JP2004247173A - 燃料電池用容器および燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】携帯電子機器用の燃料電池として、電解質部材を収納可能な、小型で堅牢であり、ガスの均等供給・容器内の温度勾配の均一化・高効率な電気接続が可能な信頼性のある燃料電池用容器および燃料電池を提供すること。
【解決手段】第1および第2電極4・5を有する電解質部材3を収容する凹部を有する基体6と、凹部の底面から外面にかけて形成された第1流体流路8と、凹部の底面から外面に導出された第1配線導体10と、基体6の上面に取着される蓋体7と、蓋体7の下面から外面にかけて形成された第2流体流路9と、蓋体7の下面から外面に導出された第2配線導体11と、凹部の底面の第1流体流路8の開口の周辺および蓋体7の下面の第2流体流路9の開口の周辺の少なくとも一方に形成された、電解質部材3の下側主面または上側主面を加熱する発熱体12とを具備している燃料電池用容器2およびこれを用いた燃料電池1である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質部材を収容可能なセラミックスから成る小型で高信頼性の燃料電池用容器およびそれを用いた燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、これまでよりも低温で動作する小型燃料電池の開発が活発になされている。燃料電池には、これに用いる電解質の種類により、固体高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:以下、PEFCと記す)やリン酸型燃料電池、あるいは固体電解質型燃料電池といったものが知られている。
【0003】
中でもPEFCは、作動温度が80〜100℃程度という低温であり、
(1)出力密度が高く、小型化・軽量化が可能である、
(2)電解質が腐食性でなく、しかも作動温度が低いため、耐食性の面から電池構成材料の制約が少ないので、コスト低減が容易である、
(3)常温で起動できるため、起動時間が短い、
といった優れた特長を有している。このためPEFCは、以上のような特長を活かして、車両用の駆動電源や家庭用のコジェネレーションシステム等への適用ばかりでなく、携帯電話・PDA(Personal Digital Assistants)・ノートパソコン・デジタルカメラやビデオ等の出力が数W〜数十Wの携帯電子機器用の電源としての用途が考えられてきている。
【0004】
PEFCは、大別して、例えば、白金や白金−ルテニウム等の触媒微粒子が付着した炭素電極から成る燃料極(アノード)と、白金等の触媒微粒子が付着した炭素電極から成る空気極(カソード)と、燃料極と空気極との間に介装されたフィルム状の電解質部材(以下、電解質部材と記す)とを有して構成されている。ここで、燃料極には、改質部を介して抽出された水素ガス(H)が供給され、一方、空気極には、大気中の酸素ガス(O)が供給されることにより、電気化学反応により所定の電気エネルギーが生成(発電)され、負荷に対する駆動電源(電圧/電流)となる電気エネルギーが生成される。
【0005】
具体的には、燃料極に水素ガス(H)が供給されると、次の化学反応式(1)に示すように、上記触媒により電子(e)が分離した水素イオン(プロトン;H)が発生し、電解質部材を介して空気極側に通過するとともに、燃料極を構成する炭素電極により電子(e)が取り出されて負荷に供給される。
【0006】
3H → 6H+6e ・・・(1)
一方、空気極に空気が供給されると、次の化学反応式(2)に示すように、上記触媒により負荷を経由した電子(e)と電解質部材を通過した水素イオン(H)と空気中の酸素ガス(O)とが反応して水(HO)が生成される。
【0007】
6H+3/2O+6e → 3HO ・・・(2)
このような一連の電気化学反応(式(1)および式(2))は、概ね80〜100℃の比較的低温の温度条件で進行し、電力以外の副生成物は基本的に水(HO)のみとなる。
【0008】
電解質部材を構成するイオン導電膜(交換膜)は、スルホン酸基を持つポリスチレン系の陽イオン交換膜、フルオロカーボンスルホン酸とポリビニリデンフルオライドとの混合膜、フルオロカーボンマトリックスにトリフルオロエチレンをグラフト化したもの等が知られており、最近ではパーフルオロカーボンスルホン酸膜(例えばナフィオン:商品名、デュポン社製)等が用いられている。
【0009】
図6に、従来の燃料電池(PEFC)の構成を断面図で示す。同図において、21はPEFC、23は電解質部材、24および25は電解質部材を挟持するように電解質部材23上に配置され、ガス拡散層および触媒層としての機能を有する一対の多孔質電極、すなわち燃料極および空気極であり、26はガスセパレータ、28は燃料流路、29は空気流路である。
【0010】
ガスセパレータ26は、ガスセパレータ26の外形を形成する積層部およびガス流入出枠と、燃料流路28と空気流路29とを分離するセパレータ部と、このセパレータ部を貫通するように設けられた、電解質部材23の燃料極24および空気極25に対応するように配置された電極とから構成されている。電解質部材23の燃料極24、空気極25が電気的に直列および/または並列に接続されるようにガスセパレータ26を介して多数積層して電池の最小単位である燃料電池スタックとし、この燃料電池スタックを箱体に収納したものが一般的なPEFC本体である。
【0011】
ガスセパレータ26に形成された燃料流路28を通して燃料極24には改質器から水蒸気を含む燃料ガス(水素に富むガス)が供給され、また、空気極25には空気流路29を通して大気中から酸化剤ガスとして空気が供給され、電解質部材23での化学反応により発電される。
【0012】
〔特許文献1〕
特開2001−266910号公報
〔特許文献2〕
特表2001−507501号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような高電圧・高容量の電池として従来より提案され開発されている燃料電池21は、スタック構造を有し構成要素が大面積化された大重量で大型の電池であり、小型電池としての燃料電池の利用は、従来はほとんど考えられていなかった。
【0014】
すなわち、このような燃料電池21における従来のガスセパレータ26には、これを用いて電解質部材23を積層した積層体において、電解質部材23の側面が外部に露出していることによって、携帯時の落下等により損傷を受けやすく、燃料電池21全体の機械的信頼性を確保し難いという問題点があった。
【0015】
また、携帯電子機器に燃料電池21を搭載するためには、従来の大型燃料電池用容器とは異なった、コンパクト性・簡便性・安全性に優れる燃料電池用容器が必要になる。すなわち、汎用の化学電池のようなポータブル電源として適用するためには、作動温度までの温度上昇を短時間化するために、また熱容量を小さくするために、燃料電池用容器を小型化・低背化する必要があるが、従来の燃料電池21では熱容量の割合の大部分を占めるガスセパレータ26は、特にカーボン板の表面に切削加工で流路形成されるガスセパレータ26の場合など、薄肉化すると脆くなるため、数mmの厚みが必要である。このため、小型化・低背化が困難であるという問題点もあった。
【0016】
さらに、燃料電池21の出力電圧は、電解質部材23の表裏面の各電極24・25に供給されるガスの分圧によって決まる。すなわち、電解質部材23に供給された燃料ガスがガス流路28を進んで発電反応において消費されると、燃料極24の面上の燃料ガスの分圧が下がって出力電圧が下がる。これと同様に、空気も空気流路29を進んで消費されると、空気極25の面上の酸素の分圧が下がって出力電圧が下がる。従って、燃料ガスを均等に供給する必要があるが、従来の燃料電池21のガスセパレータ26は、特にカーボン板の表面に切削加工により流路を形成していることから、薄型化したときには流路の溝が狭くなるため、流路抵抗が大きくなり、均一なガス供給が困難であるという問題点もあった。
【0017】
また、複数の電解質部材23とその対向する燃料極24・空気極25とガスセパレータ26との組み合わせが、任意に効率よく直列接続または並列接続されて、全体の出力電圧および出力電流が調整されるようにする必要があるが、従来の燃料電池21では電解質部材23を挟む燃料極および空気極から電気を取り出すためには、外部に引き出し接続する方法か、もしくはガスセパレータ26を導電性材料として重ね合わせ直列接続する方法しかなく、小型燃料電池においてはそれが困難であるという問題点もあった。
【0018】
本発明は以上のような従来の技術の問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、電解質部材を収納可能な、小型で、堅牢な燃料電池用容器であり、また、ガスの均等供給・燃料電池容器内の温度勾配の均一化・高効率な電気接続を図ることができる信頼性のある燃料電池用容器およびそれを用いた燃料電池を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池用容器は、下側および上側主面にそれぞれ第1および第2電極を有する電解質部材を収容する凹部を上面に有するセラミックスから成る基体と、前記電解質部材の前記下側主面に対向する前記凹部の底面から前記基体の外面にかけて形成された第1流体流路と、前記電解質部材の前記第1電極に対向する前記凹部の底面に一端が配設され、他端が前記基体の外面に導出された第1配線導体と、前記基体の前記凹部の周囲の上面に前記凹部を覆って取着される、前記凹部を気密に封止する蓋体と、前記電解質部材の前記上側主面に対向する前記蓋体の下面から前記蓋体の外面にかけて形成された第2流体流路と、前記電解質部材の前記第2電極に対向する前記蓋体の下面に一端が配設され、他端が前記蓋体の外面に導出された第2配線導体と、前記凹部の底面の前記第1流体流路の開口の周辺および前記蓋体の下面の前記第2流体流路の開口の周辺の少なくとも一方に形成された、前記電解質部材の前記下側主面または前記上側主面を加熱する発熱体とを具備することを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の燃料電池は、上記構成の本発明の燃料電池用容器の前記凹部に電解質部材を収容して、この電解質部材の前記下側および上側主面を前記第1および第2流体流路との間でそれぞれの流体がやりとり可能なように配置するとともに、前記第1および第2電極を前記第1および第2配線導体にそれぞれ電気的に接続し、前記基体の前記凹部の周囲の上面に前記凹部を覆って前記蓋体を取着して成ることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の燃料電池用容器によれば、下側および上側主面にそれぞれ第1および第2電極を有する電解質部材を収容する凹部を上面に有するセラミックスから成る基体と、この基体の凹部の周囲の上面に凹部を覆って取着される、凹部を気密に封止する蓋体とを具備していることから、燃料電池用容器内を気密に封止することで、気体等の流体の漏れがなく、この容器の他にパッケージ等の容器を設ける必要がないので、効率良く動作させることができる燃料電池を得ることができるとともに、小型化にも有効なものとなる。また、凹部を上面に有するセラミックスから成る基体とこの凹部を封止する蓋体とで形成される箱体内に複数の電解質部材を収納して燃料電池とすることができるので、電解質部材が容器の外部に露出して損傷を受けたりすることがなく、燃料電池全体としての機械的信頼性が向上する。また、凹部および蓋体で構成される容器内部に一端が配設された第1および第2配線導体の他には電解質部材自体に無用な電気的接触をしないで済むので、信頼性および安全性の高い燃料電池を得ることができる。さらに、燃料電池用容器の構成材料としてセラミックスを用いたことにより、各種のガスを始めとする流体に対する耐食性に優れる燃料電池を得ることができる。
【0022】
また、電解質部材の下側主面に対向する凹部の底面から基体の外面にかけて形成された第1流体流路と、電解質部材の上側主面に対向する蓋体の下面から蓋体の外面にかけて形成された第2流体流路とを具備していることから、複数のそれぞれの流体流路は、電解質部材を挟んで、それぞれ対向する内壁面に設けられているため、電解質部材へ供給される流体の均一供給性を向上させることができる。このような流体経路によれば、流体が電解質部材に対して垂直に流れるため、例えば、流体が水素ガスと空気(酸素)ガスとの場合に、電解質部材が下側および上側主面にそれぞれ有する第1および第2電極に供給される各ガス分圧が下がることはなく、所定の安定した出力電圧を得ることができるという効果がある。さらに、供給される流体の圧力、例えばガス分圧が安定するため、燃料電池用容器の内部温度の分布が均一化され、その結果、電解質部材に生じる熱応力を抑制することができ、燃料電池の信頼性を向上させることができる。
【0023】
さらにまた、それぞれの流体流路は基体と蓋体とに形成されるため、各流路の密閉性に優れ、本来は流路的に隔絶されるべき2種類の原料流体(例えば酸素ガスと水素ガスもしくはメタノール等)が混合してしまうことによって燃料電池としての機能が発現されなくなるようなことがなく、また、可燃性の流体が高温で混合された後に引火・爆発を起こす危険性もないので、安全な燃料電池を提供することができる。
【0024】
また、凹部の底面の第1流体流路の開口の周辺および蓋体の下面の第2流体流路の開口の周辺の少なくとも一方に形成された、電解質部材の下側主面または上側主面を加熱する発熱体を具備したことにより、従来のガスセパレータと比較して、熱容量が小さく、また電解質部材に近接した領域に発熱体を設置しているため、電解質部材や電極を所望の温度に調整することに対し、応答性と制御性に優れた燃料電池とすることができる。また、効率的な化学反応のためには、電解質部材の温度を概ね80〜100℃に上げることが好ましいが、本発明の燃料電池用容器によれば、上記のような発熱体を具備していることから、燃料の温度を上昇させるための付加装置が不要であり、容易に温度を制御することができ、化学反応の効率を上げることが可能である。特に、メタノールを直接燃料とするDMFC(Direct Methanol Fuel Cell)の燃料電池においては、供給される燃料によって電解質部材が冷却されるため、本発明の燃料電池用容器によれば、内蔵された発熱体が温度制御に特に効果を発揮し、さらには、小型化と携帯性に優れる燃料電池用容器となる。
【0025】
また、空気極にて化学反応式(2)で生成される水が多孔質の電極に滞留すると、空気の供給が妨げられて化学反応の効率が低下するという問題が発生するが、本発明の燃料電池用容器によれば、発熱体を用いて滞留した水を蒸発させることができ、これにより、効率低下を抑制することが可能である。
【0026】
さらには、DMFCでは、燃料極(アノード)において、メタノールが電極のPtに付着して酸化反応を起こす際にCOが発生し、COがPtに吸着することにより電極電位が上がって、結果として取り出せる電位が減ってしまう問題(以下、CO被毒という)があるが、電極を高温にすることによりCOをCOに酸化させることができるので、CO被毒を抑制することが可能である。
【0027】
また、本発明の燃料電池によれば、本発明の燃料電池用容器の凹部に電解質部材を収容して、この電解質部材の下側および上側主面を第1および第2流体流路との間でそれぞれの流体がやりとり可能なように配置するとともに、第1および第2電極を第1および第2配線導体にそれぞれ電気的に接続し、基体の凹部の周囲の上面に凹部を覆って蓋体を取着して成ることから、以上のような本発明の燃料電池用容器による特長を備えた、小型・堅牢で、ガスの均等供給・燃料電池容器内の温度勾配の均一化・高効率な電気接続を図ることができる信頼性のある燃料電池を得ることができる。
【0028】
また、凹部の底面の第1流体流路の開口の周辺および蓋体の下面の第2流体流路の開口の周辺の少なくとも一方に形成された、電解質部材の下側主面または上側主面を加熱する発熱体を具備したことにより、供給される燃料(水素やメタノール)や空気(酸素)の濃度・流量や電解質部材温度や周囲の環境(温度・湿度)に応じて、電解質部材や電極の温度を制御することができ、効率よく化学反応を行ない、電極に滞留した水の除去やCO被毒の回避を行なうことができるので、高い発電効率を有した燃料電池を得ることができる。
【0029】
従って、本発明の燃料電池用容器および燃料電池によれば、コンパクト性・簡便性・安全性に優れ、流体の均等供給・高効率な電気接続により、長期にわたり安定して作動させることができる燃料電池を提供することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0031】
図1は本発明の燃料電池用容器およびそれを用いた燃料電池について実施の形態の一例を示す断面図である。また、図2は、本発明の燃料電池用容器およびそれを用いた燃料電池について実施の形態の一例を示す上面図である。これらの図において、1は燃料電池、2は燃料電池用容器、3は電解質部材、4は第1電極、5は第2電極、6は基体、7は蓋体、8は第1流体流路、9は第2流体流路、10は第1配線導体、11は第2配線導体、12は発熱体である。なお、図2においては、蓋体7を透視した状態で内部の様子を示している。
【0032】
電解質部材3は、板状の固体電解質である例えばイオン導電膜(交換膜)の両主面上に、下側主面に形成された第1電極4および上側主面に形成された第2電極5にそれぞれ対向するように、アノード側電極となる燃料極(図示せず)と、カソード側電極となる空気極(図示せず)とが一体的に形成されている。そして、電解質部材3で発電された電流を第1電極4および第2電極5へ流し、外部へ取り出すことができるものとなっている。
【0033】
このような電解質部材3のイオン導電膜(交換膜)は、パーフルオロカーボンスルフォン酸樹脂、例えばナフィオン(商品名、デュポン社製)等のプロトン伝導性のイオン交換樹脂により構成されている。また、燃料極および空気極は、多孔質状態のガス拡散電極であり、多孔質触媒層とガス拡散層の両方の機能を兼ね備えるものである。これらの燃料極および空気極は、白金・パラジウムあるいはこれらの合金等の触媒を担持した導電性微粒子、例えばカーボン微粒子をポリテトラフルオロエチレンのような疎水性樹脂結合剤により保持した多孔質体によって構成されている。
【0034】
電解質部材3の下側主面の第1電極4および上側主面の第2電極5は、白金や白金−ルテニウム等の触媒微粒子の付いた炭素電極を電解質部材3上にホットプレスする方法、または、白金や白金−ルテニウム等の触媒微粒子の付いた炭素電極材料と電解質材料を分散した溶液との混合物を電解質上に塗布または転写する方法等により形成される。
【0035】
本発明の燃料電池用容器2は、凹部を有する基体6と蓋体7とから成り、電解質部材3を凹部の内部に搭載して気密に封止する役割を持ち、酸化アルミニウム(Al)質焼結体・ムライト(3Al・2SiO)質焼結体・炭化珪素(SiC)質焼結体・窒化アルミニウム(AlN)質焼結体・窒化珪素(Si)質焼結体・ガラスセラミックス焼結体等のセラミックス材料で形成されている。
【0036】
なお、ガラスセラミックス焼結体はガラス成分とフィラー成分とから成るが、ガラス成分としては、例えばSiO−B系,SiO−B−Al系,SiO−B−Al−MO系(但し、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは同一または異なってCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−B−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは前記と同じである),SiO−B−M O系(但し、MはLi,NaまたはKを示す),SiO−B−Al−M O系(但し、Mは前記と同じである),Pb系ガラス,Bi系ガラス等が挙げられる。
【0037】
また、フィラー成分としては、例えばAl,SiO,ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等が挙げられる。
【0038】
燃料電池用容器2は、凹部を有する基体6と蓋体7とから成り、基体6の凹部の周囲に凹部を覆って蓋体7を取着することによって凹部を気密に封止するため、半田や銀ろう等の金属接合材料での接合、エポキシ等の樹脂材料での接合、凹部の周囲の上面に鉄合金等で作られたシールリング等を接合してシームウェルドやエレクトロンビームやレーザ等で溶接する方法等によって、蓋体7が基体6に取着される。なお、蓋体7にも基体6と同様の凹部を形成しておいてもよい。
【0039】
基体6および蓋体7は、それぞれ厚みを薄くし、本発明の燃料電池1の低背化を可能とするためには、機械的強度である曲げ強度が200MPa以上であることが好ましい。
【0040】
基体6および蓋体7は、例えば相対密度が95%以上の緻密質からなる酸化アルミニウム質焼結体で形成されていることが好ましい。その場合であれば、例えば、まず酸化アルミニウム粉末に希土類酸化物粉末や焼結助剤を添加・混合して、酸化アルミニウム質焼結体の原料粉末を調製する。次いで、この酸化アルミニウム質焼結体の原料粉末に有機バインダおよび分散媒を添加・混合してペースト化し、このペーストからドクターブレード法によって、あるいは原料粉末に有機バインダを加え、プレス成形・圧延成形等によって、所定の厚みのグリーンシートを作製する。そして、このグリーンシートに対して、金型による打ち抜き・マイクロドリル・レーザ等により、第1流体流路8および第2流体流路9としての貫通穴、ならびに第1配線導体10および第2配線導体11を配設するための貫通孔を形成する。
【0041】
第1配線導体10および第2配線導体11は、酸化を防ぐために、タングステンもしくはモリブデンまたはこれらの合金で形成されているのが好ましい。その場合であれば、例えば、無機成分としてタングステンもしくはモリブデン粉末100質量部に対して、Alを3〜20質量部,Nbを0.5〜5質量部の割合で添加してなる導体ペーストを調製する。この導体ペーストをグリーンシートの貫通孔内に充填して、貫通導体としてのヴィア導体を形成する。
【0042】
これらの導体ペースト中には、基体6や蓋体7のセラミックスとの密着性を高めるために、酸化アルミニウム粉末や、基体6や蓋体7を形成するセラミックス成分と同一の組成物粉末を、例えば0.05〜2体積%の割合で添加することも可能である。
【0043】
なお、基体6や蓋体7の表層および内層への第1配線導体10および第2配線導体11の形成は、貫通孔へ導体ペーストを充填してヴィア導体を形成する前後あるいはそれと同時に、同様の導体ペーストをグリーンシートに対しスクリーン印刷・グラヴィア印刷等の方法で所定パターンに印刷塗布して形成する。
【0044】
その後、導体ペーストを印刷し充填した所定枚数のシート状成形体を位置合わせして積層圧着した後、この積層体を、例えば非酸化性雰囲気中にて、焼成最高温度が1200〜1500℃の温度で焼成して、目的とするセラミックスの基体6や蓋体7および第1配線導体10・第2配線導体11を得る。
【0045】
また、セラミックスから成る基体6や蓋体7は、その厚みを0.2mm以上とすることが好ましい。厚みが0.2mm未満では、強度が不足しがちなため、基体6に蓋体7を取着したときに発生する応力により、基体6および蓋体7に割れ等が発生しやすくなる傾向がある。他方、厚みが5mmを超えると、薄型化・低背化が困難となるため、小型携帯機器に搭載する燃料電池としては不適切となり、また、熱容量が大きくなるため、電解質部材3の電気化学反応条件に相当する適切な温度にすばやく設定することが困難となる傾向がある。
【0046】
第1配線導体10および第2配線導体11は、それぞれ電解質部材3の第1電極4および第2電極5に電気的に接続されて、電解質部材3で発電された電流を燃料電池用容器2の外部へ取り出すための導電路として機能する。
【0047】
第1配線導体10は、基体6の凹部の底面の電解質部材3の第1電極4に対向する第1流体流路8の開口の周辺に、好ましくは電解質部材3の第1電極4が接触する部位の面の全域に一端が配設され、他端が基体6の外面(図1に示す例では側面)に導出されて形成されている。これにより、電解質部材3の第1電極4の主面の第1流体流路8の開口と対向する部位を除く部位の全域と第1配線導体10とを当接させて直接に接続することができ、電解質部材3の第1電極4と第1配線導体10との接触面積が大きくとれることから電気抵抗の増大化および接触不良を有効に抑えることができ、高い発電効率を有した燃料電池を提供することができる。このような第1配線導体10は、前述のように基体6と一体的に形成され、第1配線導体10を第1電極4に当接させやすいように基体6の凹部の底面より、10μm以上高くするように形成するのが望ましい。この高さを得るためには、前述したように導体ペーストを印刷塗布して形成する際に、印刷条件を厚くするように設定すればよい。また、第1配線導体10は第1電極4に対向させて複数配置し、第1配線導体10による電気損失を減少させるようにしてもよく、第1配線導体10の基体6の貫通部についてはφ50μm以上の径とすることが好ましい。
【0048】
また、第2配線導体11は、蓋体7の下面の電解質部材3の第2電極5に対向する第2流体流路9の開口の周辺に、好ましくは図2に示すように、電解質部材3の第2電極5が接触する部位の面の全域に一端が配設され、他端が蓋体7の外面(図1および図2に示す例では側面)に導出されて形成されている。これにより、電解質部材3の第2電極5の主面の第2流体流路9の開口と対向する部位を除く部位の全域と第2配線導体11とを当接させて直接に接続することができ、電解質部材3の第2電極5と第2配線導体11との接触面積が大きくとれることから電気抵抗の増大化および接触不良を有効に抑えることができ、高い発電効率を有した燃料電池を提供することができる。このような第2配線導体11も、第1配線導体10と同様に、蓋体7と一体的に形成され、第2配線導体11を第2電極5に当接させやすいように蓋体7の凹部の底面より、10μm以上高くするように形成するのが望ましい。この高さを得るためには、前述したように導体ペーストを印刷塗布して形成する際に、印刷条件を厚くするように設定すればよい。また、第2配線導体11は第2電極5に対向させて複数配置し、第2配線導体11による電気損失を減少させるようにしてもよく、第2配線導体11の蓋体7の貫通部についてはφ50μm以上の径とすることが好ましい。
【0049】
これら第1配線導体10および第2配線導体11には、その露出する表面にニッケルから成る良導電性で、かつ耐蝕性およびロウ材との濡れ性が良好な金属をメッキ法により被着させておくと、第1配線導体10および第2配線導体11と、第1配線導体10および第2配線導体11ならびに外部電気回路との電気的接続を良好とすることができる。従って、第1配線導体10および第2配線導体11は、その露出する表面にニッケルから成る良導電性で、かつ耐蝕性およびロウ材との濡れ性が良好な金属をメッキ法により被着させておくことが好ましい。
【0050】
そして、これら第1および第2配線導体10・11と第1および第2電極4・5との電気的な接続は、基体6と蓋体7とで電解質部材3を挟み込むことによって、第1および第2配線導体10・11と第1および第2電極4・5とを圧着接触させて電気的接続させる等の構成によって行なえばよい。
【0051】
また、第1電極4および第2電極5に対向する基体6の凹部の底面および蓋体7の下面には、それぞれ第1流体流路8および第2流体流路9が配置されており、第1流体流路8は基体6の外面にかけて、また第2流体流路9は蓋体7の外面にかけて形成されている。これら第1および第2流体流路8・9は、それぞれ基体6や蓋体7に形成した貫通穴あるいは溝によって、燃料ガス例えば水素に富む改質ガス、あるいは酸化剤ガス例えば空気等の、電解質部材3へ供給される流体の通路として、あるいは反応で生成される水等の、反応後に電解質部材3から排出される流体の通路として設けられている。
【0052】
第1流体流路8および第2流体流路9として基体6および蓋体7に形成される貫通穴あるいは溝は、電解質部材3に均等に燃料ガスや酸化剤ガス等の流体が供給されるように、燃料電池1の仕様に応じて、貫通穴の径や数、あるいは溝の幅・深さ・配置を決めればよい。
【0053】
本発明の燃料電池用容器2および燃料電池1においては、第1流体流路8および第2流体流路9は、好適には、電解質部材3に均一な圧力で流体を流すため、φ0.1mm以上の穴径とし、間隔を一定にして配置するようにするとよい。
【0054】
このように電解質部材3の第1電極4が形成された下側主面に対向させて第1流体流路8を、第2電極5が形成された上側主面に対向させて第2流体流路9を形成したことによって、電解質部材3の下側および上側主面と第1および第2流体流路8・9との間で流体がやりとり可能となり、その流体がそれぞれの流路を通して供給あるいは排出されることとなる。そして、例えば流体としてガスを供給する場合であれば、電解質部材3の第1電極4および第2電極5にそれぞれ供給されるガス分圧が下がることをなくすことができ、所定の安定した出力電圧を得ることができる。さらに、供給されるガス分圧が安定するため、燃料電池1の内部圧力が均一化され、その結果、電解質部材3に生じる熱応力を抑制することができるので、燃料電池1の信頼性を向上させることができる。
【0055】
また、発熱体12は、基体6の凹部の底面の第1流体流路8の開口の周辺および蓋体7の下面の第2流体流路9の開口の周辺の少なくとも一方に、電解質部材3の下側主面または上側主面を加熱するように形成されている。発熱体12のパターンとしては、基体6の凹部の底面の第1流体流路8の開口の周辺および蓋体7の下面の第2流体流路9の開口の周辺に、図2に示すような直線状の帯状のもの、あるいは円弧状の帯状のもの、同心円状のものや渦巻き状のものなど、電解質部材3を均一に加熱できるパターン形状であれば種々の形状のパターンとすることができる。また、均熱性を改善するため、発熱体12を複数のパターンに分割することも可能である。
【0056】
発熱体12には、金や銀,パラジウム,白金族の金属またはこれらの合金や、タングステン,チタン,窒化チタン,ニッケル等の高融点金属を使用することができる。また、発熱体12には、金や銀,パラジウム,白金等の材質から成る給電部(図示せず)が形成され、この給電部に導通端子を押圧して接触させることにより、導通が確保されている。
【0057】
さらに、電解質部材3の温度を変更したり、電解質部材3の温度が変動した場合に、発熱体12の給電部に供給する電流量を制御することにより、電解質部材3に温度むらが発生することを防止し、さらには、電解質部材3の温度分布を均一にすることが可能となる。
【0058】
以上の構成により、図1に示すような、電解質部材3を収納可能な、小型で堅牢な本発明の燃料電池用容器2が得られ、高効率制御が可能な本発明の燃料電池1が得られる。
【0059】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更を行なっても何ら差し支えない。例えば、図示していないが、電解質部材3の下側主面または上側主面を加熱する発熱体12と基体6および蓋体7の外面との間に、多孔質のセラミック等の断熱部材や、空気や真空状態の中空部を断熱層として設けてもよい。これにより、作動温度までの温度上昇を短時間化でき、電解質部材3の温度制御をさらに効率的に行なうことが可能となる。さらに、燃料電池用容器2の表面の温度上昇を抑制することが可能となるので、携帯電子機器に燃料電池1を搭載するのに必要な、コンパクト性・簡便性・安全性に優れるものとなる。
【0060】
また、図3および図4に本発明の燃料電池用容器およびそれを用いた燃料電池の実施の形態の他の例を図1と同様の断面図および図2と同様の上面図で示すように、第1流体流路8’や第2流体流路9’については、燃料電池1’全体を薄型化するため、基体6’または蓋体7’の側面からの流入口を設けるようにしてもよい。これによれば、特に携帯電子機器用として小型化を図る上で有効となり、さらには、流体流路8’・9’を流れる空気の流速を速くすることで、空気極にて滞留した水を発熱体12’にて蒸発させるのと同時に、空気にて蒸気を除去させることが可能となり、さらに効果がある燃料電池用容器2’および燃料電池1’を得ることができる。
【0061】
さらに、第1および第2配線導体10’・11’については、基体6’および蓋体7’の外面に導出される他端を、それぞれ同じ側の側面に引き出すように配設してもよい。これによれば、燃料電池1’の一方側面に配線や流路等をまとめることができ、小型化と外部への接合部の保護とが容易となり、信頼性の高い設計が可能となるとともに、長期間安定した作動が可能な燃料電池1’となる。
【0062】
さらにまた、基体6’の凹部の内部には、複数の電解質部材3を収容してこれらを第1および第2配線導体10’・11’により電気的に接続して全体として高電圧あるいは大電流の出力を得るようにしてもよい。
【0063】
また、図5に本発明の燃料電池用容器およびそれを用いた燃料電池の実施の形態のさらに他の例を図1と同様の断面図で示すように、複数の凹部を有する基体6’’の凹部のそれぞれに電解質部材3を収容するとともに、隣接する凹部の端部間にわたって基体6’’に第3配線導体13を、および蓋体7’’に第4配線導体14を配設してこれらを電気的に接続することによって複数の電解質部材3の第1電極4の間または第1電極4と第2電極5との間を電気的に接続し、これら第3配線導体13および第4配線導体14により直列に接続された両端となる位置に配置された電解質部材3に全体としての出力を取り出すように第1配線導体10’’および第2配線導体11’’をそれぞれに電気的に接続するようにしてもよい。これによれば、第1〜第4配線導体10’’・11’’・13・14により3次元的に自由に配線ができるため、複数の電解質部材3を任意に直列接続することができ、また図示していないが、並列接続することも可能である。そのため、全体の出力電圧および出力電流を効率よく調整することが可能となるため、電解質部材3にて電気化学的に生成された電気を良好に外部に取り出すことができる燃料電池用容器2’’および燃料電池1’’となる。
【0064】
【発明の効果】
本発明の燃料電池用容器によれば、下側および上側主面にそれぞれ第1および第2電極を有する電解質部材を収容する凹部を上面に有するセラミックスから成る基体と、この基体の凹部の周囲の上面に凹部を覆って取着される、凹部を気密に封止する蓋体とを具備していることから、燃料電池用容器内を気密に封止することで、気体等の流体の漏れがなく、この容器の他にパッケージ等の容器を設ける必要がないので、効率良く動作させることができる燃料電池を得ることができるとともに、小型化にも有効なものとなる。また、凹部を上面に有するセラミックスから成る基体とこの凹部を封止する蓋体とで形成される箱体内に複数の電解質部材を収納して燃料電池とすることができるので、電解質部材が容器の外部に露出して損傷を受けたりすることがなく、燃料電池全体としての機械的信頼性が向上する。また、凹部および蓋体で構成される容器内部に一端が配設された第1および第2配線導体の他には電解質部材自体に無用な電気的接触をしないで済むので、信頼性および安全性の高い燃料電池を得ることができる。さらに、燃料電池用容器の構成材料としてセラミックスを用いたことにより、各種のガスを始めとする流体に対する耐食性に優れる燃料電池を得ることができる。
【0065】
また、電解質部材の下側主面に対向する凹部の底面から基体の外面にかけて形成された第1流体流路と、電解質部材の上側主面に対向する蓋体の下面から蓋体の外面にかけて形成された第2流体流路とを具備していることから、複数のそれぞれの流体流路は、電解質部材を挟んで、それぞれ対向する内壁面に設けられているため、電解質部材へ供給される流体の均一供給性を向上させることができる。このような流体経路によれば、流体が電解質部材に対して垂直に流れるため、例えば、流体が水素ガスと空気(酸素)ガスとの場合に、電解質部材が下側および上側主面にそれぞれ有する第1および第2電極に供給される各ガス分圧が下がることはなく、所定の安定した出力電圧を得ることができるという効果がある。さらに、供給される流体の圧力、例えばガス分圧が安定するため、燃料電池用容器の内部温度の分布が均一化され、その結果、電解質部材に生じる熱応力を抑制することができ、燃料電池の信頼性を向上させることができる。
【0066】
さらにまた、それぞれの流体流路は基体と蓋体とに形成されるため、各流路の密閉性に優れ、本来は流路的に隔絶されるべき2種類の原料流体(例えば酸素ガスと水素ガスもしくはメタノール等)が混合してしまうことによって燃料電池としての機能が発現されなくなるようなことがなく、また、可燃性の流体が高温で混合された後に引火・爆発を起こす危険性もないので、安全な燃料電池を提供することができる。
【0067】
また、凹部の底面の第1流体流路の開口の周辺および蓋体の下面の第2流体流路の開口の周辺の少なくとも一方に形成された、電解質部材の下側主面または上側主面を加熱する発熱体を具備したことにより、従来のガスセパレータと比較して、熱容量が小さく、また電解質部材に近接した領域に発熱体を設置しているため、電解質部材や電極を所望の温度に調整することに対し、応答性と制御性に優れた燃料電池とすることができる。また、燃料の温度を上昇させるための付加装置が不要であり、容易に温度を制御することができ、化学反応の効率を上げることが可能である。特に、メタノールを直接燃料とするDMFC(Direct Methanol Fuel Cell)の燃料電池においては、供給される燃料によって電解質部材が冷却されるため、本発明の燃料電池用容器によれば、内蔵された発熱体が温度制御に特に効果を発揮し、さらには、小型化と携帯性に優れる燃料電池用容器となる。
【0068】
また、発熱体を用いて、空気極にて生成して多孔質の電極に滞留した水を蒸発させることができ、これにより、効率低下を抑制することが可能である。
【0069】
さらには、燃料極(アノード)におけるCO被毒の問題を、電極を高温にすることによりCOをCOに酸化させることができるので、抑制することが可能である。
【0070】
また、本発明の燃料電池によれば、本発明の燃料電池用容器の凹部に電解質部材を収容して、この電解質部材の下側および上側主面を第1および第2流体流路との間でそれぞれの流体がやりとり可能なように配置するとともに、第1および第2電極を第1および第2配線導体にそれぞれ電気的に接続し、基体の凹部の周囲の上面に凹部を覆って蓋体を取着して成ることから、電解質部材が露出して損傷を受けることがなく、また、凹部および蓋体で構成される容器の内部に一端が配設された第1および第2配線導体の他には電解質部材に無用な電気的接触をしないで済むので、信頼性および安全性の高い燃料電池を得ることができる。
【0071】
また、本発明の燃料電池によれば、第1および第2流体流路は、電解質部材を挟んで、それぞれ容器の対向する内壁面である基体の凹部の底面および蓋体の下面に設けられているため、電解質部材へ供給されるガスの均一供給性を向上させることができ、電解質部材の第1および第2電極に供給されるガス分圧が下がることをなくすことができるので、所定の安定した出力電圧を得ることができる。そして、電解質部材に生じる応力も抑制することができ、信頼性を向上させることができる。
【0072】
さらに、供給される燃料(水素やメタノール)や空気(酸素)の濃度・流量や電解質部材温度や周囲の環境(温度・湿度)に応じて、電解質部材や電極の温度を制御することで、効率よく化学反応を行い、電極に滞留した水の除去、CO被毒の回避を行うことができるので、高い発電効率を有した燃料電池を得ることができる。
【0073】
また、凹部の底面の第1流体流路の開口の周辺および蓋体の下面の第2流体流路の開口の周辺の少なくとも一方に形成された、電解質部材の下側主面または上側主面を加熱する発熱体を具備したことにより、供給される燃料(水素やメタノール)や空気(酸素)の濃度・流量や電解質部材温度や周囲の環境(温度・湿度)に応じて、電解質部材や電極の温度を制御することができ、効率よく化学反応を行ない、電極に滞留した水の除去やCO被毒の回避を行なうことができるので、高い発電効率を有した燃料電池を得ることができる。
【0074】
従って、本発明の燃料電池用容器および燃料電池によれば、コンパクト性、簡便性・安全性に優れ、ガスの均等供給・高効率な電気接続により、長期にわたり安定して作動させることができる燃料電池を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池用容器およびそれを用いた本発明の燃料電池の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の燃料電池用容器およびそれを用いた本発明の燃料電池の実施の形態の一例を示す上面図である。
【図3】本発明の燃料電池用容器およびそれを用いた本発明の燃料電池の実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明の燃料電池用容器およびそれを用いた本発明の燃料電池の実施の形態の他の例を示す上面図である。
【図5】本発明の燃料電池用容器およびそれを用いた本発明の燃料電池の実施の形態のさらに他の例を示す断面図である。
【図6】従来の燃料電池の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1、1’、1’’:燃料電池
2、2’、2’’:燃料電池用容器
3:電解質部材
4:第1電極
5:第2電極
6、6’、6’’:基体
7、7’、7’’:蓋体
8、8’、8’’:第1流体流路
9、9’、9’’:第2流体流路
10、10’、10’’:第1配線導体
11、11’、11’’:第2配線導体
12、12’、12’’:発熱体
13:第3配線導体
14:第4配線導体

Claims (2)

  1. 下側および上側主面にそれぞれ第1および第2電極を有する電解質部材を収容する凹部を上面に有するセラミックスから成る基体と、前記電解質部材の前記下側主面に対向する前記凹部の底面から前記基体の外面にかけて形成された第1流体流路と、前記電解質部材の前記第1電極に対向する前記凹部の底面に一端が配設され、他端が前記基体の外面に導出された第1配線導体と、前記基体の前記凹部の周囲の上面に前記凹部を覆って取着される、前記凹部を気密に封止する蓋体と、前記電解質部材の前記上側主面に対向する前記蓋体の下面から前記蓋体の外面にかけて形成された第2流体流路と、前記電解質部材の前記第2電極に対向する前記蓋体の下面に一端が配設され、他端が前記蓋体の外面に導出された第2配線導体と、前記凹部の底面の前記第1流体流路の開口の周辺および前記蓋体の下面の前記第2流体流路の開口の周辺の少なくとも一方に形成された、前記電解質部材の前記下側主面または前記上側主面を加熱する発熱体とを具備することを特徴とする燃料電池用容器。
  2. 請求項1記載の燃料電池用容器の前記凹部に電解質部材を収容して、該電解質部材の前記下側および上側主面を前記第1および第2流体流路との間でそれぞれの流体がやりとり可能なように配置するとともに、前記第1および第2電極を前記第1および第2配線導体にそれぞれ電気的に接続し、前記基体の前記凹部の周囲の上面に前記凹部を覆って前記蓋体を取着して成ることを特徴とする燃料電池。
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