JP2004238778A - 含浸シート及びこの含浸シートを用いた水きり袋及びごみ袋 - Google Patents

含浸シート及びこの含浸シートを用いた水きり袋及びごみ袋 Download PDF

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Abstract

【課題】防虫(鳥、獣)作用のある水切り袋及びごみ袋を提供する。
【解決手段】含浸シートを、不織布に、ハーブと称せられる植物精油を単独又は複数種ブレンドしたものを含浸して構成するか、さらに、capsicum(激辛トウガラシ)のエキス、及び/又はガーリック(ニンニク)のエキスを含浸させて構成する。この場合、含浸シートの表面に、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを含浸或いは塗布するのが望ましい。
水切り袋は上記含浸シートを用いて構成するか、含浸シートを、合成樹脂シートから成る水切り袋の所定の面部分に、接着剤又は加熱処理で貼着して構成する。また、ごみ袋は、含浸シートを、合成樹脂シートから成るごみ袋の全面又は所定の面部分に、接着剤又は加熱処理で貼着して構成する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴキブリ等の害虫のほか、カラス等の害鳥、猫などの害獣の被害を防止するようにした水切り袋及びごみ袋の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家庭用又は事業者が残飯等の廃棄用食物を封入するのに用いる水切り袋としては、従来のものではポリエチレンシート成る袋に複数個の孔を設けたものが用いられ、また、家庭用又は事業者用の燃えるごみ又は燃えないごみを封入するためのごみ袋の従来のものは、例えば、炭酸カルシウムを所定割合混入したポリエチレンシートから成るごみ袋が主流であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種形態の水切り袋及びごみ袋の場合、これらの水切り袋やごみ袋の収納物に生ごみが存在すると、ゴキブリなどの害虫や、カラスなどの害鳥や猫などの害獣の被害があり、その対策に、主婦や各都道府県の関係者が苦慮しており、適切な対策が求められていた。
【0004】
本発明は、この点を考慮し、簡単な構成の含浸シートを製作し、この含浸シートをもとに製作できる、ゴキブリ等の害虫のほか、カラス等の害鳥、猫などの害獣の被害を防止するようにした改良された水切り袋と、ごみ袋を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の含浸シートは、上記課題を解決するために、請求項1に記載のものでは、不織布に、シトロネラ、ニームオイル、スペアミント、カユプテ、ゼラニウム、パチュリ、テレピン、除虫菊等のハーブと称せられる植物精油を単独又は複数種ブレンドしたものを含浸して構成するようにした。
【0006】
なお、含浸シートは、請求項2に記載のように、上記含浸シートに対して、
さらに、capsicum(激辛トウガラシ)のエキスを含浸するようにして構成したり、さらに、請求項3に記載のように、上記含浸シートに対して、
さらに、ガーリック(ニンニク)のエキスを含浸させて構成するのが望ましい。
【0007】
また、請求項4に記載のように、上記含浸シートの表面に、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを含浸或いは塗布する構成とするのが、さらに望ましい。
【0008】
また、水切り袋としては、請求項5に記載のように、請求項1乃至4のいずれかに記載の含浸シートを用いて構成することができる。
或いは、これに代え、請求項6に記載のように、請求項1乃至4のいずれかに記載の含浸シートを、合成樹脂シートから成る水切り袋の所定の面部分に、接着剤又は加熱処理で貼着するようにして構成することができる。
【0009】
また、ごみ袋としては、請求項7に記載のように、請求項1乃至4のいずれかに記載の含浸シートを、合成樹脂シートから成るごみ袋の全面又は所定の面部分に、接着剤又は加熱処理で貼着するようにして構成することができる。
これらの場合、水切り袋及びごみ袋に貼着する含浸シートの形状は、請求項8に記載のように矩形状又は円形状などの各種形状にすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の水切り袋及びごみ袋の構成要素となる本発明の含浸シートの構成の基本形態から説明する。
1.含浸シート
第1の基本形態:
まず、第1の基本形態である本発明の含浸シートについて説明する。
本基本形態の含浸シートは、不織布(例えば、麻が100重量%の不織布又は麻が70〜80重量%、パルプが30〜20重量%の不織布のほか、市販の各種の不織布を適用できる。)に、シトロネラ、ニーム、スペアミント、カユプテ、ゼラニウム、パチュリ、テレピン、除虫菊等のハーブと称せられる植物精油を単独又は複数種ブレンドしたものを含浸して構成すればよい。
【0011】
この場合、含浸されるハーブと称せられる植物精油のエキスは、1種のみを単独で使用しても良いし、複数のものをブレンドしたものを使用しても良い。
ハーブと称される植物精油の具体例としては、シトロネラ等のカンキツ系の植物精油、カユプテ等の樹木類の植物精油、ゼラニウム等の花の植物精油、パチェリ等のエキゾチック植物精油、テレビン等の樹脂類の植物精油、シナモン等のスパイス類の植物精油、ニームオイル等のセンダン科、スペアミント等のシソ科の植物精油が挙げられる。
また、複数のブレンド例としては、例えば、カンキツ系の植物精油とセンダン科の植物精油とのブレンド例、カンキツ系の植物精油とスパイス類の植物精油、特に、シトロネラとニームオイルとのブレンド例及びシトロネラとシナモンとのブレンド例が効果的である。
この場合、ハーブを構成するカンキツ系の植物精油と、センダン科の植物精油の混合比は、例えば、6:1〜5:1.5程度であることが好ましい。
また、カンキツ系の植物精油とスパイス類の植物精油をブレンドする場合の混合比も前記と同様の範囲程度が好ましい。
なお、この場合、センダン科の植物精油に代え、スパイス類の植物精油をセンダン科の植物精油と同比率の混合比で使用しても良い。
【0012】
なお、ここで、ハーブと称されている植物精油として本発明の含浸シートに適用して特に有効なシトロネラと、またシトロネラにブレンドして特に有効なニームオイルのサンプルの組成成分を示すと次の通りである。
A.シトロネラ
説明:シンボパゴン ナルダス(Cymbopagon nardus)の乾燥した草を蒸留して得られるもの。
工業的データ:
▲1▼特徴:柑橘類の臭い、特別な刺激臭を有する黄色〜青黄色の液体
▲2▼20℃の比重:0.880〜0.922
▲3▼20℃の屈折率:1.466〜1.1475
▲4▼合計のゼラニオール(Geraniol)(%W/W):最低値85
▲5▼シトロネリアル(Citronelial)(%W/W):最低値35
▲6▼80%エタノールにおける溶解度(V/V) :1.2クリア
【0013】
B.ニームオイル:
このサンプルは、ニーム ケルネル オイル(Neem Kernel Oil)と称されるもので、次の組成のものである。
▲1▼質量中の水分及び不純物の割合:0.176
▲2▼40℃における屈折率:1.456
▲3▼鹸化値:1.87
▲4▼ヨウ化物値(Iodine value):73
▲5▼酸化値:8.62
▲6▼質量中の反鹸化値の割合:0.53
【0014】
第2の基本形態:
次に、第2の基本形態である本発明の含浸シートについて説明する。
本基本形態の含浸シートは、不織布(この組成は第1の基本形態のものと同様のものでよい。)に、シトロネラ、ニームオイル、スペアミント、カユプテ、ゼラニウム、パチュリ、テレピン、除虫菊等のハーブと称せられる植物精油を単独又は複数種ブレンドしたものを含浸し、さらに、capsicum(激辛トウガラシ)のエキスを含浸するようにしたものである。
換言すれば、第1の基本形態の含浸シートに、さらに、capsicum(激辛トウガラシ)のエキスを含浸するようにしたものである。
この場合、ハーブとcapsicumの各エキスの混合比は、例えば、7:3〜6.5:2.5程度であることが好ましい。
ここで、混合されるcapsicumのエキスをHPLC(高速液体クラマトグラフィ)法で測定したカプサイシン含量で表示される辛み度合いで1〜7%とするのが適当である。
なお、カプサイシン含有量の測定方法としては、周知のようにUV法、PC法、TLC法、HPLC法などの各種の測定方法がある。
出願人は、これらの測定方法の内、本発明の作用効果を確認するために行った試料としては、次に述べるようにHPLC法により測定したものを使用した。
即ち、本発明で用いられるcapsicumの試料の分析結果を示すと、次の通りである。
生産物 :capsicum含油樹脂(capsicum oleoresin)
外 観 :半粘性の液体
色 彩 :赤褐色(brownish red)
(a)色 :2000cu
(b)辛み度合い:HPLC法による測定により5.08%
(c)残余物 :30PPM以下
なお、出願人は、このようにHPLC法による測定結果に基づき検出されたカプサイシン含有量(5.08%)の試料のほか、他のカプサイシン含有量のものについても、本発明の適用についてのサンプルテストをした結果、本発明で有用なcapsicumのエキスの辛み度合いを前記のように1〜7%が適当であると判定したものである。
【0015】
第3の基本形態:
次に、第3の基本形態である本発明の含浸シートについて説明する。
本基本形態の含浸シートは、不織布(この組成は第1の基本形態のものと同様のものでよい。)に、シトロネラ、ニームオイル、スペアミント、カユプテ、ゼラニウム、パチュリ、テレピン、除虫菊等のハーブと称せられる植物精油を単独又は複数種ブレンドしたものを含浸したものに、さらに、capsicum(激辛トウガラシ)のエキスを含浸し、さらに、ガーリック(ニンニク)のエキスを所定量加えたものを含浸させるようにして含浸シートを構成したものである。この場合、capsicum(激辛トウガラシ)のエキスの含浸がある方が望ましいが、省略することができる。
この場合、ハーブとガーリックとの各エキスの混合比は、例えば、6:4程度とすることが好ましい。
さらに、ハーブとcapsicumとガーリックの三者を組み合わせる場合には各エキスの混合比は、例えば、6:2:2程度とすることが好ましい。
【0016】
第4の基本形態:
次に、第4の基本形態である本発明の含浸シートについて説明する。
本基本形態の含浸シートは、第1乃至第3の基本形態の夫々の含浸シートの表面に融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを含浸或いは塗布するようにして構成した含浸シートである。
このように、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを含浸或いは塗布すると、揮発性のハーブ、capsicum、ガーリックの各エキスの保存期間が延長される効果がある。
なお、パラフィン又はワックスの含浸条件としては、次の含浸条件で行うのが適当であることが確認されている。
(1)ワックスを溶融槽に入れ、温度80℃でゆっくり溶融する。
(2)このワックスの溶融槽に含浸シートを含浸する。
(3)含浸シートを入れても温度が75℃〜80℃に保持されるように温度コントロールを行う。
(4)含浸シートの浸漬時間は、90分〜120分程度とする。
(5)上記浸漬時間経過後に、ワックスが含浸された含浸シートを引き上げ、ワックスを切る。この場合のワックス切りは、含浸シートを揺すった後、2分程度吊るせばよい。
【0017】
2.水切り袋
次に、上記した本発明の含浸シートを用いた本発明の水切り袋について説明する。
第1の実施の形態:
図1(A)に示すものは、本発明の水切り袋の第1の実施の形態の斜視図で、水切り袋1は、上述の第1乃至第4の基本形態のいずれかの形態で製作した含浸シートを用いて、構成すれば良い。
この場合、水切り袋1の機能は、各含浸シートの素材により、次のような特徴があり、結局、第4の基本形態の含浸シートを用いるものが一番優れていることになるが、水切り袋の使用が主として、家庭内の台所や、業務用としてもレストランの厨房等に止まることを考慮すると、水切り袋としては、(2.1)の形態のもので実用上は十分と言える。
(2.1)第1の基本形態の含浸シートを素材としたもの
この場合、水切り袋に含浸されたシトロネラ、ニームオイル、除虫菊等のハーブ特有の刺激臭のため、これまで水切り袋に付着する恐れがあったゴキブリほかの害虫の侵入が防止され、殺菌作用もあるという効果がある。
(2.2)第2の基本形態の含浸シートを素材としたもの
この場合、水切り袋から発せられるハーブの特有の臭いに加え、capsicumの刺激性の臭いと赤色(赤褐色)が相乗して前記(2.1)の基本形態の水切り袋よりも、さらに増大した防虫作用及び忌避作用を発揮する。
(2.3)第3の基本形態の含浸シートを素材としたもの
この場合、水切り袋に含浸されたシトロネラ等のハーブの特有の臭いに加え、ガーリックのエキスの臭いが各別又は相乗して作用し、さらにcapsicumを併用した場合には、その刺激性の臭い及び赤色(赤褐色)も各別又は相乗して作用するので、前記(2.1)の基本形態及び前記(2.2)の基本形態の水切り袋よりも、さらに顕著な防虫作用のほかカラス等の害鳥や猫などの害獣に対する忌避作用も発揮する。
(2.4)第4の基本形態の含浸シートを素材としたもの
この場合、含浸シートの表面に、融点が40℃〜90℃である適量のパラフィン又はワックスが含浸シートに対して含浸或いは塗布されているから、含浸シートに含浸されている揮発性であるハーブ、capsicumのエキス、ガーリックの刺激臭の保持期間を、上記の(2.1)〜(2.3)の基本構成の場合に比べて適正な期間の範囲で延長して持続できる効果がある。
なお、パラフィン又はワックスの含浸は、次の条件で行うのが適当であることが確認されている。
(1)ワックスを溶融槽に入れ、温度80℃でゆっくり溶融する。
(2)このワックスの溶融槽に水切り袋を含浸する。
(3)水切り袋を入れても温度が75℃〜80℃に保持されるように温度コントロールを行う。
(4)水切り袋の浸漬時間は、90分〜120分程度とする。
(5)上記浸漬時間経過後に、ワックスが含浸された水切り袋を引き上げ、ワックスを切る。この場合のワックス切りは、水切り袋を揺すった後、2分程度吊るすようにすればよい。
【0018】
第2の実施の形態:
図1(B)は本発明の水切り袋の第2の実施の形態を示す斜視図である。
即ち、水切り袋の第2の実施の形態のものは、同図に示すように、従来の市販品の水切り袋、例えばポリエチレンシートの如き合成樹脂を材質として形成され、所定形状の複数個の水切り孔hを備えた水切り袋2に対して、前述した第1乃至第4の基本形態のいずれかの手段で形成した複数個の矩形状の含浸シート2a、2a、2a、2a、2a、2aを接着剤又は加熱処理で貼着して構成される。
この場合、含浸シート2a〜2aは、図1(B)に示したものでは、矩形状の場合で6枚のものを示したが、その形状は丸、菱形、三角形、円弧形状などの各種形状のものであってよく、当該水切り袋2の総面積に対して、例えば、30〜80%程度の比率を占める割合のものとなるように、その大きさ、数を設定すればよい。
本実施の形態の水切り袋2の場合も、含浸シートとしての素材により、第1の実施の形態の(2.1)〜(2.4)に記載した場合と同様の機能を発揮するものであることは勿論である。
【0019】
3.ごみ袋
次に、前記した本発明の含浸シートを用いた本発明のごみ袋について説明する。
第1の実施の形態:
図2(A)及び(B)は夫々本発明の含浸シートを用いた本発明のごみ袋の第1の実施の形態であるごみ袋の平面図及び厚み部分の拡大縦断面図である。
本発明のごみ袋の第1の実施の形態であるごみ袋4は、同図に示すように、市販の合成樹脂製のごみ袋より成るごみ袋本体3、例えば、炭酸カルシウム30%混入のポリエチレンシートのごみ袋本体3の内面の全面に亙り、前述の第1乃至第4の基本形態のいずれかの形態で製作した含浸シートから成る袋状の含浸シート袋4aを接着剤又は加熱処理(40℃〜90℃程度の温度で加熱処理)で貼着して本発明の改良型のごみ袋4を構成したものである。なお、3aは、「ごみ収集袋」の記載のほか、市販のごみ袋に記載されているようなごみ袋に必要な注意事項等を記載するための記載欄であるが、その趣旨が記載されてあれば良いので、この記載欄の形態、大きさなどは図示のものに限定されない。
なお、第1の実施の形態のごみ袋は、図2(A)、(B)に示すものでは、ごみ袋本体3として、市販のごみ袋を用いた例を示したので、含浸シート袋をその内面側に貼着する場合を示したが、含浸シート袋4a側に「ごみ収集袋」の表記を含む必要事項の記載欄を設けるようにすれば、同形の合成樹脂製の袋の外側に前記素材から成る含浸シート袋4aを貼着して本発明の改良型のごみ袋4を構成するようにしてもよい。
【0020】
この場合、ごみ袋4の機能は、各含浸シートの素材により、次のような特徴があり、結局、第4の基本形態の含浸シートを用いるものが一番優れていることになる。
(3.1)第1の基本形態の含浸シートを素材としたもの
この場合、含浸シート袋3に含浸されたシトロネラ、ニーム、除虫菊等のハーブ特有の刺激臭のため、これまでごみ袋に付着する恐れがあったゴキブリほかの害虫の侵入が防止され、殺菌作用もあるので、ごみ袋の回収まで時間及び回収後のごみ袋を清潔に保持できる、という効果がある。
(3.2)第2の基本形態の含浸シートを素材としたもの
この場合、含浸シート袋3から発せられるハーブの特有の臭いに加え、capsicumの刺激性の臭いと赤色(赤褐色)が相乗して前記(2.1)の基本形態の水切り袋よりも、さらに増大した防虫作用及び忌避作用を発揮する。
(3.3)第3の基本形態の含浸シートを素材としたもの
この場合、含浸シート袋3に含浸されたシトロネラ等のハーブの特有の臭いに加え、ガーリックのエキスの臭いが各別又は相乗して作用し、さらにcapsicumを併用した場合には、その刺激性の臭い及び赤色(赤褐色)も各別又は相乗して作用するので、前記(3.1)の基本形態及び前記(3.2)の基本形態の水切り袋よりも、さらに顕著な防虫作用のほかカラス等の害鳥や猫などの害獣に対する忌避作用も発揮する。
(3.4)第4の基本形態の含浸シートを素材としたもの
この場合、含浸シートの表面に、融点が40℃〜90℃である適量のパラフィン又はワックスが含浸シートに対して含浸或いは塗布されているから、含浸シートに含浸されている揮発性であるハーブ、capsicumのエキス、ガーリックの刺激臭の保持期間を、上記の(3.1)〜(3.3)の基本構成の場合に比べて適正な期間の範囲で延長して持続できる効果がある。
なお、パラフィン又はワックスの含浸条件としては、前記した水切り袋の場合と同様、次の含浸条件で行うのが適当であることが確認されている。
(1)ワックスを溶融槽に入れ、温度80℃でゆっくり溶融する。
(2)このワックスの溶融槽にごみ袋を含浸する。
(3)ごみ袋を入れても温度が75℃〜80℃に保持されるように温度コントロールを行う。
(4)ごみ袋の浸漬時間は、90分〜120分程度とする。
(5)上記浸漬時間経過後に、ワックスが含浸されたごみ袋を引き上げ、ワックスを切る。この場合のワックス切りは、ごみ袋を揺すった後、2分程度吊るすようにすればよい。
【0021】
第2の実施の形態:
図3は本発明の含浸シートを用いた本発明のごみ袋の第2の実施の形態であるごみ袋の平面図である。
即ち、本発明のごみ袋の第2の実施の形態のものは、同図に示すように、従来の市販品のごみ袋(例えば必要により炭酸カルシウムを30%程度混入したポリエチレンシート製のもの)の如き合成樹脂製のごみ袋3に対して、前述した第1乃至第4の基本形態のいずれかの手段で形成した複数個の矩形状の含浸シート5a、5a、5a、5a、5aを接着剤又は加熱処理で貼着して構成される。この場合の加熱処理の温度としては40℃〜90℃程度が適当である。
この場合、含浸シート5a〜5aは、図3に示したものでは、矩形状の場合で5個のものを示したが、当該ごみ袋本体3の総面積に対して、例えば、30〜80%程度の比率を占める割合のものとなるように、その大きさ、数を設定すればよい。
本実施の形態のごみ袋5の場合も、含浸シートとしての素材により、第1の実施の形態の(3.1)〜(3.4)に記載した場合と同様の機能を発揮するものであることは勿論である。
【0022】
第3の実施の形態:
図4は本発明の含浸シートを用いた本発明のごみ袋の第3の実施の形態であるごみ袋の平面図である。
即ち、本発明のごみ袋の第3の実施の形態のものは、同図に示すように、従来の市販品のごみ袋(例えば必要により炭酸カルシウムを30%程度混入したポリエチレンシート製のもの)の如き合成樹脂製のごみ袋3に対して、前述した第1乃至第4の基本形態のいずれかの手段で形成した複数個の円形状の含浸シート6a、6a、6a、6aを接着剤又は加熱処理で貼着して構成される。この場合の加熱処理の温度としては40℃〜90℃程度が適当である。
この場合、含浸シート6a〜6aは、図4に示したものでは、円形状の場合で4個のものを示したが、当該ごみ袋本体3の総面積に対して、例えば、30〜80%程度の比率を占める割合のものとなるように、その大きさ、数を設定すればよい。
本実施の形態のごみ袋6の場合も、含浸シートとしての素材により、第1の実施の形態の(3.1)〜(3.4)に記載した場合と同様の機能を発揮するものであることは勿論である。
また、本実施の形態の場合、含浸シート6a〜6aは、図4に示すように、円形状の場合で示したが、これに代え、菱形、三角形、円弧形状などの他の各種形状のものであってよい。
さらに、ごみ袋の大きさは、これが使用されている場所の地方公共団体の条例などで指定されるごみ袋の大きさ、例えば30リットル、45リットルなどの所定の大きさに合致する大きさとなるように製作するものとする。
【0023】
【発明の効果】
本発明の含浸シート及びこの含浸シートを用いた水切り袋並びにごみ袋によると、次のような優れた効果を有する。
(1)請求項5又は請求項7に記載の水切り袋又はごみ袋として、請求項1に記載の含浸シートを用いたものでは、貼着された含浸シートが出るハーブの薫りにより、ゴキブリなどの害虫の接近を防止し、殺菌作用を発揮できる。
(2)請求項5又は請求項7に記載の水切り袋又はごみ袋として、請求項2に記載の含浸シートを用いたものでは、さらに、capsicum(激辛トウガラシ)のエキスが含浸されているから、ハーブの薫りによる防虫、殺菌作用加えて、capsicum(激辛トウガラシ)のエキスから出る異臭が相乗するので、カラスなどの害鳥や、猫などの害獣の忌避作用もある。
(3)請求項5又は請求項7に記載の水切り袋又はごみ袋として、請求項3に記載の含浸シートを用いたものでは、さらに、ガーリック(ニンニク)のエキスを含浸させるように構成したから、ハーブの薫りによる防虫、殺菌作用、capsicum(激辛トウガラシ)のエキスから出る異臭に加えて、さらに、ガーリック(ニンニク)のエキスから出る異臭が相乗するので、カラスなどの害鳥や、猫などの害獣の忌避作用が強化される。
(4)請求項5又は請求項7に記載の水切り袋又はごみ袋として、請求項4に記載のように、含浸シートの表面に、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを含浸或いは塗布するように構成すると、揮発性であるハーブ又は/及びcapsicum(激辛トウガラシ)のエキス又は/及びガーリック(ニンニク)のエキスの保持作用が延長されるので、防虫、防鳥、防獣効果は、さらに増大できる。
(5)請求項6又は請求項7に記載のように、水切り袋又はごみ袋の構成を、通常の水切り袋又はごみ袋に対して含浸シートを貼着するようにすると、予め、含浸シートを製作しておき、販売対象の水切り袋又はごみ袋の仕様を考慮して、市販の水切り袋又はごみ袋と、含浸シートの組合せで、本発明の水切り袋又はごみ袋を製作できるという利点がある。
(6)請求項8に記載のように、本発明の水切り袋又はごみ袋に適用する含浸シートとして、矩形状又は円形状などの各種形状を用いることができるから、販売対象の水切り袋又はごみ袋の仕様を考慮して、含浸シートの形状を作業性良く設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水切り袋を示すもので、同図(A)は第1の実施の形態の水切り袋の斜視図、同図(B)は第2の実施の形態の水切り袋の斜視図である。
【図2】本発明のごみ袋の第1の実施の形態を示すもので、同図(A)は平面図、同図(B)は厚み部の拡大縦断面図である。
【図3】本発明のごみ袋の第2の実施の形態を示す平面図である。
【図4】本発明のごみ袋の第3の実施の形態を示す平面図である。
【符号の説明】
1、2:本発明の水切り袋
2a〜2a:含浸シート
3:ごみ袋本体
4、5、6:本発明のごみ袋
4a:含浸シート袋
5a〜5a,6a〜6a:含浸シート

Claims (8)

  1. 不織布に、シトロネラ、ニームオイル、スペアミント、カユプテ、ゼラニウム、パチュリ、テレピン、除虫菊等のハーブと称せられる植物精油を単独又は複数種ブレンドしたものを含浸して構成したことを特徴とする含浸シート。
  2. 上記含浸シートに対して、
    さらに、capsicum(激辛トウガラシ)のエキスを含浸するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の含浸シート。
  3. 上記含浸シートに対して、
    さらに、ガーリック(ニンニク)のエキスを含浸させた請求項1又は2に記載の含浸シート。
  4. 上記含浸シートの表面に、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを含浸或いは塗布するようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の含浸シート。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の含浸シートを用いて構成したことを特徴とする水切り袋。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の含浸シートを、
    合成樹脂シートから成る水切り袋の所定の面部分に、接着剤又は加熱処理で貼着するようにして構成したことを特徴とする水切り袋。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載の含浸シートを、
    合成樹脂シートから成るごみ袋の全面又は所定の面部分に、接着剤又は加熱処理で貼着するようにして構成したことを特徴とするごみ袋。
  8. 上記含浸シートの形状は、矩形状又は円形状などの各種形状で形成するようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の含浸シート。
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