JP2004241835A - 品質保証型データストリームを転送するための受付判定方法、閉域ip網、そのプログラム - Google Patents

品質保証型データストリームを転送するための受付判定方法、閉域ip網、そのプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】リーキーバケットモデルにより表現できるデータストリームのパケット損失をゼロとする簡易な受付判定を実現する。
【解決手段】受付判定サーバ1001はサービス要求リクエストが受信すると、サービスに対応するサービス別サーバに問い合わせて、サービス内容情報を取得する。ストリーム特性DB3001に問い合わせて、トラヒック特性情報を取得する。網構成DB2001に問い合わせて、転送ルート情報を取得する。トラヒックDB2002に問い合わせて、提供中サービス情報を取得する。バースト継続時間と基準バースト継続限界時間にもとづき転送ルート上の各リンクについて、そのリンク速度をもとに品質保証型サービス向けに割り当てる速度の最大値を計算し、要求されているサービスの受付判定を行なう。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、IP網上での周期的なバースト性を有するデータストリームの転送において、サービス品質を保証するための受付判定の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットの利用が普及し、さまざまな通信サービスが大規模で公衆的なIP網において提供されることが期待されている。一般に、これらの通信サービスの多くはデータストリームの転送に帰着されるが、現在特に期待されている通信サービスは、高品質の映像によるVOD(Video On Demand)サービスなどに代表されるように、そのトラヒックが転送されるデータ量のボリュームが単に大きいだけでなく、データストリームがバースト性などの多様で複雑なトラヒック特性を有する。しかも、そのサービスに要求される品質(サービス品質)は非常に厳しいものである。具体的には、サービス品質はそのサービス毎に、パケット損失率、遅延時間の最大値、遅延時間分布のゆらぎなどの多様な通信品質のパラメータによって表現され、それぞれの目標値が規定される。サービスに対する課金を行うためには、そのサービス品質の達成が厳しく求められる。特に、確認応答(ACK:Acknowledgement)を行わないUDP(User Datagram Protocol)プロトコルによる転送の場合には、転送中に損失となったパケットの再転送を行うことができない。そこで、ユーザのサービス要求メッセージが到着したときに、網の帯域などのリソースと既に受付済みで提供中のサービスを総合的に判断して、いま到着したユーザ要求に対する適切な受付可否判定と、受付けたユーザ要求へのサービス品質を満足したデータストリーム転送を確実に行うための仕組みが要求される。
【0003】
通信サービスにおけるサービス品質を保証あるいは達成させるための技術の現状は、以下のようなものである。
【0004】
(ATMの場合)
ATM(Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード)が、複雑なトラヒック特性を有する通信に対してサービス品質を保証するために標準化された技術であることは広く知られている。ATM網では、セルと呼ばれる一定の大きさのデータサイズを転送単位として通信を行う。セルには着信先のアドレス情報がそのヘッダ内に格納されているので、ATM交換機はセルの着信先に向かう適切なインタフェースに送出することができる。通信サービスの種類にかかわらず同一のセルの形式で転送することにより、さまざまなデータ速度の情報を同一の経路を使って転送することが可能となり、経済性が向上した。コネクション毎に通信サービスの品質を保証するために、発信元から着信先までの経路上の帯域リソースを確保する仕組みが用意されている。転送するデータの量、すなわち、一定時間当たりに転送する必要のあるセルの数が一定の場合には、CBR(Constant Bit Rate:固定ビットレート)というサービスカテゴリによって、転送経路上の帯域リソースの確保を行うことができる。CBRコネクションのそれぞれの帯域はPCR(Peak Cell Rate:ピークセルレート)でATM網側に申告される。また、転送するデータの量が変動する場合には、VBR(Variable Bit Rate)というサービスカテゴリで帯域リソースを確保する。VBRコネクションは、PCR, SCR(平均セルレート)、MBS(最大バーストサイズ)の3つのパラメータの申告値によってリソースをATM網側で確保される。VBRコネクションは、さらに、そのサービスに要求されるリアルタイム性の有無から、rt−VBR(real−time−VBR:実時間可変ビットレート)とnrt−VBR(non−real−time VBR)の2つに分かれている。ATMのサービスカテゴリは、この他に、UBR(Unspecified Bit Rate:無規定ビットレート)とABR(Available Bit Rate:アベイラブルビット)があるが、これらは厳しいサービス品質を保証する必要があるサービス向けに使うことは想定されていない。
【0005】
ATMでは網内の通信品質を確保するために帯域などのリソース全てを管理し、コネクション毎に要求してくるサービスカテゴリやそのPCR,SCR,MBSパラメータに応じてそのリソースを割り当てることが可能かどうかを判定し、コネクションをVC(仮想チャネル)に割り当てて制御している。さらに、コネクションが自ら申告したパラメータの値に違反した場合に、同一のVP(Virtual Path:仮想パス)を共有する全てのコネクションの通信品質の劣化を引き起こすことを避けるために、UPC(Usage Parameter Controller)によるトラヒックの加工や制限などを行う必要がある。
【0006】
(ATMにおける課題)
このようにATM網では、サービス品質の保証を行うためのメカニズムが検討され標準化が進んでいるが、▲1▼網側でUPCの実装が必須であること、▲2▼端末がVBRコネクション毎にトラヒック特性パラメータPCR,SCR,MBSのそれぞれの値を正確に申告する必要があること、▲3▼網側がそれに基づいて受付判定を行う機能が必要だが、コネクション数が増大すると、コネクションの確立要求の度に、経路計算や受付判定の計算時間が急激に増加するといった課題が存在している(非特許文献1、非特許文献2、特許文献1)。
【0007】
(IP網の場合 RSVP)
IP網でのサービス品質保証を行うためのプロトコルは、RSVP(Resource ReSerVation Protocol)が最もよく知られている。RSVPは、アプリケーションがエンドエンドでのネットワーク資源をダイナミックに確保するメカニズムである。データの受信側となるアプリケーションは、必要とするサービス品質に応じて網のリソースの確保を要求するリクエストをデータの発信元に向けて送信する。このリクエストを最初に受信したRSVP対応ルータは、リクエストしたアプリケーションに対して、要求されたサービス品質の提供が可能かどうかを判定する。次に、このリクエストはさらに上流のルータに転送されて、同様の判定が行われて、最終的には、データの発信元まで到達する。この間の全ての経路上でリソースの確保が可能な場合、要求されたサービス品質を保証するエンドエンドのコネクションを確立させることができる。RSVPは、最近注目されているMPLS(Multi Protocol LabelSwitching)技術と結びつくための拡張が提案されている。MPLSが注目される理由は、IP網において仮想的なプライベートネットワークやトラヒック・エンジニアリングを実現するための基盤技術として認識されたためであるが、MPLSについてはさらに後述する。
【0008】
(IP網RSVPにおける課題)
しかしながら、RSVPを機能させるためには、データの送信端末と受信端末の間の全てのルータがRSVPに対応しているだけでなく、端末上のアプリケーションもRSVPに対応している必要がある。これは、RSVPがサービス品質を保証するために、データの転送にかかわる端末やルータが制御情報を交換するためのプロトコルにすぎず、実際にサービス品質を保証するためのメカニズムはそれぞれのルータの実装に任されている。また、ユーザ毎にさまざまな端末装置やOS(Operation System)やアプリケーションを自由に選択しているようなインターネット環境においては、このようなユーザ端末側におけるRSVP対応を前提にすることは必ずしも容易な条件ではない。さらに、現状では、確保されるリソースは帯域速度だけであるので、トラヒック特性がバースト性を有する場合には最大バースト時の帯域を確保しなければサービス品質が保証できないことになるが、それではIP網の帯域リソースを有効に利用できないという課題がある(非特許文献3、非特許文献4)。
【0009】
(IP網の場合 MPLSとDiffServ)
MPLSとはラベル(Label)と呼ばれるパケットに付けられた情報を基に、ルータがバケットを転送するインタフェースあるいはネクスト・ホップ・ルータを決定する方式である。他方、従来のルータの転送動作は、パケットの着信先のIPアドレスを見て、ネクスト・ホップ・ルータを決定する方式である。このとき、RIP(Routing Information Protocol),OSPF(Open Shortest Path First)と同じように、IPルーチングの最短経路にあるルータにパケットは転送される。最近、指摘されている欠点は、転送される経路が特定のリンクに片寄ってしまい、その結果、そのリンクにおいて輻輳が発生し、また、ネットワーク全体で見たときの転送効率やスループットの低下が起こっているという問題である。この片寄りを回避させる目的で、最短経路以外の明示的な経路を指定して迂回させる機能が求められた。MPLSは、そのラベルの仕組みによって、明示的に最短経路以外の経路を指定できる点で注目されたといえる。
【0010】
MPLSと組合せて、大規模インターネットにおいて、エンドエンドでのサービス品質を実現させるために期待されている技術が、DiffServ (Differentiated Services)である。DiffServは、エッジのルータにおいて、入ってくるパケットの品質クラス分けを行い、そのクラスを識別する情報をIPヘッダに書き込む。コア・ルータでは、そのバケットの品質クラス単位でのホップ毎の扱いを規定して、エンドエンドのサービス品質を実現することができる。例えば、品質クラスには、EF(ExpeditedForwarding)サービスとAF´(Assured Forwarding)サービスとBE(Best Effort)の3つのサービスクラスが標準化されている。一般に、EFパケットは優先キューを用いて他のサービスクラスよりも先に転送される。AFパケットはEFパケットがルータ内になくなったときに転送される。AFサービスクラスには、さらに複数のサブクラスに分かれる場合があるが、このときはWFQ(Weighted Fair Queueing)によって、サブクラスそれぞれにあらかじめ決められた重みにしたがった転送レートで送出される。BEサービスクラスのパケットは最後に転送される。なお、サービス品質を保証されることを期待するユーザと、そのサービスを提供するサービスプロバイダの間では、そのサービス品質レベルに関する取り決めであるSLA(Service Level Agreement)をあらかじめ結んでおく必要がある。このSLAの中に、遅延時間や遅延時間のゆらぎやパケット損失率に関する目標値が含まれることになる。
【0011】
(IP網の場合 MPLSとDiffServにおける課題)
しかしながら、MPLSとDiffServの組合せによって可能になることは、サービス品質のクラスに応じた目印を付けて、パケットそれぞれについてできるだけ適切な経路に割り振ることやホップでのQueueingの優先的な扱いといった転送の制御メカニズムが動作することにすぎない。動作した結果として、パケット損失率やエンドエンド遅延時間や遅延時間のゆらぎの実現値がそれぞれ目標値を達成することを保証するものではない。決められた目標値を達成するために、これらのメカニズムを運用させる具体的な方法については課題として残っている(非特許文献5、非特許文献6)。
【0012】
(リーキーバケットによるモデル化の場合)
理論的な検討として、あるセッションによるデータストリームのトラヒック特性をリーキーバケットモデルによって表現し、それを基にしてサービスの品質保証を行うための受付制御が提案されている。リーキーバケットは、図8のようにバーストとしてパケットを連続して送出するバーストON期間とパケットを送出しないバーストOFF期間を一定時間間隔で繰り返すモデルである。本明細書では、バーストON期間をバースト時と呼ぶ。一般的に、リーキーバケットモデルは、ピークレートと平均レートとトークンパケットサイズの3つのパラメータによって表現すると定義されている。しかし、以降の説明を簡単にするために、トークンバケットサイズの代わりにバーストサイズを導入する。ただし、バーストサイズとは、リーキーバケットモデルのトラヒック特性の単一周期の間に転送されるパケットのデータサイズの合計と定義する。このとき、
バーストサイズ=(トークンバケットサイズ)*(ピークレート)/
((ピークレート)―(平均レート))
という関係が成り立つ。
【0013】
図9は、リーキーバケットモデルで表現することが可能なデータストリームがルータで転送されるときの、出側の通信リンクのバッファ内に滞留するデータ量の様子を典型的にモデル化して示している。ただし、入側リンクの方が出側リンクよりもリンク速度が速いことを仮定している。
【0014】
入側リンクでは、バースト時にそのリンク速度で連続的にパケットを送出している(図9(1))。ただし、同図はパケット毎に示さず、バーストを構成するパケットのデータサイズ全体を流体的に示したものである。ルータでは、パケット毎のヘッダ情報を見て、適切なネクスト・ホップ・ルータへの通信リンクに向けてそのパケットを転送するが、この転送の速度は出側リンクのリンク速度である(図9(2))。このとき、出側リンクのバッファに滞留するデータ量が図9(3)に示されている。
【0015】
図10は図9(3)の1周期分を拡大して示した図である。同図を用いて、バッファに滞留するデータ量とパケット損失の関係について説明する。このルータのバッファ内に滞留するデータ量は、バースト時に入側リンクから入ってくるデータのレートと出側リンクから出ていくデータのレートの差の傾きで増加している。その後、バーストが終了して入側リンクからデータが入ってこなくなると、出側リンクのリンク速度で減少する。リーキーバケットモデルで表現することができるデータストリームが転送されているときに、あるルータでパケット損失が起こらないことを判定する条件は、図10のバッファに滞留するデータ量の最大値がそのルータでのバッファ容量を超えないことである。Anwar Elwalid等の文献(非特許文献7)では、この条件を満たすようにデータストリームのリーキーバケットモデル表現に基づいた受付判定を行うことが提案されている。具体的には、データストリームのリーキーバケット表現と、各ルータそれぞれの入側リンク速度と出側リンク速度と帯域とバッファ容量から、そのセッションを確立した場合、そのルータのバッファにおいてオーバーフロー、すなわち、パケット損失が起こるかどうかを判定することができる。送信側から受信側までの経路上の全てのルータでパケット損失が発生しないときに限り、そのセッションの確立を許可することに決めると、これはパケット損失ゼロを達成することができるセッションの受付判定方法となる。ただし、ここではパケット損失の原因がルータでのバッファオーバーフローだけに限定される場合を考えており、電気信号としてのビット誤りによるパケット廃棄は想定していない。あるいは、バッファオーバーフローによって損失となるパケット数よりもビット誤りにより廃棄されるパケットの数が相対的に十分に小さいことを想定しているが、これは現実的な仮定である。
【0016】
これまでは、単一のデータストリームの受付判定を考えたが、転送される複数のデータストリームが多重化されても同様に考えることが可能である。このことを図11によって説明する。図11は、通信リンクで観察される複数のデータストリームそれぞれのバーストの様子を示している。データストリーム毎にバースト時には、入側リンクのリンク速度でルータのバッファにパケットが到着して、出側リンクのリンク速度で送出されている。入側リンクのリンク速度の方が出側リンクのリンク速度よりも高速であるために、ルータ内のバッファでパケットが滞留する。バーストの隙間では、入側リンクからのパケットの到着はないが、バッファに滞留しているパケットが残っている間は出側リンクからのパケットの送出が続く。つまり、入側がバーストしているときは、バッファ内に滞留するデータ量が増大して、入側のバーストがないときは、バッファ内に滞留するデータ量が減少する。このとき、リンクの使用率が一定であるいう条件の下では、バッファ内に滞留するデータ量が最大になるのは、ストリーム毎のバーストがつながってひとかたまりになってしまうときである。したがって、ひとかたまりになったバーストを、単一のデータストリームとみなしてリーキーバケットモデルとして表現すると、前述の単一のデータストリームの受付判定と同一の方法で、バッファでのオーバーフローによるパケット損失の発生の有無を判定することができる。Anwar Elwalid等の文献(非特許文献7)で実際に提案されているのは、この受付判定方法である。
【0017】
(リーキーバケットモデルにおける課題)
Anwar Elwalid等のリーキーバケットモデルによる受付判定においては、ユーザセッションの確立要求時に、そのセッションに流れるデータストリームをリーキーバケットモデルの3つのパラメータの数値を決定して申告する必要があることと、発信側から着信側への経路上の全てのルータでバッファオーバーフローが起こらないことを評価する必要があることが課題である(非特許文献7)。
【0018】
【特許文献1】
特許第2883337号
【非特許文献1】
齋藤洋、“ATMフォーラムシリーズ トラヒックマネージメント仕様4
.0”、(社)電信電話技術員会
【非特許文献2】
富永英義、石川宏、“ポイント図解式 標準ATM教科書”、アスキー出
版局
【非特許文献3】
RFC:2205
Resource ReSerVation Protocol(RSVP)−Version 1 Functional
Specification
【非特許文献4】
RFC:3209
RSVP−TE:Extensions to RSVP for LSP Tunnels
【非特許文献5】
RFC:3031
Multiprotocol Label Switching Architecture
【非特許文献6】
RFC:3032
MPLS Label Stack Encoding
【非特許文献7】
Anwar Elwalid, Debasis Mitra, and Robert H. Wentworth, ”A New Approach for Allocating Buffers and Bandwidth to Heterogeneous, Regulated Traffic in an ATM Node”, IEEE Journal on Selected Areas in Communications,Vol. 13, No. 6, Augusut 1995.
【非特許文献8】
ITU−T勧告Y.1541
【非特許文献9】
RFC:3261
SIP:Session Initiation Protocol
【非特許文献10】
Katsuyoshi Iida, Kennji Kawahara, Tetsuya Takine, and Yuji Oie, ”Performance Evaluation of the Architecture for End−to−End Quality of−Service Provisioning”, IEEE Communications Magazine, April 2000.
【非特許文献11】
Katsuyoshi Iida, Tetsuya Takine, Hideki Sunahara, and Yuji Oie, ”Delay Analysis for CBR Traffic Under Stati−Priority Scheduling”, IEEE/ACMTransactions on Networking Vol. 9, No.2, April 2001.
【非特許文献12】
藤木正也、雁部頴一“通信トラヒック理論”、丸善株式会社、1980
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、大規模公衆向けの閉域IP網において、リーキーバケットモデルによって表現できるデータストリームを品質保証型サービスとして転送する方法において、以下の課題を解決することである。
【0020】
第1の課題は、受付けた品質保証型サービスに対しては、そのサービス品質としてパケット損失率がゼロとなることを実現できること、また遅延時間とそのゆらぎについても、品質目標値を達成できることである。特に、ここでは、ルータなどの装置の制御メカニズムが動作するための仕組みではなく、その結果としてのサービス品質を確実に達成できるようにすることである。
【0021】
第2の課題は、要求されるデータストリームのトラヒック特性の申告に基づく網リソースの確保を簡素化し、その受付判定をリアルタイムに処理でき、かつ、UPCの実装が必須ではなく、しかも、効率の高い網の運用ができるようにすることである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明を説明しやすくするために、以下の用語を定義する。
【0023】
(データストリームのバースト継続時間と周期の定義)
まず、リーキーバケットモデル表現のパラメータとして、バースト継続時間を導入する。バースト継続時間とは、バーストON期間の時間の長さであり、以下のように定義する。
【0024】
バースト継続時間=バーストサイズ/リンク速度
このとき、リンクのリンク速度毎にバースト継続時間が変化してしまうため、データストリーム固有のトラヒック特性を表現するためには適当ではない。そこで、リーキーバケットモデルによる表現のパラメータとして、周期を以下のように定義する。
【0025】
周期=バーストサイズ/平均レート
ここで、品質保証型サービスを提供する場合には、そのサービスの平均レートが少なくともリンク速度以下であることが必要であるので、この条件の下では、
周期>=バースト継続時間
の不等式が成り立つ。周期は、リンクのリンク速度によって変化しないという性質がある。これらの関係を説明しているのが、図5である。
【0026】
このとき、任意のリーキーバケットモデルは、平均レートとピークレートの2つのパラメータと、トークンパケットサイズかバーストサイズか周期のどれか1つのパラメータの、合計3つのパラメータを使って一意に表現することができることになる。
【0027】
本明細書では、これ以降、リーキーバケットモデルは、平均レートとピークレートと周期の3つのパラメータによって表現する。
【0028】
(ノードのバースト吸収時間の定義)
次に、ノードのバッファに対して、バッファ容量の尺度に相当するバースト吸収時間を導入する。図6はバースト吸収時間を説明するための図である。入側リンクにおける受信パケット用のバッファのバースト吸収時間は、以下のように定義する。
【0029】
バースト吸収時間=バッファ容量/入側リンク速度
同様に、出側リンクでの送信待ちパケット用のバッファのバースト吸収時間も定義する。
【0030】
バースト吸収時間=バッファ容量/出側リンク速度
バースト吸収時間は、ノードの入側リンク速度とバッファ容量の組から決まるので、網を構築した時点でバースト吸収時間の値をデータベースに蓄積することができる。また、逆に、網全体のバッファである一定のバースト吸収時間を有するように各バッファのバッファ容量や各リンクのリンク速度を設計することもできることに注意する。
【0031】
(パケット損失ゼロを達成する受付判定の方法)
このとき、要求されているデータストリームのトラヒック特性によって定義することができるバースト継続時間と、バッファに対して定義することができるバースト吸収時間によって、あるルータでのパケット損失ゼロを達成できるセッションの受付判定の方法を図7によって説明する。この受付判定方法は、ノードのバースト吸収時間が、要求されているデータストリームの最大のバースト継続時間であるバースト継続時間よりも長いならば、そのデータストリームの全てのパケットは、そのノードのバッファに収容できるのでパケット損失が起こらないとして、そのサービス要求の受付を可と判定する方法である。
【0032】
しかし、この判定方法は、リンクのリンク速度毎にバースト継続時間が変化してしまうため個別に計算する必要があり、煩雑である。そこで、上記のようにバースト継続時間は周期よりも必ず短いという性質があり、周期は平均レート以上のリンク速度を確保しているという条件の下に、網内に転送される過程において変化しないので、バースト継続時間の代わりに周期を用いるようにする。つまり、バースト吸収時間が周期よりも大きいときに、そのサービス要求の受付を可と判定する方法である。
【0033】
しかしながら、通常の実装においては、データストリームの周期とノードでのバースト吸収時間を比較すると、データストリームの周期の方が長く、ノードのバースト吸収時間の方が短いので、この受付判定方法が有効になることは現実的にはあまりない。
【0034】
そこで、本発明のリンクのパケット損失ゼロを達成する受付判定方法は、リンクが品質保証型サービス向けに割り当てる速度の最大値を以下のように制限する。
【0035】
品質保証型サービス向けに割り当てる速度の最大値=MIN{(リンク速度)*(バースト吸収時間)/(周期)、(リンク速度)}
ただし、MIN{x, y}は引数集合の最小値を返す関数
(具体例)
ここで具体例を使って説明する。例えば、リンク速度が100Mbps、データストリームの周期が100ミリ秒、ノードのバースト吸収時間が50ミリ秒であるときは、そのリンクでの割り当てる速度の最大値は、100Mbps*50ミリ秒/100ミリ秒=50Mbpsとなる。入側リンク速度100Mbpsのノードのバースト吸収時間が50ミリ秒であれば、そのバッファ容量は、100Mbps*50ミリ秒=5Mbitsとなる。他方、データストリームの周期が100ミリ秒なので、このデータストリームを50Mbps分のバーストサイズは、100Mbps*50ミリ秒=5Mbits となる。バッファ容量とバーストサイズが等しいので、出側リンクのリンク速度などを考慮するとバッファオーバーフローは起こらないので、パケット損失はゼロとなりサービス品質を達成することができる。
【0036】
この具体例では、リンク速度が100Mbpsに対して、品質保証型サービス向けに割り当てるリンク速度の最大値が50Mbpsに制限されるため、網リソースの利用効率が悪いようだが、実際のところ必ずしもそうではない。これは品質を保証するサービスのトラヒックは50Mbpsまでに制限されるが、品質を保証しない通信サービスに残りの速度である50Mbpsを使うことが可能であるためである。しかも、品質を保証するサービスを品質保証しないサービスに対して優先制御を行うことにより、品質保証するサービスのトラヒックは品質保証しないサービスのトラヒックの影響をほとんど受けないようにする制御を行うことが必要である。
【0037】
本発明の考え方は以下である。
【0038】
▲1▼サービス品質を保証するデータストリームに対して、それぞれのトラヒック特性をリーキーバケットモデルで表現したときに定まる周期の集合に対して、ある一定値を網全体の閾値として設定する。この一定値を基準バースト継続時間と呼ぶことにする。
【0039】
▲2▼網の全てのノードのバッファ容量を、バースト吸収時間の尺度で一定値以上にあらかじめ設計する。この一定値を、基準バースト吸収時間と呼ぶことにする。
【0040】
▲3▼パケット損失ゼロをサービス品質とする品質保証型サービスのサービス要求リクエストに対して受付判定を行う。具体的には、各リンクに対して、品質保証型サービス向けに割り当てる速度の最大値を管理して、その最大値と、既にサービス提供中のセッション毎の平均レートを積み上げた値といま受付判定をしているサービス要求の平均レートの和を比較して、前者の方が大きいときに限り、そのサービス要求リクエストを受け付ける。ただし、この品質保証型サービス向けに割り当てる速度の最大値は、
品質保証型サービス向けに割り当てる速度の最大値=MIN{(リンク速度)*(基準バースト吸収時間)/(基準バースト継続時間)、(リンク速度)}
ただし、MIN{x, y}は引数集合の最小値を返す関数
によって定める。
リーキーバケットモデルで表現が不可能なデータストリームや、可能であっても基準バースト継続時間より大きなバースト継続時間を持つデータストリームに対してサービス品質を保証する必要がある場合には、データストリームのトラヒック特性を矯正して基準バースト継続時間未満に収めることによって、パケット損失ゼロを保証することが可能である。ここで、基準バースト吸収時間と基準バースト継続時間は、その網の設計時に網全体で一定値が達成できるように決める設計値であることに注意する。
【0041】
▲4▼品質保証型サービスのサービス別に遅延時間とそのゆらぎをサービス品質目標値未満に抑えるためには、遅延時間とそのゆらぎの品質指標それぞれに、別の方法で、割り当てる速度の最大値を求めておく。そのとき、上記のパケット損失ゼロを達成するための割り当てる速度の最大値とあわせて3つの中で最小のものをその品質保証型サービス向けに割り当てる速度の最大値として運用する。さらに、品質保証型サービスを複数のサービスクラスで構成させるときには、各サービスクラス別に割り当てる速度の最大値を求めて、品質保証型サービスの全てのサービスクラスそれぞれで割り当てる速度の最大値を合計しても、元のリンク速度を超えないように調整する。
【0042】
▲5▼品質保証型サービス向けに割り当てることができないリンク速度に相当する網リソースは、サービス品質を要求しないサービスクラスのトラヒックであるベストエフォートが使用するので、全体としての網の効率は悪くならない。
【0043】
上記の考え方を実現させるための手段を以下に説明する。
【0044】
本発明は前記の課題を解決するために、品質保証型サービスを提供するIP網に以下の手段を具備する。
【0045】
第1に、転送するデータストリーム毎のトラヒック特性を測定し、リーキーバケットモデルの表現を行うために、ピークレート、平均レート、バースト継続時間の各パラメータ値を決定するトラヒック特性測定装置を有する。
【0046】
第2に、該トラヒック特性測定装置によって測定されたデータストリームのトラヒック特性情報を蓄積し、後述する受付判定サーバからの問い合せに応じて、データストリームのトラヒック特性情報をストリーム特性情報として回答するストリーム特性DBを有する。
【0047】
第3に、品質保証型サービスを提供する該IP網に関する情報が蓄積されている網構成DBを有する。蓄積される情報には、ユーザ端末やルータなど、該IP網を構成する全てのノードの網内識別子、その位置情報、通信リンクの帯域、通信リンクとノードの接続関係などの情報を含む。ここで、網内識別子とは、該IP網に収容されている全てのネットワークノードにユニークに付けられ、ネットワークノードの各々がこれにより識別でき、その収容位置をこの識別子を検索キーにして該網構成DBで調べることができる。具体的には、IPアドレスを考えてもよいが、ユーザ端末のIPアドレスは該IP網に接続するたびに動的に割り当てることも可能である。また、IPアドレスの割り当て方法もさまざまに考えることができる。しかし、網内識別子の割り当て方法などは、本発明の有効性とかかわらないので、通信サービスを始める前には網内識別子が決まっているものとする。
【0048】
第4に、該IP網で提供する品質保証型サービスに関する情報が蓄積されているトラヒックDBを有する。蓄積される情報には、提供した品質保証型サービスを特定するサービス識別子、サービスを要求したユーザ端末の網内識別子、サービスを提供したサーバの網内識別子、サービス要求リクエストが到着した時間、サービスの受付可否判定結果、サービスの提供が開始された時刻、サービスの提供が終了した時刻あるいはサービスの提供が終了する見込みの時などの情報を含む。
【0049】
第5に、該IP網において、品質保証型サービスのサービス要求リクエストに対して受付判定処理を行う受付判定サーバを有する。受付判定サーバはサービス要求リクエストが受信すると、まず、該サービス要求リクエストに要求されているサービスに対応するサービス別サーバに問い合わせて、そのサービス識別子やそのサービスを提供することによって発生するデータストリームの送信ノードと着信ノードの網内識別子などサービス内容を確定させる情報などを含むサービス内容情報を取得する。次に、該ストリーム特性DBに問い合わせて、該サービス要求リクエストに格納されている情報と該サービス内容情報から、ユーザに要求されているサービスを提供することによって発生するデータストリームの平均レートなどのトラヒック特性情報を取得する。さらに、該網構成DBに問い合わせて、発生する該データストリームの送受信ユーザ端末の網内識別子から、そのデータストリームの転送ルートと、その転送ルート上の各リンクのリンク速度を含む転送ルート情報を取得する。最後に、該トラヒックDBに問い合わせて、該転送ルート上で品質保証型サービスとして現在サービス提供中の全てのサービスに関する情報である提供中サービス情報を取得する。該受付判定サーバは、基準バースト接続時間と基準バースト吸収時間に基づき転送ルート上の各リンクについて、そのリンク速度を基に品質保証型サービス向けに割り当てる速度の最大値を計算する。該受付判定サーバは、これらの情報を総合して該サービス要求リクエストに要求されているサービスの受付判定を行う。具体的には、転送ルート上の各リンクにおいて、既にサービス提供中のセッション毎の平均レートを積み上げた値といま受付判定の対象であるサービス要求の平均レートの和が、そのリンクの品質保証型サービス向けに割り当てる速度の最大値を超えないときに限り、該サービス要求を受けつける。受付が可と判定されると、そのサービス要求されているサービスに対応したサービス別サーバに、該サービス要求リクエストのフォワーディングを行う。これ以降は、該サービス別サーバと該ユーザ端末の間でやりとりが始まる。受付が否と判定されると、該サービス要求リクエストを送信したユーザ端末に対して、サービス提供拒否のレスポンスを送信する。
【0050】
第6に、該IP網を構成するネットワークノードである、ルータ、GW、ネットワーク終端装置には、全て優先Queueing制御機能と前記の基準バースト吸収時間以上のバッファ容量を持つバッファを有する。優先Queueing制御が動作するためには、全てのパケットにはそのパケットの優先サービスクラスに対応した目印が必要であるが、その目印を付ける方法は本発明の有効性とは無関係である。また、本発明で想定する優先Queueing制御は、バッファに滞留しているパケットの中で、最も高い優先サービスクラスに属するパケットを到着順に選択する制御である。このように動作する優先Queueing制御の実装方式には、さまざまな方式があるが、その詳細は本発明の有効性とは無関係である。
【0051】
第7に、該トラヒック特性測定装置によって特定されたトラヒック特性が、該IP網で提供する全てのサービスのサービス品質全体に対して不適切なトラヒック特性を有すると判定されたデータストリームに対して、そのデータストリームのシェーピングを行い、適切なトラヒック特性に変換するストリームシェーピング装置を有することもできる。
【0052】
本発明の上記の手段によって、IP網において、品質保証型サービスとしてデータストリームを転送する方法は、以下の利点が生じる。
【0053】
第1に、受付けた品質保証型サービスに対しては、そのサービス品質としてパケット損失率がゼロとなることを実現できる。また、遅延時間とそのゆらぎについても、品質目標値を達成できる。
【0054】
第2に、要求されるデータストリームのトラヒック特性の申告に基づく網リソースの確保を簡素化し、その受付判定をリアルタイムに処理でき、かつ、UPCの実装が必須ではなく、しかも、効率の高い網の運用ができる。具体的には、トラヒック特性の申告は、ユーザ端末に代わってトラヒックDBが行うので、網リソースの確保が簡単で確実である。受付判定は、要求されたサービスの平均レートが、転送ルート上の各リンクでそのサービス向けに割り当てられる速度として残っているかを調べるだけであり、従来技術のようにバースト性を評価することがないため高速に判定処理ができる。さらに、基準バースト継続時間と基準バースト吸収時間の尺度で、網リソースが網全体で一定となるように設計されているため、ボトルネックが発生しにくく、網全体の平均的な利用効率が高くなっている。
【0055】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0056】
(本実施形態でサービス品質を保証するサービスの種類)
本実施形態である大規模公衆向け閉域IP網がユーザに対して提供しようとする通信サービスは、IP電話サービス、映像ストリーム配信サービス、インターネットアクセスを含む広いIPサービス向けのベストエフォートサービスの3つである。本実施形態は、これら3つのサービスに対して、それぞれ適切なサービス品質を保証できる必要があるが、品質保証型に分類されるサービスは、IP電話サービスと映像ストリーム配信サービスである。これらのサービスそれぞれに要求されるサービス品質は、ITU−Tなどにおいて議論されており、具体的なサービス品質のパラメータとその数値はITU−T勧告Y.1541などの中に見ることができる(非特許文献8)。
【0057】
(IP電話サービスの概要)
IP電話サービスは、本実施形態の閉域IP網内のユーザ端末同士、あるいは、閉域IP網内のユーザ端末と他のIP網のユーザ端末、あるいは、閉域IP網のユーザ端末とPSTN網の固定電話端末を結んだ相互の音声通信を適切なサービス品質で提供するものである。ここで、閉域IP網内のユーザ端末とインターネットを経由したユーザ端末間の音声通信についてはベストエフォートとする。
【0058】
一般に、IP電話サービスを行うには、音声そのものの転送に先立って、相互のユーザ端末間のセッションを確立する必要がある。セッションを確立するために必要な情報は、音声の符号化方式、IPアドレスとポート番号、必要な通信速度などであり、これらの情報をユーザ端末とやりとりするためのシグナリング方式として、SIP(Session Initiation Protocol)方式などが標準化されている。具体的には、SIPサーバにサービス要求メッセージを送って、電話番号からIPアドレス変換などを行っている。また、IP網内のユーザ端末が固定電話網(PSTN網)側の電話端末と通話を行うためには、MGW(Media Gate Way)を経由してそこでメディア変換を行う必要がある。
【0059】
IP網においてIP電話サービスを実現する技術は、SIP以外に、H.323、H.248(Megaco)などが検討されているが、これらの標準化内容と本発明の有効性は無関係である。
【0060】
本実施形態のIP電話サービスに要求されるサービス品質としては、ITU−T勧告Y.1541にあるように、エンドエンド遅延時間の目標値が100ミリ秒未満、パケット損失率が0.01未満、呼損率が0.15未満を規定する。ただし、これは固定電話と同等であるようなサービス品質の高いIP電話サービスのものである。
【0061】
次に、本実施形態におけるIP電話サービスのトラヒック特性を説明する。まず、そのトラヒックのボリュームであるが、一般的には、音声符号化方式やパケットフォーマットに依存するが、例えば、最も広く使われている音声符号化方式であるG.711が音声そのものを64kbpsのビットレートで符号化するので、これを20ミリ秒毎にパケットにして送出するパケットフォーマットの場合には、RTPとIPヘッダを加えてIPパケットレベルで平均80kbpsとなる。本実施形態では、サービス品質保証を行うIP電話サービスは、この音声符号化方式をG.711として20ミリ秒毎にパケットにして送出する場合に限定するものとする。その結果、IP電話サービスのセッション当たり平均80kbpsと一律に換算することができる。したがって、IP電話サービスの1セッション当たりに必要な網のリソースは、リンクの帯域リソースとしては平均80kbpsとなる。ただし、IP電話サービスのトラヒック特性としての最大の特徴は、特定のセッションのIP電話ストリームに着目すると、それぞれのセッション毎に、一定の長さのパケットを1パケットずつ一定時間間隔で送信していることである。したがって、本発明の適用条件であるリーキーバケットモデルによって表現されるようなトラヒック特性を有しない。しかしながら、パケット損失が発生しないようにすることは以下のようにすれば可能である。本実施形態の場合、セッション毎に20ミリ秒間隔に1パケットが到着するので、1セッション当たりのリンクのバッファ容量は80kbpsの20ミリ秒分、つまり、少なくとも1600bit確保されていればパケット損失は発生しないようにすることができる(非特許文献9)。
【0062】
(映像ストリーム配信サービスの概要)
映像ストリーム配信サービスは、ユーザ端末が要求する映像のデータストリームを映像配信サーバが送信する、クライアント・サーバ型のサービスのひとつである。コンテンツプロバイダはこれを課金サービスとして提供することを期待しているが、同時に、利用するユーザの方もその映像に対して非常に高いサービス品質を要求している。
【0063】
映像ストリーム配信サービスに要求される最も厳しいサービス品質の指標は、パケット損失率である。その目標値は、Y.1541において10のマイナス5乗未満と規定されている。この厳しい規定では、パケット損失が起こらないように網設計することが実質的に必要になるので、本実施形態では、詳しくは後述するがパケット損失ゼロとなるように受付判定を行っている。他方で、これ以外のサービス品質である遅延時間や遅延時間のゆらぎは厳しいとはいえない。映像を再生するアプリケーション側がバッファを有しており、数秒程度の遅延時間やそのゆらぎを吸収することができるからであり、現実的にはユーザが遅延時間やそのゆらぎのサービス品質劣化を体感することはほとんどない。そこで、本実施形態では、遅延時間とそのゆらぎについての目標値の規定はしないものとする。
【0064】
測定された映像ストリームのトラヒック特性の特徴として、特定のセッションの映像ストリームに着目すると、それぞれリーキーバケットモデルとして表現できることが知られている。つまり、リーキーバケットモデルの特徴である、▲1▼バーストが一定周期で発生すること、▲2▼1回のバースト時のデータ量であるバーストサイズが一定であること、▲3▼バースト時のピークレートが出側のリンク帯域速度に一致することの3つの特徴を有することが、映像データストリームのトラヒック測定結果からわかっている。これらの特徴が映像ストリームのトラヒック特性として、結果的に現れる理由として以下を擧げることができる。
【0065】
▲1▼パーストが一定周期で発生すること
映像サーバは、ユーザ端末に対して映像ストリームを送出するが、これは映像の視聴時間の間、継続する映像サーバの動作である。映像サーバがストリームを配信するユーザ端末は1台ではなく、複数のユーザに対する処理を同時並行的に行う。したがって、映像サーバの通信インタフェースは論理的に時分割して共有されて、それぞれのユーザ端末向けの映像ストリームを順番に配信するように実装されることが普通である。このとき、特定のユーザ向けの映像ストリームだけに着目すると、映像ストリームが周期的なバースト性を持って測定される。したがって、このバースト性の周期は、映像ストリーム毎に決まっているというよりも、むしろ映像サーバ毎に決まっているという性質がある。さらに、映像サーバでは配信する映像ストリームの品質を安定化させるために、このバースト性の周期をできるだけ小さくなるように、映像配信アプリケーションが実装されている。その結果、大規模かつ高機能映像サーバでは、その映像ストリームのバースト性の周期がOSのタイムスロット程度まで小さく実装されている。ただし、映像サーバのOSとしては、WindowsやMac OSやLinuxを含むUNIX系などであるが、これらはどれも10ミリ秒をタイムスロットにしているので、映像サーバアプリケーションレベルでの実装を考えるとき、バースト性の周期の限界(下界)は現実的に10ミリ秒であろう。いずれにせよ、実際に測定される映像サーバから送出される映像ストリームのバースト性の周期は、20ミリ秒から500ミリ秒程度である。
【0066】
▲2▼1回のバースト時のデータ量が一定であること
映像ストリームは、それぞれ平均ビットレートがあらかじめ決まっている。これは、通常の場合、映画フィルムなどの映像ソースをMPEGなどの動画像符号化方式でコーディングする前にあらかじめコーディングレートとして平均ビットレートを指定することが必須だからである。平均ビットレートが決まっていて、かつ、上記のようにバーストの周期が一定であるため、1回のバースト時のデータ量が一定になることは当然である。
【0067】
▲3▼バースト時のピークレートが出側のリンク帯域速度に一致すること
パケットの送出時に、出側のリンク帯域速度に一致することは当然である。さらに、リーキーバケットモデルで表現されるトラヒック特性が、ルータのホップによっても壊れないで残るということが以下のように説明される。映像サーバは、大規模公衆の閉域IP網の場合、その階層構造の最上層のLANに配置されるのが通常の場合である。この理由は、映像サーバから閉域IP網内の全てのユーザ端末への配信経路が最上層から最下層へのシンプルな経路になり、マルチキャストやミラーリングといった機能を導入しやすくなるためである。したがって、映像データストリームの発信元である映像配信サーバから、着信先であるユーザ端末へ至る転送ルートのリンク速度は、次第に低速になっていくのが普通である。そのため、映像データストリームのバースト性のピークレートはルータでホップされる度にそれぞれのリンク速度に減少するものの、パケットの集団的な到着としてのバースト性はそのまま残るので、リーキーバケットモデルのバースト周期とバースト時のデータ量の値がほぼ保存されると考えられる。
【0068】
以上の理由から、映像サーバが大規模公衆網の閉域IP網においては、映像ストリームのトラヒック特性がリーキーバケットモデルにより表現できること、さらに、そのトラヒック特性がユーザ端末に向かって転送されるルータでのホップでは壊れないことは、たまたま測定された現象ではなく、かなり普遍的な現象であると考えることができる。したがって、映像ストリームが、本発明の適用可能なトラヒック特性としての前提条件を満たしていると考える。
【0069】
(ベストエフォートサービスの概要)
ベストエフォートサービスとは、ネットワークが混雑したときにユーザが利用できる通信速度を保証しないサービスの総称であるが、インターネットへのアクセスであるWWW、メール、ファイル転送など、ほとんどのサービスが現状ではベストエフォートサービスとして提供されている。
【0070】
ベストエフォートサービスのトラヒック特性は、現時点で、これを陽にモデル化したり表現したりするようなことはできない。ベストエフォートサービスクラスは、さまざまなプロトコルによるセッションやそれぞれのトラヒック特性が全て統合されてしまうからである。この中の大多数のセッションやトラヒックボリュームはTCPプロトコルによって占められていることが、インターネット上のリンクで測定されているが、TCPプロトコルはそのウインドウサイズ制御のアルゴリズムが複雑であるために、その制御アルゴリズムからでは特定のセッションに対するパケットレベルのサービス品質の推定を行うことは現状では全く困難である。
【0071】
ベストエフォートサービスのサービス品質として要求されることは、比較的ゆるいサービス品質を相対的に長い時間で見たときに、サービスクラス全体の平均値として達成できていることで現状としては十分であり、ユーザが要求する特定のセッションに対してサービス品質を要求されることはない。
【0072】
とはいえ、ベストエフォートサービスクラスは、IP網に接続中には、全てのユーザがさまざまなアプリケーションによって利用状態にある。したがって、ベストエフォートのトラヒックのスルートップが極端に小さくなると、その悪い影響が全てのユーザに及ぶことが想定されるので、ベストエフォートのスルートップは常に一定以上確保することが必要である。
【0073】
(優先Queueing制御の設定)
本実施形態では、上記の各サービスクラスの概要と、それぞれに要求されるサービス品質を総合して、優先Queueing制御を次のように設定する。つまり、その優先サービスクラスは、高い順番に、IP電話サービス、映像ストリーム配信サービス、最後に、ベストエフォートサービスと決める。これは、遅延時間とゆらぎに対するサービス品質の要求条件が厳しい順番で定めることにする。また、優先Queueing制御のサービスクラス別にバッファが存在するものとする。
【0074】
次に、優先Queueing制御の優先順位にしたがって、それぞれのサービスクラスを提供するために必要な網リソースの設備量を設計する。まず、IP電話サービスの需要を予測し、その需要に応えるために必要なリンクのリンク速度やバッファ容量、MGWでのポート数などIP電話サービスのサービス品質を保証するために必要な網のリソースを設計する。この詳しい内容は後述する。
【0075】
(基準バースト継続時間と基準バースト吸収時間の決定)
ここで、本発明の適用先のサービスクラスである映像ストリーム配信サービスに対して、基準バースト継続時間を100ミリ秒と規定する。これは、前述のように、映像配信サーバのバースト性の周期が20ミリ秒から500ミリ秒であることを考慮して定めた。また、各バッファの基準バースト吸収時間は40ミリ秒と規定する。すなわち、各ノードのバッファ容量はリンク速度に対して少なくとも40ミリ秒分のバーストによるデータ量以上のサイズを有することを要求条件とする。ただし、本実施形態で説明しているバッファ容量とは、優先Queueing制御のサービスクラス別に存在するバッファのバッファ容量である。しかしながら、優先サービスクラス別のQueueが存在せず、共有型のバッファである場合も本発明は実施することが可能である。その場合には、優先サービスクラス別に必要なバッファ容量を計算して、その合計以上のバッファ容量を有するバッファを持つことによって、各サービスクラス別に受付判定制御を行うことによってそれぞれの優先サービスクラスに必要なサービス品質を満足することができる。
【0076】
図1は本発明の一実施形態である大規模公衆向けの閉域IP網の構成図である。
【0077】
大規模公衆向け閉域IP網10はルータ101A、101B、101C、101D、101E、101F、101Gとネットワーク終端装置30A、30B、30C、・・・、30JとGW(ゲートウェイ)装置40、50を含んでいる。ネットワーク終端装置30A、30B、30C、・・・、30Jにはそれぞれ通信リンクL2A、L2B、L2C、・・・、L2Jを介してユーザ端末20A、20B、20C、・・・、20Jが接続されている。ここで、ユーザ端末20A〜20Jはコンピュータや家電製品を含むIP端末であってもよい。また、ネットワーク終端装置30A、30B、30C、・・・、30JはADSLモデムやONU(Opitical Network Unit)などであってもよい。ルータ101A〜101Gは閉域IP網10を構成するノードであり、優先Queueing機能と基準バースト吸収時間以上の基準バースト吸収時間以上のバッファを有している。ルータ101Aから101G間は通信リンクL102AB、L102AE、・・・、L102EGによって互いに接続されている。また、ルータ101Cとネットワーク終端装置30A、30B、30C間はそれぞれ通信リンクL2A、L2B、L2Cによって接続され、ルータ101Dとネットワーク終端装置30D、30E間はそれぞれ通信リンクL3D、L3Eによって接続され、ルータ101Fとネットワーク終端装置30F、30G間は通信リンクL3F、L3Gによって接続され、ルータ101Gとネットワーク終端装置30H、30I、30J間は通信リンクL3H、L3I、L3Jによって接続されている。ルータ101Aは、優先Queueing制御装置と基準バースト吸収時間以上のバッファを有するGW装置40と50に通信リンクL102A4とL102A5によりそれぞれ接続している。GW40とGW50は、それぞれインターネットと品質保証型サービス用LAN(Local Area Network)60と接続されている。その通信リンクが、それぞれL102OUTとL202AGである。したがって、閉域IP網10は、インターネットを経由してその他の網と通信を行うことが可能である。また、品質保証型サービス用LAN60は、詳しくは後述するが、閉域IP網10がさまざまなIPサービスをユーザに提供するためのLANである。品質保証型サービス用LAN60の実施形態の構成図については、引き続く図2に示す。ただし、図1は本発明の実施形態である大規模公衆向けの閉域IP網10の一部を説明のために抜き出して図示したものである。
【0078】
図2は、図1の実施形態の品質保証型サービス用LAN60の構成図である。同図における4000および5000は、提供するサービス種別毎に構築されるサービス別LANであり、それぞれのサービスを提供するために必要となる各種サーバやDB(Data Base)などから構成される。サービス別LAN4000、5000の構成については、図3を用いて詳しく後述する。
【0079】
品質保証型サービス用LAN60はルータ201A、201B、201CとGW(ゲートウェイ)装置50受付判定サーバ1001と網構成DB2001とトラヒックDB2002とストリーム特性DB3001とストリーム特性測定装置3002とストリームシェーピング装置3003を含んでいる。ルータ201A、201B、201Cは品質保証型サービス用LAN60を構成するノードとなるルータで、優先Queueing制御機能とバッファを有している。L202AB、L202ACはルータ201A、201B、201C間を接続している通信リンクである。また、これらのルータ201A、201B、201Cは通信リンクL202AGおよびL102A5によって、図1の大規模公衆向け閉域IP網10に接続されている。受付判定サーバ1001は、ユーザからのサービス要求それぞれに対して、受付が可能か否かの判定を行う。網構成DB2001は、網内のルータやネットワーク終端装置、ユーザ端末を含むノードに関する必要な情報を蓄積している。トラヒックDB2002は、各種サービス要求によって確立したセッションやそれによって発生したトラヒックに関して必要な情報を蓄積する。さらに、ストリーム特性DB3001は、サービスの種別毎に各ユーザセッションに流れるデータストリームのトラヒック特性に関する必要な情報を蓄積する。ストリーム特性測定装置3002は、ストリーム特性DB3001に蓄積するデータストリームのトラヒック特性を測定する。ストリームシェーピング装置3003は、データストリームのトラヒック特性が閉域IP網60においてサービス品質を保証した通信サービスを提供する目的において、不適切なトラヒック特性を持つデータストリームを送出するサーバに対して、そのデータストリームが適切なトラヒック特性となるようにシェーピングを行う。ここで、適切か不適切かの判断方法についての詳細は図3で後述するが、図2のサービス別LAN4000は適切なトラヒック特性を有するデータストリームを送出するサービス別LANであり、サービス別LAN5000は不適切なトラヒック特性を有するデータストリームを送出するサービス別LANである。ただし、図2は、品質保証型サービス用LANの一部を説明のために抜き出して図示したものである。
【0080】
図3は図2のサービス別LAN4000および5000を、それぞれIP電話サービスと映像ストリーム配信サービスを提供する本実施形態にあわせて具体化したものである。両方ともセッションの確立・変更・終了を行うためのアプリケーション層シグナリングプロトコルとして、SIP (Session Initiation Protocol)を使用する。
【0081】
品質保証型サービス用LAN60はGW装置50とルータ201A〜201Cと受付判定サーバ1001と網構成DB2001とトラヒックDB2002とストリーム特性DB3001とストリーム特性測定装置3002とストリームシェーピング装置3003とIP電話用SIPサーバ4001とMGW(メディアゲートウェイ)4002と映像配信サーバ5002A、5002Bを含んでいる。
【0082】
IP`電話サービスにかかわるものは以下である。IP電話用SIPサーバ4001は、電話番号とIPアドレスへの相互変換を行い、発着のユーザ端末間でのIP電話サービスのセッションの確立のための処理などを行う。MGW (Media Gate Way)4002は、発着のユーザ端末のどちらかがPSTN網のユーザ端末であるとき、IP網でのIP電話端末とのセッションとPSTN網での固定電話端末とのセッションをそれぞれ終端して、転送するデータを相互のセッションで転送可能なメディア形式に変換を行い、ユーザ端末間のIP電話サービスを可能とする。
【0083】
映像ストリーム配信サービスにかかわるものは以下である。映像配信用SIPサーバ5001は、サービス要求を出したユーザ端末と映像配信サーバの間で、映像のデータストリームを転送するためのセッションを確立・変更・終了を行う。映像配信サーバ5002Aは、そのデータストリームのトラヒック特性が基準バースト継続時間未満であり、映像配信サーバ5002Bは基準バースト継続時間を超える場合である。基準バースト継続時間を超えるバースト継続時間を有する映像配信サーバ5002Bは、ストリームシェーピング装置3003によって、バースト継続時間が基準バースト継続時間未満となるトラヒック特性を有するように矯正される。そうでなければ、サービス品質を保証せず、ベストエフォートのサービスクラスとする。
【0084】
本発明の実施形態である図1から図3の閉域IP網において、ユーザ端末20Aからの要求された品質保証型サービスに対する受付判定について図4を用いて詳しく説明する。ユーザ端末20Aからのサービス要求リクエストのうち、GW40を経由して、さらにインターネットを経由して、そのサービスを提供するサーバへ向けて直接転送するサービス要求メッセージはベストエフォートサービスクラスに属する。品質保証型サービスに属するIP電話サービスと映像ストリーム配信サービスのサービス要求リクエストは、受付判定サーバ1001へ向けて転送される(ステップ7001)。
【0085】
ところで、ユーザ端末あるいはユーザに、サービス要求のメッセージの送出先が受付判定サーバ1001となるように誘導する方法について、簡単に言及しておく。現在、一般にインターネットの利用は、WWW(World Wide Web)あるいはWebと呼ばれるインタフェースで行われている。Webの技術によって、インターネットにつながっているコンピュータ上のさまざまな情報がWebサーバに蓄積され、それをWebクライアントがリクエストしてダウンロードすることによって自由に閲覧し利用できるようになっている。このとき、ドキュメントを転送するのに利用されるプロトコルがHTTP (Hyper Text Transfer Protocol)であり、ドキュメントを記述する言語としてHTML (Hyper Text Markup Language)が使用されている。Webプロシキは、当初セキュリティ目的でのファイアウォールとして導入されたが、キャッシュなどの機能とともに、HTTP以外のシステムへのゲートウェイとしての役割を果たすことができる。具体的には、FTP (File Transfer Protocol) サーバとWebクライアントとを仲介して、WebクライアントからのHTTPリクエストをFTPリクエストに変換しFTPサーバに転送することができるし、FTPサーバからのレスポンスをHTTPレスポンスへフォーマット変換をしてWebクライアントに返すことができる。つまり、ユーザからのサービス要求メッセージを受付判定サーバ1001に向けて送信させる方法のひとつは、WebインタフェースとWebプロキシを利用することで可能である。しかしながら、この具体的な方法がいかようであるかは本発明の有効性には関係がないので、説明を先に進める。
【0086】
(まず、サービス内容情報を取得する)
受付判定サーバ1001はユーザ端末20Aからサービス要求リクエストが受信すると、まず、サービス要求リクエストに要求されているサービスがIP電話サービスであるのか、映像ストリーム配信サービスであるのかを調べて、IP電話サービスのときにはIP電話SIPサーバ4001に、映像ストリーム配信サービスのときには映像配信SIPサーバ5001に対してサービス内容問い合せのメッセージを送信する(ステップ7002)。サービス内容問い合せを受信したSIPサーバ5001は、要求されているサービスのサービス識別子やそのサービスを提供することによって発生するデータストリームの送信ノードと着信ノードの網内識別子などサービス内容を確定させる情報などを含むサービス内容情報を回答として受付判定サーバ1001に返す。
【0087】
(次に、ストリーム特性情報を取得する)
次に、受付判定サーバ1001は、サービス要求リクエストに要求されているサービスのサービス識別子に対応するデータストリームのストリーム特性情報をストリーム特性DB3001に問い合わせる(ステップ7003)。ストリーム特性DB3001は、あらかじめ測定した各サービスのデータストリームのトラヒック特性情報をストリーム特性情報として蓄積しており、問い合わせられたサービス識別子に対応するデータストリームのトラヒック特性情報を受付判定サーバ1001に回答することができる。ここで、データストリームのトラヒック特性を測定し、そのリーキーバケットモデルによる表現を行うために、ピークレート、平均レート、バースト継続時間のパラメータ値の決定するための手段がトラヒック特性測定装置3002である。
【0088】
本実施形態では、さらに、トラヒック特性測定装置3002によって特定されたトラヒック特性について、基準バースト継続時間を超えるバースト継続時間を有するデータストリームに対して、そのデータストリームのシェーピングを行い、バースト継続時間を基準バースト継続時間未満に矯正を行う。ただし、ストリームシェーピング装置3003は、本発明に必須の要件ではない。データストリームのストリーム特性が不適切な場合は、サービス品質を保証せず、ベストエフォートのサービスクラスとしてサービスを提供することもできるからである。
【0089】
(さらに、転送ルート情報を取得する)
次に、受付判定サーバ1001は、受信したサービス要求リクエストによって要求されているサービスを提供することによって発生するデータストリームの転送ルートとその転送ルートを構成する各リンクのリンク速度に関する情報を、網構成DB2001に問い合わせる(ステップ7004)。これが転送ルート問い合せである。網構成DB2001には、閉域IP網10に関する情報が蓄積されている。蓄積される情報には、ユーザ端末やルータなど閉域IP網10を構成する全てのノードの網内識別子、その位置情報、通信リンクの帯域、通信リンクとノードの接続関係などの情報を含む。
【0090】
(補足)
ただし、一般的なIP網では、ある発着信端末の組み合わせに対して、パケットの転送ルートは厳密には一意に決めることができない。この特性がIP網のコネクションレス性と呼ばれる。しかしながら、大規模公衆向けの閉域IP網の場合、通常はユーザ端末を含むノードは単純なツリー構造で構成されるため、転送ルートのバラエティが存在しないかあまり多くないことが通常である。これは、このような目的の網は、非常に大多数のユーザのトラヒックを集めて、1箇所かわずか数箇所のインターネットへの接続ポイントへ向けて接続する網構成とならざるを得ないからである。本実施形態の閉域IP網10も、図1のように単純なツリー構造であるため、転送ルートは一意に定めることができる。ただし、本発明は信頼性を高めるためにリンクの二重化を行うことは排除しない。リンクの二重化をしていても論理的には1つのリンクと見なせる場合には、転送ルートや網リソースを決定することができるからである。
【0091】
(最後に提供中サービス情報を取得する)
最後に、受付判定サーバ1001は、現在サービス提供中の品質保証型サービスのサービスセッションに関する情報をトラヒックDB2002に問い合わせる(ステップ7005)。これが提供中サービス問い合せである。トラヒックDB2002は、受付判定を行ったサービス要求リクエストの全てに関する情報を蓄積しているので、それらの情報を提供中サービス回答として、受付判定サーバ1001に返すことができる。トラヒックDB2002に蓄積される情報には、提供した品質保証型サービスを特定するサービス識別子、サービスを要求したユーザ端末の網内識別子、サービスを提供したサーバの網内識別子、サービス要求リクエストが到着した時間、サービスの受付可否判定結果、サービスの提供が開始された時刻、サービスの提供が終了した時刻あるいはサービスの提供が終了する見込みの時刻などの情報を含む。ただし、提供中サービス回答の情報量を減らすために、該サービス要求メッセージに要求されたサービスの転送ルート上のリンクを共有する提供中のサービスだけを回答する方法、現時点と直近で送った情報との差分情報だけを回答する方法などが考えられるが、本発明の有効性には関係がない。
【0092】
(受付判定における割り当て可能なリンク速度の上限の計算)
本実施形態での映像ストリーム配信サービス向けに割り当て可能なリンク速度の上限の計算方法を説明する。ただし、IP電話サービス向けのそれは、そのトラヒック特性が本発明の対象とするリーキーバケットモデルで表現できるという条件に合わないので後述の別の方法で定めるものとする。
【0093】
受付判定サーバ1001は、基準バースト継続時間と閉域IP網10の基準バースト吸収時間に基づき転送ルート上の各リンクについて、そのリンク速度を基に品質保証型サービスに対して割り当て可能なリンク速度の上限を計算することができる。つまり、映像ストリーム配信サービスの基準バースト継続時間は100ミリ秒であるが、これは閉域IP網10の基準バースト吸収時間の40ミリ秒よりも大きい。
【0094】
割り当て可能なリンク速度の上限=MIN{(リンク速度)*(基準バースト吸収時間)/(基準バースト継続時間)、(リンク速度)}
ただし、MIN{x,y}は引数集合の最小値を返す関数
上の式に代入すると、映像ストリーム配信サービスに割り当て可能なリンク速度の上限はリンク速度の5分の2となり、これに対するリンク速度までは品質保証型サービスを提供してもパケット損失がゼロになる。
【0095】
したがって、受付判定サーバ1001は、上記のサービス内容情報、ストリーム特性情報、転送ルート情報、提供中サービス情報と、この割り当て可能なリンク速度の上限を総合して該サービス要求リクエストに要求されているサービスの受付判定を行うことができることを示す。サービス要求リクエストを発信したユーザ端末20Aは、映像ストリームの着信端末になるが、映像ストリームの発信元が映像配信サーバ5002Aになる場合、そのデータストリームの転送ルートが以下となることが網構成DB2001からの次の転送ルート問い合せによってわかっている。
【0096】
映像配信サーバ5002A―リンクL202BSA―ルータ201B―リンクL202AB―ルータ201A―リンクL202AG―GW50―リンクL102A5―ルータ101A―リンクL102AB―ルータ101B―リンクL102BC―ルータ101C―リンクL3A―ネットワーク終端装置30A―リンクL2A―ユーザ端末20A。
【0097】
また、受付判定サーバ1001は、取得した転送ルート情報の中で転送ルート上の各リンクのリンク速度の情報も取得していて、例えば、L102BCはリンク速度100Mbpsとわかっている。
【0098】
上記のように、パケット損失率をゼロにするためには、基準バースト吸収時間と基準バースト継続時間による割り当て可能なリンク速度の上限はリンク速度の5分の2となるので、映像ストリーム配信サービス向けのリンク速度は、L102BCでは40Mbpsである。
【0099】
提供中サービス情報の取得によって受付判定サーバ1001は、転送ルート上の各リンクで現在提供中の映像ストリーム配信サービスの情報が既にわかっている。例えば、L102BCの下りには、現在提供中の映像ストリーム配信サービスとして、平均レート6Mbpsのセッションが3本、平均レート4Mbpsのセッションが3本、平均レートで合計30Mbpsが転送されている情報を取得している。
【0100】
したがって、L102BCでの映像ストリーム配信サービス向けの残余のリンク速度は、40Mbps―30Mbps=10Mbpsとなっている。だから、現在受付判定をしているサービス要求メッセージが要求している映像ストリーム配信サービスの平均レートが10Mbps未満ならば受付判定はL102BCの下りリンクでは可となり、そうでなければ、受付判定は否となる。
【0101】
L102BCの上りについても本実施形態では下りと同一の方法とする。ただし、映像ストリーム配信サービスでは、下りのトラヒックデータのボリュームが大きいのに対して、上りのトラヒックデータのボリュームは非常に小さいことが特徴である。本実施形態では、映像ストリーム配信サービス1セッション当たり100kbpsの場合である。ただし、実施形態によって、上り方向のリンク速度が不足することによってサービス品質が劣化することはないと判明する場合には、上り方向の受付判定はしなくてもよい。
【0102】
表1は上記の情報をまとめたものであり、受付判定サーバ100はこのような表を管理して受付判定を行なう。
【0103】
【表1】
Figure 2004241835
L102BCの下りと上り両方向について受付判定が可となった場合に、L102BCのリンクでの受付判定を可とする。そうでないときには、L102BCのリンクでの受付判定を否とする。
【0104】
要求された映像ストリーム配信サービスの転送ルート上の全てのリンクに対して同様の判定を行い、全てのリンクで残余のリンク速度が、要求された映像ストリーム配信サービスの平均レートよりも大きくて、そのリンクでの受付判定が可となった場合に限り、該サービス要求メッセージで要求された映像ストリーム配信サービスの受付判定を可とする。
【0105】
(受付判定後の処理)
受付が可と判定されると、受付判定サーバ1001はそのサービス要求されているサービスに対応したサービス別SIPサーバ6001に、該サービス要求リクエストのフォワーディングを行う(ステップ7006)。ここで、該サービス別SIPサーバに向けて、あらためてサービス要求メッセージをフォワーディングする方法は、例えば、前述のようにWebインタフェースとWebプロキシを利用する場合には、HTTPのリダイレクション機能で簡単に実現できる。これ以降は、サービス別SIPサーバとユーザ端末20Aの間でセッション確立のやりとりが始まる。このセッションの確立に引き続く、データの転送、セッションの終了については、本発明の有効性と無関係であるのでこれ以上説明しない。受付判定の結果、サービスの提供が不能であると判定されたときには、受付判定サーバ1001はサービスを要求したユーザの端末20Aに向けて、サービス提供拒否のレスポンスを返すことができる(ステップ7007)。例えば、Webインタフェースのときには、HTTPのサーバエラークラスのレスポンスのレスポンスコード503Service Unavailableを返すことができるが、実際の方法は本発明の有効性とは無関係である。
【0106】
最後に、受付判定サーバ1001は、受付判定の結果をトラヒックDB2002に登録するために、受付判定登録リクエストを送信する(ステップ7008)。受付判定登録リクエストには該サービス要求リクエストの全てあるいは一部の情報と受付判定の可否を格納する。トラヒックDB2002は、受付判定登録リクエストを受信すると、それに格納された、該サービス要求リクエストの全てに関する情報を蓄積する。また、サービス別サーバはサービス提供が終了すると、トラヒックDB2002にサービス終了登録リクエストを送信する。トラヒックDB2002は、該サービス終了登録リクエストを受信すると、その受信時刻をトラヒックDB2002の蓄積データ中の該当サービスの提供が終了した時刻として記録し、該サービス別サーバに対して、サービス終了登録レスポンスを送信する。
【0107】
(IP電話サービスのサービス品質の達成について)
IP電話サービスに対して、サービス品質を保証するための方法を説明しておく。本発明は、リーキーバケットモデルによってトラヒック特性が表現されるデータストリームに対して適用可能であるので、前述のように、このトラヒック特性を有しないIP電話サービスに対しては適用できない。したがって、これから説明するIP電話サービスのサービス品質を保証するための方法は本発明とは無関係であるが、先の実施形態の中でIP電話サービスを対象としており、これが本発明の実施対象である映像ストリーム配信サービスに対するパケット損失ゼロの達成に支障がないことを明確にする必要があるため、別途説明するものである。その内容は、固定電話網において確立された設計方法とKatsuyoshiIida等の文献(非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12)の中で提案されているものである。ただし、本実施形態では、IP電話サービスのサービス要求に対して受付制御を行うと同時に、IP電話サービスを優先Queueing制御の最優先サービスクラスとして設定する。したがって、IP電話サービスのセッション同士の干渉によるサービス品質の劣化もないし、他のサービスクラスである映像ストリーム配信サービスやベストエフォートサービスの影響もほとんど受けないことに注意する。
【0108】
ユーザにとっては、回線交換技術によってサービスが提供される固定電話の電話サービスと、IP網におけるパケットの転送技術によってサービスが提供されるIP電話の電話サービスは本質的に同一のサービスであり、固定電話網で確立された設計方法の多くがIP電話サービスにもそのまま適用可能である。特に、呼損率を満足するための設備量設計は、固定電話の場合と全く同じ考え方でよい。固定電話では回線数や各リンクのリンク速度を、それぞれの最繁時呼量と、固定電話網全体で一定の呼損率目標値から、設備量として準備すべきセッションの数、つまり、最大同時接続数を決めている。このときに用いる計算式が、有名なアーラン損失式である。この手順は、そのままIP電話で適用することができる。違うのは、固定電話の1セッションは64kbpsで一律に換算することができるが、IP電話の1セッションは音声符号化方式やパケットフォーマットの組み合わせによってさまざまな通信速度になる点だけである。ただし、本実施形態では、1セッション80kbpsと決めているので、簡単に各ノード間で必要なリンク速度に換算することができる。MGWで必要なポートの数もそのMGWでの最大同時接続分を準備する。このようにして、呼損率について目標値を満たす設計を行うことができる。また、本実施形態では、各リンクに対して求めた最大同時接続数を用いてサービス要求のセッションに対して受付判定を行うので、サービス品質が設計値より悪くなることは起こらない。
【0109】
次に、IP電話サービスの残りのサービス品質はエンドエンドでの遅延時間とそのゆらぎについて説明する。この評価方法はいろいろ考えられるが、本実施形態では以下とする。上でアーラン損失式を用いて計算した各リンクで必要なリンク速度は、呼損率を満たしたIP電話サービスだけを提供するために最低限必要なリンク速度であるので、その10倍のリンク速度をもつリンクを各ノード間で設計する。このときのエンドエンドの遅延時間とゆらぎをシミュレーションや測定値やKatsuyosi Iida等の論文の理論評価式などを組み合わせて用いることにより評価することができる。
【0110】
このとき、評価結果の遅延時間とゆらぎの数値が、サービス品質目標値をどちらか一方でも満足しない場合は、全てのリンクのリンク速度を2倍にする。両方の目標値を満足した場合は、そのリンクのリンク速度で確定させる。この手順により、呼損率と遅延時間とそのゆらぎのサービス品質目標値を満足するIP電話サービスを提供することができる。
【0111】
また、上のKatsuyoshi Iida等の論文の中で論じられているように、ある同時接続数のIP電話サービスのセッションに対してサービス品質を保証するために、各ノードに必要なバッファ容量も同じ評価式を使って評価することができる。
【0112】
したがって、呼損率と遅延時間とそのゆらぎの各サービス品質の目標値を満足するようなIP電話サービスを提供するために必要な各リンクのリンク速度や各ノードのバッファ容量を評価することができる。
【0113】
(補足)
前述のように、本実施形態では、IP電話サービスを優先Queueing制御の最優先サービスクラスとして設定するために、他のサービスクラスである映像ストリーム配信サービスやベストエフォートサービスの影響をほとんど受けないが、全く影響がないわけではない。例えば、ベストエフォートサービスのパケットがルータにおいて転送処理中であるときに、IP電話サービスのパケットが到着した場合には、最優先のサービスクラスであるIP電話サービスのパケットであっても、そのベストエフォートサービスのパケットの転送が終わるまでの待ち時間が発生してしまう。これをブロッキングと呼ぶが、ブロッキングの待ち時間を考慮して評価する方法が、Katsuyoshi Iida等の論文に記載されている。さらにIP電話サービスを提供するユーザ端末の一方がPSTN網内にある場合には、MGWでの遅延ゆらぎ吸収バッファで設定する遅延時間を評価する必要があるが、上のシミュレーションやKatsuyoshi Iida等の評価式から決めることができる。
【0114】
なお、本発明は専用のハードウェアにより実現されるもの以外に、その機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、フロッピーディスク、光磁気ディスク、CD−ROM等の記録媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク装置等の記憶装置を指す。さらに、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、インターネットを介してプログラムを送信する場合のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの(伝送媒体もしくは伝送波)、その場合のサーバとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含む。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、大規模公衆向けの閉域IP網において、品質保証型サービスとしてデータストリームを転送する方法において、以下の効果が生じる。
【0116】
1)受付けた品質保証型サービスに対しては、そのサービス品質としてパケット損失率がゼロになることを実現できる。また、遅延時間とそのゆらぎについても、品質目標値を達成できる。特に、ここでは、ルータなどの装置の制御メカニズムが動作するための仕組み動作ではなく、その結果としてのサービス品質を確実に達成できる。
【0117】
2)要求されるデータストリームのトラヒック特性の申告に基づく網リソースの確保を簡素化し、その受付判定をリアルタイムに処理でき、かつ、UPCの実装が必須ではなく、しかも、効率の高い網の運用ができる。具体的には、トラヒック特性の申告は、ユーザ端末に代わってトラヒックDBが行うので、網リソースの確保が簡単で確実である。受付判定は、要求されたサービスの平均レートがそのサービス向けに割り当てられる速度として残っているかを調べるだけであり、従来技術のようにバースト性を評価することがないため高速に判定処理ができる。さらに基準バースト継続時間と基準バースト吸収時間の尺度で、網リソースが網全体で一定となるように設計されているため、ボトルネックが発生しにくく、網全体の平均的な利用効率が高くなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の大規模公衆向け閉域IP網の構成図である。
【図2】図1の実施形態中の品質保証型サービス用LAN60の構成図である。
【図3】図2のサービス別LAN4000および5000を、それぞれIP電話サービスと映像ストリーム配信サービスを提供する本実施形態にあわせて具体化した図である。
【図4】本実施形態の品質保証型サービスに対する受付判定を説明する図である。
【図5】バースト継続時間と周期の関係を説明するための図である。
【図6】バースト吸収時間を説明するための図である。
【図7】パケット損失ゼロの条件を説明するため図である。
【図8】リーキーバケットモデルで表現できるデータストリームを説明するための図である。
【図9】データストリームのバーストとバッファに滞留するデータ量の関係を説明するための図である。
【図10】パケット損失ゼロの条件を説明するための図である。
【図11】ストリーム多重によりパケット損失の発生する最悪の場合を説明するための図である。
【符号の説明】
10 大規模公衆向け閉域IP網
20A〜20J ユーザ端末
30A〜30J ネットワーク終端装置
40、50 GW装置
101A〜101G、201A〜201C ルータ
1001 受付判定サーバ
2001 網構成DB
2002 トラヒックDB
3001 ストリーム特性DB
3002 ストリーム特性測定装置
3003 ストリームシェーピング装置
4001 IP電話用SIPサーバ
4002 MGW
5001 映像配信用SIPサーバ
5002A、5002B 映像配信サーバ
L2A〜L2J、L3A〜L3J 接続リンク
L102AB、L102BC、L102BD、L102A、L102EF、L102EG、L102AC、L102AG、L102A4、L102A5 接続リンク
L202CE、L202CM、L202MP 接続リンク

Claims (9)

  1. 一定のバッファを有するノードとノード間のリンク速度を管理して、トラヒック特性をリーキーバケットモデルにより表現されたデータストリームの転送要求に対してパケット損失をゼロとするために、要求ごとに受付判定を行なうことを特徴とするサービス要求の受付判定方法。
  2. 要求されたデータストリームの転送の送信元と着信先が確定すると、その転送ルートが特定できる閉域網において、受付判定を行う、請求項1記載のサービス要求の受付判定方法。
  3. トラヒック特性がリーキーバケットモデルにより表現されたデータストリームの転送サービスが映像ストリーム配信サービスである、請求項1記載のサービス要求の受付判定方法。
  4. サービス品質を保証するデータストリームに対して、それぞれのトラヒック特性をリーキーバケットモデルで表現したときに定まる周期の集合に対して、基準バースト継続時間と呼ぶある一定値を網全体の闘値として設定し、
    網のすべてのノードのバッファ容量をバースト吸収時間の尺度で基準バースト吸収時間と呼ぶ一定値以上にあらかじめ設計し、
    各リンクに対して、品質保証型サービス向けに割り当てる速度の最大値を
    速度の最大値=MIN[(リンク速度)*(基準バースト吸収時間)/(基準バースト継続時間),(リンク速度)]
    ただし、MIN[x,y]は引数集合の最小値を返す関数
    で管理して、そのリンクにおいて割り当てる速度の最大値と、既にサービス提供中のセッション毎の平均レートを積み上げた値と比較して、前者の方が大きいときに限り、そのサービス要求リクエストを受け付ける、請求項1から3のいずれか1項に記載のサービス要求の受付判定方法。
  5. 遅延時間とそのゆらぎの品質指標それぞれに割り当てる速度の最大値を求めておき、前記パケット損失ゼロを達成するための割り当てる速度の最大値とあわせて3つの中で、最小のものをその品質保証型サービス向けに割り当てる速度の最大値として運用し、さらに、品質保証型サービスを複数のサービスクラスで構成させるときには、各サービスクラス別に割り当てる速度の最大値を求めて、品質保証型サービスのすべてのサービスクラスそれぞれで割り当てる速度の最大値を合計しても、元のリンク速度を超えないように調整する、請求項4に記載のサービス要求の受付判定方法。
  6. 大規模公衆向けの閉域IP網において、
    転送するデータストリーム毎のトラヒック特性を測定し、リーキーバケットモデルの表現を行なうために、ピークレート、平均レート、バースト継続時間の各パラメータ値を決定するトラヒック特性測定装置と、
    該トラヒック特性測定装置によって測定されたデータストリームのトラヒック特性情報を蓄積し、問い合わせに応じて、データストリームのトラヒック特性情報をストリーム特性情報として回答するストリーム特性DBと、
    該IP網を構成するすべてのノードの網内識別子、その位置情報、通信リンクの帯域、通信リンクとノードの接続関係の情報を含む、品質保証型サービスを提供する該IP網に関する情報が蓄積されている網構成DBと、
    提供した品質保証型サービスを特定するサービス識別子、サービスを要求したユーザ端末の網内識別子、サービスを提供したサーバの網内識別子、サービス要求リクエストが到着した時間、サービスの受付可否判定結果、サービスの提供が開始された時刻、サービスの提供が終了した時刻あるいはサービスの提供が終了する見込みのある時刻の情報を含む、該IP網で提供する品質保証型サービスに関する情報が蓄積されているトラヒックDBと、
    品質保証型サービスのサービス要求リクエストに対して、受付判定処理を行なう受付判定サーバであって、サービス要求リクエストが受信すると、まず、該サービス要求リクエストに要求されているサービスに対応するサービス別サーバに問い合せて、サービス内容情報を取得し、次に、前記ストリーム特性DBに問い合わせて、該サービス要求リクエストに格納されている情報とトラヒック特性情報を取得し、さらに、前記網構成DBに問い合わせて、発生する該データストリームの送受信ユーザ端末の網内識別子から、そのデータストリームの転送ルートと、その転送ルート上の各リンクのリンク速度を含む転送ルート情報を取得し、最後に、前記トラヒックDBに問い合わせて、該転送ルート上で品質保証型サービスとして現在サービス提供中のすべてのサービスに関する情報である提供中サービス情報を取得し、基準バースト継続時間と基準バースト吸収時間にもとづき転送ルート上の各リンクについて、そのリンク速度をもとに品質保証型サービス向けに割り当てる速度の最大値を計算し、これらの情報を総合して該サービス要求リクエストに要求されているサービスの受付判定を行なう受付判定サーバを有し、
    該IP網を構成するネットワークノードである、ルータ、GW、ネットワーク終端装置はすべて優先Queueing制御機能と前記基準バースト吸収時間以上のバッファ容量をもつバッファを有することを特徴とする閉域IP網。
  7. 前記トラヒック特性測定装置によって特定されたトラヒック特性が、該IP網で提供するすべてのサービスのサービス品質全体に対して不適切なトラヒック特性を有すると判定されたデータストリームに対して、そのデータストリームのシェーピングを行い、適切なトラヒック特性に変換するストリームシェーピング装置をさらに有する、請求項6に記載の閉域IP網。
  8. 品質保証型サービスのサービス要求リクエストに対して、受付判定処理を行なう受付判定サーバであって、
    サービス要求リクエストが受信すると、まず、該サービス要求リクエストに要求されているサービスに対応するサービス別サーバに問い合わせて、サービス内容情報を取得し、データストリームのトラヒック特性情報を蓄積したストリーム特性DBに問い合わせて、該サービス要求リクエストに格納されている情報とトラヒック特性情報を取得し、該IPに関する情報が蓄積されている網構成DBに問い合わせて、発生する該データストリームの送受信ユーザ端末の網内識別子から、そのデータストリームの転送ルートと、その転送ルート上の各リンクのリンク速度を含む転送ルート情報を取得し、最後に、該IP網で提供する品質保証型サービスに関する情報が蓄積されているトラヒックDBに問い合わせて、該転送ルート上で品質保証型サービスとして現在サービス提供中のすべてのサービスに関する情報である提供中サービス情報を取得する手段と、
    基準バースト継続時間と基準バースト吸収時間にもとづき転送ルート上の各リンクについて、そのリンク速度をもとに品質保証型サービス向けに割り当てる速度の最大値を計算する手段と、
    これらの情報を総合して該サービス要求リクエストに要求されているサービスの受付判定を行なう手段を有する受付判定サーバ。
  9. 請求項1から5記載のサービス要求の受付判定方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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