【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐ブロッキング性、密着性に優れ、且つエフロ発生を十分に防止できる窯業系無機基材用オートクレーブ養生前シーラー、及び及びこれを用いた窯業系無機基材の塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物の屋根葺材、壁材等の建材は、セメント成分を主成分とする無機基材を板状に成形した後、一次養生し、オートクレーブ養生前シーラーを塗布、乾燥後、オートクレーブ養生、切削加工、プレヒートを行った後、セカンドシーラー塗装、次いで乾燥を行うことによりシーラー塗装板を製造、もしくは上記プレヒート後に、セカンドシーラー塗装、乾燥、上塗り塗装、乾燥を順次行うことにより上塗り塗装板が製造されている。
【0003】
上記オートクレーブ養生前シーラーは、主に、耐防黴性、耐塩害性、耐候性、耐エフロレッセンス性、セカンドシーラー塗膜との密着性等の性能を向上させるために使用されている。このオートクレーブ養生前シーラーとして、従来、フミン酸水溶液や熱可塑性アクリル樹脂エマルションが使用されていたが、フミン酸水溶液はセカンドシーラー塗膜との付着性が劣るといった欠点があり、また熱可塑性アクリル樹脂エマルションはオートクレーブ養生(通常、160〜170℃、8〜9Kgf/cm2、4〜8時間、水蒸気存在下)の際に基材同士が互いに付着してブロッキングするために取り扱いが困難となるといった欠点があった。
【0004】
そこで本出願人は、基材への浸透性が良好で且つ架橋性官能基を有する水溶性樹脂を含む水性シーラーを提案した(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この水性シーラーによれば、耐水性、耐ブロッキング性、耐エフロレッセンスに優れた被膜の形成が可能である。
【0005】
一方、上記無機建材の基材は、従来、低廉で、耐火性、補強性に優れるアスベスト(石綿)をセメントに混ぜて平板や波板状に成形されていた。ところが、このアスベストは、発ガン原因物質の有力候補の1つに挙げられており、近年、アスベストを含まない建材(石綿非含有建材)へと移行しつつある。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−204285号公報
【特許文献2】
WO00/07960号パンフレット
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらアスベストを含まない建材用基材では、強度確保のためにセメント含有量が増大するため、従来に比べてエフロ発生が著しくなり、上述のような従来のオートクレーブ養生前シーラーではこのエフロ発生を十分防止することができないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、耐ブロッキング性を損なうことなく、エフロ発生を十分に防止できる窯業系無機基材用オートクレーブ養生前シーラー、及び及びこれを用いた窯業系無機基材の塗装方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意研究した結果、特定のコア/シェルエマルションを主成分とするシーラーをオートクレーブ養生前シーラーとして1次養生板に塗布することによって、耐ブロッキング性に優れ、且つエフロ発生を十分に防止でき、さらに基材及び上塗り層との密着性にも非常に優れることを見出し本発明に到達した。
【0010】
即ち、本発明は、
1.水及び乳化剤の存在下、アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマ−0.01〜20重量%及びその他の重合性不飽和モノマー80〜99.99重量%からなるモノマ−混合物を乳化重合して得られるアクリル共重合体(i)の存在下に、さらにアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー0.01〜20重量%、水酸基含有重合性不飽和モノマー0〜10重量%、シクロアルキル基含有重合性不飽和モノマ−0〜70重量%及びその他の重合性不飽和モノマー0〜99.99重量%からなるモノマ−混合物を加えて乳化重合して得られるアクリル共重合体(ii)を含むコア/シェルエマルションであって、共重合体(i)のガラス転移温度(TgA)が−40〜30℃であり、共重合体(ii)のガラス転移温度(TgB)が35〜100℃であって、該TgBがTgAより少なくとも20℃以上高いコア/シェルエマルションを主成分とする窯業系無機基材用オートクレーブ養生前シーラー、
2.アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマ−が、ビニルトリエトキシシランである1項記載のオートクレーブ養生前シーラー、
3.窯業系無機基材の1次養生板に、1又は2項記載のオートクレーブ養生前シーラーを塗布した後、オートクレーブ養生を行ない、次いで上塗り塗装を行なう窯業系無機基材の塗装方法であって、オートクレーブ養生前シーラーを塗布する前に1次養生板を予備加熱する、及び/又はオートクレーブ養生前シーラーを塗布した後に乾燥してからオートクレーブ養生を行なう窯業系無機基材の塗装方法、
4.オートクレーブ養生後に、上塗り塗装を行なう3項記載の窯業系無機基材の塗装方法、
5.3又は4項記載の塗装方法によって得られる窯業系無機建材。、
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において主成分として使用されるコア/シェルエマルションは、水及び乳化剤の存在下、アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマ−及びその他の重合性不飽和モノマーからなるモノマ−混合物を乳化重合して得られるアクリル共重合体(i)の存在下に、さらにアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー、必要に応じて水酸基含有重合性不飽和モノマー、シクロアルキル基含有重合性不飽和モノマ−及びその他の重合性不飽和モノマーからなるモノマ−混合物を加えて乳化重合して得られるアクリル共重合体(ii)を含むコア/シェル型のエマルションである。
【0012】
アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマ−としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリブトキシシランなどを挙げられ、これらは1種又は2種以上用いることができる。
【0013】
尚、本明細書において「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を表す。
【0014】
水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物、該多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物にε− カプロラクトンを開環重合した化合物などが挙げられ、これらは1種又は2種以上用いることができる。
【0015】
シクロアルキル基含有重合性不飽和モノマ−としては、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上用いることができる。
【0016】
その他の重合性不飽和モノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドメチルエーテル、N−メチロールアクリルアミドブチルエーテルなどの(メタ)アクリルアミド又はその誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどの紫外線吸収性もしくは紫外線安定性重合性不飽和モノマーなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上用いることができる。
【0017】
本発明に使用されるコア/シェルエマルションは、アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマ−0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、その他の重合性不飽和モノマー80〜99.99重量%、好ましくは90〜99.9重量%からなるモノマ−混合物を乳化重合して得られるアクリル共重合体(i)の存在下に、アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマ−0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、水酸基含有重合性不飽和モノマー0〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、シクロアルキル基含有重合性不飽和モノマ−0〜70重量%、好ましくは5〜50重量%、その他の重合性不飽和モノマー0〜99.99重量%、好ましくは35〜93.9重量%からなるモノマ−混合物を加えて乳化重合して得られるアクリル共重合体(ii)を含むコア/シェルエマルションである。
【0018】
コア成分となる上記アクリル共重合体(i)においては、アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマ−の共重合量が上記範囲をはずれると、得られる塗膜の耐水性や耐ブロッキンング性等に不具合を生じるので好ましくない。また該アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマ−のアルコキシ基は、エトキシ基であることが特に反応性と塗料の貯蔵性のバランスの点から好適である。特にアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマ−としてビニルトリエトキシシランを用いると、貯蔵安定性、エマルション合成時の重合安定性のバランスが良いので好ましい。
【0019】
一方、シェル成分となる上記アクリル共重合体(ii)においては、アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマ−の共重合量が上記範囲をはずれると、得られる塗膜の耐水性や基材との密着性、エマルション合成時の重合安定性等に不具合を生じるので好ましくない。また水酸基含有重合性不飽和モノマ−やシクロアルキル基含有重合性不飽和モノマ−の共重合量が上記範囲をはずれると、エマルションの重合安定性や得られる塗膜の耐水性、基材との密着性等に不具合を生じるので好ましくない。
【0020】
上記コア/シェルエマルションにおいて、コア部とシェル部との重量比は10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20の範囲内であることが適当である。この範囲を外れてコア部が少ないと塗膜の造膜性が低下し、コア部が多くなると塗膜の耐ブロッキング性が低下するので好ましくない。
【0021】
上記コア/シェルエマルションの乳化重合時に用いられる乳化剤としては、所望の特性等に応じて、例えば、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤;ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性乳化剤が挙げられ、さらにラジカル重合性二重結合を有するアニオン性又はカチオン性の反応性乳化剤が挙げられる。該反応性乳化剤としては、(メタ)アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のラジカル重合性不飽和基とポリオキシアルキレン基とを有するスルホン酸ナトリウム塩やスルホン酸アンモニウム塩が例示でき、市販品としては「ラテムル」(商品名、花王(株)製)、「エレミノール」(商品名、三洋化成(株)製)、「アクアロン」(商品名、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
【0022】
上記コア/シェルエマルションにおいては、アクリル共重合体(i)のガラス転移温度(TgA)が−40〜30℃、好ましくは−30〜20℃であり、アクリル共重合体(ii)のガラス転移温度(TgB)が35〜100℃、好ましくは40〜80℃であって、該TgBがTgAより少なくとも20℃以上、好ましくは30℃以上高いことが必須である。
【0023】
上記TgAが−40℃未満では、耐ブロッキング性が不良となる恐れがあり、30℃を超えると、造膜性や低温物性(凍結融解試験)などが低下するので好ましくない。またTgBが35℃未満では、耐ブロッキング性が不良となる恐れがあり、100℃を超えると、造膜性や低温物性(凍結融解試験)などが低下するので好ましくない。さらに該TgBがTgAより少なくとも20℃未満では、耐ブロッキング性と造膜性や低温物性が両立しないので好ましくない。
【0024】
本明細書において、共重合体のガラス転移温度(℃)は、下記式によって算出すること
ができる。
【0025】
1/Tg(゜K)=(W1/T1)+(W2/T2)+・・
Tg(℃)=Tg(゜K)−273
各式中、W1、W2、・・は共重合に使用されたモノマーのそれぞれの重量%、T1、T2、・・はそれぞれ単量体のホモポリマ−のTg(゜K)を表わす。なお、T1、T2、・・は、Polymer Hand Book(Scond Edition,J.Brandup・E.H.Immergut 編)による値である。また、モノマーのホモポリマーのTgが明確でない場合のガラス転移温度(℃)は、静的ガラス転移温度とし、例えば示差走査熱量計「DSC−50Q型」(島津製作所製、商品名)を用いて、試料を測定カップにとり、真空吸引して完全に溶剤を除去した後、3℃/分の昇温速度でー100℃〜+100℃の範囲で熱量変化を測定し、低温側の最初のベースラインの変化点を静的ガラス転移温度とした。
【0026】
本発明の窯業系無機基材用オートクレーブ養生前シーラーは、上記コア/シェルエマルションを主成分とするものであり、必要に応じて増粘剤、表面調整剤、造膜助剤、着色顔料、体質顔料、充填剤、硬化触媒、消泡剤、有機溶剤などを含有することができる。
【0027】
本発明のシーラーの固形分は、通常、1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%の濃度で使用される。固形分が1重量%未満になると塗装膜厚を確保するために塗装回数が多くなるので塗装作業性が悪くなり、一方40重量%を越えると基材に対する浸透性が劣るため耐ブロッキング性が悪くなる。
【0028】
本発明の塗装方法は、窯業系無機基材の1次養生板に、上述の通り得られる本発明のオートクレーブ養生前シーラーを塗布した後、オートクレーブ養生を行ない、次いで上塗り塗装を行なうものである。
【0029】
上記無機基材としては、例えば、セメント系、珪酸カルシウム系、石膏等の無機質材料を主成分とする無機質多孔質基材(例えば、珪酸カルシウム板、石綿セメント板、木片セメント板、パルプセメント板、軽量気泡コンクリート板等の建築材料、構造材料、土木材料、あるいは工業材料として使用されているもの)が包含される。特にアスベストを含まない建材(石綿非含有建材)が好適である。
【0030】
上記オートクレーブ養生前シーラーの塗装方法は、特に制限なしに従来から公知の塗装方法、例えば、ローラー、刷毛、スプレー、浸漬、シャワーコーター、フローコーター(カーテンフローコーターなど)等の方法で行うことができる。上記シーラーの塗布量(固形分換算)は、1〜1000g/m2、好ましくは5〜500g/m2の範囲である。塗布量が1g/m2未満になると耐エフロレッセンス性が低下し、一方1000g/m2を越えると耐ブロッキング性等が低下するので好ましくない。
【0031】
本発明では、上記オートクレーブ養生前シーラーを塗布する前に1次養生板を予備加熱(プレヒート)しておく、及び/又は上記オートクレーブ養生前シーラーを塗布した後、乾燥(アフターヒート)してからオートクレーブ養生を行なうことが耐ブロッキング性の点から必須である。プレヒート及びアフターヒートは、どちらか一方だけでも良いが両方行われることが特に望ましい。
【0032】
上記シーラーのプレヒート及びアフターヒートは、例えば、基材が1次養生などにより加熱されている場合にはその1次養生による基材の余熱(約60℃)により乾燥を行うことが好ましい。また、基材が余熱されていない場合には、基材の種類によって異なるが、通常約20〜200℃、約3秒〜60分間の範囲で乾燥を行うことが好ましい。該乾燥において、特に基材の余熱による乾燥は、基材が暖まった状態でシーラーが塗装されるため基材に対する浸透性が優れるので架橋が基材内部にまで行き渡るので耐水性、耐エフロレッセンス性、耐ブロッキング性等の性能が優れるといった利点がある。
【0033】
オートクレーブ養生は、特に制限なしに窯業系基材で採用されている条件で行うことができる。通常は約160〜170℃、約8〜9Kgf/cm2、約4〜8時間、水蒸気存在下で行われる。
【0034】
上塗り塗装には従来から公知の上塗り塗料を特に制限なしに使用することができる。上塗り塗料としては、例えばアクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、塩化ビニル樹脂系、繊維素樹脂系、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素樹脂系及びこれらの2種以上の変性樹脂やブレンド樹脂等を使用することができる。また、上塗り塗料はラッカータイプもしくは架橋タイプのものいずれにおいても使用することができる。上塗としては上記樹脂系の塗料を顔料化した塗料を塗布する場合と、さらにその上に顔料の入らないクリア塗料を塗布する場合があるが、何れの場合でも本発明のシーラーを下塗りとして使用することができる。また、上塗り塗料は水性、有機溶剤系、無溶剤系のいずれの塗料形態であっても構わない。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
【0036】
共重合体エマルション(A)の製造
製造例1
温度計、サーモスタット、攪拌器、還流冷却器、及び滴下装置を備えた容量2リットルの反応容器に、脱イオン水50部、「アクアロンHS−1025」(商品名、第一工業製薬社製、反応性乳化剤)0.05部を仕込み、85℃まで昇温した。別容器に、脱イオン水38部、「アクアロンHS−1025」3部、重合開始剤としてペルオキソ硫酸アンモニウム0.15部を添加し、よく攪拌後、その中に下記モノマー混合物を加えて攪拌しモノマー乳化物(1)を得た。
【0037】
シクロヘキシルメタクリレート 10 部
スチレン 18 部
i−ブチルメタクリレート 20 部
2−エチルヘキシルアクリレート 20.6部
ビニルトリエトキシシラン 0.7部
メタクリル酸 0.7部
【0038】
この乳化物(1)を3時間かけて反応容器に滴下した。次いで別容器に、脱イオン水16部、「アクアロンHS−1025」1.5部、ペルオキソ硫酸アンモニウム0.05部を添加し、よく攪拌後、その中に下記モノマー混合物を加えて攪拌しモノマー乳化物(2)を得た。
【0039】
シクロヘキシルメタクリレート 8.4部
スチレン 16 部
i− ブチルメタクリレート 2 部
2−エチルヘキシルアクリレート 2 部
ビニルトリエトキシシラン 0.3部
ヒドロキシエチルメタクリレート 1 部
メタクリル酸 0.3部
【0040】
前記モノマー乳化物(1)の滴下終了後、その中に上記モノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、その後85℃で2時間熟成した後、40℃まで冷却して、乳白色の共重合体エマルション(A−1)を得た。得られた共重合体エマルション(A−1)の固形分は47.7%、コア/シェルエマルション粒子の平均粒子径は130nmであった。
【0041】
製造例2〜6
製造例1において、モノマー乳化物(1)及びモノマー乳化物(2)に用いた各モノマー組成を後記表1に示す通りとする以外は、製造例1と同様にして共重合体エマルション(A−2)〜(A−6)を得た。尚、製造例3では乳化剤として「アクアロンHS−1025」(商品名、第一工業製薬社製、反応性乳化剤)の代わりに「ニューコール707SF」(商品名、日本乳化剤社製、非反応性乳化剤)を同量用いて行なった。
【0042】
【表1】
【0043】
製造例7
温度計、サーモスタット、攪拌器、還流冷却器、及び滴下装置を備えた容量1リットルの反応容器に脱イオン水50部、アクアロンHS−1025(商品名、第一工業製薬社製、反応性乳化剤)0.05部を仕込み、85℃まで昇温した。別容器に、脱イオン水54部、アクアロンHS−1025(商品名、第一工業製薬社製、反応性乳化剤)4.5部、重合開始剤としてペルオキソ硫酸アンモニウム0.2部を添加し、よく攪拌後、その中に下記モノマー混合物を加えて攪拌しモノマー乳化物(1)を得た。
【0044】
シクロヘキシルメタクリレート 18.4部
スチレン 34 部
i−ブチルアクリレート 22 部
2−エチルヘキシルアクリレート 22.6部
ビニルトリエトキシシラン 1 部
ヒドロキシメチルメタクリレート 1 部
メタクリル酸 1 部
【0045】
この乳化物(1)を3時間かけて反応容器に滴下した。モノマー乳化物(1)を滴下終了後は、さらに1時間熟成し、乳白色の共重合体(A−7)を得た。得られた共重合体エマルション(A−7)の固形分は47.9%、エマルション粒子の平均粒子径は130nmであった。
【0046】
硬化型樹脂水溶液の製造(比較用)
製造例8
温度計、攪拌機、冷却器及び滴下ロートを備えた300ccの4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル100部を入れ、80〜90℃に昇温させ、このものにメチルメタクリレート30部、n−ブチルアクリレート30部、スチレン13部、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド10部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10部、アクリル酸7部及びアゾビスイソブチロニトリル1部の混合液を3時間にわたり滴下した。その後同温度で1時間熟成した後、アゾビスブチロニトリル1部を追加触媒として配合し、更に2時間熟成して、樹脂固形分50%、樹脂酸価56mgKOH/g、樹脂の数平均分子量約6000の共重合体溶液を得た。
【0047】
次いで、得られた溶液にトリエチルアミンの中和剤を0.9当量配合し攪拌混合した後、固形分が約20%になるまで脱イオン水を徐々に滴下混合攪拌して樹脂水溶液(A−8)を製造した。
【0048】
顔料ペーストの作成
「BYK−190」(ビックケミー社製、商品名、分散用樹脂)2部、脱イオン水50部、チタン白50部及びタルク50部を混合し、これをペイントシェーカーにて分散処理して固形分67%の顔料ペーストを作成した。
【0049】
水性シーラーの作成
実施例1〜5及び比較例1〜3
上記製造例1〜7で得られた共重合体エマルションなどを、後記表2に示す配合にて攪拌混合した後、アンモニア0.1部を加えてpHを約8〜9に調整し、さらに脱イオン水を適量加えて固形分30%の各水性シーラーを得た。尚、表2の配合は固形分表示である。
【0050】
また比較例4の水性シーラーとして、上記製造例8で得た樹脂水溶液(A−8)をそのまま使用した。
【0051】
【表2】
【0052】
塗 装
実施例6〜9及び比較例5〜8
アスベストを含まない1次養生板を、予め100℃で5分間加熱(プレヒート)し、次いで表面に上記の通り作成した実施例1〜4及び比較例1〜4の各水性シーラーを表3の組み合わせで、塗布量が50g/m2(固形分量)になるようにスプレー塗装した。これらをさらに100℃で5分間乾燥(アフターヒート)して各塗装板を得た。次いでこれらを170℃×4時間の条件でオートクレーブにて養生を行なって各オートクレーブ養生板を得た。これらを下記性能試験に供した。結果を表3に併せて示す。
【0053】
実施例10
実施例6において、プレヒートをしない以外は実施例6と同様に行ない、オートクレーブ養生前の塗装板と、オートクレーブ養生板を得た。これを下記性能試験に供した。結果を表3に示す。
【0054】
実施例11
実施例6において、アフターヒートをしない以外は実施例6と同様に行ない、オートクレーブ養生前の塗装板と、オートクレーブ養生板を得た。これを下記性能試験に供した。結果を表3に示す。
【0055】
比較例9
実施例6において、プレヒート及びアフターヒートの両方をしない以外は実施例6と同様に行ない、オートクレーブ養生前の塗装板と、オートクレーブ養生板を得た。これを下記性能試験に供した。結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
性能試験方法
(*1)耐エフロレッセンス性:各オートクレーブ養生板の塗膜を観察した。○は白化が全くないもの
△は白化して悪いもの
×は白化が著しいもの
【0058】
(*2)耐ブロッキング性:夫々2枚のオートクレーブ養生前の塗装板の塗装面同士を荷重が400g/cm2になるように加圧を行い、このものを170℃で1時間加熱した後、室温に冷却し2枚の1次養生板間の剥がれ易さを調べた。
○は全く付着せずに良好なもの
△は若干付着はしているが軽い力で剥離が可能なもの
×は強い力をかけないと剥離できないもの
【0059】
(*3)基材密着性:各オートクレーブ養生板を、気中で−20℃×2時間凍結と水中で20℃×1時間融解とを1サイクルとし、このものを300サイクル試験を行った。その後、各試験板にカッターナイフで4mm間隔に5×5マスの碁盤目状の切れ目をいれ、粘着テープを貼り付けて剥離試験をした。
○は剥離したマス目がないもの
△は剥離したマス目が2マス以下のもの
×は剥離したマス目が3マス以上あるもの
【0060】
(*4)上塗り密着性:各オートクレーブ養生板に、アクリル系水性上塗り塗料「IMコート5111」(関西ペイント社製、商品名)を膜厚50μmになるように塗装し、100℃で10分間乾燥した。
【0061】
その試験板を、気中で−20℃×2時間凍結と水中で20℃×1時間融解とを1サイクルとし、このものを300サイクル試験を行った。その後、この試験板にカッターナイフで4mm間隔に5×5マスの碁盤目状の切れ目をいれ、粘着テープを貼り付けて剥離試験をした。
○は剥離したマス目がないもの
△は剥離したマス目が2マス以下のもの
×は剥離したマス目が3マス以上あるもの
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、特定のコア/シェルエマルションを主成分とするシーラーをオートクレーブ養生前シーラーとして用いることによって、特にアスベストを含まない1次養生板であっても、これに塗布することによって、耐ブロッキング性に優れ、且つエフロ発生を十分に防止でき、さらに基材及び上塗り層との密着性にも非常に優れた無機建材を得ることができる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a sealer for a ceramic inorganic base material which is excellent in blocking resistance and adhesion, and which can sufficiently prevent the generation of efflorescence, and a coating method for a ceramic inorganic base material using the same.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, building materials such as roofing materials and wall materials for buildings are formed by forming an inorganic base material mainly composed of cement into a plate, then primary curing, applying a sealer before autoclave curing, drying, autoclave curing, and cutting. After performing processing and preheating, a second sealer coating is applied, followed by drying to produce a sealer coated plate, or after the above preheating, a second sealer coating, drying, topcoating, and drying are sequentially performed to produce a topcoated plate. ing.
[0003]
The sealer before the autoclave curing is mainly used for improving performance such as anti-mold resistance, salt damage resistance, weather resistance, efflorescence resistance, and adhesion to a second sealer coating film. Conventionally, as a sealer before curing in an autoclave, an aqueous solution of humic acid or a thermoplastic acrylic resin emulsion has been used.However, the aqueous solution of humic acid has a drawback of poor adhesion to a second sealer coating film, and a thermoplastic acrylic resin emulsion. Has the drawback that during autoclave curing (usually 160 to 170 ° C., 8 to 9 kgf / cm 2, 4 to 8 hours, in the presence of water vapor), the substrates adhere to each other and block, making handling difficult. Was.
[0004]
Therefore, the present applicant has proposed an aqueous sealer that has good permeability to a substrate and contains a water-soluble resin having a crosslinkable functional group (for example, see Patent Documents 1 and 2). According to this aqueous sealer, it is possible to form a film having excellent water resistance, blocking resistance, and efflorescence resistance.
[0005]
On the other hand, conventionally, the base material of the inorganic building material has been formed into a flat plate or corrugated plate by mixing asbestos (asbestos), which is inexpensive and excellent in fire resistance and reinforcement, with cement. However, this asbestos has been listed as one of the promising candidates for carcinogens, and in recent years, it has been shifting to asbestos-free building materials (asbestos-free building materials).
[0006]
[Patent Document 1]
JP 2000-204285 A
[Patent Document 2]
WO00 / 07960 pamphlet
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the base material for building materials that do not contain asbestos, the cement content is increased to secure the strength, so that the generation of effluent becomes remarkable as compared with the conventional one. There was a problem that it could not be prevented.
[0008]
An object of the present invention is to provide a ceramic inorganic base material-based autoclave pre-curing sealer that can sufficiently prevent the occurrence of Efro without impairing the blocking resistance, and to provide a method for coating a ceramic inorganic base material using the same. It is in.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies to solve the above problems, and as a result, by applying a sealer containing a specific core / shell emulsion as a main component to a primary curing plate as a sealer before autoclaving, the blocking resistance was improved. The present invention was found to be excellent in that it was possible to sufficiently prevent the occurrence of efflorescence, and was also extremely excellent in the adhesion to the substrate and the overcoat layer.
[0010]
That is, the present invention
1. Emulsion polymerization of a monomer mixture comprising 0.01 to 20% by weight of an alkoxysilyl group-containing polymerizable unsaturated monomer and 80 to 99.99% by weight of another polymerizable unsaturated monomer in the presence of water and an emulsifier. In the presence of the resulting acrylic copolymer (i), 0.01 to 20% by weight of an alkoxysilyl group-containing polymerizable unsaturated monomer, 0 to 10% by weight of a hydroxyl group-containing polymerizable unsaturated monomer, and a cycloalkyl group-containing polymerizable A core / shell containing an acrylic copolymer (ii) obtained by emulsion polymerization by adding a monomer mixture comprising 0 to 70% by weight of an unsaturated monomer and 0 to 99.99% by weight of another polymerizable unsaturated monomer. An emulsion having a glass transition temperature (TgA) of the copolymer (i) of -40 to 30 ° C. and a glass transition temperature (TgB) of the copolymer (ii) of 35 to 30 ° C. A 00 ° C., ceramic inorganic base for Autoclaved before sealer said TgB is the main component of at least 20 ° C. or more higher than the core / shell emulsion than TgA,
2. 2. The autoclave pre-curing sealer according to claim 1, wherein the alkoxysilyl group-containing polymerizable unsaturated monomer is vinyltriethoxysilane.
3. An autoclave coating method for a ceramic inorganic base material, comprising applying a sealer before autoclaving according to 1 or 2 to a primary curing plate of the ceramic inorganic base material, performing autoclave curing, and then applying a top coat. Preheating the primary curing plate before applying the pre-curing sealer, and / or applying the autoclave pre-curing sealer and then drying and then autoclaving the ceramic inorganic base material coating method,
4. 3. The method for coating a ceramic inorganic base material according to item 3, wherein a top coat is applied after curing in an autoclave.
5.3. A ceramic inorganic building material obtained by the coating method according to 3 or 4. ,
About.
[0011]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The core / shell emulsion used as a main component in the present invention is obtained by emulsion polymerization of a monomer mixture comprising an alkoxysilyl group-containing polymerizable unsaturated monomer and other polymerizable unsaturated monomers in the presence of water and an emulsifier. In the presence of the obtained acrylic copolymer (i), an alkoxysilyl group-containing polymerizable unsaturated monomer, if necessary, a hydroxyl group-containing polymerizable unsaturated monomer, a cycloalkyl group-containing polymerizable unsaturated monomer and other It is a core / shell type emulsion containing an acrylic copolymer (ii) obtained by emulsion polymerization by adding a monomer mixture comprising a polymerizable unsaturated monomer.
[0012]
Examples of the polymerizable unsaturated monomer containing an alkoxysilyl group include vinyltrimethoxysilane, vinyltriethoxysilane, vinyltripropoxysilane, vinyltributoxysilane, (meth) acryloyloxymethyltrimethoxysilane, and (meth) acryloyloxyethyl. Trimethoxysilane, (meth) acryloyloxypropyltrimethoxysilane, (meth) acryloyloxypropyltriethoxysilane, (meth) acryloyloxyethyltriethoxysilane, (meth) acryloyloxypropyltributoxysilane and the like. One type or two or more types can be used.
[0013]
In this specification, “(meth) acryloyl” represents “acryloyl or methacryloyl”.
[0014]
Examples of the hydroxyl group-containing polymerizable unsaturated monomer include 2-hydroxyethyl (meth) acrylate, hydroxypropyl (meth) acrylate, 2,3-dihydroxybutyl (meth) acrylate, 4-hydroxybutyl (meth) acrylate, and polyethylene glycol mono- Monoesters of polyhydric alcohols such as (meth) acrylate and acrylic acid or methacrylic acid, and compounds obtained by ring-opening polymerization of ε-caprolactone to monoesterified products of the polyhydric alcohol and acrylic acid or methacrylic acid, and the like. These may be used alone or in combination of two or more.
[0015]
Examples of the cycloalkyl group-containing polymerizable unsaturated monomer include cyclopentyl (meth) acrylate, cyclohexyl (meth) acrylate, methylcyclohexyl (meth) acrylate, t-butylcyclohexyl (meth) acrylate, hydroxymethylcyclohexyl (meth) acrylate, Examples thereof include cyclooctyl (meth) acrylate, cyclodecyl (meth) acrylate, and cyclododecyl (meth) acrylate, and one or more of these can be used.
[0016]
Other polymerizable unsaturated monomers include, for example, methyl (meth) acrylate, ethyl (meth) acrylate, n-propyl (meth) acrylate, isopropyl (meth) acrylate, n-butyl (meth) acrylate, isobutyl (meth) acrylate Alkyl esters of acrylic acid or methacrylic acid such as tert-butyl (meth) acrylate, 2-ethylhexyl acrylate, n-octyl (meth) acrylate, lauryl (meth) acrylate, isobornyl (meth) acrylate, stearyl (meth) acrylate; Carboxyl group-containing polymerizable unsaturated monomers such as acrylic acid, methacrylic acid, maleic acid, and maleic anhydride; N, N-dimethylaminoethyl (meth) acrylate, N, N-diethylaminoethyl (meth) Acrylates, aminoalkyl (meth) acrylates such as N, N-dimethylaminopropyl (meth) acrylate; acrylamide, methacrylamide, N, N-dimethylaminoethyl (meth) acrylamide, N, N-diethylaminoethyl (meth) acrylamide; (Meth) acrylamide such as N, N-dimethylaminopropyl (meth) acrylamide, N-methylolacrylamide, N-methylolacrylamide methyl ether, N-methylolacrylamide butyl ether and derivatives thereof; acrylonitrile, methacrylonitrile, vinyl acetate, vinyl styrene, Vinyltoluene, α-methylstyrene; 2- (2′-hydroxy-5′-methacryloyloxyethylphenyl) -2H-benzotriazole, 4- (meth) acryl Ultraviolet-absorbing or ultraviolet-stable polymerizable unsaturated monomers such as loyloxy-1,2,2,6,6-pentamethylpiperidine, and the like, and one or more of these can be used.
[0017]
The core / shell emulsion used in the present invention may contain an alkoxysilyl group-containing polymerizable unsaturated monomer in an amount of 0.01 to 20% by weight, preferably 0.1 to 10% by weight, and other polymerizable unsaturated monomers of 80 to 99%. In the presence of an acrylic copolymer (i) obtained by emulsion polymerization of a monomer mixture consisting of 0.99% by weight, preferably 90 to 99.9% by weight, an alkoxysilyl group-containing polymerizable unsaturated monomer was added in an amount of 0.1 to 0.1%. 01 to 20% by weight, preferably 0.1 to 10% by weight, 0 to 10% by weight, preferably 1 to 5% by weight, of the hydroxyl group-containing polymerizable unsaturated monomer, and 0 to 70% by weight of the cycloalkyl group-containing polymerizable unsaturated monomer. % By weight, preferably from 5 to 50% by weight, and from 0 to 99.99% by weight, preferably from 35 to 93.9% by weight, and emulsion-polymerized. Resulting acrylic copolymer (ii) is a core / shell emulsion containing.
[0018]
In the acrylic copolymer (i) as the core component, if the copolymerization amount of the alkoxysilyl group-containing polymerizable unsaturated monomer is out of the above range, the resulting coating film has poor water resistance and blocking resistance. It is not preferable because it causes a problem. The alkoxy group of the polymerizable unsaturated monomer containing an alkoxysilyl group is preferably an ethoxy group, particularly from the viewpoint of the balance between the reactivity and the storage stability of the paint. In particular, it is preferable to use vinyltriethoxysilane as the alkoxysilyl group-containing polymerizable unsaturated monomer because the storage stability and the polymerization stability at the time of emulsion synthesis are well balanced.
[0019]
On the other hand, in the acrylic copolymer (ii) as the shell component, when the copolymerization amount of the alkoxysilyl group-containing polymerizable unsaturated monomer is out of the above range, the water resistance of the obtained coating film and the base material and It is not preferable because it causes problems such as adhesion and polymerization stability during emulsion synthesis. Further, if the copolymerization amount of the hydroxyl group-containing polymerizable unsaturated monomer or the cycloalkyl group-containing polymerizable unsaturated monomer is out of the above range, the polymerization stability of the emulsion, the water resistance of the obtained coating film, and the adhesion to the substrate. This is not preferable because it causes problems in properties and the like.
[0020]
In the above core / shell emulsion, the weight ratio of the core part to the shell part is suitably in the range of 10/90 to 90/10, preferably 20/80 to 80/20. If the number of cores is out of this range, the film-forming property of the coating film decreases, and if the number of cores increases, the blocking resistance of the coating film decreases.
[0021]
Examples of the emulsifier used in the emulsion polymerization of the core / shell emulsion include, for example, sodium dialkylsulfosuccinate, sodium dodecylbenzenesulfonate, sodium lauryl sulfate, sodium polyoxyethylene alkylphenyl ether sulfate and alkyl Anionic emulsifiers such as sodium diphenyl ether disulfonate; nonionic emulsifiers such as polyoxyethylene higher alcohol ether and polyoxyethylene alkyl phenyl ether; and anionic or cationic reactive emulsifier having a radical polymerizable double bond. Is mentioned. Examples of the reactive emulsifier include sodium sulfonate and ammonium sulfonate having a radically polymerizable unsaturated group such as a (meth) allyl group, a propenyl group and a butenyl group and a polyoxyalkylene group. Include "Latemur" (trade name, manufactured by Kao Corporation), "Eleminol" (trade name, manufactured by Sanyo Chemical Co., Ltd.), "AQUALON" (trade name, manufactured by Daiichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd.) and the like. .
[0022]
In the core / shell emulsion, the glass transition temperature (TgA) of the acrylic copolymer (i) is -40 to 30 ° C, preferably -30 to 20 ° C, and the glass transition temperature of the acrylic copolymer (ii). It is essential that (TgB) is 35 to 100 ° C, preferably 40 to 80 ° C, and the TgB is at least 20 ° C or higher, preferably 30 ° C or higher than TgA.
[0023]
When the TgA is lower than -40 ° C, the blocking resistance may be poor. When the TgA is higher than 30 ° C, the film-forming properties and low-temperature properties (freezing and thawing test) are undesirably reduced. If the TgB is less than 35 ° C, the blocking resistance may be poor. If the TgB exceeds 100 ° C, the film-forming properties and low-temperature properties (freezing and thawing test) are undesirably reduced. Further, when TgB is lower than TgA by at least 20 ° C., it is not preferable because blocking resistance, film-forming properties and low-temperature properties are not compatible.
[0024]
In this specification, the glass transition temperature (° C.) of the copolymer is calculated by the following equation.
Can be.
[0025]
1 / Tg (゜ K) = (W1 / T1) + (W2 / T2) +.
Tg (° C.) = Tg (ΔK) -273
In the formulas, W1, W2,... Represent the weight percentages of the monomers used in the copolymerization, and T1, T2,... Represent the Tg (゜ K) of the homopolymer of the monomers. T1, T2,... Are values according to Polymer Hand Book (edited by Sonic Edition, J. Brandup, EH Immergut). The glass transition temperature (° C.) when the Tg of the homopolymer of the monomer is not clear is defined as a static glass transition temperature, for example, by using a differential scanning calorimeter “DSC-50Q” (trade name, manufactured by Shimadzu Corporation). After taking the sample in a measuring cup and completely removing the solvent by vacuum suction, the calorie change is measured in the range of -100 ° C to + 100 ° C at a rate of 3 ° C / min, and the first baseline on the low temperature side is measured. The point of change was defined as the static glass transition temperature.
[0026]
The sealer before autoclaving for a ceramic-based inorganic base material of the present invention comprises the above-mentioned core / shell emulsion as a main component, and if necessary, a thickener, a surface conditioner, a film-forming auxiliary, a coloring pigment, and a constitution. It may contain pigments, fillers, curing catalysts, defoamers, organic solvents, and the like.
[0027]
The solids content of the sealer of the present invention is generally used at a concentration of 1 to 40% by weight, preferably 3 to 30% by weight. When the solid content is less than 1% by weight, the number of coatings increases to secure the coating film thickness, so that the coating workability deteriorates. On the other hand, when the solid content exceeds 40% by weight, the permeability to the base material is poor, so that the blocking resistance is poor. Become.
[0028]
In the coating method of the present invention, after the sealer before autoclave curing of the present invention obtained as described above is applied to a primary curing plate of a ceramics-based inorganic base material, autoclave curing is performed, and then top coating is performed.
[0029]
Examples of the inorganic substrate include, for example, cement-based, calcium silicate-based, inorganic porous base materials containing an inorganic material such as gypsum (for example, calcium silicate plate, asbestos cement plate, wood chip cement plate, pulp cement plate, Building materials such as lightweight cellular concrete boards, structural materials, civil engineering materials, or industrial materials). Particularly, a building material containing no asbestos (a building material containing no asbestos) is suitable.
[0030]
The coating method of the sealer before autoclaving can be performed without any particular limitation by a conventionally known coating method such as a roller, a brush, a spray, a dipping, a shower coater, a flow coater (such as a curtain flow coater), and the like. . The coating amount (solid content conversion) of the sealer is 1 to 1000 g / m.2, Preferably 5-500 g / m2Range. 1 g / m coating amount2If it is less than 1, the efflorescence resistance decreases, while 1000 g / m2Exceeding the range is not preferred because the blocking resistance and the like decrease.
[0031]
In the present invention, the autoclave is preheated (preheated) before the autoclave pre-curing sealer is applied, and / or the autoclave is dried (after-heated) after the autoclave pre-curing sealer is applied. Curing is essential from the viewpoint of blocking resistance. Either preheating or afterheating may be performed, but it is particularly preferable that both are performed.
[0032]
In the preheating and after-heating of the sealer, for example, when the substrate is heated by primary curing or the like, it is preferable to perform drying by the residual heat (about 60 ° C.) of the substrate due to the primary curing. When the substrate is not preheated, it is preferable that the drying is usually performed at about 20 to 200 ° C. for about 3 seconds to 60 minutes, although it depends on the type of the substrate. In the drying, especially the drying by the residual heat of the base material, the sealer is applied in a state where the base material is warmed, so that the permeability to the base material is excellent, so that the crosslinking reaches the inside of the base material, so that the water resistance and the efflorescence resistance are good. In addition, there is an advantage that performance such as blocking resistance is excellent.
[0033]
The autoclave curing can be performed under the conditions adopted for the ceramic substrate without any particular limitation. Usually, it is carried out in the presence of water vapor at about 160 to 170 ° C., about 8 to 9 kgf / cm 2, for about 4 to 8 hours.
[0034]
For the top coat, a conventionally known top coat can be used without any particular limitation. Examples of the topcoat paint include acrylic resin, urethane resin, vinyl chloride resin, cellulose resin, silicone resin, polyester resin, alkyd resin, fluororesin, and modified resin or blend of two or more of these. Resin or the like can be used. Further, the overcoat paint can be used in either a lacquer type or a crosslinked type. As a top coat, there is a case where a paint in which the above-mentioned resin-based paint is pigmented is applied, and further there is a case where a clear paint which does not contain a pigment is applied thereon, but in any case, the sealer of the present invention is used as an undercoat. be able to. In addition, the top coat may be any of water-based, organic solvent-based and solvent-free paint forms.
[0035]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to examples. Note that “parts” and “%” indicate “parts by weight” and “% by weight”, respectively.
[0036]
Production of copolymer emulsion (A)
Production Example 1
In a 2 liter reaction vessel equipped with a thermometer, a thermostat, a stirrer, a reflux condenser, and a dropping device, 50 parts of deionized water, "AQUALON HS-1025" (trade name, manufactured by Daiichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd. (Emulsifier) was added and the temperature was raised to 85 ° C. In a separate container, add 38 parts of deionized water, 3 parts of "AQUALON HS-1025", and 0.15 part of ammonium peroxosulfate as a polymerization initiator. After stirring well, add the following monomer mixture to the mixture and stir to obtain a monomer emulsion. The product (1) was obtained.
[0037]
Cyclohexyl methacrylate 10 parts
Styrene 18 parts
i-butyl methacrylate 20 parts
2-ethylhexyl acrylate 20.6 parts
0.7 parts of vinyltriethoxysilane
Methacrylic acid 0.7 parts
[0038]
This emulsion (1) was dropped into the reaction vessel over 3 hours. Then, in a separate container, 16 parts of deionized water, 1.5 parts of “Aqualon HS-1025” and 0.05 parts of ammonium peroxosulfate were added, and after stirring well, the following monomer mixture was added thereto and stirred to obtain a monomer emulsion. (2) was obtained.
[0039]
8.4 parts of cyclohexyl methacrylate
Styrene 16 parts
i-butyl methacrylate 2 parts
2-ethylhexyl acrylate 2 parts
0.3 parts of vinyltriethoxysilane
Hydroxyethyl methacrylate 1 part
Methacrylic acid 0.3 parts
[0040]
After the completion of the dropping of the monomer emulsion (1), the monomer emulsion (2) is dropped therein over 1 hour, then aged at 85 ° C. for 2 hours, cooled to 40 ° C., and cooled to a milky white color. A polymer emulsion (A-1) was obtained. The solid content of the obtained copolymer emulsion (A-1) was 47.7%, and the average particle size of the core / shell emulsion particles was 130 nm.
[0041]
Production Examples 2 to 6
In Production Example 1, except that the monomer compositions used in the monomer emulsion (1) and the monomer emulsion (2) were as shown in Table 1 below, the copolymer emulsion (A- 2) to (A-6) were obtained. In Production Example 3, instead of "Aqualon HS-1025" (trade name, manufactured by Daiichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd., reactive emulsifier), "Newcol 707SF" (trade name, manufactured by Nippon Emulsifier Co., non-reactive emulsifier) was used. ) Using the same amount.
[0042]
[Table 1]
[0043]
Production Example 7
50 parts of deionized water and Aqualon HS-1025 (trade name, manufactured by Daiichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd., reactive emulsifier) in a 1-liter reaction vessel equipped with a thermometer, thermostat, stirrer, reflux condenser, and dropping device 0.05 part was charged and the temperature was raised to 85 ° C. In a separate container, add 54 parts of deionized water, 4.5 parts of Aqualon HS-1025 (trade name, manufactured by Daiichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd., a reactive emulsifier), and 0.2 parts of ammonium peroxosulfate as a polymerization initiator, and stir well. Thereafter, the following monomer mixture was added thereto and stirred to obtain a monomer emulsion (1).
[0044]
18.4 parts of cyclohexyl methacrylate
Styrene 34 parts
i-butyl acrylate 22 parts
22.6 parts of 2-ethylhexyl acrylate
Vinyl triethoxysilane 1 part
Hydroxymethyl methacrylate 1 part
Methacrylic acid 1 part
[0045]
This emulsion (1) was dropped into the reaction vessel over 3 hours. After the completion of the dropwise addition of the monomer emulsion (1), the mixture was aged for 1 hour to obtain a milky white copolymer (A-7). The solid content of the obtained copolymer emulsion (A-7) was 47.9%, and the average particle size of the emulsion particles was 130 nm.
[0046]
Production of curable resin aqueous solution (for comparison)
Production Example 8
In a 300 cc four-necked flask equipped with a thermometer, a stirrer, a cooler, and a dropping funnel, 100 parts of propylene glycol monomethyl ether was placed, and the temperature was raised to 80 to 90 ° C., and 30 parts of methyl methacrylate and n-butyl were added. A mixture of 30 parts of acrylate, 13 parts of styrene, 10 parts of Nn-butoxymethylacrylamide, 10 parts of 2-hydroxyethyl acrylate, 7 parts of acrylic acid and 1 part of azobisisobutyronitrile was added dropwise over 3 hours. After aging for 1 hour at the same temperature, 1 part of azobisbutyronitrile was added as an additional catalyst, and aging was further performed for 2 hours to obtain a resin solid content of 50%, a resin acid value of 56 mg KOH / g, and a number average molecular weight of the resin of about 50%. A 6000 copolymer solution was obtained.
[0047]
Next, 0.9 equivalent of a neutralizing agent of triethylamine was added to the obtained solution, and the mixture was stirred and mixed. Then, deionized water was gradually added dropwise and stirred until the solid content became about 20%. ) Manufactured.
[0048]
Making pigment paste
2 parts of "BYK-190" (manufactured by BYK-Chemie, trade name, dispersing resin), 50 parts of deionized water, 50 parts of titanium white and 50 parts of talc were mixed, and the mixture was dispersed with a paint shaker to obtain a solid content. A 67% pigment paste was made.
[0049]
Making an aqueous sealer
Examples 1 to 5 and Comparative Examples 1 to 3
The copolymer emulsions and the like obtained in the above Production Examples 1 to 7 were stirred and mixed in the composition shown in Table 2 below, and the pH was adjusted to about 8 to 9 by adding 0.1 part of ammonia. An appropriate amount of ionic water was added to obtain each aqueous sealer having a solid content of 30%. In addition, the composition of Table 2 is a solid content display.
[0050]
Further, as the aqueous sealer of Comparative Example 4, the aqueous resin solution (A-8) obtained in Production Example 8 was used as it was.
[0051]
[Table 2]
[0052]
Paint Dress
Examples 6 to 9 and Comparative Examples 5 to 8
The primary curing board containing no asbestos was previously heated (preheated) at 100 ° C. for 5 minutes, and then the aqueous sealers of Examples 1 to 4 and Comparative Examples 1 to 4 prepared on the surface as described above were combined as shown in Table 3. And the coating amount is 50 g / m2(Solid content). These were further dried (after heat) at 100 ° C. for 5 minutes to obtain each coated plate. Next, these were cured in an autoclave at 170 ° C. for 4 hours to obtain each autoclave cured plate. These were subjected to the following performance tests. The results are shown in Table 3.
[0053]
Example 10
In Example 6, it carried out similarly to Example 6 except not preheating, and obtained the coating board before autoclave curing, and the autoclave curing board. This was subjected to the following performance test. Table 3 shows the results.
[0054]
Example 11
The procedure of Example 6 was repeated, except that after-heating was not performed, to obtain a coated plate before autoclaving and an autoclave-cured plate. This was subjected to the following performance test. Table 3 shows the results.
[0055]
Comparative Example 9
Example 6 was repeated, except that both preheating and afterheating were not performed, to obtain a coated plate before autoclaving and an autoclaved plate. This was subjected to the following performance test. Table 3 shows the results.
[0056]
[Table 3]
[0057]
Performance test method
(* 1) Efflorescence resistance: The coating film of each autoclave cured plate was observed. ○ means no whitening
△ is whitened and bad
×: markedly whitened
[0058]
(* 2) Blocking resistance: The load between the painted surfaces of the two painted plates before curing in an autoclave was 400 g / cm.2After heating at 170 ° C. for 1 hour, the mixture was cooled to room temperature and the ease of peeling between the two primary curing plates was examined.
○: good without any adhesion
△: slightly adhered, but can be peeled off with light force
× indicates that it cannot be peeled off without applying strong force
[0059]
(* 3) Substrate adhesion: Each autoclave-cured board was subjected to 300 cycles of freezing in air at -20 ° C for 2 hours and thawing in water at 20 ° C for 1 hour. Thereafter, 5 × 5 square grid-shaped cuts were made at 4 mm intervals on each test plate with a cutter knife, and an adhesive tape was stuck thereon to perform a peeling test.
○ means no peeled cells
△: 2 or less squares peeled off
× indicates that three or more squares have separated.
[0060]
(* 4) Overcoat adhesion: Acrylic water-based overcoat “IM Coat 5111” (trade name, manufactured by Kansai Paint Co., Ltd.) is applied to each autoclave cured board so as to have a thickness of 50 μm, and dried at 100 ° C. for 10 minutes. did.
[0061]
The test plate was subjected to 300 cycles of freezing in air at −20 ° C. for 2 hours and thawing in water at 20 ° C. for 1 hour. Thereafter, 5 × 5 square grid-shaped cuts were made on the test plate at intervals of 4 mm with a cutter knife, and an adhesive tape was stuck thereon to perform a peeling test.
○ means no peeled cells
△: 2 or less squares peeled off
× indicates that three or more squares have separated.
[0062]
【The invention's effect】
According to the present invention, by using a sealer containing a specific core / shell emulsion as a main component as a sealer before curing in an autoclave, even a primary cured plate containing no asbestos can be applied to the cured plate. It is possible to obtain an inorganic building material which is excellent in blocking properties, can sufficiently prevent the occurrence of efro, and has very excellent adhesion to the substrate and the overcoat layer.