JP2004235094A - 燃料電池システム - Google Patents

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徳男 江村
Tetsuya Fukunaga
哲也 福永
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Abstract

【課題】単電池セルの積層数が少ない低出力電圧型スタックを使用し、燃料電池システムの低コスト化を図りながらシステム全体の効率の低下を阻止することにある。
【解決手段】複数の単電池セルを積層した低出力電圧型スタックからなり、その単電池セルの積層数を高出力電圧型スタックよりも少なくし、かつ、単電池セルの面積を高出力電圧型スタックの全面積と同一になるように大きくした燃料電池1と、二対のスイッチング素子をフルブリッジ構成で接続した変換回路部を燃料電池に対してn群設け、各変換回路部で対をなすスイッチング素子のうち、一方のスイッチング素子に対して他方のスイッチング素子のスイッチング位相を1/3n周期ずらすと共に、各変換回路部間で対応するスイッチング素子のスイッチング位相を1/2n周期ずらすようにした高効率のDC−DCコンバータ2とを具備する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池システムに関し、例えば、燃料電池を分散電源として商用電源と連系させて負荷に電力を供給する燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、燃料電池を分散電源として商用電源と連系させて負荷に電力を供給する燃料電源システムでは、燃料電池の発電電圧が低いためにその燃料電池の出力電圧を昇圧するDC−DCコンバータを具備するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。また、この燃料電池を分散電源として前記DC−DCコンバータの出力側にDC−ACインバータを接続し、そのDC−ACインバータの出力側を商用電源と連系させている。
【0003】
この燃料電池システムでは、燃料電池の出力電圧をDC−DCコンバータにより昇圧し、そのDC−DCコンバータの出力電圧をDC−ACインバータにより交流変換することにより、商用電源と連系をとりながら負荷に電力を供給するようにしている。
【0004】
通常、商用電源と連系するDC−ACインバータの出力は例えばAC200Vであり、その場合、DC−DCコンバータの出力電圧、換言すれば、DC−ACインバータの直流入力電圧は約300V(200V×√2)以上必要である。一方、燃料電池は、通常、単電池セル(実用発電電圧範囲0.6〜0.9V)を直列に複数積層して構成するが、単電池セルの製造コスト上の点で単電池セルの積層数を増加させることは困難で、単電池セルの積層数は40〜80程度となる。従って、DC−DCコンバータでは、燃料電池の出力電圧(0.6×40)〜(0.9×80)、つまり、24〜72Vを約300Vまで昇圧する必要がある。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−188120号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した燃料電池には、一般的に、単電池セルの積層数が少ない低出力電圧型と単電池セルの積層数が多い高出力電圧型とがあり、高出力電圧型スタックからなる燃料電池を使用した場合、単電池セルの積層数が多くなることから、高価な燃料電池となるためにシステムのコストアップを招来する。
【0007】
一方、低出力電圧型スタックからなる燃料電池を使用した場合、前述した高出力電圧型スタック使用時と同一電力を確保するためには電圧に対して電流を増加させる必要がある。
【0008】
ここで、DC−DCコンバータは半導体スイッチング素子(例えばMOS−FET)で構成されていることから、そのスイッチング素子がオンからオフおよびオフからオンに変化する短時間の過渡状態においてドレイン電流が流れながらドレイン−ソース間電圧が印加されることによりスイッチング損失が発生する。また、燃料電池の出力が低電圧であることから、スイッチング素子の耐電圧を低くすることが可能であり、スイッチング素子のオン抵抗が耐電圧の2.5乗に比例して指数関数的に小さくなって導通損失が減少する。
【0009】
前述した燃料電池の出力電流増加によりスイッチング損失および導通損失がともに増大し、低電圧による導通損失の減少分を相殺してしまうため、結果的に高出力電圧型スタックからなる燃料電池を使用する場合と比較して燃料電池システムの効率が低下するという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は前記問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、単電池セルの積層数が少ない低出力電圧型スタックを使用し、燃料電池システムの低コスト化を図りながらシステム全体の効率の低下を阻止することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための技術的手段として、本発明は、複数の単電池セルを積層した低出力電圧型スタックからなり、その単電池セルの積層数を高出力電圧型スタックよりも少なくし、かつ、前記単電池セルの面積を高出力電圧型スタックの全面積と同一になるように大きくした燃料電池と、その燃料電池の出力側に接続され、スイッチング損失を低減化したDC−DCコンバータとを具備したことを特徴とする。ここで、スイッチング損失の低減化とは、スイッチング損失をなくすこと、あるいは、従来のDC−DCコンバータよりも小さくすることを意味する。
【0012】
スイッチング損失を低減化したDC−DCコンバータとしては、二対のスイッチング素子をフルブリッジ構成で接続した変換回路部を前記燃料電池に対してn群設け、各変換回路部の出力側にトランスを介して整流回路部を設けると共にそれら各変換回路部とトランスとの間に直列コンデンサを挿入接続し、各変換回路部で対をなすスイッチング素子のうち、一方のスイッチング素子に対して他方のスイッチング素子のスイッチング位相を1/3n周期ずらすと共に、前記各変換回路部間で対応するスイッチング素子のスイッチング位相を1/2n周期ずらすようにした高効率のDC−DCコンバータ、あるいは、共振型DC−DCコンバータが適用可能である。
【0013】
本発明に係る燃料電池システムでは、複数の単電池セルを積層した低出力電圧型スタックからなり、その単電池セルの積層数を高出力電圧型スタックよりも少なくし、かつ、前記単電池セルの面積を高出力電圧型スタックの全面積と同一になるように大きくした燃料電池を使用したことにより、低出力電圧型スタックであっても、高出力電圧型スタックと同一電力をDC−DCコンバータに供給するに際して、そのDC−DCコンバータのスイッチング損失が低減化されているので、燃料電池システムの効率の低下を阻止できる。
【0014】
本発明は、前記DC−DCコンバータの出力側にDC−ACインバータを接続し、そのDC−ACインバータを商用電源と連系させた構成とすることが可能で、この場合、前記燃料電池は分散電源として機能する。また、このような系統においては、前記DC−ACインバータと商用電源との連系点に、系統異常発生時にDC−ACインバータおよびDC−DCコンバータに停止信号を送出する連系保護装置を接続することが望ましい。この連系保護装置の設置により、系統異常発生時にDC−DCコンバータおよびDC−ACインバータを確実に保護することが可能となる。
【0015】
また、本発明における前記燃料電池は、複数の低出力電圧型スタックを並列に接続して構成することが可能である。このようにすれば、燃料電池システムの容量アップを容易に図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る燃料電池システムの実施形態を以下に詳述する。図1は燃料電池を商用電源と連系させた燃料電池システムの全体構成図である。
【0017】
この実施形態の燃料電池システムは、図1に示すように複数の単電池セルを積層した低出力電圧型スタックからなる燃料電池1と、その燃料電池1の出力側に接続され、燃料電池1で発電された直流出力電圧を昇圧するDC−DCコンバータ2と、そのDC−DCコンバータ2の出力側に接続され、DC−DCコンバータ2で昇圧された直流出力電圧を交流変換するDC−ACインバータ3と、そのDC−ACインバータ3の出力側に接続した商用電源5との連系点に接続され、商用電源5の停電などの系統異常発生時にDC−DCコンバータ2およびDC−ACインバータ3に停止信号を送出する連系保護装置4とを具備する。
【0018】
図2(a)(b)は燃料電池1を構成する複数の単電池セル6,7の積層状態を比較したもので、(a)は従来例、(b)は本発明の実施形態をそれぞれ示す。なお、図中の符号6,7は単電池セルの電極板を模式的に示し、図示上下二つの電極板で一層の単電池セルを構成する。
【0019】
同図(a)に示すように従来の燃料電池は、高出力電圧型スタックからなり、例えば一辺の長さaを有する正方形の単電池セル6を四層に積層した構成を具備するのに対して、この実施形態の燃料電池1では、単電池セル7の積層数を例えば1/2倍(二層)とし、かつ、その高出力電圧型スタックの全面積(4a)と同一になるように一層の単電池セル7の面積を大きくする。
【0020】
つまり、実施形態の燃料電池1は、低出力電圧型スタックからなり、例えば一辺の長さ(√2)aを有する正方形の単電池セル7を二層に積層した構成を具備する。この実施形態の燃料電池では、従来の燃料電池の出力電圧(4V)の1/2倍の出力電圧(2V)を有する。
【0021】
なお、燃料電池は、複数の低出力電圧型スタックを並列に接続して構成することにより、燃料電池システムの容量アップを容易に図ることができる。
【0022】
図3はこの実施形態で使用するDC−DCコンバータ2の具体的回路構成を示し、本出願人が先に提案したものでスイッチング損失のない高効率のDC−DCコンバータである(特開2002−223565号公報参照)。図4はそのDC−DCコンバータ2の各スイッチング素子Q〜Qをオンオフさせるゲート信号Gのタイミングチャート、図5は整流回路部21,22の出力電圧V,V、トランスTr,Trの一次側電圧、各スイッチング素子Q〜Qのドレイン−ソース間電圧Vdsおよびドレイン電流Iの波形図である。
【0023】
この実施形態のDC−DCコンバータ2は、二対のスイッチング素子Q,QとQ,QおよびQ,QとQ,Q(例えば、MOS−FET、バイポーラトランジスタやIGBT)をフルブリッジ構成で接続したn群、例えば二群の変換回路部11,12と、その変換回路部11,12の出力側に接続された二つのトランスTr,Trと、そのトランスTr,Trの二次側出力に接続され、二対のダイオードD,DとD,DおよびD,DとD,Dからなる二群の整流回路部21,22と、その整流回路部21,22の出力側に共通して接続されたLC平滑回路部33とで構成されている。
【0024】
このDC−DCコンバータ2において、二群の変換回路部11,12は燃料電池1に対して直列に接続されている。また、各変換回路部11,12の出力側とトランスTr,Trの一次側との間には直列コンデンサC,Cが挿入接続されている。
【0025】
なお、DC−ACインバータ3は、前述したDC−DCコンバータ2の変換回路部11,12と同一構成、つまり、図示しないが二対のスイッチング素子をフルブリッジ構成で接続した構成を具備し、それらスイッチング素子を交互にオンオフさせることにより直流入力を交流変換して出力する。
【0026】
また、連系保護装置4は、系統周波数の上昇または低下、過不足電圧、配電線の停電など、商用電源5、DC−DCコンバータ2やDC−ACインバータ3の異常を速やかに検出し、その検出信号に基づいてDC−DCコンバータ2またはDC−ACインバータ3を停止させて系統との連系を遮断することにより系統側の安全性を確保することを目的としている。
【0027】
前述したDC−DCコンバータ2では、図4のタイミングチャートで示すように変換回路部11,12のスイッチング素子Q,QとQ,QおよびQ,QとQ,Qを交互にオンオフさせて交流波形出力を得る。この変換回路部11,12の交流波形出力をトランスTr,Trにより変成し、そのトランスTr,Trの二次側出力を整流回路部21,22により整流すると共にLC平滑回路部33により平滑することにより、所望の直流電圧を生成する。
【0028】
二群の変換回路部11,12では、図4のタイミングチャートで示すように一方の変換回路部11で対をなすスイッチング素子Q,Qのうち、一方のスイッチング素子Q(スイッチング素子Qはスイッチング素子Qの反転)に対して他方のスイッチング素子Q(スイッチング素子Qはスイッチング素子Qの反転)のスイッチング位相を1/3n周期、例えば1/6周期遅らせる。また、変換回路部11と12間で対応するスイッチング素子Q,Qについて、他方の変換回路部12のスイッチング素子Q(スイッチング素子Qはスイッチング素子Qの反転)のスイッチング位相をスイッチング素子Qに対して1/2n周期、例えば1/4周期遅らせる。さらに、他方の変換回路部12で対をなすスイッチング素子Q,Qのうち、一方のスイッチング素子Qに対して他方のスイッチング素子Q(スイッチング素子Qはスイッチング素子Qの反転)のスイッチング位相を1/6周期遅らせる。
【0029】
前記変換回路部11,12のスイッチング素子Q〜Q,Q〜Qは、図5に示すようなドレイン−ソース間電圧Vdsおよびドレイン電流Iでもってスイッチング動作する(図6の表参照)。ここで、図6の表は、各スイッチング素子Q〜Q,Q〜Qの電流値の変化・推移を示す。負荷に一定電力を供給、つまり定電圧出力のもとで一定電流を供給するため、スイッチング素子Q〜Q,Q〜Qからの出力電流の合計は、いずれのタイミングにおいても電流値1puとなる。すなわち、いずれかのタイミングで一方の変換回路部11のスイッチング素子Q〜Qからの出力電流が0→1puに変化していれば、他方の変換回路部12のスイッチング素子Q〜Qからの出力電流は1→0puに変化している。また、別のタイミングで一方の変換回路部11のスイッチング素子Q〜Qからの出力電流が1puであれば、他方の変換回路部12のスイッチング素子Q〜Qからの出力電流は0puである。
【0030】
なお、区間t〜tは、0<t≦1/4・T、0≦t<1/4・T、0<t≦1/4・T、0≦t<1/4・T、0<t≦1/4・T、0≦t<1/4・T、0<t≦1/4・T、0≦t<1/4・Tの条件の範囲内で自由に変更可能である。この8つの条件はor条件であるが、t+t+t+t+t+t+t+t=Tを満たすことが必要である。電流が増減する区間t,t,t,tは回路定数により波形が異なるので、実際上、スイッチング損失が発生しない範囲に限られる。
【0031】
各スイッチング素子Q〜Q,Q〜Qのスイッチング動作により、トランスTr,Trの一次側電圧(図5の最上段から二番目)にトランスTr,Trの変成比をかけてその絶対値をとったもの、つまり、一次側電圧の波形を零点で折り返したもの(図5の最上段)が、トランスTr,Trの二次側電圧を整流回路部21,22により整流した結果に得られる出力電圧V,Vとなる。この整流回路部21,22の出力電圧V,Vを転流により最も電圧値の高いところでトレースすることにより負荷電圧Voutが生成される。この転流は、図5の矢印で示すタイミングでもって、スイッチング素子Q,Q→スイッチング素子Q,Q→スイッチング素子Q,Q→スイッチング素子Q,Q→スイッチング素子Q,Qの順で繰り返し行われる。
【0032】
この変換回路部11,12では、スイッチング素子Q(Q)に対してスイッチング素子Q(Q)を1/6周期遅らせたタイミングでオンオフさせ、また、スイッチング素子Q(Q)を前記スイッチング素子Q(Q)に対して1/4周期遅らせたタイミングでオンオフさせ、さらに、スイッチング素子Q(Q)をスイッチング素子Q(Q)に対して1/6周期遅らせたタイミングでオンオフさせる。これにより、整流回路部21,22の出力電圧V,Vは、転流によりスイッチング素子Q〜Qにドレイン電流Iが流れながらドレイン−ソース間電圧Vdsが印加される状態がなくなるのでスイッチング損失が発生することはなく、高効率のDC−DCコンバータを実現している。
【0033】
この燃料電池システムにおける燃料電池1は、複数の単電池セル7を積層した低出力電圧型スタックからなるが、例えば図2(b)に示すようにその単電池セル7の積層数を高出力電圧型スタックよりも1/2程度となるように少なくし、かつ、単電池セル7の面積を高出力電圧型スタックの全面積と同一になるように2倍程度に大きくしたことにより、高出力電圧型スタックと同一電力をDC−DCコンバータ2に供給するに際して、燃料電池1の出力が低電圧・大電流となっていても、前述したようにDC−DCコンバータ2におけるスイッチング損失がないので、そのDC−DCコンバータ2の変換効率の低下を阻止できる(図7の破線は従来のDC−DCコンバータ、実線は実施形態のDC−DCコンバータをそれぞれ示す)。
【0034】
具体的に、低出力電圧型スタックからなる燃料電池1の出力電圧を高出力電圧型スタックの1/2倍、出力電流を2倍とした場合、従来のDC−DCコンバータとこの実施形態のDC−DCコンバータとの比較を図8に示す。
【0035】
同図に示すように燃料電池1の出力が高出力電圧型スタックの1/2倍程度の低電圧であると、スイッチング素子の耐電圧を1/2程度に低くすることが可能であり、スイッチング素子のオン抵抗は耐電圧の2.5乗に比例して指数関数的に小さくなるから導通損失が減少(0.18倍)するが、燃料電池1の出力電流の増加により、DC−DCコンバータでは導通損失は増大(4倍)し、一般的なDC−DCコンバータでは導通損失の減少分と増大分がほぼ相殺してしまうが、実施形態の場合にはスイッチング損失が発生しないので、耐電圧の低減(オン抵抗の低減)による導通損失の減少が電流増加による導通損失の増大を上回るため、結果的に、スイッチング損失によりDC−DCコンバータの変換効率が低下することはない。
【0036】
なお、スイッチング損失が発生しない他のDC−DCコンバータとしては、図9に示すような共振型DC−DCコンバータがある。この共振型DC−DCコンバータは、二対のスイッチング素子Q,QとQ,Q(例えばMOS−FET)をフルブリッジ構成で燃料電池1に接続した共振インバータ10と、その共振インバータ10の出力側に接続されたトランスTrと、そのトランスTrの二次側に接続され、二対のダイオードD,DとD,Dからなる整流回路部20とで主要部が構成されている。このDC−DCコンバータでは、共振インバータ10の直列共振回路30を、コンデンサCとリアクトルL(インダクタンス)により構成している。
【0037】
このDC−DCコンバータでは、共振インバータ10のスイッチング素子Q,QとQ,Qを交互にオンオフさせて交流波形出力を得る。この共振インバータ10の交流波形出力をトランスTrにより変成し、そのトランスTrの二次側出力を整流回路部20により整流することにより、所望の直流出力電圧Voを生成する。
【0038】
一般的に、共振インバータ10は、スイッチング損失を低減することを目的として、コンデンサCとリアクトルLの共振動作により、スイッチング素子Q〜Qのスイッチング電圧が零の時にオンやオフを行う零電圧スイッチング(ZVS)や、スイッチング電流が零の時にオンやオフを行う零電流スイッチング(ZCS)を用いて、直流電圧を交流電圧に変換するものである。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、単電池セルの積層数が従来品よりも少ない低出力電圧型スタックからなる燃料電池を使用したことにより、材料、組立および調整の面で大幅に安価な燃料電池システムを提供することができ、かつ、このような低出力電圧型スタックからなる燃料電池とスイッチング損失を低減化したDC−DCコンバータとの組み合わせで、燃料電池の出力が低電圧であっても、高出力電圧型スタックと同一電力をDC−DCコンバータに供給するに際して、燃料電池システムの効率の低下を阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池システムの実施形態を示す概略回路構成ブロック図である。
【図2】燃料電池を構成する複数の単電池セルの積層状態を比較したもので、(a)は従来の単電池セルの積層構造を示す模式図、(b)は本発明の実施形態における単電池セルの積層構造を示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態におけるDC−DCコンバータの回路図である。
【図4】図3のDC−DCコンバータの各スイッチング素子をオンオフさせるゲート信号のタイミングチャートである。
【図5】図3の整流回路部の出力電圧、トランスの一次側電圧、各スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧およびドレイン電流の波形図である。
【図6】図5のトランスの一次側電圧波形の1周期における各スイッチング素子のオンオフ状態を示す表である。
【図7】実施形態のDC−DCコンバータを用いた場合の燃料電池の出力電圧および出力電流と変換効率との関係を示す特性図である。
【図8】低出力電圧型スタックからなる燃料電池の出力電圧を高出力電圧型スタックの1/2倍、出力電流を2倍とした場合について、従来のDC−DCコンバータと実施形態のDC−DCコンバータを比較した表である。
【図9】本発明の他の実施形態における共振型DC−DCコンバータの回路図である。
【符号の説明】
1 燃料電池
2 DC−DCコンバータ
3 DC−ACインバータ
4 連系保護装置
5 商用電源
7 単電池セル
11,12 変換回路部
21,22 整流回路部
,C 直列コンデンサ
Tr,Tr トランス
〜Q,Q〜Q スイッチング素子

Claims (6)

  1. 複数の単電池セルを積層した低出力電圧型スタックからなり、その単電池セルの積層数を高出力電圧型スタックよりも少なくし、かつ、前記単電池セルの面積を高出力電圧型スタックの全面積と同一になるように大きくした燃料電池と、その燃料電池の出力側に接続され、スイッチング損失を低減化したDC−DCコンバータとを具備したことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記DC−DCコンバータは、二対のスイッチング素子をフルブリッジ構成で接続した変換回路部を前記燃料電池に対してn群設け、各変換回路部の出力側にトランスを介して整流回路部を設けると共にそれら各変換回路部とトランスとの間に直列コンデンサを挿入接続し、各変換回路部で対をなすスイッチング素子のうち、一方のスイッチング素子に対して他方のスイッチング素子のスイッチング位相を1/3n周期ずらすと共に、前記各変換回路部間で対応するスイッチング素子のスイッチング位相を1/2n周期ずらすようにしたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記DC−DCコンバータは、共振型DC−DCコンバータであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  4. 前記DC−DCコンバータの出力側にDC−ACインバータを接続し、そのDC−ACインバータを商用電源と連系させたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記DC−ACインバータと商用電源との連系点に、系統異常発生時にDC−ACインバータおよびDC−DCコンバータに停止信号を送出する連系保護装置を接続したことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 前記燃料電池は、複数の低出力電圧型スタックを並列に接続して構成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
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