JP2004239750A - 地中埋設物探査ツールおよび該ツールを用いた地中埋設物探査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】地中埋設物探査ツールは複数のガイドパイプ2と探査棒5で構成され、地中埋設物の探査では支線アンカ79の真上の地表に複数のガイドパイプ2を所定の間隔で垂直に配置し、この複数のガイドパイプ2の挿入口3に探査棒5を挿入して案内しながら地中に打ち込み、支線アンカ79に当接させて停止させ、この停止した場合の探査棒5の深さを支線アンカ79の埋設深度とし、この埋設深度とこの埋設深度を複数つなげて形成したエンベロープに基づき支線アンカ79の所定の設置状況で地中に埋設されているか否かを探査する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気通信設備における地中埋設構造物の設置状況の調査および確認に使用される地中埋設物探査ツールおよび該ツールを用いた地中埋設物探査方法に関し、更に詳しくは、地上に設けられている例えば電柱などの構造物を支線ロッドなどの支持手段を介して地中で支持している例えば支線アンカや支線ブロックなどの地中埋設物を探査するために使用される地中埋設物探査ツールおよび該ツールを用いた地中埋設物探査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電柱や支線などを構成している架空電気通信設備においては設備更改の実施時期を把握し、設備が老朽化などする前に更改する必要がある。現在、設備の点検方法として、例えば電柱の表面についてはその劣化状況を目視により点検し、電柱の内部については鉄筋などの劣化状況を例えば鉄筋破断検知装置などを用いて確認するなどして行っている。これに対して、電柱を支えている支線アンカなどのように地中に固定的に埋設されている地中埋設物については、地中における設置状況を把握することが困難とされている。
【0003】
図5を用いて、更に詳しく説明すると、架空電気通信設備のうち、通信ケーブル71などを支持している電柱73は、上方にメッセンジャワイヤ75の一端を取り付け、このメッセンジャワイヤ75を電柱71に対して角度θで下方に引っ張って、その他端を支線ロッド77を介して地中81に埋設された地中埋設物である支線アンカ79に取り付けることにより固定的に支持されている。支線アンカ79は、図示のように案内板79a、抵抗板79b、および安定板79cから構成されている。
【0004】
電柱73が電話線などの通信ケーブル71を適確に支持し、倒れないように堅固に地上に立てられているためには、電柱73を支持しているメッセンジャワイヤ75および支線ロッド77が取り付けられている支線アンカ79が地中81に所定の深さで埋設されていることが必要である。例えば、支線アンカ79の地中75における埋設深度が適当でなく、例えば浅いとメッセンジャワイヤ75および支線ロッド77で電柱73を適確に支持できないことになる。
【0005】
従って、支線ロッド77の他端が取り付けられている支線アンカ79の地中75における埋設深度および設置形状などの設置状況を検査し、この埋設深度および設置形状が所定の状態になっているか否かを調べることが重要である。
【0006】
従来、このような支線アンカ79の埋設深度を測定する方法として、電磁波の反射を利用する方法や、探査棒Xの先端に取り付けた樋状または半割円筒状のガイド部の内面を探査対象物に沿うように押し込み、引っ掛かりの有無を感得することにより埋設深度を知得する方法(例えば、特許文献1参照)などがある。
【0007】
【特許文献1】
実用新案登録第3066137号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の方法のうち、電磁波の反射を利用する方法は、探査対象物の形状や、埋設された箇所の土質によっては、検知性能が不確実であり、支線アンカなどのように構成品が多く、かつ形状が複雑なものについては全体の状況を適確に検知することができないことがあるという問題があるとともに、更に電磁波の反射データを解析するには特別な装置などが必要であるとともに、高度な技術や熟練を有し、誰でもがすぐにできるというものではないという問題もある。
【0009】
一方、先端にガイド部を取り付けた探査棒Xを使用する従来の方法は、ガイド部が樋状または半割円筒状に形成されているため、探査対象物に向かう所望の進路から外れやすく、探査対象物に向かって地中を適確に進行させて探査することが困難であるとともに、支線アンカを構成する安定板や抵抗板の設置形状を検知することは困難であるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、地中に埋設されている地中埋設物の設置状況を適確に探査し得る地中埋設物探査ツールおよび該ツールを用いた地中埋設物探査方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、地上に設けられている構造物を連結手段を介して地中で支持する地中埋設物の設置状況を探査する地中埋設物探査ツールであって、地中に埋設される地中埋設物の真上の地表に所定の間隔で垂直に配置される複数の打込み用ガイド部材と、前記複数の打込み用ガイド部材で案内されながら地中埋設物に当接するまで地中に打ち込まれる探査棒とを有することを要旨とする。
【0012】
請求項1記載の本発明にあっては、地中埋設物探査ツールは地中埋設物が埋設されていると考えられる真上の地表に複数の打込み用ガイド部材を所定の間隔で垂直に配置し、この複数の打込み用ガイド部材で探査棒を案内しながら地中に打ち込み、地中埋設物に当接させることにより地中埋設物を探査するように構成されているため、構造が非常に簡単な構造であるとともに、複数の打込み用ガイド部材を用いて探査棒を打ち込んだ場合のエンベロープおよび深さに基づき地中埋設物の設置状況を短時間で簡単かつ適確に探査することができる。
【0013】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の発明において、前記探査棒が、地中に打ち込まれた先端の深さを示す目盛りが形成されていることを要旨とする。
【0014】
請求項2記載の本発明にあっては、探査棒には目盛りが形成されているため、この目盛りにより探査棒の先端の深さ、すなわち地中埋設物の埋設深度を簡単に測定することができる。
【0015】
更に、請求項3記載の本発明は、請求項1または2記載の発明において、前記複数の打込み用ガイド部材を所定の間隔で配置している配置状態を維持するように複数の打込み用ガイド部材を互いを固定的に連結している固定連結部材を有することを要旨とする。
【0016】
請求項3記載の本発明にあっては、複数の打込み用ガイド部材を固定連結部材で互いを固定的に連結して配置状態を維持しているため、地中埋設物探査ツールを現場で設置する場合に複数の打込み用ガイド部材の配置状態を考慮する必要もなく、単に地中埋設物探査ツールを支線アンカが埋設されている地表に置くだけでよく、簡単かつ効率的である。
【0017】
請求項4記載の本発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記打込み用ガイド部材が、探査棒を内部に挿入することにより地中への打込みを案内する筒状のガイドパイプであることを要旨とする。
【0018】
請求項4記載の本発明にあっては、打込み用ガイド部材が筒状のガイドパイプである。
【0019】
また、請求項5記載の本発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発明において、前記探査棒が、地中への打込みを支援する機械的押込み装置を上端部に取り付けるための冶具を有することを要旨とする。
【0020】
請求項5記載の本発明にあっては、探査棒の上端部の冶具に機械的押込み装置を取り付けることにより、地中に強固な岩盤があっても、探査棒を容易に打ち込むことができる。
【0021】
更に、請求項6記載の本発明は、地上に設けられている構造物を連結手段を介して地中で支持している地中埋設物が所定の設置状況で地中に埋設されているか否かを請求項1乃至5のいずれか1項に記載の地中埋設物探査ツールを用いて探査する地中埋設物探査方法であって、地中埋設物探査ツールの複数の打込み用ガイド部材を地中埋設物が埋設されていると考えられる真上の地表に所定の間隔で垂直に配置し、複数の打込み用ガイド部材で探査棒を案内しながら地中に打ち込み、探査棒が地中埋設物に当接したことを検知して、地中埋設物の設置状況を探査することを要旨とする。
【0022】
請求項6記載の本発明にあっては、地中埋設物探査ツールの複数の打込み用ガイド部材を地中埋設物が埋設されていると考えられる真上の地表に配置し、探査棒を複数の打込み用ガイド部材で案内しながら地中に打ち込み、探査棒が地中埋設物に当接したことを検知して、地中埋設物の設置状況を探査するため、非常に簡単な構造の地中埋設物探査ツールを用いて、探査棒を打ち込んだ場合のエンベロープおよび深さに基づき地中埋設物の設置状況を短時間で簡単かつ適確に探査することができる。
【0023】
請求項7記載の本発明は、請求項6記載の発明において、前記探査棒の打ち込みが、地中埋設物に当接するまで1本の探査棒を複数の打込み用ガイド部材で案内しながら順に地中に打ち込み、探査棒が地中埋設物に当接するまでに探査棒が地中に打ち込まれた深さを複数の打込み用ガイド部材の複数の位置において測定し、この測定した複数の位置における深さに基づき地中埋設物の設置状況を探査することを要旨とする。
【0024】
請求項7記載の本発明にあっては、1本の探査棒を打込み用ガイド部材で案内しながら順に地中埋設物に当接するまでに打ち込んで探査棒の深さを複数の打込み用ガイド部材の複数の位置で測定し、この複数の位置における深さに基づき地中埋設物の設置状況を探査するため、多数の探査棒を用意する必要もなく、地中埋設物の設置状況を簡単かつ適確に探査することができる。
【0025】
また、請求項8記載の本発明は、請求項6記載の発明において、前記探査棒の打ち込みが、地中埋設物に当接するまで複数の探査棒をそれぞれ複数の打込み用ガイド部材で案内しながら打ち込み、複数の探査棒が地中埋設物に当接するまでに複数の探査棒が地中に打ち込まれた深さを複数の打込み用ガイド部材の複数の位置において測定し、この測定した複数の位置における深さに基づき地中埋設物が地中に所定の設置状況で埋設されているか否かを探査することを要旨とする。
【0026】
請求項8記載の本発明にあっては、複数本の探査棒をそれぞれ複数の打込み用ガイド部材で案内しながら地中埋設物に当接するまでに打ち込んで複数の探査棒の深さを複数の打込み用ガイド部材の複数の位置で測定し、この複数の位置における深さに基づき地中埋設物の設置状況を探査するため、複数の探査棒を用いて、地中埋設物の設置状況を短時間で簡単かつ適確に探査することができる。
【0027】
更に、請求項9記載の本発明は、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の発明において、地中埋設物が所定の設置状況で埋設されているか否かについての前記探査が、前記探査棒の目盛りで測定された複数の位置における深さとこの複数の位置における深さに対応する複数の点をプロットして生成されるエンベロープが所定の深さで所定の設置形状に合致するか否かに基づき行われることを要旨とする。
【0028】
請求項9記載の本発明にあっては、探査棒の目盛りで測定した複数の位置における深さに対応する複数の点をプロットして生成されるエンベロープが所定の深さで所定の設置形状に合致するか否かに基づき地中埋設物の探査を行うため、エンベロープを見るだけで、簡単に地中埋設物が所定の設置形状で適正に埋設されているか否かを判断でき、探査作業の効率化を図ることができる。
【0029】
請求項10記載の本発明は、請求項6乃至9のいずれか1項に記載の発明において、前記探査棒が導電性材料で形成され、探査棒が地中埋設物に当接した場合に、導電性の地中埋設物を介して探査棒と導電性の連結手段との間の導電性を検査し、導電性があるか否かに基づき探査棒が真の地中埋設物に当接したものであるか否かを判定することを要旨とする。
【0030】
請求項10記載の本発明にあっては、探査棒が地中埋設物に当接した場合、探査棒と連結手段との間の導電性を検査し、導電性があるか否かに基づき探査棒が真の地中埋設物に当接したものであるか否かを判定するため、例えば探査棒が石や岩などの強固な異物に当接した場合に、この当接したものが真の地中埋設物であるかまたは石や岩などの異物であるか不明であるような場合であっても、探査棒との間の導電性を探査することにより、当接したものが地中埋設物であるか否かを適確に判定することができ、石や岩などの異物を間違って地中埋設物と判定することがなく、地中埋設物の探査を間違いなく、正確に行うことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る地中埋設物探査方法に使用される地中埋設物探査ツールの構成を示す斜視図である。
【0032】
図1に示す地中埋設物探査ツールは、打込み用ガイド部材である複数のガイドパイプ2を有する打込み用ガイド1と、この打込み用ガイド1の複数のガイドパイプ2に形成された挿入口3内に挿入される探査棒5とから構成されている。打込み用ガイド1を構成する複数のガイドパイプ2は、所定の間隔で垂直に配置され、この配置状態を維持するように2枚の固定連結部材21a,21bで互いに固定的に連結されている。また、この固定連結部材21a,21bの両端には、複数のガイドパイプ2を挟むように一対の設置安定用杭4a,4bが取り付けられている。
【0033】
このように構成される打込み用ガイド1は、地中埋設物である図5に示すような支線アンカ79を探査するためには、この支線アンカ79が埋設されていると考えられる真上の地表に各ガイドパイプ2が地表に垂直になるように設置され、両側の設置安定用杭4a,4bで地面に安定に固定されるようになっている。
【0034】
探査棒5は、このように地表に設置された打込み用ガイド1の複数のガイドパイプ2の挿入口3内に挿入され、ガイドパイプ2で案内されながら地中に打ち込まれる。なお、打ち込みは圧入シリンダ等を用いた圧入によって行なっても良い。この打込みは、探査棒5が地中に埋設されている支線アンカ79に当接するまで行われ、支線アンカ79に当接すると、探査棒5の打込みは終了し、探査棒5はその位置で停止する。探査棒5には、図1に示すように目盛り7が形成されている。この目盛り7は、探査棒5を打込んだ深さがわかるように、探査棒5の地中に打ち込まれる下端を基準の0として、この下端からの長さがわかるように設定され、これにより探査棒5を地中に打ち込んだ場合には、この地中への打ち込みの深さ、すなわち支線アンカ79に当接した場合には、この支線アンカ79が埋設されている埋設深さがわかるようになっている。従って、上述したように、探査棒5がガイドパイプ2で案内されながら地中に打ち込まれ、支線アンカ79に当接して停止した場合には、地表に対応する探査棒5の目盛り7を読み取ることにより、探査棒5が当接した支線アンカ79の深さを知ることができる。
【0035】
また、探査棒5は、上述したように地中に打ち込まれた場合であって、その下端が例えば強固な岩盤などに当って打込みが容易でないような場合に地中への打込みを支援するための機械的押込み装置を探査棒5の上端に取り付けるための冶具6が上端に取り付けられている。すなわち、探査棒5を地中に打ち込んでも岩盤が強固で容易に打ち込めないような場合には、探査棒5の上端の冶具6に機械的押込み装置を装着し、この機械的押込み装置を用いて探査棒5の上端を機械的に押し込むことにより、探査棒5の地中への打込みを容易に行うことができる。
【0036】
次に、図2を参照して、電柱をメッセンジャワイヤ75、ロッド77を介して地中で支持している地中埋設物である支線アンカ79を図1に示したように構成される地中埋設物探査ツールで探査する方法について説明する。
【0037】
まず、地中埋設物探査ツールの打込み用ガイド1は、支線アンカ79が埋設されていると考えられる真上の地表に設置される。更に詳しくは、打込み用ガイド1は、所定の間隔で配設されている複数のガイドパイプ2が地表に対して垂直であって、かつ支線アンカ79の埋設されている範囲をカバーするように設置され、この状態で設置安定用杭4a,4bを地面に打ち立てて、打込み用ガイド1を固定する。
【0038】
次に、このように設置された打込み用ガイド1の複数のガイドパイプ2の挿入口3に探査棒5を挿入し、ガイドパイプ2で探査棒5を案内しながら探査棒5を地中81に打ち込む。そして、この打込みで探査棒5の下端が支線アンカ79に当接すると、具体的には支線アンカ79の抵抗板79bや安定板79cに当接すると、探査棒5はそれ以上打ち込むことができなくなり、探査棒5はその位置で停止する。この停止した状態において地表に対応する探査棒5の目盛り7を読み取れば、探査棒5が当接した支線アンカ79の埋設深度を知ることができる。
【0039】
このような探査棒5の打込みを打込み用ガイド1の複数のガイドパイプ2のそれぞれに対して行うと、この複数のガイドパイプ2に打ち込まれた複数の探査棒5の上端のエンベロープは、図2において符号12で示すように支線アンカ79の抵抗板79bと安定板79cの設置状況、すなわち設置形状とほぼ同じように形成され、この設置形状から支線アンカ79の抵抗板79bと安定板79cが破損などもなく、適正な設置状態で、すなわち適正な設置形状で埋設されているか否かがわかるとともに、また各探査棒5の目盛り7から抵抗板79bおよび安定板79cの埋設深度が適正なものであるかどうかも適確にわかる。
【0040】
なお、上記説明では、探査棒5を複数用い、この複数の探査棒5を1本ずつ打込み用ガイド1の複数のガイドパイプ2に挿入して打ち込む場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、1本の探査棒5を打込み用ガイド1の複数のガイドパイプ2に順番に挿入して打ち込み、探査棒5が支線アンカ79に当接して停止した位置における埋設深度を探査棒5の目盛り7から測定するという処理を複数のガイドパイプ2のそれぞれに対して行い、複数の測定結果から図2に示したエンベロープ12と同様なエンベロープを作成し、このエンベロープから支線アンカ79の設置状況を把握することにより、支線アンカ79が破損などもなく、適正な設置状況で埋設されているか否かがわかるとともに、また各測定結果の埋設深度から支線アンカ79が適正な深さで埋設されているかどうかも適確にわかる。
【0041】
図3(a)は、地中81に埋設されている支線アンカ79が正常な場合のエンベロープを符号12aで示している。この場合には、打込み用ガイド1で案内されながら地中81に打ち込まれる探査棒5は、正常な状態の支線アンカ79の抵抗板79bおよび安定板79cに当接し、これにより形成されるエンベロープ12aは支線アンカ79の設置形状とほぼ同じ形状に形成され、支線アンカ79が適正な設置形状で埋設されていることがわかる。なお、エンベロープ12aのうち、左側の部分は抵抗板79bに対するものであり、抵抗板79bの形状とほぼ同じ形状を示し、右側の部分は安定板79cに対するものであり、安定板79cの形状とほぼ同じ形状を示している。
【0042】
これに対して、図3(b)は、地中81に埋設された支線アンカ79の抵抗板79bと安定板79cのそれぞれの先端が折れるなどして破損している場合のエンベロープを符号12bで示しているが、この場合には、探査棒5はこの破損部分で抵抗板79bと安定板79cのそれぞれの破損した先端部分に当接せず更に深く地中に打込まれてしまうため、エンベロープ12bは、抵抗板79bと安定板79cのそれぞれの破損した先端部分に対応する部分が存在せず、図3(a)に示した正常なエンベロープ12aと異なることがわかる。従って、このように形成されるエンベロープ12bを正常なエンベロープと比較などして精査することにより、支線アンカ79の抵抗板79bおよび安定板79cの先端が破損していることを検出することができる。そして、このように抵抗板79bや安定板79cが破損していることを検出した場合には、この支線アンカ79を更改または改修しなければならないことになる。
【0043】
なお、上記説明では、エンベロープの形状で支線アンカ79の設置状況を判断しているが、エンベロープと該エンベロープを形成している探査棒5の本数を用いて支線アンカ79の設置状況を判断してもよい。すなわち、支線アンカ79の設置状況が正常である場合には、エンベロープと該エンベロープを形成している探査棒5の本数は、図3(a)に示すように例えば9本となるが、この9本を基準の標準挿入本数として定義する。そして、例えば図3(b)に示すようにエンベロープ12bと該エンベロープを形成している探査棒5の本数を計数し、この本数が標準挿入本数に満たない場合には、支線アンカ79は一部が破損などしているものと判断することができる。
【0044】
図4は、本発明の他の実施形態の地中埋設物探査方法において支線アンカ79の抵抗板79bや安定板79cの破損した部分に石や岩などの硬い異物が存在する場合の説明図である。
【0045】
この図4の場合には、支線アンカ79の抵抗板79bや安定板79cの破損した部分に硬い石などの異物15が存在したために、探査棒5による打込みは、この異物15を抵抗板79bや安定板79cと間違え、この異物15の位置を抵抗板79bや安定板79cの位置として検出してしまうため、エンベロープ12cで示すように形成される。このように形成されたエンベロープ12cは、図3(a)とほぼ同じ形状であり、また探査棒5の本数も標準挿入本数とほぼ同じとなるため、支線アンカ79は適正な設置状況で埋設され、部分的な破損もないように誤判断されてしまう。
【0046】
そこで、本実施形態では、このような誤判断を防止するために、テスタなどの導電性試験機14を設け、この導電性試験機14を探査棒5と案内板79aとの間に電流送受信部14a,14bを介して接続し、両者間に電流を流すなどして、両者間の導電性を検査する。そして、この検査結果として、両者間に電流が流れず、導電性がないと判断された場合には、探査棒5は抵抗板79bや安定板79cに当接して停止したのではなく、硬い石などの異物15に当接したものであり、従って探査棒5が当接した異物15の位置に相当する部分の抵抗板79bや安定板79cは折れるなどで破損してしまっているものであると判断することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、地中埋設物探査ツールは地中埋設物が埋設されていると考えられる真上の地表に複数の打込み用ガイド部材を所定の間隔で垂直に配置し、この複数の打込み用ガイド部材で探査棒を案内しながら地中に打ち込み、地中埋設物に当接させることにより地中埋設物を探査するように構成されているので、構造が非常に簡単な構造であるとともに、複数の打込み用ガイド部材を用いて探査棒を打ち込んだ場合のエンベロープおよび深さに基づき地中埋設物の設置状況を短時間で簡単かつ適確に探査することができる。
【0048】
また、本発明によれば、探査棒には目盛りが形成されているので、この目盛りにより探査棒の先端の深さ、すなわち地中埋設物の埋設深度を簡単に測定することができる。
【0049】
更に、本発明によれば、複数の打込み用ガイド部材を固定連結部材で互いを固定的に連結して配置状態を維持しているので、地中埋設物探査ツールを現場で設置する場合に複数の打込み用ガイド部材の配置状態を考慮する必要もなく、単に地中埋設物探査ツールを支線アンカが埋設されている地表に置くだけでよく、簡単かつ効率的である。
【0050】
本発明によれば、探査棒の上端部の冶具に機械的押込み装置を取り付けることにより、地中に強固な岩盤があっても、探査棒を容易に打ち込むことができる。
【0051】
また、本発明によれば、1本の探査棒を打込み用ガイド部材で案内しながら順に地中埋設物に当接するまでに打ち込んで探査棒の深さを複数の打込み用ガイド部材の複数の位置で測定し、この複数の位置における深さに基づき地中埋設物の設置状況を探査するので、多数の探査棒を用意する必要もなく、地中埋設物の設置状況を簡単かつ適確に探査することができる。
【0052】
更に、本発明によれば、複数本の探査棒をそれぞれ複数の打込み用ガイド部材で案内しながら地中埋設物に当接するまでに打ち込んで複数の探査棒の深さを複数の打込み用ガイド部材の複数の位置で測定し、この複数の位置における深さに基づき地中埋設物の設置状況を探査するので、複数の探査棒を用いて、地中埋設物の設置状況を短時間で簡単かつ適確に探査することができる。
【0053】
本発明によれば、探査棒の目盛りで測定した複数の位置における深さに対応する複数の点をプロットして生成されるエンベロープが所定の深さで所定の設置形状に合致するか否かに基づき地中埋設物の探査を行うので、エンベロープを見るだけで、簡単に地中埋設物が所定の設置形状で適正に埋設されているか否かを判断でき、探査作業の効率化を図ることができる。
【0054】
また、本発明によれば、探査棒が地中埋設物に当接した場合、探査棒と連結手段との間の導電性を検査し、導電性があるか否かに基づき探査棒が真の地中埋設物に当接したものであるか否かを判定するので、例えば探査棒が石や岩などの強固な異物に当接した場合に、この当接したものが真の地中埋設物であるかまたは石や岩などの異物であるか不明であるような場合であっても、探査棒との間の導電性を探査することにより、当接したものが地中埋設物であるか否かを適確に判定することができ、石や岩などの異物を間違って地中埋設物と判定することがなく、地中埋設物の探査を間違いなく、正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る地中埋設物探査方法に使用される地中埋設物探査ツールの構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す実施形態の地中埋設物探査ツールを用いて、本発明の実施形態に係る地中埋設物探査方法を説明するための図である。
【図3】図2に示す実施形態において地中に埋設されている支線アンカが正常な場合のエンベロープと支線アンカの一部が破損している場合のエンベロープを示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態の地中埋設物探査方法において支線アンカの抵抗板や安定板の破損した部分に硬い石などの異物が存在する場合の説明図である。
【図5】電柱をメッセンジャワイヤおよび支線ロッドを介して地中で支持している支線アンカを示す図である。
【符号の説明】
1 打込み用ガイド
2 ガイドパイプ
3 挿入口
4 設置安定用杭
5 探査棒
6 冶具
7 目盛り
12 エンベロープ
14 導電性試験機
21 固定連結部材
73 電柱
75 メッセンジャワイヤ
77 ロッド
79 支線アンカ
79a 案内板
79b 抵抗板
79c 安定板
Claims (10)
- 地上に設けられている構造物を連結手段を介して地中で支持する地中埋設物の設置状況を探査する地中埋設物探査ツールであって、
地中に埋設される地中埋設物の真上の地表に所定の間隔で垂直に配置される複数の打込み用ガイド部材と、
前記複数の打込み用ガイド部材で案内されながら地中埋設物に当接するまで地中に打ち込まれる探査棒と
を有することを特徴とする地中埋設物探査ツール。 - 前記探査棒は、地中に打ち込まれた先端の深さを示す目盛りが形成されていることを特徴とする請求項1記載の地中埋設物探査ツール。
- 前記複数の打込み用ガイド部材を所定の間隔で配置している配置状態を維持するように複数の打込み用ガイド部材を互いを固定的に連結している固定連結部材を有することを特徴とする請求項1または2記載の地中埋設物探査ツール。
- 前記打込み用ガイド部材は、探査棒を内部に挿入することにより地中への打込みを案内する筒状のガイドパイプであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の地中埋設物探査ツール。
- 前記探査棒は、地中への打込みを支援する機械的押込み装置を上端部に取り付けるための冶具を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の地中埋設物探査ツール。
- 地上に設けられている構造物を連結手段を介して地中で支持する地中埋設物の設置状況を請求項1乃至5のいずれか1項に記載の地中埋設物探査ツールを用いて探査する地中埋設物探査方法であって、
地中埋設物探査ツールの複数の打込み用ガイド部材を地中埋設物が埋設されていると考えられる真上の地表に所定の間隔で垂直に配置し、
複数の打込み用ガイド部材で探査棒を案内しながら地中に打ち込み、探査棒が地中埋設物に当接したことを検知して、地中埋設物の設置状況を探査すること
を特徴とする地中埋設物探査方法。 - 前記探査棒の打ち込みは、地中埋設物に当接するまで1本の探査棒を複数の打込み用ガイド部材で案内しながら順に地中に打ち込み、探査棒が地中埋設物に当接するまでに探査棒が地中に打ち込まれた深さを複数の打込み用ガイド部材の複数の位置において測定し、
この測定した複数の位置における深さに基づき地中埋設物の設置状況を探査すること
を特徴とする請求項6記載の地中埋設物探査方法。 - 前記探査棒の打ち込みは、地中埋設物に当接するまで複数の探査棒をそれぞれ複数の打込み用ガイド部材で案内しながら打ち込み、複数の探査棒が地中埋設物に当接するまでに複数の探査棒が地中に打ち込まれた深さを複数の打込み用ガイド部材の複数の位置において測定し、
この測定した複数の位置における深さに基づき地中埋設物が地中に所定の設置状況で埋設されているか否かを探査すること
を特徴とする請求項6記載の地中埋設物探査方法。 - 地中埋設物が所定の設置状況で埋設されているか否かについての前記探査は、前記探査棒の目盛りで測定された複数の位置における深さとこの複数の位置における深さに対応する複数の点をプロットして生成されるエンベロープが所定の深さで所定の設置形状に合致するか否かに基づき行われることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の地中埋設物探査方法。
- 前記探査棒は導電性材料で形成され、探査棒が地中埋設物に当接した場合に、導電性の地中埋設物を介して探査棒と導電性の連結手段との間の導電性を検査し、導電性があるか否かに基づき探査棒が真の地中埋設物に当接したものであるか否かを判定することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の地中埋設物探査方法。
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