JP2004242599A - Cd8+細胞傷害性tリンパ球エピトープペプチド及びその用途 - Google Patents

Cd8+細胞傷害性tリンパ球エピトープペプチド及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒトサイトメガロウイルスに特異的なCD8細胞傷害性Tリンパ球エピトープペプチドの提供。
【解決手段】特定の配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、ヒトサイトメガロウイルスに特異的なCD8細胞傷害性Tリンパ球エピトープペプチド。該ペプチドを用いたHCMVの感染を治療す又は予防するワクチン、受動免疫療法剤、HCMV特異的CD8+細胞障害性Tリンパ球の定量法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus、以下、HCMVと称する)に特異的なCD8細胞傷害性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocyte、以下、CTLと称する)エピトープペプチド、該ペプチドを用いたHCMVの感染を治療又は予防するワクチン、HCMVに対する受動免疫療法剤、及びHCMVに特異的なCD8CTLの定量方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
HCMVは大部分の健常な成人が潜在的に保有するウイルスであるが、がん患者、骨髄移植を行った患者、エイズ患者などにおいて免疫力が低下していると活動化する。活動化し、増殖したHCMVは致死的な間質性肺炎のほか、網膜炎、肝炎などを引き起す。このため、HCMVを安全にかつ有効に制御する新しい方法が強く望まれている。
【0003】
HCMV感染細胞の活動を制御している主な免疫担当細胞はCD8CTLである。CD8CTLはHCMV感染細胞を発見するとそれを破壊する能力を持っているため、その機能を有効に活性化すれば、HCMV関連疾患の新しい診断と治療法の開発につながる可能性が高い。
【0004】
CTLがウイルス感染細胞を認識する際、以下のような特徴がある。
(1) CTLはウイルス粒子そのものを認識することはできない。
(2) CTLはウイルスタンパク質中の特定部位にある8〜10個のアミノ酸からなるペプチド(以下、エピトープペプチドと称する)を認識して感染細胞を破壊する。
(3) この特定の8〜10個のアミノ酸は、ウイルス感染細胞表面にあるヒト白血球抗原(human leucocyte antigen、以下、HLAと称する)に結合してCTLに提示される。
(4) HLAは人種間、個人間によって異なり、HLAが異なると同じウイルスでもエピトープペプチドが異なる。
【0005】
以上の(1)から(4)で述べたことから明らかなように、HCMVに特異的なエピトープペプチドとなり得るアミノ酸を過不足なく決定することは、これらのウイルス感染症に対して有効な免疫があるか否かの診断、さらには、免疫治療法を施す際の必須の事項となり得る。
【0006】
この問題を解決するために、すでに白人に多いHLA分子や、日本人に多いHLA−A24分子上に乗ってT細胞に提示されるペプチドとそれらの利用が報告されている。例えば、HCMVタンパク質のアミノ酸配列について、HLA−A24、A26、B61の各結合モチーフを有する8〜10個のアミノ酸よりなるエピトープペプチドを検索し得る、インターネット上に公開されているBioInformatics & Molecular Analysis Section(BIMAS)のHLA Peptide Binding Predictions(http://bimas.dcrt.nih.gov/molbio/hla#bind/index.html.)によって照合し、HLA−A24、A26、B61の各結合モチーフを有する8〜10個のアミノ酸よりなる抗原エピトープ候補ペプチドを多数スクリーニングし、エピトープ候補ペプチドから同定されたHCMVに特異的なCD8CTLエピトープペプチドが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、HLA−A24を持たない日本人は全日本人の45%に達し、日本人の多くが保有する上記以外のHLA分子によって提示されるHCMVに特異的なCD8CTLエピトープペプチドの報告は極めて少ない現状にあり、HCMVの感染を治療又は予防するのに有用な、さらなるHLA型に対応したエピトープペプチドの同定、開発が求められている。
【0008】
【特許文献】特開2002−255997号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、HCMVに特異的なCD8CTLエピトープペプチド、特に、HLA−A*0207、A*1101、B*1501、B*4001、B*4002、B*4006、B*4403、B*5101、Cw*0102、Cw*0401、Cw*0801、Cw*1202又はCw*1502型に提示され得るエピトープペプチド、HCMVの感染を治療又は予防するワクチン、HCMVに対する受動免疫療法剤、及びHCMVに特異的なCD8CTLの定量方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、抗原性が強くCD8CTLの標的となり、HCMVの潜在感染中に発現するリン酸化タンパク質であるHCMV−pp65遺伝子の断片を活性化B細胞、樹状細胞、マクロファージ等の抗原提示細胞内で発現させて、該遺伝子のどの部分(領域)がCTLと反応するペプチドを有しているのかを探索し、HLA−A*0207、A*1101、B*1501、B*4001、B*4002、B*4006、B*4403、B*5101、Cw*0102、Cw*0401、Cw*0801、Cw*1202又はCw*1502型に提示され、かつCD8CTLに認識され得るエピトープペプチドを複数見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(8)を提供する。
(1) 配列番号1〜配列番号12からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、ヒトサイトメガロウイルスに特異的なCD8細胞傷害性Tリンパ球エピトープペプチド。
(2) (1)に記載のペプチドを有効成分として含む、ヒトサイトメガロウイルスの感染を治療又は予防するためのワクチン。
(3) (1)に記載のペプチドをパルスした抗原提示細胞を有効成分として含む、ヒトサイトメガロウイルスの感染を治療又は予防するためのワクチン。
(4) (1)に記載のペプチド又は該ペプチドをパルスした抗原提示細胞により末梢血リンパ球を刺激して得られるCD8細胞傷害性Tリンパ球を含む、ヒトサイトメガロウイルスに対する受動免疫療法剤。
(5) (1)に記載のペプチドから調製した主要組織適合抗原複合体及び/又は主要組織適合抗原複合体−テトラマーと末梢血リンパ球とを反応させ、該主要組織適合抗原複合体及び/又は主要組織適合抗原複合体−テトラマーにCD8細胞傷害性Tリンパ球が結合した結合体を形成させ、該結合体から単離して得られるCD8細胞傷害性Tリンパ球を含む、ヒトサイトメガロウイルスに対する受動免疫療法剤。
(6) (1)に記載のペプチドから調製した主要組織適合抗原複合体−標識磁気ビーズと末梢血リンパ球とを反応させ、主要組織適合抗原複合体−標識磁気ビーズにCD8細胞傷害性Tリンパ球が結合した結合体を形成させ、該結合体から単離して得られるCD8細胞傷害性Tリンパ球を含む、ヒトサイトメガロウイルスに対する受動免疫療法剤。
(7) (1)に記載のペプチドで末梢血を刺激し、該ウイルスに特異的なCD8細胞傷害性Tリンパ球を得、該CD8細胞傷害性Tリンパ球が産生するサイトカイン及び/又はケモカインを測定することを特徴とする、ヒトサイトメガロウイルスに特異的なCD8細胞傷害性Tリンパ球の定量方法。
(8) (1)に記載のペプチドから主要組織適合性複合体及び/又は主要組織適合性複合体−テトラマーを調製し、該主要組織適合性複合体及び/又は主要組織適合性複合体−テトラマーと末梢血とを反応させる、該末梢血中のヒトサイトメガロウイルスに特異的なCD8細胞傷害性Tリンパ球の定量方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明についてさらに詳細に説明する。
【0013】
1.エピトープペプチド
本発明でいうペプチドは、生理活性を有し、隣接するアミノ酸残基のα−アミノ基とカルボキシル基間のペプチド結合により相互に結合した線状のアミノ酸の分子鎖を意味する。ペプチドは特定長のものを意味するものではなく、種々の長さであり得る。また、無電荷又は塩の形態であってもよく、場合によっては、グリコシル化、アミド化、ホスホリル化、カルボキシル化、リン酸化等により修飾されていてもよい。さらには、本発明のエピトープの生理活性及び免疫活性を実質的に改変せず、投与した場合に有害な活性を有するものでない限り、1個又は数個(例えば、1〜10個)のアミノ酸の挿入、付加、置換等が生じたペプチドも本発明に含まれる。例えば、ペプチドのN末端又はC末端に付加的アミノ酸配列が介在するものも含まれる。また、本発明のペプチドは、糖類、ポリエチレングリコール、脂質等が付加された複合体、放射性同位元素等による誘導体、あるいは重合体等の形態として用いることができる。
【0014】
本発明のCD8CTLとは、ヒトリンパ球上に存在する表面抗原分子の一つであるCD8を発現しているCD8細胞傷害性Tリンパ球を意味する。
【0015】
また、HCMVに特異的なCD8CTLエピトープペプチドとは、CD8CTLに認識され得るHCMVタンパク質中の特定部位にある8〜10個のアミノ酸配列からなるペプチドであって、CD8CTLの抗原受容体と免疫的に結合するHCMVの構造部分であり、HCMV感染細胞を直接に傷害し、ウイルスを排除し得るCD8CTLの細胞性免疫機構を活性化する抗原基を意味する。図1にその機構を示す。
【0016】
HCMVに特異的なCD8CTLエピトープペプチド、特に、HLA−A*0207、A*1101、B*1501、B*4001、B*4002、B*4006、B*4403、B*5101、Cw*0102、Cw*0401、Cw*0801、Cw*1202又はCw*1502型に提示され得るエピトープペプチドは、CD8CTLの標的となるHCMVタンパク質の遺伝子を抗原提示細胞(例えば、pp65遺伝子をコードするレトロウイルスベクター感染細胞)内で共発現させ、該HCMV−pp65遺伝子がどのHLAによって提示され、CTLを刺激し得るのかを確認し、さらにHCMV−pp65遺伝子のどの領域がCTLを刺激し得るエピトープペプチドとなり得るのかを検索することによって同定、取得することができる。
【0017】
抗原提示細胞として利用し得る細胞としては、活性化B細胞、樹状細胞、マクロファージ等が挙げられるが、特に活性化B細胞の使用が好ましい。なお、本明細書において抗原提示細胞とは、エピトープペプチドが結合し得るHLAをその表面上に発現する細胞の中でCD8CTL刺激能を有するものを意味する。
【0018】
また、本明細書において、抗原提示細胞内で発現させるHCMVタンパク質とは、抗原性が強くCD8CTLの標的となり、HCMVの潜在感染細胞内で発現するものであれば特に限定されないが、特に、抗原性の強さの点からHCMV−pp65タンパク質が好ましい。このタンパク質及び遺伝子(HCMV−pp65遺伝子)については、文献に詳細が報告されており(Ruger B, Klages S, Walla B, et al. Primary structure and transcription of the genes coding for the two virion phosphoproteins pp65 and pp71 of human cytomegalovirus. J. Virol. 1987;61:446−453)、それらを参考にすることができる。
【0019】
HCMV−pp65遺伝子、並びにHLA−A*0207、A*1101、B*1501、B*4001、B*4002、B*4006、B*4403、B*5101、Cw*0102、Cw*0401、Cw*0801、Cw*1202及びCw*1502型の各種HLA cDNAは、例えば、Akatsukaらの文献及びKondoらの文献(Akatsuka Y, Goldberg TA, Kondo E, Martin EG, Obata Y, Morishima Y, Takahashi T, Hansen JA. Efficient cloning and expression of HLA class I cDNA in human B−lymphoblastoid cell lines. Tissue Antigens. 2002;59:502−511、及びKondo E, Topp MS, Kiem HP, Obata Y, Morishima Y, Kuzushima K, Tanimoto M, Harada M, Takahashi T, Akatsuka Y. Efficient generation of antigen−specific cytotoxic T cells using retrovirally transduced CD40−activated B cells. J Immunol. 2002;169:2164−2171)に基づいて構築したプラスミドpcDNA3−pp65及びpcDNA3.1を用いることができる。
【0020】
HCMV−pp65遺伝子及び各種HLA cDNAの抗原提示細胞への共導入の方法については、Budker等の文献(Budker, V. et al. pH−sensitive, cationic liposomes: a new synthetic virus−like vector. Nature Biotechnology 1996;14: 760−764)に基づいて実施することができる。
【0021】
また、HCMV−pp65遺伝子がいずれの型のHLAに提示され、CTLを刺激し得るのかについては、エリスポットアッセイ(enzyme−linked immunospot)で検討することができる。エリスポットアッセイは、文献(Kondo Eら(前述)、及びGeginat G, Schenk S, Skoberne M, Goebel W, Hof H. A novel approach of direct ex vivo epitope mapping identifies dominant and subdominant CD4 and CD8 T cell epitopes from Listeria monocytogenes. J Immunol. 2001;166:1877−1884)に基づいて実施することができる。
【0022】
次いで、エリスポットアッセイの結果に基づき、以下のようにして、特定のHLA型に提示されるHCMV−pp65タンパク質の部位(領域)、すなわちエピトープペプチドを同定することができる。
【0023】
HCMV−pp65遺伝子を、例えば、前述のプラスミドpcDNA3−pp65を制限酵素ApaI及びBamHIで切断し、Erase−a−Baseシステム(Promega、Madison、WI)でエキソヌクレアーゼIII処理して段階的な3’欠失体を得る。この欠失体をE.coliへ結合し、形質転換させて欠失突然変異体を得、該変異体より得られた各プラスミドクローンを配列決定し、選択することができる。
【0024】
得られたHCMV−pp65遺伝子断片と前述のpcDNA3.1を、抗原提示細胞、例えば293T細胞等にリポフェクション等の常法に基づいて共導入し、続いてCTLを刺激してエリスポットアッセイを行い、HCMV−pp65タンパク質のどの断片(領域)にCTLが反応するペプチドが存在するのかを検索することによって、HLAに提示されCD8CTLが認識し得るエピトープペプチドを同定し、取得することができる。
【0025】
一方、別法として、HCMVタンパク質のアミノ酸配列について、各種HLA型(例えば、HLA−A*0207、A*1101、B*1501、B*4001、B*4002、B*4006、B*4403、B*5101、Cw*0102、Cw*0401型等)の結合モチーフを有する8〜10個のアミノ酸よりなるエピトープペプチドを検索し得る照合媒体、例えば、インターネット上に公開されているBioInformatics & Molecular Analysis Section (BIMAS)のHLA Peptide Binding Predictions (http://bimas.dcrt.nih.gov/molbio/hla#bind/index.html.)によって照合し、エピトープ候補ペプチドをスクリーニングすることもできる。得られたエピトープ候補ペプチドについては、例えば、以下に示すような方法のいずれかによりHCMVに特異的なCD8CTLエピトープペプチドであるか否かを決定することができる。
【0026】
(1)エピトープペプチド決定方法1
10%ウシ胎児血清含有IMDM培地にて培養中の293T細胞に、エピトープ候補ペプチド配列を含むさまざまな程度に3’端を欠失したpp65遺伝子又は8〜10アミノ酸からなるペプチド配列をコードする遺伝子を含む遺伝子をHLA遺伝子と共に導入しておく。約48時間後、10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地にpp65遺伝子を導入した活性化B細胞で反復刺激して作成しておいた細胞傷害性リンパ球を約5×10/mlの細胞濃度で浮遊し、上記で準備した293T細胞に添加し、炭酸ガス恒温槽にて37℃で1晩培養する。次いで、エリスポットアッセイ(Kuzushima K他著、The Journal of Clinical Investigation, 104巻:163−171頁,1999年等で報告されている)を実施してエピトープペプチドを決定する。
【0027】
(2)エピトープペプチド決定方法2
10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地にpp65遺伝子を導入した活性化B細胞で反復刺激して作成しておいた細胞傷害性リンパ球を約5×10/mlの細胞濃度で浮遊し、これにエピトープ候補ペプチドの中の任意の1種を1μg/mlの濃度で処理した自己LCL(Lymphoblastoid cell line)加える。炭酸ガス恒温槽にて37℃で1晩培養する。これらのエピトープ候補ペプチドが刺激するか否かについては、エリスポットアッセイ等で判定する。
【0028】
本発明の配列番号1〜12のアミノ酸配列を有するペプチドは、上記のような方法における検討の結果、HLA−A*0207、A*1101、B*1501、B*4001、B*4002、B*4006、B*4403、B*5101、Cw*0102、Cw*0401、Cw*0801、Cw*1202又はCw*1502型に提示され得るHCMVに特異的なCD8CTLエピトープペプチドとして確認されたものである。
【0029】
本発明の配列番号1〜12に示されるエピトープペプチドは、従来の各種のペプチド合成方法によって調製され得る。例えば、固相ペプチド合成法等の有機化学的合成法、あるいは、ペプチドをコードするDNAを調製し、組換えDNA技術を用いて調製することも可能である。また、市販の化学合成装置(例えば、アプライドバイオシステムズ社の ペプチド合成装置)による合成も可能である。
【0030】
2.ワクチン
本発明のCD8CTLエピトープペプチドは、能動免疫ペプチドワクチン療法においてワクチンとして用いることができる。すなわち、本発明のCD8CTLエピトープペプチドを含んでなるワクチンを患者に投与し、HCMVに特異的なCD8CTLを体内で増殖させ、疾患に対する予防及び治療に役立てることができる。使用するエピトープペプチドは1種のみの使用であっても、あるいはワクチンの使用目的に応じて2種以上のペプチドを組み合わせ、混合して使用することもできる。
【0031】
また、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、活性化B細胞、マクロファージ等)に本発明のCD8CTLエピトープペプチドをパルスしたもの(以下、CD8CTLエピトープペプチドパルス細胞と称する)を含むワクチンも使用することができる。ここで、パルスするとは、適当な培養液中で、抗原提示細胞と該ペプチドを30分から1時間混合することを意味する。
【0032】
本発明のCD8CTLエピトープペプチド、又はCD8CTLエピトープペプチドパルス細胞を含んでなるワクチンは、当分野において公知の方法を用いて調製することができる。例えば、かかるワクチンとしては、本発明のCD8CTLエピトープペプチド又はCD8CTLエピトープペプチドパルス細胞を有効成分として含有する注射剤又は固形剤等がある。エピトープペプチドは、中性又は塩の形態で処方することができ、例えば、薬学上許容され得る塩としては、塩酸、リン酸などの無機塩、又は、酢酸、酒石酸などの有機酸が挙げられる。また、本発明のエピトープペプチド又はエピトープペプチドパルス細胞は、製薬上許容され、該ペプチド又は該細胞の活性と相容性を有する賦形剤、例えば、水、食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロール、DMSO、及びその他のアジュバント等、又はこれらの組み合わせと混合して用いることができる。さらに、必要に応じて、アルブミン、湿潤剤、乳化剤等の補助剤を添加してもよい。
【0033】
本発明のワクチンは、非経口投与及び経口投与により投与することができるが、一般には非経口投与が好ましい。非経口投与としては皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射等の注射剤、座薬等がある。また、経口投与としては、スターチ、マンニトール、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、セルロース等の賦形剤との混合物として調製することができる。
【0034】
本発明のワクチンは、治療上有効な量で投与する。投与される量は、治療対象、免疫系に依存し、必要とする投与量は臨床医の判断により決定される。通常、適当な投与量は、患者一人当たり、エピトープペプチドでは1 〜100mg、エピトープペプチドパルス細胞では10〜10個の含有量とする。また、投与間隔は、対象、目的により設定することができる。
【0035】
3.受動免疫療法剤
本発明のCD8CTLエピトープペプチドは、HCMVに対する受動免疫免疫治療剤の調製に用いることができる。すなわち、1)末梢血リンパ球を該ペプチドで刺激して得られるCD8CTL、2)末梢血リンパ球を該ペプチドから調製した主要組織適合抗原複合体(major histocompatibility complex、以下、MHCと称する)又はMHC−テトラマーと反応させ、MHC又はMHC−テトラマーにCD8CTLが結合した結合体を形成させ、該結合体から単離して得られるCD8CTL、又は、3)末梢血リンパ球を該ペプチドから調製したMHC−標識磁気ビーズと反応させ、MHC−標識磁気ビーズにCD8CTLが結合した結合体を形成させ、該結合体から単離して得られるCD8CTL、を含む、受動免疫免疫治療剤を得ることができる。
【0036】
CD8CTLエピトープペプチドを使用したMHC及びMHC−テトラマーは、例えば、以下のように調製することができる。タンパク質発現用の大腸菌から精製したHLA重鎖、β2ミクログロブリン及び本発明のCD8CTLエピトープペプチドの複合体である、MHCをバッファー内で形成させる。組換えHLA重鎖タンパク質のC末端には予めビオチン結合部位を付加しておき、MHC形成後この部位にビオチンを付加する。市販の標識色素ストレプトアビジンとビオチン化MHCをモル比1:4で混合することによってMHC−テトラマーを作製する。図2にMHC−テトラマーの調製方法を示し、図3にはMHC−テトラマーとHCMVに特異的なCTLとの結合を示した。なお、各ステップにおいて、ゲル濾過によるタンパク質精製を行うのが好ましい。
【0037】
受動免疫療法剤に含まれるHCMVに特異的なCD8CTLは、以下のような調製方法によって得ることができる。
(1)CD8CTL調製方法1
リンパ球を末梢血等から分離し、これを適当な濃度のMHC又はMHC−テトラマーと37℃、15分間反応させる。MHC又はMHC−テトラマーと結合したHCMVに特異的なCD8CTLは標識色素により染色されるので、フローサイトメーター、顕微鏡などを用いて染色されたCD8CTLのみを単離する。あるいは、予め無菌プレートなどに固相化したMHC及び/又はMHC−テトラマーに反応させることもできる。プレートに固相化されたMHC及び/又はMHC−テトラマーに結合したHCMV特異的CD8CTLを単離するためには、結合せずに浮遊している他の細胞を洗い流した後に、プレート上に残った抗原特異的CD8CTLだけを新しい培養液に懸濁する。このようにして単離されたHCMVに特異的なCD8CTLは、抗CD3抗体、PHA、IL−2等のT細胞刺激薬剤で刺激増殖させ、受動免疫療法に必要な細胞数を確保する。
【0038】
(2)CD8CTL調製方法2
前述のようにペプチドから調製したビオチン化MHCをストレプトアビジン標識磁気ビーズと結合させ、結合体(以下、MHC−磁気ビーズと称する)を作製する。MHC−磁気ビーズを図4に示す。リンパ球を末梢血等から分離し、適当な濃度の前記MHC−磁気ビーズをリンパ球:ビーズ比、1:10で反応させる。MHC−磁気ビーズと結合したHCMVに特異的なCD8CTLの入った試験管を磁場におくと、ビーズと結合したCD8CTLは磁石のある側の試験管内壁に寄せられる。その機構を図5に示す。その後、それ以外の細胞を洗い流した後に、試験管を磁場からはずし、試験管内壁に残ったHCMVに特異的なCD8CTLだけを新しい培養液に懸濁する。このように単離されたHCMVに特異的なCD8CTLは、抗CD3抗体、PHA、IL−2等のT細胞刺激薬剤で刺激増殖させ、受動免疫療法に必要な細胞数を確保する。
【0039】
(3)CD8CTL調製方法3
末梢血から分離したリンパ球を本発明のCD8CTLエピトープペプチドで直接刺激するか、該ペプチドをパルスした抗原提示細胞で刺激する。刺激によって誘導されたCD8CTLを炭酸ガス恒温槽にて37℃で7〜10日培養する。その後IL−2を添加し、CD8CTLエピトープペプチドとIL−2、又は該抗原提示細胞とIL−2による刺激を週に1度くり返すことによって受動免疫療法に必要な細胞数のCD8CTLを確保する。
【0040】
上記のようにして得られたHCMVに特異的なCD8CTLはヒトアルブミン含有PBS等に懸濁させて、HCMVに対する受動免疫療法剤とすることができる。
【0041】
4.CD8CTLの定量
HCMVに特異的なCD8CTLが、ハイリスクの患者(何らかの原因により免疫能が低下した人、先天性免疫不全症、造血幹細胞移植又は固形臓器移植を受けて拒絶予防のために免疫抑制剤の投与を受けている患者、慢性ウイルス感染症患者、エイズ患者、高齢者、幼小児、妊婦等)の末梢血に存在するか否かを知ることは、抗ウイルス剤や免疫抑制剤の適正な使用を含め、これらの感染症管理の上で重要な情報である。HCMVに特異的なCD8CTLの定量は、本発明のCD8CTLエピトープペプチドを用いた以下の2つの方法によって行うことができる。
【0042】
第1の定量方法は、末梢血から分離されたリンパ球を本発明のCD8CTLエピトープペプチドで刺激することによって誘導されるCD8CTLが産生するインターフェロンガンマ(IFNγ)、インターロイキン等のサイトカイン及び/又はケモカインを定量する方法である。以下にIFNγを例にとり具体的に方法を示す。
【0043】
(1)サイトカイン定量による方法1(細胞内IFNγ産生細胞定量);
末梢血から分離したリンパ球を10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地に2×10/mlの細胞濃度で浮遊させ、本発明のCD8CTLエピトープペプチドを1μg/mlの濃度で加える。さらに細胞内蛋白輸送阻止剤であるBrefeldin A等を加え、炭酸ガス恒温槽にて37℃で5〜6時間培養する。培養後、細胞を固定、膜透過処理を行い、色素標識抗IFNγ抗体、抗CD8抗体と反応させる。フローサイトメーター等を用いて、CD8リンパ球中のIFNγ陽性細胞%を定量する。
【0044】
(2)サイトカイン定量による方法2(エリスポットアッセイ);
96穴MultiScreen−HAプレート(Mi11ipore)を抗IFNγモノクローナル抗体で一晩、4℃でコーティングし各穴をPBSで洗浄した後、末梢血から分離したリンパ球を各穴にまく。エピトープペプチドを各穴に入れ37℃の5% CO培養器にて20時間培養する。翌日、0.05%Tween‐20添加PBSでプレートを洗浄した後、抗IFNγウサギ血清、ペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgGヤギ血清の順で各々90分ずつ室温で反応させる。さらに3−amino−9−ethylcarbasole (Sigma)と0.015%のHを含む0.1M酢酸ナトリウムバッファー(pH 5.0)を各穴に入れ、室温で40分反応させる。IFNγスポットを可視化し、実体顕微鏡でカウントする。
【0045】
(3)サイトカイン定量による方法3(培養上清中に分泌されたIFNγを定量する方法);
末梢血から分離したリンパ球を10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地に2×10/mlの細胞濃度で浮遊させ、本発明のCD8CTLエピトープペプチドを1μg/mlの濃度で加える。炭酸ガス恒温槽にて37℃で24−48時間培養する。培養後、上清を回収し、その中に含まれるIFNγ濃度を市販のELISA キット(例えばENDOGEN社のHUMAN IFN gamma ELISA)を使用して定量する。
【0046】
第2の定量方法としては、本発明のCD8CTLエピトープペプチドを使用して作製したMHC−テトラマーを用いて、末梢血中のHCMVに特異的なCD8CTLを定量することができる。MHC−テトラマーの調製は前述のとおりである。定量は、例えば、以下のようにして実施することができる。末梢血などからリンパ球を分離し、適当な濃度のMHC−テトラマーと37℃、15分反応させる。該テトラマーと結合したCD8CTLは標識色素により染色されるので、フローサイトメーター、顕微鏡等を用いてカウントする。
【0047】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
[実施例1] HCMVに特異的なCD8CTLエピトープペプチドの同定
1.各種材料の調製
(1)血液の入手
CMV血清反応陽性のドナー11人およびCMV血清反応陰性のドナー8人から同意を得て末梢血の提供を受けた。血液中のCMV特異的IgGの存在については、酵素結合抗体免疫吸着アッセイでCMV血清陽性分析を行い、HLA型についてはHLA研究所(Kyoto, Japan)に依頼して確認した。また、ドナー末梢血単核細胞由来のCD8陽性分画及び陰性分画は、末梢血単核細胞をフィコール密度勾配で遠心分離により分離し、CD8 マイクロビーズ(Miltenyi Biotec, Bergisch Gladbach, Germany)を使用して単離した。表1に陽性ドナー及び陰性ドナーから得た末梢血由来Tリンパ球の各HLA型と抗CMV抗体の有無を示す。
【0049】
【表1】
Figure 2004242599
【0050】
2.HCMV−pp65遺伝子及び各種HLA遺伝子を導入した293T細胞又はLCLによるHCMVに特異的なCTLの誘導
(1)CD40活性化B細胞の調製及びLCLの樹立
CD40活性化B細胞は、文献(Kondo Eら(前述)、及びSchultze JL, Michalak S, Seamon MJ, Dranoff G, Jung K, Daley J, Delgado JC, Gribben JG, Nadler LM. CD40−activated human B cells: an alternative source of highly efficient antigen presenting cells to generate autologous antigen−specific T cells for adoptive immunotherapy, J Clin Invest. 1997;100:2757−2765)に基づいて、ドナー由来のCD8−除去末梢血単核細胞から調製した。
【0051】
すなわち、IL−4(4ng/mL; Ono Pharmaceutical, Ltd, Osaka, Japan)及びCsA (0.7μg/ml; Sandoz, Basel, Switzerland)を含む、プールしたヒト血清10%含有IMDM (Invitrogen, Tokyo, Japan)2mL中で、全CD8−除去末梢血単核細胞を、γ−照射(96Gy)したヒトCD40LをトランスフェクトしたNIH3T3細胞株 (t−CD40L:Dr. Gordon Freeman, Dana−Farber Cancer Institute, Boston, MA、の好意により提供された)上で培養した。3〜4日毎に増殖した細胞を新たに調製したt−CD40L細胞上に移し、CsA非含有の新鮮な培地を供給した。その結果、CD40活性化B細胞が得られた。
【0052】
(2)LCLの樹立
10%ウシ胎仔血清(FCS; Immuno−Biological Laboratories, Gunma, Japan)を含むRPMI 1640(Invitrogen)中で、CD40活性化B細胞をエプスタイン−バールウイルス(EBV)産生株(B95−8, ATCC, Rockville, MD)の上清で処理してLCLを樹立した。
【0053】
(3)HCMV−pp65遺伝子及び各種HLA遺伝子を導入した293T細胞又はLCLの調製
293T細胞およびLCL細胞への導入に利用するプラスミド、pcDNA3−pp65、pcDNA3−EGFP(enhanced green fluorescent protein)及びpcDNA3.1(HLAクラスI(HLA−A、HLA−B及びHLA−C)の各cDNAをコードするプラスミド)、は、文献(Akatsuka Y, Goldberg TA, Kondo E, Martin EG, Obata Y, Morishima Y, Takahashi T, Hansen JA. Efficient cloning and expression of HLA class I cDNA in human B−lymphoblastoid cell lines. Tissue Antigens. 2002;In press、及びKondo E, Topp MS, Kiem HP, Obata Y, Morishima Y, Kuzushima K, Tanimoto M, Harada M, Takahashi T, Akatsuka Y. Efficient generation of antigen−specific cytotoxic T cells using retrovirally transduced CD40−activated B cells. J Immunol. 2002;169:2164−2171)に基づいて構築した。
【0054】
各種プラスミドの293T細胞への導入は、文献(Budker, V. et al. pH−sensitive, cationic liposomes: a new synthetic virus−like vector. Nature Biotechnology 1996;14: 760−764)に従って実施した。
【0055】
まず、各種HLA cDNAとHCMV−pp65遺伝子をTransIT−293 (Mirus, Madison, WI)によって293T細胞に共導入して行い、細胞を得た。それらの細胞は、以下、「293T/pp65+各種HLA型」(例えば、293T/pp65+A1101)で表す。また、HCMV−pp65遺伝子のみ導入した293T細胞(以下、「293T/pp65」と称する)、自己由来LCL、HCMV−pp65遺伝子のみ導入した自己由来(以下、「LCL/pp65」と称する)についても調製した。なおLCLへの遺伝子の導入は文献(Kondo Eら(前述))に詳細したように、pp65遺伝子をコードしたレトロウイルスベクターを感染させて行った。
また、導入率は、文献(Kondo Eら(前述))に基づいて評価した。
【0056】
3.HCMV−pp65遺伝子及び各種HLA遺伝子を導入した293T細胞又はLCLによるCTL細胞の刺激とエリスポットアッセイ(enzyme−linked immunospot)
10以上のCTLとともに、上記で調製した293T/pp65+各種HLA型細胞、293T/pp65細胞、LCL細胞、及びLCL/pp65細胞をそれぞれプレートした。4時間、その96ウェルプレート(3790; Costar)上のそれら細胞を完全培地200μL中でインキュベートした後、細胞を浮遊させ、そのすべてエリスポットプレートへ移し、16時間インキュベートした。
【0057】
エリスポットアッセイは、文献(Kondo Eら(前述)、及びGeginat G, Schenk S, Skoberne M, Goebel W, Hof H. A novel approach of direct ex vivo epitope mapping identifies dominant and subdominant CD4 and CD8 T cell epitopes from Listeria monocytogenes. J Immunol. 2001;166:1877−1884)に基づいて実施した。すなわち、MultiScreen−HA plate (MAHA S4510, Millipore)を抗−ヒトIFN−γモノクローナル抗体(M700A; Endogen, Woburn, MA)でコーティングし、エリスポットプレートとして使用した。
【0058】
スポットの検出には、ビオチン標識抗−ヒトIFN―γ抗体(M701B; 1 μg/ml, Endogen、およびストレプトアビジン−アルカリ性フォスファターゼ(Biosource International, Camarillo, CA)を使用した。IFNγスポットは、スキャナ(Canon, Tokyo, Japan)を用いてコンピューターで視覚化し、計測した。
【0059】
その結果を図6に示す。図中の各横軸は、CD8CTLの10細胞についてのスポット数を表わす。
【0060】
ドナーP08の場合、ドナーP08から調製された多数のCD8CTL細胞は、HLA−B*4006の遺伝子を含むpcDNA3.1プラスミドとpcDNA3−pp65プラスミドでトランスフェクトした293T細胞により刺激され、また、少数のCD8CTL細胞がHLA−B*4403又はCw*0801の遺伝子を含む293T細胞によって刺激されたが、他のHLAクラスI遺伝子であるHLA−A*2402、A*3303又はCw*1403を含む293T細胞には刺激されなかった。このことは、ドナーP08由来のCD8CTL細胞が、少なくとも3種類の異なるHLAクラスI対立遺伝子(HLA−B*4006、HLA−B*4403及びCw*0801)によって提示される複数のHCMV−pp65由来エピトープを認識し得ることを示唆している。
【0061】
なお、ドナーP06とP07の場合、CTL細胞がpp65遺伝子を単独導入した293T細胞を認識することが確認されているが、これは293T細胞がA*0201を内在的に発現することが知られていることによる。このため、ドナーP06及びP07においては、優性A*0201に提示されるエピトープ(配列番号21)を欠失した突然変異体pp65遺伝子(pcDNA3pp65ΔNLV)と各種HLA cDNAとを導入した293T細胞を使用した。
【0062】
4.各種HLA遺伝子により提示されたHCMV−pp65エピトープペプチドをコードする領域の同定
上記のHCMV−pp65に特異的なCTLCD8によって認識されるエピトープペプチドを同定を以下のようにして行った。
(1) HCMV−pp65遺伝子断片の調製
Akatsukaらの文献及びKondoらの文献(前述)に基づいて作製したプラスミドpcDNA3−pp65をApaI及びBamHIで切断し、Erase−a−Baseシステム(Promega、Madison、WI)でエキソヌクレアーゼIII処理して段階的な3’欠失体を得た。この欠失体でE.coliを形質転換させて欠失突然変異体を含むプラスミドDNAを得た。該変異体より得られた各プラスミドクローンをHCMV−pp65遺伝子断片として配列決定し、選択した。
【0063】
以下の表2にHCMV−pp65遺伝子のC末端切断型フォームをコードする遺伝子断片の番号とその断片の遺伝子によってコードされるアミノ酸の長さを示す。
【0064】
【表2】
Figure 2004242599
【0065】
(2) HCMV−pp65遺伝子断片のミニ遺伝子の構築
HCMV−pp65遺伝子断片のミニ遺伝子の構築を行うために、CMVプロモーター(Pcmv)およびpcDNA3.1のBGHポリアデニル化シグナル(BGHpA)をPCR(KOD Plus; Toyobo, Japan)により増幅した。Pcmv用プライマーには、5’Pcmv: CTTAGGGTTAGGCGTTTTGC(配列番号13)及び3’Pcmv: NNCATGGTGGATCCGAGCTCGGTA(配列番号14)を用い、BGHpAのプライマーには、5’BGHpA: NNTAGCGCTCGAGTCTAGAGGG(配列番号15)及び3’BGHpA: GGTTCTTTCCGCCTCAGAAG(配列番号16)を用いた。
【0066】
さらに、上記プライマーとのオーバーラップ領域(下記5’GSP(配列番号17)の下線部分が上記3’Pcmv(配列番号14)の下線部分のオーバーラップ領域であり、下記3’GSP(配列番号18)の下線部分が上記5’BGHpA(配列番号15)の下線部分のオーバーラップ領域である)と(1)で作成したpp65の欠失変異体を用いてエピトープの存在が推定された領域(センス鎖をXで、アンチセンス鎖をYで、またそれぞれの塩基長をm、nで示す)に特異的な付加ヌクレオチドとを含むセンスプライマー及びアンチセンスプライマー(5’GSP: TCGGATCCACCATG (配列番号17) Xm及び3’GSP: GACTCGAGCGCTA (配列番号18) Yn)を設計し、全長のpp65をコードするプラスミドを鋳型としてPCRを行った。例えばpp65のアミノ酸配列のアミノ酸位置341番から349番を含むペプチド断片(配列番号10)をコードするミニ遺伝子を作るためには、Xm部分をCAGTACGATCCCGTGG(配列番号19)、Yn部をGAAGAGCGCAGCCACGG(配列番号20)とした。
【0067】
Pcmv−pp65ミニ遺伝子−BGHpAの順よりなるミニ遺伝子を発現させるためのカセットを作るために、各PCR産物を1μLずつ使用して鋳型とし、再度5’Pcmv: CTTAGGGTTAGGCGTTTTGC(配列番号13)および3’BGHpA: GGTTCTTTCCGCCTCAGAAG(配列番号16)を用いて3種類の断片をPCR法にて結合した。
【0068】
なお、本発明の実施例において、ミニ遺伝子法により推定されたエピトープペプチドが実際に認識されるかどうかを確認するための実験に用いた合成ペプチドはTorayリサーチセンター (Tokyo, Japan)に合成を依頼し、購入した。
【0069】
(3) 各種HCMV−pp65遺伝子断片を用いたCD8CTL細胞の刺激によるエピトープペプチド領域の確認
上記各種HCMV−pp65遺伝子3’欠失断片と各種HLA cDNA(HLA−A*0207、A*1101、B*1501、B*4001、B*4002、B*4006、B*4403、B*5101、Cw*0102、Cw*0401、Cw*0801、Cw*1202、Cw*1502型及び対照としてのHLA−A*2402、B*3501、B*5201)でトランスフェクトした293T細胞を用いて各ドナー由来のCTL細胞を刺激し、エリスポットアッセイによってCTL細胞の認識を確認した。その結果を図7に示す。なお、図中、縦軸にpp65遺伝子3’欠失断片の長さを示し、また「−」は、スポットがないことを示す。
【0070】
ドナーP11由来のCTL細胞は、HLA−A*2402 cDNAと、クローン#17又は該クローンより長いクローンでトランスフェクトした293T細胞を認識することができる。これは、アミノ酸残基336と365(各々、クローン#16および#17のC末端位置)の間に、A*2402で提示されるHCMV−pp65エピトープペプチドが部分的に位置していることを示している。この結果は、先に同定されたA*2402に提示されるエピトープペプチド(HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、341〜349番目のアミノ酸配列)と一致している(前述、特許文献1参照)。
【0071】
また、HLA−B*3501およびB*5201の結果についても、すでに報告されたエピトープペプチド、HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、123〜131番目のアミノ酸配列(Gavin MA, et al. Alkali hydrolysis of recombinant proteins allows for the rapid identification of class I MHC−restricted CTL epitopes.J Immunol 1993;151:3971−3980)およびHCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、155〜163番目のアミノ酸配列(Bunde KF, et al. Cytomegalovirus (CMV) phosphoprotein 65 makes a large contribution to shaping the T cell repertoire in CMV−exposed individuals. J Infect Dis 2002;185:1709−1716)と各々一致していた。
【0072】
一方、その他のHLA型に提示されるHCMV−pp65エピトープペプチドについては未だ報告されていないので、未確定のHLAクラスIについて対応するHCMV−pp65エピトープペプチドの領域を調べた。
【0073】
その結果、各ドナー由来のCTL細胞によって認識された最短の長さのHCMV−pp65遺伝子断片が次のように決定された:A*0207(HCMV−pp65遺伝子断片番号#23、HCMV−pp65のアミノ酸配列の完全長)、A*1101(#22、HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、1〜513番目のアミノ酸配列)、B*4002(#13、HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、1〜283番目のアミノ酸配列)、B*4006(#23、HCMV−pp65のアミノ酸配列の完全長)、B*4403(#17、HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、1〜378番目のアミノ酸配列)、B*5101(#23、HCMV−pp65のアミノ酸配列の完全長)、Cw*0401(#16、HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、1〜355番目のアミノ酸配列)、Cw*0801(#8、HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、1〜211番目のアミノ酸配列)、Cw*1202(#14、HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、1〜310番目のアミノ酸配列)およびCw*1502(#8、HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、1〜400番目のアミノ酸配列)。
【0074】
Cw*1202では、完全長プラスミドをトランスフェクトした細胞が、それより短いプラスミドをトランスフェクトした細胞よりも弱い刺激でスポットを生じさせることが確認された(153/ウエルに対して371/ウエル)。この結果により、上記のような、P04、P07およびP10の場合になぜ少数のスポットだけが確認されるのかを説明できる。具体的には、HLA−Cw*1202に提示されるエピトープは、CTLによって顕著に認識されるが、完全長のpp65遺伝子に比べ、短いエピトープペプチドの方が効果的に刺激する。
【0075】
HLA−B*1501(ドナーP01において、最も有力にpp65エピトープを提示したHLA分子である)に関して、HCMV−pp65遺伝子断片#9(HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、1〜234番目のアミノ酸配列)はP01 CTL細胞によって認識された最短のクローンであった。これは、アミノ酸残基212〜234の領域内に、HLA−B*1501で提示されるエピトープペプチドのC末端が含まれていることを示唆するものである。
【0076】
B*4001の場合には、ドナーP03のCTL細胞はHCMV−pp65遺伝子断片#13(HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、1〜287番目のアミノ酸配列)又はそれより長いクローンを顕著に認識するとともにHCMV−pp65遺伝子断片#10(HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、1〜249番目のアミノ酸配列)、#11および#12についてもやや弱いながらも認識することができる(図7中、半丸の部分)。これは、ドナーP03のCTL細胞については、HLA−B*4001が提示するエピトープペプチドが2種類存在することを意味する。
【0077】
また、HLA−A*1101やB*4403などの場合においても、CTL細胞にわずかに認識される部分(図7中、小さな丸で示す部分)があり、優勢なエピトープ(大きな丸で示す部分)以外に、非常に弱く認識されている部分(小さな丸で示す部分)にさらなるエピトープペプチドの存在が考えられる。
【0078】
5.各HLA分子型によって提示されるHCMV−pp65エピトープペプチドのコンピューター・アルゴリズムによる同定
コンピューター・アルゴリズムによるエピトープ推定が多くの特定の腫瘍又はウイルス・ペプチドの同定に功を奏しているので、本試験においても結合モチーフを利用可能なHLA対立遺伝子に関してコンピューター・アルゴリズム、すなわち、上記エピトープペプチドを検索し得る照合媒体、例えば、インターネット上に公開されているBioInformatics & Molecular Analysis Section (BIMAS)のHLA Peptide Binding Predictions (http://bimas.dcrt.nih.gov/molbio/hla#bind/index.html.)を使用した。
【0079】
HLAクラスI対立遺伝子によって提示されるエピトープは一般に8〜10 merである。従って、図7で報告した領域のアミノ酸配列とそのN末端側の10アミノ酸配列をとともにBIMASウェブサイトにあるコンピューター・アルゴリズムにかけた。そのエピトープペプチドの推定結果を表3に示した。
【0080】
【表3】
Figure 2004242599
【0081】
HLA−A*0207の場合、BIMASウェブサイトにおいて、HLA−A*0207自体に対する推定は行えなかったが、HLA−A*0201に類似性を示すHLA−A*0207の結合モチーフは既に報告されている。したがって、HLA−A*0207のエピトープペプチドを推定するため、分析オプションのHLA分子としてHLA−A*0201を選択した。
【0082】
HLA−B*1501に関しては、トップ3のエピトープのスコアが類似している(6、4.4及び4)。したがって、別のアルゴリズム(University of Oklahoma Health Sciences Centerのウェブサイト)による推定を試みた。その結果、1つのエピトープだけが高いスコアを示し、そのスコアはBIMASウェブサイトによる3番目のスコアと一致した。
【0083】
各CTLにより推定されるエピトープの認識は、推定エピトープ又は無関係なpp65のペプチドをコードするミニ遺伝子をオーバーラッピングPCRによって作成し、ミニ遺伝子の導入細胞を使用して、エリスポットアッセイによって評価した。
【0084】
図8に示すように、HLA−B*5101以外の推定されたエピトープはすべて、適当なHLA遺伝子の存在下において各pp65特異的CTLによって十分に認識され、その特異性が確認された。
【0085】
ドナーP01由来のCTL細胞は、pp65のアミノ酸番号215〜223をコードするミニ遺伝子とHLA−B*1501でコトランスフェクトした293T細胞によって刺激されるが、それは、完全長pp65遺伝子で同様にコトランスフェクトした293T細胞による刺激に匹敵した。一方、pp65遺伝子のアミノ酸番号227〜235をコードするミニ遺伝子で同様にコトランスフェクトした293T細胞では刺激が生じなかった。この結果、HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、215〜223番目のアミノ酸配列(配列番号3)が、HLA−B*1501が提示するpp65遺伝子由来のエピトープペプチドの少なくとも1種であることが確認された。
【0086】
HLA−B*4001に関しては、ドナーP03由来のCTL細胞が表3に挙げられた2種類のミニ遺伝子(HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、232〜240番目のアミノ酸配列(配列番号4)および267〜275番目のアミノ酸配列(配列番号5))をともによく認識した。これは、クローン(図7)を使用したエリスポットアッセイの結果と類似していた。
【0087】
さらに、ドナーP02由来のCTL細胞は、HLA−B*4001中の2種類のミニ遺伝子をともに認識することができ(データは示さず)、両ミニ遺伝子がHLA−B*4001によって提示される優性pp65−エピトープペプチドであることが確認された。
【0088】
HLA−B*5101の場合、推定されたエピトープ(HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、547〜555番目のアミノ酸配列)をコードするミニ遺伝子又は2番めに高いスコア(HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、545〜553番目のアミノ酸配列)を有するミニ遺伝子は、ドナーP05由来のCTL細胞にあまり認識されなかった。このため、他の様々なミニ遺伝子についても検討したところ、9アミノ酸からなるペプチド(HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、545〜552番目のアミノ酸配列(配列番号8))をコードするミニ遺伝子がよく認識されることがわかった。この9アミノ酸からなるペプチドは、HLA−B*5101についてすでに報告された結合モチーフと一致しており、第2位置がアラニン又はプロリンで、C末端がイソロイシンである。
【0089】
これらの結果により、表4に示すように、HLA−A*0207、A*1101、B*1501、B*4001、B*4002、B*4006、B*4403、B*5101、Cw0102、Cw*0401、Cw*0801、Cw*1202及びCw*1502で各々提示される新規pp65由来エピトープペプチドが明らかになった。
【0090】
【表4】
Figure 2004242599
【0091】
6.コンピューター・アルゴリズムが利用できないHLA分子型によって提示されるHCMV−pp65エピトープペプチドの同定
HLA−C*0801、C*1202、C*1502に提示されるペプチドモチーフが十分判明していないため、これらのHLA型に対しては現在コンピューター・アルゴリズムが利用できない。従って上記と同様の方法で特定した図7に示す領域のアミノ酸配列をコードするミニ遺伝子(長さ8〜10)を、N末端側から1アミノ酸ずつずらしながら多数作成し、293T細胞にトランスフェクトして、各ドナー(P08、P09およびP02)由来のCTL細胞を刺激し、エリスポットアッセイによってCTL細胞の認識を確認した。その結果を図9に示す。 図9から明らかなように、HLA−C*0801およびC*1502によって提示されるpp65のエピトープペプチド配列は同一であり、 HCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、198〜206番目のアミノ酸配列(配列番号11)であることが判明した。同様に、HLA−Cw*1202によって提示されるpp65のエピトープペプチド配列はHCMV−pp65のアミノ酸配列のうち、295〜302番目のアミノ酸配列(配列番号12)であることがわかった。
【0092】
HLA−C*0801、C*1202及びC*1502で各々提示される新規pp65由来エピトープペプチドを表5に示す。
【0093】
【表5】
Figure 2004242599
【0094】
[実施例2]ワクチン注射剤
DMSOに、配列番号1〜12のペプチドを最終濃度20mg/mlとなるように各々溶解し、ろ過滅菌した。得られたペプチド含有溶液を滅菌バイアル瓶に1mlずつ分注密栓し、ワクチン注射剤とした。
【0095】
[実施例3]エピトープペプチドによるCTL株の誘導
CMV血清反応陽性のドナー3人(P01、P03およびP08)の末梢血単核細胞由来のCD8除去末梢血単核細胞から調製したCD40活性化B細胞に、上述のように作製し、上記で同定した5種のエピトープペプチド(配列番号4、5、6、10及び11)を合成して添加した。エピトープペプチドによって刺激されたCD40活性化B細胞を刺激細胞とし、自己のCD8陽性細胞と共培養した。刺激細胞による刺激を2回反復し、21日目に、pp65遺伝子を導入した自己LCL(LCL/pp65)、該ペプチドを添加したか或いは行わないEGFP遺伝子導入自己LCL(LCL/EGFP)を標的として、細胞傷害試験を行った。その結果を図9に示す。図中、■はLCL/pp65、○はLCL/EGFP、●は1μMの同起源ペプチドでパルスしたLCL/EGFPを示す。図9から明らかなように、P03ではHLA−B*4001によって提示される2つのペプチド(配列番号4、配列番号5)およびCw*0401によって提示されるペプチド(配列番号10)の計3種のエピトープペプチドのついて検討したところ、いずれのペプチドで刺激・誘導されたCTL株も該ペプチドを添加したLCL/EGFPのみならず、全長のpp65を発現しているLCL/pp65とも良好に傷害した。一方、該ペプチドを添加しなかった自己LCL/EGFPは傷害しなかった。同様に、P08ではHLA−B*4006で提示されるペプチド(配列番号6)、P01ではHLA−Cw*1502によって提示されるペプチド配列番号11)を用いてCTL株の誘導を行い、細胞傷害性試験を行ったところ、図9に示すように該ペプチドを添加したLCL/EGFPのみならず、全長のpp65を発現しているLCL/pp65とも良好に傷害した。以上の結果は、本発明で同定されたエピトープペプチドがT細胞を刺激しCTL株を誘導する生理活性を有することを示している。
【0096】
【発明の効果】
本発明により、HCMVに特異的なCD8CTLエピトープペプチドを提供することができる。また、該エピトープペプチドを用いてHCMVの感染を管理、治療又は予防することができる。さらに、HCMVに特異的なCD8CTLを定量することが可能である。
【0097】
【配列表】
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【0098】
【配列表フリーテキスト】
配列番号14:nはA又はC又はG又はTを表す(存在位置:1及び2)
配列番号15:nはA又はC又はG又はTを表す(存在位置:1及び2)
【図面の簡単な説明】
【図1】CD8CTLによるウイルス感染細胞の認識機構を示す図である。
【図2】MHC−テトラマーの調製方法を示す図である。
【図3】MHC−テトラマーとHCMVに特異的なCTLの結合を示す図である。
【図4】MHC−磁気ビーズを示す図である。
【図5】MHC−磁気ビーズと結合したHCMVに特異的なCD8CTLの磁場における反応を示す図である。
【図6】各HLA型とHCMV−pp65遺伝子断片を共導入した293T細胞を用いてCTLを刺激してエリスポットアッセイを行った結果を示す図である。
【図7】各ドナー由来のCTLによって認識された最短の長さのHCMV−pp65遺伝子断片を示す図である。
【図8】コンピューター・アルゴリズムを用いたHCMVに特異的なエピトープの同定結果を示す図である。
【図9】エピトープペプチドによるCTL株の誘導を示す図である。

Claims (8)

  1. 配列番号1〜配列番号12からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、ヒトサイトメガロウイルスに特異的なCD8細胞傷害性Tリンパ球エピトープペプチド。
  2. 請求項1に記載のペプチドを有効成分として含む、ヒトサイトメガロウイルスの感染を治療又は予防するためのワクチン。
  3. 請求項1に記載のペプチドをパルスした抗原提示細胞を有効成分として含む、ヒトサイトメガロウイルスの感染を治療又は予防するためのワクチン。
  4. 請求項1に記載のペプチド又は該ペプチドをパルスした抗原提示細胞により末梢血リンパ球を刺激して得られるCD8細胞傷害性Tリンパ球を含む、ヒトサイトメガロウイルスに対する受動免疫療法剤。
  5. 請求項1に記載のペプチドから調製した主要組織適合抗原複合体及び/又は主要組織適合抗原複合体−テトラマーと末梢血リンパ球とを反応させ、該主要組織適合抗原複合体及び/又は主要組織適合抗原複合体−テトラマーにCD8細胞傷害性Tリンパ球が結合した結合体を形成させ、該結合体から単離して得られるCD8細胞傷害性Tリンパ球を含む、ヒトサイトメガロウイルスに対する受動免疫療法剤。
  6. 請求項1に記載のペプチドから調製した主要組織適合抗原複合体−標識磁気ビーズと末梢血リンパ球とを反応させ、主要組織適合抗原複合体−標識磁気ビーズにCD8細胞傷害性Tリンパ球が結合した結合体を形成させ、該結合体から単離して得られるCD8細胞傷害性Tリンパ球を含む、ヒトサイトメガロウイルスに対する受動免疫療法剤。
  7. 請求項1に記載のペプチドで末梢血を刺激し、該ウイルスに特異的なCD8細胞傷害性Tリンパ球を得、該CD8細胞傷害性Tリンパ球が産生するサイトカイン及び/又はケモカインを測定することを特徴とする、ヒトサイトメガロウイルスに特異的なCD8細胞傷害性Tリンパ球の定量方法。
  8. 請求項1に記載のペプチドから主要組織適合性複合体及び/又は主要組織適合性複合体−テトラマーを調製し、該主要組織適合性複合体及び/又は主要組織適合性複合体−テトラマーと末梢血とを反応させる、該末梢血中のヒトサイトメガロウイルスに特異的なCD8細胞傷害性Tリンパ球の定量方法。
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