JP2004238745A - 生体内分解吸収性ポリマーよりなる糸 - Google Patents

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Takanori Miyoshi
孝則 三好
Nobuya Komura
伸弥 小村
Hiromasa Minematsu
宏昌 峯松
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Abstract

【課題】縫合糸としての十分な柔軟性を持ち、抜糸工程が必要ない糸およびその製造方法の提供。
【解決手段】生体内分解吸収性ポリマーを主成分とする引張弾性率と引張強度の比が3.5以下、引張強度が300〜900MPaである糸および、生体内分解吸収性ポリマーからなる糸を形成した後、これを超臨界状態の二酸化炭素に接触させる糸の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体内分解吸収性ポリマーよりなる糸、縫合糸、およびその製造方法に関する。更に詳しくは、柔軟性と脆さが改善され、取扱性が向上した糸、縫合糸およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
手術用縫合糸は古くから用いられている医療用具の一つであるが、近年では手術後の抜糸が不要である生体内分解吸収性ポリマーを用いた縫合糸が増加している。生体内分解吸収性ポリマーとしてはポリ乳酸やポリグリコール酸などが知られているが、これらは硬くて脆いという性質を有しており取扱性が困難である。そのため、この問題点を解決する手段が望まれている。
【0003】
これを解決する手段として、例えば糸を熱処理することにより糸表面に近い部分の分子配向を緩和させ、柔軟性を付与するとともに結節強度を向上させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照。)。しかしながら、この方法は糸を構成するポリマーの融点以上の温度で処理するため、処理時間と温度を厳密に制御する必要があり、操作性は悪かった。また、熱処理の代わりに薬剤を用いた化学的方法にて糸の表面付近の分子配向を緩和させる方法も提案されている(例えば特許文献2参照。)。この方法は、有機溶媒で糸表面を処理するため、糸を構成するポリマーの一部が溶け出したり、また糸内部の残存溶媒が悪影響を及ぼす懸念などが危惧される。
【0004】
また、上記方法は、いずれも糸の分子配向の緩和によって柔軟性を付与する方法であるため、原理的に必ず引張強度が低下する問題があった。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第5451461号明細書
【0006】
【特許文献2】
特開2000−312714号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、糸の強度を実質的に低下させることなく、柔軟性を付与した糸を提供することにある。また、本発明の他の目的は、糸の強度を実質的に低下させることなく、柔軟性を付与した糸を製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の通りである。
1.生体内分解吸収性ポリマーを主成分とする引張弾性率と引張強度の比が3.5以下、引張強度が300〜900MPaである糸。
2.生体内分解吸収性ポリマーが炭素原子、水素原子および酸素原子のみからなるポリマーである1.に記載の糸。
3.生体内分解吸収性ポリマーがポリグリコール酸である1.または2.に記載の糸。
4.生体内分解吸収性ポリマーよりなる糸を形成した後、これを超臨界状態の二酸化炭素に接触させる糸の製造方法。
5.生体内分解吸収性ポリマーが、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはこれらの共重合体を主成分とする4.に記載の糸の製造方法。
6.4.〜5.いずれか1項に記載の方法で製造された糸。
7.1.〜6.のいずれか1項に記載の糸よりなる縫合糸。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0010】
本発明における糸とは、短繊維(staple)、モノフィラメント、または多数のフィラメントからなるマルチフィラメントのいずれも含有するが、取扱性の観点からマルチフィラメントが好ましい。
【0011】
本発明における糸は、生体内分解吸収性ポリマーよりなる。生体内分解吸収性ポリマーとは生体内で加水分解されて吸収される性質を有し、完全に分解吸収されるまでに2年以内を要するポリマーを指す。さらに具体的には、その中でも炭素原子、水素原子、酸素原子のみからなるポリマーであることが好ましい。さらに具体的にはポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはこれらの共重合体を主成分とする合成ポリマーや、コラーゲン、キチンといった天然ポリマーが挙げられるが、このうち、合成ポリマーが好ましい。より詳細にはポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはこれらの共重合体を主成分とする合成ポリマーがより好ましく、ポリグリコール酸を主成分とする合成ポリマーが特に好ましい。またここで「主成分とする」とはポリマー全体の70モル%以上若しくは70重量%以上が生体内分解吸収性ポリマーまたはこれらの共重合体から構成されていること表す。好ましくは80モル%以上若しくは80重量%以上である。
【0012】
本発明における糸は、ホモポリマー若しくはコポリマーのいずれかから選ばれる単一の構成からなるポリマーより形成されていても良く、また複数の構成からなるポリマーの混合物より形成されていても良い。マルチフィラメントの場合は、各フィラメントのポリマー構成が同一であっても、異なっていても良い。
【0013】
本発明において、糸の形成方法は従来公知のものであれば特に限定されず、溶融紡糸法や乾式紡糸法、湿式紡糸法等が好適にあげられる。また、かかる糸は従来公知の通常の方法によって例えば延伸により強度改善されたものであっても良いし、未延伸糸であっても良い。
【0014】
本発明における製造方法においては、かかる生体内分解吸収性ポリマーよりなる糸を、超臨界状態の二酸化炭素に接触させることを特徴とする。超臨界状態の二酸化炭素に接触させることで糸の柔軟性が向上する。この詳細な原因は現在詳細に検討中であるが、いまだ不明である。
【0015】
超臨界状態とは気体と液体が共存できる限界の温度、圧力を超えた状態であり、二酸化炭素の場合温度31.1℃、圧力7.38MPa以上である。本発明の製造方法において超臨界状態の二酸化炭素の温度は、32℃〜200℃であることが好ましい。32℃より低いと超臨界状態を安定して維持することが困難であり好ましくない。また、200℃より高いと糸がその形状を維持することが困難であり好ましくない。より好ましい温度は、35℃〜100℃である。
【0016】
本発明における超臨界状態の二酸化炭素の圧力は、7.38MPa以上であれば特に限定されないが、装置の安全上やコストの観点から、40MPa以下が好ましい。より好ましい圧力は、8〜20MPaである。
【0017】
また超臨界状態の二酸化炭素に接触させる時の処理はオートクレーブなどの温度調節機能のついた密閉式耐圧反応容器や、連続式の耐圧反応容器などを好適に用いることができる。具体的な操作方法の一例は以下のとおりである。すなわち耐圧反応容器に生体内分解吸収性ポリマーより形成した糸を入れてさらに二酸化炭素を封入し、上記の様な圧力、温度にて二酸化炭素に接触させる。このときバッチ式で行うならば、二酸化炭素の量は該糸に対して2〜1000重量倍を添加することが好ましい。より好ましくは5〜500重量倍である。2重量倍未満の場合は接触させる時間を非常に長くする必要があり、1000重量倍を超える場合には装置が大きくなるためコスト高となり好ましくない。また連続式で行う際には二酸化炭素を0.1〜20L/分の流量で行うことが好ましい。また温度、圧力を上昇させる際には先に温度を上昇させて一定になった後圧力を上昇させても良いし、逆に圧力を上昇させて一定になった後温度を上昇させても良い。また、温度と圧力を同時に上昇させても構わない。また糸を超臨界状態の二酸化炭素に接触させるとき、温度と圧力を一定に保っても良いし、変化させても良い。本発明において、糸を超臨界状態の二酸化炭素に接触させる時間は、5分以上であるとその柔軟性が向上する効果が顕著になり好ましい。より好ましい接触時間は30分以上である。さらに糸と超臨界状態の二酸化炭素を接触させた後は、室温下常圧状態に戻すことによって超臨界状態の二酸化炭素が、常圧室温の気体となり耐圧容器から除去することができる。常圧室温に戻す方法に特に限定はないが、通常は以下の方法を好ましくあげることができる。すなわちまず圧力を常圧まで降下させる。すると、放圧に伴って温度が低下するため、その後室温に温度を戻す際の時間を短縮することが出来る。
【0018】
なお、本発明においては、例えば上記のような製造方法によって得られた、生体内分解吸収性ポリマーを主成分とする引張弾性率と引張強度の比(引張弾性率/引張強度)が3.5以下、引張強度が300〜900MPaである糸も好ましい。さらにはその生体内分解吸収性ポリマーが炭素原子、水素原子、酸素原子のみからなるポリマーであることが好ましい。さらに該生体内分解吸収性ポリマーがポリグリコール酸であることがより好ましい。引張弾性率と引張強度の比は好ましくは1.5〜3.0であり、より好ましくは2〜2.8である。引張弾性率と引張強度の比が3.5を超える場合は、柔軟性に乏しく好ましくない。また引張強度は500〜900MPaが好ましく、500〜700MPaがより好ましいく、500〜600MPaがもっとも好ましい。。引張強度が300〜900MPaの範囲外であると、糸として使用することが困難であり好ましくない。またこれらの糸は縫合糸として用いることも好ましい。縫合糸の用途は手術用が好ましく挙げられる。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、生体内分解吸収性ポリマーよりなる柔軟な糸を提供する。また、本発明は良好な柔軟性を有するため縫合糸として好ましい性質を有する。また生体内分解吸収性ポリマーよりなる糸なので、手術に使用した場合、手術後の抜糸工程が必要でなくなる。
【0020】
【実施例】
以下本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例においては、糸として糸号数2(USP規格)のポリグリコール酸マルチフィラメント(ボーメル社,商品名「シンセソーブ」)を用いた。各サンプルについて、テンシロン(オリエンテック製RTC1225A)を用いて、試験長20mm、引張速度10mm/minにて引張強度、引張弾性率、引張伸度、結節強度を求めた。
【0021】
[実施例1]
糸を40℃、15MPaの超臨界状態の二酸化炭素に4時間接触させた。得られた糸について、引張強度、引張弾性率、引張伸度、結節強度を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0022】
[実施例2]
40℃、15MPaの超臨界状態の二酸化炭素に接触させる代わりに、50℃、15MPaの超臨界状態の二酸化炭素に接触させた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた結果を表1に示す。
【0023】
[比較例1]
何も処理を行わない糸について、引張強度、引張弾性率、引張伸度、結節強度を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0024】
[比較例2]
超臨界二酸化炭素の代わりに、空気中で40℃に4時間保持した以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 2004238745

Claims (7)

  1. 生体内分解吸収性ポリマーを主成分とする引張弾性率と引張強度の比が3.5以下、引張強度が300〜900MPaである糸。
  2. 生体内分解吸収性ポリマーが炭素原子、水素原子および酸素原子のみからなるポリマーである請求項1記載の糸。
  3. 生体内分解吸収性ポリマーがポリグリコール酸である請求項1または2に記載の糸。
  4. 生体内分解吸収性ポリマーよりなる糸を形成した後、これを超臨界状態の二酸化炭素に接触させる糸の製造方法。
  5. 生体内分解吸収性ポリマーが、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはこれらの共重合体を主成分とする請求項4記載の糸の製造方法。
  6. 請求項4〜5のいずれか1項に記載の方法で製造された糸。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の糸よりなる縫合糸。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109224118A (zh) * 2018-09-23 2019-01-18 湖南博隽生物医药有限公司 一种医用手术缝合线
CN112316198A (zh) * 2020-11-13 2021-02-05 浙江桐轩医疗科技有限公司 一种可吸收、可降解缝合线

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