。
【0013】
この構成によれば、通常の使用目的では変位に対する荷重が小さく、急激な荷重に対しては変位し難い特性を有するステッピングモータを提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る防振ゴム構造の製造方法を説明する半断面図であり、図2は成型されたステッピングモータ用防振ゴム構造を示す。このステッピングモータ用防振ゴム構造は、図2に示すように、ゴム部材10を間に介在させた上下に位置する金属製のフランジ状基板2、3からなり、ゴム部材10と基板2、3とは加熱・成型時に加硫接着されて一体化されている。そして、中心箇所には軸孔4が形成されており、軸孔4にはステッピングモータの伝達軸(図示略)が挿入される。尚、図番5は取り付け用のビス孔である。又、基板2、3の形状は円板状のものを例示したが、多角形状その他の形状としてもよい。
【0015】
ゴム部材10用の材質としては、天然ゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムなどを使用でき、柔軟性に富んだ材質(ショア硬度60〜75°程度)からなり、これに繊維補強材である短繊維1aが内包されて構成されている。この短繊維の繊維方向は、両基板2、3に接する側ほど軸孔4方向に傾斜して配列されている。つまり後述する成型方法により、ゴム部材10中に含まれる短繊維群は、ゴム部材10の厚みの略中央位置から上下に向けて、夫々軸孔方向に偏向した配列とされており、かかる配列を形成することにより、上記柔軟性に優れたゴム材質の作用と相まって、通常の使用目的では変位に対する荷重は小さく、高い柔軟性を発揮するが、急激な荷重に対しては変位し難い特性を有するものとすることができる。
【0016】
すなわち、通常回転途中において回転数が増減する場合に生じる振動や芯ずれ等を確実に吸収すると共に、停止時から急激に正回転したり、あるいは逆回転したりして、軸孔4に挿入された伝達軸を介して高速エネルギーが衝撃的に作用したとしても、捩じり角度が大きく変位するのを極力抑制できるので、従来技術の防振ゴム構造に比べて、ゴム部材10への損傷を効果的に低減でき、耐久性が顕著に増すことになる。
【0017】
短繊維1aの材質は、補強機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、ナイロン、ポリエステル繊維などの各種有機繊維、無機繊維、金属繊維、ウィスカー等を使用できる。短繊維1aのサイズとしては径1〜20μm、長さ0.1〜5mm程度が好ましい。短繊維1aの配向分布としては、図3に模式的に示すように、短繊維1aの平均隣接間隔Hに対しての未加硫ゴム組成物1の厚みBが、1:20程度でよく、1:7程度であることがより好ましい。H:Bが1:3程度に短繊維1aの平均隣接間隔が広くなると、後述する製造時に、中心型の周方向溝6aへはみ出すゴム量が多くなったり、加硫されたゴム部材10が強度的に不均質となって好ましくない。
【0018】
本実施形態の防振ゴム構造(a)と、従来技術のステッピングモータ用防振ゴム構造(ゴム部材は補強繊維を有しないゴムのみからなる)(b)との特性を、図4に示す。これによると、本実施形態の防振ゴム構造の場合、負荷される荷重が小さい間は、ねじり角度は従来技術のものと略同程度であるが、荷重が大きくなっても従来技術のように、ねじり角度が大きくならないことがわかる。
【0019】
次に、ゴム部材10の製造方法を説明する。まず、押出機にて円筒状の未加硫ゴム組成物を押し出す途中に短繊維を投入しつつ、所定形状の円筒状をした長尺状未加硫ゴム組成物として押出成型する。この押出成型された長尺状未加硫ゴム組成物から、圧縮成型時の最終厚みより10〜30%程度長く切断して未加硫ゴム組成物を得る。この場合、短繊維は押出方向に配列している。短繊維の配合量は、原料ゴム100重量部に対して、短繊維1〜5重量部程度でよく、したがって製造に当たり、特に高コストとなるようなことはない。しかも、押出成型法によれば、生産性が高く、生産コストを低くできるのみならず、従来行われていた両基板間に未加硫ゴム組成物を注入するインジェクション成型法に比べて、高価な設備が不要なため設備コストが低くて済むと共に、インジェクション成型法に頻発する過剰圧力による変形などを生じることがなく、しかも短繊維を所定方向に配向されることが難しいということがなく、かつ多量のランナースプールを要しないので材料コストも低くできる利点がある。
【0020】
更に、防振ゴム構造の製造方法を、図1を参照して説明する。まず、予め配置した中心型6に外嵌しながら一方のフランジ状基板3を下型7上に配置する。同様に、その上方から未加硫ゴム組成物1を中心型6に外嵌しながら装入して基板3上に載置し、ついで中型8を上方より装着する。同様にして、他方の基板2を未加硫ゴム組成物1上に載置する。この場合、未加硫ゴム組成物1の厚みは、上記したように、最終厚みより10〜30%程度長くされているので、基板2は中型8の平坦面8aより上方に突出した状態になっている。そして、上方より上型9を装着して全体を加熱しつつ圧縮すると、未加硫ゴム組成物1は両基板2、3と強固に加硫接着されると共に、未加硫ゴム組成物1に内包されている短繊維1aは変形しつつゴム部材10が形成されることになる。尚、金型内に基板2,3および未加硫ゴム組成物1を配置した後、中心型6を軸孔4に挿入し、その後、加熱・圧縮するようにしてもよい。
【0021】
中心型6は、未加硫ゴム組成物1と両基板2,3とが共に接する近傍箇所に、未加硫ゴム組成物1の圧縮変形に伴う未加硫ゴム組成物の流動を受け入れる周方向溝6aを上下2箇所に有しており、圧縮変形されると未加硫ゴム組成物1が変形途中に、これら周方向溝6aに向けて部分的に流動されるようになっている。その際、未加硫ゴム組成物1に内包されている短繊維1aは未加硫ゴム組成物1と共に流動し、両基板2,3に接する側ほど軸孔4方向に傾斜して配列されるようになり、その状態で加硫され成型される。中心型6の周方向溝6aは、未加硫ゴム組成物1と両基板2,3とが所定厚みに圧縮された状態で、0.1〜0.5mm程度の隙間が形成されるような位置に形成されていればよい。圧縮に伴い、未加硫ゴム組成物1の一部がこの隙間に流動し、排出されるようになるが、排出されるゴム量はわずかであるため、加硫後に軸孔側にはみ出したゴムを除去するのは容易であり、材料ロスも多くはない。
【0022】
製造にあたっては、これら両基板2,3間に挟持した未加硫ゴム組成物1の組み合わせ構造を複数個重ねて、上方より圧縮しつつ加熱することが生産性を高める上で好ましい。
【0023】
【実施例】
本実施例の防振ゴム構造は、軸孔径20mm、厚さ2.5mmの鋼製基板間に、径約10μm、長さ約1mmのナイロン製短繊維2重量部を、天然ゴム(ショア硬度約60°)100重量部に対して配合した厚み13mmの未加硫ゴム組成物を介在させた状態で金型に装填し、圧縮・加熱した。加硫され一体化されたゴム部材の最終厚みは、10mmである。
【0024】
この実施例の防振ゴム構造と、同サイズの従来技術に係る防振ゴム構造(ゴム中に補強繊維を含まない)を比較例として両者をステッピングモータ軸に装着し、最大トルク200kg・cmの条件で連続的に正逆回転を与えた。その結果、比較例は50,000回の往復回転で破断が生じたのに対して、実施例のものは150,000回でも破断が認められず、顕著な耐久性を示した。
【0025】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施形態では、ステッピングモータ用の防振ゴム構造を例に説明したが、本実施形態の防振ゴム構造は、停止ー起動頻度の多い回転機器の防振用として広く適用可能であり、例えば、ロボットの駆動モータや事務機のモータ等にも採用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る防振ゴム構造の製造方法を説明する半断面図
【図2】本発明の一実施形態に係る防振ゴム構造の(a)平面図、(b)断面図
【図3】繊維補強材の配向を説明する模式断面図
【図4】本実施形態のゴム部材と従来技術のゴム部材とを夫々装着した防振ゴム構造の特性比較図
【符号の説明】
1 未加硫ゴム組成物
1a 繊維補強材
2、3 基板
4 軸孔
6 中心型
6a 周方向溝
【発明の属する技術分野】
本発明は防振ゴム構造とその製造方法ならびにステッピングモータに関し、詳しくは、2枚のフランジ状基板間にゴム部材が一体的に配置されていると共に中心箇所に軸孔が形成されているステッピングモータ用などとして使用可能な防振ゴム構造とその製造方法ならびにステッピングモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ステッピングモータ用防振ゴム構造は、中心部に軸を挿通させる挿通孔が形成され、角形をした2枚のフランジ状金属基板(あるいは硬質樹脂板)間にゴム部材が接着され配置された構造をしており、高速で回転するステッピングモータの振動を効果的に防止するために用いられる(例えば、特許文献1)。
【0003】
2枚の金属板の一方(駆動側)から回転力が与えられ、この回転力を他方(伝達側)に伝達することになるが、防振ゴムが生じる軸変位を吸収すると共に、回転開始時の衝撃的な回転作用を吸収して緩和する。その場合、防振ゴムは軸に直角方向の変位反力や、軸に対する曲げ反力の小さいことが要求される。つまり、ステッピングモータの停止時から急な回転開始があったり、急な逆転動作が生じたりすると、大きな慣性力が防振ゴムに作用することになるが、その場合にも、防振ゴムが破断することなくステッピングモータの振動を効果的に防止することが必要となる。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−168193号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、低反力を得ようとすれば、ゴム部材として一般に柔らかい軟質材を使用せざるをえないが、軟質材では急速で衝撃的な力が作用した場合には、変位が大きくなり、その大きさによってはゴム部材が損傷することがある。その結果、通常の使用目的では変位に対する荷重が小さく、急激な荷重に対しては変位し難い特性を有することが強く要請されている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、通常の使用目的では変位に対する荷重が小さく、急激な荷重に対しては変位し難い特性を有する防振ゴム構造とその製造方法ならびにステッピングモータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る防振ゴム構造の特徴構成は、2枚のフランジ状基板間にゴム部材が一体的に配置されていると共に中心箇所に軸孔が形成されている防振ゴム構造において、前記ゴム部材が繊維補強材を内包していて、この繊維補強材が前記両基板に接する側ほど前記軸孔方向に傾斜して配列されていることにある。
【0007】
この構成によれば、軸孔に挿入された伝達軸を介して高速エネルギーが作用し、より高荷重の負荷がかかるような場合にも捩じり角度が大きく変位するのを極力抑制できるので、従来技術の防振ゴム構造に比べて、ゴム部材への損傷を効果的に低減でき、耐久性が顕著に増す。したがって、停止ー起動の繰り返しが激しいステッピングモータ等の防振用として用いた場合に、耐久性が顕著に増大することになる
通常の使用目的では変位に対する荷重が小さく、急激な荷重に対しては変位し難い特性を有する防振ゴム構造を提供できた。
【0008】
前記繊維補強材が短繊維であり、前記ゴム部材が柔軟性に優れた天然ゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムから選ばれたものであることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、製造上短繊維を、両基板に接する側ほど軸孔方向に傾斜して配列し易く、かつ柔軟性に優れた天然ゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムの有する特性から低反力を得易いため、停止ー起動の繰り返しが激しいステッピングモータ等の防振用として一層優れた防振ゴム構造が得られる。ここに、柔軟性が優れたゴム部材とは、ショア硬度60〜75°程度の特性を備えたものをいう。
【0010】
又、本発明に係る防振ゴム構造の製造方法の特徴構成は、中心箇所に軸孔を有する2枚のフランジ状基板間に、前記軸孔と略同形の軸孔を中心箇所に有し繊維補強材を内包した未加硫ゴム組成物を装入して、これらを金型内に配置し、前記軸孔位置に中心型を挿入・配置した状態で前記基板を圧縮しつつ加熱することにより、前記未加硫ゴム組成物を加硫して前記両基板に接着する防振ゴム構造の製造方法において、前記中心型として、前記未加硫ゴム組成物と両基板とが共に接する近傍箇所に、前記未加硫ゴム組成物の圧縮変形に伴うゴムの流動を受け入れる周方向溝を有する中心型を用いることにある。
【0011】
この構成によれば、圧縮変形される未加硫ゴム組成物が変形途中において、中心型に形成されている周方向溝に向けて部分的に流動されるので、内包されている維繊補強材がゴム組成物と共に流動し、両基板に接する側ほど軸孔方向に傾斜して配列されるようになり、その状態で加硫され成型される。その結果、通常の使用目的では変位に対する荷重が小さく、急激な荷重に対しては変位し難い特性を有する防振ゴム構造の製造方法を提供できる。
【0012】
更に又、本発明に係るステッピングモータの特徴構成は、請求項1又は2の防振ゴム構造を備えることにある。
【0013】
この構成によれば、通常の使用目的では変位に対する荷重が小さく、急激な荷重に対しては変位し難い特性を有するステッピングモータを提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る防振ゴム構造の製造方法を説明する半断面図であり、図2は成型されたステッピングモータ用防振ゴム構造を示す。このステッピングモータ用防振ゴム構造は、図2に示すように、ゴム部材10を間に介在させた上下に位置する金属製のフランジ状基板2、3からなり、ゴム部材10と基板2、3とは加熱・成型時に加硫接着されて一体化されている。そして、中心箇所には軸孔4が形成されており、軸孔4にはステッピングモータの伝達軸(図示略)が挿入される。尚、図番5は取り付け用のビス孔である。又、基板2、3の形状は円板状のものを例示したが、多角形状その他の形状としてもよい。
【0015】
ゴム部材10用の材質としては、天然ゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムなどを使用でき、柔軟性に富んだ材質(ショア硬度60〜75°程度)からなり、これに繊維補強材である短繊維1aが内包されて構成されている。この短繊維の繊維方向は、両基板2、3に接する側ほど軸孔4方向に傾斜して配列されている。つまり後述する成型方法により、ゴム部材10中に含まれる短繊維群は、ゴム部材10の厚みの略中央位置から上下に向けて、夫々軸孔方向に偏向した配列とされており、かかる配列を形成することにより、上記柔軟性に優れたゴム材質の作用と相まって、通常の使用目的では変位に対する荷重は小さく、高い柔軟性を発揮するが、急激な荷重に対しては変位し難い特性を有するものとすることができる。
【0016】
すなわち、通常回転途中において回転数が増減する場合に生じる振動や芯ずれ等を確実に吸収すると共に、停止時から急激に正回転したり、あるいは逆回転したりして、軸孔4に挿入された伝達軸を介して高速エネルギーが衝撃的に作用したとしても、捩じり角度が大きく変位するのを極力抑制できるので、従来技術の防振ゴム構造に比べて、ゴム部材10への損傷を効果的に低減でき、耐久性が顕著に増すことになる。
【0017】
短繊維1aの材質は、補強機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、ナイロン、ポリエステル繊維などの各種有機繊維、無機繊維、金属繊維、ウィスカー等を使用できる。短繊維1aのサイズとしては径1〜20μm、長さ0.1〜5mm程度が好ましい。短繊維1aの配向分布としては、図3に模式的に示すように、短繊維1aの平均隣接間隔Hに対しての未加硫ゴム組成物1の厚みBが、1:20程度でよく、1:7程度であることがより好ましい。H:Bが1:3程度に短繊維1aの平均隣接間隔が広くなると、後述する製造時に、中心型の周方向溝6aへはみ出すゴム量が多くなったり、加硫されたゴム部材10が強度的に不均質となって好ましくない。
【0018】
本実施形態の防振ゴム構造(a)と、従来技術のステッピングモータ用防振ゴム構造(ゴム部材は補強繊維を有しないゴムのみからなる)(b)との特性を、図4に示す。これによると、本実施形態の防振ゴム構造の場合、負荷される荷重が小さい間は、ねじり角度は従来技術のものと略同程度であるが、荷重が大きくなっても従来技術のように、ねじり角度が大きくならないことがわかる。
【0019】
次に、ゴム部材10の製造方法を説明する。まず、押出機にて円筒状の未加硫ゴム組成物を押し出す途中に短繊維を投入しつつ、所定形状の円筒状をした長尺状未加硫ゴム組成物として押出成型する。この押出成型された長尺状未加硫ゴム組成物から、圧縮成型時の最終厚みより10〜30%程度長く切断して未加硫ゴム組成物を得る。この場合、短繊維は押出方向に配列している。短繊維の配合量は、原料ゴム100重量部に対して、短繊維1〜5重量部程度でよく、したがって製造に当たり、特に高コストとなるようなことはない。しかも、押出成型法によれば、生産性が高く、生産コストを低くできるのみならず、従来行われていた両基板間に未加硫ゴム組成物を注入するインジェクション成型法に比べて、高価な設備が不要なため設備コストが低くて済むと共に、インジェクション成型法に頻発する過剰圧力による変形などを生じることがなく、しかも短繊維を所定方向に配向されることが難しいということがなく、かつ多量のランナースプールを要しないので材料コストも低くできる利点がある。
【0020】
更に、防振ゴム構造の製造方法を、図1を参照して説明する。まず、予め配置した中心型6に外嵌しながら一方のフランジ状基板3を下型7上に配置する。同様に、その上方から未加硫ゴム組成物1を中心型6に外嵌しながら装入して基板3上に載置し、ついで中型8を上方より装着する。同様にして、他方の基板2を未加硫ゴム組成物1上に載置する。この場合、未加硫ゴム組成物1の厚みは、上記したように、最終厚みより10〜30%程度長くされているので、基板2は中型8の平坦面8aより上方に突出した状態になっている。そして、上方より上型9を装着して全体を加熱しつつ圧縮すると、未加硫ゴム組成物1は両基板2、3と強固に加硫接着されると共に、未加硫ゴム組成物1に内包されている短繊維1aは変形しつつゴム部材10が形成されることになる。尚、金型内に基板2,3および未加硫ゴム組成物1を配置した後、中心型6を軸孔4に挿入し、その後、加熱・圧縮するようにしてもよい。
【0021】
中心型6は、未加硫ゴム組成物1と両基板2,3とが共に接する近傍箇所に、未加硫ゴム組成物1の圧縮変形に伴う未加硫ゴム組成物の流動を受け入れる周方向溝6aを上下2箇所に有しており、圧縮変形されると未加硫ゴム組成物1が変形途中に、これら周方向溝6aに向けて部分的に流動されるようになっている。その際、未加硫ゴム組成物1に内包されている短繊維1aは未加硫ゴム組成物1と共に流動し、両基板2,3に接する側ほど軸孔4方向に傾斜して配列されるようになり、その状態で加硫され成型される。中心型6の周方向溝6aは、未加硫ゴム組成物1と両基板2,3とが所定厚みに圧縮された状態で、0.1〜0.5mm程度の隙間が形成されるような位置に形成されていればよい。圧縮に伴い、未加硫ゴム組成物1の一部がこの隙間に流動し、排出されるようになるが、排出されるゴム量はわずかであるため、加硫後に軸孔側にはみ出したゴムを除去するのは容易であり、材料ロスも多くはない。
【0022】
製造にあたっては、これら両基板2,3間に挟持した未加硫ゴム組成物1の組み合わせ構造を複数個重ねて、上方より圧縮しつつ加熱することが生産性を高める上で好ましい。
【0023】
【実施例】
本実施例の防振ゴム構造は、軸孔径20mm、厚さ2.5mmの鋼製基板間に、径約10μm、長さ約1mmのナイロン製短繊維2重量部を、天然ゴム(ショア硬度約60°)100重量部に対して配合した厚み13mmの未加硫ゴム組成物を介在させた状態で金型に装填し、圧縮・加熱した。加硫され一体化されたゴム部材の最終厚みは、10mmである。
【0024】
この実施例の防振ゴム構造と、同サイズの従来技術に係る防振ゴム構造(ゴム中に補強繊維を含まない)を比較例として両者をステッピングモータ軸に装着し、最大トルク200kg・cmの条件で連続的に正逆回転を与えた。その結果、比較例は50,000回の往復回転で破断が生じたのに対して、実施例のものは150,000回でも破断が認められず、顕著な耐久性を示した。
【0025】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施形態では、ステッピングモータ用の防振ゴム構造を例に説明したが、本実施形態の防振ゴム構造は、停止ー起動頻度の多い回転機器の防振用として広く適用可能であり、例えば、ロボットの駆動モータや事務機のモータ等にも採用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る防振ゴム構造の製造方法を説明する半断面図
【図2】本発明の一実施形態に係る防振ゴム構造の(a)平面図、(b)断面図
【図3】繊維補強材の配向を説明する模式断面図
【図4】本実施形態のゴム部材と従来技術のゴム部材とを夫々装着した防振ゴム構造の特性比較図
【符号の説明】
1 未加硫ゴム組成物
1a 繊維補強材
2、3 基板
4 軸孔
6 中心型
6a 周方向溝
Claims (4)
- 2枚のフランジ状基板間にゴム部材が一体的に配置されていると共に中心箇所に軸孔が形成されている防振ゴム構造において、前記ゴム部材が繊維補強材を内包していて、この繊維補強材が前記両基板に接する側ほど前記軸孔方向に傾斜して配列されていることを特徴とする防振ゴム構造。
- 前記繊維補強材が短繊維であり、前記ゴム部材が柔軟性に優れた天然ゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムから選ばれたものである請求項1の防振ゴム構造。
- 中心箇所に軸孔を有する2枚のフランジ状基板間に、前記軸孔と略同形の軸孔を中心箇所に有し繊維補強材を内包した未加硫ゴム組成物を装入して、これらを金型内に配置し、前記軸孔位置に中心型を挿入・配置した状態で前記基板を圧縮しつつ加熱することにより、前記未加硫ゴム組成物を加硫して前記両基板に接着する防振ゴム構造の製造方法において、前記中心型として、前記未加硫ゴム組成物と両基板とが共に接する近傍箇所に、前記未加硫ゴム組成物の圧縮変形に伴うゴムの流動を受け入れる周方向溝を有する中心型を用いることを特徴とする防振ゴム構造の製造方法。
- 請求項1又は2の防振ゴム構造を備えたステッピングモータ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003038382A JP2004248468A (ja) | 2003-02-17 | 2003-02-17 | 防振ゴム構造とその製造方法ならびにステッピングモータ |
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JP2003038382A JP2004248468A (ja) | 2003-02-17 | 2003-02-17 | 防振ゴム構造とその製造方法ならびにステッピングモータ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN100395944C (zh) * | 2006-02-28 | 2008-06-18 | 江苏常发实业集团有限公司 | 数码发电机组的减震垫 |
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2003
- 2003-02-17 JP JP2003038382A patent/JP2004248468A/ja not_active Withdrawn
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