JP2004235320A - 金属用研磨液及び研磨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】迅速なCMP速度を有し、かつコロージョンやスクラッチ、シニング、ディッシング、エロージョンなどの発生が少ない、LSIの作製を可能とする金属用研磨液を提供すること。
【解決手段】半導体デバイスの製造における化学的機械的研磨に用いる研磨液であって、メソイオン化合物を含有することを特徴とする金属用研磨液。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイスの製造に関するものであり、特に半導体デバイスの配線工程における金属用研磨液およびそれを用いた研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路(以下LSIと記す)で代表される半導体デバイスの開発においては、高集積化・高速化のため、近年配線の微細化と積層化による高密度化・高集積化が求められている。このための技術に化学的機械的研磨(以下CMPと記す)が用いられてきているが、これは絶縁性薄膜(SiOなど)や配線に用いられる金属薄膜の研磨に用いられ、基板の平滑化や配線形成時の余分な金属薄膜の除去を行う方法であり、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
CMPに用いる金属用研磨溶液は、一般には砥粒(例えばアルミナ)と酸化剤(例えば過酸化水素)とが含まれる。基本的なメカニズムは、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去していると考えられており、例えば非特許文献1に記述されている。
しかしながら、このような固体砥粒を含む金属用研磨液を用いてCMPを行うと、研磨傷(スクラッチ)、研磨面全体が必要以上に研磨される現象(シニング)、研磨金属面が皿上にたわむ現象(ディッシング)、金属配線間の絶縁体が必要以上に研磨されたうえ、配線金属面が皿上にたわむ現象(エロージョン)などが発生することがある。
また、研磨後に、半導体面に残留する研磨液を除去するために通常行なわれる洗浄工程において、固体砥粒を含有する研磨液を用いることによって、その洗浄工程が複雑となり、さらにその洗浄後の液(廃液)を処理するには固体砥粒を沈降分離する必要があるなどコスト面での問題点が存在する。
【0004】
これらを解決するひとつの手段として、例えば、砥粒を含まない研磨液とドライエッチングとの組み合わせによる金属表面研磨方法が非特許文献2に開示されており、また特許文献2には、過酸化水素/リンゴ酸/ベンゾトリアゾール/ポリアクリル酸アンモニウムおよび水からなる金属用研磨液が開示されている。これらの方法によれば、半導体基体の凸部の金属膜が選択的にCMPされ、凹部に金属膜が残されて所望の導体パターンが得られる。従来の固体砥粒を含むよりもはるかに機械的に柔らかい研磨パッドとの摩擦によってCMPが進むため、スクラッチの発生は軽減されている。
【0005】
一方、配線用の金属としては従来からタングステンおよびアルミニウムがインターコネクト構造体に汎用されてきた。しかしながら更なる高性能化を目指し、これらの金属より配線抵抗の低い銅を用いたLSIが開発されるようになった。この銅を配線する方法としては、例えば、特許文献3に記載されている、ダマシン法が知られている。また、コンタクトホールと配線用溝とを同時に層間絶縁膜に形成し、両者に金属を埋め込むデュアルダマシン法が広く用いられるようになってきた。この銅配線用のターゲット材には、ファイブナイン以上の高純度銅ターゲットが出荷されてきた。しかしながら、近年は更なる高密度化を目指す配線の微細化に伴って、銅配線の導電性や電子特性などの向上が必要となり、それに伴って高純度銅に第3成分を添加した銅合金を用いることも検討されはじめてきている。同時に、これらの高精細で高純度の材料を汚染させることなく高生産性を発揮し得る高速金属研磨手段が求められている。
【0006】
この出願の発明に関連する前記の先行技術には、次ぎの文献がある。
【特許文献1】
米国特許4944836号公報
【特許文献2】
特開2001−127019号公報
【特許文献3】
特開平2−278822号公報
【非特許文献1】
ジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌(Journal of Electrochemical Society)、第138巻11号(1991年発行);3460〜3464ページ
【非特許文献2】
ジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌(Journal of Electrochemical Society);第147巻10号(2000年発行)、3907〜3913ページ
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、LSIの生産性を高めるためにより迅速なCMPを進めるにおいては、このような銅金属及び銅合金を原料とする配線の、その研磨速度を上げることが求められているという前記した背景に基づいて行なわれたものである。
したがって本発明の目的は、迅速なCMP速度を有し、かつコロージョンやスクラッチ、シニング、ディッシング、エロージョンなどの発生が少ない、LSIの作製を可能とする金属用研磨液を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の金属用研磨液に係る問題点について、本発明者は鋭意検討した結果、メソイオン化合物を含有する金属用研磨液を用いることによって問題を解決できることを見出して課題を達成するに至った。すなわち、本発明は、下記の通りである。
(1)半導体デバイスの製造における化学的機械的研磨に用いる研磨液であって、金属の酸化剤と、メソイオン化合物を少なくとも含有することを特徴とする金属用研磨液。
(2)研磨される金属が、銅又は銅合金であることを特徴とする上記(1)に記載の金属用研磨液。
(3)銅合金が銅と銀の合金であることを特徴とする上記(2)に記載の金属用研磨液。
(4)金属の酸化剤とメソイオン化合物を少なくとも含む金属用研磨液を、使用するに際して研磨定盤上のパッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて研磨することを特徴とする研磨方法。
【0009】
上記本発明の特徴は、金属用研磨液にメソイオン化合物を含有させたことであり、これによって化学的研磨速度の顕著な向上がもたらされ、しかも、コロージョンやスクラッチ、シニング、ディッシング、エロージョンなどの研磨の局部的な不均一に伴う欠陥の発生が低レベルに維持されることである。
また、このメソイオン化合物を含有させた金属用研磨液は、研磨される半導体デバイスの構成材料が銀を微量に含有する銅合金を原料とし0.15μm以下、特には0.10μm未満の配線である場合に、特に上記の効果を顕著に発揮する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的態様について説明する。
本発明の金属用研磨液は、本発明の研磨液の特徴であるメソイオン化合物、金属の酸化剤、水及び好ましくは酸化金属溶解剤、界面活性剤や水溶性ポリマー、及び保護膜形成剤から構成されている。以下、これら構成成分について説明する。
【0011】
(メソイオン化合物)
本発明に用いられるメソイオン化合物は、下記一般式で表される。
【0012】
【化1】
Figure 2004235320
【0013】
一般式中、Qは炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びセレン原子から選ばれる原子群より構成される5又は6員のメソイオン環を表し、該メソイオン環は、Xが有する負イオン性に見合う陽イオン性を環全体として有しており、Xは−O、−S又は−Nを表し、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基を表す。Rが表す上記置換基は、好ましくは炭素数22以下であり、より好ましくは炭素数18以下、とりわけ12以下である。
また、メソイオン環は置換基を有していてもよく、その置換基は炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数3〜8のアルケニル基、炭素数3〜8のアルキニル基、炭素数3〜8のアラルキル基、水酸基、ハロゲン原子並びに炭素数1〜4のカルボキシアルキル基、炭素数1〜4のスルホアルキル基、炭素数1〜4のホスホアルキル基及び炭素数1〜4のアミノアルキル基から選ばれる。
次に、上記一般式で表される化合物の具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。また、下記具体例において、カルボキシル基など酸基を有する化合物は、酸型で示してあるが、アルカリ金属塩やアンモニウム塩などの塩を形成していてもよく、塩を形成する場合は、アンモニウム塩が特に好ましい。
【0014】
【化2】
Figure 2004235320
【0015】
【化3】
Figure 2004235320
【0016】
これらの化合物は、Journal of Heterocyclic Chemistry 2,105(1965)、同5,277(1968)、Journal of Organic Chemistry 30,567(1965)、同322,245(1967)、Journal of Chemical Society 899(1935)、同2,865(1959)、同3,799(1969)、Journal of American Chemical Society 801,895(1958)、Chemical Communication 1,222(1871)、TetrahedronLetters 1,809(1967)、同5,881(1968)、同1,578(1971)、同2,939(1972)、特開昭60−87322号、同60−117240号、同60−122936号、Berichte derDeutschen Chemischen Gesellschaft 384,049(1905)、Journal of Chemical Society Chemical Communication 1,224(1971)、Advances inHeterocyclic Chemistry19,1(1976)、Journal of Chemical Society Perkin Transaction I 627(1974)等に記載の方法で合成できる。
【0017】
上記一般式で表される化合物の中で好ましいものとしては、化合物1、3、4及び化合物8であり、中でも化合物1、3、4が好ましい。
また、この一般式で表される化合物は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0018】
この一般式で表される化合物の添加量は金属用研磨液に対して総計0.0001〜1.0モル/L以下が好ましく、更には0.001〜0.5モル/Lであり、より好ましくは0.01〜0.1モル/Lである。
この添加量が研磨液1リットル当たり1molを超えると、酸化剤、メソイオン化合物ともに劣化(無効果、分解)する傾向がある。また、0.0001mol未満では効果が発現しにくい。
メソイオン化合物のほかに、さらにチオシアン酸塩、チオエーテル類、又はチオ硫酸塩をメソイオン化合物よりも少ない添加量で併用してもよい。
【0019】
(酸化剤)
本発明の金属用研磨液には酸化剤が含まれる。用いられる酸化剤としては、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水および銀(II)塩、鉄(III)塩が挙げられる。
鉄(III)塩としては例えば、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、臭化鉄(III)など無機の鉄(III)塩の他、鉄(III)の有機錯塩が好ましく用いられる。
【0020】
鉄(III)の有機錯塩を用いる場合、鉄(III)錯塩を構成する錯形成化合物としては、例えば、酢酸、クエン酸、シュウ酸、サリチル酸、ジエチルジチオカルバミン酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、チオグリコール酸、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−エタンジチオール、マロン酸、グルタル酸、3−ヒドロキシ酪酸、プロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、3−ヒドロキシサリチル酸、3,5−ジヒドロキシサリチル酸、没食子酸、安息香酸、マレイン酸などやこれらの塩の他、アミノポリカルボン酸及びその塩が挙げられる。
アミノポリカルボン酸及びその塩としては、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸、1,2−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(ラセミ体)、エチレンジアミンジコハク酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、N−(カルボキシメチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノジ酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ニ酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N−ジ酢酸など及びその塩が挙げられる。対塩の種類は、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、特にはアンモニウム塩が好ましい。
【0021】
中でも、過酸化水素、ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、塩素酸塩、鉄(III)の有機錯塩が好ましく、鉄(III)の有機錯塩を用いる場合の好ましい錯形成化合物は、クエン酸、酒石酸、アミノポリカルボン酸(具体的には、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(ラセミ体)、エチレンジアミンジコハク酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、N−(カルボキシメチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸、イミノジ酢酸)を挙げることができる。
酸化剤の中でも過酸化水素並びに鉄(III)のエチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸及びエチレンジアミンジコハク酸(SS体)錯体が最も好ましい。
【0022】
これら酸化剤の添加量としては、水または水溶液を加え希釈した状態で金属用研磨液を使用する際に、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水の総量1000mlに対して、0.003mol〜8molとすることが好ましく、0.03mol〜6molとすることがより好ましく、0.1mol〜4molとすることが特に好ましい。この配合量が0.003mol未満では、金属の酸化が不十分でCMP速度が低く、8molを超えると、研磨面に荒れが生じる傾向がある。
【0023】
(硬水軟化剤)
本発明の金属用研磨液には、混入する多価金属イオンなどの悪影響を低減させるために、必要に応じてキレート剤すなわち硬水軟化剤を用いることが好ましい。用いられるキレート剤としては、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤である汎用の硬水軟化剤やその類縁化合物であり、例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。
これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。
これらのキレート剤の量は混入する多価金属イオンなどの金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良い。例えば金属用研磨液の総量1000mLに対して、0.0003mol〜0.07molになるように添加する。
【0024】
(溶解剤)
本発明の金属用研磨液には溶解剤を用いることが好ましい。用いられる溶解剤としては、水溶性のものが望ましい。以下の群から選ばれたものの水溶液が適している。ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等、及びそれらの有機酸のアンモニウム塩等の塩、硫酸、硝酸、アンモニア、アンモニウム塩類、例えば過硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム等、クロム酸等又はそれらの混合物等が挙げられる。これらの中ではギ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸が銅、銅合金及び銅又は銅合金の酸化物から選ばれた少なくとも1種の金属層を含む積層膜に対して好適である。特に、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸については実用的なCMP速度を維持しつつ、エッチング速度を効果的に抑制できるという点で好ましい。
【0025】
これら溶解剤の添加量としては、水または水溶液を加え希釈した状態で金属用研磨液を使用する際に、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水の総量1000mlに対して0.0005〜0.5molとすることが好ましく、0.005mol〜0.3molとすることがより好ましく、0.01mol〜0.1molとすることが特に好ましい。この添加量が0.5molを超えると、エッチングの抑制が困難となる傾向がある。また、添加量が上記範囲より少ないと発明の効果が少なくなる。
【0026】
(金属酸化保護膜形成剤)
本発明の金属用研磨液には金属酸化防止膜形成剤を用いることが好ましい。用いられる金属酸化防止膜形成剤としては、保護膜形成剤は、以下の群から選ばれたものが好適である。アンモニア;ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、プロピレンジアミン等のアルキルアミンや、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム及びキトサン等のアミン;グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨ−ド−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパイン等のアミノ酸;ジチゾン、クプロイン(2,2’−ビキノリン)、ネオクプロイン(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン)、バソクプロイン(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)及びキュペラゾン(ビスシクロヘキサノンオキサリルヒドラゾン)等のイミン;ベンズイミダゾール−2−チオール、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオプロピオン酸、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオブチル酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−ブトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−オクチルオキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、N−(1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル)−N−(1,2,4−トリアゾリル−1−メチル)−2−エチルヘキシルアミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等のアゾール;ノニルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、トリアジントリチオール等のメルカプタン;が挙げられる。これらの中でもキトサン、エチレンジアミンテトラ酢酸、L−トリプトファン、キュペラゾン、トリアジンジチオール、ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾールブチルエステル、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾールが高いCMP速度と低いエッチング速度を両立する上で好ましい。
【0027】
これら金属酸化保護膜形成剤の添加量としては、水または水溶液を加え希釈した状態で金属用研磨液を使用する際に、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水の1000mlに対して0.0001mol〜0.5molとすることが好ましく0.001mol〜0.2molとすることがより好ましく、0.005mol〜0.1molとすることが特に好ましい。この添加量が0.0001mol未満では、エッチングの抑制が困難となる傾向があり、0.5molを超えるとCMP速度が低くなってしまう傾向がある。また、濃縮液作製時に使用する保護膜形成剤の内、室温での水に対する溶解度が5%未満のものの配合量は、室温での水に対する溶解度の2倍以内とすることが好ましく、1.5倍以内とすることがより好ましい。この添加量が2倍以上では濃縮液を5℃に冷却した際の析出を防止するのが困難となる。
なお、本明細書において「濃縮」及び「濃縮液」とは、使用状態よりも「濃厚」及び「濃厚な液」を意味する慣用表現にしたがって用いており、蒸発などの物理的な濃縮操作を伴う一般的な用語の意味とは異なる用法で用いている。
【0028】
(界面活性剤及び/又は親水性ポリマー)
本発明の金属用研磨液には、界面活性剤及び/又は親水性ポリマーを用いることが好ましい。界面活性剤と親水性ポリマーは、いずれも被研磨面の接触角を低下させる作用を有して、均一な研磨を促す作用を有する。用いられる界面活性剤及び/又は親水性ポリマーとしては、以下の群から選ばれたものが好適である。陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を挙げることができる。
陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩;両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。
また、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
【0029】
さらに、その他の界面活性剤、親水性化合物、親水性ポリマー等としては、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、3−エトキシプロピオン酸及びアラニンエチルエステル等のエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール、アルケニルポリプロピレングリコールアルキルエーテル及びアルケニルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル等のエーテル;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルラン等の多糖類;グリシンアンモニウム塩及びグリシンナトリウム塩等のアミノ酸塩;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマ;メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1−アリルスルホン酸ナトリウム塩、2−アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩及びスルホコハク酸ナトリウム塩等のスルホン酸及びその塩;プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミド及びスルファニルアミド等のアミド等が挙げられる。
【0030】
但し、適用する基体が半導体集積回路用シリコン基板などの場合はアルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染は望ましくないため、酸もしくはそのアンモニウム塩が望ましい。基体がガラス基板等である場合はその限りではない。上記例示化合物の中でもシクロヘキサノール、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、コハク酸アミド、ポロビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーがより好ましい。
【0031】
これらの界面活性剤及び/又は親水性ポリマーの添加量としては、水または水溶液を加え希釈した状態で金属用研磨液を使用する際に、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水の総量1000mlに対して0.001〜10gとすることが好ましく0.01〜5gとすることがより好ましく0.1〜3gとすることが特に好ましい。この配合量が0.01g未満では、界面活性剤の添加効果が現れない傾向があり10gを超えるとCMP速度が低下してしまう傾向がある。また、これらの界面活性剤及び/又は親水性ポリマーの重量平均分子量としては、500〜100000が好ましく、特には2000〜50000が好ましい。
【0032】
(アルカリ剤/酸剤)
本発明の金属用研磨液にはアルカリ剤及び/又は酸、さらには必用に応じて緩衝剤を用いることが好ましい。用いられるアルカリ剤(及び緩衝剤)としては、水酸化アンモニウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドなどの有機水酸化アンモニウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのようなアルカノールアミン類などの非金属アルカリ剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1, 3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキシアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。
【0033】
これらのアルカリ剤及び緩衝剤の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)、水酸化アンモニウムなどを挙げることができる。
特に好ましいアルカリ剤として水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドである。
【0034】
酸としては、酸化金属溶解剤として前記した酸類が好ましい。好ましい酸剤としては、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、酢酸などの有機酸及び硝酸、硫酸、りん酸などの無機酸を挙げることが出きる。
【0035】
これらのアルカリ剤及び/又は酸の添加量としては、pHが好ましい範囲に維持される量でよく、金属用研磨液の総量1000mlに対して0.0001mol〜1.0molとすることが好ましく0.003mol〜0.5molとすることがより好ましい。
本発明の金属用研磨液のpHは2〜14が好ましく、特には3〜12が好ましい。この範囲において本発明の金属液は特に優れた効果を発揮する。
【0036】
(砥粒)
本発明の金属用研磨液には砥粒を用いてもよい。好ましい砥粒としては、例えば、シリカ(沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、合成シリカ)、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、酸化マンガン、炭化ケイ素、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリテレフタレートなどが好ましい。
これら砥粒の添加量としては、砥粒は、使用する際の金属用研磨液の全重量に対して0.01〜20重量%であることが好ましく、0.05〜5重量%の範囲であることがより好ましい。0.01重量%以下では、砥粒を含有する効果が見られず、20重量%以上ではCMPによる研磨速度は飽和し、それ以上加えても増加は見られない。また、これら砥粒は平均粒径が5〜1000nmが好ましく、特には10〜200nmが好ましい。
【0037】
(配線金属原材料)
本発明においては、研磨する対象である半導体が、銅金属及び/又は銅合金からなる配線を持つLSIであることが好ましく、特には銅合金が好ましい。更には、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が好ましい。銅合金に含有される銀含量としては、40%以下が好ましく、特には10%以下、さらには1%以下が好ましく、0.00001〜0.1%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。
【0038】
(配線の太さ)
本発明においては、研磨する対象である半導体が、例えばDRAMデバイス系ではハーフピッチで0.15μm以下で特には0.10μm以下、更には0.08μm以下、一方、MPUデバイス系では0.12μm以下で特には0.09μm以下、更には0.07μm以下の配線を持つLSIであることが好ましい。これらのLSIに対して、本発明の研磨液は特に優れた効果を発揮する。
【0039】
(バリア金属)
本発明においては、半導体が銅金属及び/または銅合金からなる配線と層間絶縁膜との間に、銅の拡散を防ぐ為のバリア層を設けることが好ましい。バリア層としては低抵抗のメタル材料がよく、特にはTiN、TiW、Ta、TaN、W、WNが好ましく、中でもTa、TaNが特に好ましい。
【0040】
(研磨方法)
金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水を含有する金属用研磨液は、濃縮液であって使用する際に水を加えて希釈して使用液とする場合、各成分が次項に述べる水溶液の形態でこれらを混合し、必要により水を加え希釈して使用液とする場合、あるいは使用液として調製されている場合があるが、本発明の金属用研磨液を用いた研磨方法では、いずれの場合でも、研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて研磨する研磨方法である。研磨する装置としては、被研磨面を有する半導体基板等を保持するホルダーと研磨パッドを貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)研磨定盤を有する一般的な研磨装置が使用できる。研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂などが使用でき、特に制限がない。研磨条件には制限はないが、研磨定盤の回転速度は基板が飛び出さないように200rpm以下の低回転が好ましい。被研磨面(被研磨膜)を有する半導体基板の研磨パッドへの押しつけ圧力は、9.8〜98.1KPa(100〜1000gf/cm)であることが好ましく、研磨速度のウエハ面内均一性及びパターンの平坦性を満足するためには、9.8〜49.0KPa(100〜500gf/cm)であることがより好ましい。
【0041】
研磨している間、研磨パッドには金属用研磨液をポンプ等で連続的に供給する。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。 研磨終了後の半導体基板は、流水中で良く洗浄した後、スピンドライヤ等を用いて半導体基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させる。本発明の研磨方法では、希釈する水溶液は、次ぎに述べる水溶液と同じである。水溶液は、予め金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤のうち少なくとも1つ以上を含有した水で、水溶液中に含有した成分と希釈される金属用研磨液の成分を合計した成分が、金属用研磨液を使用して研磨する際の成分となるようにする。水溶液で希釈して使用する場合は、溶解しにくい成分を水溶液の形で配合することができ、より金属用研磨液を濃縮することができる。濃縮された金属用研磨液に水または水溶液を加え希釈する方法としては、濃縮された金属用研磨液を供給する配管と水または水溶液を供給する配管を途中で合流させて混合し、混合し希釈された金属用研磨液を研磨パッドに供給する方法がある。混合は、圧力を付した状態で狭い通路を通して液同士を衝突混合する方法、配管中にガラス管などの充填物を詰め液体の流れを分流分離、合流させることを繰り返し行う方法、配管中に動力で回転する羽根を設ける方法など通常に行われている方法を採用することができる。
【0042】
また、濃縮された金属用研磨液に水または水溶液を加え希釈する方法としては、金属用研磨液を供給する配管と水または水溶液を供給する配管を独立に設け、それぞれから所定量の液を研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面の相対運動で混合する方法である。さらに、濃縮された金属用研磨液を水または水溶液を加え希釈する方法としては、1つの容器に、所定量の濃縮された金属用研磨液と水または水溶液を入れ混合してから、研磨パッドにその混合した金属用研磨液を供給する方法がある。
【0043】
本発明の別の研磨方法は、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水を含有する金属用研磨液を少なくとも2つの構成成分に分けて、それらを使用する際に、水または水溶液を加え希釈して研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて研磨する方法である。前記したように、例えば、金属の酸化剤を1つの構成成分(A)とし、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分(B)とし、それらを使用する際に水または水溶液で構成成分(A)と構成成分(B)を希釈して使用する。また、溶解度の低い保護膜形成剤を2つの構成成分(A)と(B)に分け、金属の酸化剤、保護膜形成剤及び界面活性剤を1つの構成成分(A)とし、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分(B)とし、それらを使用する際に水または水溶液を加え構成成分(A)と構成成分(B)を希釈して使用する。この例の場合、構成成分(A)と構成成分(B)と水または水溶液をそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、希釈混合は、3つの配管を、研磨パッドに供給する1つの配管に結合し、その配管内で混合する方法があり、この場合、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合することも可能である。
【0044】
例えば、溶解しにくい保護膜形成剤を含む構成成分と他の構成成分を混合し、混合経路を長くして溶解時間を確保してから、さらに水または水溶液の配管を結合する方法である。その他の混合方法は、上記したように直接に3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法、1つの容器に3つの構成成分を混合して、そこから研磨パッドに希釈された金属用研磨液を供給する方法である。上記した研磨方法において、金属の酸化剤を含む1つの構成成分を40℃以下にし、他の構成成分を室温から100℃の範囲に加温し、且つ1つの構成成分と他の構成成分または水もしくは水溶液を加え希釈して使用する際に、混合した後に40℃以下とするようにすることもできる。温度が高いと溶解度が高くなるため、金属用研磨液の溶解度の低い原料の溶解度を上げるために好ましい方法である。金属の酸化剤を含まない他の成分を室温から100℃の範囲で加温して溶解させた原料は、温度が下がると溶液中に析出するため、温度が低下したその成分を用いる場合は、予め加温して析出したものを溶解させる必要がある。これには、加温し溶解した構成成分液を送液する手段と、析出物を含む液を攪拌しておき、送液し配管を加温して溶解させる手段を採用することができる。加温した成分が金属の酸化剤を含む1つの構成成分の温度を40℃以上に高めると金属の酸化剤が分解してくる恐れがあるので、加温した構成成分とこの加温した構成成分を冷却する金属の酸化剤を含む1つの構成成分で混合した場合、40℃以下となるようにする。
【0045】
また本発明においては、金属用研磨液の成分を二分割以上に分割して、研磨面に供給してもよい。この場合、酸化物を含む成分と溶解剤を含有する成分とに分割して供給する事が好ましい。また、金属用研磨液を濃縮液とし、希釈水を別にして研磨面に供給してもよい。
【0046】
(パッド)
本発明に用いられる研磨用のパッドは、大きくは無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
更に研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。また、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
【0047】
(ウエハ)
本発明の金属用研磨液でCMPを行なうウエハは、径が200mm以上であることが好ましく、特には300mm以上が好ましい。300mm以上である時に顕著に本発明の効果を発揮する。
【0048】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<実施例1>
(研磨液の調整)
表1に記載の化合物 表1参照
表1に記載の酸化剤 50g/L
ベンゾトリアゾール 1.5g/L
ポリアクリル酸アンモニウム
(重量平均分子量 10000) 0.3g/L
メタノール 5g/L
純水を加えて全量 1000mL
pH(アンモニア水と酢酸で調整) 表1に記載
【0049】
(研磨試験)
基体:厚さ1μmの銅/銀合金の膜を形成したシリコン基板(合金の銀の含有率0.01重量%)
研磨パッド: IC1400(ロデール社)
研磨機: SPP600S(岡本工作機械製作所)
押さえ圧力: 3.0KPa
基体と研磨定盤との相対速度: 35m/min
【0050】
(評価方法)
CMP速度:金属膜のCMP前後での膜厚さを電気抵抗値から換算して求めた。
コロージョン:光学顕微鏡および電子顕微鏡で観察した。
上記の金属用研磨液を用いてCMPを行って得られたCMP速度及びコロージョン状態も表1に示した。
【0051】
【表1】
Figure 2004235320
【0052】
表1に示されるように、チオ硫酸塩を含有する本発明例は、いずれも表1第1列の公知の化合物(リンゴ酸)を用いた比較例よりも顕著な研磨速度の増加とコロージョンの低減効果が認められた。
【0053】
また、深さ0.5μm、幅0.09μmの溝を形成したシリコン基板に銅/銀合金(銀の含有率0.005重量%)の薄膜を形成したものを基体として、上記同様にCMPを行った。その後、光学顕微鏡および電子顕微鏡で観察したが、問題となるようなスクラッチやエロージョン、ディッシング、コロージョンなどの発生は見られなかった。
【0054】
【発明の効果】
メソイオン化合物を含有することを特徴とする本発明の化学的機械的研磨に用いる金属用研磨液は、明細書本文及び実施例から明らかなように、迅速なCMP速度を有して生産性が高い上に、コロージョンやスクラッチ、シニング、ディッシング、エロージョンなどの発生も低減できる。

Claims (4)

  1. 半導体デバイスの製造における化学的機械的研磨に用いる研磨液であって、金属の酸化剤と、メソイオン化合物を少なくとも含有することを特徴とする金属用研磨液。
  2. 研磨される金属が、銅又は銅合金であることを特徴とする請求項1に記載の金属用研磨液。
  3. 銅合金が銅と銀の合金であることを特徴とする請求項2に記載の金属用研磨液。
  4. 金属の酸化剤とメソイオン化合物を少なくとも含む金属用研磨液を、使用するに際して研磨定盤上のパッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて研磨することを特徴とする研磨方法。
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