JP2004242433A - 分散エネルギー適正化装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】得られる自然エネルギーの量と供給先において消費されるエネルギーの量に適合した設備規模を有しミニマムの導入コストと運用コストを得ることのできる分散エネルギー適正化装置および方法を提供する。
【解決手段】将来運用され、または運用されている分散エネルギー供給装置が設置されるべき場所における自然エネルギー量の計測値を入力可能な自然エネルギー取込量演算部13と、前記分散エネルギー供給装置からエネルギー供給を受けるエネルギー消費プラントによるエネルギー消費量を入力可能なエネルギー消費量演算部16と、を含み、前記自然エネルギーの取込量および前記エネルギー消費プラントによるエネルギー消費量から、前記分散エネルギー供給装置の供給規模を算定して前記分散エネルギー供給装置の導入コストを適正化し、または、買電もしくは売電コストとランニングコストを適正化する。
【選択図】 図1
【解決手段】将来運用され、または運用されている分散エネルギー供給装置が設置されるべき場所における自然エネルギー量の計測値を入力可能な自然エネルギー取込量演算部13と、前記分散エネルギー供給装置からエネルギー供給を受けるエネルギー消費プラントによるエネルギー消費量を入力可能なエネルギー消費量演算部16と、を含み、前記自然エネルギーの取込量および前記エネルギー消費プラントによるエネルギー消費量から、前記分散エネルギー供給装置の供給規模を算定して前記分散エネルギー供給装置の導入コストを適正化し、または、買電もしくは売電コストとランニングコストを適正化する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽光発電装置、風力発電装置、電気温水器、太陽光温水器等の分散エネルギー供給装置を備えた分散エネルギーシステムに係り、日射、風力等の自然エネルギーの供給量予測とエネルギーを供給する対象のエネルギー消費量予測に基づいて分散エネルギー供給装置の規模、導入コストおよびランニングコストを最適化する分散エネルギー適正化装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電力設備の規模および電力コストの大きな部分はピーク消費電力によって決まる。しかし、例えば下記特許文献1に記載されているように、電力需要を予測して夜間蓄熱運転やマイクロガスタービンを用いてピークカットを行ない電力消費におけるコストを抑制しようとする場合、夜間蓄熱を行うための機器やマイクロガスタービンなどの発電機器が必要である。ところが、コストを抑制するために必要なマイクロガスタービンの発電量や蓄熱機器の蓄熱量が必ずしもコストを最適に抑制する容量でないことがある。その場合、それぞれの設備容量を所与の条件としてコスト抑制を行うため、最小のコストになるようなピークカット運転が行われない。また、マイクロガスタービンの発電量や蓄熱機器の蓄熱量をシステムの最大要求量よりも大きい容量にしておけば、最適な運転コストを実現できるが、その場合は設備の導入コストが大きくなるという問題がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−338036号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
先述したようなエネルギーシステムでは、導入コストと運転コストの間にトレードオフの関係がある。そこで、導入コストと運転コストの2つの変数の最適点を設定すれば、自然エネルギーを利用した分散エネルギーシステムのコスト最適化を実現することができる。ただし、分散エネルギー供給システムのコスト最適点は一意に決まるわけではなく、供給先が必要としているエネルギーの種類や量、また、システムを設置している場所で得られる自然エネルギーの種類や量によって決定する必要がある。
【0005】
そこで本発明は、得られる自然エネルギーの量と供給先において消費されるエネルギーの量に適合した設備規模を有しミニマムの導入コストと運用コストを得ることのできる分散エネルギー適正化装置および方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、将来運用され、または運用されている分散エネルギー供給装置が設置されるべき場所における自然エネルギー量の計測値を入力可能な自然エネルギー取込量演算部と、前記分散エネルギー供給装置からエネルギー供給を受けるエネルギー消費プラントによるエネルギー消費量を入力可能なエネルギー消費量演算部と、を含み、前記自然エネルギーの取込量および前記エネルギー消費プラントによるエネルギー消費量から、前記分散エネルギー供給装置の供給規模を算定して前記分散エネルギー供給装置の導入コストを適正化し、または、買電もしくは売電コストとランニングコストを適正化する構成とする。
【0007】
請求項2の発明は、前記自然エネルギー取込量演算部には、日射計、照度計、風力計、温度計のうち少なくとも1つ以上を用いることで得られた前記自然エネルギー量の計測値が入力される構成とする。
【0008】
請求項3の発明は、前記分散エネルギー供給装置に関するデータベースと、適正化演算部とを備え、前記適正化演算部は、前記データベースおよび前記自然エネルギーの計測値を用いて太陽光発電装置の発電量と、風力発電装置の発電量と、太陽光温水器の温水供給量を算出する構成とする。
【0009】
請求項4の発明は、前記エネルギー消費プラントに関するデータベースと適正化演算部とを備え、前記適正化演算部は、前記エネルギー消費プラントが消費する電力量と、温水生成に消費される電力量と、温水生成に消費されるガス使用量と前記データベースから前記電力量および前記ガス使用量の年間の最大値を推定する構成とする。
【0010】
請求項5の発明は、太陽光発電装置、風力発電装置、電気温水器および太陽光温水器の導入コストのデータベースを具備しており、前記エネルギー消費プラントによる最大エネルギー消費量と前記分散エネルギー供給装置によるエネルギー供給量から、前記太陽光発電装置、風力発電装置、電気温水器および太陽光温水器の必要な規模を算定し導入コストを適正化する構成とする。
【0011】
請求項6の発明は、前記エネルギー消費プラントが消費する電力量と、温水生成に消費される電力量と、温水生成に消費されるガス使用量の測定値から年間の消費電力の平均値と温水消費量の平均値を推定する構成とする。
【0012】
請求項7の発明は、太陽光発電装置、風力発電装置、電気温水器および太陽光温水器のランニングコストに関するデータベースを具備しており、前記エネルギー消費プラントによる平均エネルギー消費量と前記分散エネルギー供給装置によるエネルギー供給量から、前記太陽光発電装置、風力発電装置、電気温水器および太陽光温水器の必要な規模を算定し買電および売電コストとランニングコストを適正化する構成とする。
【0013】
請求項8の発明は、前記分散エネルギー供給装置が設置されている場所において測定された過去1年以上の温度データ、風力データ、日射データおよび照度データを有する構成とする。
【0014】
請求項9の発明は、将来運用され、または運用されている分散エネルギー供給装置が設置されるべき場所における自然エネルギー量を計測し、これを入力する工程と、前記分散エネルギー供給装置によるエネルギー供給を受けるエネルギー消費プラントにて、前記自然エネルギーの取込量および前記エネルギー消費プラントによるエネルギー消費量から、前記分散エネルギー供給装置の供給規模を算定し、前記分散エネルギー供給装置の導入コストを適正化し、または、買電もしくは売電コストとランニングコストを適正化する工程と、を含む構成とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図10を参照して説明する。
図1は本実施の形態の分散エネルギー適正化装置の要部の構成およびエネルギーと情報の流れを示す図である。分散エネルギー適正化装置1には、太陽光の照度を計測する照度計2、太陽光の日射量を計測する日射計3、風速を測定する風速計4、外気温を測定する温度計5が接続されている。また、電力計6が接続されており、太陽光発電装置、風力発電装置等の分散電源機器が接続された電力供給ライン7から電力を消費する電力消費負荷8へ供給される電力量を測定する。さらに、ガス流量計9が接続されており、ガス供給ライン10からガスを使用して熱水を供給するガス給湯負荷11へ供給されるガスの量を測定する。
【0016】
分散エネルギー適正化装置1には自然エネルギー取込量演算部13が備えられており、自然エネルギー計測装置である照度計2、日射計3、風速計4および温度計5の測定値と、分散エネルギー供給装置データベース14を用いて供給できるエネルギーの単位時間あたりの容量を算出し、1日に供給できる電気エネルギーの量と熱水の量を算出する。また、気候データベース15を用いて分散エネルギー供給装置が設置されている場所の気候条件を推定して1年間に供給できる電気エネルギーの量と熱水の量を推定する。
【0017】
分散エネルギー適正化装置1にはまた、エネルギー消費量演算部16が備えられており、電力計6とガス流量計9の測定値を用いて単位時間あたりの電気エネルギーの量と熱水の使用量を算出し、さらに1日の電気エネルギーの量と熱水の使用量と最大ピーク値を算出する。また、エネルギー消費データベース17を用いて消費される1年間の電気エネルギーの量と熱水の使用量を推定する。
【0018】
適正化演算部18では、自然エネルギー取込量演算部13で算出された供給できるエネルギーの種類および量と、エネルギー消費量演算部16で算出された消費されるエネルギーの種類および量を用いて、太陽光発電装置、風力発電装置等の分散エネルギー供給装置の適正な諸元諸条件を求める。
【0019】
図2に分散エネルギー供給装置データベース14の構造を示す。このデータベースには各種メーカの太陽光発電装置、風力発電装置等の分散電源機器や太陽光温水器の情報が格納されている。格納情報はメーカ名、発電機機種、運転条件別の発電量、運転条件別の温水生成量、導入コスト、ランニングコスト、装置設置面積、等である。
【0020】
図3に自然エネルギー取込量演算部13で算出された供給できるエネルギーの種類と量の例を示す。自然エネルギー取込量演算部13では、照度計2、日射計3、風速計4および温度計5の測定値と分散エネルギー供給装置データベース14に格納されている各分散電源機器および太陽光温水器の運転条件別の発電量、運転条件別の温水生成量情報を用いて、1日に供給できるエネルギーの種類と量を算出する。
【0021】
また自然エネルギー取込量演算部13は、気候データベース15に格納されている分散エネルギー供給装置が設置されている場所の気候条件と、照度計2、日射計3、風速計4、温度計5の測定値から得られる気候条件から1年間に得られる自然エネルギー量を算出し、その結果を元に年間に供給できる各分散電源機器毎の発電量、太陽光温水器毎の温水生成量を算出する。
【0022】
1年間に得られる自然エネルギーの量の推定例を図4に示す。気候データベース15には気象庁などによって供給されている日本各地で測定された年間の気象データがデータベースとして格納されている。日射計3や温度計5で測定された短期間の日射量や外気温の実測値データと分散エネルギー供給装置が設置されている場所に最も近い地点の気象データベース15のデータを比較し、データの誤差が最小となるように気候データベース15に格納されたデータを並行移動した値を気象データの推定値として使用し、1年間に得られる自然エネルギー量を算出する。算出された自然エネルギーの量(日射量、風速、温度の平均値)を用いて図3に示したような年間に得られる電力量や温水量の推定が可能となる。
【0023】
図5は、分散エネルギー適正化装置1に具備されているエネルギー消費データベース17の例を示す表である。エネルギー消費データベース17には、分散エネルギー適正化装置1で分散エネルギー供給装置の適正化を行う対象のプラントで消費されるエネルギーの種類と量の典型的な情報が格納されている。例えば学校では休日の電力消費量が平日に比べて極端に小さかったり、一般のプラントでは夏季に電力消費量がピークを迎えるのに対し、学校では夏季休日のため電力消費量が小さいなどの特徴がある。
【0024】
エネルギー消費データベース17にはエネルギー消費プラントの種類別(一般家庭、商店、飲食店、コンビニエンスストア、学校、病院、製造業など)のデータベース(平日の平均消費電力量、平日の最大電力量、平日の平均消費熱水量、休日の平均消費電力量、年間の平均値、各月毎の消費電力量、消費熱水量など)が格納されている。
【0025】
図6は、エネルギー消費量演算部16で実行される消費電力量の予測方法を示した図である。エネルギー消費量演算部16は電力計6で測定した消費電力量から月別の積算値を算出する。算出された値を用いて、適正化を行う分散エネルギー供給装置からエネルギーを供給されるエネルギー消費プラントに最も近い業態(例では一般家庭を選択)であるプラントの月別消費電力量のデータベースをエネルギー消費データベース17から選択し、測定値とデータベースの値の誤差が最小となるようにデータベースの値を等倍して推定値とする。
【0026】
例えばデータベースに登録されている1月から12月までの月別の消費電力量がM1〜M12であり、測定によって得られた対象プラントの1月から3月までの月別の消費電力量をm1〜m3とすると、次式で示される誤差eが0となるような係数kを算出し、算出されたkを用いて月別の推定消費電力量m4 *〜m12 *を算出する。
また、算出された推定消費電力量m4 *〜m12 *と測定した消費電力量m1〜m3から年間の積算消費電力量や月平均の消費電力量を算出する。
【0027】
図7および図8は、適正化演算部18で行われる導入コストの適正化を説明する図である。図2に示したように分散エネルギー供給装置データベース14には各発電機器や太陽熱温水器の標準使用状態での発電量や導入コストが格納されている。よって、図7に示すように標準的な環境で使用した場合の導入コストと発電量の関係(実線)を求めることができる。図7には太陽光発電装置と風力発電装置の標準的な使用環境(仕様に記載されている標準的な日射量や標準的な風速が得られている場合)の発電量が実線で示してある。
【0028】
ところが、実際の使用環境では建築物の陰になって標準的な日射量が得られなかったり、標準以上の風速が得られる環境で、風力発電量が増加したりすることがある。図7の破線は分散エネルギー供給装置設置の評価を行う環境で照度計2、日射計3、風速計4および温度計5で得られた測定値をもとに太陽光発電装置および風力発電装置の導入コストと発電電力量の関係を求めたものである。この例では、太陽の日射量が標準値以下、かつ、風速が標準値以上の環境で使用した場合の太陽光発電装置の導入コストと発電量の関係、および風力発電装置の導入コストと発電量の関係を示してある。
【0029】
標準状態の環境において、大きい発電電力量が必要な場合は、太陽光発電装置のほうが導入コストは小さく、小さい発電電力量しか必要ない場合は、風力発電装置のほうが導入コストは小さくなる。ところが、風速が標準より大きく、日射量が標準より小さい環境では太陽光発電装置のほうが導入コストが小さくなる領域が増加する。
【0030】
図8は、分散エネルギー供給装置設置の評価を行う環境の情報を用いて太陽光発電装置および風力発電装置の導入コストと発電電力量の関係を補正した結果を示す図である。図の実線が導入コスト適正化の基準となるグラフであり、エネルギーの供給対象となるエネルギー消費プラントが必要とする電力量がある程度大きい場合は太陽光発電装置を導入し、小さい場合は風力発電装置を導入する結果となっており、必要とする電力量により適正化した導入コストを図8より算出することができる。
【0031】
同様の手法によって熱水供給装置についても評価環境の日射量や温度の条件を用いて導入コストと生産熱水量の関係を補正することによって、供給対象となるエネルギー消費プラントが必要とする熱水量が決定されると、それに応じた導入コストを算出するためのグラフを得ることができる。以上のステップによってエネルギー消費プラントが必要とする電力量が決定され、決定された電力量を供給するためのコストが適正な分散エネルギー供給装置を決定することができる。
【0032】
図9は、適正化演算部18で行われる運用コストの適正化を説明する図である。図2に示したように、分散エネルギー供給装置データベース14には各種発電機器や太陽熱温水器の標準使用状態での発電量や運用コストが格納されている。図7と図8で説明したものと同様に、標準的な環境で使用した場合の運用コストと発電量の関係を図2で示す分散エネルギー供給装置データベース14を用いて求めた後、分散エネルギー供給装置設置の評価を行う環境で照度計2、日射計3、風速計4および温度計5で得られた値をもとに太陽光発電装置および風力発電装置の運用コストと発電電力量の関係を求めたものが図9である。よって、図9の情報を用いて、図8で説明したと同様の操作によって、発電量と運用コストの関係を求めることができる。
【0033】
図10は、図9で得られた発電量と運用コストの関係、および、系統から購入する電力コストを勘案し、分散エネルギー供給装置である発電機器の発電電力量の最適化を説明する図である。図中の発電目標値Xは分散エネルギー供給装置から電力供給を受けるエネルギー消費プラントが必要とする電力量で決定される。
【0034】
病院のように系統から購買する電力がない場合でもエネルギー消費プラントの運用を保障しようとする場合は、図5に例示したようなエネルギー消費データベース17と、対象プラントで電力計6とガス流量計9によって測定された値を用いて、図6に説明した方法でエネルギー消費量演算部16にて年間の電力ピーク値を推定し、その推定値を発電目標値Xとする。
【0035】
よって、発電目標値Xを発電できる容量の発電設備を導入すれば系統から購入する電力量は0となり買電コストも0となる。ただし、導入する発電設備は大規模になるため発電機器運用コストは大きくなる。また、発電設備をまったく導入しない場合は発電機器運用コストは0となるが、必要とする電力をすべて系統から購入するため買電コストは最大となる。
【0036】
買電コストと発電機器運用コストはトレードオフの関係にあり、それらの双方のコストを勘案したものが図中のランニングコストで示したグラフである。よって、このグラフのコスト最小点から最適発電電力量が決定でき、発電機器運用コストを適正化できる。また、適正な発電電力量が決定できることで、図8に説明した方法で適正な発電装置容量が決定でき導入コストも適正化できる。
【0037】
ガスの購入コストと太陽熱温水器の運用コストについても同様の方法で最適化を図ることができ、同様に導入コストの適正化が実現できる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、日射計、照度計、風力計、温度計などの自然エネルギーを計測する装置と、自然エネルギーを利用して発電、または熱水を生産する分散エネルギー供給装置のデータベースを用いて、分散エネルギー供給装置が設置される環境で生産できる電気エネルギー量と熱水の量を推定することができる。また、分散エネルギー供給装置がエネルギー消費プラントに付設されている場合には、その環境条件を日射計、照度計、風力計、温度計で測定し、かつ、それぞれの条件で消費される電気エネルギーや熱水量を計測することによってエネルギー消費プラントが必要とする年間の電気エネルギーや熱水量を推定することができる。
【0038】
本実施の形態では、エネルギーを必要とするエネルギー消費プラントの消費エネルギーの種類と量を測定し、その情報を元にエネルギー消費プラントが必要とするエネルギーの種類と量を1日単位、または1年単位で予測する。その結果を元に、設置すべき分散エネルギー供給装置の規模を適正化する。
【0039】
さらに、その環境で得られる自然エネルギーから生産できる電気エネルギーと熱水の量と、エネルギー消費プラントが必要とする電気エネルギーや熱水量との関係から、自然エネルギーを利用して発電、または熱水を生産する分散エネルギー供給装置の規模と導入コスト、運用コストを算出することができる。また、運用コストと電気やガスのコストを勘案し、コストの最適点を算出して分散エネルギーシステムに備える機器の種類と規模を適正化することができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、得られる自然エネルギーの量と供給先において消費されるエネルギーの量に適合した設備規模を有しミニマムの導入コストと運用コストを得ることのできる分散エネルギー適正化装置および方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の分散エネルギー適正化装置の構成およびエネルギーと情報の流れを示す図。
【図2】本発明の実施の形態の分散エネルギー適正化装置に備えられる分散エネルギー供給装置データベースの構成を示す表。
【図3】本発明の実施の形態において分散エネルギー供給装置データベースから推定される供給可能エネルギーの種類と量を示す表。
【図4】本発明の実施の形態において気候データベースを用いて推定される年間の気候情報を示す図。
【図5】本発明の実施の形態の分散エネルギー適正化装置に備えられるエネルギー消費データベースの構成を示す表。
【図6】本発明の実施の形態においてエネルギー消費データベースから推定されるエネルギー消費プラントにおける消費電力量を示す図。
【図7】本発明の実施の形態において発電装置の規模と導入コストを気象情報を用いて補正する方法を示す図。
【図8】本発明の実施の形態において発電装置の規模と導入コストの適正化を示す図。
【図9】本発明の実施の形態において発電装置の規模と運用コストを気象情報を用いて補正した結果を示す図。
【図10】本発明の実施の形態において発電装置の規模と運用コストを電力購入コストを勘案して最適化する方法を示す図。
【符号の説明】
1…分散エネルギー適正化装置、2…照度計、3…日射計、4…風速計、5…温度計、6…電力計、7…電力供給ライン、8…電力消費負荷、9…ガス流量計、10…ガス供給ライン、11…ガス給湯負荷、12…ガス消費負荷、13…自然エネルギー取込量演算部、14…分散エネルギー供給装置データベース、15…気候データベース、16…エネルギー消費量演算部、17…エネルギー消費データベース、18…適正化演算部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽光発電装置、風力発電装置、電気温水器、太陽光温水器等の分散エネルギー供給装置を備えた分散エネルギーシステムに係り、日射、風力等の自然エネルギーの供給量予測とエネルギーを供給する対象のエネルギー消費量予測に基づいて分散エネルギー供給装置の規模、導入コストおよびランニングコストを最適化する分散エネルギー適正化装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電力設備の規模および電力コストの大きな部分はピーク消費電力によって決まる。しかし、例えば下記特許文献1に記載されているように、電力需要を予測して夜間蓄熱運転やマイクロガスタービンを用いてピークカットを行ない電力消費におけるコストを抑制しようとする場合、夜間蓄熱を行うための機器やマイクロガスタービンなどの発電機器が必要である。ところが、コストを抑制するために必要なマイクロガスタービンの発電量や蓄熱機器の蓄熱量が必ずしもコストを最適に抑制する容量でないことがある。その場合、それぞれの設備容量を所与の条件としてコスト抑制を行うため、最小のコストになるようなピークカット運転が行われない。また、マイクロガスタービンの発電量や蓄熱機器の蓄熱量をシステムの最大要求量よりも大きい容量にしておけば、最適な運転コストを実現できるが、その場合は設備の導入コストが大きくなるという問題がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−338036号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
先述したようなエネルギーシステムでは、導入コストと運転コストの間にトレードオフの関係がある。そこで、導入コストと運転コストの2つの変数の最適点を設定すれば、自然エネルギーを利用した分散エネルギーシステムのコスト最適化を実現することができる。ただし、分散エネルギー供給システムのコスト最適点は一意に決まるわけではなく、供給先が必要としているエネルギーの種類や量、また、システムを設置している場所で得られる自然エネルギーの種類や量によって決定する必要がある。
【0005】
そこで本発明は、得られる自然エネルギーの量と供給先において消費されるエネルギーの量に適合した設備規模を有しミニマムの導入コストと運用コストを得ることのできる分散エネルギー適正化装置および方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、将来運用され、または運用されている分散エネルギー供給装置が設置されるべき場所における自然エネルギー量の計測値を入力可能な自然エネルギー取込量演算部と、前記分散エネルギー供給装置からエネルギー供給を受けるエネルギー消費プラントによるエネルギー消費量を入力可能なエネルギー消費量演算部と、を含み、前記自然エネルギーの取込量および前記エネルギー消費プラントによるエネルギー消費量から、前記分散エネルギー供給装置の供給規模を算定して前記分散エネルギー供給装置の導入コストを適正化し、または、買電もしくは売電コストとランニングコストを適正化する構成とする。
【0007】
請求項2の発明は、前記自然エネルギー取込量演算部には、日射計、照度計、風力計、温度計のうち少なくとも1つ以上を用いることで得られた前記自然エネルギー量の計測値が入力される構成とする。
【0008】
請求項3の発明は、前記分散エネルギー供給装置に関するデータベースと、適正化演算部とを備え、前記適正化演算部は、前記データベースおよび前記自然エネルギーの計測値を用いて太陽光発電装置の発電量と、風力発電装置の発電量と、太陽光温水器の温水供給量を算出する構成とする。
【0009】
請求項4の発明は、前記エネルギー消費プラントに関するデータベースと適正化演算部とを備え、前記適正化演算部は、前記エネルギー消費プラントが消費する電力量と、温水生成に消費される電力量と、温水生成に消費されるガス使用量と前記データベースから前記電力量および前記ガス使用量の年間の最大値を推定する構成とする。
【0010】
請求項5の発明は、太陽光発電装置、風力発電装置、電気温水器および太陽光温水器の導入コストのデータベースを具備しており、前記エネルギー消費プラントによる最大エネルギー消費量と前記分散エネルギー供給装置によるエネルギー供給量から、前記太陽光発電装置、風力発電装置、電気温水器および太陽光温水器の必要な規模を算定し導入コストを適正化する構成とする。
【0011】
請求項6の発明は、前記エネルギー消費プラントが消費する電力量と、温水生成に消費される電力量と、温水生成に消費されるガス使用量の測定値から年間の消費電力の平均値と温水消費量の平均値を推定する構成とする。
【0012】
請求項7の発明は、太陽光発電装置、風力発電装置、電気温水器および太陽光温水器のランニングコストに関するデータベースを具備しており、前記エネルギー消費プラントによる平均エネルギー消費量と前記分散エネルギー供給装置によるエネルギー供給量から、前記太陽光発電装置、風力発電装置、電気温水器および太陽光温水器の必要な規模を算定し買電および売電コストとランニングコストを適正化する構成とする。
【0013】
請求項8の発明は、前記分散エネルギー供給装置が設置されている場所において測定された過去1年以上の温度データ、風力データ、日射データおよび照度データを有する構成とする。
【0014】
請求項9の発明は、将来運用され、または運用されている分散エネルギー供給装置が設置されるべき場所における自然エネルギー量を計測し、これを入力する工程と、前記分散エネルギー供給装置によるエネルギー供給を受けるエネルギー消費プラントにて、前記自然エネルギーの取込量および前記エネルギー消費プラントによるエネルギー消費量から、前記分散エネルギー供給装置の供給規模を算定し、前記分散エネルギー供給装置の導入コストを適正化し、または、買電もしくは売電コストとランニングコストを適正化する工程と、を含む構成とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図10を参照して説明する。
図1は本実施の形態の分散エネルギー適正化装置の要部の構成およびエネルギーと情報の流れを示す図である。分散エネルギー適正化装置1には、太陽光の照度を計測する照度計2、太陽光の日射量を計測する日射計3、風速を測定する風速計4、外気温を測定する温度計5が接続されている。また、電力計6が接続されており、太陽光発電装置、風力発電装置等の分散電源機器が接続された電力供給ライン7から電力を消費する電力消費負荷8へ供給される電力量を測定する。さらに、ガス流量計9が接続されており、ガス供給ライン10からガスを使用して熱水を供給するガス給湯負荷11へ供給されるガスの量を測定する。
【0016】
分散エネルギー適正化装置1には自然エネルギー取込量演算部13が備えられており、自然エネルギー計測装置である照度計2、日射計3、風速計4および温度計5の測定値と、分散エネルギー供給装置データベース14を用いて供給できるエネルギーの単位時間あたりの容量を算出し、1日に供給できる電気エネルギーの量と熱水の量を算出する。また、気候データベース15を用いて分散エネルギー供給装置が設置されている場所の気候条件を推定して1年間に供給できる電気エネルギーの量と熱水の量を推定する。
【0017】
分散エネルギー適正化装置1にはまた、エネルギー消費量演算部16が備えられており、電力計6とガス流量計9の測定値を用いて単位時間あたりの電気エネルギーの量と熱水の使用量を算出し、さらに1日の電気エネルギーの量と熱水の使用量と最大ピーク値を算出する。また、エネルギー消費データベース17を用いて消費される1年間の電気エネルギーの量と熱水の使用量を推定する。
【0018】
適正化演算部18では、自然エネルギー取込量演算部13で算出された供給できるエネルギーの種類および量と、エネルギー消費量演算部16で算出された消費されるエネルギーの種類および量を用いて、太陽光発電装置、風力発電装置等の分散エネルギー供給装置の適正な諸元諸条件を求める。
【0019】
図2に分散エネルギー供給装置データベース14の構造を示す。このデータベースには各種メーカの太陽光発電装置、風力発電装置等の分散電源機器や太陽光温水器の情報が格納されている。格納情報はメーカ名、発電機機種、運転条件別の発電量、運転条件別の温水生成量、導入コスト、ランニングコスト、装置設置面積、等である。
【0020】
図3に自然エネルギー取込量演算部13で算出された供給できるエネルギーの種類と量の例を示す。自然エネルギー取込量演算部13では、照度計2、日射計3、風速計4および温度計5の測定値と分散エネルギー供給装置データベース14に格納されている各分散電源機器および太陽光温水器の運転条件別の発電量、運転条件別の温水生成量情報を用いて、1日に供給できるエネルギーの種類と量を算出する。
【0021】
また自然エネルギー取込量演算部13は、気候データベース15に格納されている分散エネルギー供給装置が設置されている場所の気候条件と、照度計2、日射計3、風速計4、温度計5の測定値から得られる気候条件から1年間に得られる自然エネルギー量を算出し、その結果を元に年間に供給できる各分散電源機器毎の発電量、太陽光温水器毎の温水生成量を算出する。
【0022】
1年間に得られる自然エネルギーの量の推定例を図4に示す。気候データベース15には気象庁などによって供給されている日本各地で測定された年間の気象データがデータベースとして格納されている。日射計3や温度計5で測定された短期間の日射量や外気温の実測値データと分散エネルギー供給装置が設置されている場所に最も近い地点の気象データベース15のデータを比較し、データの誤差が最小となるように気候データベース15に格納されたデータを並行移動した値を気象データの推定値として使用し、1年間に得られる自然エネルギー量を算出する。算出された自然エネルギーの量(日射量、風速、温度の平均値)を用いて図3に示したような年間に得られる電力量や温水量の推定が可能となる。
【0023】
図5は、分散エネルギー適正化装置1に具備されているエネルギー消費データベース17の例を示す表である。エネルギー消費データベース17には、分散エネルギー適正化装置1で分散エネルギー供給装置の適正化を行う対象のプラントで消費されるエネルギーの種類と量の典型的な情報が格納されている。例えば学校では休日の電力消費量が平日に比べて極端に小さかったり、一般のプラントでは夏季に電力消費量がピークを迎えるのに対し、学校では夏季休日のため電力消費量が小さいなどの特徴がある。
【0024】
エネルギー消費データベース17にはエネルギー消費プラントの種類別(一般家庭、商店、飲食店、コンビニエンスストア、学校、病院、製造業など)のデータベース(平日の平均消費電力量、平日の最大電力量、平日の平均消費熱水量、休日の平均消費電力量、年間の平均値、各月毎の消費電力量、消費熱水量など)が格納されている。
【0025】
図6は、エネルギー消費量演算部16で実行される消費電力量の予測方法を示した図である。エネルギー消費量演算部16は電力計6で測定した消費電力量から月別の積算値を算出する。算出された値を用いて、適正化を行う分散エネルギー供給装置からエネルギーを供給されるエネルギー消費プラントに最も近い業態(例では一般家庭を選択)であるプラントの月別消費電力量のデータベースをエネルギー消費データベース17から選択し、測定値とデータベースの値の誤差が最小となるようにデータベースの値を等倍して推定値とする。
【0026】
例えばデータベースに登録されている1月から12月までの月別の消費電力量がM1〜M12であり、測定によって得られた対象プラントの1月から3月までの月別の消費電力量をm1〜m3とすると、次式で示される誤差eが0となるような係数kを算出し、算出されたkを用いて月別の推定消費電力量m4 *〜m12 *を算出する。
また、算出された推定消費電力量m4 *〜m12 *と測定した消費電力量m1〜m3から年間の積算消費電力量や月平均の消費電力量を算出する。
【0027】
図7および図8は、適正化演算部18で行われる導入コストの適正化を説明する図である。図2に示したように分散エネルギー供給装置データベース14には各発電機器や太陽熱温水器の標準使用状態での発電量や導入コストが格納されている。よって、図7に示すように標準的な環境で使用した場合の導入コストと発電量の関係(実線)を求めることができる。図7には太陽光発電装置と風力発電装置の標準的な使用環境(仕様に記載されている標準的な日射量や標準的な風速が得られている場合)の発電量が実線で示してある。
【0028】
ところが、実際の使用環境では建築物の陰になって標準的な日射量が得られなかったり、標準以上の風速が得られる環境で、風力発電量が増加したりすることがある。図7の破線は分散エネルギー供給装置設置の評価を行う環境で照度計2、日射計3、風速計4および温度計5で得られた測定値をもとに太陽光発電装置および風力発電装置の導入コストと発電電力量の関係を求めたものである。この例では、太陽の日射量が標準値以下、かつ、風速が標準値以上の環境で使用した場合の太陽光発電装置の導入コストと発電量の関係、および風力発電装置の導入コストと発電量の関係を示してある。
【0029】
標準状態の環境において、大きい発電電力量が必要な場合は、太陽光発電装置のほうが導入コストは小さく、小さい発電電力量しか必要ない場合は、風力発電装置のほうが導入コストは小さくなる。ところが、風速が標準より大きく、日射量が標準より小さい環境では太陽光発電装置のほうが導入コストが小さくなる領域が増加する。
【0030】
図8は、分散エネルギー供給装置設置の評価を行う環境の情報を用いて太陽光発電装置および風力発電装置の導入コストと発電電力量の関係を補正した結果を示す図である。図の実線が導入コスト適正化の基準となるグラフであり、エネルギーの供給対象となるエネルギー消費プラントが必要とする電力量がある程度大きい場合は太陽光発電装置を導入し、小さい場合は風力発電装置を導入する結果となっており、必要とする電力量により適正化した導入コストを図8より算出することができる。
【0031】
同様の手法によって熱水供給装置についても評価環境の日射量や温度の条件を用いて導入コストと生産熱水量の関係を補正することによって、供給対象となるエネルギー消費プラントが必要とする熱水量が決定されると、それに応じた導入コストを算出するためのグラフを得ることができる。以上のステップによってエネルギー消費プラントが必要とする電力量が決定され、決定された電力量を供給するためのコストが適正な分散エネルギー供給装置を決定することができる。
【0032】
図9は、適正化演算部18で行われる運用コストの適正化を説明する図である。図2に示したように、分散エネルギー供給装置データベース14には各種発電機器や太陽熱温水器の標準使用状態での発電量や運用コストが格納されている。図7と図8で説明したものと同様に、標準的な環境で使用した場合の運用コストと発電量の関係を図2で示す分散エネルギー供給装置データベース14を用いて求めた後、分散エネルギー供給装置設置の評価を行う環境で照度計2、日射計3、風速計4および温度計5で得られた値をもとに太陽光発電装置および風力発電装置の運用コストと発電電力量の関係を求めたものが図9である。よって、図9の情報を用いて、図8で説明したと同様の操作によって、発電量と運用コストの関係を求めることができる。
【0033】
図10は、図9で得られた発電量と運用コストの関係、および、系統から購入する電力コストを勘案し、分散エネルギー供給装置である発電機器の発電電力量の最適化を説明する図である。図中の発電目標値Xは分散エネルギー供給装置から電力供給を受けるエネルギー消費プラントが必要とする電力量で決定される。
【0034】
病院のように系統から購買する電力がない場合でもエネルギー消費プラントの運用を保障しようとする場合は、図5に例示したようなエネルギー消費データベース17と、対象プラントで電力計6とガス流量計9によって測定された値を用いて、図6に説明した方法でエネルギー消費量演算部16にて年間の電力ピーク値を推定し、その推定値を発電目標値Xとする。
【0035】
よって、発電目標値Xを発電できる容量の発電設備を導入すれば系統から購入する電力量は0となり買電コストも0となる。ただし、導入する発電設備は大規模になるため発電機器運用コストは大きくなる。また、発電設備をまったく導入しない場合は発電機器運用コストは0となるが、必要とする電力をすべて系統から購入するため買電コストは最大となる。
【0036】
買電コストと発電機器運用コストはトレードオフの関係にあり、それらの双方のコストを勘案したものが図中のランニングコストで示したグラフである。よって、このグラフのコスト最小点から最適発電電力量が決定でき、発電機器運用コストを適正化できる。また、適正な発電電力量が決定できることで、図8に説明した方法で適正な発電装置容量が決定でき導入コストも適正化できる。
【0037】
ガスの購入コストと太陽熱温水器の運用コストについても同様の方法で最適化を図ることができ、同様に導入コストの適正化が実現できる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、日射計、照度計、風力計、温度計などの自然エネルギーを計測する装置と、自然エネルギーを利用して発電、または熱水を生産する分散エネルギー供給装置のデータベースを用いて、分散エネルギー供給装置が設置される環境で生産できる電気エネルギー量と熱水の量を推定することができる。また、分散エネルギー供給装置がエネルギー消費プラントに付設されている場合には、その環境条件を日射計、照度計、風力計、温度計で測定し、かつ、それぞれの条件で消費される電気エネルギーや熱水量を計測することによってエネルギー消費プラントが必要とする年間の電気エネルギーや熱水量を推定することができる。
【0038】
本実施の形態では、エネルギーを必要とするエネルギー消費プラントの消費エネルギーの種類と量を測定し、その情報を元にエネルギー消費プラントが必要とするエネルギーの種類と量を1日単位、または1年単位で予測する。その結果を元に、設置すべき分散エネルギー供給装置の規模を適正化する。
【0039】
さらに、その環境で得られる自然エネルギーから生産できる電気エネルギーと熱水の量と、エネルギー消費プラントが必要とする電気エネルギーや熱水量との関係から、自然エネルギーを利用して発電、または熱水を生産する分散エネルギー供給装置の規模と導入コスト、運用コストを算出することができる。また、運用コストと電気やガスのコストを勘案し、コストの最適点を算出して分散エネルギーシステムに備える機器の種類と規模を適正化することができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、得られる自然エネルギーの量と供給先において消費されるエネルギーの量に適合した設備規模を有しミニマムの導入コストと運用コストを得ることのできる分散エネルギー適正化装置および方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の分散エネルギー適正化装置の構成およびエネルギーと情報の流れを示す図。
【図2】本発明の実施の形態の分散エネルギー適正化装置に備えられる分散エネルギー供給装置データベースの構成を示す表。
【図3】本発明の実施の形態において分散エネルギー供給装置データベースから推定される供給可能エネルギーの種類と量を示す表。
【図4】本発明の実施の形態において気候データベースを用いて推定される年間の気候情報を示す図。
【図5】本発明の実施の形態の分散エネルギー適正化装置に備えられるエネルギー消費データベースの構成を示す表。
【図6】本発明の実施の形態においてエネルギー消費データベースから推定されるエネルギー消費プラントにおける消費電力量を示す図。
【図7】本発明の実施の形態において発電装置の規模と導入コストを気象情報を用いて補正する方法を示す図。
【図8】本発明の実施の形態において発電装置の規模と導入コストの適正化を示す図。
【図9】本発明の実施の形態において発電装置の規模と運用コストを気象情報を用いて補正した結果を示す図。
【図10】本発明の実施の形態において発電装置の規模と運用コストを電力購入コストを勘案して最適化する方法を示す図。
【符号の説明】
1…分散エネルギー適正化装置、2…照度計、3…日射計、4…風速計、5…温度計、6…電力計、7…電力供給ライン、8…電力消費負荷、9…ガス流量計、10…ガス供給ライン、11…ガス給湯負荷、12…ガス消費負荷、13…自然エネルギー取込量演算部、14…分散エネルギー供給装置データベース、15…気候データベース、16…エネルギー消費量演算部、17…エネルギー消費データベース、18…適正化演算部。
Claims (9)
- 将来運用され、または運用されている分散エネルギー供給装置が設置されるべき場所における自然エネルギー量の計測値を入力可能な自然エネルギー取込量演算部と、前記分散エネルギー供給装置からエネルギー供給を受けるエネルギー消費プラントによるエネルギー消費量を入力可能なエネルギー消費量演算部と、を含み、前記自然エネルギーの取込量および前記エネルギー消費プラントによるエネルギー消費量から、前記分散エネルギー供給装置の供給規模を算定して前記分散エネルギー供給装置の導入コストを適正化し、または、買電もしくは売電コストとランニングコストを適正化することを特徴とする分散エネルギー適正化装置。
- 前記自然エネルギー取込量演算部には、日射計、照度計、風力計、温度計のうち少なくとも1つ以上を用いることで得られた前記自然エネルギー量の計測値が入力されることを特徴とする請求項1記載の分散エネルギー適正化装置。
- 前記分散エネルギー供給装置に関するデータベースと、適正化演算部とを備え、前記適正化演算部は、前記データベースおよび前記自然エネルギーの計測値を用いて太陽光発電装置の発電量と、風力発電装置の発電量と、太陽光温水器の温水供給量を算出することを特徴とする請求項1記載の分散エネルギー適正化装置。
- 前記エネルギー消費プラントに関するデータベースと適正化演算部とを備え、前記適正化演算部は、前記エネルギー消費プラントが消費する電力量と、温水生成に消費される電力量と、温水生成に消費されるガス使用量と前記データベースから前記電力量および前記ガス使用量の年間の最大値を推定することを特徴とする請求項1記載の分散エネルギー適正化装置。
- 太陽光発電装置、風力発電装置、電気温水器および太陽光温水器の導入コストのデータベースを具備しており、前記エネルギー消費プラントによる最大エネルギー消費量と前記分散エネルギー供給装置によるエネルギー供給量から、前記太陽光発電装置、風力発電装置、電気温水器および太陽光温水器の必要な規模を算定し導入コストを適正化することを特徴とする請求項3および4記載の分散エネルギー適正化装置。
- 前記エネルギー消費プラントが消費する電力量と、温水生成に消費される電力量と、温水生成に消費されるガス使用量の測定値から年間の消費電力の平均値と温水消費量の平均値を推定することを特徴とする請求項1記載の分散エネルギー適正化装置。
- 太陽光発電装置、風力発電装置、電気温水器および太陽光温水器のランニングコストに関するデータベースを具備しており、前記エネルギー消費プラントによる平均エネルギー消費量と前記分散エネルギー供給装置によるエネルギー供給量から、前記太陽光発電装置、風力発電装置、電気温水器および太陽光温水器の必要な規模を算定し買電および売電コストとランニングコストを適正化することを特徴とする請求項3および6記載の分散エネルギー適正化装置。
- 前記分散エネルギー供給装置が設置されている場所において測定された過去1年以上の温度データ、風力データ、日射データおよび照度データを有することを特徴とする請求項3,4または6記載の分散エネルギー適正化装置。
- 将来運用され、または運用されている分散エネルギー供給装置が設置されるべき場所における自然エネルギー量を計測し、これを入力する工程と、前記分散エネルギー供給装置によるエネルギー供給を受けるエネルギー消費プラントにて、前記自然エネルギーの取込量および前記エネルギー消費プラントによるエネルギー消費量から、前記分散エネルギー供給装置の供給規模を算定し、前記分散エネルギー供給装置の導入コストを適正化し、または、買電もしくは売電コストとランニングコストを適正化する工程と、を含むことを特徴とする分散エネルギー適正化方法。
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