JP2004235093A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】必要最低限の運転圧で燃料電池スタックの運転を行い、正味出力の低減を防止する。
【解決手段】燃料電池スタックの燃料極からの排出ガス温度と発電電力とをパラメータとして燃料電池スタックの適正運転圧を指定する循環成立圧力マップ(第1の運転圧力マップ)をコントローラのROM 等に格納しておく。コントローラは、温度センサ17のセンシング値と負荷装置21の出力とをモニタし、前記循環成立圧力マップに基づいて燃料電池スタックの適正運転圧を設定する。そして、燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作を制御する。
【選択図】 図2
【解決手段】燃料電池スタックの燃料極からの排出ガス温度と発電電力とをパラメータとして燃料電池スタックの適正運転圧を指定する循環成立圧力マップ(第1の運転圧力マップ)をコントローラのROM 等に格納しておく。コントローラは、温度センサ17のセンシング値と負荷装置21の出力とをモニタし、前記循環成立圧力マップに基づいて燃料電池スタックの適正運転圧を設定する。そして、燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作を制御する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池スタックの燃料極から排出される排出ガスをエジェクタにより循環させて、排出ガス中の未反応水素を再利用する燃料電池システムに関するものであり、特に、燃料電池スタックの加圧運転を効率的に行うための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の環境問題、特に自動車の排出ガスによる大気汚染や二酸化炭素による地球温暖化の問題等に対する対策として、クリーンな排気及び高エネルギ効率を可能とする燃料電池システムが注目を浴びている。燃料電池システムは、燃料となる水素ガス(水素リッチな改質ガスを含む)を燃料電池スタックの燃料極に、酸化剤となる空気を燃料電池スタックの空気極にそれぞれ供給して電気化学反応を生じさせ、化学エネルギを電気エネルギに変換するエネルギ変換システムである。
【0003】
このような燃料電池システムでは、ガスの流れ方向に向かってガス組成が変化するので、ガス組成変化に伴う活量係数の変化による影響を少なくするために、燃料電池スタックへ供給するガス流量は、消費電流と量論的に等しいガス消費量よりも幾分多めに設定するのが一般的である。このため、燃料電池スタックの燃料極からの排出ガスには、未反応の燃料ガス(水素ガス)が含まれている。
【0004】
このような未反応の水素ガスは、これを再利用しなければそのまま損失となってしまい、水素ガス利用効率の低下を招くことになる。そこで、燃料電池システムでは、燃料電池スタックの燃料極からの排出ガスを循環させて新たに供給される水素ガスと混合し再利用することが一般的に行われている。ここで、燃料電池スタックの燃料極からの排出ガスを循環、混合させる手段としては、駆動力の必要がないエジェクタが広く利用されている(例えば、特許文献1等を参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−22714号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記エジェクタは、その機構上、供給ガス流の負圧を利用するため、吸入されるガスの質量流量には制限がある。また、吸入される側の燃料極からの排出ガスには生成水や加湿水の水蒸気が含まれており、これらの水蒸気量が多いと、その分、エジェクタに吸入される水素量が減少することになる。この燃料極からの排出ガスに含まれる水蒸気量は、燃料電池スタックの運転圧や運転温度に左右されるものである。
【0007】
以上の点に鑑み、燃料電池スタックの燃料極からの排出ガスに含まれる水素ガスを安定的に循環させて再利用するために、燃料電池スタックの運転圧を高めて燃料極からの排出ガスに含まれる水蒸気量を減らす運転方法(加圧運転)を採用する試みがなされている。しかしながら、燃料電池スタックの運転圧をあまり高く設定すると、その分、空気供給装置等の補機による消費電力が多くなり、正味出力が減少してしまうという問題が生じる。
【0008】
本発明は、以上のような従来技術の有する課題に鑑みて提案されたものであり、必要最低限の運転圧で燃料電池スタックの運転を行い、空気供給装置等の補機による消費電力を最小限に抑えることができ、正味出力の低減を防止し得る燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池システムは、空気極への空気の供給及び燃料極への水素ガスの供給により発電を行う燃料電池スタックと、この燃料電池スタックの空気極入口に空気を加圧供給する空気供給装置と、燃料電池スタックの空気極の圧力を調整する空気調圧バルブと、燃料電池スタックの燃料極出口配管と燃料極入口配管と水素供給配管とを結ぶエジェクタと、このエジェクタの水素供給配管に水素ガスを供給する水素供給装置と、この水素供給装置とエジェクタとの間に設置される水素調圧バルブと、燃料電池スタックの燃料極出口配管にてエジェクタに戻る排出ガスの温度を測定する第1の温度センサと、空気供給装置、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作をそれぞれ制御する制御手段とを備える。そして、制御手段が、燃料電池スタックの燃料極からの排出ガスの温度と発電電力とをパラメータとして燃料電池スタックの適正運転圧を指定する第1の運転圧力マップを有し、第1の温度センサによって測定される排出ガス温度と発電電力とから第1の運転圧力マップを参照して適正運転圧を設定し、燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、空気供給装置、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作を制御することを特徴としている。
【0010】
また、この燃料電池システムにおいては、制御手段が、発電電力をパラメータとして燃料電池スタックの適正運転圧を指定する第2の運転圧力マップを更に有するようにして、第1運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧と第2運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧とを比較して、何れか高い方の圧力を適正運転圧として設定し、燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、空気供給装置、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作を制御するようにしてもよい。
【0011】
また、この燃料電池システムにおいては、燃料電池スタックの空気極出口温度を測定する第2の温度センサを更に備えるようにすると共に、制御手段が、燃料電池スタックの空気極出口温度をパラメータとして燃料電池スタックの適正運転圧を指定する第3の運転圧力マップを更に有するようにして、第1運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧と第2運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧と第3の運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧とを比較して、最も高い圧力を適正運転圧として設定し、燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、空気供給装置、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作を制御するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の他の燃料電池システムは、空気極への空気の供給及び燃料極への水素ガスの供給により発電を行う燃料電池スタックと、この燃料電池スタックの空気極入口に空気を加圧供給する空気供給装置と、燃料電池スタックの空気極の圧力を調整する空気調圧バルブと、燃料電池スタックの燃料極出口配管と燃料極入口配管と水素供給配管とを結ぶエジェクタと、このエジェクタの水素供給配管に水素ガスを供給する水素供給装置と、この水素供給装置とエジェクタとの間に設置される水素調圧バルブと、燃料電池スタックの燃料極出口配管にてエジェクタに戻る排出ガスの温度を測定する第1の温度センサと、燃料電池スタックの空気極出口温度を測定する第2の温度センサと、空気供給装置、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作をそれぞれ制御する制御手段とを備える。そして、制御手段が、燃料電池スタックの燃料極からの排出ガスの温度と燃料電池スタックの空気極出口温度と発電電力とをパラメータとして燃料電池スタックの適正運転圧を指定する第4の運転圧力マップを有し、第1の温度センサによって測定される排出ガス温度と第2の温度センサによって測定される空気極出口温度と発電電力とから第4の運転圧力マップを参照して適正運転圧を設定し、燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、空気供給装置、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作を制御することを特徴としている。
【0013】
以上のような本発明の燃料電池システムにおいては、燃料極排出ガス温度と発電電力、さらには空気極出口温度をパラメータとする運転圧力マップに基づいて、燃料電池スタックの運転圧がその運転状況に応じて最適な圧力となるように、空気供給装置、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作が制御される。これにより、例えば、エジェクタの循環成立性を満足させるのに必要な最低限の運転圧で燃料電池スタックを効率的に運転することが可能となる。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池スタックの運転圧がその運転状況に応じて最適な圧力となるように設定され、過剰な運転圧での燃料電池スタックの運転が有効に抑制されるので、例えば、燃料電池スタックに空気を供給する空気供給装置等の補機による消費電力を最小限に抑えることができ、正味出力の低減を有効に防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した燃料電池システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
本実施形態の燃料電池システムの構成を図1に示す。この燃料電池システムは、空気極への空気の供給及び燃料曲への水素ガスの供給により発電を行う燃料電池スタック1を備えている。
【0017】
燃料電池スタック1は、水素ガスが供給される燃料極と空気が供給される空気極とが電解質を挟んで重ね合わされて発電セルが構成されるとともに、複数の発電セルが多段積層された構造を有し、電気化学反応により化学エネルギを電気エネルギに変換するものである。燃料極では、水素ガスが供給されるとその水素を水素イオンと電子とに解離させ、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させて、空気極にそれぞれ移動する。空気極では、供給された空気中の酸素と水素イオン及び電子が反応して水が生成され、外部に排出される。
【0018】
燃料電池スタック1の電解質としては、高エネルギー密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質膜が用いられる。固体高分子電解質膜は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。
【0019】
燃料電池スタック1の空気極入口には、空気極に空気を供給する空気供給系が設けられている。この空気供給系は、流量計2と、フィルタ3と、空気供給装置としてのコンプレッサ4と、空気供給配管5とを有し、空気は、コンプレッサ4の駆動によって大気中から流量計2、フィルタ3を介して取り込まれ、コンプレッサ4で調圧された上で、空気供給配管5を通して燃料電池スタック1の空気極へと供給される。
【0020】
また、燃料電池スタック1の空気極出口には、空気排気系が設けられている。この空気排気系は、空気排気配管6と、空気極の圧力を調整する空気調圧バルブ7とを有し、燃料電池スタック1の空気極出口と空気調圧バルブ7との間には、温度センサ8及び圧力センサ9が設けられている。燃料電池スタック1の空気極を通過した空気は、温度センサ8及び圧力センサ9を通過して、空気調圧バルブ7を介して大気中に排出される。
【0021】
一方、燃料電池スタック1の燃料極入口には、燃料極に水素ガスを供給する水素供給系が設けられている。この水素供給系は、高圧水素タンク10と、水素調圧バルブ11と、水素供給配管12と、エジェクタ13と、燃料極入口配管14とを有しており、高圧水素タンク10から取り出された水素ガスが、水素調圧バルブ11を通過した後、水素供給配管12、エジェクタ13、燃料極入口配管14を通過して燃料電池スタック1の燃料極へと供給される。
【0022】
本実施形態の燃料電池システムは、いわゆる水素循環型の燃料電池システムとして構成されており、燃料電池スタック1での発電に使用されずに燃料電池スタック1から排出された排出ガスを循環させて再利用するための経路となる燃料極出口配管15が、燃料電池スタック1の燃料極出口に接続されている。この燃料極出口配管15は、エジェクタ13に接続されており、燃料電池スタック1の燃料極出口配管15と燃料極入口配管14、さらには水素供給配管12は、エジェクタ13によって連結されている。エジェクタ13では、燃料電池スタック1の燃料極を通過して未使用のまま排出された排出ガス(循環水素ガス)と、高圧水素タンク10から新たに取り出された水素ガスとが混合される。そして、エジェクタ13で混合された水素ガスが、燃料電池スタック1の燃料極へと供給される。
【0023】
なお、燃料極出口配管15には圧力センサ16及び温度センサ17が設けられており、燃料電池スタック1の燃料極から排出された排出ガスは、燃料極出口配管15を通ってエジェクタ13に至る間に、これら圧力センサ16と温度センサ17を通過することで、その圧力及び温度が検出されるようになっている。
【0024】
前記燃料電池スタック1は、発電の際には電気化学反応に伴って発熱するが、適正な作動温度が80℃程度と比較的低いことから、これを冷却することが必要である。そこで、本実施形態の燃料電池システムにおいては、燃料電池スタック1に冷却水を供給してこれを冷却する冷却水循環系が設けられている。
【0025】
この冷却水循環系は、冷却水を循環させて燃料電池スタック1に供給するための冷却水流路18及び冷却水循環ポンプ19と、熱交換器(ラジエータ)20とを有し、冷却水循環ポンプ19によって冷却水に運動エネルギを与えて冷却水流路18内を移動させ、この冷却水を燃料電池スタック1に供給することによってこれを冷却し、燃料電池スタック1の温度を最適な温度に維持する。また、燃料電池スタック1の冷却により加熱された冷却水は、熱交換器20で冷却されて燃料電池スタック1に供給される。
【0026】
また、燃料電池スタック1には、当該燃料電池スタック1で発電した電力を消費する負荷装置21が接続されている。具体的には、負荷装置21として例えばインバータが燃料電池スタック1に接続され、燃料電池スタック1で発電した電力がこのインバータでエネルギ変換されて駆動モータ等へ供給されるようになっている。この駆動モータは、燃料電池システムを例えば車両に適用した場合には、車両走行の動力として使用されることになる。
【0027】
さらに、本実施形態の燃料電池システムは、当該燃料電池システムの効率を高めるために最適な燃料電池スタック1の運転圧力(適正運転圧)を設定し、これに応じてコンプレッサ4や空気調圧バルブ7、水素調圧バルブ11の動作を制御するコントローラ22(制御手段)を備えている。このコントローラ22は、例えばCPUやROM、RAM、CPU周辺回路等を備え、これらがバスを介して接続されたマイクロプロセッサ構成を有している。
【0028】
ここで、コントローラ22は、流量計2のセンシング値をモニタし、燃料電池スタック1の空気極に供給される空気の流量が、燃料電池スタック1の発電量に応じた空気要求量になるように、コンプレッサ4及び空気調圧バルブ4の動作を制御する。また、同時に、コントローラ22は、圧力センサ9のセンシング値をモニタし、燃料電池スタック1の空気極に供給される空気の圧力、すなわち燃料電池スタック1の運転圧が、設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4及び空気調圧バルブ7の動作を制御する。同様に、コントローラ22は、圧力センサ16のセンシング値をモニタし、燃料電池スタック1の燃料極に供給される水素ガスの圧力、すなわち燃料電池スタック1の運転圧が、設定した適正運転圧になるように、水素調圧バルブ11の動作を制御する。
【0029】
このとき、コントローラ22は、温度センサ17で検出される排出ガスの温度と燃料電池スタック1における発電電力とをパラメータとする第1の運転圧力マップに基づいて、燃料電池スタック1の運転圧が適正な運転圧力となるように調整する。本実施形態では、この第1運転圧力マップとして循環成立圧力マップを用いている。
【0030】
この循環成立圧力マップを図2に示す。循環成立圧力マップは、燃料電池スタック1の燃料極からの排出ガス温度と、燃料スタック1の発電電力とをパラメータとして、エジェクタ13の循環成立性を満足させる必要十分な運転圧である循環成立圧力P1(適正運転圧)を指定するものであり、コントローラ22のROM等に格納されている。この図2に示す循環成立圧力マップは、燃料電池スタック1の発電出力が同じであっても、排出ガス温度が高ければ飽和水蒸気圧力も高くなるために、エジェクタ13による排出ガスの循環を成立させる圧力P1は高くする必要があり、排出ガス温度が低ければ逆にエジェクタ13による排出ガスの循環を成立させる圧力P1は低くてもよいことを示している。また、燃料電池スタック1の発電電力が高いほど運転圧力を高める必要があることを示している。すなわち、第1の運転圧力マップである循環成立圧力マップによれば、発電電力が高いほど適正運転圧として高い圧力が指定され、且つ排出ガス温度が高いほど適正運転圧として高い圧力が指定されることになる。
【0031】
コントローラ22は、温度センサ17のセンシング値と負荷装置21の出力とをモニタすることによって、循環成立圧力マップ(第1の運転圧力マップ)に基づいて、エジェクタ13の循環成立性を満足させる必要十分な運転圧力である循環成立圧力P1を求め、これを燃料電池スタック1の適正運転圧として設定する。そして、燃料電池スタック1の運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4、空気調圧バルブ7及び水素調圧バルブ11の動作を制御する。
【0032】
以上のように、本実施形態の燃料電池システムでは、コントローラ22が、燃料電池スタック1の燃料極からの排気ガス温度と発電出力とをパラメータとして、エジェクタ13の循環成立性を満足させる必要十分な運転圧である循環成立圧力P1を指定する循環成立圧力マップ(第1の運転圧力マップ)に基づいて、温度センサ17のセンシング値と負荷装置21の出力とから燃料電池スタック1の適正運転圧を設定するようにしているので、燃料電池スタック1の排出ガス温度や発電出力といった運転状況に合わせて、エジェクタ13の循環成立性を満足させながら効率的な運転を行うのに最適な圧力が適正運転圧として設定されることになる。そして、コントローラ22が、燃料電池スタック1の運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4や空気調圧バルブ7、水素調圧バルブ11の動作を制御するので、過剰な運転圧での燃料電池スタック1の運転が有効に抑制され、例えばコンプレッサ4等の補機による消費電力を最小限に抑えることができ、正味出力の低減を有効に防止することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本発明を適用した第2の実施形態の燃料電池システムについて説明する。本実施形態の燃料電池システムの構成は、先の第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。先の第1の実施形態の燃料電池システムと異なる点は、コントローラ22において燃料電池スタック1の適正運転圧を設定する際に、図2に示した循環成立圧力マップ(第1の運転圧力マップ)に加えて、図3に示すような効率最適化圧力マップ(第2の運転圧力マップ)を用いる点である。この効率最適化圧力マップは、燃料電池システムの総合効率が高くなる運転圧力を示すものである。
【0034】
すなわち、図3に示す効率最適化圧力マップは、燃料電池スタック1のI−Vカーブの圧力依存性とコンプレッサ4の消費電力の圧力依存性とを勘案して、発電電力をパラメータとして、システム効率を最適化する運転圧力である効率最適化圧力P2(適正運転圧)を指定するものであり、コントローラ22のROM等に格納されている。この図3に示す効率最適化圧力マップは、燃料電池スタック1の発電電力が高いほど運転圧力を高めた方が効率が良くなることを示している。すなわち、第2の運転圧力マップである効率最適化圧力マップによれば、発電電力が高いほど適正運転圧として高い圧力が指定されることになる。
【0035】
コントローラ22は、温度センサ17のセンシング値と負荷装置21の出力とをモニタすることによって、図4に示すように、循環成立圧力マップM1(第1の運転圧力マップ)に基づいて、エジェクタ13の循環成立性を満足させる必要十分な運転圧力である循環成立圧力P1を求めると共に、効率最適化圧力マップM2に基づいて、システム効率を最適化する運転圧力である効率最適化圧力P2を求める。そして、コントローラ22は、これら2つの圧力を比較演算し、何れか高い方の圧力Max(P1,P2)を燃料電池スタック1の適正運転圧として設定する。そして、燃料電池スタック1の運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4、空気調圧バルブ7及び水素調圧バルブ11の動作を制御する。
【0036】
図2に示した循環成立圧力マップは、エジェクタ13による排出ガスの循環を成立させる最低限の圧力を適正運転圧として指定するものであり、図3に示した効率最適化圧力マップは、負荷に応じてシステム効率を最適化する圧力を適正運転圧として指定するものである。本実施形態の燃料電池システムでは、コントローラ22が、これらの運転圧力マップで指定される圧力のうちで何れか高い方の圧力を適正運転圧として設定し、燃料電池スタック1をこの適正運転圧で運転することになるので、燃料電池スタック1は、エジェクタ3の循環成立性を満足させた上でシステム効率を最も高められる運転圧で運転されることになり、正味出力の低減を更に有効に防止することができる。
【0037】
すなわち、先の第1の実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池スタック1の運転圧力が高められることによってコンプレッサ4の消費電力が増加しても燃料電池スタック1のI−Vカーブの改善があるために、差し引きで効果がある状況であっても、エジェクタ3の循環成立性を満足させる最低圧力でしか運転されないが、本実施形態の燃料電池システムでは、そのような状況においては、システム効率も考慮した圧力で燃料電池スタック1を運転することになり、より確実に正味出力の低減を防止することが可能となる。
【0038】
また、循環成立圧力マップと効率最適化圧力マップとを個別の運転圧力マップとしておくことで、エジェクタ13やコンプレッサ4の仕様変更等に伴うデータ変更を容易に行うことが可能となる。
【0039】
(第3の実施形態)
次に、本発明を適用した第3の実施形態の燃料電池システムについて説明する。本実施形態の燃料電池システムの構成も、先の第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。先の第1の実施形態の燃料電池システムと異なる点は、コントローラ22において燃料電池スタック1の適正運転圧を設定する際に、第1の運転圧力マップとして、図5に示すような運転圧力マップを用いる点である。この図5に示す運転圧力マップは、エジェクタ13の循環成立性を満足させた上で燃料電池システムの総合効率が高くなる運転圧力を示すものである。
【0040】
すなわち、図5に示す運転圧力マップは、燃料電池スタック1の燃料極からの排出ガス温度と、燃料電池スタック1の発電電力とをパラメータとして、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つ燃料電池システムのシステム効率を最適化する運転圧力を適正運転圧として指定するものであり、コントローラ22のROM等に格納されている。この図5に示す運転圧力マップによれば、発電電力が高いほど適正運転圧として高い圧力が指定され、且つ排出ガス温度が高いほど適正運転圧として高い圧力が指定されることになる。
【0041】
コントローラ22は、温度センサ17のセンシング値と負荷装置21の出力とをモニタすることによって、図5に示す運転圧力マップに基づいて、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つシステム効率を最適化する運転圧力を求め、これを燃料電池スタック1の適正運転圧として設定する。そして、燃料電池スタック1の運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4、空気調圧バルブ7及び水素調圧バルブ11の動作を制御する。
【0042】
本実施形態の燃料電池システムでは、コントローラ22が、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つシステム効率を最適化する運転圧力を適正運転圧として設定し、燃料電池スタック1をこの適正運転圧で運転することになるので、先の第2の実施形態の燃料電池システムと同様に、正味出力の低減を更に有効に防止することができる。また、コントローラ22が参照する運転圧力マップが一つで済むため、コントローラ22における制御ロジックが簡素なものとなり、メモリ容量も低下させることが可能となる。
【0043】
(第4の実施形態)
次に、本発明を適用した第4の実施形態の燃料電池システムについて説明する。本実施形態の燃料電池システムの構成も、先の第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。先の第1の実施形態の燃料電池システムと異なる点は、コントローラ22において燃料電池スタック1の適正運転圧を設定する際に、図2に示した循環成立圧力マップ(第1の運転圧力マップ)に加えて、図3に示した効率最適化圧力マップ(第2の運転圧力マップ)及び図6に示すような水収支成立圧力マップ(第3の運転圧力マップ)を用いる点である。この水収支成立圧力マップは、燃料電池スタック1の空気極からの排空気に含まれる水蒸気量が生成水量以下になるような水収支成立圧力を示すものである。
【0044】
すなわち、図6に示す水収支成立圧力マップは、燃料電池スタック1の空気極からの排空気温度(空気極出口温度)をパラメータとして、排空気に含まれる水蒸気量が生成水量以下になるような水収支成立圧力P3(適正運転圧)を指定するものであり、コントローラ22のROM等に格納されている。この図6に示す水収支成立圧力マップは、燃料電池スタック1の空気極からの排空気温度が高いほど、水収支を成立させる圧力P3は高くなることを示している。すなわち、第3の運転圧力マップである水収支成立圧力マップによれば、排空気温度が高いほど適正運転圧として高い圧力が指定されることになる。
【0045】
コントローラ22は、温度センサ17のセンシング値と負荷装置21の出力とをモニタすることによって、図7に示すように、循環成立圧力マップM1(第1の運転圧力マップ)に基づいて、エジェクタ13の循環成立性を満足させる必要十分な運転圧力である循環成立圧力P1を求めると共に、効率最適化圧力マップM2に基づいて、システム効率を最適化する運転圧力である効率最適化圧力P2を求める。また、温度センサ8のセンシング値をモニタすることによって、水収支成立圧力マップM3(第3の運転圧力マップ)に基づいて、水収支を成立させる必要十分な運転圧力である水収支成立圧力P3を求める。そして、コントローラ22は、これら3つの圧力を比較演算し、最も高い圧力Max(P1,P2,P3)を燃料電池スタック1の適正運転圧として設定する。そして、燃料電池スタック1の運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4、空気調圧バルブ7及び水素調圧バルブ11の動作を制御する。
【0046】
図2に示した循環成立圧力マップは、エジェクタ13による排出ガスの循環を成立させる最低限の圧力を適正運転圧として指定するものであり、図3に示した効率最適化圧力マップは、負荷に応じてシステム効率を最適化する圧力を適正運転圧として指定するものである。また、図6に示した水収支成立圧力マップは、排空気温度に応じて水収支を成立させる最低限の圧力を適正運転圧として指定するものである。本実施形態の燃料電池システムでは、コントローラ22が、これら3つの運転圧力マップで指定される圧力のうちで最も高い圧力を適正運転圧として設定し、燃料電池スタック1をこの適正運転圧で運転することになるので、燃料電池スタック1は、エジェクタ3の循環成立性を満足させ、水収支を成立させた上でシステム効率を最も高められる運転圧で運転されることになり、水不足による燃料電池スタック1の乾燥等を抑制しながら、正味出力の低減を有効に防止することができる。
【0047】
すなわち、先の第1乃至第3の実施形態の燃料電池システムでは、例えば外気温が高く冷却水温度が高いことに起因して排空気温度が高くなり、水収支成立圧力がシステム効率優先圧力や循環成立圧力より高くなった場合であっても、第1の運転圧力マップから求められる循環成立圧力、或いは第2の運転圧力マップから求められるシステム効率優先圧力の何れかの圧力でしか運転されない。このため、燃料電池システムの外部に排出されることになる排空気に含まれる水分量が生成水量を上回り、システム内に水不足が生じて燃料電池スタック1の乾燥等の要因となることも想定される。
【0048】
これに対して、本実施形態の燃料電池システムでは、水収支成立圧力も考慮した圧力で燃料電池スタック1を運転するようにしているので、システム内の水不足による燃料電池スタック1の乾燥等の問題を生じさせることなく、正味出力の低減を有効に防止することが可能となる。また、循環成立圧力マップ、効率最適化圧力マップ、水収支成立圧力マップをそれぞれ個別の運転圧力マップとしておくことで、エジェクタ13やコンプレッサ4の仕様変更等に伴うデータ変更を容易に行うことが可能となる。
【0049】
(第5の実施形態)
次に、本発明を適用した第5の実施形態の燃料電池システムについて説明する。本実施形態の燃料電池システムの構成も、先の第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。先の第1の実施形態の燃料電池システムと異なる点は、コントローラ22において燃料電池スタック1の適正運転圧を設定する際に、第1の運転圧力マップとして図5に示した運転圧力マップを用い、更に図6に示した水収支成立圧力マップ(第3の運転圧力マップ)を用いる点である。
【0050】
本実施形態の燃料電池システムにおいては、コントローラ22は、温度センサ17のセンシング値と負荷装置21の出力とをモニタすることによって、図5に示す運転圧力マップに基づいて、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つシステム効率を最適化する運転圧力を求める。また、温度センサ8のセンシング値をモニタすることによって、図6に示す水収支成立圧力マップに基づいて、水収支を成立させる必要十分な運転圧力である水収支成立圧力P3を求める。そして、コントローラ22は、これら2つの圧力を比較演算し、何れか高い方の圧力を燃料電池スタック1の適正運転圧として設定する。そして、燃料電池スタック1の運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4、空気調圧バルブ7及び水素調圧バルブ11の動作を制御する。
【0051】
本実施形態の燃料電池システムでは、コントローラ22が、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つ水収支を成立させた上でシステム効率を最も高められる運転圧力を適正運転圧として設定し、燃料電池スタック1をこの適正運転圧で運転することになるので、先の第4の実施形態の燃料電池システムと同様に、水不足による燃料電池スタック1の乾燥等を抑制しながら、正味出力の低減を有効に防止することができる。また、コントローラ22が参照する運転圧力マップが2つで済むため、コントローラ22における制御ロジックが簡素なものとなり、メモリ容量も低下させることが可能となる。
【0052】
(第6の実施形態)
次に、本発明を適用した第6の実施形態の燃料電池システムについて説明する。本実施形態の燃料電池システムの構成も、先の第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。先の第1の実施形態の燃料電池システムと異なる点は、コントローラ22において燃料電池スタック1の適正運転圧を設定する際に、第1の運転圧力マップに代えて、図8に示すような運転圧力マップ(第4の運転圧力マップ)を用いる点である。この運転圧力マップは、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つ水収支を成立させた上で燃料電池システムの総合効率が高くなる運転圧力を示すものである。
【0053】
すなわち、図8に示す運転圧力マップは、燃料電池スタック1の燃料極からの排出ガス温度と、燃料電池スタック1の空気極からの排空気温度(空気極出口温度)と、燃料電池スタック1の発電電力とをパラメータとして、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つ水収支を成立させた上で燃料電池システムのシステム効率を最適化する運転圧力を適正運転圧として指定するものである。なお、この図8の運転圧力マップは、ある排空気温度(X℃)における運転圧力を示したマップであり、このような運転圧力マップが排空気温度毎に設定されて、コントローラ22のROM等に格納されている。
【0054】
本実施形態の燃料電池システムにおいては、コントローラ22は、温度センサ17及び温度センサ8のセンシング値と負荷装置21の出力とをモニタすることによって、図8に示す運転圧力マップに基づいて、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つ水収支を成立させた上でシステム効率を最適化する運転圧力を求め、これを燃料電池スタック1の適正運転圧として設定する。そして、燃料電池スタック1の運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4、空気調圧バルブ7及び水素調圧バルブ11の動作を制御する。
【0055】
本実施形態の燃料電池システムでは、コントローラ22が、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つ水収支を成立させた上でシステム効率を最も高められる運転圧力を適正運転圧として設定し、燃料電池スタック1をこの適正運転圧で運転することになるので、先の第4の実施形態の燃料電池システムや第5の実施形態の燃料電池システムと同様に、水不足による燃料電池スタック1の乾燥等を抑制しながら、正味出力の低減を有効に防止することができる。また、コントローラ22が参照する運転圧力マップが1つで済むため、コントローラ22における制御ロジックが更に簡素なものとなり、メモリ容量も更に低下させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した燃料電池システムの構成を示す図である。
【図2】第1の運転圧力マップ(循環成立圧力マップ)を示す図である。
【図3】第2の運転圧力マップ(効率最適化圧力マップ)を示す図である。
【図4】2つの圧力を比較演算して適正運転圧を設定するプロセスを示す図である。
【図5】エジェクタの循環成立性を満足させた上で、燃料電池システムの総合効率が高くなる運転圧力を示す運転圧力マップである。
【図6】第3運転圧力マップ(水収支成立圧力マップ)を示す図である。
【図7】3つの圧力を比較演算して適正運転圧を設定するプロセスを示す図である。
【図8】第4の運転圧力マップを示す図である。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 流量計
4 コンプレッサ
7 空気調圧バルブ
8 温度センサ
10 高圧水素タンク
11 水素調圧バルブ
12 水素供給配管
13 エジェクタ
14 燃料極入口配管
15 燃料極出口配管
17 温度センサ
21 負荷装置
22 コントローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池スタックの燃料極から排出される排出ガスをエジェクタにより循環させて、排出ガス中の未反応水素を再利用する燃料電池システムに関するものであり、特に、燃料電池スタックの加圧運転を効率的に行うための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の環境問題、特に自動車の排出ガスによる大気汚染や二酸化炭素による地球温暖化の問題等に対する対策として、クリーンな排気及び高エネルギ効率を可能とする燃料電池システムが注目を浴びている。燃料電池システムは、燃料となる水素ガス(水素リッチな改質ガスを含む)を燃料電池スタックの燃料極に、酸化剤となる空気を燃料電池スタックの空気極にそれぞれ供給して電気化学反応を生じさせ、化学エネルギを電気エネルギに変換するエネルギ変換システムである。
【0003】
このような燃料電池システムでは、ガスの流れ方向に向かってガス組成が変化するので、ガス組成変化に伴う活量係数の変化による影響を少なくするために、燃料電池スタックへ供給するガス流量は、消費電流と量論的に等しいガス消費量よりも幾分多めに設定するのが一般的である。このため、燃料電池スタックの燃料極からの排出ガスには、未反応の燃料ガス(水素ガス)が含まれている。
【0004】
このような未反応の水素ガスは、これを再利用しなければそのまま損失となってしまい、水素ガス利用効率の低下を招くことになる。そこで、燃料電池システムでは、燃料電池スタックの燃料極からの排出ガスを循環させて新たに供給される水素ガスと混合し再利用することが一般的に行われている。ここで、燃料電池スタックの燃料極からの排出ガスを循環、混合させる手段としては、駆動力の必要がないエジェクタが広く利用されている(例えば、特許文献1等を参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−22714号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記エジェクタは、その機構上、供給ガス流の負圧を利用するため、吸入されるガスの質量流量には制限がある。また、吸入される側の燃料極からの排出ガスには生成水や加湿水の水蒸気が含まれており、これらの水蒸気量が多いと、その分、エジェクタに吸入される水素量が減少することになる。この燃料極からの排出ガスに含まれる水蒸気量は、燃料電池スタックの運転圧や運転温度に左右されるものである。
【0007】
以上の点に鑑み、燃料電池スタックの燃料極からの排出ガスに含まれる水素ガスを安定的に循環させて再利用するために、燃料電池スタックの運転圧を高めて燃料極からの排出ガスに含まれる水蒸気量を減らす運転方法(加圧運転)を採用する試みがなされている。しかしながら、燃料電池スタックの運転圧をあまり高く設定すると、その分、空気供給装置等の補機による消費電力が多くなり、正味出力が減少してしまうという問題が生じる。
【0008】
本発明は、以上のような従来技術の有する課題に鑑みて提案されたものであり、必要最低限の運転圧で燃料電池スタックの運転を行い、空気供給装置等の補機による消費電力を最小限に抑えることができ、正味出力の低減を防止し得る燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池システムは、空気極への空気の供給及び燃料極への水素ガスの供給により発電を行う燃料電池スタックと、この燃料電池スタックの空気極入口に空気を加圧供給する空気供給装置と、燃料電池スタックの空気極の圧力を調整する空気調圧バルブと、燃料電池スタックの燃料極出口配管と燃料極入口配管と水素供給配管とを結ぶエジェクタと、このエジェクタの水素供給配管に水素ガスを供給する水素供給装置と、この水素供給装置とエジェクタとの間に設置される水素調圧バルブと、燃料電池スタックの燃料極出口配管にてエジェクタに戻る排出ガスの温度を測定する第1の温度センサと、空気供給装置、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作をそれぞれ制御する制御手段とを備える。そして、制御手段が、燃料電池スタックの燃料極からの排出ガスの温度と発電電力とをパラメータとして燃料電池スタックの適正運転圧を指定する第1の運転圧力マップを有し、第1の温度センサによって測定される排出ガス温度と発電電力とから第1の運転圧力マップを参照して適正運転圧を設定し、燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、空気供給装置、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作を制御することを特徴としている。
【0010】
また、この燃料電池システムにおいては、制御手段が、発電電力をパラメータとして燃料電池スタックの適正運転圧を指定する第2の運転圧力マップを更に有するようにして、第1運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧と第2運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧とを比較して、何れか高い方の圧力を適正運転圧として設定し、燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、空気供給装置、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作を制御するようにしてもよい。
【0011】
また、この燃料電池システムにおいては、燃料電池スタックの空気極出口温度を測定する第2の温度センサを更に備えるようにすると共に、制御手段が、燃料電池スタックの空気極出口温度をパラメータとして燃料電池スタックの適正運転圧を指定する第3の運転圧力マップを更に有するようにして、第1運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧と第2運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧と第3の運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧とを比較して、最も高い圧力を適正運転圧として設定し、燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、空気供給装置、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作を制御するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の他の燃料電池システムは、空気極への空気の供給及び燃料極への水素ガスの供給により発電を行う燃料電池スタックと、この燃料電池スタックの空気極入口に空気を加圧供給する空気供給装置と、燃料電池スタックの空気極の圧力を調整する空気調圧バルブと、燃料電池スタックの燃料極出口配管と燃料極入口配管と水素供給配管とを結ぶエジェクタと、このエジェクタの水素供給配管に水素ガスを供給する水素供給装置と、この水素供給装置とエジェクタとの間に設置される水素調圧バルブと、燃料電池スタックの燃料極出口配管にてエジェクタに戻る排出ガスの温度を測定する第1の温度センサと、燃料電池スタックの空気極出口温度を測定する第2の温度センサと、空気供給装置、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作をそれぞれ制御する制御手段とを備える。そして、制御手段が、燃料電池スタックの燃料極からの排出ガスの温度と燃料電池スタックの空気極出口温度と発電電力とをパラメータとして燃料電池スタックの適正運転圧を指定する第4の運転圧力マップを有し、第1の温度センサによって測定される排出ガス温度と第2の温度センサによって測定される空気極出口温度と発電電力とから第4の運転圧力マップを参照して適正運転圧を設定し、燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、空気供給装置、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作を制御することを特徴としている。
【0013】
以上のような本発明の燃料電池システムにおいては、燃料極排出ガス温度と発電電力、さらには空気極出口温度をパラメータとする運転圧力マップに基づいて、燃料電池スタックの運転圧がその運転状況に応じて最適な圧力となるように、空気供給装置、空気調圧バルブ及び水素調圧バルブの動作が制御される。これにより、例えば、エジェクタの循環成立性を満足させるのに必要な最低限の運転圧で燃料電池スタックを効率的に運転することが可能となる。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池スタックの運転圧がその運転状況に応じて最適な圧力となるように設定され、過剰な運転圧での燃料電池スタックの運転が有効に抑制されるので、例えば、燃料電池スタックに空気を供給する空気供給装置等の補機による消費電力を最小限に抑えることができ、正味出力の低減を有効に防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した燃料電池システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
本実施形態の燃料電池システムの構成を図1に示す。この燃料電池システムは、空気極への空気の供給及び燃料曲への水素ガスの供給により発電を行う燃料電池スタック1を備えている。
【0017】
燃料電池スタック1は、水素ガスが供給される燃料極と空気が供給される空気極とが電解質を挟んで重ね合わされて発電セルが構成されるとともに、複数の発電セルが多段積層された構造を有し、電気化学反応により化学エネルギを電気エネルギに変換するものである。燃料極では、水素ガスが供給されるとその水素を水素イオンと電子とに解離させ、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させて、空気極にそれぞれ移動する。空気極では、供給された空気中の酸素と水素イオン及び電子が反応して水が生成され、外部に排出される。
【0018】
燃料電池スタック1の電解質としては、高エネルギー密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質膜が用いられる。固体高分子電解質膜は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。
【0019】
燃料電池スタック1の空気極入口には、空気極に空気を供給する空気供給系が設けられている。この空気供給系は、流量計2と、フィルタ3と、空気供給装置としてのコンプレッサ4と、空気供給配管5とを有し、空気は、コンプレッサ4の駆動によって大気中から流量計2、フィルタ3を介して取り込まれ、コンプレッサ4で調圧された上で、空気供給配管5を通して燃料電池スタック1の空気極へと供給される。
【0020】
また、燃料電池スタック1の空気極出口には、空気排気系が設けられている。この空気排気系は、空気排気配管6と、空気極の圧力を調整する空気調圧バルブ7とを有し、燃料電池スタック1の空気極出口と空気調圧バルブ7との間には、温度センサ8及び圧力センサ9が設けられている。燃料電池スタック1の空気極を通過した空気は、温度センサ8及び圧力センサ9を通過して、空気調圧バルブ7を介して大気中に排出される。
【0021】
一方、燃料電池スタック1の燃料極入口には、燃料極に水素ガスを供給する水素供給系が設けられている。この水素供給系は、高圧水素タンク10と、水素調圧バルブ11と、水素供給配管12と、エジェクタ13と、燃料極入口配管14とを有しており、高圧水素タンク10から取り出された水素ガスが、水素調圧バルブ11を通過した後、水素供給配管12、エジェクタ13、燃料極入口配管14を通過して燃料電池スタック1の燃料極へと供給される。
【0022】
本実施形態の燃料電池システムは、いわゆる水素循環型の燃料電池システムとして構成されており、燃料電池スタック1での発電に使用されずに燃料電池スタック1から排出された排出ガスを循環させて再利用するための経路となる燃料極出口配管15が、燃料電池スタック1の燃料極出口に接続されている。この燃料極出口配管15は、エジェクタ13に接続されており、燃料電池スタック1の燃料極出口配管15と燃料極入口配管14、さらには水素供給配管12は、エジェクタ13によって連結されている。エジェクタ13では、燃料電池スタック1の燃料極を通過して未使用のまま排出された排出ガス(循環水素ガス)と、高圧水素タンク10から新たに取り出された水素ガスとが混合される。そして、エジェクタ13で混合された水素ガスが、燃料電池スタック1の燃料極へと供給される。
【0023】
なお、燃料極出口配管15には圧力センサ16及び温度センサ17が設けられており、燃料電池スタック1の燃料極から排出された排出ガスは、燃料極出口配管15を通ってエジェクタ13に至る間に、これら圧力センサ16と温度センサ17を通過することで、その圧力及び温度が検出されるようになっている。
【0024】
前記燃料電池スタック1は、発電の際には電気化学反応に伴って発熱するが、適正な作動温度が80℃程度と比較的低いことから、これを冷却することが必要である。そこで、本実施形態の燃料電池システムにおいては、燃料電池スタック1に冷却水を供給してこれを冷却する冷却水循環系が設けられている。
【0025】
この冷却水循環系は、冷却水を循環させて燃料電池スタック1に供給するための冷却水流路18及び冷却水循環ポンプ19と、熱交換器(ラジエータ)20とを有し、冷却水循環ポンプ19によって冷却水に運動エネルギを与えて冷却水流路18内を移動させ、この冷却水を燃料電池スタック1に供給することによってこれを冷却し、燃料電池スタック1の温度を最適な温度に維持する。また、燃料電池スタック1の冷却により加熱された冷却水は、熱交換器20で冷却されて燃料電池スタック1に供給される。
【0026】
また、燃料電池スタック1には、当該燃料電池スタック1で発電した電力を消費する負荷装置21が接続されている。具体的には、負荷装置21として例えばインバータが燃料電池スタック1に接続され、燃料電池スタック1で発電した電力がこのインバータでエネルギ変換されて駆動モータ等へ供給されるようになっている。この駆動モータは、燃料電池システムを例えば車両に適用した場合には、車両走行の動力として使用されることになる。
【0027】
さらに、本実施形態の燃料電池システムは、当該燃料電池システムの効率を高めるために最適な燃料電池スタック1の運転圧力(適正運転圧)を設定し、これに応じてコンプレッサ4や空気調圧バルブ7、水素調圧バルブ11の動作を制御するコントローラ22(制御手段)を備えている。このコントローラ22は、例えばCPUやROM、RAM、CPU周辺回路等を備え、これらがバスを介して接続されたマイクロプロセッサ構成を有している。
【0028】
ここで、コントローラ22は、流量計2のセンシング値をモニタし、燃料電池スタック1の空気極に供給される空気の流量が、燃料電池スタック1の発電量に応じた空気要求量になるように、コンプレッサ4及び空気調圧バルブ4の動作を制御する。また、同時に、コントローラ22は、圧力センサ9のセンシング値をモニタし、燃料電池スタック1の空気極に供給される空気の圧力、すなわち燃料電池スタック1の運転圧が、設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4及び空気調圧バルブ7の動作を制御する。同様に、コントローラ22は、圧力センサ16のセンシング値をモニタし、燃料電池スタック1の燃料極に供給される水素ガスの圧力、すなわち燃料電池スタック1の運転圧が、設定した適正運転圧になるように、水素調圧バルブ11の動作を制御する。
【0029】
このとき、コントローラ22は、温度センサ17で検出される排出ガスの温度と燃料電池スタック1における発電電力とをパラメータとする第1の運転圧力マップに基づいて、燃料電池スタック1の運転圧が適正な運転圧力となるように調整する。本実施形態では、この第1運転圧力マップとして循環成立圧力マップを用いている。
【0030】
この循環成立圧力マップを図2に示す。循環成立圧力マップは、燃料電池スタック1の燃料極からの排出ガス温度と、燃料スタック1の発電電力とをパラメータとして、エジェクタ13の循環成立性を満足させる必要十分な運転圧である循環成立圧力P1(適正運転圧)を指定するものであり、コントローラ22のROM等に格納されている。この図2に示す循環成立圧力マップは、燃料電池スタック1の発電出力が同じであっても、排出ガス温度が高ければ飽和水蒸気圧力も高くなるために、エジェクタ13による排出ガスの循環を成立させる圧力P1は高くする必要があり、排出ガス温度が低ければ逆にエジェクタ13による排出ガスの循環を成立させる圧力P1は低くてもよいことを示している。また、燃料電池スタック1の発電電力が高いほど運転圧力を高める必要があることを示している。すなわち、第1の運転圧力マップである循環成立圧力マップによれば、発電電力が高いほど適正運転圧として高い圧力が指定され、且つ排出ガス温度が高いほど適正運転圧として高い圧力が指定されることになる。
【0031】
コントローラ22は、温度センサ17のセンシング値と負荷装置21の出力とをモニタすることによって、循環成立圧力マップ(第1の運転圧力マップ)に基づいて、エジェクタ13の循環成立性を満足させる必要十分な運転圧力である循環成立圧力P1を求め、これを燃料電池スタック1の適正運転圧として設定する。そして、燃料電池スタック1の運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4、空気調圧バルブ7及び水素調圧バルブ11の動作を制御する。
【0032】
以上のように、本実施形態の燃料電池システムでは、コントローラ22が、燃料電池スタック1の燃料極からの排気ガス温度と発電出力とをパラメータとして、エジェクタ13の循環成立性を満足させる必要十分な運転圧である循環成立圧力P1を指定する循環成立圧力マップ(第1の運転圧力マップ)に基づいて、温度センサ17のセンシング値と負荷装置21の出力とから燃料電池スタック1の適正運転圧を設定するようにしているので、燃料電池スタック1の排出ガス温度や発電出力といった運転状況に合わせて、エジェクタ13の循環成立性を満足させながら効率的な運転を行うのに最適な圧力が適正運転圧として設定されることになる。そして、コントローラ22が、燃料電池スタック1の運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4や空気調圧バルブ7、水素調圧バルブ11の動作を制御するので、過剰な運転圧での燃料電池スタック1の運転が有効に抑制され、例えばコンプレッサ4等の補機による消費電力を最小限に抑えることができ、正味出力の低減を有効に防止することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本発明を適用した第2の実施形態の燃料電池システムについて説明する。本実施形態の燃料電池システムの構成は、先の第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。先の第1の実施形態の燃料電池システムと異なる点は、コントローラ22において燃料電池スタック1の適正運転圧を設定する際に、図2に示した循環成立圧力マップ(第1の運転圧力マップ)に加えて、図3に示すような効率最適化圧力マップ(第2の運転圧力マップ)を用いる点である。この効率最適化圧力マップは、燃料電池システムの総合効率が高くなる運転圧力を示すものである。
【0034】
すなわち、図3に示す効率最適化圧力マップは、燃料電池スタック1のI−Vカーブの圧力依存性とコンプレッサ4の消費電力の圧力依存性とを勘案して、発電電力をパラメータとして、システム効率を最適化する運転圧力である効率最適化圧力P2(適正運転圧)を指定するものであり、コントローラ22のROM等に格納されている。この図3に示す効率最適化圧力マップは、燃料電池スタック1の発電電力が高いほど運転圧力を高めた方が効率が良くなることを示している。すなわち、第2の運転圧力マップである効率最適化圧力マップによれば、発電電力が高いほど適正運転圧として高い圧力が指定されることになる。
【0035】
コントローラ22は、温度センサ17のセンシング値と負荷装置21の出力とをモニタすることによって、図4に示すように、循環成立圧力マップM1(第1の運転圧力マップ)に基づいて、エジェクタ13の循環成立性を満足させる必要十分な運転圧力である循環成立圧力P1を求めると共に、効率最適化圧力マップM2に基づいて、システム効率を最適化する運転圧力である効率最適化圧力P2を求める。そして、コントローラ22は、これら2つの圧力を比較演算し、何れか高い方の圧力Max(P1,P2)を燃料電池スタック1の適正運転圧として設定する。そして、燃料電池スタック1の運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4、空気調圧バルブ7及び水素調圧バルブ11の動作を制御する。
【0036】
図2に示した循環成立圧力マップは、エジェクタ13による排出ガスの循環を成立させる最低限の圧力を適正運転圧として指定するものであり、図3に示した効率最適化圧力マップは、負荷に応じてシステム効率を最適化する圧力を適正運転圧として指定するものである。本実施形態の燃料電池システムでは、コントローラ22が、これらの運転圧力マップで指定される圧力のうちで何れか高い方の圧力を適正運転圧として設定し、燃料電池スタック1をこの適正運転圧で運転することになるので、燃料電池スタック1は、エジェクタ3の循環成立性を満足させた上でシステム効率を最も高められる運転圧で運転されることになり、正味出力の低減を更に有効に防止することができる。
【0037】
すなわち、先の第1の実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池スタック1の運転圧力が高められることによってコンプレッサ4の消費電力が増加しても燃料電池スタック1のI−Vカーブの改善があるために、差し引きで効果がある状況であっても、エジェクタ3の循環成立性を満足させる最低圧力でしか運転されないが、本実施形態の燃料電池システムでは、そのような状況においては、システム効率も考慮した圧力で燃料電池スタック1を運転することになり、より確実に正味出力の低減を防止することが可能となる。
【0038】
また、循環成立圧力マップと効率最適化圧力マップとを個別の運転圧力マップとしておくことで、エジェクタ13やコンプレッサ4の仕様変更等に伴うデータ変更を容易に行うことが可能となる。
【0039】
(第3の実施形態)
次に、本発明を適用した第3の実施形態の燃料電池システムについて説明する。本実施形態の燃料電池システムの構成も、先の第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。先の第1の実施形態の燃料電池システムと異なる点は、コントローラ22において燃料電池スタック1の適正運転圧を設定する際に、第1の運転圧力マップとして、図5に示すような運転圧力マップを用いる点である。この図5に示す運転圧力マップは、エジェクタ13の循環成立性を満足させた上で燃料電池システムの総合効率が高くなる運転圧力を示すものである。
【0040】
すなわち、図5に示す運転圧力マップは、燃料電池スタック1の燃料極からの排出ガス温度と、燃料電池スタック1の発電電力とをパラメータとして、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つ燃料電池システムのシステム効率を最適化する運転圧力を適正運転圧として指定するものであり、コントローラ22のROM等に格納されている。この図5に示す運転圧力マップによれば、発電電力が高いほど適正運転圧として高い圧力が指定され、且つ排出ガス温度が高いほど適正運転圧として高い圧力が指定されることになる。
【0041】
コントローラ22は、温度センサ17のセンシング値と負荷装置21の出力とをモニタすることによって、図5に示す運転圧力マップに基づいて、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つシステム効率を最適化する運転圧力を求め、これを燃料電池スタック1の適正運転圧として設定する。そして、燃料電池スタック1の運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4、空気調圧バルブ7及び水素調圧バルブ11の動作を制御する。
【0042】
本実施形態の燃料電池システムでは、コントローラ22が、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つシステム効率を最適化する運転圧力を適正運転圧として設定し、燃料電池スタック1をこの適正運転圧で運転することになるので、先の第2の実施形態の燃料電池システムと同様に、正味出力の低減を更に有効に防止することができる。また、コントローラ22が参照する運転圧力マップが一つで済むため、コントローラ22における制御ロジックが簡素なものとなり、メモリ容量も低下させることが可能となる。
【0043】
(第4の実施形態)
次に、本発明を適用した第4の実施形態の燃料電池システムについて説明する。本実施形態の燃料電池システムの構成も、先の第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。先の第1の実施形態の燃料電池システムと異なる点は、コントローラ22において燃料電池スタック1の適正運転圧を設定する際に、図2に示した循環成立圧力マップ(第1の運転圧力マップ)に加えて、図3に示した効率最適化圧力マップ(第2の運転圧力マップ)及び図6に示すような水収支成立圧力マップ(第3の運転圧力マップ)を用いる点である。この水収支成立圧力マップは、燃料電池スタック1の空気極からの排空気に含まれる水蒸気量が生成水量以下になるような水収支成立圧力を示すものである。
【0044】
すなわち、図6に示す水収支成立圧力マップは、燃料電池スタック1の空気極からの排空気温度(空気極出口温度)をパラメータとして、排空気に含まれる水蒸気量が生成水量以下になるような水収支成立圧力P3(適正運転圧)を指定するものであり、コントローラ22のROM等に格納されている。この図6に示す水収支成立圧力マップは、燃料電池スタック1の空気極からの排空気温度が高いほど、水収支を成立させる圧力P3は高くなることを示している。すなわち、第3の運転圧力マップである水収支成立圧力マップによれば、排空気温度が高いほど適正運転圧として高い圧力が指定されることになる。
【0045】
コントローラ22は、温度センサ17のセンシング値と負荷装置21の出力とをモニタすることによって、図7に示すように、循環成立圧力マップM1(第1の運転圧力マップ)に基づいて、エジェクタ13の循環成立性を満足させる必要十分な運転圧力である循環成立圧力P1を求めると共に、効率最適化圧力マップM2に基づいて、システム効率を最適化する運転圧力である効率最適化圧力P2を求める。また、温度センサ8のセンシング値をモニタすることによって、水収支成立圧力マップM3(第3の運転圧力マップ)に基づいて、水収支を成立させる必要十分な運転圧力である水収支成立圧力P3を求める。そして、コントローラ22は、これら3つの圧力を比較演算し、最も高い圧力Max(P1,P2,P3)を燃料電池スタック1の適正運転圧として設定する。そして、燃料電池スタック1の運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4、空気調圧バルブ7及び水素調圧バルブ11の動作を制御する。
【0046】
図2に示した循環成立圧力マップは、エジェクタ13による排出ガスの循環を成立させる最低限の圧力を適正運転圧として指定するものであり、図3に示した効率最適化圧力マップは、負荷に応じてシステム効率を最適化する圧力を適正運転圧として指定するものである。また、図6に示した水収支成立圧力マップは、排空気温度に応じて水収支を成立させる最低限の圧力を適正運転圧として指定するものである。本実施形態の燃料電池システムでは、コントローラ22が、これら3つの運転圧力マップで指定される圧力のうちで最も高い圧力を適正運転圧として設定し、燃料電池スタック1をこの適正運転圧で運転することになるので、燃料電池スタック1は、エジェクタ3の循環成立性を満足させ、水収支を成立させた上でシステム効率を最も高められる運転圧で運転されることになり、水不足による燃料電池スタック1の乾燥等を抑制しながら、正味出力の低減を有効に防止することができる。
【0047】
すなわち、先の第1乃至第3の実施形態の燃料電池システムでは、例えば外気温が高く冷却水温度が高いことに起因して排空気温度が高くなり、水収支成立圧力がシステム効率優先圧力や循環成立圧力より高くなった場合であっても、第1の運転圧力マップから求められる循環成立圧力、或いは第2の運転圧力マップから求められるシステム効率優先圧力の何れかの圧力でしか運転されない。このため、燃料電池システムの外部に排出されることになる排空気に含まれる水分量が生成水量を上回り、システム内に水不足が生じて燃料電池スタック1の乾燥等の要因となることも想定される。
【0048】
これに対して、本実施形態の燃料電池システムでは、水収支成立圧力も考慮した圧力で燃料電池スタック1を運転するようにしているので、システム内の水不足による燃料電池スタック1の乾燥等の問題を生じさせることなく、正味出力の低減を有効に防止することが可能となる。また、循環成立圧力マップ、効率最適化圧力マップ、水収支成立圧力マップをそれぞれ個別の運転圧力マップとしておくことで、エジェクタ13やコンプレッサ4の仕様変更等に伴うデータ変更を容易に行うことが可能となる。
【0049】
(第5の実施形態)
次に、本発明を適用した第5の実施形態の燃料電池システムについて説明する。本実施形態の燃料電池システムの構成も、先の第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。先の第1の実施形態の燃料電池システムと異なる点は、コントローラ22において燃料電池スタック1の適正運転圧を設定する際に、第1の運転圧力マップとして図5に示した運転圧力マップを用い、更に図6に示した水収支成立圧力マップ(第3の運転圧力マップ)を用いる点である。
【0050】
本実施形態の燃料電池システムにおいては、コントローラ22は、温度センサ17のセンシング値と負荷装置21の出力とをモニタすることによって、図5に示す運転圧力マップに基づいて、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つシステム効率を最適化する運転圧力を求める。また、温度センサ8のセンシング値をモニタすることによって、図6に示す水収支成立圧力マップに基づいて、水収支を成立させる必要十分な運転圧力である水収支成立圧力P3を求める。そして、コントローラ22は、これら2つの圧力を比較演算し、何れか高い方の圧力を燃料電池スタック1の適正運転圧として設定する。そして、燃料電池スタック1の運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4、空気調圧バルブ7及び水素調圧バルブ11の動作を制御する。
【0051】
本実施形態の燃料電池システムでは、コントローラ22が、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つ水収支を成立させた上でシステム効率を最も高められる運転圧力を適正運転圧として設定し、燃料電池スタック1をこの適正運転圧で運転することになるので、先の第4の実施形態の燃料電池システムと同様に、水不足による燃料電池スタック1の乾燥等を抑制しながら、正味出力の低減を有効に防止することができる。また、コントローラ22が参照する運転圧力マップが2つで済むため、コントローラ22における制御ロジックが簡素なものとなり、メモリ容量も低下させることが可能となる。
【0052】
(第6の実施形態)
次に、本発明を適用した第6の実施形態の燃料電池システムについて説明する。本実施形態の燃料電池システムの構成も、先の第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。先の第1の実施形態の燃料電池システムと異なる点は、コントローラ22において燃料電池スタック1の適正運転圧を設定する際に、第1の運転圧力マップに代えて、図8に示すような運転圧力マップ(第4の運転圧力マップ)を用いる点である。この運転圧力マップは、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つ水収支を成立させた上で燃料電池システムの総合効率が高くなる運転圧力を示すものである。
【0053】
すなわち、図8に示す運転圧力マップは、燃料電池スタック1の燃料極からの排出ガス温度と、燃料電池スタック1の空気極からの排空気温度(空気極出口温度)と、燃料電池スタック1の発電電力とをパラメータとして、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つ水収支を成立させた上で燃料電池システムのシステム効率を最適化する運転圧力を適正運転圧として指定するものである。なお、この図8の運転圧力マップは、ある排空気温度(X℃)における運転圧力を示したマップであり、このような運転圧力マップが排空気温度毎に設定されて、コントローラ22のROM等に格納されている。
【0054】
本実施形態の燃料電池システムにおいては、コントローラ22は、温度センサ17及び温度センサ8のセンシング値と負荷装置21の出力とをモニタすることによって、図8に示す運転圧力マップに基づいて、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つ水収支を成立させた上でシステム効率を最適化する運転圧力を求め、これを燃料電池スタック1の適正運転圧として設定する。そして、燃料電池スタック1の運転圧が設定した適正運転圧となるように、コンプレッサ4、空気調圧バルブ7及び水素調圧バルブ11の動作を制御する。
【0055】
本実施形態の燃料電池システムでは、コントローラ22が、エジェクタ13の循環成立性を満足させ、且つ水収支を成立させた上でシステム効率を最も高められる運転圧力を適正運転圧として設定し、燃料電池スタック1をこの適正運転圧で運転することになるので、先の第4の実施形態の燃料電池システムや第5の実施形態の燃料電池システムと同様に、水不足による燃料電池スタック1の乾燥等を抑制しながら、正味出力の低減を有効に防止することができる。また、コントローラ22が参照する運転圧力マップが1つで済むため、コントローラ22における制御ロジックが更に簡素なものとなり、メモリ容量も更に低下させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した燃料電池システムの構成を示す図である。
【図2】第1の運転圧力マップ(循環成立圧力マップ)を示す図である。
【図3】第2の運転圧力マップ(効率最適化圧力マップ)を示す図である。
【図4】2つの圧力を比較演算して適正運転圧を設定するプロセスを示す図である。
【図5】エジェクタの循環成立性を満足させた上で、燃料電池システムの総合効率が高くなる運転圧力を示す運転圧力マップである。
【図6】第3運転圧力マップ(水収支成立圧力マップ)を示す図である。
【図7】3つの圧力を比較演算して適正運転圧を設定するプロセスを示す図である。
【図8】第4の運転圧力マップを示す図である。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 流量計
4 コンプレッサ
7 空気調圧バルブ
8 温度センサ
10 高圧水素タンク
11 水素調圧バルブ
12 水素供給配管
13 エジェクタ
14 燃料極入口配管
15 燃料極出口配管
17 温度センサ
21 負荷装置
22 コントローラ
Claims (13)
- 空気極への空気の供給及び燃料極への水素ガスの供給により発電を行う燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックの空気極入口に空気を加圧供給する空気供給装置と、
前記燃料電池スタックの空気極の圧力を調整する空気調圧バルブと、
前記燃料電池スタックの燃料極出口配管と燃料極入口配管と水素供給配管とを結ぶエジェクタと、
前記エジェクタの水素供給配管に水素ガスを供給する水素供給装置と、
前記水素供給装置と前記エジェクタとの間に設置される水素調圧バルブと、
前記燃料電池スタックの燃料極出口配管にて前記エジェクタに戻る排出ガスの温度を測定する第1の温度センサと、
前記空気供給装置、前記空気調圧バルブ及び前記水素調圧バルブの動作をそれぞれ制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記燃料電池スタックの燃料極からの排出ガスの温度と発電電力とをパラメータとして前記燃料電池スタックの適正運転圧を指定する第1の運転圧力マップを有し、前記第1の温度センサによって測定される排出ガス温度と発電電力とから前記第1の運転圧力マップを参照して適正運転圧を設定し、前記燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、前記空気供給装置、前記空気調圧バルブ及び前記水素調圧バルブの動作を制御することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記第1の運転圧力マップは、前記エジェクタの循環成立圧力を示す循環成立圧力マップであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記第1の運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧は、発電電力が高いほど高い圧力で、且つ前記排出ガスの温度が高いほど高い圧力であることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記制御手段は、発電電力をパラメータとして前記燃料電池スタックの適正運転圧を指定する第2の運転圧力マップを更に有し、前記第1運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧と前記第2運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧とを比較して、何れか高い方の圧力を適正運転圧として設定し、前記燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、前記空気供給装置、前記空気調圧バルブ及び前記水素調圧バルブの動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記第2の運転圧力マップは、当該燃料電池システムの総合効率が高くなる運転圧力を示す効率最適化圧力マップであることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
- 前記第2の運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧は、発電電力が高いほど高い圧力であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池スタックの空気極出口温度を測定する第2の温度センサを更に備え、
前記制御手段は、前記燃料電池スタックの空気極出口温度をパラメータとして前記燃料電池スタックの適正運転圧を指定する第3の運転圧力マップを更に有し、前記第1運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧と前記第2運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧と前記第3の運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧とを比較して、最も高い圧力を適正運転圧として設定し、前記燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、前記空気供給装置、前記空気調圧バルブ及び前記水素調圧バルブの動作を制御することを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。 - 前記第1の運転圧力マップは、前記エジェクタの循環成立性を満足させた上で当該燃料電池システムの総合効率が高くなる運転圧力を示す運転圧力マップであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池スタックの空気極出口温度を測定する第2の温度センサを更に備え、
前記制御手段は、前記燃料電池スタックの空気極出口温度をパラメータとして前記燃料電池スタックの適正運転圧を指定する第3の運転圧力マップを更に有し、前記第1運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧と前記第3の運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧とを比較して、何れか高い方の圧力を適正運転圧として設定し、前記燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、前記空気供給装置、前記空気調圧バルブ及び前記水素調圧バルブの動作を制御することを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。 - 前記第3の運転圧力マップは、前記燃料電池スタックからの排空気に含まれる水蒸気量が生成水量以下になる水収支成立圧力を示す水収支成立運転圧力マップであることを特徴とする請求項7又は9に記載の燃料電池システム。
- 前記第3の運転圧力マップを参照することにより求められる適正運転圧は、前記燃料電池スタックの空気極出口温度が高いほど高い圧力であることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池システム。
- 空気極への空気の供給及び燃料極への水素ガスの供給により発電を行う燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックの空気極入口に空気を加圧供給する空気供給装置と、
前記燃料電池スタックの空気極の圧力を調整する空気調圧バルブと、
前記燃料電池スタックの燃料極出口配管と燃料極入口配管と水素供給配管とを結ぶエジェクタと、
前記エジェクタの水素供給配管に水素ガスを供給する水素供給装置と、
前記水素供給装置と前記エジェクタとの間に設置される水素調圧バルブと、
前記燃料電池スタックの燃料極出口配管にて前記エジェクタに戻る排出ガスの温度を測定する第1の温度センサと、
前記燃料電池スタックの空気極出口温度を測定する第2の温度センサと、
前記空気供給装置、前記空気調圧バルブ及び前記水素調圧バルブの動作をそれぞれ制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記燃料電池スタックの燃料極からの排出ガスの温度と前記燃料電池スタックの空気極出口温度と発電電力とをパラメータとして前記燃料電池スタックの適正運転圧を指定する第4の運転圧力マップを有し、前記第1の温度センサによって測定される排出ガス温度と前記第2の温度センサによって測定される空気極出口温度と発電電力とから前記第4の運転圧力マップを参照して適正運転圧を設定し、前記燃料電池スタックの運転圧が設定した適正運転圧となるように、前記空気供給装置、前記空気調圧バルブ及び前記水素調圧バルブの動作を制御することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記第4の運転圧力マップは、前記燃料電池スタックからの排空気に含まれる水蒸気量が生成水量以下になる水収支成立性と前記エジェクタの循環成立性とを満たした上で当該燃料電池システムの総合効率が高くなる運転圧力を示す運転圧力マップであることを特徴とする請求項12に記載の燃料電池システム。
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Cited By (4)
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KR101113652B1 (ko) * | 2009-09-15 | 2012-02-14 | 현대자동차주식회사 | 연료전지 시스템의 수소공급방법 |
EP2978056A4 (en) * | 2013-03-22 | 2016-05-11 | Nissan Motor | FUEL CELL SYSTEM AND METHOD FOR CONTROLLING THE FUEL CELL SYSTEM |
JP2016091833A (ja) * | 2014-11-05 | 2016-05-23 | トヨタ自動車株式会社 | 燃料電池システム |
JP2016136496A (ja) * | 2015-01-23 | 2016-07-28 | トヨタ自動車株式会社 | 燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法 |
-
2003
- 2003-01-31 JP JP2003024434A patent/JP2004235093A/ja active Pending
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