JP2004244279A - Alcの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】珪酸質原料として珪石がALC用原料として使用可能であるか否かを原料の段階で判断し、ALC用原料として適する珪石のみを選択使用することによって品質良好なALCを低コストで製造することが可能な方法を提供する。
【解決手段】珪石中にSiO2を90重量%以上、不純物として明ばん石を1.6重量%以下、緑泥石系の粘土鉱物を5重量%以下、全粘土鉱物を15重量%以下含有し、かつ石英の単結晶サイズが実質的に10〜100μmであって、珪石原鉱を粉砕した際、珪石粉末の比表面積が2500cm2/gに達するまでに要する時間が60分以内の条件を満足する珪酸質原料を使用することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】珪石中にSiO2を90重量%以上、不純物として明ばん石を1.6重量%以下、緑泥石系の粘土鉱物を5重量%以下、全粘土鉱物を15重量%以下含有し、かつ石英の単結晶サイズが実質的に10〜100μmであって、珪石原鉱を粉砕した際、珪石粉末の比表面積が2500cm2/gに達するまでに要する時間が60分以内の条件を満足する珪酸質原料を使用することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の壁、屋根、床等に使用されるALC(軽量気泡コンクリート)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ALCは周知の通り、珪砂、珪石等の珪酸質原料と、セメント、生石灰等の石灰質原料を主原料とし、これらの主原料に工程繰返し原料や、発砲剤であるアルミニウム粉、界面活性剤等の添加剤、および水を加え、混練してできたALCスラリーを内部補強鉄筋のセットされた型枠内に注入し、硬化して形成された半可塑性体を一定時間経過後型枠より取出し、ピアノ線にて所定の寸法に切断した後、オートクレーブにて所定の時間、高温高圧蒸気養生を行って製造される。
【0003】
このALCの製造において、珪石はALC原料の中で最も重量比率の高い原料であるため、珪石の特性はALCの特性、物性に大きく影響を及ぼす。そのため、ALC原料としての珪石の各種特性を規定したALCの製造方法が提案されている。
例えば、特開昭62−191481号公報には、ALC中に高結晶性のトバモライトを多量かつ均質に生成させるために、珪石中の不純物として明礬石を16重量%以下含有させるALCの製造方法が提案されている。また、特開2001−348262号公報には、粘土鉱物の含有量が15重量%以下の珪石を使用し、かつ粘土鉱物に緑泥石系の粘土鉱物が含まれる場合には緑泥石系粘土鉱物の含有量が5重量%以下の珪石を使用することにより、ALC強度の低下やクラック等の発生をなくし、高い歩留りでALCを製造し得る方法が提案されている。さらに、特開昭50−87116号公報には、ALCの諸性能を向上させるために、珪石中の石英の単結晶サイズが実質的に10〜100μmの範囲内にある珪酸質原料を使用するALCの製造方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したごとく、従来は珪石の各種特性を個別に規定してALCを製造する方法が採用されているが、珪石にはALC原料として使用可能なものと使用不可のものとあるため、ALCの製造においては、その珪石の特性を事前に評価する必要がある。しかるに、従来は珪石の各特性について総合的に判断することなく、珪石を粉砕して粉体もしくはスラリー状にしたものを、実験室規模もしくは実操業規模にて他原料と混合し製造したALCの物性評価を行うことによって、評価対象である珪石が使用可能であるか否かを判断し、ALCの製造に供していたため、実際に使用する珪石の中には使用不可のものが混在することもあり、ALCの品質(圧縮強度等)に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0005】
本発明はこのような実状に鑑み、珪酸質原料として珪石がALC用原料として使用可能であるか否かを原料の段階で総合的に判断し、ALC用原料として適する珪石のみを選択使用することによって品質良好なALCを製造することが可能な方法を提案しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるALCの製造方法は、珪砂、珪石等の珪酸質原料と、セメント、生石灰等の石灰質原料を主原料とする水蒸気養生ALCの製造方法において、珪石の品位、不純物の種類とその含有量、石英の単結晶サイズおよび、珪石原鉱の被粉砕性の4つの条件を満たした珪石をALC用原料として適する珪石と判断してこれを用いる方法であり、その要旨は、前記珪石中にSiO2を90重量%以上、不純物として明ばん石を1.6重量%以下、緑泥石系の粘土鉱物を5重量%以下、全粘土鉱物を15重量%以下含有し、かつ石英の単結晶サイズが実質的に10〜100μmであって、珪石原鉱を粉砕した際、珪石粉末の比表面積が2500cm2/gに達するまでに要する時間が60分以内の条件を満足する珪酸質原料を使用することを特徴とするものである。
【0007】
【本発明の実施の形態】
本発明における前記4つの条件については、珪石をMの測定等によって珪石中に含まれる不純物を同定し、化学分析によってその量と珪石の品位を、珪石の薄片試料を偏光顕微鏡にて観察することによって石英の単結晶のサイズを、粉砕試験によって珪石の被粉砕性をそれぞれ測定することによって、その珪石がALC用原料として使用可能か否かの判断を行って、その使用する珪酸質原料を選定する。
【0008】
本発明において、珪石中の各種含有成分を限定したのは、以下に示す理由による。
まず、珪石の品位として、SiO2を90重量%以上と限定したのは、SiO2の含有量が90重量%未満では不純物が多くなり、かつ珪酸質原料に含まれるSiO2の割合も低くなるため多くの珪石が必要となり、コスト高を招くため好ましくなく、また製品物性も低下するためである。
また、不純物の種類とその含有量として、明ばん石を1.6重量%以下としたのは、明ばん石含有量が1.6重量%を超えるものを使用すると、水熱反応の過程で微妙な影響を及ぼし、C/S比(原料の全石灰石分と珪酸分との重量比率)を高めた場合でも高結晶性のトバモライトが得られず、ALCの物性、特に圧縮強度が大幅に悪化するためである。さらに、緑泥石系の粘土鉱物を5重量%以下、全粘土鉱物を15重量%以下と限定したのは、緑泥石系の粘土鉱物の含有量が5重量%を超えると、通常使用している0.65前後の水固体比において、スラリー粘度が適正とされる5ps以上になりやすいためである。また、全粘土鉱物の含有量が15重量%を超えると、スラリーの粘性が大きくなり、前記水固体比0.65前後において、スラリー粘度が適正とされる上限値5psを超えるためである。なお、粘土鉱物は、一様に柔らかく易粉砕性を持っているため、スラリー中で表面積の大きな微粒子となり、その結果スラリーの粘性が大きくなるものと考えられる。
【0009】
石英の単結晶サイズを実質的に10〜100μmに限定したのは、10μm未満では、石英の結晶が細かく、比表面積が大きいため反応性が高くなりすぎ、低結晶性のトバモライトが生成するため、結晶性の高いトバモライトが生成せず、乾燥収縮率が大きくなるなど、製品物性に悪影響を及ぼし、他方、100μmを超えると、粒径が大きいため被粉砕性が悪化する問題もあるが、製品の圧縮強度も低下するためである。
【0010】
珪石原鉱の被粉砕性については、容量約80Lのボールミル内に珪石15kg、水8L、鉄球を50mmφのものを40kg、20mmφのものを10kg投入し、回転数約80rpmにて湿式粉砕した際に、珪石粉末の比表面積(以下「ブレーン値」という)が2500cm2/gに達するまでに要した時間が60分以下である珪石を使用可能と判断する。その理由は、ブレーン値が2500cm2/gに達するまでに要する時間が60分を超えると、粉砕時間が長くかかり粉砕に大きなエネルギーが必要となり、粉砕にかかるコストが大きくなること、また、被粉砕性が悪く、直径3mm以上の珪石が発生すると、半可塑性体をピアノ線にて切断する際に3mm以上の珪石にピアノ線が接触し引きずるため半可塑性体表面に疵が発生し、この疵が最終製品時まで残るため外観上の不具合となること、直径3mm以上の珪石を取り除く場合、必要な珪石量が増えるためコスト高になり、かつ直径3mm以上の珪石の廃棄の問題も発生し、地球環境にも悪影響を及ぼすため好ましくないからである。
【0011】
【実施例】
珪石品位(SiO2含有量)、不純物の種類とその含有量、石英の単結晶サイズ、被粉砕性の異なる5種類の珪石(珪石A、B、C、D、E)を用いた実施例を以下に説明する。下記実施例は、本発明の好適な例を示すものであり、本発明はこの実施例によって何等限定されるものではない。
本実施例では、各珪石の原鉱を乳鉢で粉砕し、XRDによる結晶相の同定及びXRF測定による化学分析を行い、不純物の同定と含有量の算出及びSiO2含有量を測定した。石英の単結晶サイズについては、偏光顕微鏡観察により測定した。また、容量約80Lのポールミル内に珪石15kg、水8L、鉄球を50mmφのものを40kg、20mmφのものを10kg投入し、回転数約80rpmにて湿式粉砕し、珪石粉末のブレーン値が2500cm2/gに達する時間を測定した。その結果を表1、表2に示す。
【0012】
表1、表2の結果より明らかなごとく、珪石Aについては、珪石品位はSiO2が90.4重量%と規定の90重量%以上という条件を満たし、不純物についても明ばん石が同定されたが、その含有量は0.21重量%と算出されたため1.6重量%以下という条件を満たし、石英の単結晶サイズ、珪石原鉱の被粉砕性についても本発明の条件を満たした。
珪石Bについては、不純物、石英の単結晶サイズ、珪石原鉱の被粉砕性については条件を満たしていたが、SiO2の割合が78.7重量%と条件を満たしていない。
珪石Cについては、SiO2の割合、石英の単結晶サイズ、珪石原鉱の被粉砕性については条件を満たしていたが、不純物として明ばん石が同定され、その含有量は1.81重量%であったため、条件を満たさなかった。
珪石Dについては、SiO2の割合、不純物については条件を満たしたが、石英の単結晶サイズが300〜500μmと判断され、条件を満たさなかった。そのためで、珪石原鉱の被粉砕性についても、珪石粉末のブレーン値が2500cm2/gに達するまでに要した時間が110分と条件を満たさなかったと考えられる。
珪石Eについては、SiO2の割合、不純物、石英の単結晶サイズについては条件を満たしたが、珪石原鉱の被粉砕性については珪石粉末のブレーン値が2500cm2/gに達するまでに要した時間が75分かかり、未粉砕率も16.7重量%と条件を満たさなかった。
以上より、珪石Aについては全ての条件を満たしたため、使用可能であると判断された。珪石B、C、D、Eについては、ひとつでも条件を満たさなかったため、使用不可と判断した。
【0013】
次に、前記評価に供した5種類の珪石のうち、被粉砕性に問題のなかった珪石A、B、Cを用いて実験室規模にてALCを作製し、圧縮強度を測定した。珪石を1500g、生石灰160g、セメント720g、石こう170g、炭酸カルシウム50g、繰返し原料800gアルミ粉2.35g、水2450gを混合し、1800Cにて10時間オートクレーブ養生した。オートクレーブ養生後、作製されたALCの圧縮強度を測定した。圧縮強度測定はJIS A 54167に準じて測定を行った。その結果を表3に示す。
【0014】
表3の結果より、本発明により使用可能と判断された珪石AはJISの規格値(圧縮強度:2.94N/mm以上)を満たしているが、使用不可と判断された珪石B、CはJISの規格値を満たさなかった。このことから、本発明における条件を全て満たしている珪石であれば、その珪石を使用してALCを製造した場合にALCとして問題のない強度を得られることがわかり、前記4つの条件のうち1つでも条件を満たさなかった珪石については、ALCとして必要な強度を得られないことが判明した。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明方法によれば、珪石の品位、不純物の種類とその含有量、石英の単結晶サイズおよび、珪石原鉱の被粉砕性の4つの条件を満たした珪石のみをALC用原料として使用可能と判断し、かつこの4つの条件を満たす珪石を原料の段階で選択して珪酸質原料として用いるので、圧縮強度等の品質良好なALCを低コストで製造することができるという優れた効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の壁、屋根、床等に使用されるALC(軽量気泡コンクリート)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ALCは周知の通り、珪砂、珪石等の珪酸質原料と、セメント、生石灰等の石灰質原料を主原料とし、これらの主原料に工程繰返し原料や、発砲剤であるアルミニウム粉、界面活性剤等の添加剤、および水を加え、混練してできたALCスラリーを内部補強鉄筋のセットされた型枠内に注入し、硬化して形成された半可塑性体を一定時間経過後型枠より取出し、ピアノ線にて所定の寸法に切断した後、オートクレーブにて所定の時間、高温高圧蒸気養生を行って製造される。
【0003】
このALCの製造において、珪石はALC原料の中で最も重量比率の高い原料であるため、珪石の特性はALCの特性、物性に大きく影響を及ぼす。そのため、ALC原料としての珪石の各種特性を規定したALCの製造方法が提案されている。
例えば、特開昭62−191481号公報には、ALC中に高結晶性のトバモライトを多量かつ均質に生成させるために、珪石中の不純物として明礬石を16重量%以下含有させるALCの製造方法が提案されている。また、特開2001−348262号公報には、粘土鉱物の含有量が15重量%以下の珪石を使用し、かつ粘土鉱物に緑泥石系の粘土鉱物が含まれる場合には緑泥石系粘土鉱物の含有量が5重量%以下の珪石を使用することにより、ALC強度の低下やクラック等の発生をなくし、高い歩留りでALCを製造し得る方法が提案されている。さらに、特開昭50−87116号公報には、ALCの諸性能を向上させるために、珪石中の石英の単結晶サイズが実質的に10〜100μmの範囲内にある珪酸質原料を使用するALCの製造方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したごとく、従来は珪石の各種特性を個別に規定してALCを製造する方法が採用されているが、珪石にはALC原料として使用可能なものと使用不可のものとあるため、ALCの製造においては、その珪石の特性を事前に評価する必要がある。しかるに、従来は珪石の各特性について総合的に判断することなく、珪石を粉砕して粉体もしくはスラリー状にしたものを、実験室規模もしくは実操業規模にて他原料と混合し製造したALCの物性評価を行うことによって、評価対象である珪石が使用可能であるか否かを判断し、ALCの製造に供していたため、実際に使用する珪石の中には使用不可のものが混在することもあり、ALCの品質(圧縮強度等)に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0005】
本発明はこのような実状に鑑み、珪酸質原料として珪石がALC用原料として使用可能であるか否かを原料の段階で総合的に判断し、ALC用原料として適する珪石のみを選択使用することによって品質良好なALCを製造することが可能な方法を提案しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるALCの製造方法は、珪砂、珪石等の珪酸質原料と、セメント、生石灰等の石灰質原料を主原料とする水蒸気養生ALCの製造方法において、珪石の品位、不純物の種類とその含有量、石英の単結晶サイズおよび、珪石原鉱の被粉砕性の4つの条件を満たした珪石をALC用原料として適する珪石と判断してこれを用いる方法であり、その要旨は、前記珪石中にSiO2を90重量%以上、不純物として明ばん石を1.6重量%以下、緑泥石系の粘土鉱物を5重量%以下、全粘土鉱物を15重量%以下含有し、かつ石英の単結晶サイズが実質的に10〜100μmであって、珪石原鉱を粉砕した際、珪石粉末の比表面積が2500cm2/gに達するまでに要する時間が60分以内の条件を満足する珪酸質原料を使用することを特徴とするものである。
【0007】
【本発明の実施の形態】
本発明における前記4つの条件については、珪石をMの測定等によって珪石中に含まれる不純物を同定し、化学分析によってその量と珪石の品位を、珪石の薄片試料を偏光顕微鏡にて観察することによって石英の単結晶のサイズを、粉砕試験によって珪石の被粉砕性をそれぞれ測定することによって、その珪石がALC用原料として使用可能か否かの判断を行って、その使用する珪酸質原料を選定する。
【0008】
本発明において、珪石中の各種含有成分を限定したのは、以下に示す理由による。
まず、珪石の品位として、SiO2を90重量%以上と限定したのは、SiO2の含有量が90重量%未満では不純物が多くなり、かつ珪酸質原料に含まれるSiO2の割合も低くなるため多くの珪石が必要となり、コスト高を招くため好ましくなく、また製品物性も低下するためである。
また、不純物の種類とその含有量として、明ばん石を1.6重量%以下としたのは、明ばん石含有量が1.6重量%を超えるものを使用すると、水熱反応の過程で微妙な影響を及ぼし、C/S比(原料の全石灰石分と珪酸分との重量比率)を高めた場合でも高結晶性のトバモライトが得られず、ALCの物性、特に圧縮強度が大幅に悪化するためである。さらに、緑泥石系の粘土鉱物を5重量%以下、全粘土鉱物を15重量%以下と限定したのは、緑泥石系の粘土鉱物の含有量が5重量%を超えると、通常使用している0.65前後の水固体比において、スラリー粘度が適正とされる5ps以上になりやすいためである。また、全粘土鉱物の含有量が15重量%を超えると、スラリーの粘性が大きくなり、前記水固体比0.65前後において、スラリー粘度が適正とされる上限値5psを超えるためである。なお、粘土鉱物は、一様に柔らかく易粉砕性を持っているため、スラリー中で表面積の大きな微粒子となり、その結果スラリーの粘性が大きくなるものと考えられる。
【0009】
石英の単結晶サイズを実質的に10〜100μmに限定したのは、10μm未満では、石英の結晶が細かく、比表面積が大きいため反応性が高くなりすぎ、低結晶性のトバモライトが生成するため、結晶性の高いトバモライトが生成せず、乾燥収縮率が大きくなるなど、製品物性に悪影響を及ぼし、他方、100μmを超えると、粒径が大きいため被粉砕性が悪化する問題もあるが、製品の圧縮強度も低下するためである。
【0010】
珪石原鉱の被粉砕性については、容量約80Lのボールミル内に珪石15kg、水8L、鉄球を50mmφのものを40kg、20mmφのものを10kg投入し、回転数約80rpmにて湿式粉砕した際に、珪石粉末の比表面積(以下「ブレーン値」という)が2500cm2/gに達するまでに要した時間が60分以下である珪石を使用可能と判断する。その理由は、ブレーン値が2500cm2/gに達するまでに要する時間が60分を超えると、粉砕時間が長くかかり粉砕に大きなエネルギーが必要となり、粉砕にかかるコストが大きくなること、また、被粉砕性が悪く、直径3mm以上の珪石が発生すると、半可塑性体をピアノ線にて切断する際に3mm以上の珪石にピアノ線が接触し引きずるため半可塑性体表面に疵が発生し、この疵が最終製品時まで残るため外観上の不具合となること、直径3mm以上の珪石を取り除く場合、必要な珪石量が増えるためコスト高になり、かつ直径3mm以上の珪石の廃棄の問題も発生し、地球環境にも悪影響を及ぼすため好ましくないからである。
【0011】
【実施例】
珪石品位(SiO2含有量)、不純物の種類とその含有量、石英の単結晶サイズ、被粉砕性の異なる5種類の珪石(珪石A、B、C、D、E)を用いた実施例を以下に説明する。下記実施例は、本発明の好適な例を示すものであり、本発明はこの実施例によって何等限定されるものではない。
本実施例では、各珪石の原鉱を乳鉢で粉砕し、XRDによる結晶相の同定及びXRF測定による化学分析を行い、不純物の同定と含有量の算出及びSiO2含有量を測定した。石英の単結晶サイズについては、偏光顕微鏡観察により測定した。また、容量約80Lのポールミル内に珪石15kg、水8L、鉄球を50mmφのものを40kg、20mmφのものを10kg投入し、回転数約80rpmにて湿式粉砕し、珪石粉末のブレーン値が2500cm2/gに達する時間を測定した。その結果を表1、表2に示す。
【0012】
表1、表2の結果より明らかなごとく、珪石Aについては、珪石品位はSiO2が90.4重量%と規定の90重量%以上という条件を満たし、不純物についても明ばん石が同定されたが、その含有量は0.21重量%と算出されたため1.6重量%以下という条件を満たし、石英の単結晶サイズ、珪石原鉱の被粉砕性についても本発明の条件を満たした。
珪石Bについては、不純物、石英の単結晶サイズ、珪石原鉱の被粉砕性については条件を満たしていたが、SiO2の割合が78.7重量%と条件を満たしていない。
珪石Cについては、SiO2の割合、石英の単結晶サイズ、珪石原鉱の被粉砕性については条件を満たしていたが、不純物として明ばん石が同定され、その含有量は1.81重量%であったため、条件を満たさなかった。
珪石Dについては、SiO2の割合、不純物については条件を満たしたが、石英の単結晶サイズが300〜500μmと判断され、条件を満たさなかった。そのためで、珪石原鉱の被粉砕性についても、珪石粉末のブレーン値が2500cm2/gに達するまでに要した時間が110分と条件を満たさなかったと考えられる。
珪石Eについては、SiO2の割合、不純物、石英の単結晶サイズについては条件を満たしたが、珪石原鉱の被粉砕性については珪石粉末のブレーン値が2500cm2/gに達するまでに要した時間が75分かかり、未粉砕率も16.7重量%と条件を満たさなかった。
以上より、珪石Aについては全ての条件を満たしたため、使用可能であると判断された。珪石B、C、D、Eについては、ひとつでも条件を満たさなかったため、使用不可と判断した。
【0013】
次に、前記評価に供した5種類の珪石のうち、被粉砕性に問題のなかった珪石A、B、Cを用いて実験室規模にてALCを作製し、圧縮強度を測定した。珪石を1500g、生石灰160g、セメント720g、石こう170g、炭酸カルシウム50g、繰返し原料800gアルミ粉2.35g、水2450gを混合し、1800Cにて10時間オートクレーブ養生した。オートクレーブ養生後、作製されたALCの圧縮強度を測定した。圧縮強度測定はJIS A 54167に準じて測定を行った。その結果を表3に示す。
【0014】
表3の結果より、本発明により使用可能と判断された珪石AはJISの規格値(圧縮強度:2.94N/mm以上)を満たしているが、使用不可と判断された珪石B、CはJISの規格値を満たさなかった。このことから、本発明における条件を全て満たしている珪石であれば、その珪石を使用してALCを製造した場合にALCとして問題のない強度を得られることがわかり、前記4つの条件のうち1つでも条件を満たさなかった珪石については、ALCとして必要な強度を得られないことが判明した。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明方法によれば、珪石の品位、不純物の種類とその含有量、石英の単結晶サイズおよび、珪石原鉱の被粉砕性の4つの条件を満たした珪石のみをALC用原料として使用可能と判断し、かつこの4つの条件を満たす珪石を原料の段階で選択して珪酸質原料として用いるので、圧縮強度等の品質良好なALCを低コストで製造することができるという優れた効果を奏する。
Claims (1)
- 珪砂、珪石等の珪酸質原料と、セメント、生石灰等の石灰質原料を主原料とする水蒸気養生ALCの製造方法において、前記珪石中にSiO2を90重量%以上、不純物として明ばん石を1.6重量%以下、緑泥石系の粘土鉱物を5重量%以下、全粘土鉱物を15重量%以下含有し、かつ石英の単結晶サイズが実質的に10〜100μmであって、珪石原鉱を粉砕した際、珪石粉末の比表面積が2500cm2/gに達するまでに要する時間が60分以内の条件を満足する珪酸質原料を使用することを特徴とするALCの製造方法。
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JP2003037277A JP2004244279A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | Alcの製造方法 |
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JP2003037277A JP2004244279A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | Alcの製造方法 |
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JP (1) | JP2004244279A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007084365A (ja) * | 2005-09-21 | 2007-04-05 | Sumitomo Kinzoku Kozan Siporex Kk | 軽量気泡コンクリートの製造方法 |
JP2007099546A (ja) * | 2005-10-03 | 2007-04-19 | Sumitomo Kinzoku Kozan Siporex Kk | 軽量気泡コンクリートの製造方法 |
CN110590292A (zh) * | 2019-10-24 | 2019-12-20 | 石门和峰环保建材有限公司 | 一种环保轻质砖及其制备方法 |
-
2003
- 2003-02-14 JP JP2003037277A patent/JP2004244279A/ja active Pending
Cited By (4)
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