JP2004242033A - 画質評価方法、画質評価装置および評価用チャート - Google Patents

画質評価方法、画質評価装置および評価用チャート Download PDF

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Abstract

【課題】複数の画質評価装置間で共通的な画質評価値を得ることができ、さらに画像処理機器の画質評価の精度をあげることができる画質評価方法、画質評価装置および評価用チャートを提供すること。
【解決手段】画像処理機器の定量的な画質評価方法において、画質評価装置もしくは評価対象である画像処理機器の少なくとも一方に関連する基準データを採取し、その基準データを考慮した画質評価値を得ることを特徴とする画質評価方法、該方法を実施する画質評価装置及び該方法に利用される評価用チャート。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画質評価方法、画質評価装置および評価用チャートに関し、詳しくは、複数の画質評価装置間で共通的な画質評価値を得ることができ、さらに画像処理機器の画質評価の精度をあげることができる画質評価方法、画質評価装置および評価用チャートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、評価対象画像を人間の視覚の空間周波数特性MTF(Modulation Transfer Function)に基づいて感度を評価する主観的評価と、画像構造の性質を測定器具等で測定した数値で評価する客観的評価との整合をとって、評価対象画像の品質を評価する技術は、モノクロ画像に対しては広く適用されている。
【0003】
さらに、対象画像をカラー画像へ展開した技術が、例えば特許文献1に開示されている。かかる技術によれば、画像情報を輝度情報、色度情報として認識し、これら情報の空間周波数分布を求めて、人間の視覚系の空間周波数特性で補正して、画像の品質を表す画像評価値を求めており、カラー画像についても主観的評価と客観的評価との整合性を有した画像品質評価を行なうことができる。
【0004】
また、この技術の欠点を補うものとして、観察条件に応じて視覚のMTFが変化することも考慮し、網点画像のような特定の周波数にピークを有する場合の評価方法に関する技術が特許文献2に提案されている。
【0005】
しかしながら、上記従来技術のアルゴリズムは、主として電子写真等の画像出力機器に一定の入力信号を与えて出力させた画像を対象としており、イメージスキャナやデジタルカメラ等の画像入力機器の評価については適切な評価方法がなかった。
【0006】
特許文献3には、上記従来の課題を解決すべく、画像入力機器により入力された被評価画像をCRTモニタ等の表示装置で観察することを前提として、該被評価画像に対し、人の視覚空間周波数を用いて、主観評価と整合のとれた正確な画像品質評価が可能な画像評価装置が提案されている。
【0007】
一方、上記特許文献3の「画像評価装置」では、異なる取り込み画素数を持つ画像品質の評価ができないという課題を提起し、人間の感覚と相関の良くかつ定量的に、鮮鋭性に対する画像品質の評価値を得ることが可能な画像評価方法および画像評価装置が特許文献4に提案されている。この特許文献2は、人の主観と相関の高い鮮鋭性の評価値を計算するときに、所定の係数を用いて補正計算を行い、最終評価値を導出する技術である。
【0008】
【特許文献1】特開平5−284259号公報
【特許文献2】特願平7−313012号公報
【特許文献3】特開平9−284429号公報
【特許文献4】特開2000−188647号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では、画質評価装置を複数の場所に設置し、それらで共通的な画質評価をする場合や、画質評価装置の劣化に伴う装置変更をしたときに、変更の前後で共通的な画質評価を行う要請に対応することができない問題がある。
【0010】
また、画像入力機器の評価は、その機器で得られた評価用画像データの状態が評価結果に大きく影響する。しかし、それを評価して精度の高い評価結果を得る方法は提案されていない。
【0011】
さらに、精度の高い評価結果を得るための評価用画像データの撮影に有効な評価用チャートの構成方法も提案されていない。
【0012】
そこで本発明では、複数の画質評価装置間で共通的な画質評価値を得ることができ、さらに画像処理機器の画質評価の精度をあげることができる画質評価方法、画質評価装置および評価用チャートを提供することを課題とする。
【0013】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の各発明によって解決される。
【0015】
(請求項1)画像処理機器の定量的な画質評価方法において、画質評価装置もしくは評価対象である画像処理機器の少なくとも一方に関連する基準データを採取し、その基準データを考慮した画質評価値を得ることを特徴とする画質評価方法。
この発明によると、より正確な画質評価ができ、また複数の画質評価装置間で共通的な評価ができる。
【0016】
(請求項2)前記基準データは、画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における光学系の周辺減光に関するデータを含むことを特徴とする請求項1記載の画質評価方法。
この発明によると、画像入力機器や画質評価装置の光学系の特性による影響のない正確な評価値をえることができる。
【0017】
(請求項3)前記基準データは、評価用データ採取時の、被写体に対する照明光の分布に関するデータを含むことを特徴とする請求項1記載の画質評価方法。この発明によると、色彩データに含まれる照明ムラの影響を除去することができ、より正確な評価値を得ることができる。
【0018】
(請求項4)前記基準データは、濃度又は色の少なくとも一方が一様な被写体を用いて得られたものを含むことを特徴とする請求項1、2又は3記載の画質評価方法。
この発明によると、照明ムラや光学系の周辺減光などに関するデータを得ることができる。
【0019】
(請求項5)前記基準データは、画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における光学系の周辺減光に関するデータと、評価用データ採取時の、被写体に対する照明光の分布に関するデータの両方を少なくとも含むことを特徴とする請求項1記載の画質評価方法。
この発明によると、これらデータから評価用データに含まれている周辺減光や照明光のムラを把握でき、補正することで精度の高い評価が可能となる。
【0020】
(請求項6)前記基準データは、画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における階調特性に関連するデータを含むことを特徴とする請求項1記載の画質評価方法。
この発明によると、画像データのハイライト部が画質評価に与える影響を回避でき、より正確な評価が可能となる。
【0021】
(請求項7)前記基準データは、定量化の基準となる画質評価装置による評価値データを含むことを特徴とする請求項1記載の画質評価方法。
この発明によると、画質評価装置を変えた時も以前と同様の評価ができる。また、画質評価装置の構成が変わっても、基準器を参考にした評価値を得ることができる。
【0022】
(請求項8)前記基準的な画質評価装置による評価値データを保持し、その評価値データと、他の装置の評価値データとの誤差を最小化した評価値を算出することを特徴とした請求項7記載の画質評価方法。
この発明によると、任意の画質評価装置によって、基準器による評価値と同様の評価結果を自動的にかつ最適に得ることができる。
【0023】
(請求項9)画像処理機器の定量的な画質評価装置について、画質評価装置もしくは評価対象である画像処理機器の少なくとも一方に関連する基準データを採取し、その基準データを考慮した画質評価値を得ることを特徴とする画質評価装置。
この発明によると、より正確な画質の評価ができ、また複数の画質評価装置間で共通的な評価ができる。
【0024】
(請求項10)前記基準データは、画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における光学系の周辺減光に関するデータを含むことを特徴とする請求項9記載の画質評価装置。
この発明によると、画像入力機器や画質評価装置の光学系の特性による影響のない正確な評価値を得ることができる。
【0025】
(請求項11)前記基準データは、評価用データ採取時の、被写体に対する照明光の分布に関するデータを含むことを特徴とする請求項9記載の画質評価装置。
この発明によると、色彩データに含まれる照明ムラの影響を除去することができ、より正確な評価値を得ることができる。
【0026】
(請求項12)前記基準データは、濃度又は色の少なくとも一方が一様な被写体を用いて得られたものを含むことを特徴とする請求項9、10又は11記載の画質評価装置。
この発明によると、照明ムラや光学系の周辺減光などに関するデータを得ることができる。
【0027】
(請求項13)前記基準データは、画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における光学系の周辺減光に関するデータと、評価用データ採取時の、被写体に対する照明光の分布に関するデータの両方を少なくとも含むことを特徴とする請求項9記載の画質評価装置。
この発明によると、これらデータから評価用データに含まれている周辺減光や照明光のムラを把握でき、補正することで精度の高い評価が可能となる。
【0028】
(請求項14)前記基準データは、画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における階調特性に関連するデータを含むことを特徴とする請求項9記載の画質評価装置。
この発明によると、画像データのハイライト部が画質評価に与える影響を回避でき、より正確な評価が可能となる。
【0029】
(請求項15)前記基準データは、定量化の基準的な画質評価装置による評価値データを含むことを特徴とする請求項9記載の画質評価装置。
この発明によると、画質評価装置を変えた時も以前と同様の評価ができる。また、画質評価装置の構成が変わっても、基準器を参考にした評価値を得ることができる。
【0030】
(請求項16)前記基準的な画質評価装置による評価値データを保持し、その評価値データと、他の装置の評価値データとの誤差を最小化した評価値を算出することを特徴とした請求項15記載の画質評価装置。
この発明によると、任意の画質評価装置によって、基準器による評価値と同様の評価結果を自動的にかつ最適に得ることができる。
【0031】
(請求項17)画像処理機器の画質評価用チャートにおいて、実評価に使用されるテストパターンの平均明度よりも高明度な領域を該テストパターン以外の領域に含むことを特徴とする画質評価用チャート。
この発明によると、自動露光調整機能を持つ画像入力機器で、画質評価を高精度に行うために自動的に適度な明るさをもった画像データを効率的に得ることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0033】
本発明の画質評価方法及びこれを実施する画質評価装置は、画像処理機器の定量的な画質評価方法及び装置において、画質評価装置もしくは評価対象である画像処理機器の少なくとも一方に関連する基準データを採取し、その基準データを考慮した画質評価値を得ることを特徴とする。
【0034】
本発明によると、より高精度な画質評価結果を得ることができ、また、画質評価装置が複数あった場合に、評価装置間で評価値を共通化できる効果がある。
【0035】
本発明において、定量的な画質評価の対象となる画像処理機器は、画像入力機器、画像出力機器、画像表示機器の総称である。
【0036】
画像入力機器は、自然被写体やプリント物をデジタルデータ化する機器であり、例えば、フラットベットスキャナ、フィルムスキャナ、CCDカメラ、DSC、ビデオカメラなどが挙げられ、その他、前記例示物と同等の処理ができる装置も含まれる。
【0037】
画像出力機器は、デジタルデータを反射メディア、透過メディアに印刷する機器であり、例えば、銀塩プリンタ、昇華プリンタ、印刷機、レーザープリンタなど各種印字方式における出力機器が挙げられる。
【0038】
画像表示機器は、CRT、液晶モニタ、プラズマディスプレイなど画像データをディスプレイに表示する機器である。
【0039】
本発明における画質評価装置は、前記画像処理機器の画質を評価する装置であり、該画質評価装置の構成の一例を図1に基づいて説明する。
【0040】
同図に示すように、画質評価装置は、プリントデータ取得手段100、データ保持/記録手段200、データ処理手段300、画像表示手段400、評価パラメータ/指示入力手段500、データ読取手段600、制御手段700を備えている。
【0041】
プリントデータ取得手段100は、反射原稿や透過原稿のデジタルデータを取得する手段であり、画像出力機器の評価で使用する手段である。ハードウェアだけでなくデバイスドライバやその設定パラメータも本手段の範疇に含まれる。プリントデータ取得手段100で取得する上で必要な機能やデータであるからである。具体的なハードウェアとしては、フラットベットスキャナ、フィルムスキャナ、マイクロデンシトメータ、CCDカメラ、DSC、ビデオカメラなどが挙げられる。
【0042】
データ保持/記録手段200は、評価に使用される画像データやアプリケーションツール、評価の中間処理データや結果のデータを保持したり・記録する手段である。この手段200では、HDD、CD−ROM、FDD、メモリカードなど一般的な情報保持記録手段が対応する。また、後に述べる「基準データ」もこのデータ保持/記録手段200に保持する。
【0043】
データ処理手段300は、評価に使用されるアプリケーションツールであり、画像を扱うためのレタッチソフト、編集ソフトといった画像編集用アプリケーションソフトと、画質評価に必要なデータを入力して評価項目に応じた評価結果を出力する画質評価ツールに分けられる。画質評価ツールは、本発明の画質評価方法をツール化したものである。画質評価ツールは各評価項目毎に用意される場合もある。
【0044】
画像表示手段400は、画像編集、画質評価、パラメータ設定、指示状況を表示するための手段であり、画像表示機器が対応する。
【0045】
評価パラメータ/指示入力手段500は、画質評価のパラメータを設定したり、画像編集用アプリケーションを操作するための指示を入力する手段であり、キーボート、マウス、タッチパネルなどUI(ユーザインターフェース)に相当する手段が対応する。
【0046】
データ読取手段600は、画像入力機器などで得られた画像データを読みとるための手段であり、PCカードリーダー、CFカードリーダー、MOドライブ、FDD、CD−ROMなどで対応することもできるし、もしくは、ネットワーク経由で読みとるためのネットワークカードでもよい。
【0047】
制御手段700は、上記の各手段を制御して、円滑に作業を進めるための手段であり、例えばPC(パソコン)などの本体部が対応する。
【0048】
次に、本発明における画質評価方法の一般的な手順について説明する。
(1)最初に「評価項目」を決める。「評価項目」としては、例えば画像入力機器の階調特性、ノイズ感、鮮鋭性、測色的色再現などが挙げられる。
【0049】
(2)次いで、画像入力機器の場合、評価項目に応じた画質評価用チャートを撮影する。
画像出力機器の場合、評価項目に応じた評価用デジタルチャートを出力し、画質評価装置のプリントデータ取得手段100を用いてデジタルデータ化する。
なお、上記チャートには公知のものも含まれる。
【0050】
(3)次いで、上記(2)のデータを、画質評価ツールを用いて評価する。評価方法は公知の方法でもよい。
【0051】
画像入力機器の場合について、各評価項目の評価方法の一例を、参考例として説明するが、かかる方法に限定されるわけではない。
【0052】
(画像入力機器の階調特性)
グレーステップウエッジを撮影し同時に分光計測する。計測においては、ISO 14524、OECFの計測を適用できる。各ウエッジの輝度値と画像データ値からグラフを作成する。
【0053】
(画像入力機器のノイズ感)
グレーステップウエッジを撮影し、主観と整合性のとれた評価値を算出する。
【0054】
(画像入力機器の鮮鋭性)
スラントエッジを撮影し、プロファイルデータから評価値を算出する。
【0055】
(画像入力機器の測色的色再現の検定)
ISO DSC colour targetなどを撮影し、例えばISO/WD17321−1に記載の手法を適用する。
【0056】
次に、本発明の内容ついて具体的に説明する。
【0057】
本発明において、「基準データ」とは、画質評価用チャートを撮影したり、出力した「画質評価用画像データ」とは異なり、画質評価装置や画像処理機器の状態・特性・基準値を記載したデータである。データの形式は、画像データ、テキストデータが考えられるが特に限定されない。
【0058】
基準データの内容としては、(a)画像入力機器の光学系に関連した特性に関するデータ、(b)画質評価用画像データを採取した時の被写体に対する照明光の分布に関するデータ、(c)定量化の基準とする画質評価装置による評価値データ、(d)画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における階調特性に関連するデータなどが好ましい態様として挙げられる。
【0059】
なお、画像処理機器内部の電気的又は機械的な処理に関連する特性をキャリブレーションするためのデータは、本発明の「基準データ」には含まない。本発明の「基準データ」に含まない前記キャリブレーションとしては、例えば色再現やや機器の劣化を補正するためのキャリブレーションが挙げられる。
【0060】
上記(a)の画像入力機器の光学系に関連した特性に関する基準データにおいて、特に重要な特性としては、「周辺減光」、「MTF(鮮鋭性)」が挙げられる。
【0061】
「周辺減光」はDSCやスキャナにおける「入射光のケラレ」であり、画像中心部より周辺部が暗くなる現象が生ずる。
【0062】
「MTF」はDSCやスキャナに周波数情報を入力したときの出力される周波数成分の割合であり、多くの場合、レンズなどの光学系を通すことで、高周波成分が伝達されにくくなる。
【0063】
「周辺減光」など光学系に関連した特性に関する基準データとしては、濃度や色が一様な被写体を画像入力機器で撮影した画像データが好ましい態様として挙げられる。
【0064】
また、画像評価装置のプリントデータ取得手段100(図1参照)は主に画像入力機器を使用しているため、本発明ではこれらについても同様な基準データを用意できる。
【0065】
次に上記(b)の画質評価用画像データを採取した時の被写体に対する照明光の分布に関する基準データとしては、例えば「照明光分布」、「照明ムラ」に関するデータが好ましい例として挙げられる。
【0066】
画像入力機器のDSCの評価画像撮影は、ある照明環境で行われる。通常は写真撮影用のスタジオやライトブース環境下で行うが、多くの場合、被写体に対する照明光はムラが存在する。
【0067】
上記「照明ムラ」に関する基準データは、同一照明環境で濃度や色が一様な被写体を測色・測光した計測データであり、例えば分光データ、輝度データなどが挙げられる。
【0068】
上記(a)の「周辺減光」の基準データでは、濃度や色が一様な被写体の画像データを使用するが、このデータ自体「照明ムラ」が存在する中の撮影データなので、上記(a)の「周辺減光」基準データと上記(b)の基準データはペアで有することが、本発明ではより好ましい。これらデータから評価用データに含まれている周辺減光や照明光のムラを把握でき、補正することで精度の高い評価が可能となるからである。
【0069】
また、画像評価装置のプリントデータ取得手段も画像入力機器を使用しているため、同様な基準データを持つことができる。
【0070】
次に、上記(c)の定量化の基準とする画質評価装置による評価値データを基準データとする態様において、かかる基準データは、複数の画質評価装置の中で評価値を共通化するための評価値データである。
【0071】
画質評価装置による評価結果の違いは、主にプリントデータ取得手段の違いによって起きるため、基準データは、この手段を用いる画像出力機器の各評価項目に対してそれぞれ用意される。
【0072】
上記(d)の画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における階調特性に関連するデータを基準データとする場合において、画像入力機器やプリントデータ取得手段の画像撮像部(CCD、CMOSなど)の階調特性は、図2に示すように、ハイライト域に非線形変化部を持ち、評価時にこの部分を使用すると評価精度が落ちる場合がある。
【0073】
なお、図2において、横軸は画像入力機器に対する入力光の輝度(Y)、縦軸はR,G,Bの出力データである。
【0074】
このため階調特性に関するデータを基準データとし、これを考慮することで評価精度を維持する。
【0075】
「階調特性に関するデータ」は、画像撮像部の入出力特性や画像入力機器やプリントデータ取得手段の階調特性に関するデータである。
【0076】
データ化する方法としては、画像撮像部の入出力特性のカタログデータをデジタライズする方法や、上述した「画像入力機器の階調特性」の評価を適用し、評価データを多項式でフィッティングしたり、補間処理したりする方法がある。
【0077】
図3左のグラフ(A)は、横軸の入力(光の輝度)に対して、縦軸の出力(画像データ)をプロットしたもので、この左のグラフ(A)を多項式でフィッティングして右のグラフ(B)のような曲線(関数)を得ることができる。
【0078】
次に、本発明において、基準データの使用方法の好ましい態様を説明する。
第1の態様は、「画質評価用画像データ」を、基準データを用いて規格化する態様が挙げられる。すなわち、画質評価用画像データを基準データで割ることにより、例えば比率を求めたり、指標化する態様である。一例としては評価用画像データを周辺減光の影響を含んだ基準データで割ることによって周辺減光の影響を除去した画像データを得ることが挙げられる。
【0079】
第2の態様は、例えば上記(a)の基準データを上記(b)の基準データで規格化し、「周辺減光と照明ムラのない基準データ」を作成する態様である。
【0080】
また「画質評価用画像データ」を上記(b)の基準データで規格化し、「照明ムラのない画質評価用画像データ」を作成する態様でもよい。
【0081】
第3の態様は、上記(c)のデータと他の装置による評価値から、両者をフィッティングする最適な関数を計算する態様である。本発明において、上記の(C)評価値データを保持し、その評価値データと、他の装置の評価値データとの誤差を最小化した最適化関数を用いて、評価値を算出する態様は好ましい。
【0082】
この態様を図4に基づいて説明する。図4には、横軸に上記(C)の基準の画質評価装置による評価値、縦軸にはその他の画質評価装置による評価値をとり、両評価値の関係をプロットし、両者をフィッティングする最適な関数を計算する(グラフで表される曲線を関数化する)。
【0083】
このフィッティングに際しては、両者の誤差を最小化して最適化するようにする。最適化には公知の各種手法が適用でき、関数の形態も連続的な関数式であれば任意の関数が適用できる。
【0084】
次に、第4の態様としては、上記(d)の画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における階調特性に関連するデータを基準データとする場合において、階調特性に関するデータを用いて、画像データが非線形変化部にあるか線形部にあるかを評価する態様である。
【0085】
非線形部にあるデータについては、入出力特性を用いて“線形的な場合”のデータを推定する。
【0086】
例えば図5に示すように、R(レッド)、B(ブルー)についての出力データは線形的なデータであるが、G(グリーン)については、入力光の輝度(Y)が1000以上で出力データが非線形である。この場合、入出力データの線形的なデータから推定する。図5のグラフではGの出力データに関して推定した曲線が仮想線で示されている。
【0087】
本発明では、非線形部のデータについては、補正したデータ、線形部については、そのままのデータを用いて評価値を得る。
【0088】
次に、線形部・非線形部の評価方法について、図8に基づいて説明する。
【0089】
S1:まず階調特性に関するデータが線形データ(図3に示すようなデータ)か、非線形データ(図6(B)に示すようなデータ)か、を判断する。
【0090】
S2:次いで、線形データ(図3に示すようなデータ)と判断した場合は、下記(S4)に飛ぶ。S1の判断方法は、下記S5、S6の方法で、図7のようなグラフがかけない場合(相関係数が高くその変化もほとんどない領域がない)場合は、図6(B)のようなデータと判断する。
【0091】
S3:次いで、図6(B)のようなデータと判断された場合、階調特性データの幾つかの値を用いてフィッティング関数の逆関数を計算する。図6(B)の例では、破線で囲んだ部分のデータについて、フィッティング関数の逆関数を計算し、図6(C)に示す逆関数グラフが得られる。このとき非線形変化部に入っていない幾つかのデータを用い、また黒など値の低いデータはできるだけ使わないようにすることが好ましい。
【0092】
S4:次に、上記の図6(C)の逆関数と元の階調特性データをかけて、図3と同様な階調特性データを推定する。その推定データを図6(D)に示している。
【0093】
S5:次いで、上記S1のデータもしくは上記S4のデータの入力・出力データ(図の丸点)から相関係数を算出する。
【0094】
また、値が高いデータから入力・出力データ1組ずつ削除しながら相関係数を算出する。
【0095】
S6:上記S5で、データが非線形部に存在している場合は相関係数が低くなり、線形部のデータだけの場合は相関係数が高く変化もほとんどない。このデータから、相関係数が低くなりはじめるデータの削除位置を特定する。
【0096】
図7の例では、画像データ上位の4データ間で非線形となり、それ以下は線形とみなしている。
【0097】
次に、本発明において、前記基準データは、定量化の基準となる画質評価装置による評価値データを含むことは好ましい態様である。画質評価装置を変えた時も以前と同様の評価ができ、また画質評価装置の構成が変わっても、基準器を参考にした評価値を得ることができる。
【0098】
更に好ましいのは、前記基準的な画質評価装置による評価値データを保持し、その評価値データと、他の装置の評価値データとの誤差を最小化した評価値を算出することである。任意の画質評価装置によって、基準器による評価値と同様の評価結果を自動的に得ることができるからである。
【0099】
定量化の基準とする画質評価装置による評価値データを保持するには、画質評価装置の「データ保持/記録手段」に保持することが好ましい。
【0100】
この評価値データは、各評価項目ごとに用意され、その取得方法も公知の評価方法を適用することができる。
【0101】
また、その他に画質評価装置に関連する基準データ(プリントデータ取得手段における上記以外の基準データ)も画質評価装置の「データ保持/記録手段」に保持することが好ましい。
【0102】
図9には、基準画質評価装置の基準データを保持してリスト化し画質評価ツールに入力している例が示されている。またその他、画質評価装置1〜Nの基準データを保持してリスト化し画質評価ツールに入力している例が示されている。
【0103】
また画像入力機器に関連する基準データは、図9に示すようにリスト化し、画質評価ツールに入力している。
【0104】
リストは、図示のように、基準データの項目とそのデータ(データが含まれているファイルの名前でもよい)を最低限記載する。
【0105】
画質評価ツールでは、そのリストを受けて各種補正処理を行い、評価値を算出する。
【0106】
次に、本発明の画質評価用チャートの構成を説明する。
【0107】
本発明の画質評価用チャートとしては、画質評価に使用される実物チャート、もしくはデジタルチャートなどがある。
【0108】
画像入力機器の評価には、実物チャートを用い、画像出力機器の評価には、デジタルチャートを用いることが一般的である。
【0109】
チャート内容は、評価に使用されるテストパターンとそれ以外に分けられる。
【0110】
評価に使用されるテストパターンは、画質評価値の計算時に使用される画像データが対応するパターンである。
【0111】
上記以外のパターンとしては、画質評価値の計算時に使用されない部分であり、背景や上記以外のパターンがそれにあたる。
【0112】
従来の画像入力系の画質評価用チャートは、OECFチャート、ISOのノイズ評価チャートなどいずれも多くは背景がグレイ又は白黒である。
【0113】
評価に使用されるテストパターンの配列はマトリクス状や同心円状が多い。同心円にする目的は周辺減光の影響を減らすためである。
【0114】
自動露光制御の画像入力機器(DSCなど)を評価する場合に、撮影されたチャートの画像データの一部(特に白のパターン)が上記階調特性の非線形領域に入ってしまう場合がある。この場合、先に述べたように、精度の高い評価が困難である。これはチャート全体もしくは一部の平均的な明るさによって露光時間が決定されることが原因である。
【0115】
これに対し、本発明は、チャートの背景や評価に使用されないパターンを用いて、チャート全体もしくは一部の平均的な明るさを上昇させ、結果的に露出を抑える構成である(図10参照)。
【0116】
これにより、評価に使用されるテストパターンの画像データが階調特性の非線形領域に入らないようにすることができる。
【0117】
また背景や評価に使用されないパターンの色は、チャート全体の平均的な明るさを上昇させる明るさをもったものである。従って、評価に使用されるテストパターンの明るさの平均値を上回る明るさをもつことが必要である。
【0118】
このため小さな面積で効率的に嵩上げできるためには白が好ましい。ただし、面積が大きく評価に使用されるテストパターンと近接しているとフレアの影響がでてしまうため、テストパターンとは離して置く。例えば、テストパターンが同心円状の場合(図10A)はその中心部に小さい面積のパターンを配置する(図10B)とか、チャートの4端におく(図10C)などが考えられる。また、背景の明るさを上げるなどの対策も好ましい態様である。
【0119】
なお、図10に示す例では、パッチの形状が四角であるが、他の多角形もしくは円の形状等のいずれでもよい。またそのパッチは着脱可能に構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】画質評価装置の構成の一例を示すブロック図
【図2】入力光の輝度(Y)と出力データの関係を示す図
【図3】(A)は、横軸の入力(光の輝度)に対して、縦軸の出力(画像データ)をプロットした図、(B)は左のグラフ(A)を多項式でフィッティングして曲線(関数)化した図
【図4】基準の画質評価装置による評価値とその他の画質評価装置による評価値の両者をフィッティングして最適関数化した図
【図5】非線形部のデータから線形的なデータを推定する図
【図6】階調データの変換方法の一例を示す図
【図7】線形・非線形の判定方法の一例を示す図
【図8】線形部・非線形部の評価方法の一例を示すフロー図
【図9】画質評価装置の例を示す図
【図10】画質評価用テストパターンの例を示す図
【符号の説明】
100:プリントデータ取得手段
200:データ保持/記録手段
300:データ処理手段
400:画像表示手段
500:評価パラメータ/指示入力手段
600:データ読取手段
700:制御手段

Claims (17)

  1. 画像処理機器の定量的な画質評価方法において、画質評価装置もしくは評価対象である画像処理機器の少なくとも一方に関連する基準データを採取し、その基準データを考慮した画質評価値を得ることを特徴とする画質評価方法。
  2. 前記基準データは、画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における光学系の周辺減光に関するデータを含むことを特徴とする請求項1記載の画質評価方法。
  3. 前記基準データは、評価用データ採取時の、被写体に対する照明光の分布に関するデータを含むことを特徴とする請求項1記載の画質評価方法。
  4. 前記基準データは、濃度又は色の少なくとも一方が一様な被写体を用いて得られたものを含むことを特徴とする請求項1、2又は3記載の画質評価方法。
  5. 前記基準データは、画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における光学系の周辺減光に関するデータと、評価用データ採取時の、被写体に対する照明光の分布に関するデータの両方を少なくとも含むことを特徴とする請求項1記載の画質評価方法。
  6. 前記基準データは、画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における階調特性に関連するデータを含むことを特徴とする請求項1記載の画質評価方法。
  7. 前記基準データは、定量化の基準となる画質評価装置による評価値データを含むことを特徴とする請求項1記載の画質評価方法。
  8. 前記基準的な画質評価装置による評価値データを保持し、その評価値データと、他の装置の評価値データとの誤差を最小化した評価値を算出することを特徴とした請求項7記載の画質評価方法。
  9. 画像処理機器の定量的な画質評価装置について、画質評価装置もしくは評価対象である画像処理機器の少なくとも一方に関連する基準データを採取し、その基準データを考慮した画質評価値を得ることを特徴とする画質評価装置。
  10. 前記基準データは、画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における光学系の周辺減光に関するデータを含むことを特徴とする請求項9記載の画質評価装置。
  11. 前記基準データは、評価用データ採取時の、被写体に対する照明光の分布に関するデータを含むことを特徴とする請求項9記載の画質評価装置。
  12. 前記基準データは、濃度又は色の少なくとも一方が一様な被写体を用いて得られたものを含むことを特徴とする請求項9、10又は11記載の画質評価装置。
  13. 前記基準データは、画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における光学系の周辺減光に関するデータと、評価用データ採取時の、被写体に対する照明光の分布に関するデータの両方を少なくとも含むことを特徴とする請求項9記載の画質評価装置。
  14. 前記基準データは、画質評価装置もしくは画像処理機器の少なくとも一方における階調特性に関連するデータを含むことを特徴とする請求項9記載の画質評価装置。
  15. 前記基準データは、定量化の基準となる画質評価装置による評価値データを含むことを特徴とする請求項9記載の画質評価装置。
  16. 前記基準的な画質評価装置による評価値データを保持し、その評価値データと、他の装置の評価値データとの誤差を最小化した評価値を算出することを特徴とした請求項15記載の画質評価装置。
  17. 画像処理機器の画質評価用チャートにおいて、実評価に使用されるテストパターンの平均明度よりも高明度な領域を該テストパターン以外の領域に含むことを特徴とする画質評価用チャート。
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